説明

潜熱蓄熱材を用いたマイクロカプセルの製造方法

水100重量%に対して界面活性剤0.1〜10重量%が溶解した溶液に潜熱蓄熱材3〜50重量%を添加した後、1次モノマーを前記潜熱蓄熱材の重量対比10〜40重量%を添加して乳化させ、前記乳化した混合物に開始剤0.005〜1.0重量%を添加して重合反応させる1次カプセル化段階と、前記潜熱蓄熱材が1次にカプセル化された溶液に2次モノマーを前記潜熱蓄熱材の重量対比20〜50重量%で添加し、アルデヒド基またはジイソシアネート基を含有する化合物を前記2次モノマーの重量対比30〜500重量%添加して架橋結合させる2次カプセル化段階とを含む、潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法を開示する。本発明によれば、潜熱蓄熱材を保護するカプセルを二重に構成することにより、カプセルの内部に存在する潜熱蓄熱材が外部に漏れないうえ、緻密な構造を持っており、製造される粒子をマイクロメートル以下のサイズに製造することができるため、高い熱伝導度による高い熱応答性を提供するという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潜熱蓄熱材(Phase Change Material、PCM)を含有したマイクロカプセルの製造方法に係り、さらに詳しくは、モノマーの重合反応を用いて有機化合物系潜熱蓄熱材を1次にカプセル化した後、モノマーを再び用いて、前記1次にカプセル化された潜熱蓄熱材を2次にカプセル化する、潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油と石炭が持続的に枯渇するにつれて、世界各国ではエネルギーの枯渇問題を解決するために多くの努力を傾注してきており、このようなエネルギー問題を解決するための新しいエネルギー源に関する研究が盛んに行われている。ところが、それに先たち、同一のエネルギー量で高いエネルギー効率が発生するようにする研究が切実に求められている実情である。
【0003】
このようなエネルギーの効率的な利用のためには、エネルギー変換装置の効率化、エネルギー蓄積およびエネルギー伝達方法などの開発が必要である。特にエネルギーの供給と消費の時間的、場所的不一致を解消するために、エネルギーを蓄積する方法の開発が強く求められており、その方法は、運動エネルギーと位置エネルギーを利用する機械的蓄積方法と、化学物質の形でエネルギーを蓄積する化学的蓄積方法と、熱エネルギーをエネルギーの形態変化なしに顕熱および潜熱を利用した蓄積方法に分けられる。
【0004】
一方、エネルギー効率の極大化のためには、高い熱容量を持つ新しい伝熱媒体を添加する方法が効果的であるといえるが、このような伝熱媒体に対する研究が持続的に行われてきて、最近では潜熱蓄熱材を利用した潜熱蓄熱法に多くの研究が集中している。
ここで、前記潜熱蓄熱材とは、特定の温度で温度の変化なしに相が変わりながら多量の熱を吸収または放出する物質であって、通常、潜熱蓄熱材または相変化物質と呼ばれる。前記吸収および放出熱を潜熱という。
【0005】
このような潜熱を利用して熱エネルギーを蓄積する方法である潜熱蓄熱法は、顕熱を利用して熱エネルギーを蓄積する方法より、単位体積当たりまたは単位重量当たりさらに多くの熱を蓄積することができる。
【0006】
一方、前記潜熱蓄熱材として用いられる物質は、有機化合物と無機塩水和物に大別されるが、前記無機塩水和物は、過冷却が激しく、相分離現象が発生して長期間使用の際に潜熱蓄熱材の性能が低下するなどの問題点があり、パラフィン系炭化水素を含む有機化合物は、前記無機塩水和物より高価であり、熱伝導度が低くて様々な融点を選択することが難しいという問題点があるが、過冷却現象が発生しないという利点がある。
【0007】
前述した潜熱蓄熱材は、建築物の冷・暖房システムおよび保温・保冷繊維などを始めとした様々な分野に適用されて使用できるが、このためには、前記潜熱蓄熱材をカプセル化することが先行されるべきである。
【0008】
前記潜熱蓄熱材をカプセル化する一例として、韓国特許公開第2003−0018155号には、界面活性剤を用いたエマルジョン法によって微細粒子を製造した後、モノマーを重合反応させてマイクロカプセル化する方法、およびタンゼントスプレーコーターを用いて微細粒子をマイクロカプセル化する方法が開示されており、韓国特許公開第2002−0056785号には、シングルコア形の潜熱蓄熱材の内部に過冷却を防止するために造核剤を含ませたマイクロカプセルが開示されているが、これらは、前記潜熱蓄熱材に物理的な力または熱的損傷が加えられる場合にカプセルの一部が破損し、これにより、固体から液体への相変化が起こるとき、内部に存在するコア物質である相変化物質が外部に流出するという問題点などがある。
