説明

測距システム、及び測距方法

【課題】 距離測定の精度を向上させることができるRTT方式の測距システム、及びこのような測距システムに利用される測距方法を提供する。
【解決手段】 無線信号を互いに送受信するアクセス端末と送受信端末とを備えた測距システムにおいて、応答信号の送信を要求する要求信号を送信し、要求信号が送信されてから応答信号が受信されるまでの時間を測定し、その測定された時間に基づき送受信端末までの距離を算出するアクセス端末と、アンテナ301により受信された無線信号から中間周波数信号を生成するRFIF変換部304と、その中間周波数信号の信号レベルを検出する受信信号強度計測部307と、その検出された信号レベルに基づいて応答信号をアンテナ301から送信する応答送信制御部312とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置と受信装置との間の距離を測る測距システム、及びこのような測距システムに利用される測距方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2点間の距離を測定する測距システムとして、例えば送信装置から目標物に向けて電波を送信し、その反射波が返ってくるまでの電波の飛翔時間(TOF:Time Of Flight)を測定することにより目標物までの距離を測るレーダー方式の測距システムや、送信装置から無線信号を受信装置へ送信し、受信装置から応答信号が返ってくるまでの時間であるRTT(Round Trip Time)を測定することにより送信装置と受信装置との間の距離を測るRTT方式の測距システムが知られている。RTT方式の測距システムとしては、例えば、TDMA(Time Division Multiple Access)方式の携帯電話機において基地局と携帯電話機との間の距離を測定するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特表2001−508250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述のようなレーダー方式の測距システムにおいては、目標物以外の物体からも電波の反射波が返ってくるため目標物から反射した反射波を識別することが容易ではなく、また、送信装置と目標物との間に障害物があると距離の測定が困難であるという不都合があった。
【0004】
また、RTT方式の測距システムでは、RTTには受信装置におけるマイクロコンピュータ等による内部処理時間が含まれるため、内部処理時間が増加すると共に内部処理時間の変動が増大し、RTTが変動して距離の測定精度が低下するという不都合があった。特に、TDMA方式の無線装置、例えば携帯電話機では、基地局から送信された無線信号に対して応答信号を送信する場合、予め設定されたタイムスロット内で送信を行うため、RTTがTDMAのサイクル時間の影響を受けて変動し、距離の測定精度が低下するという不都合があった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みて為された発明であり、距離測定の精度を向上させることができるRTT方式の測距システムを提供することを目的とする。そして、このような測距システムに利用される測距方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の手段に係る測距システムは、無線信号を互いに送受信するアクセス端末と送受信端末とを備えた測距システムにおいて、前記アクセス端末は、前記送受信端末との間で無線信号を送受信するアクセス端末送受信部と、時間を計測する測定部と、前記アクセス端末送受信部から応答信号の送信を要求する要求信号を送信させ、前記アクセス端末送受信部によって前記要求信号が送信されてから前記応答信号が受信されるまでの時間を前記測定部に測定させ、前記測定部により測定された時間に基づき前記送受信端末までの距離を算出する測距制御動作を行うアクセス端末制御部とを備え、前記送受信端末は、前記アクセス端末との間で無線信号を送受信する送受信端末送受信部と、前記送受信端末送受信部により受信された無線信号から中間周波数信号を生成する送受信端末IF生成部と、前記送受信端末IF生成部により生成された中間周波数信号の信号レベルを検出する送受信端末信号レベル検出部と、前記送受信端末信号レベル検出部により検出された信号レベルに基づいて前記応答信号を前記送受信端末送受信部に送信させる応答送信制御部と、を備えることを特徴としている。
【0007】
また、上述の測距システムにおいて、前記アクセス端末制御部は、前記アクセス端末送受信部によって、距離測定処理を開始する旨を示す開始信号を送信させた後、前記要求信号を送信させるものであり、前記送受信端末は、前記送受信端末送受信部によって前記開始信号が受信された場合、前記応答送信制御部を動作可能状態にする応答制御部をさらに備え、前記応答送信制御部は、前記応答制御部により動作可能状態にされた後、前記送受信端末信号レベル検出部により検出された信号レベルに基づいて前記送受信端末送受信部に前記応答信号を送信させることを特徴としている。
【0008】
