説明

炊飯器

【課題】炊飯量判定のばらつきがなく、常においしいご飯が炊ける炊飯器を提供する。
【解決手段】鍋収納部1aに収納される鍋2を加熱する鍋加熱手段5と、炊飯器本体1の上部開口部1fを覆う蓋本体3を備え、蓋本体3に、鍋2の上層部を加熱する蓋加熱手段11と、蓋加熱手段11を支持する支持台15の下部に設けられ複数の蒸気口4aを有する内蓋4を配設し、内蓋4上部に、蒸気筒16を収納し炊飯中の水蒸気を外気に排出する排気孔18を有する蒸気筒収納部17を配設し、内蓋4に、鍋2内の水の温度を検知する赤外線センサー10を収納する赤外線センサー配設孔19を配設し、赤外線センサー10の周囲に加熱板21を配設したもので、赤外線センサー10で水の温度を直接検知することで、各部品の温度影響を受けることなく、確実な炊飯量判定で理想的な加熱ができ、また、加熱板で、おねばが赤外線センサー10に付着する前に蒸発させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、美味しいご飯を炊く炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、炊飯器市場においては、高価な炊飯器が導入され、その中で炊飯器としての基本性能である炊飯性能・保温性能の向上を目的とした機能を付加価値として商品化されている。従来のこの種の炊飯器として、図3に示されるようなものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図3は、上記特許文献1に記載された従来の炊飯器の断面図である。
【0004】
図3において、炊飯器本体41には鍋42が収納され、鍋42を加熱するための鍋加熱手段43と、この鍋加熱手段43に電力を供給するための加熱制御手段44及び鍋42の温度を検知する鍋温度検知手段45が配設されている。炊飯器本体41及び鍋42の上方には、蓋体46が開閉自在に配設されており、前記蓋体46は、外装部の外蓋47と鍋42の上部を加熱する加熱板48が配設されており、外蓋47と加熱板48の間には、外蓋47の外郭と鍋42を連通する蒸気経路49が配設されている。前記蒸気経路49には蓋センサー50を備えている。
【0005】
次に、上記のように構成された従来の炊飯器の炊飯時の動作について説明する。
【0006】
炊飯を開始すると、鍋42は、鍋加熱手段43によって加熱され、鍋42内の水は沸騰する。この過程において、鍋42内の水は、100℃になり水蒸気が発生する。発生した水蒸気は、鍋42内に充満し、余分な水蒸気は、外蓋47と加熱板48の間の蒸気経路49を通過して排気される。
【0007】
そして、前記蒸気経路49に配設された蓋センサー50は、蒸気経路49を蒸気が通過した際に、100℃を検知することができる。蓋センサー50は、鍋42内の水が沸騰する前の温度と鍋42内の水が沸騰後の100℃の2点の検知を、沸騰する過程で検知する。
【0008】
この2点の温度を検知する時間が、鍋42内の水と調理物の量を判定するものになる。例えば、鍋42内の水と調理物の量が少ない場合は、鍋42内を沸騰させるのに要する時間は短くて済むが、鍋42内の水と調理物の量が多い場合は、鍋42内を沸騰させるのに要する時間が長くなる。
【0009】
この時間の差を用いて、鍋42内の水と調理物の量を、蓋センサー50で判定しているのである。そして、沸騰する工程の後には、鍋42内の水を無くし、ご飯を炊き上げる沸騰維持工程があるが、その沸騰維持工程において、前工程で判定した鍋42内の水と調理物の量に合わせて、鍋加熱手段43による加熱量を調整して、ご飯を炊き上げるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−211999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の炊飯器の構成によると、鍋42内の水が沸騰してから、蒸気経路49内を蒸気が通過し、蓋センサー50が沸騰を検知するまでに時間を要する。その時間は、炊飯器本体41の外蓋47、加熱板48、蒸気経路49の温度に影響を受け、実際の鍋42内の調理物と水の量と違った量を蓋センサー50で判定してしまうことがある。よって、蓋センサー50により違った判定量で、沸騰維持工程で、鍋加熱手段43が鍋42の加熱をすると、沸騰維持工程終了時に、ご飯が焦げたり、加熱量が少なく芯の残ったご飯になるような現象が発生し、美味しくないご飯が炊き上がるといった課題があった。
