説明

溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランスおよび溶融還元による金属溶湯の製造方法

【課題】溶融還元炉内に粉粒物を気体燃料と支燃ガスとともに供給し、ランス先端の燃焼火炎により粉粒物を適切に予熱することができ、且つランス先端に溶融スラグが付着・凝固したり、支燃ガスが炉内ガスとの反応で消費され、気体燃料の燃焼が不完全になる等の問題を生じない粉粒物装入用バーナーランスを提供する。
【解決手段】内側から順に第1管体1a、第2管体2aおよび第3管体3aが同心円状に配置された多重管構造を有し、第1管体1a内が粉粒物流路x、第1管体1aと第2管体2a間が気体燃料流路y、第2管体2aと第3管体3a間が支燃ガス流路zをそれぞれ構成し、且つ各流路x,y,zの先端が吐出口を構成し、支燃ガス流路zのさらに外側にガス流路vを設け、ガス流路vの先端が吐出口を構成し、且つ該吐出口が第3管体3aの先端位置に設けられ、第1管体1aの先端が、第2管体2aの先端よりもバーナー内方に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属酸化物を主体とする原料(例えばCr鉱石)を金属浴型溶融還元炉において溶融還元する際に用いられる粉粒物装入用バーナーランスと、このバーナーランスを用いた金属溶湯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Cr鉱石などの原料鉱石を、炭材(例えばコークスや無煙炭などの石炭)とともに金属浴型溶融還元炉に装入し、原料鉱石を炉内で溶融還元することにより金属溶湯を製造する方法(溶融還元法)が知られている。一般に、このような溶融還元法では安価な粉粒状の原料鉱石が使用されるが、原料鉱石の溶融還元には大量の熱エネルギーが必要であるため、安定的な操業を行うためには熱源の確保が重要である。溶融還元の熱源としては、炉内に供給される酸素によって炭材を燃焼(一次燃焼)させて得られる熱エネルギーと、この一次燃焼で発生したCOをさらに燃焼(二次燃焼)させることにより得られる熱エネルギーが使用されるが、大量の原料鉱石を低コストに溶融還元するには、一次燃焼と二次燃焼を適切に促進させる必要がある。
【0003】
一次燃焼と二次燃焼を促進させるためには、炉内に供給する酸素量を増加することが有効である。しかし、上吹きランスからの酸素供給量が増加すると、原料鉱石を含むダストの発生量が増加し、鉱石歩留まりの低下やダストの処理コストの増大などの問題が生じる。また、COやCOの発生量が増加するために、炉内の上昇ガス流の風量も増大し、粉粒状の原料鉱石を炉内に安定的に装入することが困難になる。
また、酸素供給量を増やすためには上吹きランスからの酸素ガス流速を高める必要があるが、酸素ガス流速を高めると二次燃焼の効率が低下するため、熱エネルギーの大幅な増加は期待できない。
【0004】
また、二次燃焼を促進させる他の方法としては、上吹きランスの先端位置(ランス高さ)を高くすることや、上吹きランスの先端部から噴射される酸素ガスの流速を低下させること、などが考えられるが、二次燃焼の燃料となるCOは、上吹きランスから吹き込まれた酸素とすぐに混合する訳ではないので比較的燃焼しにくく、これらの方法を採用しても、二次燃焼の大幅な促進は期待できない。
また、原料鉱石の安定装入を狙いとして、酸素供給用の上吹きランスとは別に、原料鉱石を炉内装入するための鉱石装入用ランスを用いる溶融還元法が提案されているが、この溶融還元法でも、例えば酸素供給量を増加させると上述したと同様の問題を生じる。
【0005】
溶融還元の熱源を確保するという要求に対して、特許文献1には、水素を含有する物質を炉内に吹き込んで水素を燃焼させ、その燃焼熱を加えることで総発熱量を増加させる技術が示されている。しかし、水素は全てが炉内の溶湯近傍で燃焼するとは限らず、一部は未燃焼のまま炉外へ排出されたり、炉内の上部空間で燃焼する。その結果、溶湯への着熱が減少し、しかも炉内耐火物の溶損が助長されるおそれがある。
【0006】
また、特許文献2〜4には、燃料となる石炭粉とともに鉱石を炉内に装入する技術が示されている。このうち特許文献2,3に示されているのは、単に石炭の歩留りを高めるための技術である。一方、特許文献4に示されている技術は、上吹きランスから酸素ガスとともに鉱石と石炭粉を吹き込み、その石炭粉の一部を燃料として上吹きランスから火炎を発生させ、その火炎中を鉱石が通過するように装入するものである。しかし、石炭は他の固体燃料(例えば、プラスチックなど)、気体燃料(例えば、プロパンガス、コークス炉ガスなど)、液体燃料(例えば、重油など)比べて着火しにくいので、火炎の形成が不安定になり、安定的な操業が行えない問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開平2−104608号公報
【特許文献2】特開平5−171235号公報
【特許文献3】特開平1−96314号公報
【特許文献4】特開昭60−208409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のような従来技術の問題に鑑み、本出願人はさきに、炉内耐火物の溶損を助長することなく、炉内での総発熱量を増加させることによって、大量の原料鉱石を効率的に溶融還元することを狙いとして、以下のような溶融還元法とこれに使用するバーナーランスを提案(特願2007−53574号,特開2008−179876号)した。すなわち、この溶融還元法は、溶融還元炉内に酸化性ガスを供給する上吹きランスとは別に、粉粒状の原料鉱石を炉内装入するためのバーナーランスを用い、このバーナーランスから、溶融還元炉内に原料鉱石を気体燃料および支燃ガスとともに供給(吐出)し、ランス先端に形成される気体燃料の燃焼火炎中を原料鉱石が通過することにより、予熱された原料鉱石が炉内に装入されるようにするものである。
【0009】
この方法によれば、燃料の発熱量を効率良く原料鉱石に伝達することができ、溶湯への着熱効率を向上させることができる。このため上吹きランスによる酸素供給量を増加することなく、大量の原料鉱石を効率的に溶融還元することができる。
また、この溶融還元法に使用するバーナーランスは、図41に示すように、内側から順に第1管体40、第2管体41および第3管体42が同心円状に配置された多重管構造を有し、第1管体40内が原料流路43、第1管体40と第2管体41間の空間が気体燃料流路44、第2管体41と第3管体42間の空間が支燃ガス流路45をそれぞれ構成するとともに、各流路43,44,45の先端が原料やガスの吐出口を構成するものである(図中、46は冷却水循環流路である)。ランス先端では気体燃料の燃焼火炎fが形成され、この燃焼火炎f中を原料sの落下流が通過することにより、原料sが予熱される。
【0010】
しかし、本発明者らが、その後に検討したところによれば、図41に示すようなバーナーランスを通じて大量の原料鉱石を少量のパージ用窒素ガスとともに炉内装入した場合、ランス先端からの鉱石落下流の運動量が大きくなるため、ランス先端に形成される燃焼火炎が鉱石落下流中に十分に入り込むことができず(すなわち、鉱石落下流の中心部と燃焼火炎との接触・熱伝達が阻害される)、その結果、原料鉱石の予熱が不十分となることが判明した。
さらに、(1)ランス先端に溶融スラグが付着・凝固し、粉粒物やガス流れを阻害する、(2)ランスから供給される支燃ガスがCOガスなどの炉内ガスとの反応(燃焼)で消費されるため、気体燃料の燃焼が不完全になる、などの問題も生じることが判った。
【0011】
したがって本発明の目的は、このような課題を解決し、溶融還元炉において原料鉱石などの粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに供給するバーナーランスであって、大量の粉粒物を供給しても、ランス先端に形成される燃料の燃焼火炎により粉粒物を適切に予熱することができ、しかも、ランス先端に溶融スラグが付着・凝固し、粉粒物やガス流れを阻害したり、ランスから供給される支燃ガスがCOガスなどの炉内ガスとの反応(燃焼)で消費され、気体燃料の燃焼が不完全になるなどの問題が生じにくいバーナーランスを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、そのようなバーナーランスを用いて効率的な溶融還元を行うことで、金属溶湯を低コストに製造することができる製造方法を提供することにある。
【0012】
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1a)、第2管体(2a)および第3管体(3a)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1a)内が粉粒物流路(x)、第1管体(1a)と第2管体(2a)間の空間が気体燃料流路(y)、第2管体(2a)と第3管体(3a)間の空間が支燃ガス流路(z)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
支燃ガス流路(z)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3a)の先端位置に設けられ、
第1管体(1a)の先端が、第2管体(2a)の先端よりもバーナー内方に位置することを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0013】
[2]溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1b)、第2管体(2b)および第3管体(3b)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1b)内が粉粒物流路(x)、第1管体(1b)と第2管体(2b)間の空間が気体燃料流路(y)、第2管体(2b)と第3管体(3b)間の空間が支燃ガス流路(z)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
