説明

潤滑剤塗布装置及びこれを搭載した画像形成装置

【課題】塗布部材と固形潤滑部材とを常時接触させない潤滑剤塗布装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供する。
【解決手段】トナー画像を有する像担持体の画像形成面(30)に対して圧接及び離間可能に構成されており、画像形成面に潤滑剤を塗布する塗布部材(48)と、塗布部材に対して接離可能に構成されており、塗布部材を介して画像形成面の潤滑性を付与する固形潤滑部材(66)とを具備し、塗布部材を画像形成面に圧接させた場合には、固形潤滑部材を塗布部材から離間させる一方、塗布部材を画像形成面から離間させた場合には、固形潤滑部材を塗布部材に接触させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンタ、ファクシミリ等に代表される画像形成装置に用いられる潤滑剤塗布装置及びこれを搭載した画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の画像形成装置内には像担持体が設けられ、その画像形成面に形成されたトナー画像を媒体に転写する。そして、転写後に画像形成面をクリーニングし、残留したトナーを除去するとともに、この画像形成面に潤滑剤を付与する技術が知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
詳しくは、この技術ではブラシが画像形成面に対して接離可能に設けられており、このブラシの背面側には固形の潤滑剤が設置されている。そして、この潤滑剤はブラシを介して画像形成面に塗布され、画像形成面の表面摩擦係数を低く抑えている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−271142号公報
【特許文献2】特開平7−271262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術では、ブラシが画像形成面に接触している場合の他、ブラシが画像形成面から離間している場合であっても、ブラシと固形の潤滑剤とが接触状態にあり、これでは種々の問題がある。
詳しくは、ブラシと潤滑剤とが常時接触していることから、例えばブラシが回転している場合には、潤滑剤が必要以上に掻き取られて潤滑剤の消耗が非常に大きくなる。一方、ブラシが停止している場合には、ブラシには常に潤滑剤からの負荷が加わることになり、ブラシのクリープ変形が生ずるからである。
【0006】
このように、上記従来の技術では、ブラシと潤滑剤とを必要な場合にのみ接触させる点については格別な配慮がなされていない。
また、この問題を解決するにあたり、潤滑剤の粒径にも留意する必要がある。大小種々の粒径の潤滑剤が画像形成面に塗布された場合には、画像形成面の均一化に影響を及ぼすからである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消し、ブラシと固形の潤滑剤とを常時接触させない潤滑剤塗布装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための第1の発明は、トナー画像を有する像担持体の画像形成面に対して圧接及び離間可能に構成されており、画像形成面に潤滑剤を塗布する塗布部材と、塗布部材に対して接離可能に構成されており、塗布部材を介して画像形成面の潤滑性を付与する固形潤滑部材とを具備し、塗布部材を画像形成面に圧接させた場合には、固形潤滑部材を塗布部材から離間させる一方、塗布部材を画像形成面から離間させた場合には、固形潤滑部材を塗布部材に接触させる。
【0009】
第1の発明によれば、像担持体の画像形成面には、塗布部材を介して固形潤滑部材による潤滑性が付与されている。ここで、塗布部材が像担持体から離間している場合のみ、固形潤滑部材と塗布部材とが接触する。すなわち、塗布部材を画像形成面から離間させた場合には、固形潤滑部材を塗布部材に接触させ、潤滑剤を画像形成面に供給させない。一方、塗布部材を画像形成面に圧接させた場合には、固形潤滑部材を塗布部材から離間させており、潤滑剤を画像形成面に供給させる。よって、固形潤滑部材と塗布部材とが常時接触される場合に比して、固形潤滑部材の消耗が少なくなる結果、塗布装置の小型化や製造コストの低廉化が達成可能になるとともに、塗布装置の長寿命化も達成可能になる。