【0009】
また、韓国特許登録第008262号および第0284192号には、溶融した潜熱蓄熱材を低温の液体に滴下して固形化させた後、高分子をコートする方法が開示されているが、これは、その製造工程が複雑であり、製造される潜熱蓄熱材を含有するカプセルの直径が0.1〜11mmなので、マイクロメートル単位のマイクロカプセルを製造するには適しないという問題点がある。
【0010】
また、韓国特許登録第0263361号および第0272616号には、尿素およびメラミンなどを用いて界面重合、インサイチュ(in-situ)重合またはコアセルベーション(coacervation)方法によってパラフィンをカプセル化する方法が開示されているが、この方法も、カプセルが数〜数十マイクロメートルに製造できるが、製造されるカプセルの粒子サイズが一定でないという問題点がある。
【0011】
また、韓国特許公開第2002−0078220号および第2003−0072429号には、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラアミンおよびメラミン溶液のうちいずれか一つの化合物を用いてパラフィンをカプセル化することにより、直径0.9μmのマイクロカプセルを製造する方法が開示されているが、これは、多量の非極性有機溶媒を使用するという問題点がある。
【0012】
また、米国特許第5,290,904号には、パラフィン族炭化水素を含有するマイクロカプセルの製造方法が開示されているが、これは、耐久性、水蒸気透過性および弾性などの物理的特性が脆弱であるという問題点がある。国際特許公開WO01/54809号には、メタクリル酸とアルキルエステルメタクリル酸を用いてパラフィン系炭化水素をカプセル化する方法が開示されているが、これは、高温でアクリル高分子の熱的物性が減少するという問題点などがある。
【0013】
しかし、前述した方法らは、カプセル内の潜熱蓄熱材のカプセル化効率が低いことや、固体から液体への相変化が起こる場合または高温、有機溶媒などと接触した場合、内部に存在する潜熱蓄熱材が外部に流出することという問題点があり、カプセルの大きさが大きくて様々な分野に適用し難いという問題点などもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前述した問題点を解決するためのもので、その目的は、重合反応を利用して有機化合物系潜熱蓄熱材をアクリル系樹脂で1次にカプセル化した後、前記1次にカプセル化された潜熱蓄熱材をメラミン樹脂または尿素樹脂で2次にカプセル化した、潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、本発明の潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法は、水100重量%に対して界面活性剤0.1〜10重量%が溶解した溶液に潜熱蓄熱材3〜50重量%を添加した後、1次モノマーを前記潜熱蓄熱材の重量対比10〜40重量%を添加して乳化させ、前記乳化した混合物に開始剤0.005〜1.0重量%を添加して重合反応させる1次カプセル化段階と、潜熱蓄熱材が1次にカプセル化された溶液に2次モノマーを潜熱蓄熱材の重量対比20〜50重量%で添加し、アルデヒド基またはジイソシアネート基を含有する化合物を前記2次モノマーの重量対比30〜500重量%添加して架橋結合させる2次カプセル化段階とを含む、ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、潜熱蓄熱材を保護するカプセルを二重に構成することにより、カプセルの内部に存在する潜熱蓄熱材が外部に漏れないうえ、緻密な構造を持っており、製造される粒子をマイクロメートル以下のサイズに製造することができるため、高い熱伝導度により高い熱応答性を提供するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、水100重量%に対して界面活性剤0.1〜10重量%が溶解した溶液に潜熱蓄熱材3〜50重量%を添加した後、1次モノマーを前記潜熱蓄熱材の重量対比10〜40重量%を添加して乳化させ、前記乳化した混合物に開始剤0.005〜1.0重量%を添加して重合反応させる1次カプセル化段階と、前記潜熱蓄熱材が1次にカプセル化された溶液に2次モノマーを前記潜熱蓄熱材の重量対比20〜50重量%で添加し、アルデヒド基またはジイソシアネート基を含有する化合物を前記2次モノマーの重量対比30〜500重量%添加して架橋結合させる2次カプセル化段階とを含む、潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法を提供する。
