説明

滅菌用袋

【課題】滅菌対象物の変形を防ぎ、かつ滅菌対象物を確実にガス滅菌することができ、さらには、ゴミが生じる問題も解決することができる滅菌用袋を提供すること。
【解決手段】滅菌用袋6は、ガス滅菌が施される血液回路セット100を収納し、滅菌ガス透過性かつ菌不透過性を有するガス透過領域74と実質的に透明な透明領域75とを有する袋本体7と、袋本体7の異なる位置に設けられ、ガス滅菌を行なうときに袋本体7の形状を維持するのに用いられる係合部8a、8b、8cおよび8dとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、滅菌用袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用具としてのチューブやシリンジは、可撓性を有するバッグ(滅菌用袋)に収納され、滅菌・消毒した状態で医療現場に届けられる。そして、医療現場において、その都度、開封して使用する。
【0003】
医療用具を滅菌する方法としては、例えば、エチレンオキサイドガス滅菌が用いられる。この方法は、例えば特許文献1に記載のバッグに医療器具を収納して、この状態で、チャンバ内にエチレンオキサイドガスを供給する方法である。この特許文献1に記載のバッグは、滅菌ガス透過性を有するものである。このため、バッグを透過した滅菌ガス(エチレンオキサイドガス)によって、バッグ内の医療器具が滅菌される。
【0004】
しかしながら、従来のバッグ(特許文献1に記載のバッグ)を用いてエチレンオキサイドガス(EOG)滅菌を行なう際、滅菌対象物(被滅菌処理物)が例えばチューブのような可撓性を有するものであると、バッグが外圧により押圧されて押しつぶされ、これとともに、チューブ(滅菌対象物)が不本意な状態、例えばチューブの一部の内腔部が閉塞するようにつぶれる。このため、チューブに曲がり癖がついて当該チューブの使用に差し支えたり、チューブが閉塞したままとなり、その閉塞した部分に滅菌ガスが到達せずに当該部分が滅菌されないという問題があった。
【0005】
このような不具合を防ぐために、硬質プラスチック製のトレイに被滅菌物(滅菌対象物)を収納した後、滅菌用袋(バッグ)に収納し、滅菌することがあった。この場合、被滅菌物の変形の問題を解決することができても、トレイがゴミとなり、ゴミの量が増えるという問題があった。特に滅菌対象物が人工肺システムの場合、人工肺本体、貯血槽、フィルタ、遠心ポンプおよび血液回路等が予め接続されセットされたもの(血液回路セット)があるが、この場合トレイも大きくなりゴミの問題は無視することができなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2003−299717号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、滅菌対象物の変形を防ぎ、かつ滅菌対象物を確実にガス滅菌することができ、さらには、ゴミが生じる問題も解決することができる滅菌用袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、下記(1)〜(5)の本発明により達成される。
(1) ガス滅菌が施される滅菌対象物を収納し、少なくとも1部が滅菌ガス透過性かつ菌不透過性を有する袋本体と、
前記袋本体の異なる位置に複数設けられ、前記ガス滅菌を行なうときに前記袋本体の形状を維持するのに用いられる係合部とを備えることを特徴とする滅菌用袋。
【0009】
(2) 前記滅菌用袋は、前記ガス滅菌時に箱に収納されるものであり、
前記箱は、前記各係合部とそれぞれ係合する受け部を有する上記(1)に記載の滅菌用袋。
【0010】
(3) 前記滅菌対象物が収納された状態で滅菌される上記(1)または(2)に記載の滅菌用袋。
【0011】
(4) 前記滅菌対象物は、血液回路セットである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の滅菌用袋。
【0012】
(5) 前記血液回路セットは、人工肺、貯血槽および血液回路を有する上記(4)に記載の滅菌用袋。
【0013】
また、前記複数の係合部のうちの少なくとも1組の係合部は、対向配置されているのが好ましい。
【0014】
前記袋本体は、平面視でほぼ四角形をなしており、前記各係合部は、それぞれ、前記袋本体の対角線上に位置する角部に設けられているのが好ましい。
【0015】
前記袋本体は、平面視でほぼ四角形をなしており、前記各係合部は、それぞれ、前記袋本体の対向する2辺に設けられているのが好ましい。
【0016】
前記袋本体は、それを膨張させたときにほぼ直方体またはほぼ立方体をなすものであり、前記各係合部は、それぞれ、前記袋本体の天面上に設けられているのが好ましい。
【0017】
前記各係合部は、それぞれ、その少なくとも一部が可撓性を有するのが好ましい。
前記各係合部は、それぞれ、その形状がリング状をなすものであるのが好ましい。
【0018】
前記各係合部は、鎖状に連結された複数のリングで構成されており、該複数のリングのうちの1つを選択して用いられるのが好ましい。
【0019】