しかも、塗布部材を画像形成面に圧接させた場合に、固形潤滑部材と塗布部材とを接触させる場合に比して、この潤滑剤がその粒径のまま画像形成面に塗布されないことから、良好な画像形成面を得ることができる。
【0010】
第2の発明では、第1の発明の構成において、塗布部材を画像形成面に対して圧接及び離間させる塗布部材作動機構をさらに具備し、塗布部材は、画像形成面をクリーニングする機能を兼ねており、画像形成面をクリーニングする場合には、塗布部材を画像形成面に接触させる一方、画像形成面に形成されるトナー画像を媒体に転写する場合には、塗布部材を画像形成面から離間させることを特徴とする。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、塗布部材が画像形成面から離間している場合にのみ、固形潤滑部材が塗布部材に接触することから、その粒径を確実に選定した後の潤滑剤が画像形成面に塗布可能になる。
【0011】
第3の発明は、第1や第2の発明の構成において、画像形成面に対峙した開口部を有し、その内部にする塗布部材及び固形潤滑部材を配設するハウジングをさらに具備し、塗布部材は、開口部にて画像形成面に対して圧接及び離間可能に構成されており、固形潤滑部材は、開口部とは反対側の塗布部材の背面に配置されていることを特徴とする。
第3の発明によれば、第1や第2の発明の作用に加えてさらに、塗布部材や固形潤滑部材はハウジング内に配設されており、固形潤滑部材は塗布部材の背面側にて開口部から離れて配置されている。よって、固形潤滑部材の配置空間を確保すれば、現有の塗布装置を大きく変更することなく、固形潤滑部材の設置が可能になることから、この点も塗布装置の小型化等に寄与する。
【0012】
第4の発明は、第1から第3の潤滑剤塗布装置を搭載した画像形成装置であることを特徴とする。
第4の発明によれば、第1から第3の発明の作用に加えてさらに、画像形成面に選定された潤滑剤が塗布され、良好な画像が得られる結果、画像形成装置の信頼性向上に寄与する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、塗布装置の小型化、製造コストの低廉化や長寿命化を達成可能な潤滑剤塗布装置及びこれを搭載した画像形成装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本実施例におけるプリンタ1の概略構成図であり、同図の右側がプリンタ1の正面に対応し、左側が背面に対応している。
装置本体2内には感光体ドラム4を有する画像形成部3が内蔵されている。このドラム4の外周面には例えばアモルファスシリコンの感光体層が形成されており、ドラム4は同図の反時計方向に回転し、その外周面にて静電潜像の形成やトナーによる現像、トナー画像の1次転写との一連の動作が行われる。
【0015】
具体的には、ドラム4の周囲には、その上方位置に近接して帯電器6が設けられており、この帯電器6によってドラム4の外周面が帯電される。そして、ドラム4が帯電された状態にて、その外周面に向けてレーザースキャニングユニット8から走査光が照射される。
このユニット8は、例えばポリゴンミラーを高速回転させながらレーザ光を反射させ、ドラム4の軸線方向に走査されたレーザ光を平面鏡で反射してドラム4の外周面を露光する。これにより、ドラム4の外周面上に静電潜像が形成される。
【0016】
また、ドラム4の回転方向でみて、走査光の照射位置よりも下流には現像ユニット10が配置されている。詳しくは、このユニット10はドラム4の外周面に近接して配設されており、4色(例えばマゼンタ、シアン、イエロー、ブラック)の各トナーを用いてロータリー方式により静電潜像を現像する。つまり、ユニット10もまた回転可能に構成され、その回転方向でみて各色別に区分された4つの現像器10a,10b,10c,10dを有している。
【0017】
これら各現像器10a〜10d内にはトナーがそれぞれ収容されており、また、各現像器10a〜10dには、その外周面にトナーを担持しながら回転する現像ローラ11a〜11dが配設されている。さらに、プリンタ1の正面側の適宜位置にはトナーコンテナ9が内蔵されており、各現像器10a〜10dには補給パイプ13を通じて各色別のトナーが補給される。
【0018】
