演奏情報入力装置、打楽器およびセンサユニット
【課題】 シンバル等、ダイナミックレンジの広い打楽器の振動を、サチュレーションなどを起すことなく検出する。
【解決手段】 シンバル48が弱打された時の振動(分離振動)は、図4(a)に示す下筐体部52、板バネ62を介してセンサ板66に伝達され、ここに固着された(図示せず)ピエゾ素子によって検出される。シンバル48が強打されると、図4(b)に示すようにシンバル48が傾き、上下筐体部52,54が上に持ち上がり、スプリングワッシャ64が縮む(直達振動)。その際、弾性体56によって保持された質量体58は現在位置に留まろうとするため、センサ板66に対して曲げるような力が働く。これにより、分離振動と直達振動との合計値がピエゾ素子によって検出される。
【解決手段】 シンバル48が弱打された時の振動(分離振動)は、図4(a)に示す下筐体部52、板バネ62を介してセンサ板66に伝達され、ここに固着された(図示せず)ピエゾ素子によって検出される。シンバル48が強打されると、図4(b)に示すようにシンバル48が傾き、上下筐体部52,54が上に持ち上がり、スプリングワッシャ64が縮む(直達振動)。その際、弾性体56によって保持された質量体58は現在位置に留まろうとするため、センサ板66に対して曲げるような力が働く。これにより、分離振動と直達振動との合計値がピエゾ素子によって検出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アコースティック打楽器の演奏状態の検出に用いて好適な演奏情報入力装置、打楽器およびセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アコースティック打楽器における振動を検出し、それをトリガーとして演奏情報を発生させるとともに、振動のレベル等を該演奏情報のベロシティとして発生する打撃検知器が市販されている。生成された演奏情報に基づいて音源によって楽音信号を生成すると、アコースティック打楽器との同時演奏が可能になる。また、演奏情報をレコーディングしておき、後に加工などを行うことも勿論可能である。しかし、上述したセンサが実現されているアコースティック打楽器は、ドラム系の打楽器のみであり、今日までシンバル用のセンサは実用化されていない。なお、電磁ピックアップを使用してシンバル用のセンサを実現したとする記載は特許文献1に存在するが、現実にシンバルの演奏状態を適切に検出できるか否かは定かではない。
【0003】
【特許文献1】特許第3434509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日までシンバル用のセンサが実用化できなかった理由は、その振動のダイナミックレンジの広さにある。すなわち、シンバルの演奏態様には、「チン、チン、チン」と弱く打つ態様(弱打)や、シンバルが大きく傾く程度にまで強く打つ態様(強打)がある。シンバルのアコースティックな楽音を妨げることなく、その振動を検出することは極めて困難であった。例えば、ドラム系の打楽器用に市販されているセンサを、そのままシンバルのカップ(頭部)に取り付けたとしても、シンバルの広いダイナミックレンジを忠実に検出することは不可能である。このような理由により、シンバルの広いダイナミックレンジに対応できるセンサの実用化が望まれていた。
【0005】
また、シンバルのダイナミックレンジをカバーできるセンサが実現すれば、ほとんど全ての打楽器のダイナミックレンジをカバーできる。また、通常は「楽器」とは考えられない単なる板、ドラム缶、浮き輪など、叩いて振動するもの(振動体)の振動を検出し、これによって音源を介して楽音信号を発生させると、これらを楽器として使用できる。
【0006】
また、このように応用範囲の広いセンサが実現すると、同種のセンサを複数用いたアンサンブルが可能になる。このような用途にセンサを使用するのであれば、センサそのものに音色をアサインできることが望ましいと考えられる。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、広いダイナミックレンジの振動または変位を検出できる演奏情報入力装置、打楽器およびセンサユニットを提供することを第1の目的としている。また、これらにおいて、センサを装着したユニット自体で自由に音色をアサインできるようにすることを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載の演奏情報入力装置(1,2)にあっては、振動または変位を検出するセンサ(70)と、設置場所(48,90,92)に生じた振動または変位を前記センサ(70)に伝達する伝達手段(62)と、前記伝達手段(62)における振動または変位の伝達を助成する助成手段(56,58)と、前記センサ(70)が振動または変位を検出すると、所定の楽器種類情報を伴う演奏情報を発生する演奏情報発生手段(60)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項2記載の構成にあっては、請求項1記載の演奏情報入力装置(1,2)において、前記演奏情報入力装置(1,2)は支持ベース(52,54)を有するものであり、前記助成手段(56,58)は、前記支持ベース(52,54)からの振動または変位の伝達が抑制されるように前記支持ベース(52,54)に弾性的に保持されるとともに前記センサ(70)を装着した保持体であり、前記センサ(70)は、前記保持体の変位または振動と、前記伝達手段(62)を介して伝達される変位または振動との差を検出するものであることを特徴とする。
また、請求項3記載の打楽器にあっては、支持体(40)と打面体(48)とを備え、前記打面体(48)を前記支持体(40)に弾性的に保持するとともに、所定のセンサユニット(1)を着脱できる打楽器であって、前記センサユニット(1)は、振動または変位を検出するセンサ(70)と、前記打面体(48)の振動または変位を前記センサ(70)に伝達する伝達手段(62)と、前記伝達手段(62)における振動または変位の伝達を助成する助成手段(56,58)と、前記センサ(70)が振動または変位を検出すると、所定の楽器種類情報を伴う演奏情報を発生する演奏情報発生手段(60)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項4記載の構成にあっては、請求項3記載の打楽器において、前記打面体(48)はシンバルであることを特徴とする。
また、請求項5記載の演奏情報入力装置(1,2)にあっては、支持ベース(52,54)と、該支持ベース(52,54)に設けられた少なくとも二の操作子(78U,78D)と、該支持ベース(52,54)に設けられ、該支持ベース(52,54)の載置場所における振動または変位を検出する検出部(62,66,70)と、前記二の操作子(78U,78D)に対する操作状態および前記検出部(62,66,70)の検出信号によって複数の打楽器音源種類の中の一または複数の打楽器音源種類を自機に割り当てる打楽器音源種類アサイン手段とを有することを特徴とする。
さらに、請求項6記載の構成にあっては、請求項5記載の演奏情報入力装置(1)において、前記検出部(62,66,70)は、振動または変位を検出するセンサ(70)と、前記支持ベース(52,54)に生じた振動または変位を前記センサ(70)に伝達する伝達手段(62)とを含み、前記検出部(62,66,70)は、直達振動と相対振動とを合わせた振動を検出するものであり、前記直達振動は、前記支持ベース(52,54)に力が印加されたとき、前記伝達手段(62)を介して、前記支持ベース(52,54)の振動と略同相で伝達される振動であり、前記相対振動は、前記支持ベース(52,54)と前記検出部(62,66,70)とが別々に振動する分離振動による、前記支持ベース(52,54)と前記検出部(62,66,70)との相対的位置関係に基づく振動であることを特徴とする。
さらに、請求項7記載の構成にあっては、請求項5記載の演奏情報入力装置(1,2)において、前記打楽器音源種類アサイン手段は、複数の打楽器音源種類を自機に割り当てるものであり、前記検出信号のレベルに応じて、これら複数の打楽器音源種類の何れかを選択し、選択した打楽器音源種類に係る演奏情報を出力する音源種類選択手段(SP16,SP26,SP38,SP64,SP72)をさらに有することを特徴とする。
さらに、請求項8記載の構成にあっては、請求項7記載の演奏情報入力装置(1,2)において、前記音源種類選択手段(SP16,SP26,SP38,SP64,SP72)は、前記検出信号のレベルが所定の閾値未満であるとき一の打楽器音源種類を選択するとともに、前記検出信号のレベルが該閾値(レベル域LA2とLA3の境界)以上であるときに複数の打楽器音源種類を選択し、選択した一または複数の打楽器音源種類に係る演奏情報を出力することを特徴とする。
また、請求項9記載のセンサユニット(1)にあっては、振動または変位を検出するセンサ(70)と、設置場所(48,90,92)に生じた振動または変位を前記センサ(70)に伝達する伝達手段(62)と、前記伝達手段(62)における振動または変位の伝達を助成する助成手段(56,58)とを有することを特徴とする。
また、請求項10記載のセンサユニット(1)にあっては、支持ベース(52,54)と、前記支持ベース(52,54)に設けられ、該支持ベース(52,54)の設置場所に生じた動きの振動モード(分離振動)または変位モード(直達振動)での検出信号を検出するセンサ(70)と、前記支持ベース(52,54)に設けられ、前記振動モードおよび変位モードの両モードの検出信号を受容して前記センサ(70)に伝達する伝搬手段(58,62)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項11記載の構成にあっては、請求項10記載のセンサユニット(1)において、前記伝搬手段(58,62)は、前記センサ(70)が前記振動モードおよび前記変位モードの両モードを受容して検出することを助成する助成手段(56,58)を含むことを特徴とする。
さらに、請求項12記載の構成にあっては、請求項11記載のセンサユニット(1)において、前記助成手段(56,58)は、前記支持ベース(52,54)に対し弾性的に保持された質量体(58)を含み、前記検出信号の検出時における前記支持ベース(52,54)の振動または変位に対して前記質量体の慣性により前記振動または変位が抑制されることで前記センサの前記検出信号が増幅されるようにした助成手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように、振動体に生じる振動または変位をセンサで直接的に検出するのではなく、伝達手段および助成手段を介して振動または変位を前記センサに伝達する構成によれば、センサによって検出可能な振動または変位のダイナミックレンジを広くすることが可能である。
また、振動または変位を検出する検出部の検出信号を用いて複数の打楽器音源種類の中の一または複数の打楽器音源種類を自機に割り当てる構成によれば、演奏情報入力装置に設けるべき入力装置(例えばキー78U,78D等)の数を削減しつつ、演奏情報入力装置に対して所望の打楽器音源を割り当てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.第1実施例
1.1.実施例の構成
次に、本発明の第1実施例の自然打楽器の全体構成を図1を参照し説明する。
なお、第1実施例の自然打楽器は、スタンド付シンバルに演奏情報入力ユニット1を装着して成るものである。図1において48はシンバルであり、円盤をややすり鉢状に湾曲させた形状を有するとともに、その中心部に貫通孔48aが形成されている。44は弾性体であり、ウレタンゴム等を略円筒状に形成して構成されており、シンバル48の中心部の下面に当接されている。40は略円筒状の支持棒であり、その上端部には、より外周の広い円筒状に形成された支持ベース43が固着されている。なお、支持棒40の下端部(図示せず)は、三脚スタンドになっている。支持ベース43の上面は、弾性体44の外径に等しい直径を有する円形の凹部43aが形成されており、ここに弾性体44の下端部が嵌合されている。また、支持ベース43の内周面には雌ネジが螺刻されている。
【0010】
演奏情報入力ユニット1の筐体は、下筐体部52と、上筐体部54とから構成されている。下筐体部52は、略円盤状の円盤部52aと、円盤部52aから上方向に突出する短尺円筒状の螺合部52bとから構成されている。また、上筐体部54は、略円筒状の本体部54aと、その上端を覆う円環状の上端部54bとから構成されている。ここで、上端部54bの中心部分には、光および電波を透過する円形の透明板76が嵌合され固着されている。詳細は後述するが、回路基板60は、この透明板76を介して演奏情報を電波として外部に放射する。なお、回路基板60に搭載されている回路の詳細については、第3実施例において後述する。上筐体部54の本体部54aの下部内周面には雌ネジが螺刻されており、下筐体部52の螺合部52bの外周面には雄ネジが螺刻されている。これにより、下筐体部52に上筐体部54を被せ、上筐体部54を回転させると、図示のように下筐体部52と上筐体部54とが螺合される。
【0011】
下筐体部52の円盤部52aの上面には、板バネ62およびスプリングワッシャ64が載置されている。なお、板バネ62の詳細構成については後述する。42はシンバル固定ネジであり、スプリングワッシャ64、板バネ62、下筐体部52、シンバル48、弾性体44を挿通し、支持ベース43の内周面に螺合され、さらに支持棒40に挿通している。シンバル固定ネジ42の下端部42bは凹字状にくびれており、このくびれ部分には、横方向から支持棒40に螺合されたゆるみ防止ネジ46の先端部が押圧されており、シンバル固定ネジ42のゆるみを防止している。
【0012】
上筐体部54の内周面には、略環状の弾性体56が固着されている。この場合、例えば接着剤固着である。58は略環状の質量体であり、その主部581は、例えば鉄などによって構成されている。また、質量体58の副部(上部蓋材)582は、硬質樹脂で構成されている。主部581と副部(上部蓋材)582とは図示のように上下に合わせられ、ネジ583によって螺着されている。この質量体58の内部には、無線送信機などを収納した回路基板60が収納されている。該回路基板60は、金属で構成された基板保持部兼アンテナ端子61を介して副部582にネジ65によって、共締めで固着されている。
【0013】
また、質量体58の副部582の外周面には、環状アンテナ67が固着されており、この環状アンテナ67と基板保持部兼アンテナ端子61とは、導体63によって接続されている。回路基板60からの送信信号(高周波信号)は、回路基板60のアンテナ端子(図示せず)から、基板保持部兼アンテナ端子61、導体63を順次介して環状アンテナ67に伝達され、環状アンテナ67から放出される。さらに、主部581の外周面には、その周回方向に沿って、弾性体56が嵌合する溝58aが形成されている。これにより、質量体58は、弾性体56によって上筐体部54に弾性的に保持される。
【0014】
66は長方形板状のセンサ板であり、後述する圧電素子などが装着されている。センサ板66は、その一端においてビス68によって質量体58に固定され、その他端には板バネ62の先端部が当接している。73はリング状のパッキンであり、下筐体部52および上筐体部54の衝合部分に介挿され、この衝合部分からの水などの浸入を防止する。質量体58の上端部には、透明板76を介してユーザの各種操作を受信するとともに、ユーザに情報表示する操作部78が設けられている。操作部78と回路基板60とは、回路的に連結して構成されている。
【0015】
ここで、板バネ62と、下筐体部52の円盤部52aとの詳細構成を図2を参照し説明する。なお、図2において円盤部52aは、螺合部52bよりも内側の部分のみを図示する。板バネ62は、略長方形状の底板62aと、該底板62aの長辺から凸字状に横方向に突出した突起部62fと、底板62aの一短辺から約「45°」の角度で内側上方に折れ曲がった傾斜部62cと、傾斜部62cの先端からさらに逆方向の上斜めに折れ曲がった折り返し部62dと、折り返し部62dの先端から上方向に突出した接触部62eとから構成される。
【0016】
傾斜部62cには、シンバル固定ネジ42を回動するドライバーやレンチなどを操作しやすくするためと、センサ板66のスティフネスに対する整合を取るため、略長方形に切り欠かれた切欠部62gが形成されている。円盤部52aの中心部には、シンバル固定ネジ42を挿通させる円形の貫通孔52dが形成されている。また、板バネ62の底板62aにおいては、その中心部に長手方向に沿って長穴62bが形成されており、板バネ62の載置状態(図示の状態)において、長穴62bの一端が下筐体部52の貫通孔52dに重なる。
【0017】
ここで、接触部62eの拡大図を図3(c)に示す。同図に示すように、接触部62eは、平板を略切頭円錐状に湾曲させて成るものである。次に、センサ板66の構成を図3(a)を参照し説明する。センサ板66は略長方形の形状を有しており、その一端には上記ビス68を挿通するための貫通孔66cが形成されている。そして、この貫通孔66cよりやや中心部寄りの位置には、略円盤状のピエゾ素子70が固着されている。このピエゾ素子70の付近から、図上で左方向に向かって略U字状の貫通孔であるU字孔66aが穿孔されている。そして、このU字孔66aの「U字」の底部を成す部分には、センサ当接部66bが形成されている。ピエゾ素子70およびセンサ当接部66bを備えた弾性片66eは、センサ板取付部66dより狭く形成され、前記U字孔66aの先端部BD,BDを結ぶ線上にピエゾ素子70の中心が位置するように、ピエゾ素子70を配設している。これによって、弾性片66eの先端のセンサ当接部66bに力を受けたとき、ピエゾ素子70が効率よくベンドされ、検出信号が効率よく出力されるようになっている。
【0018】
次に、図3(a)におけるA−A’断面を図3(b)に示す。図示のように、センサ当接部66bは、センサ板66を切頭円錐状に凹ませて成るものであり、このセンサ当接部66bに上述した板バネ62の接触部62eが衝合される。上述したように、下筐体部52と上筐体部54とを嵌め合わせるには、下筐体部52に上筐体部54を被せ、上筐体部54を回転させるのであるが、その際には板バネ62に対してセンサ板66が相対的に回転しつつ摺動することになる。
【0019】
