説明

湯道破砕装置

【課題】複雑な形状や粘りのある金属材料でできている湯道を最適な押圧力で、省エネルギで、効率よく、一度に大量に破砕を行える効果があり、破砕した湯道が刃に付着せず、破砕湯道の回収が効率よく行える効果があり、破砕装置設置に場所をとらない湯道破砕装置を提供すること。
【解決手段】破砕ケース内に、上端を枢支部とした受刃と下端を枢支部とした作動刃とを収納し、しかも破砕作動初期は、受刃と作動刃とが側面視略V字型の配置となるべく構成し、作動刃は押圧機構を介して下端の枢支部を中心に受刃と噛合する方向に作動すべく構成し、側面視略V字型の空間を調整することで、最適な押圧力で湯道を破砕するようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳物を鋳造する際に形成される鋳物用湯道の破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳物を鋳造する際には、湯口から鋳型に通じる湯道を通じて鋳型に溶融した金属を流し込み、鋳造が完了すると、鋳物から湯道は分離され、分離された湯道は電気炉で再度溶融されて再利用される。
【0003】
これら分離湯道は、複雑な分岐形状なので、この形状のまま電気炉に投入すると、分離湯道が重なったり、絡んだりして全体容量が大きくなり、電気炉内の容量を充分に埋めるだけの量が投入できず、投入歩溜まりが低下し、また、大きな形状の湯道を電気炉でそのまま溶融しようとすると、完全に溶融するために長い時間と大量の電気が必要となり、湯道の溶融回収効率が悪くなる。
【0004】
従って、電気炉に投入する前、予め鋳物用湯道を破砕して、複雑な分岐形状をなくし、また、大きな形状の湯道を小さくしておくことが必要であり、そのために油圧を利用した破砕装置が使用される。
【0005】
この破砕装置は、受刃と作動刃と作動刃を駆動させるための油圧装置とからなり、両刃間に複雑な形状や大きな形状の湯道を投入して、両刃の挟圧により破砕するものである(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平8―205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、強度を向上するため粘りのある金属材料を使用して鋳物を形成するため、粘りの強い湯道が形成される。そのため、従来から使用されている破砕装置では、粘りの強い湯道を十分な大きさに切断破砕することができないおそれがあった。また、少量多品種の様々な完成品が製造されることから鋳物の種類も少量多品種となり、鋳物の成形後に排出される湯道の廃棄量も増加する傾向のため、一度に大量に破砕できる破砕装置が望まれていたが、従来の破砕装置では、強度向上のため粘りのある金属材料できた湯道を、省エネルギで、効率よく、一度に大量に破砕することができないという欠点があった。
【0008】
また、従来の破砕装置は、受刃と作動刃とで挟圧破砕した湯道が刃体に付着することが多く、従って、受刃と作動刃とを、破砕後に離間させても細断破砕された湯道を回収しにくく、また、受刃と作動刃との噛み合い形状が単純な切断ハサミの形状、あるいは、刃体の形状が山形状であるため、必ずしも小さく細断破砕された湯道とはならず、電気炉にて溶融するのに適した所望の細断破砕湯道を得ることが難しい欠点があった。
【0009】
さらに、一度に大量に湯道を破砕できる装置は、大型化する傾向にあり、破砕装置設置に広く場所をとるという欠点があり、また、構造が複雑になることから、破砕装置の保守改修(メンテナンス)が時間や労力などのコストがかかるという欠点もあった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明は、破砕ケース内に、上端を枢支部とした受刃と下端を枢支部とした作動刃とを一定間隔を保持して収納し、しかも破砕作動初期は、受刃と作動刃とが側面視略V字型の配置となるべく構成し、作動刃は押圧機構を介して下端の枢支部を中心に受刃と噛合する方向に作動すべく構成したことを特徴とする湯道破砕装置を提供するものである。
【0011】
更には、受刃の背面後方位置には、受刃に作動刃が噛合した際の受刃受け機能を果たすストッパーを配設したことにも特徴を有する。
【0012】
更には、受刃は、所定の高さを有する複数の板状の縦受刃と、板状の縦受刃間に略直交するように配設した複数の板状の横受刃とよりなり、作動刃は、所定の高さを有する交差形状の作動刃単体を複数併設して構成し、各作動刃単体は、受刃における縦受刃と横受刃とにより形成される刃空間部に嵌入自在に構成したことにも特徴を有する。
【0013】
更には、複数の作動刃は、同一油圧源から油圧経路で接続され、同油圧経路を構成する各油圧シリンダに、前記同一油圧源で生成される元圧を同じ比率で分けて所定の油圧として与えることにより作動し、その際、破砕される湯道からの反力に応じて、各作動刃が別動することにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の本発明によれば、破砕ケース内に、上端を枢支部とした受刃と下端を枢支部とした作動刃とを一定間隔を保持して収納し、しかも破砕作動初期は、受刃と作動刃とが側面視略V字型の配置となるべく構成し、作動刃は押圧機構を介して下端の枢支部を中心に受刃と噛合する方向に作動すべく構成したことから、側面視略V字型の空間の上部から、破砕したい湯道を漏れなく逐次大量に投入することができ、側面視略V字型の空間の容積は、受刃回動時の傾斜角度によって調整することができることから、湯道の大きさや湯道の量によって側面視略V字型の角度を調整することによって、最適な破砕能力を生起することができるので、複雑な形状や近年強度向上のため粘りのある金属材料でできている湯道を、省エネルギで、効率よく、一度に大量に破砕を行える効果があり、また、広く場所をとられずに破砕装置を設置できる効果もある。