【0012】
本発明は、上記従来の課題を解決し、何時でも、美味しいご飯を炊き上げることができる炊飯器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体には、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段を支持する支持台と、前記支持台の下部に設けられ複数の蒸気口を有する内蓋を配設し、前記内蓋の上部に、蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部とを配設し、前記蒸気筒収納部に、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を設け、前記内蓋のある箇所に、前記鍋内の水の温度を検知する赤外線センサーを収納する赤外線センサー配設孔を配設し、前記赤外線センサーの周囲に加熱板を配設したもので、炊飯を開始して、鍋加熱手段により鍋内の水は昇温し沸騰する。その後、沸騰を維持して、鍋内の水が無くなるまで、鍋の加熱を行うが、鍋内の水が沸騰するまでの時間を利用して、炊飯量判定を行う手段は、従来の炊飯と同じであるが、赤外線センサーを用いて、鍋内の水の温度を直接検知することで、外気による炊飯器本体の各部品の温度影響を受けることなく、確実な炊飯量判定を行い、沸騰維持工程において、鍋加熱手段による理想の鍋の加熱を行うことができるものである。
【0014】
また、炊飯工程の沸騰維持において、鍋内の水が沸騰すると、おねば(ご飯の煮汁)が発生し、そのおねばが鍋の上層部まであがってきた時に、赤外線センサーの周囲に配設した加熱板を、例えば蓋本体内に配設した蓋加熱手段で水の沸点の100℃以上の加熱を行うことで、鍋の上層部までおねばを、前記赤外線センサーに付着する前に、蒸発させてしまい、赤外線センサーへのおねばの付着を防止することができ、安定した鍋内の水の沸騰検知を行うとともに、ばらつきのない炊飯量の判定を行うことができるものである。
【0015】
更に、赤外線センサーを配設する効果として、炊飯における前炊き工程の水の温度の制御にある。従来例の炊飯器の構成では、鍋の底部に底温度検知ユニットを配設しており、前記底温度検知ユニットの中に底温度センサーを配設している。その底温度センサーにより、前炊き工程中の鍋内の水の温度を制御しており、鍋加熱手段により鍋を加熱して、底温度センサーが60℃になれば、鍋加熱手段による鍋の加熱を停める。そして、底温度センサーが60以下を検知すると、再び鍋加熱手段による鍋の加熱を、底温度センサーが60℃の検知をするまで続けるといった加熱の繰り返しを約30分行い、米が約30%の吸水率となるような吸水をおこなっている。しかし、従来例の炊飯器では、底温度検知ユニットをアルミニウム等の熱伝導性の高い材料で構成しており、底温度センサーに熱伝導されるまでは、鍋内の水の熱量が、鍋の熱伝導と熱伝達により、鍋の外面まで伝導し、更に、底温度検知ユニットの熱伝導と熱伝達により、底温度センサーに伝導される仕組みとなっており、鍋内の水の熱量を底温度センサーにまで伝導するには、多量の熱抵抗部分があることが分かる。このような構成では、底温度センサーが60℃を検知した時には、鍋内の水の温度は、60℃以上となり、理想の前炊きができないという課題があったが、本発
明の構成では、赤外線センサーにより、前炊き中も鍋内の水の温度を直接検知するため、鍋内の水の温度が60℃以上になることはなく、理想の前炊きを行い、前炊き中の水の温度にばらつきが発生せず、安定したご飯の美味しさを実現することができるものである。
【0016】
