説明

湿気硬化型ポリウレタン組成物

【課題】
硬化物の発泡が無く、且つ硬化性、作業性、貯蔵安定性に優れ、接着剤、コーティング材、シーリング材、防水材、床材、壁材、及び塗料等の各種用途に好適に用いられる湿気硬化型ポリウレタン組成物を提供する。
【解決手段】
(A)ポリイソシアネート化合物及び/又はウレタンプレポリマーと、(B)ポリアルジミンと、(C)加水分解性エステル化合物及びp−トルエンスルホニルイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種と、を含有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加水分解してポリアミンを生成するポリアルジミンを含有する湿気硬化型ポリウレタン組成物に関し、特に接着剤、コーティング材、シーリング材、防水材、床材、壁材、及び塗料等に好適に用いられる湿気硬化型ポリウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン樹脂は常温で室温により硬化可能であり、ゴム弾性、耐摩耗性、耐久性等の諸特性に優れていることから、塗料、床材、防水材、接着剤、ポッティング材、壁材、シーリング材等として、近年特に利用されている。これらのポリウレタン樹脂の硬化法は、ポリウレタンプレポリマーの末端イソシアネートが、施工後、大気中の水分で硬化する一液型と、ポリウレタンプレポリマーを含む主剤とポリオール類を含む硬化剤とを、施工時混合して硬化させる二液型とに大別される。
【0003】
二液型は、硬化速度の調節が容易であるが、施工時に各成分を混合する必要があり取り扱いが煩雑である。一方、一液型は施工方法は簡単であるが硬化が遅い、貯蔵安定性が悪い、発泡する等の問題がある。また、芳香族ジイソシアネートを用いたシーリング材は、そのベンゼン環に由来する、優れた高凝集力のために柔軟性が低く、伸長時のモジュラスが高いため施工した目地の伸縮時に追従せず、目地を破壊するという問題点を持っている。
【0004】
これらの問題を解決するために、潜在性硬化剤を含有する一液型ポリウレタン組成物が提案されている。例えば、特許文献1では潜在性硬化剤としてポリアルジミンを含有するポリウレタン組成物を開示している。しかしながら、これらの組成物は、冬期に於けるような低温低湿環境下での施工に際しては硬化性が著しく低下する等、硬化性に問題がある。また、硬化性を向上させる目的で、組成物中に予め有機酸を添加しておく方法もあるが、この場合添加量に比例して組成物の長期貯蔵性が悪化するため実用的ではない。また、特許文献2及び3では、それぞれイソシアネート組成物に施工直前に酸又は水を混合する方法が開示されているが、この方法では施工時の作業性に問題があった。
【特許文献1】特開平4−279620号公報
【特許文献2】特開平7−216044号公報
【特許文献3】特開平7−25976号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、硬化物の発泡が無く、且つ硬化性、作業性、貯蔵安定性に優れ、接着剤、コーティング材、シーリング材、防水材、床材、壁材、及び塗料等の各種用途に好適に用いられる湿気硬化型ポリウレタン組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物は、(A)ポリイソシアネート化合物及び/又はウレタンプレポリマーと、(B)ポリアルジミンと、(C)加水分解性エステル化合物及びp−トルエンスルホニルイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種と、を含有することを特徴とする。
【0007】
前記ポリアルジミン(B)が、下記一般式(1)で示されることが好ましい。
【0008】
【化1】

【0009】
[式(1)中、R1は炭素数6〜15のアリール基であり、R2は炭素数2〜15で2価又は3価の炭化水素基、分子量が70〜6,000で2価又は3価のポリオキシアルキレン基、イソホロンジアミンのアミノ残基、又は下記一般式(2)で示されるアミンのアミノ残基であり、nは2又は3を示す。]
【0010】
【化2】

