説明

炊飯器

【課題】非接触式の温度センサを用いる炊飯器において接触式の温度センサを用いたものに比べて異物が測温範囲に入りやすいという課題を補い、炊飯性能を向上する炊飯器を提供することを目的とする。
【解決手段】赤外線センサ7aの測温範囲に入った異物を検知する異物検知手段7cと、使用者に報知するための報知手段17aを備え、炊飯や予約開始直後に異物検知して異物がある場合には使用者に報知する構成として、使用者が炊飯ボタンを押した直後に異物ありを検知して報知できるため炊飯を失敗することが少なく、炊飯性能を向上する炊飯器を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋から放出される赤外線により鍋の温度を検知して炊飯制御を行うようにした炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炊飯器にあって、炊飯制御のために鍋の温度を検知することが必須であり、従来の手段としては、鍋からの接触伝熱を利用した接触式の温度センサを利用したもの、或いは鍋から出る赤外線を受光してその温度を検知する赤外線センサを利用したものが提案されている。
【0003】
特に、赤外線センサを利用したものは、非接触で温度の検知ができるために、接触式の温度センサに比して構成部材の熱伝導率、熱容量に左右されることがなく、鍋温度を素早く、精度よく検知することが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平2−180215号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鍋を着脱できるようにした炊飯器に赤外線センサを採用したものでは、この赤外線センサが露出してしまうことがあり、その受光側に異物が混入する虞が生起する。
【0005】
そのため、異物により鍋からの赤外線進行が阻害されてしまい、赤外線センサによる温度検知精度を著しく低下させ、炊飯性能を損なう課題があった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、赤外線センサで鍋温度を検知するものにあって、この赤外線センサの受光側の異物を異物検知手段で検知して報知することで確実な炊飯を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、鍋を出入自在に収納した炊飯器本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体、および鍋の開放側を覆う蓋と、前記鍋が発する赤外線を検知して温度測定する赤外線センサと、前記赤外線センサと前記鍋の間に配置された赤外線透過材と、前記赤外線センサにより検知した前記鍋の温度情報に応じて前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段と、前記赤外線センサの温度測定視野側に配置した異物検知手段と、この異物検知手段が異物を検知したとき作動する報知手段とを具備したものである。
【0008】
これによって、異物検知手段が赤外線センサの測温範囲に異物を検知したときには、報知手段によって使用者に報知して異物除去を促すことで赤外線センサの温度測定精度を保ち、炊飯性能を向上する炊飯器を提供することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の炊飯器は、赤外線センサの温度測定精度を高く保つことで、炊飯性能を著しく向上することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、鍋を出入自在に収納した炊飯器本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と、
前記炊飯器本体、および鍋の開放側を覆う蓋と、前記鍋が発する赤外線を検知して温度測定する赤外線センサと、前記赤外線センサと前記鍋の間に配置された赤外線透過材と、前記赤外線センサにより検知した前記鍋の温度情報に応じて前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段と、前記赤外線センサの温度測定視野側に配置した異物検知手段と、この異物検知手段が異物を検知したとき作動する報知手段とを具備したものである。
【0011】
これによって、異物検知手段が赤外線センサの測温範囲に異物を検知したときには、報知手段によって使用者に報知して異物除去を促すことで赤外線センサの温度測定精度を保ち、炊飯性能を向上する炊飯器を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、前記第1の発明において、異物検知手段は、鍋に対して投光する発光手段と、前記鍋からの反射光を受光する受光手段とから構成することで、赤外線センサの測温範囲の異物の有無を検知することができ、炊飯性能を向上した炊飯器を提供することが可能となる。