支燃ガス流路(z)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3b)の先端位置に設けられ、
第1管体(1b)の先端寄り部分に、粉粒物流路(x)内に気体燃料の旋回流が生じるように気体燃料流路(y)内の気体燃料を粉粒物流路(x)内に流入させる貫通部(4)を形成したことを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0014】
[3]溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1a)、第2管体(2a)および第3管体(3a)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1a)内が粉粒物流路(x)、第1管体(1a)と第2管体(2a)間の空間が支燃ガス流路(z)、第2管体(2a)と第3管体(3a)間の空間が気体燃料流路(y)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
気体燃料流路(y)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3a)の先端位置に設けられ、
第1管体(1a)の先端が、第2管体(2a)の先端よりもバーナー内方に位置することを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0015】
[4]溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1b)、第2管体(2b)および第3管体(3b)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1b)内が粉粒物流路(x)、第1管体(1b)と第2管体(2b)間の空間が支燃ガス流路(z)、第2管体(2b)と第3管体(3b)間の空間が気体燃料流路(y)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
気体燃料流路(y)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3b)の先端位置に設けられ、
第1管体(1b)の先端寄り部分に、粉粒物流路(x)内に支燃ガスの旋回流が生じるように支燃ガス流路(z)内の支燃ガスを粉粒物流路(x)内に流入させる貫通部(4)を形成したことを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0016】
[5]溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1c)、第2管体(2c)および第3管体(3c)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1c)内が気体燃料流路(y)、第1管体(1c)と第2管体(2c)間の空間が粉粒物流路(x)、第2管体(2c)と第3管体(3c)間の空間が支燃ガス流路(z)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
支燃ガス流路(z)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3c)の先端位置に設けられることを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0017】
[6]溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1d)、第2管体(2d)および第3管体(3d)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1d)内が支燃ガス流路(z)、第1管体(1d)と第2管体(2d)間の空間が粉粒物流路(x)、第2管体(2d)と第3管体(3d)間の空間が気体燃料流路(y)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
気体燃料流路(y)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3d)の先端位置に設けられることを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0018】
[7]溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1e)および第2管体(2e)が同心円状に配置された二重管構造を有し、
第1管体(1e)内が粉粒物と気体燃料との予混合体の流路(w)、第1管体(1e)と第2管体(2e)間の空間が支燃ガス流路(z)をそれぞれ構成するとともに、各流路(w),(z)の先端が吐出口を構成し、
支燃ガス流路(z)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第2管体(2e)の先端位置に設けられることを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0019】
[8]溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1f)および第2管体(2f)が同心円状に配置された二重管構造を有し、
第1管体(1f)内が粉粒物と支燃ガスとの予混合体の流路(w)、第1管体(1f)と第2管体(2f)間の空間が気体燃料流路(y)をそれぞれ構成するとともに、各流路(w),(y)の先端が吐出口を構成し、
気体燃料流路(y)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第2管体(2f)の先端位置に設けられることを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0020】
[9]上記[1]、[2]、[5]、[7]のいずれかの粉粒物装入用バーナーランスにおいて、ガス流路(v)の末端が支燃ガス流路(z)と連通し、支燃ガス流路(z)を流れる支燃ガスの一部がガス流路(v)に流入するようにしたことを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
[10]上記[3]、[4]、[6]、[8]のいずれかの粉粒物装入用バーナーランスにおいて、ガス流路(v)の末端が気体燃料流路(y)と連通し、気体燃料流路(y)を流れる気体燃料の一部がガス流路(v)に流入するようにしたことを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【0021】
[11]溶融還元炉において、金属酸化物を主体とする原料を溶融還元し、金属溶湯を製造する方法において、
上記[1]〜[10]のいずれかのバーナーランスを用い、溶融還元炉内に粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに供給し、粉粒物を予熱された状態で炉内に装入することを特徴とする、溶融還元による金属溶湯の製造方法。
[12]上記[11]の製造方法において、バーナーランスから供給される粉粒物の少なくとも一部が、金属酸化物を主体とする原料であることを特徴とする、溶融還元による金属溶湯の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るバーナーランスは、ランス先端から落下する粉粒物がランス先端の燃焼火炎中を適切に通過できるため、大量の粉粒物を供給しても、燃焼火炎により粉粒物を適切に予熱することができる。また、ガス流路(v)の吐出口から噴射されるガスがランス先端に溶融スラグが付着することを防止するため、ランス先端に溶融スラグが付着・凝固し、粉粒物やガス流れが阻害されることによる操業トラブルを適切に防止することができる。また、同吐出口から噴射されるガスが、ランス内側で吐出される支燃ガスを炉内ガスからシールドする役目をするため、支燃ガスが炉内ガスとの反応(燃焼)に消費されて気体燃料の燃焼性が損なわれることを防止できる。さらに、ガス流路(v)を通じて吐出口から噴射されるガスが支燃ガスである場合には、気体燃料の燃焼性をより高めることができる。
【0023】
また、本発明のなかでも、粉粒物流路(x)、気体燃料流路(y)、支燃ガス流路(z)および予混合体流路(w)のうちで(すなわち、ガス流路(v)を除いた流路(w)〜(z)のうちで)、気体燃料流路(y)が同心円の最外側にあるバーナーランスは、支燃ガス流路(z)が同心円の最外側にあるバーナーランスに較べて、支燃ガスによる炉体(溶融還元炉)内面の損傷を少なくすることができる。すなわち、支燃ガス流路(z)が同心円の最外側にあるバーナーランスでは、バーナー燃焼に使われない支燃ガスの量が多くなり、この支燃ガスが炉内発生ガス中の可燃性成分(例えばCO)を部分燃焼させることで、炉内に高温雰囲気が形成されやすく、この高温雰囲気により炉体内面が傷みやすい。これに対して、気体燃料流路(y)が同心円の最外側にあるバーナーランスでは、バーナー燃焼に使われない支燃ガスの量が相対的に少ないため、上記のような炉内高温雰囲気が形成されにくい。
【0024】
また、本発明のなかでも、粉粒物流路(x)、気体燃料流路(y)、支燃ガス流路(z)および予混合体流路(w)のうちで(すなわち、ガス流路(v)を除いた流路(w)〜(z)のうちで)、支燃ガス流路(z)が同心円の最外側にあるバーナーランスは、支燃ガス流の内側に気体燃料流が封じ込められ、気体燃料の逃げが少なくなるので、燃料を特に効率的に燃焼させることができる。
また、本発明に係る金属溶湯の製造方法によれば、そのようなバーナーランスを用いて効率的な溶融還元を行い、金属溶湯を低コストに製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
まず、本発明のバーナーランスが使用される溶融還元法について説明する。