次に、操作部78の詳細構成を図3(d)を参照し説明する。図において78Uはアップキー、78Dはダウンキーであり、ホトカプラによって構成されている。すなわち、キー78U,78Dの上方にユーザが指をかざすと、その旨が検出され、キー78U,78Dのうち対応する側がオン状態になる。一方、ユーザが指を離すと、そのキーはオフ状態になる。79はLEDであり、点灯、消灯、または点滅状態によって演奏情報入力ユニット1の各種状態を表示する。また、操作部78は、指をかざした時および指を離した時のみのイベントを検出するようなスイッチとして機能させることもできる。
【0020】
1.2.実施例の動作
次に、本実施例の動作を説明する。
まず、ユーザがシンバル48を弱打したときの動作を図4(a)を参照し説明する。シンバル48が弱打されると、シンバル48に生じた振動は、下筐体部52、板バネ62、センサ板66を順次介してピエゾ素子70(図3(a)参照)に伝搬する。これにより、ピエゾ素子70において該振動が検出され、その検出信号に応じた演奏情報が回路基板60から環状アンテナ67を介して外部に送信される。
【0021】
次に、シンバル48を強打したときの動作を図4(b)を参照し説明する。シンバル48が強打されると、図示のようにシンバル48が振動しつつ傾く。すなわち、強打の場合は、振動および傾き変位が発生する。このシンバル48の振動および変位は、弾性体44およびスプリングワッシャ64にも伝わる。上述した構成から明らかなように、シンバル48は上下の弾性体64,44で挟まれて、いわば宙吊りのような状態で支持棒40の上部に載置されているので、シンバル48の振動及び変位がセンサ板66に極めて伝わりやすくなっている。従って、シンバル48を強打すると、その強度に見合った振動または変位エネルギーが板バネ62を介してセンサ板66に伝達される。
【0022】
シンバル48が傾くような打撃態様では、図4(b)のように、弾性体44が圧縮されるとともに、スプリングワッシャ64がシンバル固定ネジ頭部42aの側に向かって圧縮されることにより、シンバル48の傾きを許容している。これによって図4(b)では、スプリングワッシャ64の圧縮分だけ、演奏情報入力ユニット1が上に変位する。この時のシンバル48の打撃強度によって演奏情報入力ユニット1が上方に移動するスピードが決定され、その速さによって質量体58がその場に留まろうとする慣性力が決まる。その速さが速いほど、図4(b)のような質量体58の変位が見られる。これによって板バネ62が圧縮され、この圧縮力によってきわめて強い力がセンサ板66に伝達され、ピエゾ素子70の検出信号レベルが高くなる。このとき、シンバル48本来の上下振動の上移動分が重なることがあれば、さらに強い力がピエゾ素子70に加わり、ピエゾ素子70の検出信号レベルはさらに高くなる。シンバル48が図4(b)から図4(a)に示す状態に戻るときには、オントリガ時のような慣性力が発生しないので、この信号を検出しないようにすることもできるし、この戻り時の少し弱めのトリガ信号で後述の電源を再トリガして再発音してもよい。
【0023】
ここで、上下筐体部52,54が上下に震動するときは、その振動と略同相の運動が板バネ62にも発生する。この振動を直達振動という。また、上下筐体部52,54の振動とは別に板バネ62には独自の振動が発生する。その際、ピエゾ素子70においては、上下筐体部52,54と板バネ62との相対的な位置関係が振動として検出される。この振動を分離振動という。本実施例においては、質量体58には、その場に留まろうとする慣性力が働くため、直達振動と分離振動との双方がセンサ板66に伝達される。この両振動によって、2種の異なる検出信号の態様(モード)が識別できることになる。
【0024】
すなわち、上述した説明では、「直達振動」を「振動」の一種として説明したが、直達振動が発生するとき、シンバル48の静止位置を中心としてシンバル48が変位する幅は上下に非対称になる。従って、「直達振動」は「振動」ではなく、「変位」と考えることも可能である。従って、該「変位」に応じて生じる検出信号は、「変位モード」の信号であると考えることができる。一方、分離振動が発生するとき、シンバル48の静止位置を中心としてシンバル48が変位する幅は上下に対称になる。従って、かかる分離振動が本来的に「振動」であると考えられる。従って、該分離振動に応じて生じる検出信号は「振動モード」の信号であると考えることができる。
【0025】
ここで、直達振動の振幅は、弾性体44、スプリングワッシャ64などが縮むことにより、減衰される。これにより、直達振動の振幅には、機械的に圧縮処理が施されるのと同時にセンサ板66に伝達されることになる。このように、振幅の大きい直達振動が圧縮されることにより、サチュレーション等を起すことなく、ダイナミックレンジの広い直達振動をピエゾ素子70によって検出することが可能になる。
【0026】
このように本実施例においては、質量体58は演奏情報入力ユニット1の変位に対して直ちには追従せず現状の位置を保とうとするため、板バネ62から伝達される力がセンサ板66に伝わりやすくする助成手段として機能する。かかる効果を奏するためには、質量体58は「30」グラム以上であることが望ましく、より望ましくは「100」グラム以上にすることが好適である。また、本実施例の板バネ62およびセンサ板66は、換言すれば、ピエゾ素子70に伝達される振動のダイナミックレンジを機械的に圧縮するコンプレッサとしても機能する。これにより、広いダイナミックレンジを有するシンバル48の振動を一種類のセンサ(ピエゾ素子70)によって、サチュレーションなどを起すことなく検出できるのである。
【0027】
なお、シンバル固定ネジ42の締め付け具合を加減することにより、同じ強さでシンバル48を衝打したときのシンバル48の変位が変わるため、これによって、検出信号の特性を変化させることができる。さらに板バネ62の剛性の強弱によっても検出信号の特性を変化させることができる。例えば、検出信号が小さい場合には、板バネ62のバネ性を高める(例えばヤング率の大きい部材を使用する、または肉厚にする)ことにより、センサ板66に印加される力を高めることができる。
【0028】
なお、本実施例は、スタンド付シンバルに演奏情報入力ユニット1を装着した例を示すものであるが、演奏情報入力ユニット1を装着しない場合も考えられるため、演奏情報入力ユニット1を装着しない場合のシンバル48の装着方法も説明しておく。図1において、板バネ62、円盤部52aの厚さをL1とする。演奏情報入力ユニット1を装着しない場合には、厚さL1の円環状の弾性体を、シンバル固定ネジ頭部42aと、シンバル48との間に挿入するとよい。その際、スプリングワッシャ64は通常のワッシャに変更してもよい。
【0029】
2.第2実施例
次に、本発明の第2実施例の演奏情報入力ユニット2を図5を参照し説明する。この演奏情報入力ユニット2は、第1実施例における演奏情報入力ユニット1と大略同様の構成を有しているため、図5において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付し、相違点のみを説明する。
演奏情報入力ユニット2においては、図1のシンバル固定ネジ42に代えて、これよりも短い固定ネジ82が用いられる。そのネジ頭部82aの形状は、図1のネジ頭部42aと同様である。80は吸盤部であり、演奏情報入力ユニット2が載置された載置面に吸着する。84はナットであり、固定ネジ82に螺合され、吸盤部80を下筐体部52の下面に固定する。吸盤部80の上面には、円環状に切り欠かれた凹部80aが形成され、その凹部80aの内壁が環状突起80bになっている。固定ネジ82が締め付けられると、環状突起80bが押し潰されるため、上述したパッキン73とともに、演奏情報入力ユニット2の防水状態が保持される。演奏情報入力ユニット2を防水構造とした理由は、屋外においても使用可能にするためである。
【0030】
次に、演奏情報入力ユニット2の使用例を図7(a),(b)に示す。図7(a)において90は振動板であり、略長方形状の木製の板の両端部を円弧状に湾曲してなるものである。振動板90は、図示のように、着座状態のユーザの両脚に、湾曲部を置いて使用される。振動板90の上面に演奏情報入力ユニット2を載置してユーザが振動板90を衝打すると、振動板90に生じた振動が演奏情報入力ユニット2によって検出され、その検出信号に応じた演奏情報が回路基板60から外部に送信される。また、図7(b)において92は浮き輪であり、その上面に演奏情報入力ユニット2が載置されている。ユーザが浮き輪92を衝打すると、浮き輪92に生じた振動が演奏情報入力ユニット2によって検出され、その検出信号に応じた演奏情報が回路基板60から外部に送信される。
【0031】
図7(a),(b)何れの場合も、振動または変位、すなわち上述したように異なるモードの変化を識別することができる。
このように、本実施例の演奏情報入力ユニット2は、検出可能な振動のダイナミックレンジがきわめて広いため、様々な振動のダイナミックレンジを有する振動体に吸盤部80を用いて吸着させることにより、これら振動体の振動を全く同様に検出することができる。
【0032】
3.第3実施例
次に、本発明の第3実施例の演奏情報入力ユニット101の構成を図6を参照し説明する。この演奏情報入力ユニット101は、第1,第2実施例における演奏情報入力ユニット1,2と技術思想的に共通しているため、図6において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明に代える。まず、第3実施例の特有の構成を説明する前に、第1〜第3実施例の共通する技術思想を以下に記述しておく。
【0033】
この発明の第1〜第3実施例は、「電子部品(ep,BB)を備えた基板(60,600)を内装した携帯用電子機器(1,2,101)において、設定データを設定(変更)可能な操作部(78)を有したケース体(52,54)と、該ケース体(52,54)に少なくとも前記基板(60,600)を備えて内装される基部(7,基板(60,600)および質量体(130,58)から成る)と、該基部(7)を弾性的に保持する弾性体(56,560)とを備え、前記基部(7)は、その周囲縁部(601,561)が前記弾性体(56,560)に当接保持され、前記弾性体(56,560)は、当接保持された基部(7)を有した状態で前記ケース体(52,54)の内面ISに接するように保持されたことを特徴とする携帯用電子機器」を含んでいる。
【0034】
そして、前記「携帯用電子機器」は、この発明の主要な装置である打楽器、演奏情報入力ユニット、センサユニットであることは勿論のこと、その他にも携帯電話器や歩数計、さらには携帯用脈拍計、脈拍計・自動演奏機能付健康管理携帯装置、携帯用無線機、携帯用ダウンロード演奏再生装置、携帯用警報装置、携帯用GPS装置等、広く携帯用電子機器に利用可能である。
【0035】
上述した特徴部の詳細として、基部(7)は、質量体を含んでいる。この「質量体」の概念は、本実施例(詳細は後述する)に示されているように「電子装置の主要機能を搭載したプリント基板以外に慣性質量を増加する目的で別途質量体を付加したもの」と、「前記プリント基板が所定の質量を有していれば、それ自体が慣性質量体になるもの」とを含んでいる。本実施例のように無線で電磁波(情報)を発信するものとは別に、逆に電磁波を装置内に閉じ込めておくべき装置も存在する。かかる装置にあっては、電磁波を閉じ込めたい部位周囲をフェラィト体で取り囲めばよい。かかる場合には、このフェラィト体が慣性質量体になる。
【0036】
いずれにせよ、前記基部(7)が、慣性質量の大なるものであれば、ケース体の外から内に衝撃を受ける(与える)場合、には、以下に示す2つの場合が考えられる。
場合1:例えば、本実施例の主要な使用例のように、演奏のために衝撃を与える場合。
場合2:取扱い時または携帯時に装置(ケース体)を落としてしまうことにより衝撃を受ける場合。
上述した「場合2」にはさらに以下の2種類に分類される。
場合2−1:不用意(不注意)で装置が落下する場合。
場合2−2:故意に落とす、または投げつける場合。
上記「場合2−2」は、本装置が護身用の警報装置である場合に適用される。すなわち、この警報装置を作動させたい場合に、ユーザ(被害者)が該装置を地面や壁に投げつけるという使用方法が採られる。
このように該装置への衝撃を与えた場合であっても、前記弾性体(56,560)が基部(7)または基板を保護して壊れにくいようになっているのである。
【0037】
図6(a)に示す第3実施例は、図1,図5と同様の打楽器または演奏情報入力ユニットとして本発明を実施したものであり、以下基部7について第1,第2実施例と異なる箇所について詳述する。図6(a)は、略円筒形のケース体54,52の中央断面図であり、同図(b)は基部7を斜め上から見た斜視図である。該基部7は、電子部品等を備えた基板600と、質量体130とから成る。該質量体130は、環状の上部質量体131と、環状の下部質量体132とからなり、上部質量体131は基板600の上面(紙面の上方)に載置され、下部質量体132は基板600の下面に当接している。これら三者を基板600を中に挟んだ状態にして、下からネジn1,n2にて共締めすることにより、図6(b)に示すような基部7の全体構造が形成される。
【0038】
前記下部質量体132は、下方部が上方部よりもケース体の側面方向に突出した、ひとまわり大きい環状体で形成されている。該下部質量体132の内径は、上部質量体131の内径よりも大きく形成されている。基板600には、クランク形状を有するセンサ板660が、センサ当接部66bを円筒状のケース体54,52の中心部に位置させて、固定端部661をビス68で固着されて、設けられている。この固定端部661は、その一部を上部質量体131の下面に対向させて配設することにより、基板600の加力時の変形を防止する構造が採られている。該基板600は、両面基板または多層基板からなるが、以下、基板600が両面基板であるとしてその構成を説明する。
【0039】
基板600の両面には、質量体130を避けた所に図示のように大小のチップ状電子部品epが装着され、下面の左方には電池ホルダに収納されたボタン電池BBが備えられている。基板600の上面には、操作部78を固定する馬鞍型の操作部ホルダ607と、その上面に固定された操作部78とが設けられている。該操作部ホルダ607には、基板600へ取り付けるための取付部781が形成されており、取付部781はネジn3によって基板600に固着されている。なお、ep1はその他の有脚電子部品である。
【0040】
以上の構成からなる基部7のケース体54,52への取付けは、例えば環状シリコンゴムからなる弾性体560の内面に設けた環状溝560aに基板600の周囲縁部601を挿入(圧入でもよい)し、一体となった弾性体付基部の弾性体の外方部を、上筐体部54の内面ISに設けた環状溝IS1に挿入(圧入でもよい)することで行われる。該弾性体付基部は、上筐体部54のみの状態で、めねじ部のある下方開口部から弾性体560の周囲を圧縮させつつ圧入すると、弾性体の外方部が環状溝IS1に嵌合する。この例では、周囲縁部601や環状溝IS1に接着剤を使用しなくてもよい。なお、接着剤を使用してもよいが、使用しなかったとしても基部7を十分に保持することができる。
【0041】
以上の構成から成る基部7は、第1実施例と同様に演奏情報入力ユニット101を二点鎖線で示したシンバル48に装着した場合は、シンバル48を打撃すれば、その変位または振動がセンサ板660に伝えられる。特に、強打時にあっては、図4(b)に示した場合と同様に、基部7がケース体54,52に対して相対的に下がる(実際はケース体54,52が上に上がる)。このような使い方を多用する場合は、図6(a)の一点鎖線78’で示す位置のように透明板76に極めて近接した位置(但し非接触)に操作部78を配置するように操作部ホルダ607を構成するとよい。これにより、ホトカプラから成る操作部78の感度および精度を向上させることができる。
【0042】
さらに、本実施例においては、質量体130として鉄材が使用されるが、この外側にアンテナを構成する銅箔パターン620を基板の最外郭に設けたので、透磁率の高い鉄材で覆われることなく電波が外部に伝わりやすい構成となっている。該銅箔パターン620によるアンテナは、ループアンテナであってもよく、棒状アンテナであってもよい。なお、図6(a)において一点鎖線で示した吸盤部80は、第2実施例のものと同一である。本実施例では、シンバル48または吸盤部80の何れでも取付可能であることを示すため、図6(a)では両者とも記載している。また、この実施例における電源は、ボタン電池BBを図示のように配設したが、上述した操作部ホルダ607の中に収納した直方体型充電池を適用してもよい。
【0043】
以上説明した構成により、本実施例においては以下のような効果がある。
(1)小さなスペースに大きな慣性力を発生させる質量体130を装着できることにより、助成手段となる質量体130が機能しやすい。
(2)組立容易性の高い機器を実現できる。
(3)電波を遮蔽する障害物を避けつつ、的確に電波を外部に放出できる。
(4)操作部78においてホトカプラを取り付けやすい構造が実現されている。
(5)強く叩いた場合にも壊れにくい構造が実現されている。
(6)弾性体560が基板600を直接的に当接保持するため、基板600を有効利用できる。
【0044】
4.第4実施例
4.1.実施例の構成
次に、本発明の第4実施例のアンサンブルシステムの構成を図8を参照し説明する。
図8において1−1〜1−nはn個の演奏情報入力ユニットであり、各演奏情報入力ユニットの構成は、第1〜第3実施例における演奏情報入力ユニット1,2,101の何れかに等しい。演奏情報入力ユニット1−1の内部において6はCPUであり、ROM8に記憶されたプログラムに従って、バス4を介して演奏情報入力ユニット1−1内の他の構成要素を制御する。10はRAMであり、CPU6のワークメモリとして使用される。16は送信部であり、演奏情報(MIDI信号)を後述する親機20に送信する。12は操作部であり、キー78U,78D(図3(d)参照)および周辺回路から構成されている。14は表示部であり、LED79および周辺回路から構成されている。18はセンサ部であり、ピエゾ素子70および周辺回路から構成されている。なお、他の演奏情報入力ユニット1−2〜1−nの回路構成もこれと同様である。
【0045】
