測定システム、無線通信装置、無線通信装置制御プログラム及び無線通信装置制御方法
【課題】測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続可能な無線通信装置を用いて、測定対象物の物理特性を測定するのに好適な測定システムを提供する。
【解決手段】無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報を受信すると、基準素子を発振用素子として発振する第2の発振回路25aの属性測定期間の発振回数をカウントし、次に、接続された検出素子100を発振用素子として発振する第2の発振回路25aの属性測定期間の発振回数をカウントし、これらのカウント値から両者の比率を算出し、この比率と基準素子の素子値とから検出素子100の検出素子値を算出し、この検出素子値に基づき、検出素子100の属性を特定する。属性特定後は、検出素子100を接続した第2の発振回路25aの物理特性測定期間の発振回数を、特定した属性及び測定した環境情報に対応する換算情報で換算することで測定対象物の物理特性を測定する。
【解決手段】無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報を受信すると、基準素子を発振用素子として発振する第2の発振回路25aの属性測定期間の発振回数をカウントし、次に、接続された検出素子100を発振用素子として発振する第2の発振回路25aの属性測定期間の発振回数をカウントし、これらのカウント値から両者の比率を算出し、この比率と基準素子の素子値とから検出素子100の検出素子値を算出し、この検出素子値に基づき、検出素子100の属性を特定する。属性特定後は、検出素子100を接続した第2の発振回路25aの物理特性測定期間の発振回数を、特定した属性及び測定した環境情報に対応する換算情報で換算することで測定対象物の物理特性を測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続可能な無線通信装置を用いて、測定対象物の物理特性を測定するのに好適な測定システム、無線通信装置、無線通信装置制御プログラム及び無線通信装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物の物理特性を検出可能な検出素子を備えた無線通信装置を用いて測定対象物の物理特性を測定する技術として、例えば、特許文献1に記載された技術がある。
特許文献1に記載された逆浸透システムは、RFID(Radio Frequency IDentification)タグと、透過液の導電度及び流量のうちの少なくとも1つの値を測定する測定装置とを備え、測定装置は、測定した前記値に関する情報をRFIDタグに伝送するように構成されている。また、導電度の測定においては熱電対を用いた温度測定を行い、温度補償回路によって液体の抵抗値又はコンダクタンスの温度補償を行っている。また、測定装置として、歪みゲージによって透過液の流量を測定する流体流量計を備えた構成についても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−530205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の従来技術において、測定装置の温度特性に応じた適切な温度補償を行うためには、RFIDタグ側で測定装置(導電度計又は流量計)の種類又は型番ごとの温度特性が既知である必要がある。しかしながら、上記特許文献1では、RFIDタグに測定装置の種類又は型番を自動認識する機能がなく、かつ種類や型番に応じたデータが用意されていないため、測定装置を構成する流量計又は導電度計の種類又は型番を変更した場合に、適切な温度補償を行えない恐れがある。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続可能な無線通信装置を用いて、測定対象物の物理特性を測定するのに好適な測定システム、無線通信装置、無線通信装置制御プログラム及び無線通信装置制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の測定システムは、
測定対象物に配設されて前記測定対象物の物理特性を測定する第1の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置の動作を制御する第2の無線通信装置とを備え、
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う第1の無線通信手段と、
前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続する検出素子接続部と、
前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する属性特定手段と、
前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する環境情報測定手段と、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段と、
前記属性特定手段で特定される前記属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応した、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段と、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段と、
前記測定情報生成手段で生成した測定情報を記憶する第1の測定情報記憶手段と、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記第1の測定情報記憶手段に記憶された測定情報を前記第1の無線通信手段を介して前記第2の無線通信装置に送信する測定情報送信手段と、を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記第1の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う第2の無線通信手段と、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記測定指示情報を送信する測定指示情報送信手段と、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記送信指示情報を送信する送信指示情報送信手段と、
前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して受信した測定情報を記憶する第2の測定情報記憶手段と、を備える。
【0006】
このような構成であれば、第1の無線通信装置において、検出素子接続部に検出素子が接続されると、属性特定手段によって、検出素子の属性が特定される。この属性は、例えば、検出素子が抵抗変化型の素子であればその素子の抵抗値の絶対値などとなり、検出素子が容量変化型の素子であればその素子の容量値の絶対値などとなる。
一方、第2の無線通信装置から測定指示情報が送信され、これを第1の無線通信装置が受信すると、物理特性検出手段は、検出素子接続部に接続された検出素子を用いて、測定対象物の物理特性の検出を行う。また、環境情報測定手段によって、測定環境の状態を示す環境情報が測定される。
【0007】
そして、物理特性が検出されると、検出値補正手段において、補正情報記憶手段に記憶された、特定された属性及び測定された環境情報に対応する補正情報に基づき、検出値が補正される。
検出値が補正されると、測定情報生成手段において、補正後の検出値に基づき測定情報が生成され、生成された測定情報が第1の測定情報記憶手段に記憶される。
【0008】
また、第2の無線通信装置から送信指示情報が送信され、これを第1の無線通信装置が受信すると、測定情報送信手段において、第1の測定情報記憶手段に記憶された測定情報が取得され、取得された測定情報が第1の無線通信手段を介して第2の無線通信装置に送信される。
第2の無線通信装置は、第2の無線通信手段を介して測定情報を受信すると、受信した測定情報を第2の測定情報記憶手段に記憶する。
従って、検出素子接続部に接続された検出素子の属性を自動的に特定することができると共に、特定した属性に応じた補正情報で検出値を補正することができる。
【0009】
これによって、利用者が任意の検出素子を検出素子接続部に接続するだけで、第1の無線通信装置側が、その検出素子の属性を自動で判断し、その検出値に対して属性及び環境情報に応じた適切な補正を行うことができる。つまり、共通の第1の無線通信装置において、複数種類の検出素子の属性を自動で認識して適切な補正を行うことができる。従って、検出素子の属性に対して第1の無線通信装置が一対一に固定化された従来の構成と比較して、利用者は、検出素子と第1の無線通信装置との組み合わせを意識することなく、任意の検出素子を接続して利用することができるので、利便性を向上することができるという効果が得られる。
【0010】
ここで、測定対象物の物理特性とは、例えば、測定対象物の温度、湿度、圧力、応力、重量、歪み等が該当する。
また、検出素子は、サーミスタ、湿度センサ、歪みゲージ、ピエゾ抵抗型半導体素子などの上記した測定対象物の温度、湿度、圧力、応力、重量、歪み等を検出することができる素子が該当する。
【0011】
また、属性は、検出素子の素子値の絶対値、型式、型番などの検出素子の特性を特定できる情報などが該当する。例えば、検出素子が歪みゲージである場合は、120Ω型、350Ω型、1kΩ型などのゲージ抵抗の絶対値で表された型式となる。
また、環境情報は、測定環境の状態を示す温度や湿度などであり、検出素子の検出値を変化させる要因となる測定環境の状態を示す情報である。
また、補正情報は、温度や湿度などの測定環境の状態によって変化する検出値を補正するための情報であり、例えば、検出素子が抵抗素子であれば、温度係数の情報などとなる。
【0012】
〔形態2〕 更に、形態2の測定システムは、形態1の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
前記検出素子接続部に接続された検出素子を構成要素として含む第1の回路と、
前記検出素子と同種の基準素子を構成要素として選択的に含む第2の回路とを備え、
前記属性特定手段は、前記第1の回路の出力と前記第2の回路の出力とに基づき、前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する。
【0013】
このような構成であれば、検出素子接続部に検出素子が接続されると、その検出素子を構成要素として第1の回路が構成される。そして、属性特定手段において、第1の回路の出力と、検出素子と同種の基準素子を構成要素として含む第2の回路の出力とに基づき、検出素子の属性が特定される。
これによって、利用者が任意の検出素子を検出素子接続部に接続するだけで、第1の無線通信装置側が、その検出素子の属性を自動で判断し、その検出値に対して属性及び環境情報に応じた適切な補正を行うことができる。
【0014】
また、具体的な属性の特定方法として、例えば、検出素子が、抵抗素子又は容量素子の場合に、検出素子を構成要素とした第1の回路の出力と、抵抗値や容量値などの予め素子値が既知である検出素子と同種の基準素子を構成要素とした第2の回路の出力とを比較する。そして、両者の出力の比率から予め解っている基準素子の素子値を比率に応じた倍率XでX倍した値を、検出素子の属性として特定する方法などがある。
【0015】
ここで、第1の回路は、検出素子を構成要素として、特定の入力に対して特定の出力をする回路であり、例えば、検出素子が抵抗素子であれば、単純には抵抗素子のみの回路でも良く、または容量素子と組み合わせて発振回路等を構成してもよい。
また、第2の回路は、第1の回路と同様の構成の回路、又は自己の出力と第1の回路の出力とから検出素子の属性を特定できる回路であれば、第1の回路と異なる構成の回路でもよい。
【0016】
〔形態3〕 更に、形態3の測定システムは、形態1又は2の測定システムにおいて、
前記検出素子は、前記測定対象物の物理特性の変化に応じて抵抗値又は容量値を変化させる素子であり、
前記第1の回路は、前記検出素子を発振用素子として発振する発振回路であり、
前記第2の回路は、前記基準素子を発振用素子として発振する発振回路であり、
前記属性特定手段は、前記第1の回路の前記所定時間の発振回数である第1の発振回数と、前記第2の回路の前記所定時間の発振回数である第2の発振回数とを計数する第1の計数部と、前記第1の発振回数と前記第2の発振回数との比率を算出する比率算出部と、前記比率算出部で算出した比率と前記基準素子の素子値とに基づき前記検出素子の素子値を算出する素子値算出部と、前記素子値算出部で算出した素子値に基づき前記検出素子の属性を特定する属性特定部とを有する。
【0017】
このような構成であれば、検出素子接続部に検出素子が接続されると、その検出素子を発振用素子とした発振回路である第1の回路が構成される。そして、属性特定手段における、第1の計数部において、第1の回路の所定時間の発振回数である第1の発振回数と、第2の回路の所定時間の発振回数である第2の発振回数とが計数される。そして、比率算出部において、第1の発振回数と第2の発振回数との比率が算出され、素子値算出部において、前記比率と基準素子の素子値とに基づき検出素子の素子値が算出される。更に、属性特定部において、前記算出した素子値に基づき検出素子の属性が特定される。
従って、第1の発振回数と第2の発振回数とを計数する時間を適宜に定めることで、高精度に検出素子の属性を特定することができるという効果が得られる。
【0018】
〔形態4〕 更に、形態4の測定システムは、形態3の測定システムにおいて、
前記測定環境の状態に応じて変化する前記基準素子の素子値を補正する素子値補正情報を記憶する素子値補正情報記憶手段を備え、
前記属性特定部は、前記素子値算出部で算出した前記検出素子の素子値を、前記基準素子の素子値補正情報で補正した値に基づき、前記検出素子の属性を特定する。
このような構成であれば、測定環境の状態に応じて基準素子の素子値が変動した場合でも、素子値補正情報によって、算出した検出素子の素子値を補正することができるので、より高精度に検出素子の属性を特定することができるという効果が得られる。
【0019】
〔形態5〕 更に、形態5の測定システムは、形態3又は4の測定システムにおいて、
前記物理特性検出手段は、前記第1の回路の設定された測定期間における発振回数である第3の発振回数を計数する第2の計数部と、前記属性特定手段で特定される前記検出素子の属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応する、前記第3の発振回数を前記検出素子の検出値に換算する換算情報を記憶する換算情報記憶部と、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する換算情報を前記換算情報記憶部から取得し、取得した換算情報に基づき前記第3の発振回数を前記検出素子の検出値に換算する換算部とを有する。
【0020】
このような構成であれば、物理特性の変化に応じて変化する検出素子の検出値を第1の回路において第3の発振回数として得て、該第3の発振回数を換算情報に基づき換算することで物理特性の検出値を得ることができる。
従って、検出素子の検出値を直接得るのではなく、検出素子を発振用素子とした発振回数を計測してそれを検出値に換算するようにしたので、正確な換算情報を用いることで、より高精度な測定を行うことができるという効果が得られる。
【0021】
〔形態6〕 更に、形態6の測定システムは、形態5の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した修正指示情報に応じて、前記測定期間を修正する測定期間修正手段を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記測定期間を修正する修正指示情報を送信する修正指示情報送信手段を備える。
【0022】
このような構成であれば、第2の無線通信装置から修正指示情報が送信され、これを第1の無線通信装置が受信すると、測定期間修正手段において、受信した修正指示情報に基づき設定されている測定期間が修正される。
従って、第1の無線通信装置を、例えば、利用者の作業しにくい入り組んだ場所に配設したり、コンクリートの柱内などに埋設したりした場合に、設定された測定期間において第2計数部の桁溢れなどが生じた場合でも、無線通信によって離れた位置から指示を与えて、測定期間を修正することができるという効果が得られる。
【0023】
〔形態7〕 更に、形態7の測定システムは、形態6の測定システムにおいて、
前記測定情報生成手段は、前記第3の発振回数の計数において前記計数部で桁溢れが生じた場合に、その旨を示す桁溢れ情報を含む測定情報を生成し、
前記修正指示情報送信手段は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して前記桁溢れ情報を含む測定情報を受信したときに、前記桁溢れ情報に基づき、前記測定期間を所定期間だけ短くする指示内容を含む第1の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に前記第2の無線通信手段を介して送信し、
前記測定期間修正手段は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して前記第1の修正指示情報を受信したときに、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ短くする修正を行う。
このような構成であれば、設定された測定期間において第2計数部の桁溢れが生じた場合に、測定情報生成手段において、桁溢れが生じた旨を示す測定情報が生成される。
【0024】
そして、第2の無線通信装置からの送信指示情報に応じて、桁溢れ情報を含む測定情報が第2の無線通信装置に送信される。
第2の無線通信装置は、桁溢れ情報を含む測定情報を受信すると、設定指示情報送信手段において、桁溢れ情報に基づき、第1の無線通信装置において設定されている測定期間を、それよりも所定期間だけ短くしたものに修正する指示内容を含む第1の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に送信する。
第1の無線通信装置は、第1の修正指示情報を受信すると、測定期間設定手段において、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ短くする修正を行う。
従って、初期に設定した測定期間では桁溢れが生じてしまう場合に、無線通信によって指示を与えて、測定期間を桁溢れが生じない期間に修正することができるという効果が得られる。
【0025】
〔形態8〕 更に、形態8の測定システムは、形態6又は7の測定システムにおいて、
前記測定情報生成手段は、前記物理特性検出手段で検出した検出値に対応する第3の発振回数に係る情報と前記第2の計数部の桁数の情報とを含む測定情報を生成し、
前記修正指示情報送信手段は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して前記測定情報を受信したときに、前記測定情報に含まれる前記第3の発振回数に係る情報と前記第2の計数部の桁数の情報とに基づき前記桁数に余裕があるか否かを判定する桁数判定部と、前記桁数判定部で桁数に余裕があると判定したときに、前記測定期間を所定期間だけ長くする指示内容を含む第2の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に前記第2の無線通信手段を介して送信し、
前記測定期間修正手段は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して前記第2の修正指示情報を受信したときに、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ長くする修正を行う。
【0026】
このような構成であれば、物理特性検出手段によって、検出素子を用いて物理特性が検出されると、測定情報生成手段によって、第3の発振回数に係る情報と第2の計数部の桁数の情報とを含む測定情報が生成される。
そして、第2の無線通信装置からの送信指示情報に応じて、第3の発振回数に係る情報と第2の計数部の桁数の情報とを含む測定情報が第2の無線通信装置に送信される。
【0027】
第2の無線通信装置は、測定情報を受信すると、修正指示情報送信手段において、桁数判定部によって、測定情報に含まれる、第3の発振回数に係る情報と第2の計数部の桁数の情報とに基づき、桁数に余裕があるか否かが判定される。そして、桁数に余裕があると判定されると、測定期間を所定期間だけ長くする指示内容を含む第2の修正指示情報が前記第1の無線通信装置に送信される。
第1の無線通信装置は、第2の修正指示情報を受信すると、測定期間修正手段において、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ長くする修正を行う。
従って、初期に設定した測定期間では計数回数に余裕がある場合に、外部から指示を与えて、測定期間を現在の期間よりも長くして測定精度を向上することができるという効果が得られる。
【0028】
〔形態9〕 更に、形態9の測定システムは、形態1乃至8のいずれか1の測定システムにおいて、
前記検出素子は、前記物理特性の変化に応じて抵抗値又は容量値を変化させる素子であり、
前記環境情報は、温度情報を含み、
前記補正情報は、前記複数の基準素子の温度係数の情報を含む。
このような構成であれば、測定環境の温度に応じて変化する検出素子の抵抗値又は容量値に対応する補正情報によって、検出素子の検出値を補正することができる。
【0029】
〔形態10〕 更に、形態10の測定システムは、形態9の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
抵抗値の異なる複数の抵抗素子を含み、前記複数の抵抗素子のうちいずれか1つの抵抗素子を選択し、選択した抵抗素子を前記検出素子と前記第1の回路の前記検出素子以外の回路部との間に直列に接続する抵抗接続手段を備え、
前記抵抗接続手段は、前記直列に接続する抵抗素子として、前記属性の特定前は前記複数の抵抗素子のうち予め設定された抵抗値の抵抗素子を選択して接続し、前記属性の特定後は前記複数の抵抗素子のうち、前記特定された属性に対応する抵抗値の抵抗素子を選択して接続する。
【0030】
このような構成であれば、未知の検出素子が検出素子接続部に接続されたときに、検出素子の属性が特定される前に、抵抗接続手段によって、検出素子と直列に予め設定された抵抗値の抵抗素子を接続することができる。また、検出素子の属性が特定後は、抵抗接続手段によって、特定された属性に対応する抵抗値の抵抗素子を検出素子と直列に接続することができる。
【0031】
従って、属性の特定前は、比較的大きい抵抗値の抵抗素子を接続することで、検出素子に対して大電流が流れることを防ぐことができるという効果が得られる。また、特定後は、検出素子の属性に応じた抵抗値の抵抗素子として、例えば、検出素子に大電流が流れない範囲で、第1の回路の発振が正常に行われる最低値の抵抗素子を接続する。これにより、検出素子に大電流が流れるのを防ぐことができると共に、抵抗値が小さすぎて発振回路が正常に発振しないなどの不具合が生じるのを防ぐことができるという効果が得られる。
【0032】
また、特定後は、検出素子に大電流が流れない範囲内で且つ第1の回路の発振が正常に行われる範囲内で、特定された属性に対応する検出素子の素子値の変化と、この検出素子を発振用素子としたときの第1の回路の発振周波数との関係が、最も線形となる抵抗値の抵抗素子を接続することも可能である。これにより、検出精度を向上することができるという効果も得られる。
【0033】
〔形態11〕 更に、形態11の測定システムは、形態1乃至10のいずれか1の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信手段は、時刻を測定する時刻測定手段を備え、
前記測定情報生成手段は、前記時刻測定手段で測定した、前記物理特性を検出した時刻の情報を含む測定情報を生成する。
このような構成であれば、測定時刻の情報を含む測定情報を生成することができるので、第2の無線通信装置側で測定時刻の監視等を行うことなく簡易に測定結果の時刻管理を行うことができるという効果が得られる。
【0034】
〔形態12〕 更に、形態13の測定システムは、形態1乃至11のいずれか1の測定システムにおいて、
前記測定情報生成手段は、前記物理特性検出手段でN回(Nは3以上の自然数)連続して検出された前記検出値のn回(nは2≦n<Nの自然数)ごとの移動平均を算出する移動平均算出部を有し、前記物理特性の測定結果として前記移動平均を含む測定情報を生成する。
このような構成であれば、測定結果をn回の測定で得られる検出値の移動平均値としたので、測定結果のデータ量を低減することができ、測定結果の保持に必要なメモリの容量を低減できると共に、測定情報の送信処理を軽減することができるという効果が得られる。
【0035】
〔形態13〕 更に、形態13の測定システムは、形態1乃至12のいずれか1の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信手段及び前記第2の無線通信手段は、長波帯の波長の電磁波を用いて無線通信を行う手段である。
このような構成であれば、長波帯の波長(1000〜10000[m])の電磁波信号で第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とがデータ通信を行うことができる。
ここで、電磁波は、アンテナからλ/2π(λは波長)の距離(この距離の範囲内を近傍界という)では、磁界又は電界に支配される。そのため、磁界に支配された電磁波を用いることで、近傍界に存在する水や金属を透過することができる。特に、長波帯の電磁波信号を用いることで、この距離を比較的長くすることができる。
これによって、測定対象物が、水や金属で囲まれた内部などにある場合でも、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とがデータ通信できる状態を確保することができるという効果が得られる。
【0036】
〔形態14〕 一方、上記目的を達成するために、形態14の無線通信装置は、
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置であって、
外部の他の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う無線通信手段と、
前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続する検出素子接続部と、
前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する属性特定手段と、
前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する環境情報測定手段と、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段と、
前記属性特定手段で特定される前記属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応した、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段と、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段と、
前記測定情報生成手段で生成した測定情報を記憶する測定情報記憶手段と、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記測定情報記憶手段に記憶された測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信する測定情報送信手段と、を備える。
このような構成であれば、形態1に記載の第1の無線通信装置と同等の作用及び効果を得ることができる。
【0037】
〔形態15〕 また、上記目的を達成するために、形態15の無線通信装置制御プログラムは、
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置を制御するための無線通信装置制御プログラムであって、
検出素子接続部に接続された、前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子の属性を特定する属性特定手段、
外部の他の無線通信装置から無線でデータの送受信を行う無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段、
補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と環境情報測定手段で測定した前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段、及び、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、測定情報記憶手段に記憶された前記測定情報生成手段で生成した測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信する測定情報送信手段として実現される機能をコンピューターに実行させるためのプログラムを含む。
このような構成であれば、コンピューターにおいてプログラムが実行されると、形態1に記載の第1の無線通信装置と同等の作用及び効果を得ることができる。
【0038】
〔形態16〕 また、上記目的を達成するために、形態16の無線通信装置制御方法は、
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置を制御するための無線通信装置制御方法であって、
属性特定手段に、検出素子接続部に接続された、前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子の属性を特定させる属性特定ステップと、
物理特性検出手段に、外部の他の無線通信装置から無線でデータの送受信を行う無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出させる物理特性検出ステップと、
環境情報測定手段に、前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定させる環境情報測定ステップと、
検出値補正手段に、補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定ステップで特定した属性と環境情報測定ステップで測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出ステップにおいて前記検出素子を用いて検出した検出値を補正させる検出値補正ステップと、
測定情報生成手段に、前記検出値補正ステップで補正した検出値に基づき測定情報を生成させる測定情報生成ステップと、
測定情報記憶手段に、前記測定情報生成ステップで生成した測定情報を記憶させる測定情報記憶ステップと、
測定情報送信手段に、前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記測定情報記憶ステップで記憶した測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信させる測定情報送信ステップとを含む。
このような構成であれば、形態1に記載の第1の無線通信装置と同等の作用及び効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】測定システム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、リーダ・ライタ装置10の詳細な構成を示すブロック図であり、(b)は、データ制御部12の機能構成を示すブロック図である。
【図3】無線タグ20の構成を示すブロック図である。
【図4】環境情報測定部24の詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】測定部25の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】第1及び第2の発振回路の一例を示す図である。
【図7】データ制御部23の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図8】属性特定部23aの詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図9】指示情報の送信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】修正指示情報の生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】初期化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】測定期間修正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図15】単発測定時の各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。
【図16】(a)は、環境情報として温度を測定する場合の換算情報の一例を示す図であり、(b)は、換算情報の近似方法の一例を示す図である。
【図17】検出素子100として、歪みゲージを接続した場合の換算情報の一例を示す図である。
【図18】連続測定時の各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。
【図19】連続測定時の測定結果及び測定情報の記憶手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図19は、本発明に係る測定システム、無線通信装置、無線通信装置制御プログラム及び無線通信装置制御方法の実施の形態を示す図である。
まず、本発明に係る測定システムの構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係る測定システム1の概略構成を示すブロック図である。
図1(a)に示すように、測定システム1は、リーダ・ライタ装置10と、第1〜第n(nは2以上の自然数)の無線タグ20_1〜20_nとを含んで構成される。
リーダ・ライタ装置10は、第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nとの間で、ブロードキャスト及びユニキャストで無線通信を行い、第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nの動作を制御する機能を有している。
【0041】
第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nは、外付けで歪ゲージ等の検出素子を接続することができ、接続された検出素子を自動認識する機能、認識した検出素子を用いて測定対象物の物理特性を測定する機能などを有している。以下、第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nを、これらを区別する必要が無い場合に、単に無線タグ20と称する。
測定対象物の物理特性の測定は、例えば、測定対象物が鉄筋コンクリートの柱を形成する鉄筋であり、その応力変化を、検出素子として歪ゲージを用いて測定する場合に、図1(b)に示すように、歪ゲージを接続した無線タグ20を鉄筋の応力を測定可能な状態で柱内に埋設等することで行われる。
【0042】
次に、図2(a)に基づき、リーダ・ライタ装置10の詳細な構成を説明する。
ここで、図2(a)は、リーダ・ライタ装置10の詳細な構成を示すブロック図である。
図2(a)に示すように、リーダ・ライタ装置10は、操作部11と、データ制御部12と、無線通信部13と、コイルアンテナ14と、データ記憶部15と、表示部16とを含んで構成される。
【0043】
操作部11は、利用者がリーダ・ライタ装置10に指示を与えるための操作をするもので、コントロールパネル、キーボード、マウスなどのユーザーインターフェースを備えている。
データ制御部12は、各構成要素の動作制御や各種演算処理を行うためのプロセッサーと、該プロセッサーがプログラムを実行するのに必要なデータ等を一時記憶するRAMとを含むコンピューターシステムを備えている。
【0044】