二次燃焼は炉内の上部空間で生じるので、溶湯の内部や表面近傍で生じる一次燃焼と比べて、溶湯への着熱効率(=着熱量/総発熱量)が低い。しかしながら、大量の原料鉱石を溶融還元するには、炉内の総発熱量を高める必要があり、そのためには二次燃焼を促進することが有効である。しかしその一方で、二次燃焼は溶湯への着熱効率が低いため、炉内耐火物に吸収される熱量が増大し、炉内耐火物の溶損が助長される。
【0026】
したがって、大量の原料鉱石を炉内耐火物の溶損を抑えつつ、効率的に溶融還元するには、炉内の総発熱量を十分に確保するとともに、溶湯への着熱効率を高めることが必要である。そして、以下のような形態で溶融還元を行えば、そのような要求を満足させることができる。すなわち、溶融還元炉内に酸化性ガスを供給する上吹きランスとは別に、原料(金属酸化物を主体とする粉粒状の原料)などの粉粒物を炉内装入するためのバーナーランスを用い、このバーナーランスから炉内に粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに供給(吐出)し、ランス先端に形成される気体燃料の燃焼火炎中を粉粒物が通過することにより、予熱された粉粒物が炉内に装入されるようにするものである。この方法によれば、燃料の発熱量を効率良く原料などの粉粒物に伝達することができるため、溶湯への着熱効率を向上させることができる。このため上吹きランスによる酸素供給量を増加させることなく、大量の原料鉱石を効率的に溶融還元することができる。
【0027】
図40は、この溶融還元法の実施状況の一例を模式的に示すもので、6は炉体(溶融還元炉)、7は炉軸心上に配置される上吹きランス、8はその側方に配置される原料装入用のバーナーランス、9は底吹き羽口、10は溶湯、11はスラグである。この溶融還元法では、上吹きランス7から酸素ガスなどの酸化性ガスgが噴射されるとともに、バーナーランス8から金属酸化物を主体とする粉粒状の原料s(原料鉱石など)が気体燃料および支燃ガスとともに供給(吐出)され、ランス先端に形成される気体燃料の燃焼火炎f中を原料sが通過することにより、予熱された原料sが炉内に装入される。
なお、一般に炭材(例えば、コークスや無煙炭などの石炭)は、炉上部の投入シュートなどから落下装入されるが、炭材の粒子径が小さくて飛散するおそれがある場合には、例えば、パージガスとともに炉内に流し込み装入することもある。また、必要に応じて媒溶材(例えば、石灰、ドロマイトなど)などが上記炭材に準じた方法で炉内装入される。
【0028】
ここで、金属酸化物を主体とする粉粒状の原料の種類に特別な制限はないが、通常は、鉄鉱石、Cr鉱石、Ni鉱石、ダスト、スラッジなどの原料が用いられる。
バーナーランス8で使用する気体燃料の種類にも特別な制限はないが、例えば、プロパンガス、コークス炉ガス、天然ガス、転炉回収ガス、高炉回収ガスなどの1種以上を用いることができる。同じく支燃ガスとしては、酸素ガスまたは酸素含有ガスが用いられる。酸素含有ガスとしては、空気、酸素富化空気、それらの予熱されたガスなどを用いることができる。
また、底吹き羽口9から吹き込まれるガスの種類にも特別な制限はないが、例えば、酸素ガス、プロパンガス、天然ガス、炭酸ガス、窒素ガス、アルゴンガス、CO含有ガスなどの1種以上を用いることができる。
【0029】
以下、本発明の粉粒物装入用バーナーランスの実施形態について説明する。
本発明の粉粒物装入用バーナーランスは、溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスである。本発明のバーナーランスの装入対象となる粉粒物として最も典型的なものは原料(さきに挙げたような金属酸化物を主体とする原料)であるが、例えば、炭材や媒溶材などのような粉粒物でもよく、これらの1種または2種以上を混合した粉粒物を装入対象とすることができる。原料に限らず、炉内に装入する粉粒物をバーナーランスで適切に予熱できれば、溶融還元炉の熱効率を高めることができる。また、粉粒物の大きさは、バーナーランスを通じて装入できる程度の粒径であればよい。
【0030】
本発明のバーナーランスは、同心円状の多重管構造または二重管構造により、粉粒物流路x、気体燃料流路yおよび支燃ガス流路z、或いはこれら流路y,zのいずれかと予混合体流路wを有する。また、これら流路のうちの最外側の流路(気体燃料流路yまたは支燃ガス流路z)のさらに外側に、ガス流路vを有する。
本発明のバーナーランスの形態は、粉粒物流路x、気体燃料流路y、支燃ガス流路zおよび予混合体流路wのうちで(すなわち、ガス流路vを除いた流路w〜zのうちで)、(i)気体燃料流路yが同心円の最外側にあるバーナーランス、(ii)支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるバーナーランス、の2通りに大別できる。なお、以下の説明において、気体燃料流路yまたは支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるバーナーランスという場合には、当該流路が粉粒物流路x、気体燃料流路y、支燃ガス流路zおよび予混合体流路wのうちで(すなわち、ガス流路vを除いた流路w〜zのうちで)、同心円の最外側にあるバーナーランスを意味するものとする。
【0031】
上記(i)の形態のバーナーランスは、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるバーナーランスに較べて、支燃ガスによる炉体(溶融還元炉)内面の損傷を少なくすることができる利点がある。すなわち、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるバーナーランスでは、バーナー燃焼に使われない支燃ガスの量が多くなり、この支燃ガスが炉内発生ガス中の可燃性成分(例えばCO)を部分燃焼させることで、炉内に高温雰囲気が形成されやすく、この高温雰囲気により炉体内面が傷みやすい。これに対して、気体燃料流路yが同心円の最外側にあるバーナーランスである上記(i)の形態のバーナーランスでは、バーナー燃焼に使われない支燃ガスの量が相対的に少ないため、上記のような炉内高温雰囲気が形成されにくく、このため炉体内面が傷みにくい。
一方、上記(ii)の形態のバーナーランスは、支燃ガス流の内側に気体燃料流が封じ込められ、気体燃料の逃げが少なくなるので、燃料を特に効率的に燃焼させることができる利点がある。
【0032】
上述したように、本発明のバーナーランスは、気体燃料流路yと支燃ガス流路zのうち同心円の最外側になる流路(すなわち、図1〜図7に示すような本願の第一発明のバーナーランス、図8〜図11に示すような本願の第二発明のバーナーランス、図20〜図23に示すような本願の第五発明のバーナーランス、図28〜図31に示すような本願の第七発明のバーナーランスでは「支燃ガス流路z」、図12〜図15に示すような本願の第三発明のバーナーランス、図16〜図19に示すような本願の第四発明のバーナーランス、図24〜図27に示すような本願の第六発明のバーナーランス、図32〜図35に示すような本願の第八発明のバーナーランスでは「気体燃料流路y」)のさらに外側にガス流路vを設け、このガス流路vの先端がガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第3管体3a〜3d(図1〜図27に示すような本願の第一発明〜第六発明のバーナーランスの場合)または第2管体2e,2f(図28〜図35に示すような本願の第七発明および第八発明のバーナーランスの場合)の先端位置に設けられるような構造とする。
【0033】
すなわち、そのようなランス構造とし、ガス流路vを通じてランス先端(ガス吐出口12v)からガスを噴射することにより、ランス先端に付着しようとする溶融スラグが吹き飛ばされ、溶融スラグの付着を防止することができる。また、ガス流路vを通じてランス先端(ガス吐出口12v)から噴射されるガスは、その内側で吐出される支燃ガスを炉内ガスからシールドする役目をするので、支燃ガスがCOガスなどの炉内ガスとの反応(燃焼)に消費されるのが抑えられ、気体燃料の燃焼性が損なわれないようにすることができる。さらに、ガス流路vを通じてランス先端から噴射されるガスが支燃ガス(酸素ガスまたは酸素含有ガス)である場合には、気体燃料の燃焼性をより高めることができる。
【0034】
ガス流路vに供給され、ランス先端から噴射するガス種に特別な制限はなく、例えば、支燃ガス(酸素ガス、空気や酸素富化空気などの酸素含有ガス、それらの予熱されたガス)、気体燃料(プロパンガス、コークス炉ガス、天然ガス、転炉回収ガス、高炉回収ガスなどの1種以上)、窒素ガス、炭酸ガス、アルゴンガスなどの1種以上を用いることができる。但し、上述したように、支燃ガスを用いることにより、気体燃料の燃焼性をより高めることができる効果も得られる。一方、窒素ガスなどを用いた場合には、ガス吐出口12vから噴射されるガスによる炉体の損傷が抑制されるという利点がある。
【0035】
ガス流路vの設け方も任意であり、第3管体3a〜3d(図1〜図27に示すような本願の第一発明〜第六発明のバーナーランスの場合)または第2管体2e,2f(図28〜図35に示すような本願の第七発明および第八発明のバーナーランスの場合)の内部にガス流路vを形成してもよいし、第3管体3a〜3dまたは第2管体2e,2fの外側にさらに管体を同心状に設け、その管体と第3管体3a〜3dまたは第2管体2e,2f間の空間でガス流路vが構成されるようにしてもよい。また、ガス流路vとガス吐出口12vは環状(支燃ガス流路zおよび支燃ガス吐出口12z、気体燃料流路yおよび燃料吐出口12yと同心円状)に設けてもよいし、ガス流路vをランス周方向で間隔をおいて設けられる複数本の通孔で構成し、各通孔の先端がガス吐出口12vとなるようにしてもよい。また、ガス流路vを環状(支燃ガス流路z、気体燃料流路yと同心円状)に設けるとともに、その先端に複数のガス吐出口12vをランス周方向で間隔をおいて形成するようにしてもよい。