前記複数のリングのうちの使用されていないリングは、それぞれ、前記袋本体を持ち上げるときに指を掛ける指掛け部として機能するのが好ましい。
前記袋本体を持ち上げるときに指を掛ける指掛け部をさらに有するのが好ましい。
【0020】
前記指掛け部は、前記複数の係合部のうちの少なくとも1つの係合部に設けられているのが好ましい。
前記指掛け部は、その形状がリング状をなすものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、複数の係合部を有することにより、袋本体を各係合部が設置された複数の箇所で支持することができる。これにより、ガス滅菌を施した際に、袋本体は、外圧により押圧されて押しつぶされそうになるが、各係合部で支持されているため当該係合部に張力が生じて、押しつぶされるのが規制(防止または抑制)される。
【0022】
このような作用により、袋本体の形状が確実に維持される。これにより、袋本体内の滅菌対象物が不本意に押しつぶされるのが防止される。これにより、滅菌対象物の変形を防ぐことができ、また、滅菌対象物の全体に渡って滅菌ガスが供給され、よって、当該滅菌対象物の全体を確実に滅菌することができる。
【0023】
また、各係合部が袋本体に設置されているため、当該各係合部が使用後に単独でゴミとなるのが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の滅菌用袋を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の滅菌用袋の第1実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す滅菌用袋を箱に収納した状態を示す斜視図、図5は、図2に示す滅菌用袋をガス滅菌する状態を示す斜視図、図6は、図1に示す滅菌用袋に収納された状態の血液回路セットの斜視図である。なお、以下では、説明の都合上、図1、図2、図5および図6中(図3および図4も同様)の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
【0025】
図6に示す血液回路セット(滅菌対象物)100は、滅菌用袋6に収納された状態で、ガス滅菌が施されるものである。この血液回路セット100は、静脈リザーバ(貯血槽)102と、人工肺104と、動脈フィルタ105と、これらを接続する複数のチューブ(血液回路)と、保持具とを有する。
【0026】
保持具は、静脈リザーバを保持するリザーバ保持具110と、人工肺104を保持する人工肺保持具111と、動脈フィルタ105を保持するフィルタ保持具112とを有し、リザーバ保持具110の下部に人工肺保持具111が連結され、リザーバ保持具110の側部にフィルタ保持具112が連結されている。
【0027】
そして、リザーバ保持具110に保持されたリザーバ102と、人工肺保持具111に保持された人工肺104とが、遠心ポンプ101を介して第1チューブ3にて接続され、フィルタ保持具112に保持された動脈フィルタ105と人工肺104とが第2チューブ4にて接続されている。
【0028】
リザーバ102には、患者からの脱血チューブを接続し得る脱血チューブ接続部44が設けられている。また、動脈フィルタ105には、送血チューブを接続し得る送血チューブ接続部45が設けられている。また、脱血チューブ接続部44および送血チューブ接続部45に、脱血チューブおよび送血チューブが予め接続されていてもよい。
このようにして血液回路セット100が構成されている。
【0029】
図1に示す血液回路セット100においては、さらに、複数のチューブが従来と同様の方法で各部材間に接続されている。また、公知の部品(例えば、バブルトラップ、熱交換器等)が各保持具に接続されてもよい。
【0030】
次に、滅菌用袋6について説明する。
図5に示すように、滅菌用袋6は、ガス滅菌時に当該滅菌用袋6に血液回路セット100のような滅菌対象物を収納した状態で箱9に収納されるものである。また、箱9には、蓋2が装着される。
【0031】
この滅菌用袋6は、袋本体7と、袋本体7の異なる位置に設けられた係合部8a、8b、8cおよび8dとを有している。
袋本体7は、全体的に可撓性を有している。
【0032】
この袋本体7は、平面視で(上方から見たとき)の形状がほぼ四角形、すなわち、膨張させたときの形状が直方体(または立方体)をなすものである。換言すれば、袋本体7は、それを膨張させた際、ほぼ四角形の底部(底板)71と、底部71の4つ縁部からそれぞれ立設する側壁72a、72b、72cおよび72dと、底部71と対向するほぼ四角形の天板(天面)73とが形成される。なお、図5に示す構成では、側壁72aと側壁72cとが対向しており、側壁72bと側壁72dとが対向している。
【0033】
このような形状をなす袋本体7は、その全表面積の10%以上が滅菌ガス透過性かつ菌不透過性を有する材料で構成されているのが好ましい。
【0034】
滅菌ガス透過性かつ菌不透過性を有する部分(以下、この部分を「ガス透過領域74」と言う)は、一体的に形成されている。
【0035】
