説明

溶融押出しにより作製するNSAID及び糖アルコールを含む顆粒

非ステロイド系抗炎症薬の塩(NSAID塩)がその中に含まれた、糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含んでなる顆粒状成分を含む薬剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ステロイド系抗炎症薬を含む組成物、それらを調製するための方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)は、広い範囲で使用されている部類の医薬である。これらは、十分に定義されたグループの化合物であり、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びフルルビプロフェン等のフェニルプロピオン酸を含む。NSAIDSは、疼痛、炎症及び発熱、例えば、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、術後疼痛、産後の疼痛及び軟組織損傷の1つ又は複数の治療のために主として使用される。
【0003】
NSAIDSは、一般的に酸性であり、実質的に不溶性の薬剤である。これらは、錠剤の形態で、経口薬剤組成物として便利に投与される。したがって、NSAIDと組み合わせるため、NSAIDと相溶性があり、十分な硬度を有する錠剤を形成することができ、又、吸収のために利用可能である様に体の中に急速に医薬を放出することのできる、薬剤として許容される賦形剤を選択しなければならない。
【0004】
上記で特定された障害に関わる大きな問題は、NSAIDの作用の発現、特に、疼痛の治療における発現を改善することである。製剤が急速に崩壊されると、薬剤が体の中に急速に放出され、標準の剤形と比較して、治療作用の更に迅速な発現をもたらすものと考えられる。したがって、胃腸管において急速に崩壊するようにした経口投与のための固体剤形を製造することが望まれる。然しながら、NSAIDSの多くは、酸性薬剤であり、したがって、胃において遭遇する酸性条件における吸収が問題となりうる。更に、文献は、急速に崩壊するようにした多くの製剤を提案しているが、イブプロフェン及びその他のNSAIDSでは、これらが、相対的に高い投与量、例えば、単位投与量当たり、800mgまで投与する必要がある可能性があるという大きな問題を起こしている。したがって、患者が服用するのに大き過ぎる、又は標準の大規模製造方法により製造することのできない錠剤を提供するのではなく、錠剤を剤形に製剤するのに有用な賦形剤であり、又、急速な崩壊を確実にするのに有用な賦形剤と一緒にNSAIDを含む剤形を提供するための課題が存在する。更に、固体剤形は、製造工程の厳しさ(例えば、有孔回転ドラムにおける膜被覆の段階中に、及び包装等で遭遇する様な)に耐えるのに十分に硬くなければならないが、製剤からの薬剤の迅速な放出を確実にするための適当な崩壊性や適当な溶解性も有していなければならない。克服しなければならないその他の重要な問題は、組成物が、打錠装置のパンチに付着することなく、標準の打錠機械装置で圧縮することができることを確実にすることである。
【0005】
これに関しては、WO01/41733(The Boots Company PLC)は、崩壊剤を融解NSAIDに導入し、緊密に混合し、次いで、冷却し、顆粒を製造するためにミルに掛けると、二酸化ケイ素がその中に導入された場合、最少の錠剤化賦形剤で錠剤化することができ、有利な錠剤化、崩壊及び溶解性を有する組成物が提供されることを開示している。
【0006】
NSAIDの生物学的利用能を増加させるための更なる代替方法は、相当する遊離酸よりも一般的に更に可溶である塩の形態でNSAIDを投与することである。これに関しては、ドイツ特許出願第3922441A号は、イブプロフェンの錠剤化性を改善することを追及し、これが、イブプロフェンを、全体的に又は部分的にそのカルシウム塩に転換し、これらを錠剤化に使用することにより達成できることを開示している。この組成物は、イブプロフェン、S(+)−イブプロフェン又はこのアンモニウム、ナトリウム又はカリウム塩を場合により含んでもよいと言われている。カルシウム塩及び任意のその他のイブプロフェン活性成分は、別々に製造した化合物として錠剤中に導入してもよく、又はイブプロフェン(酸性薬剤)と、CaO、Ca(OH)、CaCO、NaOH、KOH、NHOH、NaCO、NaHCO、KCO、KHCO、(NHCO、NHHCOの1つ又は複数を含む反応体(イブプロフェンの当量の25%〜110%の量において)の溶液又は懸濁液との間の反応により、錠剤調製方法中にその場で塩を形成してもよい。得られた混合物を、次いで、顆粒化し、必要に応じて乾燥し、次いで、その他の賦形剤の場合によって導入した後、錠剤化する。この明細書は、カルシウム塩と一緒に使用されるその他の塩の割合によって、アンモニウム塩及びアルカリ塩は、カルシウム塩含有組成物の溶解性を改善しその結果、生物学的利用能を調節するが、これらは、又、吸湿性及び付着性を増加するとも述べている。
【0007】
これは、これらの材料が、一般的に圧縮性に乏しいので、塩の形態におけるNSAIDSを加工することに関わる特有の問題である。好適には、塩の形態におけるNSAIDSは、遊離酸形態に比べて、フレーク状で、柔らかく、付着し易い材料であり、これらは、これらが、相当する遊離酸に比べて、圧縮するのが特に困難であるので、それ自身、剤形に製剤するのには向いていない。したがって、塩の形態におけるNSAIDSは、打錠装置のパンチに付着する可能性がある。更に、塩の形態におけるNSAIDSは、その他の賦形剤と一緒に錠剤に圧縮する前に、予備造粒することが一般的に困難である。したがって、満足できる錠剤を形成するためには、NSAID塩を最初の処理段階、例えば、顆粒化工程等に掛けることが通常必要である。特に、NSAIDS例えば、プロピオン酸誘導体、即ちイブプロフェンのアンモニウム及びアルカリ金属塩は、付着性で、吸湿性で、圧縮性に乏しい物質として知られている。イブプロフェンのナトリウム塩は、その蝋質により、ことのほか圧縮性に乏しく、又、顆粒化のための能力にも乏しいと考えられる。これは、現在極めて少ないイブプロフェンナトリウム含有錠剤しか利用可能でないことの主たる理由の1つである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者等は、塩の形態におけるNSAID(NSAID塩と称する)がその中に含まれた融解糖アルコールを含む混合物を、固化し、顆粒に形成した場合に、最少の錠剤化賦形剤で錠剤化することができ、有利な錠剤性、崩壊性及び溶解性を有する組成物が提供されることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この様に、第1の態様によれば、本発明は、非ステロイド系抗炎症薬の塩(NSAID塩)がその中に含まれた糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含んでなる顆粒状成分を含む薬剤組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
予期に反して、薬剤組成物は、改善された流動性を一般的に示し、NSAID塩それ自体よりもフレーク性/付着性が少ない。都合の良いことに、顆粒状組成物は、それ自体、圧縮することが容易であるので、固体剤形に製剤するのに向いていて、打錠装置のパンチに付着することがない。好適には、錠剤化方法の処理能力は、イブプロフェンナトリウムを単独に使用するのと比べて、実質的に増加する。更に、本発明による薬剤組成物を形成する前に、NSAID塩の前処理(即ち、その流動性を改善するための顆粒化工程を使用すること)を一般的に必要としない。好適には、本発明による薬剤組成物を形成するために使用されるNSAID塩は、大量生産工程から、前処理なしで、直接に利用されてもよい。
【0011】
薬剤組成物の更なる利点は、剤形、特に、経口投与のための固体剤形を調製するために必要とされる付加的錠剤化賦形剤が相対的に少量である点に在り、したがって、NSAIDの比較的に高い濃度を有する小さな剤形の製造が可能となり、それによって患者の薬剤服用順守を上昇させることが可能になる。
【0012】
予期に反して、本発明の薬剤組成物から調製される薬剤製剤は、有益な崩壊性を有することが分かった。更に、このような製剤の溶解性の結果は、一般に比較的短時間後に水性媒体に溶解したNSAIDの濃度が予期しない程に高いことを示している。
【0013】
この様に、本発明の薬剤組成物は一般に、NSAID塩を加工する際の利点、改善された患者の薬剤服用順守、改善された崩壊性及び溶解性、並びにNSAID塩から形成される錠剤の全体のコストの低下を提供する。
【0014】
薬剤組成物の調製においては、糖アルコールは溶融させる。したがって、「溶融」及び「融解」と言う用語は、糖アルコールが、顆粒状組成物の形成中に、少なくとも部分的に溶融しなければならないことを意味する。好ましくは、糖アルコールは、薬剤組成物の調製中に完全に溶融される。
【0015】
好適には、糖アルコールが溶融されると液体が形成される。NSAID塩は、融解糖アルコール内で部分的に溶解してもよい。然しながら、NSAID塩の大部分は、融解糖アルコール内で一般的に分散される。好適には、糖アルコールは溶融して、薬剤組成物に存在するNSAID塩及びその他の任意の不溶性賦形剤をコーティングする。融解糖アルコール及びNSAID塩混合物を冷却することにより、無定形(即ち、ガラス状の非結晶性構造)固体相を形成し、これは、最少の錠剤化賦形剤で薬学的剤形に圧縮するのに適した顆粒に直接に粉砕してもよい。言い換えれば、糖アルコールは、少なくとも部分的にその結晶性を失い、NSAID塩のための担体として作用する。好ましくは、糖アルコールが完全に溶融される場合、糖アルコールは、冷却により単一の連続相、即ち、単一連続無定形固体相、即ち、糖アルコールの全てが、本質的に無定形であり、決められた結晶性構造を有する糖アルコールにより中断されない連続相を形成する。
【0016】
予期に反して、糖アルコールが、薬剤組成物の調製中に完全に溶融されると、その結果、固化溶融物顆粒は、改善された流動性を一般的に示し、糖アルコールを部分的に溶融して形成される比較可能な固化溶融物顆粒に比べて、圧縮が一般的に容易である。都合の良いことに、糖アルコールを完全に溶融することにより形成された固化溶融物顆粒は、加工が一般的に容易で、例えば、これらは、糖アルコールを部分的に溶融して形成される固化溶融物顆粒と比較して、打錠装置のパンチに付着しない。好適には、連続加工工程(即ち、錠剤化工程)の処理能力及び効率は、糖アルコールが完全に溶融されている固化溶融物顆粒を使用することにより、著しく増加することができる。
【0017】
更に、固体剤形、特に、糖アルコールが完全に溶融されている固化溶融物顆粒から形成された錠剤は、糖アルコールが部分的に溶融されている固化溶融物顆粒から形成された相当する固体剤形よりも一般的に頑丈で、硬い。都合の良いことに、固体剤形、特に、糖アルコールが完全に溶融されている固化溶融物顆粒から形成された錠剤は、糖アルコールを部分的に溶融することにより形成された固体剤形と比べて、製造工程(即ち、膜被覆又は糖被覆)の更なる厳しさに耐えることに一般的に更に適したものとなる。
【0018】
更に、糖アルコールが完全に溶融されている固化溶融物顆粒から形成される錠剤の水性溶解性は、一般的に、錠剤を形成するために使用される圧縮圧力に依存しない。したがって、都合の良い様に、望ましい溶解性を有する頑丈な錠剤が製造されてもよい。
【0019】
好適には、糖アルコールが、薬剤組成物の調製中に完全に溶融されれば、その結果、薬剤組成物は、糖アルコールを部分的に溶融することにより形成された比較可能な薬剤組成物と比較して、一般的に改善された溶解性を示す。これに関して、単一連続無定形相として糖アルコールを含む薬剤組成物は、糖アルコールの少なくとも一部又は糖アルコールの全部が結晶性の形態である比較可能な薬剤組成物と比較して、比較的に短時間に、水性媒体において、NSAID塩の高濃度を放出することができる。
【0020】
NSAID塩は、糖アルコールを溶融する前又は溶融工程の後に、融解糖アルコールと一緒にして、NSAID塩がその中に含まれた融解糖アルコールを含む溶融混合物を形成してもよい。好ましくは、NSAID塩は、糖アルコールを溶融する前に、糖アルコールと一緒にされる。NSAID塩は、糖アルコール溶融物においては一般的に不溶であり、液体溶融物内におけるNSAID塩の分散体が一般的に生成される。一般的に、以降において言及される通り、NSAID塩は、糖アルコールの融点よりも遥かに高い融点を有し、NSAID塩は、本発明の薬剤組成物の形成中には溶融しない。都合の良いことに、これは、NSAID塩の比較的に低温での加工を可能とし、それによって、NSAID塩の劣化を実質的に最少化し、及び/又は防ぐことを可能とする。
