説明

火災検知器及びこれを用いた火災警報システム。

【課題】火災が発生していないときの電源部の電力供給を防止することの可能な火災検知器及びこれを用いた火災警報システムを提供する。
【解決手段】外部温度が所定の温度(例えば70℃)以上のときに接点113がオンとなる温度検知部110と、電力供給状態で温度検知部110の接点113がオンとなったときに所定の警報信号を出力する警報信号出力部120と、警報信号出力部用120の電源部130と、温度検知部110の接点113がオンとなったときにのみ電源部130から警報信号出力部120に駆動電力を供給する電源供給部140とを備えたので、温度検知部110の接点113がオンとならない場合には警報信号出力部120の駆動電力が電源部130から供給されることがない。従って、火災が発生していないときの電源部130の電力供給を防止することが可能となることから、火災検知器10の省エネルギー化を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば室内の温度に基づいて火災を検知することの可能な火災検知器及びこれを用いた火災警報システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の火災検知器として、外部温度が所定の温度以上のときに接点がオンまたはオフとなる温度検知部と、温度検知部の接点がオンまたはオフとなったときに所定の警報信号を出力する警報信号出力部とを備えたものが知られている。
【0003】
この火災検知器では、商用電源等を警報信号出力部用の電源部として用いており、警報信号出力部は、電源部から電力が供給されたときに駆動し、温度検知部から所定の電気信号を受信することによって温度検知部の接点がオンまたはオフになったことを判別するようになっている。
【特許文献1】特開2003−132457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来例では、外部温度が所定の温度に達していない場合、即ち火災が発生していないときでも常に電源部から警報信号出力部に電力が供給されていることから、電源部の電力供給量が増大し、火災検知器の省エネルギー化を実現することができないという問題点があった。
【0005】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火災が発生していないときの電源部の電力供給を防止することの可能な火災検知器及びこれを用いた火災警報システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の火災検知器は、前記目的を達成するために、外部温度が所定の温度以上のときに接点がオンまたはオフとなる温度検知部と、電力供給状態で温度検知部の接点がオンまたはオフとなったときに所定の警報信号を出力する警報信号出力部と、警報信号出力部用の電源部と、温度検知部の接点がオンまたはオフとなったときにのみ電源部から警報信号出力部に駆動電力を供給する電源供給部とを備えている。
【0007】
また、本発明の火災警報システムは、前記目的を達成するために、前記火災検知器と、火災検知器から警報信号が入力されたときに所定の警報情報を出力する火災警報器とを備えている。
【0008】
これにより、温度検知部の接点がオンまたはオフとならない場合、即ち外部温度が所定温度以上になっていない場合には、警報信号出力部の駆動電力が電源部から供給されることがない。
【0009】
さらに、本発明の火災検知器は、前記目的を達成するために、外部温度が所定の温度以上のときに接点がオンまたはオフとなる温度検知部と、外部空気の風量が所定の風量以上のときに所定の電力供給信号を出力する風量検知部と、電力供給状態で温度検知部の接点がオンまたはオフとなり、且つ、風量検知部から電力供給信号が出力されたときに所定の警報信号を出力する警報信号出力部と、警報信号出力部用の電源部と、温度検知部の接点がオンまたはオフとなり、且つ風量検知部から電力供給信号が出力されたときにのみ電源部から警報信号出力部に駆動電力を供給する電源供給部とを備えている。
【0010】
さらにまた、本発明の火災警報システムは、前記目的を達成するために、前記火災検知器と、火災検知器から警報信号が入力されたときに所定の警報情報を出力する火災警報器とを備えている。
【0011】