【0015】
請求項2記載の本発明によれば、受刃の背面後方位置に、受刃に作動刃が噛合した際の受刃受け機能を果たすストッパーを配設したことから、作動刃は、受刃に向かって、効率よく押圧機構によって付与される押圧力を伝達できることから、更に、省エネルギで、効率よく、一度に大量に破砕を行える効果がある。
【0016】
請求項3記載の本発明によれば、受刃は、所定の高さを有する複数の板状の縦受刃と、板状の縦受刃間に略直交するように配設した複数の板状の横受刃とよりなり、作動刃は、所定の高さを有する交差形状の作動刃単体を複数併設して構成し、各作動刃単体は、受刃における縦受刃と横受刃とにより形成される刃空間部に嵌入自在に構成したことから、複雑な形状や近年強度向上のため粘りのある金属材料でできている湯道でも交差形状の作動刃単体により細断破砕することができ、かつ縦受刃及び横受刃が板状であるため、受刃に細断破砕した湯道が付着することがなく、作動刃は、交差形状の作動刃単体が受刃の刃空間部に嵌入するだけであるため、作動刃にも細断破砕した湯道が付着することがないので、省エネルギで、効率よく、一度に大量に細断破砕した湯道の回収も効率よく行える効果があることに加え、側面視略V字型に受刃と作動刃とを配置していることから、押圧直後における両刃の傾きのため、細断破砕した湯道が両刃に付着しない上に、側面視略V字型の空間の容積は、受刃回動時の傾斜角度によって調整することができることから、湯道の大きさや湯道の量によって側面視略V字型の角度を調整することによって、最適な破砕能力を生起することができるので、前述の両刃の形状による効果との相乗効果により、更に一層の、省エネルギで、効率よく、一度に大量に破砕を行える効果があり、細断破砕した湯道の回収も効率よく行える効果がある。
【0017】
請求項4記載の本発明によれば、複数の作動刃は、同一油圧源から油圧経路で接続され、同油圧経路を構成する各油圧シリンダに、前記同一油圧源で生成される元圧を同じ比率で分けて所定の油圧として与えることにより作動し、その際、破砕される湯道からの反力に応じて、各作動刃が別動することから、複雑な形状や近年強度向上のため粘りのある金属材料でできている湯道が、前記側面視略V字型の空間に複雑に跨って載置された場合でも、湯道は、片方の作動刃を支点して、もう一方の作動刃からの押圧力を受けることにより切断され、破砕されるので、更により一層の、省エネルギで、効率よく、一度に大量に湯道破砕を行える効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施の形態に係る湯道破砕装置Gの全体斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る湯道破砕装置Gの右側面図である。
【図3】本実施の形態に係る湯道破砕装置Gの正面図である。
【図4】図2のA―A線断面における受刃を示す平面図である。
【図5】図2のB―B線断面における作動刃を示す平面図である。
【図6】本実施の形態に係る湯道破砕装置Gの受刃を示す斜視図である。
【図7】本実施の形態に係る湯道破砕装置Gの作動刃を示す斜視図である。
【図8】本実施の形態に係る湯道破砕装置Gの受刃を示す断面図である。
【図9】本実施の形態に係る湯道破砕装置Gの作動刃を示す断面図である。
【図10】本実施の形態に係る湯道の破砕作動を示す説明図である。
【図11】本実施の形態に係る湯道の破砕及び排出作動を示す説明図である。
【図12】本実施の形態に係る反力によって別動する各作動刃を示す説明図である。
【図13】本実施の形態に係る湯道破砕装置Gの作動刃を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明では、破砕ケース内に、上端を枢支部とした受刃と下端を枢支部とした作動刃とを一定間隔を保持して収納し、しかも破砕作動初期は、受刃と作動刃とが側面視略V字型の配置となるべく構成し、作動刃は押圧機構を介して下端の枢支部を中心に受刃と噛合する方向に作動すべく構成している。
【0020】
更に、受刃の背面後方位置には、受刃に作動刃が噛合した際の受刃受け機能を果たすストッパーを配設している。
【0021】
更に、受刃は、所定の高さを有する複数の板状の縦受刃と、板状の縦受刃間に略直交するように配設した複数の板状の横受刃とよりなり、作動刃は、所定の高さを有する交差形状の作動刃単体を複数併設して構成し、各作動刃単体は、受刃における縦受刃と横受刃とにより形成される刃空間部に嵌入自在に構成している。
【0022】
更に、複数の作動刃は、同一油圧源から油圧経路で接続され、同油圧経路を構成する各油圧シリンダに、前記同一油圧源で生成される元圧を同じ比率で分けて所定の油圧として与えることにより作動し、その際、破砕される湯道からの反力に応じて、同各作動刃が別動するよう構成している。
【実施例】
【0023】
以下、本実施形態に係る湯道破砕装置Gの実施例を図面を用いて具体的に説明する。