【0021】
好ましくは、NSAID塩及び融解糖アルコールの溶融混合物は、NSAID塩、及び薬剤組成物に存在する任意のその他の場合による錠剤化賦形剤が、融解糖アルコール内で一般的に均一に分散される様に混合される。均一混合物は、この様にして製造される。混合物は、固体が生成されるまで、以降において検討される方法により冷却する。混合物は冷却するにつれて、一層粘稠になる。次いで、固化した混合物は、溶融物顆粒に形成される。この様に、本明細書において使用される、「固化溶融物顆粒」と言う用語は、融解糖アルコールと、NSAID塩、場合によりその他の錠剤賦形剤とを組み合わせ、糖アルコールの融点より低い温度に冷却し、固体塊を顆粒に形成することにより形成される顆粒を意味する。薬剤組成物は、複数のその様な顆粒を含む。
【0022】
この様に、固化溶融物顆粒は、糖アルコールを完全に又は部分的に溶融することにより得ることのできるものであってもよい。本発明の好ましい態様によれば、固化溶融物顆粒は、糖アルコールを完全に溶融することにより得ることが可能である。
【0023】
溶融物は、便利な任意の方法において固化することが可能である。これは、急速な冷却及びゆっくりした冷却の両方を含む。好ましくは、溶融物は、本明細書において記載されている様に、急速に冷却される(即ち、急冷される)。一般的に、これは、融解糖アルコールが、単一連続無定形相を形成することを可能にする。例えば、溶融物は、冷却器において冷却してもよい。溶融物は、固定されていてもよく、又は連続的に移動していてもよい冷却トレイの中に注入されてもよい。固定式トレイは、冷却室に置かれてもよい。移動式トレイ又はベルトは、更なる冷却手段、例えば、冷却水を有してもよい。冷却された溶融物は、固体を形成し、ベルトから捨てられてもよく、又は連続的に移動するベルトの一端から落ちて収集されてもよい。
【0024】
NSAID塩を含んでいる糖アルコールの固化溶融物は、複数の方法により顆粒に形成されてもよい。例えば、顆粒に粉砕されてもよく、ミルに掛けられてもよく、及び/又は篩分けられてもよい。又、融解材料が、オリフィスから冷却空気の中に噴霧されて、凝固/固化し、次いで、収集される噴霧装置、例えば、噴霧塔又は噴霧顆粒機に通されてもよい。溶融物が押出されると、押出し物は冷却され、次いで、都合のよいサイズ片に砕かれ、続いてミルに掛けられ、及び/又は篩分けられてもよい。或いは又、押出し物は、孔を通して押出され、錠剤化のために適当にサイズが決められた顆粒に切断されてもよい。
【0025】
顆粒状組成物の調製においては、糖アルコールを溶融させる。加圧条件下では、糖アルコールは、その正常な融点より下の温度で溶融させてもよい。溶融は、例えば、容器中で、糖アルコールの融点より高い温度まで加熱すること、又は、加熱した押出機における押出しによることを含めて、知られている方法により行われてもよい。最大温度は、融解糖アルコール及びそれと組み合わされる成分の安定性により決定される。糖アルコールを加熱するのに必要とされるエネルギー入力によりバランスが取られなければならないが、一般的に、温度が高い程、より早く糖アルコールは溶融する。最大効率のためには、エネルギーコストを最少に維持するために、糖アルコールは、その融点より30℃を超えない。好ましくは、10〜30℃高い温度に加熱することが一般的に考えられる。一般的な操作温度は、他の事柄において特に、本明細書において定義されている特定の使用される糖アルコールに依存するが、好ましい加熱範囲は、80〜180℃、更に好ましくは、90〜170℃、更に好ましくは、100〜160℃、最も好ましくは、110〜150℃である。糖アルコールが押出される場合は、一般的に、押出機は、所定の温度に加熱される。更に、押出機におけるスクリュー配列による糖アルコールにおける働き掛けが、糖アルコールを溶融することに寄与し、その外部適用温度要件を減少させる。したがって、押出機バレルは、糖アルコールの融点未満の温度に加熱されてもよい。例えば、キシリトールの正常な融点は95〜97℃であるが、力/圧力の条件下(例えば、押出機又は同様の加工装置において遭遇する可能性のあるもの等)では、糖アルコールを溶融するのに必要な外部適用加熱は、押出機内での強力な混合作用により発生する機械的熱により著しく減少されてもよい。押出機は、糖アルコールの融点より25℃低い温度以上、好ましくは、糖アルコールの融点より20℃低い温度から糖アルコールの融点より30℃高い温度まで、更に好ましくは、糖アルコールの融点のそれぞれの側で20℃の範囲における温度に加熱されることが一般的に考えられる。幾つかの押出機は、押出機において、異なるゾーンを異なる温度に加熱することが可能である。これらの温度は、糖アルコールが完全に溶融されることを確実にするために、要求通りに選択することができる。
【0026】
好適には、糖アルコールは、室温(即ち、20〜25℃)及び標準大気圧では固体の形態にある。「糖アルコール」と言う用語は、相当する単糖類及び/又は多糖類の還元により形成される合成アルコールを意味する。一般的な糖類物質としては、例えば、デキストロース及びマルトース等の糖、例えば、グルコースの還元により形成されてもよいD−ソルビトールが挙げられる。その様な糖アルコールは、それらが、それぞれに、相当するアルドース及びケトース糖のアルデヒド及びケト基の還元により形成されてもよいので、「アルジトール」と一般的に呼ばれる。
【0027】
好ましくは、糖アルコールは、単糖類又は二糖類の還元で誘導できる。更に好ましくは、糖アルコールは、単糖類の還元で誘導できる。
【0028】
二糖類の還元により誘導できる好ましい糖アルコールとしては、マルチトール(融点149〜152℃)、イソマルト(融点145〜150℃)及びラクチトール(融点95〜98℃)が挙げられるが、中でもマルチトール及びラクチトールが好ましい。
【0029】
単糖類の還元により誘導できる好ましい糖アルコールとしては、D−ソルビトール(融点98〜100℃)、キシリトール(融点95〜97℃)、アドニトール(融点102〜104℃)、アラビトール(融点101〜104℃)、マンニトール(融点167〜170℃)、ズルシトール(融点188〜191℃)及びメソ−エリトリトール(融点120〜123℃)が挙げられる。単糖類の還元により誘導できる更に好ましい糖アルコールとしては、D−ソルビトール、キシリトール、アドニトール、アラビトール及びメソ−エリトリトールが挙げられる。単糖類の還元により誘導できる最も好ましい糖アルコールとしては、D−ソルビトール及びキシリトール、特にキシリトールが挙げられる。
【0030】
上記の糖アルコールを溶融するための、好ましくは、本明細書において定義される溶融押出し方法により溶融するための好ましい操作温度は、糖アルコールが完全に融解される様に、特定の糖アルコールの融点より約10℃〜30℃上である。したがって、好ましい操作温度は、次の通りである:ソルビトールでは約108℃〜約132℃、キシリトールでは約102℃〜約127℃、アドニトールでは約112℃〜約134℃、アラビトールでは約111℃〜約134℃、マンニトールでは約177℃〜約200℃、メソ−エリトリトールでは約130℃〜約153℃、ラクチトールでは約105℃〜約128℃、マルチトールでは約159℃〜約182℃、及びイソマルトでは約155℃〜約180℃。
【0031】
本明細書において定義される糖アルコールの混合物は、薬剤組成物を形成するのに使用されてもよいが、好ましくは、単独の糖アルコールだけが使用される。したがって、薬剤組成物の好ましい実施形態では、糖アルコールは、好ましくは、D−ソルビトール又はキシリトールから成り、特に本質的にキシリトールのみから成る。
【0032】
好ましくは、糖アルコールは、180℃以下、更に好ましくは、170℃以下、なお更に好ましくは、150℃以下、最も好ましくは、120℃以下の融点を有する。
【0033】
好ましくは、糖アルコールは、50℃以上、更に好ましくは、70℃以上、最も好ましくは、90℃以上の融点を有する。
【0034】
糖アルコールは、一般的に、NSAID塩の融点よりも低い融点を有する。好ましくは、糖アルコールの融点は、NSAID塩の融点よりも、少なくとも40℃、更に好ましくは、少なくとも60℃、なお更に好ましくは、少なくとも80℃、最も好ましくは、約100℃低い。都合の良い様に、溶融物顆粒は、NSAID塩の融点よりも実質的に低い温度で形成されてもよい。換言すれば、融解糖アルコール及びNSAID塩を含む溶融混合物は、糖アルコールを溶融するのには十分であるが、NSAID塩は溶融しない温度での加熱の適用により形成される。都合の良いことに、その様な操作条件は、一般的に、NSAID塩の劣化を最少にし又は防止する。
【0035】
好ましくは、糖アルコールは、薬剤組成物の顆粒状成分の30重量%以下、更に好ましくは、26重量%以下、更に好ましくは20重量%以下、なお更に好ましくは15重量%以下の量で存在する。好ましくは、糖アルコールは、薬剤組成物の顆粒状成分の1重量%以上、更に好ましくは、5重量%以上、最も好ましくは7重量%以上の量で存在する。
【0036】
好ましくは、糖アルコールは、薬剤組成物の全重量を基準にして、26重量%以下、更に好ましくは、20重量%以下、なお更に好ましくは、15重量%以下、最も好ましくは10重量%以下の量で存在する。好ましくは、糖アルコールは、薬剤組成物の全重量を基準にして、1重量%以上、更に好ましくは、5重量%以上、最も好ましくは7重量%以上の量で存在する。
【0037】
本発明は、多種類のNSAID塩、特に、Cox−1を優先的に阻害するNSAIDSを含む顆粒状組成物の形成を可能にする。
【0038】
Cox−1を優先的に阻害するNSAIDSの適当なタイプは、以下の範疇から選択されてもよい:
(1)プロピオン酸誘導体;
(2)酢酸誘導体;
(3)フェナム酸誘導体;
(4)ビフェニルカルボン酸誘導体;
(5)オキシカム。
【0039】
本明細書において使用に適したプロピオン酸誘導体としては、イブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラポプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、及びブクロクス酸が挙げられるがこれらに限定されない。プロピオン酸グループの好ましいメンバーとしては、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン及びフェンブフェン、特に、イブプロフェンが挙げられる。
【0040】
本明細書において使用に適した酢酸誘導体としては、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク、アルクロフェナク、イブフェナク、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク及びオキシピナクが挙げられるがこれらに限定されない。酢酸グループの好ましいメンバーとしては、トルメチンナトリウム、ゾメピナクナトリウム、スリンダク及びインドメタシンが挙げられる。
【0041】
本明細書において使用に適したフェナム酸誘導体としては、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルム酸及びトルフェナム酸が挙げられるがこれらに限定されない。フェナム酸グループの好ましいメンバーとしては、メフェナム酸及びメクロフェナム酸が挙げられる。
【0042】
本明細書において使用に適したビフェニルカルボン酸誘導体としては、ジフルニサル及びフルフェニサルが挙げられるがこれらに限定されない。
【0043】
本明細書において使用に適したオキシカムとしては、ピロキシカム、スドキシカン、イソキシカムが挙げられるがこれらに限定されない。このグループの好ましいメンバーは、ピロキシカムである。
【0044】
好適には、本発明における使用のためのNSAIDSは、一般的に、異性を示す。したがって、NSAIDSの、ラセミ混合物を含めて、全ての、立体異性体、ジアステレオマー、光学異性体及びこれらの混合物は、本発明の範囲に包含される。
【0045】
NSAID塩の極めて好ましいクラスは、プロピオン酸誘導体の塩である。
【0046】
プロピオン酸誘導体の好ましい塩、特に、2−アリールプロピオン酸塩としては、ナプロキセン、フルルビプロフェン、イブプロフェン及びケトプロフェン、特に、そのラセミ混合物及びS(+)−光学異性体の塩が挙げられる。更に好ましい2−アリールプロピオン酸塩としては、フルルビプロフェン及びイブプロフェン、特に、そのラセミ混合物及びS(+)−光学異性体の塩が挙げられる。なお更に好ましい2−アリールプロピオン酸塩としては、ラセミ体フルルビプロフェンの塩及びラセミ体イブプロフェンの塩、特に、ラセミ体イブプロフェンの塩が挙げられる。