これにより、温度検知部の接点がオンまたはオフとならない場合、即ち外部温度が所定温度以上になっていない場合、且つ、風量検知部から電力供給信号が出力されていない場合には、警報信号出力部の駆動電力が電源部から供給されることがない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、温度検知部の接点がオンまたはオフとならない場合、即ち外部温度が所定温度以上になっていない場合には、警報信号出力部の駆動電力が電源部から供給されることがないので、火災が発生していないときの電源部の電力供給を防止することができ、火災検知器の省エネルギー化を実現することができる。
【0013】
また、本発明によれば、温度検知部の接点がオンまたはオフとならない場合、即ち外部温度が所定温度以上になっていない場合、且つ、風量検知部から電力供給信号が出力されていない場合には、警報信号出力部の駆動電力が電源部から供給されることがないので、火災が発生していないときの電源部の電力供給を防止することができ、火災検知器の省エネルギー化を実現することができる。また、外部温度及び外部空気の風量に基づいて火災を検知することができるので、火災の検知精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1乃至図5は本発明の第1の実施形態を示すもので、図1は火災検知器の斜視図、図2は温度検知部の構成を示す火災検知器の要部断面図、図3は火災検知器の機能構成図、図4は火災警報システムの機能構成図、図5は火災検知器の動作を示すフロー図である。
【0015】
本発明の火災警報システムは、天井等に取付けられ、室内の温度が所定温度以上のときに所定の警報信号を出力する火災検知器10と、壁面等に設置され、火災検知器10から警報信号が入力されたときに警報情報としての音声情報を出力する火災警報器20とを備えており、火災検知器10と火災警報器20とは互いに無線通信を行うようになっている。
【0016】
火災検知器10は、熱伝導性を有する金属または樹脂からなる中空状の火災検知器本体100と、火災検知器本体100の上面から上方に突出する取付部101とを備えており、取付部101を天井等に設けられた取付溝(図示省略)に挿入することにより、天井等に取付けられるようになっている。また、火災検知器本体10の内部には温度検知部110と、警報信号出力部120と、電源部130と、電源供給部140とが設けられている。なお、火災検知器本体100には、熱による膨張係数の小さい素材を用いると好適であり、これに対応して本実施形態では、火災検知器本体100をアルミニウム等の金属で構成している。
【0017】
温度検知部110は、図2に示すように火災検知器本体10の内部に設けられており、可変抵抗111と、熱膨張部材としてのシリコンゴム112と、シリコンゴム112の熱膨張または収縮に基づいて上下方向に移動可能な接点113と、接点113を下方に付勢するバネ114とから構成されている。
【0018】
可変抵抗111は、火災検知器本体100の内壁部に互いに対向するように設けられた導電体111a及び抵抗体111bから構成されている。シリコンゴム112は、可変抵抗111の下方に充填されており、火災検知器本体100を介して伝わる外部温度に基づいて熱膨張または収縮するようになっている。接点113は、シリコンゴム112の上面を覆うように形成された接点支持部113aと、接点支持部113aの側面に互いに対向するように設けられた一対の可動接点113bとから構成されている。各可動接点113bは、接点支持部113aによって可変抵抗111の導電体111aまたは抵抗体111bとの接触方向に移動可能に支持されており、バネ113cによって火災検知器本体100の内壁部側に付勢されている。また、一方の可動接点113bは導電体111aに常に接触している。バネ114は、その一端側が火災検知器本体100内部の上端に係止するとともに、その他端側が接点支持部113aの上面に係止しており、シリコンゴム112の熱膨張に伴って上方に弾性変形し、シリコンゴム112の収縮に伴って下方に復元する。
【0019】
ここで、温度検知部110の動作について図2を参照して説明すると、温度検知部110は、外部温度が常温のときには図2(a)に示すように接点113の他方の可動接点113bと抵抗体111bとが互いに離間するようになっている。このとき、外部温度が上昇するとシリコンゴム112の熱膨張に伴って接点113が上方に移動する。そして、外部温度が所定の温度(例えば70℃)以上のときには、図2(b)に示すように接点113の他方の可動接点113bが抵抗体111bに接触してオンとなる。また、抵抗体111bは他方の可動接点113bの上方への移動に従って抵抗値が変化するように構成されており、温度検知部110は、導電体111aから接点113及び抵抗体111bを通過した電気信号を、外部温度に応じた温度検知信号として出力するようになっている。また、外部温度が低下した場合にはシリコンゴム112の収縮及びバネ114の復元に伴って接点113が下方に移動する。そして、外部温度が所定の温度未満になると、接点113の各可動接点113bが導電体111aまたは抵抗体111bから離間することによりオフとなる。これにより、火災検知器10は、接点113の移動をリニアに検知することができる。