【0013】
第3の発明は、前記第1の発明において、異物検知手段は、赤外線透過材への荷重を検知する荷重検知手段から構成したことで、赤外線センサの測温範囲の異物の有無を検知することができ、炊飯性能を向上した炊飯器を提供することが可能となる。
【0014】
第4の発明は、前記第1の発明において、使用者が炊飯開始操作する際に異物検知手段が異物を検知すると、異物がある旨を報知手段で報知するようにしたことで、赤外線センサの測温範囲の異物の有無を検知して「異物あり」を使用者に報知して、使用者が異物を除去することによって、炊飯性能を向上した炊飯器を提供することが可能となる。
【0015】
第5の発明は、前記第1の発明において、使用者が炊飯開始操作する際に異物検知手段が異物を検知すると、異物除去を促す内容を報知手段で報知するようにしたことで、赤外線センサの測温範囲の異物の有無を検知して使用者に異物除去するように報知して、使用者が異物を除去することによって、炊飯性能を向上した炊飯器を提供することが可能となる。
【0016】
第6の発明は、前記第1の発明において、異物検知手段が異物を検知すると、炊飯終了後に異物があった旨を報知手段で報知するようにしたことで、使用者は炊飯操作をしたにもかかわらずごはんが得られないという事象を回避でき、報知によってごはんの出来が悪い理由を知ることができる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態1)
図1,2において、本実施の形態にかかる炊飯器は、保護枠1を介して内部に磁性体の金属を含む材料からなる鍋2を着脱自在に収納した略有底筒状の炊飯器本体3と、この炊飯器本体3の上方開口部を開閉自在に覆蓋する蓋4と、この蓋4の内側に着脱自在に取り付けられて、鍋2の開口部を密閉する略円盤状で、かつ磁性体の金属を含む材料からなる内蓋5と、鍋2、内蓋5などを誘導加熱(発熱)する加熱手段6とを有している。
【0019】
前記加熱手段6は、保護枠1の外底壁部位に巻装した鍋底面加熱コイル6aと、同外周上部に巻装した鍋側面加熱コイル6bと、内蓋5の上方に配置した内蓋加熱コイル6cとからなる。
【0020】
図2にも示すように、赤外線センサユニット7は、保護枠1の底壁中央に設けた空瞭部
に赤外線センサ7aを設置したもので、温度測定対象の鍋2との間には赤外線透過材7bが配置されている。
【0021】
保護枠1と赤外線透過材7bとの間はシール手段7dを介してシールされ、水や汚れから赤外線センサ7aを保護するようにしている。
【0022】
ここで、異物検知手段7cであるが、光学センサ、力覚センサを用いた手段が考えられる。
【0023】
例えば、光学センサによる異物検知であれば、前記赤外線センサ7aの測温範囲7eを遮らない位置に鍋2に対して投光する発光手段8を、また、鍋2からの反射光を受光する受光手段9をそれぞれ配置して構成する。
【0024】
異物がある場合には、発光手段8から投光して鍋2に反射した、所謂、反射光が途中で遮断されるため、受光手段9に至る光の量が異物がない場合と比べて少なくなり、これをもって異物の有無を検できるものである。
【0025】
なお、図2では受光手段9を別途設けているが、赤外線センサ7aも受光素子であるので、この赤外線センサ7aを異物検知の受光側として兼用することも可能である。
【0026】
赤外線透過材7bのフィルタ特性は、鍋2が加熱されて出てくる赤外線と、発光手段8の光の波長を通すものとする。図の構成では外乱光は鍋2によって遮蔽されて赤外線センサ7aに届かないため、炊飯器に関して外乱光を防ぐためのフィルタはなくても良い。
【0027】
また、赤外線センサ7aの視野に入る異物を確実に検知して死角をなくすように、発光手段8、受光手段9の角度や取り付け位置、発光の強さ、発光の広がり角度などを調整する必要がある。
【0028】
さらに、鍋2の汚れ付着、傷などの表面状態の影響による放射率の変化もこの構成で検知することができる。
【0029】
赤外線透過材7bのフィルタを通過でき、受光手段9で受光を検知できれば発光手段8の光の波長、強さなどは特に規定しない。
【0030】
次に、力覚センサによる異物検知例であるが、これは赤外線透過材7bにかかる荷重の有無を検知できる荷重検知手段を設けることによって異物の有無を検知するものである。
【0031】
なお、赤外線透過材7bは赤外線センサ7aの視野を包含するだけの大きさに構成することで、赤外線透過材7bに乗った異物の荷重を検知することで、異物が赤外線センサ107aの視野を遮蔽していると判断する。
【0032】
