説明

潤滑組成物

【課題】 含リン化合物濃度を減じて含んでなり、潤滑油の酸化劣化を減じる添加剤を含む潤滑油組成物。
【解決手段】 本発明は、多量の基油、及び
少量の、(i)アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;(ii)アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【化1】


[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び(iii)石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、を含んでなる添加剤組成物、を含んでなる潤滑油組成物を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、添加剤と潤滑油組成物並びにその使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジン及び自動車またはトラックの変速装置に使用されるような潤滑油は、使用中に厳しい環境に供される。この環境の結果、オイル中の不純物が触媒となって且つ使用中のオイルの温度上昇で促進されてオイルの酸化を引き起こす。
【0003】
潤滑油の酸化はオイル中のスラッジの生成をもたらし、潤滑油の粘度特性を悪化させる。この酸化は、しばしば潤滑油の寿命をかなり改善する適当な酸化防止添加剤を選択することによりある程度まで抑制される。酸化防止添加剤は、例えば許容できない粘度上昇及び/またはデポジットの形成を減じるまたは防止することにより潤滑油の耐用寿命を延長することができる。
【0004】
更に潤滑油組成物中の磨耗防止剤の適切なバランスを選択してエンジンの金属表面を磨耗劣化から保護すれば、金属表面の寿命をかなり増大させることができる。磨耗防止剤は金属表面上に薄膜を形成し、これが金属と金属の接触を防止して、磨耗量の低下をもたらす。よく知られ且つ通常使用される磨耗防止剤はジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)である。
【0005】
しかしながら、潤滑油がさらされる、高温及び/または高圧を含む厳しい環境は、潤滑油組成物中でZDDPを分解する。研究によれば、主に過去50年にわたって乗用車のモーターオイル及び大型ジーゼル用の調合物にとって頼みの綱であった磨耗防止剤であるZDDP化合物に由来するリンは、いくつかの排気ガス触媒を不活性化することが示された。結果として、未来のエンジン油はリン量が低減されるであろう。更にZDDPが分解し且つ亜鉛分子を遊離するにつれて、これらの亜鉛分子は潤滑油組成物中に存在する他の有用な添加剤と反応し、エンジンの性能に悪影響をもたらすスラッジや他の粒状物を形成しうる。これらの望ましくない酸化の影響は、絶えずより厳しくなるエンジン性能の必要条件に適応する際の問題となる。
【0006】
含リン化合物、例えばZDDP量を単に減じることは、付随する磨耗防止性の低下の問題の故に実際的な解決にならない。従って潤滑油組成物は、含リン化合物濃度を減じて含んでなり、潤滑油の酸化劣化を減じる改良された添加剤を含むことが望ましいであろう。
【0007】
(発明の概略)
本開示によれば、(i)アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;(ii)アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び(iii)石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、を含んでなる添加剤組成物が提供される。
【0010】
ある観点では、多量の基油、及び
少量の、(i)アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;(ii)アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0011】
【化2】

【0012】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び(iii)石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、を含んでなる、潤滑油組成物も提供される。
【0013】
更に多量の基油、及び
少量の、(i)アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;(ii)アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0014】
【化3】

【0015】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び(iii)石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、を含んでなる潤滑油組成物を機械に提供することを含んでなる、潤滑油組成物の粘度上昇の開始を遅延させる方法が提供される。
【0016】
本開示の他の観点は、機械の少なくとも1つの作動部品(moving part)を潤滑する方法に関する。この方法は、多量の基油と少量の添加剤組成物を含んでなる潤滑油組成物を該少なくとも1つの作動部品と接触させることを含んでなる。この添加剤組成物は、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0017】
【化4】

【0018】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但しR、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、を含んでなる。
【0019】
更に、多量の基油、及び少量の、(i)アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;(ii)アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0020】
【化5】

【0021】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但しR、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び(iii)石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、を含んでなる潤滑油組成物を機械に付与することを含んでなる、機械の運転法が提供される。
【0022】
本開示の更なる利点は、以下の記述で部分的に説明されるであろうし、及び/または本開示の実施で知ることができよう。前述の一般的な記述及び以下の詳細な記述は単なる例示且つ説明に過ぎず、特許請求の範囲で示したような本開示を限定するものでないことを理解すべきである。
【0023】
[発明の詳細な記述]
本開示は、一般に(i)アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;(ii)アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0024】
【化6】