【0020】
警報信号出力部120は、CPU及びRAM、ROM等のメモリと、RF(Radio Frequency)回路と、A/D変換回路とを備えており、電力供給状態で温度検知部110の接点113がオンとなったときに駆動して、自己のメモリに格納された所定の警報信号を、RF回路を介して火災警報器20に出力するようになっている。また、警報信号出力部120には、図3に示すように温度検知部110が接続されており、温度検知部110から出力された温度検知信号は、A/D変換回路によりディジタル信号に変換された後にCPUに送られる。さらに、警報信号出力部120のRAMには、温度検知部110から出力された温度検知信号に基づいて求められた外部温度が所定時間(例えば1秒)毎に記憶されるようになっている。この場合、警報信号出力部120は、ROMに予め記憶された温度検知部110の出力特性を用いて温度検知信号を外部温度に換算する。なお、警報信号出力部120の詳細な動作については後述する。
【0021】
電源部130は、火災検知器本体100に設けられた電池であり、警報信号出力部120に駆動電力を供給するようになっている。なお、電源部130として商用電源を用いてもよい。また、電源部130の+側には、温度検知部110の導電体111aと電源供給部140が接続されている。
【0022】
電源供給部140はサイリスタ等から構成されており、図3に示すように電源部130と警報信号出力部120との間に設けられている。電源供給部140は、サイリスタのアノード側に電源部130が接続され、カソード側に警報信号出力部120が接続されている。また、電源供給部140は、温度検知部110の接点113がオンとなったときに電流がサイリスタのゲートを通過するように接続されており、温度検知部110の接点113がオンとなったときに電源部130から警報信号出力部120に駆動電力を供給する。
【0023】
また、火災警報器20は、火災検知器10との間で無線通信を行う通信制御部21と、音声情報を出力する警報出力部22とを備えている。通信制御部21は、CPU及びRAM、ROM等のメモリとともにRF回路を備えており、火災検知器10から警報信号を受信するようになっている。また、通信制御部21は、警報信号を受信したときに自己のメモリに格納された音声情報を警報出力部22に送信するようになっている。警報出力部22は周知のスピーカであり、通信制御部22から受信した音声情報を外部に出力する。
【0024】
以上のように構成された火災検知器10の動作について図5のフロー図を参照して説明する。まず、火災が発生すると、外部温度の上昇により温度検知部110のシリコンゴム112が熱膨張し、外部温度が所定の温度(例えば70℃)以上になると温度検知部110の接点113がオンになる(ステップS1)。この場合、電源部130から警報信号出力部120に駆動電源が供給される(ステップS2)。そして、警報信号出力部120は、電源部130から駆動電源が供給されることにより駆動して、温度検知部110から温度検知信号を受信する(ステップS3)。次に、警報信号出力部120は、事前、即ち所定時間(例えば1秒)前にRAMに記憶された事前外部温度と、ステップS3において受信した温度検知信号に基づいて求められた外部温度との温度差を算出し、その温度差と、ROMに予め記憶された所定の閾値αとの大小比較を行う(ステップS4)。これにより、警報信号出力部120は、温度検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別している。そして、警報信号出力部120は、温度差が閾値α以上の場合には火災が発生したと判別して、警報信号を火災警報器20に出力する(ステップS5)。一方、火災警報器20の通信制御部21は、火災検知器10から警報信号を受信したときに音声情報を警報出力部22に出力させる。このように、温度検知部110から受信した温度検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別しているので、精度の高い火災検知を行うことが可能となる。
【0025】
また、ステップS4において、温度差が閾値αに満たない場合には、警報信号出力部120は、受信した温度検知信号に基づいて求められた外部温度を事前外部温度としてRAMに記憶し(ステップS6)、ステップS3以降の処理を繰り返す。
