説明

溶剤可溶性ポリイミド樹脂組成物及び機械強度向上剤。

【課題】 機械強度の向上された溶剤可溶性ポリイミド樹脂組成物及び、強度向上剤を提供する。
【解決手段】 溶剤可溶性ポリイミド及びπ共役系ポリマーを含有することを特徴とするポリイミド樹脂組成物。特に、π共役系ポリマーが、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェン及びポリアセチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種であるポリイミド樹脂組成物が機械強度の向上効果に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤可溶性ポリイミド樹脂組成物に関し、より詳しくは、耐熱性、溶剤溶解性、成形加工性に優れ、且つ、機械強度の改善されたポリイミド樹脂組成物及び、溶剤可溶性ポリイミド樹脂の機械強度を向上させる為の強度向上剤に関する。
【0002】
電気・電子材料分野、光学材料分野、塗料分野等において使用されるポリイミド系ワニスは、一般的に、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸タイプと、溶剤可溶性ポリイミドタイプとに大別することができる。前者は、ポリアミド酸ワニスを、被コーティング材料の表面に塗布するなどした後、加熱処理することにより、脱溶剤とイミド化反応を同時に行いポリイミド樹脂の成形体を得ている。そのため、加熱処理は一般的に300℃以上の高温が必要である。一方後者は、分子骨格に屈曲性の分子鎖を導入したり、分子内のイミド環の距離を増大させる基を導入したりすることにより、溶剤可溶性としている。イミド化反応は完結しているため、ワニスから脱溶剤するだけで成形体を得られるため、加熱処理の温度はポリアミド酸タイプに比較して低温で成形できる利点がある。さらに、保存時のワニスの粘度変化が少ないため、成型加工性の点で非常に優れている。
【0003】
しかしながら、ポリイミドの溶剤可溶性を高めるのと引き替えに、耐熱性や機械強度はやや低下し、特に機械強度の低下は、溶剤可溶性ポリイミドタイプの使用範囲を拡大する上での大きな障害となっていた。これらは何れも分子骨格に起因するため、両立させることが難しく、有効な方法は知られていない。
【0004】
例えば特許文献1では、ポリイミド樹脂の機械強度を向上させる方法として、ビスマレイミド系樹脂に対して、ポリエーテルイミドを含有させてなるポリイミドフィルムが提案されている。ここで開示されているポリイミド樹脂は、マレイミドとジアミンとの付加反応によって得られるポリイミド樹脂であり、縮合型の溶剤可溶性ポリイミド樹脂ではない。そのためか、溶剤として塩素系溶剤が必要な上、機械強度の値も、とても満足できるものではなかった。
【0005】
また、特許文献2には、ポリアニリン・ポリアミド酸を加熱することによって得られるポリアニリン・ポリイミド複合体成形体が機械強度に優れることが開示されている。しかしながら、特許文献2の段落番号[0015]に記載されているとおり、この複合成形体の機械強度は、対応するポリイミド樹脂と殆どかわらず、ポリイミド樹脂の機械強度を向上させるものではない。
【0006】
【特許文献1】特開平7−316427号公報
【特許文献2】特開平7−90179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明はポリイミド樹脂組成物に関し、さらに詳しくは溶剤可溶性ポリイミドとπ共役系ポリマーとを含有する、改善された機械強度を有する溶剤可溶性ポリイミド樹脂組成物を提供すること、及び、溶剤可溶性ポリイミドの機械強度を向上させる強度向上剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明らは、上記課題を達成すべく鋭意検討した結果、樹脂組成物の開発過程で下記の知見を得た。
(1)溶剤可溶性ポリイミドとπ共役系ポリマーとは、相溶性が高く相溶化剤を用いることなく均一な樹脂組成物が得られること。
(2)特に、溶剤可溶性ポリイミドがスルホン基を含有する場合に、その効果が顕著であること。
(3)溶剤可溶性ポリイミドとπ共役系ポリマーとを含有するポリイミド樹脂組成物は、機械強度(引張強度、引張弾性率)に優れること。
(4)特に、π共役系ポリマーがポリアニリン、特に還元型ポリアニリンの場合に、機械強度の向上が著しいこと。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づいて為されたものであり、下記の発明を提供するものである。
【0010】
項1 溶剤可溶性ポリイミド及びπ共役系ポリマーを含有することを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
【0011】
項2 π共役系ポリマーが、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェン及びポリアセチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1に記載のポリイミド樹脂組成物。
【0012】
項3 π共役系ポリマーが、ポリアニリンである上記項2に記載のポリイミド樹脂組成物。
【0013】
項4 ポリアニリンが、一般式(1)
【化1】

[式中、h及びiは、それぞれキノンジイミン型(酸化型)ポリアニリン及びフェニレンジアミン型(還元型)ポリアニリンの繰り返し単位中のモル分率を表し、0<h≦0.3、0.7≦i<1、且つh+i=1である。]
で表される、還元型ポリアニリンである上記項3に記載のポリイミド樹脂組成物。
【0014】
項5 溶剤可溶性ポリイミドが、一般式(2)
【化2】

[式中、Xは、直接結合、−O−、−CO−、−SO−、又は基(a)
【化3】

{式中、Zは、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基を表す。}
を表す。Yは、2価の有機基を表す。jは、1以上の整数を表す。]
で表される構造単位を有する溶剤可溶性ポリイミドである上記項1〜4のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【0015】
項6 溶剤可溶性ポリイミドが、一般式(3)
【化4】

