説明

濃縮装置

【課題】処理対象物の濃縮率を向上させる。
【解決手段】処理槽の濃縮部に設けられ、処理槽の軸方向に沿って配置された濃縮部回転軸の回転駆動により回転することにより、処理対象物の水切りを行う水切り部材と、凝集部に設けられ、濃縮部回転軸と同軸上に配置された凝集部回転軸の回転駆動により回転する撹拌羽根を有し、濃縮部回転軸および凝集部回転軸の回転速度を異ならせることにより、水切り部材と撹拌羽根とを異なる速度で回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凝集剤とともに処理槽内に供給された液体を含む処理対象物を濃縮する濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、筒状の処理槽と、処理槽の下部に設けられ、処理対象物および凝集剤を撹拌して処理対象物を凝集させる撹拌羽根を備えた凝集部と、処理槽における凝集部の上方に設けられ、処理対象物を濾過するスクリーンを備えた濃縮部とを有する濃縮装置が用いられている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
このような従来の濃縮装置は、処理槽の底部から処理槽の内部に凝集剤とともに液体を含むたとえば汚物等の処理対象物が供給されると、撹拌羽根の回転によって、凝集部において処理対象物と凝集剤を撹拌して処理対象物を凝集反応させるようになっている。そして、この濃縮装置は、濃縮部において、スクレーパやブレードをスクリーンに摺接させてスクリーンの目詰まりを防止するとともに、前記凝集された処理対象物に含まれる液体をスクリーンを介して処理槽の外部に通過させて濾過することにより濃縮するようになっている。
【0004】
その後、濃縮装置は、濃縮された処理対象物を排出口から排出するようになっており、濃縮装置によって濃縮された処理対象物は、さらに、脱水装置によって脱水されることにより、所望の含水率の処理対象物とされるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平6−39786号公報
【特許文献2】特許第3570293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、脱水装置によって濃縮された処理対象物を脱水する際、処理対象物の濃度が高い方が、脱水装置の脱水効率が高くなる。しかし、前述のような従来の濃縮装置によれば、凝集された処理対象物を濃縮部において濾過するだけでは、所望の濃度の処理対象物を得ることができない場合があった。その結果、その後の脱水装置における脱水効率が低下してしまうという問題を有していた。
【0007】
本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、処理対象物の濃縮率を向上させることが可能な濃縮装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る濃縮装置の特徴は、液体を含む処理対象物および凝集剤が供給される処理槽と、前記処理槽の下部に設けられ、前記処理対象物および前記凝集剤を撹拌して前記処理対象物を凝集させる撹拌羽根を備えた凝集部と、前記処理槽における前記凝集部の上方に設けられ、凝集された前記処理対象物の液体を濾過することにより前記処理対象物を濃縮する濃縮部と、前記処理槽における前記濃縮部の上方に設けられ、濃縮された前記処理対象物を排出する排出口を有する排出部とを備えた濃縮装置において、前記濃縮部に、前記凝集された処理対象物の内部に溜まった液体を前記処理対象物の外部方向に流出させて前記処理対象物の水切りを行う水切り部材を設けた点にある。
【0009】
この請求項1に記載の発明によれば、水切り部材によって処理対象物の内部に溜まった液体を前記処理対象物の外部方向に流出させて、濃縮部に搬送された処理対象物の水切りを行うことができるので、この流出した液体を濾過することにより、処理対象物の内部に溜まった液体をも濾過することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明に係る濃縮装置の特徴は、請求項1に記載の発明において、前記水切り部材は、前記処理槽の軸方向に沿って配置された濃縮部回転軸の回転駆動により回転し、前記撹拌羽根は、前記濃縮部回転軸と同軸上に配置された凝集部回転軸の回転駆動により回転するようになっており、前記濃縮部回転軸および前記凝集部回転軸の回転速度を異ならせることにより、前記水切り部材と前記撹拌羽根とを異なる速度で回転させる点にある。
【0011】
