説明

潤滑油及び潤滑方法

本発明は、特定の(A)脂肪族飽和モノカルボン酸、(B)脂肪族直鎖状二塩基酸、(C)脂肪族二価アルコールを、反応開始時の(A)成分と(B)成分の比率を(A):(B)=98:2〜40:60(当量比)に調整してエステル化することにより得られ、全酸価0.1mgKOH/g以下、水酸基価50mgKOH以下、硫酸灰分30ppm以下、ヨウ素価1.0以下である脂肪族二価アルコール複合エステルの少なくとも1種を含有するか、又は、該複合エステルの少なくとも1種と併用基油を含有する潤滑油に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、潤滑油に関し、より詳しくは低粘度、高粘度指数、耐熱性、低温流動性、金属適合性などの基本要求特性のバランスに優れた有機酸エステルを含有する潤滑油に関する。
【背景技術】
潤滑油は、その用途、使用される装置や機械の違いにより、様々な粘度の潤滑油が用いられ、その使用温度も低温から高温に至るまで様々である。そのため、潤滑油として広範囲の温度領域で使用できるためには、耐熱性や低温流動性に優れていることが必要である。また、高温時の粘性低下による潤滑性不足、低温時の粘度増加による装置や機器の運転効率の低下を避けるため温度による粘度変化が少ないこと、即ち、高い粘度指数を有することが必要である。
従来、潤滑油としては安価で入手容易な鉱物油が主に使用されてきたが、耐熱性に乏しく粘度指数が低いため、最近では基本要求特性が厳しい用途においては粘度指数が高く耐熱性に優れる合成炭化水素や有機酸エステル類等の合成潤滑油が主に用いられている。
上記有機酸エステル類としては、脂肪族モノカルボン酸と一価アルコールの反応から得られるモノエステル(以下、「モノエステル」という。)、脂肪族二塩基酸と一価アルコールの反応から得られるジエステル(以下、「脂肪族二塩基酸ジエステル」という。)、多価アルコールと脂肪族カルボン酸との反応から得られるエステル(以下、「ポリオールエステル」という。)、及び多価アルコール、多塩基酸、脂肪族モノカルボン酸(及び/又は脂肪族一価アルコール)との反応から得られる複合エステル(以下、「ポリオール型複合エステル」という。)等が開示されている(特開昭60−161485号公報、特開平4−249593号公報、特開平11−172267号公報、特開平3−200895号公報、特開平7−224289号公報、特開平3−128991号公報、特開平3−128992号公報、特開平3−200896号公報、特開平5−331474号公報、特表平7−508783号公報、特表2003−501410公報)。
しかしながら、潤滑油の使用条件及び耐熱性、低温流動性、高粘度指数、金属適合性などの基本要求特性は益々厳しくなっており、これらの有機酸エステル類は、基本要求特性をバランスよく兼ね備えているとは言い難く、更なる改善が要望されている。例えば、前記特表2003−501410公報には、ポリオール、ジカルボン酸及びモノカルボン酸を反応させて得られるエステルからなる潤滑油が記載されている。該エステルは、反応開始時に、モノカルボン酸のCOOH基対ジカルボン酸のCOOH対ジカルボン酸基の比を、0.3:1〜1.5:1として合成され、下記の一般式(IC)

[式中、Xは、炭素数5〜11の脂肪族ヒドロカルビル基であり、Yは炭素数2〜8のアルキレン基であり、Zは炭素数3〜5の脂肪族ヒドロカルビル基であり、nは1〜10の間の重量平均数である。]
で表される、と記載されている。また、該公報の実施例1〜3によると、上記一般式(IC)で表されるエステルは、21mgKOH/g以上の高い酸価を有している。一般に、高い酸価を有する潤滑油は、金属適合性、耐熱性等が劣る傾向がある。
近年の地球温暖化問題対策として、自動車、家電、電子情報機器、工業用機械等の様々な産業分野で使用されている装置や機械の省エネルギー化や省燃費化が進められている。これら装置や機械に用いられる潤滑油についても省エネルギー化対策の一つとして粘性摩擦によるエネルギー損失を低減するために潤滑油の低粘度化が検討されている。しかし、低粘度で粘度指数の低い潤滑油を用いると高温領域での潤滑性が不足し、装置や機械の故障の原因となるため低粘度で高い粘度指数を示す潤滑油が求められている。
また、自然環境保護の観点から潤滑油にも生分解性が要求されている。これまで生分解性潤滑油としては、菜種油やネオペンチルグリコールのオレイン酸エステル等が挙げられるが、耐熱性に劣るという問題があった。このため生分解性を有し、かつ耐熱性に優れた潤滑油が求められている。
【発明の開示】
本発明の一つの目的は、低い酸価及び水酸基価を有し、低粘度、高い粘度指数、耐熱性、低温流動性、金属適合性などの基本要求特性のバランスに優れた有機酸エステルを含有する潤滑油を提供することである。
また、本発明の他の目的は、上記基本要求特性のバランスに優れ、且つ、生分解性にも優れた有機酸エステルを含有する潤滑油を提供することである。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討の結果、ポリオール型複合エステルの開発過程で、次の知見を得た。
(1)脂肪族飽和モノカルボン酸(A)と炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸(B)、及び脂肪族二価アルコール(C)をエステル化して複合エステルを得る際に、(A)成分と(B)成分とを特定の比率とすることにより、特に、脂肪族飽和モノカルボン酸(A)を脂肪族直鎖状二塩基酸(B)よりもかなり過剰に使用することにより、得られる脂肪族二価アルコール複合エステルが、低い酸価及び水酸基価を有し、しかも、低粘度で高い粘度指数を示し、耐熱性、低温流動性、金属適合性等に優れることを見出した。
(2)また、こうして得られるエステルのうち、(A)成分として、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)を使用して得られる複合エステルは、低粘度で高い粘度指数を示し、耐熱性、低温流動性、金属適合性に優れるのみならず、より良好な生分解性をも有する。
(3)上記エステルは、公知の他の基油と併用することができる。
本発明はかかる知見に基づいて完成されたものであって、以下の潤滑油、潤滑方法等を提供するものである。
項1 (A)炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)及び炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族飽和モノカルボン酸、
(B)炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸、及び
(C)下記一般式(1)
HO−X−OH (1)
[式中、Xは直鎖状又は1個若しくは2個の分枝を有する炭素数2〜10の脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて形成される残基を表す。但し、Xが2個の分枝を有する場合、2個の分枝は同一の炭素原子に結合していないものとする。]
で表される脂肪族二価アルコール
をエステル化反応に供することにより得られ、エステル化反応の際に(即ち、エステル化反応の開始時に)(A)成分と(B)成分の比率が(A):(B)=98:2〜40:60(当量比、即ち49:1〜0.67:1)である脂肪族二価アルコール複合エステルの少なくとも1種であって、
該複合エステルが、全酸価0.1mgKOH/g以下(好ましくは0.05mgKOH/g以下)、水酸基価50mgKOH/g以下(好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以下)、硫酸灰分30ppm以下(好ましくは10ppm以下)、ヨウ素価1.0以下(好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.1以下)である脂肪族二価アルコール複合エステルの少なくとも1種を含有する潤滑油。
項2 上記複合エステルが、一般式(e1)

[式中、Xは一般式(1)におけると同義であり、R及びRは同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表されるフルエステル及び
一般式(e2)

[式中、kは1以上の整数、特に1〜8、好ましくは1〜3である。Xは一般式(1)におけると同義であり、k+1個のXは互いに同一か、又は異なっていてもよい。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Bは、炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸(B)から、2個のカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表される縮合エステルを含有しており、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量が該複合エステルに対して10〜90重量%(好ましくは25〜90重量%、より好ましくは40〜90重量%)であり、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量と上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量との合計が、該複合エステルに対して、95重量%以上である上記項1に記載の潤滑油。
項3 複合エステルが、エステル化反応の際に(即ち、エステル化反応の開始時に)、(A)成分と(B)成分の比率を(A):(B)=95:5〜70:30(当量比、即ち19:1〜2.3:1)に調整して得られる上記項1に記載の潤滑油。
項4 (A)成分が、(a1)成分単独であるか又は(a1)成分と(a2)成分との混合物であって、(A)成分における(a1)成分と(a2)成分のモル比率が100:0〜40:60である上記項1又は2に記載の潤滑油。
項5 (A)成分における(a1)成分が、炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸である上記項1〜4のいずれかに記載の潤滑油。
項6 (A)成分における(a2)成分が、炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸である上記項1〜5のいずれかに記載の潤滑油。
項7 (A)成分が(a1)成分単独である上記項1に記載の潤滑油。
項8 (B)成分が炭素数6〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸である上記項1〜7のいずれかに記載の潤滑油。
項9 (C)成分が、一般式(1)においてXが1個若しくは2個の分枝を有する脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて得られる残基である上記項1〜8のいずれかに記載の潤滑油。
項10 (C)成分が、一般式(1)においてXが1個の分枝を有する脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて得られる残基である上記項9に記載の潤滑油。
項11 (C)成分が、一般式(1)においてXがメチル基である分枝1個を有する脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて得られる残基である上記項10に記載の潤滑油。
項12 (C)成分が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールである上記項10に記載の潤滑油。
項13 (A)成分が、(a1)炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸の少なくとも1種であり、
(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、
(C)成分が、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種の二価アルコールである上記項1に記載の潤滑油。
項14 (A)成分が、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸及びn−デカン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸であり、(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、(C)成分が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールである上記項1に記載の潤滑油。
項15 (A)成分が、(a2)炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸の少なくとも1種(特に、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸)であり、
(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、
(C)成分が、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種の二価アルコールである上記項1に記載の潤滑剤。
項16 (A)成分が、(a2)2−エチルヘキサン酸及び3,5,5,−トリメチルヘキサン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、
(C)成分が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項1に記載の潤滑剤。
項17 (A)成分が、(a1)炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸の少なくとも1種(特に、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸及びn−デカン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸)、及び(a2)炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボンの少なくとも1種(特に、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸)との混合物であり、
(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、
(C)成分が、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の二価アルコールである上記項1に記載の潤滑剤。
項18 (a2)成分が、2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、(C)成分が3−メチル−1,5−ペンタンジオールである上記項17に記載の潤滑油。
項19 前記複合エステルの40℃における動粘度が7〜15mm/sであり、粘度指数が160以上である上記項1〜18のいずれかに記載の潤滑油。
項20 前記複合エステルの40℃における動粘度が15〜100mm/sであり、粘度指数が180以上である上記項1〜18のいずれかに記載の潤滑油。
項21 前記複合エステルの流動点が−20℃以下である上記項1〜18のいずれかに記載の潤滑油。
項22 前記複合エステルの40℃における動粘度が7〜100mm/s、粘度指数が170以上、及び流動点が−40℃以下である上記項1〜18のいずれかに記載の潤滑油。
項23 前記複合エステルの40℃における動粘度が7〜100mm/s、粘度指数が100以上、及び流動点が−60℃以下である上記項1〜18のいずれかに記載の潤滑油。
項24 エンジン油、ギヤ油、自動変速機油、無段変速機油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油又はアクティブサスペンション油である上記項1〜23のいずれかに記載の潤滑油。
項25 更に併用基油を含有しており、該併用基油が
(I) 鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は、
(II)該鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種と、動植物油、前記複合エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル及びシリコーン油よりなる群から選ばれる少なくとも1種との混合物である上記項24に記載の潤滑油。
項26 併用基油が、
(I) 鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は、
(II) 鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種と有機酸エステルとの混合物であり、該有機酸エステルが、
(i)アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステル、
(ii)ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールと炭素数5〜10の直鎖状及び分岐鎖状の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種とのフルエステル、又は、
(iii)上記(i)及び(ii)の混合物
である上記項25に記載の潤滑油。
項27 軸受用潤滑油である上記項1〜23のいずれかに記載の潤滑油。
項28 更に、鉱物油、合成炭化水素油、動植物油、前記複合エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル及びシリコーン油よりなる群から選ばれる少なくとも1種を併用基油として含有する上記項27に記載の潤滑油。
項29 併用基油が、
(i)n−ドデカン酸又はn−テトラデカン酸と炭素数8〜10の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのエステル、
(ii)アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステル、
(iii)ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールと炭素数5〜10の直鎖状及び分岐鎖状の脂肪酸とのフルエステル、又は
(iv)上記(i)〜(iii)の混合物
である上記項28に記載の潤滑油。
項30 上記項1〜23のいずれかに記載の潤滑油の、エンジン油、ギヤ油、自動変速機油、無段変速機油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油又はアクティブサスペンション油、或いは、軸受用潤滑油としての使用。
項31 上記項1〜23のいずれかに記載の潤滑油を用いることを特徴とするエンジン、ギヤ、自動変速機、無断変速機、ショックアブソーバー、パワーステアリング又はアクティブサスペンションの、或いは、軸受の潤滑方法。
項32 (i) 一般式(e1)

