説明

湿潤原料供給装置、流動層乾燥設備および湿潤原料供給方法

【課題】湿潤原料が付着することを抑制しつつ、流動層乾燥装置に安定して湿潤原料を供給することができる湿潤原料供給装置、流動層乾燥設備および湿潤原料供給方法を提供する。
【解決手段】湿潤原料を貯留する貯留部と、貯留部の鉛直方向下側に配置され、貯留部から供給される湿潤原料を鉛直方向下側に案内する配管と、配管の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、鉛直方向に貫通している貫通孔を備える回転体と、鉛直方向を軸として前記回転体を回転させる駆動部と、回転体の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、配管の延長線上以外の領域かつ駆動部が回転体を回転させることで貫通孔が移動可能な領域に流動層乾燥装置の乾燥容器と連通した投入口が形成された投入口フィルタと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、褐炭等の湿潤原料を流動層乾燥装置に搬送する湿潤原料供給装置、これを有し、供給された湿潤原料を流動させながら乾燥させる流動層乾燥設備および湿潤原料供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、石炭ガス化複合発電設備は、石炭をガス化し、コンバインドサイクル発電と組み合わせることにより、従来型の石炭火力に比べてさらなる高効率化・高環境性を目指した発電設備である。この石炭ガス化複合発電設備は、資源量が豊富な石炭を利用可能であることも大きなメリットであり、適用炭種も拡大できる事が知られている。
【0003】
このような石炭ガス化複合発電設備は、褐炭(湿潤原料)を燃料として用いた場合、ガス化炉内に持ち込まれる水分量が多く、この水分の蒸発潜熱のためガス化炉内温度が低下し発電効率が低下してしまう。高水分炭の利用のためには流動層乾燥装置を設け、この流動層乾燥装置により石炭を乾燥して水分を除去してから粉砕して石炭ガス化炉に供給する必要がある。
【0004】
従来、このような褐炭等の被乾燥物を乾燥する流動層乾燥装置は、底部が多数の開孔を有する通気可能な分散板である乾燥室と、乾燥室下部に位置するチャンバ室とを備えている。すなわち、この流動層乾燥装置は、流動化ガス(乾燥用気体)を風箱から多孔板を介して乾燥室に供給することによって被乾燥物を流動させつつ乾燥させている(特許文献1)
【0005】
流動層乾燥装置に褐炭を供給する装置としては、供給ホッパに貯留された褐炭をロータリーフィーダで搬送する装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−89243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、流動層乾燥装置に供給する材料は水分を多く含んだ湿潤原料である。そのため、流動層乾燥装置に湿潤原料を供給する供給装置に褐炭が付着する恐れがある。褐炭が付着すると、流動層乾燥装置への褐炭の供給が不安定になる。このように、供給装置への湿潤原料の付着を抑制する方法として、窒素等を供給する方法がある。しかしながら、窒素ガスを供給部に用いるためにの機構が必要となる。また、パージガスが流動層乾燥装置内に混入するため、流動層乾燥装置内の温度が低下する。
【0008】
そこで、本発明は、湿潤原料が付着することを抑制しつつ、流動層乾燥装置に安定して湿潤原料を供給することができる湿潤原料供給装置、流動層乾燥設備および湿潤原料供給方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、流動層乾燥装置の乾燥容器に乾燥対象の湿潤原料を供給する湿潤原料供給装置であって、前記湿潤原料を貯留する貯留部と、前記貯留部の鉛直方向下側に配置され、前記貯留部から供給される前記湿潤原料を鉛直方向下側に案内する配管と、前記配管の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、鉛直方向に貫通している貫通孔を備える回転体と、鉛直方向を軸として前記回転体を回転させる駆動部と、前記回転体の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、前記配管の延長線上以外の領域かつ前記駆動部が前記回転体を回転させることで前記貫通孔が移動可能な領域に前記流動層乾燥装置の前記乾燥容器と連通した投入口が形成された投入口フィルタと、を有することを特徴とする。
【0010】
湿潤原料供給装置は、上記構成とすることで、湿潤原料が投入機構に付着することを抑制しつつ、流動層乾燥装置に安定して湿潤原料を供給することができる。
【0011】
ここで、前記配管に配置され、前記貯留部から前記配管内に落下する前記湿潤原料を保持し、前記湿潤原料を保持した状態で回転することで、保持した前記湿潤原料を一定量落下させるロータリーバルブをさらに有することが好ましい。これにより、回転体に落下させる湿潤原料の量を高い精度で制御することができ、安定して湿潤原料を供給することができる。
【0012】
また、前記回転体の鉛直方向上側の端面に対向して配置され、前記投入口と対向する位置に、前記回転体を回転させることで移動した前記貫通孔の鉛直方向上側の端面を封止する蓋をさらに有することが好ましい。これにより、乾燥容器内の気体が湿潤原料供給装置から外部に漏れることを抑制できる。
【0013】
また、前記回転体の鉛直方向上側の端面に対向して配置され、前記回転体を回転させることで前記投入口と対向する位置に移動した前記貫通孔にピストンを挿入する押し出し機構をさらに有することが好ましい。これにより、回転体の貫通孔が保持する湿潤原料を乾燥容器により確実に供給することができ、貫通孔の内壁に湿潤原料が付着し、残ることを抑制できる。
【0014】
また、前記駆動部は、前記回転体の中心を前記軸として回転させ、前記配管と前記投入口とは、前記軸の同心円上に配置されていることが好ましい。これにより、回転体を効率よく移動させることができる。
【0015】
また、前記回転体は、前記貫通孔が前記軸の同心円上に複数配置されていることが好ましい。これにより、湿潤原料を乾燥容器に効率よく供給することができる。
【0016】
また、前記配管を複数有し、投入口フィルタは、前記投入口が複数形成され、前記配管と前記投入口とは、前記軸の同心円上に等間隔で交互に配置されていることが好ましい。これにより、湿潤原料を乾燥容器に効率よく供給することができる。
【0017】
本発明の流動層乾燥設備は、上記のいずれかに記載の湿潤原料供給装置と、前記湿潤原料供給装置に供給された前記湿潤原料を乾燥可能な流動層乾燥装置と、を備えることを特徴とする。
【0018】
流動層乾燥設備は、上記構成とすることで、湿潤原料が付着することを抑制しつつ、流動層乾燥装置に安定して湿潤原料を供給することができる。
【0019】