【0018】
伝統的にエネルギーを蓄積する方法としてはいろいろの方法が知られているが、最も広く用いられている方法は、エネルギーを熱の形にして蓄積した後、熱の形で回収して使用する蓄熱方法である。蓄熱方式によって、蓄積媒体の熱容量を利用する顕熱蓄積方法と、蓄積媒体の潜熱を利用する潜熱蓄熱方法に区分される。潜熱蓄熱方法は、顕熱蓄積方法に比べて単位体積および単位重量当たりのエネルギー蓄積容量が大きいため、盛んに研究が行われており、必要な温度範囲に応じてその温度区間で相変化が起こる潜熱蓄熱材を開発して使用している。
【0019】
特に、固体と液体間の相変化では、比較的少ない量の体積変化を伴って相変化が起こるので、限定された空間で内部圧力に大きい変化なしに潜熱の出入りが可能であって、蓄熱が要求される特定の温度範囲で相変化を起こし得るように適正の相変化温度を持ちながらも潜熱量が大きい物質を選択することが要求される。
【0020】
したがって、本発明に係る潜熱蓄熱材としては、潜熱量が高く、熱的/機械的物性に優れた物質であればいずれのものを使用しても構わないが、好ましくは有機化合物系物質を使用することがよく、特に好ましくは炭素数10〜36個のパラフィン系飽和炭化水素、ポリエチレングリコール、溶融点−30〜80℃の範囲を持つ有機化合物系オイル、またはワックスを単独でまたは2つ以上混合して使用することがよい。
【0021】
ここで、前記潜熱蓄熱材は、純水な単一物質を単独で使用することが可能であるが、純粋な単一物質を使用する場合に狭い温度範囲で相変化を起すので、前記潜熱蓄熱材を2種以上、さらに好ましくは2〜3種を混合して共融混合物を形成し、或いは水和の度合いを調節して広い温度範囲で高い熱量の出入りを伴う相変化が可能な潜熱蓄熱材を製造することができる。
【0022】
一方、前記潜熱蓄熱材として用いられる物質は、単位質量当たりの潜熱の大きさが大きければ大きいほど良いが、容易に製造することが可能な物質の場合、殆ど100〜250J/gのエネルギーを持っており、一部物質の場合、溶融点以下に温度が下がっても相変化が発生せず潜熱も放出しない過冷却現象が発生するおそれがあるので、このような過冷却現象を防止するために造核剤を加えて使用することができる。
【0023】
ここで、造核剤は、潜熱蓄熱材の結晶と比較して原子の配列または格子の大きさが類似な物質が主に使用されるが、これを結晶核として使用すると、潜熱蓄熱材の結晶化が促進されるので、過冷却現象を抑制することができる。
【0024】
本発明に係る潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルは、前記潜熱蓄熱材の外周面に2つの層が順次コートされてカプセル化されるところ、前記潜熱蓄熱材をマイクロカプセル化する高分子物質としては、アクリル樹脂、メラミン樹脂および/または尿素樹脂などが使用できる。好ましくは、前記潜熱蓄熱材の外周面にアクリル樹脂で1次にコートしてカプセル化した後、そのアクリル樹脂の外周面にメラミンまたは尿素樹脂で2次にコートしてカプセル化することにより、本発明に係る潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルを製造する。
【0025】
したがって、本発明では、前記1次カプセル層を形成するモノマーを「1次モノマー」と呼び、前記2次カプセル層を形成するモノマーを「2次モノマー」と呼ぶ。
【0026】
本発明に係る1次モノマーは、重合反応によって前記潜熱蓄熱材を1次にカプセル化して樹脂層を形成させる物質であって、アクリル基を含むモノマー、例えばアクリルモノマー化合物であればいずれのものを使用しても構わないが、好ましくはメタクリル酸0〜80重量%、エステル化アクリル酸20〜100重量%、および不飽和エチレンモノマー0〜30重量%を含む化合物を使用することがよく、その使用量は潜熱蓄熱材の重量対比、すなわち潜熱蓄熱材の100重量%に対して10〜40重量%とすることができる。
【0027】
