説明

災害予報通報装置および災害予報通報方法

【課題】浴室に人が居る場合のような音声が聞こえにくい状況で、災害の予報を通知して安全に避難させる。
【解決手段】サービスゲートウェイ10は、建物に設置された照明器具5Aを調光装置5を介して駆動する調光駆動部16と、災害の発生を通報するための災害予報情報を受信する災害予報情報受信部18と、災害予報情報が受信されたなら、照明器具5Aの現在の明るさよりも明るく変更するよう調光駆動部16を制御する照明制御部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震などの災害が発生したときの予報を通知する災害予報通報装置および災害予報通報方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地震が発生したときの情報を利用者に提供する装置としては、地震が一定以上の強度に達したことを地震計が計測すると、地震情報に関わる映像を映像入力端末が撮影し、利用者は、直ちにその地震情報を映像で見ることができるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年、地震の主要動が到達する前に予測震度や予測時間をインターネット経由で音声により通知する「IT自動防災システム」の実証実験が進められている。「IT自動防災システム」は、地震の主要動が到達する前に予測震度や予測時間をインターネット経由で音声により通知するサービスを実現するためのものである。例えば、「○○地域、緊急地震予告!震度○!あと○○秒後!」という音声で通知が行われる(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
より詳細に説明すれば、IT自動防災システムは、気象庁から発信された緊急地震速報をサーバで受信し、受信したサーバは、地域毎に予測される震度や到達時間を独自に計算した上で各家庭の通信端末に配信する。
【特許文献1】特開平07−264572号公報
【非特許文献1】“「10秒後に震度7!」揺れる前にインターネット経由で家庭に地震を予告”、[online]、[平成19年3月12日検索]、インターネット(URL:http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2005/01/13/6047.html)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、IT自動防災システムを実現する従来の装置では、地震発生時の予報を通報する際に音声で地震の予報を人間に通報するため、例えば人間が浴室にいるときシャワーなどの発する音で、地震の予報を知らせる音声を聞くことができないという課題が残されていた。
【0006】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたもので、浴室に人が居る場合のような音声が聞こえにくい状況で、災害の予報を通知して安全に避難することができる災害予報通報装置および災害予報通報方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の災害予報通報装置は、建物に設置された照明器具を駆動する調光駆動部と、災害の発生を通報するための災害予報情報を受信する災害予報情報受信部と、前記災害予報情報受信部によって前記災害予報情報が受信されたなら、前記照明器具の現在の明るさよりも明るく変更するよう前記調光駆動部を制御する照明制御部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明の災害予報通報方法は、災害の発生を通報するための災害予報情報を災害予報情報受信部が受信し、照明器具の現在の明るさよりも明るく変更するよう照明制御部が調光駆動部を制御し、前記調光駆動部が前記照明器具の現在の明るさよりも明るく変更することを特徴とする。
【0009】
これらの本発明によれば、照明器具の現在の明るさよりも明るく変更するため、音声が聞こえにくい状況で災害の予報を通知することができると共に、現在の明るさより明るく照らすことで障害物によるつまずきなどの危険を回避して安全に避難することができる。
【0010】
また、本発明の災害予報通報装置は、前記照明制御部は、前記照明器具の照明を明滅させるよう前記調光駆動部を制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の災害予報通報方法は、前記照明制御部が、前記照明器具の照明を明滅させるよう前記調光駆動部を制御することを特徴とする。
【0012】
これらの本発明によれば、照明器具の照明を明滅させることで、在室者などに対して強力な通知を行うことができる。
【0013】