また、上記各構成要素は、データを転送するための信号線であるバスでデータ制御部12のプロセッサーと相互にかつデータ授受可能に接続されている。
そして、データ制御部12は、データ記憶部15又は専用のROM等に記憶された専用のプログラムを実行して、各構成要素の動作制御処理、操作部11の操作入力に応じた各種指示情報の送信処理、受信した測定情報の記憶処理及び解析処理、修正指示情報の生成処理などを行う機能を有している。
【0045】
無線通信部13は、波長1000〜10000[m](周波数にして30〜300[kHz])の長波帯の電磁波を搬送波として用いた双方向の無線通信を行う機能を有したものである。例えば、周波数が130[kHz]の信号を用いて無線通信を行う。これにより、近傍界の範囲において、信号が水や金属などの物体を透過することができる。
具体的に、送信データをデジタル変調(例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)変調)によって変調してコイルアンテナ14を介して長波帯の電磁波を搬送波を用いて送信する機能を有している。更に、長波帯の電磁波を搬送波として搬送されたデジタル変調されたデータをコイルアンテナ14を介して受信し、受信したデータを復調する機能を有している。
【0046】
コイルアンテナ14は、リーダ・ライタ装置10と測定対象物に配設された無線タグ20との間で、所望の通信距離において正常に無線通信できるように設計された径と巻き数とを有したアンテナである。なお、コイルアンテナに限らず、他の種類のアンテナを用いる構成としてもよい。
データ記憶部15は、リーダ・ライタ装置10の各構成要素の動作を制御するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ、無線タグ20から受信した測定情報などを記憶するメモリを有したものである。
表示部16は、液晶ディスプレイ等の表示装置を含んで構成され、コントロールメニューや、メッセージ、各種情報の内容などを表示するものである。
【0047】
次に、図2(b)に基づき、データ制御部12の機能構成について説明する。
ここで、図2(b)は、データ制御部12の機能構成を示すブロック図である。
データ制御部12の機能構成は、指示情報送信部12aと、受信データ処理部12bと、修正指示情報生成部12cとを含んで構成される。
指示情報送信部12aは、操作部11を介した利用者からの操作入力に応じて、初期化指示情報、設定指示情報、測定指示情報、送信指示情報、修正指示情報などの各種指示情報を、無線通信部13に送信させる機能を有している。
【0048】
ここで、初期化指示情報は、無線タグ20に初期化動作を行わせるための指示情報であり、設定指示情報は、無線タグ20に物理特性の測定期間(以下、物理特性測定期間と称す)を、指定した期間に設定させるための指示情報である。また、測定指示情報は、無線タグ20に、物理特性の測定を開始させるための指示情報であり、送信指示情報は、無線タグ20に測定した物理特性の測定情報を送信させるための指示情報である。また、修正指示情報は、無線タグ20に、その無線タグ20に設定されている物理特性測定期間を修正させるための指示情報である。
【0049】
本実施形態では、各種指示情報は、パケットベースで生成された固定長のデータとして無線タグに送信される。そして、送信指示情報は第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nの個々に対してユニキャストで送信され、それ以外の指示情報は、利用者からの指示に応じて、通信範囲内に存在する第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nの全てに対してブロードキャスト又は各無線タグ20に対してユニキャストで送信される。従って、データ記憶部15には、第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nの個々を識別するための各無線タグに固有のIDと、全ての無線タグに同報するためのブロードキャストIDとが記憶されている。また、各無線タグ20には、各々の固有IDと、ブロードキャストIDとが記憶されている。
【0050】
受信データ処理部12bは、無線タグ20から無線通信部13を介して受信した測定情報を、無線タグ20の固有のIDまたは各IDに対応した測定対象物の識別情報ごとに、データ記憶部15に記憶する機能を有している。
修正指示情報生成部12cは、データ記憶部15に記憶された測定情報を解析して、測定情報に含まれる、桁溢れ情報、カウント回数に係る情報、無線タグ20の備えるカウンターの桁数の情報などに基づき、修正指示情報を生成する機能を有している。
本実施の形態において、カウント回数に係る情報は、測定を単発で行った場合は、その測定時のカウント回数となり、測定を連続で行った場合は、連続測定時の所定数のカウント回数の平均値となる。
【0051】
具体的に、修正指示情報生成部12cは、桁溢れが発生しているときは、測定時のカウント回数が減少するように、現在設定されている物理特性測定期間を予め設定された所定期間だけ短くする指示内容を含む第1の修正指示情報を生成する。また、修正指示情報生成部12cは、測定値に対応するカウント回数又はその平均値と、無線タグ20の備えるカウンターの桁数から設定される閾値とを比較する。そして、カウント回数又はその平均値が閾値以下のときに、カウンター回数に余裕があるとして、測定時のカウント回数が増加するように現在設定されている物理特性測定期間を予め設定された所定期間だけ長くする指示内容を含む第2の修正指示情報を生成する。
【0052】
次に、図3〜図8に基づき、無線タグ20の詳細な構成を説明する。
ここで、図3は、無線タグ20の構成を示すブロック図である。また、図4は、環境情報測定部24の詳細な構成を示すブロック図である。また、図5は、測定部25の詳細な構成を示すブロック図である。また、図6は、第1及び第2の発振回路の一例を示す図である。また、図7は、データ制御部23の詳細な機能構成を示すブロック図である。また、図8は、属性特定部23aの詳細な機能構成を示すブロック図である。
【0053】
図3に示すように、無線タグ20は、コイルアンテナ21と、無線通信部22と、データ制御部23と、環境情報測定部24と、測定部25と、データ記憶部26と、水晶発振回路27と、カウンター28と、時刻測定部29とを含んで構成される。また、測定部25の検出素子接続部25dには、測定対象物の物理特性を検出する検出素子100が接続される。また、図示していないが、無線タグ20は、電池で駆動するため、電池(1次電池又は2次電池)と、電池の電力を各構成要素に供給する電源回路とを備えている。また、電池として2次電池を採用する場合は、充電回路を備える構成としてもよい。
【0054】
コイルアンテナ21は、リーダ・ライタ装置10との間で、所望の通信距離において正常に無線通信できるように設計された径と巻き数を有したアンテナである。なお、コイルアンテナに限らず、他の種類のアンテナを用いる構成としてもよい。
無線通信部22は、波長1000〜10000[m](周波数にして30〜300[kHz])の長波帯の電磁波を搬送波として用いた双方向の無線通信を行う機能を有したものである。本実施の形態では、リーダ・ライタ装置10の無線通信部13と同様の周波数帯の信号を用いて無線通信を行う。
【0055】
無線通信部22は、上記無線通信部13と同様に、送信データをデジタル変調(例えば、ASK変調)によって変調してコイルアンテナ21を介して送信する機能と、コイルアンテナ21を介して受信したデジタル変調された受信データを復調する機能とを有している。
データ制御部23は、各構成要素の動作制御や各種演算処理を行うためのプロセッサーと、該プロセッサーがプログラムを実行するのに必要なデータ等を一時記憶するRAMとを含むコンピューターシステムを備えている。
【0056】
また、上記各構成要素は、データを転送するための信号線であるバスでデータ制御部23のプロセッサーと相互にかつデータ授受可能に接続されている。
そして、データ制御部23は、データ記憶部26に記憶された専用のプログラムを実行して、各構成要素の動作制御処理、各種指示情報に応じた処理を行う機能を有している。
具体的に、データ制御部23は、専用のプログラムの実行によって、環境情報測定部24及び測定部25で測定されたカウント値をそれぞれ対応する値に換算する機能、検出素子接続部25dに接続された検出素子100の属性を特定する機能、物理特性測定期間を設定する機能、物理特性測定期間を修正する機能、測定情報を生成する機能、測定情報を送信する機能などを実現する。
【0057】
環境情報測定部24は、温度や湿度などの測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する機能を有している。
測定部25は、検出素子100を発振用素子とした場合の所定時間のカウント値と、基準素子を発振用素子とした場合の所定時間のカウント値とを測定する機能などを有している。
データ記憶部26は、各構成要素の動作制御や各種演算処理を行うための専用のプログラム、プログラムの実行に必要な各種データを記憶する記憶媒体を有したものである。
【0058】
具体的に、データ記憶部26には、環境情報測定部24の各種環境に対するカウント値(環境カウント値)を各種環境情報に換算する換算情報が記憶されている。
例えば、環境情報の1つとして温度を測定するためのサーミスタを有している場合は、サーミスタを発振用素子として発振させた発振回数を温度へと換算する温度換算情報が記憶される。
更に、物理特性測定期間の長さ、環境情報の示す各状態及び各種検出素子100の属性に対応する測定部25の物理特性に対するカウント値を測定対象の検出値に換算する換算情報がデータ記憶部26に記憶されている。
【0059】
例えば、検出素子100として120Ω型、350Ω型、1kΩ型などの各型式の歪ゲージを接続する場合は、環境情報の示す各状態及び各型式に対応した、歪ゲージを発振用素子として発振させた発振回数を、測定対象の応力値に換算する応力換算情報がデータ記憶部26に記憶される。
更に、測定部25の各種基準素子に対応する環境情報に対する補正情報、測定部25の補正抵抗群の各補正抵抗の抵抗値の情報、検出素子100の各型式に対応する補正抵抗の情報などが記憶されている。
【0060】
例えば、検出素子100として歪みゲージが接続される場合は、測定部25は、基準素子として、基準抵抗素子を有することとなる。従って、この場合は、少なくとも、基準抵抗素子の抵抗値の情報、基準抵抗素子の環境情報に対する補正情報、歪みゲージの各型式に対応する補正抵抗の情報がデータ記憶部26に記憶される。
水晶発振回路27は、発振用素子として水晶発振子を含んだ発振回路であり、その発振回数を基準として、他のカウンターのカウント期間が制御される。
【0061】
カウンター28は、設定された各種測定期間に応じて水晶発振回路27の発振出力を分周して測定期間(インターバル)を決定するトリガ信号を生成する機能と、各種分周した信号を、測定部25、環境情報測定部24、時刻測定部29などに供給する機能とを有している。
時刻測定部29は、カウンター28から入力される信号に基づき、時刻を測定する機能を有している。つまり、時計としての機能を有している。
【0062】
次に、図4に基づき、環境情報測定部24の詳細な構成について説明する。
図4に示すように、環境情報測定部24は、第1の発振回路24aと、カウンター24cと、検出素子24bとを含んで構成される。
第1の発振回路24aは、検出素子24bを発振用素子として構成される発振回路である。本実施の形態において、検出素子24bは、測定情報を測定可能な抵抗変化型の素子又は容量変化型の素子であり、第1の発振回路24aは、検出素子24bを発振用素子としたCR発振回路を構成する。
【0063】
検出素子24bは、測定環境の状態を測定するセンサ素子であって、例えば、周囲の温度を検出するサーミスタや、周囲の湿度を検出する湿度センサなどが該当する。
カウンター24cは、カウンター制御信号に応じて、第1の発振回路24aの発振回数をカウントするカウンター回路である。カウンター制御信号は、例えば、測定開始タイミング(トリガ)又は終了タイミングに応じてカウンター値をリセットする信号である。このことは、以降で説明するカウンター制御信号についても同様である。
【0064】
次に、図5に基づき、測定部25の詳細な構成について説明する。
図5に示すように、測定部25は、第2の発振回路25aと、カウンター25bと、基準素子25cと、検出素子接続部25dと、抵抗切替部25eと、補正抵抗素子群25fと、接続切替部25gとを含んで構成される。
第2の発振回路25aは、接続切替部25gを介して接続される基準素子25c又は検出素子100を発振用素子として発振する発振回路である。本実施の形態において、検出素子100は、抵抗変化型の素子又は容量変化型の素子であり、基準素子25cは、検出素子100と同種の素子となる。そして、本実施の形態において、第2の発振回路25aは、検出素子100又は基準素子25cを発振用素子としたCR発振回路を構成する。
【0065】
カウンター25bは、外部からのカウンター制御信号に応じて、第2の発振回路25aの発振回数をカウントするカウンター回路である。
基準素子25cは、検出素子100と同種の素子であって、抵抗変化型及び容量変化型の両方の検出素子100に対応する場合は、基準抵抗素子及び基準容量素子を含んで構成される。基準素子25cは、接続切替部25gによって、検出素子100の種類に対応したものが選択されて第2の発振回路25aに接続される。
検出素子接続部25dは、検出素子100を無線タグ20に接続するコネクターである。抵抗変化型及び容量変化型の両方の検出素子100に対応する場合は、それぞれに対応するコネクト部を有する。
【0066】
抵抗切替部25eは、補正抵抗素子群25fの補正抵抗素子のうち、抵抗切替信号に応じた抵抗値の補正抵抗を、第2の発振回路25aと検出素子接続部25dとの間に直列に接続する機能を有した回路である。つまり、検出素子接続部25dに検出素子100が接続されている場合は、検出素子100と第2の発振回路25aとの間に補正抵抗が直列に接続されることになる。但し、接続切替部25gが、第2の発振回路25aに対して基準素子25cを接続する状態のときは、直列接続された補正抵抗と第2の発振回路25aとが通電しないようになっている。
【0067】
補正抵抗素子群25fの各補正抵抗は、第1に、検出素子100を発振用素子としたときに、第2の発振回路25aの抵抗成分が小さくなりすぎて、有限の能力しかない第2の発振回路25aが駆動しきれなくなり発振しなくなることを防ぐ働きを有する。第2に、第2の発振回路25a側から検出素子100に流れる電流量を制御する働きを有し、第3に、特定された属性に対応した検出素子100の素子値の変化と、検出素子100を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの発振周波数との関係が線形となるように補正する働きを有する。
接続切替部25gは、接続切替信号に応じて第2の発振回路25aに接続する発振用素子を基準素子25cのいずれかの素子か又は検出素子100に切り替える機能を有した回路である。
【0068】
次に、図6に基づき、第1の発振回路24a及び第2の発振回路25aの回路構成例を説明する。
第1の発振回路24a及び第2の発振回路25aは同様の構成を有しており、これらに共通の発振回路として、図6に示すように、例えば、オペアンプを用いたCR発振回路(ウィーンブリッジ発振回路)を構成することができる。外部接続される基準素子や検出素子は、例えば、図6中のC2又はR2となる。つまり、検出素子が抵抗変化型の素子ならR2、容量変化型の素子ならC2として接続されることになる。
なお、図6の回路において、発振周波数ω0は、「ω0=1/(R1・R2・C1・C2)1/2」となる。ここで、検出素子100及び基準素子25cが、例えば、R2として接続される場合は、R1、C1及びC2は、予め設定された値の素子が接続される。従って、検出素子100及び基準素子25cの両者の発振回数のカウント値の比率から、検出素子100及び基準素子25cの素子値の大きさの比率が解る。
【0069】
次に、図7に基づき、データ制御部23の詳細な機能構成について説明する。
図7に示すように、データ制御部23の機能構成は、属性特定部23aと、測定期間設定部23bと、測定指示部23cと、換算部23dと、測定情報生成部23eと、測定情報送信部23fと、測定期間修正部23gとを含んで構成される。
属性特定部23aは、リーダ・ライタ装置10から受信した初期化指示情報に応じて、環境情報測定部24に、検出素子24bを発振用素子とした第1の発振回路24aの所定時間の発振回数をカウントさせる動作制御を実行する機能を有している。具体的に、予め設定された環境情報を測定する際の測定期間である環境測定期間に基づき、カウンター制御信号を環境情報測定部24のカウンター24cに送信して、設定された環境測定期間の発振回数をカウントする。
【0070】
更に、属性特定部23aは、測定部25に、検出素子接続部25dに接続された検出素子100と同種の基準素子を発振用素子とした第2の発振回路25aの所定時間の発振回数をカウントさせる動作制御を実行する機能を有している。具体的に、予め設定された、属性を特定する際の測定期間である属性測定期間に基づき、カウンター制御信号を測定部25のカウンター25bに送信して、設定された属性測定期間の発振回数をカウントさせ、そのカウント値を取得する。
【0071】
更に、属性特定部23aは、測定部25に、検出素子接続部25dに接続された検出素子100を発振用素子とした第2の発振回路25aの所定時間の発振回数をカウントさせる動作制御を実行する機能を有している。具体的に、基準素子25cを発振用素子としたときと同様の属性測定期間に基づき、カウンター制御信号を測定部25のカウンター25bに送信して、設定された属性測定期間の発振回数をカウントさせ、そのカウント値を取得する。また、本実施形態では、基準素子25c及び検出素子100に対して共通の第2の発振回路25aを用いているため、基準素子25cのカウント値の取得後に、基準素子25cから検出素子100に接続を切り替える切替信号を測定部25の接続切替部25gに送信する。
【0072】
更に、属性特定部23aは、取得したカウント値に基づき、検出素子100の属性を特定する機能を有している。具体的に、カウント値の比率と基準素子の素子値とから検出素子100の素子値を算出し、その算出した素子値と、データ記憶部26に記憶された各属性に係る情報と比較して属性を特定する。
なお、上記基準素子25c及び検出素子100に対する属性測定期間のカウント処理は、水晶発振回路27の発振出力をカウンター28で分周することで生成されるトリガ信号に基づき制御される。
【0073】
測定期間設定部23bは、リーダ・ライタ装置10から受信した設定指示情報に応じて、設定指示情報で指定された測定期間を、物理特性の測定時の物理特性測定期間として設定する機能を有している。具体的に、期間設定用のメモリを有しており、そのメモリに物理特性測定期間を記憶する。本実施の形態では、水晶発振回路27の発振回数、即ちカウンター28のカウント回数によって設定される。
【0074】
測定指示部23cは、リーダ・ライタ装置10から受信した測定指示情報に応じて、測定部25に、測定期間設定部23bで設定された物理特性測定期間における物理特性を測定させる動作制御を実行する機能を有している。本実施の形態では、設定された物理特性測定期間で1回のみ測定を実行させる単発測定指示と、設定された物理特性測定期間で連続して繰り返し測定を実行させる連続測定指示とが指示可能になっている。具体的に、設定された物理特性測定期間における検出素子100を発振用素子とした第2の発振回路25aの発振回数をカウントさせるカウンター制御信号を測定部25のカウンター25bに送信する。ここで、単発測定指示の場合は、カウンター制御信号を1回分のみ送信し、連続測定指示の場合は、各回の測定タイミングに合わせてカウンター制御信号を繰り返し送信する。
【0075】
換算部23dは、属性特定部23aから環境情報に対するカウント値を取得し、データ記憶部26からカウント値を環境情報に換算する換算情報を取得し、カウント値を環境情報を示す値に換算する機能を有している。
更に、換算部23dは、測定指示部23cからの指示に応じて測定されたカウント値を測定部25から取得し、時刻測定部29から時刻情報(タイムスタンプ)を取得し、属性特定部23aから特定された属性の情報を取得し、データ記憶部26から、属性の特定時に測定された環境情報を取得する。そして、特定された属性及び取得した環境情報に対応する換算情報をデータ記憶部26から取得し、取得した換算情報に基づきカウント値を検出値へと換算する機能を有している。
【0076】
更に、換算部23dは、単発測定の場合に、検出値に対応するカウンター25bのカウント値と換算した検出値とタイムスタンプと環境情報とを測定結果として測定情報生成部23eに出力する機能を有している。
更に、換算部23dは、連続測定の場合に、検出値に対応するカウント値と換算した検出値とタイムスタンプと環境情報とを含む測定結果をデータ記憶部26の記憶領域である測定結果レジスタに記憶する機能を有している。本実施の形態では、測定結果レジスタの個数が決まっており、連続測定時に最大個数を超えた測定結果は、最も古くに測定された測定結果の格納された測定結果レジスタに上書きする構成となっている。
【0077】
更に、換算部23dは、測定部25の有するカウンターが桁溢れとなった場合は、桁溢れ情報とタイムスタンプとを含むデータを測定結果としてデータ記憶部26の測定結果レジスタに格納する機能を有している。
測定情報生成部23eは、換算部23dから単発測定に対応する測定結果を取得し、カウント値と、検出値と、この検出値に対応するタイムスタンプ及び環境情報とに、カウンター25bの桁数の情報を対応付けて測定情報を生成する機能を有している。
【0078】
更に、測定情報生成部23eは、データ記憶部26に記憶された、連続測定に対応する測定結果レジスタの個数分の測定結果を、測定を1回行って測定結果レジスターに記憶するごとに取得し、取得した複数の測定結果に含まれる複数の検出値から移動平均値を算出する機能を有している。
更に、測定情報生成部23eは、複数の検出値にそれぞれ対応するカウント値の平均値を算出し、算出したカウント値の平均値と、算出した移動平均値と、最新の検出値に対応するタイムスタンプ及び環境情報とに、カウンター25bの桁数の情報を対応付けて測定情報を生成する機能を有している。
【0079】
更に、測定情報生成部23eは、生成した測定情報を、データ記憶部26の有する記憶領域である、測定情報レジスタに格納する機能を有している。なお、本実施の形態において、測定情報レジスタも個数が決まっており、測定結果レジスタと同様に古い物から順に上書きされる構成となっている。
また、測定情報生成部23eは、取得した測定結果に、1つでも桁溢れ情報が含まれている場合は、移動平均値やカウント値の平均値を算出せずに、桁溢れ情報と、最新の検出値に対応するタイムスタンプ及び環境情報とを対応付けて測定情報を生成する機能を有している。
【0080】
測定情報送信部23fは、リーダ・ライタ装置10から受信した送信指示情報に応じて、データ記憶部26に記憶された測定情報を、リーダ・ライタ装置10に送信する機能を有している。
測定期間修正部23gは、リーダ・ライタ装置10から受信した修正指示情報に応じて、現在設定されている物理特性測定期間を修正する機能を有している。具体的に、第1の修正指示情報の場合は、その修正指示情報で指定された期間だけ、物理特性測定期間を短くする修正を行う。また、第2の修正指示情報の場合は、その修正指示情報で指定された期間だけ、物理特性測定期間を長くする修正を行う。本実施の形態では、カウンター28における、水晶発振回路27の発振出力のカウント回数(発振信号のエッジのカウント回数)を、第1の修正指示情報の場合は減少させ、第2の修正指示情報の場合は増加させる処理となる。
【0081】
次に、図8に基づき、属性特定部23aの詳細な機能構成について説明する。
図8に示すように、属性特定部23aは、切替信号出力部40と、カウンター制御信号出力部41と、カウント値取得部42と、比率算出部43と、素子値算出部44と、素子値補正部45と、属性選択部46とを含んで構成される。
切替信号出力部40は、カウンター28からの各測定期間に応じたトリガ信号に応じて、基準素子と第2の発振回路25aとを接続させる接続切替信号を送信する機能と、検出素子100と第2の発振回路25aとを接続させる接続切替信号を送信する機能とを有している。具体的に、カウンター制御信号出力部41の動作と同期して動作し、現在、第2の発振回路25aに接続されている素子を、基準素子又は検出素子100へと接続を切り替える信号を出力する。
【0082】
カウンター制御信号出力部41は、カウンター28からの各測定期間に応じたトリガ信号に応じて、カウンター24c及びカウンター25bに対して、カウント値をリセットする信号を出力する機能を有している。
カウント値取得部42は、環境情報の検出用の検出素子24bを発振用素子としたときの第1の発振回路24aの環境測定期間における発振回数をカウンター24cでカウントした環境カウント値を取得して、換算部23dに送信する機能を有している。更に、基準素子を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの属性測定期間における発振回数をカウンター25bでカウントした第1のカウント値を取得してデータ記憶部26に記憶する機能を有している。更に、検出素子100を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの属性測定期間における発振回数をカウンター25bでカウントした第2のカウント値を取得してデータ記憶部26に記憶する機能を有している。
【0083】
比率算出部43は、データ記憶部26に記憶された第1のカウント値と、第2のカウント値との比率を算出する機能を有している。
素子値算出部44は、比率算出部43で算出した比率と、データ記憶部26に記憶された基準素子の素子値とに基づき、検出素子100の素子値(以下、検出素子値と称す)を算出する機能を有している。
素子値補正部45は、基準素子及び環境情報に対応する補正情報を、データ記憶部26から取得し、取得した補正情報に基づき、検出素子値を補正する機能を有している。例えば、検出素子100が歪みゲージであり、環境情報が温度情報であり、基準素子が抵抗素子であり、補正情報が温度係数である場合に、検出素子値(抵抗値となる)を温度係数と測定した温度とに基づき補正する処理となる。
【0084】
属性選択部46は、素子値補正部45で補正した検出素子値に基づき、データ記憶部26に記憶された複数種類の属性の中から、検出素子接続部25dに接続された検出素子100の属性を選択する機能を有している。この選択した属性が検出素子100の属性として特定され、この情報がデータ記憶部26の専用のレジスタに格納される。
例えば、検出素子100が歪みゲージであれば、補正後の検出素子値(抵抗値)に最も近い値の歪みゲージの型式を選択する処理となる。例えば、歪みゲージには、120Ω型、350Ω型、1kΩ型などの型式があるので、補正後の検出素子値が119Ωであれば、属性として120Ω型を選択する。
【0085】
なお、検出素子値が、想定範囲外の値となったときは、「接続不良かサポートしていないタイプの検出素子の接続が疑われる」としてリジェクトする。本実施の形態では、図示しないが、自動認識ができた場合は緑色LEDを点灯し、自動認識ができなかった場合は赤色LEDを点灯するように構成する。後者の場合は、例えば、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報などの受信に応じてエラーを返信するようにする。
【0086】
次に、図9に基づき、リーダ・ライタ装置10の指示情報送信部12aにおける指示情報の送信処理の流れを説明する。ここで、図9は、指示情報の送信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
指示情報送信部12aにおいて、指示情報の送信処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS100に移行して、操作部11を介した指示入力に応じて、初期化指示が入力されたか否かを判定する。そして、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS104に移行する。
【0087】
ステップS102に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、初期化指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
一方、ステップS104に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、測定指示が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS112に移行する。
【0088】
ステップS106に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、測定指示は、単発測定指示か否かを判定し、単発測定指示である場合(Yes)は、ステップS108に移行し、単発測定指示ではなく連続測定指示である場合(No)は、ステップS110に移行する。
なお、連続測定指示においては、連続回数を指定できるようにしてもよい。
ステップS108に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、単発測定指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
【0089】
一方、ステップS110に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、連続測定指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
また、ステップS104において、測定指示が入力されずにステップS112に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、物理特性測定期間の設定指示が入力されたか否かを判定する。そして、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS114に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS116に移行する。
【0090】
ステップS114に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、指定された物理特性測定期間の情報を含む設定指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
一方、ステップS116に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、物理特性測定期間の修正指示が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS118に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS120に移行する。
【0091】
ステップS118に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、指定された修正内容の情報を含む修正指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
また、ステップS120に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、送信指示情報が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS122に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS100に移行する。
【0092】
なお、初期化指示情報、単発測定指示情報、連続測定指示情報、設定指示情報及び修正指示情報は、基本は通信範囲内の全ての無線タグ20にブロードキャストで送信するが、利用者からの指示に応じて、指定されたIDの無線タグ20にユニキャスト又はマルチキャストで送信することもできる。
ステップS122に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、送信指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
なお、送信指示情報は、通信範囲内に存在する指定された各無線タグ20にユニキャストで順に送信される。
【0093】
次に、図10に基づき、リーダ・ライタ装置10の修正指示情報生成部12cにおける修正指示情報の生成処理の流れを説明する。ここで、図10は、修正指示情報の生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
修正指示情報生成部12cにおいて、修正指示情報の生成処理が開始されると、図10に示すように、まず、ステップS200に移行し、受信データ処理部12bによって測定情報がデータ記憶部15に記憶されたか否かを判定する。そして、記憶されたと判定した場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでない場合(No)は、記憶されるまで判定処理を繰り返す。この判定処理は、1つの測定情報に限らず、所定量の測定情報が記憶されたか否かを判定してもよい。
【0094】
ステップS202に移行した場合は、修正指示情報生成部12cにおいて、データ記憶部15から測定情報を取得して、ステップS204に移行する。
ステップS204では、修正指示情報生成部12cにおいて、測定情報を解析して、ステップS206に移行する。具体的に、解析は、測定情報に含まれる桁溢れ情報又はカウント回数に係る情報の抽出処理となる。
ステップS206では、修正指示情報生成部12cにおいて、ステップS204の解析結果に基づき、測定情報が桁溢れ情報を含むか否かを判定し、含むと判定した場合(Yes)は、ステップS208に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS212に移行する。
【0095】
ステップS208に移行した場合は、修正指示情報生成部12cにおいて、第1の修正指示情報を生成し、生成した第1の修正指示情報をデータ記憶部15に記憶して、ステップS210に移行する。
ステップS210では、修正指示情報生成部12cにおいて、桁溢れが発生していることを示すメッセージを表示部16に表示させて、ステップS200に移行する。
【0096】
一方、ステップS206において、桁溢れ情報を含まずステップS212に移行した場合は、修正指示情報生成部12cにおいて、測定時のカウント回数(又はその平均値)と閾値とを比較して、カウント回数が閾値以下か否かを判定する。そして、閾値以下と判定した場合(Yes)は、ステップS214に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS200に移行する。ここで、閾値は、測定情報に含まれるカウンター25bの桁数の情報から設定される。例えば、最大桁数で表現される最大値の70%の値を閾値に設定する。例えば、カウンター25bが16ビットのカウンターであれば、桁数5桁で最大値は「65536」となる。従って、「65536」の約70%の値である「45875」を閾値に設定して、この閾値とカウント値とを比較する。
【0097】
ステップS214に移行した場合は、修正指示情報生成部12cにおいて、第2の修正指示情報を生成し、生成した第2の修正指示情報をデータ記憶部15に記憶して、ステップS216に移行する。
ステップS216では、修正指示情報生成部12cにおいて、カウンター25bの桁数に余裕があることを示すメッセージを表示部16に表示させて、ステップS200に移行する。
【0098】
次に、図11に基づき、無線タグ20のデータ制御部23における初期化処理の流れを説明する。ここで、図11は、初期化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、ステップS300に移行して、データ制御部23において、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報を受信したか否かを判定する。そして、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS302に移行し、そうでない場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