また、ガス流路vは、支燃ガス流路zおよび気体燃料流路yから独立して設け、専用のガス供給系からガスを供給するようにしてもよいし、ガス流路vの末端(基端)を支燃ガス流路zまたは気体燃料流路yに連通させ、支燃ガス流路zまたは気体燃料流路yを流れるガス(支燃ガスまたは気体燃料)の一部がガス流路vに流入するような構造としてもよい。
【0036】
以下、装入対象として最も典型的な粉粒物である原料(金属酸化物を主体とする粉粒状の原料)を装入するバーナーランスを例に、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図3は、本願の第一の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態を示すもので、図1はランス先端部の縦断面図、図2は図1中のII−II線に沿う断面図、図3はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスは、内側から順に第1管体1a、第2管体2aおよび第3管体3aが同心円状に配置された多重管構造(管軸が垂直方向に沿う多重管構造)を有している。そして、第1管体1a内が粉粒物(原料)流路x、第1管体1aと第2管体2a間の空間が気体燃料流路y、第2管体2aと第3管体3a間の空間が支燃ガス流路zをそれぞれ構成するとともに、粉粒物流路xの先端が粉粒物(原料)吐出口12xを、気体燃料流路yの先端が燃料吐出口12y(噴射口)を、支燃ガス流路zの先端が支燃ガス吐出口12z(噴射口)を、それぞれ構成している。
【0037】
さらに、第3管体3aの内部に環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第3管体3aの先端に形成されている。なお、当然のことながら環状のガス流路vの内側の管部分は、適当な連結部(図示せず)により第3管体3aの本体部(ガス流路vの外側の管部分)に保持されている。
さきに述べたようにガス流路vに流すガス種は任意であるが、本実施形態のように支燃ガス流路z、気体燃料流路yから独立したガス流路vの場合には、例えば、窒素ガスなども使用できる。
【0038】
第1管体1aの先端は、第2管体2aの先端よりもバーナー内方に位置している。ここで、図1に示したランス軸線方向における第1管体1aの先端と第2管体2aの先端との距離Lに特別な制限はないが、一般には第2管体2aの先端の内径Dに対してD/2〜5D程度とすることが好ましい。L<D/2では、距離(時間)が短すぎて気体燃料と原料との混合が不十分になりやすい。一方、第1管体1aの先端外側の気体燃料流路yから原料落下流側に流れる気体燃料の拡がり角度は、ランス軸線方向に対して5°以上であると考えられるから、L>5Dでは気体燃料流に随伴する原料が第2管体2aの先端部に衝突し、その部分の摩耗が大きくなるおそれがある。
第3管体3aは、ランス先端部を囲むようにして支燃ガス吐出口12zの前方に張り出した筒状部30を有しており、この筒状部30を含めた第3管体3aの内部には冷却水循環流路5が形成されている。
【0039】
以上のようなバーナーランスによれば、粉粒物流路x内に粉粒状の原料sが供給され(通常、原料は窒素などの少量のパージガスとともに流路内に供給される)、同流路内を比較的低速で落下する。このように原料を低速で落下させることにより、原料による管内壁の摩耗を抑制できる。また、気体燃料流路y内には気体燃料が、支燃ガス流路z内には支燃ガスがそれぞれ供給される。
ここで、第1管体1aの先端は、第2管体2aの先端よりもバーナー内方に位置しているため、燃料吐出口12yから吐出された気体燃料は、燃焼火炎fの形成始端よりもバーナー内方位置(距離Lだけ内方の位置)で原料sと接触し始め、原料落下流の中心部側に拡散して原料sと予混合された状態となる。このため原料落下流の大部分が、支燃ガス吐出口12zの位置を始端として形成される燃焼火炎fの領域を通過することができ、原料sが燃焼火炎fにより適切に予熱されることになる。
また、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるため、支燃ガス流の内側に気体燃料流が封じ込められ、気体燃料の逃げが少なくなるので、燃料を特に効率的に燃焼させることができる。
【0040】
また、このバーナーランスでは、(i)ガス流路vを通じて供給されたガスがランス先端のガス吐出口12vから噴射されることにより、ランス先端に付着しようとする溶融スラグが吹き飛ばされ、溶融スラグの付着が防止される、(ii)ガス吐出口12vから噴射されるガスが、支燃ガス吐出口12zから吐出される支燃ガスを炉内ガスからシールドする役目をし、支燃ガスが炉内ガスとの反応(燃焼)に消費されるのを抑制する、という作用効果が得られる。さらに、ガス吐出口12vから噴射されるガスが支燃ガスである場合には、気体燃料の燃焼性がより高められる。一方、ガス吐出口12vから噴射されるガスが窒素ガスである場合には、ガス吐出口12vから噴射されるガスによる炉体の損傷が抑制される。
【0041】
図4〜図7は、本願の第一の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの他の実施形態を示すもので、図4はランス先端部の縦断面図、図5は図4中のV−V線に沿う断面図、図6は図4中のVI−VI線に沿う断面図、図7はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスも、第3管体3aの内部に環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第3管体3aの先端に形成されているが、ガス流路vの末端(基端)を支燃ガス流路zに連通させ、支燃ガス流路zを流れる支燃ガスの一部がガス流路vに流入するような構造としてある。なお、当然のことながら環状のガス流路vの内側の管部分は、適当な連結部(図示せず)により第3管体の本体部(ガス流路vの外側の管部分)に保持されている。このような構造は、図8〜図27の実施形態でも同様である。
本実施形態のその他の構成は、図1〜図3に示す実施形態と同様である。この実施形態では、ガス吐出口12vから噴射されるガスにより上記(i)、(ii)の作用効果が得られるとともに、ガス吐出口12vから噴射されるガスが支燃ガスであるため、気体燃料の燃焼性がより高められる。
【0042】
図8〜図11は、本願の第二の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態を示すもので、図8はランス先端部の縦断面図、図9は図8中のIX−IX線に沿う断面図、図10は図8中のX−X線に沿う断面図、図11はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスは、内側から順に第1管体1b、第2管体2bおよび第3管体3bが同心円状に配置された多重管構造(管軸が垂直方向に沿う多重管構造)を有している。そして、第1管体1b内が粉粒物(原料)流路x、第1管体1bと第2管体2b間の空間が気体燃料流路y、第2管体2bと第3管体3b間の空間が支燃ガス流路zをそれぞれ構成するとともに、粉粒物流路xの先端が粉粒物(原料)吐出口12xを、気体燃料流路yの先端が燃料吐出口12y(噴射口)を、支燃ガス流路zの先端が支燃ガス吐出口12z(噴射口)を、それぞれ構成している。
【0043】
さらに、第3管体3bの内部には環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第3管体3bの先端に形成されているが、ガス流路vの末端(基端)を支燃ガス流路zに連通させ、支燃ガス流路zを流れる支燃ガスの一部がガス流路vに流入するような構造としてある。
なお、ガス流路vは、図1〜図3の実施形態のように、支燃ガス流路z、気体燃料流路yから独立して設けてもよい。
【0044】
第1管体1bの先端寄り部分には、気体燃料流路y内の気体燃料を粉粒物流路x内に流入させる複数の貫通部4が形成されている。本実施形態では、貫通部4は貫通孔で構成されている。これら貫通部4は、粉粒物流路x内に流入した気体燃料が同流路内で旋回流となるように、その軸線(孔軸)が第1管体1bの径方向に対して傾きを持って形成され、貫通部4から第1管体1b(粉粒物流路x)の管軸に対して偏心した方向に向けて気体燃料が流入するように形成されている。また、各貫通部4を構成する貫通孔は、気体燃料流路y側から粉粒物流路x側に向けて下向きに傾斜している。
第3管体3bは、ランス先端部を囲むようにして支燃ガス吐出口12zの前方に張り出した筒状部30を有しており、この筒状部30を含めた第3管体3bの内部には冷却水循環流路5が形成されている。
第1管体1bに形成する貫通部4の形態は任意であり、例えば、第1管体1bの先端から管長方向に形成されるスリットで貫通部4を構成してもよい。
【0045】
ここで、図8に示したランス軸線方向における貫通部4と第1管体1bの先端との距離Lに特別な制限はないが、あまり長いと原料の旋回流により摩耗する管内壁長さが大きくなるため、第1管体1bの先端の内径Dに対して5D以下程度とすることが好ましい。なお、貫通部4がスリットで構成される場合には、距離Lは第1管体1bの先端とスリット端部との距離である。
また、図9に示した貫通部4からの気体燃料噴射方向(貫通部4の軸線)の第1管体半径方向に対する傾き角θは、3〜45°程度とすることが好ましい。この傾き角θが3°未満では気体燃料の旋回流が形成されにくく、一方、45°を超えると管中心部側に旋回流が形成されにくくなる。
【0046】
以上のようなバーナーランスによれば、粉粒物流路x内に粉粒状の原料sが供給され(通常、原料は窒素などの少量のパージガスとともに流路内に供給される)、同流路内を比較的低速で落下する。このように原料を低速で落下させることにより、原料による管内壁の摩耗を抑制できる。また、気体燃料流路y内には気体燃料が、支燃ガス流路z内には支燃ガスがそれぞれ供給される。
ここで、気体燃料流路y内の気体燃料の一部は、貫通部4から粉粒物流路x内に流入し、同流路内で気体燃料の旋回流が形成される。これにより原料と気体燃料の一部が予混合された状態となり、かつこの状態で粉粒物吐出口12xから吐出された原料sが旋回流に随伴されることで、燃焼火炎fに強制的に接触させられ、この結果、原料sが燃焼火炎fにより適切に予熱されることになる。