これにより、凝集部における処理対象物の流動速度と、濃縮部における処理対象物の流動速度に差を生じさせて、水切り部材による処理対象物の水切り効果をさらに向上させることができるので、処理対象物の濃縮率をより向上させることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明に係る濃縮装置の特徴は、請求項2に記載の発明において、前記水切り部材を第1水切り部材とし、前記第1水切り部材は、前記濃縮部回転軸に取り付けられ、羽根面が前記濃縮部回転軸の軸方向に対して傾斜して配置される第1水切り羽根を有する点にある。
【0013】
これにより、第1水切り部材は、濃縮部回転軸の回転駆動によって回転する第1水切り羽根によって濃縮部の処理対象物を撹拌することにより、処理対象物の内部に溜まった液体を処理対象物の外部方向に流出させて、処理対象物の水切りを行うことができ、この流出した液体を濾過することにより、処理対象物の内部に溜まった液体をも濾過することができる。また、第1水切り部材は、第1水切り羽根の回転によって処理対象物を上方へ押し上げて、排出部に搬送することができる。さらに、第1水切り羽根は、撹拌羽根と回転速度が異なるので、凝集部における処理対象物の流動速度と、濃縮部における処理対象物の流動速度に差を生じさせて、処理対象物の水切り効果を向上させることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明に係る濃縮装置の特徴は、請求項2または請求項3に記載の発明において、前記水切り部材を第2水切り部材とし、前記第2水切り部材は、前記凝集部回転軸に取り付けられた支持部と、前記支持部に固定され前記支持部から前記濃縮部の方向に延びて配置された支軸と、前記支軸に取り付けられた第2水切り羽根とを備え、前記第2水切り羽根は、前記凝集部回転軸の回転駆動により回転する点にある。
【0015】
これにより、第2水切り部材は、凝集部回転軸の回転駆動により回転する第2水切り羽根によって濃縮部の処理対象物を撹拌することにより、処理対象物の内部に溜まった液体を処理対象物の外部方向に流出させて処理対象物の水切りを行うことができ、この流出した液体を濾過することにより、処理対象物の内部に溜まった液体をも濾過することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明に係る濃縮装置の特徴は、請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の発明において、前記水切り部材を第3水切り部材とし、前記第3水切り部材は、前記排出部の周壁に固定された支持部と、前記支持部に垂設されて前記濃縮部に配置される第3水切り羽根とを備える点にある。
【0017】
これにより、第3水切り部材は、固定して配置されている第3水切り羽根によって処理対象物の流動に乱流を発生させることにより、処理対象物の内部に溜まった液体を処理対象物の外部方向に流出させて処理対象物の水切りを行うことができ、この流出した液体を濾過することにより、処理対象物の内部に溜まった液体をも濾過することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明に係る濃縮装置の特徴は、請求項2に記載の発明において、前記水切り部材を第4水切り部材とし、前記第4水切り部材は、前記濃縮部回転軸に取り付けられた支持部と、前記支持部に取り付けられ、前記濃縮部回転軸の軸方向に沿って配置される水切り羽根とを備え、前記水切り羽根は、前記濃縮部回転軸の回転駆動により回転する点にある。
【0019】
これにより、第4水切り部材は、濃縮部回転軸の回転駆動によって回転する第1水切り羽根によって濃縮部の処理対象物を撹拌することにより、処理対象物の内部に溜まった液体を処理対象物の外部方向に流出させて、処理対象物の水切りを行うことができ、この流出した液体を濾過することにより、処理対象物の内部に溜まった液体も濾過することができる。また、第1水切り羽根は、撹拌羽根と回転速度が異なるので、凝集部における処理対象物の流動速度と、濃縮部における処理対象物の流動速度に差を生じさせて、処理対象物の水切り効果を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上述べたように、本発明に係る濃縮装置によれば、処理対象物の内部に溜まった液体も濾過することができるので、処理対象物の濃縮率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る濃縮装置の第1実施形態を示す縦断面正面図
【図2】図1に示す濃縮装置の矢印A方向からの想到部分の縦断面側面図
【図3】図1に示す濃縮装置のB−Bにおける相当部分の横断面平面図
【図4】図1に示す濃縮装置のC−Cにおける相当部分の横断面平面図
【図5】本発明に係る濃縮装置における濃縮部の第2の実施形態を示す縦断面側面図