[式中、Xは一般式(1)におけると同義であり、R及びRは同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表されるフルエステル及び
(ii) 一般式(e2)

[式中、kは1以上の整数、特に1〜8、好ましくは1〜3である。Xは一般式(e1)におけると同義であり、k+1個のXは互いに同一か、又は異なっていてもよい。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Bは、炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸から、2個のカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表される縮合エステル
を含有する複合エステルであって、上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量が該複合エステルに対して10〜90重量%(好ましくは25〜90重量%、より好ましくは40〜90重量%)であり、
上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量が該複合エステルに対して5〜85重量%(好ましくは7〜72重量%、より好ましくは9〜59重量%)であり、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量と上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量との合計が、該複合エステルに対して95重量%以上(特に95〜99.5重量%)、好ましくは97重量%以上(特に97〜99.5重量%)、より好ましくは99重量%以上(特に、99〜99.9重量%)である複合エステルを含有するか、或いは、
該複合エステルと、鉱物油、合成炭化水素油、動植物油、該複合エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル及びシリコーン油よりなる群から選ばれる少なくとも1種の併用基油との混合物を含有する潤滑油。
項33 (i) 一般式(e1)

[式中、Xは一般式(1)におけると同義であり、R及びRは同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表されるフルエステル及び
(ii) 一般式(e2)

[式中、kは1以上の整数、特に1〜8、好ましくは1〜3である。Xは一般式(e1)におけると同義であり、k+1個のXは互いに同一か、又は異なっていてもよい。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Bは、炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸から、2個のカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表される縮合エステル
を含有する複合エステルであって、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量が、該複合エステルに対して10〜90重量%(好ましくは25〜90重量%、より好ましくは40〜90重量%)であり、
上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量が、該複合エステルに対して5〜85重量%(好ましくは7〜72重量%、より好ましくは9〜59重量%)であり、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量と上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量との合計が、該複合エステルに対して95重量%以上(特に95〜99.5重量%)、好ましくは97重量%以上(特に97〜99.5重量%)、より好ましくは99重量%以上(特に、99〜99.9重量%)である複合エステル。
項34 上記項33に記載の複合エステルの製造方法であって、
(i)(A)炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)及び炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族飽和モノカルボン酸、
(B)炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸、及び
(C)下記一般式(1)
HO−X−OH (1)
[式中、Xは直鎖状又は1個若しくは2個の分枝を有する炭素数2〜10の脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて形成される残基を表す。但し、Xが2個の分枝を有する場合、2個の分枝は同一の炭素原子に結合していないものとする。]
で表される脂肪族二価アルコール
を、(A)成分と(B)成分の比率が(A):(B)=98:2〜40:60(当量比)で使用し、且つ、(A)成分及び(B)成分からなる酸成分を、(C)成分であるアルコール成分1当量に対して1.01〜1.05当量用いて、水同伴剤及び触媒の存在下でエステル化し、
(ii)得られたエステル化反応生成物を続いてアルカリ洗浄すること
を含む製造法。
本発明によれば、低粘度、高い粘度指数、耐熱性、低温流動性、金属適合性等の基本要求特性のバランスに優れた潤滑油を得ることができる。そのため、本発明の潤滑油は、エンジン油、ギヤ油、自動変速機油、無段変速機油、ショックアブゾーバー油、パワーステアリング油又はアクティブサスペンション油、或いは、軸受用潤滑油等に使用することができる。
発明の詳細な記述
本発明の潤滑油に係る脂肪族二価アルコール複合エステル(以下「本エステル」という。)は、酸成分の脂肪族飽和モノカルボン酸(A)及び炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸(B)と、アルコール成分の脂肪族二価アルコール(C)とを常法に従って、好ましくは窒素等の不活性ガス雰囲気下、エステル化触媒の存在下又は無触媒下で加熱撹拌しながらエステル化することにより調製されるエステル化合物である。
(A)成分
本エステルに係る脂肪族飽和モノカルボン酸(A)成分は、炭素数4〜18、好ましくは4〜12、さらに好ましくは炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)及び/又は炭素数4〜18、好ましくは炭素数7〜9、さらに好ましくは炭素数8又は9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)である。
(a1)成分としては、具体的には、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ウンデカン酸、n−ドデカン酸、n−トリデカン酸、n−テトラデカン酸、n−ペンタデカン酸、n−ヘキサデカン酸、n−ヘプタデカン酸、n−オクタデカン酸が例示される。これらの中でも、低温流動性に優れ、低温粘度が低い点で、炭素数4〜9の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸が好ましく、具体的には、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸が例示される。また、耐熱性に優れる点で、炭素数8〜12の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸が好ましく、具体的には、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、n−ウンデカン酸、n−ドデカン酸が例示される。更には、非常に高い粘度指数、良好な耐熱性及び低温流動性を有する点で炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸が好ましく、具体的にはn−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸が推奨される。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせてエステル化に供することができる。
(a2)成分としては、具体的には、イソブタン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸、イソウンデカン酸、イソドデカン酸、イソトリデカン酸、イソテトラデカン酸、イソペンタデカン酸、イソヘキサデカン酸、イソヘプタデカン酸、イソオクタデカン酸等が例示される。これらの中でも、耐熱性に優れる点で炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状モノカルボン酸が好ましく、具体的には、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸が例示される。さらに、耐熱性及び低温流動性のバランスに優れる点で、2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸が推奨され、耐熱性、低温流動性に優れ、高い粘度指数を有する点で、3,5,5−トリメチルヘキサン酸が特に好ましい。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせてエステル化に供することができる。
(A)成分に関して、(a1)成分を単独で使用することもでき、(a2)成分を単独で使用することもできる。更に、(a1)成分を(a2)成分と組み合わせて使用することもでき、その場合の使用割合(モル比率)は、特に限定されることがなく、任意の割合で使用することができる。得られる本エステルが高い粘度指数と耐熱性を有する点で、(A)成分が、(a1)成分単独であるか又は(a1)成分と(a2)成分との混合物であって、(a1)成分:(a2)成分のモル比率が100:0〜40:60が好ましく、また、耐熱性、高い粘度指数及び良好な生分解性を有する点で、(a1)成分:(a2)成分のモル比率が100:0〜80:20が好ましい範囲として推奨される。特に、(a1)成分と(a2)成分との混合物を使用する場合、(a1)成分:(a2)成分のモル比率が95:5〜40:60、特に95:5〜70:30であるのが好ましい。
また、得られる本エステルが高い粘度指数を有し、耐熱性及び生分解性に優れる点で(a1)成分単独が好ましく、耐熱性、低温流動性及び金属適合性に優れる点で(a2)成分単独が好ましい。
(B)成分
本エステルに係る酸成分の脂肪族直鎖状二塩基酸(B)は、炭素数2〜10、好ましくは炭素数6〜10の脂肪族直鎖状飽和二塩基酸であり、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が例示される。これらの中でも、耐熱性及び低温流動性に優れる点で、炭素数6〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸が好ましく、具体的には、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸が例示され、特に、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸が推奨される。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせてエステル化に供することができる。
(C)成分
本エステルの製造に使用する脂肪族二価アルコール(C)は、下記一般式(1)で表される炭素数2〜10の直鎖状又は1個若しくは2個の分枝を有する脂肪族飽和二価アルコールである。
HO−X−OH (1)
[式中、Xは炭素数2〜10の直鎖状又は1個若しくは2個の分枝を有する脂肪族二価アルコールの残基を表す。但し、Xが2個の分枝を有する場合、該2個の分枝は同一の炭素原子に結合していないものとする。]
Xは、炭素数2〜10、好ましくは3〜10の直鎖状アルキレン基を表すか、或いは、Xは、主鎖である直鎖アルキレン基とこれに結合した1個若しくは2個のアルキル基(分枝)とからなり、該直鎖アルキレン基と該1個若しくは2個のアルキル基との合計炭素数が2〜10、好ましくは3〜10、特に4〜10である分岐鎖アルキレン基を表す。但し、Xが分岐鎖アルキレン基であって、2個のアルキル基を有する場合、2個のアルキル基は同一の炭素原子に結合していないものとする。
換言すると、Xは炭素数2〜10、好ましくは3〜10、特に4〜10の直鎖状アルキレン基であるか、或いは、Xは、モノ又はジアルキル置換の直鎖状アルキレン基であって、該モノ又はジアルキル置換基と該直鎖状ポリアルキレン基との合計炭素数が2〜10、特に3〜10である。
Xが分岐鎖アルキレン基である場合、分枝であるアルキル基の数は1又は2個であり、好ましくは1個である。また、分枝であるアルキル基は、炭素数が1又は2(即ちメチル基又はエチル基)、特に1(メチル基)であるのが好ましい。
かかる残基Xを含む脂肪族二価アルコールとしては、炭素数2〜10、好ましくは3〜10の1個若しくは2個の分枝を有していてもよい脂肪族二価アルコール、特に、飽和脂肪族二価アルコールが例示される。但し、該二価アルコールが2個の分枝(即ち、アルキル基)を有する場合、2個の分枝は、同一の炭素原子に結合していないものである。従って、該二価アルコール成分(C)としては、2,2−ジメチルプロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチルプロパンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール等の分子中にネオペンチル型構造を有するジオールを含まない。
上記の直鎖状脂肪族二価アルコールとしては、具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが例示される。
1個又は2個の分枝を有する脂肪族二価アルコールとしては、具体的には、1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,6−ヘプタンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、1,7−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−ノナンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,9−ノナンジオール、4−メチル−1,9−ノナンジオール、5−メチル−1,9−ノナンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等が例示される。これらは、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせてエステル化に供することができる。
これらの中でも、低温流動性に優れる点で、1個又は2個の分枝を有する脂肪族二価アルコールが好ましく、特に炭素数4〜9の脂肪族二価アルコールが好ましい。具体的には、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,6−ヘキサンジオール、1,6−ヘプタンジオール、2−メチル−1,7−ヘプタンジオール、3−メチル−1,7−ヘプタンジオール、4−メチル−1,7−ヘプタンジオール、1,7−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、3−メチル−1,8−オクタンジオール、4−メチル−1,8−オクタンジオール、1,8−ノナンジオールが推奨される。
これらの中でも、耐熱性及び低温流動性に優れる点で、1個の分枝(特に、メチル基)を有する脂肪族二価アルコールが好ましく、より好ましくは炭素数3〜10、特に好ましくは炭素数4〜6の脂肪族二価アルコールが推奨される。具体的には、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオールが推奨され、特に、3−メチル−1,5−ペンタンジオールが好ましい。
エステル化反応
エステル化に際し、使用する酸成分の(A)成分と(B)成分の使用比率は、(A):(B)=98:2〜40:60(当量比)であり、得られるエステルの耐熱性と低温流動性のバランスに優れる点で、特に、(A)成分と(B)成分は、(A):(B)=95:5〜70:30(当量比)で使用するのが好ましい。
ここでいう「当量」とは、エステル化反応に使用する(A)成分と(B)成分に含まれるカルボキシル基の合計モル数に対する、各成分のカルボキシル基のモル数の比を指すものとする。換言すると、ここでいう「当量」とは、(A)成分であるモノカルボン酸のモル数(MA)と(B)成分である二塩基酸のモル数(MB)の2倍(2MB)との合計(MA+2MB)に対する、(A)成分のモル数(MA)の割合、即ち、MA/(MA+2MB)、又は、(B)成分のモル数の2倍(2MB)の割合、即ち、2MB/(MA+2MB)である。従って、(A)成分:(B)成分の当量比は、MA:2MBで表される。例えば、(A)成分であるモノカルボン酸を3モル(MA=3)使用し、(B)成分である二塩基酸を1モル(2MB=2)使用した場合、(A)成分と(B)成分との当量比は(A):(B)= 3:2 = 60:40となる。
エステル化の際、(A)成分及び(B)成分からなる酸成分は、例えば、アルコール成分である(C)成分の脂肪族二価アルコール1当量に対し1.0〜1.5当量、好ましくは該アルコール成分1当量に対し1.01〜1.1当量用いられる。即ち、アルコール成分中の−OH基1モルに対し、酸成分中の−COOH基のモル数が1.0〜1.5、好ましくは1.01〜1.1、より好ましくは1.01〜1.05になるように使用される。
本発明のエステル化反応では、エステル化触媒を使用するのが好ましい。エステル化触媒としては、ルイス酸類、アルカリ金属類、スルホン酸類等が例示され、具体的にルイス酸類としては、アルミニウム誘導体、錫誘導体、チタン誘導体が例示され、アルカリ金属類としては、ナトリウムアルコキシド、カリウムアルコキシド等が例示され、更にスルホン酸類としてはパラトルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、硫酸等が例示される。その使用量は、例えば原料である(A)成分及び(B)成分である酸成分及び(C)成分であるアルコール成分の総重量に対して0.1〜1.0重量%程度用いられる。上記触媒のうちでも、上記ルイス酸が好ましい。
エステル化反応は、通常150〜250℃、好ましくは160〜230℃の反応温度で、不活性ガスの存在下で行うことが好ましい。反応時間としては、通常3〜30時間である。エステル化反応は、無溶媒で行うことができるが、必要に応じて、生成してくる水をベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン等の水同伴剤を用いて系外に共沸留去させてもよい。水同伴剤を使用する場合、その使用量は、原料である(A)成分及び(B)成分である酸成分及び(C)成分であるアルコール成分の総重量に対して1〜20重量%、特に1〜10重量%使用するのが好ましい。
エステル化反応終了後、過剰の原料を減圧下又は常圧下にて留去する。引き続き慣用の精製方法、例えば、中和、水洗、液液抽出、減圧蒸留、活性炭等の吸着剤を用いて本エステルを精製することができる。
特に、エステル化反応により得られたエステル化反応生成物を、そのまま或いは未反応の酸(水同伴剤を使用した場合は、水同伴剤)を留去した後、アルカリ洗浄に供するのが好ましい。これにより、残存する未反応の酸、末端にカルボキシル基を有する不純物、触媒等が除去され、金属適合性、耐熱性等に優れたエステルを得ることができる。
アルカリ洗浄に使用する洗浄液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩等のアルカリの水溶液が例示でき、その濃度は特に限定されないが、0.5〜20重量%程度が好ましい。アルカリ水溶液の使用量は反応終了後の反応生成物の全酸価に対して当量又は過剰となる量とするのが好ましい。アルカリ洗浄後の生成物は、中性となるまで水洗するのが好ましい。こうして本エステルを得る。
本エステルは、脂肪族二価アルコールと脂肪族飽和モノカルボン酸との完全なエステルを調製後、相当量の脂肪族直鎖状二塩基酸を加えて、エステル交換により得ることも可能である。
また、これらの脂肪族飽和モノカルボン酸の代わりにこれらのメチルエステル、エチルエステル等の炭素数1〜4の低級アルキルエステルを用いることも可能である。
本エステル
本エステルは、上記本発明の製造法により得られる複合エステルであり、典型的には、下記の(e1)及び(e2)の混合物であるか、又は、該混合物を主成分として含有し、更に本発明のエステル化反応の副生成物を含有していてもよい。かかる副生成物としては、例えば、下記の(e3)〜(e5)を挙げることができる。
(e1)脂肪族二価アルコールと脂肪族飽和モノカルボン酸から得られるフルエステル、
(e2)2分子以上の脂肪族二価アルコールが1分子又は複数分子の脂肪族直鎖状二塩基酸と結合し、末端水酸基が脂肪族飽和モノカルボン酸で封止されたフルエステル(以下、「縮合エステル1」という。)、
(e3)1分子以上の脂肪族直鎖状二塩基酸が1分子以上の脂肪族二価アルコールと結合して得られるエステルであって、二価アルコール由来の水酸基が全てエステル化され二塩基酸由来のカルボキシル基が残存するエステル、
(e4)1分子以上の脂肪族二価アルコールと1分子以上の脂肪族直鎖状二塩基酸から得られる環状のフルエステル(以下、「縮合エステル2」という。)、
(e5)1分子以上の脂肪族二価アルコールが1分子以上の脂肪族直鎖状二塩基酸と結合して得られるエステルであって、二塩基酸由来のカルボキシル基が全てエステル化され二価アルコール由来の水酸基が残存するエステル。
上記(e1)の脂肪族二価アルコールと脂肪族飽和モノカルボン酸から得られるフルエステルは、一般式(e1)

