説明

測定装置

【課題】作業効率および操作性を向上し得る測定装置を提供する。
【解決手段】測定対象体としてのバッテリ101の抵抗値Rを測定する測定部(CPU9、電圧検出部4)と、測定部によって測定された抵抗値RをRAM5に保存するCPU9とを備えたバッテリテスタ1であって、抵抗値Rを測定するための測定用端子(第1端子22a,22b,第2端子23a,23b)とバッテリ101の電極102a,102bとの接続状態を検出する検出部(第1検出回路3a、第2検出回路3b)を備え、CPU9は、測定用端子と電極102a,102bとの接続が検出部によって検出され、かつ測定している抵抗値Rの変動状態が所定の条件を満たしたときにその抵抗値RをRAM5に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象体の被接続部に少なくとも一対の測定用端子を接続して所定のパラメータを測定可能に構成された測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定装置として、特開平9−281202号公報において出願人が開示した電池測定装置が知られている。この電池測定装置は、交流定電流源、内部抵抗検出部、電圧検出部およびディジタル処理部等を備えて構成されている。この場合、交流定電流源は、測定対象としての電池の各端子に測定電極を介して交流電流(測定信号)を出力し、内部抵抗検出部は、交流電流の通電によって各端子間に生じる交流電圧を測定電極を介して入力して、その交流電圧に基づいて電池の実効抵抗を検出する。また、電圧検出部は、測定電極を介して入力される電池の各端子間の直流電圧を検出し、ディジタル処理部は、各検出部からの検出信号を処理した測定データをRAMに保存する。
【0003】
また、この電池測定装置は、電池の端子を挟持可能なプローブを備えており、このプローブの先端には、上記の測定電極が取り付けられている。また、このプローブには、RAMへの測定データの保存を指示するためのメモリトリガスイッチが配設されている。このため、この電池測定装置では、例えば、数多く並べられた電池の各端子にプローブを接続して(接触させて)各電池の内部抵抗を連続して測定するような測定形態において、プローブから手を離すことなく、プローブに配設されているメモリトリガスイッチを操作することで、測定データをRAMに保存することが可能なため、作業効率の向上および操作性の向上が可能となっている。
【特許文献1】特開平9−281202号公報(第4−6頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の電池測定装置には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、この電池測定装置では、プローブにメモリトリガスイッチを配設したことによって作業効率および操作性の向上が図られている。しかしながら、一般的に、プローブの測定電極を端子に接触させたときには、測定データが変動するため、正確な測定データをRAMに保存するためには、表示部に表示される測定値(測定データ)を確認しつつ測定値が安定したか否かを判断して、適切なタイミングでメモリトリガスイッチを操作する必要がある。したがって、この確認作業が煩雑であり、さらなる作業効率向上の観点からこの点の改善が望まれている。
【0005】
また、上記の電池測定装置では、プローブが測定対象体の端子を挟持するタイプのため、平面的な端子を挟持するのが困難である。このため、この種の端子を有する測定対象体を測定する際には、先端部を端子に押し当てる棒状タイプのプローブを用いる必要がある。この場合、棒状タイプのプローブにメモリトリガスイッチを配設したとしても、プローブの先端部を端子に押し当てつつメモリトリガスイッチを操作するのはやや困難であり、さらなる操作性向上の観点からこの点の改善も望まれている。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、作業効率および操作性を向上し得る測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定装置は、測定対象体についての所定のパラメータを測定する測定部と、当該測定部によって測定された前記パラメータの測定値を記憶部に保存する制御部とを備えた測定装置であって、前記所定のパラメータを測定するための測定用端子と前記測定対象体の被接続部との接続状態を検出する検出部を備え、前記制御部は、前記測定用端子と前記被接続部との接続が前記検出部によって検出され、かつ測定している前記測定値の変動状態が所定の条件を満たしたときに当該測定値を前記記憶部に保存する保存処理を実行する。