本発明は、湿潤原料を貯留する貯留部と、前記貯留部から供給される前記湿潤原料を鉛直方向下側に案内する配管と、前記配管の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、鉛直方向に貫通している貫通孔を備える回転体と、鉛直方向を軸として前記回転体を回転させる駆動部と、前記回転体の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、前記配管の延長線上以外の領域かつ前記駆動部が前記回転体を回転させることで前記貫通孔が移動可能な領域に前記流動層乾燥装置の前記乾燥容器と連通した投入口が形成された投入口フィルタと、前記配管に配置され前記貯留部から前記配管内に落下した前記湿潤原料を保持するロータリーバルブと、を有する湿潤原料供給装置で流動層乾燥装置の乾燥容器に乾燥対象の湿潤原料を供給する湿潤原料供給方法であって、前記駆動部で回転させ、前記回転体の前記貫通孔と前記配管とを対向させる行程と、前記ロータリーバルブを回転させ、前記ロータリーバブルで保持している前記湿潤原料を前記貫通孔に供給する工程と、前記駆動部で回転させ、前記回転体の前記貫通孔と投入口とを対向させ、前記投入口から流動層乾燥装置の乾燥容器に乾燥対象の湿潤原料を供給する工程と、を有することを特徴とする。
【0020】
上記湿潤原料供給方法で湿潤原料を供給することで、湿潤原料が投入機構に付着することを抑制しつつ、流動層乾燥装置に安定して湿潤原料を供給することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の湿潤原料供給装置、流動層乾燥設備および湿潤原料供給方法によれば、湿潤原料が付着することを抑制しつつ、流動層乾燥装置に安定して湿潤原料を供給することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本実施形態の流動層乾燥設備を適用した石炭ガス化複合発電システムの一実施形態を示す概略図である。
【図2】図2は、図1に示す湿潤原料供給装置を備える流動層乾燥設備の一実施形態を示す概略図である。
【図3】図3は、図2に示す湿潤原料供給装置および流動層乾燥装置の一実施形態を示す概略図である。
【図4】図4は、図3に示す湿潤原料供給装置の回転機構の周辺部の概略構成を示す模式図である。
【図5】図5は、回転機構の概略構成を示す斜視図である。
【図6】図6は、図4のA−A線矢視図である。
【図7】図7は、図4のB−B線矢視図である。
【図8】図8は、投入装置の他の実施形態の概略構成を示す斜視図である。
【図9】図9は、押し出し機構の概略構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この発明を実施するための形態(以下、実施形態という)によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。本実施形態では、本発明に係る流動層乾燥設備を石炭ガス化複合発電システムに適用した例を説明するが、本発明の適用対象は石炭ガス化複合発電システムに限定されるものではない。例えば、流動層乾燥設備で乾燥した製品炭を用いた発電システムとして流動層乾燥設備で乾燥した製品炭をボイラ火炉に供給し、当該ボイラ火炉で発生した蒸気で蒸気タービンを駆動して発電機により出力を得る褐炭炊ボイラによる発電システムに用いることもできる。また、本発明を石炭ガス化複合発電システムに適用する場合でも、その方式は問わない。また、本実施形態では、湿潤原料(被乾燥物)として褐炭を用いる場合で説明するが、水分含量の高いものであればよく、亜瀝青炭等を含む低品位炭や、スラッジ等を用いることもできる。
【0024】
図1は、本実施形態の流動層乾燥設備を適用した石炭ガス化複合発電システムの一例を示す概略図である。図2は、図1に示す湿潤原料供給装置を備える流動層乾燥設備の一例を示す概略図である。
【0025】
図1に示すように、石炭ガス化複合発電(Integrated Coal Gasification Combined Cycle:IGCC)システム10は、燃料である褐炭132を乾燥させて製品炭140とする流動層乾燥設備100と、製品炭140を粉砕して微粉炭40とするミル20と、微粉炭40を処理してガス化ガス42に変換する石炭ガス化炉13と、前記ガス化ガス42を燃料として運転されるガスタービン(GT)14と、ガスタービン14からのタービン排ガス46を導入する排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator:HRSG)16と、排熱回収ボイラ16で生成した蒸気48により運転される蒸気タービン(ST)18と、ガスタービン14および/または蒸気タービン18と連結された発電機(G)19と、を備える。また、石炭ガス化複合発電システム10は、蒸気タービン18から排出された蒸気48を凝縮し排熱回収ボイラ16に戻す復水器34と、ガスタービン14と連結されガスタービン14と共に回転し、空気54を圧縮する圧縮機36と、空気を窒素(N)と酸素(O)とに分離し、分離した酸素を圧縮機36で圧縮された空気が流れる配管に供給し、窒素をミル20から石炭ガス化炉13に搬送される微粉炭40の搬送経路に供給する空気分離装置(ASU)38と、を備える。なお、圧縮機36が圧縮した空気54は、石炭ガス化炉13と燃焼器26とに供給される。
【0026】
この石炭ガス化複合発電システム10は、流動層乾燥設備100で褐炭132を乾燥させて製品炭140を生成し、この製品炭140をミル20で粉砕した微粉炭40を石炭ガス化炉13でガス化し、生成ガスであるガス化ガス42を得る。石炭ガス化複合発電システム10は、ガス化ガス42をサイクロン22およびガス精製装置24で除塵およびガス精製した後、発電手段であるガスタービン14の燃焼器26に供給し、ここで燃焼して高温・高圧の燃焼ガス50を生成する。そして、石炭ガス化複合発電システム10は、この燃焼ガス50によってガスタービン14を駆動する。石炭ガス化複合発電システム10は、ガスタービン14が発電機19と連結されており、ガスタービン14を駆動することによって発電機19で電力を発生させる。ここで、ガスタービン14を駆動した後のタービン排ガス46は、まだ約500〜600℃の温度を持っている。石炭ガス化複合発電システム10は、タービン排ガス46を排熱回収ボイラ(HRSG)16に送り、排熱回収ボイラ(HRSG)16でタービン排ガス46の熱エネルギーを回収する。石炭ガス化複合発電システム10は、排熱回収ボイラ(HRSG)16で、タービン排ガス46から回収した熱エネルギーによって蒸気48を生成し、この蒸気48によって蒸気タービン18を駆動する。石炭ガス化複合発電システム10は、排熱回収ボイラ(HRSG)16でタービン排ガス46から熱エネルギーを回収したガスである排ガス52から、ガス浄化装置30でNOxおよびSOx分を除去した後、煙突32を介して大気中へ放出する。
【0027】