【0099】
ステップS302に移行した場合は、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、環境測定カウント処理を実行して、ステップS304に移行する。
環境測定カウント処理は、属性特定部23aのカウンター制御信号出力部41からのカウンター制御信号によって、環境情報測定部24のカウンター24cを制御して、第1の発振回路24aの環境測定期間における発振回数をカウントさせる処理となる。
ステップS304では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS302の環境測定カウント処理でカウントさせたカウント値である環境カウント値をカウンター24cから取得して、ステップS306に移行する。
【0100】
具体的に、属性特定部23aにおいて、カウンター24cから環境測定期間における第1の発振回路24aの発振回数をカウントした環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する処理となる。
ステップS306では、データ制御部23の換算部23dにおいて、属性特定部23aから取得した環境カウント値を、データ記憶部26に記憶された換算情報に基づいて環境情報へと換算して、ステップS308に移行する。
具体的に、環境カウント値を、このカウント値と環境情報との関係を示す換算情報に基づき環境情報を示す値へと換算する処理となる。例えば、検出素子24bが、サーミスタであれば、サーミスタを発振用素子としたときの第1の発振回路24aの環境カウント値と温度との関係を示す換算情報に基づき換算を行う。
【0101】
ステップS308では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、検出素子接続部25dに接続された検出素子100と同種の基準素子25cに対して、第1のカウント処理を実行して、ステップS310に移行する。
第1のカウント処理は、属性特定部23aの切替信号出力部40、カウンター制御信号出力部41及びカウント値取得部42によって、測定部25のカウンター25b及び接続切替部25gを制御して行われる処理である。具体的に、切替信号出力部40の切替信号によって接続切替部25gを制御して、検出素子100と同種の基準素子25cを第2の発振回路25aの発振用素子として接続する。そして、接続した基準素子を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの属性測定期間における発振回数をカウンター25bにカウントさせる処理となる。
【0102】
ステップS310では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS308の第1のカウント処理によってカウントされたカウント値である第1のカウント値を取得して、ステップS312に移行する。
具体的に、属性特定部23aのカウント値取得部42において、カウンター25bから第1のカウント値を取得し、取得した第1のカウント値をデータ記憶部26に記憶する処理となる。
【0103】
ステップS312では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、第1のカウント処理が終了したか否かを判定する。そして、終了したと判定した場合(Yes)は、ステップS314に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS308に移行する。
ステップS314に移行した場合は、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、第2のカウント処理を実行して、ステップS316に移行する。
【0104】
第2のカウント処理は、検出素子接続部25dに接続された検出素子100を発振用素子とした第2の発振回路25aの属性測定期間における発振回数をカウンター25bにカウントさせる処理となる。
ステップS316では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS314の第2のカウント処理によってカウントされたカウント値である第2のカウント値を取得して、ステップS318に移行する。
具体的に、属性特定部23aのカウント値取得部42において、カウンター25bから第2のカウント値を取得し、取得した第2のカウント値をデータ記憶部26に記憶する処理となる。
【0105】
ステップS318では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、データ記憶部26に記憶された各基準素子に対応する第1のカウント値と第2のカウント値との比率を算出して、ステップS320に移行する。具体的に、属性特定部23aの比率算出部43において行われる処理となる。例えば、第1のカウント値をCnAとし、第2のカウント値をCnBとした場合に、比率RAは「RA=CnB/CnA」となる。
【0106】
ステップS320では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS318の算出結果と、データ記憶部26に記憶された基準素子の素子値とに基づき、検出素子100の検出素子値を算出して、ステップS322に移行する。具体的に、属性特定部23aの素子値算出部44において行われる処理となる。例えば、基準素子の素子値に比率RAを乗算した値が検出素子値となる。
【0107】
ステップS322では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、データ記憶部26に記憶された、環境情報と、基準素子に対応する補正情報とに基づき、ステップS320で算出した検出素子値を補正して、ステップS324に移行する。
具体的に、属性特定部23aの素子値補正部45において行われる処理となる。
ステップS324では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS322で補正した検出素子値に基づき、検出素子の属性を特定して、ステップS300に移行する。
具体的に、属性特定部23aの属性選択部46において、データ記憶部26に記憶された検出素子100の各型式の情報の中から、補正した検出素子値に対応する型式を選択し、選択した型式の情報を検出素子100の属性としてデータ記憶部26に記憶する処理となる。
【0108】
次に、図12に基づき、データ制御部23における測定処理の流れについて説明する。ここで、図12は、測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、まず、ステップS400に移行して、データ制御部23において、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10からの測定指示情報を受信したか否かを判定する。そして、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS402に移行し、そうでない場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
【0109】
ステップS402に移行した場合は、データ制御部23の測定指示部23cにおいて、受信した測定指示情報に含まれる測定指示が連続測定の指示か否かを判定する。そして、連続測定の指示であると判定した場合(Yes)は、ステップS404に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS428に移行する。
ステップS404に移行した場合は、測定指示部23cにおいて、環境測定カウント処理を実行して、ステップS406に移行する。
環境測定カウント処理は、測定指示部23cからのカウンター制御信号によって、環境情報測定部24のカウンター24cを制御して、第1の発振回路24aの環境測定期間における発振回数をカウントさせる処理となる。
【0110】
ステップS406では、測定指示部23cにおいて、ステップS404の環境測定カウント処理でカウントさせたカウント値である環境カウント値をカウンター24cから取得して、ステップS408に移行する。
具体的に、測定指示部23cにおいて、カウンター24cから環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する処理となる。
ステップS408では、データ制御部23の換算部23dにおいて、測定指示部23cから取得した環境カウント値を、データ記憶部26に記憶された換算情報に基づいて環境情報へと換算して、ステップS410に移行する。
ステップS410では、測定指示部23cにおいて、第3のカウント処理を実行して、ステップS412に移行する。
【0111】
第3のカウント処理は、測定指示部23cにおいて、各種接続切替信号及びカウンター制御信号によって、属性の特定された検出素子100を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの、予め設定された物理特性測定期間における発振回数をカウンター25bにカウントさせる処理となる。具体的に、まず、属性が特定されているので、抵抗切替信号を抵抗切替部25eに供給して、補正抵抗素子群25fのうち、特定した属性に最適な補正抵抗が直列接続されるように接続を切り替える。次に、カウンター制御信号によって、カウンター25bを制御して、設定された物理特性測定期間における第2の発振回路25aの発振回数をカウントさせる。このとき、第2の発振回路25aに検出素子100が接続されていない場合は、接続切替信号を接続切替部25gに供給して、検出素子100を接続する。
【0112】
ステップS412では、測定指示部23cにおいて、ステップS412でカウントしたカウント値である第3のカウント値をカウンター25bから取得し、取得した第3のカウント値を換算部23dに出力して、ステップS414に移行する。
ステップS414では、換算部23dにおいて、時刻測定部29から時刻情報を取得して、ステップS416に移行する。
【0113】
ステップS416では、換算部23dにおいて、測定指示部23cから取得した第3のカウント値を、データ記憶部26に記憶された、特定された属性及び測定された環境情報に対応する換算情報に基づき検出値に換算して、ステップS418に移行する。
ステップS418では、ステップS416で換算された検出値と、ステップS408で換算した環境情報と、ステップS414で取得した時刻情報と、検出値に対応する第3のカウント値とを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタに記憶して、ステップS420に移行する。
【0114】
ステップS420では、データ制御部23の測定情報生成部23eにおいて、測定結果はm(mは、測定結果レジスタの最大数)個あるか否かを判定する。そして、m個あると判定した場合(Yes)は、ステップS422に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS404に移行する。
ステップS422に移行した場合は、測定情報生成部23eにおいて、データ記憶部26に記憶されたm個の測定結果に基づき、検出値の移動平均値を算出して、ステップS424に移行する。
【0115】
ステップS424では、測定情報生成部23eにおいて、m個の測定結果に含まれるm個のカウント値の平均値を算出する。更に、このカウント値の平均値と、ステップS422で算出した移動平均値と、m個の測定結果のうち最新の時刻情報及び環境情報とを対応付けて測定情報を生成して、ステップS426に移行する。
ステップS426では、測定情報生成部23eにおいて、ステップS424で生成した測定情報を、データ記憶部26における測定情報レジスタに記憶して、ステップS404に移行する。
【0116】
一方、ステップS402において、連続測定の指示ではなくて、ステップS428に移行した場合は、測定指示部23cにおいて、環境測定カウント処理を実行して、ステップS430に移行する。
ステップS430では、測定指示部23cにおいて、ステップS428の環境測定カウント処理でカウントさせたカウント値である環境カウント値をカウンター24cから取得して、ステップS432に移行する。
ステップS432では、換算部23dにおいて、測定指示部23cから取得した環境カウント値を、データ記憶部26に記憶された換算情報に基づいて環境情報へと換算して、ステップS434に移行する。
【0117】
ステップS434では、測定指示部23cにおいて、第3のカウント処理を実行して、ステップS436に移行する。
ステップS436では、測定指示部23cにおいて、ステップS434でカウントしたカウント値である第3のカウント値をカウンター25bから取得し、取得した第3のカウント値を換算部23dに出力して、ステップS438に移行する。
ステップS438では、換算部23dにおいて、時刻測定部29から時刻情報を取得して、ステップS440に移行する。
【0118】
ステップS440では、換算部23dにおいて、測定指示部23cから取得した第3のカウント値を、データ記憶部26に記憶された、特定された属性及び測定された環境情報に対応する換算情報に基づき検出値に換算する。そして、換算して得た検出値と、ステップS436で取得した第3のカウント値と、ステップS432で換算して得た環境情報と、ステップS438で取得した時刻情報とを測定結果として測定情報生成部23eに出力して、ステップS442に移行する。なお、測定結果は、一端、データ記憶部26の測定結果レジスタに記憶するようにしてもよい。
【0119】
また、測定指示部23cにおいて、カウンター25bから桁溢れ信号を受信した場合は、換算部23dは、換算処理を実行せずに、桁溢れ情報、環境情報、及び時刻情報を測定結果として測定情報生成部23eに出力する。
ステップS442では、測定情報生成部23eにおいて、換算部23dから取得した、検出値、第3のカウント値、環境情報、及び時刻情報に、タグIDと、カウンター25bの桁数の情報とを対応付けてなる測定情報を生成して、ステップS444に移行する。
【0120】
また、桁溢れが発生している場合は、ステップS442では、測定情報生成部23eにおいて、換算部23dから取得した、桁溢れ情報、環境情報、及び時刻情報に、タグIDと、カウンター25bの桁数の情報とを対応付けてなる測定情報を生成して、ステップS444に移行する。
ステップS444では、測定情報生成部23eにおいて、ステップS442で生成した測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタに記憶して、ステップS400に移行する。
【0121】
次に、図13に基づき、データ制御部23における測定情報の送信処理の流れを説明する。ここで、図13は、測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13に示すように、まず、ステップS500に移行して、データ制御部23において、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10からの送信指示情報を受信したか否かを判定する。そして、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS502に移行し、そうでない場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
【0122】
ステップS502に移行した場合は、データ制御部23の測定情報送信部23fにおいて、送信指示情報に含まれるタグIDと、データ記憶部26に記憶されたタグIDとを照合する認証処理を実行して、ステップS504に移行する。
ステップS504では、測定情報送信部23fにおいて、ステップS502の認証処理において、送信指示情報に含まれるタグIDが認証されたか否かを判定する。そして、認証されたと判定した場合(Yes)は、ステップS506に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS500に移行する。
【0123】
ステップS506に移行した場合は、測定情報送信部23fにおいて、送信指示情報で指定された測定情報を、データ記憶部26から取得して、ステップS508に移行する。
ステップS508では、測定情報送信部23fにおいて、ステップS506で取得した測定情報に、返信先のリーダ・ライタ装置10のID、タグID、カウンター25bの桁数の情報等を付加した測定データ返信パケットを生成する。そして、生成した測定データ返信パケットを、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10に送信させる処理を実行して、ステップS500に移行する。
【0124】
次に、図14に基づき、データ制御部23における測定期間修正処理の流れを説明する。ここで、図14は、測定期間修正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14に示すように、まず、ステップS600に移行して、データ制御部23において、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10からの修正指示情報を受信したか否かを判定する。そして、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS602に移行し、そうでない場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
【0125】
ステップS602に移行した場合は、データ制御部23の測定期間修正部23gにおいて、受信した修正指示情報に含まれる修正指示は第1の修正指示か否かを判定する。そして、第1の修正指示であると判定した場合(Yes)は、ステップS604に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS606に移行する。
ステップS604に移行した場合は、測定期間修正部23gにおいて、現在設定されている物理特性測定期間を、第1の修正指示で指定された期間だけ減少する修正を行って、ステップS600に移行する。
【0126】
具体的に、第1の修正指示で指定される期間は、予めリーダ・ライタ装置10で設定されており、例えば、100カウント分の期間だけ物理特性測定期間を減少させる修正を行わせる。
一方、ステップS606に移行した場合は、測定期間修正部23gにおいて、受信した修正指示情報に含まれる修正指示は第2の修正指示か否かを判定する。そして、第2の修正指示であると判定した場合(Yes)は、ステップS608に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS600に移行する。本実施の形態では、修正指示の内容が第1の修正指示及び第2の修正指示の2種類しかないため、いずれかで無い場合は、エラーなどの応答をリーダ・ライタ装置10に返す。
【0127】
ステップS608に移行した場合は、測定期間修正部23gにおいて、現在設定されている物理特性測定期間を、第2の修正指示で指定された期間だけ増加する修正を行って、ステップS600に移行する。
具体的に、第1の修正指示と同様に、第2の修正指示で指定される期間は、予めリーダ・ライタ装置10で設定されており、例えば、100カウント分の期間だけ物理特性測定期間を増加させる修正を行わせる。
【0128】
次に、図15〜図19に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図15は、単発測定時の各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。また、図16(a)は、環境情報として温度を測定する場合の換算情報の一例を示す図であり、(b)は、換算情報の近似方法の一例を示す図である。また、図17は、検出素子100として、応力を測定する歪みゲージを接続した場合の換算情報の一例を示す図である。また、図18は、連続測定時の各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。また、図19は、連続測定時の測定結果及び測定情報の記憶手順の一例を示す図である。
【0129】
以下の説明において、検出素子100として歪みゲージを接続して、測定対象物の物理特性として応力を測定することとし、検出素子24bとしてサーミスタを接続して、環境情報として温度を測定することとする。また、測定対象物は、コンクリートの柱等の構造物の鉄筋とし、無線タグ20に接続された歪みゲージの検出部を鉄筋に貼り付けるなどして、鉄筋の応力を測定することとする。
【0130】
最初に、単発測定時の動作について説明する。
まず、利用者は、第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nの検出素子接続部25dに、鉄筋の応力の検出に適した歪みゲージを接続する。歪みゲージを接続したら、次に、無線タグ20を測定対象物に配設する前に、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、初期化指示を入力する。初期化指示が入力されると(ステップS100の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、初期化指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS102)。
【0131】
これにより、図15に示すように、リーダ・ライタ装置10から初期化指示情報(図15中のキャリブレーションパケット)がブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに送信される。
無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報を受信すると(ステップS300の「Yes」の分岐)、データ制御部23の属性特定部23aによって、環境カウント処理を実行する(ステップS302)。
【0132】
具体的に、環境情報測定部24のカウンター24cの動作を制御して、カウンター24cに、検出素子24bとしてサーミスタ(抵抗素子)を発振用素子とした第1の発振回路24aの環境測定時間の発振回数をカウントさせる。
そして、属性特定部23aにおいて、カウンター24cから環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する(ステップS304)。
【0133】
換算部23dは、データ記憶部26から、環境カウント値と温度との関係が、例えば、図16(a)に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、環境カウント値を温度に換算する(ステップS306)。
具体的に、属性特定部23aから取得した環境カウント値が、図16(a)の黒丸で示す温度(離散値)に対してどの位置(どの値と値の間)になるかを判断する。例えば、環境カウント値に対応する温度が、図16(a)中のいずれかの黒丸と同じ位置にある場合は、環境カウント値を該当する黒丸の温度に換算する。一方、図16(a)中の白丸で囲まれた範囲内にある場合は、図16(b)に示すように、黒丸の2点間にある環境カウント値に対応する温度を線形近似によって算出する。
【0134】
つまり、黒丸で示される温度t1と温度t2の間に、環境カウント値cntに対応する温度tがある場合に、温度tは、下式(1)から求めることができる。
t=Δt+t1=(cnt−cnt1)/(cnt2−cnt1)×Tspan+t1
・・・(1)
上式(1)において、cnt1及びcnt2は、温度t1及びt2の環境カウント値であり、Δtは、温度tと温度t1との差であり、Tspanは、温度t1から温度t2までの距離である。
【0135】
上記の方法で環境カウント値を温度に換算すると、次に、データ制御部23の属性特定部23aによって、第1のカウント処理を実行する(ステップS308)。
ここでは、検出素子100が歪みゲージとなるので、基準素子は基準抵抗素子となる。 属性特定部23aの切替信号出力部40は、接続切替信号を接続切替部25gに出力して、基準抵抗素子を第2の発振回路25aの発振用素子として接続する。次に、属性特定部23aのカウンター制御信号出力部41は、カウンター28からのトリガ信号に応じて、カウンター25bに、カウンター25bのカウント値をクリアする制御信号を出力する。これによって、カウンター25bのカウント値を初期値に戻し、第2の発振回路25aの発振回数のカウントを開始させる。そして、属性測定期間の終了タイミング(トリガ)に合わせて、カウント値取得部42によって、カウンター25bのカウント値(第1のカウント値)を取得する(ステップS310)。属性特定部23aは、取得した第1のカウント値をデータ記憶部26に記憶する。
【0136】
第1のカウント処理が終了すると(ステップS312の「Yes」の分岐)、次に、データ制御部23の属性特定部23aによって、第2のカウント処理を実行する(ステップS314)。
切替信号出力部40は、まず、抵抗切替信号を抵抗切替部25eに出力して、補正抵抗素子群25fの中から、ここでは中間の抵抗値の補正抵抗を選択して、選択した補正抵抗を検出素子接続部25dと接続切替部25gとの間に接続する。次に、切替信号出力部40は、接続切替信号を接続切替部25gに出力して、検出素子100を第2の発振回路25aの発振用素子として接続する。次に、カウンター制御信号出力部41は、カウンター28からのトリガ信号に応じて、カウンター25bに、カウンター25bのカウント値をクリアする制御信号を出力する。これによって、カウンター25bのカウント値を初期値に戻し、第2の発振回路25aの発振回数のカウントを開始させる。そして、属性測定期間の終了タイミングに合わせて、カウント値取得部42によって、カウンター25bのカウント値(第2のカウント値)を取得する(ステップS316)。属性特定部23aは、取得した第2のカウント値をデータ記憶部26に記憶する。
【0137】
次に、属性特定部23aは、比率算出部43において、データ記憶部26から第1のカウント値及び第2のカウント値を取得し、取得した第1のカウント値と第2のカウント値の比率を算出する(ステップS318)。例えば、第1のカウント値が「3000」で、第2のカウント回数が「3600」であったとする。
この場合は、第2のカウント値「3600」を第1のカウント値「3000」で割った値「1.2」を、比率RAとして算出する。
次に、属性特定部23aの素子値算出部44は、上記算出した比率「1.2」と、基準抵抗素子の抵抗値とに基づき、歪みゲージの検出素子値を算出する(ステップS320)。例えば、基準抵抗素子の抵抗値が300Ωである場合に、検出素子値は、「300×1.2=360Ω」と算出される。
【0138】
次に、属性特定部23aの素子値補正部45は、基準抵抗素子に対応する補正情報として、温度係数情報をデータ記憶部26から取得し、最初に測定した温度と、取得した温度係数とに基づき、検出素子値「360Ω」を補正する(ステップS322)。ここで、温度係数は、基準抵抗素子の種類によって変わるため、できるだけ温度変化による抵抗変化の少ないものを選択する。例えば、抵抗素子には、カーボン抵抗、金属被膜抵抗、金属箔抵抗などの種類があり、この順番で温度変化に対する抵抗変化が小さくなっていく。この補正によって、抵抗値が355Ωに補正されたとする。
【0139】
次に、属性特定部23aの属性選択部46は、抵抗値355Ωと、データ記憶部26に記憶された歪みゲージの型式の情報とを比較し、いずれかの型式を検出素子100として接続された歪みゲージの属性として選択する(ステップS324)。型式の情報としては、例えば、120Ω型、350Ω型、1kΩ型の情報があるとする。ここでは、抵抗値は355Ωであるので、最も近い値の350Ω型を選択する。そして、属性選択部46は、選択した350Ω型を接続された歪みゲージの型式(属性)としてデータ記憶部26に記憶する。
【0140】
このようにして、無線タグ20の初期化処理が完了すると、利用者は、初期化された無線タグ20を、測定対象物である鉄筋にその応力を検出可能な状態で配設する。なお、測定を開始する前に、無線タグ20に所望の物理特性測定期間を設定したい場合は、利用者は、操作部11を操作して、物理特性測定時間の設定指示を入力することになる。設定指示が入力されると(ステップS112の「Yes」の分岐)、指定された物理特性測定時間の情報を含む設定指示情報がブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS114)。
【0141】
これによって、無線タグ20は、データ制御部23の測定期間設定部23bにおいて、現在設定されている物理特性測定期間を、設定指示情報に含まれる測定期間へと変更する。なお、物理特性測定期間の設定は必須ではなく、無線タグ20に予め設定された物理特性測定期間で十分な場合は省略してもよい。また、所望の物理特性測定期間を設定する場合に、リーダ・ライタ装置10で所望の値を入力する構成としてもよいし、無線タグ20側に用意された複数の物理特性測定期間のうち任意のものを指定する構成としてもよい。
【0142】
測定の準備が整うと、利用者は、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、ここでは単発測定の測定指示を入力する。測定指示が入力されると(ステップS104の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、単発測定の測定指示であるので(ステップS106の「Yes」の分岐)、単発測定指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS108)。
【0143】
これにより、図15に示すように、リーダ・ライタ装置10から単発測定指示情報(図中の測定実施パケット)がブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに送信される。
無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの単発測定指示情報を受信すると(ステップS400の「Yes」の分岐及びステップS402の「No」の分岐)、データ制御部23の測定指示部23cによって、環境カウント処理を実行する(ステップS428)。
【0144】
この環境カウント処理は、測定指示部23cが行うだけで、上記の属性特定部23aによる環境カウント処理と同様の処理となる。
そして、測定指示部23cにおいて、カウンター24cから環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する(ステップS430)。
換算部23dは、データ記憶部26から、環境カウント値と温度との関係が、図16(a)に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、環境カウント値を温度に換算する(ステップS432)。
【0145】
次に、測定指示部23cは、第3のカウント処理を実行する(ステップS434)。
具体的に、測定指示部23cは、まず、抵抗切替信号を抵抗切替部25eに出力して、抵抗切替部25eに、補正抵抗素子群25fの中から上記特定した350Ω型の歪みゲージに対して最適な抵抗値の補正抵抗を選択させる。これにより、選択された補正抵抗が検出素子接続部25dと接続切替部25gとの間に接続される。具体的に、補正抵抗素子群25fの中から、350Ω型の歪みゲージ(検出素子100)を発振用素子とした第2の発振回路25aが正常に発振し且つ歪みゲージに大電流が流れない範囲内で、歪みゲージの抵抗値の変化と、第2の発振回路25aの発振周波数との関係が最も線形となる抵抗値の補正抵抗が接続される。
【0146】
次に、接続切替信号を接続切替部25gに出力して、接続切替部25gに、検出素子100(歪みゲージ)を第2の発振回路25aの発振用素子として接続させる。次に、カウンター25bに、予め設定された物理特性測定期間の開始タイミング(トリガ)に合わせて、カウンター25bのカウント値をクリアする制御信号を出力する。これによって、カウンター25bのカウント値を初期値に戻し、第2の発振回路25aの発振回数のカウントを開始させる。そして、予め設定された物理特性測定期間の終了タイミング(トリガ)に合わせて、測定指示部23cによって、カウンター25bのカウント値(第3のカウント値)を取得する(ステップS436)。測定指示部23cは、取得した第3のカウント値を換算部23dに出力する。
【0147】
換算部23dは、測定指示部23cから第3のカウント値を取得すると、時刻測定部29から時刻情報(タイムスタンプ)を取得する(ステップS438)。次に、データ記憶部26から、350Ω型に対応する、第3のカウント値と応力値との関係が、図17に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、第3のカウント値を応力値に換算する(ステップS440)。なお、換算情報は、歪みゲージの属性(型式)や、環境の温度、第3のカウント値の測定時間などに応じて、それぞれ異なるテーブルデータとしてデータ記憶部26に記憶されている。従って、特定した検出素子(ここでは歪みゲージ)の属性、測定した環境の温度、設定された物理特性測定期間などの既知の情報から毎回適切なデータを選択して用いるようになっている。つまり、本実施の形態において、換算情報は、第3のカウント値に対応する、型式に応じた環境の状態による検出値の変化に対して適切な補正が施されたデータのテーブルとなる。
【0148】
また、換算方法は、上記した環境カウント値を温度に換算する場合と同様で、図17中の黒丸に該当するカウント値であれば、第3のカウント値を既知である黒丸の応力値に換算する。一方、応力値s1、s2に対応する2つの黒丸の間に、測定した第3のカウント値に対応する応力値がある場合は、下式(2)に従って、線形近似によって応力値を求める。図17の例は、特定の型式(350Ω型)の特定の温度又は温度範囲に対応する換算情報となる。実際は、型式且つ温度ごとに異なる換算情報がデータ記憶部26に記憶されている。
s=Δs+s1=(cnt−cnt1)/(cnt2−cnt1)×Sspan+s1
・・・(2)
上式(2)において、cnt1及びcnt2は、応力値s1及びs2の第3のカウント値であり、Δsは、応力値sと応力値s1との差であり、Sspanは、応力値s1と応力値s2間の距離である。
【0149】
このようにして、第3のカウント値を応力値へと換算すると、換算部23dは、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、測定情報生成部23eに出力する。
測定情報生成部23eは、換算部23dから、応力値、温度、第3のカウント回数及びタイムスタンプを取得すると、これらに、タグID及びカウンター25bの桁数の情報などを加えてなる測定情報を生成する(ステップS442)。そして、生成した測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタに記憶する(ステップS444)。
【0150】
利用者は、測定を実施後に測定情報を得たい場合は、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、送信指示を入力する。送信指示が入力されると(ステップS120の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、送信指示情報をユニキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して順番に送信する(ステップS122)。
これにより、図15に示すように、リーダ・ライタ装置10から送信指示情報(図15中のデータ送信要求パケット)がユニキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに順番に送信される。具体的に、特定の順番で、各順に無線タグ20から測定情報(図15中の測定データ返信パケット)を受信するごとに次順の無線タグ20に送信指示情報を送信する。
【0151】
無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの送信指示情報を受信すると(ステップS500の「Yes」の分岐)、データ制御部23の測定情報送信部23fにおいて、まず、認証処理を実行する(ステップS502)。
認証処理は、送信指示情報に含まれるタグIDと、受信先の無線タグ20のタグIDとを照合して、両者が一致するか否かを判定する処理となる。両者が一致した場合は、認証されたとし(ステップS504の「Yes」の分岐)、一致しない場合は、認証されなかったとする(ステップS504の「No」の分岐)。