[式中、Yは、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CH−、−C(CH−、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、又は基(b)
【化5】

{式中、Yは、−O−、−SO−又は−C(CH−を表す。}
を表す。kは、1以上の整数を表す。]
で表される構造単位を有する溶剤可溶性ポリイミドである上記項5に記載のポリイミド樹脂組成物。
【0016】
項7 溶剤可溶性ポリイミドが、酸価0.1〜30mgKOH/gである上記項1〜6のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【0017】
項8 溶剤可溶性ポリイミド100重量部に対して、π共役系ポリマー1〜50重量部含有することを特徴とする上記項1〜7のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【0018】
項9 ポリイミド樹脂組成物が、引張強度130MPa以上、引張弾性率が300MPa以上である上記項1〜8のいずれかに記載のポリイミド樹樹脂組成物。
【0019】
項10 樹脂組成物が、体積固有抵抗値1013Ω・cm以上である上記項1〜9のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【0020】
項11 上記項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【0021】
項12 溶剤可溶性ポリイミド樹脂の強度向上剤であって、該強度向上剤がπ共役系ポリマーであることを特徴とする強度向上剤。
【0022】
項13 強度向上剤が、一般式(1)
【化6】

[式中、h及びiは、それぞれキノンジイミン型(酸化型)ポリアニリン及びフェニレンジアミン型(還元型)ポリアニリンの繰り返し単位中のモル分率を表し、0<h≦0.3、0.7≦i<1、且つh+i=1である。]
で表される、還元型ポリアニリンである上記項12に記載の強度向上剤。
【0023】
項15 溶剤可溶性ポリイミド樹脂に対して、上記項11〜14の機械強度向上剤を配合することを特徴とする溶剤可溶性ポリイミド樹脂の機械強度を向上させる方法。
【0024】
項16 溶剤可溶性ポリイミド樹脂及び上記項11〜14の機械強度向上剤を含有することを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、次のような優れた効果が奏される。
(1)溶剤可溶性ポリイミドとπ共役系ポリマーとを相溶化剤とを用いることなく相溶させることができる。
(2)溶剤可溶性ポリイミド樹脂の機械強度(引張強度、引張弾性率)を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0027】
溶剤可溶性ポリイミド
本発明に係る溶剤可溶性ポリイミド(以下、「本イミド」という)は、有機溶剤に可溶な限り特に制限は無く、従来公知のものが広く使用できる。該ポリイミド樹脂は、通常、テトラカルボン酸二無水物とジアミン成分とを、好ましくは不活性ガス雰囲気下で、イミド化することにより調製される。
【0028】
テトラカルボン酸二無水物成分
本イミドに使用される酸成分としては、脂肪族又は脂環族テトラカルボン酸二無水物、芳香族テトラカルボン酸二無水物又はこれらの酸が例示され、脂肪族又は脂環族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
【0029】
芳香環を有する脂肪族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン等が挙げられる。
【0030】
芳香族テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、ジ(3,4−ジカルボキシフェニル)ジメチルシラン二無水物、ジ(3,4−ジカルボキシフェニル)ジフェニルシラン二無水物、α,ω−アルキレン(炭素数2〜10)ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,3−フェニレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−フェニレンビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]エーテル二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]スルフィド二無水物、ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]スルホン二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等が挙げられる。
【0031】
上記、テトラカルボン酸二無水物のなかでも、溶剤可溶性ポリイミドに優れた耐熱性とπ共役系ポリマーとの相溶性を与える点で、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、α,ω−アルキレン(炭素数2〜10)ビス(アンヒドロトリメリテート)、1−4−フェニレンビス(アンヒドロトリメリテート)が好ましく、特に、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物が好ましい。
【0032】
また、テトラカルボン酸二無水物は、単独で又は2種以上を混合して用いることがてきる。2種以上を混合して用いる場合には、π共役系ポリマーとの相溶性に優れる点から、その1種として3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を用いることが好ましい。他の1種以上には特に制限がないが、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、α,ω−アルキレン(炭素数2〜10)ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−フェニレンビス(アンヒドロトリメリテート)が好ましく、特にα,ω−アルキレン(炭素数2〜10)ビス(アンヒドロトリメリテート)が好ましい。2種以上を用いる場合、各テトラカルボン酸二無水物それぞれの比率について、特に制限はないが、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物と、他のテトラカルボン酸二無水物とを組み合わせて用いる場合、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物を全テトラカルボン酸二無水物中の40〜95モル%の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは50〜95モル%、特に好ましくは、60〜90モル%の範囲が推奨される。
【0033】
ジアミン成分
本発明に係る溶剤可溶性ポリイミドに用いるジアミンとしては、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン等が例示される。
【0034】
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、
1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン等の炭素数2〜12のアルキレンジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクヘキサン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2,2,1]ヘプタン、等の炭素数8〜10の脂環基を含有する脂肪族ジアミン;m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン等の炭素数8〜10の芳香環を含有する脂肪族ジアミンが例示される。
【0035】
脂環族ジアミンとしては、炭素数4〜18、好ましくは炭素数6〜13の脂環族ジアミンが例示され、具体的には、1,2−ジアミノシクロブタン、1,3−ジアミノシクロブタン、1,2−ジアミノシクロペンタン、1,3−ジアミノシクロペンタン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジアミノシクロヘプタン、1,3−ジアミノシクロヘプタン、1,4−ジアミノシクロヘプタン、1,2−ジアミノシクロオクタン、1,3−ジアミノシクロオクタン、1,4−ジアミノシクロオクタン、1,5−ジアミノシクロオクタン、1,2−ジアミノシクロノナン、1,3−ジアミノシクロノナン、1,4−ジアミノシクロノナン、1,5−ジアミノシクロノナン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−2−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−2,3−ジメチルシクロヘキシル)メタン、1,1−ビス(4−アミノシクロヘキシル)エタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン等が例示される。
【0036】
芳香族ジアミンとしては、下記一般式(4)で表される炭素数6〜30、好ましくは炭素数12〜24の芳香族ジアミンが例示される。
【化7】