ここで、前記不飽和エチレンモノマーとして使用可能な物質には、例えばスチレン(styrene)、ビニルアセテート(vinyl acetate)、エチレングリコールジメタクリレート(ethylenen glycol dimethacrylate)、ジビニルベンゼン(divinylbenzene)、またはブタンジオールジメタクリレート(butanediol dimethacrylate)などの架橋結合モノマーなどがある。
【0028】
本発明に係る2次モノマーは、重合反応によって、前記1次にカプセル化された樹脂層の外周面を2次にカプセル化して樹脂層を形成させるための物質であって、使用可能な物質としては、メラミンモノマーおよび/または尿素モノマー、例えばメラミン、ジエチルペントリアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラアミン、またはこれらの混合物があり、その使用量は、潜熱蓄熱材の重量対比20〜50重量%とすることができる。
【0029】
本発明に係る界面活性剤は、潜熱蓄熱材を微細粒子に形成させるためのものであって、当業界で通常用いられる界面活性剤であればいずれのものを使用しても構わないが、好ましくは、ポリビニルアルコール、SLS(sodium lauryl sulfate)、ヒドロキシエチルセルロースなどを単独でまたは混合して使用し、或いはポリエチレンソルビタンモノオレエート(polyoxyethylene sorbitan monooleate)、ポリエチレンソルビタンモノステアレート(polyoxyethylenesorbitan monostearate)、ポリエチレンソルビタンモノパルミテート(polyoxyethylene sorbitan monopalmitate)およびポリエチレンソルビタンモノラウレート(polyoxyethylenesorbitan monolaurate)などをソルビタンモノラウレート(sorbitan monolaurate)、ソルビタンモノパルミテート(sorbitan monopalmitate)、ソルビタンモノステアレート(sorbitanmonostearate)およびソルビタンモノオレエート(sorbitanmonooleate)と混合して使用することができ、その使用量によって潜熱蓄熱材の粒子サイズが決定されるが、好ましい使用量は水100重量%に対して0.1〜10重量%である。
【0030】
本発明に係る開始剤は、重合反応を開示するための物質であって、当業界で通常用いられる開始剤であればいずれのものを使用しても構わないが、好ましくは、亜硫酸ナトリウム(sodium sulfite)、二酸化硫黄(sulphur dioxide)または過硫酸アンモニウム(ammonium persulphate)などを使用することがよく、その使用量は水100重量%に対して0.005〜1.0重量%とすることができる。
【0031】
本発明に係るアルデヒド基またはジイソシアネート基を含有する化合物は、前記2次モノマーの重合反応に関与する物質であって、その使用量は、前記2次モノマーの重量対比30〜500重量%を使用することができ、前記アルデヒド基を含有する化合物のアルデヒド基はアミン基と反応を行うところ、例えばホルムアルデヒドの場合、メラミンなどに含まれた2つのアミン基と酸触媒下で縮合反応して高分子を生成させ、ジイソシアネート基を含有する化合物のイソシアネートは、ヒドロキシ基と結合して−NHCOO−の構造を持つ化合物を生成させる。
【0032】
また、前記イソシアネート基はアミン基とも結合することができるので、ジイソシアネート内の2つのイソシアネートは、ヒドロキシ基を有するアルコール類、またはアミン基を有する化合物と結合して高分子を製造する。
【0033】
ここで、前記アルデヒド基を含有する化合物として使用可能な代表的な物質には、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはこれらの混合物などがあり、前記ジイソシアネート基を含有する化合物として使用可能な代表的な物質には、トルエン−2,4−ジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート、ヘキシルジイソシアネート、水素化されたビフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネート、またはこれらの混合物がある。
【0034】