【0047】
また、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるため、支燃ガス流の内側に気体燃料流が封じ込められ、気体燃料の逃げが少なくなるので、燃料を特に効率的に燃焼させることができる。
また、この実施形態では、ガス吐出口12vから噴射されるガスにより上記(i)、(ii)の作用効果が得られるとともに、ガス吐出口12vから噴射されるガスが支燃ガスであるため、気体燃料の燃焼性がより高められる。
なお、第1管体1bの先端寄り部分の内壁に、粉粒物に旋回作用を与える案内板を設けてもよく、このような案内板を設けることにより、原料の旋回作用をより高めることができる。
【0048】
図12〜図15は、本願の第三の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態を示すもので、図12はランス先端部の縦断面図、図13は図12中のXIII−XIII線に沿う断面図、図14は図12中のXIV−XIV線に沿う断面図、図15はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスは、内側から順に第1管体1a、第2管体2aおよび第3管体3aが同心円状に配置された多重管構造(管軸が垂直方向に沿う多重管構造)を有している。そして、第1管体1a内が粉粒物(原料)流路x、第1管体1aと第2管体2a間の空間が支燃ガス流路z、第2管体2aと第3管体3a間の空間が気体燃料流路yをそれぞれ構成するとともに、粉粒物流路xの先端が粉粒物(原料)吐出口12xを、気体燃料流路yの先端が燃料吐出口12y(噴射口)を、支燃ガス流路zの先端が支燃ガス吐出口12z(噴射口)を、それぞれ構成している。
【0049】
さらに、第3管体3aの内部には環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第3管体3aの先端に形成されているが、ガス流路vの末端(基端)を気体燃料流路yに連通させ、気体燃料流路yを流れる気体燃料の一部がガス流路vに流入するような構造としてある。
なお、ガス流路vは、図1〜図3の実施形態のように、支燃ガス流路z、気体燃料流路yから独立して設けてもよい。
【0050】
第1管体1aの先端は、第2管体2aの先端よりもバーナー内方に位置している。ここで、図12に示したランス軸線方向における第1管体1aの先端と第2管体2aの先端との距離Lに特別な制限はないが、一般には第2管体2aの先端の内径Dに対してD/2〜5D程度とすることが好ましい。L<D/2では、距離(時間)が短すぎて支燃ガスと原料との混合が不十分になりやすい。一方、第1管体1aの先端外側の支燃ガス流路zから原料落下流側に流れる支燃ガスの拡がり角度は、ランス軸線方向に対して5°以上であると考えられるから、L>5Dでは支燃ガス流に随伴する原料が第2管体2aの先端部に衝突し、その部分の摩耗が大きくなるおそれがある。
第3管体3aは、ランス先端部を囲むようにして燃料吐出口12yの前方に張り出した筒状部30を有しており、この筒状部30を含めた第3管体3aの内部には冷却水循環流路5が形成されている。
【0051】
以上のようなバーナーランスによれば、粉粒物流路x内に粉粒状の原料sが供給され(通常、原料は窒素などの少量のパージガスとともに流路内に供給される)、同流路内を比較的低速で落下する。このように原料を低速で落下させることにより、原料による管内壁の摩耗を抑制できる。また、気体燃料流路y内には気体燃料が、支燃ガス流路z内には支燃ガスがそれぞれ供給される。
ここで、第1管体1aの先端は、第2管体2aの先端よりもバーナー内方に位置しているため、支燃ガス吐出口12zから吐出された支燃ガスは、燃焼火炎fの形成始端よりもバーナー内方位置(距離Lだけ内方の位置)で原料sと接触し始め、原料落下流の中心部側に拡散して原料sと予混合された状態となる。このため原料落下流の大部分が、燃料吐出口12yの位置を始端として形成される燃焼火炎fの領域を通過することができ、原料sが燃焼火炎fにより適切に予熱されることになる。
また、気体燃料流路yが同心円の最外側にあるため、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるバーナーランスに較べて、さきに述べたような理由で支燃ガスと炉内ガス(可燃性成分)との燃焼による炉体(溶融還元炉)内面の損傷を少なくすることができる。
また、この実施形態では、ガス吐出口12vから噴射されるガスにより上記(i)、(ii)の作用効果が得られる。
【0052】
図16〜図19は、本願の第四の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態を示すもので、図16はランス先端部の縦断面図、図17は図16中のXVII−XVII線に沿う断面図、図18は図16中のXVIII−XVIII線に沿う断面図、図19はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスは、内側から順に第1管体1b、第2管体2bおよび第3管体3bが同心円状に配置された多重管構造(管軸が垂直方向に沿う多重管構造)を有している。そして、第1管体1b内が粉粒物(原料)流路x、第1管体1bと第2管体2b間の空間が支燃ガス流路z、第2管体2bと第3管体3b間の空間が気体燃料流路yをそれぞれ構成するとともに、粉粒物流路xの先端が粉粒物(原料)吐出口12xを、気体燃料流路yの先端が燃料吐出口12y(噴射口)を、支燃ガス流路zの先端が支燃ガス吐出口12z(噴射口)を、それぞれ構成している。
【0053】
さらに、第3管体3bの内部には環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第3管体3bの先端に形成されているが、ガス流路vの末端(基端)を気体燃料流路yに連通させ、気体燃料流路yを流れる気体燃料の一部がガス流路vに流入するような構造としてある。
なお、ガス流路vは、図1〜図3の実施形態のように、支燃ガス流路z、気体燃料流路yから独立して設けてもよい。
【0054】
第1管体1bの先端寄り部分には、支燃ガス流路z内の支燃ガスを粉粒物流路x内に流入させる複数の貫通部4が形成されている。本実施形態では、貫通部4は貫通孔で構成されている。これら貫通部4は、粉粒物流路x内に流入した支燃ガスが同流路内で旋回流となるように、その軸線(孔軸)が第1管体1bの径方向に対して傾きを持って形成され、貫通部4から第1管体1b(粉粒物流路x)の管軸に対して偏心した方向に向けて支燃ガスが流入するように形成されている。また、各貫通部4を構成する貫通孔は、支燃ガス流路z側から粉粒物流路x側に向けて下向きに傾斜している。
第3管体3bは、ランス先端部を囲むようにして燃料吐出口12yの前方に張り出した筒状部30を有しており、この筒状部30を含めた第3管体3bの内部には冷却水循環流路5が形成されている。
第1管体1bに形成する貫通部4の形態は任意であり、例えば、第1管体1bの先端から管長方向に形成されるスリットで貫通部4を構成してもよい。
【0055】
ここで、図16に示したランス軸線方向における貫通部4と第1管体1bの先端との距離Lに特別な制限はないが、あまり長いと原料の旋回流により摩耗する管内壁長さが大きくなるため、第1管体1bの先端の内径Dに対して5D以下程度とすることが好ましい。なお、貫通部4がスリットで構成される場合には、距離Lは第1管体1bの先端とスリット端部との距離である。
また、図17に示した貫通部4からの支燃ガス噴射方向(貫通部4の軸線)の第1管体半径方向に対する傾き角θは、3〜45°程度とすることが好ましい。この傾き角θが3°未満では支燃ガスの旋回流が形成されにくく、一方、45°を超えると管中心部側に旋回流が形成されにくくなる。
【0056】
以上のようなバーナーランスによれば、粉粒物流路x内に粉粒状の原料sが供給され(通常、原料は窒素などの少量のパージガスとともに流路内に供給される)、同流路内を比較的低速で落下する。このように原料を低速で落下させることにより、原料による管内壁の摩耗を抑制できる。また、気体燃料流路y内には気体燃料が、支燃ガス流路z内には支燃ガスがそれぞれ供給される。
ここで、支燃ガス流路z内の支燃ガスの一部は、貫通部4から粉粒物流路x内に流入し、同流路内で支燃ガスの旋回流が形成される。これにより原料と支燃ガスの一部が予混合された状態となり、かつこの状態で粉粒物吐出口12xから吐出された原料sが旋回流に随伴されることで、燃焼火炎fに強制的に接触させられ、この結果、原料sが燃焼火炎fにより適切に予熱されることになる。
【0057】
また、気体燃料流路yが同心円の最外側にあるため、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるバーナーランスに較べて、さきに述べたような理由で支燃ガスと炉内ガス(可燃性成分)との燃焼による炉体(溶融還元炉)内面の損傷を少なくすることができる。
また、この実施形態では、ガス吐出口12vから噴射されるガスにより上記(i)、(ii)の作用効果が得られる。
なお、第1管体1bの先端寄り部分の内壁に、粉粒物に旋回作用を与える案内板を設けてもよく、このような案内板を設けることにより、原料の旋回作用をより高めることができる。
【0058】
図20〜図23は、本願の第五の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態を示すもので、図20はランス先端部の縦断面図、図21は図20中のXXI−XXI線に沿う断面図、図22は図20中のXXII−XXII線に沿う断面図、図23はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスは、内側から順に第1管体1c、第2管体2cおよび第3管体3cが同心円状に配置された多重管構造(管軸が垂直方向に沿う多重管構造)を有している。そして、第1管体1c内が気体燃料流路y、第1管体1cと第2管体2c間の空間が粉粒物(原料)流路x、第2管体2cと第3管体3c間の空間が支燃ガス流路zをそれぞれ構成するとともに、粉粒物流路xの先端が粉粒物(原料)吐出口12xを、気体燃料流路yの先端が燃料吐出口12y(噴射口)を、支燃ガス流路zの先端が支燃ガス吐出口12z(噴射口)を、それぞれ構成している。