[式中Yは、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CH−、−C(CH−、−C(CF)−、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基又は基(b)を表す。]
【化8】

[式中、Yは、−O−、−SO−又は−C(CH−を表す。]
【0037】
芳香族ジアミンの具体例としては、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルケトン、3,4'−ジアミノジフェニルケトン、3,3'−ジアミノジフェニルケトン4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
【0038】
上記ジアミンの中でも、本イミドに優れた耐熱性を与える点から、一般式(4)で表される芳香族ジアミンが好ましく、特に一般式(5)
【化9】

[式中、Xは、−SO−又は−C(CH−を表す。末端アミノ基の置換位置は、エーテル基に対して、m位又はp位である。]
で表されるジアミンが好ましい。係る好ましいジアミンの具体例としては、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4−(3−アミノフェノキシ)フェニル)スルホン等が挙げられる。
【0039】
これらのジアミン成分は、単独で又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらジアミン成分は、従来公知であるか又は既知方法により製造可能であり、また、市販品も入手可能である。
【0040】
好ましいポリイミド樹脂
本ポリイミド樹脂の中でも、π共役系ポリマーとの相溶性及び機械強度に優れる点から、一般式(2)
【化10】

[式中、Xは、直接結合、−O−、−CO−、−SO−、又は基(a)
【化11】

{式中、Zは、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基を表す。}
を表す。Yは、2価の有機基を表す。jは、1以上の整数を表す。]
で表される構造単位を有する溶剤可溶性ポリイミドが好ましく、特に、一般式(3)
【化12】

[式中、Yは、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CH−、−C(CH−、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、又は基(b)
【化13】

{式中、Yは、−O−、−SO−又は−C(CH−を表す。}
を表す。kは、1以上の整数を表す。]
で表される溶剤可溶性ポリイミドが推奨される。
【0041】
イミド化反応
本発明のポリイミド樹脂は、上記テトラカルボン酸二無水物成分と、ジアミン成分とをイミド化反応することによって得られるが、該イミド化反応自体は、公知の方法に従って行うことができる。例えば、有機溶媒中にてテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを重縮合反応する方法が挙げられ、その際のイミド化反応の方法としては、(1)テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶剤中で加熱して生成水を系外に留出させる方法や、(2)ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を製造後、無水酢酸等の脱水作用のある化合物を使用する方法等がある。
【0042】
上記製造方法(1)及び(2)のうちでも、特に(1)の方法が工業的に好ましい。(1)のより具体的な方法として、有機溶剤中に(A)成分及び(B)成分を溶解させた後、100〜250℃に加熱して、共沸溶剤により反応系中の精製水を留去して重縮合反応する方法により、本発明の溶剤可溶性ポリイミド樹脂を得ることができる。
【0043】
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とをイミド化反応させる際のモル比は、特に制限がないが、ポリイミド樹脂の分子量を上げ、機械強度を高める点からは、(A)テトラカルボン酸二無水物成分:(B)ジアミン成分のモル比が、0.9〜1.2:1の範囲が好ましく、特に0.95〜1.05の範囲が好ましい。また、樹脂組成物の導電性を高める点からは、(A)成分:(B)成分のモル比が、1.05〜1.20:1の範囲が好ましい。一方、導電性を低くする点からは、(A)成分:(B)成分のモル比が、1.00〜1.05:1の範囲が好ましい。
【0044】
イミド化反応に使用する有機溶剤としては、非プロトン性極性溶剤が好適に用いられ、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジグライム、トリグライム、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン等が例示され、これらは単独で又は混合系として用いることもできる。これらのうち特に、重合性、溶剤溶解性の点からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0045】
上記有機溶剤の使用量としては、テトラカルボン酸二無水物成分及びジアミン成分の総重量に対して、100〜500重量%が好ましく、特に100〜250重量%の範囲であるのが好ましい。又、反応の際に、イミド化反応により生成する水を系外へ効率よく取り出す目的で、有機溶剤の一部を共沸溶剤に代えることができる。該共沸溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロセキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等が例示される。これらの共沸溶剤を証する場合、その使用量は、全有機溶剤量中の1〜30重量%程度、好ましくは5〜20重量%の範囲が推奨される。
【0046】
反応時間としては、テトラカルボン酸二無水物の種類及びジアミンの種類、或いは本発明に係るボリイミド樹脂の分子量により異なるが、通常0.5〜24時間が好ましい。
【0047】
本イミドの分子量には特に制限がないが、溶剤可溶性、機械強度、耐熱性のバランスに優れる点で、数平均分子量としては、5,000〜200,000、好ましくは、8,000〜100,000、特に好ましくは10,000〜50,000の範囲が推奨され、重量平均分子量としては、10,000〜300,000、好ましくは15,000〜200,000、特に好ましくは、20,000〜100,000である。
【0048】
溶剤可溶性ポリイミド樹脂酸価としては、特に制限がないが、通常0.1〜100mgKOH/g、好ましくは1〜50mgKOH/gの範囲が例示される。溶剤可溶性ポリイミドの酸価が低いほど、ポリイミド樹脂組成物の体積抵抗値が高い傾向がある。従って、ポリイミド樹脂組成物に絶縁性を求める場合には、酸価の低い溶剤可溶性ポリイミドを用いることが好ましく、導電性或いは半導電性を求める場合には、酸価の高い溶剤可溶性ポリイミド樹脂が好ましい。
【0049】
π共役系ポリマー
本発明に係るπ共役系ポリマーとしては、従来公知のπ共役系ポリマーが広く使用できる。具体的には、ポリアセチレン、ポリp−フェニレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリイソチアナフテン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリエチレンジオキシチオフェン、ポリチオフェンビニレン、ポリペリナフタレン、ポリアントラセン、ポリナフタリン、ポリピレン、ポリアズレンが例示される。これらは、置換基を有していても良く、該置換基としては、ハロゲン置換体、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6の水酸基を有していてもよいアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜6のアルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基等の置換基が例示される。これらのπ共役系ポリマーは、単独で又は2種以上を混合物して用いることができる。
【0050】
係るπ共役系ポリマーを、溶剤可溶性ポリイミドに配合することにより、配合後のポリイミド樹脂組成物の引張強度、引張弾性率を向上させることができる。従って、本発明に係るπ共役系ポリマーは、溶剤可溶性ポリイミド樹脂の機械強度向上剤であり、又、溶剤可溶性ポリイミドに、π共役系ポリマーを配合することにより、溶剤可溶性ポリイミドの機械強度を向上させる方法を同時に提供するものである。
【0051】
上記π共役系ポリマーの具体例としては、一般式(6)〜(11)で表される繰り返し単位を有するπ共役系ポリマー化合物が挙げられる。
【0052】
ポリアニリンの具体例としては、一般式(6)
【化14】