また、本発明の炊飯器は、鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体には、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段を支持する支持台と、前記支持台の下部に設けられ複数の蒸気口を有する内蓋と、送風機を配設し、前記内蓋の上部に、蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部とを配設し、前記蒸気筒収納部に、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を設け、前記内蓋に、前記鍋内の水の温度を検知する赤外線センサーを収納する赤外線センサー配設孔と、前記赤外線センサーの近傍に位置した外気投入孔とを配設し、前記蓋本体の外郭面には前記送風機の吸気を行うための吸気口を配設し、前記送風機と前記吸気口を連結するための吸気経路と、前記送風機と前記外気投入孔とを連通する送風連結管とを備えたもので、赤外線センサーにより、前炊き中も鍋内の水の温度を直接検知して理想の前炊きを行うことができる。
【0017】
また、炊飯の沸騰維持の工程で、鍋内のおねばが鍋の上層部まであがってきたときに、前記送風機により吸気された空気を外気投入孔から鍋内に投入し、おねばに吹き付けることにより、その空気の温度がおねばより低いため、沸騰維持中のおねばの上昇を抑え、赤外線センサーにおねばが付着することを防止することができ、鍋内の水の沸騰の検知を精度よく行うことができるとともに、炊飯における炊飯量の判定を確実に行うことができるものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の炊飯器は、炊飯を開始して、鍋加熱手段により鍋内の水は昇温し沸騰する。その後、沸騰を維持して、鍋内の水が無くなるまで、鍋の加熱を行うが、鍋内の水が沸騰するまでの時間を利用して、炊飯量判定を行う手段は、従来例の炊飯と同じであるが、蓋本体内に赤外線センサーを配設し、前記赤外線センサーを用いて、鍋内の水の温度を直接検知することで、外気による炊飯器本体の各部品の温度影響を受けることなく、確実な炊飯量判定を行い、沸騰維持工程において、鍋加熱手段による理想の鍋の加熱を行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる炊飯器の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態2にかかる炊飯器の縦断面図
【図3】同炊飯器の一部切欠き上面図
【図4】従来の炊飯器の縦断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の発明は、鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体には、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段を支持する支持台と、前記支持台の下部に設けられ複数の蒸気口を有する内蓋を配設し、前記内蓋の上部に、蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部とを配設し、前記蒸気筒収納部に、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を設け、前記内蓋のある箇所に、前記鍋内の水の温度を検知する赤外線センサーを収納する赤外線センサー配設孔を配設し、前記赤外線センサーの周囲に加熱板を配設したもので、炊飯を開始して、鍋加熱手段により鍋内の水は昇温し沸騰する。その後、沸騰を維持して、鍋内の水が無くなるまで、鍋の加熱を行うが、鍋内の水が沸騰するまでの時間を利用して、炊飯量判定を行う手段は、従来の炊飯と同じであるが、赤外線センサーを用いて、鍋内の水の温度を直接検知することで、外気による
炊飯器本体の各部品の温度影響を受けることなく、確実な炊飯量判定を行い、沸騰維持工程において、鍋加熱手段による理想の鍋の加熱を行うことができるものである。
【0021】
また、炊飯工程の沸騰維持において、鍋内の水が沸騰すると、おねば(ご飯の煮汁)が発生し、そのおねばが鍋の上層部まであがってきた時に、赤外線センサーの周囲に配設した加熱板を、例えば蓋本体内に配設した蓋加熱手段で水の沸点の100℃以上の加熱を行うことで、鍋の上層部までおねばを、前記赤外線センサーに付着する前に、蒸発させてしまい、赤外線センサーへのおねばの付着を防止することができ、安定した鍋内の水の沸騰検知を行うとともに、ばらつきのない炊飯量の判定を行うことができるものである。