また、本発明の災害予報通報装置は、前記災害予報情報が地震の予測震度を示す情報を含み、前記照明制御部は、前記災害予報情報受信部によって受信された災害予報情報の前記予測震度に応じて前記照明器具の照明の明るさを変更するよう前記調光駆動部を制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の災害予報通報方法は、前記災害予報情報が地震の予測震度を示す情報を含み、前記照明制御部が、前記災害予報情報受信部によって受信された災害予報情報の前記予測震度に応じて前記照明器具の照明の明るさを変更するよう前記調光駆動部を制御することを特徴とする。
【0015】
これらの本発明によれば、予測震度に応じて照明器具の照明の明るさを変更するため、緊急を要するような大きい予測震度かどうかが判り、適切に避難活動を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、浴室に人が居る場合のような音声の聞こえにくい状況で、災害の予報を通知して安全に避難することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の実施の形態に係る災害対策システムのシステム構成図を図1に示す。図1に示した災害対策システムは、ネットワーク21を介して地震速報を配信する地震速報サーバ20と、屋内のLAN(Local Area Network)に接続されているブロードバンド(図および以下の説明では「BB」と示す)ルータ22、DVDレコーダ23、ウェブカメラ2、サービスゲートウェイ(図では「SGW」と示す)10を備えている。サービスゲートウェイ10は、本発明の災害予報通報装置に相当し、本発明の災害予報通報方法を行う。
【0019】
BBルータ22は、ネットワーク21に接続されている装置と、屋内のLANに接続されている装置とが送受信する情報をスイッチングするルータである。
【0020】
DVD(Digital Versatile Disk)レコーダ23は、テレビ放送用の電波の信号を受信し、テレビ放送の番組の内容を録画するものであり、ウェブカメラ2は、屋内やその周辺に設置されており、設置されている場所の様子を示す映像信号を送信するものである。なお、ウェブカメラ2で撮像された映像は、LANを介してサービスゲートウェイ10に接続されたディスプレイ装置6に表示することができる。
【0021】
サービスゲートウェイ10は、屋内外に設置された機器を制御、管理する装置であり、本発明の実施の形態ではBBルータ22を介して地震速報サーバ20から送信される地震速報を受信した場合、屋内に設置された機器を制御するようになっている。
【0022】
なお、地震速報は、これから発生する地震に関する情報であり、例えば、「震度○!あと○○秒後!」などの地震の到着予想時刻、予測震度が特定できるような情報、さらに、震源地、震源地の震度に関する情報が含まれるようにしてもよい。
【0023】
また、図1に示すように、サービスゲートウェイ10には、屋内に設置されるインタホンインタフェース(図では「インタホンI/F」と示す)3、窓開閉モータ4、調光装置5、ディスプレイ装置6、人感センサ7および香り発生装置8が接続されている。
【0024】
インタホンインタフェース3は、戸外に設定されたインタホン3Aとサービスゲートウェイ10とを接続するためのインタフェースである。窓開閉モータ4は、窓4Aやドア(図示せず)などの開閉対象物の開閉を制御するためのモータである。
【0025】
調光装置5は、屋内に設置された照明器具5Aの明かりを調光するための装置である。また、調光装置5は、サービスゲートウェイ10で制御することにより、照明器具5Aの照明を明滅させたり、照明器具5Aの照明の明るさを変更したり、リアルタイムで照明器具5Aを制御することができる。
【0026】
ディスプレイ装置6は、例えば、地震速報受信時などの緊急時にサービスゲートウェイ10からの緊急情報を表示するための装置である。ディスプレイ装置6と共に、音声で緊急情報を利用者に通知するためのスピーカを備えるようにしてもよい。人感センサ7は、屋内の部屋に人が居るか否かを検知するセンサであり、香り発生装置8は、屋内の部屋に臭いを放出する装置である。
【0027】
なお、サービスゲートウェイ10の接点は、例えば無電圧接点であり、サービスゲートウェイ10との接続には、RS232C等が用いられる。
【0028】
ここで、本発明の実施の形態に係るサービスゲートウェイ10の装置構成図を図2に示す。
【0029】
サービスゲートウェイ10は、例えば、プログラムを実行するCPU等からなる制御部11、ROMやRAM等からなるメモリ12、ハードディスク装置13、LANなどのネットワークを介して情報を送受信するネットワークインタフェース14、キーボードやマウス等からなる入力部15によって構成される。
【0030】
なお、本発明の実施の形態では、音声が聞こえにくい浴室などの部屋9に調光装置5、照明器具5Aおよび人感センサ7が設置されているものとする。
【0031】