【0024】
本実施形態に係る湯道破砕装置Gは、図1及び図10(c)に示すように、破砕ケースM内に収納した受刃部1と作動刃部3と受刃10の背面を出没自在に受け止めるストッパー部7と破砕ケースMの下部に設けた基台9とから構成され、同破砕ケースMに内蔵した受刃10と作動刃30との間に構成される側面視略V字型の空間Zに湯道Yを投入し、挟み込み、両刃の間隔を狭窄させることにより、同湯道Yを破断して、受刃10と作動刃30とを離間して、その間隔の空間すなわち、同破砕ケースMの下方に形成した回収空間Xより取り出すようにしたものである。
【0025】
破砕ケースMは、図1、図2及び図4に示すように、左側壁MLと右側壁MRと天板MUと後壁MBとによって構成され、受刃10が位置する前方及び受刃10と作動刃30との間の下方を開放した箱型状に形成して、同破砕ケースM内には、受刃10と作動刃30とを収納している。
【0026】
図1及び図2に示すように、破砕ケースMの左右側壁ML,MR上部前方には、受刃10が受刃枢支部15を介して回動自在に枢支されており、左右側壁ML,MR下部には、作動刃30が作動刃枢支部35を介して回動自在に枢支されており、作動刃30の背面には、作動刃部3を作動させるための作動刃駆動部40を連設し、さらに破砕ケースMの天板MUには鋳物用の湯道Yを投入するために受刃10と作動刃30との間上方に位置するように投入口50を設けている。更に、同投入口50の周縁には、湯道Yを効率よく投入するための投入口ガイド体51を上向きに拡開するよう立設している。
【0027】
図1、図2、図4及び図6に示すように、受刃部1は、受刃10と同受刃10の上端を破砕ケースMの上部に枢支した受刃枢支部15と受刃10の背面において同受刃10を駆動させる受刃駆動部20と受刃10の背面後方位置に配設された受刃回動ストッパー体71とから構成している。
【0028】
図1、図2及び図4に示すように、受刃10の上端は、受刃枢支部15を介して、前記破砕ケースMの左右側壁ML,MRの前方上端部に枢支されており、15aは、受刃10の上部に設けた受刃枢支軸であり、16は、同受刃枢支軸15aの両端に設けた、受刃枢支軸支持体である。
【0029】
破砕ケースMの左右側壁ML,MRに配設されている受刃駆動部20は、図1、図2及び図4に示すように、受刃枢支軸15aの軸端に連設した操作ブラケット21と破砕ケースMの左右側壁ML,MR中央下部の受刃油圧シリンダ22との間に介設した受刃油圧シリンダ連結部材23とから構成している。
【0030】
よって、受刃駆動部20は、左右の各受刃油圧シリンダ22の伸縮動作を、左右の各操作ブラケット21を介して、受刃枢支軸15aの回転動作に変換することで、受刃10は、受刃枢支軸15aを中心に、破砕ケースMの前方に回動するようになっている。
【0031】
このように、受刃10を、受刃枢支部15を中心に、破砕ケースMの前方に回動することによって、受刃10と作動刃30との間に一定間隔が形成し、刃空間部Sに貯留した破砕湯道Yは、その間隔から破砕ケースMの下方に自然落下して、排出されて、ベルトコンベヤや回収ボックス等の所定の手段で回収することができる。
【0032】
受刃10は、図4、図6及び図8に示すように、縦受刃11と横受刃12とから格子状に構成しており、更に縦受刃11は、縦長板状の複数の縦受刃単体11cから構成し、横受刃12は、横長板状の複数の横受刃単体12cから構成している。
【0033】
前記縦受刃11は、図4及び図6に示すように、縦長板状の1ないし複数の側壁状及び中間側壁状とした各縦受刃単体11cを配設固定して構成している。
【0034】
また、前記横受刃12は、図4及び図6に示すように、横長板状の1ないし複数(ここでは8)の各横受刃単体12cを各縦受刃単体11cに略直交状態に、一定間隔に配設固定して構成している。
【0035】
よって、複数の前記縦受刃単体11cの配設及び複数の前記横受刃単体12cの配設により、略矩形状の刃空間部Sが多数形成され、同各刃空間部Sには破砕作動時に後述する各作動刃単体30sがそれぞれ嵌入するように構成している。
【0036】
さらに、前記縦受刃単体11cと前記横受刃単体12cとを配設する際は、図6及び図8に示すように、前記縦受刃単体11cの上端部が高く、前記横受刃単体12cの上端部が低くなるように高低差(段差)を設けて構成しているが、逆の高低差で構成してもよい。
【0037】
これにより、複雑な形状や粘りのある金属材料でできた湯道でも、この高低差を有する前記受刃10の構成形状の効果により、前記作動刃30を押圧して破砕する際に、湯道Yを破砕しやすくし、効率よく破砕することができる。
【0038】
また、前記縦受刃11及び前記横受刃12は、図6及び図8に示すように、その上端部が板状になっていることから、破砕した湯道Yが受刃10に付着しにくいようになっているので、効率よく、一度に大量に破砕を行える効果があり、細断破砕した湯道Yの回収も効率よく行える効果がある。
【0039】
前記縦受刃11は、各縦受刃単体11cの先端部において縦受刃本体11aと縦受刃別体11bとから構成し、前記横受刃12も、各横受刃単体12cの先端部において横受刃本体12aと横受刃別体12bとから構成していることにより、脱着自在な構造となっている。
【0040】
