説明

測光による面内検出

【課題】光検出用分析装置の製造方法を最適化することである。大部分の反射面又は鏡状面の表面が最適な反射特性を保証することが可能で、光線の偏光は表面内の任意の欠陥の影響を受けない。
【解決手段】回転ディスク状本体(1)を備える化学サンプル及び/又は流体サンプルの光検出用の分析装置上に、流体サンプル用の複数の容器(7)及び光線をこの容器を通して導くための光学手段(9)が配置される。光学手段(9)の少なくとも一部は、光線の少なくとも一部がディスク状本体(1)上の半径方向外向きの方向に対してある角度で、すなわち各光学手段とディスク状本体(1)の回転軸(9)とを結ぶ半径に対してある角度で偏向され、容器を通して導かれるように設計され及び/又は配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学及び/又は流体サンプルの光検出のための分析装置及び液体サンプルの分析光学的検出のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
流体化学サンプル又は液体サンプル各々の光学的測定には、光分析が一般的に用いられ、当技術分野において公知である。例えば、ディスク状回転装置が提案され、この装置の上には流体サンプル収集のために複数の容器状のキュベットが配置され、容器は各々光検出経路内に配置され、各光線はサンプル又はその化学的性質の分析のために各々部分的に吸収され、血液分析、尿分析又は任意の他の液体サンプルの分析については流体化学の光測定が特に用いられ、多様な流体サンプル、例えば血液サンプルがサンプルキュベット内に入れられ、光線がこのキュベットを通過する場合、光線は部分的に吸収されて血液サンプルの分析に用いられる。
【0003】
米国特許第5,122,284号においては、生物学的流体を光学的に分析するための装置が記載されている。ディスク上に複数の周辺キュベットが配置され、各キュベットは、キュベット内への液体の流入及び該キュベットからの気体の流出のための二機能経路を通じて中心の接続チャンバーに接続される。回転軸に対して通常は平行に指向する光線は、一回偏向され、キュベット中の流体の中を水平に通過し、その後分析の目的で検出される。或いは、流体通過後に水平の光線は一回垂直に偏向され得る。
【0004】
米国特許第5,478,750号においても、液体血液サンプル内の血液細胞成分等の物質の濃度を測定する、回転ディスク上に配置された血液サンプルの光分析が記載されている。多様な流体サンプルがディスク上のキュベット内に配置され、分析の目的で、ディスク面に垂直に導かれた光線はディスク面内でキュベット方向に偏向される。
【0005】
ほとんどの公知の分析装置においては、光学手段及び液体サンプル含有キュベットの配置は、光線の方向が通常は回転ディスクの半径と一致するように配置され、すなわち光学的偏向手段すなわち反射鏡が回転ディスクの半径に対して垂直に配置される。
【0006】
さらに、例えば米国特許第5,122,284号中に記載されているような幾つかの公知の装置において、液体内の気体内包物は、液体の流れと気体の除去とが混合されるために、光学的分析に影響を及ぼし又は該分析を妨げ得る。
【0007】
回転ディスクの材料の吸収又は悪影響を最小限にするため、回転ディスクは通常、熱可塑性透明ポリマー、例えば、PMMA、ポリカーボネート、ポリスチレン、透明コポリアミド等で作られ、これまでのところPMMAが好んで用いられている。ディスク状分析装置は通常、射出成形技術を用いて製造される。光線の、液体サンプル含有キュベット方向への偏向のための光学手段は、垂直に到達する光線がディスク状装置の透明ポリマーによって実質的に吸収されることなく偏向されるように、ディスク内に、ディスク面に対して45°の角度に面を設けることによって達成される。45°の角度を有するこのような面を製造するために、通常は型内に各インサートが配置される。すなわち、各々の反射面について、射出成形処理の前に型内に各インサートが配置されなければならない。液体のポリマー融液は、ディスクの中心で、すなわちディスク状装置の回転軸において型の中へと導入され、この液体ポリマーの流れは半径方向外向きに向けられ、この流れが、反射領域製造のためにインサートが配置された位置において問題を生じ得る。この問題は、液体ポリマー融液が、流れの半径外向きの方向に対して垂直に配置されたインサートの周囲に流れ、このためインサートの両側を囲んだ流れがインサートの後側で再び混合することによって生じる。実際の経験では、反射面上のこの混合領域に起因して、キュベットの方向へと偏向される光の少なくとも部分的な偏光が生じ得ることが示されたが、当然これは望ましいことではない。
【0008】