そして、上述の測距システムにおいて、前記アクセス端末は、前記アクセス端末送受信部により受信された無線信号から中間周波数信号を生成するアクセス端末IF生成部と、前記アクセス端末IF生成部により生成された中間周波数信号の信号レベルを検出するアクセス端末信号レベル検出部をさらに備え、前記測定部は、前記アクセス端末送受信部による前記要求信号の送信終了時から、前記応答信号により前記アクセス端末信号レベル検出部で検出された信号レベルの立ち下がりまでの時間を測定し、前記応答送信制御部は、前記送受信端末信号レベル検出部により検出された信号レベルの立ち下がりで前記送受信端末送受信部に前記応答信号の送信を開始させることを特徴としている。
【0009】
また、上述の測距システムにおいて、前記アクセス端末制御部は、前記応答信号の送信を要求する対象となる送受信端末のアドレスを前記開始信号に含んで前記アクセス端末送受信部から送信させ、前記応答制御部は、前記送受信端末受信部によって受信された開始信号が自分のアドレスを含む場合、前記応答送信制御部を動作可能状態にすると共に、当該開始信号が自分のアドレスを含まない場合、前記送受信端末送受信部に無線信号を送信させないことを特徴としている。
【0010】
そして、上述の測距システムにおいて、前記アクセス端末制御部は、前記測距制御動作を複数回実行し、それぞれ算出した前記距離の平均値を前記送受信端末までの距離として算出することを特徴としている。
【0011】
さらに、上述の測距システムにおいて、前記アクセス端末制御部は、前記無線信号の周波数を異ならせて前記測距制御動作を複数回実行することを特徴としている。
【0012】
また、上述の測距システムにおいて、前記アクセス端末送受信部は、前記送受信端末との間で無線信号を送受信する指向性アンテナと、前記指向性アンテナの指向方向を変化させる方向制御部と、を備え、前記アクセス端末制御部は、前記方向制御部により前記指向性アンテナの指向方向を変化させつつ前記測距制御動作を実行し、前記アクセス端末送受信部によって前記応答信号が受信された場合における前記指向性アンテナの指向方向を前記送受信端末がある方向として取得することを特徴としている。
【0013】
そして、本発明の第2の手段に係る測距方法は、無線信号を互いに送受信するアクセス端末と送受信端末との間の距離を測定する測距方法において、前記アクセス端末は、距離測定処理を開始する旨を示す開始信号を送信した後、応答信号の送信を要求する要求信号を送信し、前記送受信端末は、前記開始信号を受信した後に受信された無線信号から得られた中間周波数信号の信号レベルに基づいて前記応答信号を前記アクセス端末へ送信し、前記アクセス端末は、前記要求信号を送信してから前記応答信号を受信するまでの時間を測定すると共に当該測定された時間に基づき前記送受信端末までの距離を算出することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
このような構成の測距システム及び測距方法は、アクセス端末におけるアクセス端末送受信部から応答信号の送信を要求する要求信号が無線信号で送信される。そして、送受信端末における送受信端末IF生成部によって送受信端末送受信部により受信された無線信号から中間周波数信号が生成され、送受信端末信号レベル検出部によりその中間周波数信号の信号レベルが検出され、その信号レベルに基づいて応答送信制御部により送受信端末送受信部から応答信号が送信される。さらに、測定部によって、アクセス端末送受信部により要求信号が送信されてから応答信号が受信されるまでの時間、すなわちRTTが測定され、アクセス端末制御部によって、そのRTTに基づき送受信端末までの距離が算出される。この場合、送受信端末において、送受信端末送受信部により無線信号である要求信号から中間周波数信号が生成され、送受信端末信号レベル検出部によりその中間周波数信号の信号レベルが検出され、その信号レベルに基づいて応答送信制御部により送受信端末送受信部から応答信号が送信されるので、RTTに含まれる送受信端末の内部処理時間及びその変動を低減することができる結果、距離測定の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る測距システムの構成の一例を示す概念図である。図1に示す測距システム1は、アクセス端末2と、アクセス端末2との間で無線信号を互いに送受信する送受信端末3A,3B,3C,3Dとを備えている。送受信端末3A,3B,3C,3Dには、それぞれ固有のアドレスが付与されている。ここで、本明細書において、総称する場合にはアルファベットの添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を示す場合には、アルファベットの添え字を付した参照符号で示す。
【0017】
図1に示す測距システム1は、アクセス端末2と送受信端末3との間の距離を測定するシステムで、例えば送受信端末3A,3B,3C,3Dをそれぞれ人や荷物等に取り付けて、アクセス端末2から一定の距離範囲内における送受信端末3A,3B,3C,3Dを取り付けた人や荷物の存在を確認するシステム等に適用することができる。あるいは、アクセス端末2を複数用いて、複数のアクセス端末2から各送受信端末3までの距離を測定することにより、各送受信端末3の位置を検出するシステム等に適用してもよい。例えば、送受信端末3を、屋内各所に取り付けられた温度センサーや湿度センサー等のセンサーモジュールに取り付けて、これらセンサーモジュールの位置を複数のアクセス端末2から測定した距離に基づいて算出し、各センサーモジュールが取り付けられている部屋を特定する、といった用途に適用することができる。
【0018】