[式中、R〜Rはそれぞれ互いに同一又は相異なって、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル若しくはアルキレン基、又は炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基を表す。RとR2がともに水素原子でない場合、RとRはは互いに結合してそれらが結合するベンゼン環とともにテトラリン環若しくはナフタレンを形成していてもよい。]
で表されるポリアニリンが挙げられる。
【0053】
ポリアニリンは、通常、一般式(7)
【化15】

[式中、m及びnは、それぞれキノンジイミン型(酸化型)ポリアニリン及びフェニレンジアミン型(還元型)ポリアニリンの繰り返し単位中のモル分率を表し、0<h<1、0<n≦1、且つh+i=1である。]
で表されるキノンジイミン型(酸化型)ポリアニリン及びフェニレンジアミン型(還元型)ポリアニリンの2つの構造単位を有しているが、溶剤可溶性ポリイミドとの相溶性及び機械強度の点から還元型構造を70モル%以上、即ち、一般式(7)において、0<m≦0.3、0.7≦n<1、且つ、h+i=1であるポリアニリンが好ましい。
【0054】
ポリピロールの具体例としては、一般式(8)
【化16】

[式中、R5及びR6は、互いに同一又は相異なって、水素原子、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、又は炭素数1〜10のアルキルオキシカルボニル基を表す。RとRがともに水素原子でない場合、RとRは互いに結合して、それらが結合するピロール環とともに、イソインドール環を形成していてもよい。Rは、炭素数1〜4のアルキル基を表す。*は繰り返し単位の結合位置を示す。]
で表されるポリピロールが挙げられる。
【0055】
ポリフランの具体例としては、一般式(9)
【化17】

[式中、R及びRは、互いに同一又は相異なって、水素原子、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、又は炭素数1〜10のアルキルオキシカルボニル基を表す。R及びRが水素原子でない場合、R7とR8は互いに結合して、それらが結合するフラン環とともに、イソベンゾフラン環を形成していてもよい。*は繰り返し単位の結合位置を示す。]
で表されるポリフランが挙げられる。
【0056】
ポリチオフェンの具体例としては、一般式(10)
【化18】

[式中、R及びR10は、互いに同一又は相異なって、水素原子、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、又は炭素数1〜10のアルキルオキシカルボニル基を表す。R及びR10が水素原子でない場合、RとR10は互いに結合して、それらが結合するフラン環とともに、イソベンゾチオフェン環を形成していてもよい。*は繰り返し単位の結合位置を示す。]
で表されるポリチオフェン及びその誘導体が挙げられる。
【0057】
ポリアセチレンの具体例としては、一般式(11)
【化19】