【0152】
ここでは、認証されたとして、次に、測定情報送信部23fは、送信指示情報によって指定された測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタから取得する(ステップS506)。そして、取得した測定情報に、送信先のリーダ・ライタ装置のIDなどを付加して、測定データ返信パケットを生成し、生成した測定データ返信パケットを、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10に送信する(ステップS508)。
【0153】
これにより、図15に示すように、無線タグ20から測定データ返信パケットがユニキャストでリーダ・ライタ装置10に送信される。
リーダ・ライタ装置10は、無線タグ20からの測定データ返信パケットを、コイルアンテナ14及び無線通信部13を介して受信すると、データ制御部12の受信データ処理部12bにおいて、受信した測定データ返信パケットから測定情報を抽出する。そして、抽出した、測定情報を、タグIDに対応する無線タグ20が配設された測定対象物の識別情報に対応付けて、データ記憶部15に記憶する。
【0154】
データ記憶部15に測定情報が記憶されると(ステップS200の「Yes」の分岐)、データ制御部12の修正指示情報生成部12cは、記憶された測定情報をデータ記憶部15から取得し(ステップS202)、取得した測定情報を解析する(ステップS204)。
具体的に、測定情報から、第3のカウント値、カウンター25bの桁数の情報及び桁溢れ情報を抽出する。解析結果に基づき、測定情報が桁溢れ情報を含むか否かを判定する。
【0155】
ここで、桁溢れ情報を含む場合(ステップS206の「Yes」の分岐)に、修正指示情報生成部12cは、カウンター25bの桁溢れを解消するために、例えば、物理特性測定期間を100カウント分減少する修正指示内容を含む第1の修正指示情報を生成し、生成した第1の修正指示情報をデータ記憶部15に記憶する(ステップS208)。更に、修正指示情報生成部12cは、桁溢れが発生していることを示すメッセージを表示部16に表示させる処理を行って、利用者に、桁溢れが発生していることを通知する(ステップS210)。
【0156】
このとき、桁溢れ情報を含む測定情報を返信してきたタグのIDや個数等も通知するようにしてもよい。
この通知を見た利用者は、修正の意志がある場合に、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、物理特性測定期間の修正指示を入力する。例えば、桁溢れを起こしているタグが少ない(例えば1つしか無い)場合などは、修正指示を送信しないことも可能である。
【0157】
修正指示が入力されると(ステップS116の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、データ記憶部26に記憶された第1の修正指示情報を取得し、取得した第1の修正指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS122)。
無線タグ20は、第1の修正指示情報を受信すると(ステップS600及びS602の「Yes」の分岐)、第1の修正指示情報で指定された期間(100カウント分)だけ、現在設定されている物理特性測定期間を減少する修正を行う(ステップS604)。
【0158】
一方、測定情報が桁溢れ情報を含まない場合(ステップS206の「No」の分岐)は、修正指示情報生成部12cは、第3のカウント値と、桁数の情報に基づき設定した閾値とを比較し、第3のカウント値が閾値以下か否かを判定する。例えば、カウンター25bが16ビットのカウンターであれば、その最大カウント値の70%の値である「65536×0.7=45875」を閾値に設定し、この閾値と、第3のカウント値とを比較する。これにより、閾値以下であると判定した場合は、測定した第3のカウント値が、カウンター25bの最大カウント値に対して低い値となっているので、カウント値に余裕があると判定する。この場合は、測定精度をより向上させるために、例えば、物理特性測定期間を100カウント分増加する修正指示内容を含む第2の修正指示情報を生成し、生成した第2の修正指示情報をデータ記憶部15に記憶する(ステップS214)。更に、修正指示情報生成部12cは、桁溢れが発生していることを示すメッセージを表示部16に表示させる処理を行って、利用者に、カウント値に余裕があることを通知する(ステップS216)。
【0159】
このとき、カウント値に余裕があると判定されたタグのIDや個数等も通知するようにしてもよい。
この通知を見た利用者は、修正の意志がある場合に、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、物理特性測定期間の修正指示を入力する。例えば、カウント値に余裕があると判定したタグが少ない(例えば1つしか無い)場合などは、修正指示を送信しないことも可能である。
【0160】
修正指示が入力されると(ステップS116の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、データ記憶部26に記憶された第2の修正指示情報を取得し、取得した第2の修正指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS122)。
無線タグ20は、第2の修正指示情報を受信すると(ステップS600の「Yes」の分岐及びS602の「No」の分岐)、第2の修正指示情報で指定された期間(100カウント分)だけ、現在設定されている物理特性測定期間を増加する修正を行う(ステップS608)。
【0161】
次に、連続測定時の動作について説明する。
なお、初期化処理、物理特性測定期間の設定処理については、単発測定時と同様となるので、測定処理の動作から説明する。また、検出素子100として接続された歪みゲージの属性は、単発測定時と同様に350Ω型であるとする。
測定の準備が整うと、利用者は、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、ここでは連続測定の測定指示を入力する。測定指示が入力されると(ステップS104の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、連続測定の測定指示であるので(ステップS106の「No」の分岐)、連続測定指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS110)。
【0162】
これにより、図18に示すように、リーダ・ライタ装置10から連続測定指示情報(図中の測定開始パケット)がブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに送信される。
無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの連続測定指示情報を受信すると(ステップS400の「Yes」の分岐及びステップS402の「Yes」の分岐)、データ制御部23の測定指示部23cによって、環境カウント処理を実行する(ステップS406)。
【0163】
この環境カウント処理は、上記単発測定時の環境カウント処理と同様の処理となる。
そして、測定指示部23cにおいて、カウンター24cから環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する(ステップS406)。
換算部23dは、データ記憶部26から、環境カウント値と温度との関係が、図16(a)に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、環境カウント値を温度に換算する(ステップS408)。この換算方法は、上記単発測定時の換算方法と同様となる。
【0164】
次に、測定指示部23cは、第3のカウント処理を実行する(ステップS410)。
そして、カウンター25bのカウント値がクリアされカウントが開始されると、物理特性測定期間の終了タイミングに合わせて、測定指示部23cによって、カウンター25bのカウント値(第3のカウント値)を取得する(ステップS412)。測定指示部23cは、取得した第3のカウント値を換算部23dに出力する。
【0165】
換算部23dは、測定指示部23cから第3のカウント値を取得すると、時刻測定部29から時刻情報(タイムスタンプ)を取得する(ステップS414)。次に、データ記憶部26から、350Ω型に対応する、第3のカウント値と応力値との関係が、図17に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、第3のカウント値を応力値に換算する(ステップS416)。
【0166】
換算部23dは、図19に示すように、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタ1に記憶する。ここでは、測定結果レジスタの個数と測定情報レジスタの個数とが共に3個であるとする。
以上の測定処理が、図18における、各無線タグの測定開始後の1つめの矢印の測定処理(1回の測定処理)となる。
【0167】
測定情報生成部23eは、測定処理が終了すると、測定結果レジスタ1〜3の全てに測定結果が記憶されているか否かを判定する。ここでは、測定結果レジスタ1にしか記憶されていないので(ステップS420の「No」の分岐)、引き続き、環境カウント処理から測定処理を実行する(ステップS404〜S416)。
これにより、図18に示す、測定開始後の2つめの矢印の測定処理が実行される。
【0168】
換算部23dは、図19に示すように、2回目の測定処理において、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタ2に記憶する。
測定情報生成部23eは、測定処理が終了すると、測定結果レジスタ1〜3の全てに測定結果が記憶されているか否かを判定する。ここでは、測定結果レジスタ1〜2にしか記憶されていないので(ステップS420の「No」の分岐)、引き続き、環境カウント処理から測定処理を実行する(ステップS404〜S416)。
これにより、図18に示す、測定開始後の3つめの矢印の測定処理が実行される。
【0169】
換算部23dは、図19に示すように、3回目の測定処理において、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタ3に記憶する。
測定情報生成部23eは、測定処理が終了すると、測定結果レジスタ1〜3の全てに測定結果が記憶されているか否かを判定する。ここでは、測定結果レジスタ1〜3の全てに測定結果が記憶されているので(ステップS420の「Yes」の分岐)、測定結果レジスタ1〜3に記憶された3つの検出値の移動平均値を算出する(ステップS422)。
ここで、3回の測定の移動平均を算出するとした場合に、移動平均値をSMAとし、移動平均値を算出時の測定結果レジスタ1〜3の各応力値をP1〜P3とすると、下式(3)から移動平均値SMAを算出することができる。
SMA=(P1+P2+P3)/3 ・・・(3)
【0170】
測定情報生成部23eは、最初の移動平均値が算出されると、次に、測定結果レジスタ1〜3の測定結果にそれぞれ対応する第3のカウント回数の平均値を算出する。そして、移動平均値、第3のカウント回数の平均値、最新の測定結果に対応する温度及びタイムスタンプに、タグID及びカウンター25bの桁数の情報などを加えてなる測定情報を生成する(ステップS424)。そして、生成した測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタ1に記憶する(ステップS426)。
測定情報が記憶されると、引き続き、環境カウント処理から測定処理を実行する(ステップS404〜S416)。
これにより、図18に示す、測定開始後の4つめの矢印の測定処理が実行される。
【0171】
換算部23dは、図19に示すように、4回目の測定処理において、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタ1に1回目の測定結果に上書きして記憶する。
つまり、図19に示すバッファリングの例では、新たな測定結果を得るごとに、古い測定結果から順に上書きして記憶している(リングバッファ)。
そして、測定情報生成部23eは、新たな測定結果を得ると(ステップS420の「Yes」の分岐)、新たな移動平均値SMAを、上式(3)に従って算出する。
【0172】
具体的に、図19の例では、新たな測定結果を最も古い測定結果に上書きして記憶するようにしたので、上書きが行われるごとに、測定結果レジスタ1〜3の応力値の平均値を算出するだけで、移動平均値を求めることができる。
なお、1つ前に算出した移動平均値SMAに対して、最新の応力値をレジスタの個数で割った値を加算し、最古の応力値をレジスタの個数で割った値を減算することでも新たな移動平均値を求めることができる。
【0173】
測定情報生成部23eは、新たな移動平均値が算出されると、次に、現在の測定結果レジスタ1〜3の測定結果にそれぞれ対応する第3のカウント回数の平均値を算出する。そして、移動平均値、第3のカウント回数の平均値、最新の測定結果に対応する温度及びタイムスタンプに、タグID及びカウンター25bの桁数の情報などを加えてなる測定情報を生成する(ステップS424)。そして、生成した測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタ2に記憶する(ステップS426)。
【0174】
このように測定処理を繰り返し行い、5回目の測定処理が終了すると、図19に示すように、測定結果は、測定結果レジスタ2に記憶される。そして、測定情報生成部23eにおいて測定情報が生成されると、測定情報は、測定情報レジスタ3に記憶される。これにより、測定情報レジスタ1〜3の全てに測定情報が記憶される。ここでは、図19に示すように、測定情報レジスタ1〜3についても、リングバッファによって、最古のデータを最新のデータで上書きする。
なお、測定情報レジスタの全てに測定情報が記憶されたか否かを判定し、記憶されたと判定した時点で、連続測定処理を終了させるように構成してもよい。
【0175】
一方、連続測定の場合に、無線タグ20に測定情報が複数記憶されているので、本実施の形態においては、利用者は、任意の測定情報を送信するように指定した送信指示を入力することができる。そして、送信指示が入力されると(ステップS120の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、送信指示情報をユニキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して順番に送信する(ステップS122)。
【0176】
具体的に、無線タグ20から測定情報を受信するごとに次の無線タグ20に送信指示情報を送信する。
これにより、図18に示すように、リーダ・ライタ装置10から送信指示情報がユニキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに順番に送信される。なお、図18の例では、3回目の測定が終了した時点で送信指示を送信している。従って、測定情報レジスタ1に記憶された測定情報を指定した送信指示を送信することとなる。
【0177】
これにより、図18に示すように、無線タグ20から、指定した測定情報を含む測定データ返信パケットがユニキャストでリーダ・ライタ装置10に送信される。
なお、特定の無線タグ20からだけ測定情報を取得したい場合は、送信指示の入力時に、所望の無線タグ20のタグIDを指定することで、指定された無線タグ20だけに対して送信指示情報がユニキャストで送信される。
【0178】
以上、本実施の形態の測定システム1によれば、無線タグ20の検出素子接続部25dに任意の検出素子100を接続して、その無線タグ20に対して、リーダ・ライタ装置10によって初期化指示情報を送信することで、検出素子100の属性を特定することができる。
更に、測定対象物に対して、その物理特性を測定可能に、検出素子100の接続された無線タグ20を配設し、リーダ・ライタ装置10によって測定指示を送信することで、測定対象物の物理特性を測定することができる。また、測定処理においては、検出素子100を発振用素子とした第2の発振回路25aの発振回数として物理特性を検出することができる。一方、環境情報測定部24によって、測定環境の状態を示す環境情報を測定することができる。そして、物理特性の発振回数(第3のカウント値)を、特定した属性及び測定した環境情報に対応する換算情報で換算することで物理特性を示す検出値を算出することができる。換算情報は、属性及び環境情報に応じて第3のカウント値を適切な補正が施された検出値へと変換する情報となる。
【0179】
以上のことにより、利用者は、検出素子100の属性を意識することなく無線タグ20に接続することで、検出素子100の属性や環境情報に応じた適切な測定処理を実行させることができる。
また、測定処理において、無線タグ20のカウンター25bに桁溢れが生じた場合に、リーダ・ライタ装置10で、そのことを検出し、桁溢れが生じないように、物理特性測定期間を減少する補正を指示する第1の修正指示情報を無線タグ20に送信することができる。そして、無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10から受信した第1の修正指示情報に応じて、設定されている物理特性測定期間を、指定された期間だけ減少する修正を行うことができる。これによって、無線タグ20の回路の変更等を行うことなく桁溢れに対応させることができる。
【0180】
また、リーダ・ライタ装置10において、測定情報に含まれる、カウンター25bの桁数に対して、第3のカウンター値が小さい値の場合に、桁数に余裕があると判断して、物理特性測定期間を増加する補正を指示する第2の修正指示情報を無線タグ20に送信することができる。そして、無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10から受信した第2の修正指示情報に応じて、設定されている物理特性測定期間を、指定された期間だけ増加する修正を行うことができる。これにより、カウンター25bの能力を活かした、より精度の高い測定処理を行うことができる。
【0181】
上記実施の形態において、リーダ・ライタ装置10は、第2の無線通信装置に対応し、無線タグ20は、第1の無線通信装置又は無線通信装置に対応し、無線通信部13及びコイルアンテナ14は、第2の無線通信手段に対応する。また、無線通信部22及びコイルアンテナ23は、第1の無線通信部に対応し、属性特定部23aは、属性特定手段に対応し、環境情報測定部24は、環境情報測定手段に対応する。また、特定された属性及び測定された環境情報に対応する換算情報は、補正情報及び換算情報の双方に対応し、換算部23dにおける、前記補正情報を含む換算情報を用いて換算処理を行う機能は、検出値補正手段に対応する。また、測定指示部23c及び換算部23dは、物理特性検出手段に対応し、測定情報生成部23eは、測定情報生成手段に対応し、測定情報生成部23e及びデータ記憶部26の測定情報レジスタ及び該レジスタに測定情報を記憶する機能は、第1の測定情報記憶手段又は測定情報記憶手段に対応する。また、測定情報送信部23fは、測定情報送信手段に対応し、第2の発振回路25aは、第1の回路及び第2の回路に対応し、測定期間修正部23gは、測定期間修正手段に対応する。また、抵抗切替部25e及び補正抵抗素子群25fは、抵抗接続手段に対応し、第2のカウント値は、第1の発振回数に対応し、第1のカウント値は、第2の発振回数に対応し、第3のカウント値は、第3の発振回数に対応する。また、データ記憶部26は、素子値補正情報記憶手段、換算情報記憶部及び測定情報記憶手段に対応し、水晶発振回路27、カウンター28及び時刻測定部29は、時刻測定手段に対応する。また、指示情報送信部12a及び修正指示情報生成部12cは、測定指示情報送信手段、送信指示情報送信手段及び修正指示情報送信手段に対応し、受信データ処理部12b及びデータ記憶部15は、第2の測定情報記憶手段に対応する。
【0182】
また、上記実施の形態において、ステップS300〜S322は、属性特定ステップに対応し、ステップS404〜S408は、環境情報測定ステップに対応し、ステップS410〜S418は、物理特性検出ステップに対応し、ステップS416は、検出値補正ステップに対応する。また、ステップS420〜S424は、測定情報生成ステップに対応し、ステップS426は、測定情報記憶ステップに対応し、ステップS500〜S508は、測定情報送信ステップに対応する。
【0183】
なお、上記実施の形態においては、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報を送信することで、各無線タグ20に初期化処理を実行させる構成としたが、この構成に限らない。例えば、各無線タグ20において、検出素子100の接続を検出して、自動で初期化処理を実行する構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、利用者が操作部11を操作することで、リーダ・ライタ装置10から各指示情報を無線タグ20に送信して、各処理を実行させる構成としたが、この構成に限らない。例えば、物理特性測定期間の設定指示や、修正指示などの利用者の判断が必要な指示情報以外は、自動で送信する構成としてもよい。具体的に、リーダ・ライタ装置10を、全ての無線タグ20と通信が可能な位置に設置しておき、測定指示情報と送信指示情報とを、予め設定したスケジュールで送信する構成などとしてもよい。
【0184】
また、上記実施の形態においては、第2の発振回路25aに接続する素子を接続切替部25gによって、基準素子と検出素子100とに切り替える構成としたが、この構成に限らず、各素子に対応する発振回路を備える構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、物理特性測定期間を任意の期間に設定する、又は物理特性測定期間を修正することができる構成としたが、物理特性測定期間だけに限らず、環境測定期間、属性測定期間なども設定及び修正できる構成としてもよい。
【0185】
また、上記実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0186】
1…測定システム、10…リーダ・ライタ装置、11…操作部、12,23…データ制御部、12a…指示情報送信部、12b…受信データ処理部、12c…修正指示情報生成部、13,22…無線通信部、14,23…コイルアンテナ、15,26…データ記憶部、16…表示部、23a…属性特定部、23b…測定期間設定部、23c…測定指示部、23d…換算部、23e…測定情報生成部、23f…測定情報送信部、23g…測定期間修正部、24…環境情報測定部、25…測定部、25a…第2の発振回路、25c…基準素子、25d…検出素子接続部、25e…抵抗切替部、25f…補正抵抗素子群、25g…接続切替部、27…水晶発振回路、28,24c,25b…カウンター、29…時刻測定部、40…切替信号出力部、41…カウンター制御信号出力部、42…カウント値取得部、43…比率算出部、44…素子値算出部、45…素子値補正部、46…属性選択部
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続可能な無線通信装置を用いて、測定対象物の物理特性を測定するのに好適な測定システム、無線通信装置、無線通信装置制御プログラム及び無線通信装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、測定対象物の物理特性を検出可能な検出素子を備えた無線通信装置を用いて測定対象物の物理特性を測定する技術として、例えば、特許文献1に記載された技術がある。
特許文献1に記載された逆浸透システムは、RFID(Radio Frequency IDentification)タグと、透過液の導電度及び流量のうちの少なくとも1つの値を測定する測定装置とを備え、測定装置は、測定した前記値に関する情報をRFIDタグに伝送するように構成されている。また、導電度の測定においては熱電対を用いた温度測定を行い、温度補償回路によって液体の抵抗値又はコンダクタンスの温度補償を行っている。また、測定装置として、歪みゲージによって透過液の流量を測定する流体流量計を備えた構成についても記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−530205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の従来技術において、測定装置の温度特性に応じた適切な温度補償を行うためには、RFIDタグ側で測定装置(導電度計又は流量計)の種類又は型番ごとの温度特性が既知である必要がある。しかしながら、上記特許文献1では、RFIDタグに測定装置の種類又は型番を自動認識する機能がなく、かつ種類や型番に応じたデータが用意されていないため、測定装置を構成する流量計又は導電度計の種類又は型番を変更した場合に、適切な温度補償を行えない恐れがある。
そこで、本発明は、このような従来の技術の有する未解決の課題に着目してなされたものであって、測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続可能な無線通信装置を用いて、測定対象物の物理特性を測定するのに好適な測定システム、無線通信装置、無線通信装置制御プログラム及び無線通信装置制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
〔形態1〕 上記目的を達成するために、形態1の測定システムは、
測定対象物に配設されて前記測定対象物の物理特性を測定する第1の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置の動作を制御する第2の無線通信装置とを備え、
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う第1の無線通信手段と、
前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続する検出素子接続部と、
前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する属性特定手段と、
前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する環境情報測定手段と、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段と、
前記属性特定手段で特定される前記属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応した、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段と、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段と、
前記測定情報生成手段で生成した測定情報を記憶する第1の測定情報記憶手段と、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記第1の測定情報記憶手段に記憶された測定情報を前記第1の無線通信手段を介して前記第2の無線通信装置に送信する測定情報送信手段と、を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記第1の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う第2の無線通信手段と、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記測定指示情報を送信する測定指示情報送信手段と、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記送信指示情報を送信する送信指示情報送信手段と、
前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して受信した測定情報を記憶する第2の測定情報記憶手段と、を備える。
【0006】
このような構成であれば、第1の無線通信装置において、検出素子接続部に検出素子が接続されると、属性特定手段によって、検出素子の属性が特定される。この属性は、例えば、検出素子が抵抗変化型の素子であればその素子の抵抗値の絶対値などとなり、検出素子が容量変化型の素子であればその素子の容量値の絶対値などとなる。
一方、第2の無線通信装置から測定指示情報が送信され、これを第1の無線通信装置が受信すると、物理特性検出手段は、検出素子接続部に接続された検出素子を用いて、測定対象物の物理特性の検出を行う。また、環境情報測定手段によって、測定環境の状態を示す環境情報が測定される。
【0007】
そして、物理特性が検出されると、検出値補正手段において、補正情報記憶手段に記憶された、特定された属性及び測定された環境情報に対応する補正情報に基づき、検出値が補正される。
検出値が補正されると、測定情報生成手段において、補正後の検出値に基づき測定情報が生成され、生成された測定情報が第1の測定情報記憶手段に記憶される。
【0008】
また、第2の無線通信装置から送信指示情報が送信され、これを第1の無線通信装置が受信すると、測定情報送信手段において、第1の測定情報記憶手段に記憶された測定情報が取得され、取得された測定情報が第1の無線通信手段を介して第2の無線通信装置に送信される。
第2の無線通信装置は、第2の無線通信手段を介して測定情報を受信すると、受信した測定情報を第2の測定情報記憶手段に記憶する。
従って、検出素子接続部に接続された検出素子の属性を自動的に特定することができると共に、特定した属性に応じた補正情報で検出値を補正することができる。
【0009】
これによって、利用者が任意の検出素子を検出素子接続部に接続するだけで、第1の無線通信装置側が、その検出素子の属性を自動で判断し、その検出値に対して属性及び環境情報に応じた適切な補正を行うことができる。つまり、共通の第1の無線通信装置において、複数種類の検出素子の属性を自動で認識して適切な補正を行うことができる。従って、検出素子の属性に対して第1の無線通信装置が一対一に固定化された従来の構成と比較して、利用者は、検出素子と第1の無線通信装置との組み合わせを意識することなく、任意の検出素子を接続して利用することができるので、利便性を向上することができるという効果が得られる。
【0010】
ここで、測定対象物の物理特性とは、例えば、測定対象物の温度、湿度、圧力、応力、重量、歪み等が該当する。
また、検出素子は、サーミスタ、湿度センサ、歪みゲージ、ピエゾ抵抗型半導体素子などの上記した測定対象物の温度、湿度、圧力、応力、重量、歪み等を検出することができる素子が該当する。
【0011】
また、属性は、検出素子の素子値の絶対値、型式、型番などの検出素子の特性を特定できる情報などが該当する。例えば、検出素子が歪みゲージである場合は、120Ω型、350Ω型、1kΩ型などのゲージ抵抗の絶対値で表された型式となる。
また、環境情報は、測定環境の状態を示す温度や湿度などであり、検出素子の検出値を変化させる要因となる測定環境の状態を示す情報である。
また、補正情報は、温度や湿度などの測定環境の状態によって変化する検出値を補正するための情報であり、例えば、検出素子が抵抗素子であれば、温度係数の情報などとなる。
【0012】
〔形態2〕 更に、形態2の測定システムは、形態1の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
前記検出素子接続部に接続された検出素子を構成要素として含む第1の回路と、
前記検出素子と同種の基準素子を構成要素として選択的に含む第2の回路とを備え、
前記属性特定手段は、前記第1の回路の出力と前記第2の回路の出力とに基づき、前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する。
【0013】
このような構成であれば、検出素子接続部に検出素子が接続されると、その検出素子を構成要素として第1の回路が構成される。そして、属性特定手段において、第1の回路の出力と、検出素子と同種の基準素子を構成要素として含む第2の回路の出力とに基づき、検出素子の属性が特定される。
これによって、利用者が任意の検出素子を検出素子接続部に接続するだけで、第1の無線通信装置側が、その検出素子の属性を自動で判断し、その検出値に対して属性及び環境情報に応じた適切な補正を行うことができる。
【0014】
また、具体的な属性の特定方法として、例えば、検出素子が、抵抗素子又は容量素子の場合に、検出素子を構成要素とした第1の回路の出力と、抵抗値や容量値などの予め素子値が既知である検出素子と同種の基準素子を構成要素とした第2の回路の出力とを比較する。そして、両者の出力の比率から予め解っている基準素子の素子値を比率に応じた倍率XでX倍した値を、検出素子の属性として特定する方法などがある。
【0015】
ここで、第1の回路は、検出素子を構成要素として、特定の入力に対して特定の出力をする回路であり、例えば、検出素子が抵抗素子であれば、単純には抵抗素子のみの回路でも良く、または容量素子と組み合わせて発振回路等を構成してもよい。
また、第2の回路は、第1の回路と同様の構成の回路、又は自己の出力と第1の回路の出力とから検出素子の属性を特定できる回路であれば、第1の回路と異なる構成の回路でもよい。
【0016】
〔形態3〕 更に、形態3の測定システムは、形態1又は2の測定システムにおいて、
前記検出素子は、前記測定対象物の物理特性の変化に応じて抵抗値又は容量値を変化させる素子であり、
前記第1の回路は、前記検出素子を発振用素子として発振する発振回路であり、
前記第2の回路は、前記基準素子を発振用素子として発振する発振回路であり、
前記属性特定手段は、前記第1の回路の前記所定時間の発振回数である第1の発振回数と、前記第2の回路の前記所定時間の発振回数である第2の発振回数とを計数する第1の計数部と、前記第1の発振回数と前記第2の発振回数との比率を算出する比率算出部と、前記比率算出部で算出した比率と前記基準素子の素子値とに基づき前記検出素子の素子値を算出する素子値算出部と、前記素子値算出部で算出した素子値に基づき前記検出素子の属性を特定する属性特定部とを有する。
【0017】
このような構成であれば、検出素子接続部に検出素子が接続されると、その検出素子を発振用素子とした発振回路である第1の回路が構成される。そして、属性特定手段における、第1の計数部において、第1の回路の所定時間の発振回数である第1の発振回数と、第2の回路の所定時間の発振回数である第2の発振回数とが計数される。そして、比率算出部において、第1の発振回数と第2の発振回数との比率が算出され、素子値算出部において、前記比率と基準素子の素子値とに基づき検出素子の素子値が算出される。更に、属性特定部において、前記算出した素子値に基づき検出素子の属性が特定される。
従って、第1の発振回数と第2の発振回数とを計数する時間を適宜に定めることで、高精度に検出素子の属性を特定することができるという効果が得られる。
【0018】
〔形態4〕 更に、形態4の測定システムは、形態3の測定システムにおいて、
前記測定環境の状態に応じて変化する前記基準素子の素子値を補正する素子値補正情報を記憶する素子値補正情報記憶手段を備え、
前記属性特定部は、前記素子値算出部で算出した前記検出素子の素子値を、前記基準素子の素子値補正情報で補正した値に基づき、前記検出素子の属性を特定する。
このような構成であれば、測定環境の状態に応じて基準素子の素子値が変動した場合でも、素子値補正情報によって、算出した検出素子の素子値を補正することができるので、より高精度に検出素子の属性を特定することができるという効果が得られる。
【0019】
〔形態5〕 更に、形態5の測定システムは、形態3又は4の測定システムにおいて、
前記物理特性検出手段は、前記第1の回路の設定された測定期間における発振回数である第3の発振回数を計数する第2の計数部と、前記属性特定手段で特定される前記検出素子の属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応する、前記第3の発振回数を前記検出素子の検出値に換算する換算情報を記憶する換算情報記憶部と、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する換算情報を前記換算情報記憶部から取得し、取得した換算情報に基づき前記第3の発振回数を前記検出素子の検出値に換算する換算部とを有する。
【0020】
このような構成であれば、物理特性の変化に応じて変化する検出素子の検出値を第1の回路において第3の発振回数として得て、該第3の発振回数を換算情報に基づき換算することで物理特性の検出値を得ることができる。