次に、親機20の内部において、26はCPUであり、ROM28に記憶されたプログラムに従って、バス24を介して親機20内の他の構成要素を制御する。30はRAMであり、CPU26のワークメモリとして使用される。32は操作部であり、キーボード、ノブ、およびこれらの操作状態を検出する周辺回路から構成されている。34は表示部であり、ドットマトリクスディスプレイおよび周辺回路から構成されている。36は受信部であり、演奏情報入力ユニット1−1〜1−nから送信された演奏情報を受信する。23は音源であり、バス24を介して受信した演奏情報に基づいて楽音信号を合成する。合成された楽音信号は、アンプ、スピーカ等から成るサウンドシステム22を介して発音される。
【0046】
4.2.実施例のデータ構成
次に、本実施例に適用されるデータ構成を図9を参照し説明する。
本実施例においては、各演奏情報入力ユニットに対して、各々「3」のMIDIチャンネルCh1〜Ch3が割り当てられる。これらMIDIチャンネルには、各々に対して音色ナンバTim1〜Tim3がアサインされる。そして、打面体(48,90,92等)が衝打されたとき、何れの音色が適用されるかは、衝打されたときに検出される振動振幅のピークレベルLに応じて決定される。ここで、ピークレベルLと、適用される音色ナンバTim1〜Tim3との関係は、図9(a)に示すようなレベル―音色ナンバテーブル100としてRAM10内に記憶される。テーブル100において、ピークレベルLは、レベルの低い順にレベル域LA1,LA2,LA3に分割されており、それぞれのレベル域に対して、音色ナンバTim1〜Tim3が順次割り当てられている。なお、テーブル100における音色ナンバTim1〜Tim3は、後述する処理によって書き換え可能である。
【0047】
また、演奏情報入力ユニットがMIDIのノートオンイベントを発生する際には、ノートオンイベントにてタッチ(ベロシティ)Vを指定する必要がある。ここで、タッチ(ベロシティ)VはピークレベルLに応じて決定される。その対応関係は、図9(b)に示すようなレベル―タッチテーブル110としてRAM10内に記憶される。ここで、レベル―タッチテーブル110の特性例と、適用される音色ナンバTim1〜Tim3とを図9(c)に示す。図9(c)から明らかなように、レベル域LA1,LA2,LA3毎に、ピークレベルLとタッチ(ベロシティ)Vの成す特性のカーブが異なっている。
【0048】
また、演奏情報入力ユニットに適用される音色ナンバは、全「12」種類の音色ナンバの中から選択できる。これら「12」種類の音色ナンバには、各々「0」〜「11」のインデックスNが付与されている。ここで、インデックスNに対応する音色ナンバを「TTim(N)」という。両者の対応関係は、図9(d)に示すようなインデックス―音色ナンバテーブル120として、ROM8内に記憶される。
【0049】
4.3.実施例の動作
4.3.1.メインルーチンの動作
次に、本実施例の動作を説明する。
まず、各演奏情報入力ユニットにおいて電源が投入されると、図10(a)に示すメインルーチンが起動される。図10(a)において処理がステップSP102に進むと、所定の初期設定が行われる。次に、処理がステップSP104に進むと、音色エディット処理サブルーチン(図11,図12)が呼び出される。なお、該サブルーチンの処理については後述する。次に、処理がステップSP106に進むと、「オンイベント時のイニシャル振動」を検出したか否かが判定される。
【0050】
ここで、オンイベント時のイニシャル振動について説明しておく。まず、打面体(48,90,92等)を衝打すると振動が生じるが、最初に所定の閾値T1を超える振動を検出した後の「30msec」のレベル変動がCPUによってモニタされる。すなわち、CPU6においてセンサ部18の出力するサンプリング値が絶えずモニタされ、「30msec」の期間内にこのサンプリング値に生じた極大値がピークレベルP1,P2,……,Pnとして記憶される。この中の最大のピークレベルPmaxが所定の閾値T2を超えたときに、「オンイベント時のイニシャル振動」が生じたものと判定され、かつ、上記最大のピークレベルPmaxがピークレベルLの値になる。
【0051】
ステップSP106において「NO」と判定されると、処理はステップSP104に戻り、オンイベント時のイニシャル振動が検出されるまでステップSP104,SP106の処理が繰り返される。ステップSP106において「YES」と判定されると、処理はステップSP108に進む。ステップSP108においては、ピークレベルLと、レベル―音色ナンバテーブル100とに基づいて、今回発生するノートオンイベントに係る音色ナンバTim(音色ナンバTim1〜Tim3のうち何れか)が特定される。また、この音色ナンバTimに基づいて、該ノートオンイベントに係るMIDIチャンネルCh(チャンネルCh1〜Ch3のうち何れか)も特定される。
【0052】
次に、処理がステップSP110に進むと、ピークレベルLと、レベル―タッチテーブル110とに基づいて、タッチ(ベロシティ)Vが決定される。次に、処理がステップSP112に進むと、MIDIチャンネルChの、タッチ(ベロシティ)Vを有するノートオンイベント・メッセージが生成され、送信部16を介して親機20に送信される。以上のステップが終了すると、処理はステップSP104に戻り、以降はステップSP104〜SP112の処理が繰り返される。
【0053】
また、親機20においては、電源が投入されると、図10(b)に示すメインルーチンが起動される。図10(b)において処理がステップSP202に進むと、所定の初期設定が行われる。次に、処理がステップSP204に進むと、受信部36を介して、何れかの演奏情報入力ユニット1−1〜1−nからMIDIイベントを受信したか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると、当該MIDIイベントが音源23に出力される。以下、ステップSP204,SP206の処理が繰り返される。なお、演奏情報入力ユニット1−1〜1−nから供給されるMIDIイベントには、上述したノートオンイベントの他に「プログラムチェンジ」等も含まれる。プログラムチェンジが送信される場合については後述する。
【0054】
4.3.2.音色エディット処理サブルーチンの動作
次に、上記ステップSP104において呼び出される音色エディット処理サブルーチンの動作を図11,図12を参照し説明する。
図11において処理がステップSP2に進むと、キー78U,78Dの何れかがオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、本ルーチンの処理は直ちに終了する。一方、ステップSP2において「YES」と判定されると、処理はステップSP4に進む。ここでは、キー78U,78Dのオン/オフ状態に基づいて、以下のようにモードMが設定される。
すなわち、アップキー78Uがオン状態であってダウンキー78Dがオフ状態であるときは、モードMは“1”(Tim1設定モード)に設定される。また、アップキー78Uがオフ状態であってダウンキー78Dがオン状態であるときは、モードMは“2”(Tim2設定モード)に設定される。また、キー78U,78Dの双方がオン状態であるときは、モードMは“3”(Tim3設定モード)に設定される。また、ステップSP2以外のステップから処理がステップSP4に進むと、「キー78U,78Dの双方がオフ状態である」場合も発生し得る。かかる場合は、モードMは変更されず、従前の値のまま保持される。
【0055】
次に、処理がステップSP6に進むと、モードMに応じて処理が分岐される。まず、モードMが“1”(Tim1設定モード)であるときは、処理はステップSP8に進む。ここでは、センサ部18の検出結果に基づいて、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体(シンバル48、振動板90、浮き輪92等)に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP4に戻り、以後、ステップSP4,SP6,SP8のループが繰り返される。ここで、ユーザは、アップキー78Uから指を離し、キー78U,78Dの双方をオフ状態にする。このように、キー78U,78Dの双方がオフ状態になったとしても、上述したようにモードMは“1”(Tim1設定モード)のまま保持されるから、同様にステップSP4,SP6,SP8のループが繰り返される。
【0056】
ここで、ユーザが打面体(48,90,92等)を衝打すると、ステップSP8において「YES」と判定され、処理はステップSP10に進む。ステップSP10においては、アップキー78Uがオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP14に進み、インデックス―音色ナンバテーブル120を読み出すためのインデックスNが「1」だけインクリメントされ、インクリメント結果を「12」で除算した余りが新たなインデックスNに設定される。従って、ステップSP14が実行される毎に、インデックスNは「0」〜「11」の範囲で循環的に変化する。次に、処理がステップSP16に進むと、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が読み出され、読み出された音色ナンバが音色ナンバTim1に設定される。そして、この音色ナンバTim1をチャンネルCh1にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。これにより、親機20内の音源23にあっては、チャンネルCh1に対して該音色ナンバTim1に係る音色がアサインされる。
【0057】
次に、処理がステップSP18に進むと、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh1のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。これにより、親機20においては、上記音色ナンバTim1に係る所定レベルの楽音信号が音源23において合成され、サウンドシステム22を介して放音される。これにより、ユーザは、音色ナンバTim1として割り当てられている音色を当該楽音信号によって確認することができる。次に処理がステップSP4に戻ると、ステップSP4,SP6,SP8のループが繰り返される。ここで、ユーザが打面体(48,90,92等)を再び衝打すると、ステップSP14においてインデックスNが更新され、ステップSP16において該インデックスNに係る音色ナンバTim1がチャンネルCh1にアサインされ、ステップSP18において該音色ナンバTim1に係る楽音信号がサウンドシステム22から放音される。このようにして、音色ナンバTim1に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。
【0058】
音色ナンバTim1の設定が終了したとき、他の音色ナンバTim2,Tim3が既に所望の音色にアサインされているのであれば(あるいは、既に誰かがセットした音色またはプリセットの音色で「よし」とするのであれば)、この音色エディット処理サブルーチンを終了させるとよい。この場合、ユーザはアップキー78Uを再びオン状態にし、そのまま(アップキー78Uから指を離さず)打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。かかる操作が行われると、ステップSP10において「YES」と判定され、処理はステップSP40(図12)に進む。ステップSP40にあっては、モードMが“0”(非設定モード)に設定され、インデックスNが「0」に初期化され、処理はメインルーチン(図10(a))に戻る。これによって少なくとも音色ナンバTim1は所望の音色にセットされたといえる。
【0059】
また、引き続いて音色ナンバTim2の設定を行う場合は、ユーザはダウンキー78Dのみをオン状態にする。ダウンキー78Dのみがオン状態になると、ステップSP4においてモードMが“2”(Tim2設定モード)に変更される。次に、ステップSP6を介して処理がステップSP20に進むと、上記ステップSP8と同様に、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP4に戻り、以後、ステップSP4,SP6,SP20のループが繰り返される。
【0060】
ここで、ユーザは、キー78U,78Dの双方をオフ状態にするが、かかる状態においても、モードMは“2”(Tim2設定モード)のまま保持され、ステップSP4,SP6,SP20のループが繰り返される。ここで、ユーザが打面体を衝打すると、ステップSP20において「YES」と判定され、処理はステップSP22に進む。ステップSP22においては、ダウンキー78Dがオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、ステップSP24〜SP28の処理が実行される。
【0061】
ステップSP24〜SP28の処理は、チャンネルCh2および音色ナンバTim2を対象とする以外は上述したステップSP14〜SP18の処理と同様である。すなわち、ステップSP24においてはインデックスNが「0」〜「11」の範囲で更新され、ステップSP26においては、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が音色ナンバTim2に設定され、この音色ナンバTim2をチャンネルCh2にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。次に、ステップSP28においては、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh2のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。従って、音色ナンバTim1の設定の場合と同様に、音色ナンバTim2に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。
【0062】
音色ナンバTim2の設定が終了したとき、この音色エディット処理サブルーチンを終了させるのであれば、ユーザはダウンキー78Dを再びオン状態にし、ダウンキー78Dをオン状態に保持したまま打面体を衝打するとよい。これにより、ステップSP22において「YES」と判定され、上述したステップSP40が実行された後、処理はメインルーチン(図10(a))に戻る。
【0063】
また、引き続いて音色ナンバTim3の設定を行う場合は、ユーザはキー78U,78Dの双方をオン状態にする。キー78U,78Dの双方がオン状態になると、ステップSP4においてモードMが“3”(Tim3設定モード)に変更される。次に、ステップSP6を介して処理がステップSP30(図12)に進むと、上記ステップSP8と同様に、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP4に戻り、以後、ステップSP4,SP6,SP30のループが繰り返される。
【0064】
ここで、ユーザは、キー78U,78Dの双方をオフ状態にするが、かかる状態においてもモードMは“3”(Tim3設定モード)のまま保持され、ステップSP4,SP6,SP30のループが繰り返される。ここで、ユーザが打面体を衝打すると、ステップSP30において「YES」と判定され、処理はステップSP32に進む。ステップSP32においては、キー78U,78Dの双方がオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、ステップSP34〜SP38の処理が実行される。
【0065】
ステップSP34〜SP38の処理は、チャンネルCh3および音色ナンバTim3を対象とする以外は上述したステップSP14〜SP18の処理と同様である。すなわち、ステップSP34においてはインデックスNが「0」〜「11」の範囲で更新され、ステップSP36においては、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が音色ナンバTim3に設定され、この音色ナンバTim3をチャンネルCh3にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。次に、ステップSP38においては、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh3のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。従って、音色ナンバTim1の設定の場合と同様に、音色ナンバTim3に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。
【0066】
音色ナンバTim3の設定が終了したとき、この音色エディット処理サブルーチンを終了させるのであれば、ユーザはキー78U,78Dを再びオン状態にし、キー78U,78Dをオン状態に保持したまま打面体を衝打するとよい。これにより、ステップSP32において「YES」と判定され、上述したステップSP40を介して処理はメインルーチン(図10(a))に戻る。
【0067】
このように、本実施例によれば、キー78U,78Dに対する操作と、打面体への衝打とによって、各演奏情報入力ユニットを使用するユーザが自機に割り当てる音色ナンバTim1〜Tim3を設定できる。さらに、「打面体への衝打」によってインデックスNを更新するため、インデックスNを更新するための特別な入力装置が不要になり、演奏情報入力ユニットを安価に構成することが可能になる。
【0068】
5.第5実施例
次に、本発明の第5実施例について説明する。
第5実施例のハードウエア構成およびデータ構成は第4実施例のものと同様であるが、各演奏情報入力ユニットには、「4」のMIDIチャンネルCh1〜Ch4が割り当てられる。そして、図10(a)のレベル域LA3においては、第4実施例における音色ナンバTim3に代えて二種類の音色ナンバTim31,Tim32が割り当てられ、これら二音色による同時発音が行われる点が異なる。ここで、音色ナンバTim31,Tim32に対応するMIDIチャンネルをチャンネルCh3,Ch4とする。また、レベル―タッチテーブル110においても、レベル域LA3にあっては、音色ナンバTim31,Tim32の各々に対して、各々独立してピークレベルLとタッチ(ベロシティ)Vとの関係が定められている。
【0069】