【図6】図5に示す濃縮部のD−Dにおける相当部分の横断面平面図
【図7】本発明に係る濃縮装置における濃縮部の第3の実施形態を示す縦断面正面図
【図8】図7に示す濃縮部のE−Eにおける相当部分の横断面平面図
【図9】本発明に係る濃縮装置における濃縮部の第4の実施形態を示す縦断面側面図
【図10】図9に示す濃縮部のF−Fにおける相当分の横断面平面図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る濃縮装置の実施形態を図1ないし図10を参照して説明する。なお、本実施形態においては、濃縮装置によって濃縮する処理対象物として汚泥を用いて説明するが、本発明に係る濃縮装置によって濃縮する処理対象物は汚泥に限定されず、汚泥や、食品残渣、廃液、スクリーン屎渣等、種々の処理対象物が可能である。
【0023】
図1は、本発明に係る濃縮装置の第1の実施形態を示す縦断面正面図であり、図2は、図1の濃縮装置における矢印Aから視認した縦断面側面図である。
【0024】
図1および図2に示すように、本実施形態に係る濃縮装置1は、円筒状の周壁3および底壁5を有する処理槽2を有しており、底壁5には、処理槽2に汚泥を供給するための供給パイプ6が連結された汚泥供給口7が設けられている。また、供給パイプ6には、凝集剤を任意に供給可能な第1凝集剤供給口8Aが設けられている。そして、濃縮装置1は、第1凝集剤供給口8Aから凝集剤が供給された場合には、この凝集剤とともに、汚泥が供給口を介して処理槽2の底部から供給されるようになっている。
【0025】
処理槽2は、下部が、汚泥を凝集させる凝集部2Aとされており、処理槽2における凝集部2Aの上方には、凝集された汚泥を濃縮する濃縮部2Bが設けられている。さらに、濃縮部2Bの上方には、濃縮された汚泥を処理槽2から排出する排出部2Cが設けられている。
【0026】
処理槽2における凝集部2Aには、処理槽2の軸方向Sに沿って凝集部回転軸10が設けられている。また、濃縮部2Bには、凝集部回転軸10と同軸上に濃縮部回転軸11が配設されており、濃縮部回転軸11は、排出部2Cに延設されている。両回転軸10、11は、それぞれ複数のギヤ12を介して1つの駆動モータ13に連結されており、異なる速度によって回転駆動することができるようになっている。このように、1つの駆動モータ13で、両回転軸10、11を駆動することにより、装置の簡素化、軽量化を図ることができる。なお、両回転軸10、11をそれぞれ異なる駆動モータ13によって回転駆動するようにしてもよい。これにより、それぞれの回転軸10、11を自由に適切な回転数によって回転駆動することができる。
【0027】
凝集部2Aの周壁3には、凝集剤を任意に供給可能な複数(本実施形態においては3つ)の凝集剤供給口8B、8C、8Dが、軸方向Sに沿って並列して設けられている。そして、濃縮装置1は、第1ないし第4凝集剤供給口8A、8B、8C、8D(8)のうち少なくとも1つの凝集剤供給口8から少なくとも1種類の凝集剤が処理槽2の内部に供給されるようになっている。凝集剤を供給する凝集剤供給口8の位置は、供給される凝集剤の数や凝集反応時間等を考慮して選択されるようになっている。一般には、1種類の凝集剤を供給する場合には、凝集剤をいずれか1つの凝集剤供給口8から供給し、2種類の凝集剤を供給する場合には、1番目の凝集剤を第1凝集剤供給口8Aから供給し、2番目の凝集剤を第2凝集剤供給口8B、第3凝集剤供給口8C、あるいは第4凝集剤供給口8Dのいずれか1つから供給するようになっている。また、本実施形態に係る濃縮装置1は、同一の凝集剤を複数回に分けて供給する場合にも適応することができるようになっている。
【0028】
なお、凝集剤としては、処理対象物の種類に応じて各種のものが用いられるが、例えば、処理対象物が余剰汚泥の場合には無機凝集剤と液状高分子凝集剤とが用いられ、また、無機凝集沈殿汚泥の場合には、カチオン高分子とアニオン高分子の2液が用いられる。
【0029】
凝集部2Aには、凝集部回転軸10の回転駆動によって回転することにより汚泥および凝集剤を撹拌する撹拌羽根15が設けられている。撹拌羽根15は、図3に示すように、凝集部回転軸10を中心として回転するように凝集部回転軸10に固定して取り付けられており、撹拌羽根15の羽根面15aが撹拌羽根15の回転方向Cに対して直交するように配置されている。本実施形態においては、図1および図2に示すように、3つの撹拌羽根15が軸方向Sに所定の間隙をもって並列して配設されており、各撹拌羽根15は、隣位する撹拌羽根15と平面上において直交するように配置されている。そして、各撹拌羽根15は、汚泥の種類等を考慮して、例えば20〜80rpmの速度による凝集部回転軸10の回転駆動により、回転するようになっている。なお、本発明における撹拌羽根15の配置や数は、本実施形態に限定されず、本発明において撹拌羽根15は、汚泥と凝集剤とを撹拌可能に設けられればよい。