【0025】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び(iii)石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、を含んでなる添加剤組成物に関する。更にその応用は、多量の基油及び少量の上述して添加剤組成物を含んでなる潤滑油組成物に関する。
【0026】
本明細書で使用されるような「多量」とは、組成物の全重量に対して50重量%以上またはそれに等しい量、例えば約80‐約98重量%を意味するものと理解される。更に、本明細書で使用されるような「少量」とは、組成物の全重量に対して50重量%未満の量を意味するものと理解される。
【0027】
本明細書で使用されるような「芳香族」または「アリール」とは、特に断らない限り、この種の、置換または未置換の非脂肪族ヒドロカルビルまたはヘテロ環式残基に関するもの、例えば単環或いは融合したまたは共有結合的に結合した多環(3環まで)を有することができる多置換の、典型的には芳香族、環式ヒドロカルビル、またはヘテロ環式置換基である。ヒドロカルビル芳香族残基の例は、フェニル、ナフチル、ビフェニレニル、フェナンスレニル、フェナレニル、などを含む。そのような残基は1つまたはそれ以上のヒドロカルビル置換基で随時置換されていてよい。他のアリール残基で置換されたアリール残基、例えばビフェニルも包含される。ヘテロ環式のアリールまたは芳香族残基は、環に炭素原子と更に1つまたはそれ以上のヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄及び/またはリンを含む不飽和環状残基に関するものである。適当なヘテロ環式アリールまたは芳香族残基の例は、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、ピラニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピラジニル、チアゾリルなどを含む。そのような残基は1つまたはそれ以上の置換基、例えばヒドロキシ、随時置換された低級アルキル、随時置換された低級アルコキシ、アミノ、アミド、エステル残基及びカルボニル残基(例えばアルデヒドまたはケトン残基)で置換されていてもよい。
【0028】
本明細書で使用されるような「アルカリール」とは、特に断らない限り、上述した置換または未置換の非脂肪族ヒドロカルビルまたはヘテロ環式残基、例えばフェニル、ナフチル、ベンジル、などのいずれかで置換されたアルキル基に関する。そのような残基は、1つまたはそれ以上の置換基、例えばヒドロキシ、アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、エステル残基及びカルボニル残基(例えばアルデヒドまたはケトン残基)で置換されていてもよい。
【0029】
本明細書で使用されるような「炭化水素」、「ヒドロカルビル」または「炭化水素に基づく」とは、本発明との関連の中で記述する基が主に炭化水素特性を有することを意味する。これらは本質的に純粋に炭化水素、即ち炭素と水素だけを含む基を包含する。更にそれらは、基の主たる炭化水素特性を変えない置換基または原子を含有する基を含んでいてもよい。そのような置換基は、ハロ、アルコキシ、ニトロなどを含むことができる。これらの基はヘテロ原子を含んでいてもよい。適当なヘテロ原子は同業者にとって明白であろうが、例えば硫黄、窒素及び酸素を含む。それ故に本発明の関連においてこれらの基は、性質的に主に炭化水素を残しつつ、さもなければ炭素原子からなる分子鎖または環内に炭素以外の原子が存在してもよい。
【0030】
本開示の組成物に使用するのに適したトリアゾール化合物は、置換または未置換トリアゾール化合物を含めて、いずれかのトリアゾールであってよい。いくつかの具体例において、トリアゾール化合物は1,2,3−トリアゾール化合物である。他の具体例において、トリアゾール化合物は1,2,4−トリアゾール化合物である。ある具体例において、トリアゾール化合物はアルキルビス‐3‐アミノ‐1,2,4‐トリアゾールではない。
【0031】
例として、トリアゾール化合物は単環または多環、例えば共有結合で結合した環を含んでなる置換または未置換アリール残基で置換されていてもよい。共有結合で結合した環を含んでなる置換芳香族残基の非限定的例は、ビフェニル、1,1’−ビナフチル、p,p’−ビトリル、ビフェニレニルなどを含む。他の例として、アリール残基は融合した多環を含んでなってもよい。融合多環を含んでなるアリール残基の非限定的例は、ナフチル、アンスリル、ピレニル、フェナンスレニル、フェナレニルなどを含む。更なる例として、アリール残基はトリアゾールに共有結合する単環を含んでなってもよい。トリアゾールに共有結合する単環を含んでなるアリール残基の非限定的例は、フェニルなどである。他の例として、アリール残基はトリアゾールに融合する単環を含んでなってもよい。トリアゾールに融合する単環を含んでなるアリール残基の非限定的例は、ベンゾトリアゾール及びトリルトリアゾールを含む。ここで使用するのに適当な市販のトリアゾール化合物の例はトリルトリアゾールである。これは80−83℃の範囲の融点、182℃の引火点、及び160℃の沸点を有する薄茶色の粉末である。
【0032】
ある具体例において、トリアゾール化合物は下式(II)
【0033】
【化7】

【0034】
[式中、Rは水素及び炭素数約1−約24のアルキル残基からなる基から選択され、そしてRは水素、炭素数約1−約24のアルキル残基、及び置換されたヒドロカルビル残基から選択される]
で表すことができる。他の具体例において、式(II)で表されるトリアゾール化合物のR及びRはそれぞれ独立に炭素原子を約1−約16含んでなってよい。
【0035】
トリアゾール化合物は、同業者が容易に決定できる有効量で、本開示の潤滑油及び添加剤組成物中に存在することができる。ある具体例において、本開示の潤滑組成物は、組成物の全重量に対して約0.05−約0.5重量%、例えば約0.1−約0.3重量%のトリアゾール化合物を含んでなってよい。他の具体例において、本開示の添加剤組成物は、組成物の全重量に対して約0.48−約5重量%のトリアゾール化合物を含んでなってよい。
【0036】
ここで開示される組成物は、少なくとも1つの窒素を含有する化合物を含んでなってもよい。この窒素含有化合物は下記の式(I)で表される化合物及びアルキル化フェノチアジン化合物から選択することができる。
【0037】
本発明のある観点において、該窒素含有化合物は式(I)
【0038】
【化8】