【0059】
さらに、第3管体3cの内部には環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第3管体3cの先端に形成されているが、ガス流路vの末端(基端)を支燃ガス流路zに連通させ、支燃ガス流路zを流れる支燃ガスの一部がガス流路vに流入するような構造としてある。
なお、ガス流路vは、図1〜図3の実施形態のように、支燃ガス流路z、気体燃料流路yから独立して設けてもよい。
第3管体3cは、ランス先端部を囲むようにして支燃ガス吐出口12zの前方に張り出した筒状部30を有しており、この筒状部30を含めた第3管体3cの内部には冷却水循環流路5が形成されている。
【0060】
以上のようなバーナーランスによれば、粉粒物流路x内に粉粒状の原料sが供給され(通常、原料は窒素などの少量のパージガスとともに流路内に供給される)、同流路内を比較的低速で落下する。このように原料を低速で落下させることにより、原料による管内壁の摩耗を抑制できる。また、気体燃料流路y内には気体燃料が、支燃ガス流路z内には支燃ガスがそれぞれ供給される。
ここで、原料sは気体燃料と支燃ガスによりサンドイッチされた状態で粉粒物吐出口12xから吐出されるので、原料落下流の大部分が燃焼火炎fの領域を通過することができ、原料sが燃焼火炎fにより適切に予熱されることになる。
また、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるため、支燃ガス流の内側に気体燃料流が封じ込められ、気体燃料の逃げが少なくなるので、燃料を特に効率的に燃焼させることができる。
また、この実施形態では、ガス吐出口12vから噴射されるガスにより上記(i)、(ii)の作用効果が得られるとともに、ガス吐出口12vから噴射されるガスが支燃ガスであるため、気体燃料の燃焼性がより高められる。
【0061】
図24〜図27は、本願の第六の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態を示すもので、図24はランス先端部の縦断面図、図25は図24中のXXV−XXV線に沿う断面図、図26は図24中のXXVI−XXVI線に沿う断面図、図27はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスは、内側から順に第1管体1d、第2管体2dおよび第3管体3dが同心円状に配置された多重管構造(管軸が垂直方向に沿う多重管構造)を有している。そして、第1管体1d内が支燃ガス流路z、第1管体1dと第2管体2d間の空間が粉粒物(原料)流路x、第2管体2dと第3管体3d間の空間が気体燃料流路yをそれぞれ構成するとともに、粉粒物流路xの先端が粉粒物(原料)吐出口12xを、気体燃料流路yの先端が燃料吐出口12y(噴射口)を、支燃ガス流路zの先端が支燃ガス吐出口12z(噴射口)を、それぞれ構成している。
【0062】
さらに、第3管体3dの内部には環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第3管体3dの先端に形成されているが、ガス流路vの末端(基端)を気体燃料流路yに連通させ、気体燃料流路yを流れる気体燃料の一部がガス流路vに流入するような構造としてある。
なお、ガス流路vは、図1〜図3の実施形態のように、支燃ガス流路z、気体燃料流路yから独立して設けてもよい。
第3管体3dは、ランス先端部を囲むようにして燃料吐出口12yの前方に張り出した筒状部30を有しており、この筒状部30を含めた第3管体3dの内部には冷却水循環流路5が形成されている。
【0063】
以上のようなバーナーランスによれば、粉粒物流路x内に粉粒状の原料sが供給され(通常、原料は窒素などの少量のパージガスとともに流路内に供給される)、同流路内を比較的低速で落下する。このように原料を低速で落下させることにより、原料による管内壁の摩耗を抑制できる。また、気体燃料流路y内には気体燃料が、支燃ガス流路z内には支燃ガスがそれぞれ供給される。
ここで、原料sは気体燃料と支燃ガスによりサンドイッチされた状態で粉粒物吐出口12xから吐出されるので、原料落下流の大部分が燃焼火炎fの領域を通過することができ、原料sが燃焼火炎fにより適切に予熱されることになる。
また、気体燃料流路yが同心円の最外側にあるため、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるバーナーランスに較べて、さきに述べたような理由で支燃ガスと炉内ガス(可燃性成分)との燃焼による炉体(溶融還元炉)内面の損傷を少なくすることができる。
また、この実施形態では、ガス吐出口12vから噴射されるガスにより上記(i)、(ii)の作用効果が得られる。
【0064】
図28〜図31は、本願の第七の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態を示すもので、図28はランス先端部の縦断面図、図29は図28中のXXIX−XXIX線に沿う断面図、図30は図28中のXXX−XXX線に沿う断面図、図31はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスは、内側から順に第1管体1eおよび第2管体2eが同心円状に配置された二重管構造(管軸が垂直方向に沿う二重管構造)を有している。そして、第1管体1e内が粉粒物(原料)と気体燃料との予混合体の流路w、第1管体1eと第2管体2e間の空間が支燃ガス流路zをそれぞれ構成するとともに、予混合体流路wの先端が粉粒物(原料)・気体燃料の予混合体吐出口12wを、支燃ガス流路zの先端が支燃ガス吐出口12z(噴射口)を、それぞれ構成している。
【0065】
さらに、第2管体2eの内部には環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第2管体2eの先端に形成されているが、ガス流路vの末端(基端)を支燃ガス流路zに連通させ、支燃ガス流路zを流れる支燃ガスの一部がガス流路vに流入するような構造としてある。なお、当然のことながら環状のガス流路vの内側の管部分は、適当な連結部(図示せず)により第2管体の本体部(ガス流路vの外側の管部分)に保持されている。このような構造は、図32〜図35の実施形態でも同様である。
なお、ガス流路vは、図1〜図3の実施形態のように、支燃ガス流路z、気体燃料流路yから独立して設けてもよい。
第2管体2eは、ランス先端部を囲むようにして支燃ガス吐出口12zの前方に張り出した筒状部20を有しており、この筒状部20を含めた第2管体2eの内部には冷却水循環流路5が形成されている。
【0066】
以上のようなバーナーランスによれば、予混合体流路w内に粉粒状の原料sと気体燃料との予混合体が供給される。すなわち、気体燃料をキャリアガスとして原料が供給される。また、支燃ガス流路z内には支燃ガスが供給される。原料sは気体燃料と混合された状態で予混合体吐出口12wから吐出されるので、原料落下流自体が燃焼火炎領域となり、原料sが燃焼火炎fにより適切に予熱されることになる。また、気体燃料をキャリアガスとして原料が供給されるので、さきに説明した第一乃至第六の発明のバーナーランスに較べてランス先端(予混合体吐出口12w)での原料吐出速度が速くなり、これに伴い吐出口近傍での気体燃料と支燃ガスとの混合が促進されるので燃焼速度が増大し、また、原料周囲のガス流れが激しいことにより、原料と周囲ガス(火炎)との伝熱速度が向上する。この結果、原料を効果的に予熱することができ、炉全体の熱効率を向上させることができる。
また、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるため、支燃ガス流の内側に気体燃料+原料流が封じ込められ、気体燃料の逃げが少なくなるので、燃料を特に効率的に燃焼させることができる。
また、この実施形態では、ガス吐出口12vから噴射されるガスにより上記(i)、(ii)の作用効果が得られるとともに、ガス吐出口12vから噴射されるガスが支燃ガスであるため、気体燃料の燃焼性がより高められる。
【0067】
図32〜図35は、本願の第八の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態を示すもので、図32はランス先端部の縦断面図、図33は図32中のXXXIII−XXXIII線に沿う断面図、図34は図32中のXXXIV−XXXIV線に沿う断面図、図35はランス先端部の底面図である。
このバーナーランスは、内側から順に第1管体1fおよび第2管体2fが同心円状に配置された二重管構造(管軸が垂直方向に沿う二重管構造)を有している。そして、第1管体1f内が粉粒物(原料)と支燃ガスとの予混合体の流路w、第1管体1fと第2管体2f間の空間が気体燃料流路yをそれぞれ構成するとともに、予混合体流路wの先端が粉粒物(原料)・支燃ガスの予混合体吐出口12wを、気体燃料流路yの先端が燃料吐出口12y(噴射口)を、それぞれ構成している。
【0068】
さらに、第2管体2fの内部には環状のガス流路vが設けられ、このガス流路vの先端が環状のガス吐出口12vを構成するとともに、このガス吐出口12vが第2管体2fの先端に形成されているが、ガス流路vの末端(基端)を気体燃料流路yに連通させ、気体燃料流路yを流れる気体燃料の一部がガス流路vに流入するような構造としてある。
なお、ガス流路vは、図1〜図3の実施形態のように、支燃ガス流路z、気体燃料流路yから独立して設けてもよい。
第2管体2fは、ランス先端部を囲むようにして燃料吐出口12yの前方に張り出した筒状部20を有しており、この筒状部20を含めた第2管体2fの内部には冷却水循環流路5が形成されている。
