説明

濃厚染料溶液

1種以上のカチオン化可能な式(I)の染料、有機酸および水を含む濃厚水性染料溶液は、有機基体を染色および/または印刷するために、およびインクジェット印刷インクを製造するために有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液に関し、さらに特には、可溶化剤を含有しない濃厚貯蔵安定性水性染料溶液に関する。本発明はさらに、本発明の濃厚染料溶液を、特にカードおよび板を含む紙を染色し、かつ印刷するために、適当なら水で希釈後に、使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
工業的な染色および印刷は典型的には、水性媒体中で行われる。したがって微粉染料はまず、大体は暖かい水かまたは熱水に溶かして、印刷および染色のために使用できるようにしなければならない。
【0003】
この目的のために開発された計量供給系は、染料の計量添加量を調節するための重量または体積測定法を使用し、粉末および顆粒の代わりに安定な染料溶液を必要とする。
【0004】
そのような染料溶液は、容易に計量可能であり、粉塵が出ず、かつ高くつく溶解操作を必要としないという利点を有する。
【0005】
溶液は、最適安定性を有していなければならず、それで、溶液は輸送または貯蔵中に沈殿しない。典型的には、0〜5℃で長期間安定でなければならないが、またおよそ50℃でもそうである。同様に、凍結した溶液は、注いだ後安定なままでなければならず、ポンピング中安定性の問題を示してはならない。沈殿は、ポンピングまたは計量供給装置を妨害し、許容できない機械の運転停止に至り、そして高くつく掃除およびメンテナンスの原因となり得る。
【0006】
JP06-306304は、66%以下の膜による排除率を有するポリベンズイミダゾロンでできた逆浸透膜を用いて精製された水溶性染料の水性溶液に関し、その後、染料溶解助剤が溶液に添加される。この染料溶解助剤は本質的に、50gのエタノールを含む1リットルの蒸留水中に撹拌された80gの溶融尿素の溶液からなる。
【0007】
GB1438118は、20〜500%の理論的重量の染料の量で、アニオン分散剤の存在下で、カップリングにより製造される、水可溶化基を有しないアゾ染料の水性分散物に関する。
【0008】
EP0224910は、インクジェットプリンタにおいて使用するための水性インク組成物を製造する方法に関し、ここでは、アルカノールアンモニウム化合物またはカチオンアミド化合物の存在によって、酸性染料の溶解度が、他で得られる以上に、酸性の媒体中で増加される。
【0009】
EP0021619は、1個以上のスルホン酸基を含む染料の濃厚水性溶液を作る方法であって、染料の酸性溶液を含む第1の水性相を、水より溶媒に大きい親和性を有するアミンの不活性な水混和性でない有機溶媒中の溶液を含む有機相とよく接触させ、それによって染料アニオンを水性相から有機相へ抽出して、染料のアミン塩の有機溶媒中の溶液を形成し、有機相と、有機溶媒より水に大きい親和性を有し、第1の水性相より高いpHを有する塩基の水性溶液を含む第2の水性相とをよく接触させ、それによって染料アニオンを有機相から第2の水性相へ抽出して、染料の塩および塩基の濃厚水性溶液を形成することを含む方法に関する。
【0010】
公知の水性染料溶液の1つの問題は、可溶化剤を大量に添加することであり、これは、染物工場または製紙工場の廃棄物中の高炭素含量をもたらす。このことは、高い全有機炭素(TOC)および化学的酸素要求量(COD)の廃棄物をもたらし、それ故に、高い水処理費用の原因となる。したがって、本発明の目的は、その製造のために染料が分離され、乾燥される(高いエネルギー費用!)必要がなく、可溶化剤をほとんどまたは全く含まない、濃厚水性染料溶液を提供することである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
可溶化剤を添加しない濃厚水性染料溶液は、染料が分離されないが(プロセス溶液)、限外ろ過(ナノろ過)されて濃縮され、余分な塩化物イオンを含まず、脱塩および濃縮が穏やかな温度で行われ、得られる溶液のpHが約pH=3の値に調整されるときに、貯蔵安定性であることがわかった。かくして得られる液体染料溶液は、貯蔵安定性であるだけでなく、色安定性である。すなわち、貯蔵中に色が変化しない。あるいは、同様の結果を有して、プロセス溶液が使用される代わりに、微粉または顆粒の染料を再溶解することができ、その後、限外ろ過(ナノろ過)して濃縮され、余分な塩化物イオンを含まない。
【0012】
本発明の濃厚水性液体染料溶液は、1種以上のカチオン化可能な染料、有機酸および/または無機酸ならびに水を含み、溶液中に存在する染料に基づいて等モル以下の塩化物イオン画分を有する。
【0013】
好ましい本発明の濃厚水性液体染料溶液は、(i) 1種以上の、式(I):
【化1】

(ここで、B1およびB2は独立して、-OHおよびNH2であり、D3=Hまたは式
【化2】

の基であり、
R6、R7、R8またはR9は独立して、HまたはSO3Hであり、
MaまたはMbは独立して、M1〜M10の意味を有し、
M1はHであり、
M2は-(CH2)3)N(CH3)2であり、
M3は-(CH2)2)N(CH2CH3)2であり、
【0014】
M4
【化3】

