説明

火花点火式内燃機関

【課題】燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関において、未燃のまま排出される燃料を低減させて、内燃機関の燃費を向上させる。
【解決手段】燃焼室20内に生成される電界と点火プラグ15による火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関10に、混合気を燃焼させる際に燃焼室20へ電磁波を放射する電磁波放射装置13と、少なくとも一部が導電体により構成され、燃焼室20を区画する区画面から突出する突出部材50とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関が知られている。この種の内燃機関は、電界と火花放電とを反応させてプラズマを生成することにより良好な着火が得られるようにしている。この種の内燃機関が、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1の内燃機関は、マイクロ波により電界を発生させ、その電界と火花放電とを反応させている。点火プラグによる火花放電は、電界中でプラズマになる。火炎伝播燃焼の始まりとなる火炎核は、火花放電のみの点火に比べて大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−7155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の火花点火式内燃機関は、混合気を希薄化することで、ポンピングロスを減少させて、燃費を向上させることが可能である。しかし、混合気を希薄にするほど火炎の伝播速度が低下するので、未燃のまま排出される燃料が増加する。ポンピングロスの減少により燃費は向上するものの、未燃の燃料が増加する分だけ、内燃機関の燃費の向上度合いが低下する。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関において、未燃のまま排出される燃料を低減させて、内燃機関の燃費を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関を対象とする。そして、この火花点火式内燃機関は、混合気を燃焼させる際に前記燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、少なくとも一部が導電体により構成され、前記燃焼室を区画する区画面から突出する突出部材とを備えている。
【0008】
第1の発明では、混合気を燃焼させる際に、電磁波放射装置が燃焼室へ電磁波を放射する。そうすると、電磁波により突出部材の導電体に誘導電流が流れ、突出部材の近傍に電界が集中して、突出部材の近傍にプラズマが生成される。第1の発明では、火花放電と電界とが反応する領域以外にも、プラズマが生成される。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、前記電磁波放射装置が、前記火花放電を行う際に電磁波を放射する。
【0010】
第2の発明では、火花放電と電界との反応によりプラズマが生成される時期に、突出部材の近傍にプラズマが生成される。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記電磁波放射装置が、電界と火花放電との反応により生成されたプラズマにより混合気が着火された後に電磁波を放射する。
【0012】
第3の発明では、火花放電と電界の反応に起因する混合気の着火後に、突出部材の近傍にプラズマが生成される。
【0013】
第4の発明は、第1乃至第3の何れか1つの発明において、前記突出部材が、電界と火花放電との反応によりプラズマが生成される位置から広がる火炎の伝播が前記燃焼室において相対的に遅い領域に配置されている。
【0014】
第4の発明では、火炎の伝播が燃焼室において相対的に遅い領域に、突出部材が配置されている。火炎の伝播が燃焼室において相対的に遅い領域において、突出部材に集中する電界によりプラズマが生成される。
【0015】
第5の発明は、第1乃至第4の何れか1つの発明において、前記突出部材の導電体が、前記電磁波放射装置が放射する電磁波の波長の4分の1の長さの金属線である。
【0016】
第5の発明では、突出部材の導電体が、燃焼室へ放射される電磁波の波長の4分の1の長さの金属線である。
【0017】
第6の発明は、第1乃至第5の何れか1つの発明において、前記区画面では、前記電磁波放射装置が放射する電磁波の波長の4分の1以内の間隔で複数の突出部材が配置されている。
【0018】