【0047】
本発明において使用されるNSAIDは、塩の形態にある。塩の一般的な例としては、アルカリ金属塩、例えば、ナトリウム又はカリウム塩;アルカリ土類金属塩、例えば、マグネシウム又はカルシウム塩;金属塩、例えば、アルミニウム塩;アミノ酸塩、例えば、リシン又はアルギニン塩;又は、アミン塩、例えば、メグルミン塩が挙げられる。
【0048】
好ましい塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。更に好ましい塩としては、アルカリ金属塩、アミン塩及びアミノ酸塩が挙げられる。最も好ましい塩としては、アルカリ金属塩、特に、ナトリウム又はカリウム塩、特に、ナトリウム塩が挙げられる。
【0049】
好適には、本発明における使用にとって極めて好ましいNSAID塩は、ラセミ体イブプロフェンのナトリウム塩又はS(+)−イブプロフェンのナトリウム塩である。最も好ましくは、NSAID塩は、ラセミ体イブプロフェンのナトリウム塩を含む。
【0050】
好適には、顆粒状組成物は、本明細書において定義される1つ又は複数の異なるNSAID塩を含んでもよい。好ましくは、然しながら、顆粒状組成物は、単独のNSAID塩を含む。最も好ましくは、顆粒状組成物は、単独の光学異性体において又はラセミ混合物、即ち、S(+)−イブプロフェンだけ若しくはラセミ体イブプロフェンのみとして単独のNSAID塩を含む。更に、以降において言及される通り、薬剤組成物は、NSAID塩に加えて、1つ又は複数の、更なる薬剤として活性な作用薬を含んでもよい。然しながら、本発明の極めて好ましい薬剤組成物は、唯一の、薬剤として活性な作用薬として、NSAID塩を、最も好ましくは、本明細書において定義される単独のNSAID塩を含む。
【0051】
NSAID塩は、無水物又は水和物形態であってもよい。好ましくは、NSAID塩は、水和形態にある。これに関して、ラセミ体イブプロフェンのナトリウム塩の二水和物が、特に好ましいNSAID塩である。
【0052】
NSAID塩は、一般的に、約150℃〜約270℃、好ましくは、約170℃〜約260℃の融点を有する。これに関して、イブプロフェンナトリウム二水和物は、約200℃の融点を有し、ナプロキセンナトリウムは、約250〜251℃の融点を有し、イブプロフェンリシネートは、約177〜180℃の融点を有する。
【0053】
薬剤組成物におけるNSAIDの割合は、治療効果にとって望ましい投与量に依存する。低投与量薬剤、例えば、フルルビプロフェン及びケトプロフェンの塩等は、組成物から生成される薬学的剤形(即ち、錠剤)が小さすぎないように提供するために、薬剤組成物の顆粒状成分の20重量%(例えば20〜70%)とできるだけ少なく形成してもよい。然しながら、本発明の好ましい特徴は、高い投薬量のNSAID塩、例えば、イブプロフェンの塩等が、小さい剤形に組成することができる点である。したがって、NSAID塩は、一般的に、薬剤組成物の顆粒状成分の60重量%以上、好ましくは、65重量%以上、更に好ましくは、70重量%以上を形成する。好ましくは、NSAID塩は、一般的に、薬剤組成物の顆粒状成分の99重量%以下、好ましくは、95重量%以下、更に好ましくは、90重量%以下、最も好ましくは85重量%以下を形成する。
【0054】
好ましくは、NSAID塩は、本発明の薬剤組成物の全重量を基準にして、55重量%以上、更に好ましくは、60重量%以上、なお更に好ましくは、65重量%以上、最も好ましくは70重量%以上の量で存在する。
【0055】
好ましくは、NSAID塩は、本発明の薬剤組成物の全重量を基準にして、90重量%以下、更に好ましくは、85重量%以下、最も好ましくは、80重量%以下の量で存在する。
【0056】
好ましくは、薬剤組成物の顆粒状成分におけるNSAID塩の糖アルコールに対する重量%比は、20:1〜2:1、更に好ましくは、15:1〜5:1、最も好ましくは、12:1〜7:1である。
【0057】
好ましくは、薬剤組成物におけるNSAID塩の糖アルコールに対する重量%比は、20:1〜2:1、更に好ましくは、15:1〜5:1、最も好ましくは、12:1〜8:1である。
【0058】
好ましくは、薬剤組成物は、1つ又は複数の崩壊剤を更に含む。崩壊剤は、顆粒状成分に存在してもよく及び/又は非顆粒状成分として存在してもよい。好ましくは、崩壊剤は、顆粒状成分内に存在し、なお更に好ましくは、崩壊剤は、顆粒状成分内だけに存在する。崩壊剤が、NSAID塩がその中に含まれた融解糖アルコールの中に導入され、それらと緊密に組み合わされ、混合物が冷却され、顆粒を生成するためにミルに掛けられると、最少の錠剤化賦形剤で錠剤化ができ、有利な錠剤化、崩壊及び溶解性を有する薬剤組成物が提供される。崩壊剤は、薬剤製剤から形成される固体剤形、例えば、錠剤等を、胃腸管において見出される条件下で崩壊させる効果を有する。崩壊剤の例としては、小麦デンプン、トウモロコシデンプン、ポテトデンプン、ナトリウムデンプングリコレート、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、アルギン酸、架橋されたポリビニルピロリドン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム及びクロスカルメロースナトリウムの1つ又は複数が挙げられる。好ましい崩壊剤は、水の作用で膨潤して、薬剤組成物における成分を、水性崩壊媒体の中に押出すものである。好ましい崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウム及びナトリウムデンプングリコレートの1つ又は複数、特に、クロスカルメロースナトリウムを含む。
【0059】
好ましくは、崩壊剤は、薬剤組成物の顆粒状成分の25重量%以下、更に好ましくは、20重量%以下、なお更に好ましくは、15重量%以下の量で存在する。好ましくは、崩壊剤は、薬剤組成物の顆粒状成分の1重量%以上、更に好ましくは、5重量%以上、最も好ましくは、8重量%以上の量で存在する。
【0060】
好ましくは、崩壊剤は、薬剤組成物の全重量を基準にして、20重量%以下、更に好ましくは、15重量%以下、最も好ましくは、10重量%以下の量で存在する。好ましくは、崩壊剤は、薬剤組成物の全重量を基準にして、1重量%以上、更に好ましくは、5重量%以上、最も好ましくは、7重量%以上の量で存在する。
【0061】
好ましくは、薬剤組成物の顆粒状成分におけるNSAID塩の崩壊剤に対する重量%比は、20:1〜2:1、更に好ましくは15:1〜5:1、最も好ましくは12:1〜7:1である。
【0062】
好適には、顆粒状成分が崩壊剤を含む場合は、顆粒状成分における糖アルコールの崩壊剤に対する重量%比は、好ましくは、5:1〜1:5、最も好ましくは、約3:1〜1:3、最も好ましくは、2:1〜1:2である。
【0063】
好ましい態様により、本発明は、糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒であって、NSAID塩及び崩壊剤がその中に含まれた固化溶融物顆粒を含む顆粒状成分を含む薬剤組成物を提供する。好ましくは、薬剤組成物は、NSAID塩及び崩壊剤がその中に均一に分散した、融解糖アルコールの複数の溶融物顆粒を含む顆粒状成分を含む。好ましくは、クロスカルメロースナトリウム又はナトリウムデンプングリコレート(任意の知られている崩壊剤が使用されてもよいが)は、顆粒状成分に含まれる単独の賦形剤であってもよい。或いは又、顆粒状成分は、更なる賦形剤、例えば、希釈剤及び場合により界面活性剤を含んでもよい。したがって、顆粒状成分は、糖アルコール、NSAID塩及び崩壊剤から本質的に成っていてもよく(即ち、顆粒状成分の98重量%を超える)、又は糖アルコール、NSAID塩、崩壊剤、希釈剤及び、場合により界面活性剤から成っていてもよい。この様に、希釈剤及び場合による界面活性剤は、崩壊剤、NSAID塩及び融解糖アルコールと組み合わされてもよい。
【0064】
好ましくは、顆粒は、糖アルコールの単一連続無定形相を含む。更に好ましくは、薬剤組成物は、経口投与のための固体剤形の形態にある。なお更に好ましくは、薬剤組成物は、錠剤の形態にあり、最も好ましくは、圧縮錠剤、特に、胃又は胃腸管において医薬を放出するのに適合した圧縮錠剤組成物の形態にある。
【0065】
本発明を実施するのに必要ではないが、必要に応じて、薬剤組成物(即ち、圧縮錠剤)は、更なる賦形剤を含んでもよい。
【0066】
例えば、薬剤組成物は、或る割合の水溶性又は水不溶性圧縮性希釈剤を含んでもよい。適当な水溶性希釈物質としては、糖(例えば、スクロース、フルクトース、ラクトース、デキストロース等)、シクロデキストリン、マルトデキストリン及び有機酸の塩(例えば、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウム)が挙げられる。固化溶融物顆粒に存在する糖アルコールは、特に、水溶性希釈剤として機能してもよい。ラクトース、クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムは、特に好ましい水溶性希釈剤である。適当な水不溶性希釈物質としては、セルロース誘導体(例えば、微結晶セルロース等)、デンプン及びこの誘導体(例えば、前ゲル化デンプン等)、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウムが挙げられる。微結晶セルロース及びリン酸二カルシウムは、好ましい水不溶性希釈剤である。投与前に水において分散することに適合された薬剤組成物においては、希釈剤の水準は、かなり高くてもよく、例えば、所望の分散性を達成するためには、組成物の全重量を基準にして、50重量%(例えば、0〜50%w/w、好ましくは、0〜40%w/w等)までであってもよい。好ましくは、薬剤組成物が、経口投与のための固体剤形の形態(即ち、圧縮錠剤)にある場合は、希釈剤は、組成物のコスト及び生産コストを増すので、薬剤組成物の30重量%を超えて形成しない(例えば、0〜25%w/w)。したがって、コストを最少化するためには、希釈剤を、薬剤組成物の0〜20重量%、更に好ましくは、0〜10%w/wの量において薬剤組成物に添加することが好ましい場合がある。存在する場合は、好ましくは、薬剤組成物の全重量を基準にして、0.1〜25重量%、更に好ましくは、薬剤組成物の0.1〜20重量%、更に好ましくは、1〜15重量%、最も好ましくは、4〜15重量%の範囲で使用されてもよい。希釈剤は、顆粒状成分の一部を形成してもよく、及び/又は非顆粒状成分として存在してもよい。好ましくは、希釈剤、特に、微結晶セルロース及びリン酸二カルシウムは、非顆粒状成分内に存在する。
【0067】
薬剤組成物、特に顆粒状成分は、又、界面活性剤を、界面活性剤の性質に見合う量において、好ましくは、薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜10重量%含んでもよい。好ましい界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム及びポロクサマーである。これらは、薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜8重量%(好ましくは、0.1〜5重量%、更に好ましくは、0.2〜2重量%)の範囲で使用されてもよい。
【0068】
顆粒状組成物における溶融物顆粒は、好ましくは、10〜2000μm、更に好ましくは、50〜1000μm、最も好ましくは、100〜400μmの範囲における平均粒径を有する。有益な結果は、溶融物顆粒の嵩密度が、0.1〜1g/ml、更に好ましくは、0.3〜0.6g/mlの範囲にある場合に達成される。更に好ましい性質は、タップ密度が、0.3〜0.7g/ml(更に好ましくは、0.4〜0.6g/ml)の範囲にある場合に得られる。
【0069】
本発明による薬剤組成物においては、複数の溶融物顆粒を含む顆粒状成分が、非顆粒状成分と組み合わされることが好ましい。好ましくは、薬剤組成物は、薬剤組成物の60〜99.95重量%、更に好ましくは、70〜99.9重量%、特に、75〜99.9重量%、特に、80〜99.9重量%の量において顆粒状成分を、及び薬剤組成物の0.05〜40重量%の非顆粒状成分を、好ましくは、0.1〜30重量%、特に0.1〜25重量%、特に0.1〜20重量%含む。
【0070】
