説明

炊飯器

【課題】自体の温度変動に起因する赤外線センサ特有の温度精度劣化を低減することで、温度検知精度を向上させ、炊飯性能を向上した炊飯器を提供することを目的とする。
【解決手段】炊飯器本体2に装備した鍋3を加熱する加熱手段6と、前記炊飯器本体を覆う蓋4と、前記鍋3から放射される赤外線を検知する赤外線センサ10と、前記赤外線センサ10により検知した前記鍋の温度情報に応じて前記加熱手段6の加熱量を制御する制御手段と、前記赤外線センサの周囲温度を調節する温度調節手段12とを具備し、この温度調節装置によって所定温度に温度調節することで、センサ自体の温度変動を抑えて、過渡的、定常的な温度変化による赤外線センサの温度精度劣化を低減した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線により鍋等の温度を検知して炊飯制御を行うようにした炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、サーモパイル、サーミスタボロメータといった赤外線センサにおいては、温度測定対象と赤外線センサの温度差による受熱の原理を利用して、温度測定対象と赤外線センサの温度差分と、赤外線センサ自体の絶対温度を測定して温度測定を行なうものである。
【0003】
赤外線センサ自体の温度が安定している場合には精度良く温度差分が計測でき、計測温度精度を保つことができる。
【0004】
しかしながら赤外線センサ自体の温度が大きく変動する環境においては、図5に示すように、温度変動の過渡状態である501、502の領域において、センサ内部に温度差が発生することに起因する計測誤差を生じる。
【0005】
また、センサ自体の温度は定常状態となり安定していても温度の絶対値が変化したそれぞれの状態である503,504,505の領域間においては計測誤差が生じる。
【0006】
これはセンサの周囲温度を一定にして計測精度の調整がなされているため、そこから周囲温度が乖離すると精度が下がるためである。
【0007】
これらは鍋等の被加熱物からの放射熱、対流熱などによってセンサ自体が熱せられるような炊飯器、調理機器などに使用する赤外線センサにおいては顕著に表れる。
【0008】
上記の課題の一つである温度変動の過渡状態において、センサ内部にできる温度差を補正するための赤外線センサが考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
図6は従来のセンサ内部にできる温度差を補正するサーモパイル型温度センサの構造を示し、このサーモパイル型温度センサにあっては、Si基板によって形成された枠状のヒートシンク101の中央に空洞102が開口されており、空洞102の上面には熱絶縁薄膜103が形成されている。
【0010】
この熱絶縁薄膜103は、Si02やSiNなどによって形成されており、熱容量を小さくするため数ミクロンの厚みにしている。
【0011】
ヒートシンク101及び熱絶縁薄膜103の片側半分領域においては、ヒートシンク101の上面と熱絶縁薄膜103の上面にかけて第1熱電材料104と第2熱電材料105が交互に配線されており、ヒートシンク101上面で第1及び第2熱電材料104,105を接合させて熱電対の冷接点106を設け、熱絶縁薄膜103上面で第1及び第2熱電材料104,105を接合させて熱電対の温接点107を設け、これによって熱電対が直列に接続された温度計測用のサーモパイル108を形成している。
【0012】
また、温度計測用のサーモパイル108の両端には、それぞれ電極109が設けられている。
【0013】
ヒートシンク101及び熱絶縁薄膜103の残り片側半分領域においては、ヒートシン
ク101の上面と熱絶縁薄膜103の上面にかけて第1熱電材料104と第2熱電材料105が交互に配線されており、ヒートシンク101上面で第1及び第2熱電材料104,105を接合させて熱電対の冷接点110を設け、熱絶縁薄膜103上面で第1及び第2熱電材料104,105を接合させて熱電対の温接点111を設け、これによって熱電対が直列に接続された温度補正用のサーモパイル112を形成している。
【0014】
また、温度補正用のサーモパイル112の両端には、それぞれ電極113が設けられている。
【0015】
こうしてヒートシンク101及び熱絶縁薄膜103の上に形成された温度計測用のサーモパイル108と温度補正用のサーモパイル112とは、それぞれ同じ第1熱電材料104と同じ第2熱電材料105により、同一線幅、同一線長の互いに対称なパターンに形成されている。
【0016】
さらに、熱絶縁薄膜103上の温度計測用の温接点107が設けられた領域は、Au、Bi等の金属黒からなる赤外線吸収体114によって覆われている。
【0017】