本発明に係る潜熱蓄熱材をカプセル化してマイクロカプセルに製造するにあっては、一般なマイクロカプセル化(microcapsulation)方法であればいずれのものを使用しても構わない。ところが、本発明では、潜熱蓄熱材を水溶液上で乳化過程を経て分散させ、オイルの表面で高分子を重合する原理によって製造し、その重合方法としては界面重合、インサイチュ(In-situ)重合およびコアセルベーション方法を使用することができる。しかし、本発明に係る潜熱蓄熱材をカプセル化する方法は、界面張力の差異を利用して製造することが良い。
【0035】
次に、本発明に係る潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法について説明する。
【0036】
まず、水100重量%に対して界面活性剤0.1〜10重量%が溶解した水溶液を60〜90℃に保たせる。
その後、前記水100重量%に対して3〜50重量%の潜熱蓄熱材および前記潜熱蓄熱材の重量対比10〜40重量%の1次モノマーであるアクリルモノマー化合物を加えて乳化させ、前記乳化した混合物に開始剤0.005〜1.0重量%を加えて重合反応させることにより、前記潜熱蓄熱材を1次にカプセル化する。
【0037】
ここで、前記重合時間は、使用される1次モノマーの量、重合温度および開始剤の量によって異なるが、好ましくは重合率が30〜95%の範囲となるように重合時間を調節する。
【0038】
その後、前記重合反応によって生成されたエマルジョンに、2次モノマーであるメラミンまたは尿素モノマーを前記潜熱蓄熱材の重量対比20〜50重量%で添加し、アルデヒド基またはジイソシアネート基を含有する化合物を前記2次モノマーの重量対比30〜500重量%を添加して架橋結合を形成させることにより、2次にカプセル化する。
【0039】
ここで、前記2次モノマーの使用量が前記潜熱蓄熱材の重量対比20重量%より低い場合、製造されるマイクロカプセルが完全にはカプセル化されないところ、前記完全にはマイクロカプセル化されていないマイクロカプセルを、加熱し、或いは潜熱蓄熱材が溶解できる溶媒と接触させる場合、前記完全にはマイクロカプセル化されていないマイクロカプセルの内部に備えられた潜熱蓄熱材が外部に漏れる現象が発生するおそれがあり、前記2次モノマーの使用量が前記潜熱蓄熱材の重量対比50重量%を超過する場合、製造されるマイクロカプセル内に存在する潜熱蓄熱材の含量が低いため、熱を吸収または蓄積することが可能な熱容量が減少する現象が発生するおそれがある。
【0040】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。ところが、下記実施例は、単に本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
[実施例1]
80℃のポリビニルアルコール(Sigma−Aldrich社、米国)1.0重量%水溶液300mLにオクタデカン(Sigma−Aldrich社、米国)30g、メタクリル酸(関東化学、日本)3g、メチルメタクリル酸(Sigma−Aldrich社、米国)3g、エチレングリコールジメタクリレート(Sigma−Aldrich社、米国)0.2gを反応器に入れた後、混合して乳化させた。
【0042】
その後、前記混合物に二硫酸ナトリウム(関東化学、日本)0.1gを加えて300rpmで攪拌し、約2時間重合反応させて1次にカプセル化した。
次いで、前記重合反応済みの溶液にメラミン(純正化学、日本)10gと37%ホルムアルデヒド溶液15mLを加えて約5時間重合反応させてカプセル化することにより、潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルを製造した。
【0043】
その結果、製造された潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの平均直径が0.2μmであり、前記製造された潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルを一定量のn−へキサンで抽出させて前後の重量を測定した結果と熱量分析器の分析によって、潜熱蓄熱材であるオクタデカンの98重量%以上がカプセル化されたことが分かった。
【0044】