本実施例の動作も第4実施例と大略同様であるため、以下異なる点のみを説明する。まず、メインルーチン(図10(a))において、ピークレベルLがレベル域LA3に属する場合には、ステップSP108においては、二種類の音色ナンバTim31,Tim32が決定される。また、ステップSP110においては、これらに対応する二種類のタッチ(ベロシティ)Vが求められる。そして、ステップSP112においては、ステップSP108,SP109でチャンネルCh3,Ch4を介して、これら二種類のタッチ(ベロシティ)Vを各々が有する二のノートオンイベント・メッセージが親機20に対して送信される。これにより、親機20においては、音源23およびサウンドシステム22を介して、二音色の楽音信号が同時に放音される。
【0070】
次に、音色エディット処理サブルーチンにおいては、図12のステップSP30〜SP40に代えて、図13に示すステップSP50〜SP74の処理が実行される。そこで、これらの処理の詳細を説明する。
音色ナンバTim31,Tim32の設定を行う場合は、ユーザはキー78U,78Dの双方をオン状態にする。キー78U,78Dの双方がオン状態になると、ステップSP4(図10)においてモードMが“3”(Tim31,Tim32設定モード)に変更される。次に、ステップSP6を介して処理がステップSP50(図13)に進むと、上記ステップSP8と同様に、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP4に戻り、以後、ステップSP4,SP6,SP50のループが繰り返される。
【0071】
ここで、ユーザは、キー78U,78Dの双方をオフ状態にするが、かかる状態になったとしても、モードMは“3”(Tim31,Tim32設定モード)のまま保持され、ステップSP4,SP6,SP50のループが繰り返される。ここで、ユーザが打面体(48,90,92等)を衝打すると、ステップSP50において「YES」と判定され、処理はステップSP52に進む。ここでは、キー78U,78Dの双方がオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、ステップSP70〜SP74の処理が実行される。
【0072】
ステップSP70〜SP74の処理は、チャンネルCh3および音色ナンバTim31を対象とする以外は第4実施例におけるステップSP14〜SP18の処理と同様である。すなわち、ステップSP70においてはインデックスNが「0」〜「11」の範囲で更新され、ステップSP72においては、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が音色ナンバTim31に設定され、この音色ナンバTim31をチャンネルCh3にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。次に、ステップSP74においては、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh3のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。従って、音色ナンバTim1の設定の場合と同様に、音色ナンバTim31に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体を衝打するとよい。
【0073】
音色ナンバTim31の設定が終了したとき、次に音色ナンバTim32を設定するために、ユーザはキー78U,78Dを再びオン状態にし、そのまま(キー78U,78Dから指を離さず)打面体を衝打するとよい。キー78U,78Dがオン状態で打面体が衝打されたのであれば、ステップSP52において「YES」と判定され、処理はステップSP58に進む。ここでは、キー78U,78Dのうち何れかがオフ状態になったか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP56に進み、LED79の状態が「点灯」、「点滅」、「消灯」のうち何れであるかが判定される。
【0074】
LED79が消灯されていれば処理はステップSP58に進み、LED79が点灯された後、処理はステップSP58に戻る。ここで、キー78U,78Dが引き続いてオン状態であれば、処理は再びステップSP56に進む。ここでは、先にステップSP58においてLED79が点灯されたから、処理はステップSP60に進む。ステップSP60においては、上記ステップSP8と同様に、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP54に戻り、以後、キー78U,78Dがオン状態に保持されている限り、ステップSP54,SP56,SP60のループが繰り返される。
【0075】
ここで、キー78U,78Dのオン状態を保持しつつユーザが打面体を衝打すると、ステップSP62において「YES」と判定され、ステップSP62〜SP65の処理が実行される。ステップSP62〜SP65の処理は、チャンネルCh4および音色ナンバTim32を対象とする以外は第4実施例におけるステップSP14〜SP18の処理と同様である。すなわち、ステップSP62においてはインデックスNが「0」〜「11」の範囲で更新され、ステップSP74においては、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が音色ナンバTim32に設定され、この音色ナンバTim31をチャンネルCh4にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。次に、ステップSP65においては、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh4のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。
【0076】
次に、処理がステップSP66に進むと、LED79が「点滅」状態に設定され、処理はステップSP54に戻る。LED79が点滅状態であるときもステップSP56からステップSP60に処理が進むため、次に振動が検出されるまでステップSP54,SP56,SP60のループが繰り返される。以後は、音色ナンバTim31の設定の場合と同様に、音色ナンバTim32に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。但し、音色ナンバTim32を設定するにあたっては、ユーザはキー78U,78Dを常にオン状態に保持する必要がある。
【0077】
ここで、LED79の点灯および点滅の意義について説明しておく。以上の処理内容から明らかなように、LED79は音色ナンバTim32を設定し得る状態になると点灯する。従って、LED79の「点灯状態」は、「音色ナンバTim32の設定が可能になった」旨を表している。また、音色ナンバTim32に「1回」でも変化があると、LED79は「点滅状態」になる。従って、「点滅状態」は、「音色ナンバTim32の設定途中である」旨を表している。
【0078】
音色ナンバTim32に対して所望の音色が割り当てられると、ユーザはキー78U,78Dから指を離し、キー78U,78Dをオフ状態にするとよい。キー78U,78Dがオフ状態になると、ステップSP54において「YES」と判定され処理はステップSP68に進む。ここでは、モードMが“0”(非設定モード)に設定され、インデックスNが「0」に初期化され、LED79が消灯された後、処理はメインルーチン(図10(a))に戻る。
【0079】
このように、本実施例によれば、レベル域LA3に対して複数の音色ナンバTim31,Tim32を指定できるから、複数の音色の楽音信号を同時に発音させることができ、一層興味深い楽音信号を出力することが可能になる。
【0080】
6.変形例
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記各実施例においては、演奏情報入力ユニット1,2はMIDI等の演奏情報を送信するものであったが、これらを単なるセンサユニットとして構成し、演奏情報に代えてピエゾ素子70の検出信号を出力するようにしてもよい。
【0081】
(2)第4実施例のステップSP106においては、最初に振動を検出した後の「30msec」のレベル変動が測定され、その最も高いピーク値がピークレベルLとして決定されたが、ピークレベルLの決定方法はこれに限られるものではない。例えば、ピークレベルP1,P2,……,Pnを測定する途中で、あるピークレベルPmが前回のピークレベルP(m-1)よりも低くなったとき、その前回のピークレベルP(m-1)をピークレベルLとして決定してもよい。これにより、ユーザが打面体を衝打した後にノートオンイベント・メッセージを出力するまでの時間を短縮することが可能になる。
【0082】
(3)また、ピークレベルLを決定する他の方法として、ピークレベルP1,P2,……,Pnを測定している途中で、検出したピークレベルが所定の閾値T2を超えた時点でそのピークレベルPkをピークレベルLとしてノートオンイベント・メッセージを送信してもよい。このノートオンイベントに係る発音は、最弱のレベル域LA1の音色ナンバTim1である可能性が高くなる。その後、ピークレベルPkよりも高いピークレベルが検出されると、楽音信号のエンベロープレベルを増減させるMIDIのシステム・エクスクルーシブ・メッセージを用いて、楽音信号のレベルが大きくなるように制御するとよい。
【0083】
(4)また、上記変形例に代えて、ピークレベルPkよりも高いピークレベルが検出されると、楽音信号のエンベロープレベルのみならず、波形そのものを差し替えるMIDIのシステム・エクスクルーシブ・メッセージを用いて、最大のピークレベルに応じた波形データが選択されるようにしてもよい。
【0084】
7.実施態様
本発明には、以下のような実施態様がある。
(1)無線信号により前記演奏情報を送信する無線送信手段(16)を有することを特徴とする請求項1記載の演奏情報入力装置(1,2)。
(2)請求項5記載の演奏情報入力装置(1)を支持体(40)に支持されたシンバル(48)のカップ部に載置して成るスタンド付シンバル。
【0085】
(3)前記支持ベース(52,54)は防水構造を有する筐体であり、該筐体には該筐体を前記打面体に吸着させる吸盤が取り付けられており、該吸盤が前記防水構造の一部を構成することを特徴とする請求項5記載の演奏情報入力装置(1,2)。
(4)前記打楽器音源種類アサイン手段によって自機に割当可能な前記複数の打楽器音源種類を、予め複数の音源種類(図9(d)に列挙した音色ナンバTTim(N))に限定する打楽器音源種類限定手段をさらに有することを特徴とする請求項5記載の演奏情報入力装置(1,2)。
【0086】
(5)設定データを設定可能な操作部(78)を有したケース体(54,52)と、
電子部品(ep)を備え、前記ケース体(54,52)に内蔵される基板(600)と、
該基板(600)を弾性的に保持する弾性体(560)とを備え、
前記基板(600)はその周囲縁部(601)が前記弾性体(560)に当接保持され、前記弾性体(560)はこの当接保持された基板を有した状態で前記ケース体(54,52)の内面(IS)に接するように保持されている
ことを特徴とする携帯用電子機器(101,1,2)。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施例の自然打楽器の全体構成を示す断面図である。
【図2】板バネ62の詳細構成を示す斜視図である。
【図3】演奏情報入力ユニット1の各部の詳細を示す図である。
【図4】演奏情報入力ユニット1の動作説明図である。
【図5】本発明の第2実施例の演奏情報入力ユニット2の全体構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施例の演奏情報入力ユニット101の全体構成を示す図である。
【図7】演奏情報入力ユニット2の使用例を示す図である。
【図8】本発明の第4実施例のアンサンブルシステムのブロック図である。
【図9】第4実施例の各種データ構造を示す図である。
【図10】第4実施例のメインルーチンのフローチャートである。
【図11】第4実施例の音色エディット処理サブルーチンのフローチャート(1/2)である。
【図12】第4実施例の音色エディット処理サブルーチンのフローチャート(2/2)である。
【図13】第5実施例の音色エディット処理サブルーチンの要部のフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1,2,101:演奏情報入力ユニット(携帯用電子機器,演奏情報入力装置)、4:バス、6:CPU、7:基部、8:ROM、10:RAM、12:操作部、14:表示部、16:送信部、18:センサ部、20:親機、22:サウンドシステム、23:音源、24:バス、26:CPU、28:ROM、30:RAM、32:操作部、34:表示部、36:受信部、40:支持棒(支持体)、42:シンバル固定ネジ、42a:ネジ頭部、42b:下端部、43:支持ベース、43a:凹部、44:弾性体、46:ゆるみ防止ネジ、48:シンバル(打面体)、48a:貫通孔、52:下筐体部(支持ベース,ケース体)、52a:円盤部、52b:螺合部、52d:貫通孔、54:上筐体部(支持ベース,ケース体)、54a:本体部、54b:上端部、56:弾性体、58:質量体(助成手段)、58a:溝、60:回路基板(演奏情報発生手段)、61:基板保持部兼アンテナ端子、62:板バネ(伝達手段,検出部)、62a:底板、62b:長穴、62c:傾斜部、62d:折り返し部、62e:接触部、62f:突起部、62g:切欠部、63:導体、65:ネジ、64:スプリングワッシャ、66:センサ板(検出部)、66a:U字孔、66b:センサ当接部、66c:貫通孔、66d:センサ板取付部、66e:弾性片、67:環状アンテナ、68:ビス、70:ピエゾ素子(センサ,検出部)、73:パッキン、76:透明板、78,78’:操作部、78D:ダウンキー(操作子)、78U:アップキー(操作子)、79:LED、80:吸盤部、80a:凹部、80b:環状突起、82:固定ネジ、82a:ネジ頭部、84:ナット、90:振動板、92:浮き輪、100:テーブル、100:レベル―音色ナンバテーブル、110:レベル―タッチテーブル、120:インデックス―音色ナンバテーブル、130:質量体、131:上部質量体、132:下部質量体、560:弾性体、560a:環状溝、581:主部、582:副部(上部蓋材)、583:ネジ、600:基板、601:周囲縁部、607:操作部ホルダ、620:銅箔パターン、660:センサ板、661:固定端部、781:取付部、BB:ボタン電池、ep:チップ状電子部品、ep1:有脚電子部品、IS:内面、IS1:環状溝、n3:ネジ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アコースティック打楽器の演奏状態の検出に用いて好適な演奏情報入力装置、打楽器およびセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アコースティック打楽器における振動を検出し、それをトリガーとして演奏情報を発生させるとともに、振動のレベル等を該演奏情報のベロシティとして発生する打撃検知器が市販されている。生成された演奏情報に基づいて音源によって楽音信号を生成すると、アコースティック打楽器との同時演奏が可能になる。また、演奏情報をレコーディングしておき、後に加工などを行うことも勿論可能である。しかし、上述したセンサが実現されているアコースティック打楽器は、ドラム系の打楽器のみであり、今日までシンバル用のセンサは実用化されていない。なお、電磁ピックアップを使用してシンバル用のセンサを実現したとする記載は特許文献1に存在するが、現実にシンバルの演奏状態を適切に検出できるか否かは定かではない。
【0003】
【特許文献1】特許第3434509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日までシンバル用のセンサが実用化できなかった理由は、その振動のダイナミックレンジの広さにある。すなわち、シンバルの演奏態様には、「チン、チン、チン」と弱く打つ態様(弱打)や、シンバルが大きく傾く程度にまで強く打つ態様(強打)がある。シンバルのアコースティックな楽音を妨げることなく、その振動を検出することは極めて困難であった。例えば、ドラム系の打楽器用に市販されているセンサを、そのままシンバルのカップ(頭部)に取り付けたとしても、シンバルの広いダイナミックレンジを忠実に検出することは不可能である。このような理由により、シンバルの広いダイナミックレンジに対応できるセンサの実用化が望まれていた。
【0005】
また、シンバルのダイナミックレンジをカバーできるセンサが実現すれば、ほとんど全ての打楽器のダイナミックレンジをカバーできる。また、通常は「楽器」とは考えられない単なる板、ドラム缶、浮き輪など、叩いて振動するもの(振動体)の振動を検出し、これによって音源を介して楽音信号を発生させると、これらを楽器として使用できる。
【0006】
また、このように応用範囲の広いセンサが実現すると、同種のセンサを複数用いたアンサンブルが可能になる。このような用途にセンサを使用するのであれば、センサそのものに音色をアサインできることが望ましいと考えられる。
この発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、広いダイナミックレンジの振動または変位を検出できる演奏情報入力装置、打楽器およびセンサユニットを提供することを第1の目的としている。また、これらにおいて、センサを装着したユニット自体で自由に音色をアサインできるようにすることを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明にあっては、下記構成を具備することを特徴とする。なお、括弧内は例示である。
請求項1記載の演奏情報入力装置(1,2)にあっては、振動または変位を検出するセンサ(70)と、設置場所(48,90,92)に生じた振動または変位を前記センサ(70)に伝達する伝達手段(62)と、前記伝達手段(62)における振動または変位の伝達を助成する助成手段(56,58)と、前記センサ(70)が振動または変位を検出すると、所定の楽器種類情報を伴う演奏情報を発生する演奏情報発生手段(60)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項2記載の構成にあっては、請求項1記載の演奏情報入力装置(1,2)において、前記演奏情報入力装置(1,2)は支持ベース(52,54)を有するものであり、前記助成手段(56,58)は、前記支持ベース(52,54)からの振動または変位の伝達が抑制されるように前記支持ベース(52,54)に弾性的に保持されるとともに前記センサ(70)を装着した保持体であり、前記センサ(70)は、前記保持体の変位または振動と、前記伝達手段(62)を介して伝達される変位または振動との差を検出するものであることを特徴とする。
