説明

炊飯器

【課題】水タンク内の冷却水の温度を温度センサにより検出して使用者に火傷を負わせないようにすると共に、温度センサの感度を向上させた炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯器本体1に着脱可能に収納された内釜3と、炊飯中に発生する内釜3内の炊飯物からの蒸気を外部へと導く蒸気導管と、蒸気導管により導かれた蒸気を冷却水によって復水して回収する水タンク21と、水タンク21の底部にバネ27aによって接触し、水タンク21内の冷却水の温度を検出する温度センサ25と、温度センサ25によって検出された水タンク21内の冷却水の温度が所定温度以上かどうかを判定し、温度センサ21の検出温度が所定温度以上のときに報知手段を介して使用者に水タンク21が高温である旨を報知する水温判定手段とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯中に発生する内釜内の蒸気を冷却水で復水して回収する水タンクを備えた炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の炊飯器は、内釜内に発生した蒸気を蒸気導管によって水タンクに導き、水タンク内の冷却水の中に放出させて復水し回収している。その水タンクは、炊飯器本体の外側上部に着脱可能に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平03−231613号公報(第2頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した従来の炊飯器では、水タンク内の冷却水の温度が何度か分からず、このため、使用者が水タンク内の冷却水を交換するときに火傷する恐れがあった。
本発明は、前記のような課題を解決するためになされたもので、水タンク内の冷却水の温度を温度センサにより検出して使用者に火傷を負わせないようにすると共に、温度センサの感度を向上させた炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る炊飯器は、炊飯器本体に着脱可能に収納された内釜と、炊飯中に発生する内釜内の炊飯物からの蒸気を外部へと導く蒸気導管と、蒸気導管により導かれた蒸気を冷却水によって復水して回収する水タンクと、水タンクの底部に弾性手段によって接触し、水タンク内の冷却水の温度を検出する温度センサと、温度センサによって検出された水タンク内の冷却水の温度が所定温度以上かどうかを判定し、温度センサの検出温度が所定温度以上のときに報知手段を介して使用者に水タンクが高温である旨を報知する水温判定手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明においては、水タンク内の冷却水の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサを弾性手段によって水タンクの底部に接触させるようにしているので、温度センサによる水タンク内の冷却水の温度を感度良く検出することができ、このため、水タンクが高温かどうかの報知を正確に行うことが可能になり、使用者の火傷を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明の実施の形態に係る炊飯器の側面を切断して示す断面図、図2は実施の形態に係る炊飯器の炊飯器本体及び水タンクを示す斜視図、図3は実施の形態に係る炊飯器の水タンクと温度センサを拡大して示す断面図、図4は実施の形態を示す炊飯器及びその底部の斜視図、図5は実施の形態に係る炊飯器における炊飯器本体の水タンク側の底部を拡大して示す斜視図である。
【0008】
実施の形態の炊飯器は、図1、図2に示すように、炊飯器本体1と、炊飯時に発生する蒸気を冷却水で復水して回収する水タンク21とで構成されている。炊飯器本体1の内部には上部開口の保護枠2が設けられ、その保護枠2に外面が磁性体金属で構成された有底筒状の内釜3が着脱可能に収納されている。また、炊飯器本体1の上部には、一端がヒンジ部5によって開閉自在に軸支された蓋体4が取り付けられている。この蓋体4の上面には、図4に示すように、炊飯に必要な各種の操作スイッチ9、炊飯状態などを表示する液晶表示部10の表示窓10aが配置されている。また、蓋体4には、蓋ヒータ6が配設された蓋放熱板7が取り付けられており、さらに、蓋放熱板7を覆うように内蓋8が着脱可能に装着されている。内蓋8の外周部には、蓋体4が閉じられたときに内釜3のフランジ部3aに接して、内釜3の上部開口を密閉状態にするパッキン8aが取り付けられている。
