説明

温水利用システム

【課題】熱源機2で加熱生成された温水を往き側の温水配管L1から温水端末機3の熱交換器32へ送り込んで放熱させた後、戻り側の温水配管L2を介して熱源機2へ戻し入れる温水循環動作を行う温水利用システム1であって、往き側の温水配管L1が温水端末機3の出水側の配管接続部302に接続され、戻り側の温水配管L2が入水側の配管接続部301に接続された逆接続状態であるか否かを判定可能な接続判定手段C31を備えたものにおいて、温水端末機3全体の構造が複雑化するのを防止する。
【解決手段】接続判定手段C31は、温水循環動作実行中に熱交換器32への通水を一旦停止し、所定時間経過後に通水を再開させた際、入水側の配管接続部301と熱交換器32とを繋ぐ入水管路32a内の水温が予め設定された基準変化量以上低下した場合に、逆接続状態であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水の熱を利用して暖房や乾燥等を行う温水利用システム、特に、温水を加熱生成する熱源機とその温水の熱を放出する温水端末機との温水配管の逆接続を検知可能な温水利用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱源機で加熱生成された温水を浴室空気調和機や衣類乾燥機等の温水端末機へ循環供給し、この温水端末機から放出された温水の熱によって室内の暖房や衣類の乾燥等を行う温水利用システムでは、放熱効率を考慮し、温水端末機の熱交換器内の通水方向を一方向に設定したものが一般的である。
【0003】
従って、熱源機から延びる往き側および戻り側の温水配管が誤って温水端末機の配管接続部の入水側および出水側に対して逆接続された場合には、上記熱交換器内を温水が逆向きに流れるため、放熱効率が低下する。
【0004】
そこで、この放熱効率の低下を回避するため、温水端末機内に熱交換器の入水温および出水温を検知する二つの水温センサを設け、その入水温と出水温との高低差に基づいて温水配管の逆接続を判定するものがある。
【0005】
図4は、上記高低差に基づいて逆接続を判定する従来の温水利用システム6の概略構成図であり、熱源機7から延びる温水配管の往き配管L1および戻り配管L2に、温水の熱を放出して室内の暖房を行う温水端末機8が接続されている。
【0006】
熱源機7は、図示しないガスバーナの燃焼熱を回収して温水を生成する熱交換器72と、熱交換器72内で生成された温水を往き配管L1へ送り出して温水端末機8との間で循環させる循環ポンプ74とを備えている。
【0007】
一方、温水端末機8は、熱源機7から循環供給される温水の熱を放出する熱交換器82と、熱交換器82の表面から放出された熱を室内へ送り出す循環ファン83とを備えている。
【0008】
また、温水端末機8のケーシング80には、入水管路82aを介して熱交換器82へ繋がる入水管接続部801と、出水管路82bを介して熱交換器82へ繋がる出水管接続部802とが設けられており、この入水管接続部801に往き配管L1が接続され、出水管接続部802に戻り配管L2が接続される。
【0009】
さらに、上記入水管接続部801と熱交換器82とを繋ぐ入水管路82aには、入水温センサ85aが添設され、出水管接続部802と熱交換器82とを繋ぐ出水管路82bには、出水温センサ85bが添設されており、これら入水温センサ85aおよび出水温センサ85bは、温水端末機8の制御部C8へ電気的に接続されている。
【0010】
温水端末機8の制御部C8には、暖房運転を実行した際に、入水温センサ85aの検知温度が出水温センサ85bの検知温度より低い場合は、ケーシング80に設けられたエラー表示ランプ81を点灯させる接続判定回路(図示しない)が組み込まれている。
このものでは、熱源機7と温水端末機8とを接続する際、誤って熱源機7の出湯側の温水配管である往き配管L1が温水端末機8の出水管接続部802に接続され、熱源機7への戻り側の温水配管である戻り配管L2が温水端末機8の入水管接続部801に接続された逆接続状態で暖房運転を実行すれば、熱源機7から供給される高温の温水が上記出水管路82b内へ流れ込み、さらに熱交換器82で放熱された後の低温の温水は、上記入水管路82a内へ流れ込む。
【0011】
その結果、上記入水温センサ85aの検知温度が出水温センサ85bの検知温度より低くなり、このことを検知した上記接続判定回路は、温水配管が逆接続であることをエラー表示ランプ81の点灯によって施工者へ報知させる。これにより、放熱能力が低下した状態で使用されるのを未然に回避することが可能となる。