また、請求項3記載の打楽器にあっては、支持体(40)と打面体(48)とを備え、前記打面体(48)を前記支持体(40)に弾性的に保持するとともに、所定のセンサユニット(1)を着脱できる打楽器であって、前記センサユニット(1)は、振動または変位を検出するセンサ(70)と、前記打面体(48)の振動または変位を前記センサ(70)に伝達する伝達手段(62)と、前記伝達手段(62)における振動または変位の伝達を助成する助成手段(56,58)と、前記センサ(70)が振動または変位を検出すると、所定の楽器種類情報を伴う演奏情報を発生する演奏情報発生手段(60)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項4記載の構成にあっては、請求項3記載の打楽器において、前記打面体(48)はシンバルであることを特徴とする。
また、請求項5記載の演奏情報入力装置(1,2)にあっては、支持ベース(52,54)と、該支持ベース(52,54)に設けられた少なくとも二の操作子(78U,78D)と、該支持ベース(52,54)に設けられ、該支持ベース(52,54)の載置場所における振動または変位を検出する検出部(62,66,70)と、前記二の操作子(78U,78D)に対する操作状態および前記検出部(62,66,70)の検出信号によって複数の打楽器音源種類の中の一または複数の打楽器音源種類を自機に割り当てる打楽器音源種類アサイン手段とを有することを特徴とする。
さらに、請求項6記載の構成にあっては、請求項5記載の演奏情報入力装置(1)において、前記検出部(62,66,70)は、振動または変位を検出するセンサ(70)と、前記支持ベース(52,54)に生じた振動または変位を前記センサ(70)に伝達する伝達手段(62)とを含み、前記検出部(62,66,70)は、直達振動と相対振動とを合わせた振動を検出するものであり、前記直達振動は、前記支持ベース(52,54)に力が印加されたとき、前記伝達手段(62)を介して、前記支持ベース(52,54)の振動と略同相で伝達される振動であり、前記相対振動は、前記支持ベース(52,54)と前記検出部(62,66,70)とが別々に振動する分離振動による、前記支持ベース(52,54)と前記検出部(62,66,70)との相対的位置関係に基づく振動であることを特徴とする。
さらに、請求項7記載の構成にあっては、請求項5記載の演奏情報入力装置(1,2)において、前記打楽器音源種類アサイン手段は、複数の打楽器音源種類を自機に割り当てるものであり、前記検出信号のレベルに応じて、これら複数の打楽器音源種類の何れかを選択し、選択した打楽器音源種類に係る演奏情報を出力する音源種類選択手段(SP16,SP26,SP38,SP64,SP72)をさらに有することを特徴とする。
さらに、請求項8記載の構成にあっては、請求項7記載の演奏情報入力装置(1,2)において、前記音源種類選択手段(SP16,SP26,SP38,SP64,SP72)は、前記検出信号のレベルが所定の閾値未満であるとき一の打楽器音源種類を選択するとともに、前記検出信号のレベルが該閾値(レベル域LA2とLA3の境界)以上であるときに複数の打楽器音源種類を選択し、選択した一または複数の打楽器音源種類に係る演奏情報を出力することを特徴とする。
また、請求項9記載のセンサユニット(1)にあっては、振動または変位を検出するセンサ(70)と、設置場所(48,90,92)に生じた振動または変位を前記センサ(70)に伝達する伝達手段(62)と、前記伝達手段(62)における振動または変位の伝達を助成する助成手段(56,58)とを有することを特徴とする。
また、請求項10記載のセンサユニット(1)にあっては、支持ベース(52,54)と、前記支持ベース(52,54)に設けられ、該支持ベース(52,54)の設置場所に生じた動きの振動モード(分離振動)または変位モード(直達振動)での検出信号を検出するセンサ(70)と、前記支持ベース(52,54)に設けられ、前記振動モードおよび変位モードの両モードの検出信号を受容して前記センサ(70)に伝達する伝搬手段(58,62)とを有することを特徴とする。
さらに、請求項11記載の構成にあっては、請求項10記載のセンサユニット(1)において、前記伝搬手段(58,62)は、前記センサ(70)が前記振動モードおよび前記変位モードの両モードを受容して検出することを助成する助成手段(56,58)を含むことを特徴とする。
さらに、請求項12記載の構成にあっては、請求項11記載のセンサユニット(1)において、前記助成手段(56,58)は、前記支持ベース(52,54)に対し弾性的に保持された質量体(58)を含み、前記検出信号の検出時における前記支持ベース(52,54)の振動または変位に対して前記質量体の慣性により前記振動または変位が抑制されることで前記センサの前記検出信号が増幅されるようにした助成手段であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
このように、振動体に生じる振動または変位をセンサで直接的に検出するのではなく、伝達手段および助成手段を介して振動または変位を前記センサに伝達する構成によれば、センサによって検出可能な振動または変位のダイナミックレンジを広くすることが可能である。
また、振動または変位を検出する検出部の検出信号を用いて複数の打楽器音源種類の中の一または複数の打楽器音源種類を自機に割り当てる構成によれば、演奏情報入力装置に設けるべき入力装置(例えばキー78U,78D等)の数を削減しつつ、演奏情報入力装置に対して所望の打楽器音源を割り当てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.第1実施例
1.1.実施例の構成
次に、本発明の第1実施例の自然打楽器の全体構成を図1を参照し説明する。
なお、第1実施例の自然打楽器は、スタンド付シンバルに演奏情報入力ユニット1を装着して成るものである。図1において48はシンバルであり、円盤をややすり鉢状に湾曲させた形状を有するとともに、その中心部に貫通孔48aが形成されている。44は弾性体であり、ウレタンゴム等を略円筒状に形成して構成されており、シンバル48の中心部の下面に当接されている。40は略円筒状の支持棒であり、その上端部には、より外周の広い円筒状に形成された支持ベース43が固着されている。なお、支持棒40の下端部(図示せず)は、三脚スタンドになっている。支持ベース43の上面は、弾性体44の外径に等しい直径を有する円形の凹部43aが形成されており、ここに弾性体44の下端部が嵌合されている。また、支持ベース43の内周面には雌ネジが螺刻されている。
【0010】
演奏情報入力ユニット1の筐体は、下筐体部52と、上筐体部54とから構成されている。下筐体部52は、略円盤状の円盤部52aと、円盤部52aから上方向に突出する短尺円筒状の螺合部52bとから構成されている。また、上筐体部54は、略円筒状の本体部54aと、その上端を覆う円環状の上端部54bとから構成されている。ここで、上端部54bの中心部分には、光および電波を透過する円形の透明板76が嵌合され固着されている。詳細は後述するが、回路基板60は、この透明板76を介して演奏情報を電波として外部に放射する。なお、回路基板60に搭載されている回路の詳細については、第3実施例において後述する。上筐体部54の本体部54aの下部内周面には雌ネジが螺刻されており、下筐体部52の螺合部52bの外周面には雄ネジが螺刻されている。これにより、下筐体部52に上筐体部54を被せ、上筐体部54を回転させると、図示のように下筐体部52と上筐体部54とが螺合される。
【0011】
下筐体部52の円盤部52aの上面には、板バネ62およびスプリングワッシャ64が載置されている。なお、板バネ62の詳細構成については後述する。42はシンバル固定ネジであり、スプリングワッシャ64、板バネ62、下筐体部52、シンバル48、弾性体44を挿通し、支持ベース43の内周面に螺合され、さらに支持棒40に挿通している。シンバル固定ネジ42の下端部42bは凹字状にくびれており、このくびれ部分には、横方向から支持棒40に螺合されたゆるみ防止ネジ46の先端部が押圧されており、シンバル固定ネジ42のゆるみを防止している。
【0012】
上筐体部54の内周面には、略環状の弾性体56が固着されている。この場合、例えば接着剤固着である。58は略環状の質量体であり、その主部581は、例えば鉄などによって構成されている。また、質量体58の副部(上部蓋材)582は、硬質樹脂で構成されている。主部581と副部(上部蓋材)582とは図示のように上下に合わせられ、ネジ583によって螺着されている。この質量体58の内部には、無線送信機などを収納した回路基板60が収納されている。該回路基板60は、金属で構成された基板保持部兼アンテナ端子61を介して副部582にネジ65によって、共締めで固着されている。
【0013】
また、質量体58の副部582の外周面には、環状アンテナ67が固着されており、この環状アンテナ67と基板保持部兼アンテナ端子61とは、導体63によって接続されている。回路基板60からの送信信号(高周波信号)は、回路基板60のアンテナ端子(図示せず)から、基板保持部兼アンテナ端子61、導体63を順次介して環状アンテナ67に伝達され、環状アンテナ67から放出される。さらに、主部581の外周面には、その周回方向に沿って、弾性体56が嵌合する溝58aが形成されている。これにより、質量体58は、弾性体56によって上筐体部54に弾性的に保持される。
【0014】
66は長方形板状のセンサ板であり、後述する圧電素子などが装着されている。センサ板66は、その一端においてビス68によって質量体58に固定され、その他端には板バネ62の先端部が当接している。73はリング状のパッキンであり、下筐体部52および上筐体部54の衝合部分に介挿され、この衝合部分からの水などの浸入を防止する。質量体58の上端部には、透明板76を介してユーザの各種操作を受信するとともに、ユーザに情報表示する操作部78が設けられている。操作部78と回路基板60とは、回路的に連結して構成されている。
【0015】
ここで、板バネ62と、下筐体部52の円盤部52aとの詳細構成を図2を参照し説明する。なお、図2において円盤部52aは、螺合部52bよりも内側の部分のみを図示する。板バネ62は、略長方形状の底板62aと、該底板62aの長辺から凸字状に横方向に突出した突起部62fと、底板62aの一短辺から約「45°」の角度で内側上方に折れ曲がった傾斜部62cと、傾斜部62cの先端からさらに逆方向の上斜めに折れ曲がった折り返し部62dと、折り返し部62dの先端から上方向に突出した接触部62eとから構成される。
【0016】
傾斜部62cには、シンバル固定ネジ42を回動するドライバーやレンチなどを操作しやすくするためと、センサ板66のスティフネスに対する整合を取るため、略長方形に切り欠かれた切欠部62gが形成されている。円盤部52aの中心部には、シンバル固定ネジ42を挿通させる円形の貫通孔52dが形成されている。また、板バネ62の底板62aにおいては、その中心部に長手方向に沿って長穴62bが形成されており、板バネ62の載置状態(図示の状態)において、長穴62bの一端が下筐体部52の貫通孔52dに重なる。
【0017】
ここで、接触部62eの拡大図を図3(c)に示す。同図に示すように、接触部62eは、平板を略切頭円錐状に湾曲させて成るものである。次に、センサ板66の構成を図3(a)を参照し説明する。センサ板66は略長方形の形状を有しており、その一端には上記ビス68を挿通するための貫通孔66cが形成されている。そして、この貫通孔66cよりやや中心部寄りの位置には、略円盤状のピエゾ素子70が固着されている。このピエゾ素子70の付近から、図上で左方向に向かって略U字状の貫通孔であるU字孔66aが穿孔されている。そして、このU字孔66aの「U字」の底部を成す部分には、センサ当接部66bが形成されている。ピエゾ素子70およびセンサ当接部66bを備えた弾性片66eは、センサ板取付部66dより狭く形成され、前記U字孔66aの先端部BD,BDを結ぶ線上にピエゾ素子70の中心が位置するように、ピエゾ素子70を配設している。これによって、弾性片66eの先端のセンサ当接部66bに力を受けたとき、ピエゾ素子70が効率よくベンドされ、検出信号が効率よく出力されるようになっている。
【0018】
次に、図3(a)におけるA−A’断面を図3(b)に示す。図示のように、センサ当接部66bは、センサ板66を切頭円錐状に凹ませて成るものであり、このセンサ当接部66bに上述した板バネ62の接触部62eが衝合される。上述したように、下筐体部52と上筐体部54とを嵌め合わせるには、下筐体部52に上筐体部54を被せ、上筐体部54を回転させるのであるが、その際には板バネ62に対してセンサ板66が相対的に回転しつつ摺動することになる。
【0019】
次に、操作部78の詳細構成を図3(d)を参照し説明する。図において78Uはアップキー、78Dはダウンキーであり、ホトカプラによって構成されている。すなわち、キー78U,78Dの上方にユーザが指をかざすと、その旨が検出され、キー78U,78Dのうち対応する側がオン状態になる。一方、ユーザが指を離すと、そのキーはオフ状態になる。79はLEDであり、点灯、消灯、または点滅状態によって演奏情報入力ユニット1の各種状態を表示する。また、操作部78は、指をかざした時および指を離した時のみのイベントを検出するようなスイッチとして機能させることもできる。
【0020】
1.2.実施例の動作
次に、本実施例の動作を説明する。
まず、ユーザがシンバル48を弱打したときの動作を図4(a)を参照し説明する。シンバル48が弱打されると、シンバル48に生じた振動は、下筐体部52、板バネ62、センサ板66を順次介してピエゾ素子70(図3(a)参照)に伝搬する。これにより、ピエゾ素子70において該振動が検出され、その検出信号に応じた演奏情報が回路基板60から環状アンテナ67を介して外部に送信される。
【0021】
次に、シンバル48を強打したときの動作を図4(b)を参照し説明する。シンバル48が強打されると、図示のようにシンバル48が振動しつつ傾く。すなわち、強打の場合は、振動および傾き変位が発生する。このシンバル48の振動および変位は、弾性体44およびスプリングワッシャ64にも伝わる。上述した構成から明らかなように、シンバル48は上下の弾性体64,44で挟まれて、いわば宙吊りのような状態で支持棒40の上部に載置されているので、シンバル48の振動及び変位がセンサ板66に極めて伝わりやすくなっている。従って、シンバル48を強打すると、その強度に見合った振動または変位エネルギーが板バネ62を介してセンサ板66に伝達される。
【0022】
シンバル48が傾くような打撃態様では、図4(b)のように、弾性体44が圧縮されるとともに、スプリングワッシャ64がシンバル固定ネジ頭部42aの側に向かって圧縮されることにより、シンバル48の傾きを許容している。これによって図4(b)では、スプリングワッシャ64の圧縮分だけ、演奏情報入力ユニット1が上に変位する。この時のシンバル48の打撃強度によって演奏情報入力ユニット1が上方に移動するスピードが決定され、その速さによって質量体58がその場に留まろうとする慣性力が決まる。その速さが速いほど、図4(b)のような質量体58の変位が見られる。これによって板バネ62が圧縮され、この圧縮力によってきわめて強い力がセンサ板66に伝達され、ピエゾ素子70の検出信号レベルが高くなる。このとき、シンバル48本来の上下振動の上移動分が重なることがあれば、さらに強い力がピエゾ素子70に加わり、ピエゾ素子70の検出信号レベルはさらに高くなる。シンバル48が図4(b)から図4(a)に示す状態に戻るときには、オントリガ時のような慣性力が発生しないので、この信号を検出しないようにすることもできるし、この戻り時の少し弱めのトリガ信号で後述の電源を再トリガして再発音してもよい。
【0023】
ここで、上下筐体部52,54が上下に震動するときは、その振動と略同相の運動が板バネ62にも発生する。この振動を直達振動という。また、上下筐体部52,54の振動とは別に板バネ62には独自の振動が発生する。その際、ピエゾ素子70においては、上下筐体部52,54と板バネ62との相対的な位置関係が振動として検出される。この振動を分離振動という。本実施例においては、質量体58には、その場に留まろうとする慣性力が働くため、直達振動と分離振動との双方がセンサ板66に伝達される。この両振動によって、2種の異なる検出信号の態様(モード)が識別できることになる。
【0024】
すなわち、上述した説明では、「直達振動」を「振動」の一種として説明したが、直達振動が発生するとき、シンバル48の静止位置を中心としてシンバル48が変位する幅は上下に非対称になる。従って、「直達振動」は「振動」ではなく、「変位」と考えることも可能である。従って、該「変位」に応じて生じる検出信号は、「変位モード」の信号であると考えることができる。一方、分離振動が発生するとき、シンバル48の静止位置を中心としてシンバル48が変位する幅は上下に対称になる。従って、かかる分離振動が本来的に「振動」であると考えられる。従って、該分離振動に応じて生じる検出信号は「振動モード」の信号であると考えることができる。
【0025】
ここで、直達振動の振幅は、弾性体44、スプリングワッシャ64などが縮むことにより、減衰される。これにより、直達振動の振幅には、機械的に圧縮処理が施されるのと同時にセンサ板66に伝達されることになる。このように、振幅の大きい直達振動が圧縮されることにより、サチュレーション等を起すことなく、ダイナミックレンジの広い直達振動をピエゾ素子70によって検出することが可能になる。
【0026】
このように本実施例においては、質量体58は演奏情報入力ユニット1の変位に対して直ちには追従せず現状の位置を保とうとするため、板バネ62から伝達される力がセンサ板66に伝わりやすくする助成手段として機能する。かかる効果を奏するためには、質量体58は「30」グラム以上であることが望ましく、より望ましくは「100」グラム以上にすることが好適である。また、本実施例の板バネ62およびセンサ板66は、換言すれば、ピエゾ素子70に伝達される振動のダイナミックレンジを機械的に圧縮するコンプレッサとしても機能する。これにより、広いダイナミックレンジを有するシンバル48の振動を一種類のセンサ(ピエゾ素子70)によって、サチュレーションなどを起すことなく検出できるのである。