非顆粒状成分は、固化溶融物顆粒には含まれない、薬剤組成物に含まれる成分を含む。これらは、単位投薬量を調製するための方法において、溶融物顆粒と同時に又はその後の工程で混合されてもよい。本発明の特有の利点は、好ましくは、非顆粒状成分の全ての成分が、同時に顆粒状成分と組み合わされ、顆粒状成分と組み合わせる前に、非顆粒状成分において、成分の相当な加工処理を行う必要のない点である。薬剤組成物は、一般的に、顆粒状成分及び非顆粒状成分の均一混合物を含み、非顆粒状成分が、錠剤全体に均等に適切に分布する様に、錠剤に圧縮成形されてもよい。
【0071】
本発明の好ましい薬剤組成物は:
a)非ステロイド系抗炎症薬の重量部当たり、0.005〜1重量部の崩壊剤を含む、組成物の60〜99.5重量%の顆粒状成分;及び
b)組成物の0.05〜40重量%の非顆粒状成分
を含む。
【0072】
好ましくは、薬剤組成物は、ウイッキング剤を含む。本明細書において使用される「ウイッキング剤」と言う用語は、錠剤等の密充填物内に毛細管通路を形成し、密充填物が、水性環境の液体に置かれた場合に、毛細管作用により通路を通って汲み上げ、粒子間結合が、液体の進入により破裂する様にして密充填物の崩壊を引き起こす、任意の賦形剤を意味する。ウイッキング剤は、水に不溶性である。ウイッキング剤は、顆粒状成分及び/又は非顆粒状成分に存在してもよい。好ましくは、ウイッキング剤は、非顆粒状成分に存在する。最も好ましくは、ウイッキング剤は、非顆粒状成分においてのみ存在する。
【0073】
「水に不溶性」とは、10,000mlを超える水が、15〜25%の範囲において、或る温度で、1gの固体の溶液を生成するのに必要とされることを意味する。
【0074】
本発明の1つの好ましい態様においては、本明細書において定義されるウイッキング剤を含む非顆粒状成分と組み合わされた、NSAID塩がその中に均一に含まれた糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含む顆粒状成分を含む薬剤組成物が提供される。好ましくは、顆粒状成分は、崩壊剤を更に含む。
【0075】
好適には、ウイッキング剤は、薬剤組成物の全重量を基準にして、0.1〜15重量%(好ましくは、0.1〜8重量%、好ましくは、0.1〜5重量%、更に好ましくは、0.2〜3重量%)の量で存在する。前記不溶性ウイッキング剤は、無機物質、デンプン物質、セルロース物質、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等、及びこれらの混合物から選択される。好ましくは、無機物質は、二酸化ケイ素、PTFE粉末、アルカリ金属ケイ酸塩、アルカリ土類金属ケイ酸塩、アルカリ金属炭酸塩及び炭酸水素塩並びにアルカリ土類金属炭酸塩を含む。例としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、PTFE粉末、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸マグネシウム及びケイ酸カルシウムが挙げられる。好ましくは、デンプン物質は、ポテトデンプン、トウモロコシデンプン、米デンプン、タピオカデンプン及び前ゲル化デンプン等の変性デンプンを含むデンプン誘導体等のデンプンを含む。更に好ましくは、ウイッキング剤は、二酸化ケイ素及び/又はアルカリ土類金属炭酸塩、特に、炭酸カルシウム、タルク、トウモロコシデンプン及び前ゲル化デンプンの少なくとも1つを含む。最も好ましくは、ウイッキング剤は二酸化ケイ素を含む。
【0076】
二酸化ケイ素は水に不溶であり、好ましくは、50m/gを超え、更に好ましくは、100m/gを超え、特に、150〜250m/gの範囲における表面積を有する。最も好ましくは、二酸化ケイ素は、コロイド状二酸化ケイ素(特に、50nm未満、例えば、5〜40nm等の平均粒径サイズを有する)であり、最も好ましくは、無水コロイド状二酸化ケイ素である。二酸化ケイ素のタップ密度は、好ましくは、0.01〜0.2g/cmの範囲である。
【0077】
ウイッキング剤、例えば、二酸化ケイ素は、好ましくは、薬剤組成物を基準にして、0.05〜5.0重量%(好ましくは、0.1〜3重量%、更に好ましくは、0.2〜1重量%)の範囲で、組成物に導入される。
【0078】
二酸化ケイ素を、溶融物顆粒に含んでもよい。二酸化ケイ素を溶融物顆粒に含む場合は、一般的に、薬剤組成物の全重量を基準にして、0.1〜1重量%、更に好ましくは、0.2〜0.8重量%の範囲で使用される。
【0079】
好ましくは、二酸化ケイ素は、非顆粒状成分に存在する。更に好ましくは、二酸化ケイ素は、薬剤組成物の0.1〜3重量%、更に好ましくは、0.2〜2重量%の範囲で、非顆粒状成分に存在する。
【0080】
好ましい薬剤組成物は、本明細書において定義される顆粒状成分及び二酸化ケイ素を含む非顆粒状成分を含む。
【0081】
少量のウイッキング剤、例えば、二酸化ケイ素が、水性条件において、特に、酸性条件(例えば、胃において見出される)において、組成物をそれほどに素早く分散させて、比較的に短期間内に、高い割合でNSAIDの溶解又は分散を引き起こす効果を有するとは驚きである。
【0082】
本発明は、好ましくは、圧縮組成物において、本明細書において定義される顆粒状成分と組み合わされた非顆粒状成分における、本明細書において定義される水不溶性ウイッキング剤、特に二酸化ケイ素の使用を提供するもので、前記顆粒状成分は、NSAID塩及び場合により1つ又は複数の賦形剤がその中に含まれた糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含み、ここで該ウイッキング剤は、水性条件において、圧縮組成物の分散を高める。顆粒は、好ましくは、崩壊剤及び場合により、全体に均一に分散される希釈剤を導入する。組成物は、好ましくは、製剤の0.05〜10重量%、好ましくは、0.1〜5重量%のウイッキング剤、例えば、0.1〜5重量%の二酸化ケイ素を含む。
【0083】
場合により、潤滑剤を、薬剤組成物に含んでもよい。潤滑剤を、顆粒状成分及び/又は非顆粒状成分に含んでもよい。好ましくは、潤滑剤は、顆粒状成分と混合するために、非顆粒状成分に含まれる。イブプロフェン錠剤のための通常の潤滑剤、例えば、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、水素化植物油、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸カルシウムが使用されてもよい。これらは、薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜5重量%、好ましくは、0.1〜3.0重量%の量で存在してもよい。
【0084】
本発明による有利な薬剤組成物は、本明細書において定義される顆粒状成分並びに二酸化ケイ素及び潤滑剤及び場合により希釈剤を含む非顆粒状成分を含む。非顆粒状成分は、錠剤に圧縮する前に、前記顆粒状成分と緊密な混合物を形成してもよい。
【0085】
本発明の最も重要な利点は、良好な溶解特性を伴い、迅速に崩壊する剤形、例えば、圧縮錠剤を達成するために必要な賦形剤の数が最小限ですむということであることは良く理解されてはいるが、当業者に知られているその他の通常の錠剤化賦形剤を、必要に応じて、本発明による薬剤組成物に含んでもよい。
【0086】
本発明は、又、NSAID薬、並びに少なくとも1つの更なる薬理学的に活性な成分及び/又は増強剤を含む製剤を提供する。更なる薬剤として活性な成分は、顆粒状成分又は非顆粒状成分に存在してもよい。更なる薬剤として活性な成分及び/又は増強剤を含む製剤は、患者の消費に適した任意の形状において提供することができるが、好ましくは、錠剤の形状において提供される。
【0087】
したがって、例えば、剤形は、疼痛、炎症及び/又は発熱に対して有用な組成物において普通に使用される任意のその他の成分、例えば、カフェイン又はその他のキサンチン誘導体、その他の鎮痛剤、例えば、コデイン、骨格筋弛緩薬:抗ヒスタミン(例えば、アクリバスチン、アステミゾール、アザタジン、アゼラスチン、ブロモジフェンヒドラミン、ブロムフェニラミン、カルビノキサミン、セチリジン、クロルフェニラミン、シプロヘプタジン、デクスブロモフェニラミン、デクスクロロフェニラミン、ジフェンヒドラミン、エバスチン、ケトチフェン、ロドキサミド、ロラチジン、レボカバスチン、メキタジン、オキサトミド、フェニンダミン、フェニルトロキサミン、ピリラミン、セタスチン、タジフィリン、テメラスチン、テルフェニジン、トリペレンナミン又はトリプロリジン(好ましくは、非鎮痛抗ヒスタミンが使用される));消炎剤(例えば、偽エフェドリン、フェニルプロパノールアミン及びフェニルエフリン;鎮咳剤(例えば、カラミフェン、コデイン又はデクストロメトルパン;去痰薬(例えば、ガイフェネシン、クエン酸カリウム、カリウムグアイヤコールサホネート、硫酸カリウム及びテルピン水和物);抗潰瘍ヒスタミン拮抗薬(例えば、ミソプロストール);及び/又は吐き気止め(例えば、ドンペリドン)を含んでもよい。
【0088】
その様な外部活性成分及び/又は増強剤は、溶融物顆粒又は、圧縮錠剤に製剤する前に、溶融物顆粒と組み合わされる非顆粒状成分において導入されてもよい。好ましくは、溶融物顆粒は、パラセタモールを含まない。適当な投薬量に関しては、指針として、MIMS及びthe Physicians Desk Referenceが参照されてもよい。その様なその他の活性成分は、製剤の0.1〜50%w/w、例えば、5〜25%w/wを形成することが一般的に求められる。
【0089】
NSAID塩の更なる薬理学的に活性な成分に対する比は、剤形におけるNSAID塩の割合による。したがって、薬剤の投薬量によって、20:1〜1:100、都合の良い様に、5:1〜1:40の範囲に入ることが期待できる。比較的に高い投与量の薬剤、例えばイブプロフェン等に対しては、NSAID塩の更なる薬理学的に活性な成分に対する比は、好ましくは、1:5〜1:25、更に好ましくは、1:6〜1:20の範囲であってもよい。比較的に低い投与量の薬剤、例えばフルルビプロフェン等に対しては、NSAID塩の更なる薬理学的に活性な成分に対する比は、適切には、10:1〜1:10、好ましくは、1:4〜4:1重量部であってもよい。
【0090】
更なる薬理学的に活性な成分が、製剤の顆粒状成分に存在する場合は、固体状態において、糖アルコール、NSAID塩と一般的に組み合わされる。一般的に、この混合物は、次いで、少なくとも糖アルコールを溶融するために加熱される。液体が形成される。更なる薬理学的に活性な成分は、融解糖アルコールにおいて可溶であってもよく又は不溶であってもよく、したがって、液体糖アルコール溶融体内における、更なる薬理学的に活性な成分の溶液又は分散体が、この組合せを溶融押出しすることにより生成される。一般的に、更なる薬理学的に活性な成分は、これらが導入される糖アルコールよりも高い融点を有する。これらが低融点を有する場合は、固化溶融物は、低融点活性成分を伴う糖アルコールの組合せ溶融物である。更なる薬理学的に活性な成分が、糖アルコールの融点よりも高い融点を有する場合は、顆粒状組成物において糖アルコールと緊密に混合され、固化糖アルコール溶融物において、均一若しくは均質固溶体又は分散体として存在する。液体溶融物は冷却され、固化溶融物が形成される。混合物は冷却するにつれて、更に粘稠になる。混合物は、以降に検討される方法により冷却することができ、固体が生成される。溶融物顆粒は、糖アルコールが固化する前、途中又は後に形成されてもよい。
【0091】
この様に、本発明のこの態様に関連して使用される「固化溶融物顆粒」とは、糖アルコール及びNSAID塩を、固体状態において、更なる薬理学的に活性な成分と組合せ、糖アルコールを溶融し、冷却し、混合物を固化溶融物顆粒に形成することにより形成される顆粒を意味する。或いは又、更なる薬理学的に活性な成分は、一度溶融された糖アルコールと混合されてもよい。
【0092】
更なる薬理学的に活性な成分は、NSAID塩を含む糖アルコール溶融物顆粒内に含まれる単独成分であってもよく、又は崩壊剤及び/又は希釈剤及び場合により、界面活性剤及びその他の錠剤化賦形剤と組み合わされてもよい。したがって、1つの好ましい実施形態では、顆粒は、80%w/wを超えるNSAID塩及び更なる薬理学的に活性な成分を含んでもよい。好ましい溶融物顆粒は、糖アルコール、NSAID塩、更なる薬理学的に活性な成分、崩壊剤及び場合により、界面活性剤及び/又は希釈剤を含む。更に好ましい溶融物顆粒は、糖アルコール、NSAID塩、更なる薬理学的に活性な成分及び崩壊剤の組合せ(98〜100%w/w)から成る。更に好ましい溶融物顆粒は、糖アルコール、NSAID塩、更なる薬理学的に活性な成分、崩壊剤及び界面活性剤から成る。更に好ましい顆粒成分は、糖アルコール、NSAID塩、更なる薬理学的に活性な成分、崩壊剤、界面活性剤及び希釈剤から成る。