また、図2に示した調光駆動部16、人検知部17、災害予報情報受信部18、および照明制御部19は、例えば、プログラムのモジュールであり、制御部11によって実行される。
【0032】
調光駆動部16は、屋内の部屋9に設置された調光装置5を駆動する。また、調光装置5と照明器具5Aは、部屋9だけに設置しなくてもよく、各部屋に設置するようにしてもよい。調光装置5は、光の量を調節したり、点滅させたりすることができる。
【0033】
人検知部17は、屋内の部屋9に人30が居るか否かを検知する人感センサ7からの信号を受信することで、人30の存在を検知することができる。
【0034】
災害予報情報受信部18は、災害の発生を通報するための災害予報情報をネットワークインタフェース14を介して地震速報サーバ20から受信する。災害予報情報には、地震速報も含まれており、災害予報情報受信部18は、地震速報を受信することで、例えば、「震度○!あと○○秒後!」などの地震の予想震度や到着予想時刻を特定できる情報を受信することができる。
【0035】
照明制御部19は、災害予報情報受信部18によって災害予報情報が受信された場合、人検知部17で人が居ることを検知したときに調光駆動部16を制御する。例えば、照明制御部19は、照明器具5Aの照明を明滅させたり、照明器具5Aの照明の明るさを変更したりするよう調光駆動部16を制御する。
【0036】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るサービスゲートウェイ10の動作の一例について、図面を参照して説明する。図3は、本発明の実施の形態に係るサービスゲートウェイ10の動作を示すフローチャートである。
【0037】
なお、本発明の実施の形態では、災害の予報を示す映像が見られず音声が聞こえにくい浴室に人30がいてシャワーなどを浴びている状況を想定したものについて以下に説明する。なお、浴室には、調光装置5が設置されているものとする。
【0038】
まず、災害予報情報受信部18が地震の速報を受信した場合(S1)、これからやってくる地震に備えて、照明制御部19は、メモリ12から調光制御情報を読み出す(S2)。なお、サービスゲートウェイ10は、地震の速報などの災害予報情報を受信すると同時に、香り発生装置8による臭いや音で、災害がやってくることを屋内に居る者に警報するようにしてもよい。
【0039】
引き続き、照明制御部19は、読み出した調光制御情報に従って調光駆動部16を制御して調光装置5に照明器具5Aの現在の明るさよりも明るく変更させる(S3)。なお、調光制御情報の制御内容の詳細を図4に示す。
【0040】
調光制御情報は、どのように調光を制御するのかを記述したものであり、図4(a)に示した例に従えば、速報を受信した時点から照明制御部19が調光駆動部16を制御して照明器具5Aの明るさを一定量の増加をさせるようになる。
【0041】
また、図4(b)に示した例に従えば、速報を受信した時点から照明制御部19が調光駆動部16を制御して照明器具5Aの明るさを一定時間間隔毎に照明器具5Aの照明を明滅させるようになる。勿論、照明を消灯したり点灯したりしてもよい。
【0042】
また、照明制御部19は、人検知部17で人30が浴室に居ることを検知したか否かを判定し、人30が浴室に居ることを確認したとき、読み出した調光制御情報に従って調光駆動部16を制御してもよい。
【0043】
さらに、災害予報情報が地震の予測震度を示す情報を含んでいる場合、照明制御部19は、災害予報情報受信部18によって災害予報情報が受信されたときの予測震度に応じて照明器具5Aの照明の明るさを変更するよう調光駆動部16を制御するようにしてもよい。
【0044】
例えば、予測震度の値に対応させて明るさの増分を求める対応表があり、照明制御部19は、この対応表に従って現在の明るさを増分させるようにしてもよい。例えば、予測震度が大きければ、大きいほど増分の量を多くする。また、予測震度が、予め定められた値以下であれば、照明制御部19は、調光駆動部16を制御しないようにしてもよい。
【0045】
このように、予測震度に応じて照明器具5Aの照明の明るさが変更されるため、緊急を要するような大きい予測震度かどうかが判り、浴室などの災害の予報が入手できない部屋に居るものでも適切に避難活動をおこなうことができる。
【0046】
以上の例では、1つの部屋の照明を制御する形態について説明したが、サービスゲートウェイ10では、複数の部屋の照明を個々に制御することもできる。例えば、照明制御部19は、災害予報情報受信部18によって災害予報情報が受信されたとき、図5に示す各部屋毎の制御情報に従って、照明器具5Aの現在の明るさよりも明るく変更するよう調光駆動部16を制御する。
【0047】