図2は、本発明の一実施形態に係るアクセス端末の構成の一例を示すブロック図である。図2に示すアクセス端末2は、アクセス端末送受信部の一例であるアンテナ201と、RF受信回路202と、RF送信回路203と、アクセス端末IF生成部の一例であるRFIF変換部204と、変復調回路205と、アクセス端末信号レベル検出部の一例である受信信号強度計測部207と、アクセス端末制御部の一例であるデータ処理部208と、を備えている。
【0019】
RF受信回路202は、アンテナ201で受信された無線信号を増幅する等、RF信号受信処理を施してRFIF変換部204へ出力する。RF送信回路203は、RFIF変換部204から出力された送信信号を増幅する等、RF信号送信処理を施してアンテナ201から無線信号として放射させる。RFIF変換部204は、RF受信回路202から出力された信号を中間周波数信号IF1に変換して変復調回路205や受信信号強度計測部207へ出力したり、変復調回路205から出力された中間周波数信号IF1を無線周波数の送信信号に変換してRF送信回路203へ出力したりする。
【0020】
変復調回路205は、RFIF変換部204から出力された中間周波数信号IF1を復調してデータ処理部208へ出力したり、データ処理部208から出力された信号を変調してRFIF変換部204へ出力したりする。受信信号強度計測部207は、RFIF変換部204で得られた中間周波数信号IF1の信号レベルを検出するいわゆるRSSI(Receive Signal Strength Indicater)回路であり、検出した信号レベルを示すレベル信号SL1をデータ処理部208へ出力する。
【0021】
データ処理部208は、例えば測定部の一例であるタイマ209を備えたマイクロコンピュータを用いて構成されており、アクセス端末2の各部の動作を制御すると共に無線通信による送受信端末3の応答時間を測定して送受信端末3までの距離を算出する。また、データ処理部208は、例えばROM(Read Only Memory)等の不揮発性メモリから構成された記憶部210を備えており、後述する送受信端末3の応答信号送信継続時間T6や送受信端末3内部の遅延時間T7、及び送受信端末3の応答時間から距離を算出するための光速Cの値を予め記憶している。
【0022】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る送受信端末3の構成の一例を示すブロック図である。図3に示す送受信端末3は、送受信端末送受信部の一例であるアンテナ301と、RF受信回路302と、RF送信回路303と、送受信端末IF生成部の一例であるRFIF変換部304と、復調回路305と、送受信端末信号レベル検出部の一例である受信信号強度計測部307と、受信判定部308と、スイッチ309と、応答信号発生部310と、応答制御部311と、を備えている。そして、受信判定部308と、スイッチ309と、応答信号発生部310とによって、応答送信制御部312が構成されている。
【0023】
RF受信回路302は、アンテナ301で受信された無線信号を増幅する等、RF信号受信処理を施してRFIF変換部304へ出力する。RF送信回路303は、RFIF変換部304から出力された送信信号を増幅する等、RF信号送信処理を施してアンテナ301から無線信号として放射させる。RFIF変換部304は、RF受信回路302から出力された信号を中間周波数信号IF2に変換して復調回路305や受信信号強度計測部307へ出力したり、応答信号発生部310から出力された後述の応答信号を無線周波数の送信信号に変換してRF送信回路303へ出力したりする。
【0024】
復調回路305は、RFIF変換部304から出力された中間周波数信号IF2を復調して応答制御部311へ出力する。受信信号強度計測部307は、RFIF変換部304で得られた中間周波数信号IF2の信号レベルを検出するいわゆるRSSI回路であり、検出した信号レベルを示すレベル信号SL2を受信判定部308へ出力する。
【0025】
応答送信制御部312は、受信信号強度計測部307から出力されたレベル信号SL2に基づいて応答信号をRFIF変換部304、RF送信回路303、及びアンテナ301によって送信させる制御回路部である。
【0026】
受信判定部308は、受信信号強度計測部307の出力に基づいて無線信号を受信中であるか否かを判定するものであり、例えばレベル信号SL2の立ち下がりを検出するエッジ検出回路を用いて構成されており、レベル信号SL2の立ち下がりを検出すると、応答信号発生部310の動作を指示する制御信号SDを、スイッチ309を介して応答信号発生部310へ出力する。応答信号発生部310は、制御信号SDに応じて応答信号をRFIF変換部304へ出力する。応答信号は、アクセス端末2が受信可能な信号であればよく、例えばアクセス端末2が受信した無線信号を同期するためのプレアンブルのように、送信すべき実データを伴わない信号であってもよい。あるいは、送受信端末3のアドレスや、応答信号を意味する予め設定された信号パターン等であってもよい。
【0027】
応答制御部311は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成されており、アクセス端末2から送信された後述の開始信号を受信した場合にスイッチ309をオンさせて応答送信制御部312を動作可能状態にする。
【0028】