【0022】
更に、赤外線センサーを配設する効果として、炊飯における前炊き工程の水の温度の制御にある。従来例の炊飯器の構成では、鍋の底部に底温度検知ユニットを配設しており、前記底温度検知ユニットの中に底温度センサーを配設している。その底温度センサーにより、前炊き工程中の鍋内の水の温度を制御しており、鍋加熱手段により鍋を加熱して、底温度センサーが60℃になれば、鍋加熱手段による鍋の加熱を停める。そして、底温度センサーが60以下を検知すると、再び鍋加熱手段による鍋の加熱を、底温度センサーが60℃の検知をするまで続けるといった加熱の繰り返しを約30分行い、米が約30%の吸水率となるような吸水をおこなっている。しかし、従来例の炊飯器では、底温度検知ユニットをアルミニウム等の熱伝導性の高い材料で構成しており、底温度センサーに熱伝導されるまでは、鍋内の水の熱量が、鍋の熱伝導と熱伝達により、鍋の外面まで伝導し、更に、底温度検知ユニットの熱伝導と熱伝達により、底温度センサーに伝導される仕組みとなっており、鍋内の水の熱量を底温度センサーにまで伝導するには、多量の熱抵抗部分があることが分かる。このような構成では、底温度センサーが60℃を検知した時には、鍋内の水の温度は、60℃以上となり、理想の前炊きができないという課題があったが、本発明の構成では、赤外線センサーにより、前炊き中も鍋内の水の温度を直接検知するため、鍋内の水の温度が60℃以上になることはなく、理想の前炊きを行い、前炊き中の水の温度にばらつきが発生せず、安定したご飯の美味しさを実現することができるものである。
【0023】
第2の発明は、鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体には、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段を支持する支持台と、前記支持台の下部に設けられ複数の蒸気口を有する内蓋と、送風機を配設し、前記内蓋の上部に、蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部とを配設し、前記蒸気筒収納部に、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を設け、前記内蓋に、前記鍋内の水の温度を検知する赤外線センサーを収納する赤外線センサー配設孔と、前記赤外線センサーの近傍に位置した外気投入孔とを配設し、前記蓋本体の外郭面には前記送風機の吸気を行うための吸気口を配設し、前記送風機と前記吸気口を連結するための吸気経路と、前記送風機と前記外気投入孔とを連通する送風連結管とを備えたもので、赤外線センサーにより、前炊き中も鍋内の水の温度を直接検知して理想の前炊きを行うことができる。
【0024】
また、炊飯の沸騰維持の工程で、鍋内のおねばが鍋の上層部まであがってきたときに、前記送風機により吸気された空気を外気投入孔から鍋内に投入し、おねばに吹き付けることにより、その空気の温度がおねばより低いため、沸騰維持中のおねばの上昇を抑え、赤外線センサーにおねばが付着することを防止することができ、鍋内の水の沸騰の検知を精度よく行うことができるとともに、炊飯における炊飯量の判定を確実に行うことができるものである。
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0026】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる炊飯器の縦断面図を示している。
【0027】
図1に示すように、本実施の形態にかかる炊飯器は、内部に鍋収納部1aが形成された略有底筒状の炊飯器本体1と、鍋収納部1aに収納される鍋2と、炊飯器本体1の上部開口部1fを開閉可能に炊飯器本体1に取り付けられる蓋本体3と、蓋本体3の内側(鍋2の開口部2aを覆う側)に着脱自在に取り付けられて、鍋2の開口部2aを密閉可能な略円盤状の内蓋4と、鍋2を加熱(誘導加熱)する鍋加熱手段5とを有している。