以上説明したように、本発明の属する技術分野における当業者であれば、本発明の技術的思想または必須的特徴を変更することなく他の具体的な形で実施し得ることを理解できるであろう。したがって、上述した実施例らは、単にすべての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解される。本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは特許請求の範囲の意味、範囲およびその等価概念から導出されるすべての変更または変形の形態をも含むと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルは、前記潜熱蓄熱材を保護するカプセルを二重に構成することにより、カプセルの内部に存在する潜熱蓄熱材が外部に漏れないうえ、緻密な構造を持っており、製造される粒子をマイクロメートル以下のサイズに製造することができるため、高い熱伝導度により高い熱応答性を提供するという効果がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水100重量%に対して界面活性剤0.1〜10重量%が溶解した溶液に潜熱蓄熱材3〜50重量%を添加した後、1次モノマーを前記潜熱蓄熱材の重量対比10〜40重量%を添加して乳化させ、前記乳化した混合物に開始剤0.005〜1.0重量%を添加して重合反応させる1次カプセル化段階と、
前記潜熱蓄熱材が1次にカプセル化された溶液に2次モノマーを前記潜熱蓄熱材の重量対比20〜50重量%で添加し、アルデヒド基またはジイソシアネート基を含有する化合物を前記2次モノマーの重量対比30〜500重量%添加して架橋結合させる2次カプセル化段階とを含む、潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法。
【請求項2】
前記水100重量%に対して界面活性剤0.1〜10重量%が溶解した溶液の温度が、60〜90℃であることを特徴とする、請求項1に記載の潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法。
【請求項3】
前記潜熱蓄熱材として、炭素数10〜36個のパラフィン系飽和炭化水素、ポリエチレングリコール、溶融点−30〜80℃の範囲を持つ有機化合物系オイル、またはワックスを単独でまたは2つ以上混合して使用することを特徴とする、請求項1に記載の潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法。
【請求項4】
前記1次モノマーが、メタクリル酸0〜80重量%、エステル化されたアクリル酸20〜100重量%、および不飽和エチレン化合物0〜30重量%から構成されたものを含むことを特徴とする、請求項1に記載の潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法。
【請求項5】
前記2次モノマーが、メラミン樹脂、尿素樹脂、またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法。
【請求項6】
アルデヒド基を含有する化合物が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法。
【請求項7】
ジイソシアネート基を含有する化合物が、トルエン−2,4−ジイソシアネート、メチレンジフェニルイソシアネート、ヘキシルジイソシアネート、水素化されたビフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリイソシアネート、ポリイソシアネート、またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の潜熱蓄熱材含有マイクロカプセルの製造方法。

【公表番号】特表2008−507605(P2008−507605A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522430(P2007−522430)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/KR2005/002371
【国際公開番号】WO2006/009406
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(507022754)イーエヌイーティ カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ENET CO., Ltd
【出願人】(507022765)
【氏名又は名称原語表記】OH, Joon−Taek
【Fターム(参考)】