ガス透過領域74の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン等の合成樹脂材料からなる不織布等が挙げられ、「タイベック」と言う商品名で市販されている。
【0036】
また、袋本体7のガス透過領域74を除く部分(以下、この部分を「透明領域75」という)は、実質的に透明になっており、袋本体7の内部の視認性が確保されている。これにより、袋本体7内の滅菌対象物(血液回路セット100)を確認する(視認する)ことができる。
【0037】
透明領域75の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロン)等が挙げられる。
【0038】
袋本体7の天板73の各角部731には、それぞれ、係合部8a、8b、8cおよび8dが固定されて(設置されて)いる。図5に示すように、各係合部8a〜8dは、それぞれ、ガス滅菌を行なうときに袋本体7の形状を維持するのに、後述する箱9の小片(受け部)91a〜91dに係合して用いられるものである。
【0039】
各係合部8a〜8dの構成は、ほぼ同一であるため、以下、係合部8aを代表的に説明する。
【0040】
係合部8aは、可撓性を有する、鎖状に連結された2つのリング81および82で構成されている。このように係合部8aがリング状(環状)をなす部分を有していることにより、その部分(リング81または82)を小片91aに容易かつ確実に係合することができる。
【0041】
また、係合部8aでは、リング81および82のうちの一方を選択して、箱9の小片91aに係合することができる。これにより、箱9の大きさ、すなわち、小片91aの位置に応じて、リング81、82を使い分けることができる。よって、箱9に収納された袋本体7の形状を安定して維持することができる。
【0042】
また、例えばリング81を使用した、すなわち、箱9の小片91aに係合した場合(図2、図5に示す状態)、使用されていないリング82に指を掛けて、袋本体7を容易かつ確実に持ち上げることができる。このように、係合部8aでは、2つのリング81および82のうちの使用されていないリングが、袋本体7を持ち上げるときに指を掛ける指掛け部として機能する。
【0043】
このように指掛け部がリング状をなしていることにより、当該指掛け部に指を挿入して、掛けることができる。よって、袋本体7を持ち上げる際の作業性が向上する。
【0044】
係合部8aの構成材料としては、特に限定されないが、例えば、上質紙、中質紙、クラフト紙、片艶クラフト紙、更クラフト紙等の種々の紙材や、ポリエチレン等のような樹脂材料が挙げられる。係合部8aがこのような材料で構成されている場合、係合部8aが確実に可撓性を有することとなる。よって、係合部8aを箱9の小片91aに係合する際、その操作(係合操作)を容易に行なうことができる。
【0045】
また、係合部8aの袋本体7に対する固定方法としては、特に限定されないが、例えば、粘着テープを用いた方法や、接着(接着剤や溶媒による接着)による方法等が挙げられる。本実施形態では、粘着テープ20によって係合部8aを袋本体7に固定している。
係合部8b〜8dについても、係合部8aとほぼ同様の構成となっている。
【0046】
前述したように、滅菌用袋6では、袋本体7の各角部731にそれぞれ、係合部8a〜8dが設置されている。これにより、係合部8aと係合部8cとが袋本体7の天板73の対角線上に位置し、係合部8bと係合部8dとが袋本体7の天板73の対角線上に位置することとなる。すなわち、滅菌用袋6では、2組の係合部が対向配置されることとなる。
【0047】
このように係合部8a〜8dが配置されていることにより、箱9に袋本体7が収納された際、当該袋本体7は、4箇所で箱9に対して支持される。図5に示すように、この状態で、ガス滅菌装置30のチャンバ301内でガス滅菌を施すと、袋本体7(滅菌用袋6)は、外圧により押圧されて押しつぶされそうになるが、係合部8a(リング81)が箱9の小片91aに係合しているため当該係合部8aに張力が生じて、押しつぶされるのが規制(防止または抑制)される。係合部8b〜8dについても、係合部8aと同様の作用が生じる。
【0048】
このような作用により、袋本体7の形状が確実に維持される。これにより、袋本体7内の血液回路セット100のような滅菌対象物が不本意に押しつぶされるのが防止される。これにより、滅菌ガスが滅菌対象物の隅々まで到達する(供給される)。よって、滅菌対象物の全体を確実に滅菌することができる。
【0049】
次に、箱9について説明する。
図1に示すように、箱9は、底板92を有している。この底板92は、袋本体7の底部71と対応した形状、すなわち、ほぼ四角形をなしている。また、底板92の4つの角部には、それぞれ、面取りが施されており、面取り部921が形成されている。
【0050】
また、箱9は、底板92の各縁部922および各面取り部921からそれぞれ立設した側壁(壁部)93および94を有している。
【0051】
各側壁93と各側壁94との境界部には、その上部に、スリット状(長尺状)の欠損部95が上下方向に沿って形成されている。これにより、各壁部94の隣接する欠損部95の間にそれぞれ、小片91a、91b、91cおよび91dが形成される。