【0009】
前述した保護枠2は、上部枠2aと、胴ヒータ11が配設された側面放熱板2bと、コイル台2cとによって構成されている。保護枠2のコイル台2cに支持された誘導コイル12は、内釜3の底部コーナー部に対向するように配設された側部誘導コイル12aと、内釜3の底部に対向するように配設された底部誘導コイル12bとからなっている。誘導コイル12の側部誘導コイル12aと底部誘導コイル12bは、図示せぬフェライトによって覆われている。これは、側部誘導コイル12aと底部誘導コイル12bから発生する磁束が外部に漏れないようにするためである。コイル台2cの中央部を貫通して取り付けられた底温度センサ13は、例えばサーミスタからなり、バネ13aの弾性力によって内釜3の底部に接触し、内釜3に収納された炊飯物の温度を間接的に検出する。
【0010】
水タンク21は、例えば側壁部及び底部の板厚がほぼ同じ厚さに成形されたプラスチックからなり、炊飯器本体1の側壁部14及び底部15に着脱可能に装着されている。水タンク21の上部開口にはタンク蓋22が着脱可能な状態で嵌め込まれている。このタンク蓋22には、水タンク21内の蒸気漏れを防止するシール材22aが設けられており、また、図2に示すように、蓋体4内に設けられた蒸気導管24にパッキン24aを介在して接合されるほぼ四辺形の蒸気導入口22bが形成されている。水タンク21は、上方から見てほぼC字状に形成されたタンクカバー23が着脱可能に取り付けられている。タンクカバー23は、使用者が高温時の水タンク21に直接触れないようにするためと、炊飯器の意匠を損なわないようにするために設けられている。
【0011】
前記の蒸気導管24は、蓋体4に着脱可能に接合されており、一方が内蓋8に設けられた蒸気排出口8aに接合され、他方がタンク蓋22の蒸気導入口22bに接合される。誘導コイル12の誘導加熱によって、内釜3内の炊飯物が沸騰して蒸気が発生すると、蒸気は、蒸気排出口8aから蒸気導入管24に流れ込み、蒸気導入管24によって導かれてタンク蓋22の蒸気導入口22bに入り、蒸気導入口22bに連結された連通管(図示せず)を通って水タンク内の冷却水の中に放出されて復水される。
【0012】
炊飯器本体1の水タンク21載置側の底部15には、水タンク21の底部に接触して温度を検出する温度センサ25(例えばサーミスタ)が設けられている。温度センサ25は、前記底部15に設けられたセンサ収納部26の上面を貫通して収納され、炊飯器本体1のマイコン(図示せず)と接続されている。センサ収納部26には、図3に示すように、上端部に温度センサ25が嵌合されたセンサ支持部27が挿入されており、センサ支持部27の外周にバネ27a(弾性手段)が設けられている。水タンク21が底部15に載置された際、センサ支持部27のバネ27aの弾性力によって、温度センサ25が水タンク21の底部に接触する。
【0013】
炊飯器本体1の底部15には、図4、図5に示すように、側壁部14(図2参照)の形状に沿って形成されたリブ31が設けられ、さらに、炊飯器本体1内を冷却する冷却ファン(図示せず)からの冷却風を2方向に分ける山形形状の風向分離用リブ32(遮蔽リブ)が前記リブ31の面に連結して設けられている。また、前記のリブ31には、底部15に形成された排気口33に対向する位置にそれぞれ通風口31aが設けられている。冷却ファンからの冷却風は、図5に示すように、山形形状の風向分離用リブ32によって2方向に分けられ、各通風口31aをそれぞれ通って水タンク21の下方に流れ、各排気口33から外部にそれぞれ排出される。この冷却風の流れによって、温度センサ25に直接冷却風が当たらなくなり、温度センサ25による水タンク21の温度検出の影響が受けにくくなっている。
【0014】
前述したマイコンは、水温判定手段を備えており、例えば、炊飯を終了して保温に入ると、温度センサ25の検出温度が前記閾値より低い所定温度以上かどうかを判定し、温度センサ25の検出温度が所定温度以上のときに、水タンク21が高温である旨を液晶表示部10(報知手段)に表示して使用者に報知する。そして、水タンク21の温度が所定温度より低くなったときに、その報知を終了する。なお、報知手段としてLEDを用いても良い。例えば、温度センサ25の検出温度が所定温度以上になると、LEDを点灯あるいは点滅して使用者に報知する。そのLEDは、蓋体4の上面に配置された表示窓10aの近傍に設け、使用者の視界に入りやすいようにする。
【0015】