【特許文献1】特開平4−268123号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記従来のものでは、逆接続を検知するための水温センサを上記入水管路82aおよび出水管路82bの二箇所に設ける必要があるから、温水端末機全体の構造が複雑になる問題があった。
【0013】
本発明は係る点に鑑みてなされたもので、
『熱源機で加熱生成された温水を往き側の温水配管から温水端末機の熱交換器へ送り込んで放熱させた後、戻り側の温水配管を介して熱源機へ戻し入れる温水循環動作を行う温水利用システムであって、前記往き側の温水配管が前記熱交換器へ繋がる温水端末機の出水側の配管接続部に接続され、前記戻り側の温水配管が前記熱交換器へ繋がる温水端末機の入水側の配管接続部に接続された逆接続状態であるか否かを判定可能な接続判定手段を備えた温水利用システム』において、温水端末機全体の構造が複雑化するのを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明の技術的手段は、
『接続判定手段は、前記温水循環動作実行中に前記熱交換器への通水を一旦停止し、所定時間経過後に通水を再開させた際、前記入水側の配管接続部と前記熱交換器とを繋ぐ入水管路内の水温が予め設定された基準変化量以上低下した場合に、前記逆接続状態であると判定することを特徴とする』ものである。
上記技術的手段によれば、温水循環動作実行中に温水端末機の熱交換器への通水を一旦停止し、再度、熱交換器への通水を開始させた際、温水端末機の入水側の配管接続部と熱交換器とを繋ぐ入水管路内の水温が予め設定された基準変化量以上低下した場合に逆接続状態であると判定される。
【0015】
即ち、往き側の温水配管を熱交換器の入水側の配管接続部に接続し、戻り側の温水配管を熱交換器の出水側の配管接続部に接続した正接続状態である場合、温水循環動作実行中に温水端末機の熱交換器への通水を一旦停止し、再度、所定時間経過後に通水を開始すれば、上記熱交換器内で所定時間放熱して冷却された後の温水は、熱交換器の出水側に流れるから、上記入水管路内の水温を低下させない。
【0016】
一方、上記逆接続状態である場合、上記所定時間経過後に通水を開始すれば、上記熱交換器内で冷却された温水は、熱交換器の入水側に流れるから、入水管路内の水温を低下させる。
【0017】
そこで、温水循環動作実行中に温水端末機の熱交換器への通水を所定時間停止した後、再度通水を開始させ、そのときの上記入水管路内の水温が予め設定された基準変化量以上に低下すれば、逆接続状態であると判定する。
従って、温水端末機の出水側の配管接続部と熱交換器とを繋ぐ出水管路には、上記入水管路とは別の水温センサを設ける必要がない。
【0018】
請求項2に係る発明の技術的手段は、
前記請求項1において、
『温水端末機は、前記熱交換器から放出される熱を機外へ送り出す循環ファンを備え、
接続判定手段は、少なくとも、通水を停止してから前記所定時間が経過するまで前記循環ファンを作動させた状態で、通水を再開させた際の前記入水管路内の水温が前記基準変化量以上低下したか否かを判定することを特徴とする』ものである。
このものでは、少なくとも、前記通水を停止してから前記所定時間が経過するまで温水端末機の循環ファンを作動させて上記熱交換器からの放熱量を増加させ、温水配管が逆接続である場合に上記入水側へ流れ出す熱交換器内の水温を十分に低下させた状態で、逆接続状態であるか否かの判定が行われる。即ち、温水配管が逆接続である場合における入水管路内の水温の低下量と上記基準変化量との差が顕著にあらわれる状態で逆接続状態であるか否かの判定が行われる。その結果、温水配管の逆接続の誤判定が低減される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
請求項1に係る発明では、温水端末機の入水側の配管接続部と熱交換器とを繋ぐ入水管路内の水温の低下量から温水配管の逆接続を判定することによって、温水端末機の出水側の配管接続部と熱交換器とを繋ぐ出水管路に上記入水管路とは別の水温センサを設ける必要がないから、温水利用システム全体の構造が複雑化するのを防止できる。
【0020】
請求項2に係る発明では、熱交換器からの放熱量を増加させた状態における入水管路内の水温の低下量から温水配管の逆接続を判定することによって、温水配管の逆接続の誤判定が低減されるから、逆接続判定精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に、上記した本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係る温水利用システム1の概略構成図であり、図2は、その温水利用システム1の温水配管の接続判定動作を示す作動フローチャートである。以下、各部の詳細を説明する。