【0052】
底板92と各側壁93および94とで画成された空間96内に、滅菌用袋6(袋本体7)が収納される。また、この際、滅菌用袋6の係合部8aが箱9の小片91aに係合し、係合部8bが小片91bに係合し、係合部8cが小片91cに係合し、係合部8dが小片91dに係合する。これにより、前述したように、ガス滅菌を施した際に、袋本体7がつぶれるのが防止され、よって、当該袋本体7内の滅菌対象物の変形が防止され、かつ滅菌対象物を確実にガス滅菌することができる。
【0053】
箱9の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、係合部8aの構成材料と同様のものを用いることができる。なお、例えば箱9の構成材料として前記紙材を用いた場合、箱9の強度を維持するために、複数枚の紙材を積層して(重ねて)使用するのが好ましい。
【0054】
蓋2は、箱9の上部開口を覆うものである。
図1に示すように、蓋2は、天板21を有している。この天板21は、箱9の上部開口と対応した形状、すなわち、ほぼ四角形をなしている。また、蓋2の4つの角部には、それぞれ、面取りが施されており、面取り部211が形成されている。
【0055】
また、蓋2は、天板21の各縁部212および各面取り部921からそれぞれ立設した側壁(壁部)22を有している。この側壁22の高さは、箱9の側壁93(側壁94も同様)の高さよりも十分小さい(低い)。
【0056】
次に、ガス滅菌方法の一例について説明する。なお、本実施形態では、ガス滅菌を行なう際に、図5に示すガス滅菌装置30を用いる。また、ガス滅菌としては、エチレンオキサイドガス滅菌を一例に挙げる。
【0057】
ガス滅菌装置30は、血液回路セット100が収納された滅菌用袋6、さらにその滅菌用袋6が収納された箱9が、内側に載置されるチャンバ301と、チャンバ301内の空気を吸引するポンプ302と、チャンバ301内にエチレンオキサイドガス(EOG)を供給する供給タンク(供給源)303と、チャンバ301とポンプ302とを連結する配管305と、配管305の途中から分岐して供給タンク303に連通する配管306とを有している。
【0058】
また、配管305と配管306との分岐部には、切換弁304が設置されている。この切換弁304が作動することにより、ガス滅菌装置30では、チャンバ301とポンプ302とが連通する状態(第1の状態)と、チャンバ301と供給タンク303とが連通する状態(第2の状態)とに切り替えることができる。
【0059】
ガス滅菌方法について説明する。
[1] まず、チャンバ301内に、滅菌用袋6が収納された箱9を載置する。この箱9には、蓋が装着される。なお、滅菌用袋6には、予め、血液回路セット100が収納されている。
【0060】
[2] 次に、ガス滅菌装置30を第1の状態に設定し、ポンプ302を作動させる。これにより、チャンバ301内の空気が吸引され、よって、当該チャンバ301内が真空状態となる。
【0061】
[3] 次に、ポンプ302の作動を停止し、その後、ガス滅菌装置30を第2の状態に設定する。これにより、チャンバ301内に供給タンク303からEOGが吸引され、よって、チャンバ301内にEOGが供給される。このとき、前述したように各係合部8a〜8dの作用により袋本体7の形状が維持されているため、ガス透過領域74を介してEOGが袋本体7内全体に充填される。この充填されたEOGにより、血液回路セット100を確実に滅菌することができる。
【0062】
[4] 滅菌終了後、ガス滅菌装置30を再度第1の状態に設定し、ポンプ302を作動させる。これにより、チャンバ301内からEOGが除去される。
【0063】
[5] 次に、ポンプ302の作動を停止し、チャンバ301内を大気開放する。その後、チャンバ301内から箱9を取り出す。
【0064】
<第2実施形態>
図3は、本発明の滅菌用袋の第2実施形態を示す斜視図である。
【0065】
以下、この図を参照して本発明の滅菌用袋の第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、係合部の設置位置が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0066】
図3に示す滅菌用袋6Aでは、係合部8a〜8dは、それぞれ、袋本体7の天板73の各辺732の中央部に設置されている。これにより、係合部8aと係合部8cとが対向し、係合部8bと係合部8dとが対向することとなる。
【0067】
このように係合部8a〜8dが配置されていることにより、前記第1実施形態に記載したのと同様の効果が得られる、すなわち、ガス滅菌を施した際に袋本体7内の血液回路セット100を確実に滅菌することができる。
【0068】
<第3実施形態>
図4は、本発明の滅菌用袋の第3実施形態を示す斜視図である。
【0069】
以下、この図を参照して本発明の滅菌用袋の第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
本実施形態は、係合部の設置位置が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0070】