以下、図2を用いて、流動層乾燥設備100について説明する。図2に示すように、流動層乾燥設備100は、被乾燥物として湿潤原料の1つである水分含量が高い褐炭132を供給する湿潤原料供給装置101と、供給された褐炭132を乾燥させる流動層乾燥装置102と、流動層乾燥装置102から排出される発生蒸気134中の粉塵を除去する集塵装置105と、流動層乾燥装置102から抜き出された乾燥褐炭138を冷却して製品炭140とする冷却器110と、集塵装置105の下流側に介装され、発生蒸気134の熱を回収する熱回収システム111と、熱回収システム111で熱を回収された発生蒸気134を処理して排水142として排出する水処理部112と、集塵装置105から排出された発生蒸気134の一部を循環させ流動化蒸気136として流動層乾燥装置102に供給する循環装置114とを備える。
【0028】
また、流動層乾燥設備100は、各部を接続する配管として、褐炭132を乾燥させる際に発生する発生蒸気134を流動層乾燥装置102の外部に排出し集塵装置105に案内する発生蒸気ラインLと、集塵装置105から粉塵が除去された発生蒸気134の一部を分岐し、流動化蒸気(流動化ガス)136として流動層乾燥装置102内に供給するラインLと、集塵装置105で集塵された固形成分144を乾燥褐炭138が排出される配管に供給する分離ラインLと、乾燥褐炭138および固形成分144を冷却器110で冷却して生成した製品炭140を排出する製品ラインLと、備える。
【0029】
湿潤原料供給装置101は、褐炭132を貯留し、貯留している褐炭132を流動層乾燥装置102内に供給する。なお、湿潤原料供給装置101については後述する。
【0030】
流動層乾燥装置102は、湿潤原料供給装置101から供給される褐炭132と流動化蒸気136とで流動層を形成し褐炭132で移動させつつ、加熱手段で加熱することで褐炭132を乾燥させ乾燥褐炭138とする。また、流動層乾燥装置102は、流動化蒸気136と褐炭132の乾燥時に生じる蒸気とが混合され発生蒸気134となる。流動層乾燥装置102は、内部に設けられた加熱手段としての伝熱部材128と、伝熱部材128に過熱蒸気(高温ガス)Aを供給可能な過熱蒸気供給装置(高温ガス供給手段)129と、を備える。流動層乾燥装置102の構成については後述する。
【0031】
集塵装置105は、サイクロンや、ポーラスフィルタ、電気集塵機等であり、発生蒸気134中に含まれる粉塵(固形成分)を分離する。ここで、発生蒸気134は、褐炭132が乾燥し微粉化したものを含んでいる。集塵装置105は、発生蒸気134に含まれている褐炭132が乾燥し微粉化した固形成分144を集塵して分離する。集塵装置105は、分離した固形成分144を、分離ラインLに供給する。分離ラインLに供給された固形成分144は、通過して流動層乾燥装置102から抜き出された乾燥褐炭138に合流して混合される。
【0032】
冷却器110は、通過して流動層乾燥装置102から抜き出された乾燥褐炭138に固形成分144が混合された乾燥した粉体を冷却する。冷却器110は、冷却した粉体を製品炭140として製品ラインLから排出する。この製品炭140は、上述したように、石炭ガス化炉13に供給される。
【0033】
熱回収システム111は、発生蒸気134の熱を熱交換等で回収するシステムである。熱回収システム111は、この発生蒸気134に対して熱回収を行う。水処理部112は、熱回収システム111で熱回収された発生蒸気134を処理する処理装置である。水処理部112は、熱回収システム111で熱回収された発生蒸気134を処理し、排水142として流動層乾燥設備100の外部に排出する。
【0034】
また、循環装置114はラインLに介装されており、ラインLを流れる空気を所定方向に送る。具体的には、集塵装置105は、ラインLを流れる集塵された後の発生蒸気134の一部を流動層乾燥装置102内に送る。なお、流動層乾燥装置102内に送られる発生蒸気134は、褐炭132の流動層を流動させる流動化蒸気136として利用される。なお、本実施形態の流動層乾燥設備100は、流動層を流動化させる流動化媒体として、発生蒸気134の一部を再利用しているが、これに限定されず、例えば窒素、二酸化炭素またはこれらのガスを含む低酸素濃度の空気を用いてもよい。
【0035】
また、本実施形態の流動層乾燥設備100は、集塵装置105により集塵した後の発生蒸気134の一部を熱回収システム111で利用し、残りの部分を流動化蒸気136として利用したが、これに限定されない。この流動層乾燥設備100は、集塵装置105により集塵した後の発生蒸気134を例えば、熱交換器や蒸気タービン等で処理してその熱を有効利用するようにしてもよい。
【0036】
この石炭ガス化複合発電システム10によれば、高い水分を有する褐炭132を用いてガス化する場合においても、効率的な流動層乾燥装置102により褐炭132を乾燥しているので、ガス化炉内温度を低下させる影響が少なく、長期間に亙って安定して発電を行うことができる。
【0037】
次に図3を用いて、湿潤原料供給装置101および流動層乾燥装置102について説明する。ここで、図3は、図2に示す湿潤原料供給装置および流動層乾燥装置の一実施形態を示す概略図である。
【0038】
まず、流動層乾燥装置102について説明する。流動層乾燥装置102は、内部に褐炭132が投入される乾燥容器120と、褐炭132が投入される投入部(投入口)122と、褐炭132を乾燥させた乾燥褐炭138を排出する排出部(排出口)123と、乾燥容器120の内部に設けられたガス分散板124と、流動化ガス136を乾燥容器120に供給する流動化ガス供給部(流動化ガス供給口)126と、発生蒸気134を排出する蒸気排出部(ガス排出口)127、を備える。また、流動層乾燥装置102は、上述したように、内部に設けられた加熱手段としての伝熱部材128と、伝熱部材128に過熱蒸気(高温ガス)Aを供給可能な過熱蒸気供給装置(高温ガス供給手段)129と、を備える(図2参照)。
【0039】
乾燥容器120は、ガス分散板124によって内部の空間が、鉛直方向上方側(図示上側)に位置する乾燥室150と鉛直方向下方側(図示下側)に位置するチャンバ室152とに区分けされている。なお、乾燥室150は、褐炭132が供給される領域であり、チャンバ室152は、流動化ガス136が供給される領域である。乾燥容器120は、チャンバ室152に供給された流動化ガス136がガス分散板124を通過して乾燥室150に供給される。乾燥室150は、流動化ガス136により褐炭132が移動されることで、流動層155が形成される。
【0040】
投入部122は、乾燥容器120の乾燥室150の一方の端部に連結されている。投入部122は、湿潤原料供給装置101と連結しており、湿潤原料供給装置101から供給された褐炭132を一方の端部の乾燥室150に投入する。排出部123は、乾燥容器120の乾燥室150の他方の端部の鉛直方向下側、つまり、ガス分散板124の近傍に連結されている。排出部123は、冷却器110と連結した配管と連結しており、当該配管に乾燥室150内の乾燥褐炭138を排出する。
【0041】
