説明

炊飯器

【課題】予約タイマーを設定した時の電力の消費量を低減する。
【解決手段】本体1と、本体1に着脱自在に収納される内釜2と、本体1の上面を覆い内釜2の上面開口部を塞ぐ内蓋8を有した蓋3と、内釜2を加熱する加熱手段4と、加熱手段4の加熱を制御する制御手段5と、内釜2の温度を検出する温度検出手段6と、炊飯の予約を設定する予約時間設定表示部13を設けた操作部7を備え、炊飯の予約は炊飯を開始するまでの時間,炊飯を開始する時刻,炊飯を終了するまでの時間,炊飯を終了する時刻のいずれかを操作部7の操作で設定するものであって、制御手段5は予約の設定時から炊飯の加熱を開始する予約待機の時間が55分間以上の場合は、お米を炊上げる炊飯工程を行う前に、前記加熱手段によって前記内釜を加熱してお米に水の吸収を促す予熱工程を実施しないものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予約タイマー機能を備えた炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
炊飯には、事前に米を水に浸し、水を十分に吸わせることが重要であり、このときの水の温度や浸し時間がご飯の炊上がりに大きく影響することが知られている。そこで、炊飯を開始する前の予熱行程で米に水を十分に吸わせるのが一般的である。
【0003】
特許文献1に示す炊飯器は、予約時刻から炊飯が完了するまでの時間、または、予約時刻から炊飯が開始されるまでの時間に応じて、予熱時間を決定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平05−51211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の図5(ハ)には、予約の時間(お米を水に浸している時間,浸水時間)が1時間以上4時間未満のときに予熱タイムを漸減させ、4時間以上のときに予熱を行わない予熱タイムの決定方法が開示されている。
【0006】
しかし、米が自然に水を吸収する場合、約1時間の浸水時間で米の吸水率が飽和状態になるため、1時間以上の浸水時間を確保した後に行われる予熱行程は無駄な電力が使用されていることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、本体と、該本体に着脱自在に収納される内釜と、前記本体の上面を覆い前記内釜の上面開口部を塞ぐ内蓋を有した蓋と、前記内釜を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱を制御する制御手段と、前記内釜の温度を検出する温度検出手段と、炊飯の予約を設定する予約時間設定表示部を設けた操作部を備え、炊飯の予約は炊飯を開始するまでの時間,炊飯を開始する時刻,炊飯を終了するまでの時間,炊飯を終了する時刻のいずれかを前記操作部の操作で設定するものであって、前記制御手段は予約の設定時から炊飯の加熱を開始する予約待機の時間が55分間以上の場合は、お米を炊上げる炊飯工程を行う前に、前記加熱手段によって前記内釜を加熱してお米に水の吸収を促す予熱工程を実施しないものである。
【0008】
また、前記制御手段は、予約待機時に前記温度検出手段によって検出した温度と、予約待機した時間から炊飯工程前に予熱工程を実施するのかを決定するものである。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明によれば、予約して炊飯を行う場合、予約時間に応じて更に電力使用量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施例の炊飯器の断面を示す図である。
【図2】一実施例の炊飯器の制御系統図である。
【図3】一実施例の炊飯器の操作部を示す図である。
【図4】水に浸したお米の重量変化を示す説明図である。
【図5】一実施例の炊飯器の予約時間設定の説明図である。
【図6】一実施例の炊飯器の予約時間設定による予熱有りの炊飯工程の説明図である。
【図7】一実施例の炊飯器の予約時間設定による予熱無しの炊飯工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例について図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
図1において、炊飯器の本体1には、本体1の内壁を構成する円筒状の内容器26が設けられ、この内容器26に上面が開口し開口部の外側全周に上部フランジ部2aを設けた内釜2が着脱自在に挿入されている。また、本体1の上面には、円筒状の内容器26の上部端面を覆い、内容器26と本体1との間を覆う枠体28が設けられている。尚、枠体28は別体の必要はなく本体1の一部で構成しても良い。
【0013】
本体1の上部には、下面に内蓋8を有する蓋3を開閉自在に本体1に取付け、蓋3で本体1の上面を塞ぎ、内蓋8の外周に有したパッキン25によって内釜2の上面開口部を塞いでいる。
【0014】
内容器26の下部の外側には、加熱手段4を設けている。ここでは、加熱手段4の一例として、環状に巻いた平面状の加熱コイルを例示し、この加熱コイルによって内釜2を誘導加熱するものとして説明する。また、内容器26の下部の開口部には、内釜2の底部の温度を検出する温度検出手段6を備えている。