さらに、射出成形処理前の多様なインサート全ての挿入は時間がかかり、結果として、公知の、分析目的のディスク状装置の製造にこれまで用いられてきた製造法は最適ではない。
【特許文献1】米国特許第5,122,284号
【特許文献2】米国特許第5,478,750号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的の1つは、上記の光検出用分析装置の製造方法を最適化することである。この方法においては、少なくとも大部分の反射面又は鏡状面の表面が最適な反射特性を保証することが可能であり、このため光線の偏向はこの表面内の任意の欠陥の影響を受けない。
【0010】
本発明の他の目的は、光分析を目的としたディスク状装置内の鏡状面又は反射面を構築する成形型内へのインサートの設置を簡素化する点について、上記の光分析用装置の製造の前及び/又はその間の取扱・操作を少なくすることである。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、例えば光学的分析の対象となる液体の、容器への不適切な注入(供給)によって生じる可能性がある、分析的検出の対象となる液体内に含まれている気体又は空気の内包物の影響を低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
結果として、本発明によって提案されるのは、請求項1に記載の分析装置及び同様に請求項に記載の分析装置の製造方法である。
【0013】
提案されるのは、分析対象の液体サンプルを収集するための複数のキュベットが配置されている回転可能なディスクを備える装置である。さらに、光線が該キュベットの中を通るよう方向付けるためにディスク状装置内に反射手段が配置されており、この反射手段は、光線の少なくとも一部が、最初に、ディスク上の各半径方向外向きの方向、すなわちディスク回転中心つまり軸から各反射手段又はキュベットを各々通る各半径に対してある角度を成す方向に偏向され、すなわち各キュベットの中を通るよう導かれ、次に、キュベット通過後にディスク状装置の面の外へと偏向されるように配置されている。
【0014】
本発明の1つの態様によれば、主に到達光線を液体サンプル用容器の中へと、且つ該容器の中を通るように偏向させることに関与する手段である前記光学手段の少なくとも一部は、各半径方向外向きの方向に対して90°とは異なるある角度に配置される。換言すれば、光学手段の面、又は少なくともその一部は、光学手段とディスクの回転軸とを結ぶ各半径に対して、90°とは異なるある角度に配置される。結果として光線は、ディスク上の半径方向外向きの方向に対してある角度を成す方向に、分析対象の各液体サンプルを含有するキュベットなどの容器の中を通るようにも導かれる。他の結果として、光線が容器又はキュベットの中へと入射する際に通る、検出窓とも呼ばれる入射面も、ディスク上の半径方向外向きの方向に対して90°とは異なるある角度に配置される。或いは、換言して定義すると、検出窓の面は、半径方向外向きに方向付けられた回転力に対して、90°とは異なるある角度を成す。最後に、例えば検出後の光線をディスク面の外へ導く別の光学手段も、その面が回転ディスク上の半径方向外向きに対して90°とは異なるある角度を成すように配置され得る。
【0015】
本発明の1つの可能な実施形態によれば、例えば血液、尿等及び/又は追加の添加剤及び試薬などの光学分析の対象となる液体サンプルの収集のために設けられた複数の容器又はキュベットが配置される。各容器において、ディスク内に少なくとも1つの反射面が配置されるが、この面は、ディスク面に対して垂直に到達する光線を偏向させ、この光線を、例えば血液などの液体サンプルを含む容器又はキュベットを通して導くためにディスク面に対して45°の角度に配置された鏡状面である。全ての鏡面は当然、ディスクの同じ側から到達する光線の全てがキュベットなどの各液体サンプル容器の中を通して導かれるように配置されなければならない。さらに平らな鏡状面の全て、又は少なくともその一部は、ディスク上の半径方向外向きの方向に対して90°とは異なるある角度に配置され、これによって偏向された光線が半径方向外向きの方向に対してある角度を成す。
【0016】
様々な容器又はキュベットの後、光線の方向で、容器又はキュベットから各々到達する検出後の光線がディスク状装置の面の外へ好ましくは垂直方向に偏向されるように、ディスク状本体内にさらに反射面又は偏向鏡を配置し得る。従ってこの反射面又は鏡もまた、ディスクの面に対して45°の角度を成し、ここでもまた、好ましくは全ての鏡が、各光線がディスク面の外へ同じ方向に導かれるように配置される。その方向は、ディスク状装置の外であって、ディスク面上へと導かれる最初の光線が来る方向と同じ方向、或いは反対方向のいずれでもあり得る。