また、ガス分散板124は、多数の貫通孔124aが形成されている。ガス分散板124は、乾燥室150内の褐炭132がチャンバ室152内に落下することを抑制しつつ、乾燥室150とチャンバ室152との間でガスが流通可能な状態とする。流動化ガス供給部126は、チャンバ室152に連結しており、分岐ラインLから供給される流動化ガス136をチャンバ室152内に供給する。蒸気排出部127は、乾燥容器120の上面に連結されている。蒸気排出部127は、乾燥容器120内の発生蒸気134を発生蒸気ラインLに案内する。
【0042】
ここで、流動層乾燥装置102は、乾燥室150の内部に配置された複数、本実施形態では4枚の分割板154を備える。分割板154は、乾燥室150の幅方向及び鉛直方向に延在する板であり、投入部122と排出部123とを結んだ線に直交する面が正面(面積が最も大きい面)となる板である。また、本実施形態では分割板の枚数を4枚としたがこれに限るものではなく最も相応しい枚数にて構成される。分割板154は、図3に示すように、鉛直方向下側の端部がガス分散板124と接しており、鉛直方向上側の端部が流動層155の上端よりも下側の位置となる。また、分割板154は、幅方向においては、乾燥室150全域に配置されている。また、複数の分割板154は、投入部122から排出部123に向かう方向に所定の間隔で配置されている。これにより、流動層乾燥装置102は、複数の分割板154によって乾燥容器120の乾燥室150内が投入部122から排出部123に向かう方向において複数の乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eに分割される。なお、乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eは、投入部122から排出部123に向かって、乾燥分室150a、乾燥分室150b、乾燥分室150c、乾燥分室150d、乾燥分室150eの順で配置されている。また、チャンバ室152も、乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eに対応して5つのチャンバ分室152a、152b、152c、152d、152eに分割されている。
【0043】
また、流動化ガス供給部126は、チャンバ分室152a、152b、152c、152d、152eに対応して5つ設けられており、それぞれのチャンバ分室152a、152b、152c、152d、152eに流動化ガス136を供給する。伝熱部材128は、乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eのそれぞれの流動層155に幅方向に延在する向きで配置されている。
【0044】
流動層乾燥装置102は、湿潤原料供給装置101により褐炭132が乾燥容器120の乾燥分室150a内に投入され、チャンバ分室152aに流動化蒸気136が導入される。チャンバ分室152a内に導入された流動化蒸気136は、ガス分散板124の貫通孔124aを通過して乾燥分室150a内に流入する。乾燥分室150a内に流入した流動化蒸気136は、乾燥分室150a内に投入された褐炭132を吹き上げ、流動させる。これにより、流動層乾燥装置102は、乾燥分室150a内に、褐炭132が流動する流動層155が形成される。乾燥分室150aで流動化された褐炭132の一部は、分割板154よりも鉛直方向上側に移動し、矢印156aに示す方向に移動し、乾燥分室150bに移動する。
【0045】
流動層乾燥装置102は、チャンバ分室152bにも流動化蒸気136が導入される。チャンバ分室152b内に導入された流動化蒸気136は、ガス分散板124の貫通孔124aを通過して乾燥分室150b内に流入する。乾燥分室150b内に流入した流動化蒸気136は、乾燥分室150b内に投入された褐炭132を吹き上げ、流動させる。これにより、流動層乾燥装置102は、乾燥分室150b内に、褐炭132が流動する流動層155が形成される。乾燥分室150bで流動化された褐炭132の一部は、分割板154よりも鉛直方向上側に移動し、矢印156bに示す方向に移動し、乾燥分室150cに移動する。流動層乾燥装置102は、乾燥分室150c、150d、150eでも同様に移動した褐炭132が供給される流動化ガス136とともに流動層155を構成する。また、乾燥分室150cの流動層155の褐炭132の一部は、分割板154よりも鉛直方向上側に移動し、矢印156cに示す方向に移動し、乾燥分室150dに移動する。乾燥分室150dの流動層155の褐炭132の一部は、分割板154よりも鉛直方向上側に移動し、矢印156dに示す方向に移動し、乾燥分室150eに移動する。流動層乾燥装置102は、乾燥分室150eで流動層155となっている褐炭132のうち、排出部123に到達した褐炭132を乾燥褐炭138として排出部123から排出する。
【0046】
このように、流動層乾燥装置102は、乾燥室150の鉛直方向下方側の部分である乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eを含む部分に流動層155が形成される。褐炭132は、投入部122で投入された後、流動層155を構成して移動され、乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eをこの順で順番に通過し、排出部123から排出される。なお、褐炭132は、乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eの通過時に徐々に乾燥され、排出部123からの排出時には乾燥褐炭138となっている。
【0047】
流動層乾燥装置102は、乾燥室150の流動層155よりも鉛直方向上方側の部分にフリーボード部Fが形成される。このフリーボード部Fは、流動層155の褐炭132が乾燥されることにより発生蒸気134が発生する領域となる。なお、流動化蒸気136は、一定温度以上の蒸気であり、褐炭132を流動させつつ加熱することで、褐炭132を乾燥させる。
【0048】
次に、伝熱部材128は、上述したように、乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eの流動層155が形成される領域に配置されている。伝熱部材128は、流動層155の褐炭132を加熱し、褐炭132中の水分を除去する加熱手段であり、過熱蒸気Aが流通可能な配管である。伝熱部材128は、内部に供給されて流通される高温の過熱蒸気Aの潜熱を利用して流動層155を構成する褐炭132を乾燥させる。伝熱部材128は、乾燥に利用された過熱蒸気Aを例えば凝縮水Bとして流動層乾燥装置102の外部に排出する。
【0049】