本実施の形態においては、炊飯器本体1の水タンク21載置側の底部15に温度センサ25を設け、温度センサ25をバネ27aの弾性力によって水タンク21の底部に接触させるようにし、また、風向分離用リブ32によって、温度センサ25に冷却ファンからの冷却風が直接当たらないようにしたので、温度センサ25による水タンク21内の冷却水の温度を感度良く検出することができ、このため、水タンク21が高温かどうかの報知を正確に行うことが可能になり、使用者の火傷を防止できる。
【0016】
なお、実施の形態では、水タンク21の側壁部と底部の板厚がほぼ同じ厚さであることを述べたが、図6に示すように、底部の板厚が側壁部より薄く成形された水タンク21を用いても良い。これにより、温度センサ25による水タンク21内の冷却水の温度をより感度良く検出することができ、このため、水タンク21が高温かどうかの報知を正確に行うことが可能になり、使用者の火傷を防止できる。
【0017】
また、図7に示すように、水タンクの底部に温度センサが挿入されるように上方に突出して形成された凹部を設けるようにしても良い。この凹部により、温度センサ25による水タンク21内の冷却水の温度を、冷却ファンからの冷却風の影響を受けることなく、より感度良く検出することができ、このため、水タンク21が高温かどうかの報知をより正確に行うことが可能になり、使用者の火傷を防止できる。
【0018】
また、実施の形態では、冷却ファンからの冷却風が温度センサ25に直接当たらないように山形形状の風向分離用リブ32を設けたことを述べたが、これに限定されるものではなく、温度センサ25を冷却風から遮蔽する構造であれば何でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の構成を示す断面図である。
【図2】実施の形態の炊飯器における炊飯器本体及び水タンクを示す斜視図である。
【図3】実施の形態の炊飯器における水タンクと温度センサを拡大して示す断面図である。
【図4】実施の形態を示す炊飯器及びその底部の斜視図である。
【図5】実施の形態の炊飯器における炊飯器本体の水タンク側の底部を拡大して示す斜視図である。
【図6】他の形態の炊飯器における水タンクと温度センサを拡大して示す断面図である。
【図7】他の形態の炊飯器における水タンクと温度センサを拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 炊飯器本体、2 保護枠、3 内釜、4 蓋体、6 蓋ヒータ、7 蓋放熱板、
8 内蓋、8a 蒸気排出口、9 操作スイッチ、10 液晶表示部、11 胴ヒータ、12 誘導コイル、13 底温度センサ、14 側壁部、15 底部、21 水タンク、22 タンク蓋、23 タンクカバー、24 蒸気導管、25 温度センサ、26 センサ収納部、27 センサ支持部、31 リブ、31a 通風口、32 風向分離用リブ、33 排気口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体に着脱可能に収納された内釜と、
炊飯中に発生する前記内釜内の炊飯物からの蒸気を外部へと導く蒸気導管と、
前記蒸気導管により導かれた蒸気を冷却水によって復水して回収する水タンクと、
前記水タンクの底部に弾性手段によって接触し、前記水タンク内の冷却水の温度を検出する温度センサと、
該温度センサによって検出された前記水タンク内の冷却水の温度が所定温度以上かどうかを判定し、前記温度センサの検出温度が所定温度以上のときに報知手段を介して使用者に水タンクが高温である旨を報知する水温判定手段と
を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記水タンクの底部の厚さは、水タンクの側壁部の板厚より薄く形成されていることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記水タンクの底部に、内側に突出して形成された凹部が設けられ、
前記温度センサは、前記凹部に挿入されることを特徴とする請求項1又は2記載の炊飯器。
【請求項4】
炊飯器本体内を冷却する冷却ファンからの冷却風から前記温度センサを遮蔽する遮蔽リブを炊飯器本体の底部に設けたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−99417(P2010−99417A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275970(P2008−275970)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】