従って、検出素子の検出値を直接得るのではなく、検出素子を発振用素子とした発振回数を計測してそれを検出値に換算するようにしたので、正確な換算情報を用いることで、より高精度な測定を行うことができるという効果が得られる。
【0021】
〔形態6〕 更に、形態6の測定システムは、形態5の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した修正指示情報に応じて、前記測定期間を修正する測定期間修正手段を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記測定期間を修正する修正指示情報を送信する修正指示情報送信手段を備える。
【0022】
このような構成であれば、第2の無線通信装置から修正指示情報が送信され、これを第1の無線通信装置が受信すると、測定期間修正手段において、受信した修正指示情報に基づき設定されている測定期間が修正される。
従って、第1の無線通信装置を、例えば、利用者の作業しにくい入り組んだ場所に配設したり、コンクリートの柱内などに埋設したりした場合に、設定された測定期間において第2計数部の桁溢れなどが生じた場合でも、無線通信によって離れた位置から指示を与えて、測定期間を修正することができるという効果が得られる。
【0023】
〔形態7〕 更に、形態7の測定システムは、形態6の測定システムにおいて、
前記測定情報生成手段は、前記第3の発振回数の計数において前記計数部で桁溢れが生じた場合に、その旨を示す桁溢れ情報を含む測定情報を生成し、
前記修正指示情報送信手段は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して前記桁溢れ情報を含む測定情報を受信したときに、前記桁溢れ情報に基づき、前記測定期間を所定期間だけ短くする指示内容を含む第1の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に前記第2の無線通信手段を介して送信し、
前記測定期間修正手段は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して前記第1の修正指示情報を受信したときに、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ短くする修正を行う。
このような構成であれば、設定された測定期間において第2計数部の桁溢れが生じた場合に、測定情報生成手段において、桁溢れが生じた旨を示す測定情報が生成される。
【0024】
そして、第2の無線通信装置からの送信指示情報に応じて、桁溢れ情報を含む測定情報が第2の無線通信装置に送信される。
第2の無線通信装置は、桁溢れ情報を含む測定情報を受信すると、設定指示情報送信手段において、桁溢れ情報に基づき、第1の無線通信装置において設定されている測定期間を、それよりも所定期間だけ短くしたものに修正する指示内容を含む第1の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に送信する。
第1の無線通信装置は、第1の修正指示情報を受信すると、測定期間設定手段において、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ短くする修正を行う。
従って、初期に設定した測定期間では桁溢れが生じてしまう場合に、無線通信によって指示を与えて、測定期間を桁溢れが生じない期間に修正することができるという効果が得られる。
【0025】
〔形態8〕 更に、形態8の測定システムは、形態6又は7の測定システムにおいて、
前記測定情報生成手段は、前記物理特性検出手段で検出した検出値に対応する第3の発振回数に係る情報と前記第2の計数部の桁数の情報とを含む測定情報を生成し、
前記修正指示情報送信手段は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して前記測定情報を受信したときに、前記測定情報に含まれる前記第3の発振回数に係る情報と前記第2の計数部の桁数の情報とに基づき前記桁数に余裕があるか否かを判定する桁数判定部と、前記桁数判定部で桁数に余裕があると判定したときに、前記測定期間を所定期間だけ長くする指示内容を含む第2の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に前記第2の無線通信手段を介して送信し、
前記測定期間修正手段は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して前記第2の修正指示情報を受信したときに、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ長くする修正を行う。
【0026】
このような構成であれば、物理特性検出手段によって、検出素子を用いて物理特性が検出されると、測定情報生成手段によって、第3の発振回数に係る情報と第2の計数部の桁数の情報とを含む測定情報が生成される。
そして、第2の無線通信装置からの送信指示情報に応じて、第3の発振回数に係る情報と第2の計数部の桁数の情報とを含む測定情報が第2の無線通信装置に送信される。
【0027】
第2の無線通信装置は、測定情報を受信すると、修正指示情報送信手段において、桁数判定部によって、測定情報に含まれる、第3の発振回数に係る情報と第2の計数部の桁数の情報とに基づき、桁数に余裕があるか否かが判定される。そして、桁数に余裕があると判定されると、測定期間を所定期間だけ長くする指示内容を含む第2の修正指示情報が前記第1の無線通信装置に送信される。
第1の無線通信装置は、第2の修正指示情報を受信すると、測定期間修正手段において、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ長くする修正を行う。
従って、初期に設定した測定期間では計数回数に余裕がある場合に、外部から指示を与えて、測定期間を現在の期間よりも長くして測定精度を向上することができるという効果が得られる。
【0028】
〔形態9〕 更に、形態9の測定システムは、形態1乃至8のいずれか1の測定システムにおいて、
前記検出素子は、前記物理特性の変化に応じて抵抗値又は容量値を変化させる素子であり、
前記環境情報は、温度情報を含み、
前記補正情報は、前記複数の基準素子の温度係数の情報を含む。
このような構成であれば、測定環境の温度に応じて変化する検出素子の抵抗値又は容量値に対応する補正情報によって、検出素子の検出値を補正することができる。
【0029】
〔形態10〕 更に、形態10の測定システムは、形態9の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信装置は、
抵抗値の異なる複数の抵抗素子を含み、前記複数の抵抗素子のうちいずれか1つの抵抗素子を選択し、選択した抵抗素子を前記検出素子と前記第1の回路の前記検出素子以外の回路部との間に直列に接続する抵抗接続手段を備え、
前記抵抗接続手段は、前記直列に接続する抵抗素子として、前記属性の特定前は前記複数の抵抗素子のうち予め設定された抵抗値の抵抗素子を選択して接続し、前記属性の特定後は前記複数の抵抗素子のうち、前記特定された属性に対応する抵抗値の抵抗素子を選択して接続する。
【0030】
このような構成であれば、未知の検出素子が検出素子接続部に接続されたときに、検出素子の属性が特定される前に、抵抗接続手段によって、検出素子と直列に予め設定された抵抗値の抵抗素子を接続することができる。また、検出素子の属性が特定後は、抵抗接続手段によって、特定された属性に対応する抵抗値の抵抗素子を検出素子と直列に接続することができる。
【0031】
従って、属性の特定前は、比較的大きい抵抗値の抵抗素子を接続することで、検出素子に対して大電流が流れることを防ぐことができるという効果が得られる。また、特定後は、検出素子の属性に応じた抵抗値の抵抗素子として、例えば、検出素子に大電流が流れない範囲で、第1の回路の発振が正常に行われる最低値の抵抗素子を接続する。これにより、検出素子に大電流が流れるのを防ぐことができると共に、抵抗値が小さすぎて発振回路が正常に発振しないなどの不具合が生じるのを防ぐことができるという効果が得られる。
【0032】
また、特定後は、検出素子に大電流が流れない範囲内で且つ第1の回路の発振が正常に行われる範囲内で、特定された属性に対応する検出素子の素子値の変化と、この検出素子を発振用素子としたときの第1の回路の発振周波数との関係が、最も線形となる抵抗値の抵抗素子を接続することも可能である。これにより、検出精度を向上することができるという効果も得られる。
【0033】
〔形態11〕 更に、形態11の測定システムは、形態1乃至10のいずれか1の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信手段は、時刻を測定する時刻測定手段を備え、
前記測定情報生成手段は、前記時刻測定手段で測定した、前記物理特性を検出した時刻の情報を含む測定情報を生成する。
このような構成であれば、測定時刻の情報を含む測定情報を生成することができるので、第2の無線通信装置側で測定時刻の監視等を行うことなく簡易に測定結果の時刻管理を行うことができるという効果が得られる。
【0034】
〔形態12〕 更に、形態13の測定システムは、形態1乃至11のいずれか1の測定システムにおいて、
前記測定情報生成手段は、前記物理特性検出手段でN回(Nは3以上の自然数)連続して検出された前記検出値のn回(nは2≦n<Nの自然数)ごとの移動平均を算出する移動平均算出部を有し、前記物理特性の測定結果として前記移動平均を含む測定情報を生成する。
このような構成であれば、測定結果をn回の測定で得られる検出値の移動平均値としたので、測定結果のデータ量を低減することができ、測定結果の保持に必要なメモリの容量を低減できると共に、測定情報の送信処理を軽減することができるという効果が得られる。
【0035】
〔形態13〕 更に、形態13の測定システムは、形態1乃至12のいずれか1の測定システムにおいて、
前記第1の無線通信手段及び前記第2の無線通信手段は、長波帯の波長の電磁波を用いて無線通信を行う手段である。
このような構成であれば、長波帯の波長(1000〜10000[m])の電磁波信号で第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とがデータ通信を行うことができる。
ここで、電磁波は、アンテナからλ/2π(λは波長)の距離(この距離の範囲内を近傍界という)では、磁界又は電界に支配される。そのため、磁界に支配された電磁波を用いることで、近傍界に存在する水や金属を透過することができる。特に、長波帯の電磁波信号を用いることで、この距離を比較的長くすることができる。
これによって、測定対象物が、水や金属で囲まれた内部などにある場合でも、第1の無線通信装置と第2の無線通信装置とがデータ通信できる状態を確保することができるという効果が得られる。
【0036】
〔形態14〕 一方、上記目的を達成するために、形態14の無線通信装置は、
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置であって、
外部の他の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う無線通信手段と、
前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続する検出素子接続部と、
前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する属性特定手段と、
前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する環境情報測定手段と、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段と、
前記属性特定手段で特定される前記属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応した、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段と、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段と、
前記測定情報生成手段で生成した測定情報を記憶する測定情報記憶手段と、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記測定情報記憶手段に記憶された測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信する測定情報送信手段と、を備える。
このような構成であれば、形態1に記載の第1の無線通信装置と同等の作用及び効果を得ることができる。
【0037】
〔形態15〕 また、上記目的を達成するために、形態15の無線通信装置制御プログラムは、
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置を制御するための無線通信装置制御プログラムであって、
検出素子接続部に接続された、前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子の属性を特定する属性特定手段、
外部の他の無線通信装置から無線でデータの送受信を行う無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段、
補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と環境情報測定手段で測定した前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段、及び、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、測定情報記憶手段に記憶された前記測定情報生成手段で生成した測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信する測定情報送信手段として実現される機能をコンピューターに実行させるためのプログラムを含む。
このような構成であれば、コンピューターにおいてプログラムが実行されると、形態1に記載の第1の無線通信装置と同等の作用及び効果を得ることができる。
【0038】
〔形態16〕 また、上記目的を達成するために、形態16の無線通信装置制御方法は、
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置を制御するための無線通信装置制御方法であって、
属性特定手段に、検出素子接続部に接続された、前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子の属性を特定させる属性特定ステップと、
物理特性検出手段に、外部の他の無線通信装置から無線でデータの送受信を行う無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出させる物理特性検出ステップと、
環境情報測定手段に、前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定させる環境情報測定ステップと、
検出値補正手段に、補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定ステップで特定した属性と環境情報測定ステップで測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出ステップにおいて前記検出素子を用いて検出した検出値を補正させる検出値補正ステップと、
測定情報生成手段に、前記検出値補正ステップで補正した検出値に基づき測定情報を生成させる測定情報生成ステップと、
測定情報記憶手段に、前記測定情報生成ステップで生成した測定情報を記憶させる測定情報記憶ステップと、
測定情報送信手段に、前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記測定情報記憶ステップで記憶した測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信させる測定情報送信ステップとを含む。
このような構成であれば、形態1に記載の第1の無線通信装置と同等の作用及び効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】測定システム1の概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、リーダ・ライタ装置10の詳細な構成を示すブロック図であり、(b)は、データ制御部12の機能構成を示すブロック図である。
【図3】無線タグ20の構成を示すブロック図である。
【図4】環境情報測定部24の詳細な構成を示すブロック図である。
【図5】測定部25の詳細な構成を示すブロック図である。
【図6】第1及び第2の発振回路の一例を示す図である。
【図7】データ制御部23の詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図8】属性特定部23aの詳細な機能構成を示すブロック図である。
【図9】指示情報の送信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図10】修正指示情報の生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図11】初期化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図12】測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図13】測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】測定期間修正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【図15】単発測定時の各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。
【図16】(a)は、環境情報として温度を測定する場合の換算情報の一例を示す図であり、(b)は、換算情報の近似方法の一例を示す図である。
【図17】検出素子100として、歪みゲージを接続した場合の換算情報の一例を示す図である。
【図18】連続測定時の各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。
【図19】連続測定時の測定結果及び測定情報の記憶手順の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図19は、本発明に係る測定システム、無線通信装置、無線通信装置制御プログラム及び無線通信装置制御方法の実施の形態を示す図である。
まず、本発明に係る測定システムの構成を図1に基づき説明する。図1は、本発明に係る測定システム1の概略構成を示すブロック図である。
図1(a)に示すように、測定システム1は、リーダ・ライタ装置10と、第1〜第n(nは2以上の自然数)の無線タグ20_1〜20_nとを含んで構成される。
リーダ・ライタ装置10は、第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nとの間で、ブロードキャスト及びユニキャストで無線通信を行い、第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nの動作を制御する機能を有している。
【0041】
第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nは、外付けで歪ゲージ等の検出素子を接続することができ、接続された検出素子を自動認識する機能、認識した検出素子を用いて測定対象物の物理特性を測定する機能などを有している。以下、第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nを、これらを区別する必要が無い場合に、単に無線タグ20と称する。
測定対象物の物理特性の測定は、例えば、測定対象物が鉄筋コンクリートの柱を形成する鉄筋であり、その応力変化を、検出素子として歪ゲージを用いて測定する場合に、図1(b)に示すように、歪ゲージを接続した無線タグ20を鉄筋の応力を測定可能な状態で柱内に埋設等することで行われる。
【0042】
次に、図2(a)に基づき、リーダ・ライタ装置10の詳細な構成を説明する。
ここで、図2(a)は、リーダ・ライタ装置10の詳細な構成を示すブロック図である。
図2(a)に示すように、リーダ・ライタ装置10は、操作部11と、データ制御部12と、無線通信部13と、コイルアンテナ14と、データ記憶部15と、表示部16とを含んで構成される。
【0043】
操作部11は、利用者がリーダ・ライタ装置10に指示を与えるための操作をするもので、コントロールパネル、キーボード、マウスなどのユーザーインターフェースを備えている。
データ制御部12は、各構成要素の動作制御や各種演算処理を行うためのプロセッサーと、該プロセッサーがプログラムを実行するのに必要なデータ等を一時記憶するRAMとを含むコンピューターシステムを備えている。
【0044】
また、上記各構成要素は、データを転送するための信号線であるバスでデータ制御部12のプロセッサーと相互にかつデータ授受可能に接続されている。
そして、データ制御部12は、データ記憶部15又は専用のROM等に記憶された専用のプログラムを実行して、各構成要素の動作制御処理、操作部11の操作入力に応じた各種指示情報の送信処理、受信した測定情報の記憶処理及び解析処理、修正指示情報の生成処理などを行う機能を有している。
【0045】
無線通信部13は、波長1000〜10000[m](周波数にして30〜300[kHz])の長波帯の電磁波を搬送波として用いた双方向の無線通信を行う機能を有したものである。例えば、周波数が130[kHz]の信号を用いて無線通信を行う。これにより、近傍界の範囲において、信号が水や金属などの物体を透過することができる。
具体的に、送信データをデジタル変調(例えば、ASK(Amplitude Shift Keying)変調)によって変調してコイルアンテナ14を介して長波帯の電磁波を搬送波を用いて送信する機能を有している。更に、長波帯の電磁波を搬送波として搬送されたデジタル変調されたデータをコイルアンテナ14を介して受信し、受信したデータを復調する機能を有している。
【0046】
コイルアンテナ14は、リーダ・ライタ装置10と測定対象物に配設された無線タグ20との間で、所望の通信距離において正常に無線通信できるように設計された径と巻き数とを有したアンテナである。なお、コイルアンテナに限らず、他の種類のアンテナを用いる構成としてもよい。
データ記憶部15は、リーダ・ライタ装置10の各構成要素の動作を制御するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータ、無線タグ20から受信した測定情報などを記憶するメモリを有したものである。
表示部16は、液晶ディスプレイ等の表示装置を含んで構成され、コントロールメニューや、メッセージ、各種情報の内容などを表示するものである。
【0047】
次に、図2(b)に基づき、データ制御部12の機能構成について説明する。
ここで、図2(b)は、データ制御部12の機能構成を示すブロック図である。
データ制御部12の機能構成は、指示情報送信部12aと、受信データ処理部12bと、修正指示情報生成部12cとを含んで構成される。
指示情報送信部12aは、操作部11を介した利用者からの操作入力に応じて、初期化指示情報、設定指示情報、測定指示情報、送信指示情報、修正指示情報などの各種指示情報を、無線通信部13に送信させる機能を有している。
【0048】
ここで、初期化指示情報は、無線タグ20に初期化動作を行わせるための指示情報であり、設定指示情報は、無線タグ20に物理特性の測定期間(以下、物理特性測定期間と称す)を、指定した期間に設定させるための指示情報である。また、測定指示情報は、無線タグ20に、物理特性の測定を開始させるための指示情報であり、送信指示情報は、無線タグ20に測定した物理特性の測定情報を送信させるための指示情報である。また、修正指示情報は、無線タグ20に、その無線タグ20に設定されている物理特性測定期間を修正させるための指示情報である。
【0049】
本実施形態では、各種指示情報は、パケットベースで生成された固定長のデータとして無線タグに送信される。そして、送信指示情報は第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nの個々に対してユニキャストで送信され、それ以外の指示情報は、利用者からの指示に応じて、通信範囲内に存在する第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nの全てに対してブロードキャスト又は各無線タグ20に対してユニキャストで送信される。従って、データ記憶部15には、第1〜第nの無線タグ20_1〜20_nの個々を識別するための各無線タグに固有のIDと、全ての無線タグに同報するためのブロードキャストIDとが記憶されている。また、各無線タグ20には、各々の固有IDと、ブロードキャストIDとが記憶されている。
【0050】
受信データ処理部12bは、無線タグ20から無線通信部13を介して受信した測定情報を、無線タグ20の固有のIDまたは各IDに対応した測定対象物の識別情報ごとに、データ記憶部15に記憶する機能を有している。
修正指示情報生成部12cは、データ記憶部15に記憶された測定情報を解析して、測定情報に含まれる、桁溢れ情報、カウント回数に係る情報、無線タグ20の備えるカウンターの桁数の情報などに基づき、修正指示情報を生成する機能を有している。
本実施の形態において、カウント回数に係る情報は、測定を単発で行った場合は、その測定時のカウント回数となり、測定を連続で行った場合は、連続測定時の所定数のカウント回数の平均値となる。
【0051】
具体的に、修正指示情報生成部12cは、桁溢れが発生しているときは、測定時のカウント回数が減少するように、現在設定されている物理特性測定期間を予め設定された所定期間だけ短くする指示内容を含む第1の修正指示情報を生成する。また、修正指示情報生成部12cは、測定値に対応するカウント回数又はその平均値と、無線タグ20の備えるカウンターの桁数から設定される閾値とを比較する。そして、カウント回数又はその平均値が閾値以下のときに、カウンター回数に余裕があるとして、測定時のカウント回数が増加するように現在設定されている物理特性測定期間を予め設定された所定期間だけ長くする指示内容を含む第2の修正指示情報を生成する。
【0052】
次に、図3〜図8に基づき、無線タグ20の詳細な構成を説明する。
ここで、図3は、無線タグ20の構成を示すブロック図である。また、図4は、環境情報測定部24の詳細な構成を示すブロック図である。また、図5は、測定部25の詳細な構成を示すブロック図である。また、図6は、第1及び第2の発振回路の一例を示す図である。また、図7は、データ制御部23の詳細な機能構成を示すブロック図である。また、図8は、属性特定部23aの詳細な機能構成を示すブロック図である。
【0053】
図3に示すように、無線タグ20は、コイルアンテナ21と、無線通信部22と、データ制御部23と、環境情報測定部24と、測定部25と、データ記憶部26と、水晶発振回路27と、カウンター28と、時刻測定部29とを含んで構成される。また、測定部25の検出素子接続部25dには、測定対象物の物理特性を検出する検出素子100が接続される。また、図示していないが、無線タグ20は、電池で駆動するため、電池(1次電池又は2次電池)と、電池の電力を各構成要素に供給する電源回路とを備えている。また、電池として2次電池を採用する場合は、充電回路を備える構成としてもよい。
【0054】
コイルアンテナ21は、リーダ・ライタ装置10との間で、所望の通信距離において正常に無線通信できるように設計された径と巻き数を有したアンテナである。なお、コイルアンテナに限らず、他の種類のアンテナを用いる構成としてもよい。
無線通信部22は、波長1000〜10000[m](周波数にして30〜300[kHz])の長波帯の電磁波を搬送波として用いた双方向の無線通信を行う機能を有したものである。本実施の形態では、リーダ・ライタ装置10の無線通信部13と同様の周波数帯の信号を用いて無線通信を行う。
【0055】
無線通信部22は、上記無線通信部13と同様に、送信データをデジタル変調(例えば、ASK変調)によって変調してコイルアンテナ21を介して送信する機能と、コイルアンテナ21を介して受信したデジタル変調された受信データを復調する機能とを有している。
データ制御部23は、各構成要素の動作制御や各種演算処理を行うためのプロセッサーと、該プロセッサーがプログラムを実行するのに必要なデータ等を一時記憶するRAMとを含むコンピューターシステムを備えている。
【0056】
また、上記各構成要素は、データを転送するための信号線であるバスでデータ制御部23のプロセッサーと相互にかつデータ授受可能に接続されている。
そして、データ制御部23は、データ記憶部26に記憶された専用のプログラムを実行して、各構成要素の動作制御処理、各種指示情報に応じた処理を行う機能を有している。
具体的に、データ制御部23は、専用のプログラムの実行によって、環境情報測定部24及び測定部25で測定されたカウント値をそれぞれ対応する値に換算する機能、検出素子接続部25dに接続された検出素子100の属性を特定する機能、物理特性測定期間を設定する機能、物理特性測定期間を修正する機能、測定情報を生成する機能、測定情報を送信する機能などを実現する。
【0057】
環境情報測定部24は、温度や湿度などの測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する機能を有している。
測定部25は、検出素子100を発振用素子とした場合の所定時間のカウント値と、基準素子を発振用素子とした場合の所定時間のカウント値とを測定する機能などを有している。
データ記憶部26は、各構成要素の動作制御や各種演算処理を行うための専用のプログラム、プログラムの実行に必要な各種データを記憶する記憶媒体を有したものである。
【0058】
具体的に、データ記憶部26には、環境情報測定部24の各種環境に対するカウント値(環境カウント値)を各種環境情報に換算する換算情報が記憶されている。
例えば、環境情報の1つとして温度を測定するためのサーミスタを有している場合は、サーミスタを発振用素子として発振させた発振回数を温度へと換算する温度換算情報が記憶される。
更に、物理特性測定期間の長さ、環境情報の示す各状態及び各種検出素子100の属性に対応する測定部25の物理特性に対するカウント値を測定対象の検出値に換算する換算情報がデータ記憶部26に記憶されている。
【0059】
例えば、検出素子100として120Ω型、350Ω型、1kΩ型などの各型式の歪ゲージを接続する場合は、環境情報の示す各状態及び各型式に対応した、歪ゲージを発振用素子として発振させた発振回数を、測定対象の応力値に換算する応力換算情報がデータ記憶部26に記憶される。
更に、測定部25の各種基準素子に対応する環境情報に対する補正情報、測定部25の補正抵抗群の各補正抵抗の抵抗値の情報、検出素子100の各型式に対応する補正抵抗の情報などが記憶されている。
【0060】
例えば、検出素子100として歪みゲージが接続される場合は、測定部25は、基準素子として、基準抵抗素子を有することとなる。従って、この場合は、少なくとも、基準抵抗素子の抵抗値の情報、基準抵抗素子の環境情報に対する補正情報、歪みゲージの各型式に対応する補正抵抗の情報がデータ記憶部26に記憶される。
水晶発振回路27は、発振用素子として水晶発振子を含んだ発振回路であり、その発振回数を基準として、他のカウンターのカウント期間が制御される。
【0061】
カウンター28は、設定された各種測定期間に応じて水晶発振回路27の発振出力を分周して測定期間(インターバル)を決定するトリガ信号を生成する機能と、各種分周した信号を、測定部25、環境情報測定部24、時刻測定部29などに供給する機能とを有している。
時刻測定部29は、カウンター28から入力される信号に基づき、時刻を測定する機能を有している。つまり、時計としての機能を有している。
【0062】
次に、図4に基づき、環境情報測定部24の詳細な構成について説明する。
図4に示すように、環境情報測定部24は、第1の発振回路24aと、カウンター24cと、検出素子24bとを含んで構成される。
第1の発振回路24aは、検出素子24bを発振用素子として構成される発振回路である。本実施の形態において、検出素子24bは、測定情報を測定可能な抵抗変化型の素子又は容量変化型の素子であり、第1の発振回路24aは、検出素子24bを発振用素子としたCR発振回路を構成する。
【0063】
検出素子24bは、測定環境の状態を測定するセンサ素子であって、例えば、周囲の温度を検出するサーミスタや、周囲の湿度を検出する湿度センサなどが該当する。
カウンター24cは、カウンター制御信号に応じて、第1の発振回路24aの発振回数をカウントするカウンター回路である。カウンター制御信号は、例えば、測定開始タイミング(トリガ)又は終了タイミングに応じてカウンター値をリセットする信号である。このことは、以降で説明するカウンター制御信号についても同様である。
【0064】
次に、図5に基づき、測定部25の詳細な構成について説明する。
図5に示すように、測定部25は、第2の発振回路25aと、カウンター25bと、基準素子25cと、検出素子接続部25dと、抵抗切替部25eと、補正抵抗素子群25fと、接続切替部25gとを含んで構成される。
第2の発振回路25aは、接続切替部25gを介して接続される基準素子25c又は検出素子100を発振用素子として発振する発振回路である。本実施の形態において、検出素子100は、抵抗変化型の素子又は容量変化型の素子であり、基準素子25cは、検出素子100と同種の素子となる。そして、本実施の形態において、第2の発振回路25aは、検出素子100又は基準素子25cを発振用素子としたCR発振回路を構成する。
【0065】
カウンター25bは、外部からのカウンター制御信号に応じて、第2の発振回路25aの発振回数をカウントするカウンター回路である。
基準素子25cは、検出素子100と同種の素子であって、抵抗変化型及び容量変化型の両方の検出素子100に対応する場合は、基準抵抗素子及び基準容量素子を含んで構成される。基準素子25cは、接続切替部25gによって、検出素子100の種類に対応したものが選択されて第2の発振回路25aに接続される。
検出素子接続部25dは、検出素子100を無線タグ20に接続するコネクターである。抵抗変化型及び容量変化型の両方の検出素子100に対応する場合は、それぞれに対応するコネクト部を有する。
【0066】
抵抗切替部25eは、補正抵抗素子群25fの補正抵抗素子のうち、抵抗切替信号に応じた抵抗値の補正抵抗を、第2の発振回路25aと検出素子接続部25dとの間に直列に接続する機能を有した回路である。つまり、検出素子接続部25dに検出素子100が接続されている場合は、検出素子100と第2の発振回路25aとの間に補正抵抗が直列に接続されることになる。但し、接続切替部25gが、第2の発振回路25aに対して基準素子25cを接続する状態のときは、直列接続された補正抵抗と第2の発振回路25aとが通電しないようになっている。
【0067】
補正抵抗素子群25fの各補正抵抗は、第1に、検出素子100を発振用素子としたときに、第2の発振回路25aの抵抗成分が小さくなりすぎて、有限の能力しかない第2の発振回路25aが駆動しきれなくなり発振しなくなることを防ぐ働きを有する。第2に、第2の発振回路25a側から検出素子100に流れる電流量を制御する働きを有し、第3に、特定された属性に対応した検出素子100の素子値の変化と、検出素子100を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの発振周波数との関係が線形となるように補正する働きを有する。
接続切替部25gは、接続切替信号に応じて第2の発振回路25aに接続する発振用素子を基準素子25cのいずれかの素子か又は検出素子100に切り替える機能を有した回路である。
【0068】
次に、図6に基づき、第1の発振回路24a及び第2の発振回路25aの回路構成例を説明する。
第1の発振回路24a及び第2の発振回路25aは同様の構成を有しており、これらに共通の発振回路として、図6に示すように、例えば、オペアンプを用いたCR発振回路(ウィーンブリッジ発振回路)を構成することができる。外部接続される基準素子や検出素子は、例えば、図6中のC2又はR2となる。つまり、検出素子が抵抗変化型の素子ならR2、容量変化型の素子ならC2として接続されることになる。