【0017】
光学手段を上記に提案されるように配置することの大きな利点は、分析用ディスク状装置を製造するための射出成形処理の間、液体のポリマー融液が鏡面又は偏向面を対称的に囲むことがないため、該面の中央にポリマー融液の混合による不揃いが生じ得ないことである。この混合領域を、光線が面にぶつからない場所である反射面の側域へと移動させることも可能であり、面が半径方向外向きの半径に対して平行に又はその半径内に配置される場合には、混合領域をその面から完全に外すこともできる。上記の配置の他の利点は、容器の、光線用の入射窓又は検出窓の各々において、検出対象の液体内に気泡が蓄積しないことである。このことは、反射面が、半径方向外向きの回転力方向に対して90°の角度には配置されず、その結果気泡が窓沿いに入射面の縁部の方へ移動することに起因する。各縁部において、いわゆるマイクロチャンネルの配置により気泡の除去が達成され得る。結果として、光線は望ましくない気泡による影響を受けない。
【0018】
さらに、本発明の他の態様によれば、各容器又はキュベット各々に少なくとも2つの別個のマイクロチャンネルを配置することが提案され、その1つは容器に液体を供給するための注入チャンネルであり、もう1つのチャンネルは気泡を除去するためのチャンネルである。これは、米国特許第5,122,284号の中で提案されるような注入チャンネルとは正反対であり、該特許においては、2つの流路が同一のチャンネル内に配置され、この配置は、液体と気泡とが混合することが可能であるため光学的妨害を生じ得る。
【0019】
本発明の別の態様によれば、分析用装置のディスク状本体上で円弧上に配置される、環状の鏡又は反射面を配置することが提案される。反射面の断面は直線状(linear)であり、好ましくはディスク面に対して約45°の角度で配置される。結果として、このような光学手段の表面は平らではなく丸くなり、その結果到達光線を、容器又はキュベットに入射する前にディスク面内で拡大する。換言すれば、到達光線の、さらに好ましくはディスク面に対して垂直に到達する光線のまさに中心部のみが、ディスクの半径方向外向きの方向内で偏向され、光線の残りの部分が拡大され、結果として光線の大部分がディスクの半径方向外向きの方向に対してある角度を成す方向を向く。さらに、キュベットの後に各集光光学手段がさらに配置されることが可能であり、この光学手段はさらに好ましくは環状であり、回転ディスクの円弧内に配置される。なお、この鏡又は反射面は、拡大された光線が例えば光検出手段の上に集光され、焦点を合わせるように、すなわち第1の反射面による拡大が、打ち消され又は相殺されて細い光線になるように設計される。しかし、拡大された光線を細い光線へと狭めることは当技術分野において周知であるため、ここでは任意の他の光学装置について詳細を記載する必要はない。
【0020】
他の類似の実施形態によれば、円弧部分のみが様々な環状の鏡状面又は反射面によって覆われているだけでなく、この反射面は光学分析用ディスク状装置上の円全体を覆っている。
【0021】
環状光学手段の大きな利点は、ディスク状装置を製造するための射出成形工程の前又はその間に、極めて限られた量のインサートを型内に設置するだけでよい点である。当然この場合もまた、反射面の側部上で望ましくない液体ポリマーの混合領域の問題が生じ得るが、容器に入射する前の到達光線が拡大されるため、反射面上の凹凸領域による問題は重要ではなくなる。さらに、到達光線を容器の方向へと偏向するための第1光学手段がディスクの中心軸の近くに配置されるため、ポリマー融液注入のための注入口を反射面が配置される場所の近くに設けることが可能となるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の他の実施形態及び特徴は、実例がさらに詳細に示される添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
図1は、平面図において、中心軸3の周りを回転可能なディスク状本体1を備える本発明による分析用装置を示す。ディスク状装置の周辺8に向かう方向に、液体サンプルの光学分析的又は光分析的検出に好適な配置5で複数の部分(section)が配置される。この目的のため、複数の容器又はキュベット7は、ディスク状本体1上に、又はその内部に配置される。容器又はキュベット7の前に配置されるのは第1光学手段9であり、この光学手段9は、到達光線をキュベット7方向へと偏向させるために、平らな反射面又は偏向面の形状を有する。容器又はキュベット7の後にはさらに、第2の光学手段11が配置され、この光学手段11もまた偏向鏡面又は反射鏡面である。
【0024】