【0026】
なお、上記フローでは、温度検知部110から受信した温度検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別しているが、温度検知部110の接点113がオンになったときに警報信号を火災警報器20に出力するようにしてもよい。この場合、火災検知器10の構成が簡単となり、火災検知器10を安価に製造することができる。
【0027】
このように、本実施形態の火災検知器10によれば、外部温度が所定の温度(例えば70℃)以上のときに接点113がオンとなる温度検知部110と、電力供給状態で温度検知部110の接点113がオンとなったときに所定の警報信号を出力する警報信号出力部120と、警報信号出力部用120の電源部130と、温度検知部110の接点113がオンとなったときにのみ電源部130から警報信号出力部120に駆動電力を供給する電源供給部140とを備えたので、温度検知部110の接点113がオンとならない場合、即ち外部温度が所定温度以上になっていない場合には警報信号出力部120の駆動電力が電源部130から供給されることがない。従って、火災が発生していないときの電源部130の電力供給を防止することが可能となることから、火災検知器10の省エネルギー化を実現することができる。
【0028】
また、温度検知部110は、シリコンゴム112の熱膨張または収縮に基づいて接点113がオンまたはオフとなるように動作するので、接点113をオンまたはオフさせるときに温度検知部110に駆動電力を供給する必要がないことから、火災検知器10の省エネルギー化をより向上させることができる。
【0029】
さらに、温度検知部110は、接点113がオンとなったときに外部温度に応じた温度検知信号を警報信号出力部120に送信し、警報信号出力部120は、電力供給状態で温度検知部110の接点113がオンとなったときに、温度検知部110から受信した温度検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別し、火災が発生したことを判別した場合に警報信号を出力するので、精度の高い火災検知を行うことができる。
【0030】
さらに、本実施形態の火災警報システムによれば、前記火災検知器10と、火災検知器10から警報信号が入力されたときに音声情報を出力する火災警報器20とを備えたので、火災が発生していないときのシステム全体の電力消費量を低減させることができることから、火災警報システムの省エネルギー化を実現することができる。
【0031】
以下に本発明の第2の実施形態に係る火災警報システムについて説明する。本実施形態が第1の実施形態と異なる点は、外部空気の風量が所定の風量以上のときに所定の電力供給信号を出力する風量検知部150を備え、警報信号出力部120を、電力供給状態で温度検知部110の接点113がオンとなり、且つ、風量検知部150から電力供給信号が出力されたときに所定の警報信号を出力するように構成した点にある。これにより、火災検知器10は、外部温度及び外部空気の風量に基づいて火災の発生を検知することができる。他の構成及び動作については第1の実施形態と同様なので、ここでは相違点のみを説明する。
【0032】
本実施形態の火災検知器本体100には、図6に示すようにその上部からそれぞれ外方に突出する一対の突出部100aが設けられており、各突出部100aには、上下2つの空室が形成されている。また、上部空室の外側壁部及び下部空室の下部にはそれぞれ開口部100bが設けられており、外部空気が各開口部100bから上部空室及び下部空室に流入可能となっている。
【0033】
風量検知部150は、複数のファン150aと、各ファン150aの回転数に基づいて電力を発生する発電機150bと、ツェナーダイオード150cと、コンパレータ150dとを備え、図7に示すように警報信号出力部120及び電源供給部140に接続されている。各ファン150aは、それぞれ火災検知器本体10の上部空室及び下部空室に設けられ、各開口部100bに流入する外部空気の風量によって回転数が変化するようになっている。発電機150bは、図8に示すようにツェナーダイオード150cとコンパレータ150dとから構成された回路に接続されており、発電機150bによって発生した電気信号が3つに分岐して、そのうちの2つがコンパレータ150dに入力され、1つが警報信号出力部120に入力されるようになっている。即ち、風量検知部150は、コンパレータ150dの入力電圧が基準電圧より高くなったときに外部空気の風量が所定の風量以上になったと判別して所定の電力供給信号を出力するようになっている。また、風量検知部150から警報信号出力部120に出力される電気信号は、各ファン150aの回転数、即ち外部空気の風量に応じて変化するものであり、本願請求項でいう風量検知信号を構成している。