荷重検知手段としては歪ゲージ、圧電素子、荷重により移動した遮蔽板で発光素子の光を遮蔽して受光素子で光量を検知するなど、いろいろなものが考えられる。
【0033】
前記赤外線センサユニット7は鍋2の外底面側の略中心部分に対向する位置に配置構成する方が炊飯容量によって水位が変動する鍋側面よりも有利である。
【0034】
以上の構成によって赤外線センサ7aによって鍋2の測温を非接触で行なうために、測温部材の熱伝導率、熱容量に左右されること無く素早く精度よく温度検知することが可能である。
【0035】
炊飯器本体3内には、各部及び各装置を駆動制御して炊飯動作を行う制御手段10が設置されている。制御手段10は、例えば蓋4に設けられた入力操作部11を使用して行った使用者の指示に応じて、各部及び各装置の駆動制御を行う。
【0036】
制御手段10は加熱手段6を制御する加熱手段制御手段10a、赤外線センサ7aや内蓋温度センサによって鍋温度や内蓋温度を計測する鍋温度計測制御手段10b、内蓋温度計測制御手段10cなどによって構成される。
【0037】
蓋4には、蓋温度検知装置の一例である内蓋温度センサ12と、先の内蓋加熱コイル6cと、ヒンジ軸13aと、蒸気筒14とが設けられている。
【0038】
ヒンジ軸13aは、蓋4の開閉軸であり、炊飯器本体3に両端部を回動自在に支持されている。
【0039】
蓋4はヒンジ軸13aの近傍に設けた回動バネ13bにより開方向に回動するように設定してある。
【0040】
内蓋5には蒸気を鍋2外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口5b(例えば0.5cm)が設けてある。
【0041】
内蓋5の外周部の鍋2側の面には、蓋4が閉状態にあるときに鍋2と密接する略環状の内蓋パッキン5aが取り付けられている。この内蓋パッキン5aは、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0042】
蒸気筒14は、蓋4に着脱自在に取り付けられており、内蓋5の蒸気口5bから出てきた蒸気がその中を通過して炊飯器外へと放出されるように構成されている。
【0043】
蒸気筒14の内部には磁石15が存在し、この磁石15は蓋4を開いたときや、炊飯中に水や米中のデンプンが水中に溶け出し粘度の高い水となったおねばが蒸気筒14内を通過したときにヒンジ軸13a側に移動可能に構成されている。
【0044】
蓋4内側の磁石15の近傍には、磁力センサ16が設けられており、磁石15が所定の位置にあるかどうかを検知することができるよう構成されている。
【0045】
蓋4の外表面に配置した入力操作部11は、炊飯のメニュー、時間などの各種情報を表示したり、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を行うための操作ボタンが搭載されている。
【0046】
操作ボタンの操作等により、制御手段10に内蔵された炊飯プログラムが実行され、加熱手段6を炊飯プログラムの進行に合わせて動作、停止させて炊飯を実施する。
【0047】
以上のように構成された炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0048】
まず、鍋2内に所定の米と水をセットし、入力操作部11を操作して炊飯メニューを選択し、炊飯開始ボタンを押下することで、炊飯工程が開始される。
【0049】
炊飯工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる浸せき工程、鍋2を加熱手段10により一気に加熱し、内部の水を沸騰状態にする炊き上げ工程、鍋2内の水がほとんどなくなった状態で加熱を抑える蒸らし工程からなり、これらの工程の間に米の糊化を進め
て炊飯する。
【0050】
制御手段10は赤外線センサ7aにより検知した鍋2の温度に応じて最適に加熱手段10を制御し、予め、決められた炊飯プログラムに従って炊飯を行う。
【0051】
炊飯プログラムは米の種類などによって複数のコースが準備されている。
【0052】
蒸らし工程が終了すると炊飯が終了し、自動的に保温工程へと移行し、炊き上がったご飯の温度が低下しないようにして、使用者がいつでも温かいご飯を得られる。
【0053】
図3は本実施の形態において炊飯工程を開始するまでに異物検知を行なう場合の動作を示すフローチャートで、特に異物検知に関する部分のみを記述している。
【0054】
先ず、使用者はステップS1で入力操作部11に配置された炊飯工程を開始するための炊飯ボタンを押下する。そしてステップS2で異物検知手段によって異物検知処理を開始する。
【0055】
その結果、ステップS3で異物なしと検知されればステップS4で炊飯工程が開始される。
【0056】