【0093】
好ましい薬剤組成物、特に、圧縮錠剤組成物は、
a)NSAID塩がその中に均一に含まれた糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含む顆粒状成分;及び
b)薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜5.0重量%の不溶性ウイッキング剤
の緊密な混合物を含む。
【0094】
更に好ましい薬剤組成物、特に、圧縮錠剤組成物は、
a)NSAID塩及び崩壊剤がその中に均一に分散された糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含む顆粒状成分;及び
b)薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜5.0重量%の不溶性ウイッキング剤
の緊密な混合物を含む。
【0095】
好ましくは、本明細書において言及されている通り、不溶性ウイッキング剤は、非顆粒状成分内に存在する。更に好ましくは、不溶性ウイッキング剤は、二酸化ケイ素を含む。
【0096】
更に好ましい薬剤組成物、例えば、圧縮錠剤においては、
a)NSAID塩、好ましくは、イブプロフェン塩、及び崩壊剤、好ましくは、クロスカルメロースナトリウムを含む糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含む顆粒状成分であって、該糖アルコールが、顆粒状成分の1〜30重量%の量で存在し、NSAID塩が、顆粒状成分の60〜95重量%の量で存在し、崩壊剤が、顆粒状成分の1〜25重量%の量で存在し;
b)薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜5.0重量%の二酸化ケイ素;及び場合により
c)潤滑剤及び/又は希釈剤
の緊密な混合物が用意される。
【0097】
更に好ましい薬剤組成物、例えば、圧縮錠剤においては、
a)NSAID塩、好ましくは、イブプロフェンナトリウム又はカリウム、崩壊剤及び場合により、希釈剤がその中に均一に分散された糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含み、前記糖アルコールが、顆粒状成分の1〜30重量%の量で存在し、前記NSAID塩が、顆粒状成分の60〜95重量%の量で存在し、前記崩壊剤が、顆粒状成分の1〜25重量%の量で存在し、前記希釈剤が、顆粒状成分の0〜20重量%の量で存在することを含んでなる顆粒状成分を、薬剤組成物の全重量を基準にして、60〜99重量%、好ましくは、70〜99重量%、更に好ましくは、85〜99重量%;
b)薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜5重量%のウイッキング剤、特に二酸化ケイ素を含む非顆粒状成分を、薬剤組成物の全重量を基準にして、1〜40重量%、好ましくは、1〜30重量%、更に好ましくは、1〜15重量%、
含む緊密な混合物が用意される。
【0098】
好ましくは、薬剤組成物、特に非顆粒状成分は、更に、本明細書において定義される1つ又は複数の潤滑剤、特に、ステアリン酸又はこの塩、即ち、ステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸マグネシウムから選択される潤滑剤を、薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜5重量%含む。
【0099】
或いは、又は更に、薬剤組成物、特に非顆粒状成分は、更に、本明細書において定義される1つ又は複数の希釈剤、特に、微結晶セルロース又はリン酸二カルシウムから選択される希釈剤を、薬剤組成物の全重量を基準にして、0.1〜25重量%、更に好ましくは、4〜15重量%含む。
【0100】
好ましくは、糖アルコールは、D−ソルビトール又はキシリトール、特に、キシリトールから選択される。
【0101】
なお更に好ましい薬剤組成物は、
a)NSAIDアルカリ金属塩、好ましくは、イブプロフェンナトリウム又はカリウム、及び崩壊剤、好ましくは、ナトリウムクロスカルメロースナトリウムがその中に均一に含まれた、キシリトール又はD−ソルビトールの複数の固化溶融物顆粒を含み;
(i)該キシリトール又はD−ソルビトールが、薬剤組成物の全重量を基準にして、5〜15重量%の量で存在し;
(ii)該NSAIDアルカリ金属塩が、薬剤組成物の全重量を基準にして、60〜80重量%の量で存在し及び
(iii)該崩壊剤が、薬剤組成物の全重量を基準にして、5〜15重量%の量で存在することを含んでなる顆粒状成分を、薬剤組成物の全重量を基準にして、80〜99重量%;並びに
b)(iv)薬剤組成物の全重量を基準にして、0.1〜3重量%の不溶性ウイッキング剤、特に、二酸化ケイ素;
(v)薬剤組成物の全重量を基準にして、0.05〜5重量%の潤滑剤、特に、ステアリン酸又はこの塩;及び
(vi)薬剤組成物の全重量を基準にして、1〜15重量%の希釈剤、特に、微結晶セルロース又はリン酸二カルシウム
を含む非顆粒状成分を1〜20重量%、
含む緊密な混合物を含む。
【0102】
好ましくは、成分(i)〜(vi)の合計は、組成物の99重量%を超える。
【0103】
最も好ましくは、顆粒状成分は、キシリトール又はD−ソルビトール、イブプロフェンナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムから成る(即ち、顆粒状成分の98重量%を超える)。
【0104】
NSAID塩及びこの誘導体は、主に、抗炎症薬、鎮痛薬及び抗発熱薬であるが、歯周の骨量減少、掻痒及びアルツハイマー病を含めた、その他の治療用途に対しても提案されている。本発明の薬剤組成物は、したがって、関節リウマチ、変形性関節症、強直性脊椎炎、血清反応陰性関節症、関節周囲障害及び軟組織損傷を含めて、シクロオキシゲナーゼ阻害剤が有効な全ての治療用途の治療における使用を適応とする。これらは、又、術後疼痛、産後の疼痛、歯痛、月経困難症、頭痛、片頭痛、リウマチ痛、筋肉痛、背痛、神経痛及び/又は筋骨格系疼痛或いは以下に関係する疼痛又は不快感:呼吸器感染、風邪若しくはインフルエンザ、痛風若しくは朝のこわばりの治療において使用されてもよい。
【0105】
したがって、本発明のその他の態様においては、疼痛及び/又は炎症及び/又は発熱の治療に使用するための本発明による薬剤組成物が提供される。更に、本発明は、又、その要求に応じて哺乳類に対する本発明による組成物の投与を含む、疼痛及び/又は炎症及び/又は発熱を治療する方法を提供する。
【0106】
有効な治療のための単位投薬量は、各NSAIDに対して当業者の良く知るところである。例えば、これらは、5mg、10mg、12.5mg、25mg、50mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、600mg及び800mgの範囲までNSAIDを含んでもよい。誘導体が使用される場合は、標準的に、正確な単位投薬量は、上で与えられた同等のNSAID投与量を与えるために選択される。本明細書において記載されている治療に対しては、イブプロフェンの最大の1日投与量は、一般的に3200mgである。単一単位1日投与量は、100mgであってもよい。好ましい単位投与量は、100〜400mg、更に好ましくは、100〜300mg、特に、200mgのイブプロフェンの範囲である。フルルビプロフェンの最大の1日投与量は、一般的に300mgである。単一単位投与量は、12.5mgであってもよい。好ましい単位投与量は、12.5〜150mg、更に好ましくは、25〜100mg、特に、50mgのフルルビプロフェンの範囲である。ナプロキセンの最大の1日投与量は、一般的に1500mgである。単一単位投与量は、125mgであってもよい。好ましい単位投与量は、220〜750mg、更に好ましくは、220〜500mg、特に、220〜250mgのナプロキセンの範囲である。ケトプロフェンの最大の1日投与量は、一般的に200mgである。単一単位投与量は、25mgであってもよい。好ましい単位投与量は、25〜100mg、更に好ましくは、25〜75mg、特に、50mgのケトプロフェンの範囲である。
【0107】
好ましくは、薬剤組成物は、経口投与のための単位剤形の形態にある。単位投与量は、飲み込んでもよく、摂取前に水に分散してもよく、又は口中で崩壊するのに適したものであってもよい。好ましくは、単位剤形は、胃又は胃腸管において、NSAID塩を放出するのに適したものである。最も好ましくは、単位剤形は、その要求に応じて患者により飲み込まれる。
【0108】
適当な単位剤形としては、圧縮錠剤、チュアブル錠、発泡性製剤、トローチが挙げられる。最も好ましくは、単位剤形は、圧縮錠剤、特に、非発泡性圧縮錠剤の形態にある。
【0109】
この様に、更に好ましい態様によれば、本発明は、本明細書において定義される薬剤組成物を含む圧縮錠剤を提供する。圧縮錠剤は、飲み込まれるか投与前に水に分散されてもよいが、好ましくは、圧縮錠剤は、飲み込まれ、胃又は胃腸管において、NSAID塩を放出するのに適したものである。
【0110】
本発明は、又、
a)前記NSAID塩が、場合により、顆粒に存在してもよい1つ又は複数の更なる賦形剤と一緒にその中に含まれた前記融解糖アルコールを含む溶融混合物を形成する工程;及び
b)溶融混合物を、固化溶融物顆粒に形成する工程、
を含む、本発明の薬剤組成物の製造方法を提供する。
【0111】
好ましくは、工程(a)は、溶融押出機において行われる。好ましくは、工程(b)において、溶融混合物は冷却され、固化溶融物を形成し、固化溶融物は、複数の溶融物顆粒に形成される。
【0112】
固化溶融物顆粒に存在してもよい、NSAID塩及び糖アルコール以外の成分は、上記に記載されている。その様な成分としては、崩壊剤、更なる薬剤として活性な作用薬、不溶性ウイッキング剤、希釈剤及び潤滑剤が挙げられるがこれらに限定されない。
【0113】
本発明方法においては、溶融物顆粒に含まれるべき、糖アルコール及びNSAID塩並びに任意の更なる賦形剤は、糖アルコールを溶融する前に、固体状態において混合してもよい。或いは又、溶融物顆粒の更なる成分は、前記NSAID塩がその中に含まれた、前記融解糖アルコールを含む溶融混合物に添加されてもよい。1つ又は複数の更なる成分を、糖アルコールを溶融する前に、糖アルコール及びNSAID塩と混合する方法並びに1つ又は複数の更に更なる成分を、融解糖アルコール及びNSAID塩の溶融混合物に添加する方法は、又、本発明の範囲内である。特に好ましい方法は、溶融物顆粒に含まれるべき任意の更なる賦形剤と一緒に、固体状態において、糖アルコール及びNSAID塩を組み合わせること、次いで、糖アルコールを溶融することを含む。
【0114】
顆粒状組成物は、大規模で単純なコスト効率の良い製造方法により、本発明に従って調製されてもよい。本発明による薬剤組成物から調製される組成物は、貯蔵において安定であること及び有利な溶解性を有することが分かった。製剤は、有利な崩壊性と組み合わせた、適当な硬度を有する剤形を用意するための錠剤化方法中に、付着又はキャッピングすることなしに錠剤化されてもよい。更に、或種のNSAIDSに見られる芳しくない味覚が、顕著に改善される。
【0115】
上述の方法は、多数の方法において行われてもよい。1つの方法においては、糖アルコールは、適当な容器において溶融するまで加熱する。NSAID塩を、次いで、溶融塊に添加し、徹底的に混合して、均一混合物を形成してもよい。任意の更なる賦形剤は、同時に又はその後に溶融混合物にブレンドしてもよい。融解混合物は、次いで、適当な冷却系、例えば、連続的に回転して、冷却された溶融物を、スクレーパーバー及び/又はミル等の粉砕装置へ運ぶ冷却ベルトに送り出されてもよい。
【0116】
更なる方法においては、糖アルコールは、NSAID塩及び顆粒に存在してもよい任意の更なる賦形剤、例えば、崩壊剤又は希釈剤と一緒にされ、次いで、前記糖アルコールが完全に溶融するまで、一緒に加熱してもよい。なお更なる方法においては、糖アルコール及びNSAID塩は、一緒にされ、前記糖アルコールが完全に溶融されるまで一緒に加熱され、任意の賦形剤が、混合物と均一にブレンドされる。
【0117】