【0039】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される。例えばR、R及びRはそれぞれ独立に炭素数約6−約30の置換または未置換アリール基から選択することができる。適当なアリール基の非限定的例は、フェニル、ベンジル、及びナフチルを含む。アリール基に対する適当な置換基の非限定的例は、アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、アミン及びニトロ残基を含む。アルキル置換アリール基の例は、1つまたはそれ以上のアルキル基で置換されたベンジル、フェニル、及びナフチル基を含む。但しこのアルキル基は炭素数約4−約30、例えば約4−約12を含んでなる。他の例として、R、R及びRはそれぞれ独立にアルキル置換のベンジル、フェニル、及びナフチル基から選択できる。他の例において、R、R及びRの少なくとも1つは水素である。
【0040】
適当な式(I)の含窒素化合物の非限定的例は、フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン;種々のアルキル化フェニルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン;N,N’−ビス(4−アミノフェニル)ーアルキルアミン;3−ヒドロキシジフェニルアミン;N−フェニル−1,2−フェニレンジアミン;N−フェニル−1,4−フェニレンジアミン;ジブチルジフェニルアミン;ジオクチルジフェニルアミン;ジノニルジフェニルアミン;フェニル−α−ナフチルアミン;フェニル−β−ナフチルアミン;ジヘプチルジフェニルアミン;及びp−配向スチレン化ジフェニルアミンを含む。適当な含窒素化合物及びその製造法の更なる非限定的例は、本明細書に参考文献として引用される米国特許第6,218,576号に記述されているものである。ある具体例において、含窒素化合物はアルキル化ジフェニルアミンである。
【0041】
本発明のいくつかの観点において、含窒素化合物は、例えば第2級窒素原子並びに窒素の1つに結合したアリールを有する種々のジアミンの場合におけるように少なくとも1つの窒素がそれに結合した少なくとも1つのアリール基を有するという条件で、多数の窒素基を含んでなってもよい。そのようなジアミンの例は、N−フェニルフェニレンジアミン付加物を含む。
【0042】
本発明のある観点において、含窒素化合物はアルキル化フェノチアジンであるように選択される。適当なアルキル化フェノチアジンの例は、モノテトラデシルフェノチアジン、ジテトラデシルフェノチアジン、モノデシルフェノチアジン、ジデシルフェノチアジン、モノノニルフェノチアジン、ジノニルフェノチアジン、モノオクチルフェノチアジン、ジオクチルフェノチアジン、モノブチルフェノチアジン、ジブチルフェノチアジン、モノスチリルフェノチアジン、ジスチリルフェノチアジン、ブチルオクチルフェノチアジン、スチリルオクチルフェノチアジンを含むことができる。公知のアルキル化フェノチアジン化合物の他の適当な例は、全体が参考文献として引用されるカール(Carl)K.エッシェ(Esche),Jr.らの2003年7月29日付け米国特許第6,599,865号;カールK.エッシェJr.らの1997年3月25日付け米国特許第5,614,124号;及びカールK.エッシェ,Jr.らの2004年9月28日付け米国特許第6,797,677号に開示されている。
【0043】
本発明で使用される含窒素化合物は、本明細書に記述するように単独でまたは組み合わせて使用する時、開示された組成物中において酸化防止性を有することができる。該含窒素化合物は最終の潤滑油組成物に溶解すべきである。
【0044】
添加剤及び潤滑油組成物中の含窒素化合物の量は、意図する用途及び必要条件に依存して変化しうる。ある具体例において、本開示の潤滑組成物は潤滑組成物の全重量に対して約0.2−約1.2重量%、例えば約0.4−約1.0重量%の含窒素化合物を含んでなることができる。他の具体例において、本開示の添加剤組成物は、添加剤組成物の全重量に対して約2−約12重量%の含窒素化合物を含んでなることができる。
【0045】
本発明の添加剤及び潤滑油組成物は、「金属清浄剤」として言及される、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5、例えば約0.1−約1.4、または約0.15−約1の含金属清浄剤を含んでなることができる。この金属清浄剤は、スルホネート、硫化フェネート、及びサリシレートから選択される1つまたはそれ以上の化合物を含みうる。金属清浄剤は中性の「石鹸」化合物、例えば中性スルホネート、中性硫化フェネート、または中性サリシレートであってよく、或いは清浄剤は過塩基性スルホネート、過塩基性硫化フェネート、または過塩基性サリシレート;或いは中性及び過塩基性化合物の組合せ物、例えば1つまたはそれ以上の中性スルホネート、中性硫化フェネート、または中性サリシレートと1つまたはそれ以上の過塩基性スルホネート、過塩基性フェネート、または過塩基性サリシレートの組合せ物であってよい。適当な中性及び過塩基性スルホネート、硫化フェネート、及びサリシレートは技術的によく知られており、本開示の組成物にはいずれか適当なスルホネート、硫化フェネート、及びサリシレートが使用できる。
【0046】
ここに「石鹸/TBN比」とは、添加剤または潤滑油組成物に使用される金属清浄剤の石鹸化合物のモル数と全塩基価(total base number)(「TBN」)の比として定義される。即ち、金属清浄剤中の石鹸含量が高ければ高いほど、金属清浄剤の石鹸/TBN比が高くなる。
【0047】
本開示の目的のための「石鹸」とは、清浄剤を製造するために使用される酸中に存在する酸性基を中和する凡その化学量論的量の金属を含む中性清浄剤化合物を意味する。例えば本明細書に使用されるような「中性スルホネート」とは、その塩が酸中に存在する酸性基を中和する凡その化学量論的量の金属を含むスルホン酸の金属塩を意味する。「TBN」は金属清浄剤のグラム当りの、過塩基性清浄剤に見出される中和されてない塩基に相当する水酸化カリウムのmg量である。
【0048】
ここに「中性」は「過塩基性」清浄剤から区別するために使用され、酸の中和に帰結する化学量論量よりかなり多い金属を含む塩である。過塩基性清浄剤は技術的によく知られており、いずれか適当な過塩基性清浄剤が使用できる。適当な過塩基性清浄剤の例は、過塩基性スルホネート、例えば炭酸カルシウムで過塩基性化されたポリイソブテニルスルホン酸カルシウム及び炭酸マグネシウムで過塩基性化されたポリイソブテニルスルホン酸マグネシウムを含む。そのような過塩基性スルホネートは、例えば本明細書に全体が参考文献として引用されるN.バッカー(Bakker)の1979年1月30日付け米国特許第4,137,184号に開示されている。過塩基性サリシレート及び硫化フェネートも技術的によく知られている。十分公知の過塩基性サリシレート及び硫化フェネートの例は、本明細書に全体が参考文献として引用されるガレス・チャールズ・ジェフリー(Gareth Cherles Jeffrey)の1999年7月6付け米国特許第5,919,276号に記述されている。
【0049】
清浄剤は種々のTBN値まで過塩基性化することができる。即ち、石鹸/TBN比は過塩基性の程度に基づいて変えることができる。いくつかの観点において、比較的低い範囲内の石鹸/TBN比を有する潤滑油組成物は、本発明の組成物に有用である。しかしながら、過塩基性清浄剤中にすでに含まれていてよい少量の石鹸に加えて、より高量の石鹸、たとえば中性スルホネートを含む金属清浄剤は、過塩基性清浄剤単独よりも付加的な利点を提供すると思われる。例えば本発明の組成物において、0.1またはそれ以上、例えば0.15またはそれ以上の石鹸/TBN比を有する清浄剤の使用は、改良された酸化防止効果、潤滑油使用中の経時的粘度上昇の低減を提供し、或いはより少ない酸化防止剤化合物、例えば上述した含窒素化合物を添加剤及び潤滑油組成物に使用することを可能にする。
【0050】
本発明のある観点において、金属清浄剤は少なくとも1つの中性スルホネートを含んでなる。本発明の組成物に使用するのに適当な中性スルホネートは、潤滑油組成物に溶解するならば、いずれの中性スルホネート化合物であってもよい。本発明のある観点において、中性スルホネートは、式III
−SOM III
[式中、Rはヒドロカルビル基であり、Mはスルホン酸残基と塩を形成するI族またはII族の金属或いは鉛のいずれかである]
を有する。
【0051】
ヒドロカルビル基はスルホネート化合物を潤滑油に可溶化させるいずれかのヒドロカルビルであってよい。適当なヒドロカルビル基は、例えば炭素数約20−300、例えば50‐約250の、実質的に飽和の脂肪族ヒドロカルビル基であってよい。ここに使用するような「実質的に飽和」とは、炭素−炭素共有結合の少なくとも約95%が飽和であることを意味する。適当なR基の例は、オレフィンに由来するポリマー、例えばポリイソブチレンを含む。
【0052】
金属成分Mに対するI族の金属は、リチウム、ナトリウム、及びカリウムを含み、II族の金属はマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及び亜鉛を含むことができる。本発明のいくつかの観点において、Mはカルシウム及びマグネシウムから選択される。
【0053】
適当な中性スルホネート化合物の例は、ポリイソブテニルスルホン酸カルシウム、ポリイソブテニルスルホン酸マグネシウム、及びポリイソブテニルスルホン酸ナトリウムを含む。市販されているスルホネート化合物の例は、アフトン・ケミカル社(Afton Chemical Corp.)から入手できるハイテック(HiTEC)H614及びハイテック615を含む。
【0054】
中性スルホネート、中性硫化フェネート、及び中性サリシレート化合物は、同業者が容易に決定できる有効量で、本開示される潤滑油及び添加剤組成物中に存在させうる。ある例において、本発明の潤滑組成物は、中性スルホネート、中性硫化フェネート、及び中性サリシレート化合物を、組成物の全重量に対して約0.5−約2重量%、例えば約0.8−約1.8重量%で含んでなることができる。他の例において、本発明の添加剤組成物は、中性スルホネート、中性硫化フェネート、及び中性サリシレート化合物を、添加剤組成物の全重量に対して約5−約20重量%で含んでなることができる。
【0055】