であり、
M5
【化4】

であり、
M6
【化5】

であり、
M7
【化6】

であり、
M8
【化7】

であり、
M9
【化8】

であり、
【0015】
M10は-(CH2)2NH2であり、
RaまたはRbは独立して、R1〜R5の意味を有し、
R1はHであり、
R2
【化9】

であり、
R3
【化10】

であり、
R4はCNであり、
R5
【化11】

であり、
【0016】
A-は、有機酸のアニオンおよび/または無機酸のアニオンである非着色アニオンである)
のカチオン化可能な染料
(ii) 有機酸および/または無機酸ならびに
(iii) 水を含み、かつ
(iv) 溶液中に存在する染料に基づいて等モル以下の塩化物イオン画分を有する。
【0017】
式(I)の染料はそれ自体が公知であり、DE3715066に記載されているようにして製造することができる。
【0018】
本発明の式(I)の染料の貯蔵安定性高濃度溶液は、溶液の全重量に基づいて計算して40重量%までの染料の式(I)の染料含量を有する。好ましい染料溶液は、5〜40重量%の範囲の染料含量、または10〜40重量%の範囲の染料含量、最も好ましくは20〜40重量%の範囲の染料含量を有する。
【0019】
本発明の濃厚水性液体染料溶液は好ましくは、溶液中に存在する染料に基づいて等モル以下の塩化物含量を有し、塩化物含量は好ましくは、溶液中に存在する染料に基づいて0.5〜1モル当量の範囲、より好ましくは、溶液中に存在する染料に基づいて0.8〜1モル当量の範囲にある。
【0020】
本発明の好ましい染料溶液は酸性であり、好ましくは3±1pH単位のpHを有する。非常に好ましいのは、3±1/2pH単位のpHを有する染料溶液であり、得られる溶液のpHは、好ましくは2.9〜3.1の範囲の値に調整される。
【0021】
本発明の式(I)の染料の貯蔵安定性高濃度溶液はまた、その式が式(I)内にある複数の染料を含むことができる。
【0022】
好ましい有機酸は、式A(-COOH)nの酸であり、ここで、Aは、それぞれ窒素原子および/または酸素原子によって中断されることができ、かつそれぞれ追加的にヒドロキシルもしくはNR'R''(R'およびR''は独立して、C1~6アルカニルもしくはC1~6アルケニルもしくはC1~6ヒドロキシアルカニルもしくはC1~6ヒドロキシアルケニルであるか、または非置換のフェニルまたは、ヒドロキシル-、スルホ-、C1~18アルカニル-もしくはC1~18アルケニルで置換されたフェニルである)で置換されることができるC1~12アルカニルまたはC1~12アルケニルであり、nは1、2または3の自然数であり、nは好ましくは1または2、より好ましくは1である。
【0023】
特に好ましくは、蟻酸、酢酸、マロン酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、安息香酸、コハク酸である。酢酸が最も好ましい有機酸である。
【0024】
好ましい無機酸は、鉱酸および無機オキソ酸である。特に好ましくは、ハロ水素酸(塩酸が特に好ましい)、ハロゲン(F、Cl、Br、I)の酸素酸、硫黄の酸素酸(しかし、特に硫酸)および周期律表(1985年IUPACの推奨に従う)の第15族の酸素酸(しかし、特に窒素およびリン元素から誘導されるもの)であるが、特に塩酸、硫酸、塩素酸、リン酸および硝酸であり、リン酸が特に非常に好ましい。
【0025】
これらの酸は、それらのpK値および染料溶液のpH値から期待されるように、一部脱プロトン化(解離)状態で存在する。
【0026】
好ましい非着色アニオンの例は、塩化物、臭化物、サルフェート、バイサルフェート、メソサルフェート、アミノスルホネート、パークロレート、ベンゼンスルホネート、オキザレート、マロネート、マレエート、アセテート、プロピオネート、ラクテート、スクシネート、タートレート、マレート、メタンスルホネートおよびベンゾエートである。しかしまた、複合アニオン、例えば塩化亜鉛複塩および、ホウ酸、クエン酸、グリコール酸、ジグリコール酸およびアジピン酸のアニオン、またはオルトホウ酸と少なくとも1個のシスジオール基を有する多価アルコールとの付加生成物である。これらのアニオンは、もちろんまた、例えばイオン交換体または慣用の沈殿反応によって交換することができる。イオンはまた、ダイアフィルトレーションまたは限外ろ過によって交換することができる。ハロゲン化物の塩化物および臭化物が特に好ましいアニオンであり、塩化物が最も好ましい。
【0027】
原則として、添加された有機酸および/または無機酸の塩は同様に、アニオン機能を果たすことができる。特に好ましい実施態様においては、アニオンは塩化物であり、添加される酸はリン酸である。
【0028】
本発明はまた、濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液を製造する方法であって、少なくとも1種の粗製カチオン染料の水性溶液または懸濁物が、半透膜を用いて、圧力を施与することによって膜ろ過されて、塩および500未満の分子量を有する合成副生成物および幾らかの水を除去することを特徴とする方法を提供する。この方法は、塩化物イオン画分が、染料に対して等モル以下になるまで行われる。
【0029】
好ましい実施態様においては、浸透物は、水または緩衝溶液により、連続的にまたは断続的に交換または補充され、よってバッチの体積は、あったとしても最小にしか変化しない。言い換えれば、染料濃度は一定のままであるか、実質的に一定である。浸透物の染料濃度は、好ましい実施態様においては20%以下、特に好ましい実施態様においては10%以下、非常に特に好ましい実施態様においては5%以下の変化しかしない。
【0030】
このダイアフィルトレーションまたは限外ろ過の後、染料溶液は、濃縮することによって望ましい濃度にされる。
【0031】
本発明の方法において使用される膜は、TFM(商標)膜、例えばGEオスモニクス デザル(GE Osmonics Desal)(GEオスモニクス(GE Osmonics)社、アメリカ合衆国、ミネソタ州55343、ミネトンカ(Minnetonka)、クリアウォータードライブ(Clearwater Drive)5951)からのG10、G20、G50またはDL5膜であり、その中で、DL5膜が特に好ましい。
【0032】