【0069】
以上のようなバーナーランスによれば、予混合体流路w内に粉粒状の原料sと支燃ガスとの予混合体が供給される。すなわち、支燃ガスをキャリアガスとして原料が供給される。また、気体燃料流路y内には気体燃料が供給される。原料sは支燃ガスと混合された状態で予混合体吐出口12wから吐出されるので、原料落下流自体が燃焼火炎領域となり、原料sが燃焼火炎fにより適切に予熱されることになる。また、支燃ガスをキャリアガスとして原料が供給されるので、さきに説明した第一乃至第六の発明のバーナーランスに較べてランス先端(予混合体吐出口12w)での原料吐出速度が速くなり、これに伴い吐出口近傍での気体燃料と支燃ガスとの混合が促進されるので燃焼速度が増大し、また、原料周囲のガス流れが激しいことにより、原料と周囲ガス(火炎)との伝熱速度が向上する。この結果、原料を効果的に予熱することができ、炉全体の熱効率を向上させることができる。
また、気体燃料流路yが同心円の最外側にあるため、支燃ガス流路zが同心円の最外側にあるバーナーランスに較べて、さきに述べたような理由で支燃ガスと炉内ガス(可燃性成分)との燃焼による炉体(溶融還元炉)内面の損傷を少なくすることができる。
また、この実施形態では、ガス吐出口12vから噴射されるガスにより上記(i)、(ii)の作用効果が得られる。
【0070】
なお、図1〜図3および図4〜図7に示される粉粒物装入用バーナーランスにおいて、その第1管体1aに、図8〜図11と同様の貫通部4を形成し、気体燃料流路yから粉粒物流路x内に気体燃料を流入させ、同流路内で気体燃料の旋回流が生じるようにしてもよい。また、図12〜図15に示される粉粒物装入用バーナーランスにおいて、その第1管体1aに、図16〜図19と同様の貫通部4を形成し、支燃ガス流路zから粉粒物流路x内に支燃ガスを流入させ、同流路内で支燃ガスの旋回流が生じるようにしてもよい。
【0071】
また、図20〜図23に示される粉粒物装入用バーナーランスにおいて、その第1管体1cに、図8〜図11と同様の貫通部4を形成し、気体燃料流路yから粉粒物流路x内に気体燃料を流入させ、同流路内で気体燃料の旋回流が生じるようにしてもよい。或いは、その第2管体2cに、図8〜図11と同様の貫通部4を形成し、支燃ガス流路zから粉粒物流路x内に支燃ガスを流入させ、同流路内で支燃ガスの旋回流が生じるようにしてもよい。
また、図24〜図27に示される粉粒物装入用バーナーランスにおいて、その第2管体2dに、図8〜図11と同様の貫通部4を形成し、気体燃料流路yから粉粒物流路x内に気体燃料を流入させ、同流路内で気体燃料の旋回流が生じるようにしてもよい。或いは、その第1管体1dに、図8〜図11と同様の貫通部4を形成し、支燃ガス流路zから粉粒物流路x内に支燃ガスを流入させ、同流路内で支燃ガスの旋回流が生じるようにしてもよい。
【0072】
また、図20〜図23に示されるバーナーランスや、図24〜図27に示されるバーナーランスにおいて、図4〜図7に示されるバーナーランスと同様に、第1管体1cまたは1dの先端を、第2管体2cまたは2dの先端よりもバーナー内方に位置させれば、気体燃料や支燃ガスが原料と予混合された状態となるので、さらに好ましい。図36と図37は、そのようなランス先端部構造の実施形態を示すものであり、ぞれぞれの実施形態が、図20〜図23に示されるバーナーランス、図24〜図27に示されるバーナーランスのいずれにも適用可能である。また、特に図37の実施形態は、第1管体1cまたは1dの先端をノズル構造とすることで、気体燃料または支燃ガスが斜め外方(原料落下流方向)に噴射されるようにしたものであり、原料との予混合をより効果的に促進できる。
【0073】
ここで、図36および図37に示したランス軸線方向における第1管体1cまたは1dの先端と第2管体2cまたは2dの先端との距離Lは、図1〜図7、図12〜図15のバーナーランスと同様の理由で、第2管体2cまたは2dの先端の内径Dに対してD/2〜5D程度とすることが好ましい。
また、以上述べた各実施形態は、ガス流路vとガス吐出口12vを環状に設けたものであるが、図38(ランス先端部の底面図)に示すように、ガス流路vを環状(支燃ガス流路z、気体燃料流路yと同心円状)に設けるとともに、その先端に複数のガス吐出口12vをランス周方向で間隔をおいて形成するようにしてもよい。
また、ガス流路vをランス周方向で間隔をおいて設けられる複数本の通孔で構成し、各通孔の先端がガス吐出口12vとなるようにしてもよい。
【0074】
なお、以上述べた各実施形態では、第3管体3a〜3d、第2管体2e,2fは、ランス先端部を囲むようにして支燃ガス吐出口12zまたは気体燃料吐出口12yの前方に張り出した筒状部30,20を有し、これら筒状部30,20の基端内側に凹状のコーナー部が形成されているが、このコーナー部にスラグが付着・堆積し、問題を生じる可能性もある。このような問題に対しては、例えば、図39に示すように、筒状部30,20の内壁面300,200を拡径テーパー状に構成するなどして、その上部の管内壁面との間で凹状のコーナー部が形成されないようにすることが好ましい。前記内壁面300,200は、テーパー状でなくても滑らかな面(例えば曲面)であればよい。
【0075】
本発明に係る金属溶湯の製造方法では、溶融還元炉において金属酸化物を主体とする原料を溶融還元し、金属溶湯を製造する際に、上述した本発明の粉粒物装入用バーナーランスを用い、溶融還元炉内に原料などの粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに供給し、粉粒物を予熱された状態で炉内に装入する。
通常、バーナーランスにより装入される粉粒物は、図40に関して説明したように金属酸化物を主体とする原料であるが、さきに述べたような他の粉粒物であってもよい。
このような本発明によれば、使用する原料に応じて各種の金属溶湯を低コストに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本願の第一の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図
【図3】図1の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図4】本願の第一の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの他の実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図5】図4中のV−V線に沿う断面図
【図6】図4中のVI−VI線に沿う断面図
【図7】図4の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図8】本願の第二の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図9】図8中のIX−IX線に沿う断面図
【図10】図8中のX−X線に沿う断面図
【図11】図8の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図12】本願の第三の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図13】図12中のXIII−XIII線に沿う断面図
【図14】図12中のXIV−XIV線に沿う断面図
【図15】図12の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図16】本願の第四の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図17】図16中のXVII−XVII線に沿う断面図
【図18】図16中のXVIII−XVIII線に沿う断面図
【図19】図16の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図20】本願の第五の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図21】図20中のXXI−XXI線に沿う断面図
【図22】図20中のXXII−XXII線に沿う断面図
【図23】図20の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図24】本願の第六の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図25】図24中のXXV−XXV線に沿う断面図
【図26】図24中のXXVI−XXVI線に沿う断面図
【図27】図24の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図28】本願の第七の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図29】図28中のXXIX−XXIX線に沿う断面図
【図30】図28中のXXX−XXX線に沿う断面図
【図31】図28の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図32】本願の第八の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスの一実施形態におけるランス先端部の縦断面図
【図33】図32中のXXXIII−XXXIII線に沿う断面図
【図34】図32中のXXXIV−XXXIV線に沿う断面図
【図35】図32の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図36】本願の第五および第六の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスに適用可能なランス先端部構造の一実施形態を示す縦断面図
【図37】本願の第五および第六の発明に係る粉粒物装入用バーナーランスに適用可能なランス先端部構造の他の実施形態を示す縦断面図
【図38】本発明の他の実施形態におけるランス先端部の底面図