しかし、ステップS3で異物ありと検知されれば、ステップS5で、例えば、入力操作部11に配置された音、光、文字情報など使用者の五感に訴える手段によって報知する報知手段17を用いて使用者に異物ありを報知する。
【0057】
このとき、報知内容に関して、積極的に異物除去を促す内容であった方がよい。
【0058】
そしてステップS6で、例えば蓋が開けられてから閉められたというように、異物除去がなされたと推測できる所定のトリガがかかれば、ステップS2に戻って異物検知処理を再度おこなう。以下の処理は前述と同じである。
【0059】
ステップS6において、トリガがない場合には、ステップS5の報知を継続する形となるが、長時間の場合には音や光といった能動的で使用者が不快に感じる報知は所定時間や所定回数で終了し、文字情報などの受動的な報知を残すのが好ましい。
【0060】
このように本実施の形態の炊飯器においては、従来の接触式温度センサを用いた炊飯器に比べて鍋2との間に異物が入りやすい非接触式温度センサを用いた炊飯器において、異物検知をして報知することで炊飯時の温度精度劣化を防ぐことができる。
【0061】
また、従来のように炊飯工程において所定時間加熱でセンサ検知温度が所定温度に達しないことで異物検知する方式に比べて、使用者が炊飯ボタンを押した直後に炊飯器が異物ありを検知して報知できるため、炊飯を失敗することが少なくて済む。
【0062】
また、炊飯開始だけでなく、所定時間後に炊飯を開始するための予約開始時にも同様のシーケンスによって異物検知、報知することで予約炊飯時の失敗も防ぐことができる。
【0063】
炊飯が開始されると、まず米に水を吸収させる浸せき工程が始まる。制御手段10は、加熱手段6により鍋2を加熱する。
【0064】
鍋2の温度を赤外線センサ7aによって検知して、米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整して米の吸水を促進する。
【0065】
米は糊化が始まらない範囲で最も高い温度とし、さらにその温度を一定時間(例えば30分〜2時間)継続すると吸水率が向上しやすい。
【0066】
一方、炊飯時間はできるだけ短時間でおいしいご飯が炊き上がることが求められることが多いため、短時間で鍋2を糊化が始まらない温度にまで上昇させている。
【0067】
しかし、従来のサーミスタなどの接触式温度センサを用いると、部材の熱容量、熱伝導率に大きく影響を受けて温度追従性が悪くなるため、センサが米の糊化が始まらない温度を検知したときには実際の鍋2の温度はそれ以上に昇温されている場合がある。
【0068】
これによって鍋2に接触している米は糊化が始まってしまう。
【0069】
本実施の形態においては、赤外線センサ7aを用いることで測温部材の熱容量、熱伝導率の影響をなくすことで素早く、精度よく米の糊化が始まらない温度に加熱することが可能となる。
【0070】
一方で、本実施の形態では赤外線センサ7aによる非接触での温度検知を行なうことで鍋2の昇温、冷却に関わらずに良好な温度追従性を得ることができる。そのため、一定温度(例えば60℃)に鍋2の温度を維持する場合でも、鍋2が一定温度になったことを即座に検知して加熱停止し、鍋2の温度が一定温度以下に下がったことを即座に検知して加熱を再開するため、非常に緊密に小刻みな加熱を行うことができ、より均一な鍋2の加熱が可能となり、引いては鍋102内部の調理物の温度もより均一にすることができる。
【0071】
炊き上げ工程では、米に水と熱を加えて糊化を進行させる。制御手段10は、加熱手段6を動作させて、鍋2を急速に加熱し、その中の水を沸騰状態とする。
【0072】
鍋2内の水が徐々になくなってくると、温度は被加熱部から100℃を超えて上昇し続け、約130℃を検知することで水がなくなったと判断し、加熱手段10による加熱を停止する。
【0073】
この場合にも本実施の形態においては、温度追従性が良く、水がなくなったと判断する温度(ここでは約130℃)を精度良く検知することができ、過加熱防止のための温度の安全マージンを小さく設定することができ、より多くの熱を米に与えるように加熱手段105を制御することが可能である。
【0074】
蒸らし工程では、鍋2内にはほとんど水は残留しておらず、米に付着した余分な水分を蒸散させながら、その中を高温状態(約100℃の状態)に維持して糊化をさらに進展させる。
【0075】
この際、制御手段10は、内蓋温度センサ12で鍋2の上部空間の温度を検知しながら、内蓋加熱コイル6cを動作させて、米に対して熱を与え続け、糊化の進展を促進させる。
【0076】
以上の構成により、本実施の形態の炊飯器は、従来の接触式温度センサを用いた炊飯器に比べて鍋との間に異物が入りやすい非接触式温度センサを用いた炊飯器において、異物検知をして報知することで炊飯時の温度精度劣化を防ぐことができる。