すなわち、伝熱部材128は、流動層155と接している領域で過熱蒸気Aを凝縮させて液体(水分)にすることで、この際に放熱される凝縮潜熱で褐炭132の乾燥の加熱に有効利用する。なお、伝熱部材128に流通させる高温の過熱蒸気Aとしては、相変化を伴う熱媒であればいずれでもよく、例えばフロンやペンタンやアンモニア等を例示することができる。また、伝熱部材128は、熱媒体を流通させる配管を用いる構成に限定されない。伝熱部材128は、褐炭132に熱を供給し乾燥させることができればよく、例えば電気ヒータを設置してもよい。なお、伝熱部材128によって褐炭132が乾燥される際に発生する発生蒸気134は、鉛直方向上方側(発生蒸気134の流れ方向の下流側)のフリーボード部Fへ流れる。過熱蒸気供給装置129は、加熱ラインLを介して、伝熱部材128に過熱蒸気Aを供給している。
【0050】
流動層乾燥装置102において、流動層155の内部に設けられた伝熱部材128は、流動層155の褐炭132を加熱することにより、褐炭132を乾燥させる。褐炭132を乾燥させることにより発生した発生蒸気134は、流動層155からフリーボード部Fに流れ込む。そして、フリーボード部Fに流れ込んだ発生蒸気134は、蒸気排出部127から流動層乾燥装置102の外部に排出される。蒸気排出部127から排出された発生蒸気134は、発生蒸気ラインLに供給される。
【0051】
流動層乾燥装置102は、乾燥室150を複数の乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eに分割し、投入部122から排出部123まで移動する間に複数の乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eを順番に通過する構成とすることで、褐炭132をより均一に乾燥させることができる。つまり、流動層155の流れによって短時間で排出部123まで到達する褐炭132や、長時間経過しても排出部123に到達しない褐炭132が生じることを抑制できる。
【0052】
また、本実施形態のように、流動層155の上側の一部の褐炭132が次の乾燥分室に移動する構成とすることで、1つの乾燥分室の中で含有水分が比較的少なく上側に移動している褐炭132を次の乾燥分室に移動させることができる。つまり、当該乾燥分室の中で含有水分が比較的多く、乾燥されていない褐炭132は、重いため、乾燥分室の下側に移動され、当該乾燥分室の中で乾燥させることができる。これにより、褐炭132は、それぞれの乾燥分室150a、150b、150c、150d、150eで一定程度まで乾燥された後に次の乾燥分室に移動するため、排出部123に到達した状態では、高い確率で一定程度まで乾燥された状態とすることができる。
【0053】
なお、本実施形態の流動層乾燥装置102は、褐炭132を好適に乾燥できるため、乾燥室150を分割板154で複数の乾燥分室に分割した形状としたがこれに限定されない。流動層乾燥装置は、乾燥室の形状によらず、投入部122から褐炭132が供給される領域に回転部を配置することで、褐炭132の滞留、沈降を抑制することができ、乾燥室内での褐炭132の閉塞が生じることを抑制することができ、褐炭132を均一に乾燥させることができる。
【0054】
次に、図3に加え、図4から図7を用いて、湿潤原料供給装置101について説明する。ここで、図4は、図3に示す湿潤原料供給装置の回転機構の周辺部の概略構成を示す模式図であり、図5は、回転機構の概略構成を示す斜視図であり、図6は、図4のA−A線矢視図であり、図7は、図4のB−B線矢視図である。湿潤原料供給装置101は、図3に示すように、褐炭132を貯留するバンカ(貯留部)101aと、バンカ101aに貯留された褐炭132を流動層乾燥装置102に投入する投入装置101bと、を有する。
【0055】
バンカ101aは、褐炭132を貯留しており、貯留している褐炭132を鉛直方向下側に配置された投入装置101bに供給する。なお、バンカ101aは、褐炭132を投下装置101bに供給する機構としては、種々の機構を用いることができる。例えば、バンカ101aは、投入装置101bとの連結部に開口を形成し、スクレーパ等で、貯留している褐炭132を開口に移動させることで、供給する機構を用いることができる。また、バンカ101aを振動させて、褐炭132を開口に移動させるようにしてもよい。
【0056】
投入装置101bは、バンカ101aから供給された褐炭132を乾燥容器120に投入する機構であり、配管160、162と、ロータリーバルブ161a、161b、163a、163bと、回転体ユニット170と、回転軸172と、駆動部174と、を有する。なお、投入装置101bは、バンカ101aの下端に配管160および配管162の上端が連結し、配管160および配管162の下端に回転体ユニット170の上端が対向(対面)して配置されている。また、投入装置101bは、回転体ユニット170の下端が乾燥容器120の上面と連結している。
【0057】
配管160、162は、上端がバンカ101aに連結した中空の管である。配管160と配管162は、中空の管の軸が鉛直方向と平行となる向きで配置されている。また、配管160と配管162とは、一定間隔離間して配置されている。また、配管160と配管162とは、後述する回転軸172を中心とした同心円上に配置されている。2つの配管160、162は、同心円上において、180度離れた位置に形成されている。配管160と配管162は、バンカ101aから供給された褐炭132を自由落下させ、鉛直方向下側に案内する。
【0058】
ロータリーバルブ161a、161bは、それぞれ配管160に配置され、配管160内を落下する褐炭132の流通量を制御する。ロータリーバルブ161bは、ロータリーバルブ161aよりも鉛直方向下側に配置されている。ロータリーバルブ161aは、バンカ101aから配管160に供給された褐炭132をロータリーバルブ161aとロータリーバルブ161bとの間に向けて落下させる(供給する)量を調整する。ロータリーバルブ161bは、ロータリーバルブ161aとロータリーバルブ161bとの間に供給された褐炭132を回転体ユニット170に向けて落下させる量を調整する。このように、投入装置101bは、2つのロータリーバルブ161a、161bを用いて、バンカ101aから落下された褐炭132を一度ロータリーバルブ161aとロータリーバルブ161bとの間で保持し、その後、回転体ユニット170に落下させる。これにより、ロータリーバルブ161bは、ロータリーバルブ161aとロータリーバルブ161bとの間に詰まっていない状態で貯留された褐炭132から一定量の褐炭132を落下させることができ、回転体ユニット170に向けて落下させる褐炭132の量をより高い精度で供給することができる。
【0059】
ロータリーバルブ163a、163bは、それぞれ配管162に配置され、配管162内を落下する褐炭132の流通量を制御する。ロータリーバルブ163bは、ロータリーバルブ163aよりも鉛直方向下側に配置されている。ロータリーバルブ163aは、バンカ101aから配管162に供給された褐炭132をロータリーバルブ163aとロータリーバルブ163bとの間に向けて落下させる(供給する)量を調整する。ロータリーバルブ163bは、ロータリーバルブ163aとロータリーバルブ163bとの間に供給された褐炭132を回転体ユニット170に向けて落下させる量を調整する。これにより、投入装置101bは、ロータリーバルブ163a、163bで配管162から回転体ユニット170に向けて落下させる褐炭132の量をより高い精度で供給することができる。