その他の方法においては、糖アルコール及びNSAID塩、並びに顆粒に存在してもよい任意の更なる賦形剤は、押出機タイプ系に供給される(好ましくは、最初に、一緒にブレンドされて組み合わされている)。材料は加熱され、糖アルコールが完全に溶融され、均一な混合物が生成されるまで、押出機において混合される。糖アルコール及びNSAID塩並びに任意の更なる賦形剤は、押出され、押出し物は冷却される。好ましくは、糖アルコール及びNSAID塩並びに任意の更なる賦形剤は、二軸スクリュー押出機において押し出される。押出された温かい塊(糖アルコール及びNSAID塩並びに任意の更なる成分を含む)は、凝集塊を形成し、これは収集され、必要に応じて、顆粒を形成するために粉砕されてもよい。
【0118】
更なる方法においては、加熱又は加熱−押出し後に、糖アルコール及びNSAID塩並びに任意の更なる賦形剤は、溶融塊が、冷却空気の流れの道筋の中に噴霧され、乾燥された固体塊が収集される、噴霧塔乾燥機に供給されて冷却されてもよい。
【0119】
顆粒状成分の調製においては、糖アルコールは溶融される。加圧条件下では、糖アルコールは、その正常な融点より下の温度で溶融されてもよい。溶融は、例えば、糖アルコールの融点より上の温度まで容器において加熱するか又は加熱した押出機における押出しによることを含めて、知られている方法により行われてもよい。加圧の条件下では、糖アルコールは、その正常な融点より下の温度で溶融されてもよい。最大温度は、融解糖アルコール及びNSAID塩並びにそれらと一緒にされる更なる任意の成分の安定性により決定される。糖アルコールは、任意の都合のよい温度に加熱されてもよい。薬剤を加熱するのに必要とされるエネルギー入力によりバランスが取られなければならないが、一般的に、温度が高い程、より早く糖アルコールは溶融する。最大効率のためには、エネルギーコストを最少に維持するために、糖アルコールは、その融点より上で、50℃以下、好ましくは、30℃以下、最も好ましくは、10〜30℃に加熱することが一般的に考えられる。
【0120】
糖アルコール及びNSAID塩が押出される場合は、一般的に、押出機は、所定の温度まで加熱される。更に、押出機におけるスクリュー配列による糖アルコール及びNSAID塩における働き掛けが、糖アルコールを溶融することに寄与し、その外部適用温度要件を減少させる。したがって、押出機バレルは、糖アルコールの融点未満の温度に加熱されてもよい。例えば、キシリトールの正常な融点は95〜97℃であるが、力/圧力の条件下(例えば、押出機又は同様の加工装置において遭遇する可能性のあるもの等)では、キシリトールを溶融するのに必要な外部適用加熱は、押出機内での強力な混合作用により発生する機械的熱により著しく減少されてもよい。押出機は、糖アルコールの融点より25℃低い温度以上、好ましくは、糖アルコールの融点より20℃低い温度から糖アルコールの融点より50℃高い温度までの範囲の温度、更に好ましくは、糖アルコールの融点より10℃低い温度から糖アルコールの融点より30℃高い温度までの温度、最も好ましくは、糖アルコールの融点より10〜30℃高い温度の範囲における温度に加熱されることが一般的に考えられる。幾つかの押出機は、押出機において、異なるゾーンを異なる温度に加熱することが可能である。これらの温度は、必要に応じて、糖アルコールが完全に溶融されることを確実にするために選択することができる。好ましくは、糖アルコール、NSAID塩及び任意の賦形剤、例えば、崩壊剤は、前記糖アルコールを溶融するために、80〜180℃、更に好ましくは90〜170℃、最も好ましくは、110〜150℃の範囲における温度まで加熱される。糖アルコールがキシリトール又はD−ソルビトールである場合は、都合良い様に、100〜160℃、更に好ましくは、110〜130℃の範囲において加熱される。糖アルコールは、又、加熱されて、力条件、例えば、二軸スクリュー押出機において糖アルコールを加熱−押出しすること等の力条件に掛けられてもよい。
【0121】
糖アルコール、NSAID塩及び顆粒に存在してもよいその他の任意の賦形剤は、好ましくは、糖アルコール及びNSAID塩の固体混合物のための入口並びに融解押出し物のための出口を有する、加熱された押出機バレルにおいて溶融されてもよい。バレルは、必要に応じて、異なる加熱ゾーンに分けられていてもよい。適当な押出機配置は、国際特許出願PCT/GB02/02556において開示されている。
【0122】
押出機は、又、1つ又は複数の冷却ゾーンを有してもよい。冷却ゾーンは、押出される材料における混練作用により発生した熱を除去するために、特に、押出機の中への、及び押出機から外への材料の良好な流れが存在することを確実にするために必要であってもよい。
【0123】
本発明の好ましい方法においては、押出機には、冷却ゾーン及び加熱ゾーンが用意される。更に好ましくは、押出機に入る材料が、加熱ゾーンに向けて、押出機に沿って運搬又は移動されてもよい様に、押出機の入口部分に冷却ゾーンが用意される。押出機における材料の処理量にとっては不利となりうる糖アルコールの部分的溶融は起きないように、冷却ゾーンにおいては、押出される材料内で発生した内部熱は運び去られる。好ましくは、押出機には、冷却されたトランスファゾーン及び加熱された溶融ゾーンが用意される。
【0124】
更に好ましい方法においては、出口又はその近くの、押出機の末端部分に加熱ゾーンが用意される。押出される材料は、融解押出し物及び押出し物冷却手段との間の温度差が、冷却処理を最適化するのに適切である様に、最大限にされる様に、押出機出口を通過する押出し物が十分に加熱されることを確実にするために加熱されてもよい。例えば、バレルは、出口を通過する押出し物が、できれば完全に溶融する又は実質的に完全に溶融する様に加熱されてもよい。押出機内の圧力は、糖アルコールの融点の低下を引き起こす可能性がある。したがって、好ましくは、出口を通過する押出し物の温度は、糖アルコールの標準の融点のそれぞれの側で20℃の範囲、好ましくは、糖アルコールの融点のそれぞれの側で10℃以内の範囲である。
【0125】
押出機には、糖アルコール内で熱を発生させるために配置された手段を用意した、少なくとも1つのスクリュー軸が適切に用意される。これは、通常、混練パドル及び螺旋状スクリューの組合せにより達成されてもよい。一般的に、入口から離れて材料を運ぶために、入口部分に螺旋状スクリューを用意することが好ましい。材料は、スクリュー及び/又はパドルを伴う押出機バレルにおいて押出されてもよい。押出される材料の押出し効果を最大限にするためには、1つより多いスクリュー軸、例えば、二軸スクリューを使用することが好ましい。パドルの使用は、又、押出される材料に掛かる剪断効果を最大限にする。パドルは、糖アルコールを溶融するのに適当である様に、任意の所望の角度で又は糖アルコール内で内部熱を発生させるための角度の組合せでオフセットされてもよい。パドルの配列及び/又はサイズは、押出機の径及び/又は長さ、長さ対径の比、押出機速度、適用されるトルク及び糖アルコールを溶融するための望ましい温度に依存する。スクリュー及び/又はパドルは、必要に応じて、混合ゾーン内の圧力を最大限にするために、順方向及び/又は逆方向であってもよい。
【0126】
好ましい配置は、押出機の入口部分に螺旋状トランスファスクリュー、異なるサイズ及びそれに対してパドルがオフセットされる角度を有してもよい複数のパドル並びに、押出機の外へ押出し物を運ぶための更なる螺旋状トランスファスクリューを出口部分に含む。更に、好ましくは、出口部分の螺旋状トランスファスクリューは、逆螺旋に続いて順螺旋を含んでもよい。
【0127】
糖アルコールが実質的に完全に溶融される場合は、液体が形成される。糖アルコールは、冷却により、糖アルコールの単一連続無定形相が形成される様に、完全に溶融されなければならない。好適には、糖アルコールの融点は、NSAID塩の融点よりも実質的に低い。したがって、NSAID塩は、一般的に、本発明の薬剤組成物の調製中には溶融しない。NSAID塩は、融解糖アルコール内で部分的に溶解してもよく及び/又はNSAID塩は、融解糖アルコール内で分散されてもよい。主に、NSAID塩の大部分は、融解糖アルコール内で均一に分散される。都合の良いことに、本発明方法は、NSAID塩の劣化を最小限にし及び/又は防ぎながら、NSAID塩を含む薬剤組成物の形成を可能にする。使用される場合は、更なる成分、例えば、上述の崩壊剤又は更なる薬剤として活性な作用薬又は任意のその他の賦形剤等は、糖アルコールを溶融する前又は溶融処理後に、糖アルコール及びNSAID塩と一緒にされる。使用される更なる成分は、大抵は、糖アルコール及びNSAID塩溶融混合物に不溶であり、液体溶融物内で更なる成分の分散体が生成される。分散体は、更なる成分が、溶融した糖アルコール及びNSAID塩混合物と均一に又は均質に組み合わされる様に混合される。均一混合物は、この様にして生成される。混合物は、以降において検討される方法により冷却されて、固体が生成される。混合物は冷却するにつれて、一層粘稠になる。固化した糖アルコールは、次いで、溶融物顆粒に形成される。したがって、本明細書において使用される「固化溶融物顆粒」とは、場合により、任意の更なる成分と一緒にその中に含むNSAID塩を有し、糖アルコールの融点より下の温度に冷却し、固体塊を顆粒に形成する、融解した形態、好ましくは完全に融解した形態における糖アルコールから形成される顆粒を意味する。本発明の顆粒状組成物は、複数のその様な顆粒を含む。
【0128】
溶融物は、便利な任意の方法において固化することが可能である。これは、急速冷却及びゆっくりした冷却の両方を含む。好ましくは、溶融物は、急速に冷却され(即ち、急冷され)、それによって、固化糖アルコールが、単一連続無定形相を形成するのを確実にする。例えば、融解混合物は、冷却容器において冷却させてもよい。融解混合物は、固定されていてもよい、又は連続的に移動していてもよい冷却トレイの中に注入されてもよい。固定式トレイは、冷却室に置かれてもよい。移動式トレイ又はベルトは、更なる冷却手段、例えば、冷却水を有してもよい。冷却された溶融物は、固体を形成し、ベルトから捨てられてもよく、又は連続的に移動するベルトの一端から落ちて収集されてもよい。
【0129】
好ましくは、糖アルコールは、それが押出機を出て行く際に完全に溶融される。押出し物は、更なる成分を伴わずに、融解糖アルコール及びNSAID塩をその中に含んで成ってもよく、該糖アルコールは、単一連続無定形相として存在し、及び該NSAID塩は、その中に溶解され及び/又は分散されている。場合により、押出し物は、融解糖アルコール及びNSAID塩内でブレンドされる、更なる成分、例えば、崩壊剤、界面活性剤及び希釈剤の1つ又は複数を含んでもよい。
【0130】
好ましくは、押出し物は、2以上の薄いリボンに形成される。これは、融解押出し物を、冷却手段、好ましくは、冷却ベルト又は冷却ドラムの上に向けられてもよい押出し物の流れ又はリボンを形成する、出口にあるチャンネルを通過させることにより、好ましくは達成される。
【0131】
融解押出し物のリボンは、前記冷却手段により急速に冷却される、即ち、リボンは、薄いリボンに固化し、これは、5分以下、好ましくは、1分以下(例えば、0〜60秒)、更に好ましくは、50秒以下(例えば、1〜50秒)、更に好ましくは、1〜40秒、最も好ましくは、1〜30秒で固化する。
【0132】
好適には、融解押出し物の各リボンの幅は、冷却が最適化される様に、リボンの厚さよりも大きい。各リボンの幅は、勿論、少なくともある範囲までは、融解材料の粘度に依存する。好ましくは、融解押出し物の各リボンは、冷却手段上で、10mm以下、好ましくは、0.1〜6mm、更に好ましくは、0.5〜5mm、例えば、3〜4mm、最も好ましくは、1〜3mm、例えば2mmの薄いリボンまでの厚さを有する。
【0133】
冷却は、本来なら、最初に、冷却手段に最も近いリボンの側で起る。したがって、通常は、リボンの下側面が固化し、リボンの上側面は未だ溶融されている。リボンが更に冷却されるにつれて、押出し物は、その厚さ全体にわたって固化する。
【0134】
生産性を最大限にするために、複数のリボンは、例えば、冷却ベルト上で、互いに平行に引き伸ばされて用意される。好ましくは、押出機のサイズによって、2つを超えるリボン、例えば、3、4、5、6、7、8、9若しくは10又はそれ以上のリボンが存在する。リボンの数は、形成されるリボンの幅及び最大数のリボンを供給する冷却手段の全体の幅により制限されてもよい。融解糖アルコール及びNSAID塩のリボンは、冷却手段上では伸びず、したがって、リボン間には小さい間隙だけが必要とされることが分かった。
【0135】
上で検討された通り、冷却手段と接触する際に、融解押出し物との間では顕著な温度差、例えば、少なくとも25℃、好ましくは、少なくとも35℃、更に好ましくは、少なくとも45℃、最も好ましくは、少なくとも55℃を有することが好ましい。上記範囲の上限は、糖アルコールの融点により制限されるが、外部エネルギーコストが、任意の加工効果ではバランスが取れなくなるので、押出される材料を、高過ぎる温度まで加熱することは望ましくない。好ましくは、融解押出し物は、30℃以下、更に好ましくは、20℃以下、最も好ましくは、15℃以下の温度で冷却することにより急冷される。