さらに好ましい実施態様においては、カチオン染料の対イオンは、ダイアフィルトレーション前に交換されるか、またはさらにアニオン添加される。新たに添加されるアニオンは、元のアニオンが限外ろ過またはダイアフィルトレーションによって容易に除去可能であることを意味する。カチオン官能性の対イオンは、特に好ましい実施態様においてはハロゲン化物によって、非常に特に好ましい実施態様においては塩化物によって交換される。
【0033】
本発明はさらに、粗製染料の水性溶液または懸濁液の限外ろ過による、カチオン染料の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液の製造方法を提供する。
【0034】
本発明はさらに、本発明の方法によって得ることができる、濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液を提供する。
【0035】
DE3715066の実施例により得られる、反応溶液の限外ろ過またはダイアフィルトレーションは、染料は分離されないが、反応溶液をさらなる望ましくない添加なしにするために使用することができる。望ましくない添加なしとは、特に、限外ろ過またはダイアフィルトレーション後に、溶液が1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満のさらなる物質を含むことを意味すると理解されるべきである。望ましくないさらなる物質は、特に、合成段階から来た、合成溶液または懸濁液中に一緒に運ばれた、染料を中和および/または塩析させるために使用されてきた不活性塩および電解質である。アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、例えばアンモニウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、重硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウムまたは重硫酸カリウム、特に塩化ナトリウムは、過剰に、すなわち等モル量より多い量では存在しないであろう。
【0036】
本発明の好ましい方法は、以下の工程を含む:
5.5〜6.5、好ましくは5.9〜6.1のpHにて、20〜50℃、好ましくは30〜35℃の温度で、5〜13重量%、好ましくは8〜11重量%の式(I)の物質を含む水性反応溶液の限外ろ過/ダイアフィルトレーションの第1の工程。
【0037】
限外ろ過/ダイアフィルトレーションは好ましくは、35℃を超えない温度に達するまで温度を連続的に上げて行われる。限外ろ過は、約2のダイアフィルトレーション速度で行われるが、少なくとも塩化物イオン画分が等モルまたは等モルより幾らか下になるまで行われる。限外ろ過は好ましくは、35℃より上の温度で行われない。
【0038】
さらなる工程は、溶液を、40重量%以下であるが、少なくとも20重量%の式(I)の染料の濃度まで濃縮することを含む。濃縮速度は、約1.5または所望の濃度までである。濃縮は好ましくは、30〜35℃の一定の温度で行われる。
【0039】
第3の工程においてはpHが調整される。ダイアフィルトレーションおよび濃縮の直後に、塩化物イオン画分は、塩酸の添加によって、式(I)の染料分子に基づいて等モル画分以下に調整される。その後、有機酸および/または無機酸を用いて、pH3±1pH値、好ましくはpH3±0.5pH値に、pHが調整される。pHは最も好ましくは、2.9〜3.1に調整される。pHを調整するために好ましい酸は、先に記載した無機酸および/または有機酸を包含するが、特に以下の酸である:リン酸、蟻酸、酢酸または乳酸。
挙げられた酸のうちの1つをまた使用して、塩酸を添加せずに、pHを直接調整することができ、その場合、有機酸および/または無機酸の必要とされる量が添加される。原則として、限外ろ過/ダイアフィルトレーションの前または最中に、有機酸をまた添加することができる。
【0040】
なるべくなら、本発明の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液は、先に明らかにされた有機酸以外の分散剤を含まないか、実質的に含まない。
【0041】
明らかにされた水溶性の有機酸と同様に、本発明の染料溶液は、殺生物剤を含むことができる。
【0042】
任意の殺生物剤が適当である。しかし、FDA認可の殺生物剤が好ましい。グラム-陽性またはグラム陰性の細菌、酵母または菌の増殖を制御することができる任意の殺生物剤を、本発明の溶液に使用することができる。適当な殺生物剤は、例えば3-チアゾロン誘導体であり、これは、例えばアルキル化および/または塩素化されるか、または混合物として使用される。典型的には、殺生物剤は、既成の組成物当たり0.15重量%までの量で添加される。
【0043】
濃厚溶液はまた、染色に使用される前に、再び水で希釈することができる。濃厚溶液はまた、使用前に、さらなる染料を用いてシェーディングすることができる。しかし濃厚溶液はまた、他の染料をシェーディングするために使用することができる。
【0044】
シェーディングするか、またはシェーディングされるために特に有用な染料としては、カラーインデックス(Color Index)がC.I. Basic YellowまたはC.I. Basic RedまたはC.I. Basic BrownまたはC.I. Basic BlueまたはC.I. Basic Violetとして同定する全ての染料を包含し、特に1種以上の以下の染料をシェーディングのために使用できる:C.I. Basic Brown 23またはC.I. Basic Red 12またはC.I. Basic Blue 1またはC.I. Basic Red 14またはC.I. Basic Violet 10またはC.I. Basic Blue 26。
【0045】
式(II)の染料および/または式(III)の染料が同様に、シェーディングするか、またはシェーディングされるために有用である。
【0046】
濃厚溶液はまた、式(II)の茶色の染料をシェーディングするために使用することができるか、または濃厚溶液は、式(II)の染料を用いてシェーディングされることができる。
【0047】
式(II)の染料は、以下の構造を有する:
【化12】