次に、図1に示す測距システム1の動作について説明する。図4は、測距システム1の動作の一例を説明するためのフローチャートである。図4において、アクセス端末2は、送受信端末3Aまでの距離を測定する例を示しており、送受信端末3C,3Dの動作は送受信端末3Bと同様であるので、その記載を省略する。
【0029】
まず、アクセス端末2において、データ処理部208から変復調回路205へ、距離測定の対象として受信端末3Aを指定して、距離測定処理を開始する旨を示す開始信号が出力される(ステップS1)。この場合、開始信号には、例えば距離測定の対象である受信端末3Aのアドレスが含まれている。
【0030】
そして、データ処理部208から出力された開始信号は、変復調回路205によって変調され、RFIF変換部204によって無線信号の周波数にされ、RF送信回路203によってアンテナ201から無線信号として放射される。
【0031】
次に、アンテナ201から無線信号として放射された開始信号は、送受信端末3A,3B,3C,3Dにおけるアンテナ301によって受信され、RF受信回路302によってRF信号処理が施され、RFIF変換部304によって中間周波数信号IF2にされ、復調回路305により復調されて応答制御部311で受信される。そうすると、送受信端末3Aでは、応答制御部311によって、開始信号に送受信端末3Aのアドレスが含まれていることが検出され、応答制御部311からの制御信号に応じてスイッチ309がオンされる(ステップS2)。これにより、応答送信制御部312は動作可能状態となる。
【0032】
一方、送受信端末3Bでは、応答制御部311によって、開始信号に送受信端末3Bのアドレスが含まれていないことが検出され、応答制御部311からの制御信号に応じてスイッチ309がオフに維持される(ステップS3)。これにより、応答送信制御部312は動作禁止状態となる。
【0033】
なお、送受信端末3は、距離測定以外の無線通信機能を有していてもよいが、アクセス端末2からの開始信号を受信した場合、無線信号の送信動作を停止する。これにより、アクセス端末2及び送受信端末3A,3B,3C,3Dによって、無線信号が送信されない状態にされる。
【0034】
次に、アクセス端末2によって、送受信端末3A,3B,3C,3Dから無線信号が送信されていないことが確認される(ステップS4)。具体的には、アクセス端末2における空間中の無線信号は、アンテナ201によって受信され、RF受信回路202によってRF信号処理が施され、RFIF変換部204によって中間周波数信号IF1にされ、受信信号強度計測部207によって、中間周波数信号IF1から検出された信号レベルを示すレベル信号SL1がデータ処理部208へ出力される。そして、送受信端末3A,3B,3C,3Dから無線信号が送信されていない状態となると、アンテナ201によって無線信号が受信されないためにレベル信号SL1は信号レベルがゼロであることを示す。さらに、データ処理部208によって、レベル信号SL1が信号レベルゼロを示すことが検出されると(ステップS4でYES)、ステップS1と同様の動作により要求信号がアンテナ201から放射されると共にタイマ209による経過時間の計時が開始される(ステップS5)。
【0035】
図5は、タイマ209による経過時間の計時動作を詳細に説明するための説明図である。図5において、縦軸は時間tを示している。まず、ステップS5において、データ処理部208によって、要求信号の送信が開始され(タイミングT1)、要求信号の送信が時間T2の間継続される。そして、データ処理部208による要求信号の送信が終了すると、タイマ209による経過時間の計時が開始される(タイミングT3)。
【0036】
次に、アンテナ201から無線信号として放射された要求信号は、送受信端末3Aにおけるアンテナ301によって受信され、RF受信回路302によってRF信号処理が施され、RFIF変換部304によって中間周波数信号IF2にされ、受信信号強度計測部307によって、中間周波数信号IF2から検出された信号レベルを示すレベル信号SL2が応答送信制御部312における受信判定部308へ出力される(タイミングT4)。
【0037】
図6は、応答送信制御部312の動作を説明するための説明図である。タイミングT4において、受信信号強度計測部307によって、要求信号に基づく中間周波数信号IF2の信号レベルを示すレベル信号SL2が出力される。次に、受信判定部308によって、ノイズと要求信号とを区別できる程度の時間、レベル信号SL2が予め設定された閾値Refを超えた(要求信号が受信されている)後、閾値Refを下回って立ち下がった(要求信号が受信されなくなった)ことが検出されると(タイミングT5)、受信判定部308からスイッチ309を介して応答信号発生部310へ、応答信号の送信を指示するべく制御信号SDが予め設定された応答信号送信継続時間T6の間ハイレベルで出力される。
【0038】
そして、制御信号SDがハイレベルにされると、応答信号が、応答信号発生部310からRFIF変換部304へ出力され、RFIF変換部304によって無線信号の周波数にされ、RF送信回路303によってアンテナ301から無線信号として放射される(ステップS6)。
【0039】
そうすると、図5、図4を参照してアクセス端末2から送信された要求信号が受信されなくなったタイミングT5から、送受信端末3AにおけるRF受信回路302、RFIF変換部304、受信信号強度計測部307、応答送信制御部312、及びRF送信回路303の処理動作による遅延時間T7を経過したタイミングT8において、送受信端末3Aからアクセス端末2への応答信号の送信が開始され、応答信号送信継続時間T6の間、応答信号の送信が継続される。