すなわち、前記縦受刃別体11b及び前記横受刃別体12bの脱着自在な構造は、図6及び図8に示すように、前記縦受刃本体11a及び前記横受刃本体12aに穿設されたねじ孔にボルトJ等にて前記縦受刃別体11b及び前記横受刃別体12bを固定するように構成しているから、湯道破砕において、前記縦受刃別体11b及び前記横受刃別体12bが、磨耗や破損した際には、前記縦受刃別体11b及び前記横受刃別体12bを交換できることから、湯道破砕装置Gの保守改修を容易に行うことができる。
【0041】
更に、破砕する湯道Yの形状や使用されている材料の種類にあわせて、前記縦受刃別体11b及び前記横受刃別体12bを最適な物質や最適な形状で作製し、交換することにより、複雑な形状や粘りのある金属材料でできた湯道Yでも、押圧して破砕する際に、湯道Yをより効率よく破砕することができる上、多種多様な湯道Yの破砕にもきめ細かく対応できる。
【0042】
受刃10の背面後方位置には、図1、図2及び図3に示すように、受刃10に作動刃30が噛合した際の受刃受け機能を果たすストッパー部7が基台9に出没自在に配設されており、基台9の前部両端には、湯道破砕作動時の受刃10の回動を制止する各ストッパー片72を内蔵している。
【0043】
すなわち、破砕作動時の受刃10の回動を制止するストッパー部7は、図1、図2及び図3に示すように、下部に昇降シリンダ73aを設け、その先端にストッパー片72を設けており、昇降シリンダ73aの作動によりストッパー片72が出没自在に構成されている。
【0044】
作動刃30が湯道Yを破砕する際に、下端の作動刃枢支部35を中心に受刃10と噛合する方向に作動して、両刃の間隔を狭窄させる場合は、ストッパー片72が昇降シリンダ73aにより上方に突出して、湯道破砕作動時の受刃10背面を受け止めて受刃10の回動を制止するようになっている。
【0045】
湯道Yの破砕後は、ストッパー片72を降下させることにより、同ストッパー片72が昇降シリンダケース73b内に格納されることで、ストッパー部7の受刃10の制止が外れ、受刃10を破砕ケースMの前方に回動して、作動刃30との間に一定の間隔を形成することができる。
【0046】
従って、受刃10と作動刃30と刃空間部S内に貯溜された破砕湯道は、同受刃10が破砕ケースMの前方に回動するので、同受刃10が下方開放の下向きに傾くことから、下方に自然落下し、排出されて、その下方に配したベルトコンベヤや回収ボックス等の所定の手段で回収される。
【0047】
図1、図2、図5及び図7に示すように、作動刃部3は、作動刃30と同作動刃30の下端を破砕ケースMの下部に枢支した作動刃枢支部35と作動刃30の背面において同作動刃30を駆動させる作動刃駆動部40とから構成している。
【0048】
図2、図5、図7及び図9に示すように、作動刃30の下端は、作動刃枢支部35を介して、破砕ケースMの左右側壁ML,MRの中央下端部に枢支されており、35aは、各作動刃30の下端部に設けた作動刃枢支軸であり、36は、同作動刃枢支軸35aの両端に設けた、作動刃枢支軸支持体である。
【0049】
また、作動刃30は、図1、図2及び図3に示すように、破砕作動初期は、受刃10と同作動刃30とが側面視略V字型の配置となるべく構成していて、同作動刃30は押圧油圧機構によって、前記作動刃枢支部35を中心に同受刃10と噛合する方向に作動すべく構成しており、さらに、作動刃30は、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rとから構成している。
【0050】
破砕ケースMの後壁MBに配設されている作動刃駆動部40は、図1及び図2に示すように、押圧機構連結部材33と左右の作動刃油圧シリンダ41L,41Rとの間に介した左右の各作動刃油圧シリンダ連結部材42とから構成しており、後述する同一油圧源Hや油路45と共に押圧機構を構成している。
【0051】
従って、作動刃駆動部40は、左右の作動刃油圧シリンダ41L,41Rの伸縮動作を、押圧機構連結部材33と左右の各作動刃油圧シリンダ連結部材42とを介して、作動刃枢支軸35aの回転動作に変換することで、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rは、作動刃枢支軸35aを中心に、受刃10と噛合する方向に回動するようになっている。
【0052】
よって、左右の作動刃油圧シリンダ41L,41Rにより、左右の作動刃油圧シリンダ連結部材42と押圧機構連結部材33を介して、作動刃枢支軸35aを支点として、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rを回動させる際、同作動刃枢支軸35a(支点)から左作動刃群30L及び右作動刃群30Rと左右の作動刃油圧シリンダ41L,41Rの連結部(力点)までの距離が構成されることから、側面視した際、湯道Yを破砕する点(作用点)を中心に置き、支点と力点とが外側となる、てこの原理により、小さい油圧力から大きい押圧力を生起することができるので、省エネルギで、効率的に湯道Yを破砕することができる。
【0053】
図12に示すように、同一油圧源Hのポートには、二又に分岐した油路45を連設し、一方の油路45Lは、左作動刃油圧シリンダ41Lに、他方の油路45Rは、右作動刃油圧シリンダ41Rに連設し、各油路45L,45Rは、同一油圧源Hからの元圧Pがそれぞれ同じ比率の圧力に分圧されるように、同一径、同一の長さに形成している。従って、左側油圧経路KL及び右側油圧経路KRは、二又に分岐した左右の各油路45L,45Rと左右の各作動刃油圧シリンダ41L,41Rとから構成している。