【0011】
[式(2)中、R3は炭素数6〜13で、かつ2価又は3価のビシクロ環、またはトリシクロ環からなる炭化水素基であり、nは2又は3を示す。]
【0012】
前記加水分解性エステル化合物が、オルトギ酸エステル及び/又はシクロヘキサノンジメチルアセタールであることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、硬化物の発泡が無く、且つ硬化性、作業性、貯蔵安定性に優れ、接着剤、コーティング材、シーリング材、防水材、床材、壁材、及び塗料等の各種用途に好適に用いられる湿気硬化型ポリウレタン組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、これらの実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能なことはいうまでもない。
【0015】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物は、(A)ポリイソシアネート化合物及び/又はウレタンプレポリマーと、(B)ポリアルジミンと、(C)加水分解性エステル化合物、及びp−トルエンスルホニルイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種とを必須成分として含有するものである。
【0016】
前記成分(A)のポリイソシアネート化合物とは、1分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、一般的には1分子中にイソシアネート基を2〜5個含む化合物が好ましく、アルキレン基、シクロアルキレン基、フェニレン基等にイソシアネートを2以上結合しているものがより好ましい。
【0017】
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、1)トリレンジイソシアネート(異性体の各種混合物を含む)、ジフェニルメタンジイソシアネート(異性体の各種混合物を含む)、3・3’−ジメチル−4・4’−ビフェニレンジイソシアネート、1・4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4・4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、1・4−シクロヘキシルジイソシアネート、1−メチル−2・4−ジイソシアナト−シクロヘキサン、2・4・4−トリメチル−1・6−ジイソシアナト−ヘキサン等のジイソシアネート、2)4・4’・4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(4−フェニルイソシアナト)チオフォスフェート等のトリイソシアネート、3)前記イソシアネート類のウレタン化変性品、イソシアヌレート化変性品、カルボジイミド化変性品、ビューレット化変性品、粗製トリレンイソシアネート、ポリメチレン・ポリフェニルイソシアネート等の多官能性イソシアネート等が挙げられる。
【0018】
前記成分(A)のウレタンプレポリマーは、公知の複数のイソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーを広く使用可能であり、前記各種有機ポリイソシアネート化合物と、ポリオール、ポリアミン等の1分子中に2個以上の活性水素を持つ公知の化合物とを公知の方法で反応させて得られる。ポリウレタンプレポリマー中には遊離イソシアネート基が残存している。
【0019】
1分子中に2個以上の活性水素を持つ公知の化合物としては、具体的には、ヒドロキシル基を2個以上、又はアミノ基を1個以上、又はメルカプト基を2個以上、又はヒドロキシル基とアミノ基を有する化合物、又はヒドロキシル基とメルカプト基を有する化合物があり、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、しょ糖等の多価アルコール,アニリン、トリレンジアミン、p,p’−ジアミノ−ジフェニルメタン等の芳香族アミン,エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン等の脂肪族アミン,又はアルカノールアミン等が挙げられる。また、これら化合物あるいはこれら化合物の混合物にプロピレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドを付加重合して得たポリエーテルポリオール類、前記ポリエーテルポリオール類のヒドロキシル基をアミノ基に変換して得られるポリエーテルポリアミン類が挙げられる。
【0020】
また、2個以上の活性水素を持つ公知の化合物として、例えば、ポリテトラメチレンエーテルポリオール類、ポリカーボネートポリオール類、ポリカプロラクトンポリオール類、ポリエチレンアジペートのようなポリエステルポリオール類、ポリブタジエンポリオール類、ヒマシ油のような高級脂肪酸のエステル類、ポリエーテルポリオール又はポリエステルポリオールにビニルモノマーをグラフトして得たポリマーポリオール類、一分子中に一個以上の活性水素を持つ公知のエチレン性不飽和単量体を共重合して得られる化合物、メルカプト基を有するエーテル類等が挙げられる。
【0021】
ウレタンプレポリマーの製造方法は公知の方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば、ポリイソシアネート化合物と活性水素を持つ化合物とを100℃にて数時間反応させて製造することができる。そのイソシアネート基含有量は0.5〜20重量%が好ましい。
【0022】
前記ポリアルジミン(B)としては、加水分解によりアミンを生成する従来公知のポリアルジミンを広く使用可能であるが、芳香族アルデヒドから誘導されるポリアルジミンが好ましく、下記一般式(1)で示されるポリアルジミンがさらに好ましい。これらポリアルジミンは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いても良い。
【0023】
【化3】