ここで、
各Aは独立して、-NH-または-O-であり、
Bは、多価基または原子であり、
n'およびn''は自然数であり、n'およびn''の合計は≧2であり、
mは≧0の自然数であり、
CCは、式(c1)または(c2)を有する基であり、
【化13】

(ここで、
各R10は独立して、H、C1~4アルキル、C5~6シクロアルキル、フェニル、ベンジルまたはフェニルエチルであり、
各R10'は独立して、H、-OHまたはC1~4アルキルであり、
各T1は独立して、H、-CN、-COOR15、CONR16R17、SO2NR16R17
【化14】

であり、
Gは、H、-R11NHR12または-R11NR13R14であり、
R11は、C1~6アルキレンまたはC2~6アルケニレンであり、
R12およびR13は独立して、H;非置換のC1~6アルキル;OH、CNもしくはハロゲンで置換されたC2~6アルキル;フェニルC1~3アルキル{ここでフェニル基は場合により、塩素、C1~4アルキルもしくはC1~4アルコキシからなる群より選択される置換基で1置換、2置換もしくは3置換される};非置換のC5~6シクロアルキルまたは、C1~4アルキル基で1置換、2置換もしくは3置換されたC5~6シクロアルキルであり、
R14は、R12またはR13についての意味を有するか、または水素原子であり、
R15は、C1~6アルキル基またはフェニルC1~3アルキル基であり、
R16およびR17は独立して、HまたはC1~4アルキル基であり、
R18は、それぞれの場合に独立して、H;C1~4アルキル基;-NR16R17-(CH2)2-4-NR16R17または-CONR16R17であり、
R19は、C1~4アルキル基またはヒドロキシ- C1~4アルキル基であり、
R20は-S-または-O-であり、
R21は水素原子またはC1~4アルキル基であり、かつ
An-は、非着色アニオンである)
ただし、以下の条件がある:
(i) n'、n''およびmの合計はBの価数より小さく、
(ii) n'およびn''の合計=2のとき、mは≧1であり、
(iii) n'およびn''の合計=3であり、かつA=NHのとき、mは≧1である。
有機酸および水。
【0048】
本発明の式(II)の染料の貯蔵安定性高濃度溶液はまた、その式が式(II)内にある複数の異なる染料を含むことができる。
【0049】
好ましい式(II)の染料においては、T1は、式
【化15】

の置換基である。
【0050】
さらに好ましい染料においては、基CCは、式
【化16】

の置換基である。
【0051】
好ましくはBは、基B' C[(CH2)0-4]1-4であるか、またはBは、基-[-(CH2)1-4-O-(CH2)1-4]4Cまたは-[-(CH2)1-3-O-(CH2)1-3-O-(CH2)1-3]4Cまたは-[-(CH2)1-2-O-(CH2)1-2-O-(CH2)1-2-O-(CH2)1-2]4Cまたは-[-(CH2)1-4]2N(CH2)1-4N[(-CH2)1-4]2のうちの1つである。Bが炭素原子であるのが特に好ましい。
【0052】
式(II)の特に好ましい化合物は、式(IIa)
【化17】

を有し、ここで、
CCは、式(c1)または(c2)の置換基であり、
n''は1、2、3または4であり、ただし、以下の条件がある:
n''=1のとき、B''はC(CH2OH)3であり、
n''=2のとき、B''はC(CH2OH)2であり、
n''=3のとき、B''はC(CH2OH)であり、
n''=4のとき、B''は、C;[-(CH2)1-4-O-(CH2)1-4]4C;[-(CH2)1-3-O-(CH2)1-3- O-(CH2)1-3]4C;[-(CH2)1-2-O-(CH2)1-2-O-(CH2)1-2-O-(CH2)1-2]4Cまたは[(CH2)1-4]2N(CH2)1-4N(CH2)1-4]2である。
【0053】
非常に特に好ましくは、CCが式(c1)または(c2)の置換基であり、n''が1、2、3または4であり、ただし、以下の条件がある:
n''=1のとき、B''はC(CH2OH)3であり、
n''=2のとき、B''はC(CH2OH)2であり、
n''=3のとき、B''はC(CH2OH)であり、
n''=4のとき、B''はCである、
式(IIa)の化合物である。
【0054】
濃厚溶液はまた、式(III)の茶色の染料をシェーディングするために使用することができるか、または濃厚溶液は、式(III)の染料を用いてシェーディングされることができる。
【0055】
式(III)の染料は、以下の構造を有する:
【化18】