【0030】
凝集部2Aの周壁3には、軸方向Sにおける各撹拌羽根15の配置位置の間隙に相当する位置に、それぞれ邪魔板16が固設されており、各邪魔板16は、撹拌羽根15によって撹拌された汚泥および凝集剤の流動に乱流を発生させるようになっている。
【0031】
これにより、凝集部2Aは、処理槽2に供給された汚泥および凝集剤を撹拌羽根15によって撹拌することにより、汚泥を凝集させてフロックを形成するようになっている。また、凝集部2Aは、邪魔板16によって汚泥および凝集剤の流動に乱流を発生させることによって、汚泥および凝集剤をより均一に撹拌して全体を均一に凝集させることができるようになっている。
【0032】
処理槽2における濃縮部2Bの周壁3は、パンチングメタルやフィルター等からなるスクリーン18により構成されており、濃縮装置1は、濃縮部2Bにおいてスクリーン18を介して汚泥の液体を濾過するようになっている。また、スクリーン18の外方下端部には、スクリーン18を介して濾過された液体を受ける受け台19が処理槽2の外側に張り出して設けられており、受け台19には、図4に示すように、濾過された液体を排出する一対の排出孔20が形成されている。さらに、受け台19の外周縁は、スクリーン18の外面に対向して配置される外壁21に連設されている。
【0033】
濃縮部2Bには、スクリーン18の目詰まりを防止するクリーニング部材23が設けられており、クリーニング部材23は、濃縮部回転軸11に固定して取り付けられた支持軸23aと、支持軸23aに支持されスクリーン18の内面に対向して配置された支持板23bと、支持板23bに支持されスクリーン18の内面に摺接するゴム板23cとを有している。クリーニング部材23は、濃縮部回転軸11の回転駆動によって回転しながらゴム板23cをスクリーン18の内面に摺接させることによってスクリーン18から汚泥を除去することにより、スクリーン18の目詰まりを防止するようになっており、本実施形態においては、一対のクリーニング部材23が濃縮部回転軸11を挟んで対向して配設されている。
【0034】
さらに、濃縮部2Bには、凝集された処理対象物の水切りを行う水切り部材25が設けられている。
【0035】
本実施形態においては、水切り部材25として、濃縮部回転軸11に固定して取り付けられた第1水切り羽根26を有する第1水切り部材25Aを備えており、第1水切り部材25Aは、濃縮部回転軸11を挟んで対向して配置された一対の第1水切り羽根26が、軸方向Sに所定の間隙をもって2組配置されることにより、合計4つの第1水切り羽根26を備えている。そして、第1水切り部材25Aの各第1水切り羽根26は、濃縮部回転軸11の回転駆動によって回転するようになっており、本実施形態においては、汚泥の搬送状態や、スクリーン18の目詰まり状態等を考慮して、1〜数rpmの速度による濃縮部回転軸11の回転駆動によって回転するようになっている。これにより、濃縮部回転軸11の回転駆動によって回転する第1水切り羽根26と、凝集部回転軸10の回転駆動によって回転する撹拌羽根15とは、異なる速度で回転するようになっている。そして、第1水切り部材25Aは、各第1水切り羽根26の回転によって、濃縮部2Bに搬送された汚泥を撹拌して、汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、濃縮部2Bに搬送される汚泥の水切りを行うようになっている。
【0036】
また、各第1水切り羽根26は、図1に示すように、濃縮部回転軸11の回転方向Cの上流側の端縁が下流側の端縁よりも上方に位置するように、羽根面26aが濃縮部回転軸11の軸方向Sに対して傾斜して配置されている。そして、第1水切り部材25Aは、各第1水切り羽根26の回転によって、濃縮部2Bに搬送された汚泥を撹拌するとともに、さらに上方に押し上げるように搬送することができるようになっている。
【0037】
排出部2Cの周壁3には、処理槽2の内部から汚泥を排出する排出口28が設けられており、排出口28は排出シュート29に連結されている。また、濃縮部回転軸11における排出部2Cに延設された部分には、排出部2Cに搬送された汚泥を排出口28へ誘導する掻き出し羽根27が取り付けられている。掻き出し羽根27は、先端部が処理槽2の周壁3に対向し、羽根面27aが濃縮部回転軸11の回転方向Cに対して直交して配置され、濃縮部回転軸11の回転駆動によって回転するようになっており、回転によって排出部2Cに搬送された汚泥を掻き出して、排出口28へ誘導するようになっている。そして、濃縮装置1は、排出口28から排出シュート29を介して汚泥を処理槽2の外部に排出するようになっており、排出された汚泥は、その後脱水処理される場合には、そのまま図示しない脱水装置に供給されるようになっている。