【0028】
炊飯器本体1の鍋収納部1aは、炊飯器本体1の上部開口部1fの内周部に嵌合された略環状の上枠1bと、鍋2の形状に対応して有底円筒形状に形成され、上部開口側端部で上枠1bに一体的に接続されたコイルベース1cとで構成されている。
【0029】
コイルベース1cの外周面には、鍋加熱手段5を構成する底内加熱コイル5aと底外加熱コイル5bとが取り付けられている。底内加熱コイル5aは、コイルベース1cを介して鍋2の底部の中央部周囲に対向するように配置されており、底外加熱コイル5bは、コイルベース1cを介して鍋2の底部のコーナー部に対向するように配置されている。
【0030】
コイルベース1cの底部の中央部分には開口が設けられ、当該開口部分には、鍋2の温度を測定するための鍋温度検知部の一例である鍋温度センサー6が鍋2の底部に当接可能に配置されている。
【0031】
炊飯器本体1内には、各部及び各装置を駆動制御して炊飯を行う制御部7が設置されている。制御部7は、蓋本体3に設けられた後述の操作部8を使用して行った使用者の指示に応じて、各部及び各装置の駆動制御を行う。
【0032】
炊飯器本体1の前壁上部(図1の左側上部)には、蓋本体3のフック9に係合可能なフック1dが設けられている。フック1dと上枠1bとの間にはバネ1eが設けられている。フック1dは、バネ1eにより常時前方(図1の左側)に付勢されている。
【0033】
蓋本体3には、鍋2内の水と調理物の温度を直接検知するための赤外線センサー10と、蓋加熱手段11と、ヒンジ軸12とが設けられている。
【0034】
蓋加熱手段11は、内蓋4を介して鍋2の開口部2aに対向するように蓋本体3内に配置された加熱コイルで構成され、制御部7の制御により内蓋4を誘導加熱する。ヒンジ軸12は、蓋本体3の開閉軸であり、炊飯器本体1の上枠1bに両端部が回動自在に支持されている。蓋本体3は、ヒンジ軸12の近傍に設けたねじりコイルバネなどの回動バネ(図示せず)により、炊飯器本体1の上部開口部1fから離れるように回転する方向に付勢されている。
【0035】
内蓋4の一部は、誘導加熱が可能なフェライト系ステンレスなどの金属で構成されている。内蓋4には、鍋2内で発生した蒸気を鍋2外へと排出するために、複数の穴からなる蒸気口4aが設けられている。内蓋4の外周部の鍋2側の面には、蓋本体3が閉状態にあるときに、鍋2と密接する略環状の鍋パッキン13が取り付けられている。鍋パッキン13は、ゴムなどの弾性体で構成されている。
【0036】
また、蓋本体3には、炊飯メニュー、炊飯時間などの各種情報を表示する液晶ディスプレイなどで構成された表示部14と、炊飯メニューの選択、炊飯の開始、取り消し、予約などの実行を指示するための操作部8が設けられている。
【0037】
操作部8は、炊飯開始ボタンなどの複数のボタン(図示せず)で構成されている。使用者は、表示部14の表示内容を参照しつつ、操作部8にて炊飯開始を指示することによって、炊飯を行うことができる。
【0038】
炊飯開始の指示を受けた制御部7は、記憶した炊飯プログラムと鍋温度センサー6及び赤外線センサー10の検知温度とに基づいて、鍋加熱手段5及び蓋加熱手段11の駆動を制御(動作又は停止)し、炊飯工程を実行する。
【0039】
前記蓋加熱手段11の下部には、蓋加熱手段11を支持する支持台15と、前記支持台15の下部には内蓋4を配設している。
【0040】
次に、前記内蓋4の上部には、蒸気筒16と前記蒸気筒16を収納する蒸気筒収納部17とが配設され、前記蒸気筒収納部17には、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出するための排気孔18を配設している。
【0041】
前記内蓋4のある箇所には、赤外線センサー配設孔19を配設し、前記赤外線センサー配設孔19には、前記支持台15から突起物(図示せず)が垂下し、前記突起物に赤外線センサー10を収納する構成としている。また、前記支持台15と内蓋4の間を連結するために、連結パッキン20を配設し、炊飯中に発生する圧力の漏れと水蒸気の漏れを防止している。その構成をとることで、炊飯中に発生するおねばが鍋2の上層部まで圧力漏れがないため、上昇してこないという効果もある。更に、前記赤外線センサー10の周囲に加熱板21を配設しており、前記加熱板21は、支持台15に固定する構成としている。