なお、図6の回路において、発振周波数ω0は、「ω0=1/(R1・R2・C1・C2)1/2」となる。ここで、検出素子100及び基準素子25cが、例えば、R2として接続される場合は、R1、C1及びC2は、予め設定された値の素子が接続される。従って、検出素子100及び基準素子25cの両者の発振回数のカウント値の比率から、検出素子100及び基準素子25cの素子値の大きさの比率が解る。
【0069】
次に、図7に基づき、データ制御部23の詳細な機能構成について説明する。
図7に示すように、データ制御部23の機能構成は、属性特定部23aと、測定期間設定部23bと、測定指示部23cと、換算部23dと、測定情報生成部23eと、測定情報送信部23fと、測定期間修正部23gとを含んで構成される。
属性特定部23aは、リーダ・ライタ装置10から受信した初期化指示情報に応じて、環境情報測定部24に、検出素子24bを発振用素子とした第1の発振回路24aの所定時間の発振回数をカウントさせる動作制御を実行する機能を有している。具体的に、予め設定された環境情報を測定する際の測定期間である環境測定期間に基づき、カウンター制御信号を環境情報測定部24のカウンター24cに送信して、設定された環境測定期間の発振回数をカウントする。
【0070】
更に、属性特定部23aは、測定部25に、検出素子接続部25dに接続された検出素子100と同種の基準素子を発振用素子とした第2の発振回路25aの所定時間の発振回数をカウントさせる動作制御を実行する機能を有している。具体的に、予め設定された、属性を特定する際の測定期間である属性測定期間に基づき、カウンター制御信号を測定部25のカウンター25bに送信して、設定された属性測定期間の発振回数をカウントさせ、そのカウント値を取得する。
【0071】
更に、属性特定部23aは、測定部25に、検出素子接続部25dに接続された検出素子100を発振用素子とした第2の発振回路25aの所定時間の発振回数をカウントさせる動作制御を実行する機能を有している。具体的に、基準素子25cを発振用素子としたときと同様の属性測定期間に基づき、カウンター制御信号を測定部25のカウンター25bに送信して、設定された属性測定期間の発振回数をカウントさせ、そのカウント値を取得する。また、本実施形態では、基準素子25c及び検出素子100に対して共通の第2の発振回路25aを用いているため、基準素子25cのカウント値の取得後に、基準素子25cから検出素子100に接続を切り替える切替信号を測定部25の接続切替部25gに送信する。
【0072】
更に、属性特定部23aは、取得したカウント値に基づき、検出素子100の属性を特定する機能を有している。具体的に、カウント値の比率と基準素子の素子値とから検出素子100の素子値を算出し、その算出した素子値と、データ記憶部26に記憶された各属性に係る情報と比較して属性を特定する。
なお、上記基準素子25c及び検出素子100に対する属性測定期間のカウント処理は、水晶発振回路27の発振出力をカウンター28で分周することで生成されるトリガ信号に基づき制御される。
【0073】
測定期間設定部23bは、リーダ・ライタ装置10から受信した設定指示情報に応じて、設定指示情報で指定された測定期間を、物理特性の測定時の物理特性測定期間として設定する機能を有している。具体的に、期間設定用のメモリを有しており、そのメモリに物理特性測定期間を記憶する。本実施の形態では、水晶発振回路27の発振回数、即ちカウンター28のカウント回数によって設定される。
【0074】
測定指示部23cは、リーダ・ライタ装置10から受信した測定指示情報に応じて、測定部25に、測定期間設定部23bで設定された物理特性測定期間における物理特性を測定させる動作制御を実行する機能を有している。本実施の形態では、設定された物理特性測定期間で1回のみ測定を実行させる単発測定指示と、設定された物理特性測定期間で連続して繰り返し測定を実行させる連続測定指示とが指示可能になっている。具体的に、設定された物理特性測定期間における検出素子100を発振用素子とした第2の発振回路25aの発振回数をカウントさせるカウンター制御信号を測定部25のカウンター25bに送信する。ここで、単発測定指示の場合は、カウンター制御信号を1回分のみ送信し、連続測定指示の場合は、各回の測定タイミングに合わせてカウンター制御信号を繰り返し送信する。
【0075】
換算部23dは、属性特定部23aから環境情報に対するカウント値を取得し、データ記憶部26からカウント値を環境情報に換算する換算情報を取得し、カウント値を環境情報を示す値に換算する機能を有している。
更に、換算部23dは、測定指示部23cからの指示に応じて測定されたカウント値を測定部25から取得し、時刻測定部29から時刻情報(タイムスタンプ)を取得し、属性特定部23aから特定された属性の情報を取得し、データ記憶部26から、属性の特定時に測定された環境情報を取得する。そして、特定された属性及び取得した環境情報に対応する換算情報をデータ記憶部26から取得し、取得した換算情報に基づきカウント値を検出値へと換算する機能を有している。
【0076】
更に、換算部23dは、単発測定の場合に、検出値に対応するカウンター25bのカウント値と換算した検出値とタイムスタンプと環境情報とを測定結果として測定情報生成部23eに出力する機能を有している。
更に、換算部23dは、連続測定の場合に、検出値に対応するカウント値と換算した検出値とタイムスタンプと環境情報とを含む測定結果をデータ記憶部26の記憶領域である測定結果レジスタに記憶する機能を有している。本実施の形態では、測定結果レジスタの個数が決まっており、連続測定時に最大個数を超えた測定結果は、最も古くに測定された測定結果の格納された測定結果レジスタに上書きする構成となっている。
【0077】
更に、換算部23dは、測定部25の有するカウンターが桁溢れとなった場合は、桁溢れ情報とタイムスタンプとを含むデータを測定結果としてデータ記憶部26の測定結果レジスタに格納する機能を有している。
測定情報生成部23eは、換算部23dから単発測定に対応する測定結果を取得し、カウント値と、検出値と、この検出値に対応するタイムスタンプ及び環境情報とに、カウンター25bの桁数の情報を対応付けて測定情報を生成する機能を有している。
【0078】
更に、測定情報生成部23eは、データ記憶部26に記憶された、連続測定に対応する測定結果レジスタの個数分の測定結果を、測定を1回行って測定結果レジスターに記憶するごとに取得し、取得した複数の測定結果に含まれる複数の検出値から移動平均値を算出する機能を有している。
更に、測定情報生成部23eは、複数の検出値にそれぞれ対応するカウント値の平均値を算出し、算出したカウント値の平均値と、算出した移動平均値と、最新の検出値に対応するタイムスタンプ及び環境情報とに、カウンター25bの桁数の情報を対応付けて測定情報を生成する機能を有している。
【0079】
更に、測定情報生成部23eは、生成した測定情報を、データ記憶部26の有する記憶領域である、測定情報レジスタに格納する機能を有している。なお、本実施の形態において、測定情報レジスタも個数が決まっており、測定結果レジスタと同様に古い物から順に上書きされる構成となっている。
また、測定情報生成部23eは、取得した測定結果に、1つでも桁溢れ情報が含まれている場合は、移動平均値やカウント値の平均値を算出せずに、桁溢れ情報と、最新の検出値に対応するタイムスタンプ及び環境情報とを対応付けて測定情報を生成する機能を有している。
【0080】
測定情報送信部23fは、リーダ・ライタ装置10から受信した送信指示情報に応じて、データ記憶部26に記憶された測定情報を、リーダ・ライタ装置10に送信する機能を有している。
測定期間修正部23gは、リーダ・ライタ装置10から受信した修正指示情報に応じて、現在設定されている物理特性測定期間を修正する機能を有している。具体的に、第1の修正指示情報の場合は、その修正指示情報で指定された期間だけ、物理特性測定期間を短くする修正を行う。また、第2の修正指示情報の場合は、その修正指示情報で指定された期間だけ、物理特性測定期間を長くする修正を行う。本実施の形態では、カウンター28における、水晶発振回路27の発振出力のカウント回数(発振信号のエッジのカウント回数)を、第1の修正指示情報の場合は減少させ、第2の修正指示情報の場合は増加させる処理となる。
【0081】
次に、図8に基づき、属性特定部23aの詳細な機能構成について説明する。
図8に示すように、属性特定部23aは、切替信号出力部40と、カウンター制御信号出力部41と、カウント値取得部42と、比率算出部43と、素子値算出部44と、素子値補正部45と、属性選択部46とを含んで構成される。
切替信号出力部40は、カウンター28からの各測定期間に応じたトリガ信号に応じて、基準素子と第2の発振回路25aとを接続させる接続切替信号を送信する機能と、検出素子100と第2の発振回路25aとを接続させる接続切替信号を送信する機能とを有している。具体的に、カウンター制御信号出力部41の動作と同期して動作し、現在、第2の発振回路25aに接続されている素子を、基準素子又は検出素子100へと接続を切り替える信号を出力する。
【0082】
カウンター制御信号出力部41は、カウンター28からの各測定期間に応じたトリガ信号に応じて、カウンター24c及びカウンター25bに対して、カウント値をリセットする信号を出力する機能を有している。
カウント値取得部42は、環境情報の検出用の検出素子24bを発振用素子としたときの第1の発振回路24aの環境測定期間における発振回数をカウンター24cでカウントした環境カウント値を取得して、換算部23dに送信する機能を有している。更に、基準素子を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの属性測定期間における発振回数をカウンター25bでカウントした第1のカウント値を取得してデータ記憶部26に記憶する機能を有している。更に、検出素子100を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの属性測定期間における発振回数をカウンター25bでカウントした第2のカウント値を取得してデータ記憶部26に記憶する機能を有している。
【0083】
比率算出部43は、データ記憶部26に記憶された第1のカウント値と、第2のカウント値との比率を算出する機能を有している。
素子値算出部44は、比率算出部43で算出した比率と、データ記憶部26に記憶された基準素子の素子値とに基づき、検出素子100の素子値(以下、検出素子値と称す)を算出する機能を有している。
素子値補正部45は、基準素子及び環境情報に対応する補正情報を、データ記憶部26から取得し、取得した補正情報に基づき、検出素子値を補正する機能を有している。例えば、検出素子100が歪みゲージであり、環境情報が温度情報であり、基準素子が抵抗素子であり、補正情報が温度係数である場合に、検出素子値(抵抗値となる)を温度係数と測定した温度とに基づき補正する処理となる。
【0084】
属性選択部46は、素子値補正部45で補正した検出素子値に基づき、データ記憶部26に記憶された複数種類の属性の中から、検出素子接続部25dに接続された検出素子100の属性を選択する機能を有している。この選択した属性が検出素子100の属性として特定され、この情報がデータ記憶部26の専用のレジスタに格納される。
例えば、検出素子100が歪みゲージであれば、補正後の検出素子値(抵抗値)に最も近い値の歪みゲージの型式を選択する処理となる。例えば、歪みゲージには、120Ω型、350Ω型、1kΩ型などの型式があるので、補正後の検出素子値が119Ωであれば、属性として120Ω型を選択する。
【0085】
なお、検出素子値が、想定範囲外の値となったときは、「接続不良かサポートしていないタイプの検出素子の接続が疑われる」としてリジェクトする。本実施の形態では、図示しないが、自動認識ができた場合は緑色LEDを点灯し、自動認識ができなかった場合は赤色LEDを点灯するように構成する。後者の場合は、例えば、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報などの受信に応じてエラーを返信するようにする。
【0086】
次に、図9に基づき、リーダ・ライタ装置10の指示情報送信部12aにおける指示情報の送信処理の流れを説明する。ここで、図9は、指示情報の送信処理の流れの一例を示すフローチャートである。
指示情報送信部12aにおいて、指示情報の送信処理が開始されると、図9に示すように、まず、ステップS100に移行して、操作部11を介した指示入力に応じて、初期化指示が入力されたか否かを判定する。そして、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS104に移行する。
【0087】
ステップS102に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、初期化指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
一方、ステップS104に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、測定指示が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS112に移行する。
【0088】
ステップS106に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、測定指示は、単発測定指示か否かを判定し、単発測定指示である場合(Yes)は、ステップS108に移行し、単発測定指示ではなく連続測定指示である場合(No)は、ステップS110に移行する。
なお、連続測定指示においては、連続回数を指定できるようにしてもよい。
ステップS108に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、単発測定指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
【0089】
一方、ステップS110に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、連続測定指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
また、ステップS104において、測定指示が入力されずにステップS112に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、物理特性測定期間の設定指示が入力されたか否かを判定する。そして、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS114に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS116に移行する。
【0090】
ステップS114に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、指定された物理特性測定期間の情報を含む設定指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
一方、ステップS116に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、物理特性測定期間の修正指示が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS118に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS120に移行する。
【0091】
ステップS118に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、指定された修正内容の情報を含む修正指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
また、ステップS120に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、送信指示情報が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS122に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS100に移行する。
【0092】
なお、初期化指示情報、単発測定指示情報、連続測定指示情報、設定指示情報及び修正指示情報は、基本は通信範囲内の全ての無線タグ20にブロードキャストで送信するが、利用者からの指示に応じて、指定されたIDの無線タグ20にユニキャスト又はマルチキャストで送信することもできる。
ステップS122に移行した場合は、指示情報送信部12aにおいて、無線通信部13及びコイルアンテナ14を介して、送信指示情報を無線タグ20に送信する処理を実行して、ステップS100に移行する。
なお、送信指示情報は、通信範囲内に存在する指定された各無線タグ20にユニキャストで順に送信される。
【0093】
次に、図10に基づき、リーダ・ライタ装置10の修正指示情報生成部12cにおける修正指示情報の生成処理の流れを説明する。ここで、図10は、修正指示情報の生成処理の流れの一例を示すフローチャートである。
修正指示情報生成部12cにおいて、修正指示情報の生成処理が開始されると、図10に示すように、まず、ステップS200に移行し、受信データ処理部12bによって測定情報がデータ記憶部15に記憶されたか否かを判定する。そして、記憶されたと判定した場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでない場合(No)は、記憶されるまで判定処理を繰り返す。この判定処理は、1つの測定情報に限らず、所定量の測定情報が記憶されたか否かを判定してもよい。
【0094】
ステップS202に移行した場合は、修正指示情報生成部12cにおいて、データ記憶部15から測定情報を取得して、ステップS204に移行する。
ステップS204では、修正指示情報生成部12cにおいて、測定情報を解析して、ステップS206に移行する。具体的に、解析は、測定情報に含まれる桁溢れ情報又はカウント回数に係る情報の抽出処理となる。
ステップS206では、修正指示情報生成部12cにおいて、ステップS204の解析結果に基づき、測定情報が桁溢れ情報を含むか否かを判定し、含むと判定した場合(Yes)は、ステップS208に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS212に移行する。
【0095】
ステップS208に移行した場合は、修正指示情報生成部12cにおいて、第1の修正指示情報を生成し、生成した第1の修正指示情報をデータ記憶部15に記憶して、ステップS210に移行する。
ステップS210では、修正指示情報生成部12cにおいて、桁溢れが発生していることを示すメッセージを表示部16に表示させて、ステップS200に移行する。
【0096】
一方、ステップS206において、桁溢れ情報を含まずステップS212に移行した場合は、修正指示情報生成部12cにおいて、測定時のカウント回数(又はその平均値)と閾値とを比較して、カウント回数が閾値以下か否かを判定する。そして、閾値以下と判定した場合(Yes)は、ステップS214に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS200に移行する。ここで、閾値は、測定情報に含まれるカウンター25bの桁数の情報から設定される。例えば、最大桁数で表現される最大値の70%の値を閾値に設定する。例えば、カウンター25bが16ビットのカウンターであれば、桁数5桁で最大値は「65536」となる。従って、「65536」の約70%の値である「45875」を閾値に設定して、この閾値とカウント値とを比較する。
【0097】
ステップS214に移行した場合は、修正指示情報生成部12cにおいて、第2の修正指示情報を生成し、生成した第2の修正指示情報をデータ記憶部15に記憶して、ステップS216に移行する。
ステップS216では、修正指示情報生成部12cにおいて、カウンター25bの桁数に余裕があることを示すメッセージを表示部16に表示させて、ステップS200に移行する。
【0098】
次に、図11に基づき、無線タグ20のデータ制御部23における初期化処理の流れを説明する。ここで、図11は、初期化処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、ステップS300に移行して、データ制御部23において、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報を受信したか否かを判定する。そして、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS302に移行し、そうでない場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
【0099】
ステップS302に移行した場合は、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、環境測定カウント処理を実行して、ステップS304に移行する。
環境測定カウント処理は、属性特定部23aのカウンター制御信号出力部41からのカウンター制御信号によって、環境情報測定部24のカウンター24cを制御して、第1の発振回路24aの環境測定期間における発振回数をカウントさせる処理となる。
ステップS304では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS302の環境測定カウント処理でカウントさせたカウント値である環境カウント値をカウンター24cから取得して、ステップS306に移行する。
【0100】
具体的に、属性特定部23aにおいて、カウンター24cから環境測定期間における第1の発振回路24aの発振回数をカウントした環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する処理となる。
ステップS306では、データ制御部23の換算部23dにおいて、属性特定部23aから取得した環境カウント値を、データ記憶部26に記憶された換算情報に基づいて環境情報へと換算して、ステップS308に移行する。
具体的に、環境カウント値を、このカウント値と環境情報との関係を示す換算情報に基づき環境情報を示す値へと換算する処理となる。例えば、検出素子24bが、サーミスタであれば、サーミスタを発振用素子としたときの第1の発振回路24aの環境カウント値と温度との関係を示す換算情報に基づき換算を行う。
【0101】
ステップS308では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、検出素子接続部25dに接続された検出素子100と同種の基準素子25cに対して、第1のカウント処理を実行して、ステップS310に移行する。
第1のカウント処理は、属性特定部23aの切替信号出力部40、カウンター制御信号出力部41及びカウント値取得部42によって、測定部25のカウンター25b及び接続切替部25gを制御して行われる処理である。具体的に、切替信号出力部40の切替信号によって接続切替部25gを制御して、検出素子100と同種の基準素子25cを第2の発振回路25aの発振用素子として接続する。そして、接続した基準素子を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの属性測定期間における発振回数をカウンター25bにカウントさせる処理となる。
【0102】
ステップS310では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS308の第1のカウント処理によってカウントされたカウント値である第1のカウント値を取得して、ステップS312に移行する。
具体的に、属性特定部23aのカウント値取得部42において、カウンター25bから第1のカウント値を取得し、取得した第1のカウント値をデータ記憶部26に記憶する処理となる。
【0103】
ステップS312では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、第1のカウント処理が終了したか否かを判定する。そして、終了したと判定した場合(Yes)は、ステップS314に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS308に移行する。
ステップS314に移行した場合は、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、第2のカウント処理を実行して、ステップS316に移行する。
【0104】
第2のカウント処理は、検出素子接続部25dに接続された検出素子100を発振用素子とした第2の発振回路25aの属性測定期間における発振回数をカウンター25bにカウントさせる処理となる。
ステップS316では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS314の第2のカウント処理によってカウントされたカウント値である第2のカウント値を取得して、ステップS318に移行する。
具体的に、属性特定部23aのカウント値取得部42において、カウンター25bから第2のカウント値を取得し、取得した第2のカウント値をデータ記憶部26に記憶する処理となる。
【0105】
ステップS318では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、データ記憶部26に記憶された各基準素子に対応する第1のカウント値と第2のカウント値との比率を算出して、ステップS320に移行する。具体的に、属性特定部23aの比率算出部43において行われる処理となる。例えば、第1のカウント値をCnAとし、第2のカウント値をCnBとした場合に、比率RAは「RA=CnB/CnA」となる。
【0106】
ステップS320では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS318の算出結果と、データ記憶部26に記憶された基準素子の素子値とに基づき、検出素子100の検出素子値を算出して、ステップS322に移行する。具体的に、属性特定部23aの素子値算出部44において行われる処理となる。例えば、基準素子の素子値に比率RAを乗算した値が検出素子値となる。
【0107】
ステップS322では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、データ記憶部26に記憶された、環境情報と、基準素子に対応する補正情報とに基づき、ステップS320で算出した検出素子値を補正して、ステップS324に移行する。
具体的に、属性特定部23aの素子値補正部45において行われる処理となる。
ステップS324では、データ制御部23の属性特定部23aにおいて、ステップS322で補正した検出素子値に基づき、検出素子の属性を特定して、ステップS300に移行する。
具体的に、属性特定部23aの属性選択部46において、データ記憶部26に記憶された検出素子100の各型式の情報の中から、補正した検出素子値に対応する型式を選択し、選択した型式の情報を検出素子100の属性としてデータ記憶部26に記憶する処理となる。
【0108】
次に、図12に基づき、データ制御部23における測定処理の流れについて説明する。ここで、図12は、測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12に示すように、まず、ステップS400に移行して、データ制御部23において、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10からの測定指示情報を受信したか否かを判定する。そして、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS402に移行し、そうでない場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
【0109】
ステップS402に移行した場合は、データ制御部23の測定指示部23cにおいて、受信した測定指示情報に含まれる測定指示が連続測定の指示か否かを判定する。そして、連続測定の指示であると判定した場合(Yes)は、ステップS404に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS428に移行する。
ステップS404に移行した場合は、測定指示部23cにおいて、環境測定カウント処理を実行して、ステップS406に移行する。
環境測定カウント処理は、測定指示部23cからのカウンター制御信号によって、環境情報測定部24のカウンター24cを制御して、第1の発振回路24aの環境測定期間における発振回数をカウントさせる処理となる。
【0110】
ステップS406では、測定指示部23cにおいて、ステップS404の環境測定カウント処理でカウントさせたカウント値である環境カウント値をカウンター24cから取得して、ステップS408に移行する。
具体的に、測定指示部23cにおいて、カウンター24cから環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する処理となる。
ステップS408では、データ制御部23の換算部23dにおいて、測定指示部23cから取得した環境カウント値を、データ記憶部26に記憶された換算情報に基づいて環境情報へと換算して、ステップS410に移行する。
ステップS410では、測定指示部23cにおいて、第3のカウント処理を実行して、ステップS412に移行する。
【0111】
第3のカウント処理は、測定指示部23cにおいて、各種接続切替信号及びカウンター制御信号によって、属性の特定された検出素子100を発振用素子としたときの第2の発振回路25aの、予め設定された物理特性測定期間における発振回数をカウンター25bにカウントさせる処理となる。具体的に、まず、属性が特定されているので、抵抗切替信号を抵抗切替部25eに供給して、補正抵抗素子群25fのうち、特定した属性に最適な補正抵抗が直列接続されるように接続を切り替える。次に、カウンター制御信号によって、カウンター25bを制御して、設定された物理特性測定期間における第2の発振回路25aの発振回数をカウントさせる。このとき、第2の発振回路25aに検出素子100が接続されていない場合は、接続切替信号を接続切替部25gに供給して、検出素子100を接続する。
【0112】
ステップS412では、測定指示部23cにおいて、ステップS412でカウントしたカウント値である第3のカウント値をカウンター25bから取得し、取得した第3のカウント値を換算部23dに出力して、ステップS414に移行する。
ステップS414では、換算部23dにおいて、時刻測定部29から時刻情報を取得して、ステップS416に移行する。
【0113】
ステップS416では、換算部23dにおいて、測定指示部23cから取得した第3のカウント値を、データ記憶部26に記憶された、特定された属性及び測定された環境情報に対応する換算情報に基づき検出値に換算して、ステップS418に移行する。
ステップS418では、ステップS416で換算された検出値と、ステップS408で換算した環境情報と、ステップS414で取得した時刻情報と、検出値に対応する第3のカウント値とを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタに記憶して、ステップS420に移行する。
【0114】
ステップS420では、データ制御部23の測定情報生成部23eにおいて、測定結果はm(mは、測定結果レジスタの最大数)個あるか否かを判定する。そして、m個あると判定した場合(Yes)は、ステップS422に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS404に移行する。
ステップS422に移行した場合は、測定情報生成部23eにおいて、データ記憶部26に記憶されたm個の測定結果に基づき、検出値の移動平均値を算出して、ステップS424に移行する。
【0115】
ステップS424では、測定情報生成部23eにおいて、m個の測定結果に含まれるm個のカウント値の平均値を算出する。更に、このカウント値の平均値と、ステップS422で算出した移動平均値と、m個の測定結果のうち最新の時刻情報及び環境情報とを対応付けて測定情報を生成して、ステップS426に移行する。
ステップS426では、測定情報生成部23eにおいて、ステップS424で生成した測定情報を、データ記憶部26における測定情報レジスタに記憶して、ステップS404に移行する。
【0116】
一方、ステップS402において、連続測定の指示ではなくて、ステップS428に移行した場合は、測定指示部23cにおいて、環境測定カウント処理を実行して、ステップS430に移行する。
ステップS430では、測定指示部23cにおいて、ステップS428の環境測定カウント処理でカウントさせたカウント値である環境カウント値をカウンター24cから取得して、ステップS432に移行する。
ステップS432では、換算部23dにおいて、測定指示部23cから取得した環境カウント値を、データ記憶部26に記憶された換算情報に基づいて環境情報へと換算して、ステップS434に移行する。
【0117】
ステップS434では、測定指示部23cにおいて、第3のカウント処理を実行して、ステップS436に移行する。
ステップS436では、測定指示部23cにおいて、ステップS434でカウントしたカウント値である第3のカウント値をカウンター25bから取得し、取得した第3のカウント値を換算部23dに出力して、ステップS438に移行する。
ステップS438では、換算部23dにおいて、時刻測定部29から時刻情報を取得して、ステップS440に移行する。
【0118】
ステップS440では、換算部23dにおいて、測定指示部23cから取得した第3のカウント値を、データ記憶部26に記憶された、特定された属性及び測定された環境情報に対応する換算情報に基づき検出値に換算する。そして、換算して得た検出値と、ステップS436で取得した第3のカウント値と、ステップS432で換算して得た環境情報と、ステップS438で取得した時刻情報とを測定結果として測定情報生成部23eに出力して、ステップS442に移行する。なお、測定結果は、一端、データ記憶部26の測定結果レジスタに記憶するようにしてもよい。
【0119】
また、測定指示部23cにおいて、カウンター25bから桁溢れ信号を受信した場合は、換算部23dは、換算処理を実行せずに、桁溢れ情報、環境情報、及び時刻情報を測定結果として測定情報生成部23eに出力する。
ステップS442では、測定情報生成部23eにおいて、換算部23dから取得した、検出値、第3のカウント値、環境情報、及び時刻情報に、タグIDと、カウンター25bの桁数の情報とを対応付けてなる測定情報を生成して、ステップS444に移行する。
【0120】
また、桁溢れが発生している場合は、ステップS442では、測定情報生成部23eにおいて、換算部23dから取得した、桁溢れ情報、環境情報、及び時刻情報に、タグIDと、カウンター25bの桁数の情報とを対応付けてなる測定情報を生成して、ステップS444に移行する。
ステップS444では、測定情報生成部23eにおいて、ステップS442で生成した測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタに記憶して、ステップS400に移行する。
【0121】
次に、図13に基づき、データ制御部23における測定情報の送信処理の流れを説明する。ここで、図13は、測定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13に示すように、まず、ステップS500に移行して、データ制御部23において、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10からの送信指示情報を受信したか否かを判定する。そして、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS502に移行し、そうでない場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
【0122】
ステップS502に移行した場合は、データ制御部23の測定情報送信部23fにおいて、送信指示情報に含まれるタグIDと、データ記憶部26に記憶されたタグIDとを照合する認証処理を実行して、ステップS504に移行する。