【0054】
左作動刃群30L及び右作動刃群30Rは、図1に示すように、左右均等に配設されており、同作動刃30の背面において、左作動刃油圧シリンダ41L及び右作動刃油圧シリンダ41Rがそれぞれ連設しているため、左右の同作動刃油圧シリンダ41L,41Rの油圧力により生起される押圧力に対する受刃10からの破砕湯道Yを介して伝わる反力(以下、反力という)の大きさに応じて、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rは、作動時差をもって、別動する。
【0055】
従って、受刃10と噛合する左作動刃群30L及び右作動刃群30Rが時差作動する際に、同受刃10と同作動刃30の形状により、湯道Yに複雑な押圧力を付与できることから省エネルギで、効率的に湯道Yを破砕することができる上、湯道Yの形状によっては、一方の作動刃30と湯道が接触する点を支点、もう一方の作動刃30と湯道Yが接触する点を力点、湯道Yが破断する点が作用点として、ここにおいてもてこの原理により、小さい油圧力から大きい押圧力を湯道Yに対して付与することができるので、より一層、省エネルギで、効率よく、一度に大量に湯道Yを破砕することもできる。
【0056】
また、複数の作動刃(ここでは左右各1、合計2)について湯道破砕作動を説明しているが、より複数の作動刃(図示しない)を配設し湯道破砕装置を構成することで、湯道Yに更なる複雑な押圧力を付与することができることから、更により一層、省エネルギで、効率よく、一度に大量に湯道Yを破砕することもできる。
【0057】
なお、本実施形態では、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rは、左作動刃油圧シリンダ41L及び右作動刃油圧シリンダ41Rがそれぞれ連設して、別動できるよう構成しているが、効果的な破砕力が必要ない場合には、各左作動刃群30L及び右作動刃群30Rを連結部材(図示しない)により一体化を図り、左右の左作動刃群30L及び右作動刃群30Rを一体回動するよう構成することもできる。
【0058】
従って、上述のように左作動刃群30L及び右作動刃群30Rを一体回動させる場合は、前記作動刃油圧シリンダ41L,41Rの構成を単体にしても構わないので、破砕装置作製コストを更に抑えることもできる。
【0059】
作動刃30は、図5、図7及び図9に示すように、縦作動刃31と横作動刃32と押圧機構連結部材33とから構成している。
【0060】
図7に示すように、縦作動刃31は、縦長板状の複数の縦作動刃単体31cが、所定の高低差(段差)を有して配設されており、同縦作動刃単体31cを構成する縦作動刃本体31aが一体形状化することにより構成している。
【0061】
すなわち、縦作動刃単体31cのうち後述の横作動刃32を連設した高縦作動刃単体31′cは、高く形成し、その下方に位置する低縦作動刃単体31″cは、低く形成し、この高低差のある縦作動刃単体31cを縦方向に交互に形成している。
【0062】
横作動刃32は、横長板状の複数の横作動刃単体32cが、高さの高い方の高縦作動刃単体31′cの左右の略中央に、図5及び図7に示すように、高さの高い方の高縦作動刃単体31′cと横作動刃単体32cとが正面視略十字形状になるよう配設し、刃空間部Sに嵌入する作動刃単体30sを構成している。
【0063】
なお、横作動刃32全体は、図13に示すように、基部から先端にかけて肉厚から肉薄となるテーパー状に形成しており、このように先端肉薄のテーパー状に形成することにより、作動刃30を下向きに傾斜すると、受刃10との間で破砕した湯道が滑動して下方にすべり落ちやすくなる効果がある。
【0064】
前述のように、高さの高い方の高縦作動刃単体31′cと横作動刃単体32cとが正面視略十字形状になるよう配設し、刃空間部Sに嵌入する作動刃単体30sを構成することで、複雑な形状や粘りのある金属材料でできた湯道でも、湯道Yの破砕作動時に、破砕対象の湯道Yに多方向からの複雑な押圧力をそれぞれ付与することができ、確実に細断、破砕できることから、押圧して破砕する際に、湯道をより破砕しやすくし、より効率よく破砕することができる。
【0065】
また、前記作動刃30を押圧機構によって下端の前記作動刃枢支部35を中心に前記受刃10と噛合する方向に作動させた際、高さの低い方の低縦作動刃単体31″cが横受刃単体12cと当接するが、前記受刃10の刃空間部Sに前記作動刃単体30sが嵌入する構成なので、破砕した湯道Yが、刃に付着せず、効果的に破砕することができる。
【0066】
前記縦作動刃31は、縦作動刃単体31cの先端部において縦作動刃本体31aと縦作動刃別体31bとから構成し、前記横作動刃32も、各横作動刃単体32cの先端部において横作動刃本体32aと横作動刃別体32bとから構成していることにより、脱着自在な構造となっている。
【0067】
すなわち、前記縦作動刃別体31b及び前記横作動刃別体32bの脱着自在な構造は、図7及び図9に示すように、前記縦作動刃本体31a及び前記横作動刃本体32aに穿設されたねじ孔にボルトJ等にて前記縦作動刃別体31b及び前記横作動刃別体32bを固定するように構成しているから、湯道破砕において、前記縦作動刃別体31b及び前記横作動刃別体32bが、磨耗や破損した際には、前記縦作動刃別体31b及び前記横作動刃別体32bを交換できることから、湯道破砕装置Gの保守改修を容易に行うことができる。