【0027】
なお、シンバル固定ネジ42の締め付け具合を加減することにより、同じ強さでシンバル48を衝打したときのシンバル48の変位が変わるため、これによって、検出信号の特性を変化させることができる。さらに板バネ62の剛性の強弱によっても検出信号の特性を変化させることができる。例えば、検出信号が小さい場合には、板バネ62のバネ性を高める(例えばヤング率の大きい部材を使用する、または肉厚にする)ことにより、センサ板66に印加される力を高めることができる。
【0028】
なお、本実施例は、スタンド付シンバルに演奏情報入力ユニット1を装着した例を示すものであるが、演奏情報入力ユニット1を装着しない場合も考えられるため、演奏情報入力ユニット1を装着しない場合のシンバル48の装着方法も説明しておく。図1において、板バネ62、円盤部52aの厚さをL1とする。演奏情報入力ユニット1を装着しない場合には、厚さL1の円環状の弾性体を、シンバル固定ネジ頭部42aと、シンバル48との間に挿入するとよい。その際、スプリングワッシャ64は通常のワッシャに変更してもよい。
【0029】
2.第2実施例
次に、本発明の第2実施例の演奏情報入力ユニット2を図5を参照し説明する。この演奏情報入力ユニット2は、第1実施例における演奏情報入力ユニット1と大略同様の構成を有しているため、図5において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付し、相違点のみを説明する。
演奏情報入力ユニット2においては、図1のシンバル固定ネジ42に代えて、これよりも短い固定ネジ82が用いられる。そのネジ頭部82aの形状は、図1のネジ頭部42aと同様である。80は吸盤部であり、演奏情報入力ユニット2が載置された載置面に吸着する。84はナットであり、固定ネジ82に螺合され、吸盤部80を下筐体部52の下面に固定する。吸盤部80の上面には、円環状に切り欠かれた凹部80aが形成され、その凹部80aの内壁が環状突起80bになっている。固定ネジ82が締め付けられると、環状突起80bが押し潰されるため、上述したパッキン73とともに、演奏情報入力ユニット2の防水状態が保持される。演奏情報入力ユニット2を防水構造とした理由は、屋外においても使用可能にするためである。
【0030】
次に、演奏情報入力ユニット2の使用例を図7(a),(b)に示す。図7(a)において90は振動板であり、略長方形状の木製の板の両端部を円弧状に湾曲してなるものである。振動板90は、図示のように、着座状態のユーザの両脚に、湾曲部を置いて使用される。振動板90の上面に演奏情報入力ユニット2を載置してユーザが振動板90を衝打すると、振動板90に生じた振動が演奏情報入力ユニット2によって検出され、その検出信号に応じた演奏情報が回路基板60から外部に送信される。また、図7(b)において92は浮き輪であり、その上面に演奏情報入力ユニット2が載置されている。ユーザが浮き輪92を衝打すると、浮き輪92に生じた振動が演奏情報入力ユニット2によって検出され、その検出信号に応じた演奏情報が回路基板60から外部に送信される。
【0031】
図7(a),(b)何れの場合も、振動または変位、すなわち上述したように異なるモードの変化を識別することができる。
このように、本実施例の演奏情報入力ユニット2は、検出可能な振動のダイナミックレンジがきわめて広いため、様々な振動のダイナミックレンジを有する振動体に吸盤部80を用いて吸着させることにより、これら振動体の振動を全く同様に検出することができる。
【0032】
3.第3実施例
次に、本発明の第3実施例の演奏情報入力ユニット101の構成を図6を参照し説明する。この演奏情報入力ユニット101は、第1,第2実施例における演奏情報入力ユニット1,2と技術思想的に共通しているため、図6において図1の各部に対応する部分には同一の符号を付し、その説明に代える。まず、第3実施例の特有の構成を説明する前に、第1〜第3実施例の共通する技術思想を以下に記述しておく。
【0033】
この発明の第1〜第3実施例は、「電子部品(ep,BB)を備えた基板(60,600)を内装した携帯用電子機器(1,2,101)において、設定データを設定(変更)可能な操作部(78)を有したケース体(52,54)と、該ケース体(52,54)に少なくとも前記基板(60,600)を備えて内装される基部(7,基板(60,600)および質量体(130,58)から成る)と、該基部(7)を弾性的に保持する弾性体(56,560)とを備え、前記基部(7)は、その周囲縁部(601,561)が前記弾性体(56,560)に当接保持され、前記弾性体(56,560)は、当接保持された基部(7)を有した状態で前記ケース体(52,54)の内面ISに接するように保持されたことを特徴とする携帯用電子機器」を含んでいる。
【0034】
そして、前記「携帯用電子機器」は、この発明の主要な装置である打楽器、演奏情報入力ユニット、センサユニットであることは勿論のこと、その他にも携帯電話器や歩数計、さらには携帯用脈拍計、脈拍計・自動演奏機能付健康管理携帯装置、携帯用無線機、携帯用ダウンロード演奏再生装置、携帯用警報装置、携帯用GPS装置等、広く携帯用電子機器に利用可能である。
【0035】
上述した特徴部の詳細として、基部(7)は、質量体を含んでいる。この「質量体」の概念は、本実施例(詳細は後述する)に示されているように「電子装置の主要機能を搭載したプリント基板以外に慣性質量を増加する目的で別途質量体を付加したもの」と、「前記プリント基板が所定の質量を有していれば、それ自体が慣性質量体になるもの」とを含んでいる。本実施例のように無線で電磁波(情報)を発信するものとは別に、逆に電磁波を装置内に閉じ込めておくべき装置も存在する。かかる装置にあっては、電磁波を閉じ込めたい部位周囲をフェラィト体で取り囲めばよい。かかる場合には、このフェラィト体が慣性質量体になる。
【0036】
いずれにせよ、前記基部(7)が、慣性質量の大なるものであれば、ケース体の外から内に衝撃を受ける(与える)場合、には、以下に示す2つの場合が考えられる。
場合1:例えば、本実施例の主要な使用例のように、演奏のために衝撃を与える場合。
場合2:取扱い時または携帯時に装置(ケース体)を落としてしまうことにより衝撃を受ける場合。
上述した「場合2」にはさらに以下の2種類に分類される。
場合2−1:不用意(不注意)で装置が落下する場合。
場合2−2:故意に落とす、または投げつける場合。
上記「場合2−2」は、本装置が護身用の警報装置である場合に適用される。すなわち、この警報装置を作動させたい場合に、ユーザ(被害者)が該装置を地面や壁に投げつけるという使用方法が採られる。
このように該装置への衝撃を与えた場合であっても、前記弾性体(56,560)が基部(7)または基板を保護して壊れにくいようになっているのである。
【0037】
図6(a)に示す第3実施例は、図1,図5と同様の打楽器または演奏情報入力ユニットとして本発明を実施したものであり、以下基部7について第1,第2実施例と異なる箇所について詳述する。図6(a)は、略円筒形のケース体54,52の中央断面図であり、同図(b)は基部7を斜め上から見た斜視図である。該基部7は、電子部品等を備えた基板600と、質量体130とから成る。該質量体130は、環状の上部質量体131と、環状の下部質量体132とからなり、上部質量体131は基板600の上面(紙面の上方)に載置され、下部質量体132は基板600の下面に当接している。これら三者を基板600を中に挟んだ状態にして、下からネジn1,n2にて共締めすることにより、図6(b)に示すような基部7の全体構造が形成される。
【0038】
前記下部質量体132は、下方部が上方部よりもケース体の側面方向に突出した、ひとまわり大きい環状体で形成されている。該下部質量体132の内径は、上部質量体131の内径よりも大きく形成されている。基板600には、クランク形状を有するセンサ板660が、センサ当接部66bを円筒状のケース体54,52の中心部に位置させて、固定端部661をビス68で固着されて、設けられている。この固定端部661は、その一部を上部質量体131の下面に対向させて配設することにより、基板600の加力時の変形を防止する構造が採られている。該基板600は、両面基板または多層基板からなるが、以下、基板600が両面基板であるとしてその構成を説明する。
【0039】
基板600の両面には、質量体130を避けた所に図示のように大小のチップ状電子部品epが装着され、下面の左方には電池ホルダに収納されたボタン電池BBが備えられている。基板600の上面には、操作部78を固定する馬鞍型の操作部ホルダ607と、その上面に固定された操作部78とが設けられている。該操作部ホルダ607には、基板600へ取り付けるための取付部781が形成されており、取付部781はネジn3によって基板600に固着されている。なお、ep1はその他の有脚電子部品である。
【0040】
以上の構成からなる基部7のケース体54,52への取付けは、例えば環状シリコンゴムからなる弾性体560の内面に設けた環状溝560aに基板600の周囲縁部601を挿入(圧入でもよい)し、一体となった弾性体付基部の弾性体の外方部を、上筐体部54の内面ISに設けた環状溝IS1に挿入(圧入でもよい)することで行われる。該弾性体付基部は、上筐体部54のみの状態で、めねじ部のある下方開口部から弾性体560の周囲を圧縮させつつ圧入すると、弾性体の外方部が環状溝IS1に嵌合する。この例では、周囲縁部601や環状溝IS1に接着剤を使用しなくてもよい。なお、接着剤を使用してもよいが、使用しなかったとしても基部7を十分に保持することができる。
【0041】
以上の構成から成る基部7は、第1実施例と同様に演奏情報入力ユニット101を二点鎖線で示したシンバル48に装着した場合は、シンバル48を打撃すれば、その変位または振動がセンサ板660に伝えられる。特に、強打時にあっては、図4(b)に示した場合と同様に、基部7がケース体54,52に対して相対的に下がる(実際はケース体54,52が上に上がる)。このような使い方を多用する場合は、図6(a)の一点鎖線78’で示す位置のように透明板76に極めて近接した位置(但し非接触)に操作部78を配置するように操作部ホルダ607を構成するとよい。これにより、ホトカプラから成る操作部78の感度および精度を向上させることができる。
【0042】
さらに、本実施例においては、質量体130として鉄材が使用されるが、この外側にアンテナを構成する銅箔パターン620を基板の最外郭に設けたので、透磁率の高い鉄材で覆われることなく電波が外部に伝わりやすい構成となっている。該銅箔パターン620によるアンテナは、ループアンテナであってもよく、棒状アンテナであってもよい。なお、図6(a)において一点鎖線で示した吸盤部80は、第2実施例のものと同一である。本実施例では、シンバル48または吸盤部80の何れでも取付可能であることを示すため、図6(a)では両者とも記載している。また、この実施例における電源は、ボタン電池BBを図示のように配設したが、上述した操作部ホルダ607の中に収納した直方体型充電池を適用してもよい。
【0043】
以上説明した構成により、本実施例においては以下のような効果がある。
(1)小さなスペースに大きな慣性力を発生させる質量体130を装着できることにより、助成手段となる質量体130が機能しやすい。
(2)組立容易性の高い機器を実現できる。
(3)電波を遮蔽する障害物を避けつつ、的確に電波を外部に放出できる。
(4)操作部78においてホトカプラを取り付けやすい構造が実現されている。
(5)強く叩いた場合にも壊れにくい構造が実現されている。
(6)弾性体560が基板600を直接的に当接保持するため、基板600を有効利用できる。
【0044】
4.第4実施例
4.1.実施例の構成
次に、本発明の第4実施例のアンサンブルシステムの構成を図8を参照し説明する。
図8において1−1〜1−nはn個の演奏情報入力ユニットであり、各演奏情報入力ユニットの構成は、第1〜第3実施例における演奏情報入力ユニット1,2,101の何れかに等しい。演奏情報入力ユニット1−1の内部において6はCPUであり、ROM8に記憶されたプログラムに従って、バス4を介して演奏情報入力ユニット1−1内の他の構成要素を制御する。10はRAMであり、CPU6のワークメモリとして使用される。16は送信部であり、演奏情報(MIDI信号)を後述する親機20に送信する。12は操作部であり、キー78U,78D(図3(d)参照)および周辺回路から構成されている。14は表示部であり、LED79および周辺回路から構成されている。18はセンサ部であり、ピエゾ素子70および周辺回路から構成されている。なお、他の演奏情報入力ユニット1−2〜1−nの回路構成もこれと同様である。
【0045】
次に、親機20の内部において、26はCPUであり、ROM28に記憶されたプログラムに従って、バス24を介して親機20内の他の構成要素を制御する。30はRAMであり、CPU26のワークメモリとして使用される。32は操作部であり、キーボード、ノブ、およびこれらの操作状態を検出する周辺回路から構成されている。34は表示部であり、ドットマトリクスディスプレイおよび周辺回路から構成されている。36は受信部であり、演奏情報入力ユニット1−1〜1−nから送信された演奏情報を受信する。23は音源であり、バス24を介して受信した演奏情報に基づいて楽音信号を合成する。合成された楽音信号は、アンプ、スピーカ等から成るサウンドシステム22を介して発音される。
【0046】
4.2.実施例のデータ構成
次に、本実施例に適用されるデータ構成を図9を参照し説明する。
本実施例においては、各演奏情報入力ユニットに対して、各々「3」のMIDIチャンネルCh1〜Ch3が割り当てられる。これらMIDIチャンネルには、各々に対して音色ナンバTim1〜Tim3がアサインされる。そして、打面体(48,90,92等)が衝打されたとき、何れの音色が適用されるかは、衝打されたときに検出される振動振幅のピークレベルLに応じて決定される。ここで、ピークレベルLと、適用される音色ナンバTim1〜Tim3との関係は、図9(a)に示すようなレベル―音色ナンバテーブル100としてRAM10内に記憶される。テーブル100において、ピークレベルLは、レベルの低い順にレベル域LA1,LA2,LA3に分割されており、それぞれのレベル域に対して、音色ナンバTim1〜Tim3が順次割り当てられている。なお、テーブル100における音色ナンバTim1〜Tim3は、後述する処理によって書き換え可能である。
【0047】
また、演奏情報入力ユニットがMIDIのノートオンイベントを発生する際には、ノートオンイベントにてタッチ(ベロシティ)Vを指定する必要がある。ここで、タッチ(ベロシティ)VはピークレベルLに応じて決定される。その対応関係は、図9(b)に示すようなレベル―タッチテーブル110としてRAM10内に記憶される。ここで、レベル―タッチテーブル110の特性例と、適用される音色ナンバTim1〜Tim3とを図9(c)に示す。図9(c)から明らかなように、レベル域LA1,LA2,LA3毎に、ピークレベルLとタッチ(ベロシティ)Vの成す特性のカーブが異なっている。
【0048】
また、演奏情報入力ユニットに適用される音色ナンバは、全「12」種類の音色ナンバの中から選択できる。これら「12」種類の音色ナンバには、各々「0」〜「11」のインデックスNが付与されている。ここで、インデックスNに対応する音色ナンバを「TTim(N)」という。両者の対応関係は、図9(d)に示すようなインデックス―音色ナンバテーブル120として、ROM8内に記憶される。
【0049】
4.3.実施例の動作
4.3.1.メインルーチンの動作
次に、本実施例の動作を説明する。
まず、各演奏情報入力ユニットにおいて電源が投入されると、図10(a)に示すメインルーチンが起動される。図10(a)において処理がステップSP102に進むと、所定の初期設定が行われる。次に、処理がステップSP104に進むと、音色エディット処理サブルーチン(図11,図12)が呼び出される。なお、該サブルーチンの処理については後述する。次に、処理がステップSP106に進むと、「オンイベント時のイニシャル振動」を検出したか否かが判定される。
【0050】
ここで、オンイベント時のイニシャル振動について説明しておく。まず、打面体(48,90,92等)を衝打すると振動が生じるが、最初に所定の閾値T1を超える振動を検出した後の「30msec」のレベル変動がCPUによってモニタされる。すなわち、CPU6においてセンサ部18の出力するサンプリング値が絶えずモニタされ、「30msec」の期間内にこのサンプリング値に生じた極大値がピークレベルP1,P2,……,Pnとして記憶される。この中の最大のピークレベルPmaxが所定の閾値T2を超えたときに、「オンイベント時のイニシャル振動」が生じたものと判定され、かつ、上記最大のピークレベルPmaxがピークレベルLの値になる。
【0051】
ステップSP106において「NO」と判定されると、処理はステップSP104に戻り、オンイベント時のイニシャル振動が検出されるまでステップSP104,SP106の処理が繰り返される。ステップSP106において「YES」と判定されると、処理はステップSP108に進む。ステップSP108においては、ピークレベルLと、レベル―音色ナンバテーブル100とに基づいて、今回発生するノートオンイベントに係る音色ナンバTim(音色ナンバTim1〜Tim3のうち何れか)が特定される。また、この音色ナンバTimに基づいて、該ノートオンイベントに係るMIDIチャンネルCh(チャンネルCh1〜Ch3のうち何れか)も特定される。
【0052】
次に、処理がステップSP110に進むと、ピークレベルLと、レベル―タッチテーブル110とに基づいて、タッチ(ベロシティ)Vが決定される。次に、処理がステップSP112に進むと、MIDIチャンネルChの、タッチ(ベロシティ)Vを有するノートオンイベント・メッセージが生成され、送信部16を介して親機20に送信される。以上のステップが終了すると、処理はステップSP104に戻り、以降はステップSP104〜SP112の処理が繰り返される。
【0053】