【0136】
一般的に、融解混合物は、顆粒に形成される前に、糖アルコールの融点より下の温度まで冷却されることが望まれる。融解混合物は、融解混合物を、移動する冷却ベルト、好ましくは、連続的に回転する冷却ベルト上に通すことにより冷却されてもよい。好ましくは、ベルトは、水により冷却される。水は、ベルトの長さに沿って、又は必要に応じて及びベルトの長さ、融解混合物の量及びベルトの速度により、部分的にその長さに沿って、ベルトの下側に供給されてもよい。融解混合物を、少なくとも最初に冷却手段により冷却すること、例えば、それが固化を開始し始めるまでに冷却することが特に好ましい。都合の良い様に、ベルトは、固体状態まで冷却することを可能とするために必要とされる最小長さ(例えば、3〜7m)の、実質的にその長さ全体に沿って水冷される。
【0137】
固化溶融物は、複数の方法により顆粒に形成されてもよい。例えば、顆粒に粉砕されてもよい。ミルに掛けられ及び/又は篩分されてもよい。又、融解材料が、オリフィスから冷却空気の流れの中に噴霧され、凝固/固化し、次いで、収集される、噴霧塔又は噴霧顆粒機等の噴霧装置に通されてもよい。融解糖アルコール及びNSAID塩混合物が押出される場合は、押出し物は、冷却され、次いで、都合のよいサイズ片に破壊され、続いて、ミルに掛けられ及び/又は篩分けられる。或いは又、押出し物は、孔を通して押出され、錠剤化のために適当にサイズ化された顆粒に切断される。移動ベルト又はドラム上で冷却される場合は、冷却された溶融物は、都合の良いサイズ片に破壊され、続いて、ミルに掛けられ及び/又は篩分けられる。
【0138】
顆粒状組成物は、溶融物顆粒が、効率的な錠剤化にとって適当なサイズであることを確実にするために篩分けられてもよい。融解薬剤を冷却することにより生成される顆粒は、好ましくは、錠剤化のために、好ましくは、標準の大規模錠剤化装置において適当なサイズの顆粒である。顆粒状組成物における溶融物顆粒は、好ましくは、10〜2000μm、更に好ましくは、50〜1000μm、及び最も好ましくは、100〜400μmの範囲における平均粒径を有する。有益な結果は、溶融物顆粒の嵩密度が、0.1〜1g/ml、更に好ましくは、0.3〜0.6g/mlの範囲である場合に達成される。タップ密度は、0.3〜0.7g/ml(更に好ましくは、0.4〜0.6g/ml)の範囲であってもよい。溶融物顆粒は、0.5〜2.0g/mlの空隙率を有する。
【0139】
糖アルコールは、好ましくは、溶融物顆粒において単一連続無定形相を形成する。即ち、実質的に全ての糖アルコールは、決められた結晶構造を有さない。
【0140】
固化溶融物顆粒は、直接組成されてもよく、又はこれらは、非顆粒状組成物と組み合わされて、単位剤形に組成されてもよい。予期に反して、溶融物顆粒は、改善された流動性を示し、NSAID塩自体よりもフレーク性/付着性が少ない。都合良く、顆粒は、一般的に、圧縮が容易であり、錠剤化装置のパンチに付着しない。溶融物顆粒は、成分の均一な混合物を形成するために、非顆粒状組成物と徹底的に混合されてもよい。これは、通常の混合及びブレンド方法により達成されてもよい。この方法を促進するために使用されてもよい装置の例は:リボンブレンダー、IBCブレンダー、V−ブレンダー及びプラウブレンダー(Plough Blender)である。例としては、さらさらした粉末混合物を、小袋若しくはカプセルに充填すること又はそれを錠剤に圧縮することが挙げられる。錠剤は、本発明による好ましい単位剤形である。これらは、飲み込まれてもよく又はこれらは噛まれてもよい。NSAID塩の味は、実質的に隠されていることが予期に反して分かった。このことは、口腔において或る期間維持されながら製剤が飲み込まれるような剤形を可能にする。
【0141】
本発明の圧縮された錠剤組成物は、場合により、フィルム被膜、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の通常のセルロースポリマーを基にしたフィルム被膜、又は、例えば、スクロース若しくはラクトースを基にした通常の糖被膜で被覆されてもよい。
【0142】
本発明による好ましい錠剤組成物は、錠剤化、好ましくは、粉末ブレンドを形成し、次いで、圧縮により錠剤にされる組成物内に二酸化ケイ素及び場合によりその他の賦形剤を導入することにより調製されてもよい。
【0143】
本発明の好ましい態様においては、
a)前記NSAID塩及び崩壊剤がその中に均一に含まれる前記融解糖アルコールを含む溶融混合物を形成する工程、及び
b)溶融混合物を、固化溶融物顆粒に形成する工程
を含む、本明細書において定義される薬剤組成物を調製するための方法が提供される。
【0144】
好ましくは、溶融物顆粒は、粉末ブレンドを形成し、次いで、圧縮により錠剤を形成するために、非顆粒状二酸化ケイ素と混合される。
【0145】
本発明は、以下の非限定の実施例により例示される。実施例においては、イブプロフェンナトリウム二水和物は、Shasun Corporation、India又はBASF、Germanyから入手可能であり;ナプロキセンナトリウムは、Divi’s Laboratories、USAから入手可能であり;ナトリウムフルルビプロフェン二水和物は、DSM、USAから入手可能であり;ジクロフェナクモノカリウムは、Unique、Indiaから入手可能であり;クロスカルメロースナトリウムは、FMC Corporation、Brussels、Belgiumから、Ac−Di−Solの商品名で入手可能であり;D−ソルビトール及びキシリトールは、Roquette、Franceから入手可能であり;チャコ(French chalk)は、Luzenac、Franceから入手可能であり;コロイド状二酸化ケイ素(又は、コロイド状シリカとしても知られている)は、Degussa、Frankfurt、Germanyから、Aerosil 200の商品名で入手可能であり;ステアリン酸マグネシウムは、Hays Chemicals UKから入手可能であり;ステアリン酸は、Hays Chemicals UKから入手可能であり;微結晶セルロースは、FMC Corporation、Brussels、Belgiumから、Avicel PH101の商品名で入手可能であり;リン酸二カルシウムは、Univar Limited UKから、Emcompressの商品名で入手可能であり;Lactose NF Fast Floは、DMV in Hollandから入手可能である。
【0146】
溶解測定
溶解を、US Pharmacopoeia Vol. 23、 1791頁において記載されている溶解方法を使用し、50rpmでパドルを使用する装置2及びリン酸塩緩衝液(pH7.2及び/又はpH6.0及び/又はpH5.8で選択される)を使用して測定した。
【0147】
破砕強度
破砕強度は、錠剤の硬度の尺度である。錠剤を、Schluniger 6D Tablet Testerの電動顎間で破壊した場合の直径の破砕強度を記録することにより測定した。錠剤試験機の顎は、装置における間隔設定数の23、24、25、27及び29で設定した。間隔設定が高い程、錠剤に適用される圧力は大きくなる。
【0148】
表1及び表2において、太い活字における値は、溶融顆粒状組成物の成分部分を示し、普通の文字における値は、非顆粒状組成物の成分部分を示す。これらの錠剤における数値は、薬剤組成物において存在する各成文の重量%を表す。
【実施例】
【0149】
(実施例1(a)):顆粒状成分の調製
全ての例示的実施例のための方法は、糖アルコール及びNSAID塩を、場合により、顆粒状成分に存在してもよいその他の賦形剤と一緒に、乾燥ブレンドし、次いで、混合物を、押出機において、100〜165℃の温度で加熱して、糖アルコールを完全に溶融し、それによって、融解糖アルコールと、非融解NSAID塩及びその他の任意の賦形剤とを混合することを含む。融解塊を、10℃で、冷却されたステンレススチールトレイ又は冷却された移動ベルト上に注入し、冷却する。融解混合物は、一般的に、60秒以内で固化する;混合物は、冷却中に撹拌してもよい。この様にして形成された固体塊を、1mmの丸い孔を伴うスクリーンを有するコーンミルに通して粉砕する。得られた顆粒を収集する。
【0150】
(実施例1(b)):錠剤の調製
それぞれの非顆粒状成分(表1及び2において普通の文字で示されている)、即ち、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、チョーク、ステアリン酸、ラクトース、リン酸二カルシウム及び微結晶セルロースを、上記実施例1(a)で形成された顆粒状組成物と、約15分間、ブレンダーにおいて同時にブレンドする。ブレンドした材料を、回転錠剤化装置(Fette P21 Hundred 2100)に供給し、NSAID薬の治療的投与量を含む錠剤に圧縮成形した(180,000錠剤/時間の装置速度及び4KN〜14KNの圧縮力)。
【0151】
(実施例2〜16)
錠剤を、実施例1に記載されたものと同じ方法において、表1における成分から調製した。各製剤の圧縮重量を調整して、所望の治療的水準のNSAIDを含む錠剤を得た。実施例1〜16は、錠剤当たり256mgのイブプロフェンナトリウム二水和物を含む。
【0152】
同じ方法において、50mg、100mg、200mg、250mg、300mg、400mg及び500mgのNSAIDを含む圧縮錠剤が形成されてもよい。
【0153】
図1は、実施例13に対する、錠剤破砕強度対錠剤化方法中に適用された圧縮力を示す。これに関して、許容される強度の錠剤は、わずかに4KN程度の圧縮力を使用して製造されてもよい。
【0154】
図2は、それぞれに、4、6、8、10、12及び14KNの圧縮力で形成された、実施例13の組成物を含む錠剤の溶解性を示す。溶解性は、本質的に、各錠剤で一定であり、錠剤化プロセス中にかけた圧縮力には本質的に依存しない。
【表1】

【0155】
(実施例17〜26)
錠剤を、実施例1に記載されたものと同じ方法において、表2における成分から調製した。各製剤の圧縮重量を調整して、所望の治療的水準のNSAIDを含む錠剤を得た。
【0156】
これに関して、ナプロキセンナトリウムは、実施例17〜20においては、250mg/錠剤の量で存在し、ジクロロフェナクカリウムは、実施例21及び22においては、75mg/錠剤の量で存在し、フルルビプロフェンナトリウムは、実施例23及び24においては、75mg/錠剤の量で存在し、実施例25及び26においては、24及び100mg/錠剤の量で存在する。
【0157】
(実施例27−ドライブレンド製剤と比較した、本発明の薬剤組成物の改善された流動性及び圧縮性)
次の成分を含む従来のドライブレンド製剤:
【表2】


【表3】


を30メッシュ篩を通過したコロイド状二酸化ケイ素を除いて、16メッシュ篩により篩分し、錠剤化装置(通常の10.5mm器具を使用する、Manesty F3 single punch tablet press)に供給し、NSAID薬の治療的投与量を含む錠剤に圧縮成形した。混合物は、付着性コンシステンシーを示し、圧縮中、錠剤パンチに対して高水準の付着性を示した。
【0158】
対照的に、表1において詳述された実施例13の製剤は、優れた流動性(即ち、非付着性)を示し、圧縮が非常に容易であった。180,000錠剤/時間の速い速度で、回転錠剤化装置を運転することが可能であった。要するに、錠剤化方法の処理量及び効率は、NSAID塩を含む従来のドライブレンドを使用するのに比べて、NSAIDの塩を含む固化溶融物顆粒を使用することにより顕著に増加される。
【0159】
(実施例28及び29−糖アルコールが部分的に溶融される場合の比較し得る組成物と比較した、糖アルコールが完全に溶融される場合の、本発明の薬剤組成物の改善された流動性及び圧縮性)
以下の実施例28及び29において詳述される次の錠剤を調製した:
【表4】

【0160】
実施例28及び29において詳述される錠剤の顆粒状成分を、実施例28においては、キシリトールが完全に溶融されたのに対して、実施例29においては、キシリトールが部分的に溶融されたこと以外は、実施例1(a)と同様にして調製した。
【0161】
非顆粒状成分を、16メッシュ篩を通して篩分し、実施例28及び29のそれぞれの成分とブレンドした。ブレンドした材料を、錠剤化装置(通常の10.5mm器具を使用する、Manesty F3 single punch tablets press)に供給し、実施例1(b)に詳述するように錠剤に圧縮成形した。実施例28及び29の錠剤の錠剤破砕強度を、Schluniger 6D Tablet Testerを使用して測定し、その結果が、表3及び図3において示される。