【0038】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0039】
まず、濃縮装置1は、供給パイプ6を介して汚泥供給口7から処理槽2に汚泥を供給するとともに、凝集反応時間等を考慮して、各凝集剤供給口8のうち少なくとも1つの凝集剤供給口8を介して少なくとも1種類の凝集剤を供給する。続いて、濃縮装置1は、駆動モータ13の駆動により凝集部回転軸10を回転駆動して、各撹拌羽根15を回転させることにより、処理槽2に供給された汚泥と凝集剤とを撹拌して汚泥を凝集させる。また、濃縮装置1は、凝集部2Aにおいて、各邪魔板16によって撹拌された汚泥の流れに乱流を発生させることにより、汚泥と凝集剤とをより均一に撹拌して、汚泥をむらなく凝集させることができる。
【0040】
続いて、濃縮装置1は、駆動モータ13の駆動によって濃縮部回転軸11の回転駆動して、第1水切り部材25Aの各第1水切り羽根26を回転させることにより、汚泥を撹拌しながら上方へ押し上げるように搬送しつつ、濃縮部2Bに搬送された汚泥の液体を、スクリーン18を介して濾過する。このとき、濃縮装置1は、各第1水切り羽根26の回転によって汚泥を撹拌し、汚泥の内部に溜まっていた液体を汚泥の外部方向に流出させることによって汚泥の水切りを行う。これにより、濃縮装置1は、汚泥の内部に溜まった液体を汚泥の外部方向に流出させて、スクリーン18によって濾過することができる。
【0041】
このように、濃縮装置1は、濃縮部2Bにおいて第1水切り部材25Aにより汚泥の水切りを行うことによって、汚泥の内部に溜まっていた液体もスクリーン18により濾過することができ、これにより、汚泥の濃縮率を向上させることができる。
【0042】
また、濃縮装置1は、凝集部2Aにおける撹拌羽根15と濃縮部2Bにおける第1水切り羽根26とを、異なる速度(本実施形態においては、第1水切り羽根26の回転速度を撹拌羽根15の回転速度よりも遅い速度)で回転させることにより、凝集部2Aにおける汚泥の流動速度と濃縮部2Bにおける汚泥の流動速度とに差が生じ、第1水切り羽根26による汚泥の水切り効果をさらに向上させることができるので、汚泥の濃縮率をより向上させることができる。また、濃縮部2Bにおいて回転を落とすことにより、凝集フロックを壊さないようにできるし、また、ゴムの摩耗を防止することができる。
【0043】
さらに、濃縮装置1は、排出部2Cに搬送された汚泥を、濃縮部回転軸11の回転駆動により回転する掻き出し羽根27によって掻き出すことにより排出口28へ誘導し、排出口28から処理槽2の外部に排出する。
【0044】
このように、本実施形態によれば、第1水切り羽根26の回転によって、濃縮部2Bに搬送された汚泥を撹拌して、汚泥の内部に溜まった液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行い、汚泥の外部方向に流出された液体をスクリーン18を介して濾過することができる。
【0045】
したがって、濃縮装置1は、汚泥の内部に溜まった液体も濾過することができるので、汚泥の濃縮率を向上させることができる。本実施形態に係る濃縮装置1によれば、汚泥濃度が0.5%の汚泥を3.0%程度の汚泥濃度に濃縮することができ、約17%程度の濃縮率によって汚泥を濃縮することができる。また、本実施形態に係る濃縮装置1によれば、汚泥濃度が1.5%の汚泥を、5.0%程度に濃縮することができ、約30%の濃縮率によって汚泥を濃縮することができる。これにより、濃縮装置1によって濃縮された汚泥を、脱水装置によって脱水する際の脱水装置における脱水効率を向上させることができる。
【0046】
また、濃縮装置1は、濃縮部2Bにおける第1水切り羽根26の回転速度と、凝集部2Aにおける撹拌羽根15の回転速度とを異ならせることにより、第1水切り部材25Aによる水切り効果を向上させることができ、これにより、汚泥の濃縮率をさらに向上させることができる。
【0047】
次に、本発明に係る濃縮装置1の第2の実施形態について図5および図6を参照して説明する。
【0048】
なお、第1の実施形態と同様の構成については同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0049】
本発明の第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、駆動モータ13の駆動により、それぞれ各ギヤ12を介して、凝集部回転軸10と濃縮部回転軸11とがそれぞれ異なる速度で回転するようになっている。
【0050】