【0022】
図1に示すように、上記温水利用システム1は、温水を加熱生成する暖房用の熱源機2と、温水の熱を放出して暖房や乾燥を行う浴室空気調和機3とを往き側の温水配管(以下、「往き配管」という)L1および戻り側の温水配管(以下、「戻り配管」という)L2で接続したものであり、熱源機2の熱交換器22内で生成された温水を上記往き配管L1を介して浴室空気調和機3へ供給し、その浴室空気調和機3の熱交換器32内で放熱させた後、再び戻り配管L2から熱源機2へ戻す温水循環動作を行うものである。そして、この温水循環動作によって、浴室空気調和機3の熱交換器32から放熱させ、浴室内の暖房や乾燥等が行われる。
また、熱源機2には、その熱源機2や浴室空気調和機3の動作を指示するコントローラ4が電気的に接続されている。
【0023】
[熱源機2]
熱源機2は、燃料ガスの燃焼熱によって温水を加熱生成するものであり、そのケーシング20内には、図示しないガス配管から供給される燃料ガスを燃焼させるガスバーナ21と、上記燃料ガスの燃焼熱を回収する熱交換器22と、ガスバーナ21へ供給する燃料ガスの供給量を調整するガス量調整弁23と、熱交換器22内で生成された温水を往き配管L1側へ送り出して浴室空気調和機3との間で循環させる循環ポンプ24と、熱源機2全体の動作を制御する制御部(以下、「熱源側制御部」という)C2とが収容されている。
【0024】
そして、上記熱交換器22の温水出口側に往き配管L1が循環ポンプ24を介して接続され、温水入口側に戻り配管L2が接続されている。
上記熱源側制御部C2には、ガス量調整弁23、循環ポンプ24、後述する端末側制御部C3および後述するリモコン側制御部C4が電気的に接続されているとともに、その端末側制御部C3から出力される出湯指示信号を受信した際、循環ポンプ24を作動させるとともに図示しない点火装置によってガスバーナ21を点火し、図示しない出湯温センサの検知温度が予め設定された出湯温度(例えば、80℃)になるようにガス量調整弁23の開度を調整する出湯制御回路C20が組み込まれている。
【0025】
上記出湯制御回路C20は、循環ポンプ24が作動し且つガスバーナ21が燃焼している場合に、それら循環ポンプ24およびガスバーナ21が正常に動作していることを示す出湯信号を後述する端末側制御部C3へ出力する機能を備えている。
【0026】
[浴室空気調和機3]
浴室空気調和機3は、熱源機2から循環供給される温水の熱を温風として浴室内へ送り出して暖房や乾燥を行う温水端末機であり、そのケーシング30内には、温水の熱を放出する熱交換器32と、熱交換器32から放出される熱を浴室内へ送り出す循環ファン33と、浴室空気調和機3全体の動作を制御する制御部(以下、「端末側制御部」という)C3とが収容されている。
【0027】
また、ケーシング30内には、吸気口30aおよび送風口30b相互を繋ぐ通気路300が形成されており、この通気路300の上流側に上記熱交換器32が組み込まれ、下流側に循環ファン33が組み込まれている。
【0028】
熱交換器32は、通気路300の側壁相互間を循環ファン33側から吸気口30a側へ蛇行するように延びる放熱管320を有しており、この放熱管320の上記循環ファン33側の端部が入水管路32aを介してケーシング30の外面に設けられた入水側の配管接続部(以下、「入水側接続部」という)301へ繋がる一方、放熱管320の上記吸気口30a側の端部がケーシング30の外面に設けられた出水側の配管接続部(以下、「出水側接続部」という)302へ繋がっている。
【0029】
従って、往き配管L1が上記入水側接続部301に接続され、戻り配管L2が上記出水側接続部302に接続された正接続状態において、熱源機2から放熱管320内へ供給される高温の温水は、その循環ファン33側を通って吸気口30a側へ流れる。
【0030】
また、上記入水管路32aには、上記端末側制御部C3の指示に応じて開閉可能な熱動弁34が組み込まれており、この熱動弁34を開放させることで、熱源機2から送り出された温水が放熱管320内へ流れ込む。
【0031】
さらに、上記入水管路32aには、入水管路32a内の水温を検知する入水温センサ35が添設されている。
循環ファン33は、通気路300の側壁相互間に延びるクロスフローファンであり、その軸端には、ファンモータ36が接続されている。
【0032】