【0040】
一方、ステップS5においてアクセス端末2のアンテナ201から無線信号として放射された要求信号は、送受信端末3B,3C,3Dにおいても受信されるが、送受信端末3B,3C,3Dでは、スイッチ309がオフされているので、送受信端末3B,3C,3Dからは応答信号が送信されることはない。
【0041】
次に、送受信端末3Aから送信された応答信号は、アクセス端末2のアンテナ201によって受信され、RF受信回路202によってRF信号処理が施され、RFIF変換部204によって中間周波数信号IF1にされ、受信信号強度計測部207によって、中間周波数信号IF1から検出された信号レベルを示すレベル信号SL1がデータ処理部208へ出力される(タイミングT9)。そして、データ処理部208によって、送受信端末3Aにおける受信判定部308と同様の動作により、ノイズと応答信号とを区別できる程度の時間、レベル信号SL1が予め設定された閾値Refを超えた(応答信号が受信されている)後、閾値Refを下回って立ち下がった(応答信号が受信されなくなった)ことが検出されると(タイミングT10)、データ処理部208によりタイマ209の計時時間が送受信端末3Aの応答時間T11(RTT)として取得される(ステップS7)。
【0042】
次に、アクセス端末2から、送受信端末3に距離測定処理を終了させるべく、ステップS1と同様の動作により距離測定処理の終了を示す終了信号が出力される(ステップS8)。そして、送受信端末3において、ステップS2,S3と同様の動作によって、終了信号が受信され、送受信端末3Aでは応答制御部311によってスイッチ309がオフされ(ステップS9)、送受信端末3A,3B,3C,3Dでは無線送信可能な状態にされる(ステップS10)。
【0043】
次に、アクセス端末2におけるデータ処理部208によって、応答時間T11と、記憶部210に記憶されている応答信号送信継続時間T6及び遅延時間T7と、光速Cとに基づいて、下記の式(1)により距離Lが算出される(ステップS11)。
L=(T11−T6−T7)×C/2 ・・・(1)
【0044】
この場合、ステップS6において、アクセス端末2から送信された要求信号が送受信端末3Aにより受信され、受信信号強度計測部307によって検出された要求信号の受信信号のレベルを示すレベル信号SL2に基づいて送受信端末3Aから応答信号が送信されるので、データ処理部208により取得される応答時間T11には、送受信端末3Aにおける要求信号に対する復調回路305の内部処理時間、あるいは復調回路305で得られた復調信号に基づく要求信号の判別処理等の内部処理時間が含まれない。従って、遅延時間T7は、RF受信回路302、RFIF変換部304、受信信号強度計測部307、応答送信制御部312、及びRF送信回路303によるハードウェア遅延のみとなり、遅延時間T7が減少されると共に遅延時間T7のバラツキが減少され、応答時間T11の精度が向上される結果、アクセス端末2と送受信端末3Aとの間における距離Lの測定精度が向上される。
【0045】
また、送受信端末3Aの受信判定部308によって、タイミングT5においてレベル信号SL2が立ち下がった(要求信号が受信されなくなった)場合に送受信端末3Aからアクセス端末2への応答信号の送信が開始されるので、応答信号は要求信号の送信終了後に送信開始され、アクセス端末2から無線送信される要求信号と送受信端末3Aから無線送信される応答信号とが衝突することがない。従って、要求信号と応答信号との干渉を避けるために要求信号と応答信号との無線周波数を異ならせる必要がなく、要求信号と応答信号として同じ周波数の無線信号を用いることができる。そうすると、要求信号と応答信号とのRF信号送受信処理を行う回路部である、アクセス端末2におけるRF受信回路202、RF送信回路203、RFIF変換部204や、送受信端末3におけるRF受信回路302、RF送信回路303、RFIF変換部304等の送受信回路で、要求信号と応答信号とを同じ周波数の無線信号として処理することができるので、回路を簡素化することができる。
【0046】
また、送受信端末3における受信判定部308によって、ノイズと要求信号とを区別できる程度の時間、レベル信号SL2が予め設定された閾値Refを超えた(要求信号が受信されている)後、閾値Refを下回って立ち下がった(要求信号が受信されなくなった)ことが検出された場合に送受信端末3からの応答信号の送信が開始されるので、送受信端末3における応答信号の送信開始に対するノイズの影響が低減され、応答時間T11の精度が向上される結果、アクセス端末2と送受信端末3Aとの間における距離Lの測定精度が向上される。
【0047】
また、アクセス端末2におけるデータ処理部208によって、ノイズと応答信号とを区別できる程度の時間、レベル信号SL1が予め設定された閾値Refを超えた(応答信号が受信されている)後、閾値Refを下回って立ち下がった(応答信号が受信されなくなった)ことが検出された場合に、データ処理部208によりタイマ209の計時時間が送受信端末3Aの応答時間T11として取得されるので、応答時間T11の計測動作に対するノイズの影響が低減され、応答時間T11の精度が向上される結果、アクセス端末2と送受信端末3Aとの間における距離Lの測定精度が向上される。
【0048】