[式中、R11及びR12は、互いに同一又は相異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基若しくはアルケニル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニル基、又は炭素数1〜10のアルキルオキシカルボニル基を表す。*は繰り返し単位の結合位置を示す。]
で表されるポリアセチレン及びその誘導体が挙げられる。
【0058】
本発明において、これらのπ共役系ポリマーは脱ドープ状態でもドープ状態のいずれの状態であってもよく、ポリイミド樹脂組成物の使用目的によって適宜選択することができる。例えば、導電性が求められる用途に用いる場合には、π共役系ポリマーをドープ状態で用いることが好ましく、絶縁性を要求される用途においては、脱ドープ状態で用いることが好ましい。ドーパントとしては、特に制限がなく従来公知のドーパントが使用できる。ドーパントとしては、具体的に、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、フッ酸、ホウフッ化水素酸、リンフッ化水素酸、過塩素酸等の無機酸、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸等の有機カルボン酸、メタンスルホン酸。トルエンスルホン酸などの有機スルホン酸類、フェノール性水酸基を有する有機化合物などが例示される。
【0059】
これらのπ共役系ポリマーのなかでも、溶剤可溶性ポリイミドとの相溶性、耐熱性及び溶剤可溶性ポリイミド樹脂の機械強度向上のバランスに優れる点から、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェン及びポリアセチレンが好ましい。この中でもポリアニリン、特に、還元型ポリアニリンが好ましい。
【0060】
また、π共役系ポリマーのなかでも、溶剤可溶性ポリイミド100重量部に対して、π共役系ポリマーを1〜50重量部の範囲のいずれかの配合量を配合することにより、配合後のポリイミド樹脂組成物の引張強度を、配合前のものに対して、30%以上、好ましくは40%向上させる性質を有するものであるものが望ましい。
【0061】
ポリイミド樹脂組成物
本発明のポリイミド樹脂組成物は、溶剤可溶性ポリイミド樹脂とπ共役系ポリマーとを含有している限り、その含有比率には特に制限がなく、任意の範囲から選択することができる。通常、溶剤可溶性ポリイミド100重量部に対して、1〜100重量部、好ましくは1〜50樹脂部、特に好ましくは5〜30重量部の範囲が例示される。
【0062】
溶剤可溶性ポリイミド樹脂とπ共役系ポリマーを含有する樹脂組成物を得る方法としては特に制限がなく、任意の方法で混合することができる。例えば、ポリイミド樹脂とπ共役系ポリマーを有機溶剤中で混合する方法が例示され、さらに詳しくは、イミド化反応が終了した後のポリイミド化反応生成物と、π共役系ポリマーをそのまま又は溶剤に溶解或いは分散したものとを混合した後、有機溶剤を留去する方法が例示される。或いは、イミド化反応生成物から、単離した溶剤可溶性ポリイミドとπ共役系ポリマーとを有機溶剤中で混合した後、溶剤を留去する方法が例示される。有機溶剤としては、非プロトン性極性溶剤が好適に用いられ、具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン、ジグライム、トリグライム、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン等が例示され、これらは単独で又は混合系として用いることもできる。これらのうち特に、重合性、溶剤溶解性の点からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0063】
混合する温度、時間は、ポリイミド樹脂及びπ共役系ポリマーの種類、それらの含有比率により異なるが、通常、温度は0〜150℃、好ましくは0〜100℃、時間は0.5〜24時間が例示される。
【0064】
本発明のポリイミド樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で公知のシリカ、アルミナ、マイカなどのフィラー、炭素粉、顔料、染料、重合禁止剤、増粘剤、チキソトロピー剤、沈殿防止剤、酸化防止剤、分散剤、pH調整剤、界面活性剤、各種有機溶剤、各種樹脂などを添加することができる。
【0065】
上記、樹脂ワニスから樹脂組成物或いはその成形体を得る方法としては、特に制限がなく従来公知の方法が使用でき、例えば、基材の表面に、本願発明の樹脂ワニスを塗布した後、乾燥して溶剤を留去して、皮膜、フィルム状或いはシート状に成形する方法、本願発明の樹脂ワニスを金型内に注入した後、溶剤を留去して成形体とする方法等が例示される。
【0066】
皮膜、フィルム状或いはシート状を形成する方法として、より具体的には、本願発明の樹脂ワニスをその粘度等に応じて、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、キャスト法など公知の手法で基材表面に塗布した後、乾燥する方法が例示される。
【0067】
基材としては最終製品の用途に応じて任意のものを用いることができる。例えば非導電性の物質、例えば布等の繊維製品や合成樹脂フィルム、ガラスなどが挙げられる。
【0068】
塗布したワニスを乾燥する方法は、通常の加熱乾燥炉が利用できる。乾燥炉の雰囲気としては、不活性ガス(窒素、アルゴン)等が利用できる。乾燥温度としては、溶媒の沸点により適宜選択できるが、通常50〜300℃、より好ましくは80〜200℃、特に好ましくは100〜200℃の温度範囲が例示される。乾燥時間は、厚み、濃度、溶媒の種類により適宜選択できるが0.05〜500分程度が例示される。必要に応じて減圧条件下で乾燥を行ってもよい。
【0069】
乾燥後は、そのまま、本願発明の樹脂組成物を被膜として有する製品が得られる他、樹脂組成物を基材から分離することによりフィルムとして得ることもできる。
【0070】
また、金型を用いて成形体を得る場合、所定量の樹脂ワニスを金型内(特に回転金型が好ましい)に注入した後、フィルム等の成形条件と同様の温度、時間で乾燥することにより成形体を得ることができる。
【0071】
本願発明のポリイミド樹脂組成物及び該ポリイミド樹脂組成物を成形して得られる樹脂成形体の固有抵抗値は、π共役系ポリマーのドープ状態により異なるが、通常、25℃、60%RH、印加電圧500Vの条件下での表面固有抵抗値が10〜1014Ω、体積固有抵抗値が10〜1014Ω・cmの範囲である。特に、絶縁性を必要とする用途では、非ドープ状態のπ共役系ポリマーを用いることが好ましく、この場合、得られるポリイミド樹脂組成物は、通常、体積抵抗値で1x1013Ω・cm以上である。
【0072】
また、機械強度は、ポリイミド樹脂の種類、π共役系ポリマーの種類、及びその含有比率によって異なるが、通常、引張強度が130〜400MPa、好ましくは150〜300MPaの範囲であり、引張弾性率が3000〜6000MPa、好ましくは3500〜5000MPaの範囲である。例えば、一般式(3)で表される溶剤可溶性ポリイミド樹脂単独では、通常、引張強度が80〜110MPaの範囲であり、一般式(3)で表されるポリイミド100重量部と、π共役系ポリマーとを含有してなる本発明のポリイミド樹脂組成物は、配合前のものに対して、通常、20%以上の機械強度の向上が認められる。