【0024】
式(1)中、R1は炭素数6〜15のアリール基であり、フェニル基及び1以上の置換基で置換された置換フェニル基が挙げられる。置換基としては炭素数が1〜9のアルキル基、炭素数が1〜9のアルコキシ基等が好ましい。上記アリール基の置換基数としては1〜3のものが好ましい。R1としては、具体的には、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロポキシフェニル基等が好適な例として挙げられる。R1は1分子中で同一であっても異なっていても良い。
【0025】
式(1)中、R2は、炭素数2〜15で2価又は3価の炭化水素基、分子量が70〜6,000で2価又は3価のポリオキシアルキレン基、イソホロンジアミンのアミノ残基、又は下記一般式(2)で示されるアミンのアミノ残基である。なお、式(1)及び(2)中、nは2又は3を示す。
【0026】
【化4】

【0027】
但し、式(2)中、R3は炭素数6〜13で、かつ2価又は3価のビシクロ環、またはトリシクロ環からなる炭化水素基であり、ビシクロ環、トリシクロ環のシクロ環の炭素数は5〜12のものが好ましい。更にシクロ環は置換基を有するものでも良い。置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基等が好ましい。
【0028】
前記ポリアルジミン(B)の製造方法は特に限定されず、ポリアミンとアルデヒドとを反応させる等の公知の方法で簡単に製造可能である。例えば、ポリアミンとアルデヒドとをトルエン、キシレン又は酢酸ブチル等の溶剤中で、酸触媒下にて加熱して共沸による脱水反応を行ない、水滴分離器内において水分の留出が停止するまで反応を続行することにより、ポリアルジミンが得られる。ポリアミンとアルデヒドとの混合割合はアミン1当量に対してアルデヒド1〜2当量が適当である。反応は通常数時間で終了する。反応終了後、反応混合物を減圧にする等の方法でアルデヒド、溶媒等を留去して、ポリアルジミンを得ることができる。
【0029】
前記ポリアミンとしては、例えば、(a)エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン,4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、イソホロンジアミン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、2,5−又は2,6−ジアミノメチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ジアミノシクロヘキサン、3(4),8(9)−ビス(アミノメチル)−トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン等の脂環族ジアミン,ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエーテル、キシリレンジアミン、フェニレンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−又は2,6−ジアミン等の芳香族ジアミン,水、エチレングリコール、プロピレングリコール等にプロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドを付加重合して得たポリオキシアルキレングリコール類のヒドロキシル基をアミノ基に変換して得られるポリオキシアルキレンジアミン等のジアミン、並びに(b)1,3,5−トリス(アミノメチル)ベンゼン、1,3,5−トリス(アミノメチル)シクロヘキサン等のトリアミン,グリセリン、トリメチロールプロパン等にプロピレンオキサイド及び/又はエチレンオキサイドを付加重合して得たポリオキシアルキレントリオール類のヒドロキシル基をアミノ基に変換して得られるポリオキシアルキレントリアミン等のトリアミン等が挙げられ、特に融点50℃以下の低融点ポリアミンが好ましい。
【0030】
前記アルデヒドとしては、例えば、ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、4−エチルベンズアルデヒド、4−プロピルベンズアルデヒド、4−ブチルベンズアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、p−アニスアルデヒド、p−エトキシベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0031】
ポリアルジミン(B)の配合割合は特に限定されないが、ポリアルジミン(B)が加水分解して生ずるポリアミンのアミノ基の数と、ポリイソシアネート化合物及び/又はウレタンプレポリマー(A)に含まれるイソシアネート基の数との比が、0.5〜2.0、より好ましくは0.7〜1.5とする事が望ましい。
【0032】
本発明の成分(C)は、ポリアルジミンの加水分解を促進させる化合物であり、加水分解性エスエル化合物、及びp−トルエンスルホニルイソシアネートが挙げられる。これらの化合物は単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。2種以上組み合わせて使用する場合、その組み合わせも特に限定されず、例えば、加水分解性エステル化合物とp−トルエンスルホニルイソシアネートを併用しても良い。
【0033】
前記加水分解性エステル化合物は、水分により加水分解して遊離酸を生じ、アルジミンの加水分解を促進させるものであり、例えば、ギ酸メチル等のエステル類,オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸エステル,シクロヘキサノンジメチルアセタール等のアセタール類が貯蔵安定性の点で好ましい。p−トルエンスルホニルイソシアネートは、下記式(3)で示される化合物であり、ホスゲンを用いたり、ホフマン分解による公知のイソシアネート合成法によって得ることができるが、住友バイエルウレタン社製のアディティブTI等の市販品を使用することができる。また、p−トルエンスルホニルイソシアネートの誘導体を使用してもよく、該誘導体も本発明に含まれる。
【0034】
【化5】