[式中、Xは一般式(1)におけると同義であり、R及びRは同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表される。
上記(e2)の縮合エステル1としては、脂肪族二価アルコールと脂肪族直鎖状二塩基酸に由来するエステル結合を含有してなる基が1つのものから2つ以上繰り返して連なったものまで、種々の構造を有する下記一般式(b)のオリゴマーが例示される。

[式中、kは1以上の整数、特に1〜8、好ましくは1〜3である。Xは一般式(1)におけると同義であり、k+1個のXは、互いに同一か又は異なっていてもよい。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Bは、炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸から、2個のカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
上記(e3)〜(e5)のエステルは、本発明のエステル化反応の副生物であり、それらの推定構造として、例えば、下記のような構造を挙げることができる。
上記(e3)のエステルは、下記の一般式(e3)又は(e3−1)で表される。

[式中、X及びBは一般式(e2)におけると同義であり、jは1以上の整数を表わす。j+1個のBは同一又は相異なっていてもよく、j個のXは同一又は相異なっていてもよい。]

[式中、X及びBは一般式(e2)におけると同義であり、Jは1以上の整数を表わす。J+1個のBは同一又は相異なっていてもよく、J個のXは同一又は相異なっていてもよい。また、Rは、式(e1)におけるRと同義である。]
上記(e4)の縮合エステル2としては、脂肪族二価アルコールと脂肪族直鎖状二塩基酸に由来するエステル結合を含有してなる基が1つのものから2つ以上繰り返して連なったものまで、種々の構造を有する下記構造式(e4)の環状オリゴマーが例示される。

[式中、XとBは、一般式(e2)におけると同義である。mは、1以上の整数(特に1〜2)を表し、mが2以上の場合、2以上の(m個の)Xは同一であっても相異なっていてもよく、2以上の(m個の)Bは同一であっても相異なっていてもよい。]
上記(e5)のエステルは下記の一般式(e5)又は(e5−1)で表される。

[式中、X及びBは一般式(e2)におけると同義であり、nは1以上の整数を表わす。n+1個のXは同一又は相異なっていてもよく、n個のBは同一又は相異なっていてもよい。]