【図39】本発明の粉粒物装入用バーナーランスにおけるランス先端部の他の構造例を部分的に示す縦断面図
【図40】本発明の粉粒物装入用バーナーランスが使用される溶融還元法の実施状況の一例を模式的に示す説明図
【図41】比較例の粉粒物装入用バーナーランスのランス先端部の縦断面図
【符号の説明】
【0077】
1a,1b,1c,1d,1e,1f 第1管体
2a,2b,2c,2d,2e,2f 第2管体
3a,3b,3c,3d 第3管体
4 貫通部
5 冷却水循環流路
6 炉体(溶融還元炉)
7 上吹きランス
8 原料装入用バーナーランス
9 底吹き羽口
10 溶湯
11 スラグ
12x 粉粒物吐出口
12y 燃料吐出口
12z 支燃ガス吐出口
12w 予混合体吐出口
12v ガス吐出口
20,30 筒状部
200,300 内壁面
x 粉粒物流路
y 気体燃料流路
z 支燃ガス流路
w 予混合体流路
v ガス流路
s 原料
f 燃焼火炎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1a)、第2管体(2a)および第3管体(3a)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1a)内が粉粒物流路(x)、第1管体(1a)と第2管体(2a)間の空間が気体燃料流路(y)、第2管体(2a)と第3管体(3a)間の空間が支燃ガス流路(z)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
支燃ガス流路(z)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3a)の先端位置に設けられ、
第1管体(1a)の先端が、第2管体(2a)の先端よりもバーナー内方に位置することを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項2】
溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1b)、第2管体(2b)および第3管体(3b)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1b)内が粉粒物流路(x)、第1管体(1b)と第2管体(2b)間の空間が気体燃料流路(y)、第2管体(2b)と第3管体(3b)間の空間が支燃ガス流路(z)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
支燃ガス流路(z)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3b)の先端位置に設けられ、
第1管体(1b)の先端寄り部分に、粉粒物流路(x)内に気体燃料の旋回流が生じるように気体燃料流路(y)内の気体燃料を粉粒物流路(x)内に流入させる貫通部(4)を形成したことを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項3】
溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1a)、第2管体(2a)および第3管体(3a)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1a)内が粉粒物流路(x)、第1管体(1a)と第2管体(2a)間の空間が支燃ガス流路(z)、第2管体(2a)と第3管体(3a)間の空間が気体燃料流路(y)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
気体燃料流路(y)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3a)の先端位置に設けられ、
第1管体(1a)の先端が、第2管体(2a)の先端よりもバーナー内方に位置することを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項4】
溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1b)、第2管体(2b)および第3管体(3b)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1b)内が粉粒物流路(x)、第1管体(1b)と第2管体(2b)間の空間が支燃ガス流路(z)、第2管体(2b)と第3管体(3b)間の空間が気体燃料流路(y)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
気体燃料流路(y)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3b)の先端位置に設けられ、
第1管体(1b)の先端寄り部分に、粉粒物流路(x)内に支燃ガスの旋回流が生じるように支燃ガス流路(z)内の支燃ガスを粉粒物流路(x)内に流入させる貫通部(4)を形成したことを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項5】
溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1c)、第2管体(2c)および第3管体(3c)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1c)内が気体燃料流路(y)、第1管体(1c)と第2管体(2c)間の空間が粉粒物流路(x)、第2管体(2c)と第3管体(3c)間の空間が支燃ガス流路(z)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
支燃ガス流路(z)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3c)の先端位置に設けられることを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項6】
溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1d)、第2管体(2d)および第3管体(3d)が同心円状に配置された多重管構造を有し、
第1管体(1d)内が支燃ガス流路(z)、第1管体(1d)と第2管体(2d)間の空間が粉粒物流路(x)、第2管体(2d)と第3管体(3d)間の空間が気体燃料流路(y)をそれぞれ構成するとともに、各流路(x),(y),(z)の先端が吐出口を構成し、
気体燃料流路(y)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第3管体(3d)の先端位置に設けられることを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項7】
溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1e)および第2管体(2e)が同心円状に配置された二重管構造を有し、
第1管体(1e)内が粉粒物と気体燃料との予混合体の流路(w)、第1管体(1e)と第2管体(2e)間の空間が支燃ガス流路(z)をそれぞれ構成するとともに、各流路(w),(z)の先端が吐出口を構成し、
支燃ガス流路(z)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第2管体(2e)の先端位置に設けられることを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項8】
溶融還元炉において、粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに炉内に供給するためのバーナーランスであって、
内側から順に第1管体(1f)および第2管体(2f)が同心円状に配置された二重管構造を有し、
第1管体(1f)内が粉粒物と支燃ガスとの予混合体の流路(w)、第1管体(1f)と第2管体(2f)間の空間が気体燃料流路(y)をそれぞれ構成するとともに、各流路(w),(y)の先端が吐出口を構成し、
気体燃料流路(y)のさらに外側にガス流路(v)を設け、ガス流路(v)の先端が吐出口を構成するとともに、該吐出口が第2管体(2f)の先端位置に設けられることを特徴とする溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項9】
ガス流路(v)の末端が支燃ガス流路(z)と連通し、支燃ガス流路(z)を流れる支燃ガスの一部がガス流路(v)に流入するようにしたことを特徴とする請求項1、2、5、7のいずれかに記載の溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項10】
ガス流路(v)の末端が気体燃料流路(y)と連通し、気体燃料流路(y)を流れる気体燃料の一部がガス流路(v)に流入するようにしたことを特徴とする請求項3、4、6、8のいずれかに記載の溶融還元炉の粉粒物装入用バーナーランス。
【請求項11】
溶融還元炉において、金属酸化物を主体とする原料を溶融還元し、金属溶湯を製造する方法において、
請求項1〜10のいずれかに記載のバーナーランスを用い、溶融還元炉内に粉粒物を気体燃料および支燃ガスとともに供給し、粉粒物を予熱された状態で炉内に装入することを特徴とする、溶融還元による金属溶湯の製造方法。
【請求項12】
バーナーランスから供給される粉粒物の少なくとも一部が、金属酸化物を主体とする原料であることを特徴とする、請求項11に記載の溶融還元による金属溶湯の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2010−156025(P2010−156025A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−335675(P2008−335675)
【出願日】平成20年12月29日(2008.12.29)
【出願人】(000001258)JFEスチール株式会社 (8,589)
【Fターム(参考)】