また、親機20においては、電源が投入されると、図10(b)に示すメインルーチンが起動される。図10(b)において処理がステップSP202に進むと、所定の初期設定が行われる。次に、処理がステップSP204に進むと、受信部36を介して、何れかの演奏情報入力ユニット1−1〜1−nからMIDIイベントを受信したか否かが判定される。ここで「YES」と判定されると、当該MIDIイベントが音源23に出力される。以下、ステップSP204,SP206の処理が繰り返される。なお、演奏情報入力ユニット1−1〜1−nから供給されるMIDIイベントには、上述したノートオンイベントの他に「プログラムチェンジ」等も含まれる。プログラムチェンジが送信される場合については後述する。
【0054】
4.3.2.音色エディット処理サブルーチンの動作
次に、上記ステップSP104において呼び出される音色エディット処理サブルーチンの動作を図11,図12を参照し説明する。
図11において処理がステップSP2に進むと、キー78U,78Dの何れかがオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、本ルーチンの処理は直ちに終了する。一方、ステップSP2において「YES」と判定されると、処理はステップSP4に進む。ここでは、キー78U,78Dのオン/オフ状態に基づいて、以下のようにモードMが設定される。
すなわち、アップキー78Uがオン状態であってダウンキー78Dがオフ状態であるときは、モードMは“1”(Tim1設定モード)に設定される。また、アップキー78Uがオフ状態であってダウンキー78Dがオン状態であるときは、モードMは“2”(Tim2設定モード)に設定される。また、キー78U,78Dの双方がオン状態であるときは、モードMは“3”(Tim3設定モード)に設定される。また、ステップSP2以外のステップから処理がステップSP4に進むと、「キー78U,78Dの双方がオフ状態である」場合も発生し得る。かかる場合は、モードMは変更されず、従前の値のまま保持される。
【0055】
次に、処理がステップSP6に進むと、モードMに応じて処理が分岐される。まず、モードMが“1”(Tim1設定モード)であるときは、処理はステップSP8に進む。ここでは、センサ部18の検出結果に基づいて、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体(シンバル48、振動板90、浮き輪92等)に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP4に戻り、以後、ステップSP4,SP6,SP8のループが繰り返される。ここで、ユーザは、アップキー78Uから指を離し、キー78U,78Dの双方をオフ状態にする。このように、キー78U,78Dの双方がオフ状態になったとしても、上述したようにモードMは“1”(Tim1設定モード)のまま保持されるから、同様にステップSP4,SP6,SP8のループが繰り返される。
【0056】
ここで、ユーザが打面体(48,90,92等)を衝打すると、ステップSP8において「YES」と判定され、処理はステップSP10に進む。ステップSP10においては、アップキー78Uがオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP14に進み、インデックス―音色ナンバテーブル120を読み出すためのインデックスNが「1」だけインクリメントされ、インクリメント結果を「12」で除算した余りが新たなインデックスNに設定される。従って、ステップSP14が実行される毎に、インデックスNは「0」〜「11」の範囲で循環的に変化する。次に、処理がステップSP16に進むと、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が読み出され、読み出された音色ナンバが音色ナンバTim1に設定される。そして、この音色ナンバTim1をチャンネルCh1にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。これにより、親機20内の音源23にあっては、チャンネルCh1に対して該音色ナンバTim1に係る音色がアサインされる。
【0057】
次に、処理がステップSP18に進むと、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh1のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。これにより、親機20においては、上記音色ナンバTim1に係る所定レベルの楽音信号が音源23において合成され、サウンドシステム22を介して放音される。これにより、ユーザは、音色ナンバTim1として割り当てられている音色を当該楽音信号によって確認することができる。次に処理がステップSP4に戻ると、ステップSP4,SP6,SP8のループが繰り返される。ここで、ユーザが打面体(48,90,92等)を再び衝打すると、ステップSP14においてインデックスNが更新され、ステップSP16において該インデックスNに係る音色ナンバTim1がチャンネルCh1にアサインされ、ステップSP18において該音色ナンバTim1に係る楽音信号がサウンドシステム22から放音される。このようにして、音色ナンバTim1に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。
【0058】
音色ナンバTim1の設定が終了したとき、他の音色ナンバTim2,Tim3が既に所望の音色にアサインされているのであれば(あるいは、既に誰かがセットした音色またはプリセットの音色で「よし」とするのであれば)、この音色エディット処理サブルーチンを終了させるとよい。この場合、ユーザはアップキー78Uを再びオン状態にし、そのまま(アップキー78Uから指を離さず)打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。かかる操作が行われると、ステップSP10において「YES」と判定され、処理はステップSP40(図12)に進む。ステップSP40にあっては、モードMが“0”(非設定モード)に設定され、インデックスNが「0」に初期化され、処理はメインルーチン(図10(a))に戻る。これによって少なくとも音色ナンバTim1は所望の音色にセットされたといえる。
【0059】
また、引き続いて音色ナンバTim2の設定を行う場合は、ユーザはダウンキー78Dのみをオン状態にする。ダウンキー78Dのみがオン状態になると、ステップSP4においてモードMが“2”(Tim2設定モード)に変更される。次に、ステップSP6を介して処理がステップSP20に進むと、上記ステップSP8と同様に、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP4に戻り、以後、ステップSP4,SP6,SP20のループが繰り返される。
【0060】
ここで、ユーザは、キー78U,78Dの双方をオフ状態にするが、かかる状態においても、モードMは“2”(Tim2設定モード)のまま保持され、ステップSP4,SP6,SP20のループが繰り返される。ここで、ユーザが打面体を衝打すると、ステップSP20において「YES」と判定され、処理はステップSP22に進む。ステップSP22においては、ダウンキー78Dがオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、ステップSP24〜SP28の処理が実行される。
【0061】
ステップSP24〜SP28の処理は、チャンネルCh2および音色ナンバTim2を対象とする以外は上述したステップSP14〜SP18の処理と同様である。すなわち、ステップSP24においてはインデックスNが「0」〜「11」の範囲で更新され、ステップSP26においては、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が音色ナンバTim2に設定され、この音色ナンバTim2をチャンネルCh2にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。次に、ステップSP28においては、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh2のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。従って、音色ナンバTim1の設定の場合と同様に、音色ナンバTim2に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。
【0062】
音色ナンバTim2の設定が終了したとき、この音色エディット処理サブルーチンを終了させるのであれば、ユーザはダウンキー78Dを再びオン状態にし、ダウンキー78Dをオン状態に保持したまま打面体を衝打するとよい。これにより、ステップSP22において「YES」と判定され、上述したステップSP40が実行された後、処理はメインルーチン(図10(a))に戻る。
【0063】
また、引き続いて音色ナンバTim3の設定を行う場合は、ユーザはキー78U,78Dの双方をオン状態にする。キー78U,78Dの双方がオン状態になると、ステップSP4においてモードMが“3”(Tim3設定モード)に変更される。次に、ステップSP6を介して処理がステップSP30(図12)に進むと、上記ステップSP8と同様に、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP4に戻り、以後、ステップSP4,SP6,SP30のループが繰り返される。
【0064】
ここで、ユーザは、キー78U,78Dの双方をオフ状態にするが、かかる状態においてもモードMは“3”(Tim3設定モード)のまま保持され、ステップSP4,SP6,SP30のループが繰り返される。ここで、ユーザが打面体を衝打すると、ステップSP30において「YES」と判定され、処理はステップSP32に進む。ステップSP32においては、キー78U,78Dの双方がオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、ステップSP34〜SP38の処理が実行される。
【0065】
ステップSP34〜SP38の処理は、チャンネルCh3および音色ナンバTim3を対象とする以外は上述したステップSP14〜SP18の処理と同様である。すなわち、ステップSP34においてはインデックスNが「0」〜「11」の範囲で更新され、ステップSP36においては、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が音色ナンバTim3に設定され、この音色ナンバTim3をチャンネルCh3にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。次に、ステップSP38においては、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh3のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。従って、音色ナンバTim1の設定の場合と同様に、音色ナンバTim3に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。
【0066】
音色ナンバTim3の設定が終了したとき、この音色エディット処理サブルーチンを終了させるのであれば、ユーザはキー78U,78Dを再びオン状態にし、キー78U,78Dをオン状態に保持したまま打面体を衝打するとよい。これにより、ステップSP32において「YES」と判定され、上述したステップSP40を介して処理はメインルーチン(図10(a))に戻る。
【0067】
このように、本実施例によれば、キー78U,78Dに対する操作と、打面体への衝打とによって、各演奏情報入力ユニットを使用するユーザが自機に割り当てる音色ナンバTim1〜Tim3を設定できる。さらに、「打面体への衝打」によってインデックスNを更新するため、インデックスNを更新するための特別な入力装置が不要になり、演奏情報入力ユニットを安価に構成することが可能になる。
【0068】
5.第5実施例
次に、本発明の第5実施例について説明する。
第5実施例のハードウエア構成およびデータ構成は第4実施例のものと同様であるが、各演奏情報入力ユニットには、「4」のMIDIチャンネルCh1〜Ch4が割り当てられる。そして、図10(a)のレベル域LA3においては、第4実施例における音色ナンバTim3に代えて二種類の音色ナンバTim31,Tim32が割り当てられ、これら二音色による同時発音が行われる点が異なる。ここで、音色ナンバTim31,Tim32に対応するMIDIチャンネルをチャンネルCh3,Ch4とする。また、レベル―タッチテーブル110においても、レベル域LA3にあっては、音色ナンバTim31,Tim32の各々に対して、各々独立してピークレベルLとタッチ(ベロシティ)Vとの関係が定められている。
【0069】
本実施例の動作も第4実施例と大略同様であるため、以下異なる点のみを説明する。まず、メインルーチン(図10(a))において、ピークレベルLがレベル域LA3に属する場合には、ステップSP108においては、二種類の音色ナンバTim31,Tim32が決定される。また、ステップSP110においては、これらに対応する二種類のタッチ(ベロシティ)Vが求められる。そして、ステップSP112においては、ステップSP108,SP109でチャンネルCh3,Ch4を介して、これら二種類のタッチ(ベロシティ)Vを各々が有する二のノートオンイベント・メッセージが親機20に対して送信される。これにより、親機20においては、音源23およびサウンドシステム22を介して、二音色の楽音信号が同時に放音される。
【0070】
次に、音色エディット処理サブルーチンにおいては、図12のステップSP30〜SP40に代えて、図13に示すステップSP50〜SP74の処理が実行される。そこで、これらの処理の詳細を説明する。
音色ナンバTim31,Tim32の設定を行う場合は、ユーザはキー78U,78Dの双方をオン状態にする。キー78U,78Dの双方がオン状態になると、ステップSP4(図10)においてモードMが“3”(Tim31,Tim32設定モード)に変更される。次に、ステップSP6を介して処理がステップSP50(図13)に進むと、上記ステップSP8と同様に、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP4に戻り、以後、ステップSP4,SP6,SP50のループが繰り返される。
【0071】
ここで、ユーザは、キー78U,78Dの双方をオフ状態にするが、かかる状態になったとしても、モードMは“3”(Tim31,Tim32設定モード)のまま保持され、ステップSP4,SP6,SP50のループが繰り返される。ここで、ユーザが打面体(48,90,92等)を衝打すると、ステップSP50において「YES」と判定され、処理はステップSP52に進む。ここでは、キー78U,78Dの双方がオン状態であるか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、ステップSP70〜SP74の処理が実行される。
【0072】
ステップSP70〜SP74の処理は、チャンネルCh3および音色ナンバTim31を対象とする以外は第4実施例におけるステップSP14〜SP18の処理と同様である。すなわち、ステップSP70においてはインデックスNが「0」〜「11」の範囲で更新され、ステップSP72においては、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が音色ナンバTim31に設定され、この音色ナンバTim31をチャンネルCh3にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。次に、ステップSP74においては、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh3のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。従って、音色ナンバTim1の設定の場合と同様に、音色ナンバTim31に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体を衝打するとよい。
【0073】
音色ナンバTim31の設定が終了したとき、次に音色ナンバTim32を設定するために、ユーザはキー78U,78Dを再びオン状態にし、そのまま(キー78U,78Dから指を離さず)打面体を衝打するとよい。キー78U,78Dがオン状態で打面体が衝打されたのであれば、ステップSP52において「YES」と判定され、処理はステップSP58に進む。ここでは、キー78U,78Dのうち何れかがオフ状態になったか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP56に進み、LED79の状態が「点灯」、「点滅」、「消灯」のうち何れであるかが判定される。
【0074】
LED79が消灯されていれば処理はステップSP58に進み、LED79が点灯された後、処理はステップSP58に戻る。ここで、キー78U,78Dが引き続いてオン状態であれば、処理は再びステップSP56に進む。ここでは、先にステップSP58においてLED79が点灯されたから、処理はステップSP60に進む。ステップSP60においては、上記ステップSP8と同様に、所定の閾値以上のピークレベルを有する振動が打面体に発生したか否かが判定される。ここで「NO」と判定されると、処理はステップSP54に戻り、以後、キー78U,78Dがオン状態に保持されている限り、ステップSP54,SP56,SP60のループが繰り返される。
【0075】
ここで、キー78U,78Dのオン状態を保持しつつユーザが打面体を衝打すると、ステップSP62において「YES」と判定され、ステップSP62〜SP65の処理が実行される。ステップSP62〜SP65の処理は、チャンネルCh4および音色ナンバTim32を対象とする以外は第4実施例におけるステップSP14〜SP18の処理と同様である。すなわち、ステップSP62においてはインデックスNが「0」〜「11」の範囲で更新され、ステップSP74においては、現在のインデックスNに係る音色ナンバTTim(N)が音色ナンバTim32に設定され、この音色ナンバTim31をチャンネルCh4にアサインするプログラムチェンジ・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。次に、ステップSP65においては、タッチ(ベロシティ)を所定値とするチャンネルCh4のノートオンイベント・メッセージが送信部16を介して親機20に送信される。