中性及び過塩基性金属清浄剤の両方を含む金属清浄剤の全量の決定は同業者がよく知るところである。潤滑油組成物中の金属清浄剤に適した範囲の例は、組成物の全重量に基づいて約0.1−約15重量%、例えば約0.2−約8重量%の範囲であってよい。
【0056】
本明細書に開示される添加剤及び潤滑油組成物は、随時磨耗防止剤、分散剤、無灰清浄剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、含灰摩擦調整剤、無灰摩擦調整剤、含窒素摩擦調整剤、無窒素摩擦調整剤、エステル化摩擦調整剤、極圧剤、防錆剤、上述したものに加えての補助酸化防止剤、腐食抑制剤、消泡剤、チタン化合物、チタン錯体、有機可溶性モリブデン化合物、有機可溶性モリブデン錯体、含ホウ素化合物、及び含ホウ素錯体、並びにこれらの組合せ物のような添加剤を含むことができる。ある観点において、磨耗防止剤は油溶性の含リン化合物、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛(ZDDP)であってよく、これは潤滑油組成物中の全リン約100−約1000ppm(重量)を与えるのに十分な量で添加剤及び潤滑油組成物中に存在してよい。他の観点において、含リン化合物は潤滑油組成物中の全リン約600−約800ppm(重量)を与えるのに十分な量で存在してもよい。他の観点において、組成物は用途の要求及び必要条件に依存して少なくとも1つの含チタン化合物を種々の量で含むことができる。
【0057】
本開示の組成物を処方する際に使用するのに適当な基油は、合成またはミネラル油(mineral oils)或いはこれらの混合物のいずれかから選択することができる。ミネラル油は動物油及び植物油(例えばひまし油、ラード油)並びに他の鉱物潤滑油、例えば液体石油及び溶剤処理したまたは酸処理したパラフィン型、ナフテン型、または混合パラフィン−ナフテン型の鉱物潤滑油を含む。石炭またはオイルシェール由来の油も適当である。更にガスツーリキッド(gas−to−liquid)法に由来する油も適当である。
【0058】
基油は多量で存在しうる。ここに「多量」とは潤滑油組成物の50%以上またはこれに等しい、例えば約80−約98重量%の量を意味するものと理解される。
【0059】
基油は典型的には100℃において約2−約150cSt、更なる例として約5−約15cStの粘度を有する。即ち基油は約SAE15−約SAE250、より普通には約SAE20W−約SAE50の範囲の粘度を有する。適当な自動車のオイルも、15W−40、20W−50、75W−140、80W−90、85W−140、85W−90などのようなクロス−グレード(cross−grade)を含む。
【0060】
合成油の非限定的例は、炭化水素油、例えば重合及び共重合オレフィン(例えばポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン・イソブチレンコポリマーなど);ポリα−オレフィン、例えばポリ(1−ヘキセン)、ポリ(1−オクテン)、ポリ(1−デセン)など及びこれらの混合物;アルキルベンゼン(例えばドデシルベンゼン、テトラデシルベンゼン、ジノニルベンゼン、ジ−(2ーエチルヘキシル)ベンゼンなど);ポリフェニル(例えばビフェニル、ターフェニル、アルキル化ポリフェニルなど);アルキル化ジフェニルエーテル及びアルキル化ジフェニルスルフィド、及びこれらの誘導体、類似体及び同族体などを含む。
【0061】
末端ヒドロキシル基がエステル化、エーテル化などで改変されたアルキレンオキシドポリマー及び共重合体並びにこれらの誘導体は、使用できる公知の合成油の他の種類を構成する。そのような油は、エチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの重合によって製造される油、これらのポリオキシアルキレンポリマーのアルキル及びアリールエーテル(例えば平均分子量約1000を持つメチルポリイソプロピレングリコールエーテル、分子量約500−1000を持つポリエチレングリコールのジフェニルエーテル、分子量約1000−1500を持つポリプロピレングリコールのジフェニルエーテルなど)またはそのモノ及びポリカルボン酸エステル、例えばテトラエチレングリコールの酢酸エステル、混合C3−8脂肪酸エステル、またはC13オキソ酸ジエステルで例示される。
【0062】
使用できる他の種類の合成油は、ジカルボン酸(例えばフタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノレン酸ダイマー、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸など)の、種々のアルコール(例えばブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコールなど)とのエステルを含む。これらのエステルの特別な例は、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2ーエチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシル、リノレン酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル、セバシン酸1モルをテトラエチレングリコール2モル及び2−エチルヘキサン酸2モルと反応させることによって製造されるコンプレックスエステルなどを含む。
【0063】
合成油として有用なエステルは、C5−12モノカルボン酸及びポリオール及びポリオールエーテル、例えばネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどから作られるものも含む。
【0064】
ここに、本明細書に記述するような組成物を作るために使用できる基油は、米国石油協会(API)基油互換性指針に明記されるごときグループI−Vの基油のいずれかから選択できる。そのような基油のグループは次の通りである。
【0065】
グループIは90%未満の飽和物及び/又は0.03%超の硫黄を含み、80またはそれ以上、120未満の粘度指数を有する。グループIIは90%またはそれ以上の飽和物及び0.03%またはそれ以下の硫黄を含み、80またはそれ以上、120未満の粘度指数を有する。グループIIIは90%またはそれ以上の飽和物及び0.03%またはそれ以下の硫黄を含み、120またはそれ以上の粘度指数を有する。グループIVはポリアルファオレフィン(PAO)であり、そしてグループVはグループI、II、IIIまたはIVに含まれないすべての他の基油を含む。
【0066】
上記グループを定義するのに用いる試験法は、飽和物に対してはASTM D2007;粘度指数に対してはASTM D2270; 硫黄に対してはASTM D2622、4294、4927、及び3120である。
【0067】
グループIVの基油、即ちポリアルファオレフィン(PAO)は、α−オレフィンの水素化オリゴマーを含む。最も重要なオリゴマー製造法は、ラジカル重合、チーグラー触媒法、及びカチオン性フリーデル−クラフツ触媒法である。
【0068】
ポリアルファオレフィンは、典型的には、100℃において2−100cSt、例えば4−8cStの範囲の粘度を有する。これらは例えば炭素数約2−約30の分岐鎖または直鎖アルファオレフィンのオリゴマーであってよく、非限定的例はポリプロペン、ポリイソブテン、ポリ−1−ブテン、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテン及びポリ−1−デセンであってよい。これにはホモポリマー、コポリマー及びその混合物が包含される。
上に言及した基油のバランスに関して、「グループIの基油」は、得られる混合物がグループIの基油に対して特定したものの範囲内に入る特性を有するならば、1つまたはそれ以上の他の基油が混合されたグループIの基油も含む。
【0069】
例示される基油はグループIの基油及びグループIIの基油とグループIのブライトストック(bright stock)の混合物を含む。
【0070】
本発明で使用するのに適当な基油は、限定するものではないが蒸留、溶剤精製、水素化法、オリゴマ−化、エステル化、及び再精製を含む種々の異なる工程を用いて製造できる。
【0071】
基油はフィッシャートロプシュ合成炭化水素に由来する油であってもよい。フィッシャートロプシュ合成炭化水素は、フィッシャートロプシュ触媒を用いてH及びCOを含む合成ガスから製造できる。そのような炭化水素は、典型的には基油として有用ならしめるために更なる処理を必要とする。例えば炭化水素は、米国特許第6,103,099号または第6,180,575号に開示された方法を用いる水素化異性化;米国特許第4,943,672号または第6,096,940号に開示された方法を用いる水素化分解及び水素化異性化;米国特許第5,882,505号に開示される方法を用いる脱ロウ;或いは米国特許第6,013,171号、第6,080,301号、または第6,165,949号に開示される方法を用いる水素化異性化及び脱ロウを行なうことができる。
【0072】
未精製、精製及び再精製した油は、上に開示した種類のミネラル油または合成油(並びにこれらの2つまたはそれ以上の混合物)のいずれであれ、基油に使用できる。未精製の油は、更なる精製処理なしにミネラルまたは合成源から直接得られるものである。例えばシェール油は蒸留操作から直接得られ、石油油は一次蒸留から直接得られ、またはエステル油はエステル化工程から直接得られ且つ更なる処理なしに使用される。精製された油は、1つまたはそれ以上の性質を改良するために1つまたはそれ以上の工程で更に処理される以外未精製油と同様である。多くのそのような精製技術、例えば溶剤抽出、二次蒸留、酸または塩基抽出、ろ過、パーコレーションなどは、同業者には公知である。再精製油は、すでに実際に使用された精製油に適用される、精製油を得るために使用されるものと類似の工程で得られる。そのような再精製油は、再生または再処理油としても公知であり、しばしば使用済み添加剤、汚染物質、及び油劣化生成物の除去に関する技術によって付加的に処理される。
【0073】
本発明の組成物中には、上述した随意の添加剤及び基油を含む種々の成分を所望の結果を与えるのに有効な濃度で含ませることができる。本発明の例示潤滑油組成物に使用できる成分の非限定的な代表的濃度を、下表1の範囲1及び範囲2で示す。
【0074】
【表1】