[式中、X及びBは一般式(e2)におけると同義であり、pは1以上の整数を表わす。p+1個のXは同一又は相異なっていてもよく、p個のBは同一又は相異なっていてもよい。Rは式(e1)におけるRと同義である。]
前記のように、本エステルは、一般式(e1)で表される化合物及び一般式(e2)で表される化合物の混合物であってもよく、該混合物と本発明のエステル化反応の副生成物との混合物であってもよい。
本エステルが、一般式(e1)で表される化合物及び一般式(e2)で表される化合物の混合物である場合、上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量は、本エステル(複合エステル、即ち、一般式(e1)で表される化合物と一般式(e2)で表される化合物との混合物)に対して、10〜95重量%、好ましくは25〜95重量%、より好ましくは40〜95重量%であり、残部が一般式(e2)で表される化合物である。
また、本エステルが、上記一般式(e1)で表されるフルエステル、及び、一般式(e2)で表される化合物との混合物に加えて、更に、本発明のエステル化反応の副生成物(上記(e3)〜(e5)のエステル等)を含んでいる場合、上記副生物の含有量は、本エステル(複合エステル、即ち、上記一般式(e1)で表されるフルエステルと一般式(e2)で表される化合物との混合物+副生成物)に対して5重量%以下、好ましくは3重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。
一般に、一般式(e3)で表される化合物及び一般式(e3−1)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の含量は1重量%以下であり、一般式(e4)で表される化合物の含量は1重量%以下であり、一般式(e5)で表される化合物及び一般式(e5−1)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の含量は3重量%以下であると思われる。
従って、上記一般式(e1)で表されるフルエステルと一般式(e2)で表される化合物との合計含量は、本エステル(複合エステル、即ち、上記一般式(e1)で表されるフルエステルと一般式(e2)で表される化合物との混合物+副生成物)に対して、95重量%以上(特に95〜99.5重量%)、好ましくは97重量%以上(特に97〜99.5重量%)、より好ましくは99重量%以上(特に99〜99.9重量%)である。上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量は、(複合エステル、即ち、上記一般式(e1)で表されるフルエステルと一般式(e2)で表される化合物との混合物+副生成物)に対して、10〜90重量%、好ましくは25〜90重量%、より好ましくは40〜90重量%である。
なお、一般式(e2)で表される化合物は、複合エステルに対して、一般に、5〜85重量%、好ましくは7〜72重量%、より好ましくは9〜59重量%である。
(A)成分が(a1)成分単独である本エステル
かくして得られる本エステルの中でも、非常に高い粘度指数、良好な耐熱性及び低温流動性を有する点で、(A)成分が(a1)成分単独であって、該(a1)成分として炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸、具体的には、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸及びn−デカン酸から選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸を用い、(B)成分としてアジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種の二塩基酸を用い、(C)成分として2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種の二価アルコールを用いて得られる複合エステルが推奨される。
上記(A)成分が炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸単独から得られる本エステルの好ましい具体例として、2−メチル−1,3−プロパンジオールを(C)成分とするエステルとしては、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
1,3−ブタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
2−メチル−1,4−ブタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
1,4−ペンタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
2−メチル−1,5−ペンタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
3−メチル−1,5−ペンタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
1,5−ヘキサンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
上記の本エステルの中でも特に(A)成分としてn−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸及びn−デカン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸を、(B)成分としてアジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸を、(C)成分として3−メチル−1,5−ペンタンジオールを用いて得られるエステルが推奨される。
これらのエステルの中でも、低温流動性に優れる点で(A)成分がn−ヘプタン酸、n−オクタン酸及びn−ノナン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であるエステルが推奨され、また、耐熱性に優れる点でn−オクタン酸、n−ノナン酸及びn−デカン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であるエステルが推奨され、さらに、高粘度指数を有し、低温流動性及び耐熱性のバランスに優れる点でn−オクタン酸及び/又はn−ノナン酸であるエステルが特に推奨される。
上記低温流動性に優れる好ましい本エステルの具体例として、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが挙げられる。
耐熱性に優れる好ましい本エステルの具体例として、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが挙げられる。
高粘度指数を有し、低温流動性及び耐熱性に優れる本エステルの具体例として、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−ノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及びn−デカン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが挙げられる。
(A)成分が(a2)成分単独である本エステル
本エステルの中でも(A)成分が(a2)成分単独であって、該(a2)成分として炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸の少なくとも1種単独、具体的には、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸を用い、(B)成分としてアジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸を用い、(C)成分として2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種の二価アルコールを用いて得られる本エステルは、優れた低温流動性を有し、金属適合性に優れる点で推奨される。
上記の(A)成分が、炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸単独を用いて得られる本エステルの好ましい具体例として、2−メチル−1,3−プロパンジオールを(C)成分とするエステルとしては、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,3−プロパンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
1,3−ブタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,3−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
2−メチル−1,4−ブタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,4−ブタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
1,4−ペンタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,4−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
2−メチル−1,5−ペンタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、2−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
3−メチル−1,5−ペンタンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
1,5−ヘキサンジオールを(C)成分とする本エステルとしては、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが挙げられる。
さらに、(A)成分として2種を用いた、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及びイソオクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/イソオクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸及びイソノナン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、1,5−ヘキサンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが例示される。
上記の本エステルの中でも特に、(A)成分が、2−エチルヘキサン酸及び/又は3,5,5,−トリメチルヘキサン酸、(B)成分がアジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種の二塩基酸、及び(C)成分が3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られるエステルが推奨される。
これらの本エステルの中でも、金属適合性に優れる点で、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが好ましく、耐熱性に優れ、高粘度指数を有する点で、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが好ましい。
<(A)成分が(a1)成分及び(a2)成分の混合物である本エステル>
本エステルの中でも、(A)成分が(a1)成分及び(a2)成分からなる混合モノカルボン酸であり、(a1)成分として炭素数7〜10の脂肪族直鎖状モノカルボン酸の少なくとも1種、具体的にはn−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸及びn−デカン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸、(a2)成分として炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボンの少なくとも1種、具体的には、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸である混合モノカルボン酸を用い、(B)成分としてアジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸を用い、(C)成分として2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の二価アルコールを用いて得られるエステルは、良好な耐熱性及び低温流動性を有し、粘度指数及び金属適合性とのバランスに優れる点で推奨され、その中でも、(a2)成分が、2−エチルヘキサン酸及び/又は3,5,5−トリメチルヘキサン酸であり、(C)成分が3−メチル−1,5−ペンタンジオールから得られるエステルが特に好ましい。
上記の混合モノカルボン酸を用いた好ましいエステルの具体例としては、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが挙げられる。
これらの中でも、金属適合性に優れる点で、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルから得られる複合エステルなどが推奨される。
又、高い粘度指数を有し、耐熱性に優れる点で、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−デカン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルなどが推奨される。
さらに、低温流動性、耐熱性及び粘度指数のバランスに優れる点で、特に、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び2−エチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸/セバシン酸から得られる複合エステルが推奨される。
本エステルの全酸価(JIS−K−2501)としては、0.1mgKOH/g以下、好ましくは0.05mgKOH/g以下であることが推奨される。全酸価が0.1mgKOH/g以下のときには耐熱性が向上する傾向にある。全酸価は中和により調整可能である。
本エステルの水酸基価(JIS−K−0070)としては、50mgKOH/g以下、好ましくは30mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以下であることが好ましい。水酸基価が50mgKOH/g以下のときには吸湿性が低くなり、耐熱性が向上する傾向にある。水酸基価は、残存する水酸基を反応工程で十分に低減することにより調整可能である。
本エステルの硫酸灰分(JIS−K−2272)としては、30ppm以下、好ましくは10ppm以下であることが推奨される。硫酸灰分が30ppm以下のときには耐熱性が向上する傾向にある。硫酸灰分は、本エステルの原料となる酸及び/又はアルコールとして硫酸灰分が低いもの(例えば、30ppm以下のもの)を用い、又、触媒として金属触媒を使用した場合、触媒自身及び触媒由来の有機金属化合物を中和、水洗、吸着精製により十分に除去することで調整可能である。
本エステルのヨウ素価(基準油脂分析法2.3.4.1−1996)としては、1.0以下、好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.1以下が推奨される。ヨウ素価が1以下のときは耐熱性が向上する傾向にある。ヨウ素価は、本エステルの原料となる酸及び/又はアルコールとしてヨウ素価が低いもの(例えば、0.3以下のもの)を用いることで調整可能である。又、ヨウ素価が1以上の精製したエステルを還元(水素添加)することでも調整可能である。
本エステルの中でも、流動点(JIS−K−2269)が−20℃以下であるものが好ましく、より低温での使用に適する点で−30℃以下、更には−40℃以下であるものが好ましく、特に−60℃以下であるものが推奨される。本エステルの流動点の最小値は、特に限定されないが、−80℃程度である。
本エステルの中でも、粘度指数(JIS−K−2283)が150以上、好ましくは180以上、更には200以上、特に200〜230であるものが好ましい。粘度指数が150以上であるエステルは広範囲の温度領域で粘度変化が小さく、耐熱性にも優れる。また、40℃における動粘度が7〜15mm/sである場合には、粘度指数が160以上、好ましくは170以上、特に180以上(より好ましくは180〜200)であるものが好ましく、40℃における動粘度が15〜100mm/sである場合、粘度指数が180以上、好ましくは190以上、特に200以上(より好ましくは200〜220)であるものが好ましい。
さらに、本エステルの中でも、低温流動性及び耐熱性のバランスに優れる点から、40℃における動粘度が7〜100mm/s、粘度指数が170以上(好ましくは170〜220)、及び流動点が−40℃以下(好ましくは−40〜−80℃)であるものが好ましく、特に低温流動性に優れる点から、40℃における動粘度が7〜100mm/s、粘度指数が100以上(好ましくは100〜160)、及び流動点が−60℃以下(好ましくは−60〜−80℃)であるものが好ましい。
本発明の潤滑油
本発明の潤滑油は、本エステルを潤滑油基油として含む潤滑油であるか、または、本エステルと他の基油(以下「併用基油」という)との混合物を潤滑油基油として含む潤滑油であり、該潤滑油基油に対して、本エステルを、10〜100重量%、好ましくは20〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%含有する。換言すると、併用基油は、該潤滑油基油に対して、90重量%以下、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の量で含まれている。
本明細書において、「潤滑油基油」とは、本発明の潤滑油が本エステルのみを基油として含む場合は、本エステルを指し、本発明の潤滑油が本エステルと他の基油(併用基油)との混合物である場合は、本エステルと併用基油との混合物を指す。
特に、本エステルと併用基油との混合物を潤滑油基油とする場合、潤滑油基油(即ち、本エステル+併用基油)に対して、本エステルが10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%含まれており、併用基油が10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%含まれていることが推奨される。
本エステル単独を又は本エステルと併用基油とを含む本発明の潤滑油は、多くの分野で使用できるが、特に、自動車用潤滑油又は軸受用潤滑油として使用するのに適している。以下においては、自動車用潤滑油及び軸受用潤滑油の分野での本エステルの使用について説明する。
(1) 自動車用潤滑油
本発明の自動車用潤滑油は、自動車の部品の潤滑に使用でき、特に、エンジン油、ギア油、自動変速機油、無段変速機油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、アクティブサスペンション油など(以下、これらを総称して「自動車用潤滑油」という。)として好適である。
従って、本発明は、本発明の本エステルまたはこれを含有する本発明潤滑油のエンジン、ギア、自動変速機、無段変速機、ショックアブソーバー、パワーステアリング油又はアクティブサスペンション油の潤滑のための使用、並びに、本発明の本エステルまたはこれを含有する本発明潤滑油を用いることからなるエンジン、ギア、自動変速機、無段変速機、ショックアブソーバー、パワーステアリング油又はアクティブサスペンション油の潤滑方法を提供するものでもある。
併用基油
本発明の自動車用潤滑油においては、本エステル単独で使用してもよいが、一般には、他の潤滑油基油(併用基油)を使用するのが好ましい。かかる併用基油としては、鉱物油(石油の精製によって得られる炭化水素油)及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
必要であれば、動植物油、本エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル及びシリコーン油よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を更に併用することもできる。
従って、好ましい本発明の自動車用潤滑油は、本エステル及び併用基油を含有しており、該併用基油が
(I)鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は、
(II)該鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種と、動植物油、前記複合エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル及びシリコーン油よりなる群から選ばれる少なくとも1種との混合物である。
鉱物油としては、溶剤精製鉱油、水素化精製鉱油、ワックス異性化油が挙げられるが、通常、100℃における動粘度が1.0〜25mm/s、好ましくは2.0〜20.0mm/sの範囲にあるものが用いられる。
合成炭化水素油としては、例えば、ポリ−α−オレフィン、ポリブテン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、フィッシャートロプシュ法(Fischer−Tropsch process)によって得られる合成炭化水素の異性化油などが例示される。
ポリ−α−オレフィンとしては、炭素数2〜16のα−オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン等)の重合体又は共重合体であって、100℃における動粘度が1.0〜25mm/s、粘度指数が100以上のものが例示され、特に100℃における動粘度が1.5〜20.0mm/sで、粘度指数が120以上のものが好ましい。
ポリブテンとしては、イソブチレンを重合したもの、イソブチレンをノルマルブチレンと共重合したものがあり、一般に100℃の動粘度が2.0〜40mm/sの広範囲のものが挙げられる。
アルキルベンゼンとしては、炭素数1〜40の直鎖又は分岐のアルキル基で置換された分子量が200〜450であるモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼン、テトラアルキルベンゼン等が例示される。
アルキルナフタレンとしては、炭素数1〜30の直鎖又は分岐のアルキル基で置換されたモノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン等が例示される。
動植物油としては、牛脂、豚脂、パーム油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、ヒマワリ油等が例示される。
本エステル以外の有機酸エステルとしては、脂肪酸モノエステル、脂肪族二塩基酸ジエステル、ポリオールエステル及びその他のエステルが例示される。
脂肪酸モノエステルとしては、炭素数5〜22の脂肪族直鎖状又は分岐鎖状モノカルボン酸と炭素数3〜22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。
脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸,ウンデカン二酸、ドテカン二酸等の脂肪族二塩基酸と若しくはその無水物と炭素数3〜22の直鎖状又は分岐鎖状の飽和若しくは不飽和の脂肪族アルコールとのフルエステルが挙げられる。
ポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等のネオペンチルポリオールと炭素数3〜22の直鎖状及び/又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪酸とのフルエステルが挙げられる。
その他のエステルとしては、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、或いは、縮合ヒマシ油脂肪酸、水添縮合ヒマシ油脂肪酸などのヒドロキシ脂肪酸と炭素数3〜22の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族アルコールとのエステルが挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、アルコールと炭素数2〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンオキサイドの開環重合体が例示される。アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、これらの1種を用いた重合体、若しくは2種以上の混合物を用いた共重合体が使用可能である。又、片端又は両端の水酸基部分がエーテル化若しくはエステル化した化合物も使用可能である。重合体の動粘度としては、通常5.0〜1000mm/s(40℃)、好ましくは5.0〜500mm/s(40℃)である。
ポリビニルエーテルとしては、ビニルエーテルモノマーの重合によって得られる化合物であり、モノマーとしてはメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、sec−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、n−ペンチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、2−メトキシエチルビニルエーテル、2−エトキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。重合体の動粘度としては、通常5.0〜1000mm/s(40℃)、好ましくは5.0〜500mm/s(40℃)である。
ポリフェニルエーテルとしては、2個以上の芳香環のメタ位をエーテル結合又はチオエーテル結合でつないだ構造を有する化合物が挙げられ、具体的には、ビス(m−フェノキシフェニル)エーテル、m−ビス(m−フェノキシフェノキシ)ベンゼン、及びそれらの酸素の1個若しくは2個以上を硫黄に置換したチオエーテル類(通称C−エーテル)等が例示される。
アルキルフェニルエーテルとしては、ポリフェニルエーテルを炭素数6〜18の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基で置換した化合物が挙げられ、特に1個以上のアルキル基で置換したアルキルジフェニルエーテルが好ましい。
シリコーン油としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーンのほか、長鎖アルキルシリコーン、フルオロシリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
本発明の自動車用潤滑油にこれらの併用基油を用いる場合、その含有量としては、潤滑油基油(即ち、本エステル+併用基油)に対して、10〜90重量%、特に20〜80重量%が推奨される。
これらの併用基油の中でも、有機材料との適合性の観点から、鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種を必須成分とし、必要に応じて、耐熱性及び潤滑性の観点から、本エステル以外の有機酸エステルを併用するのが好ましい。該有機酸エステルとしては、特に、脂肪族二塩基酸ジエステル及びポリオールエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
特に好ましい脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と、炭素数8〜10の脂肪族飽和直鎖状一価アルコール又は炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステルが例示される。具体的には、アジピン酸ジ(n−オクチル)、アジピン酸ジ(n−ノニル)、アジピン酸ジ(n−デシル)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソウンデシル、アジピン酸ジイソドデシル、アジピン酸ジイソトリデシル、アゼライン酸ジ(n−オクチル)、アゼライン酸ジ(n−ノニル)、アゼライン酸ジ(n−デシル)、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジイソウンデシル、アゼライン酸ジイソドデシル、アゼライン酸ジイソトリデシル、セバシン酸ジ(n−オクチル)、セバシン酸ジ(n−ノニル)、セバシン酸ジ(n−デシル)、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソオクチル、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ジイソウンデシル、セバシン酸ジイソドデシル、セバシン酸ジイソトリデシルが挙げられる。
これらの中でも、潤滑油基油(即ち、本エステル+併用基油)の低温流動性に優れる点で、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソトリデシル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジイソトリデシル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ジイソトリデシルが最も好ましい。
又、特に好ましいポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールと、炭素数4〜10の直鎖状及び/又は分岐鎖状の脂肪酸とのフルエステルが例示される。具体的には、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、イソブタン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸及びイソデカン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸から得られるフルエステルが挙げられる。
これらの中でも、併用基油としては、潤滑油基油(即ち、本エステル+併用基油)の耐熱性及び低温流動性のバランスに優れる点で、鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種を必須の併用基油として使用し、更に、必要に応じて、(i)アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステル、(ii)ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールと炭素数5〜10の直鎖状及び分岐鎖状の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種とのフルエステル、又は、(iii)上記(i)及び(ii)の混合物を併用するのが最も好ましい。
よって、最も好ましい本発明の自動車用潤滑油は、本エステルと併用基油を含有し、該併用基油が、
(I)鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は、
(II)鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種と有機酸エステルとの混合物であり、該有機酸エステルが、
(i)アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステル、
(ii)ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールと炭素数5〜10の直鎖状及び分岐鎖状の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種とのフルエステル、又は、
(iii)上記(i)及び(ii)の混合物
である。
本発明の自動車用潤滑油に併用基油として、(P)鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種単独を、又は、(P)及び(Q)脂肪族二塩基酸ジエステル及びポリオールエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種(好ましくは、上記(i)〜(iii)、特に、ポリオールエステル、より好ましくは直前に記載した(ii)のネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールと炭素数5〜10の直鎖状及び分岐鎖状の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種とのフルエステル)を併用する場合、(P)単独の含有量又は(P)及び(Q)の合計含有量としては、潤滑油基油(即ち、本エステル+該併用基油)に対して、10〜90重量%が推奨され、特に20〜80重量%が好ましい。換言すると、本エステルの含有量は、潤滑油基油(即ち、本エステル+該併用基油)に対して、90〜10重量%が推奨され、特に80〜20重量%とするのが好ましい。また、(P)と(Q)とを併用する場合、その重量比は広い範囲から適宜選択できるが、一般には、(P):(Q)=100:0〜80:20、特に100:0〜90:10とするのが好ましい。
<添加剤>
本発明の自動車用潤滑油には、その性能を向上させるために、潤滑油基油(即ち、本エステル又は本エステル+併用基油)に加えて、酸化防止剤、金属清浄剤、無灰分散剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等の添加剤の少なくとも1種を適宜配合することも可能である。これらの配合量は、所定の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、その具体的な例を以下に示す。
酸化防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4,4’−メチレンビス−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール等のフェノール系、N−フェニル−α−ナフチルアミン、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン等のアミン系、p,p’−ジノニルジフェニルアミン、混合ジアルキルジフェニルアミン、フェノチアジン等の硫黄系化合物等が例示される。これらの酸化防止剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜3重量%添加することが望ましい。
ここで、「自動車用潤滑油基油に対して0.01〜5重量%」とは、本発明の本エステルからなる又は本エステルと併用基油との混合物からなる自動車用潤滑油基油100重量部に対して、0.01〜5重量部という意味である。以下の同様の表現においても同様である。