【0073】
かくして得られる樹脂成形体は、耐熱性、機械強度に優れるため、電気・電子分野、光学材料、塗料などの用途に使用することができ、より具体的には、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、銅張り積層板の等のベースフィルム、接着剤、或いはカバーフィルム、カバーコート等の基板材料、固体コンデンサー、帯電防止フィルム、電磁波シールド材、接着剤、塗料、配線材料、表示材料、過電流保護素子、半導体素子で利用することができる。
【実施例】
【0074】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。尚、実施例や比較例中の化合物の略号、及び各特性の測定は以下の通りである。また、各実施例及び比較例中特に断りのない限り、部は重量部を表す。
【0075】
(a)酸価
イミド化反応終了後の反応生成物であるポリイミド樹脂溶液約2gを精秤し、テトラヒドロフラン60mlで希釈した後、JIS K0070−1966に準じて酸価を測定し、ポリイミド樹脂純分に換算した。
【0076】
(b)分子量
イミド化反応終了後の反応生成物であるポリイミド樹脂溶液約1gをジメチルホルムアミド30mlで希釈することにより分子量測定用試料を調製した。この測定用試料について、ジメチルホルムアミドを移動相としたゲルパーミェーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリエチレンオキサイド換算の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0077】
(c)機械強度:引張強度及び引張弾性率
ポリイミド樹脂及びπ共役系ポリマーの溶液を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上に塗布して、150℃、1時間の条件で、乾燥して、厚み約50μmの樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムから、10mmx80mmの試料片を切り抜いて、測定用試料を作成した。この測定試料について、JIS K7127に準じて、インストロン社製インストロン万能試験機を使用し、チャック間距離50mm、引張り速度10mm/min、試験温度25℃にて測定した。
【0078】
(d)体積固有抵抗値
ポリイミド樹脂及びπ共役系ポリマーの溶液を、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)シート上に塗布して、150℃、1時間の条件で、乾燥して、厚み約50μmの樹脂フィルムを得た。得られた樹脂フィルムから、8cmx8cmの試料片を切り抜いて、測定用試料を作成した。この測定試料について、ADVANTEST社製の振動容量型エレクトロメーターTR8401、絶縁抵抗測定用電源TR300C、絶縁抵抗計TR43Cを使用し、印加電圧500V、25℃x60%RHの条件下で体積固有抵抗値を測定した。
【0079】
合成例1(溶剤可溶性ポリイミドAの合成例)
NMP360g、キシレン40gの混合溶剤3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(以下「DSDA」と略記する。)48.9g、2,2−ビス[4−(p−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(以下、「BAPP」と略記する。)56.0gを室温で溶解後、180℃で3時間還流し、イミド化反応(反応生成水約4.9g)を行った。得られたポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂(溶剤可溶性ポリイミドA)は、酸価が3.9mgKOH/g重量平均分子量(Mw)が96,800、数平均分子量(Mn)が39,800であった。
【0080】
合成例2(溶剤可溶性ポリイミドBの合成例)
NMP360g、キシレン40gの混合溶剤にDSDA48.9g、2,2−ビス[4−(p−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(以下、「BAPS」と略記する。)59.0gを室温で溶解後、180℃で3時間還流し、イミド化反応(反応生成水約4.9g)を行った。得られたポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂(溶剤可溶性ポリイミドB)は、酸価が4.8mgKOH/g重量平均分子量(Mw)が67,600、数平均分子量(Mn)が33,200であった。
【0081】
合成例3(溶剤可溶性ポリイミドCの合成例)
NMP360g、キシレン40gの混合溶剤にDSDA39.1g、TMEG11.2g[DSDA/TMEG=80/20(モル比)]、2,2−ビス[4−(p−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(以下、「BAPS」と略記する。)59.0重量部を室温で溶解後、180℃で3時間還流し、イミド化反応(反応生成水約4.9部)を行った。得られたポリイミド樹脂溶液中のポリイミド樹脂(溶剤可溶性ポリイミドC)は、酸価が3.8mgKOH/g重量平均分子量(Mw)が82,400、数平均分子量(Mn)が37,000であった。
【0082】
合成例4(ポリアニリンBの合成例)
ポリアニリン(ポリアニリンA)(還元型含有比率48モル%)の黒色粉末60部を、ヒドラジン100部、メタノール160部、水200部の混合溶液に添加してスラリー状態とし、窒素気流下、室温で12時間撹拌を行い、灰白色粉末を得た。得られた灰白色粉末を濾別後、室温で真空乾燥して、還元型構造の含有率が高いポリアニリン(ポリアニリンB)を調製した。このポリアニリン中のフェニレンジアミン型(還元型)/キノンジイミン型(酸化型)の比率を、FT−IRスペクトル分析から算出したところ、還元型の含有比率は84モル%であった。
【0083】
実施例1
合成例1で調製した溶剤可溶性ポリイミドAを含有するボリイミド樹脂溶液450重量部(ポリイミド樹脂90重量部)に、合成例4で調製したポリアニリンB(還元型含有比率84モル%)10重量部を添加し、25℃で、1時間混合した。得られた樹脂ワニス(樹脂濃度約22重量%)は、均一で不溶物などの析出、分離は見られなかった。この樹脂ワニスをポリテトラフルオロエチレン(以下、「PTFE」と略記する。)シート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmのポリイミド樹脂組成物のフィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は160MPa、引張弾性率は5000Mpaであった。
【0084】
実施例2