このユニット10では、その回転に伴い、現像すべき色に対応する現像器10a〜10dのいずれかをドラム4の外周面に臨ませた状態で停止させる。一方、各現像器10a〜10dでは、各現像ローラ11a〜11dがその外周面にトナー薄層を担持しながらそれぞれ回転しており、各ローラ11a〜11dにはAC成分及びDC成分からなる現像バイアス電圧が印加される。これにより、各ローラ11a〜11dに担持されたトナーはドラム4の静電潜像に向けて移行し、この静電潜像が色別のトナーで現像される。
【0019】
また、ドラム4の周囲には、その外周面に沿って摺擦部材14及び清掃部材16が配置されている。具体的には、摺擦部材14及び清掃部材16は、ドラム4の回転方向でみて帯電器6の上流にそれぞれ配設されている。そして、摺擦部材14は、トナー画像が1次転写された後のドラム4の外周面を研磨し、その感光体層に付着する酸化生成物を除去している。これに対し、清掃部材16は、ドラム4の外周面に残留したトナーを除去し、次の画像形成前にその外周面をクリーニングしている。
【0020】
一方、ドラム4及びトナーコンテナ9の下方には中間転写ユニット7が配置されている。このユニット7は無端状の中間転写ベルト(像担持体)12を備えており、その表面(画像形成面)はドラム4の外周面に近接して配置される。なお、ベルト12には、例えば誘電体樹脂製のシート材の両端部を互いに重ね合わせて接合したベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが用いられている。
【0021】
このベルト12は、駆動ローラ18aとテンションローラ12aとの間に掛け回されており、これら各ローラの間にはドラム4との1次転写位置が設けられている。詳しくは、ローラ18aは、ベルト12の周回方向でみて1次転写位置よりも上流に配置され、ローラ12aは下流に配置されている。後者のローラ12aには、例えば図示しないスプリングの反発力でベルト12に向けて適度なテンションがかけられている。
【0022】
そして、ベルト12はドラム4の回転に同期しつつ、その外周面に接する位置を通過して周方向に走行しており、ドラム4に形成されたトナー画像はその外周面からベルト12の表面に1次転写される。
駆動ローラ18aの近傍には転写部18が形成されている。転写部18はローラ18bを有している。このローラ18bは、ベルト12を挟んでローラ18aと対になって回転しており、ベルト12とローラ18bとの間には転写ニップが形成されている。
【0023】
ここで、同図には用紙の搬送方向が矢印で示されている。装置本体2の下部には用紙カセット24が配置され、カセット24内には用紙が積層した状態で収容されている。用紙搬送方向でみてカセット24の下流側には、給紙ローラ26、レジストローラ28、転写部18及び定着部20が順に配置され、用紙が転写部18を通過すると、1ページ単位のフルカラートナー画像がベルト12から用紙に2次転写される。
【0024】
この用紙の片面にのみ画像を形成させる場合には、定着部20を通過した用紙は排出ローラ21を介して排出トレイ22に排出される。一方、この用紙の両面に画像を形成させる場合には、定着部20を通過した用紙は、逆転させた排出ローラ21を介して用紙反転通路23内に引き戻される。この通路23の一端は給紙ローラ26とレジストローラ28との間に連通されており、通路23内の用紙は転写部18に向けて再び搬送される。
【0025】
ところで、本実施例の転写部18の近傍には、クリーニングユニット(潤滑剤塗布装置)40が設置されている。
具体的には、当該ユニット40は、中間転写ユニット7の駆動ローラ18aに対峙して配設されており、ベルト12上のトナー画像が用紙に2次転写された後に、このベルト12に付着している残留トナー等が除去される。
【0026】
より詳しくは、装置本体2の外装カバー等を省略した図2や図3に示される如く、当該外装カバーを開放してトナーコンテナ9を取り外すと、中間転写ユニット7が外部に露出される。この状態において、ユーザが例えば図示しないハンドル部を把持してユニット7を斜め右上方に引き揚げると、このユニット7とともにクリーニングユニット40も装置本体2から取り外される。
【0027】