図4に示す滅菌用袋6Bでは、係合部8a〜8dは、それぞれ、袋本体7の天板73の各角部731(外周(縁部))よりも内側に設置されている。これにより、前記第1実施形態に記載したのと同様の効果が得られる。
【0071】
以上、本発明の滅菌用袋を図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、滅菌用袋を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0072】
また、本発明の滅菌用袋は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0073】
例えば、前記第1実施形態の滅菌用袋が、袋本体の天板の各角部に設置された係合部の他に、前記第2実施形態に記載したような配置の、すなわち、袋本体の天板の各辺に設置された係合部をさらに有していてもよい。
【0074】
また、前記第2実施形態の滅菌用袋が、袋本体の天板の各辺に設置された係合部の他に、前記第3実施形態に記載したような配置の、すなわち、袋本体の天板の各角部よりも内側に設置された係合部をさらに有していてもよい。
【0075】
また、滅菌対象物としては、血液回路セットに限定されず、例えば、血液回路単体、輸液セット、カテーテル等であってもよい。
【0076】
また、係合部の設置数は、4つに限定されず、例えば、2つ、3つまたは5つ以上であってもよい。
【0077】
また、係合部を構成するリングの形成数は、2つに限定されず、例えば、1つまたは3つ以上であってもよい。
【0078】
また、指掛け部は、各実施形態では係合部の一部が機能するよう構成されているが、これに限定されず、例えば、係合部とは別に設けてもよい。指掛け部を係合部とは別に設けた場合、当該指掛け部の設置位置としては、特に限定されず、例えば、係合部の近傍が挙げられる。
【0079】
また、袋本体は、ガス透過領域と透明領域とで構成されているのに限定されず、例えば、袋本体の全体がガス透過領域で構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の滅菌用袋の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す滅菌用袋を箱に収納した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の滅菌用袋の第2実施形態を示す斜視図である。
【図4】本発明の滅菌用袋の第3実施形態を示す斜視図である。
【図5】図2に示す滅菌用袋をガス滅菌する状態を示す斜視図である。
【図6】図1に示す滅菌用袋に収納された状態の血液回路セットの斜視図である。
【符号の説明】
【0081】
100 血液回路セット(滅菌対象物)
2 蓋
21 天板
211 面取り部
212 縁部
22 側壁(壁部)
3 第1チューブ
4 第2チューブ
44 脱血チューブ接続部
45 送血チューブ接続部
6、6A、6B 滅菌用袋
7 袋本体
71 底部(底板)
72a、72b、72c、72d 側壁
73 天板(天面)
731 角部
732 辺
74 ガス透過領域
75 透明領域
8a、8b、8c、8d 係合部
81、82 リング
9 箱
92 底板
921 面取り部
922 縁部
93、94 側壁(壁部)
95 欠損部
96 空間
91a、91b、91c、91d 小片(受け部)
101 遠心ポンプ
102 静脈リザーバ(貯血槽)
104 人工肺
105 動脈フィルタ
110 リザーバ保持具
111 人工肺保持具
112 フィルタ保持具
20 粘着テープ
30 ガス滅菌装置
301 チャンバ
302 ポンプ
303 供給タンク(供給源)
304 切換弁
305、306 配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス滅菌が施される滅菌対象物を収納し、少なくとも1部が滅菌ガス透過性かつ菌不透過性を有する袋本体と、
前記袋本体の異なる位置に複数設けられ、前記ガス滅菌を行なうときに前記袋本体の形状を維持するのに用いられる係合部とを備えることを特徴とする滅菌用袋。
【請求項2】
前記滅菌用袋は、前記ガス滅菌時に箱に収納されるものであり、
前記箱は、前記各係合部とそれぞれ係合する受け部を有する請求項1に記載の滅菌用袋。
【請求項3】
前記滅菌対象物が収納された状態で滅菌される請求項1または2に記載の滅菌用袋。
【請求項4】
前記滅菌対象物は、血液回路セットである請求項1ないし3のいずれかに記載の滅菌用袋。
【請求項5】
前記血液回路セットは、人工肺、貯血槽および血液回路を有する請求項4に記載の滅菌用袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−148881(P2008−148881A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339232(P2006−339232)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】