また、送受信端末3は、アクセス端末2からの自分のアドレスが含まれている開始信号を受信すると、応答制御部311によってスイッチ309がオンされ、応答送信制御部312が動作可能状態にされるので、開始信号を受信後に受信された無線信号を要求信号として取得し、応答送信制御部312によりその信号レベルに基づいて、応答信号をアクセス端末2へ送信することができる。
【0049】
また、ステップS3において、開始信号に自分のアドレスが含まれていない送受信端末3は、無線信号の送信動作を停止し、測距対象の送受信端末3以外から無線信号が送信されない状態にされるので、ステップS5からステップS7における応答時間T11の測定中に、要求信号及び応答信号が、他の無線信号によって妨害されることがなく、応答時間T11の精度が向上される結果、アクセス端末2と送受信端末3Aとの間における距離Lの測定精度が向上される。
【0050】
なお、データ処理部208は、アクセス端末2の各部及び送受信端末3AにステップS5〜S6の測距制御動作を複数回行わせることにより、それぞれ算出した距離Lの平均値をアクセス端末2から送受信端末3Aまでの距離として算出してもよい。これにより応答時間T11の測定バラツキの影響を低減し、アクセス端末2から送受信端末3Aまでの距離の算出精度を向上させることができる。
【0051】
また、データ処理部208は、アクセス端末2の各部及び送受信端末3AにステップS5〜S6の測距制御動作を、所定の時間、例えば10秒程度間隔を空けて複数回行わせることにより、それぞれ算出した距離Lの平均値をアクセス端末2から送受信端末3Aまでの距離として算出してもよい。これにより、例えば屋内において距離を測定する場合における部屋のドアが開閉されることによるマルチパスの影響や、一時的なノイズの発生等、電波伝播特性の影響を低減し、応答時間T11の精度が向上される結果、アクセス端末2と送受信端末3Aとの間における距離の測定精度を向上させることができる。
【0052】
また、データ処理部208は、アクセス端末2の各部及び送受信端末3AにステップS5〜S6の測距制御動作を、要求信号及び応答信号の無線周波数を変化させて複数回行わせることにより、それぞれ算出した距離Lの平均値をアクセス端末2から送受信端末3Aまでの距離として算出してもよい。この場合、無線信号の周波数が異なると、ノイズの影響やマルチパスの影響が変化するので、無線周波数を変化させて測距制御動作を複数回行わせることにより、マルチパスやノイズの影響を低減し、応答時間T11の精度が向上される結果、アクセス端末2と送受信端末3Aとの間における距離の測定精度を向上させることができる。
【0053】
また、ステップS7において、アクセス端末2と送受信端末3との間における電波環境が良好であるほど応答時間T11の精度が向上する。一方、アクセス端末2と送受信端末3との間における電波環境が良好であるほどアクセス端末2で得られる応答信号の信号レベルが増大し、ステップS7における応答信号の受信時に受信信号強度計測部207から出力されるレベル信号SL1の値が増大する。そこで、データ処理部208は、アクセス端末2の各部及び送受信端末3AにステップS5〜S6の測距制御動作を複数回行わせると共に、ステップS7における応答信号の受信時に受信信号強度計測部207から出力されたレベル信号SL1の値をそれぞれ取得し、レベル信号SL1の値の増減に応じて複数回の測距制御動作により得られた距離Lに対する重みを増減するように重み付けを行って、アクセス端末2から送受信端末3Aまでの距離を算出してもよい。これにより、アクセス端末2から送受信端末3Aまでの距離の算出精度を向上させることができる。
【0054】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る測距システムについて説明する。本発明の第2の実施形態に係る測距システム1aは、測距システム1と同様、図1によって示される。図1に示す測距システム1aと、測距システム1とでは、アクセス端末2aが異なる。その他の構成は測距システム1と同様であるのでその説明を省略する。図7は、アクセス端末2aの構成の一例を示すブロック図である。図7に示すアクセス端末2aと、図2に示すアクセス端末2とでは、アンテナ201の代わりに指向性アンテナ212を備える点で異なる。また、指向性アンテナ212の指向方向を変化させる方向制御部211をさらに備える。また、データ処理部208aは、送受信端末3までの距離を算出すると共に、その方向を取得する。
【0055】
指向性アンテナ212は、例えば八木アンテナ、パラボラアンテナ、及びアレーアンテナ等の指向性アンテナであり、その指向性の範囲が例えば30°にされている。方向制御部211は、例えば八木アンテナやパラボラアンテナで構成された指向性アンテナ212の指向方向を、データ処理部208aからの制御信号に応じて変化させる駆動機構である。あるいは、方向制御部211は、例えばアレーアンテナで構成された指向性アンテナ212の指向方向を、データ処理部208aからの制御信号に応じて変化させる制御回路であってもよい。
【0056】
その他の構成は図2に示すアクセス端末2と同様であるのでその説明を省略し、図1に示す測距システム1aの動作について説明する。図8は、図1に示す測距システム1aの動作の一例を説明するためのフローチャートである。まず、データ処理部208aから、方向制御部211へ、指向性アンテナ212の指向方向を指示する(北を0°とし、時計回りに方向を決めると、例えば初期値は0°〜30°方向)制御信号が出力され、方向制御部211によって指向性アンテナ212の指向方向が設定される(ステップS101)。