ここで、
R1、R2またはR3は独立して、H、CH3、C2H5、n-C3H7、i- C3H7、n-C4H9、i- C4H9、sec- C4H9であり、
Rnは、-C2H4-、-C3H6-、-CH(CH3)CH2-または-C4H6-であり、
Yは、水素またはニトロであり、
qは1または2である。
【0056】
式(II)の染料は公知であり、WO02/062902に記載されているようにして製造することができる。式(III)の染料は公知であり、EP162409またはEP1352928に記載されているようにして製造することができる。
【0057】
シェーディングは、(染料に基づいて)2〜98重量%の式(I)の染料および(染料に基づいて)98〜2重量%のシェーディング染料の割合で、すなわち、例えば2.0/98.0;2.5/97.5;12.5/87.5;22.5/77.5;32.5/67.5;42.5/57.5;50.0/50.0;57.5/42.5;67.5/32.5;77.5/22.5;80.0/20.0;87.5/12.5;90.0/10.0;95.0/5.0;97.5/2.5または98.0/2.0の比で行うことができる。
【0058】
本発明の濃厚染料溶液は、特に、適当なら水で希釈後に、コーティングまたは浸漬によって、紙(板およびカードを含む)を染色し、印刷するために使用され、これらの物質は、例えばパルプにおいて染色可能である。さらに、そのような液体処方物はまた、テキスタイル材料、特にセルロースのための連続またはバッチ染色プロセスのために使用できる。本発明の濃厚染料溶液は、インクジェットインクまたは他のインクを製造するための基剤として、かつ紙またはテキスタイルのような基体のノンインパクト印刷のための組合せとして、使用することができる。本発明の処方物はまた、紙またはテキスタイルのような基体のノンインパクト印刷のために、さらに変性することなく使用できる。
【0059】
本発明の染料調製物はまた、木材を染色および色付けするために使用することができる。木材は、物品、例えば椀、皿、玩具の形態で、また中実の小割板(solid slat)および梁の形態で、また削りくず、細片またはボール紙の形態であることができる。建物の一部をまた、家具でできるのと同様に、本発明の染料調製物で処理することができる。本発明の液体染料調製物の施用は、木材またはベニヤ板における色の違いを均等にするために、また木材またはベニヤ板の色を完全に変えるために使用することができる。本発明の液体染料調製物は、水性着色剤(この場合、水が主たる溶媒である)として、アルコール-水性着色剤(すなわち、溶媒はアルコール-水混合物)として、または有機溶媒を含む着色剤(約30〜95%の有機溶媒;そのような着色剤はまた、あるいは水で希釈可能であり得る)として使用することができる。
【0060】
次の実施例は、本発明を説明する。部および百分率は、他に記載がなければ、重量である。
製造例A1
30部の4-アミノアセトアニリドが、0〜5℃にて慣用的にジアゾ化され、pH1.3〜2.1で、57.4部の6-ヒドロキシ-4-メチル-1-(3'-ジメチルアミノ)プロピル-3-ピリジニオ-2-ピリドンベタインベースにカップリングされる。アセチル基が、50部の30%塩酸を添加することによって沸騰で分離され、溶液は次に室温に冷却される=溶液1(約670部)。
【0061】
91部の3-アミノアセトアニリドが、0〜5℃にて慣用的にジアゾ化され、pH1.3〜2.1で、174部の6-ヒドロキシ-4-メチル-1-(3'-ジメチルアミノ)プロピル-3-ピリジニオ-2-ピリドンベタインベースとカップリングされる。還流下で、160部の30%塩酸を添加することによってアセチル基が分離され、溶液は次に室温に冷却される=溶液2(約1800部)。
【0062】
溶液1は次に、0〜5℃にて公知の方法によってジアゾ化された後、溶液2が、0〜5℃にて公知の方法によってジアゾ化され、その後、2つのジアゾニウム溶液は合わせられる。44部のレゾルシノールが添加され、30%水酸化ナトリウム水性溶液を用いて、pHが約7に調整される。カップリングは2〜3時間後に終結し、式
【0063】
【化19】

の染料約400部を含む、約4000部の茶色の染料溶液が残る。
【0064】
貯蔵安定性でかつ色安定性の溶液への転化は、次のようにして行われる。溶液は、(塩酸または水酸化ナトリウム水性溶液を用いて)正確なpH5.9〜6.1に調整され、一方、溶液の温度は、10〜20℃に維持される。最後に、温度を30〜35℃に上げ(すなわち、少し加熱して温度を上げ)、ダイアフィルトレーションを開始し、このために温度は、35℃を超えてはならない。このために、染料溶液は、浸透物の導電率が一定になるまで、すなわち、塩化物イオン画分が染料分子に基づいて10〜12%に下がるまで(これは、実質的に等モルの塩化物イオン含量に相当する)、DL5膜を備えた実験室限外ろ過系で、30〜35℃の温度および15バールの圧力にて、ダイアフィルトレーションされる。その間、体積は実質的に一定に保たれる。保持物は12〜15バールの圧力での濃縮物であり、塩酸を使用して、分子量1090を有するHCl/塩化物塩の形態の染料分子に基づいて13%まで塩化物イオン含量を調整され、pHは約3.3まで下がる。pHは次に、酢酸の添加により正確に3(2.9〜3.1)に調整(緩衝)されて、合計の染料含量約20重量%を有する溶液が得られ、これは、貯蔵安定性であり、長期間の貯蔵中にも色の変化を受けない。すなわち、色安定性である。この貯蔵安定性でかつ色安定性の溶液は、木材含有紙を、茶色の色調で染める。
【0065】
製造例A2
22.1部(1/20モル)の式
【化20】

の化合物が、0〜5℃にて、塩酸媒体中で、亜硝酸ナトリウム3.45部(1/20モル)と共にジアゾ化され、1〜3 のpHにて、1,3-ジアミノベンゼン5.4部(1/20モル)にカップリングされて、式(A2a)
【0066】
【化21】

の染料が得られる。
【0067】
26.1部(1/20モル)の、ジアゾ化および1-アミノ-3-アセチルアミノベンゼン-6-スルホン酸のピリドンへのカップリングおよびその後のケン化による公知の方法により製造された式(A2b)
【0068】
【化22】

の化合物のジアゾニウム塩を式(A2a)の染料にカップリングすると、式:
【0069】
【化23】

(可能なカップリング部位は、矢印で記される)
の染料の異性体混合物が提供される。
【0070】
この異性体混合物は、木材含有紙を茶色の色調に染める。製造例A1と同様に、この異性体混合物から、貯蔵安定性でかつ色安定性の溶液が製造される。
【0071】
以下の表Iは、製造例A2に従って製造可能なさらなる染料の構成構造を示す。これらの染料もまた、製造例A1またはA2と同様に製造され、製造例A1に従って精製され、貯蔵安定性の液体処方物へと転化された。かくして得られた貯蔵安定性の液体処方物は、紙を茶色の色調に染める。それらは、式A2cに従う。
【0072】
【化24】