【0035】
成分(C)の配合割合は特に限定されないが、成分(A)100重量部に対して0.1〜20重量部、特に0.1〜6重量部配合させることが好ましい。
【0036】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物には、上記した成分に加えて、必要に応じて、充填剤、可塑剤、顔料及び染料等の着色剤、帯電防止剤、難燃剤、接着付与剤、チキソトロピー付与剤、シランカップリング剤、分散剤、酸化防止剤、安定剤、硬化触媒、溶剤等を配合してもよい。
【0037】
充填剤としては、各種形状の有機又は無機のものがあり、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;カーボンブラック;クレー;タルク;ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;カオリン;硅藻土;ゼオライト;酸化チタン、生石灰、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化マグネシウム;硫酸アルミニウム;塩化ビニルペーストレジン;ガラスバルーン、シラスバルーン、サランバルーン、フェノールバルーン、塩化ビニリデン樹脂バルーン等の無機質バルーン、有機質バルーン等;あるいはこれらの脂肪酸、脂肪酸エステル処理物等が挙げられ、単独で、または混合して使用することができる。
【0038】
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジラウリルフタレート(DLP)、ブチルベンジルフタレート(BBP)、ジオクチルアジペート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルアジペート、ジイソデシルフタレート、トリオクチルホスヘート、トリス(クロロエチル)フォスフェート、トリス(ジクロロプロピル)フォスフェート、アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル、エポキシステアリン酸アルキル、エポキシ化大豆油等が挙げられ、単独又は混合して使用することができる。
【0039】
チキソトロピー付与剤としては、例えば、コロイダルシリカ、脂肪酸アミドワックス、ステアリン酸アルミ、表面処理ベントナイト、ポリエチレン短繊維、フェノール樹脂短繊維、エアロジル(日本エアロジル社製)、ディスパロン(楠本化成社製)等が挙げられる。溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素の他、ガソリンから灯油留分にいたる石油系溶剤類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエーテルエステル類等が挙げられ、芳香族系溶剤が好ましい。
【0040】
帯電防止剤としては、一般に、第4級アンモニウム塩やアミンなどのイオン性化合物、あるいはポリエチレングリコールやエチレンオキサイド誘導体などの親水性化合物を挙げることができる。接着付与剤としては、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。難燃剤としては、クロロアルキルホスフェート、ジメチルメチルホスホネート、臭素、リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ジエチルビスヒドロキシエチルアミノホスフェート等が挙げられる。着色剤としては、アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料や、各種無機顔料等の顔料、並びにカーボンブラック、チタンホワイト、酸化クロム、ベンガラ等が挙げられる。安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、トリアゾール系化合物等が挙げられる。
【0041】
本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物の製造方法は、特に限定されないが、好ましくは各成分に、必要に応じてその他の添加剤を加えて減圧下または不活性雰囲気下に十分混練し、均一に分散させて組成物とするのがよい。本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物は一液型で使用することができ、施工時に各成分を混合する必要がないため作業性に優れている。
【実施例】
【0042】
以下に実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。
【0043】
(合成例1)
2,4−トリレンジイソシアネート598重量部と、ポリオキシプロピレングリコール(分子量2000)2600重量部と、ポリオキシプロピレントリオール(分子量3000)1802重量部とを100℃にて10時間反応させ、イソシアネート基を末端とするポリウレタンプレポリマーを得た。末端NCO基は1.89重量%、粘度は41,000mPa・s/25℃であった。
【0044】
(合成例2)
攪拌機、温度計、滴下ロート、及び水分分離器を備えた反応容器に、ビスアミノメチルシクロヘキサン142重量部(2.0当量)、蟻酸0.1重量部及びトルエン500重量部を入れ、窒素気流下で室温にて混合した。約10分後、滴下ロートよりp−アニスアルデヒド340重量部(2.5当量)を約30分間で滴下した。更に昇温し、約90℃で還流が開始し、水分分離器内に水の分離留出が認められた。続いて、還流しながら水分留出が停止するまで約6時間反応を続けた。留去した水は36重量部であった。次に、外温を150℃に設定した。続いて、真空ポンプで1mmHgまで減圧し、トルエン及び未反応4−エチルベンズアルデヒドを留去し、375重量部のジアルジミンを得た。得られたジアルジミンの赤外吸収スペクトルを測定した結果、1640cm-1に−N=CH−の特性吸収スペクトルを認めた。ジアルジミンはアミン価297mgKOH/gであり、室温にて淡黄色液体であった。
【0045】
(実施例1)
表1に示す組成にて下記の如く湿気硬化型ポリウレタン組成物を調製した。なお、ウレタンプレポリマー中のNCO基/ポリアルジミン由来のNH2基=1.1とした。3リットルのプラネタリーミキサーにDINP200重量部、炭酸カルシウム250重量部を入れ、常温にて15分混練し、続いて100℃にて混練しつつ真空にて脱水操作を一時間行った。次に、ウレタンプレポリマー800重量部、ポリアルジミンとしてALD−1を54重量部、OFM10重量部を投入し、常温にて15分混練し、湿気硬化性ポリウレタン組成物を得た。
【0046】
【表1】