しかし、測定対象物から放出された赤外線が温接点107上に形成された赤外線吸収体114に吸収され、ヒートシンク101上に形成された冷接点106と温接点107に温度差が生じることで温度計測用のサーモパイル108の電極間に起電力が生じる。
【0018】
また、温度補正用のサーモパイル112には赤外線吸収体114が形成されていないため、定常状態では赤外線が照射されても起電力は生じない。
【0019】
しかし、周囲温度に急激な温度差が生じた場合、熱絶縁薄膜103とヒートシンク101に温度差が生じる。
【0020】
この場合、温度計測用のサーモパイル108には赤外線吸収による起電力以外に熱絶縁薄膜103とヒートシンク101の温度差から起電力が生じるが、熱絶縁薄膜103とヒートシンク101の温度差による起電力は温度補正用のサーモパイル112にも等しく生じているから、温度計測用のサーモパイル108から得た温度と温度補正用のサーモパイル112から得た温度との差を求めることにより、熱絶縁薄膜103とヒートシンク101の温度差によらないで正確な温度差(温接点107と冷接点106の温度差)を求めることができる。
【0021】
特に、両サーモパイル108,112を同じ熱電材料および構造にし、温度計測用のサーモパイル108の出力と温度補正用のサーモパイル112の出力の差をとることで、赤外線吸収による出力のみを得ることができる。
【特許文献1】特開平11−258040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかしながら、前記従来の構成では、図5に示すセンサ自体の温度変化のうち、急激にセンサ温度が変化する過渡状態501、502においては、精度を高めることが可能であるが、センサ自体の温度は定常状態となり安定していても温度の絶対値が変化したそれぞれの状態503、504、505の領域間においては温度測定精度の劣化を生じる。
【0023】
これは赤外線センサの周囲温度を一定にして計測精度の調整がなされているためであり、そこから周囲温度が乖離すると精度が下がるという課題がある。
【0024】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、赤外線センサの周囲温度を温度調節することにより赤外線センサ自体の温度を安定化して、過渡的、定常的な温度変化を起こさず、赤外線センサの温度検知精度を向上することによって炊飯性能を向上する炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、赤外線センサの周囲温度を温度調節する構成としたものである。
【0026】
これによって、赤外線センサが過渡的、定常的な温度変化を起こさず、よって赤外線センサの温度検知精度を高めて炊飯性能の向上が図れることとなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の炊飯器は、赤外線センサの周囲温度を温度調節する構成としたものであり、これにより、赤外線センサの周囲温度を安定化して、赤外線センサが過渡的、定常的な温度変化を起こさず、よって赤外線センサ自体の温度変化に起因する温度精度劣化を低減することが可能となり、炊飯性能を向上することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
第1の発明は、炊飯器本体に装備した鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体を覆う蓋と、前記鍋から放射される赤外線を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサにより検知した前記鍋の温度情報に応じて前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段と、前記赤外線センサの周囲温度を調節する温度調節手段とを具備したもので、センサ自体の温度変化に起因する温度精度劣化を低減して、炊飯性能の向上が図れるものである。
【0029】
第2の発明は、特に、第1の発明の温度調節手段を赤外線センサの周囲温度を所定温度に温度調節できる温度調節装置とすることで、常に所定温度に赤外線センサを温調し、センサ自体の温度変化に起因する温度精度劣化を低減することができる。
【0030】
第3の発明は、特に、第1の発明の炊飯器の前記温度調節手段を送風用ファンとしたもので、放射熱等によって熱せられる赤外線センサをファンによって冷やして温度を安定化させることができる。
【0031】
第4の発明は、特に、第1の発明の炊飯器の前記温度調節手段を赤外線センサと周囲とを熱的に遮断するカバーで構成したもので、放射熱等による赤外線センサの温度上昇を少なくして温度を安定化させた。
【0032】
第5の発明は、特に、第4の発明のカバーは断熱材料を用いた構成とすることで、放射熱等による赤外線センサの温度上昇を断熱材料による断熱によって更に少なくして温度を安定化させるようにしたものである。
