説明

温風暖房機

【課題】循環ファン4の作動で室内空気をハウジング1に開設した吸込み口2から吸込んで加熱手段5により加熱し、ハウジング1の前面下部に開設した吹出し口3から温風として送風する温風暖房機であって、ハウジング1内の下部に、加熱手段5と吹出し口3との間の通風空間8に対し仕切り板9で仕切られ、室内空気が流入可能なセンサ室10が設けられ、このセンサ室10に配置した室温センサ11の検出温度に基づいて、温風送風をオンオフする温調制御を行うものにおいて、暖房機の前面近傍に障害物aが存在する場合にこれを検知できるようにする。
【解決手段】温調制御による温風送風のオンオフ回数が所定時間内に所定数以上になったときに異常有りと判定する異常判定制御を行う。そして、異常有りと判定されたときは、異常表示と暖房運転停止との少なくとも一方を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に、循環ファンと、循環ファンよりも下方に位置させて温水放熱器等の加熱手段とが配置され、循環ファンの作動で室内空気をハウジングに開設した吸込み口から吸込んで加熱手段により加熱し、ハウジングの前面下部に開設した吹出し口から温風として送風する温風暖房機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の温風暖房機として、ハウジング内の下部に、加熱手段と吹出し口との間の通風空間に対し仕切り板で仕切られ、室内空気が流入可能なセンサ室を設け、このセンサ室に配置した室温センサの検出温度に基づいて、温風送風をオンオフする温調制御を行うようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
尚、ハウジング内の上部の吸込み口に臨む部分に室温センサを設けることも考えられる。然し、これでは、温調制御で循環ファンを停止したときに、加熱手段付近の熱い空気が室温センサの配置部まで上昇して、室温センサの検出温度が室温よりも高くなってしまい、正確な温調制御ができなくなる。一方、上記の如くハウジング内の下部に設けたセンサ室に室温センサを配置しておけば、かかる不具合は生じない。
【0004】
ところで、温風暖房機の前面近傍に人や置物等の障害物が存在すると、温風が障害物で遮られて暖房効果が低下したり、障害物の過熱を生じたりする。然し、上記従来の温風暖房機では、その前面近傍に障害物が存在がしていても、これを検知できず、そのまま放置されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭59−210229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、暖房機の前面近傍に障害物が存在しているときにこれを検知できるようにした温風暖房機を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、ハウジング内に、循環ファンと、循環ファンよりも下方に位置させて加熱手段とが配置され、循環ファンの作動で室内空気をハウジングに開設した吸込み口から吸込んで加熱手段により加熱し、ハウジングの前面下部に開設した吹出し口から温風として送風する温風暖房機であって、ハウジング内の下部に、加熱手段と吹出し口との間の通風空間に対し仕切り板で仕切られ、室内空気が流入可能なセンサ室が設けられ、このセンサ室に配置した室温センサの検出温度に基づいて、温風送風をオンオフする温調制御を行う制御手段を備えるものにおいて、制御手段は、温調制御による温風送風のオンオフ回数が所定時間内に所定数以上になったときに異常有りと判定する異常判定制御を行うように構成されることを特徴とする。
【0008】
ここで、暖房機の前面近傍に障害物が存在すると、温風が障害物に当たって跳ね返り、センサ室に温風が流入して室温センサの検出温度が上昇し、温風送風が停止(オフ)される。この場合、実際に室温が上がったわけではないので、温風送風のオフで室温センサの検出温度がすぐに低下し、温風送風が再開(オン)される。そして、温風送風が再開されると、センサ室への温風の流入で室温センサの検出温度がすぐに上昇し、温風送風が再び停止される。そのため、短い時間間隔で温風送風のオンオフが繰り返されることになる。
【0009】
従って、暖房機の前面近傍に障害物が存在する場合は、温調制御による温風送風のオンオフ回数が所定時間内に所定数以上になる。本発明によれば、このときに異常有りと判定されるため、障害物が存在することを検知できる。
【0010】
また、本発明において、制御手段は、異常判定制御で異常有りと判定されたときに、異常表示と暖房運転停止との少なくとも一方を行うように構成されることが望ましい。異常表示を行うことで、使用者に障害物が存在することを知らせることができ、また、暖房運転を停止することで、障害物の過熱を生ずることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態の温風暖房機の正面図。
【図2】図1のII−II線で切断した断面図。
【図3】実施形態の温風暖房機のコントローラが行う異常判定制御の内容を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1、図2を参照して、1は温風暖房機のハウジングを示している。このハウジング1の前面上部には吸込み口2が開設され、前面下部には吹出し口3が開設されている。尚、この温風暖房機は壁掛け型であり、床面Fからのハウジング1の下端の高さが10cm以下になるように壁面Kに設置される。
【0013】
ハウジング1内には、上部に循環ファン4が配置されると共に、循環ファン4よりも下方に位置させて、熱源機等で加熱された温水を供給する加熱手段たる放熱器5が配置されている。循環ファン4は、吸込み口2に対向するファンケーシング4a内に収納した、モータ4bで駆動される遠心ファンで構成される。循環ファン4を作動させると、室内空気が吸込み口2を介してファンケーシング4a内に吸込まれ、ファンケーシング4aから下方の放熱器5に向けて送風される。そして、室内空気は放熱器5で加熱され、吹出し口3から温風として室内に送風される。
【0014】
ハウジング1の上面には操作盤6が設けられている。また、ハウジング1内の上部には、ファンケーシング4aと操作盤6との間に位置させて、制御手段たるコントローラ7が配置されている。
【0015】