合成例2で調製した溶剤可溶性ポリイミドBを含有するボリイミド樹脂溶液450重量部(ポリイミド樹脂90重量部)に、合成例4で調製したポリアニリンB(還元型含有比率84モル%)10重量部を添加し、25℃で、1時間混合した。得られた樹脂ワニス(樹脂濃度約22重量%)は、均一で不溶物などの析出、分離は見られなかった。この樹脂ワニスをPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmのポリイミド樹脂組成物のフィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は155MPa、引張弾性率は4900Mpaであった。
【0085】
実施例3
合成例3で調製した溶剤可溶性ポリイミドCを含有するボリイミド樹脂溶液450重量部(ポリイミド樹脂90重量部)に、合成例4で調製したポリアニリンB(還元型含有比率84モル%)10重量部を添加し、25℃で、1時間混合した。得られた樹脂ワニス(樹脂濃度約22重量%)は、均一で不溶物などの析出、分離は見られなかった。この樹脂ワニスをPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmのポリイミド樹脂組成物のフィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は135MPa、引張弾性率は4500Mpaであった。
【0086】
実施例4
ポリアニリンB(還元型含有比率84モル%)に代えてポリアニリンA(還元型含有比率47モル%)を用いた以外は、実施例1と同様にして樹脂ワニス及びポリイミド樹脂組成物のフィルムを作成した。樹脂ワニスは均一で不溶物などの析出、分離などは見られなかった。また、得られたフィルムの体積抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は120MPa、引張弾性率は3500Mpaであった。
【0087】
実施例5
溶剤可溶性ポリイミドA含有するボリイミド樹脂溶液250重量部(ポリイミド樹脂50重量部)、にNMP100重量部を加えたポリイミド溶液に、合成例4で調製したポリアニリンB(還元型含有比率84モル%)50重量部を添加し、40℃で、1時間混合した。得られた樹脂ワニス(樹脂濃度約25重量%)は、均一で不溶物などの析出は見られなかった。この樹脂ワニスから実施例1と同様の方法により、ポリイミド樹脂組成物のフィルムを作成した。このフィルムの体積抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は160MPa、引張弾性率は5000Mpaであった。
【0088】
実施例6
溶剤可溶性ポリイミドA含有するボリイミド樹脂溶液150重量部(ポリイミド樹脂30重量部)、にNMP150重量部を加えたポリイミド溶液に、合成例4で調製したポリアニリンB(還元型含有比率84モル%)30重量部を添加し、40℃で、1時間混合した。得られた樹脂ワニス(樹脂濃度約18重量%)は、均一で不溶物などの析出は見られなかった。この樹脂ワニスから実施例1と同様の方法により、ポリイミド樹脂組成物のフィルムを作成した。このフィルムの体積抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は115MPa、引張弾性率は3300Mpaであった。
【0089】
比較例1
合成例1で調製した溶剤可溶性ポリイミドAを含有するボリイミド樹脂溶液をPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmの樹脂フィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は95MPa、引張弾性率は2500Mpaであった。
【0090】
比較例2
合成例2で調製した溶剤可溶性イミドBを含有するボリイミド樹脂溶液をPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmの樹脂フィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は105MPa、引張弾性率は2800Mpaであった。
【0091】
比較例3
合成例3で調製した溶剤可溶性イミドCを含有するボリイミド樹脂溶液をPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmの樹脂フィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は80MPa、引張弾性率は2700Mpaであった。
【0092】
比較例4
合成例4で調整したボリアニリンB 20重量部をNMP80重量部に溶解してしポリアニリン樹脂溶液を作成した。このポリアニリン樹脂溶液をPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmの樹脂フィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は100MPa、引張弾性率は2800Mpaであった。
【0093】
比較例5
ポリアニリンA 20重量部をNMP80重量部に溶解してしポリアニリン樹脂溶液を作成した。このポリアニリン樹脂溶液をPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmの樹脂フィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は90MPa、引張弾性率は2700Mpaであった。
【0094】
実施例6
合成例1で調製した溶剤可溶性ポリイミドAを含有するボリイミド樹脂溶液450重量部(ポリイミド樹脂90重量部)に、3−メチル−4ピロールカルボン酸エチルと3−メチル−4−ピロールカルボン酸ブチルとの共重合体のNMP10重量%溶液100重量部を添加し、25℃で、1時間混合した。得られた樹脂ワニス(樹脂濃度約18重量%)は、均一で不溶物などの析出は見られなかった。この樹脂ワニスをPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmの樹脂フィルムを作成した。このフィルムの体積抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は140MPa、引張弾性率は4600MPaであった。
【0095】
比較例6
実施例6で用いた3−メチル−4−ピロールカルボン酸エチルと3−メチル−4−ピロールカルボン酸ブチルの共重合体のNMP10重量%溶液をPTFEシート上にドクターブレードを用いて約250μmの塗膜を形成し、150℃で1時間、減圧乾燥して、厚さが約50μmの樹脂フィルムを作成した。このフィルムの体積固有抵抗値は、1x1013Ω・cm以上であり、引張強度は70MPa、引張弾性率は2400MPaであった。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明によれば、機械強度の改善された溶剤可溶性ポリイミド樹脂組成物を得ることができる。このポリイミド樹脂組成物は、この優れた性質を利用して、電気・電子部品用材料として工業的に極めて利用価値が高く、より具体的には、プリント配線基板、銅張積層板板等のベースフィルム、接着剤、カバーフィルム、カバーコート等の基板材料、固体コンデンサー、帯電防止性フィルム、電磁波シールド、塗料、配線材料、表示材料、過電流保護装置、半導体素子などの用途に利用することができる。