【0077】
また、従来のように炊飯工程において所定時間加熱でセンサ検知温度が所定温度に達しないことで異物検知する方式に比べて、使用者が炊飯ボタンを押した直後に炊飯器が異物
ありを検知して報知できるため、炊飯を失敗することが少なくて済むなど、炊飯性能を向上した炊飯器を提供することが可能となる。
【0078】
(実施の形態2)
図4は、実施の形態2を示すフローチャートである。
【0079】
炊飯器の構成に関しては実施の形態1に記したのと同様であるため、以下本実施の形態における炊飯器の動作の要点のみを述べる。
【0080】
先ず、使用者が炊飯をする場合にステップS11で入力操作部11に配置された炊飯工程を開始するための炊飯ボタンを押下する。
【0081】
そして、ステップS12で異物検知手段によって異物検知処理を開始する。
【0082】
その結果、ステップS13で異物なしと検知されれば、ステップS14で通常炊飯が開始される。
【0083】
しかし、ステップS13で異物ありと検知されれば、ステップS15では赤外線温度センサ7aの入力を用いずに所定時間の加熱を行うことで炊飯を行った後に、ステップS16で異物検知された異常炊飯であった旨を報知手段17によって使用者に対して報知することで、使用者に炊き上がったごはんのでき栄えを納得させることができる。
【0084】
このように本実施の形態炊飯器においては、異物検知しても温度情報を用いずに炊飯を行うことで、使用者が一定時間後にごはんが得られないという苦痛を味わうことがない。このとき赤外線センサ7aに対する異物の影響よる温度測定精度の劣化で、緻密な温度制御が行えないために、ごはんのできは良くないと考えられるが炊飯後に使用者に対して報知することで使用者に納得してもらうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は従来のように温度センサと鍋の間への異物混入を、所定時間の鍋加熱で所定温度に達しないことを検知する方式に比べて加熱をせずに別途異物検知手段を設けることによって、炊飯ボタン押下直後に使用者に異物ありを報知することができ、炊飯の失敗を事前に防ぐことができる。これは他の温度センサの出力によって加熱を制御する調理器具に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施の形態1を示す炊飯器側面の断面図
【図2】同炊飯器の要部断面図
【図3】同炊飯器の動作を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施の形態における炊飯器の動作を示すフローチャート
【符号の説明】
【0087】
2 鍋
3 炊飯器本体
4 蓋
6 加熱手段
7 赤外線センサ
7b 赤外線透過材
7c 異物検知手段
8 発光手段
9 受光手段
10 制御手段
17 報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋を出入自在に収納した炊飯器本体と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記炊飯器本体、および鍋の開放側を覆う蓋と、前記鍋が発する赤外線を検知して温度測定する赤外線センサと、前記赤外線センサと前記鍋の間に配置された赤外線透過材と、前記赤外線センサにより検知した前記鍋の温度情報に応じて前記加熱手段の加熱量を制御する制御手段と、前記赤外線センサの温度測定視野側に配置した異物検知手段と、この異物検知手段が異物を検知したとき作動する報知手段とを具備した炊飯器。
【請求項2】
異物検知手段は、鍋に対して投光する発光手段と、前記鍋からの反射光を受光する受光手段とから構成した請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
異物検知手段は、赤外線透過材への荷重を検知する荷重検知手段から構成した請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
使用者が炊飯開始操作する際に異物検知手段が異物を検知すると、異物がある旨を報知手段で報知するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項5】
使用者が炊飯開始操作する際に異物検知手段が異物を検知すると、異物除去を促す内容を報知手段で報知するようにした請求項1記載の炊飯器。
【請求項6】
異物検知手段が異物を検知すると、炊飯終了後に異物があった旨を報知手段で報知するようにした請求項1記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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