金属清浄剤としては、Ca−石油スルフォネート、過塩基性Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、過塩基性Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネート、過塩基性Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、Ca−フェネート、過塩基性Ca−フェネート、Ba−フェネート、過塩基性Ba−フェネートなどの金属フェネート、Ca−サリシレート、過塩基性Ca−サリシレートなどの金属サリシレート、Ca−フォスフォネート、過塩基性Ca−フォスフォネート、Ba−フォスフォネート、過塩基性Ba−フォスフォネートなどの金属フォスフォネート、過塩基性Ca−カルボキシレート等が例示される。これらの金属清浄剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%添加することが望ましい。
無灰分散剤としては、ポリアルケニルコハク酸イミド、ポリアルケニルコハク酸アミド、ポリアルケニルベンジルアミン、ポリアルケニルコハク酸エステル等が例示される。これらの無灰分散剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して1〜10重量%、好ましくは2〜7重量%添加することが望ましい。
油性剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの重合脂肪酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウリルアルコール、オレイルアルコールなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステアリルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族飽和及び不飽和モノアミン、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及び不飽和モノカルボン酸アミド、バチルアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコールなどのグリセリンエーテル、ラウリルポリグリセリンエーテル、オレイルポリグリセリルエーテルなどのアルキル若しくはアルケニルポリグリセリルエーテル、ジ(2−エチルヘキシル)モノエタノールアミン、ジイソトリデシルモノエタノールアミンなどのアルキル若しくはアルケニルアミンのポリ(アルキレンオキサイド)付加物等が例示される。これらの油性剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.1重量%〜3重量%添加することが望ましい。
摩耗防止剤・極圧剤としては、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、アルキルフェニルホスフェート類、トリブチルホスフェート、ジブチルホスフェート等のリン酸エステル類、トリブチルホスファイト、ジブチルホスファイト、トリイソプロピルホスファイト等の亜りん酸エステル類及びこれらのアミン塩等のリン系、硫化油脂、硫化オレイン酸などの硫化脂肪酸、ジベンジルジスルフィド、硫化オレフィン、ジアルキルジスルフィドなどの硫黄系、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Zn−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオフォスフェート、Mo−ジアルキルジチオカルバメートなどの有機金属系化合物等が例示される。これらの摩耗防止剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して0.01重量%〜10重量%、好ましくは0.1重量%〜5重量%添加することが望ましい。
金属不活性剤としては、ベンゾトリアゾール系、チアジアゾール系、没食子酸エステル系の化合物等が例示される。これらの金属不活性剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して0.01〜0.4重量%、好ましくは0.01〜0.2重量%添加することが望ましい。
防錆剤としては、ドデセニルコハク酸ハーフエステル、オクタデセニルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸アミドなどのアルキル又はアルケニルコハク酸誘導体、ソルビタンモノオレエート、グリセリンモノオレエート、ペンタエリスリトールモノオレエートなどの多価アルコール部分エステル、Ca−石油スルフォネート、Ca−アルキルベンゼンスルフォネート、Ba−アルキルベンゼンスルフォネート、Mg−アルキルベンゼンスルフォネート、Na−アルキルベンゼンスルフォネート、Zn−アルキルベンゼンスルフォネート、Ca−アルキルナフタレンスルフォネートなどの金属スルフォネート、ロジンアミン、N−オレイルザルコシンなどのアミン類、ジアルキルホスファイトアミン塩等が例示される。これらの防錆剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%添加することが望ましい。
粘度指数向上剤としては、ポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン、エチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体などのオレフィン共重合体が例示される。これらの粘度指数向上剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して0.1〜15重量%、好ましくは0.5〜7重量%添加することが望ましい。
流動点降下剤としては、塩素化パラフィンとアルキルナフタレンの縮合物、塩素化パラフィンとフェノールの縮合物、既述の粘度指数向上剤であるポリアルキルメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ポリブテン等が例示される。これらの流動点降下剤は、単独で又は組合わせて用いてもよく、これを使用する場合、通常、自動車用潤滑油基油に対して0.01〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%添加することが望ましい。
消泡剤としては、液状シリコーンが適しており、これを使用する場合、その添加量は、通常、自動車用潤滑油基油に対して0.0005〜0.01重量%である。
本発明に係る自動車用潤滑油は、従来公知の潤滑油と比べて耐熱性が同等又はそれ以上であり、且つ、高粘度指数を有し、低温流動性に優れる。
(2)軸受用潤滑油
また、本発明の潤滑油は、軸受用潤滑油として用いることができる。従って、本発明は、本発明の潤滑油の軸受の潤滑のための使用、及び、本発明の潤滑油を用いる軸受の潤滑方法を提供するものでもある。
軸受用潤滑油として用いる場合、本エステルを単独で使用することもでき、また、本エステルの他に併用基油を使用することもできる。併用基油の具体例としては、上記自動車用潤滑油の項で記載した併用基油が挙げられ、これら併用基油から選ばれる少なくとも1種の化合物を適宜併用することができる。それらの配合量も、前記の通りである。
本発明の軸受用潤滑油にこれらの併用基油を用いる場合、その含有量としては、潤滑油基油(即ち、本エステル+併用基油)に対して5〜60重量%、特に10〜40重量%が推奨される。
併用基油の中でも、耐熱性及び潤滑性に優れる点で有機酸エステルが好ましく、更には、耐熱性及び低温粘度のバランスに優れる点で、特に、脂肪酸モノエステル、脂肪族二塩基酸ジエステル及びポリオールエステルが好ましい。
特に好ましい脂肪酸モノエステルとしては、炭素数12〜18の脂肪族直鎖状モノカルボン酸と炭素数8〜10の脂肪族飽和直鎖状一価アルコール又は炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステルが例示される。具体的には、n−ドデカン酸n−オクチル、n−ドデカン酸n−ノニル、n−ドデカン酸n−デシル、n−ドデカン酸2−エチルヘキシル、n−ドデカン酸イソオクチル、n−ドデカン酸イソノニル、n−ドデカン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデカン酸イソデシル、n−ドデカン酸イソウンデシル、n−ドデカン酸イソドデシル、n−ドデカン酸イソトリデシル、n−テトラデカン酸n−ノニル、n−テトラデカン酸n−デシル、n−テトラデカン酸2−エチルヘキシル、n−テトラデカン酸イソオクチル、n−テトラデカン酸イソノニル、n−テトラデカン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、n−テトラデカン酸イソデシル、n−テトラデカン酸イソウンデシル、n−テトラデカン酸イソドデシル、n−テトラデカン酸イソトリデシル、n−ヘキサデカン酸n−ノニル、n−ヘキサデカン酸n−デシル、n−ヘキサデカン酸2−エチルヘキシル、n−ヘキサデカン酸イソオクチル、n−ヘキサデカン酸イソノニル、n−ヘキサデカン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ヘキサデカン酸イソデシル、n−ヘキサデカン酸イソウンデシル、n−ヘキサデカン酸イソドデシル、n−ヘキサデカン酸イソトリデシル、n−オクタデカン酸n−ノニル、n−オクタデカン酸n−デシル、n−オクタデカン酸2−エチルヘキシル、n−オクタデカン酸イソオクチル、n−オクタデカン酸イソノニル、n−オクタデカン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、n−オクタデカン酸イソデシル、n−オクタデカン酸イソウンデシル、n−オクタデカン酸イソドデシル、n−オクタデカン酸イソトリデシル等が例示される。
これらの中でも、潤滑油基油の低温流動性に優れ、かつ、低温粘度が低い点で、n−ドデカン酸2−エチルヘキシル、n−ドデカン酸イソオクチル、n−ドデカン酸イソノニル、n−ドデカン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、n−ドデカン酸イソデシル、n−テトラデカン酸2−エチルヘキシル、n−テトラデカン酸イソオクチル、n−テトラデカン酸イソノニル、n−テトラデカン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、n−テトラデカン酸イソデシルが特に好ましい。
特に好ましい脂肪族二塩基酸ジエステルとしては、アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と、炭素数8〜10の脂肪族飽和直鎖状一価アルコール又は炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステルが例示される。具体的には、アジピン酸ジ(n−オクチル)、アジピン酸ジ(n−ノニル)、アジピン酸ジ(n−デシル)、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソウンデシル、アジピン酸ジイソドデシル、アジピン酸ジイソトリデシル、アゼライン酸ジ(n−オクチル)、アゼライン酸ジ(n−ノニル)、アゼライン酸ジ(n−デシル)、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジイソウンデシル、アゼライン酸ジイソドデシル、アゼライン酸ジイソトリデシル、セバシン酸ジ(n−オクチル)、セバシン酸ジ(n−ノニル)、セバシン酸ジ(n−デシル)、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソオクチル、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ジイソウンデシル、セバシン酸ジイソドデシル、セバシン酸ジイソトリデシルが挙げられる。
これらの中でも、潤滑油基油の低温流動性に優れる点で、アジピン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジイソトリデシル、アゼライン酸ジ(2−エチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソノニル、アゼライン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、アゼライン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジイソトリデシル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジ(3,5,5−トリメチルヘキシル)、セバシン酸ジイソデシル、セバシン酸ジイソトリデシルが特に好ましい。
また、特に好ましいポリオールエステルとしては、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール又はジペンタエリスリトールと、炭素数4〜10の直鎖状及び/又は分岐鎖状の脂肪酸とのフルエステルが例示される。具体的には、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール若しくはジペンタエリスリトールからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールと、n−ブタン酸、n−ペンタン酸、n−ヘキサン酸、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン酸、イソブタン酸、イソペンタン酸、イソヘキサン酸、イソヘプタン酸、イソオクタン酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、イソデカン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の脂肪族モノカルボン酸から得られるフルエステルが例示される。
これらの中でも、潤滑油基油の耐熱性、低温流動性及び低温粘度のバランスに優れる点で、(i)n−ドデカン酸又はn−テトラデカン酸と炭素数8〜10の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのエステル、(ii)アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステル、(iii)ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールと炭素数5〜10の直鎖状及び分岐鎖状の脂肪酸とのフルエステル、又は(iv)上記(i)〜(iii)の混合物が最も好ましい。
本発明に係る軸受用潤滑油に、併用基油として脂肪酸モノエステル、脂肪族二塩基酸エステル及びポリオールエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種(特に、上記(i)〜(iv))を併用する場合、その含有量としては、潤滑油基油(即ち、本エステル+該併用基油)に対して、5〜60重量%が推奨され、特に10〜40重量%が好ましい。
本発明に係る軸受用潤滑油には、その性能を向上させるために、酸化防止剤、油性剤、摩耗防止剤、極圧剤、金属不活性剤、防錆剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、消泡剤等の添加剤の少なくとも1種を適宜配合することも可能である。尚、これらの各添加剤の具体的な例と配合量は、既述の自動車用潤滑油の項において記載されたものと同じである。
更に、加水分解抑制剤を配合することも可能であり、具体的には、アルキルグリシジルエーテル類、アルキレングリコールグリシジルエーテル類、脂環式エポキシ類、フェニルグリシジルエーテルなどのエポキシ化合物、ジ−tert−ブチルカルボジイミド、1,3−ジ−p−トリルカルボジイミドなどのカルボジイミド化合物が使用可能であり、通常、軸受用潤滑油基油に対して0.05重量%〜2重量%添加するのが望ましい。
本発明に係る軸受用潤滑油は、従来公知の潤滑油と比べて耐熱性が同等又はそれ以上であり、且つ、高粘度指数を有し、低温流動性に優れる。
又、本発明の軸受用潤滑油は、各種の軸受装置に使用することが可能であり、焼結合油軸受、及び、玉軸受等への使用に適する。更に、本発明の軸受用潤滑油は、種々の材質の軸受に使用することができる。具体的には、鉄系軸受、銅系軸受、鉛系軸受などが例示される。
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、本実施例において潤滑油の物理特性及び化学特性は以下の方法により測定した。
全酸価
JIS−K−2501に準拠して測定した。
水酸基価
JIS−K−0070に準拠して測定した。
ヨウ素価
基準油脂分析法2.3.4.1−1996に準拠して測定した。
硫酸灰分
JIS−K−2272に準拠して測定した。
動粘度
JIS−K−2283に準拠して、0℃、40℃、100℃における動粘度を測定した。
粘度指数
JIS−K−2283に準拠して算出した。
低温流動性試験
JIS−K−2269に準拠して流動点を測定した。
耐熱性試験
潤滑油の耐熱性試験は、通常、酸化防止剤などの添加剤を加えて行われる。本発明の実施例の潤滑油も比較例の潤滑油も同一の添加剤を配合して耐熱性試験を行った。
より詳しくは、実施例又は比較例の各々のエステルに対し、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール0.5重量%を添加溶解させて潤滑油(以下、この組成のものを「添加油」という)を調製した。次いで、内径53mm、高さ56mmの50mLビーカーに上記添加油2gを入れ、200mLビーカーで蓋をした後、オーブン中160℃で48時間加熱した。試験後、添加油の揮発量(重量%)を下式により算出した。揮発量が少ないほど耐熱性に優れる。
添加油の揮発量=100×(Wo−W)/Wo
上記式中、Woは試験前の重量を示し、Wは試験後の重量を示す。
金属適合性試験
実施例又は比較例のエステルを50mL共栓付試験管に約50mLを入れ、金属片(鉄、銅、鉛)を入れ、オーブン中90℃で14日間加熱した。試験後、濾過処理したエステルの全酸価を測定する。全酸価の上昇が少ないものほど金属との適合性が良好である。また、試験片は下記のものを使用した。
鉄: 針金(長さ40mm、径1.6mm)、表面を研磨紙(600番)で磨いた後に使用した。
銅: 針金(長さ40mm、径1.6mm)、表面を研磨紙(600番)で磨いた後に使用した。
鉛: 塊状鉛(約1g、ナカライテスク製品)
生分解性試験
生分解性はOECD301C法に準じて、試料油、比較油30mgのそれぞれに基礎培養液300mL及び固形分として30ppmの活性汚泥(都市下水処理場からの汚水を人工下水にて馴化したもの)を添加し、25℃で28日間攪拌し、生物学的酸素消費量(BOD)をクーロメーター(大倉電気社製)で測定し、その理論消費量(総酸素消費量:TOD)との比[(BOD/TOD)×100:%]を生分解率とする。尚、活性汚泥の生分解能を確認するために、標準物質であるアニリンが7日目で40%以上、14日目で65%以上の分解率を示すときのみ、有効な生分解性試験とした。
一般式(e1)及び(e2)で表されるエステルの含有量
各製造例で得られた複合エステル(エステル化反応の副生物を微量含む)をGPC分析に供することにより測定した。測定結果を、複合エステルに対する重量%で示す。
製造例1
撹拌器、温度計及び冷却管付き水分分留受器を備えた1リットルの四ツ口フラスコにn−オクタン酸445.0g(3.26モル)、アジピン酸59.6g(0.41モル)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール236g(2モル)、キシレン(酸及びアルコールの総量に対し5重量%)及び触媒として酸化スズ(酸及びアルコールの総量に対し0.2重量%)を仕込み、窒素雰囲気下、減圧にて220℃まで昇温した[n−オクタン酸:アジピン酸=80:20(当量比)]。理論生成水量(72g)を目安にして留出してくる生成水を水分分留受器で除去しながらエステル化反応を約7時間行った。
反応終了後、過剰の酸及びキシレンを蒸留(条件:140℃、50mmHg以下)で除去した。次いで、反応終了後の全酸価に対して過剰の苛性ソーダ水溶液で中和後、中性になるまで水洗してエステル化反応粗物を得た。さらに得られたエステル化反応粗物は活性炭で処理後、濾過をして3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル626gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は2.2mgKOH/g以下、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例2
n−オクタン酸を325.2g(2.45モル)、アジピン酸を119.1g(0.82モル)[n−オクタン酸:アジピン酸=60:40(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル562gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1.8mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例3
n−オクタン酸を235g(1.63モル)、アジピン酸を178.7g(1.22モル)[n−オクタン酸:アジピン酸=40:60(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル549gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は3.3mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例4
n−オクタン酸を411.3g(2.86モル)、アジピン酸に代えてアゼライン酸115.1g(0.61モル)[n−オクタン酸:アゼライン酸=70:30(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/アゼライン酸から得られる複合エステル638gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1.4mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例5
n−オクタン酸を470g(3.26モル)、アジピン酸に代えてセバシン酸82.4g(0.41モル)[n−オクタン酸:セバシン酸=80:20(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル670gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は2.3mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例6
n−オクタン酸を352.2g(2.45モル)、アジピン酸に代えてセバシン酸164.8g(0.82モル)[n−オクタン酸:セバシン酸=60:40(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル607gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は2.8mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例7
n−オクタン酸に代えてn−ヘプタン酸318.2g(2.45モル)を用い、アジピン酸を119.1g(0.82モル)[n−ヘプタン酸:アジピン酸=60:40(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ヘプタン酸/アジピン酸から得られる複合エステル557gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1.1mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例8
n−オクタン酸に代えてn−ノナン酸580.2g(3.67モル)を用い、アジピン酸を29.2g(0.20モル)[n−ノナン酸:アジピン酸=90:10(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン峻/アジピン酸から得られる複合エステル677gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は0.8mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100gであった。
製造例9
n−オクタン酸に代えてn−ノナン酸515.7g(3.26モル)を用い、アジピン酸を59.6g(0.41モル)[n−ノナン酸:アジピン酸=80:20(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル663gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1.2mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例10
n−オクタン酸に代えてn−ノナン酸515.1g(3.26モル)を用い、3−メチル−1,5−ペンタンジオールに代えて2−メチル−1,4−ブタンジオール208g(2モル)[n−ノナン酸:アジピン酸=80:20(当量比)]を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、2−メチル−1,4−ブタンジオール/n−ノナン酸/アジピン酸から得られる複合エステル590gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1.5mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例11
n−オクタン酸を528.8g、アジピン酸に代えてセバシン酸41.2g(0.2モル)[n−オクタン酸:セバシン酸=90:10(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/セバシン酸から得られる複合エステル683gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は0.6mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例12
n−オクタン酸に代えて、n−オクタン酸317.3g(2.2モル)及びn−デカン酸252.6g(1.47モル)を用い、アジピン酸を29.8g(0.2モル)[n−オクタン酸:n−デカン酸:アジピン酸=54:36:10(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル713gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は0.9mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例13
n−オクタン酸に代えて、n−ノナン酸361g(2.29モル)及びn−デカン酸168.4g(0.98モル)を用い、アジピン酸を59.6g(0.41モル)[n−ノナン酸:n−デカン酸:アジピン酸=56:24:20(当量比)]とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/n−デカン酸/アジピン酸から得られる複合エステル701gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は2.0mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例14
n−オクタン酸に代えて、n−オクタン酸235g(1.63モル)及び2−エチルヘキサン酸235g(1.63モル)を用い、アジピン酸を59.6g(0.41モル)[n−オクタン酸:2−エチルヘキサン酸:アジピン酸=40:40:20(当量比)]とし、反応時間を約10時間とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−オクタン酸/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル627gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は3.1mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例15
n−オクタン酸に代えて、n−ノナン酸257.9g(1.63モル)及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸257.9g(1.63モル)を用い、アジピン酸を59.6g(0.41モル)[n−ノナン酸:3,5,5−トリメチルヘキサン酸:アジピン酸=40:40:20(当量比)]とし、反応時間を約8時間とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル665gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1.1mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例16
n−オクタン酸に代えて2−エチルヘキサン酸470g(3.26モル)を用い、アジピン酸を59.6g(0.41モル)[2−エチルヘキサン酸:アジピン酸=80:20(当量比)]とし、さらに反応時間を約16時間とした以外は製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル622gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は3.5mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例17
n−オクタン酸に代えて3,5,5−トリメチルヘキサン酸451.2g(2.86モル)を用い、アジピン酸を89.4g(0.61モル)[3,5,5−トリメチルヘキサン酸:アジピン酸=80:20(当量比)]とし、3−メチル−1,5−ペンタンジオールに代えて1,3−ブタンジオールを用い、反応時間を約9時間とした以外は、製造例1と同様の方法により、1,3−ブタンジオール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル541gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/gで、水酸基価は0.7mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例18
n−オクタン酸に代えてn−ノナン酸386.8g(2.45モル)及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸128.9g(0.82モル)を用い、アジピン酸を59.6g(0.41モル)[n−ノナン酸:3,5,5−トリメチルヘキサン酸:アジピン酸=60:20:20(当量比)]とし、反応時間を10時間とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル663gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/gで、水酸基価は3.8mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例19
n−オクタン酸に代えてn−ノナン酸459.3g(2.91モル)及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸153.1g(0.97モル)を用い、アジピン酸を14.9g(0.10モル)[n−ノナン酸:3,5,5−トリメチルヘキサン酸:アジピン酸=71:24:5(当量比)]とし、反応時間を10時間とした以外は、製造例1と同様の方法により、3−メチル−1,5−ペンタンジオール/n−ノナン酸/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル725gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/gで、水酸基価は1.7mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例20
3−メチル−1,5−ペンタンジオールに代えてネオペンチルグリコール208g(2.0モル)を用いた以外は、製造例16と同様の方法により、ネオペンチルグリコール/2−エチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル586gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は1.4mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
製造例21
2−エチルヘキサン酸に代えて3,5,5−トリメチルヘキサン酸515.1g(3.26モル)を用いた以外は製造例20と同様の方法により、ネオペンチルグリコール/3,5,5−トリメチルヘキサン酸/アジピン酸から得られる複合エステル627gを得た。得られたエステルの全酸価は0.01mgKOH/g、水酸基価は0.5mgKOH/g、硫酸灰分は10ppm未満、ヨウ素価は0.5g/100g未満であった。
【実施例1〜19】
製造例1〜19で得られた複合エステルの複合エステルの動粘度、粘度指数、低温流動性試験、耐熱性試験、金属適合性試験及び生分解性試験の結果を表1に示した。表1において、かっこ内に記載されている酸成分の比は、当量比を表す。
比較例1及び2
製造例20及び21で得られたネオペンチルグリコールを脂肪族二価アルコール成分とする複合エステルの動粘度、粘度指数、低温流動性試験、耐熱性試験、金属適合性試験及び生分解性試験の結果を表1に示した。表1において、かっこ内に記載されている酸成分の比は、当量比を表す。
【実施例20】
製造例5で得られた複合エステル:ミリスチン酸2−エチルヘキシル=90:10(重量比)からなる潤滑油の動粘度、粘度指数、低温流動性、耐熱性試験、金属適合性の結果を表2に示した。表2において、かっこ内に記載されている酸成分の比は、当量比を表す(以下同じ)。
【実施例21】
製造例8で得られた複合エステル:セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)=60:40(重量比)からなる潤滑油の動粘度、粘度指数、低温流動性、耐熱性試験、金属適合性の結果を表2に示した。
【実施例22】
製造例8で得られた複合エステル:100ニュートラル鉱油=70:30(重量比)からなる潤滑油の動粘度、粘度指数、低温流動性、耐熱性試験、金属適合性の結果を表2に示した。
ここで、100ニュートラル鉱油とは、中低粘度の鉱物油基油留分を脱ロウ後、白土処理又は水素化処理したものである。
【実施例23】
製造例9で得られた複合エステル:ネオペンチルグリコールの混基脂肪酸エステル[n−オクタン酸:n−ノナン酸=75:25(当量比)]=80:20(重量比)からなる潤滑油の動粘度、粘度指数、低温流動性、耐熱性試験、金属適合性の結果を表2に示した。
比較例3
100ニュートラル鉱油の動粘度、粘度指数、低温流動性、耐熱性試験、金属適合性の結果を表2に示した。