図5および図6に示すように、第2の実施形態に係る濃縮装置1における濃縮部2Bには、凝集された処理対象物の水切りを行う水切り部材25として、クリーニング部材23の支持軸23aの上方に、第1水切り部材25Aが設けられている。第1水切り部材25Aは、濃縮部回転軸11に固定して取り付けられる一対の第1水切り羽根26を有しており、両第1水切り羽根26は、第1の実施形態における水切り羽根と同様に、濃縮部回転軸11を挟んで対向して配置され、濃縮部回転軸11の回転駆動によって回転するようになっている。そして、第1水切り部材25Aは、第1水切り羽根26の回転によって、濃縮部2Bに搬送された汚泥を撹拌して汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行うようになっている。
【0051】
また、濃縮部2Bにおけるクリーニング部材23の支持軸23aを介して第1水切り部材25Aの下方には、凝集された処理対象物の水切りを行う他の水切り部材25として、凝集部回転軸10の回転駆動により回転する第2水切り部材25Bが設けられている。
【0052】
第2水切り部材25Bは、凝集部回転軸10を挟んで対向して配置されるように凝集部回転軸10に取り付けられた一対の支持部30と、支持部30に固定されて該支持部30から濃縮部2Bの方向に延びて濃縮部回転軸11の軸方向Sに沿って配置された支軸31と、軸方向Sに所定の間隙をもって支軸31に取り付けられた一対の第2水切り羽根32を有しており、各第2水切り羽根32は、図6に示すように、羽根面32aが平面上において処理槽2の径方向に対して所定の角度をもって交差するように配置されている。そして、第2水切り羽根32は、凝集部回転軸10の回転駆動により支持部30および支軸31を介して回転するようになっており、これにより、第1水切り羽根26と異なる速度で回転するようになっている。
【0053】
次に、第2の実施形態の作用について説明する。
【0054】
第2の実施形態に係る濃縮装置1によれば、第2水切り部材25Bが、凝集部回転軸10の回転駆動による第2水切り羽根32の回転によって、凝集部2Aから濃縮部2Bに搬送された汚泥を撹拌し、汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行うことができる。
【0055】
また、第1水切り部材25Aは、濃縮部回転軸11の回転駆動による第1水切り羽根26の回転によって、第2水切り羽根32によって撹拌された汚泥をさらに撹拌し、汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行うことができる。
【0056】
したがって、第2の実施形態に係る濃縮装置1は、第1水切り羽根26および第2水切り羽根32の回転による汚泥の撹拌により、汚泥の内部に溜まった液体も汚泥の外部方向に流出させて濾過することができるので、汚泥の濃縮率を向上させることができる。
【0057】
さらに、濃縮装置1によれば、第1水切り羽根26と第2水切り羽根32とを異なる回転速度で回転させることにより、第1水切り羽根26の撹拌による汚泥の流動速度と第2水切り羽根32の撹拌による汚泥の流動速度とに差が生じ、水切り羽根による汚泥の水切り効果をさらに向上させることができるので、汚泥の濃縮率をより向上させることができる。
【0058】
次に、本発明に係る濃縮装置1の第3の実施形態について、図7および図8を参照して説明する。
【0059】
なお、第1および第2の実施形態と同様の構成については同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0060】
図7および図8に示すように、本発明の第3の実施形態に係る濃縮装置1における濃縮部2Bには、凝集された処理対象物の水切りを行う水切り部材25として、クリーニング部材23の支持軸23aの下方に、第1水切り部材25Aが設けられている。第1水切り部材25Aは、濃縮部回転軸11に固定的に取り付けられる一対の第1水切り羽根26を有しており、両第1水切り羽根26は、第1の実施形態における水切り羽根と同様に、濃縮部回転軸11を挟んで対向して配置され、濃縮部回転軸11の回転駆動によって回転するようになっている。そして、第1水切り部材25Aは、第1水切り羽根26の回転によって、濃縮部2Bに搬送された汚泥を撹拌して汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行うようになっている。
【0061】
また、濃縮部2Bにおけるクリーニング部材23の支持軸23aを介して第1水切り部材25Aの上方には、凝集された処理対象物の水切りを行うさらに他の水切り部材25として、排出部2Cの周壁3に固定された第3水切り部材25Cが設けられている。