出願人
新日本理化株式会社



【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶剤可溶性ポリイミド及びπ共役系ポリマーを含有することを特徴とするポリイミド樹脂組成物。
【請求項2】
π共役系ポリマーが、ポリアニリン、ポリピロール、ポリフラン、ポリチオフェン及びポリアセチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項3】
π共役系ポリマーが、ポリアニリンである請求項2に記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項4】
ポリアニリンが、一般式(1)
【化1】

[式中、h及びiは、それぞれキノンジイミン型(酸化型)ポリアニリン及びフェニレンジアミン型(還元型)ポリアニリンの繰り返し単位中のモル分率を表し、0<h≦0.3、0.7≦i<1、且つh+i=1である。]
で表される繰り返し単位を有する還元型ポリアニリンである請求項3に記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項5】
溶剤可溶性ポリイミドが、一般式(2)
【化2】

[式中、Xは、直接結合、−O−、−CO−、−SO−、又は基(a)
【化3】

{式中、Zは、炭素数2〜10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、1,3−フェニレン基又は1,4−フェニレン基を表す。}
を表す。Yは、2価の有機基を表す。jは、1以上の整数を表す。]
で表される構造単位を有する溶剤可溶性ポリイミドである請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項6】
溶剤可溶性ポリイミドが、一般式(3)
【化4】

[式中、Yは、−O−、−S−、−SO−、−CO−、−CH−、−C(CH−、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、又は基(b)
【化5】

{式中、Yは、−O−、−SO−又は−C(CH−を表す。}
を表す。kは、1以上の整数を表す。]
で表される構造単位を有する溶剤可溶性ポリイミドである請求項5に記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項7】
溶剤可溶性ポリイミドが、酸価0.1〜30mgKOH/gである請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項8】
溶剤可溶性ポリイミド100重量部に対して、π共役系ポリマー1〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項9】
ポリイミド樹脂組成物が、引張強度130MPa以上、引張弾性率が3000MPa以上である請求項1〜8のいずれかに記載のポリイミド樹樹脂組成物。
【請求項10】
ポリイミド樹脂組成物が、体積固有抵抗値1013Ω・cm以上である請求項1〜9のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の樹脂組成物を成形して得られる成形体。
【請求項12】
溶剤可溶性ポリイミド樹脂の機械強度向上剤であって、該機械強度向上剤がπ共有系ポリマーであることを特徴とする機械強度向上剤。
【請求項13】
機械強度向上剤が、一般式(1)
【化6】

[式中、h及びiは、それぞれキノンジイミン型(酸化型)ポリアニリン及びフェニレンジアミン型(還元型)ポリアニリンの繰り返し単位中のモル分率を表し、0<h≦0.3、0.7≦i<1、且つh+i=1である。]
で表される、還元型ポリアニリンである請求項12に記載の機械強度向上剤。
【請求項14】
機械強度向上剤であって、溶剤可溶性ポリイミド100重量部に対して、該機械強度向上剤1〜50重量部を配合することにより、配合後の溶剤可溶性ポリイミド樹脂組成物の引張強度を配合前のものに対して、30%以上向上させる性質を有するものである請求項12に記載の機械強度向上剤。
【請求項15】
溶剤可溶性ポリイミド樹脂に対して、請求項11〜14の機械強度向上剤を配合することを特徴とする溶剤可溶性ポリイミド樹脂の機械強度を向上させる方法。
【請求項16】
溶剤可溶性ポリイミド樹脂及び請求項11〜14の機械強度向上剤を含有することを特徴とするポリイミド樹脂組成物。

【公開番号】特開2006−299009(P2006−299009A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119860(P2005−119860)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】