ステップS504では、測定情報送信部23fにおいて、ステップS502の認証処理において、送信指示情報に含まれるタグIDが認証されたか否かを判定する。そして、認証されたと判定した場合(Yes)は、ステップS506に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS500に移行する。
【0123】
ステップS506に移行した場合は、測定情報送信部23fにおいて、送信指示情報で指定された測定情報を、データ記憶部26から取得して、ステップS508に移行する。
ステップS508では、測定情報送信部23fにおいて、ステップS506で取得した測定情報に、返信先のリーダ・ライタ装置10のID、タグID、カウンター25bの桁数の情報等を付加した測定データ返信パケットを生成する。そして、生成した測定データ返信パケットを、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10に送信させる処理を実行して、ステップS500に移行する。
【0124】
次に、図14に基づき、データ制御部23における測定期間修正処理の流れを説明する。ここで、図14は、測定期間修正処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14に示すように、まず、ステップS600に移行して、データ制御部23において、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10からの修正指示情報を受信したか否かを判定する。そして、受信したと判定した場合(Yes)は、ステップS602に移行し、そうでない場合(No)は、受信するまで判定処理を繰り返す。
【0125】
ステップS602に移行した場合は、データ制御部23の測定期間修正部23gにおいて、受信した修正指示情報に含まれる修正指示は第1の修正指示か否かを判定する。そして、第1の修正指示であると判定した場合(Yes)は、ステップS604に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS606に移行する。
ステップS604に移行した場合は、測定期間修正部23gにおいて、現在設定されている物理特性測定期間を、第1の修正指示で指定された期間だけ減少する修正を行って、ステップS600に移行する。
【0126】
具体的に、第1の修正指示で指定される期間は、予めリーダ・ライタ装置10で設定されており、例えば、100カウント分の期間だけ物理特性測定期間を減少させる修正を行わせる。
一方、ステップS606に移行した場合は、測定期間修正部23gにおいて、受信した修正指示情報に含まれる修正指示は第2の修正指示か否かを判定する。そして、第2の修正指示であると判定した場合(Yes)は、ステップS608に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS600に移行する。本実施の形態では、修正指示の内容が第1の修正指示及び第2の修正指示の2種類しかないため、いずれかで無い場合は、エラーなどの応答をリーダ・ライタ装置10に返す。
【0127】
ステップS608に移行した場合は、測定期間修正部23gにおいて、現在設定されている物理特性測定期間を、第2の修正指示で指定された期間だけ増加する修正を行って、ステップS600に移行する。
具体的に、第1の修正指示と同様に、第2の修正指示で指定される期間は、予めリーダ・ライタ装置10で設定されており、例えば、100カウント分の期間だけ物理特性測定期間を増加させる修正を行わせる。
【0128】
次に、図15〜図19に基づき、本実施の形態の動作を説明する。
ここで、図15は、単発測定時の各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。また、図16(a)は、環境情報として温度を測定する場合の換算情報の一例を示す図であり、(b)は、換算情報の近似方法の一例を示す図である。また、図17は、検出素子100として、応力を測定する歪みゲージを接続した場合の換算情報の一例を示す図である。また、図18は、連続測定時の各装置の動作シーケンスの一例を示す図である。また、図19は、連続測定時の測定結果及び測定情報の記憶手順の一例を示す図である。
【0129】
以下の説明において、検出素子100として歪みゲージを接続して、測定対象物の物理特性として応力を測定することとし、検出素子24bとしてサーミスタを接続して、環境情報として温度を測定することとする。また、測定対象物は、コンクリートの柱等の構造物の鉄筋とし、無線タグ20に接続された歪みゲージの検出部を鉄筋に貼り付けるなどして、鉄筋の応力を測定することとする。
【0130】
最初に、単発測定時の動作について説明する。
まず、利用者は、第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nの検出素子接続部25dに、鉄筋の応力の検出に適した歪みゲージを接続する。歪みゲージを接続したら、次に、無線タグ20を測定対象物に配設する前に、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、初期化指示を入力する。初期化指示が入力されると(ステップS100の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、初期化指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS102)。
【0131】
これにより、図15に示すように、リーダ・ライタ装置10から初期化指示情報(図15中のキャリブレーションパケット)がブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに送信される。
無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報を受信すると(ステップS300の「Yes」の分岐)、データ制御部23の属性特定部23aによって、環境カウント処理を実行する(ステップS302)。
【0132】
具体的に、環境情報測定部24のカウンター24cの動作を制御して、カウンター24cに、検出素子24bとしてサーミスタ(抵抗素子)を発振用素子とした第1の発振回路24aの環境測定時間の発振回数をカウントさせる。
そして、属性特定部23aにおいて、カウンター24cから環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する(ステップS304)。
【0133】
換算部23dは、データ記憶部26から、環境カウント値と温度との関係が、例えば、図16(a)に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、環境カウント値を温度に換算する(ステップS306)。
具体的に、属性特定部23aから取得した環境カウント値が、図16(a)の黒丸で示す温度(離散値)に対してどの位置(どの値と値の間)になるかを判断する。例えば、環境カウント値に対応する温度が、図16(a)中のいずれかの黒丸と同じ位置にある場合は、環境カウント値を該当する黒丸の温度に換算する。一方、図16(a)中の白丸で囲まれた範囲内にある場合は、図16(b)に示すように、黒丸の2点間にある環境カウント値に対応する温度を線形近似によって算出する。
【0134】
つまり、黒丸で示される温度t1と温度t2の間に、環境カウント値cntに対応する温度tがある場合に、温度tは、下式(1)から求めることができる。
t=Δt+t1=(cnt−cnt1)/(cnt2−cnt1)×Tspan+t1
・・・(1)
上式(1)において、cnt1及びcnt2は、温度t1及びt2の環境カウント値であり、Δtは、温度tと温度t1との差であり、Tspanは、温度t1から温度t2までの距離である。
【0135】
上記の方法で環境カウント値を温度に換算すると、次に、データ制御部23の属性特定部23aによって、第1のカウント処理を実行する(ステップS308)。
ここでは、検出素子100が歪みゲージとなるので、基準素子は基準抵抗素子となる。 属性特定部23aの切替信号出力部40は、接続切替信号を接続切替部25gに出力して、基準抵抗素子を第2の発振回路25aの発振用素子として接続する。次に、属性特定部23aのカウンター制御信号出力部41は、カウンター28からのトリガ信号に応じて、カウンター25bに、カウンター25bのカウント値をクリアする制御信号を出力する。これによって、カウンター25bのカウント値を初期値に戻し、第2の発振回路25aの発振回数のカウントを開始させる。そして、属性測定期間の終了タイミング(トリガ)に合わせて、カウント値取得部42によって、カウンター25bのカウント値(第1のカウント値)を取得する(ステップS310)。属性特定部23aは、取得した第1のカウント値をデータ記憶部26に記憶する。
【0136】
第1のカウント処理が終了すると(ステップS312の「Yes」の分岐)、次に、データ制御部23の属性特定部23aによって、第2のカウント処理を実行する(ステップS314)。
切替信号出力部40は、まず、抵抗切替信号を抵抗切替部25eに出力して、補正抵抗素子群25fの中から、ここでは中間の抵抗値の補正抵抗を選択して、選択した補正抵抗を検出素子接続部25dと接続切替部25gとの間に接続する。次に、切替信号出力部40は、接続切替信号を接続切替部25gに出力して、検出素子100を第2の発振回路25aの発振用素子として接続する。次に、カウンター制御信号出力部41は、カウンター28からのトリガ信号に応じて、カウンター25bに、カウンター25bのカウント値をクリアする制御信号を出力する。これによって、カウンター25bのカウント値を初期値に戻し、第2の発振回路25aの発振回数のカウントを開始させる。そして、属性測定期間の終了タイミングに合わせて、カウント値取得部42によって、カウンター25bのカウント値(第2のカウント値)を取得する(ステップS316)。属性特定部23aは、取得した第2のカウント値をデータ記憶部26に記憶する。
【0137】
次に、属性特定部23aは、比率算出部43において、データ記憶部26から第1のカウント値及び第2のカウント値を取得し、取得した第1のカウント値と第2のカウント値の比率を算出する(ステップS318)。例えば、第1のカウント値が「3000」で、第2のカウント回数が「3600」であったとする。
この場合は、第2のカウント値「3600」を第1のカウント値「3000」で割った値「1.2」を、比率RAとして算出する。
次に、属性特定部23aの素子値算出部44は、上記算出した比率「1.2」と、基準抵抗素子の抵抗値とに基づき、歪みゲージの検出素子値を算出する(ステップS320)。例えば、基準抵抗素子の抵抗値が300Ωである場合に、検出素子値は、「300×1.2=360Ω」と算出される。
【0138】
次に、属性特定部23aの素子値補正部45は、基準抵抗素子に対応する補正情報として、温度係数情報をデータ記憶部26から取得し、最初に測定した温度と、取得した温度係数とに基づき、検出素子値「360Ω」を補正する(ステップS322)。ここで、温度係数は、基準抵抗素子の種類によって変わるため、できるだけ温度変化による抵抗変化の少ないものを選択する。例えば、抵抗素子には、カーボン抵抗、金属被膜抵抗、金属箔抵抗などの種類があり、この順番で温度変化に対する抵抗変化が小さくなっていく。この補正によって、抵抗値が355Ωに補正されたとする。
【0139】
次に、属性特定部23aの属性選択部46は、抵抗値355Ωと、データ記憶部26に記憶された歪みゲージの型式の情報とを比較し、いずれかの型式を検出素子100として接続された歪みゲージの属性として選択する(ステップS324)。型式の情報としては、例えば、120Ω型、350Ω型、1kΩ型の情報があるとする。ここでは、抵抗値は355Ωであるので、最も近い値の350Ω型を選択する。そして、属性選択部46は、選択した350Ω型を接続された歪みゲージの型式(属性)としてデータ記憶部26に記憶する。
【0140】
このようにして、無線タグ20の初期化処理が完了すると、利用者は、初期化された無線タグ20を、測定対象物である鉄筋にその応力を検出可能な状態で配設する。なお、測定を開始する前に、無線タグ20に所望の物理特性測定期間を設定したい場合は、利用者は、操作部11を操作して、物理特性測定時間の設定指示を入力することになる。設定指示が入力されると(ステップS112の「Yes」の分岐)、指定された物理特性測定時間の情報を含む設定指示情報がブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS114)。
【0141】
これによって、無線タグ20は、データ制御部23の測定期間設定部23bにおいて、現在設定されている物理特性測定期間を、設定指示情報に含まれる測定期間へと変更する。なお、物理特性測定期間の設定は必須ではなく、無線タグ20に予め設定された物理特性測定期間で十分な場合は省略してもよい。また、所望の物理特性測定期間を設定する場合に、リーダ・ライタ装置10で所望の値を入力する構成としてもよいし、無線タグ20側に用意された複数の物理特性測定期間のうち任意のものを指定する構成としてもよい。
【0142】
測定の準備が整うと、利用者は、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、ここでは単発測定の測定指示を入力する。測定指示が入力されると(ステップS104の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、単発測定の測定指示であるので(ステップS106の「Yes」の分岐)、単発測定指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS108)。
【0143】
これにより、図15に示すように、リーダ・ライタ装置10から単発測定指示情報(図中の測定実施パケット)がブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに送信される。
無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの単発測定指示情報を受信すると(ステップS400の「Yes」の分岐及びステップS402の「No」の分岐)、データ制御部23の測定指示部23cによって、環境カウント処理を実行する(ステップS428)。
【0144】
この環境カウント処理は、測定指示部23cが行うだけで、上記の属性特定部23aによる環境カウント処理と同様の処理となる。
そして、測定指示部23cにおいて、カウンター24cから環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する(ステップS430)。
換算部23dは、データ記憶部26から、環境カウント値と温度との関係が、図16(a)に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、環境カウント値を温度に換算する(ステップS432)。
【0145】
次に、測定指示部23cは、第3のカウント処理を実行する(ステップS434)。
具体的に、測定指示部23cは、まず、抵抗切替信号を抵抗切替部25eに出力して、抵抗切替部25eに、補正抵抗素子群25fの中から上記特定した350Ω型の歪みゲージに対して最適な抵抗値の補正抵抗を選択させる。これにより、選択された補正抵抗が検出素子接続部25dと接続切替部25gとの間に接続される。具体的に、補正抵抗素子群25fの中から、350Ω型の歪みゲージ(検出素子100)を発振用素子とした第2の発振回路25aが正常に発振し且つ歪みゲージに大電流が流れない範囲内で、歪みゲージの抵抗値の変化と、第2の発振回路25aの発振周波数との関係が最も線形となる抵抗値の補正抵抗が接続される。
【0146】
次に、接続切替信号を接続切替部25gに出力して、接続切替部25gに、検出素子100(歪みゲージ)を第2の発振回路25aの発振用素子として接続させる。次に、カウンター25bに、予め設定された物理特性測定期間の開始タイミング(トリガ)に合わせて、カウンター25bのカウント値をクリアする制御信号を出力する。これによって、カウンター25bのカウント値を初期値に戻し、第2の発振回路25aの発振回数のカウントを開始させる。そして、予め設定された物理特性測定期間の終了タイミング(トリガ)に合わせて、測定指示部23cによって、カウンター25bのカウント値(第3のカウント値)を取得する(ステップS436)。測定指示部23cは、取得した第3のカウント値を換算部23dに出力する。
【0147】
換算部23dは、測定指示部23cから第3のカウント値を取得すると、時刻測定部29から時刻情報(タイムスタンプ)を取得する(ステップS438)。次に、データ記憶部26から、350Ω型に対応する、第3のカウント値と応力値との関係が、図17に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、第3のカウント値を応力値に換算する(ステップS440)。なお、換算情報は、歪みゲージの属性(型式)や、環境の温度、第3のカウント値の測定時間などに応じて、それぞれ異なるテーブルデータとしてデータ記憶部26に記憶されている。従って、特定した検出素子(ここでは歪みゲージ)の属性、測定した環境の温度、設定された物理特性測定期間などの既知の情報から毎回適切なデータを選択して用いるようになっている。つまり、本実施の形態において、換算情報は、第3のカウント値に対応する、型式に応じた環境の状態による検出値の変化に対して適切な補正が施されたデータのテーブルとなる。
【0148】
また、換算方法は、上記した環境カウント値を温度に換算する場合と同様で、図17中の黒丸に該当するカウント値であれば、第3のカウント値を既知である黒丸の応力値に換算する。一方、応力値s1、s2に対応する2つの黒丸の間に、測定した第3のカウント値に対応する応力値がある場合は、下式(2)に従って、線形近似によって応力値を求める。図17の例は、特定の型式(350Ω型)の特定の温度又は温度範囲に対応する換算情報となる。実際は、型式且つ温度ごとに異なる換算情報がデータ記憶部26に記憶されている。
s=Δs+s1=(cnt−cnt1)/(cnt2−cnt1)×Sspan+s1
・・・(2)
上式(2)において、cnt1及びcnt2は、応力値s1及びs2の第3のカウント値であり、Δsは、応力値sと応力値s1との差であり、Sspanは、応力値s1と応力値s2間の距離である。
【0149】
このようにして、第3のカウント値を応力値へと換算すると、換算部23dは、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、測定情報生成部23eに出力する。
測定情報生成部23eは、換算部23dから、応力値、温度、第3のカウント回数及びタイムスタンプを取得すると、これらに、タグID及びカウンター25bの桁数の情報などを加えてなる測定情報を生成する(ステップS442)。そして、生成した測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタに記憶する(ステップS444)。
【0150】
利用者は、測定を実施後に測定情報を得たい場合は、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、送信指示を入力する。送信指示が入力されると(ステップS120の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、送信指示情報をユニキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して順番に送信する(ステップS122)。
これにより、図15に示すように、リーダ・ライタ装置10から送信指示情報(図15中のデータ送信要求パケット)がユニキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに順番に送信される。具体的に、特定の順番で、各順に無線タグ20から測定情報(図15中の測定データ返信パケット)を受信するごとに次順の無線タグ20に送信指示情報を送信する。
【0151】
無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの送信指示情報を受信すると(ステップS500の「Yes」の分岐)、データ制御部23の測定情報送信部23fにおいて、まず、認証処理を実行する(ステップS502)。
認証処理は、送信指示情報に含まれるタグIDと、受信先の無線タグ20のタグIDとを照合して、両者が一致するか否かを判定する処理となる。両者が一致した場合は、認証されたとし(ステップS504の「Yes」の分岐)、一致しない場合は、認証されなかったとする(ステップS504の「No」の分岐)。
【0152】
ここでは、認証されたとして、次に、測定情報送信部23fは、送信指示情報によって指定された測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタから取得する(ステップS506)。そして、取得した測定情報に、送信先のリーダ・ライタ装置のIDなどを付加して、測定データ返信パケットを生成し、生成した測定データ返信パケットを、無線通信部22及びコイルアンテナ21を介して、リーダ・ライタ装置10に送信する(ステップS508)。
【0153】
これにより、図15に示すように、無線タグ20から測定データ返信パケットがユニキャストでリーダ・ライタ装置10に送信される。
リーダ・ライタ装置10は、無線タグ20からの測定データ返信パケットを、コイルアンテナ14及び無線通信部13を介して受信すると、データ制御部12の受信データ処理部12bにおいて、受信した測定データ返信パケットから測定情報を抽出する。そして、抽出した、測定情報を、タグIDに対応する無線タグ20が配設された測定対象物の識別情報に対応付けて、データ記憶部15に記憶する。
【0154】
データ記憶部15に測定情報が記憶されると(ステップS200の「Yes」の分岐)、データ制御部12の修正指示情報生成部12cは、記憶された測定情報をデータ記憶部15から取得し(ステップS202)、取得した測定情報を解析する(ステップS204)。
具体的に、測定情報から、第3のカウント値、カウンター25bの桁数の情報及び桁溢れ情報を抽出する。解析結果に基づき、測定情報が桁溢れ情報を含むか否かを判定する。
【0155】
ここで、桁溢れ情報を含む場合(ステップS206の「Yes」の分岐)に、修正指示情報生成部12cは、カウンター25bの桁溢れを解消するために、例えば、物理特性測定期間を100カウント分減少する修正指示内容を含む第1の修正指示情報を生成し、生成した第1の修正指示情報をデータ記憶部15に記憶する(ステップS208)。更に、修正指示情報生成部12cは、桁溢れが発生していることを示すメッセージを表示部16に表示させる処理を行って、利用者に、桁溢れが発生していることを通知する(ステップS210)。
【0156】
このとき、桁溢れ情報を含む測定情報を返信してきたタグのIDや個数等も通知するようにしてもよい。
この通知を見た利用者は、修正の意志がある場合に、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、物理特性測定期間の修正指示を入力する。例えば、桁溢れを起こしているタグが少ない(例えば1つしか無い)場合などは、修正指示を送信しないことも可能である。
【0157】
修正指示が入力されると(ステップS116の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、データ記憶部26に記憶された第1の修正指示情報を取得し、取得した第1の修正指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS122)。
無線タグ20は、第1の修正指示情報を受信すると(ステップS600及びS602の「Yes」の分岐)、第1の修正指示情報で指定された期間(100カウント分)だけ、現在設定されている物理特性測定期間を減少する修正を行う(ステップS604)。
【0158】
一方、測定情報が桁溢れ情報を含まない場合(ステップS206の「No」の分岐)は、修正指示情報生成部12cは、第3のカウント値と、桁数の情報に基づき設定した閾値とを比較し、第3のカウント値が閾値以下か否かを判定する。例えば、カウンター25bが16ビットのカウンターであれば、その最大カウント値の70%の値である「65536×0.7=45875」を閾値に設定し、この閾値と、第3のカウント値とを比較する。これにより、閾値以下であると判定した場合は、測定した第3のカウント値が、カウンター25bの最大カウント値に対して低い値となっているので、カウント値に余裕があると判定する。この場合は、測定精度をより向上させるために、例えば、物理特性測定期間を100カウント分増加する修正指示内容を含む第2の修正指示情報を生成し、生成した第2の修正指示情報をデータ記憶部15に記憶する(ステップS214)。更に、修正指示情報生成部12cは、桁溢れが発生していることを示すメッセージを表示部16に表示させる処理を行って、利用者に、カウント値に余裕があることを通知する(ステップS216)。
【0159】
このとき、カウント値に余裕があると判定されたタグのIDや個数等も通知するようにしてもよい。
この通知を見た利用者は、修正の意志がある場合に、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、物理特性測定期間の修正指示を入力する。例えば、カウント値に余裕があると判定したタグが少ない(例えば1つしか無い)場合などは、修正指示を送信しないことも可能である。
【0160】
修正指示が入力されると(ステップS116の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、データ記憶部26に記憶された第2の修正指示情報を取得し、取得した第2の修正指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS122)。
無線タグ20は、第2の修正指示情報を受信すると(ステップS600の「Yes」の分岐及びS602の「No」の分岐)、第2の修正指示情報で指定された期間(100カウント分)だけ、現在設定されている物理特性測定期間を増加する修正を行う(ステップS608)。
【0161】
次に、連続測定時の動作について説明する。
なお、初期化処理、物理特性測定期間の設定処理については、単発測定時と同様となるので、測定処理の動作から説明する。また、検出素子100として接続された歪みゲージの属性は、単発測定時と同様に350Ω型であるとする。
測定の準備が整うと、利用者は、リーダ・ライタ装置10の操作部11を操作して、ここでは連続測定の測定指示を入力する。測定指示が入力されると(ステップS104の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、連続測定の測定指示であるので(ステップS106の「No」の分岐)、連続測定指示情報をブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して送信する(ステップS110)。
【0162】
これにより、図18に示すように、リーダ・ライタ装置10から連続測定指示情報(図中の測定開始パケット)がブロードキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに送信される。
無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10からの連続測定指示情報を受信すると(ステップS400の「Yes」の分岐及びステップS402の「Yes」の分岐)、データ制御部23の測定指示部23cによって、環境カウント処理を実行する(ステップS406)。
【0163】
この環境カウント処理は、上記単発測定時の環境カウント処理と同様の処理となる。
そして、測定指示部23cにおいて、カウンター24cから環境カウント値を取得し、取得した環境カウント値を換算部23dに出力する(ステップS406)。
換算部23dは、データ記憶部26から、環境カウント値と温度との関係が、図16(a)に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、環境カウント値を温度に換算する(ステップS408)。この換算方法は、上記単発測定時の換算方法と同様となる。
【0164】
次に、測定指示部23cは、第3のカウント処理を実行する(ステップS410)。
そして、カウンター25bのカウント値がクリアされカウントが開始されると、物理特性測定期間の終了タイミングに合わせて、測定指示部23cによって、カウンター25bのカウント値(第3のカウント値)を取得する(ステップS412)。測定指示部23cは、取得した第3のカウント値を換算部23dに出力する。
【0165】
換算部23dは、測定指示部23cから第3のカウント値を取得すると、時刻測定部29から時刻情報(タイムスタンプ)を取得する(ステップS414)。次に、データ記憶部26から、350Ω型に対応する、第3のカウント値と応力値との関係が、図17に示す関係となる換算情報を取得し、この換算情報に基づき、第3のカウント値を応力値に換算する(ステップS416)。
【0166】
換算部23dは、図19に示すように、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタ1に記憶する。ここでは、測定結果レジスタの個数と測定情報レジスタの個数とが共に3個であるとする。
以上の測定処理が、図18における、各無線タグの測定開始後の1つめの矢印の測定処理(1回の測定処理)となる。
【0167】
測定情報生成部23eは、測定処理が終了すると、測定結果レジスタ1〜3の全てに測定結果が記憶されているか否かを判定する。ここでは、測定結果レジスタ1にしか記憶されていないので(ステップS420の「No」の分岐)、引き続き、環境カウント処理から測定処理を実行する(ステップS404〜S416)。
これにより、図18に示す、測定開始後の2つめの矢印の測定処理が実行される。
【0168】
換算部23dは、図19に示すように、2回目の測定処理において、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタ2に記憶する。
測定情報生成部23eは、測定処理が終了すると、測定結果レジスタ1〜3の全てに測定結果が記憶されているか否かを判定する。ここでは、測定結果レジスタ1〜2にしか記憶されていないので(ステップS420の「No」の分岐)、引き続き、環境カウント処理から測定処理を実行する(ステップS404〜S416)。
これにより、図18に示す、測定開始後の3つめの矢印の測定処理が実行される。
【0169】
換算部23dは、図19に示すように、3回目の測定処理において、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタ3に記憶する。
測定情報生成部23eは、測定処理が終了すると、測定結果レジスタ1〜3の全てに測定結果が記憶されているか否かを判定する。ここでは、測定結果レジスタ1〜3の全てに測定結果が記憶されているので(ステップS420の「Yes」の分岐)、測定結果レジスタ1〜3に記憶された3つの検出値の移動平均値を算出する(ステップS422)。
ここで、3回の測定の移動平均を算出するとした場合に、移動平均値をSMAとし、移動平均値を算出時の測定結果レジスタ1〜3の各応力値をP1〜P3とすると、下式(3)から移動平均値SMAを算出することができる。
SMA=(P1+P2+P3)/3 ・・・(3)
【0170】
測定情報生成部23eは、最初の移動平均値が算出されると、次に、測定結果レジスタ1〜3の測定結果にそれぞれ対応する第3のカウント回数の平均値を算出する。そして、移動平均値、第3のカウント回数の平均値、最新の測定結果に対応する温度及びタイムスタンプに、タグID及びカウンター25bの桁数の情報などを加えてなる測定情報を生成する(ステップS424)。そして、生成した測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタ1に記憶する(ステップS426)。
測定情報が記憶されると、引き続き、環境カウント処理から測定処理を実行する(ステップS404〜S416)。
これにより、図18に示す、測定開始後の4つめの矢印の測定処理が実行される。
【0171】
換算部23dは、図19に示すように、4回目の測定処理において、換算して得た応力値と、測定時の温度と、第3のカウント回数と、タイムスタンプとを測定結果として、データ記憶部26の測定結果レジスタ1に1回目の測定結果に上書きして記憶する。
つまり、図19に示すバッファリングの例では、新たな測定結果を得るごとに、古い測定結果から順に上書きして記憶している(リングバッファ)。
そして、測定情報生成部23eは、新たな測定結果を得ると(ステップS420の「Yes」の分岐)、新たな移動平均値SMAを、上式(3)に従って算出する。
【0172】
具体的に、図19の例では、新たな測定結果を最も古い測定結果に上書きして記憶するようにしたので、上書きが行われるごとに、測定結果レジスタ1〜3の応力値の平均値を算出するだけで、移動平均値を求めることができる。
なお、1つ前に算出した移動平均値SMAに対して、最新の応力値をレジスタの個数で割った値を加算し、最古の応力値をレジスタの個数で割った値を減算することでも新たな移動平均値を求めることができる。
【0173】
測定情報生成部23eは、新たな移動平均値が算出されると、次に、現在の測定結果レジスタ1〜3の測定結果にそれぞれ対応する第3のカウント回数の平均値を算出する。そして、移動平均値、第3のカウント回数の平均値、最新の測定結果に対応する温度及びタイムスタンプに、タグID及びカウンター25bの桁数の情報などを加えてなる測定情報を生成する(ステップS424)。そして、生成した測定情報を、データ記憶部26の測定情報レジスタ2に記憶する(ステップS426)。
【0174】
このように測定処理を繰り返し行い、5回目の測定処理が終了すると、図19に示すように、測定結果は、測定結果レジスタ2に記憶される。そして、測定情報生成部23eにおいて測定情報が生成されると、測定情報は、測定情報レジスタ3に記憶される。これにより、測定情報レジスタ1〜3の全てに測定情報が記憶される。ここでは、図19に示すように、測定情報レジスタ1〜3についても、リングバッファによって、最古のデータを最新のデータで上書きする。
なお、測定情報レジスタの全てに測定情報が記憶されたか否かを判定し、記憶されたと判定した時点で、連続測定処理を終了させるように構成してもよい。
【0175】
一方、連続測定の場合に、無線タグ20に測定情報が複数記憶されているので、本実施の形態においては、利用者は、任意の測定情報を送信するように指定した送信指示を入力することができる。そして、送信指示が入力されると(ステップS120の「Yes」の分岐)、指示情報送信部12aは、送信指示情報をユニキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに対して順番に送信する(ステップS122)。
【0176】
具体的に、無線タグ20から測定情報を受信するごとに次の無線タグ20に送信指示情報を送信する。
これにより、図18に示すように、リーダ・ライタ装置10から送信指示情報がユニキャストで第1のタグ20_1〜第nのタグ20_nに順番に送信される。なお、図18の例では、3回目の測定が終了した時点で送信指示を送信している。従って、測定情報レジスタ1に記憶された測定情報を指定した送信指示を送信することとなる。
【0177】
これにより、図18に示すように、無線タグ20から、指定した測定情報を含む測定データ返信パケットがユニキャストでリーダ・ライタ装置10に送信される。
なお、特定の無線タグ20からだけ測定情報を取得したい場合は、送信指示の入力時に、所望の無線タグ20のタグIDを指定することで、指定された無線タグ20だけに対して送信指示情報がユニキャストで送信される。
【0178】
以上、本実施の形態の測定システム1によれば、無線タグ20の検出素子接続部25dに任意の検出素子100を接続して、その無線タグ20に対して、リーダ・ライタ装置10によって初期化指示情報を送信することで、検出素子100の属性を特定することができる。
更に、測定対象物に対して、その物理特性を測定可能に、検出素子100の接続された無線タグ20を配設し、リーダ・ライタ装置10によって測定指示を送信することで、測定対象物の物理特性を測定することができる。また、測定処理においては、検出素子100を発振用素子とした第2の発振回路25aの発振回数として物理特性を検出することができる。一方、環境情報測定部24によって、測定環境の状態を示す環境情報を測定することができる。そして、物理特性の発振回数(第3のカウント値)を、特定した属性及び測定した環境情報に対応する換算情報で換算することで物理特性を示す検出値を算出することができる。換算情報は、属性及び環境情報に応じて第3のカウント値を適切な補正が施された検出値へと変換する情報となる。