【0075】
本発明による種々の他の観点によれば、本潤滑油組成物による粘度上昇開始を遅延させる方法が開示される。ここに使用するごとき「粘度上昇開始の遅延」とは、本明細書に開示するようなアリール残基で置換されたトリアゾール化合物、含窒素化合物、及び金属清浄剤化合物を含む本発明の酸化防止剤組成物を欠いた組成物と比べて、ある期間にわたる潤滑油組成物の、酸化過程のよる粘度上昇開始を遅延させることを意味するものとして理解される。潤滑油組成物の粘度上昇開始の遅延法は、多量の基油、及び
少量の、(i)アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;(ii)アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0076】
【化9】

【0077】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び(iii)石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、を含んでなる添加剤組成物、を含んでなる潤滑油組成物を機械に供給することを含んでなる。
【0078】
種々の具体例によれば、機械の少なくとも1つの作動部品を潤滑する方法も開示される。ここに使用するような「機械の少なくとも1つの作動部品」とは、ギア、ピストン、ベアリング、ロッド、スプリング、カムシャフト、クランクシャフトなどを含む作動しうる機械の少なくとも一部を意味するものと理解される。機械の少なくとも1つの作動部品の潤滑法は、該少なくとも1つの作動部品を、多量の基油及び少量の開示される添加剤組成物を含んでなる潤滑油組成物と接触させることを含んでなる。他の具体例においては、多量の基油及び少量の開示される添加剤組成物を含んでなる潤滑油組成物を付加することを含んでなる機械の駆動法も開示される。
【0079】
本開示の方法に対する機械は、スパーク着火及び圧縮着火の内燃エンジンからなる群から選択できる。更にその少なくとも1つの作動部品は、ギア、ピストン、ベアリング、ロッド、スプリング、カムシャフト、クランクシャフトなどを含んでいてよい。
【0080】
本潤滑油組成物は、機械を潤滑するのに有効ないずれかの組成物であってよい。ある観点において、該組成物は本発明の添加剤組成物を含んでなる乗用車モーターオイル、中速ジーゼルエンジン油、及び大型ジーゼルエンジン油からなる群から選択される。
【実施例】
【0081】
以下の実施例は本発明及びその有利な性質を例示する。これらの実施例において、並びにその応用において、すべての部及びパーセントは断らない限り組成物の重量によるものとする。
【0082】
本発明による潤滑油組成物は、表2に示すように、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物、アリールアミン化合物、及び金属清浄剤化合物を含む酸化防止剤系をベース組成物中に含有させて処方した。実施例組成物1で使用したトリアゾール清浄剤は、市販のトリアゾール(PMCスペシャリティーズ・グループ(Specialties Group、Cincinnati、Ohio)のコブラテック(Cobratec)TT−100)であった。アリールアミン化合物はアルキル化ジフェニルアミン(ハイテック7190、アフトン・ケミカル社(Richmond,VA))、そして金属清浄剤化合物は市販のハイテックH614(アフトン・ケミカル社(Richmond,VA))を含んだ。
【0083】
対照実施例2−4は、表3−5に示すように、実施例1と同一のアリールアミン及び塩基性組成物を用いて且つトリアゾール化合物を用いずに処方した。表2−5に示す中性スルホネートの量は、過塩基性金属洗浄剤に含まれていたかもしれない中性スルホネートを除いて組成物に添加された量である。
【0084】
【表2】