ここで、B1およびB2は独立して、-OHおよびNH2であり、D3は、Hまたは式
【0073】
【化25】

の残基であり、
【0074】
【表1】

【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
製造例A36
425部の無水イサトイン酸(isatoic anhydride)が、50℃にて、434部のN,N-ジメチルアセトアミド中の118部のペンタリスリトールおよび8.7部の炭酸ナトリウムの混合物に、徐々に添加される。懸濁物は2時間撹拌され、4340部の水で希釈される。その後、これはろ過され、水洗され、減圧下で60℃にて乾燥されて、式(36a、36b、36c、36d):
【0078】
【化26】

を有する4成分からなる混合物である白色粉末が得られる。
【0079】
製造例A37
434部の例A36のアミノ成分が、1736部の氷、781部の30%HCl、694部の酢酸および260部のN,N-ジメチルアセトアミドの混合物に添加され、182部の4N亜硝酸ナトリウム溶液を用いてジアゾ化される。870部の氷を添加することによって、温度が0〜5℃に維持される。得られたジアソ溶液に、3281部の6-ヒドロキシ-4-メチル-3-ピリドニル-3'-メチルピリジニウムクロリドの約20%水性溶液が添加される。130部の30%水酸化ナトリウム溶液の添加によって、10〜20℃の温度にて、pHが3に調整される。その後1時間撹拌した後、50部のHyflo-Supercelろ過土が添加された後、吸収パッドを有する磁器吸引ろ過器を通してろ過する。得られた透明染料溶液(9700g;8900ml)は、DL5膜を有する実験室限外ろ過系で、40〜45℃の温度および15バールの圧力にて、浸透物の導電率が一定になるまで、ダイアフィルトレーションされる。このプロセスにおいては、体積は実質的に一定に保持される。これは、約33,000部(ml)の脱イオン水を必要とした。限外ろ過中、酢酸の添加により、pHは4.0〜4.5に維持された。保持物は12〜15バールの圧力にて5180部(g)に濃縮された後、140部の酢酸と混合されて、式(37a、37b、37c、37d):
【0080】
【化27】

を有する成分からなる、全染料含量約20重量%を有する溶液が得られる。
【0081】
この溶液(塩化物として20.7%染料、5.5%の酢酸、73.8%の水)は、ブリリアントイエローの色合い(ジメチルホルムアミド/水中λmax=423nm)に紙を染め、濃厚溶液は、必要なら希釈可能である。得られる染物は、優れた湿度耐性(単なる水、アルコール、ミルク、石鹸水、酢酸、尿等に対して)を有する。
【0082】
製造例A38
ジアゾ成分の製造:1000部のジオキサン中326部の無水イサト酸に、60℃にて、187部のジメチルアミノエタノールが滴下して添加される。次に1時間撹拌した後、噴射水流減圧で濃縮し、かつ高減圧下で蒸留する。402部の2'-ジメチルアミノエチルアントラニレートが、160℃/0.1トルにて流出する。
【0083】
21部の2'-ジメチルアミノエチルアントラニレートが、50部の水、25部の氷酢酸および30部の濃塩酸の混合物に溶解され、5℃に冷却した後、34.6部の、亜硝酸ナトリウムの23%水性溶液と混合される(滴下して添加)。3時間後、スルファミン酸の添加により、過剰の亜硝酸塩が破壊される。その後、30部の温水中11部のレゾルシノールの溶液が添加され、酢酸ナトリウムを用いてpHが5に上げられ、バッチは、室温で1晩撹拌される。0℃に冷却後、バッチは、5N苛性ソーダでpH7に徐々に調整される。4時間後、得られた染料は、結晶化されて、吸引ろ過され、水洗されることができる。風乾すると、22gの染料粉末を生じる。染料は、氷酢酸および水で溶解して、安定な20%液体処方物を形成することができる。染料は、紙を黄色の色合いに染める。この色は、Color Index Hue Indication ChartのNo.4である。廃棄物は、最小に着色されるにすぎない。染められた紙は、ハイドロサルファイトによって漂白することができる。溶解された化合物は、式
【0084】
【化28】

に従う。
【0085】
製造例A39
ジアゾ成分の製造:1000部のジオキサン中326部の無水イサトイン酸に、60℃にて、187部のジメチルアミノエタノールが滴下して添加される。次に1時間撹拌した後、溶媒を減圧除去し、402部の2'-ジメチルアミノエチルアントラニレートが、160℃/0.1トルにて蒸留される。
【0086】
275部の2'-ジメチルアミノエチルアントラニレートが、190部の水および230部のメタンスルホン酸の混合物に溶解され、5℃に冷却後、150部の、亜硝酸ナトリウムの40%水性溶液と混合された(滴下して添加)。3時間後、スルファミン酸の添加により、過剰の亜硝酸塩が破壊された。その後、160部の水中44部のレゾルシノールの溶液が添加され、酢酸ナトリウムを用いてバッチはpH5に上げられ、その後室温で約12時間撹拌されて、均質な溶液が形成された。溶解された染料は、式:
【0087】
【化29】