【0179】
以上のことにより、利用者は、検出素子100の属性を意識することなく無線タグ20に接続することで、検出素子100の属性や環境情報に応じた適切な測定処理を実行させることができる。
また、測定処理において、無線タグ20のカウンター25bに桁溢れが生じた場合に、リーダ・ライタ装置10で、そのことを検出し、桁溢れが生じないように、物理特性測定期間を減少する補正を指示する第1の修正指示情報を無線タグ20に送信することができる。そして、無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10から受信した第1の修正指示情報に応じて、設定されている物理特性測定期間を、指定された期間だけ減少する修正を行うことができる。これによって、無線タグ20の回路の変更等を行うことなく桁溢れに対応させることができる。
【0180】
また、リーダ・ライタ装置10において、測定情報に含まれる、カウンター25bの桁数に対して、第3のカウンター値が小さい値の場合に、桁数に余裕があると判断して、物理特性測定期間を増加する補正を指示する第2の修正指示情報を無線タグ20に送信することができる。そして、無線タグ20は、リーダ・ライタ装置10から受信した第2の修正指示情報に応じて、設定されている物理特性測定期間を、指定された期間だけ増加する修正を行うことができる。これにより、カウンター25bの能力を活かした、より精度の高い測定処理を行うことができる。
【0181】
上記実施の形態において、リーダ・ライタ装置10は、第2の無線通信装置に対応し、無線タグ20は、第1の無線通信装置又は無線通信装置に対応し、無線通信部13及びコイルアンテナ14は、第2の無線通信手段に対応する。また、無線通信部22及びコイルアンテナ23は、第1の無線通信部に対応し、属性特定部23aは、属性特定手段に対応し、環境情報測定部24は、環境情報測定手段に対応する。また、特定された属性及び測定された環境情報に対応する換算情報は、補正情報及び換算情報の双方に対応し、換算部23dにおける、前記補正情報を含む換算情報を用いて換算処理を行う機能は、検出値補正手段に対応する。また、測定指示部23c及び換算部23dは、物理特性検出手段に対応し、測定情報生成部23eは、測定情報生成手段に対応し、測定情報生成部23e及びデータ記憶部26の測定情報レジスタ及び該レジスタに測定情報を記憶する機能は、第1の測定情報記憶手段又は測定情報記憶手段に対応する。また、測定情報送信部23fは、測定情報送信手段に対応し、第2の発振回路25aは、第1の回路及び第2の回路に対応し、測定期間修正部23gは、測定期間修正手段に対応する。また、抵抗切替部25e及び補正抵抗素子群25fは、抵抗接続手段に対応し、第2のカウント値は、第1の発振回数に対応し、第1のカウント値は、第2の発振回数に対応し、第3のカウント値は、第3の発振回数に対応する。また、データ記憶部26は、素子値補正情報記憶手段、換算情報記憶部及び測定情報記憶手段に対応し、水晶発振回路27、カウンター28及び時刻測定部29は、時刻測定手段に対応する。また、指示情報送信部12a及び修正指示情報生成部12cは、測定指示情報送信手段、送信指示情報送信手段及び修正指示情報送信手段に対応し、受信データ処理部12b及びデータ記憶部15は、第2の測定情報記憶手段に対応する。
【0182】
また、上記実施の形態において、ステップS300〜S322は、属性特定ステップに対応し、ステップS404〜S408は、環境情報測定ステップに対応し、ステップS410〜S418は、物理特性検出ステップに対応し、ステップS416は、検出値補正ステップに対応する。また、ステップS420〜S424は、測定情報生成ステップに対応し、ステップS426は、測定情報記憶ステップに対応し、ステップS500〜S508は、測定情報送信ステップに対応する。
【0183】
なお、上記実施の形態においては、リーダ・ライタ装置10からの初期化指示情報を送信することで、各無線タグ20に初期化処理を実行させる構成としたが、この構成に限らない。例えば、各無線タグ20において、検出素子100の接続を検出して、自動で初期化処理を実行する構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、利用者が操作部11を操作することで、リーダ・ライタ装置10から各指示情報を無線タグ20に送信して、各処理を実行させる構成としたが、この構成に限らない。例えば、物理特性測定期間の設定指示や、修正指示などの利用者の判断が必要な指示情報以外は、自動で送信する構成としてもよい。具体的に、リーダ・ライタ装置10を、全ての無線タグ20と通信が可能な位置に設置しておき、測定指示情報と送信指示情報とを、予め設定したスケジュールで送信する構成などとしてもよい。
【0184】
また、上記実施の形態においては、第2の発振回路25aに接続する素子を接続切替部25gによって、基準素子と検出素子100とに切り替える構成としたが、この構成に限らず、各素子に対応する発振回路を備える構成としてもよい。
また、上記実施の形態においては、物理特性測定期間を任意の期間に設定する、又は物理特性測定期間を修正することができる構成としたが、物理特性測定期間だけに限らず、環境測定期間、属性測定期間なども設定及び修正できる構成としてもよい。
【0185】
また、上記実施の形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、上記の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。また、上記の説明で用いる図面は、図示の便宜上、部材ないし部分の縦横の縮尺は実際のものとは異なる模式図である。
また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0186】
1…測定システム、10…リーダ・ライタ装置、11…操作部、12,23…データ制御部、12a…指示情報送信部、12b…受信データ処理部、12c…修正指示情報生成部、13,22…無線通信部、14,23…コイルアンテナ、15,26…データ記憶部、16…表示部、23a…属性特定部、23b…測定期間設定部、23c…測定指示部、23d…換算部、23e…測定情報生成部、23f…測定情報送信部、23g…測定期間修正部、24…環境情報測定部、25…測定部、25a…第2の発振回路、25c…基準素子、25d…検出素子接続部、25e…抵抗切替部、25f…補正抵抗素子群、25g…接続切替部、27…水晶発振回路、28,24c,25b…カウンター、29…時刻測定部、40…切替信号出力部、41…カウンター制御信号出力部、42…カウント値取得部、43…比率算出部、44…素子値算出部、45…素子値補正部、46…属性選択部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に配設されて前記測定対象物の物理特性を測定する第1の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置の動作を制御する第2の無線通信装置とを備え、
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う第1の無線通信手段と、
前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続する検出素子接続部と、
前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する属性特定手段と、
前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する環境情報測定手段と、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段と、
前記属性特定手段で特定される前記属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応した、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段と、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段と、
前記測定情報生成手段で生成した測定情報を記憶する第1の測定情報記憶手段と、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記第1の測定情報記憶手段に記憶された測定情報を前記第1の無線通信手段を介して前記第2の無線通信装置に送信する測定情報送信手段と、を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記第1の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う第2の無線通信手段と、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記測定指示情報を送信する測定指示情報送信手段と、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記送信指示情報を送信する送信指示情報送信手段と、
前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して受信した測定情報を記憶する第2の測定情報記憶手段と、を備えることを特徴とする測定システム。
【請求項2】
前記第1の無線通信装置は、
前記検出素子接続部に接続された検出素子を構成要素として含む第1の回路と、
前記検出素子と同種の基準素子を構成要素として選択的に含む第2の回路とを備え、
前記属性特定手段は、前記第1の回路の出力と前記第2の回路の出力とに基づき、前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定することを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記検出素子は、前記測定対象物の物理特性の変化に応じて抵抗値又は容量値を変化させる素子であり、
前記第1の回路は、前記検出素子を発振用素子として発振する発振回路であり、
前記第2の回路は、前記基準素子を発振用素子として発振する発振回路であり、
前記属性特定手段は、前記第1の回路の前記所定時間の発振回数である第1の発振回数と、前記第2の回路の前記所定時間の発振回数である第2の発振回数とを計数する第1の計数部と、前記第1の発振回数と前記第2の発振回数との比率を算出する比率算出部と、前記比率算出部で算出した比率と前記基準素子の素子値とに基づき前記検出素子の素子値を算出する素子値算出部と、前記素子値算出部で算出した素子値に基づき前記検出素子の属性を特定する属性特定部とを有することを特徴とする請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記測定環境の状態に応じて変化する前記基準素子の素子値を補正する素子値補正情報を記憶する素子値補正情報記憶手段を備え、
前記属性特定部は、前記素子値算出部で算出した前記検出素子の素子値を、前記基準素子の素子値補正情報で補正した値に基づき、前記検出素子の属性を特定することを特徴とする請求項3に記載の測定システム。
【請求項5】
前記物理特性検出手段は、前記第1の回路の設定された測定期間における発振回数である第3の発振回数を計数する第2の計数部と、前記属性特定手段で特定される前記検出素子の属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応する、前記第3の発振回数を前記検出素子の検出値に換算する換算情報を記憶する換算情報記憶部と、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する換算情報を前記換算情報記憶部から取得し、取得した換算情報に基づき前記第3の発振回数を前記検出素子の検出値に換算する換算部とを有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の測定システム。
【請求項6】
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した修正指示情報に応じて、前記測定期間を修正する測定期間修正手段を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記測定期間を修正する修正指示情報を送信する修正指示情報送信手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の測定システム。
【請求項7】
前記測定情報生成手段は、前記第3の発振回数の計数において前記計数部で桁溢れが生じた場合に、その旨を示す桁溢れ情報を含む測定情報を生成し、
前記修正指示情報送信手段は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して前記桁溢れ情報を含む測定情報を受信したときに、前記桁溢れ情報に基づき、前記測定期間を所定期間だけ短くする指示内容を含む第1の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に前記第2の無線通信手段を介して送信し、
前記測定期間修正手段は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して前記第1の修正指示情報を受信したときに、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ短くする修正を行うことを特徴とする請求項6に記載の測定システム。
【請求項8】
前記測定情報生成手段は、前記物理特性検出手段で検出した検出値に対応する第3の発振回数に係る情報と前記第2の計数部の桁数の情報とを含む測定情報を生成し、
前記修正指示情報送信手段は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して前記測定情報を受信したときに、前記測定情報に含まれる前記第3の発振回数に係る情報と前記第2の計数部の桁数の情報とに基づき前記桁数に余裕があるか否かを判定する桁数判定部と、前記桁数判定部で桁数に余裕があると判定したときに、前記測定期間を所定期間だけ長くする指示内容を含む第2の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に前記第2の無線通信手段を介して送信し、
前記測定期間修正手段は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して前記第2の修正指示情報を受信したときに、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ長くする修正を行うことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の測定システム。
【請求項9】
前記検出素子は、前記物理特性の変化に応じて抵抗値又は容量値を変化させる素子であり、
前記環境情報は、温度情報を含み、
前記補正情報は、前記複数の基準素子の温度係数の情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項10】
前記第1の無線通信装置は、
抵抗値の異なる複数の抵抗素子を含み、前記複数の抵抗素子のうちいずれか1つの抵抗素子を選択し、選択した抵抗素子を前記検出素子と前記第1の回路の前記検出素子以外の回路部との間に直列に接続する抵抗接続手段を備え、
前記抵抗接続手段は、前記直列に接続する抵抗素子として、前記属性の特定前は前記複数の抵抗素子のうち予め設定された抵抗値の抵抗素子を選択して接続し、前記属性の特定後は前記複数の抵抗素子のうち、前記特定された属性に対応する抵抗値の抵抗素子を選択して接続することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項11】
前記第1の無線通信手段は、時刻を測定する時刻測定手段を備え、
前記測定情報生成手段は、前記時刻測定手段で測定した、前記物理特性を検出した時刻の情報を含む測定情報を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項12】
前記測定情報生成手段は、前記物理特性検出手段でN回(Nは3以上の自然数)連続して検出された前記検出値のn回(nは2≦n<Nの自然数)ごとの移動平均を算出する移動平均算出部を有し、前記物理特性の測定結果として前記移動平均を含む測定情報を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項13】
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置であって、
外部の他の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う無線通信手段と、
前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続する検出素子接続部と、
前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する属性特定手段と、
前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する環境情報測定手段と、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段と、
前記属性特定手段で特定される前記属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応した、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段と、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段と、
前記測定情報生成手段で生成した測定情報を記憶する測定情報記憶手段と、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記測定情報記憶手段に記憶された測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信する測定情報送信手段と、を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項14】
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置を制御するための無線通信装置制御プログラムであって、
検出素子接続部に接続された、前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子の属性を特定する属性特定手段、
外部の他の無線通信装置から無線でデータの送受信を行う無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段、
補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と環境情報測定手段で測定した前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段、及び、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、測定情報記憶手段に記憶された前記測定情報生成手段で生成した測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信する測定情報送信手段として実現される機能をコンピューターに実行させるためのプログラムを含むことを特徴とする無線通信装置制御プログラム。
【請求項15】
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置を制御するための無線通信装置制御方法であって、
属性特定手段に、検出素子接続部に接続された、前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子の属性を特定させる属性特定ステップと、
物理特性検出手段に、外部の他の無線通信装置から無線でデータの送受信を行う無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出させる物理特性検出ステップと、
環境情報測定手段に、前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定させる環境情報測定ステップと、
検出値補正手段に、補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定ステップで特定した属性と環境情報測定ステップで測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出ステップにおいて前記検出素子を用いて検出した検出値を補正させる検出値補正ステップと、
測定情報生成手段に、前記検出値補正ステップで補正した検出値に基づき測定情報を生成させる測定情報生成ステップと、
測定情報記憶手段に、前記測定情報生成ステップで生成した測定情報を記憶させる測定情報記憶ステップと、
測定情報送信手段に、前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記測定情報記憶ステップで記憶した測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信させる測定情報送信ステップとを含むことを特徴とする無線通信装置制御方法。
【請求項1】
測定対象物に配設されて前記測定対象物の物理特性を測定する第1の無線通信装置と、前記第1の無線通信装置の動作を制御する第2の無線通信装置とを備え、
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う第1の無線通信手段と、
前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続する検出素子接続部と、
前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する属性特定手段と、
前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する環境情報測定手段と、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段と、
前記属性特定手段で特定される前記属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応した、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段と、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段と、
前記測定情報生成手段で生成した測定情報を記憶する第1の測定情報記憶手段と、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記第1の測定情報記憶手段に記憶された測定情報を前記第1の無線通信手段を介して前記第2の無線通信装置に送信する測定情報送信手段と、を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記第1の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う第2の無線通信手段と、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記測定指示情報を送信する測定指示情報送信手段と、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記送信指示情報を送信する送信指示情報送信手段と、
前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して受信した測定情報を記憶する第2の測定情報記憶手段と、を備えることを特徴とする測定システム。
【請求項2】
前記第1の無線通信装置は、
前記検出素子接続部に接続された検出素子を構成要素として含む第1の回路と、
前記検出素子と同種の基準素子を構成要素として選択的に含む第2の回路とを備え、
前記属性特定手段は、前記第1の回路の出力と前記第2の回路の出力とに基づき、前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定することを特徴とする請求項1に記載の測定システム。
【請求項3】
前記検出素子は、前記測定対象物の物理特性の変化に応じて抵抗値又は容量値を変化させる素子であり、
前記第1の回路は、前記検出素子を発振用素子として発振する発振回路であり、
前記第2の回路は、前記基準素子を発振用素子として発振する発振回路であり、
前記属性特定手段は、前記第1の回路の前記所定時間の発振回数である第1の発振回数と、前記第2の回路の前記所定時間の発振回数である第2の発振回数とを計数する第1の計数部と、前記第1の発振回数と前記第2の発振回数との比率を算出する比率算出部と、前記比率算出部で算出した比率と前記基準素子の素子値とに基づき前記検出素子の素子値を算出する素子値算出部と、前記素子値算出部で算出した素子値に基づき前記検出素子の属性を特定する属性特定部とを有することを特徴とする請求項2に記載の測定システム。
【請求項4】
前記測定環境の状態に応じて変化する前記基準素子の素子値を補正する素子値補正情報を記憶する素子値補正情報記憶手段を備え、
前記属性特定部は、前記素子値算出部で算出した前記検出素子の素子値を、前記基準素子の素子値補正情報で補正した値に基づき、前記検出素子の属性を特定することを特徴とする請求項3に記載の測定システム。
【請求項5】
前記物理特性検出手段は、前記第1の回路の設定された測定期間における発振回数である第3の発振回数を計数する第2の計数部と、前記属性特定手段で特定される前記検出素子の属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応する、前記第3の発振回数を前記検出素子の検出値に換算する換算情報を記憶する換算情報記憶部と、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する換算情報を前記換算情報記憶部から取得し、取得した換算情報に基づき前記第3の発振回数を前記検出素子の検出値に換算する換算部とを有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の測定システム。
【請求項6】
前記第1の無線通信装置は、
前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して受信した修正指示情報に応じて、前記測定期間を修正する測定期間修正手段を備え、
前記第2の無線通信装置は、
前記第1の無線通信装置に、前記第2の無線通信手段を介して前記測定期間を修正する修正指示情報を送信する修正指示情報送信手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の測定システム。
【請求項7】
前記測定情報生成手段は、前記第3の発振回数の計数において前記計数部で桁溢れが生じた場合に、その旨を示す桁溢れ情報を含む測定情報を生成し、
前記修正指示情報送信手段は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して前記桁溢れ情報を含む測定情報を受信したときに、前記桁溢れ情報に基づき、前記測定期間を所定期間だけ短くする指示内容を含む第1の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に前記第2の無線通信手段を介して送信し、
前記測定期間修正手段は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して前記第1の修正指示情報を受信したときに、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ短くする修正を行うことを特徴とする請求項6に記載の測定システム。
【請求項8】
前記測定情報生成手段は、前記物理特性検出手段で検出した検出値に対応する第3の発振回数に係る情報と前記第2の計数部の桁数の情報とを含む測定情報を生成し、
前記修正指示情報送信手段は、前記第1の無線通信装置から前記第2の無線通信手段を介して前記測定情報を受信したときに、前記測定情報に含まれる前記第3の発振回数に係る情報と前記第2の計数部の桁数の情報とに基づき前記桁数に余裕があるか否かを判定する桁数判定部と、前記桁数判定部で桁数に余裕があると判定したときに、前記測定期間を所定期間だけ長くする指示内容を含む第2の修正指示情報を前記第1の無線通信装置に前記第2の無線通信手段を介して送信し、
前記測定期間修正手段は、前記第2の無線通信装置から前記第1の無線通信手段を介して前記第2の修正指示情報を受信したときに、現在設定されている測定期間を前記所定期間だけ長くする修正を行うことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の測定システム。
【請求項9】
前記検出素子は、前記物理特性の変化に応じて抵抗値又は容量値を変化させる素子であり、
前記環境情報は、温度情報を含み、
前記補正情報は、前記複数の基準素子の温度係数の情報を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項10】
前記第1の無線通信装置は、
抵抗値の異なる複数の抵抗素子を含み、前記複数の抵抗素子のうちいずれか1つの抵抗素子を選択し、選択した抵抗素子を前記検出素子と前記第1の回路の前記検出素子以外の回路部との間に直列に接続する抵抗接続手段を備え、
前記抵抗接続手段は、前記直列に接続する抵抗素子として、前記属性の特定前は前記複数の抵抗素子のうち予め設定された抵抗値の抵抗素子を選択して接続し、前記属性の特定後は前記複数の抵抗素子のうち、前記特定された属性に対応する抵抗値の抵抗素子を選択して接続することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項11】
前記第1の無線通信手段は、時刻を測定する時刻測定手段を備え、
前記測定情報生成手段は、前記時刻測定手段で測定した、前記物理特性を検出した時刻の情報を含む測定情報を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項12】
前記測定情報生成手段は、前記物理特性検出手段でN回(Nは3以上の自然数)連続して検出された前記検出値のn回(nは2≦n<Nの自然数)ごとの移動平均を算出する移動平均算出部を有し、前記物理特性の測定結果として前記移動平均を含む測定情報を生成することを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の測定システム。
【請求項13】
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置であって、
外部の他の無線通信装置と無線でデータの送受信を行う無線通信手段と、
前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子を接続する検出素子接続部と、
前記検出素子接続部に接続された検出素子の属性を特定する属性特定手段と、
前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定する環境情報測定手段と、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段と、
前記属性特定手段で特定される前記属性と前記環境情報測定手段で測定される環境情報とに対応した、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する補正情報を記憶する補正情報記憶手段と、
前記補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と前記環境情報測定手段で測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段と、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段と、
前記測定情報生成手段で生成した測定情報を記憶する測定情報記憶手段と、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記測定情報記憶手段に記憶された測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信する測定情報送信手段と、を備えることを特徴とする無線通信装置。
【請求項14】
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置を制御するための無線通信装置制御プログラムであって、
検出素子接続部に接続された、前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子の属性を特定する属性特定手段、
外部の他の無線通信装置から無線でデータの送受信を行う無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出する物理特性検出手段、
補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定手段で特定した属性と環境情報測定手段で測定した前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出手段によって前記検出素子を用いて検出した検出値を補正する検出値補正手段、
前記検出値補正手段で補正した検出値に基づき測定情報を生成する測定情報生成手段、及び、
前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、測定情報記憶手段に記憶された前記測定情報生成手段で生成した測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信する測定情報送信手段として実現される機能をコンピューターに実行させるためのプログラムを含むことを特徴とする無線通信装置制御プログラム。
【請求項15】
測定対象物に配設され前記測定対象物の物理特性を測定する無線通信装置を制御するための無線通信装置制御方法であって、
属性特定手段に、検出素子接続部に接続された、前記測定対象物の物理特性を検出する検出素子の属性を特定させる属性特定ステップと、
物理特性検出手段に、外部の他の無線通信装置から無線でデータの送受信を行う無線通信手段を介して受信した測定指示情報に応じて、前記検出素子を用いて、前記測定対象物の物理特性を検出させる物理特性検出ステップと、
環境情報測定手段に、前記検出素子の検出値の変化要因となる測定環境の状態を示す情報である環境情報を測定させる環境情報測定ステップと、
検出値補正手段に、補正情報記憶手段に記憶された、前記属性特定ステップで特定した属性と環境情報測定ステップで測定した環境情報とに対応する補正情報に基づき、前記物理特性検出ステップにおいて前記検出素子を用いて検出した検出値を補正させる検出値補正ステップと、
測定情報生成手段に、前記検出値補正ステップで補正した検出値に基づき測定情報を生成させる測定情報生成ステップと、
測定情報記憶手段に、前記測定情報生成ステップで生成した測定情報を記憶させる測定情報記憶ステップと、
測定情報送信手段に、前記他の無線通信装置から前記無線通信手段を介して受信した送信指示情報に応じて、前記測定情報記憶ステップで記憶した測定情報を前記無線通信手段を介して前記他の無線通信装置に送信させる測定情報送信ステップとを含むことを特徴とする無線通信装置制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2011−34376(P2011−34376A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180366(P2009−180366)
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月3日(2009.8.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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