【0034】
ここで、この回路の動作を図9を参照して説明する。なお、同図において(a)は発電機150bの出力電圧VG 、(b)はコンパレータ150cの+側入力端子の電圧V+ 、(c)はコンパレータ150cの−側入力端子の電圧V- 、(d)はコンパレータ150cの出力電圧Vout である。まず、各ファン150aの回転数が増加すると、発電機150bの出力電圧VG が増加する。そして、出力電圧VG がV1となったときに(時間T1)、発電機150bの出力電圧VG から分岐した電圧がツェナーダイオード150bのツェナー電圧以上となり、コンパレータ150cの+側入力端子に基準電圧V2が入力される。次いで、発電機150bの出力電圧VG がさらに増加してV3になったときに(時間T2)、コンパレータ150cの−側入力端子の電圧V- が基準電圧V2となり、コンパレータ150cの出力電圧Vout がオンからオフになる。なお、本実施形態では、コンパレータ150cから出力されたオフ信号を電力供給信号としている。また、電源供給部140は、温度検知部110の接点113がオンとなり、且つ、風量検知部150のコンパレータ150cからオフ信号が入力されたときに駆動電力を警報信号出力部120に供給するようになっている。
【0035】
また、本実施形態の警報信号出力部120には、風量検知部150が接続されており、風量検知部150から出力された風量検知信号は、A/D変換回路によりディジタル信号に変換された後にCPUに送られる。さらに、警報信号出力部120のRAMには、風量検知部150から出力された風量検知信号に基づいて求められた外部風量が所定時間(例えば1秒)毎に記憶されるようになっている。この場合、警報信号出力部120は、ROMに予め記憶された風量検知部150の出力特性を用いて風量検知信号を外部風量に換算する。
【0036】
以上のように構成された火災検知器10の動作について図10のフロー図を参照して説明する。まず、火災が発生すると、外部温度の上昇により温度検知部110のシリコンゴム112が熱膨張し、外部温度が所定の温度(例えば70℃)以上になると温度検知部110の接点113がオンになる(ステップS11)。次に、風量検知部150から電力供給信号(オフ信号)が出力されると(ステップS12)、電源供給部140は、電源部130から警報信号出力部120に駆動電力を供給する(ステップS13)。そして、警報信号出力部120は、電源部130から駆動電源が供給されることにより駆動して、温度検知部110から温度検知信号を受信するとともに、風量検知部150から風量検知信号を受信する(ステップS14)。次に、警報信号出力部120は、事前、即ち所定時間(例えば1秒)前にRAMに記憶された事前外部温度と、ステップS14において受信した温度検知信号に基づいて求められた外部温度との温度差を算出し、その温度差と、ROMに予め記憶された所定の閾値αとの大小比較を行う(ステップS15)。そして、警報信号出力部120は、温度差が閾値α以上の場合には、所定時間前にRAMに記憶された事前外部風量と、ステップ14において受信した風量検知信号に基づいて求められた外部風量との風量差を算出し、その風量差と、ROMに予め記憶された所定の閾値βとの大小比較を行う(ステップS16)。これにより、警報信号出力部120は、温度検知信号及び風量検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別する。そして、警報信号出力部120は、風量差が閾値β以上の場合には、火災が発生したと判別して、警報信号を火災警報器20に出力する(ステップS17)。一方、火災警報器20の通信制御部21は、火災検知器10から警報信号を受信したときに音声情報を警報出力部22に出力させる。このように、温度検知部110から受信した温度検知信号及び風量検知部150から受信した風量検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別しているので、より精度の高い火災検知を行うことが可能となる。
【0037】
また、ステップS15において温度差が閾値αに満たない場合、またはステップS16において風量差が閾値βに満たない場合には、警報信号出力部120は、受信した温度検知信号に基づいて求められた外部温度を事前外部温度とし、受信した風量検知信号に基づいて求められた外部風量を事前外部風量としてRAMに記憶し(ステップS18)、ステップS14以降の処理を繰り返す。