【0033】
第6の発明は、特に、第4または第5の発明のカバーは赤外線反射材料を用いた構成とすることで、放射熱による赤外線センサの温度上昇をカバーの赤外線反射によって少なくして更に温度を安定化させることができる。
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0035】
(実施の形態1)
図1において、本実施の形態の炊飯器は、非磁性材製の保護枠1を配置した略有底筒状
の炊飯器本体2と、前記保護枠1に収納され、磁性材の金属を含む鍋3と、炊飯器本体1の開口部を開閉する蓋4と、この蓋4の内側に着脱自在に取り付けられて、鍋3の開口部を密閉する略円盤状で、かつ磁性材の金属を含む内蓋5と、これら鍋3、及び内蓋5を誘導により発熱(加熱)する加熱手段6とを有している。
【0036】
前記加熱手段6は、保護枠1の外側に装備されて鍋3の底面、側面と対応する加熱コイル6a,6bと、蓋4の内部において、磁性材製の蓋カバー7の上面に装備され、内蓋5と対応する加熱コイル6cとからなる。
【0037】
図2に示すとおり、保護枠1の底壁中央には、板状の赤外線透過材8で閉じられた透孔9が形成され、その下方に設置された赤外線センサ10を汚れ、水、異物から保護するようにしている。
【0038】
そして、鍋3から放射された赤外線を赤外線透過材8を介して赤外線センサ10の赤外線検知部11で検知できるようにしてある。
【0039】
赤外線センサ10の近傍には温度調節装置12を配置して、炊飯工程実施による鍋3、加熱手段6からの放射、対流などの伝熱で温度変化する赤外線センサ10を所定温度に調節できるようにしている。
【0040】
これによって、赤外線センサ10が過渡的、定常的な温度変化を起こさないことによってそれ自体の温度変化に起因する温度精度劣化を低減することができる。
【0041】
温度調節装置12としては、ペルチェ素子、ヒータなどが考えられるが、目的を達するものであればこれに限るものではない。
【0042】
そして、赤外線センサ10は鍋3の底面外側の略中心部分に対向する位置に配置構成することで、炊飯量によって水位が変動する鍋側面よりも取得温度が安定して水温度の制御が容易となるものである。
【0043】
また、以上の構成によって鍋3の測温を非接触で行なうために、部材の熱伝導率、熱容量に左右されることなく、素早く温度検知することが可能となる。
【0044】
ここで、炊飯器本体2内には、各部、及び各装置を駆動制御して炊飯動作を行う制御手段13が設置されている。
【0045】
この制御手段13は、例えば蓋4に設けられた入力操作部14を介して行った使用者の指示に応じて各部及び各装置の駆動制御を行う。
【0046】
すなわち、制御手段13は、加熱手段6を制御する加熱制御手段13a、赤外線センサ10によって鍋3の温度を制御する鍋温度制御手段13b、内蓋温度センサ15によって内蓋5の温度を制御する内蓋温度制御手段13cによって構成される。
【0047】
前記蓋4はヒンジ軸16を介して炊飯器本体2に回動自在に取り付けられており、閉蓋状態をロックしている尾錠(図示せず)を開放することでスプリング17の作用で自動的に開くように設定されている。勿論、安全を配慮して開蓋動作にブレーキを付与する制動手段が設けられていることは今更述べるまでもないことであろう。
【0048】
前記蓋4の略中央部には蒸気筒18が設けられている。
【0049】
内蓋5には鍋3内の蒸気を蒸気筒18の蒸気排出口19を介して外部へ排出するために、例えば0.5cmの蒸気口20が形成されている。
【0050】
内蓋5の外周部には、鍋3を密閉するためにゴムなどの弾性体で構成された内蓋パッキン21が取り付けられている。
【0051】
前記蒸気筒17の内部には球状で、しかも移動自在の磁石22が存在している。この磁石21は蓋4を開いたときや、炊飯中に水や米中のデンプンが水中に溶け出し粘度の高い水となったおねばが蒸気筒18内を通過したときにヒンジ軸16側に移動し、これを磁力センサ23で検知することができるよう構成されている。
【0052】
蓋4の外表面に配置した入力操作部14は、炊飯のメニュー、時間などの各種情報を表示したり、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を行うためのもので、操作ボタンの操作等により炊飯器本体2に内蔵された制御手段に内蔵された炊飯プログラムが実行され、加熱手段6を炊飯プログラムの進行に合わせて動作、停止させて炊飯を実施する。
【0053】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0054】
まず、鍋3内に所定の米と水をセットし、入力操作部14を操作して炊飯メニューを選択し、炊飯開始ボタンを押下することで、炊飯工程が開始される。