光学分析のための特定の装置のさらなる理解のために、図2は図1のI-I線に沿った断面図を示す。
【0025】
図2は、図1のディスク状本体1の断面図として、図1の1つの光学分析用装置5を示す。第1光学手段9は、偏向鏡状面10であり、ディスク状本体の面に対して45°の角度に配置される。結果的に、到達光線21は、例えば血液サンプルなどの液体サンプルが配置されるキュベット7の方向へ偏向される。光線は、入射面すなわち検出窓14を通ってキュベット7の中へと入射し、第2面すなわち窓16を通ってキュベット7から出る。液体の検出後、すなわち部分的に吸収された後、光線は第2光学手段11上へと導かれる。この手段11はさらに偏向鏡状面12に相当し、またディスク状本体1の面に対して45°の角度に配置される。
【0026】
第2光学手段11は不可欠ではない。1つの可能な実施形態によれば、キュベット7を通過した後の光線21は、例えば光検出エレメントによって検出されるように回転ディスク状本体1の面の中を外縁8の外へと突き抜けることができるからである。
【0027】
キュベット7は、充填を容易にするため好ましくは「開放」キュベットであり、様々なキュベット又は容器7の充填後、ディスク状本体1の上に取り外し可能に配置され得るフィルム状又はプレート状カバー23で覆うことが可能である。通常、カバーは堅く配置され、キュベットの充填は通常、ディスク状分析装置内に配置されるマイクロチャンネルを通じて達成され得る。このようなマイクロチャンネルの配置は、当技術分野において周知であるため、ここではさらなる説明は必要ではない。
【0028】
図3においては、図1のI-I線に沿って、他の可能な光学分析装置5が示される。原則としてこの光学装置は、第2光学手段11が、最初に該装置中へと到達する光線21が来る方向とは反対方向であって、ディスク状本体1の面の外の方向へ光線21を導く偏向鏡状面31を有する点を除いては、図2に示される装置と同等である。
【0029】
上述のとおり、従来技術と比較した光学装置の差異は、光線を偏向するための光学手段が、検出対象の液体サンプルを有する容器又はキュベットを通る光線の方向が、半径方向外向きの方向に対して角度αを成すように、すなわち光線がディスク状本体の半径方向外向きの方向に対応しないように配置されることである。この配置の利点は、射出成形技術を用いたディスク状本体の製造の間、ディスクの中心に注入される液体のポリマー融液が第1光学手段を対称的に囲むことはなく、このためポリマー融液の混合領域は、光線が偏向される領域には存在しない点にある。結果として、反射面上で、例えば光の偏光などの望ましくない影響は生じ得ない。
【0030】
密閉され及び/又は完全に充填される容器又はキュベット7の場合、図1から図3において示されるデザインを適用し得る。しかし、部分的にのみ充填されるキュベット及び追加の量の液体が充填されるキュベットの場合は、例えば図4に示されるように、異なるデザインを選択し得る。
【0031】
通常、分析の目的で、例えば血液サンプルなどの異なる液体化学サンプルが用いられ、第1項目においては当該サンプルのみが分析的に検出される。次に続く他の項目においては、追加の添加剤及び反応剤がキュベット又は容器7の中へと添加される。結果として、光線が、第1ステップ又は第1項目において既に「完全に充填された」キュベットを通して導かれること、すなわちキュベットを貫く光線の経路上に空の穴がないことが重要である。従って、図4によれば、本発明により提案される装置を用いて信頼性のある分析結果を得るために、異なるデザインのキュベット7を用いることが必要となるだろう。例えば長方形のキュベット7を用いる代わりに、図4に示されるキュベットのデザインを用いることが可能である。図4に模式的に示されるキュベット41は、回転ディスクの中心方向に付加的なボリュームを有する。第1項目においては、V1を占める第1サンプルが、容器又はキュベット41の中へと加えられるが、このV1は光線21が液体サンプルの中を完全に伝わるようなボリュームである。例えばマイクロチャンネル(図示せず)を通じた、第2ボリュームV2の添加及び全ボリュームの適切な混合の後、さらに他の分析が行われ、検出の目的で、光線21が完全に充填されたボリュームV1及びボリュームV2の中をさらに伝わる。第3ステップにおいては、他のボリュームV3が添加され、さらなる混合工程の後、光線21を用いた付加的な分析ステップが続く。
【0032】
図4に示されるデザインは、当然、分析的に検出される対象の液体サンプルを異なるボリュームで、すなわち、異なる化学的ステップで用いることによって生じ得る問題のさらなる理解のために、1つの可能な例を示すにすぎない。任意の他の可能なデザインを用いることは当然可能である。重要なのは、第1サンプルボリュームの検出のため、光線21が既にこの液体サンプルの中を完全に伝わっていることである。