第6の発明では、複数の突出部材の配置間隔が、燃焼室へ放射される電磁波の波長の4分の1以内である。
【0019】
第7の発明は、第1乃至第6の何れか1つの発明において、前記燃焼室が、円筒状のシリンダ内に形成され、前記燃焼室の天井面の中心部に、前記火花放電が生じる点火プラグが配置される一方、前記突出部材は、前記燃焼室の天井面において前記点火プラグと前記燃焼室の壁面との間に配置されている。
【0020】
第7の発明では、燃焼室の天井面の中心部に点火プラグが配置され、点火プラグと燃焼室の壁面との間に突出部材が配置されている。プラズマは、点火プラグの近傍と、点火プラグより外側の突出部材の近傍とに生成される。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、混合気を燃焼させる際に、燃焼室の区画面から突出する突出部材の近傍に電磁波の電界を集中させることで、火花放電と電界とが反応する領域以外にも、プラズマが生成されるようにしている。プラズマが生成される領域では、混合気の酸化反応が促進され、燃焼が早期化される。従って、未燃のまま排出される燃料を低減させて、内燃機関の燃費を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施形態に係る火花点火式内燃機関の概略構成図である。
【図2】実施形態に係る火花点火式内燃機関の燃焼室の天井面の正面図である。
【図3】実施形態に係る点火装置のブロック図である。
【図4】実施形態の変形例1に係る点火装置及び電磁波放射装置のブロック図である。
【図5】実施形態の変形例1に係る火花点火式内燃機関の概略構成図である。
【図6】実施形態の変形例2に係る火花点火式内燃機関の燃焼室の天井面の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
《実施形態》
【0024】
本実施形態は、マイクロ波による電界と火花放電との反応により生成されるプラズマにより混合気に点火する火花点火式内燃機関10(以下、「内燃機関」という。)である。内燃機関10は、燃焼室20が形成された内燃機関本体11と、プラズマにより燃焼室20の混合気に点火する点火装置30とを備えている。
−内燃機関本体−
【0025】
内燃機関本体11は、図1に示すように、シリンダブロック21とシリンダヘッド22とピストン23とを備えている。シリンダブロック21には、横断面が円形のシリンダ24が複数形成されている。各シリンダ24内には、ピストン23が往復自在に設けられている。ピストン23は、コネクティングロッドを介して、クランクシャフトに連結されている(図示省略)。クランクシャフトは、シリンダブロック21に回転自在に支持されている。各シリンダ24内においてシリンダ24の軸方向にピストン23が往復運動すると、コネクティングロッドがピストン23の往復運動をクランクシャフトの回転運動に変換する。
【0026】
シリンダヘッド22は、ガスケット18を挟んで、シリンダブロック21上に載置されている。シリンダヘッド22は、シリンダ24及びピストン23と共に、燃焼室20を区画している。シリンダヘッド22、シリンダ24及びピストン23のうち燃焼室20を区画する面が、後述する突出部材50が設けられる区画面となる。
【0027】
シリンダヘッド22には、各シリンダ24に対して、点火装置30の一部を構成する点火プラグ15が1つずつ設けられている。点火プラグ15は、燃焼室20の天井面51(シリンダヘッド22において燃焼室20を区画する面)の中心部に設けられている。点火プラグ15の先端部には、放電ギャップを形成する中心電極16及び接地電極17が設けられている。
【0028】
シリンダヘッド22には、各シリンダ24に対して、吸気ポート25及び排気ポート26が形成されている。吸気ポート25には、吸気ポート25の開口25aを開閉する吸気弁27と、燃料を噴射する燃料噴射弁29とが設けられている。一方、排気ポート26には、排気ポート26の開口26aを開閉する排気弁28が設けられている。
【0029】
本実施形態では、シリンダヘッド22における燃焼室20の天井面51に、複数の突出部材50が設けられている。図2に示すように、燃焼室20の天井面51では、吸気ポート25の開口25a及び排気ポート26の開口26aのうち、隣り合う開口25a,26aの間のポート間領域52の各々に、複数の突出部材50(本実施形態では、3つの突出部材50)が設けられている。各ポート間領域52では、複数の突出部材50が燃焼室20の径方向に等間隔で並んでいる。隣り合う突出部材50における先端間の距離Lは、燃焼室20へ放射されるマイクロ波の波長λの4分の1以内の値(例えば、λ/16)に設定されている。各突出部材50は、円錐状に形成されている。各突出部材50は、全体が導電体により構成されている。