【0060】
回転体ユニット170は、図4に示すように、回転体182と、上面フィルタ184と、投入口フィルタ186と、を有する。回転体ユニット170は、鉛直方向上側から下側に向かって、上面フィルタ184、回転体182、投入口フィルタ186の順で配置されている。回転体ユニット170は、回転体182が鉛直方向を軸として回転可能な状態で支持されている。上面フィルタ184は、配管160、162と連結されている。また、投入口フィルタ186は、乾燥容器120に連結されている。回転体ユニット170は、回転体182が回転可能な状態で支持され、上面フィルタ184と投入口フィルタ186とが固定されており、回転体182が上面フィルタ184および投入口フィルタ186と相対的に回転する。
【0061】
回転体182は、図5に示すように、鉛直方向が軸方向となる円柱形状であり、軸を中心とした同心円上に90度間隔に4つの貫通孔182a、182b、182c、182dが形成されている。つまり、貫通孔182a、182b、182c、182dは、回転軸172の中心から同一距離に形成されている。貫通孔182a、182b、182c、182dは、鉛直方向が軸となる円柱形状の穴であり、回転体182を貫通している。つまり、貫通孔182a、182b、182c、182dは、上側の端部が上面フィルタ184と対面しており、下側の端部が投入口フィルタ186と対面している。
【0062】
上面フィルタ184は、図4から図6に示すように、配管160と配管162とに固定された円盤の部材である。上面フィルタ184は、2つの開口187a、187bが形成されている。開口187aは、配管160と繋がっており、開口187bは、配管162と繋がっている。また、上面フィルタ184は、円盤の中心に回転軸172が回転自在な状態で挿入されている。また、上面フィルタ184は、鉛直方向下側の面に2つの蓋188a、188bが配置されている。蓋188a、188bは、鉛直方向下側に一定高さ突出した部材であり、回転体182の上面と接している。2つの開口187a、187bと、2つの蓋188a、188bは、回転軸172の軸の延長線上を中心とした同心円上に形成されている。また、2つの開口187a、187bと、2つの蓋188a、188bは、同心円上において、90度離れた位置に開口と蓋とが交互に配置されている。つまり、周方向において、開口187a、蓋188a、開口187b、蓋188bがこの順で90度毎に配置されている。
【0063】
投入口フィルタ186は、図4および図7に示すように、乾燥容器120に固定された板状部材であり、上面が回転体182と接している。投入口フィルタ186は、2つの投入口189a、189bが形成されている。2つの投入口189a、189bは、回転軸172の軸の延長線上を中心とした同心円上に形成されている。また、2つの投入口189a、189bは、同心円上において、180度離れた位置に形成されている。
【0064】
なお、投入装置101bは、上述した配管160、162と、貫通孔182a、182b、182c、182dと、2つの開口187a、187bと、2つの蓋188a、188bと、2つの投入口189a、189bと、は回転軸172の軸の延長線上を中心とした同心円上に形成されている。また、蓋188aは、同心円上における位置が投入口189aと同一である(図5参照)。蓋188bは、同心円上における位置が投入口189bと同一である。また、開口187a、187bは、同心円上における位置が投入口189a、189bと90度ずれた位置となる。
【0065】
回転軸172は、図3から図5に示すように、鉛直方向に伸びた棒状の部材であり、回転体ユニット170の回転体182の中心に固定されている。駆動部174は、回転軸172を回転軸172の軸周りに回転させる。
【0066】
次に、湿潤原料供給装置101が流動層乾燥装置102に褐炭132を投入する投入動作について説明する。湿潤原料供給装置101は、まず、投入装置101bの駆動部174で回転軸172を回転させ、回転体182の貫通孔182a、182b、182c、182dのうち、同心円上で180度異なる位置に配置された貫通孔、例えば、貫通孔182aと貫通孔182cとを、それぞれ配管160、162(および開口187a、187b)と対面させる。つまり、貫通孔182aと貫通孔182cとを、それぞれ配管160、162の延長線上に配置する。また、湿潤原料供給装置101は、バンカ101aに貯留している褐炭132を投入装置101bの配管160、162に供給している。
【0067】
この状態で投入装置101bは、ロータリーバルブ161a、161b、163a、163bを回転させ、配管160,162に供給された褐炭132を回転体182に向けて落下させる。この時、回転体182は、貫通孔182aと貫通孔182cとが配管160、162とそれぞれ繋がっているため、回転体182に向けて落下された褐炭132は、貫通孔182aと貫通孔182cとに落下する。また貫通孔182aと貫通孔182cの下側の端部は、回転体182と接している投入口フィルタ186で塞がれている。このため、貫通孔182aと貫通孔182cとに落下した褐炭132は、貫通孔182aと貫通孔182c内に保持される。投入装置101bは、ロータリーバルブ161a、161b、163a、163bを回転させ、貫通孔182a、182c内に所定の量の褐炭132を投入した後、駆動部174で回転体182を90度、例えば、図3および図5に示す矢印の方向に回転させる。これにより、投入装置101bは、回転体182を回転させることで貫通孔182aと貫通孔182cとが、投入口189aと投入口189bとにそれぞれ対面した状態となる。これにより、貫通孔182a、182cは、鉛直方向下側の端面が開放された状態となり、保持している褐炭132が投入口189a、189bから乾燥容器120に投入される。また、この時、貫通孔182a、182cは、鉛直方向上側の端面が蓋188a、188bによってそれぞれ塞がっている。これにより、貫通孔182a、182cは、投入口189a、189bを介して乾燥容器120と繋がっている以外は、閉鎖された空間となる。
【0068】
投入装置101bは、回転体182の貫通孔182a、182cが投入口189a、189bと対面している位置にある場合、貫通孔182b、182dが配管160、162と対面した位置となる。投入装置101bは、この状態で、ロータリーバルブ161a、161b、163a、163bを回転させ、配管160,162に供給された褐炭132を回転体182に向けて落下させることで、貫通孔182b、182dに褐炭132を投入することができる。投入装置101bは、貫通孔182b、182dに褐炭132を所定量供給した後、回転体182を90度回転させることで、貫通孔182b、182dが保持する褐炭132を投入口189a、189bを介して乾燥容器120に投下することができる。このように、投入装置101bは、上記処理を繰り返すことで、回転体182の貫通孔182a、182cまたは貫通孔182b、182dへの褐炭132の供給動作と、供給した褐炭132の乾燥容器120への投下動作を繰り返し実行することができる。