【0008】
また、請求項2記載の測定装置は、請求項1記載の測定装置において、前記制御部は、前記測定用端子と前記被接続部との非接続が前記検出部によって検出された後であって、前記測定用端子と前記被接続部との接続が前記検出部によって検出され、かつ測定している前記測定値の変動状態が前記所定の条件を満たしたときに前記保存処理を実行する。
【0009】
また、請求項3記載の測定装置は、請求項1または2記載の測定装置において、前記測定用端子としての一対の第1端子を介して前記被接続部に出力する第1交流電流を生成する第1電源部と、前記測定用端子としての一対の第2端子を介して前記被接続部に出力する第2交流電流を生成する第2電源部とを備え、前記検出部は、前記第1交流電流の導通状態に基づいて前記各第1端子と前記被接続部との接続状態を検出する第1検出回路と、前記第2交流電流の導通状態に基づいて前記各第2端子と前記被接続部との接続状態を検出する第2検出回路とを備えて構成され、前記測定部は、前記第1交流電流の出力によって前記被接続部に生じる電圧を当該被接続部に接続された前記各第2端子を介して入力して前記パラメータを測定可能に構成されている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の測定装置によれば、測定用端子と測定対象体の被接続部との接続が検出されかつ測定している測定値の変動状態が所定の条件を満たしたときに、制御部が測定値を記憶部に保存することにより、従来の測定装置とは異なり、測定値の保存タイミングを決定するために表示部を監視しつつ測定値が安定したか否かを判断する作業を不要とすることができるため、その分、作業効率を十分に向上させることができる。また、制御部が記憶部に測定値を自動的に保存するため、手動による保存用スイッチの操作が必要な従来の測定装置と比較して、操作性を十分に向上させることができる。
【0011】
また、請求項2記載の測定装置によれば、測定用端子と測定対象体の被接続部との非接続が検出部によって検出された後であって、測定用端子と被接続部との接続が検出部によって検出されかつ測定している測定値の変動状態が所定の条件を満たしたときに、制御部が測定値を記憶部に保存することにより、測定用端子と被接続部との非接続および接続を繰り返すだけで、複数の測定対象体の測定値の測定および保存を連続して自動的に行わせることができる。したがって、複数の測定対象体の測定値を連続して測定する測定形態における作業効率を一層向上させることができる。
【0012】
また、請求項3記載の測定装置によれば、第1端子と被接続部との接続状態を検出する第1検出回路と、第2端子と被接続部との接続状態を検出する第2検出回路とを備えたことにより、4端子法で測定値を測定する際の作業効率および操作性を十分に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る測定装置の最良の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0014】
最初に、バッテリテスタ1の構成について、図面を参照して説明する。
【0015】
図1に示すバッテリテスタ1は、本発明に係る測定装置の一例であって、図2に示すバッテリユニット100を構成する各バッテリ101a〜101e(本発明における測定対象体の一例:以下、区別しないときには「バッテリ101」ともいう)の内部抵抗(本発明におけるパラメータの一例)の抵抗値を4端子法によって測定可能に構成されている。具体的には、バッテリテスタ1は、図1に示すように、第1電源部2a、第2電源部2b(以下、両電源部2a,2bを区別しないときには「電源部2」ともいう)、第1検出回路3a、第2検出回路3b(以下、両検出回路3a,3bを区別しないときには「検出回路3」ともいう)、電圧検出部4、RAM5、ROM6、操作部7、表示部8およびCPU9を備えて構成されている。
【0016】