【0033】
さらに、図5に示されるように、半径方向外向きの方向に対して垂直方向に分析用装置を設置することは当然可能である。
【0034】
図6a及び図6bを用いて、本発明の1つの大きな利点を詳細に説明する。図6aは、当技術分野において公知な従来のディスク上に配置された装置5'を示す。第1ミラー9、キュベット7及び第2ミラー11は1本の直線上に配置され、この直線は回転ディスク1上の半径方向外向きの方向に沿っている。換言すれば、キュベット7を通して導かれる光線21は半径方向外向きの方向2と一致しており、第1ミラー9とディスクの回転軸3との間の接続線にも対応する。このような種類の装置の不利点は、光線21がキュベット又は液体容器7に入射する際に通る入射面14又は検出ミラーの垂直な配置によって、主に窓14の中央に気泡が蓄積し得ることである。図6a中では、このような気泡は参照番号20で示される。このような気泡の形成は光線に影響を及ぼす可能性があり、このため誤った分析結果が得られうる。
【0035】
図6b中に示され、且つ本発明によって設計される装置の内部で、光線21が液体容器7中へ入射するための入射面14は、半径方向外向きの方向に対して90°とは異なるある角度を成す。結果として、光線21の方向は、半径方向外向きの回転方向2とは一致せず、或いは方向2に沿わず、角度αを含む。結果として、気泡は入射窓14の上縁の方へ移動し、そこでマイクロチャンネル18を通じて排出され得る。液体の供給と気泡の除去との間の混合を避けるため、容器7に通じる第2チャネル−容器に分析対象の液体を供給するための他のマイクロチャンネル18'を配置することが提案される。結果として、図6b中に示され、且つ本発明の範囲内で特定されるような装置5''を用いることによって、入射窓14において光線21に影響を及ぼし得る気泡の形成が生じる可能性はない。さらに、容器に液体を供給するためのマイクロチャンネル18'と気泡を除去するためのマイクロチャンネル18とが完全に分離しているため、流入する液体と容器外に除去される気泡との混合が生じないことが保証される。
【0036】
図7は、本発明による他の可能な実施形態を平面図において模式的に示す。図7による実施形態は、環状にデザインされた反射面又は偏向面であって、分析用装置のディスク状本体1上に配置された円弧の一部に相当する、第1ミラー装置51を平面図において示している。鏡状面又は反射面51は、環状の片面上にあり、さらに直線の断面を有するため、ディスク面上に垂直方向に到達する光線は、流体サンプルを含むキュベット又は容器7の方向に偏向される。結果として、次に続く反射面又は鏡状面53もまた、環状の形を有するようにデザインすることが可能であり、さらに直線状の断面を有し得る。
【0037】
図8においては、ディスク状本体の面上に垂直方向に到達し、鏡状面51によって偏向される光線61の進行が模式的に示される。第1反射面51上の光点55は、第1のミラーの平らではない環状面によってディスク面内で拡大され、光学的検出の対象である液体サンプルを含む容器又はキュベット7を通して、拡大された光線61として進行する。例えばディスク面に対して約45°の角度を成す直線状の断面によって、ディスク面に対して垂直な、すなわちディスク面の外への拡大は生じない。最終的に、拡大された光線61は次に続く第2鏡状反射面53によって集光され、ここに拡大された光点59として光線が到達する。次に続く光学的検出及び前記光線の分析のため、他の光学装置を設置することが可能であり、この装置において、拡大された光線は例えば第1鏡状面51上の点55における入射光線と同程度の、小径の光線へとさらに集光される。しかし、これは当該技術分野における常法であるため、ここでは次に続く光学装置についてさらなる説明を行う必要はない。
【0038】
結果として光の大部分は、第1鏡状面51上の点55から容器又はキュベット7を通してディスク状本体1の半径方向外向きの方向に対応する方向ではない方向へとさらに伝わる。
【0039】
図7及び図8においては1つの分析用装置のみが示されているが、実際には、ディスク状本体1全体にわたって、複数の分析用装置を設置することができる。図7及び図8によるこの装置の大きな利点は、ディスク状本体の製造において各鏡状反射面51及び53を創出するために、少ない量のインサートを射出成形工程用の型内に設置するだけでよいことである。或いは、反射面51を創出するために、多様な突出インサートセグメントが配置されている完全な環を用いることが可能であり、又は別の方法として、完全な環に相当し、個別の弧に相当するものではない環状反射面51を創出する場合に、1つのインサートを用いることもできる。当然、次に続く第2反射鏡状面53を創出する場合には同じ方法を考え付き得る。