【0069】
このように、湿潤原料供給装置101は、配管160、162と投入口189a、189bとを鉛直方向に直交する面において異なる位置に配置し、移動することで両者と連結可能な貫通孔182a、182b、182c、182dを備える回転体182を備える。湿潤原料供給装置101は、配管160、162から供給された褐炭132を貫通孔182a、182b、182c、182dで保持した状態で、投入口189a、189bまで移動させることで、褐炭132を投入することができる。これにより、湿潤原料供給装置101は、バンカ101aに貯留された褐炭132を投入装置101bで乾燥容器120に投入することで、褐炭132を落下させて搬送することができる。湿潤原料供給装置101は、重力を利用して褐炭132を投入する構成であるため、褐炭132が通路内に付着することを抑制することができる。
【0070】
また、湿潤原料供給装置101は、パージガスを利用しなくても通路内に褐炭132が付着することを抑制できるため、乾燥容器120内に不要なガスが混入することを抑制でき、乾燥容器120内の温度低下を抑制できる。なお、湿潤原料供給装置101は、パージガスを利用しなくても通路内に褐炭132が付着することを抑制できるが、パージガスを供給することで通路内に褐炭132が付着することをより確実に抑制できる。なお、パージガスを用いる場合も使用するパージガスの量を少なくすることができるため、上記効果を得ることができる。
【0071】
また、湿潤原料供給装置101は、配管160、162のそれぞれに2つのロータリーバルブ161a、161b、163a、163bを設けることで、配管160、162の回転体182と繋がっている領域に必要以上の褐炭132が投下されることを抑制できる。これにより、褐炭132が凝集したりブリッジを形成したりすることを抑制でき、安定して褐炭132を投下することができる。
【0072】
また、湿潤原料供給装置101は、投入口189a、189bの延長線上、つまり貫通孔182a、182b、182c、182dを介して対面する位置に蓋188a、188bを配置することで、貫通孔182a、182b、182c、182dが投入口189a、189bと繋がっている場合、繋がっている貫通孔182a、182b、182c、182dの鉛直方向上側の面を蓋188a、188bで塞ぐことができる。これにより、乾燥容器120内の空気が湿潤原料供給装置101から外部に漏れることを抑制でき、乾燥容器120内の熱が漏れることを抑制できる。このため、流動層乾燥設備100で効率よく熱を利用することができる。
【0073】
なお、本実施形態の湿潤原料供給装置101は、2本の配管160、162と、2つの投入口189a、189bを設け、回転体182に4つの貫通孔182a、182b、182c、182dを形成した構成としたが、配管、投入口、貫通孔の数は、特に限定されない。なお、湿潤原料供給装置101は、本実施形態のように配管、投入口、貫通孔の数を複数とすることが好ましく、配管と投入口とは貫通孔の移動経路に交互に配置した構成とすることがより好ましい。これにより、褐炭132を効率よく乾燥容器120に供給することができる。
【0074】
また、湿潤原料供給装置101は、本実施形態のように、回転体182の回転軸を貫通孔182a、182b、182c、182d等が配置された同一の同心円上の中心を回転軸とすることが好ましい。これにより、湿潤原料供給装置101は、回転体182を効率よく移動させることができ、褐炭132を効率よく乾燥容器120に供給することができる。
【0075】
次に、図8および図9を用いて湿潤原料供給装置の投入装置の他の実施形態を説明する。図8は、投入装置の他の実施形態の概略構成を示す斜視図であり、図9は、押し出し機構の概略構成を示す模式図である。なお、図8は、投入装置201のうち、回転体の周辺部のみを示す図である。なお、図8および図9に示す投入装置201は、蓋188a、188bに換えて押し出し機構210、212を設けたことを除いて他の構成は、投入装置101bと同様である。そこで、以下では、投入装置101bと同一の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略し、投入装置201に特有の点を重点的に説明する。
【0076】
投入装置201は、投入装置101bの蓋188a、188bが配置されていた位置、つまり、回転体182の上面に対面する面の同心円上において、配管160、162のそれぞれと90度離れた位置に押し出し機構210のピストン220、押し出し機構212のピストン222が配置されている。つまり、周方向において、配管160、ピストン220、配管162、ピストン222がこの順で90度毎に配置されている。
【0077】
次に、押し出し機構210、212について説明する。なお、押し出し機構210と押し出し機構212とは、配置位置が異なるのみで構成は同一であるので、以下代表して押し出し機構210について説明する。押し出し機構210は、図9に示すように、ピストン220と、シャフト230と、駆動部232と、を有する。ピストン220は、対向する位置にある貫通孔182a、182b、182c、182dに挿入可能な円柱部材である。ピストン220は、貫通孔182a、182b、182c、182dに挿入されると、貫通孔182a、182b、182c、182dの内壁と接触する。つまり、ピストン220は、貫通孔182a、182b、182c、182dの内部を摺動する。シャフト230は、ピストン220の鉛直方向上側の端面に連結した棒状の部材であり、鉛直方向に延びて配置されている。駆動部232は、シャフト230を鉛直方向に移動させる駆動機構である。駆動部232は、モータ等の駆動源と、ラックアンドピニオン等の対象物質を直線方向に移動させる伝達要素と、で構成される。
【0078】
押し出し機構210は、駆動部232によりシャフト230を上下方向(鉛直方向)に移動させることで、ピストン220を上下方向に移動させる。押し出し機構210は、投入口189a、189bと対面した貫通孔182a、182b、182c、182dにピストン220を挿入する。
【0079】
これにより、投入装置201は、押し出し機構210、212を設け、貫通孔182a、182b、182c、182dにピストン220、222を挿入することで、貫通孔182a、182b、182c、182dの内部に保持された褐炭132を確実に貫通孔182a、182b、182c、182d内から排出することができ、褐炭132を乾燥容器120に投入することができる。また、ピストン220、222で貫通孔182a、182b、182c、182dの内壁を摺動させることで、貫通孔182a、182b、182c、182dの内壁に褐炭132が付着している場合も、付着した褐炭132を押し出すことができる。これにより、貫通孔182a、182b、182c、182dの内壁に褐炭132が付着し残ることをより確実に抑制することができる。また、ピストン220、222で投入口189a、189bと連通している貫通孔182a、182b、182c、182dの上面を塞ぐことで、蓋188a、188bと同様に乾燥容器120内部の空気が投入装置201から外部に漏れることを抑制できる。