図5に示すように、部屋9AはパターンPAで制御される。パターンPAとは、図4(a)で説明した調光制御情報に従った制御方法である。また、図5に示すように、部屋9Bおよび部屋9CはパターンPBで制御される。パターンPBとは、図4(b)で説明した調光制御情報に従った制御方法である。なお、図5に示す制御情報には、例えば、老人がいる部屋には、老人に地震の発生を強力に通知するようなパターンにするなど、部屋にいる人物に応じたパターンが設定されるようにしてもよい。
【0048】
なお、本発明の実施の形態では、人30が浴室にいてシャワーなどを浴びている状況を想定しているが、浴室に限らずに台所、トイレ、リビング等の様々な部屋で適用可能である。照明の変化と組み合わせて警報するような場合において、サービスゲートウェイ10は、耳あるいは目等が不自由な人や老人等を考慮して、災害予報情報を音声としてスピーカで通知すると共にディスプレイ装置6に災害予報情報を表示したり、ガス漏れセンサを作動させたりするようにしてもよい。
【0049】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係るサービスゲートウェイ10によれば、照明器具5Aの現在の明るさよりも明るく変更するため、音声が聞こえにくい状況で災害の予報を通知することができると共に、現在の明るさより明るく照らすことで障害物によるつまずきなどの危険を回避して安全に避難することができる。また、照明器具5Aの照明を明滅させることで、在室者などに対して強力な通知を行うことができる。また、予測震度に応じて照明器具の照明の明るさを変更するため、緊急を要するような大きい予測震度かどうかが判り、適切に避難活動を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係る災害管理システムのシステム構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るサービスゲートウェイの装置構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るサービスゲートウェイの動作を示すフローチャートである。
【図4】調光制御情報の制御内容の詳細を示す図である。
【図5】部屋毎の調光制御情報の詳細を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
2 ウェブカメラ
3 インタホンインタフェース
4 窓開閉モータ
5 調光装置
6 ディスプレイ装置
7 人感センサ
8 香り発生装置
10 サービスゲートウェイ
11 制御部
12 メモリ
13 ハードディスク装置
14 ネットワークインタフェース
15 入力部
16 調光駆動部
17 人検知部
18 災害予報情報受信部
19 照明制御部
20 地震速報サーバ
21 ネットワーク
22 BBルータ
23 DVDレコーダ
30 人

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設置された照明器具を駆動する調光駆動部と、
災害の発生を通報するための災害予報情報を受信する災害予報情報受信部と、
前記災害予報情報受信部によって前記災害予報情報が受信されたなら、前記照明器具の現在の明るさよりも明るく変更するよう前記調光駆動部を制御する照明制御部と
を備えたことを特徴とする災害予報通報装置。
【請求項2】
前記照明制御部は、
前記照明器具の照明を明滅させるよう前記調光駆動部を制御することを特徴とする請求項1記載の災害予報通報装置。
【請求項3】
前記災害予報情報が地震の予測震度を示す情報を含み、
前記照明制御部は、
前記災害予報情報受信部によって受信された災害予報情報の前記予測震度に応じて前記照明器具の照明の明るさを変更するよう前記調光駆動部を制御することを特徴とする請求項1記載の災害予報通報装置。
【請求項4】
災害の発生を通報するための災害予報情報を災害予報情報受信部が受信し、
照明器具の現在の明るさよりも明るく変更するよう照明制御部が調光駆動部を制御し、 前記調光駆動部が前記照明器具の現在の明るさよりも明るく変更する
ことを特徴とする災害予報通報方法。
【請求項5】
前記照明制御部が、
前記照明器具の照明を明滅させるよう前記調光駆動部を制御することを特徴とする請求項4記載の災害予報通報方法。
【請求項6】
前記災害予報情報が地震の予測震度を示す情報を含み、
前記照明制御部が、
前記災害予報情報受信部によって受信された災害予報情報の前記予測震度に応じて前記照明器具の照明の明るさを変更するよう前記調光駆動部を制御することを特徴とする請求項4記載の災害予報通報方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−282152(P2008−282152A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−124730(P2007−124730)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】