従って、このファンモータ36を駆動させれば、浴室内の空気が吸気口30aから通気路300内へ取り込まれ、上記正接続状態において低温域となる放熱管320の吸気口30a側で暖められた後、高温域となる放熱管320の循環ファン33側でさらに加熱され、送風口30bから浴室内へ送り出される。その結果、通気路200内へ送り込まれた空気は、効率良く加熱される。
【0033】
一方、上記端末側制御部C3には、熱動弁34、入水温センサ35、ファンモータ36および熱源側制御部C2が電気的に接続されているとともに、コントローラ4側から出力される暖房指示信号を受信した際、熱動弁34を開放させ、入水温センサ35の検知温度Tが予め設定された送風開始温度Tm(例えば、40℃)に到達した時点でファンモータ36を作動させる暖房制御回路C30が組み込まれている。
【0034】
さらに、端末側制御部C3には、ケーシング30に設けられた逆接続報知ランプP1および熱源機エラー報知ランプP2が電気的に接続されているとともに、往き配管L1および戻り配管L2の接続判定動作(図2の作動フローチャートに示す制御動作)を実行する接続判定回路C31と、上記検知温度Tの単位時間あたりの変化量(以下、「温度勾配」という)△dnを検知する水温変化検知回路C32とが組み込まれている。
【0035】
また、上記接続判定回路C31には、後述する水温低下量△Tが逆接続を示す値であるか否かを判定するための基準変化量(例えば、3deg)Sが予め記憶されている。
尚、上記「接続判定回路C31」が、既述請求項1から3の発明特定事項としての「接続判定手段」に対応する。
【0036】
[コントローラ4]
図1に示すように、コントローラ4は、電源スイッチP3、暖房スイッチP4、音声出力部P5および表示部P6を備えているとともに、暖房スイッチP4のオン操作に応じて熱源側制御部C2へ出湯待機信号を出力し、端末側制御部C3へ暖房指示信号を出力する制御部(以下、「リモコン側制御部」という)C4を備えている。
【0037】
[接続判定動作の実際]
次に、上記端末側制御部C3の接続判定回路C31による接続判定動作を図2の作動フローチャートに従って説明する。
【0038】
コントローラ4の電源スイッチP3がオンにされると、暖房制御回路C30が起動し、暖房指示信号がコントローラ4のリモコン側制御部C4から入力されるのを待機した状態になる(ST1)。
このとき、熱源機2では、リモコン側制御部C4から出力された出湯待機信号を受けて熱源側制御部C2の出湯制御回路C20を起動し、端末側制御部C3から出湯指示信号が出力されるのを待機した状態になる。
【0039】
コントローラ4の暖房スイッチP4がオンにされ、リモコン側制御部C4から暖房指示信号が熱源側制御部C2を介して入力されると、暖房制御回路C30によって熱動弁34を開放させるとともに、熱源側制御部C2へ出湯指示信号を出力する(ST2〜3)。
【0040】
そして、この出湯指示信号を受けた熱源側制御部C2は、図示しないが、循環ポンプ24を作動させるとともにガスバーナ21を点火し、往き配管L1側へ温水の供給を開始する。これにより、熱源機2側の熱交換器22内で生成された温水が往き配管L1を通って浴室空気調和機3側の熱交換器32内へ送り込まれる。
【0041】
熱交換器32への通水が開始されると、端末側制御部C3は、ファンモータ36を作動させ、浴室内へ温風を循環供給する暖房運転を開始するとともに、入水管路32a内の水温、即ち、入水温センサ35の検知温度Tが所定の温度Tm(ここでは、40℃)に到達したか否かを判定する(ST4〜5)。
【0042】
上記ステップST5にて、検知温度Tが所定の温度Tmに到達していない場合は、熱源側制御部C2から端末側制御部C3へ出湯信号が入力されているか否か、即ち、熱源機2が正常に動作しているか否かを判定する。そして、上記出湯信号が入力されている場合は、再び、上記ステップST5の判定動作を実行する(ST6)。
【0043】
上記ステップST5にて、検知温度Tが所定の温度Tmに到達すれば、水温変化検知回路C32によって、上記温度勾配△dnが0であるか否か、即ち、入水温センサ35の検知温度Tが一定値で推移しているか否かの監視を開始する(ST7)。
【0044】
そして、上記温度勾配△dnが0になれば、循環ファン33の回転は維持した状態で所定時間(ここでは、10秒間)熱動弁34を閉じ、放熱管320内に滞留する温水の熱を放出させる(ST8〜9)。
【0045】
その後、ステップST9にて上記所定時間が経過すれば、その所定時間経過時点の入水温センサ35の検知温度(以下、「通水再開前の水温」という)T1を記憶するとともに熱動弁34を開き、放熱管320内への通水を再開させる(ST10)。
【0046】