また、ハウジング1の下部には、吹出し口3よりも下方に位置する延長部が形成されており、この延長部内に、放熱器5と吹出し口3との間の通風空間8に対し仕切り板9で仕切られたセンサ室10が設けられている。センサ室10の前面には通気孔10aが形成されており、この通気孔10aを介してセンサ室10に室内空気が流入する。そして、センサ室10にサーミスタから成る室温センサ11を配置している。
【0016】
室温センサ11の検出信号はコントローラ7に入力される。コントローラ7は、室温センサ11の検出温度に基づいて、室温がほぼ暖房設定温度に維持されるように温風送風をオンオフする温調制御を行う。温調制御では、室温センサ11の検出温度が暖房設定温度より所定温度(例えば、2℃)高く設定される上限温度以上になったときに、温風送風を停止(オフ)し、その後、室温センサ11の検出温度が暖房設定温度より所定温度(例えば、1℃)低く設定される下限温度以下になったときに、温風送風を再開(オン)する。温風送風のオフは、循環ファン4を停止すると共に放熱器5への温水供給を停止することで行われる。尚、放熱器5への温水供給を継続したまま循環ファン4を停止して、温風送風をオフすることも可能である。
【0017】
ところで、図2に仮想線で示す如く、温風暖房機の前面近傍に障害物aが存在すると、温風が障害物aで遮られて暖房効果が低下したり、障害物aの過熱を生じたりする。そこで、コントローラ7は、温風暖房機の前面近傍の障害物aの存在を検知するために、上述した温調制御に加えて異常判定制御を実行する。
【0018】
以下、図3を参照して異常判定制御について説明する。異常判定制御では、先ず、STEP1でタイマをスタートさせた後、STEP2に進み、温調制御による温風送風のオンオフ回数Cをカウントする。尚、温風送風のオンオフ回数は、室温センサ11の検出温度が上限温度以上になって温風送風をオフした回数であっても、また、室温センサ11の検出温度が下限温度以下になって温風送風をオンした回数であっても、更には、温風送風をオフした回数とオンした回数の合計数であってもよい。本実施形態では、温風送風のオンオフ回数Cとして、温風送風をオフした回数とオンした回数の合計数をカウントしている。
【0019】
次に、STEP3に進み、タイマをスタートしてからカウントした温風送風のオンオフ回数Cが所定数YC(例えば、7回)以上になったか否かを判別する。C<YCであれば、STEP4に進んで、タイマの計時時間TMが所定時間YTM(例えば、10分)に達したか否かを判別し、TM<YTMであれば、STEP2に戻る。
【0020】
ここで、温風暖房機の前面近傍に障害物aが存在すると、温風が障害物aに当たって跳ね返り、センサ室10に温風が流入して室温センサ11の検出温度が上昇し、温風送風がオフされる。この場合、実際に室温が上がったわけではないので、温風送風のオフで室温センサ11の検出温度がすぐに低下し、温風送風が再開(オン)される。そして、温風送風が再開されると、センサ室10への温風の流入で室温センサ11の検出温度がすぐに上昇し、温風送風が再びオフされる。そのため、短い時間間隔で温風送風のオンオフが繰り返されることになる。
【0021】
従って、温風暖房機の前面近傍に障害物aが存在する場合は、温風送風のオンオフ回数Cが所定時間YTM内に所定数YC以上になり、STEP3で「YES」と判定される。この場合は、STEP5で異常有りと判断し、STEP6に進んで、障害物aが存在する旨を報知する異常表示を行うと共に暖房運転を停止する。そのため、障害物aが存在したまま放置され、障害物aの過熱を生ずることを防止できる。
【0022】
温風送風のオンオフ回数Cが所定数YC以上にならないまま所定時間YTMが経過したときは、STEP7でタイマをリセットした後、STEP1に戻り、上述した異常判定制御を繰り返す。
【0023】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、上記実施形態は壁掛け型の温風暖房機に本発明を適用したものであるが、床置き型の温風暖房機にも同様に本発明を適用できる。この場合、ハウジングの背面に吸込み口を開設してもよい。また、上記実施形態では、加熱手段として放熱器5を用いているが、電気ヒータ等の他の加熱手段を用いることも可能である。
【0024】
また、上記実施形態では、ハウジング1に吹出し口3より下方に位置する延長部を形成して、この延長部内にセンサ室10を設けているが、ハウジング1内の吹出し口3と同等高さの下部側方部分に、通風空間8の側面に対し仕切り板で仕切られたセンサ室を設けることも可能である。更に、センサ室10を適宜の管を介して循環ファン4の吸込み側に連通させ、室内空気をセンサ室10に積極的に流通させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0025】
1…ハウジング、2…吸込み口、3…吹出し口、4…循環ファン、5…放熱器(加熱手段)、7…コントローラ(制御手段)、8…通風空間、9…仕切り板、10…センサ室、11…室温センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に、循環ファンと、循環ファンよりも下方に位置させて加熱手段とが配置され、循環ファンの作動で室内空気をハウジングに開設した吸込み口から吸込んで加熱手段により加熱し、ハウジングの前面下部に開設した吹出し口から温風として送風する温風暖房機であって、ハウジング内の下部に、加熱手段と吹出し口との間の通風空間に対し仕切り板で仕切られ、室内空気が流入可能なセンサ室が設けられ、このセンサ室に配置した室温センサの検出温度に基づいて、温風送風をオンオフする温調制御を行う制御手段を備えるものにおいて、
制御手段は、温調制御による温風送風のオンオフ回数が所定時間内に所定数以上になったときに異常有りと判定する異常判定制御を行うように構成されることを特徴とする温風暖房機。
【請求項2】
前記制御手段は、前記異常判定制御で異常有りと判定されたときに、異常表示と暖房運転停止との少なくとも一方を行うように構成されることを特徴とする請求項1記載の温風暖房機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−47602(P2011−47602A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197701(P2009−197701)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】