【0047】
表1における各配合物質の配合量は重量部で示され、*1〜*7は次の通りである。
*1:合成例1で得たウレタンプレポリマー
*2:三井武田ケミカル(株)製、ジアルジミン(アミン価337mgKOH/g)
*3:オルトギ酸メチル、日宝化学(株)製
*4:シクロヘキサノンジメチルアセタール
*5:p−トルエンスルホニルシソシアネート
*6:ジイソノニルフタレート、積水化学工業(株)製
*7:プキャットB7、日本化学産業(株)製(ビスマスセッケン、Bi:7%)
【0048】
前記得られた組成物に対し、下記の測定を行った。結果を表2に示す。
1)硬化時間:得られた組成物を直径50mm、深さ5mmの容器に充填し、23℃50%RHに放置し、表面に薄い皮膜が形成されるまでの時間を測定する。
2)低温硬化性:得られた組成物を直径50mm、深さ10mmの容器に形成し、5℃に放置し、成形物を指で押さえても成形物が指につかなくなるまでにかかった日数を測定する。
3)深部硬化性及び硬度:得られた組成物を直径50mm、深さ20mmの容器に成形し、23℃50%RHで1週間放置し、表面からの硬化厚みを測定する。また、硬化物の硬度を硬度計ASKER Cで測定する。
4)100%モジュラス:JIS A 1439 5.3.引張特性試験に準拠して100%伸張時のモジュラスを測定した。
5)発泡状態:得られた組成物を50℃で7日間放置し、硬化物の発泡の有無を目視にて観察した。
6)粘度:得られた組成物の初期粘度をB型粘度計を用いて測定した。さらに、該組成物について50℃で1週間後、4週間後の粘度を測定し、初期粘度との比を求め粘度の上昇倍率を求めた。
7)チクソインデックス:得られた組成物の初期のチクソインデックス(以下、T.I.と略す)値を測定した。ここで、T.I.値とは、BS粘度計を用い、回転速度1rpm及び10rpmで計測される粘度比より求められる。
T.I.値=(1rpmでの粘度)/(10rpmでの粘度)
【0049】
【表2】