【0040】
反射面の領域において混合領域が生じることを防ぐため、インサート部分の直近に溶融ポリマー用の注入孔すなわち開口を配置することが可能であり、このため融液の混合領域が反射面の中心に生じることはないであろう。
【0041】
図1〜8において示される例は、当然本発明をさらに詳細に説明するための例にすぎず、特に生化学分析及び医学分析における化学サンプル及び/又は液体サンプルの分析のための光学分析装置のデザインに関していかなる限定も意味するものではない。さらに、図1〜8において示される例を用いて説明される、本発明による分析装置は、極めて多様な用途に用いることができる。主な応用分野は当然、化学、並びに生化学、薬剤学及び医学分野におけるサンプル分析に及ぶ。特に重要な用途は、化学、並びに血液、尿及び他の液体サンプルのサンプリングであり、この場合極めて多様な分析の可能性が考えられる。通常、血液又は尿それ自体が用いられるだけでなく、極めて多様な添加剤及び反応剤との組合せもまた用いられる。さらに、このディスク状装置の回転を用いて、例えば血漿と血球との分離の多様な段階において、例えば血液又は尿を分析することができる。当然、通常は任意の種類のサンプリング分析が可能であり、回転ディスク状装置の使用は、原則として当技術分野において周知である。
【0042】
さらに、光学分析方法それ自体もまた当技術分野から周知であり、すなわち、本発明による装置を用いる方法は、分析法において通常用いられる任意の種類の光線波長を含み得る。例えば300nm〜800nmの範囲の、任意の種類のレーザービーム又は通常用いられる光を適用することができる。また、ディスク状装置の製造に用いられる材料は公知であり、好ましくは、例えばPMMAなどの透明ポリマーが用いられる。しかし、全ての種類の好適な透明ポリマー、例えばポリカーボネート、透明ポリスチレン、透明ポリアミド等もまた当然に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】光分析用に設けられた2つの部分を示す本発明による分析用装置を平面図において模式的に示す。
【図2】図1のI-I線に沿った断面図を示す。
【図3】I-I線に沿った、図1の装置の他の可能なデザインを示す。
【図4】図1に示される部分の範囲内で、光分析的検出に好適な容器又はキュベットの可能なデザインを示す。
【図5】図1に示されるディスクに好適な、他の可能な光学的検出用装置を平面図において示す。
【図6】図6a及び6bは、本発明に記載される装置の利点を示す。
【図7】本発明によるディスク上の装置に好適な、光学的、分析的部分の別の配置を示す。
【図8】図6に示される光学的、分析的装置内における光線の進行を示す。
【符号の説明】
【0044】
1 ディスク状本体
3 回転軸
7 容器
9 光学手段
10 反射面
11 光学手段
14 入射面
18、18’ マイクロチャンネル
21 光線
31 反射面
51 光学手段(反射面)
53 光学手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学サンプル及び/又は流体サンプルの光検出のための分析装置であって、流体サンプル用の複数の容器(7)及び該容器を通して光線を導くための光学手段(9、51)を有する回転可能なディスク状本体(1)を備え、該光学手段(9、51)の少なくとも一部が、最初に、光線の少なくとも一部がディスク状本体(1)上の半径方向外向きの方向に対して、すなわち各光学手段又はキュベットとディスク状装置の回転軸(3)とを各々結ぶ半径に対してある角度に偏向され且つ該容器を通して導かれ、次に、容器通過後にディスク状装置の面から外へ偏向されるように設計され及び/又は配置されていることを特徴とする、前記分析装置。
【請求項2】
平らな反射面(10)を備える光学手段(9)が、ディスク状装置上の半径方向外向きの方向に対して、すなわち光学手段とディスク状装置の回転軸とを結ぶ半径に対して、90°とは異なるある角度に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
光学手段が少なくとも2つの反射面を備え、1つの面は容器の前に、別の面は容器の後に備えられている、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
ディスクの面に垂直に到達する光線(21)が、ディスク状本体(1)上/又はディスク状本体(1)内に配置された各容器に向けてディスク状装置(1)の面の中へと偏向されるように、光学手段の反射面(10)がディスク状装置(1)の面に対して約45°の角度に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