【0080】
なお、投入装置201では、押し出し機構210、212としてピストンを上下動させる機構を用いたが、これに限定されない。押し出し機構としては、貫通孔182a、182b、182c、182dから褐炭132を強制的に排出する種々の機構を用いることができる。
【符号の説明】
【0081】
10 石炭ガス化複合発電システム
100 流動層乾燥設備
101 湿潤原料供給装置
101a バンカ(貯留部)
101b、201 投入装置
102 流動層乾燥装置
105 集塵装置
110 冷却器
111 熱回収システム
120 乾燥容器
122 投入部
123 排出部
124 ガス分散板
126 流動化ガス供給部
127 蒸気排出部
128 伝熱部材
129 過熱蒸気供給装置
132 褐炭
134 発生蒸気
136 流動化蒸気
138 乾燥褐炭
140 製品炭
142 排水
144 固形成分
150 乾燥室
150a、150b、150c、150d、150e 乾燥分室
152 チャンバ室
152a、152b、152c、152d、152e チャンバ分室
154 分割板
155 流動層
156a、156b、156c、156d 矢印
160、162 配管
161a、161b、163a、163b ロータリーバルブ
170 回転体ユニット
172 回転軸
174 駆動部
182 回転体
182a、182b、182c、182d 貫通孔
184 上面フィルタ
186 投入口フィルタ
187a、187b 開口
188a、188b 蓋
189a、189b 投入口
210、212 押し出し機構
220、222 ピストン
230 シャフト
232 駆動部
A 過熱蒸気
B 凝縮水
F フリーボード部
発生蒸気ライン
ライン
分離ライン
製品ライン
加熱ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動層乾燥装置の乾燥容器に乾燥対象の湿潤原料を供給する湿潤原料供給装置であって、
前記湿潤原料を貯留する貯留部と、
前記貯留部の鉛直方向下側に配置され、前記貯留部から供給される前記湿潤原料を鉛直方向下側に案内する配管と、
前記配管の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、鉛直方向に貫通している貫通孔を備える回転体と、
鉛直方向を軸として前記回転体を回転させる駆動部と、
前記回転体の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、前記配管の延長線上以外の領域かつ前記駆動部が前記回転体を回転させることで前記貫通孔が移動可能な領域に前記流動層乾燥装置の前記乾燥容器と連通した投入口が形成された投入口フィルタと、を有することを特徴とする湿潤原料供給装置。
【請求項2】
前記配管に配置され、前記貯留部から前記配管内に落下する前記湿潤原料を保持し、前記湿潤原料を保持した状態で回転することで、保持した前記湿潤原料を一定量落下させるロータリーバルブをさらに有することを特徴とする請求項1に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項3】
前記回転体の鉛直方向上側の端面に対向して配置され、前記投入口と対向する位置に、前記回転体を回転させることで移動した前記貫通孔の鉛直方向上側の端面を封止する蓋をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項4】
前記回転体の鉛直方向上側の端面に対向して配置され、前記回転体を回転させることで前記投入口と対向する位置に移動した前記貫通孔にピストンを挿入する押し出し機構をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項5】
前記駆動部は、前記回転体の中心を前記軸として回転させ、
前記配管と前記投入口とは、前記軸の同心円上に配置されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項6】
前記回転体は、前記貫通孔が前記軸の同心円上に複数配置されていることを特徴とする請求項5に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項7】
前記配管を複数有し、
投入口フィルタは、前記投入口が複数形成され、
前記配管と前記投入口とは、前記軸の同心円上に等間隔で交互に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の湿潤原料供給装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の湿潤原料供給装置と、
前記湿潤原料供給装置に供給された前記湿潤原料を乾燥可能な流動層乾燥装置と、を備えることを特徴とする流動層乾燥設備。
【請求項9】
湿潤原料を貯留する貯留部と、前記貯留部から供給される前記湿潤原料を鉛直方向下側に案内する配管と、前記配管の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、鉛直方向に貫通している貫通孔を備える回転体と、鉛直方向を軸として前記回転体を回転させる駆動部と、前記回転体の鉛直方向下側の端面に対向して配置され、前記配管の延長線上以外の領域かつ前記駆動部が前記回転体を回転させることで前記貫通孔が移動可能な領域に前記流動層乾燥装置の前記乾燥容器と連通した投入口が形成された投入口フィルタと、前記配管に配置され前記貯留部から前記配管内に落下した前記湿潤原料を保持するロータリーバルブと、を有する湿潤原料供給装置で流動層乾燥装置の乾燥容器に乾燥対象の湿潤原料を供給する湿潤原料供給方法であって、
前記駆動部で回転させ、前記回転体の前記貫通孔と前記配管とを対向させる行程と、
前記ロータリーバルブを回転させ、前記ロータリーバブルで保持している前記湿潤原料を前記貫通孔に供給する工程と、
前記駆動部で回転させ、前記回転体の前記貫通孔と投入口とを対向させ、前記投入口から流動層乾燥装置の乾燥容器に乾燥対象の湿潤原料を供給する工程と、を有することを特徴とする湿潤原料供給方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−215317(P2012−215317A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−79355(P2011−79355)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】