第1電源部2aは、本発明における第1交流電流に相当する交流電流Imを生成可能に構成されている。この場合、第1電源部2aには、一対の第1端子22a,22b(図1参照:以下、区別しないときには「第1端子22」ともいう)が接続され、この第1端子22を介して交流電流Imがバッテリ101における一対の電極102a,102b(本発明における被接続部に相当する:以下、電極102a,102bを区別しないときには「電極102」ともいう)に出力される。第2電源部2bは、本発明における第2交流電流に相当する交流電流Icを生成可能に構成されている。また、第2電源部2bには、一対の第2端子23a,23b(同図参照:以下、区別しないときには「第2端子23」ともいう)が接続され、この第2端子23を介して交流電流Icがバッテリ101の電極102a,102bに出力される。この場合、第1端子22aおよび第2端子23aは、図2,3に示すプローブユニット10aの先端部において絶縁されつつ互いに隣接した状態で配設され、第1端子22bおよび第2端子23bは、プローブユニット10b(以下、プローブユニット10a,10bを区別しないときには「プローブユニット10」ともいう)の先端部において絶縁されつつ互いに隣接した状態で配設されている。なお、第1端子22および第2端子23が、本発明における測定用端子に相当する。
【0017】
第1検出回路3aは、例えば、検出用抵抗Rd1(図1参照)の両端間の電圧値を測定することによって交流電流Imの導通状態(導通および非導通)を検出する。つまり、第1検出回路3aは、検出用抵抗Rd1の両端間の電圧値が所定電圧以上のときには、交流電流Imが導通状態と検出し、所定電圧未満ときには、交流電流Imが非導通状態と検出する。また、第1検出回路3aは、交流電流Imの導通状態に基づいて両第1端子22とバッテリ101の両電極102との接続状態(接続および非接続)を検出して、その接続状態を識別可能な検出信号S1をCPU9に出力する。この場合、第1検出回路3aは、交流電流Imが導通状態のときには、両第1端子22とバッテリ101の両電極102とが接続されていることを示す検出信号S1を出力し、交流電流Imが非導通状態のときには、両第1端子22とバッテリ101の両電極102とが非接続であることを示す検出信号S1を出力する。
【0018】
第2検出回路3bは、例えば、検出用抵抗Rd2(同図参照)の両端間の電圧値を測定することによって交流電流Icの導通状態を検出する。つまり、第2検出回路3bは、検出用抵抗Rd2の両端間の電圧値が所定電圧以上のときには、交流電流Icが導通状態と検出し、所定電圧未満ときには、交流電流Icが非導通状態と検出する。また、第2検出回路3bは、交流電流Icの導通状態に基づいて両第2端子23とバッテリ101の両電極102との接続状態を検出して、その接続状態を識別可能な検出信号S2をCPU9に出力する。この場合、第2検出回路3bは、交流電流Icが導通状態のときには、両第1端子23とバッテリ101の両電極102とが接続されていることを示す検出信号S2を出力し、交流電流Icが非導通状態のときには、両第1端子23とバッテリ101の両電極102とが非接続であることを示す検出信号S1を出力する。なお、第1検出回路3aおよび第2検出回路3bによって本発明における検出部が構成される。
【0019】
電圧検出部4は、例えばA/D変換回路(図示せず)を備えて構成され、CPU9の制御に従い、バッテリ101の電極102a,102bに交流電流Imが出力されたときに生じる電極102a,102b間の電圧の電圧値Vを検出して、電圧値Vを示す電圧データDvを出力する。
【0020】
RAM5は、CPU9の制御に従い、バッテリ101の抵抗値R(本発明におけるパラメータの測定値)を保存(記憶)する。また、RAM5は、CPU9によって設定される接続フラグF(これについては後述する)を記憶する。ROM6は、CPU9によって実行される抵抗値測定記録処理40(図5参照)において用いられる閾値B等を記憶する。操作部7は、図3に示すように、電源スイッチ71、開始スイッチ72および終了スイッチ73などの各種のスイッチを備えて構成されると共に、バッテリテスタ1の正面パネルに配設されて、各スイッチの操作に対応する操作信号S3をCPU9に出力する。表示部8は、例えば、LCDパネルで構成されると共に、同図に示すように、バッテリテスタ1の正面パネルに配設されて、CPU9の制御に従って各種の画像(例えば、図4に示す画像G)を表示する。
【0021】
CPU9は、電圧検出部4と共に本発明における測定部を構成し、図5に示す抵抗値測定保存処理40を実行して、電圧検出部4から出力される電圧データDvに基づいてバッテリ101の抵抗値Rを算出(測定)する。また、CPU9は、第1検出回路3aから出力された検出信号S1に基づいて両第1端子22が両電極102にそれぞれ接続されているか否かを判別すると共に、第2検出回路3bから出力された検出信号S2に基づいて両第2端子23が両電極102にそれぞれ接続されているか否かを判別する。この場合、CPU9は、両第1端子22および両第2端子23のすべてが電極102に接続されていると判別したときには、RAM5に記憶させる接続フラグFを1に設定し、両第1端子22および両第2端子23のうちの1つ以上が電極102と非接続のときには、接続フラグFを0に設定する。