光線が容器(7)の中へ入射するための入射面(14)、いわゆる検出窓が、ディスク上の半径方向外向きの方向に対して90°とは異なるある角度に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
容器(7)通過後の光線をディスク状本体(1)の面の外へ偏向させるために、該容器(7)の後に他の光学手段(11)が配置されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
容器通過後の光線がディスク面に対して垂直方向にディスク状本体の面の外へ偏向されるように、前記他の光学手段が、ディスク状装置(1)の面に対して約45°の角度に配置された平らな反射面(31)を備えていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも幾つかの、好ましくは全ての容器(7)に対して、少なくとも2つのマイクロチャンネル(18、18')が配置され、1つのマイクロチャンネル(18')は分析対象の液体を容器内へ注入するために、第2のマイクロチャンネル(18)は容器(7)内に蓄積された気泡を除去するために設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記容器が、該容器の容積がほんの部分的に液体サンプルで満たされただけで既に、該容器を通過する光線が完全に液体ボリュームを通過することが保証されるように、ディスク状本体の中心の方へ広がるボリュームデザインを備えていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項10】
前記光学手段が、反射面が回転可能なディスク状装置(1)の円上に配置されるよう環状の形を有する反射面(51)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記面(51)の断面が直線状であり、約45°の角度を成すため、ディスクの面上に垂直に到達する光線がディスク状本体の面上で偏向され、同時にディスク面内で拡大されて該容器を通過することを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記容器の後に、環状の形の反射面を備え、該面が直線状の形の断面を有する他の光学手段(53)が配置されていることを特徴とする、請求項9又は11に記載の装置。
【請求項13】
流体サンプル用の複数の容器を有する回転可能なディスク状本体上に配置された化学サンプル及び/又は流体サンプルの光検出のための分析方法であって、光線、又は少なくともその一部が、最初に、ディスク状本体上に配置された光学手段によって、回転可能なディスク状本体の半径方向に外向きの方向、すなわち半径方向外向きに方向付けられた回転力の方向に対して各々ある角度を成す方向に容器を通して導かれ、容器通過後の光線はディスク状本体の面の外へと偏向され、容器を通して導かれた光線の部分的な吸収が分析目的に用いられることを特徴とする、前記方法。
【請求項14】
第1のステップにおいては、容器内の第1ボリュームが、容器を通して導かれた光線によって検出され、この光線が分析の目的で測光法で検出され;
第2のステップにおいては、容器の中へ付加的なボリュームが加えられ、混合後、第2の光学分析ステップが行われ、必要であれば付加的な量の液体サンプルボリュームを容器の中へ加えることによる他のステップが続き、混合後、他の光学又は光分析ステップが付加される、
ことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
光学手段を配置することを目的として、光線がディスク状本体上の半径方向外向きの方向に対してある角度に配置されるために該光学手段の少なくとも一部の面が反射面を創出するよう設けられ、及び/又は該反射面の少なくとも一部の面が環状であり、且つ射出成形によって製造される該ディスク状本体の円上に配置されるように、ポリマー融液の注入前に各インサートが型内に配置されることを特徴とする、ポリマー融液の型内への注入による請求項1〜12のいずれか1項に記載の分析装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−52010(P2007−52010A)
【公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−215494(P2006−215494)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】