【0038】
なお、上記フローでは、温度検知部110及び風量検知部150から受信した温度検知信号及び風量検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別しているが、温度検知部110の接点113がオンとなり、且つ、風量検知部150から電力供給信号が出力されたときに警報信号を火災警報器20に出力するようにしてもよい。この場合、火災検知器10の構成が簡単となり、火災検知器10を安価に製造することができる。
【0039】
また、温度検知信号及び風量検知信号の何れか一方に基づいて火災が発生したか否かを判別するようにしてもよい。
【0040】
このように、本実施形態の火災検知器10によれば、外部温度が所定の温度以上のときに接点113がオンとなる温度検知部110と、外部空気の風量が所定の風量以上のときに所定の電力供給信号(オフ信号)を出力する風量検知部150と、電力供給状態で温度検知部110の接点113がオンとなり、且つ、風量検知部150から電力供給信号が出力されたときに所定の警報信号を出力する警報信号出力部120と、警報信号出力部120用の電源部130と、温度検知部110の接点113がオンとなり、且つ風量検知部150から電力供給信号が出力されたときにのみ電源部130から警報信号出力部120に駆動電力を供給する電源供給部140とを備えたので、温度検知部110の接点113がオンにならない場合、即ち外部温度が所定温度以上になっていない場合、且つ、風量検知部150から電力供給信号が出力されていない場合には、警報信号出力部120の駆動電力が電源部130から供給されることがない。従って、火災が発生していないときの電源部130の電力供給を防止することが可能となるので、火災検知器10の省エネルギー化を実現することができる。また、外部温度及び外部空気の風量に基づいて火災を検知することができるので、火災の検知精度を向上させることができる。
【0041】
また、温度検知部110は、シリコンゴム112の熱膨張または収縮に基づいて接点113がオンまたはオフとなるように動作するので、接点113をオンまたはオフさせるときに温度検知部110に駆動電力を供給する必要がないことから、火災検知器10の省エネルギー化をより向上させることができる。
【0042】
さらに、温度検知部110は、接点113がオンとなったときに外部温度に応じた温度検知信号を警報信号出力部120に送信し、風量検知部150は、電力供給信号を出力したときに外部空気の風量に応じた風量検知信号を警報信号出力部120に送信し、警報信号出力部120は、電力供給状態で温度検知部110の接点113がオンとなり、且つ、風量検知部150から電力供給信号が出力されたときに、温度検知部110から受信した温度検知信号及び風量検知部150から受信した風量検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別し、火災が発生したことを判別した場合に前記警報信号を出力するので、外部温度及び外部風量に基づいて火災を検知することができ、より精度の高い火災検知を行うことができる。
【0043】
さらに、本実施形態の火災警報システムによれば、前記火災検知器10と、火災検知器10から警報信号が入力されたときに音声情報を出力する火災警報器20とを備えたので、火災が発生していないときのシステム全体の電力消費量を低減させることができることから、火災警報システムの省エネルギー化を実現することができる。
【0044】
なお、上記実施形態は本発明の一具体例に過ぎず本発明が上記実施形態のみに限定されることはない。例えば、上記実施形態では、温度検知部110の接点113がオンとなったときにのみ電源部130から警報信号出力部120に駆動電力を供給するものを示したが、温度検知部110の接点113がオフとなったときにのみ警報信号出力部120に駆動電力を供給するように構成した場合でも、上記実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0045】
また、上記実施形態では、各突出部100aに上下二つの空室を形成し、各空室にファン150aを設けたものを示したが、各突出部100aに外側壁部及び下部が開口した1つの空室を形成し、突出部100aの外側壁部及び下部の開口部を介して流入する空気により回転する1つのファンを該空室に設けてもよい。
【0046】