【0022】
さらに、CPU9は、本発明における制御部として機能し、両第1端子22および両第2端子23の1つ以上が電極102に非接続(つまり、接続フラグFが0)の状態から、両第1端子22および両第2端子23のすべてが電極102に接続され(つまり、接続フラグFが1となり)かつ算出(測定)している抵抗値R(電圧値V)の変動状態が所定の条件を満たしたときに、その算出した抵抗値RをRAM5に保存する。
【0023】
次に、バッテリユニット100を構成する各バッテリ101の抵抗値Rをバッテリテスタ1を用いて測定する方法について、図面を参照して説明する。
【0024】
まず、操作部7の電源スイッチ71を操作する。この際に、CPU9が、RAM5を初期化してRAM5に保存されている各データを消去させると共に、接続フラグFを0に設定する。次いで、開始スイッチ72を操作する。この際に、操作部7が、開始スイッチ72に対応する操作信号S3を出力し、CPU9が、その操作信号S3に従って図5に示す抵抗値測定保存処理40を実行する。この抵抗値測定保存処理40では、CPU9は、まず、接続フラグFが0であるか否かを判別する(ステップ41)。この場合、初期状態では(RAM5を初期化した際に)接続フラグFが0に設定されているため、CPU9は、第1電源部2aを制御して交流電流Imを生成させると共に、第2電源部2bを制御して交流電流Icを生成させる(ステップ42)。
【0025】
続いて、図2に示すように、バッテリユニット100の各バッテリ101a〜101eのうちの例えばバッテリ101aの電極102a,102bにプローブユニット10a,10bをそれぞれ接続(接触)させる。この際に、プローブユニット10aの先端部に配設されている第1端子22aおよび第2端子23aが電極102aに接続されると共に、プローブユニット10bの先端部に配設されている第1端子22bおよび第2端子23bが電極102bに接続される。これにより、第1端子22a,22bを介して第1電源部2aからの交流電流Imがバッテリ101aの電極102a,102bに出力されると共に、第2端子23a,23bを介して第2電源部2bからの交流電流Icが電極102a,102bに出力される。
【0026】
次いで、検出回路3aが、交流電流Imの導通状態に基づいて両第1端子22と両電極102との接続状態を検出して、その接続状態を識別可能な検出信号S1をCPU9に出力する。また、第2検出回路3bが、交流電流Icの導通状態に基づいて両第2端子23と両電極102との接続状態を検出して、その接続状態を識別可能な検出信号S2をCPU9に出力する。
【0027】
続いて、CPU9は、第1検出回路3aから出力された検出信号S1に基づいて両第1端子22のいずれもが両電極102に接続されているか否かを判別すると共に、第2検出回路3bから出力された検出信号S2に基づいて両第2端子23のいずれもが両電極102に接続されているか否かを判別する(ステップ43)。この場合、CPU9は、両第1端子22および第2端子23の1つ以上が電極102と非接続であると判別したときには、両第1端子22および両第2端子23のすべてが電極102に接続されるまで、つまり両プローブユニット10a,10bのいずれもが電極102に接続されるまでステップ43を繰り返して実行する。この際に、CPU9は、両第1端子22および両第2端子23が接続されていない旨(例えば、「プローブユニットが接続されていません」の表示)を表示部8に表示させる。一方、CPU9は、両第1端子22および両第2端子23のすべてが電極102に接続されていると判別したときには、RAM5に記憶させる接続フラグFを1に設定する(ステップ44)。
【0028】
次いで、CPU9は、電圧検出部4を制御して、交流電流Imの出力によって電極102a,102b間に生じる電圧の電圧値Vを検出させると共に、電圧値Vを示す電圧データDvを出力させる。続いて、CPU9は、電圧データDvに基づいてバッテリ101aの抵抗値Rを算出する(ステップ45)。また、CPU9は、表示部8を制御して、図4に示すように、抵抗値R(同図において、「31.00mΩ」が相当する)を示す画像Gを表示させる。
【0029】
次いで、CPU9は、ROM6から閾値Bを読み出すと共に、閾値Bに基づき、バッテリ101aの抵抗値Rの変動状態が所定の条件を満たしたか否かを判別する(ステップ46)。ここで、このバッテリテスタ1では、一例として、抵抗値Rにおける最小の位(電圧検出部4におけるA/D変換回路の分解能に基づいて規定される位)の変動回数が1秒間に所定回数以下となったとき、つまり抵抗値Rの変動状態が所定のレベルまで安定したときに所定の条件を満たしたと規定されており、この所定回数(例えば3回)が閾値BとしてROM6に記憶されている。この場合、CPU9は、抵抗値Rの変動状態が上記の条件を満たしたと判別したきには、表示部8を制御してその時点における抵抗値Rを示す画像Gを表示した状態に維持(ホールド)させる(ステップ47)。