【0085】
【表3】

【0086】
【表4】

【0087】
【表5】

【0088】
実施例組成物1,2,3及び4に対するベース組成物は、典型的な潤滑油添加物、例えば清浄剤系、腐食防止剤、ジヒドロカルビルジチオリン酸金属、消泡剤、摩擦調整剤、補助磨耗防止剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、及び基油を含んだ。ベース組成物は、国際潤滑油標準化・認定委員会(ILSAC)の言及するGF−4基準に適合する基油を用いて処方した。本実施例において、これはSAE級5W−30型モーターオイルであった。
【0089】
実施例組成物1及び対照実施例組成物2,3及び4では、1996/1997 231 CID(3800cc)シリーズIIゼネラルモーターズV−6燃料噴射ガソリンエンジンを用いて、シーケンスIIIGエンジン試験を行なった。使用した組成物は、高温条件中のピストンデポジットの程度を決定して評価した。このピストンデポジットの程度は秤量ピストンデポジット(WPD)評価に関して測定した。WPD評価はデポジット及びワニス残渣に対してすべて6つのピストンを観察して決定した。ピストンデポジット生成の程度は1から10までの、10が清浄と考えられる、クリーンコード(cleanliness code)に従って評価した。「重量によるピストンデポジット」の結果は、6つのすべてピストンに対する清浄評価の平均である。より高いWPD評価値は、より低いピストンデポジット生成及び評価組成物がエンジンで損傷を受けた酸化劣化の低いことを示す。
【0090】
使用した組成物は、動粘度を測定することに関してよく知られた方法により、40℃における粘度上昇を決定しても評価した。組成物を試料採取し、20時間毎に分析した。粘度上昇が大きければ、評価潤滑油組成物は酸化に対して安定性が低い。150%以上の粘度上昇を示す潤滑油組成物はこの尺度に不合格である。
【0091】
結果は、本開示の組成物が潤滑油組成物の粘度上昇開始を遅延させる利点を示した。前記実施例で示されるように、本開示の酸化防止剤系を含んでなる実施例組成物1は、5.29のWPD評価及び111.2%の粘度上昇を示した。本開示の組成物を欠く対照実施例組成物2は、3.88のWPD評価及び232.3%の粘度上昇を示した。本開示の組成物を欠くが、実施例組成物1と比べてアリールアミン酸化防止剤を増量して含む対照実施例組成物3は、3.98のWPD評価及び129%の粘度上昇を示した。本開示の組成物を欠く対照実施例組成物4も、2.97のWPD評価及び148.5%の粘度上昇を示した。即ち本開示の組成物は、潤滑油組成物の動粘度の上昇を減じつつピストンデポジットを驚くほど且つかなり減少させ、一方でアリールアミン酸化防止剤含窒素化合物のより低量での使用を可能にすることが分かる。アリールアミン酸化防止剤化合物の低減は、これらの化合物が高価であり且つ添加剤及び潤滑油組成物の価格を上昇させるので、改善として見ることができる。
【0092】
上記実施例は例示の目的だけで提示され、本明細書に開示される本発明の範囲を制限するものではない。同業者が理解するように、使用される特定の成分及びこの成分の濃度は、実施例で使用したものと異なってよい。
【0093】
本明細書及び特許請求の範囲に使用されるような単数形は、表現的に且つ一義的に1つの指示物に限定してない限り、複数の指示物も包含することが特記される。即ち例えば「酸化防止剤」は、2つまたはそれ以上の異なる酸化防止剤を包含する。本明細書で使用されるような「含む」という用語及びその文法的変形は、限定を意味するものでなく、その事項の列挙がその列挙事項に代替または付加できる他の同様の事項を排除するものではないことを意味する。
【0094】
本明細書の目的に対して、特に断らない限り、本明細書及び特許請求の範囲に使用される量、パーセントまたは割合を表示するためのすべての数、並びには他の数値は、すべての場合に「約」で改変できるものとして理解すべきである。従って本明細書及び特許請求の範囲で言及される数的パラメーターは、その逆を示していない限り、本発明で得ようとしている所望の性質に依存して変化させうる近似である。少なくとも、且つ特許請求の範囲に同等の教示の適用を制限する試みとしてではなく、各数的パラメーターは少なくとも、報告される有意な数字の数を照らして且つ普通の丸めの技法を適用することによって解釈すべきである。
【0095】
以上特別な具体例を記述してきたけれど、その代替物、改変物、変形物、進歩物、及び現在予知されないまたはできない実質的同等物は、申請者または同業者の想起できるものである。従って、提示した及び修正できる特許請求の範囲は、そのような代替物、改変物、変形物、進歩物、及び実質的同等物を包含するものである。
【0096】
本発明の態様を要約すれは、以下の通りである。
【0097】
1、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0098】
【化10】