【0030】
内燃機関10は、燃焼室20において強いタンブル流35が形成されるように吸気ポート25が設計されている。燃焼室20では、吸気ポート25から流入した混合気が、燃焼室20の天井面に沿って排気ポート26側へ流れ、その流れがシリンダ24の壁面およびピストン23の上面に当たって縦方向に旋回する渦になる。タンブル流35は、吸気行程から圧縮行程に亘って形成される。
−点火装置−
【0031】
点火装置30は、図3に示すように、放電装置12と電磁波放射装置13と混合器33とを備えている。点火装置30は、放電装置12により生成される火花放電と、電磁波放射装置13が放射するマイクロ波により形成される電界とを反応させて、マイクロ波プラズマを生成する。
【0032】
具体的に、放電装置12は、燃焼室20毎に設けられている。放電装置12は、高電圧パルスを出力する点火コイル14と、該点火コイル14からの高電圧パルスが印加されると放電が生じる点火プラグ15とを備えている。
【0033】
点火コイル14は、直流電源(図示省略)に接続されている。点火コイル14は、電子制御装置35から点火信号を受けると、直流電源から印加された電圧を昇圧し、昇圧後の高電圧パルスを点火プラグ15に出力する。点火プラグ15には、混合器33を介して高電圧パルスが供給される。点火プラグ15では、高電圧パルスが供給されると、放電ギャップでスパーク放電が生じる。
【0034】
電磁波放射装置13は、電磁波発生装置31と電磁波切替器32と放射アンテナ16とを備えている。本実施形態では、点火プラグ15の中心電極16が放射アンテナ16として機能する。電磁波放射装置13では、電磁波発生装置31と電磁波切替器32が1つずつ設けられ、燃焼室20毎に放射アンテナ16が設けられている。
【0035】
電磁波発生装置31は、電子制御装置35から電磁波駆動信号を受けると、所定のデューティー比でマイクロ波パルスを繰り返し出力する。電磁波駆動信号はパルス信号であり、電磁波発生装置31は、電磁波駆動信号のパルス幅の時間に亘って、マイクロ波パルスを繰り返し出力する。電磁波発生装置31では、半導体発振器がマイクロ波パルスを生成する。なお、半導体発振器の代わりに、マグネトロン等の他の発振器を使用してもよい。
【0036】
電磁波切替器32は、1つの入力端子と、放射アンテナ16毎に設けられた複数の出力端子とを備えている。入力端子は、電磁波発生装置31に接続されている。各出力端子は、対応する放射アンテナ16に接続されている。電磁波切替器32は、複数の放射アンテナ16の間で、電磁波発生装置31から出力されたマイクロ波を供給するアンテナを切り替える。電磁波切替器32は、電子制御装置35により制御される。
【0037】
混合器33は、点火コイル14からの高電圧パルスと電磁波発生装置31からのマイクロ波パルスとを別々の入力端子で受けて、同じ出力端子から点火プラグ15へ高電圧パルスとマイクロ波パルスとを出力する。
−点火動作−
【0038】
点火装置30の動作について説明する。以下では、1つのシリンダ24に対する点火装置30の動作を説明する。
【0039】
シリンダ24では、ピストン23が上死点を達する直前に、吸気行程が開始される。そして、ピストン23が上死点を通過した直後に、排気行程が終了する。電子制御装置35は、吸気行程中のシリンダ24に対応する燃料噴射弁29に対して噴射信号を出力し、その燃料噴射弁29に燃料を噴射させる。
【0040】
吸気行程は、燃料噴射後においてピストン23が下死点を通過した直後に終了する。吸気行程が終了すると、圧縮行程が開始される。電子制御装置35は、圧縮行程中のシリンダ24に対応する点火コイル14に対して、ピストン23が上死点に達する直前に点火信号を出力する。これにより、点火コイル14から出力された高電圧パルスが点火プラグ15へ供給され、点火プラグ15の放電ギャップでスパーク放電が行われる。
【0041】
また、電子制御装置35は、各点火コイル14から高電圧パルスが出力される直前に、電磁波発生装置31に電磁波駆動信号を出力する。なお、電磁波駆動信号の出力に先立って、高電圧パルスを受ける点火プラグ15の中心電極16がマイクロ波の供給先になるように、電磁波切替器32が切り替えられている。これにより、電磁波発生装置31から出力されたマイクロ波パルスは、高電圧パルスを受ける点火プラグ15の中心電極16から燃焼室20へ放射される。マイクロ波パルスは、スパーク放電が生成される直前から直後に亘って繰り返し放射される。
【0042】