に従う。
【0088】
製造例3
1.25kgの製造例A1の染料溶液が、RT(室温)にて、製造例A1の染料の約10%液体処方物7.75kgと混合される。これは、紙を黄色がかった茶色の色合い(水/酢酸中λmax=433nm)に染める安定な染料溶液を与える。
【0089】
製造例4
4.2kgの製造例A1の染料溶液が、RTにて、2.5kgの製造例A36の染料溶液と混合される。得られた安定な染料溶液は、紙を赤みがかった黄色の色合い(水/酢酸中λmax=450nm)に染める。
【0090】
製造例5
4.2kgの製造例A1の染料溶液が、RTにて、2.5kgの製造例A37の染料溶液と混合される。得られた安定な染料溶液は、紙を赤みがかった黄色の色合い(水/酢酸中λmax=450nm)に染める。
【0091】
染物処方物
染物処方物A
70部の化学的に漂白した松材のサルファイトセルロースおよび30部の化学的に漂白した樺材のサルファイトセルロースが、ホランダー中で2000部の水中へと打ち砕かれる。1.5部の製造例A1の液体染料調製物が、このストックに添加される。20分間の混合時間後、それから紙が作られる。このようにして得られた吸収紙は茶色をしている。
【0092】
染物処方物B
1.5部の製造例A1の液体染料調製物が、ホランダー中で2000部の水と共に打ち砕かれた100部の化学的に漂白したサルファイトセルロースに添加される。15分間混合後、樹脂サイズおよび硫酸アルミニウムを用いて、慣例のサイジングが行われる。この材料から製造された紙は、各場合に茶色の色合いを示す。
【0093】
染物処方物C
サイジングしない紙の吸収性ウェブが、40〜50℃にて、95部の水および5部の製造例A1の本発明の染料溶液からなる水性染料溶液を通して引かれる。
過剰の染料溶液は、2個のロールによってしぼり出される。乾燥した紙のウェブは、各場合に茶色を有する。
製造例A2〜A35の染料調製物を、調製物A〜Cと同様に染めるために使用することができる。
【0094】
染物処方物D
5部の製造例A1の染料調製物が、室温にて、4000部の軟水中に計量される。100部の予め湿らせた織られた綿織地が浴中に導入された後、30分にわたって沸騰加熱される。浴は1時間沸騰状態に保持され、その間、蒸発した水は、時間経過と共に入れ替えられる。染物は次に、染料液から除かれ、水ですすがれ、乾燥される。得られた染物は、茶色をしている。
製造例A2〜A35の染料調製物を、同様のやり方で綿を染めるために使用することができる。
【0095】
染物処方物E
100部の新たになめされ中和されたクロム銀面革が、250部の55℃の水および0.5部の製造例A1に従って製造された染料調製物の流れ中で30分間たたかれ、同じ浴中でさらに30分間、スルホン化魚油に基づくアニオン脂肪液(fatliquor)2部で処理される。革は慣例的に乾燥され、仕上げられる。得られた革は、むらのない黄色がかった茶色の色合いを有している。
さらに低い親和性の植物-再なめし(vegetable-retanned)革を同様に、本発明の方法に従って染めることができる。
染色は、製造例A2〜A35の染料を用いて、同様のやり方で行うことができる。
【0096】
使用例F
15kgの廃棄紙(木質)、25kgの漂白した砕木および10kgの無漂白サルフェートパルプが、パルプ製造機中で打ち砕かれて、3%水性パルプ懸濁物を形成した。パルプ懸濁物は、染色バット中で2%に希釈された。この懸濁物を次に、撹拌することによって、5%のカオリンおよび1.25kgの、製造例A1の染料の5%酢酸溶液(乾燥合計繊維量に基づき計算した)と引き続き混合した。20分後、混合バット中のパルプは、1%(絶対的乾燥繊維に基づく)の樹脂サイズ分散物と混合される。均質なパルプ懸濁物は、ヘッドボックス(headbox)のちょうど上流にある紙製造機にて、明礬を用いてpH5に調整された。紙製造機を使用して、機械仕上げを用いて、80g/m2の茶色の紙袋を製造した。
染色は、製造例A2〜A35の染料を用いて、同様のやり方で行うことができる。
【0097】
使用例G
60%の砕木および40%の無漂白サルファイトパルプを含む乾燥ストックが、十分な水と共に打ち砕かれ、ホランダー中で、2.5%より少し上の乾燥含量に、40SRろ水度に粉砕され、その後、高密度パルプのために、水を用いて、正確に2.5%の乾燥含量に調整される。
200部のこの高密度パルプは、5部の製造例A1の染料の0.25%水性溶液と混合され、約5分間撹拌され、乾燥ストックに基づいて2%の樹脂サイズおよび4%の明礬と混合され、均質になるまで数分間再び撹拌される。この材料を約500部の水で希釈して700体積部にし、公知のやり方で使用して、シート形成機にて排水することにより、紙のシートを製造する。これらの紙のシートは、濃い茶色を有する。
染色は、製造例A2〜A35の染料を用いて、同様のやり方で行うことができる。
【0098】
使用例H
次のものからなる、インクジェット印刷のためのインク組成物:
6部の製造例A1の染料、
20部のグリセロールおよび
74部の水。
このインク組成物は次に、インクを市販の入手可能なインクジェットプリンターのインク容器に移し、それを使用して、単色試験プリントを識別されたシート状材料上に製造することによって、紙、紙状基体、テキスタイル繊維材料およびプラスチックフィルム/シートを印刷するために使用された。
染色は、製造例A2〜A35の染料を用いて、同様のやり方で行うことができる。
【0099】
使用例I
ノルウェートウヒからなる屋根板(roof batten)およびブナ材からなる屋根板が、長さ5cmの片に挽かれ、トウヒ材屋根板の1片およびブナ材屋根板の1片が、製造例1に従う染料溶液の希釈溶液(10重量部の水および1重量部の製造例1に従う染料溶液)に浸漬される。乾燥すると、茶色がかった屋根板片が得られる。
染色はまた、製造例A2〜A35の染料を用いて、同様のやり方で行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 1種以上の、式(I):
【化1】