【0099】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物。
【0100】
2、トリアゾール化合物が多環構造を含んでなる置換アリール残基で置換されている、上記1の添加剤組成物。
【0101】
3、トリアゾール化合物が1つの環構造を含んでなる置換アリール残基で置換されている、上記1の添加剤組成物。
【0102】
4、トリアゾール化合物が式(II)
【0103】
【化11】

【0104】
[式中、Rは水素及び炭素数約1−約24のアルキル残基からなる群から選択され、そしてRは水素、炭素数約1−約24のアルキル残基、及び置換ヒドロカルビル残基からなる群から選択される]
で表される、上記1の添加剤組成物。
【0105】
5、含窒素化合物が式Iの化合物であり、但しR、R及びRの2つがフェニル基である、上記1の添加剤組成物。
【0106】
6、含窒素化合物がアルキル化ジフェニルアミンである、上記1の添加剤組成物。
【0107】
7、含窒素化合物がアルキル化フェノチアジンである、上記1の添加剤組成物。
【0108】
8、石鹸/TBN比が約0.1−約1.4の範囲である、上記1の添加剤組成物。
【0109】
9、石鹸/TBN比が約0.15−約1の範囲である、上記1の添加剤組成物。
【0110】
10、清浄剤が少なくとも1つの中性スルホネート化合物を含んでなる、上記1の添加剤組成物。
【0111】
11、中性スルホネート化合物が添加剤組成物の重量に基づいて約5−約20重量%の範囲の量で存在する、上記10の添加剤組成物。
【0112】
12、中性スルホネート化合物が式III
−SOM III
[式中、Rはヒドロカルビル基であり、MはI族またはII族の金属或いは鉛から選択される元素である]
の化合物である、上記10の添加剤組成物。
【0113】
13、Rが炭素数約20−300の実質的に飽和の脂肪族化合物である、上記12の添加剤組成物。
【0114】
14、Rがポリイソブチレンである、上記12の添加剤組成物。
【0115】
15、Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及び亜鉛から選択される、上記12の添加剤組成物。
【0116】
16、トリアゾール化合物が添加剤組成物の重量に基づいて約0.48−約5重量%の範囲の量で存在する、上記1の添加剤組成物。
【0117】
17、含窒素化合物が添加剤組成物の重量に基づいて約2−約12重量%の範囲の量で存在する、上記1の添加剤組成物。
【0118】
18、含リン化合物、分散剤、無灰清浄剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、含灰摩擦調整剤、無灰摩擦調整剤、含窒素摩擦調整剤、無窒素摩擦調整剤、エステル化摩擦調整剤、極圧剤、防錆剤、補助酸化防止剤、腐食抑制剤、消泡剤、チタン化合物、チタン錯体、有機可溶性モリブデン化合物、有機可溶性モリブデン錯体、含ホウ素化合物、及び含ホウ素錯体からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含んでなる、上記1の添加剤組成物。
【0119】
19、油溶性リン化合物を約100−約1000ppmの範囲の濃度で更に含んでなる、上記1の添加剤組成物。
【0120】
20、多量の基油、及び
少量の、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0121】
【化12】