スパーク放電は、マイクロ波パルスによる電界と反応して拡大する。その結果、比較的大きなマイクロ波プラズマが生成される。他方、マイクロ波パルスによる電界は、放射アンテナとなる中心電極16の近傍だけでなく、突出部材50の近傍にも集中する。その結果、突出部材50の近傍にもマイクロ波プラズマが生成される。燃焼室20では、マイクロ波プラズマにより多点で混合気が着火され、混合気の燃焼が開始される。
【0043】
シリンダ24では、混合気が燃焼するときの膨張力により、ピストン23が下死点側へ動かされる。そして、ピストン23が下死点に達する直前に、排気行程が開始される。上述したように、排気行程は、吸気行程の開始直後に終了する。
−実施形態の効果−
【0044】
本実施形態では、混合気を燃焼させる際に、燃焼室20の天井面51から突出する突出部材50の近傍にマイクロ波の電界を集中させることで、火花放電と電界とが反応する領域以外にも、マイクロ波プラズマが生成されるようにしている。マイクロ波プラズマが生成される領域では、混合気の酸化反応が促進され、燃焼が早期化される。従って、未燃のまま排出される燃料を低減させて、内燃機関10の燃費を向上させることができる。
−実施形態の変形例1−
【0045】
変形例1では、電磁波放射装置13が、電界と火花放電との反応により生成されたプラズマにより混合気が着火された後にマイクロ波を放射する。また、点火装置30は、マイクロ波より低い周波数の高周波による電界と火花放電とを反応させて、点火プラグ15の近傍にプラズマを生成する。
【0046】
具体的に、図4に示すように、点火装置30は、放電装置12と高周波発生装置60とを備えている。高周波発生装置60は、点火コイル14が高電圧パルスを出力するのと同時期に、高電圧の高周波を出力する。高電圧の高周波は、混合器33を介して点火プラグ15へ供給される。点火プラグ15の放電ギャップでは、高周波による電界と火花放電が反応して比較的大きなプラズマが生成され、そのプラズマにより混合気が着火される。
【0047】
電磁波放射装置13は、前記実施形態とは異なり、点火装置30の一部を構成していない。電磁波放射装置13は、電磁波発生装置31と電磁波切替器32と放射アンテナ61とを備えている。電磁波発生装置31と電磁波切替器32とは、前記実施形態と同じである。変形例1では、点火プラグ15の先端に、点火プラグ15の中心電極16とは別途に放射アンテナ61が設けられている。電磁波切替器32と放射アンテナ61とを接続するマイクロ波の伝送線路は、点火プラグ15の外側導体を貫通するように設けられている(図示省略)。なお、放射アンテナ61は、点火プラグ15以外の箇所(例えば、燃焼室20の天井面51)に設けてもよい。
【0048】
電磁波放射装置13は、点火装置30が生成するプラズマにより混合気が着火された後にマイクロ波を放射する。電磁波放射装置13は、点火装置30の着火位置から広がる火炎が点火プラグ15に最も近い突出部材50を通過する前にマイクロ波を放射する。そうすると、マイクロ波により各突出部材50の導電体に誘導電流が流れ、突出部材50の近傍に電界が集中して、突出部材50の近傍にマイクロ波プラズマが生成される。マイクロ波プラズマが生成された領域では、混合気の酸化反応が促進され、燃焼が早期化される。つまり、放電ギャップから広がる火炎の伝播速度が、マイクロ波プラズマにより向上する。変形例1によれば、未燃のまま排出される燃料を低減させて、内燃機関の燃費を向上させることができる。なお、電磁波放射装置13は、点火装置30の着火位置から広がる火炎が点火プラグ15から最も離れた突出部材50を通過するまでマイクロ波の放射を継続する。
【0049】
変形例1において、電磁波放射装置13が、火花放電を行う際にもマイクロ波を放射してもよい。つまり、点火装置30が生成するプラズマにより混合気を着火する際にもマイクロ波を放射してもよい。
【0050】
また、変形例1を前記実施形態に適用してもよい。つまり、前記実施形態において、中心電極16の近傍及び突出部材50の近傍に生成されたプラズマにより混合気が着火された後に、マイクロ波をさらに放射してもよい。
−実施形態の変形例2−
【0051】
変形例2では、突出部材50が、点火装置30によりプラズマが生成される位置から広がる火炎の伝播が燃焼室20において相対的に遅い領域に配置されている。
【0052】
具体的に、火炎の伝播速度は、タンブル流の影響により、排気ポート26の開口26a側ほど速く、吸気ポート25の開口25a側ほど遅い。突出部材50は、2つの吸気ポート25の開口25aの間のポート間領域52(吸気側のポート間領域52a)と、吸気ポート25の開口25aと排気ポート26の開口26aとの間のポート間領域52(吸排気間のポート間領域52b)とに配置されている。吸気側のポート間領域52aの方が吸排気間のポート間領域52bよりも、多くの突出部材50が配置されている。突出部材50は、2つの排気ポート26の開口26aの間のポート間領域52(排気側のポート間領域52c)には配置されていない。また、各吸気バルブ27の傘部における燃焼室20の露出面にも、突出部材50が配置されている。