【0162】
図3は、キシリトールを部分的に溶融する(実施例29)ものと比較される、キシリトールを完全に溶融することにより形成されたイブプロフェンナトリウムを含む錠剤(実施例28)の破砕強度を比較するものである。
【表5】

【0163】
キシリトールを完全に溶融することにより生成された押出し物(実施例28)は、薄くて、コンシステンシーに注入可能であるのに対して、キシリトール(実施例29)を部分的に溶融して生成された押出し物は、液体であるにも拘わらず、一層粘稠で、ペースト状の外観を有していた。冷却し、粉砕した後の押出し物は共に、同じ様な見た目の外観を有する溶融物顆粒を生成したが、キシリトールを部分的に溶融して生成された溶融物顆粒(実施例29)は、キシリトールを完全に溶融して生成された顆粒(実施例28)よりも柔らかかった。これらの相違は、又、顆粒を錠剤に圧縮した場合に、特に、キシリトールを完全に溶融して形成された顆粒(実施例28)は、キシリトールを部分的に溶融して形成された顆粒(実施例29)と比較して、改善された流動性を示し、錠剤化装置のパンチに付着しないことも明らかであった。好適には、錠剤化方法の処理量及び効率は、キシリトールが完全に溶融される顆粒を使用することにより増加されうる。
【0164】
更に、表3及び図3において示される結果により証明されている通り、キシリトールが完全に溶融されている顆粒(実施例28)から形成された錠剤は、キシリトールが部分的に溶融されている相当する錠剤よりも、かなり一層頑丈で、硬い。好適には、キシリトールを完全に溶融することにより形成された錠剤は、一般的に、キシリトールを部分的に溶融することにより形成された錠剤よりも、製造方法の更なる厳しさ(即ち、フィルム被覆及び包装)に耐えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0165】
【図1】図1は実施例13に対する、錠剤破砕強度対錠剤化方法中に適用された圧縮を示す。
【図2】図2はそれぞれに、4、6、8、10、12及び14KNの圧縮力で形成された、実施例13の組成物を含む錠剤の溶解性を示す。
【図3】図3は、キシリトールを部分的に溶解する(実施例29)ものと比較される、キシリトールを完全に溶解することにより形成されたイブプロフェンナトリウムを含む錠剤(実施例28)の破砕強度を比較するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非ステロイド系抗炎症薬の塩(NSAID塩)がその中に含まれた糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含む顆粒状成分を含む薬剤組成物。
【請求項2】
前記NSAID塩が、前記糖アルコール内に均一に分散している、請求項1に記載の薬剤組成物。
【請求項3】
前記NSAID塩が、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン及びフェンブフェンの塩を含む、請求項1又は2に記載の薬剤組成物。
【請求項4】
前記NSAID塩が、イブプロフェン及びフルルビプロフェンの塩を含む、請求項3に記載の薬剤組成物。
【請求項5】
前記NSAID塩が、ラセミ体イブプロフェンの塩を含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項6】
前記NSAID塩が、前記NSAIDのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩又はアミノ酸塩から選択される、請求項1から5までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項7】
前記NSAID塩が、前記NSAIDのアルカリ金属塩を含む、請求項6に記載の薬剤組成物。
【請求項8】
前記NSAID塩が、カリウム又はナトリウム塩、特に、ナトリウム塩を含む、請求項7に記載の薬剤組成物。
【請求項9】
前記固化溶融物顆粒が、前記糖アルコールを完全に溶融することにより得ることができる、請求項1から8までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項10】
前記糖アルコールが、単糖類又は二糖類を還元することにより誘導できる、請求項1から9までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項11】
前記糖アルコールが、80℃〜170℃、好ましくは、90℃〜125℃の間の融点を有する、請求項1から10までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項12】
前記糖アルコールが、D−ソルビトール、キシリトール、アドニトール、アラビトール、メソ−エリトニトール又はこれらの混合物を含む、請求項1から11までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項13】
前記糖アルコールが、D−ソルビトール又はキシリトールを含む、請求項12に記載の薬剤組成物。
【請求項14】
前記NSAID塩が、前記顆粒状成分の60重量%以上の量で存在する、請求項1から13までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項15】
前記糖アルコールが、前記顆粒状成分の30重量%以下の量で存在する、請求項1から14までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項16】
前記組成物が、さらに崩壊剤を含む、請求項1から15までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項17】
前記崩壊剤が、ナトリウムデンプングリコレート及びクロスカルメロースナトリウムから選択される、請求項16に記載の薬剤組成物。
【請求項18】
前記崩壊剤が、前記薬剤成分の25重量%以下の量で存在する、請求項16又は17に記載の薬剤組成物。
【請求項19】
前記崩壊剤が、前記薬剤組成物の前記顆粒状成分内に存在する、請求項16から18までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項20】
前記組成物が、少なくとも1つの更なる薬剤として活性な成分を更に含む、請求項1から19までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項21】
前記更なる薬剤として活性な成分が、カフェイン、鎮痛剤、消炎剤、抗ヒスタミン、鎮咳剤、抗催吐薬、去痰薬又はこれらの混合物から選択される、請求項20に記載の薬剤組成物。
【請求項22】
前記更なる薬剤として活性な作用薬が、製剤の前記顆粒状成分内に存在する、請求項20又は21に記載の薬剤組成物。
【請求項23】
前記製剤が、水に不溶であるウイッキング剤を更に含む、請求項1から22までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項24】
前記ウイッキング剤が、無機材料、デンプン材料、セルロース材料又はこれらの混合物の少なくとも1つを含む、請求項23に記載の薬剤組成物。
【請求項25】
前記ウイッキング剤が、二酸化ケイ素である、請求項23又は24に記載の薬剤組成物。
【請求項26】
前記ウイッキング剤が、前記薬剤組成物の0.1〜5重量%の量で存在する、請求項23から25までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項27】
前記ウイッキング剤が、前記組成物の非顆粒状成分内に存在する、請求項23から26までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項28】
前記組成物が、界面活性剤を更に含む、請求項1から27までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項29】
前記組成物が、希釈剤を更に含む、請求項1から28までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項30】
前記希釈剤が、微結晶セルロース又はリン酸二カルシウムから選択される、請求項29に記載の薬剤組成物。
【請求項31】
前記希釈剤が、前記薬剤組成物の20重量%までの量で存在する、請求項29又は30に記載の薬剤組成物。
【請求項32】
前記希釈剤が、前記組成物の非顆粒状成分内に存在する、請求項29から31までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項33】
前記組成物が、非顆粒状成分を含む、請求項1から32までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項34】
前記非顆粒状成分が、潤滑剤を含む、請求項33に記載の薬剤組成物。
【請求項35】
前記製剤が、発泡性製剤、チュアブル錠、粉末混合物又は非発泡性圧縮錠剤の形態にある、請求項1から34までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項36】
前記製剤が、非発泡性圧縮錠剤の形態にある、請求項1から35までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項37】
疼痛及び/又は炎症及び/又は発熱の治療に使用するための、請求項1から36までのいずれか一項に記載の薬剤組成物。
【請求項38】
咳、風邪、インフルエンザ、片頭痛、頭痛、リウマチ痛、関節痛、筋肉痛及び/又は神経痛の治療に使用するための、請求項37に記載の薬剤組成物。
【請求項39】
疼痛及び/又は炎症及び/又は発熱の治療に使用するための医薬の調製のための、請求項1から36までのいずれか一項に記載の薬剤組成物の使用。
【請求項40】
(a)前記NSAID塩をその中に含む前記融解糖アルコールを含む溶融混合物を形成する工程であって、場合により、前記溶融物が、前記顆粒内に存在してもよい1つ又は複数の更なる賦形剤を含む工程、
(b)前記溶融混合物を、固化溶融物顆粒に形成する工程、
を含む、請求項1から38までのいずれか一項に記載の製剤の製造方法。
【請求項41】
前記糖アルコールが、前記溶融混合物に完全に融解している、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記溶融混合物が、前記NSAID塩を前記糖アルコールと混合し、次いで、前記糖アルコールを溶融することにより形成される、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項43】
前記溶融混合物が、前記糖アルコールを溶融し、次いで、前記NSAID塩を前記融解糖アルコールに添加することにより形成される、請求項40又は41に記載の方法。
【請求項44】
前記溶融混合物を冷却して固化溶融物を形成し、前記固化溶融物を細分することにより、前記溶融混合物を、固化溶融物顆粒に形成する、請求項40から43までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記固化溶融物顆粒を、場合により、非顆粒状成分と一緒に圧縮して、圧縮錠剤組成物を形成する工程を更に含む、請求項40から44までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
水性条件における圧縮組成物の分散を高めるための、圧縮組成物における顆粒状成分と組み合わせた非顆粒状成分としての水不溶性ウイッキング剤の使用であって、前記顆粒状成分が、NSAID塩をその中に含む糖アルコールの複数の固化溶融物顆粒を含む、該使用。
【請求項47】
NSAID塩の流動性を改善するための糖アルコールの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−509206(P2008−509206A)
【公表日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−525339(P2007−525339)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003077
【国際公開番号】WO2006/016125
【国際公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(506254732)レキット ベンキーザー ヘルスケア (ユーケイ) リミテッド (5)
【Fターム(参考)】