そして、熱動弁34を開放してから一定時間(ここでは、5秒)経過後の入水温センサ35の検知温度(以下、「通水再開後の水温」という)T2を上記通水再開前の水温T1から差し引いた値、即ち、通水を再開させた後の単位時間あたりの水温低下量△Tを算出し、その水温低下量△Tが上記基準変化量Sより小さいか否かを判定する(ST11〜13)。
上記ステップST13にて、水温低下量△Tが基準変化量Sより小さい場合(例えば、2deg)は、暖房スイッチP4がオフにされるまで暖房運転が実行される(ST14)。
【0047】
即ち、通水を再開した際の水温低下量△Tが少なければ、往き配管L1内に滞留した比較的温度の高い温水が入水側接続部301を介して入水管路32aへ流れ込む正接続状態であると想定できるから、暖房運転を継続する。
【0048】
そして、暖房スイッチP4がオフにされれば、熱源側制御部C2へ出湯停止信号を出力するとともに、熱動弁34を閉塞させて放熱管320内の通水を遮断した後、ファンモータ36を停止して浴室内への温風の供給を停止する(ST15〜16)。
このとき、端末側制御部C3から出力された出湯停止信号を受けた熱源側制御部C2の出湯制御回路C20は、ガスバーナ21を消火させるとともに循環ポンプ24を停止させる。
【0049】
一方、図3のグラフに示すように、上記ステップST13にて、通水を再開した際の水温低下量△Tが基準変化量S以上である場合(例えば、8deg)は、放熱管320内で滞留し冷却された比較的温度の低い温水が入水管路32bへ流れ込む逆接続状態であることが想定される。
【0050】
従って、浴室空気調和機3の逆接続報知ランプP1を点灯させるとともに、コントローラ4の音声出力部P5および表示部P6から温水配管が逆接続であることを音声および表示によって報知させ、上記ステップST15およびST16の暖房停止動作を実行し、暖房運転を中止する(ST17,ST15〜16)。
【0051】
即ち、浴室空気調和機3を設置した後に試運転を実行すれば、往き配管L1が出水側接続部302に接続された逆接続状態であることが施工者へ報知されるとともに、暖房運転が停止される。
尚、上記ステップST13における「通水を再開した際の水温低下量△Tが基準変化量Sより小さいか否かを判定し、その水温低下量△Tが基準変化量S以上であれば、温水配管が逆接続状態であると判定する」端末側制御部C2の機能部が、既述請求項1および2の発明特定事項としての「接続判定手段」に対応する。
【0052】
また、上記ステップST4からST6の制御動作実行中に、ガスバーナ21の消火や循環ポンプ24の異常動作等、熱源機2の出湯動作不良が発生し、熱源側制御部C2から出湯信号が入力されなくなった場合は、浴室空気調和機3の熱源機エラー報知ランプP2を点灯させるとともに、コントローラ4の音声出力部P5および表示部P6から熱源機2が出湯動作不良であることを音声および表示によって報知させ、上記ステップST15およびST16の暖房停止動作を実行する(ST18,ST15〜16)。
【0053】
従って、熱源機2の出湯動作不良によって浴室空気調和機3側へ温水が供給されていない場合は、往き配管L1および戻り配管L2が逆接続であるか否かを判定する前に、熱源機2の出湯動作不良が施工者へ報知されるとともに、暖房運転が停止される。
【0054】
このように、暖房運転実行中に浴室空気調和機3の熱交換器32内への通水を一旦停止し、所定時間経過後に再度通水させた際の通水再開前の水温T1から通水再開後の水温T2を差し引いた値△Tが予め設定された基準変化量S以上である場合、即ち、熱交換器32内で冷却された温水の温度を入水温センサ35が検知した場合に逆接続状態であると判定されるから、上記入水温センサ35とは別に、熱交換器32の出水側に繋がる出水管路32bの水温を検知するための水温センサを設ける必要がない。従って、温水利用システム1全体の構造が複雑化しない。
【0055】
また、循環ファン33を回転させて上記熱交換器32からの放熱量を増加させ、熱交換器32内の温水を十分に冷却した状態、即ち、往き配管L1および戻り配管L2が正接続である場合と逆接続である場合とで上記水温低下量△Tの差が顕著にあらわれる状態で、その水温低下量△Tが基準変化量S以上であるか否かを判定するから、通水を再開した際に熱交換器32内の温水が入水管路32aへ流れ込んでいる逆接続状態であるにもかかわらず、正接続状態であると誤判定される可能性が低減される。これにより、逆接続判定精度が向上する。
【0056】
[その他]
尚、上記実施の形態では、接続判定動作を実行する接続判定回路C31を浴室空気調和機3の端末側制御部C3に組み込んだものを説明したが、熱源機2の熱源側制御部C2に組み込んでも良いし、コントローラ4のリモコン側制御部C4に組み込んでも良い。