【0053】
変形例2によれば、火炎の伝播が燃焼室20において相対的に遅い領域の突出部材50の近傍にプラズマが生成される。そのため、燃焼室20では火炎の伝播速度が均一化されるので、未燃のまま排出される燃料を効率的に低減させることができる。
《その他の実施形態》
前記実施形態は、以下のように構成してもよい。
【0054】
前記実施形態において、各突出部材50の一部が導電体であればよく、突出部材50は、例えば、円錐状の導電体の表面を絶縁層により被覆したものであってもよい。この場合、突出部材50の耐久性を向上させることができる。また、各突出部材50が、円錐状の絶縁体に金属線を埋設したものであってもよい。この場合、金属線の長さを燃焼室20へ放射されるマイクロ波の波長の4分の1にすることで、突出部材50に効果的に電界を集中させることができる。
【0055】
また、前記実施形態において、各突出部材50が、円錐以外の形状(例えば、円柱、線状)であってもよい。
【0056】
また、前記実施形態において、各突出部材50が、燃焼室20を区画する区画面のうち、燃焼室20の天井面以外の場所(例えば、ピストン23の頂面)に配置されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上説明したように、本発明は、燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関について有用である。
【符号の説明】
【0058】
10 火花点火式内燃機関
12 放電装置
13 電磁波放射装置
20 燃焼室
30 点火装置
50 突出部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼室内に生成される電界と点火プラグによる火花放電とを反応させてプラズマを生成して混合気に着火する火花点火式内燃機関であって、
混合気を燃焼させる際に前記燃焼室へ電磁波を放射する電磁波放射装置と、
少なくとも一部が導電体により構成され、前記燃焼室を区画する区画面から突出する突出部材とを備えている
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
【請求項2】
請求項1において、
前記電磁波放射装置は、前記火花放電を行う際に電磁波を放射する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記電磁波放射装置は、電界と火花放電との反応により生成されたプラズマにより混合気が着火された後に電磁波を放射する
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つにおいて、
前記突出部材は、電界と火花放電との反応によりプラズマが生成される位置から広がる火炎の伝播が前記燃焼室において相対的に遅い領域に配置されている
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つにおいて、
前記突出部材の導電体は、前記電磁波放射装置が放射する電磁波の波長の4分の1の長さの金属線である
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つにおいて、
前記区画面では、前記電磁波放射装置が放射する電磁波の波長の4分の1以内の間隔で複数の突出部材が配置されている
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つにおいて、
前記燃焼室は、円筒状のシリンダ内に形成され、
前記燃焼室の天井面の中心部に、前記点火プラグが配置される一方、
前記突出部材は、前記燃焼室の天井面において前記点火プラグと前記燃焼室の壁面との間に配置されている
ことを特徴とする火花点火式内燃機関。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−15077(P2013−15077A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148396(P2011−148396)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【出願人】(504293528)イマジニアリング株式会社 (51)
【Fターム(参考)】