【0062】
第3水切り部材25Cは、排出部2Cの周壁3に固定された支持部35と、支持部35から固定して垂設されて濃縮部2Bに配置される第3水切り羽根36とを有しており、第3水切り羽根36は、図8に示すように、羽根面36aが平面上において処理槽2の径方向に対して所定の角度をもって交差するように配置されている。そして、第3水切り羽根36は、第1水切り羽根26の回転によって撹拌されながら押し上げられてきた汚泥の流動に乱流を発生させて、さらに汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行うようになっている。
【0063】
次に、第3の実施形態の作用について説明する。
【0064】
第3の実施形態に係る濃縮装置1によれば、第1水切り部材25Aが、濃縮部回転軸11の回転駆動による第2水切り羽根32の回転によって、凝集部2Aから濃縮部2Bに搬送された汚泥を撹拌し、汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行うことができる。
【0065】
また、第3水切り羽根36は、支持部35を介して排出部2Cの周壁3に固定して取り付けられており、第1水切り羽根26によって撹拌されるとともに押し上げられた汚泥の流動に乱流を発生させて、汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行うことができる。
【0066】
したがって、第3の実施形態に係る濃縮装置1は、第1水切り羽根26の回転による汚泥の撹拌、および第3水切り羽根36による汚泥の流動に乱流を発生させることにより、汚泥の内部に溜まった液体も汚泥の外部方向に流出させて濾過することができるので、汚泥の濃縮率をさらに向上させることができる。
【0067】
次に、本発明に係る濃縮装置1の第4の実施形態について、図9および図10を参照して説明する。
【0068】
なお、第1、第2および第3の実施形態と同様の構成については同一の符号を用いて説明し、詳説を省略する。
【0069】
本発明の第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、駆動モータ13の駆動により、それぞれギヤ12を介して、凝集部回転軸10と濃縮部回転軸11とがそれぞれ異なる速度で回転するようになっている。
【0070】
図9および図10に示すように、本発明の第4の実施形態に係る濃縮装置1における濃縮部2Bには、凝集された処理対象物の水切りを行う水切り部材25として、濃縮部回転軸11の回転駆動により回転する第4水切り部材25Dが設けられている。
【0071】
第4水切り部材25Dは、濃縮部2Bにおける濃縮部回転軸11の上部に濃縮部回転軸11を挟んで対向して取り付けられた一対の支持部38と、各支持部38にそれぞれ2つずつ垂設され、濃縮部回転軸11の軸方向Sに沿って配置される4つの第4水切り羽根39とを有しており、第4の実施形態において、各第4水切り羽根39は、丸棒状の部材により構成されている。また、各第4水切り羽根39は、図10に示すように、処理槽2の径方向に所定の間隙をもち、一方の支持部38に取り付けられた両第4水切り羽根39が、それぞれ他の支持部38に取り付けられた両第4水切り羽根39と回転ルート上において重ならない位置に配置されている。なお、第4水切り羽根39の形状は、本実施形態に限定されず、例えば、板状の部材により構成してもよい。そして、各第4水切り羽根39は、濃縮部回転軸11の回転駆動により回転するようになっている。
【0072】
次に、第4の実施形態の作用について説明する。
【0073】
第4の実施形態に係る濃縮装置1によれば、第4水切り部材25Dが、濃縮部回転軸11の回転駆動による各第4水切り羽根39の回転によって、凝集部2Aから濃縮部2Bに搬送された汚泥を撹拌し、汚泥の内部に溜まっている液体を汚泥の外部方向に流出させることにより、汚泥の水切りを行うことができる。
【0074】
したがって、第4の実施形態に係る濃縮装置1は第4水切り羽根39の回転による汚泥の撹拌により、汚泥の内部に溜まった液体も汚泥の外部方向に流出させて濾過することができるので、汚泥の濃縮率を向上させることができる。
【0075】
また、一方の支持部38に取り付けられた両第4水切り羽根39がそれぞれ他の支持部38に取り付けられた両第4水切り羽根39と回転ルート上において重ならない位置に配置することにより、濃縮部2Bに搬送された汚泥を均一に撹拌することができ、汚泥の内部に溜まっている液体をより汚泥の外部方向に流出させることができる。これにより、第4の実施形態に係る濃縮装置1は、汚泥の濃縮率をさらに向上させることができる。