【0057】
また、上記コントローラ4は、浴室空気調和機3へ熱源機2を介して電気的に接続されているが、浴室空気調和機3へ直接的に接続したものであっても良い。
【0058】
さらに、上記実施の形態における暖房運転では、熱交換器32への通水の開始とともにファンモータ36を作動させているが、入水温センサ35の検知温度Tが予め設定された温度(例えば、40℃)に到達した後、ファンモータ36を作動させても良い。
【0059】
また、上記実施の形態では、通水を再開した時点の入水温センサ35の検知温度T1と、通水を再開してから一定時間経過した時点の上記検知温度T2との差に基づいて逆接続を判定するものを説明したが、所定の温度Tmを超え、一定値で推移し始めた時点の入水温センサ35の検知温度Tと、通水を再開してから一定時間経過した時点の上記検知温度T2との差に基づいて逆接続を判定しても良い。
【0060】
一方、熱動弁34を一旦閉じ、再び熱動弁34を開いた後の上記水温低下量△Tが基準変化量Sより小さいか否かの判定は、入水温センサ35の検知温度Tが一定値で推移するようになった状態で実行されているが、入水温センサ35の検知温度Tが上昇している段階で実行しても良い。
【0061】
また、上記実施の形態では、温度勾配△dnが0である場合に、入水温センサ35の検知温度Tが一定値で推移していると判定しているが、温度勾配△dnが誤差を見込んだ範囲内(例えば、−0.1≦△dn≦+0.1)である場合に、上記検知温度Tが一定値で推移していると判定しても良い。
【0062】
さらに、上記基準変化量Sは、正接続状態における上記水温変化量と逆接続状態における上記水温変化量との差異が認識できる範囲内に設定すれば良く、0に設定しても良い。
上記実施の形態における温水端末機は、浴室空気調和機3を例示して説明したが、温水配管が逆接続されることによって放熱効率の低下を招く恐れのある構成のものであれば、室内暖房用のファンヒータやパネルヒータ、床暖房用の温水マット、衣類乾燥機等であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施の形態に係る温水利用システム1の概略構成図
【図2】本発明の実施の形態に係る温水利用システム1の接続判定動作を示す作動フローチャート
【図3】本発明の実施の形態に係る温水利用システム1の入水温センサ35の検知温度Tの変化を示すグラフ
【図4】従来の温水利用システム6の概略構成図
【符号の説明】
【0064】
1・・・温水利用システム
2・・・熱源機
3・・・温水端末機
301・・・入水側の配管接続部
302・・・出水側の配管接続部
32・・・熱交換器
32a・・・入水管路
C31・・・接続判定手段
L1・・・往き側の温水配管
L2・・・戻り側の温水配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機で加熱生成された温水を往き側の温水配管から温水端末機の熱交換器へ送り込んで放熱させた後、戻り側の温水配管を介して熱源機へ戻し入れる温水循環動作を行う温水利用システムであって、前記往き側の温水配管が前記熱交換器へ繋がる温水端末機の出水側の配管接続部に接続され、前記戻り側の温水配管が前記熱交換器へ繋がる温水端末機の入水側の配管接続部に接続された逆接続状態であるか否かを判定可能な接続判定手段を備えた温水利用システムにおいて、
接続判定手段は、前記温水循環動作実行中に前記熱交換器への通水を一旦停止し、所定時間経過後に通水を再開させた際、前記入水側の配管接続部と前記熱交換器とを繋ぐ入水管路内の水温が予め設定された基準変化量以上低下した場合に、前記逆接続状態であると判定することを特徴とする、温水利用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の温水利用システムにおいて、
温水端末機は、前記熱交換器から放出される熱を機外へ送り出す循環ファンを備え、
接続判定手段は、少なくとも、通水を停止してから前記所定時間が経過するまで前記循環ファンを作動させた状態で、通水を再開させた際の前記入水管路内の水温が前記基準変化量以上低下したか否かを判定することを特徴とする、温水利用システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−19844(P2009−19844A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−184228(P2007−184228)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】