【0076】
次に、処理がステップSP66に進むと、LED79が「点滅」状態に設定され、処理はステップSP54に戻る。LED79が点滅状態であるときもステップSP56からステップSP60に処理が進むため、次に振動が検出されるまでステップSP54,SP56,SP60のループが繰り返される。以後は、音色ナンバTim31の設定の場合と同様に、音色ナンバTim32に所望の音色が割り当てられるまで、ユーザは打面体(48,90,92等)を衝打するとよい。但し、音色ナンバTim32を設定するにあたっては、ユーザはキー78U,78Dを常にオン状態に保持する必要がある。
【0077】
ここで、LED79の点灯および点滅の意義について説明しておく。以上の処理内容から明らかなように、LED79は音色ナンバTim32を設定し得る状態になると点灯する。従って、LED79の「点灯状態」は、「音色ナンバTim32の設定が可能になった」旨を表している。また、音色ナンバTim32に「1回」でも変化があると、LED79は「点滅状態」になる。従って、「点滅状態」は、「音色ナンバTim32の設定途中である」旨を表している。
【0078】
音色ナンバTim32に対して所望の音色が割り当てられると、ユーザはキー78U,78Dから指を離し、キー78U,78Dをオフ状態にするとよい。キー78U,78Dがオフ状態になると、ステップSP54において「YES」と判定され処理はステップSP68に進む。ここでは、モードMが“0”(非設定モード)に設定され、インデックスNが「0」に初期化され、LED79が消灯された後、処理はメインルーチン(図10(a))に戻る。
【0079】
このように、本実施例によれば、レベル域LA3に対して複数の音色ナンバTim31,Tim32を指定できるから、複数の音色の楽音信号を同時に発音させることができ、一層興味深い楽音信号を出力することが可能になる。
【0080】
6.変形例
本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、例えば以下のように種々の変形が可能である。
(1)上記各実施例においては、演奏情報入力ユニット1,2はMIDI等の演奏情報を送信するものであったが、これらを単なるセンサユニットとして構成し、演奏情報に代えてピエゾ素子70の検出信号を出力するようにしてもよい。
【0081】
(2)第4実施例のステップSP106においては、最初に振動を検出した後の「30msec」のレベル変動が測定され、その最も高いピーク値がピークレベルLとして決定されたが、ピークレベルLの決定方法はこれに限られるものではない。例えば、ピークレベルP1,P2,……,Pnを測定する途中で、あるピークレベルPmが前回のピークレベルP(m-1)よりも低くなったとき、その前回のピークレベルP(m-1)をピークレベルLとして決定してもよい。これにより、ユーザが打面体を衝打した後にノートオンイベント・メッセージを出力するまでの時間を短縮することが可能になる。
【0082】
(3)また、ピークレベルLを決定する他の方法として、ピークレベルP1,P2,……,Pnを測定している途中で、検出したピークレベルが所定の閾値T2を超えた時点でそのピークレベルPkをピークレベルLとしてノートオンイベント・メッセージを送信してもよい。このノートオンイベントに係る発音は、最弱のレベル域LA1の音色ナンバTim1である可能性が高くなる。その後、ピークレベルPkよりも高いピークレベルが検出されると、楽音信号のエンベロープレベルを増減させるMIDIのシステム・エクスクルーシブ・メッセージを用いて、楽音信号のレベルが大きくなるように制御するとよい。
【0083】
(4)また、上記変形例に代えて、ピークレベルPkよりも高いピークレベルが検出されると、楽音信号のエンベロープレベルのみならず、波形そのものを差し替えるMIDIのシステム・エクスクルーシブ・メッセージを用いて、最大のピークレベルに応じた波形データが選択されるようにしてもよい。
【0084】
7.実施態様
本発明には、以下のような実施態様がある。
(1)無線信号により前記演奏情報を送信する無線送信手段(16)を有することを特徴とする請求項1記載の演奏情報入力装置(1,2)。
(2)請求項5記載の演奏情報入力装置(1)を支持体(40)に支持されたシンバル(48)のカップ部に載置して成るスタンド付シンバル。
【0085】
(3)前記支持ベース(52,54)は防水構造を有する筐体であり、該筐体には該筐体を前記打面体に吸着させる吸盤が取り付けられており、該吸盤が前記防水構造の一部を構成することを特徴とする請求項5記載の演奏情報入力装置(1,2)。
(4)前記打楽器音源種類アサイン手段によって自機に割当可能な前記複数の打楽器音源種類を、予め複数の音源種類(図9(d)に列挙した音色ナンバTTim(N))に限定する打楽器音源種類限定手段をさらに有することを特徴とする請求項5記載の演奏情報入力装置(1,2)。
【0086】
(5)設定データを設定可能な操作部(78)を有したケース体(54,52)と、
電子部品(ep)を備え、前記ケース体(54,52)に内蔵される基板(600)と、
該基板(600)を弾性的に保持する弾性体(560)とを備え、
前記基板(600)はその周囲縁部(601)が前記弾性体(560)に当接保持され、前記弾性体(560)はこの当接保持された基板を有した状態で前記ケース体(54,52)の内面(IS)に接するように保持されている
ことを特徴とする携帯用電子機器(101,1,2)。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の第1実施例の自然打楽器の全体構成を示す断面図である。
【図2】板バネ62の詳細構成を示す斜視図である。
【図3】演奏情報入力ユニット1の各部の詳細を示す図である。
【図4】演奏情報入力ユニット1の動作説明図である。
【図5】本発明の第2実施例の演奏情報入力ユニット2の全体構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第3実施例の演奏情報入力ユニット101の全体構成を示す図である。
【図7】演奏情報入力ユニット2の使用例を示す図である。
【図8】本発明の第4実施例のアンサンブルシステムのブロック図である。
【図9】第4実施例の各種データ構造を示す図である。
【図10】第4実施例のメインルーチンのフローチャートである。
【図11】第4実施例の音色エディット処理サブルーチンのフローチャート(1/2)である。
【図12】第4実施例の音色エディット処理サブルーチンのフローチャート(2/2)である。
【図13】第5実施例の音色エディット処理サブルーチンの要部のフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1,2,101:演奏情報入力ユニット(携帯用電子機器,演奏情報入力装置)、4:バス、6:CPU、7:基部、8:ROM、10:RAM、12:操作部、14:表示部、16:送信部、18:センサ部、20:親機、22:サウンドシステム、23:音源、24:バス、26:CPU、28:ROM、30:RAM、32:操作部、34:表示部、36:受信部、40:支持棒(支持体)、42:シンバル固定ネジ、42a:ネジ頭部、42b:下端部、43:支持ベース、43a:凹部、44:弾性体、46:ゆるみ防止ネジ、48:シンバル(打面体)、48a:貫通孔、52:下筐体部(支持ベース,ケース体)、52a:円盤部、52b:螺合部、52d:貫通孔、54:上筐体部(支持ベース,ケース体)、54a:本体部、54b:上端部、56:弾性体、58:質量体(助成手段)、58a:溝、60:回路基板(演奏情報発生手段)、61:基板保持部兼アンテナ端子、62:板バネ(伝達手段,検出部)、62a:底板、62b:長穴、62c:傾斜部、62d:折り返し部、62e:接触部、62f:突起部、62g:切欠部、63:導体、65:ネジ、64:スプリングワッシャ、66:センサ板(検出部)、66a:U字孔、66b:センサ当接部、66c:貫通孔、66d:センサ板取付部、66e:弾性片、67:環状アンテナ、68:ビス、70:ピエゾ素子(センサ,検出部)、73:パッキン、76:透明板、78,78’:操作部、78D:ダウンキー(操作子)、78U:アップキー(操作子)、79:LED、80:吸盤部、80a:凹部、80b:環状突起、82:固定ネジ、82a:ネジ頭部、84:ナット、90:振動板、92:浮き輪、100:テーブル、100:レベル―音色ナンバテーブル、110:レベル―タッチテーブル、120:インデックス―音色ナンバテーブル、130:質量体、131:上部質量体、132:下部質量体、560:弾性体、560a:環状溝、581:主部、582:副部(上部蓋材)、583:ネジ、600:基板、601:周囲縁部、607:操作部ホルダ、620:銅箔パターン、660:センサ板、661:固定端部、781:取付部、BB:ボタン電池、ep:チップ状電子部品、ep1:有脚電子部品、IS:内面、IS1:環状溝、n3:ネジ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動または変位を検出するセンサと、
設置場所に生じた振動または変位を前記センサに伝達する伝達手段と、
前記伝達手段における振動または変位の伝達を助成する助成手段と、
前記センサが振動または変位を検出すると、所定の楽器種類情報を伴う演奏情報を発生する演奏情報発生手段と
を有することを特徴とする演奏情報入力装置。
【請求項2】
前記演奏情報入力装置は支持ベースを有するものであり、
前記助成手段は、前記支持ベースからの振動または変位の伝達が抑制されるように前記支持ベースに弾性的に保持されるとともに前記センサを装着した保持体であり、
前記センサは、前記保持体の変位または振動と、前記伝達手段を介して伝達される変位または振動との差を検出するものである
ことを特徴とする請求項1記載の演奏情報入力装置。
【請求項3】
支持体と打面体とを備え、前記打面体を前記支持体に弾性的に保持するとともに、所定のセンサユニットを着脱できる打楽器であって、
前記センサユニットは、
振動または変位を検出するセンサと、
前記打面体の振動または変位を前記センサに伝達する伝達手段と、
前記伝達手段における振動または変位の伝達を助成する助成手段と、
前記センサが振動または変位を検出すると、所定の楽器種類情報を伴う演奏情報を発生する演奏情報発生手段と
を有することを特徴とする打楽器。
【請求項4】
前記打面体はシンバルであることを特徴とする請求項3記載の打楽器。
【請求項5】
支持ベースと、
該支持ベースに設けられた少なくとも二の操作子と、
該支持ベースに設けられ、該支持ベースの載置場所における振動または変位を検出する検出部と、
前記二の操作子に対する操作状態および前記検出部の検出信号によって複数の打楽器音源種類の中の一または複数の打楽器音源種類を自機に割り当てる打楽器音源種類アサイン手段と
を有することを特徴とする演奏情報入力装置。
【請求項6】
前記検出部は、
振動または変位を検出するセンサと、
前記支持ベースに生じた振動または変位を前記センサに伝達する伝達手段と
を含み、
前記検出部は、直達振動と相対振動とを合わせた振動を検出するものであり、前記直達振動は、前記支持ベースに力が印加されたとき、前記伝達手段を介して、前記支持ベースの振動と略同相で伝達される振動であり、前記相対振動は、前記支持ベースと前記検出部とが別々に振動する分離振動による、前記支持ベースと前記検出部との相対的位置関係に基づく振動である
ことを特徴とする請求項5記載の演奏情報入力装置。
【請求項7】
前記打楽器音源種類アサイン手段は、複数の打楽器音源種類を自機に割り当てるものであり、
前記検出信号のレベルに応じて、これら複数の打楽器音源種類の何れかを選択し、選択した打楽器音源種類に係る演奏情報を出力する音源種類選択手段
をさらに有することを特徴とする請求項5記載の演奏情報入力装置。
【請求項8】
前記音源種類選択手段は、前記検出信号のレベルが所定の閾値未満であるとき一の打楽器音源種類を選択するとともに、前記検出信号のレベルが該閾値以上であるときに複数の打楽器音源種類を選択し、選択した一または複数の打楽器音源種類に係る演奏情報を出力する
ことを特徴とする請求項7記載の演奏情報入力装置。
【請求項9】
振動または変位を検出するセンサと、
設置場所に生じた振動または変位を前記センサに伝達する伝達手段と、
前記伝達手段における振動または変位の伝達を助成する助成手段と
を有することを特徴とするセンサユニット。
【請求項10】
支持ベースと、
前記支持ベースに設けられ、該支持ベースの設置場所に生じた動きの振動モードまたは変位モードでの検出信号を検出するセンサと、
前記支持ベースに設けられ、前記振動モードおよび変位モードの両モードの検出信号を受容して前記センサに伝達する伝搬手段と
を有することを特徴とするセンサユニット。
【請求項11】
前記伝搬手段は、前記センサが前記振動モードおよび前記変位モードの両モードを受容して検出することを助成する助成手段を含むことを特徴とする請求項10記載のセンサユニット。
【請求項12】
前記助成手段は、前記支持ベースに対し弾性的に保持された質量体を含み、前記検出信号の検出時における前記支持ベースの振動または変位に対して前記質量体の慣性により前記振動または変位が抑制されることで前記センサの前記検出信号が増幅されるようにした助成手段である
ことを特徴とする請求項11記載のセンサユニット。
【請求項1】
振動または変位を検出するセンサと、
設置場所に生じた振動または変位を前記センサに伝達する伝達手段と、
前記伝達手段における振動または変位の伝達を助成する助成手段と、
前記センサが振動または変位を検出すると、所定の楽器種類情報を伴う演奏情報を発生する演奏情報発生手段と
を有することを特徴とする演奏情報入力装置。
【請求項2】
前記演奏情報入力装置は支持ベースを有するものであり、
前記助成手段は、前記支持ベースからの振動または変位の伝達が抑制されるように前記支持ベースに弾性的に保持されるとともに前記センサを装着した保持体であり、
前記センサは、前記保持体の変位または振動と、前記伝達手段を介して伝達される変位または振動との差を検出するものである
ことを特徴とする請求項1記載の演奏情報入力装置。
【請求項3】
支持体と打面体とを備え、前記打面体を前記支持体に弾性的に保持するとともに、所定のセンサユニットを着脱できる打楽器であって、
前記センサユニットは、
振動または変位を検出するセンサと、
前記打面体の振動または変位を前記センサに伝達する伝達手段と、
前記伝達手段における振動または変位の伝達を助成する助成手段と、
前記センサが振動または変位を検出すると、所定の楽器種類情報を伴う演奏情報を発生する演奏情報発生手段と
を有することを特徴とする打楽器。
【請求項4】
前記打面体はシンバルであることを特徴とする請求項3記載の打楽器。
【請求項5】
支持ベースと、
該支持ベースに設けられた少なくとも二の操作子と、
該支持ベースに設けられ、該支持ベースの載置場所における振動または変位を検出する検出部と、
前記二の操作子に対する操作状態および前記検出部の検出信号によって複数の打楽器音源種類の中の一または複数の打楽器音源種類を自機に割り当てる打楽器音源種類アサイン手段と
を有することを特徴とする演奏情報入力装置。
【請求項6】
前記検出部は、
振動または変位を検出するセンサと、
前記支持ベースに生じた振動または変位を前記センサに伝達する伝達手段と
を含み、
前記検出部は、直達振動と相対振動とを合わせた振動を検出するものであり、前記直達振動は、前記支持ベースに力が印加されたとき、前記伝達手段を介して、前記支持ベースの振動と略同相で伝達される振動であり、前記相対振動は、前記支持ベースと前記検出部とが別々に振動する分離振動による、前記支持ベースと前記検出部との相対的位置関係に基づく振動である
ことを特徴とする請求項5記載の演奏情報入力装置。
【請求項7】
前記打楽器音源種類アサイン手段は、複数の打楽器音源種類を自機に割り当てるものであり、
前記検出信号のレベルに応じて、これら複数の打楽器音源種類の何れかを選択し、選択した打楽器音源種類に係る演奏情報を出力する音源種類選択手段
をさらに有することを特徴とする請求項5記載の演奏情報入力装置。
【請求項8】
前記音源種類選択手段は、前記検出信号のレベルが所定の閾値未満であるとき一の打楽器音源種類を選択するとともに、前記検出信号のレベルが該閾値以上であるときに複数の打楽器音源種類を選択し、選択した一または複数の打楽器音源種類に係る演奏情報を出力する
ことを特徴とする請求項7記載の演奏情報入力装置。
【請求項9】
振動または変位を検出するセンサと、
設置場所に生じた振動または変位を前記センサに伝達する伝達手段と、
前記伝達手段における振動または変位の伝達を助成する助成手段と
を有することを特徴とするセンサユニット。
【請求項10】
支持ベースと、
前記支持ベースに設けられ、該支持ベースの設置場所に生じた動きの振動モードまたは変位モードでの検出信号を検出するセンサと、
前記支持ベースに設けられ、前記振動モードおよび変位モードの両モードの検出信号を受容して前記センサに伝達する伝搬手段と
を有することを特徴とするセンサユニット。
【請求項11】
前記伝搬手段は、前記センサが前記振動モードおよび前記変位モードの両モードを受容して検出することを助成する助成手段を含むことを特徴とする請求項10記載のセンサユニット。
【請求項12】
前記助成手段は、前記支持ベースに対し弾性的に保持された質量体を含み、前記検出信号の検出時における前記支持ベースの振動または変位に対して前記質量体の慣性により前記振動または変位が抑制されることで前記センサの前記検出信号が増幅されるようにした助成手段である
ことを特徴とする請求項11記載のセンサユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図6】
【公開番号】特開2008−241763(P2008−241763A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78040(P2007−78040)
【出願日】平成19年3月25日(2007.3.25)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月25日(2007.3.25)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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