表1から明らかなように、本発明の潤滑油は低粘度、高粘度指数、耐熱性、低温流動性、金属適合性などの基本要求特性のバランスに優れている。これに対して、比較例1及び2のようにネオペンチル構造を有する二価アルコールを用いた複合エステルを使用した潤滑油は、粘度指数が低く温度による粘度変化が大きく、また、本発明の潤滑油に比べて揮発量が大きく耐熱性の点で劣る。
更に、実施例1〜13の本願発明の潤滑油は、上記基本要求特性のバランスに優れていることに加え、良好な生分解性を有している点で優れている。
また、表2から、併用基油として脂肪族モノエステル、脂肪族二塩基酸ジエステル及びポリオールエステルを用いた場合、これらの低温流動性、流動点を改善し、低温粘度、粘度指数、低温流動性及び耐熱性のバランスに優れたものが提供できる。
また、安価な鉱物油を併用した場合において、鉱物油の性能を改善することが可能であり、経済性に優れた潤滑油を提供できる点で優れている。
【産業上の利用可能性】
本発明の潤滑油は、低粘度、高粘度指数、耐熱性、低温流動性、金属適合性などの基本要求特性のバランスに優れていることから、ガソリンエンジン油、ディーゼルエンジン油、ガスエンジン油などのエンジン油、ギア油、自動変速機油、無段変速機油などの駆動系潤滑油、軸受用潤滑油の他、ジェットエンジン油、油圧作動油、コンプレッサー油、ガスタービン油、グリース基油などに好適に使用することができる。また、これらの中で生分解性の優れた潤滑油は環境中に放出される可能性が大きい用途に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)及び炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族飽和モノカルボン酸、
(B)炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸、及び
(C)下記一般式(1)
HO−X−OH (1)
[式中、Xは直鎖状又は1個若しくは2個の分枝を有する炭素数2〜10の脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて形成される残基を表す。但し、Xが2個の分枝を有する場合、2個の分枝は同一の炭素原子に結合していないものとする。]
で表される脂肪族二価アルコール
をエステル化反応に供することにより得られ、エステル化反応の際に(即ち、エステル化反応の開始時に)(A)成分と(B)成分の比率が(A):(B)=98:2〜40:60(当量比)である脂肪族二価アルコール複合エステルの少なくとも1種であって、
該複合エステルが、全酸価0.1mgKOH/g以下、水酸基価50mgKOH/g以下、硫酸灰分30ppm以下、ヨウ素価1.0以下である脂肪族二価アルコール複合エステルの少なくとも1種を含有する潤滑油。
【請求項2】
上記複合エステルが、一般式(e1)