【0030】
続いて、CPU9は、上記の条件を満たしたと判別した時点、つまり抵抗値Rの変動状態が所定のレベルまで安定した時点の抵抗値RをRAM5に保存する(ステップ48)。この場合、このバッテリテスタ1では、その値が所定のレベルに安定した時点の抵抗値RがRAM5に保存されるため、測定値の保存タイミングを決定するために表示部を監視しつつ測定値が安定したか否かを測定者が判断する必要のある従来の測定装置と比較して、作業効率を十分に向上させることができる。また、CPU9がRAM5に抵抗値Rを自動的に保存するため、保存用スイッチ(メモリトリガスイッチ)の手動操作が必要な従来の測定装置と比較して、操作性を十分に向上させることが可能となっている。
【0031】
次いで、CPU9は、第1検出回路3aからの検出信号S1、および第2検出回路3bからの検出信号S2に基づき、両第1端子22および両第2端子23の1つ以上が電極102と非接続となったか否かを判別する(ステップ49)。この場合、CPU9は、両第1端子22および両第2端子23のすべてが電極102に接続されているときには、両第1端子22および両第2端子23の1つ以上が電極102と非接続となるまで、つまりプローブユニット10a,10bの少なくとも一方が電極102から離間するまでステップ49を繰り返して実行する。
【0032】
また、CPU9は、両第1端子22および両第2端子23の1つ以上が電極102と非接続となったときには、RAM5に記憶させる接続フラグFを0に設定する(ステップ50)。次いで、CPU9は、上記したステップ43に戻り、ステップ43〜ステップ50を繰り返し実行する。
【0033】
一方、例えば、バッテリ101aに隣接するバッテリ101bの抵抗値Rを測定する際には、上記の操作と同様にして、バッテリ101bの電極102a,102bにプローブユニット10a,10bをそれぞれ接続させる。続いて、CPU9は、ステップ43において、両第1端子22および両第2端子23のすべてが電極102に接続されていると判別して、ステップ44〜ステップ46を実行する。この際に、CPU9は、両第1端子22および両第2端子23の1つ以上が電極102と非接続となった後(つまり、接続フラグFが0となった後)であって、両端子22,23のすべてが電極102に接続され(つまり、接続フラグFが1となり)、かつ算出している抵抗値Rの変動状態が上記の条件を満たしたときには、ステップ47,48を実行する。続いて、CPU9は、上記と同様にしてステップ49〜51を実行する。なお、CPU9は、この抵抗値測定保存処理40の実行中において、操作部7からの操作信号S3に基づいて終了スイッチ73が操作されたか否かを判別し、操作されたと判別したときには、この抵抗値測定保存処理40を終了する。
【0034】
以下、バッテリ101c〜101eの抵抗値Rの測定および保存を行う際には、上記の操作を繰り返す。この場合、両端子22,23の1つ以上が電極102と非接続となった後であって、両端子22,23のすべてが電極102に接続され、かつ算出している抵抗値Rの変動状態が上記の条件を満たしたときにCPU9が抵抗値RをRAM5に自動的に保存するため、両端子22,23と電極102との非接続および接続、つまりプローブユニット10と電極102との非接続および接続を繰り返すだけで、各バッテリ101の抵抗値Rの測定および保存を連続して行うことが可能となる。次いで、例えば、バッテリ101の抵抗値Rの測定を終了する際には終了スイッチ73を操作する。この際には、CPU9は、操作部7からの操作信号S3に基づいて終了スイッチ73が操作されたと判別して(ステップ51)、この抵抗値測定保存処理40を終了する。
【0035】
このように、このバッテリテスタ1によれば、両端子22,23と電極102との接続が検出されかつ算出している抵抗値Rの変動状態が上記の所定の条件を満たしたときに、CPU9が抵抗値RをRAM5に保存することにより、従来の測定装置とは異なり、測定値の保存タイミングを決定するために表示部を監視しつつ測定値が安定したか否かを判断する作業を不要とすることができるため、その分、作業効率を十分に向上させることができる。また、CPU9がRAM5に抵抗値Rを自動的に保存するため、手動による保存用スイッチの操作が必要な従来の測定装置と比較して、操作性を十分に向上させることができる。
【0036】