【0076】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々変更することが可能である。
【0077】
例えば、本発明における水切り羽根の形状や配置位置、配置方向等は、前記各実施形態に限定されるものではなく、濃縮部2Bにおいて汚泥の内部に溜まった液体を汚泥の外部方向に流出させて、汚泥の水切りを行うことができればよい。
【0078】
さらに、第2の実施形態においては、第1水切り部材25Aおよび第2水切り部材25Bを、第3の実施形態においては、第1の水切り部材25および第3の水切り部材25を濃縮部2Bにおいて組み合わせて用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、各水切り羽根によって汚泥の水切りを行うことができれば、各水切り部材25を単独に用いたり、また、自由に組み合わせてもよい。例えば、第2の実施形態における第2水切り部材25Bを濃縮部2Bの下部に設け、第3の実施形態における第3水切り部材25Cを濃縮部2Bにおける第2水切り部材25Bの上方に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 濃縮装置
2 処理槽
2A 凝集部
2B 濃縮部
2C 排出部
3 周壁
7 汚泥供給口
8A 第1凝集剤供給口
8B 第2凝集剤供給口
8C 第3凝集剤供給口
8D 第4凝集剤供給口
10 凝集部回転軸
11 濃縮部回転軸
13 駆動モータ
15 撹拌羽根
15a 羽根面
18 スクリーン
25 水切り部材
25A 第1水切り部材
26 第1水切り羽根
26a 羽根面
28 排出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含む処理対象物および凝集剤が供給される処理槽と、前記処理槽の下部に設けられ、前記処理対象物および前記凝集剤を撹拌して前記処理対象物を凝集させる撹拌羽根を備えた凝集部と、前記処理槽における前記凝集部の上方に設けられ、凝集された前記処理対象物の液体を濾過することにより前記処理対象物を濃縮する濃縮部と、前記処理槽における前記濃縮部の上方に設けられ、濃縮された前記処理対象物を排出する排出口を有する排出部とを備えた濃縮装置において、
前記濃縮部に、前記凝集された処理対象物の内部に溜まった液体を前記処理対象物の外部方向に流出させて前記処理対象物の水切りを行う水切り部材を設けたことを特徴とする濃縮装置。
【請求項2】
前記水切り部材は、前記処理槽の軸方向に沿って配置された濃縮部回転軸の回転駆動により回転し、
前記撹拌羽根は、前記濃縮部回転軸と同軸上に配置された凝集部回転軸の回転駆動により回転するようになっており、
前記濃縮部回転軸および前記凝集部回転軸の回転速度を異ならせることにより、前記水切り部材と前記撹拌羽根とを異なる速度で回転させることを特徴とする請求項1に記載の濃縮装置。
【請求項3】
前記水切り部材を第1水切り部材とし、
前記第1水切り部材は、前記濃縮部回転軸に取り付けられ、羽根面が前記濃縮部回転軸の軸方向に対して傾斜して配置される第1水切り羽根を有することを特徴とする請求項2に記載の濃縮装置。
【請求項4】
前記水切り部材を第2水切り部材とし、
前記第2水切り部材は、前記凝集部回転軸に取り付けられた支持部と、前記支持部に固定され前記支持部から前記濃縮部の方向に延びて配置された支軸と、前記支軸に取り付けられた第2水切り羽根とを備え、前記第2水切り羽根は、前記凝集部回転軸の回転駆動により回転することを特徴とする請求項2または請求項3に記載の濃縮装置。
【請求項5】
前記水切り部材を第3水切り部材とし、
前記第3水切り部材は、前記排出部の周壁に固定された支持部と、前記支持部に垂設されて前記濃縮部に配置される第3水切り羽根とを備えることを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれか1項に記載の濃縮装置。
【請求項6】
前記水切り部材を第4水切り部材とし、
第4水切り部材は、前記濃縮部回転軸に取り付けられた支持部と、前記支持部に取り付けられ、前記濃縮部回転軸の軸方向に沿って配置される第4水切り羽根とを備え、前記第4水切り羽根は、前記濃縮部回転軸の回転駆動により回転することを特徴とする請求項2に記載の濃縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−45498(P2012−45498A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−190647(P2010−190647)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(500038352)柳河エンジニアリング株式会社 (2)
【Fターム(参考)】