[式中、Xは一般式(1)におけると同義であり、R及びRは同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]及び
一般式(e2)

[式中、kは1以上の整数である。Xは一般式(1)におけると同義であり、k+1個のXは互いに同一か、又は異なっていてもよい。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Bは、炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸(B)から、2個のカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表される縮合エステルを含有しており、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量が該複合エステルに対して10〜90重量%であり、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量と上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量との合計が、該複合エステルに対して、95重量%以上である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項3】
複合エステルが、エステル化反応の際に(即ち、エステル化反応の開始時に)(A)成分と(B)成分の比率を(A):(B)=95:5〜70:30(当量比)に調整して得られる請求項1に記載の潤滑油。
【請求項4】
(A)成分が、(a1)成分単独であるか又は(a1)成分と(a2)成分との混合物であって、(A)成分における(a1)成分と(a2)成分のモル比率が100:0〜40:60である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項5】
(A)成分における(a1)成分が、炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項6】
(A)成分における(a2)成分が、炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項7】
(A)成分が(a1)成分単独である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項8】
(B)成分が炭素数6〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項9】
(C)成分が、一般式(1)においてXが1個若しくは2個の分枝を有する脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて得られる残基である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項10】
(C)成分が、一般式(1)においてXが1個の分枝を有する脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて得られる残基である請求項9に記載の潤滑油。
【請求項11】
(C)成分が、一般式(1)においてXがメチル基である分枝1個を有する脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて得られる残基である請求項10に記載の潤滑油。
【請求項12】
(C)成分が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項10に記載の潤滑油。
【請求項13】
(A)成分が、(a1)炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸の少なくとも1種であり、
(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、
(C)成分が、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種の二価アルコールである請求項1に記載の潤滑油。
【請求項14】
(A)成分が、n−ヘプタン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸及びn−デカン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のモノカルボン酸であり、(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、(C)成分が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項1に記載の潤滑油。
【請求項15】
(A)成分が、(a2)炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸の少なくとも1種であり、
(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、及び
(C)成分が、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1種の二価アルコールである請求項1に記載の潤滑剤。
【請求項16】
(A)成分が、(a2)2−エチルヘキサン酸及び3,5,5,−トリメチルヘキサン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸から選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、
(C)成分が、3−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項1に記載の潤滑剤。
【請求項17】
(A)成分が、(a1)炭素数7〜10の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸の少なくとも1種と(a2)炭素数7〜9の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボンの少なくとも1種との混合物であり、
(B)成分が、アジピン酸、アゼライン酸及びセバシン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸であり、
(C)成分が、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,5−ヘキサンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の二価アルコールである請求項1に記載の潤滑剤。
【請求項18】
(a2)成分が、2−エチルヘキサン酸及び3,5,5−トリメチルヘキサン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、(C)成分が3−メチル−1,5−ペンタンジオールである請求項17に記載の潤滑油。
【請求項19】
前記複合エステルの40℃における動粘度が7〜15mm/sであり、粘度指数が160以上である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項20】
前記複合エステルの40℃における動粘度が15〜100mm/sであり、粘度指数が180以上である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項21】
前記複合エステルの流動点が−20℃以下である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項22】
前記複合エステルの40℃における動粘度が7〜100mm/s、粘度指数が170以上、及び流動点が−40℃以下である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項23】
前記複合エステルの40℃における動粘度が7〜100mm/s、粘度指数が100以上、及び流動点が−60℃以下である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項24】
エンジン油、ギヤ油、自動変速機油、無段変速機油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油又はアクティブサスペンション油である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項25】
更に併用基油を含有しており、該併用基油が
(I)鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は、
(II)該鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種と、動植物油、前記複合エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル及びシリコーン油よりなる群から選ばれる少なくとも1種との混合物である請求項24に記載の潤滑油。
【請求項26】
併用基油が、
(I)鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種であるか、又は、
(II)鉱物油及び合成炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種と有機酸エステルとの混合物であり、該有機酸エステルが、
(i)アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステル、
(ii)ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールと炭素数5〜10の直鎖状及び分岐鎖状の脂肪酸から選ばれる少なくとも1種とのフルエステル、又は
(iii)上記(i)及び(ii)の混合物
である請求項25に記載の潤滑油。
【請求項27】
軸受用潤滑油である請求項1に記載の潤滑油。
【請求項28】
更に、鉱物油、合成炭化水素油、動植物油、前記複合エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル及びシリコーン油よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を併用基油として含有する請求項27に記載の潤滑油。
【請求項29】
併用基油が、
(i)n−ドデカン酸又はn−テトラデカン酸と炭素数8〜10の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのエステル、
(ii)アジピン酸、アゼライン酸又はセバシン酸と炭素数8〜13の脂肪族飽和分岐鎖状一価アルコールとのフルエステル、
(iii)ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はペンタエリスリトールと炭素数5〜10の直鎖状及び分岐鎖状の脂肪酸とのフルエステル、又は
(iv)上記(i)〜(iii)の混合物
である請求項28に記載の潤滑油。
【請求項30】
請求項1に記載の潤滑油の、エンジン油、ギヤ油、自動変速機油、無段変速機油、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油又はアクティブサスペンション油、或いは、軸受用潤滑油としての使用。
【請求項31】
請求項1に記載の潤滑油を用いることを特徴とするエンジン、ギヤ、自動変速機、無断変速機、ショックアブソーバー、パワーステアリング又はアクティブサスペンションの、或いは、軸受の潤滑方法。
【請求項32】
(i) 一般式(e1)