【0068】
更に、破砕する湯道Yの形状や使用されている材料の種類にあわせて、前記縦作動刃別体31b及び前記横作動刃別体32bを最適な物質や最適な形状で作製し、交換することにより、複雑な形状や粘りのある金属材料でできた湯道でも、押圧して破砕する際に、湯道Yをより効率よく破砕することができる上、多種多様な湯道Yの破砕にも、きめ細かく対応できる。
【0069】
また、前記縦作動刃別体31b及び前記横作動刃別体32bは、図7及び図9に示すように、その形状が略三角柱状になっていることから、破砕した湯道Yが作動刃30に付着しにくいようになっているので、湯道Yを効率よく破砕する効果があり、細断破砕した湯道の回収も効率よく行える効果がある。
【0070】
なお、横作動刃本体32aの先端に連設する横作動刃別体32bと、縦作動刃本体31aの先端に連設する縦作動刃別体31bは、いずれも上記したようにボルトJで着脱自在に取付ける構造以外に縦作動刃別体31bと横作動刃別体32bは、縦作動刃本体31aと横作動刃本体32aの各先端部に超硬合金を肉盛溶接して形成することもでき、縦・横作動刃別体31b,32bが摩耗した場合は、更に肉盛り溶接して修復することができる。
【0071】
破砕ケースMの下方には、図1に示すように、回収空間Xが設けられている。
【0072】
湯道破砕後は、各ストッパー片72を降下させることにより、同各ストッパー片72が各昇降シリンダケース73b内に格納されることで、ストッパー部7による受刃10の制止が外れ、同受刃10を破砕ケースMの前方に回動して、作動刃30との間に一定の間隔を形成することができる。
【0073】
従って、受刃10と作動刃30と刃空間部S内に貯溜された破砕湯道Yは、同受刃10が破砕ケースMの前方に回動するので、同受刃10が下方開放の下向きに傾くことから、回収空間Xに自然落下し、排出されて、回収空間Xに配したベルトコンベヤや回収ボックス等の所定の手段で回収できる。
【0074】
なお、上記した実施例では、横方向においては、受刃10は左右2列の刃空間部Sとし、作動刃30は左右2列の作動刃単体30sとしており、かつ、上下方向においては、受刃10は3段の刃空間部Sとし、作動刃30は3段の作動刃単体30sとしているが、この2列と3段に限定されず、横方向で2列以上、縦方向で3段以上として大量に湯道の破砕処理が行えるように構成することができる。かかる構成においても、作動刃30の各列毎に作動刃油圧シリンダを連設し、時差作動させるものである。
【0075】
本実施形態の湯道破砕装置Gにおいて湯道Yを破砕する場合の破砕作動について図面を用いて具体的に説明する。
【0076】
破砕動作の概要は、湯道破砕装置Gにおいて、作動刃30の下端部と受刃10の下端部同士を接触させることで同作動刃30と同受刃10との間に側面視略V字型の空間Zを形成し、投入口50から同側面視略V字型の空間Zへ湯道Yを投入すると、湯道Yが様々な位置に載置され、同作動刃30には、同一油圧源Hから分圧された各圧力PL,PRによる押圧力が供給されてので、同作動刃30は、その押圧力によって、湯道Yを押圧することで、同作動刃30と同受刃10とで挟んだ湯道Yからの反力の強弱に応じて、それぞれに別動することにより、湯道Yを同受刃10に押圧して破砕するものである。
【0077】
図10(a)に示すように、湯道破砕装置Gは、前述した通り、作動刃30と受刃10とよりなる構成を備えており、同受刃10は、同作動刃30に対して離間した位置で停止した状態となっている。
【0078】
つまり、受刃10と作動刃30とは破砕作動以外の状態、すなわち、破砕作動が完了して、破砕した湯道Yを排出した状態では、受刃10は上部の受刃枢支部15中心に破砕ケースMの前方に回動し、作動刃30も下部の作動刃枢支部35を中心に破砕ケースMの後方に回動し、同受刃10と同作動刃30との間に一定の間隔を保持した空間が形成されて、破砕ケースMの下方から破砕した湯道Yを排出可能な同破砕ケースM下方開放状態としている。
【0079】
図10(b)に示すように、破砕作動の準備に入る際は、受刃10は上部の受刃枢支部15中心に破砕ケースMの中央に向かって回動し、作動刃30は下部の作動刃枢支部35を中心に破砕ケースMの中央に向かって回動し、破砕作動初期には、両刃は側面視略V字型の配置となっていて、当然かかる受刃10の回動時にはその背面後方に配設した各ストッパー片72は、図10(a)に示すように、各昇降シリンダ73aを介して降下しており受刃10と干渉しない、すなわち受刃回動操作に支障とならないように構成している。
【0080】
そうして、かかる状態で両刃が側面視略V字型に変位すると、破砕作動初期状態となる。
各昇降シリンダ73aによって各ストッパー片72がそれぞれ上方へ伸長し、所定の位置に配置され、受刃10に連設した受刃回動ストッパー体71を受け止められるように準備する。
【0081】
図10(c)に示すように、この状態で破砕ケースMの上方の投入口50から湯道Yを投入すると、投入された湯道Yは、受刃10の各縦受刃11及び各横受刃12と左右の左作動刃群30L及び右作動刃群30Rの各縦作動刃31及び各横作動刃32との間に傾斜したり、水平になったりと様々な状態で雑然と跨って載置され、側面視略V字型の空間Z内に収納された状態となり、破砕の準備が完了する。
【0082】