中間転写ユニット7は、図4に示されるように、ベルト12を掛け回しているローラ12a,18aの各両端を回転自在にそれぞれ支持する支持部が備えられている。一方、クリーニングユニット40は、図5に示される如く、ローラ状のファーブラシ(塗布部材)48が内蔵されており、このブラシ48は、ローラ18aと対向する位置でベルト12と接触しながら回転可能に構成され、2次転写後の残留トナー等を電気的に除去している。
【0028】
具体的には、このクリーニングユニット40は、図6に示されるように、ベルト12に向けて開口する有底のハウジング42を備え、このハウジング42の開口部44がベルト12の表面である画像形成面30に対峙して形成されている。また、ハウジング42は開口部44から有底部分に向けて徐々に縮径され、その有底部分に回収スパイラル58が配置されている。
【0029】
上述したブラシ48は開口部44の近傍位置に配設されており、駆動ローラ18aの軸線に対して略平行に配設され、その軸50の両端がハウジング42の側面近傍に位置するプレート68に回転自在に支持されている(図8,9)。
本実施例では、ハウジング42内にスイープローラ52が設けられる。このローラ52はブラシ48の上方に配置されており、ブラシ48の軸線に対して略平行に配設され、その軸53の両端がプレート68に回転自在に支持されている。
【0030】
また、このスイープローラ52は電圧が印加可能に構成され、ブラシ48にも電圧が印加される。これにより、ローラ52はブラシ48に摩擦接触し、ブラシ48に付着した残留トナーを電気的に吸着する。
一方、このローラ52の軸53とブラシ48の軸50とは、ねじりバネ69にて係合されており(図9)、当該バネ69はブラシ48を画像形成面30から離間させる方向に付勢している。
【0031】
再び図6に戻り、ブラシ48と回収スパイラル58との間には支持台56が配置され、この支持台56にはブレード54が設けられている。本実施例のブレード54はスイープローラ52に接触可能に配置されており、ローラ52の外周面に接触して吸着された残留トナーを掻き取っている。そして、掻き取られたトナーは回収スパイラル58に回収される。
【0032】
また、本実施例では、ブレード54の下方に固形潤滑部材66を有している。この潤滑部材66は直方体に形成され、ブラシ48の軸線に対して略平行に配設されており、ブラシ48の背面にて支持台56に保持されている。つまり、本実施例の潤滑部材66は、ブラシ48を挟んで開口部44とは反対側に配置されている。そして、例えばステアリン酸亜鉛を含み、ブラシ48に接触可能に構成されており、画像形成面30の潤滑性を付与する。
【0033】
ここで、上述したプレート68はブラシ作動機構(塗布部材作動機構)70に連結されている。具体的には、図7及び図8に示されるように、作動機構70はスイープローラ52の上方に配設された軸74を有し、この軸74の両端は、その一端がハウジング42の側面に回転自在に支持され、他端がプレート76の上側に嵌合されている。なお、当該軸74には押圧片が固定されており、押圧片がプレート68の上端側に当接可能に構成されている。
【0034】
一方、作動機構70はアーム78を有し、このアーム78はプレート76の重心よりも下側で回転自在に支持されている。そして、アーム78はソレノイド80に向けて延設されており、ソレノイド80は装置本体2に固定されている。
そして、画像形成面30がクリーニングされる場合には、図示しないコントローラからの信号によってソレノイド80が励磁され、アーム78がソレノイド80に向けて移動する。
【0035】
同時に、プレート76は、図9の状態から図8に示される如く時計回りに回動し、上記押圧片は、ねじりバネ69の付勢力に抗してプレート68を反時計回りに回動させる。これにより、ブラシ48はベルト12に向けて移動して画像形成面30に圧接し、画像形成面30の残留トナーはブラシ48に付着する。
次いで、ブラシ48に付着した残留トナーはスイープローラ52に吸着され、このローラ52に吸着した残留トナーはブレード54で掻き取られて回収される。なお、このブラシ48の移動に伴い、潤滑部材66の前端がブラシ48から離間する(図6)。
【0036】
これに対し、画像形成面30のトナー画像が用紙に2次転写される場合には、ソレノイド80が消磁され、ねじりバネ69の付勢力によってプレート68を時計回りに回動させる。これにより、ブラシ48は、上記回収スパイラル58に向けて移動し、画像形成面30から離間する。このブラシ48の移動に伴い、潤滑部材66の前端が稜線エッジではなく、面にてブラシ48に接触する(図10)。