[式中、Xは直鎖状又は1個若しくは2個の分枝を有する炭素数2〜10の脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて形成される残基を表す。但し、Xが2個の分枝を有する場合、2個の分枝は同一の炭素原子に結合していないものとする。
及びRは同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表されるフルエステル及び
(ii) 一般式(e2)

[式中、kは1以上の整数である。Xは一般式(e1)におけると同義であり、k+1個のXは互いに同一か、又は異なっていてもよい。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Bは、炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸から、2個のカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表される縮合エステル
を含有する複合エステルであって、上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量が該複合エステルに対して10〜90重量%であり、
上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量が該複合エステルに対して5〜85重量%であり、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量と上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量との合計が、該複合エステルに対して95重量%以上である複合エステルを含有するか、或いは、
該複合エステルと、鉱物油、合成炭化水素油、動植物油、該複合エステル以外の有機酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリビニルエーテル、ポリフェニルエーテル、アルキルフェニルエーテル及びシリコーン油よりなる群から選ばれる少なくとも1種の併用基油との混合物を含有する潤滑油。
【請求項33】
(i) 一般式(e1)

[式中、Xは、直鎖状又は1個若しくは2個の分枝を有する炭素数2〜10の脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて形成される残基を表す。但し、Xが2個の分枝を有する場合、2個の分枝は同一の炭素原子に結合していないものとする。
及びRは同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表されるフルエステル及び
(ii) 一般式(e2)

[式中、kは1以上の整数、特に1〜8、好ましくは1〜3である。Xは一般式(e1)におけると同義であり、k+1個のXは互いに同一か、又は異なっていてもよい。R及びRは、同一又は異なって、それぞれ、炭素数4〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸若しくは炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸からカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。Bは、炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸から、2個のカルボキシル基を除いて得られる残基を表す。]
で表される縮合エステル
を含有する複合エステルであって、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量が、該複合エステルに対して10〜90重量%であり、
上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量が、該複合エステルに対して5〜85重量%であり、
上記一般式(e1)で表されるフルエステルの含量と上記一般式(e2)で表される縮合エステルの含量との合計が、該複合エステルに対して95重量%以上である複合エステル。
【請求項34】
請求項33に記載の複合エステルの製造方法であって、
(i)(A)炭素数46〜18の脂肪族直鎖状飽和モノカルボン酸(a1)及び炭素数4〜18の脂肪族分岐鎖状飽和モノカルボン酸(a2)からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族飽和モノカルボン酸、
(B)炭素数2〜10の脂肪族直鎖状二塩基酸、及び
(C)下記一般式(1)
HO−X−OH (1)
[式中、Xは直鎖状又は1個若しくは2個の分枝を有する炭素数2〜10の脂肪族二価アルコールから2個の水酸基を除いて形成される残基を表す。但し、Xが2個の分枝を有する場合、2個の分枝は同一の炭素原子に結合していないものとする。]
で表される脂肪族二価アルコール
を、(A)成分と(B)成分の比率が(A):(B)=98:2〜40:60(当量比)で使用し、且つ、(A)成分及び(B)成分からなる酸成分を、(C)成分であるアルコール成分1当量に対して1.01〜1.05当量用いて、水同伴剤及び触媒の存在下でエステル化し、
(ii)得られたエステル化反応生成物を続いてアルカリ洗浄すること
を含む製造法。

【国際公開番号】WO2004/087847
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−504279(P2005−504279)
【国際出願番号】PCT/JP2004/004660
【国際出願日】平成16年3月31日(2004.3.31)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】