さらに、上記実施形態では、発電機150bによって発生した電気信号を風量検知信号として用いたものを示したが、各ファン150aの回転数に応じたパルス出力を行うフォトインタラプタを設け、フォトインタラプタから出力されたパルス信号を警報信号出力部120に送信するようにしてもよい。この場合、警報信号出力部120は、ROM等に記憶されたフォトインタラプタの出力特性を用いてパルス信号から外部風量を求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す火災検知器の斜視図
【図2】温度検知部の構成を示す火災検知器の要部断面図
【図3】火災検知器の機能構成図
【図4】火災警報システムの機能構成図
【図5】火災検知器の動作を示すフロー図
【図6】本発明の第2の実施形態を示す火災検知器の側面断面図
【図7】火災検知器の機能構成図
【図8】風量検知部の回路図
【図9】風量検知部の各部の電圧を示す波形図
【図10】火災検知器の動作を示すフロー図
【符号の説明】
【0048】
10…火災検知器、20…火災警報器、110…温度検知部、112…シリコンゴム、113…接点、120…警報信号出力部、130…電源部、140…電源供給部、150…風量検知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部温度が所定の温度以上のときに接点がオンまたはオフとなる温度検知部と、
電力供給状態で温度検知部の接点がオンまたはオフとなったときに所定の警報信号を出力する警報信号出力部と、
警報信号出力部用の電源部と、
温度検知部の接点がオンまたはオフとなったときにのみ電源部から警報信号出力部に駆動電力を供給する電源供給部とを備えた
ことを特徴とする火災検知器。
【請求項2】
前記温度検知部は、熱膨張部材の熱膨張または収縮に基づいて接点がオンまたはオフとなるように動作する
ことを特徴とする請求項1記載の火災検知器。
【請求項3】
前記温度検知部は、接点がオンまたはオフとなったときに外部温度に応じた温度検知信号を警報信号出力部に送信し、
警報信号出力部は、電力供給状態で温度検知部の接点がオンまたはオフとなったときに、温度検知部から受信した温度検知信号に基づいて火災が発生したか否かを判別し、火災が発生したことを判別した場合に前記警報信号を出力する
ことを特徴とする請求項1または2記載の火災検知器。
【請求項4】
外部温度が所定の温度以上のときに接点がオンまたはオフとなる温度検知部と、
外部空気の風量が所定の風量以上のときに所定の電力供給信号を出力する風量検知部と、
電力供給状態で温度検知部の接点がオンまたはオフとなり、且つ、風量検知部から電力供給信号が出力されたときに所定の警報信号を出力する警報信号出力部と、
警報信号出力部用の電源部と、
温度検知部の接点がオンまたはオフとなり、且つ、風量検知部から電力供給信号が出力されたときにのみ電源部から警報信号出力部に駆動電力を供給する電源供給部とを備えた
ことを特徴とする火災検知器。
【請求項5】
前記温度検知部は、熱膨張部材の熱膨張または収縮に基づいて接点がオンまたはオフとなるように動作する
ことを特徴とする請求項4記載の火災検知器。
【請求項6】
前記温度検知部は、接点がオンまたはオフとなったときに外部温度に応じた温度検知信号を警報信号出力部に送信し、
風量検知部は、電力供給信号を出力したときに外部空気の風量に応じた風量検知信号を警報信号出力部に送信し、
警報信号出力部は、電力供給状態で温度検知部の接点がオンまたはオフとなり、且つ、風量検知部から電力供給信号が出力されたときに、温度検知部から受信した温度検知信号及び風量検知部から受信した風量検知信号の少なくとも一方に基づいて火災が発生したか否かを判別し、火災が発生したことを判別した場合に前記警報信号を出力する
ことを特徴とする請求項4または5記載の火災検知器。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5または6記載の火災検知器と、
火災検知器から警報信号が入力されたときに所定の警報情報を出力する火災警報器とを備えた
ことを特徴とする火災警報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−46897(P2008−46897A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−222403(P2006−222403)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(505278931)株式会社まるや (10)
【出願人】(390023216)株式会社タイセー (8)
【出願人】(300054631)有限会社エフ・テイ・イノベーション (14)
【Fターム(参考)】