【0057】
次に、データ処理部208aによって、測距対象の送受信端末3Aまでの距離を算出するべく図4に示すステップS1〜S11と同様の距離測定処理が実行される(ステップS102)。そして、ステップS102における距離測定処理において、送受信端末3Aからの応答信号が受信されなかった場合(ステップS103でNO)、データ処理部208aによって、指向性アンテナ212の指向方向角度の範囲内に送受信端末3Aがないと判断され、指向方向の角度が360°の範囲まで距離測定処理を終了したか否かが判断される(ステップS104)。
【0058】
そして、指向方向の角度が360°の範囲まで距離測定処理を終了していれば、データ処理部208aによって、無線通信が可能な範囲内に送受信端末3Aがないと判断され、測距処理を終了する(ステップS104でYES)一方、指向方向の角度が360°の範囲まで距離測定処理が終了していなければ、指向方向角度範囲を例えば指向性アンテナ212の指向性の範囲である30°だけ加算し(ステップS105)、再びステップS101〜S105の処理を繰り返す。
【0059】
そして、ステップS103において、ステップS102における距離測定処理で送受信端末3Aからの応答信号が受信され、送受信端末3Aまでの距離Lが算出された場合(ステップS103でYES)、データ処理部208aによって、ステップS103において算出された距離Lと、ステップS101において設定された指向性アンテナ212の指向方向とが、送受信端末3Aまでの距離と送受信端末3Aの方向、すなわち位置情報として取得される。
【0060】
以上、ステップS101〜S106の処理により、アクセス端末2aは、測距対象となる送受信端末3Aまでの距離と、方向とを位置情報として取得することができる。
【0061】
なお、例えば、アンテナ201として無指向性のアンテナを用いたアクセス端末2と、アクセス端末2aとを用いて測距対象となる送受信端末3Aまでの距離と、方向とを位置情報として取得する構成としてもよい。図9は、複数のアクセス端末を用いて送受信端末の位置情報を取得する場合の動作を説明するための説明図である。図9(a)は、アクセス端末2を2台(アクセス端末2Aと2B)用いて測距対象となる送受信端末3Aの位置情報を取得する場合の説明図であり、図9(b)は、アクセス端末2aとアクセス端末2とを用いて測距対象となる送受信端末3Aの位置情報を取得する場合の説明図である。
【0062】
まず、図9(a)において、円環21は、アクセス端末2Aを中心に、アクセス端末2Aによって測定された送受信端末3Aの距離を描いた図である。円環22は、アクセス端末2Bを中心に、アクセス端末2Bによって測定された送受信端末3Aの距離を描いた図である。円環21,22の幅は測距誤差を示している。この場合、送受信端末3Aは、円環21,22が重複した網掛部分23に存在していることが判る。
【0063】
一方、図9(b)において、円環24は、アクセス端末2を中心に、アクセス端末2によって測定された送受信端末3Aの距離を描いた図である。また、部分扇部25は、アクセス端末2aにより取得された送受信端末3Aの距離と方向範囲とから得られた位置範囲を示す図である。円環24、部分扇部25の幅は測距誤差を示している。この場合、送受信端末3Aは、円環24と部分扇部25とが重複した網掛部分26に存在していることが判る。これにより、網掛部分23の面積よりも網掛部分26の面積の方が小さくなる結果、アクセス端末2を2台用いて送受信端末3Aの位置情報を取得する場合よりも、アクセス端末2aとアクセス端末2とを用いて送受信端末3Aの位置情報を取得する場合の方が、送受信端末3Aの位置情報の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る測距システムの構成の一例を示す概念図である。
【図2】図1に示すアクセス端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に示す送受信端末の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図1に示す測距システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図5】図2に示すタイマによる経過時間の計時動作を詳細に説明するための説明図である。
【図6】図3に示す応答送信制御部の動作を説明するための説明図である。
【図7】図1に示すアクセス端末における構成の他の一例を示すブロック図である。
【図8】図1に示す測距システムの動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図9】複数のアクセス端末を用いて送受信端末の位置情報を取得する場合の動作を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0065】
1,1a 測距システム
2,2a アクセス端末
3,3A,3B,3C,3D 送受信端末
201 アンテナ
202 RF受信回路
203 RF送信回路
204 RFIF変換部
205 変復調回路
207 受信信号強度計測部
208,208a データ処理部
209 タイマ
210 記憶部
211 方向制御部
212 指向性アンテナ
301 アンテナ
302 RF受信回路
303 RF送信回路
304 RFIF変換部
305 復調回路