また、前記側面視略V字型の空間Zの容積は、受刃10の回動時の傾斜角度によって調整することができる。すなわち、湯道の大きさや湯道の量によって側面視略V字型の調整することによって最適な破砕能力を生起することができるように同側面視略V字型の空間Zを形成する。
【0083】
そして、前述のように湯道Yが、受刃10と作動刃30との間の側面視略V字型の空間Zに収容されると、作動刃30が下部の作動刃枢支部35を中心に湯道方向、すなわち、受刃方向に回動する。作動刃30の回動が続くと、一定圧力で湯道Yに押圧力がかかり受刃10が受け止めることができない押圧力となれば、受刃10は上部の受刃枢支部15を中心に破砕ケースM前方に回動していく。
【0084】
このとき、図12に示すように、同一油圧源Hのポートには、二又に分岐した油路45を連設し、一方の油路45Lは、左作動刃油圧シリンダ41Lに、他方の油路45Rは、右作動刃油圧シリンダ41Rに連設し、二又に分岐した左右の各油路45L,45Rは、同一油圧源Hからの元圧Pがそれぞれ同じ比率の圧力に分圧されるように、同一径、同一の長さに形成している。従って、左側油圧経路KL及び右側油圧経路KRは、二又に分岐した左右の各油路45L,45Rと左右の各作動刃油圧シリンダ41L,41Rとから構成しており、更に、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rには、それぞれ、前記作動刃油圧シリンダ41L及び前記作動刃油圧シリンダ41Rが押圧機構連結部材33と各作動刃油圧シリンダ連結部材42とを介して連設されている。
【0085】
なお、作動刃油圧シリンダ41L及び作動刃油圧シリンダ41Rは、複動油圧シリンダで構成している、あるいは、構成することもできるので、伸長時、収縮時の両方で力を出すことができることから、破砕装置の使用回数が多い場合や作動刃30を頑丈に形成して重量の増加した場合であっても、十分に対応することができる。
【0086】
前記左側油圧経路KL及び右側油圧経路KRは、同一油圧源Hからの元圧Pがそれぞれ同じ比率の圧力に分圧されるように、同一径、同一の長さに形成されて、構成していることから、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rは、同一油圧源Hから分圧された各圧力PL,PRにより湯道Yを挟んだ状態で受刃10と噛合する方向に押圧することで、同受刃10による反力が湯道Yを介することで、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rへの湯道Yからの反力FL,FRとして現れる。
【0087】
図12(a)に示すように、前記反力が、FL=FRのとき、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rは、下部の作動刃枢支部35を中心に湯道方向、すなわち、受刃方向に湯道Yを受刃10に押圧するように作動し、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rの回動が続くと、一定圧力で湯道Yに押圧力がかかり受刃10が受け止めることができない押圧力となれば、受刃10は上部の受刃枢支部15を中心に破砕ケースM前方に回動していく。
【0088】
更に、図10(d)に示すように、受刃10と左作動刃群30L及び右作動刃群30Rの間に湯道Yを挟んだ状態で作動刃油圧シリンダ41L及び作動刃油圧シリンダ41Rが伸長すると、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rが、湯道Yを挟んだ状態で受刃10を押圧することにより、受刃10の背面方向には各ストッパー片72が突出していることから、受刃10の背面は、受刃回動ストッパー体71を介して各ストッパー片72により受け止められる。すなわち、受刃回動ストッパー体71の両端に各ストッパー片72が当接することで受刃10の回動が停止する。
【0089】
従って、受刃10は、作動刃30の回動押圧力を受け止める。作動刃30は、更に回動を継続しながら、受刃10で受け止められた湯道Yを作動刃30と受刃10との間で圧潰していく。
【0090】
このとき、図12(b)に示すように、前記反力が、FL<FRのとき、左作動刃群30Lは、湯道Yを受刃10に押圧するように別動し、このとき右作動刃群30Rは可動せず、湯道Yの破砕時の支点として作用する。
【0091】
そして、前記左側油圧経路KL及び右側油圧経路KRは、同一油圧源Hから供給される元圧Pが、それそれ同じ比率の圧力PL,PRに分圧されるように、同一径、同一の長さに形成されて、構成していることから、前記反力が、FL<FRのときは、同じ圧力に分圧された圧力PLによる押圧力と反力FLとが等しくなるまで、左作動刃群30Lのみが、受刃10に向かって押圧されて、湯道Yを破砕するように別動する。
【0092】
従って、湯道Yは、右作動刃群30Rを支点して左作動刃群30Lからの押圧力を受けることにより切断され、破砕され、破砕した湯道Yは、次々と受刃10の刃空間部S内に入り込む状態となる。
【0093】
図11(a)に示すように、更に湯道Yから小さい反力を受ける左作動刃群30Lが可動して同湯道Yを受刃10の各縦受刃11及び各横受刃12に押圧する。
【0094】
次に、図12(c)に示すように、前記反力が、FL>FRのとき、右作動刃群30Rは、湯道Yを受刃10に押圧するように別動し、このとき左作動刃群30Lは可動せず、湯道Yの破砕時の支点として作用する。