(ここで、B1およびB2は独立して、-OHおよびNH2であり、D3=Hまたは式
【化2】

の基であり、
R6、R7、R8またはR9は独立して、HまたはSO3Hであり、
MaまたはMbは独立して、M1〜M10の意味を有し、
M1はHであり、
M2は-(CH2)3)N(CH3)2であり、
M3は-(CH2)2)N(CH2CH3)2であり、
M4
【化3】

であり、
M5
【化4】

であり、
M6
【化5】

であり、
M7
【化6】

であり、
M8
【化7】

であり、
M9
【化8】

であり、
M10は-(CH2)2NH2であり、
RaまたはRbは独立して、R1〜R5の意味を有し、
R1はHであり、
R2
【化9】

であり、
R3
【化10】

であり、
R4はCNであり、
R5
【化11】

であり、
A-は、有機酸のアニオンおよび/または無機酸のアニオンである非着色アニオンである)
のカチオン化可能な染料
(ii) 有機酸および/または無機酸ならびに
(iii) 水を含み、かつ
(iv) 溶液中に存在する染料に基づいて等モル以下の塩化物イオン画分を有する
濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液。
【請求項2】
pHが3±1pH単位である請求項1記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液。
【請求項3】
溶液が、式(II)の染料および/または式(III)の染料をさらに含む請求項1または2記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液:
【化12】

[ここで、
各Aは独立して、-NH-または-O-であり、
Bは、多価基または原子であり、
n'およびn''は自然数であり、n'およびn''の合計は≧2であり、
mは≧0の自然数であり、
CCは、式(c1)または(c2)を有する基であり、
【化13】

(ここで、
各R10は独立して、H、C1~4アルキル、C5~6シクロアルキル、フェニル、ベンジルまたはフェニルエチルであり、
各R10'は独立して、H、-OHまたはC1~4アルキルであり、
各T1は独立して、H、-CN、-COOR15、CONR16R17、SO2NR16R17
【化14】

であり、
Gは、H、-R11NHR12または-R11NR13R14であり、
R11は、C1~6アルキレンまたはC2~6アルケニレンであり、
R12およびR13は独立して、H;非置換のC1~6アルキル;OH、CNもしくはハロゲンで置換されたC2~6アルキル;フェニルC1~3アルキル{ここでフェニル基は場合により、塩素、C1~4アルキルもしくはC1~4アルコキシからなる群より選択される置換基で1置換、2置換もしくは3置換される};非置換のC5~6シクロアルキルまたは、C1~4アルキル基で1置換、2置換もしくは3置換されたC5~6シクロアルキルであり、
R14は、R12またはR13についての意味を有するか、または水素原子であり、
R15は、C1~6アルキル基またはフェニルC1~3アルキル基であり、
R16およびR17は独立して、HまたはC1~4アルキル基であり、
R18は、それぞれの場合に独立して、H;C1~4アルキル基;-NR16R17-(CH2)2-4-NR16R17または-CONR16R17であり、
R19は、C1~4アルキル基またはヒドロキシ- C1~4アルキル基であり、
R20は-S-または-O-であり、
R21は水素原子またはC1~4アルキル基であり、かつ
An-は、非着色アニオンである)
ただし、以下の条件がある:
(i) n'、n''およびmの合計はBの価数より小さく、
(ii) n'およびn''の合計=2のとき、mは≧1であり、
(iii) n'およびn''の合計=3であり、かつA=NHのとき、mは≧1である]
および/または
【化15】

[ここで、
R1、R2またはR3は独立して、H、CH3、C2H5、n-C3H7、i- C3H7、n-C4H9、i- C4H9、sec- C4H9であり、
Rnは、-C2H4-、-C3H6-、-CH(CH3)CH2-または-C4H6-であり、
Yは、水素またはニトロであり、
qは1または2である]。
【請求項4】
染料溶液が、40重量%以下の染料および0.5〜25重量%の有機酸を含み、水で100重量%にされる請求項1〜3のいずれか1項記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液。
【請求項5】
請求項1記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液を製造する方法であって、少なくとも1種の式(I)の粗製カチオン染料の水性溶液もしくは懸濁物が、半透膜を用いて、圧力を施用することによって膜ろ過されて、塩化物イオン画分が式(I)の染料に関して等モル以下になるまで、塩および500未満の分子量を有する合成副生物および幾らかの水が除去されることを特徴とする方法。
【請求項6】
浸透物の染料濃度が20%を超えて変化することのないように浸透物を連続的または断続的に水または緩衝溶液で置換または補充する請求項5記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液を製造する方法。
【請求項7】
半透膜を用いて、圧力を施用することによる、少なくとも1種の式(I)の粗製カチオン染料の水性溶液もしくは懸濁物を膜ろ過する工程を、5.5〜6.5のpH、好ましくは5.9〜6.1のpHで、20〜50℃の温度、好ましくは30〜35℃の温度で行う請求項5記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液を製造する方法。
【請求項8】
さらなる工程において、染料溶液を、酸を用いてpHを3±1pH単位に調整する請求項5記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液を製造する方法。
【請求項9】
請求項5記載の方法によって得ることができる濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液。
【請求項10】
セルロース材料、特に紙および/もしくは板および/もしくはカードを染色および/または印刷するための、および/または木材を染色もしくは色付けするための請求項1記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液の使用。
【請求項11】
ノンインパクト印刷、特にインクジェット印刷のためのインクおよび処方物を製造するための請求項1記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液の使用。
【請求項12】
請求項1記載の濃厚貯蔵安定性色安定性水性液体染料溶液を用いて染色または印刷されたことを特徴とする基体。

【公表番号】特表2008−530327(P2008−530327A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555595(P2007−555595)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/050932
【国際公開番号】WO2006/087328
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(596033657)クラリアント インターナショナル リミティド (48)
【Fターム(参考)】