307 受信信号強度計測部
308 受信判定部
309 スイッチ
310 応答信号発生部
311 応答制御部
312 応答送信制御部
IF1,IF2 中間周波数信号
SL1,SL2 レベル信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号を互いに送受信するアクセス端末と送受信端末とを備えた測距システムにおいて、
前記アクセス端末は、
前記送受信端末との間で無線信号を送受信するアクセス端末送受信部と、
時間を計測する測定部と、
前記アクセス端末送受信部から応答信号の送信を要求する要求信号を送信させ、前記アクセス端末送受信部によって前記要求信号が送信されてから前記応答信号が受信されるまでの時間を前記測定部に測定させ、前記測定部により測定された時間に基づき前記送受信端末までの距離を算出する測距制御動作を行うアクセス端末制御部とを備え、
前記送受信端末は、
前記アクセス端末との間で無線信号を送受信する送受信端末送受信部と、
前記送受信端末送受信部により受信された無線信号から中間周波数信号を生成する送受信端末IF生成部と、
前記送受信端末IF生成部により生成された中間周波数信号の信号レベルを検出する送受信端末信号レベル検出部と、
前記送受信端末信号レベル検出部により検出された信号レベルに基づいて前記応答信号を前記送受信端末送受信部に送信させる応答送信制御部と、
を備えることを特徴とする測距システム。
【請求項2】
前記アクセス端末制御部は、前記アクセス端末送受信部によって、距離測定処理を開始する旨を示す開始信号を送信させた後、前記要求信号を送信させるものであり、
前記送受信端末は、前記送受信端末送受信部によって前記開始信号が受信された場合、前記応答送信制御部を動作可能状態にする応答制御部をさらに備え、
前記応答送信制御部は、前記応答制御部により動作可能状態にされた後、前記送受信端末信号レベル検出部により検出された信号レベルに基づいて前記送受信端末送受信部に前記応答信号を送信させることを特徴とする請求項1記載の測距システム。
【請求項3】
前記アクセス端末は、
前記アクセス端末送受信部により受信された無線信号から中間周波数信号を生成するアクセス端末IF生成部と、
前記アクセス端末IF生成部により生成された中間周波数信号の信号レベルを検出するアクセス端末信号レベル検出部をさらに備え、
前記測定部は、前記アクセス端末送受信部による前記要求信号の送信終了時から、前記応答信号により前記アクセス端末信号レベル検出部で検出された信号レベルの立ち下がりまでの時間を測定し、
前記応答送信制御部は、前記送受信端末信号レベル検出部により検出された信号レベルの立ち下がりで前記送受信端末送受信部に前記応答信号の送信を開始させることを特徴とする請求項1又は2記載の測距システム。
【請求項4】
前記アクセス端末制御部は、前記応答信号の送信を要求する対象となる送受信端末のアドレスを前記開始信号に含んで前記アクセス端末送受信部から送信させ、
前記応答制御部は、前記送受信端末受信部によって受信された開始信号が自分のアドレスを含む場合、前記応答送信制御部を動作可能状態にすると共に、当該開始信号が自分のアドレスを含まない場合、前記送受信端末送受信部に無線信号を送信させないことを特徴とする請求項2又は3記載の測距システム。
【請求項5】
前記アクセス端末制御部は、前記測距制御動作を複数回実行し、それぞれ算出した前記距離の平均値を前記送受信端末までの距離として算出することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の測距システム。
【請求項6】
前記アクセス端末制御部は、前記無線信号の周波数を異ならせて前記測距制御動作を複数回実行することを特徴とする請求項5記載の測距システム。
【請求項7】
前記アクセス端末送受信部は、
前記送受信端末との間で無線信号を送受信する指向性アンテナと、
前記指向性アンテナの指向方向を変化させる方向制御部と、
を備え、
前記アクセス端末制御部は、前記方向制御部により前記指向性アンテナの指向方向を変化させつつ前記測距制御動作を実行し、前記アクセス端末送受信部によって前記応答信号が受信された場合における前記指向性アンテナの指向方向を前記送受信端末がある方向として取得することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の測距システム。
【請求項8】
無線信号を互いに送受信するアクセス端末と送受信端末との間の距離を測定する測距方法において、
前記アクセス端末は、距離測定処理を開始する旨を示す開始信号を送信した後、応答信号の送信を要求する要求信号を送信し、
前記送受信端末は、前記開始信号を受信した後に受信された無線信号から得られた中間周波数信号の信号レベルに基づいて前記応答信号を前記アクセス端末へ送信し、
前記アクセス端末は、前記要求信号を送信してから前記応答信号を受信するまでの時間を測定すると共に当該測定された時間に基づき前記送受信端末までの距離を算出することを特徴とする測距方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−145222(P2006−145222A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331741(P2004−331741)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】