【0042】
上記のような構成をとることで、炊飯を開始して、鍋加熱手段5により鍋2内の水は昇温し沸騰する。その後、沸騰を維持して、鍋2内の水が無くなるまで、鍋2の加熱を行うが、鍋2内の水が沸騰するまでの時間を利用して、炊飯量判定を行う手段は、従来例の炊飯器のそれと同じであるが、蓋本体3内に赤外線センサー10を配設し、前記赤外線センサー10を用いて、鍋2内の水の温度を直接検知することに本発明の意味がある。
【0043】
鍋2内の水の温度を直接検知する手段をとることで、外気による炊飯器本体1の各部品(例えば、蓋本体3、内蓋4等の温度)の温度影響を受けることなく、確実な炊飯量判定を行い、沸騰維持工程において、鍋加熱手段5による理想の鍋2の加熱を行うことができるものである。
【0044】
また、炊飯工程の沸騰維持において、鍋2内の水が沸騰すると、おねば(ご飯の煮汁)が発生し、そのおねばが、鍋2の上層部まであがってくる。そして、赤外線センサー10におねばが付着し、その現象の繰り返しで、赤外線センサー10におねばが固着して、赤外線センサー10で沸騰の水の温度が検知できなくなる課題があるが、本実施の形態における構成にすることで、沸騰維持中におねばが鍋2の上層部まであがってきた時に、前記赤外線センサー10の周囲に配設した加熱板21を、蓋本体3内に配設した蓋加熱手段11で、例えば電磁誘導加熱をする。
【0045】
そして、前記加熱板21を水の沸点の100℃以上の加熱を行うことで、鍋2の上層部までおねばを、前記赤外線センサー10に付着する前に蒸発させてしまい、赤外線センサー10へのおねばの付着を防止することができ、安定した鍋2内の水の沸騰検知を行うとともに、ばらつきのない炊飯量の判定を行うことができるものである。
【0046】
更に、赤外線センサー10を配設する効果として、炊飯における前炊き工程の水の温度の制御にある。
【0047】
従来の炊飯器の構成では、鍋2の底部に鍋温度検知ユニット(図示せず)を配設しており、前記鍋温度検知ユニットの中に鍋温度センサー6を配設している。その鍋温度センサー6により、前炊き工程中の鍋2内の水の温度を制御しており、鍋加熱手段5により鍋2を加熱して、鍋温度センサー6が検知する温度が60℃になれば、鍋加熱手段5による鍋2の加熱を停める。
【0048】
そして、鍋温度センサー6が60℃以下を検知すると、再び鍋加熱手段5による鍋2の加熱を、鍋温度センサー6が60℃の検知をするまで続けるといった加熱の繰り返しを約30分行い、米が約30%の吸水率となるような吸水をおこなっている。
【0049】
しかし、従来例の炊飯器では、鍋温度検知ユニットをアルミニウム等の熱伝導性の高い材料で構成しており、鍋温度センサー6に熱伝導されるまでは、鍋2内の水の熱量が、鍋2の熱伝導と熱伝達により、鍋2の外面まで伝導し、更に、鍋温度検知ユニットの熱伝導と熱伝達により、鍋温度センサー6に伝導される仕組みとなっており、鍋2内の水の熱量を鍋温度センサー6にまで伝導するには、多量の熱抵抗部分があることが分かる。
【0050】
このような従来の構成では、鍋温度センサー6が60℃を検知した時には、鍋2内の水の温度は、60℃以上となり、理想の前炊きができないという課題があったが、本実施の形態における構成では、赤外線センサー10により、前炊き中も鍋2内の水の温度を直接検知するため、鍋2内の水の温度が60℃を越えることはなく、理想の前炊きを行い、前炊き中の水の温度にばらつきが発生せず、安定したご飯の美味しさを実現することができるものである。
【0051】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2にかかる炊飯器の縦断面図、図3は、同炊飯器の一部切欠き上面図である。本実施の形態における炊飯器の基本構成は、上記実施の形態1の構成と同様のため、同一部品に同一符号を付して、その説明は省略する。
【0052】