【0055】
炊飯工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる浸せき工程、鍋3を加熱手段6により一気に加熱し、その内部の水を沸騰状態にする炊き上げ工程、鍋3内の水がほとんどなくなった状態で加熱を抑える蒸らし工程からなり、これらの工程の間に米の糊化を進めて炊飯する。
【0056】
制御手段は赤外線センサ10により検知した鍋3の温度に応じて最適に加熱手段6を制御し、あらかじめ決められた炊飯プログラムに従って炊飯を行う。
【0057】
炊飯プログラムは米の種類などによって複数のコースが準備されている。この蒸らし工程が終了すると炊飯が終了し、自動的に保温工程へと移行し、炊き上がったご飯の温度が低下しないようにして、使用者がいつでも温かいご飯を得られる。
【0058】
炊飯プログラム実行による動作の詳細を以下に説明する。
【0059】
炊飯が開始されると、まず米に水を吸収させる浸せき工程が始まる。制御手段は、加熱手段6により鍋3を加熱し、その温度を赤外線センサ10によって検知して、米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整して米の吸水を促進する。
【0060】
米は糊化が始まらない範囲で最も高い温度とし、さらにその温度を一定時間(例えば30分〜2時間)継続すると吸水率が向上しやすい。
【0061】
一方、炊飯時間はできるだけ短時間でおいしいご飯が炊き上がることが求められることが多いため、短時間で鍋3を糊化が始まらない温度にまで上昇させている。
【0062】
しかし、従来のサーミスタなどの接触式温度センサを用いると、部材の熱容量、熱伝導率に大きく影響を受けて温度追従性が悪くなるため、センサが米の糊化が始まらない温度を検知したときには実際の鍋3の温度はそれ以上に昇温されている場合がある。これによって鍋3に接触している米は糊化が始まってしまう。
【0063】
本実施の形態においては、浸せき工程において鍋3を60℃まで加熱することによる鍋3、加熱手段6からの放射、対流などの伝熱で温度変化する赤外線センサ10を温度調節装置12によって所定温度に調節することで、赤外線センサ10が過渡的、定常的な温度変化を起こさない。
【0064】
これにより、赤外線センサ10自体の温度変化に起因する温度精度劣化を低減することができるために、鍋3を米の糊化が始まらない温度に精度よく加熱することが可能となる。
【0065】
また、加熱手段6による加熱を停止した場合にも従来のサーミスタなどの接触式温度センサでは、鍋3の温度が下がり始めてもセンサ部材の熱容量によって一定時間(例えば数十秒〜1分)温度低下せず温度追従性が悪い。
【0066】
一方で本形態の形態では赤外線センサ10による非接触での温度検知を行なうことで鍋3の昇温、冷却に関わらずに良好な温度追従性を得ることができる。
【0067】
そのため、一定温度(例えば60℃)に鍋3の温度を維持する場合でも、鍋3が一定温度になったことを即座に検知して加熱停止し、鍋102の温度が一定温度以下に下がったことを即座に検知して加熱を再開するため、非常に緊密に小刻みを行うことができ、より均一な鍋3の加熱が可能となり、引いては鍋3内部の調理物の温度もより均一にすることができる。
【0068】
炊き上げ工程では、米に水と熱を加えて糊化を進行させる。制御手段は、加熱手段6を動作させて鍋3を急速に加熱し、その内部の水を沸騰状態とする。
【0069】
水が徐々になくなってくると、鍋3の温度は被加熱部から100℃を超えて上昇し続け、約130℃を検知することで水がなくなったと判断し、加熱手段6による加熱を停止する。
【0070】
この場合にも本発明の形態においては温度追従性が良く、更に赤外線センサ10が温度変化を起こさないように温度調節装置12を動作させることで赤外線センサ10を所定温度に保ち、温度精度を保つことができるために、水がなくなったと判断する温度(ここでは約130℃)を精度良く検知することができ、安全のための温度マージンを小さく設定することができ、より多くの熱を米に与えるように加熱手段6を制御することが可能である。
【0071】
蒸らし工程では、鍋3内にはほとんど水は残留しておらず、米に付着した余分な水分を蒸散させながら、鍋3内を高温状態(約100℃の状態)に維持して糊化をさらに進展させる。
【0072】
この際、制御手段は、内蓋温度センサ15で鍋3の上部空間の温度を検知しながら、内蓋加熱コイル6cを動作させて、米に対して熱を与え続け、糊化の進展を促進させる。
【0073】
以上の構成により、本実施の形態の炊飯器は赤外線センサ10による非接触温度検知によって温度追従性を向上し、更に赤外線センサ10が温度変化を起こさないように温度調節装置12を動作させることで、赤外線センサ10を所定温度に保ち、センサ自体の温度変化に起因する温度精度劣化を低減して、鍋10の温度制御を精度良く行ない、炊飯性能を向上した炊飯器を提供することが可能となる。