【0095】
そして、前記左側油圧経路KL及び右側油圧経路KRは、同一油圧源Hから供給される元圧Pが、それそれ同じ圧力PL,PRに分圧されるように、同一径、同一の長さに形成されて構成いることから、前記反力が、FL>FRのときは、同じ圧力に分圧された圧力PRによる押圧力と反力FRとが等しくなるまで、右作動刃群30Rのみが、受刃10に向かって押圧されて、湯道Yを破砕するように別動する。
【0096】
従って、湯道Yは、左作動刃群30Lを支点して右作動刃群30Rからの押圧力を受けることにより切断され、破砕され、破砕した湯道Yは、次々と受刃10の刃空間部S内に入り込む状態となる。
【0097】
図11(b)に示すように、更に湯道Yから小さい反力を受ける右作動刃群30Rが可動することで、残りの湯道Yが切断され、破砕され、破砕した湯道Yは、次々と受刃10の刃空間部S内に入り込む状態になることにより、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rの略十字形状の各作動刃単体30sは、その先端部が、受刃10の刃空間部Sに嵌入する状態となる。
【0098】
図11(c)に示すように、作動刃油圧シリンダ41L及び作動刃油圧シリンダ41Rが収縮すると、左作動刃群30L及び右作動刃群30Rは、作動刃枢支部35を中心に破砕ケースMの後方に回動することで、略十字形状の各作動刃単体30sのその先端部が受刃10の刃空間部Sに嵌入した状態から離間した状態となる。
【0099】
図11(d)に示すように、受刃10に作動刃30が噛合し、同作動刃30が同受刃10に向かって更に押圧した際の受刃受け機能を果たすストッパー部7の各ストッパー片72が、各昇降シリンダ73aの収縮により各昇降シリンダケース73b内に降下することにより、受刃10は、受刃枢支部15を中心に回動して破砕ケースMの前方に移動して作動刃30との間に一定の間隔を形成することができる。
【0100】
よって、受刃10と作動刃30と刃空間部S内に貯溜された破砕された湯道Yは、受刃10が下方開放の下向きに傾くことから、受刃10の同刃空間部S内から破砕ケースMの下方の破砕湯道の回収空間Xに自然落下し、排出されて、回収される。
【0101】
破砕湯道の回収空間Xには、前記自然落下した破砕された湯道Yを回収するために、ベルトコンベヤや回収ボックス等の所定の回収手段を事前に設置することで、より効率的に湯道を回収する。
【0102】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0103】
G 湯道破砕装置
F 受刃から湯道を介して作動刃にかかる反力
H 同一油圧源
KL 左側油圧経路
KR 右側油圧経路
M 破砕ケース
P 油圧源からの元圧
PL 同一油圧源から分圧された左分圧
PR 同一油圧源から分圧された右分圧
S 刃空間部
X 回収空間
Y 湯道
Z 側面視略V字型の空間
1 受刃部
3 作動刃部
7 ストッパー部
10 受刃
11 縦受刃
12 横受刃
15 受刃枢支部
30 作動刃
30L 左作動刃群
30R 右作動刃群
30s 作動刃単体
31 縦作動刃
32 横作動刃
35 作動刃枢支部
41 作動刃油圧シリンダ
41L 左作動刃油圧シリンダ
41R 右作動刃油圧シリンダ
45 油路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕ケース内に、上端を枢支部とした受刃と下端を枢支部とした作動刃とを一定間隔を保持して収納し、
しかも破砕作動初期は、受刃と作動刃とが側面視略V字型の配置となるべく構成し、
作動刃は押圧機構を介して下端の枢支部を中心に受刃と噛合する方向に作動すべく構成したことを特徴とする湯道破砕装置。
【請求項2】
受刃の背面後方位置には、受刃に作動刃が噛合した際の受刃受け機能を果たすストッパーを配設したことを特徴とする請求項1に記載の湯道破砕装置。
【請求項3】
受刃は、所定の高さを有する複数の板状の縦受刃と、板状の縦受刃間に略直交するように配設した複数の板状の横受刃とよりなり、
作動刃は、所定の高さを有する交差形状の作動刃単体を複数併設して構成し、各作動刃単体は、受刃における縦受刃と横受刃とにより形成される刃空間部に嵌入自在に構成したことを特徴とする請求項1及び2に記載の湯道破砕装置。
【請求項4】
複数の作動刃は、同一油圧源から油圧経路で接続され、同油圧経路を構成する各油圧シリンダに、前記同一油圧源で生成される元圧を同じ比率で分けて所定の油圧として与えることにより作動し、その際、破砕される湯道からの反力に応じて、各作動刃が別動することを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の湯道破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−240518(P2010−240518A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−89245(P2009−89245)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【出願人】(391027675)平戸金属工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】