本実施の形態における炊飯器の蓋本体3の内部には、送風機30を配設し、蓋本体3の外郭面に、前記送風機30の吸気を行うための吸気口31を配設し、前記送風機30と吸気口31を連結するための吸気経路32を配設している。更に、前記送風機30と内蓋4を連結する送風連結管33を配設し、赤外線センサー10の近傍の内蓋4に、送風連結管33と連通する外気投入孔34を配設している。
【0053】
以上のように構成された本実施の形態における炊飯器の動作、作用は以下の通りである。
【0054】
炊飯中の炊飯量判定を確実に行う効果は、上記実施の形態1と同じであるので説明は省略する。本実施の形態は、赤外線センサー10に炊飯中に発生するおねばが付着しないようにするための第2の方法である。
【0055】
蓋本体3内に送風機20を配設し、蓋本体3の外郭面に設けた吸気口31から空気を吸気する。吸気された空気は、前記送風機20と内蓋4を連結する送風連結管33により、鍋2の上層部まで送られ、内蓋4に配設した外気投入孔34を通して、鍋2の上層部に投入される。炊飯の沸騰維持の工程で、鍋2内のおねばが鍋2の上層部まであがってきたときに、前記送風機20により吸気された空気を、外気投入孔34から投入し、おねばに吹き付ける。
【0056】
このような構成にすることで、吸気された空気は、おねばより温度が低いため、沸騰維持中のおねばの上昇を抑えることができ、赤外線センサー10におねばが付着することを
防止することができ、鍋2内の水の沸騰の検知を行うことができるとともに、炊飯における炊飯量の判定を確実に行うことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明にかかる炊飯器は、鍋内の水と調理物の温度を赤外線センサーにより検知して、美味しくご飯が炊けるもので、家庭用、業務用を問わず各種炊飯器に適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 炊飯器本体
1a 鍋収納部
1f 上部開口部(開口部)
2 鍋
3 蓋本体
4 内蓋
4a 蒸気口
5 鍋加熱手段
10 赤外線センサー
11 蓋加熱手段
15 支持台
16 蒸気筒
17 蒸気筒収納部
18 排気孔
19 赤外線センサー配設孔
21 加熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体には、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段を支持する支持台と、前記支持台の下部に設けられ複数の蒸気口を有する内蓋を配設し、前記内蓋の上部に、蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部とを配設し、前記蒸気筒収納部に、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を設け、前記内蓋のある箇所に、前記鍋内の水の温度を検知する赤外線センサーを収納する赤外線センサー配設孔を配設し、前記赤外線センサーの周囲に加熱板を配設したことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
鍋収納部を有する炊飯器本体と、前記鍋収納部に収納される鍋と、前記鍋を加熱する鍋加熱手段と、前記炊飯器本体の開口部を覆う蓋本体とを備え、前記蓋本体には、前記鍋の上層部を加熱する蓋加熱手段と、前記蓋加熱手段を支持する支持台と、前記支持台の下部に設けられ複数の蒸気口を有する内蓋と、送風機を配設し、前記内蓋の上部に、蒸気筒と、前記蒸気筒を収納する蒸気筒収納部とを配設し、前記蒸気筒収納部に、炊飯中に発生する水蒸気を外気に排出する排気孔を設け、前記内蓋に、前記鍋内の水の温度を検知する赤外線センサーを収納する赤外線センサー配設孔と、前記赤外線センサーの近傍に位置した外気投入孔とを配設し、前記蓋本体の外郭面には前記送風機の吸気を行うための吸気口を配設し、前記送風機と前記吸気口を連結するための吸気経路と、前記送風機と前記外気投入孔とを連通する送風連結管とを備えたことを特徴とする炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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