【0074】
(実施の形態2)
図3は実施の形態2を示し、先に述べた図2の構成と同作用を行うものには同一符号を付し、具体的な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0075】
図3において、赤外線センサ10を送風により冷却できるように送風用ファン24を配置したものである。
【0076】
これによって、炊飯工程実施による鍋3、加熱手段6からの放射、対流などの伝熱で温度上昇する赤外線センサ10の温度を送風冷却することによって温度変化を少なくし、その過渡的、定常的な温度変化を少なくすることができる。
【0077】
ここで送風ファン24は制御手段等のパワーデバイスの冷却用ファンとて共用することも考えられるものである。
【0078】
(実施の形態3)
図4は実施の形態3を示し、先に述べた図2の構成と同作用を行うものには同一符号を付し、具体的な説明は実施の形態1のものを援用する。
【0079】
図4においては、赤外線センサ10が放射、対流等の伝熱によって温度上昇しないようにカバー25で覆ったものである。
【0080】
この際、カバー25には孔26を形成しておき、赤外線センサ10の視野を阻害しないように配慮してある。
【0081】
このカバー25によって炊飯工程実施による鍋3、加熱手段6からの放射、対流などの伝熱による赤外線センサ10の温度上昇を抑え、その過渡的、定常的な温度変化を少なくすることによって自体の温度変化に起因する温度精度劣化を低減することができる。
【0082】
ここでカバー25は熱容量が大きい材料や断熱材料を使用することで構成すると伝熱の影響を小さくすることが可能で、また赤外線反射材料を使用することによって放射熱の影響を更に抑えることが可能となる。
【0083】
以上の構成により、本実施の形態の炊飯器は赤外線センサ10による非接触温度検知によって温度追従性を向上し、更に赤外線センサ10が温度変化を起こしにくいように、熱容量の大きい材料や、断熱材料、赤外線反射材料を使用したカバー25で赤外線センサ10を覆うことで、その温度変化を小さく抑えて、センサ自体の温度変化に起因する温度精度劣化を低減して、鍋3の温度制御を精度良く行ない、炊飯性能を向上した炊飯器を提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明にかかる炊飯器はセンサ自体の温度変動に起因する赤外線センサ特有の温度精度劣化要因を低減するもので、赤外線センサによって加熱を制御する他の調理機器の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器側面の断面図
【図2】同炊飯器の要部断面図
【図3】本発明の実施の形態2における炊飯器の要部断面図
【図4】本発明の実施の形態3における炊飯器の要部断面図
【図5】従来の赤外線センサの自体の温度変化を示す説明図
【図6】従来の赤外線センサを示す上面図
【符号の説明】
【0086】
2 炊飯器本体
3 鍋
4 蓋
6 加熱手段
10 赤外線センサ
12 温度調節装置
24 送風ファン
25 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体に装備した鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体を覆う蓋と、前記鍋から放射される赤外線を検知する赤外線センサと、前記赤外線センサにより検知した前記鍋の温度情報に応じて前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段と、前記赤外線センサの周囲温度を調節する温度調節手段とを具備した炊飯器。
【請求項2】
温度調節手段は、前記赤外線センサの周囲温度を所定温度に調節できる温度調節装置である請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
温度調節手段は、送風用ファンである請求項1または2記載の炊飯器。
【請求項4】
温度調節手段は、赤外線センサと周囲とを熱的に遮断するカバーである請求項1記載の炊飯器。
【請求項5】
カバーを断熱材料で形成した請求項4記載の炊飯器。
【請求項6】
カバーを赤外線反射材料で形成した請求項4または5記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−110488(P2010−110488A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286090(P2008−286090)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】