また、このバッテリテスタ1によれば、両端子22,23と電極102との非接続が検出された後であって、両端子22,23と電極102との接続が検出されかつ算出している抵抗値Rの変動状態が上記の所定の条件を満たしたときに、CPU9が抵抗値RをRAM5に保存することにより、両端子22,23と電極102との非接続および接続、つまりプローブユニット10と電極102との非接続および接続を繰り返すだけで、複数のバッテリ101の抵抗値Rの測定および保存を連続して自動的に行わせることができる。したがって、複数のバッテリ101の抵抗値Rを連続して測定する測定形態における作業効率を一層向上させることができる。
【0037】
また、このバッテリテスタ1によれば、第1端子22と電極102との接続状態を検出する第1検出回路3aと、第2端子23と電極102との接続状態を検出する第2検出回路3bとを備えたことにより、4端子法で抵抗値Rを測定する際の作業効率および操作性を十分に向上させることができる。
【0038】
なお、本発明は、上記の構成に限定されない。例えば、抵抗値Rを測定するバッテリテスタ1に適用した例について上記したが、電圧、電流および温度等の各種のパラメータを測定可能な測定装置に本発明を適用することができる。また、これらの各種パラメータを2種類以上測定可能な測定装置に適用することもできる。また、4端子法で抵抗値Rを測定するバッテリテスタ1を例に挙げて説明したが、2端子法で各種のパラメータを測定する測定装置に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】バッテリテスタ1の構成を示す構成図である。
【図2】バッテリユニット100の構成を示す構成図である。
【図3】バッテリテスタ1の正面図である。
【図4】表示部8に画像Gを表示させている状態の表示画面図である。
【図5】抵抗値測定保存処理40のフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1 バッテリテスタ
2a,2b 電源部
3a 第1検出回路
3b 第2検出回路
4 電圧検出部
5 RAM
9 CPU
22a,22b 第1端子
23a,23b 第2端子
100 バッテリユニット
101,101a〜101e バッテリ
102a,102b 電極
Ic,Im 交流電流
R 抵抗値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象体についての所定のパラメータを測定する測定部と、当該測定部によって測定された前記パラメータの測定値を記憶部に保存する制御部とを備えた測定装置であって、
前記所定のパラメータを測定するための測定用端子と前記測定対象体の被接続部との接続状態を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記測定用端子と前記被接続部との接続が前記検出部によって検出され、かつ測定している前記測定値の変動状態が所定の条件を満たしたときに当該測定値を前記記憶部に保存する保存処理を実行する測定装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記測定用端子と前記被接続部との非接続が前記検出部によって検出された後であって、前記測定用端子と前記被接続部との接続が前記検出部によって検出され、かつ測定している前記測定値の変動状態が前記所定の条件を満たしたときに前記保存処理を実行する請求項1記載の測定装置。
【請求項3】
前記測定用端子としての一対の第1端子を介して前記被接続部に出力する第1交流電流を生成する第1電源部と、前記測定用端子としての一対の第2端子を介して前記被接続部に出力する第2交流電流を生成する第2電源部とを備え、
前記検出部は、前記第1交流電流の導通状態に基づいて前記各第1端子と前記被接続部との接続状態を検出する第1検出回路と、前記第2交流電流の導通状態に基づいて前記各第2端子と前記被接続部との接続状態を検出する第2検出回路とを備えて構成され、
前記測定部は、前記第1交流電流の出力によって前記被接続部に生じる電圧を当該被接続部に接続された前記各第2端子を介して入力して前記パラメータを測定可能に構成されている請求項1または2記載の測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−212340(P2007−212340A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33853(P2006−33853)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】