【0122】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含ん
でなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、
を含んでなる、潤滑油組成物。
【0123】
21、トリアゾール化合物が潤滑油組成物の重量に基づいて約0.05−約0.5重量%の範囲の量で存在する、上記20の潤滑油組成物。
【0124】
22、トリアゾール化合物が潤滑油組成物の重量に基づいて約0.1−約0.3重量%の範囲の量で存在する、上記20の潤滑油組成物。
【0125】
23、含窒素化合物が潤滑油組成物の重量に基づいて約0.2−約1.2重量%の範囲の量で存在する、上記20の潤滑油組成物。
【0126】
24、含窒素化合物が潤滑油組成物の重量に基づいて約0.4−約1.0重量%の範囲の量で存在する、上記20の潤滑油組成物。
【0127】
25、金属清浄剤が中性スルホネート化合物を含んでなり、但し中性スルホネート化合物が潤滑油組成物の重量に基づいて約0.5−約2.0重量%の範囲の量で潤滑剤組成物中に存在する、上記20の潤滑油組成物。
【0128】
26、含リン化合物、分散剤、無灰清浄剤、流動点降下剤、粘度指数向上剤、含灰摩擦調整剤、無灰摩擦調整剤、含窒素摩擦調整剤、無窒素摩擦調整剤、エステル化摩擦調整剤、極圧剤、防錆剤、補助酸化防止剤、腐食抑制剤、消泡剤、チタン化合物、チタン錯体、有機可溶性モリブデン化合物、有機可溶性モリブデン錯体、含ホウ素化合物、及び含ホウ素錯体からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含んでなる、上記20の潤滑油組成物。
【0129】
27、潤滑油組成物が乗用車のモーターオイル、中速ジーゼルのエンジン油、及び大型ジーゼルのエンジン油からなる群から選択される、上記20の潤滑油組成物。
【0130】
28、少なくとも1つのチタン化合物を更に含んでなる、上記20の潤滑油組成物。
【0131】
29、含リン化合物を、潤滑油組成物中全リン約100−約1000ppmの範囲の濃度で更に含んでなる、上記20の潤滑油組成物。
【0132】
30、含リン化合物を、潤滑油組成物中全リン約600−約800ppmの範囲の濃度で更に含んでなる、上記20の潤滑油組成物。
【0133】
31、含窒素化合物が式Iの化合物であり、但しR、R及びR基の2つがフェニル基である、上記20の潤滑油組成物。
【0134】
32、含窒素化合物がアルキル化ジフェニルアミンである、上記20の潤滑油添加剤組成物。
【0135】
33、含窒素化合物がアルキル化フェノチアジンである、上記20の潤滑油組成物。
【0136】
34、石鹸/TBN比が約0.1−約1.4の範囲である、上記1の20の潤滑油組成物。
【0137】
35、清浄剤が少なくとも1つの中性スルホネート化合物を含んでなる、上記20の潤滑油組成物。
【0138】
36、中性スルホネート化合物が式III
−SOM III
[式中、Rはヒドロカルビル基であり、MはI族またはII族の金属或いは鉛から選択される元素である]
の化合物である、上記20の潤滑油組成物。
【0139】
37、Rが炭素数約20−300の実質的に飽和の脂肪族化合物である、上記36の潤滑油組成物。
【0140】
38、Rがポリイソブチレンである、上記36の潤滑油組成物。
【0141】
39、Mがリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、及び亜鉛から選択される、上記36の潤滑油組成物。
【0142】
40、多量の基油、及び
少量の、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0143】
【化13】

【0144】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含ん
でなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、
を含んでなる、潤滑油組成物を機械に供給することを含んでなる、潤滑油組成物の粘度上昇の開始を遅延させる方法。
【0145】
41、機械がスパーク着火及び圧縮着火内燃エンジンからなる群から選択される、上記40の方法。
【0146】
42、多量の基油、及び
少量の、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0147】
【化14】

【0148】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、
を含んでなる潤滑油組成物と機械の少なくとも1つの作動部品を接触させることを含んでなる、該少なくとも1つの作動部品を潤滑する方法。
【0149】
43、機械がスパーク着火及び圧縮着火内燃エンジンからなる群から選択される、上記42の方法。
【0150】
44、多量の基油、及び
少量の、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【0151】
【化15】

【0152】
[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含ん
でなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、
を含んでなる潤滑油組成物を機械に付与することを含んでなる、機械の運転法。
【0153】
45、機械がスパーク着火及び圧縮着火内燃エンジンからなる群から選択される、上記44の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【化1】

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物。
【請求項2】
トリアゾール化合物が式(II)
【化2】

[式中、Rは水素及び炭素数約1−約24のアルキル残基からなる群から選択され、そしてRは水素、炭素数約1−約24のアルキル残基、及び置換ヒドロカルビル残基からなる群から選択される]
で表される、請求項1の添加剤組成物。
【請求項3】
含窒素化合物が式Iの化合物であり、但しR、R及びR基の2つはフェニル基である、請求項1の添加剤組成物。
【請求項4】
含窒素化合物がアルキル化ジフェニルアミンである、請求項1の添加剤組成物。
【請求項5】
石鹸/TBN比が約0.1−約1.4の範囲である、請求項1の添加剤組成物。
【請求項6】
清浄剤が少なくとも1つの中性スルホネート化合物を含んでなる、請求項1の添加剤組成物。
【請求項7】
多量の基油、及び
少量の、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【化3】

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、
を含んでなる、潤滑油組成物。
【請求項8】
多量の基油、及び
少量の、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【化4】

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、
を含んでなる潤滑油組成物を機械に供給することを含んでなる、潤滑油組成物の粘度上昇の開始を遅延させる方法。
【請求項9】
多量の基油、及び
少量の、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【化5】

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、
を含んでなる潤滑油組成物と機械の少なくとも1つの作動部品を接触させることを含んでなる、該少なくとも1つの作動部品を潤滑する方法。
【請求項10】
多量の基油、及び
少量の、i、アリール残基で置換されたトリアゾール化合物;
ii、アルキル化フェノチアジン及び式(I)
【化6】

[式中、R、R及びRはそれぞれ独立に炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アミノ、アミド、ホスホロ、及びスルホノからなる群から選択され、但し
、R及びRの少なくとも1つは炭素原子約6−約30を含んでなるアリール残基であるように選択される]
で表される化合物から選択される少なくとも1つの窒素を含む化合物;及び
iii、石鹸/TBN比が約0.05−約1.5の範囲である金属清浄剤、
を含んでなる添加剤組成物、
を含んでなる潤滑油組成物を機械に付与することを含んでなる、機械の運転法。

【公開番号】特開2008−285674(P2008−285674A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−124492(P2008−124492)
【出願日】平成20年5月12日(2008.5.12)
【出願人】(391007091)アフトン・ケミカル・コーポレーション (123)
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
【Fターム(参考)】