【0050】
(実施例2〜12)
表1に示した如く、配合物質を変更した以外は実施例1と同様にして湿気硬化型ポリウレタン組成物を調製した。得られた組成物に対して実施例1と同様に測定を行った。結果を表2に示す。
【0051】
(実施例13及び14)
表3に示した如く、ポリアルジミンの添加量の増減によりウレタンプレポリマー中のNCO基/ポリアルジミン由来のNH2基=1.5(実施例13)、0.7(実施例14)に変更した以外は実施例1と同様にして湿気硬化型ポリウレタン組成物を調製した。得られた組成物に対して実施例1と同様に測定を行った。結果を表4に示す。
【0052】
【表3】

【0053】
表3における各配合物質の配合量は重量部で示され、*1,2,3及び6は表1と同じであり、*8は合成例2で得たジアルジミンである。
【0054】
(実施例15)
表3に示した如く、ポリアルジミンとしてALD−1の代わりに合成例2で得たジアルジミンを用いた以外は実施例1と同様にして湿気硬化型ポリウレタン組成物を調製した。得られた組成物に対して実施例1と同様に測定を行った。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】

【0056】
(比較例1〜5)
表5に示した如く、配合物質を変更した以外は実施例1と同様にして組成物を調製した。得られた組成物に対して実施例1と同様に測定を行った。結果を表6に示す。
【0057】
【表5】

【0058】
表5における各配合物質の配合量は重量部で示され、*1,2,6及び7は表1と同じであり、*9は三建化工(株)製の2−エチルヘキサン酸である。
【0059】
【表6】

【0060】
表2,4及び6に示した如く、本発明の湿気硬化型ポリウレタン組成物は、硬化性及び貯蔵安定性に優れるとともに、硬化時に発泡しないものである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリイソシアネート化合物及び/又はウレタンプレポリマーと、
(B)ポリアルジミンと、
(C)加水分解性エステル化合物、及びp−トルエンスルホニルイソシアネートからなる群から選択される少なくとも1種と、
を含有することを特徴とする湿気硬化型ポリウレタン組成物。
【請求項2】
前記ポリアルジミン(B)が、下記一般式(1)で示されることを特徴とする請求項1記載の湿気硬化型ポリウレタン組成物。
【化1】

[式(1)中、R1は炭素数6〜15のアリール基であり、R2は炭素数2〜15で2価又は3価の炭化水素基、分子量が70〜6,000で2価又は3価のポリオキシアルキレン基、イソホロンジアミンのアミノ残基、又は下記一般式(2)で示されるアミンのアミノ残基であり、nは2又は3を示す。]
【化2】

[式(2)中、R3は炭素数6〜13で、かつ2価又は3価のビシクロ環、またはトリシクロ環からなる炭化水素基であり、nは2又は3を示す。]
【請求項3】
前記加水分解性エステル化合物が、オルトギ酸エステル及び/又はシクロヘキサノンジメチルアセタールであることを特徴とする請求項1又は2記載の湿気硬化型ポリウレタン組成物。


【公開番号】特開2006−36807(P2006−36807A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214441(P2004−214441)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000108111)セメダイン株式会社 (92)
【Fターム(参考)】