【0037】
そして、上述のクリーニングユニット40を搭載したプリンタ1では、カセット24から用紙が1枚ずつ繰り出され、この用紙はレジストローラ28に到達する。このローラ28は、用紙を保持した状態で一旦停止し、そして、用紙の傾斜やスキューを補正しつつ、ベルト12の走行に同期したタイミングで用紙を転写部18に送出する。
【0038】
また、現像ユニット10の各ローラ11a〜11dに担持されたトナーはドラム4の静電潜像に向けて移行し、ドラム4の外周面上にトナー画像を形成する。このトナー画像はドラム4の外周面からベルト12の表面に1次転写され、合成される。続いて、このベルト12に転写合成された1ページ単位のフルカラートナー画像は転写部18にて用紙に2次転写される。その後、ベルト12の表面に残留したトナーはクリーニングユニット40で除去される。
【0039】
トナー画像が2次転写された用紙は、定着部20に向けて送られ、ヒートローラ20aと加圧ローラ20bとのニップを通過することによって加熱及び加圧され、トナー画像が定着される。次いで、定着部20からの用紙はトレイ22に排出される。
この片面印刷に対し、両面印刷を行う場合には、定着部20からの用紙はその一部分がトレイ22上に突出された後、ローラ21を逆回転させて用紙反転通路23内に引き戻される。この用紙はレジストローラ28を経て、転写部18に向けて再び送られる。そして、この場合には、用紙の未だ印刷がされていない方の面にトナー画像が2次転写される。
【0040】
以上のように、本発明は、固形潤滑部材66とブラシ48とを常時接触させず、これらは必要な場合にのみ接触させることに着目したものである。
そして、本実施例によれば、ベルト12の画像形成面30には、ブラシ48を介して固形潤滑部材66による潤滑性が付与されている。ここで、ブラシ48がベルト12から離間している場合のみ、潤滑部材66とブラシ48とが接触する。
【0041】
すなわち、ブラシ48を画像形成面30から離間させた場合には、潤滑部材66をブラシ48に接触させ、潤滑剤を画像形成面30に供給させない。一方、ブラシ48を画像形成面30に圧接させた場合には、潤滑部材66をブラシ48から離間させており、潤滑剤を画像形成面30に供給させる。よって、これら潤滑部材66とブラシ48とが常時接触される場合に比して、潤滑部材66の消耗が少なくなる。この結果、潤滑部材66が小型で済み、ユニット40の小型化や製造コストの低廉化が達成可能になるし、しかも、ブラシ48や潤滑部材66のメンテナンスがフリーになって、ユニット40の長寿命化も達成可能になる。
【0042】
しかも、ブラシ48を画像形成面30に圧接させた場合に、潤滑部材66とブラシ48とを接触させる場合に比して、この潤滑剤がその粒径のまま画像形成面30に塗布されないことから、例えば、潤滑剤の粒径のうち、大きな粒径のものはブラシ48の回転に伴って下方に落ち、小さな粒径のものだけが選定されて画像形成面30に塗布されて均一化される。よって、良好な画像形成面を得ることができる。
【0043】
また、ブラシ48が画像形成面30から離間している場合にのみ、潤滑部材66がブラシ48に接触することから、その粒径を確実に選定した後の潤滑剤が画像形成面に塗布可能になる。
さらに、作動機構70の他、潤滑部材66を別途作動させる機構を設けなくて良いので、この点もユニット40の小型化、製造コストの低廉化や長寿命化に寄与する。
【0044】
さらにまた、ブラシ48や潤滑部材66はハウジング42内に配設されており、潤滑部材66はブラシ48の背面側にて開口部44から離れて配置されている。よって、潤滑部材66の配置空間をハウジング42内に確保すれば、現有のクリーニングユニットを大きく変更することなく、固形潤滑部材の設置が可能になることから、この点もユニット40の小型化等に寄与する。
【0045】
また、仮に、潤滑部材66が軟らかい性質を有する潤滑剤であっても、ブラシ48から微小凝集体のまま画像形成面30に塗布されず、画像形成面30には選定された潤滑剤が塗布される。詳しくは、潤滑剤の硬度や粒径の各バラツキが回避され、最適な硬度や粒径の潤滑剤のみが画像形成面30に塗布される結果、良好な画像が得られてプリンタ1の信頼性向上に寄与する。
【0046】
本発明は、上記実施例に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。
例えば、上記実施例では、ブレード54がスイープローラ52に接触しているが、このローラ52を有しない場合には、ブレードはブラシ48を直接に接触しても良く、また、ブラシ48の態様もファーブラシに限定されるものではない。
【0047】
また、上記実施例では画像形成装置として中間転写ベルトを有するプリンタ1に具現化した例を示しているが、本発明のクリーニング装置は、当該ベルトを有しないプリンタ、すなわち、残留トナーを有する感光体ドラムの画像形成面をクリーニングする装置であっても良く、また、複合機、複写機やファクシミリ等にも当然に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施例におけるプリンタの概略構成図である。
【図2】図1の装置本体に中間転写ユニットを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図3】図1の装置本体から中間転写ユニット及びクリーニングユニットを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図1の中間転写ユニットの斜視図である。
【図5】図1のクリーニングユニットの斜視図である。
【図6】図5のクリーニングユニットの断面図である。
【図7】図5のクリーニングユニットの斜視図である。
【図8】図7の拡大図であり、圧接動作を説明する図である。
【図9】図7のユニットにおける離間動作を説明する図である。
【図10】図9のユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1 プリンタ(画像形成装置)
7 中間転写ユニット
12 中間転写ベルト(像担持体)
30 画像形成面
40 クリーニングユニット(潤滑剤塗布装置)
42 ハウジング
44 開口部
48 ブラシ(塗布部材)
66 固形潤滑部材
70 ブラシ作動機構(塗布部材作動機構)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー画像を有する像担持体の画像形成面に対して圧接及び離間可能に構成されており、該画像形成面に潤滑剤を塗布する塗布部材と、
該塗布部材に対して接離可能に構成されており、該塗布部材を介して前記画像形成面の潤滑性を付与する固形潤滑部材とを具備し、
前記塗布部材を前記画像形成面に圧接させた場合には、前記固形潤滑部材を前記塗布部材から離間させる一方、前記塗布部材を前記画像形成面から離間させた場合には、前記固形潤滑部材を前記塗布部材に接触させることを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項2】
請求項1に記載の潤滑剤塗布装置であって、
前記塗布部材を前記画像形成面に対して圧接及び離間させる塗布部材作動機構をさらに具備し、
前記塗布部材は、前記画像形成面をクリーニングする機能を兼ねており、
前記画像形成面をクリーニングする場合には、前記塗布部材を前記画像形成面に接触させる一方、前記画像形成面に形成されるトナー画像を媒体に転写する場合には、前記塗布部材を前記画像形成面から離間させることを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の潤滑剤塗布装置であって、
前記画像形成面に対峙した開口部を有し、その内部にする前記塗布部材及び前記固形潤滑部材を配設するハウジングをさらに具備し、
前記塗布部材は、前記開口部にて前記画像形成面に対して圧接及び離間可能に構成されており、前記固形潤滑部材は、前記開口部とは反対側の前記塗布部材の背面に配置されていることを特徴とする潤滑剤塗布装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の潤滑剤塗布装置を搭載したことを特徴とする画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−310183(P2008−310183A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−159328(P2007−159328)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】