【0015】
本体1の前面には、操作部7が設けられており、使用者が利用する入力ボタンや表示部11が設けられている。なお、操作部7は、本体1でなく蓋3に設けてもよい。本体1底部には、マイコンを備えた制御手段5を設けている。図2に示すように、制御手段5は、操作部7からの入力情報と、温度検出手段6の温度情報により、加熱手段4の誘導加熱の火力を制御する。また、制御手段5は、表示手段の表示も制御する。
【0016】
図3を用いて、操作部7を説明する。操作部7は、炊飯を開始する「炊飯」ボタン12と、予約を設定する「予約」ボタン18と、時計設定や予約時間を設定する時の時間を調整する「時間」ボタン9,「分」ボタン10を備える。また、設定した内容を表示する表示部11を備える。また、その他に、米の種類を選択する「米」ボタン14,メニューを選択する「メニュー」ボタン15,少量炊飯時に選択する「少量」ボタン16,「切」ボタン17も備える。そして、「予約」ボタン18,「時間」ボタン9,「分」ボタン10,表示部11,「炊飯」ボタン12で、予約の設定をする予約時間設定表示部13を構成する。
【0017】
炊飯の予約を説明する。まず、「予約」ボタン18を押すと、炊飯の予約待機する時間を設定するモードとなり、炊飯開始までの時間を「時間」ボタン9,「分」ボタン10ボタンで操作して、表示部11を見て確認して設定する。そして、「炊飯」ボタン12を操作することによって予約が完了する。ここでは、炊飯の予約時間は、炊飯開始までの時間を操作して設定するもので説明したが、炊飯を開始するまでの時間、炊飯を開始する時刻,炊飯を終了するまでの時間,炊飯を終了する時刻のいずれかを操作部7の操作で設定するものであってよい。
【0018】
図4は、お米を浸す水の温度を一定に保った状態で、お米を浸して始めてからの経過時間とお米が水を吸収して変化した米の重量変化を表したものであり、水の温度が、40℃,20℃,5℃の3条件の場合を示す。何れの場合も、浸し開始から概ね60分程度で、お米の重量変化が無くなるため、概ね60分程度でお米が水を吸収しなくなることが分かる。
【0019】
そして、米を浸して始めてからお米が水を吸収して重量が増加する変化量が1パーセント以下の場合は、予熱無しで炊飯を行った炊上がりに差が無いことから、重量の変化率が1パーセント以下になる時間以上を予約待機した場合は予熱工程を行わないで炊飯を開始する。
【0020】
具体的には、水温を40℃に保持した水にお米を浸水した場合は、浸水時間が35分間以上でお米の重量変化率が1パーセント以下を推移し、水温を20℃に保持した水にお米を浸水した場合は、浸水時間が40分以上でお米の重量変化率が1パーセント以下を推移し、水温を5℃に保持した水にお米を浸水した場合は、浸水時間が55分間以上でお米の重量変化率が1パーセント以下を推移している。
【0021】
以上のことから、浸水時間、つまり予約待機の時間が55分以上の場合は、お米に水を吸収させるために内釜2内の温度を約60℃で16分間維持する予熱工程を行わないで炊飯を開始しても炊上がりに差は生じることなく、予熱工程に必要な余分な電力を削減することが可能となる。
【0022】
図5〜図7を用いて予約を設定したときの動作について説明する。制御手段5は、予約操作で炊飯ボタン12が操作されて、予約設定が完了すると、予約時間設定20aにて炊飯開始までの予約待機の時間を計算する。そして、予約時間判定手段20bにて、予約待機の時間(お米を水に浸している浸水時間)が55分間以上の設定をした場合は予熱無し工程20cへと進み、予約待機の時間が経過した後に炊飯工程20eに移行して炊飯を行う工程(加熱,蒸らし)を開始する(図7)。
【0023】
もし、予約待機の時間が55分間未満の設定をした場合は、予熱有り工程20dへと進み、炊飯を行う約16分前に予熱工程を実施して内釜2内のお米と水の温度を60℃に維持して、お米に多くの水を吸収するのを促す工程を実施した後、炊飯工程20eへと移行して炊飯を行う工程を開始する(図6)。
【0024】
炊飯工程は、初めの加熱工程では、加熱手段4にて内釜2を大加熱によって加熱し、内釜2内の水が無くなって急激に温度が上昇するドライUP現象を温度検出手段6によって検出した後は、蒸らし工程に移行して一定時間の間お米を蒸らして炊飯工程を終了し、ご飯の炊上がりを知らせた後はご飯を保温する保温工程を維持する。
【0025】
上記した本実施例によれば、予約して炊飯を行う場合、更に電力使用量を削減することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 本体
2 内釜
3 蓋
4 加熱手段
5 制御手段
6 温度検出手段
7 操作部
8 内蓋
13 予約時間設定表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、該本体に着脱自在に収納される内釜と、前記本体の上面を覆い前記内釜の上面開口部を塞ぐ内蓋を有した蓋と、前記内釜を加熱する加熱手段と、該加熱手段の加熱を制御する制御手段と、前記内釜の温度を検出する温度検出手段と、炊飯の予約を設定する予約時間設定表示部を設けた操作部を備え、炊飯の予約は炊飯を開始するまでの時間,炊飯を開始する時刻,炊飯を終了するまでの時間,炊飯を終了する時刻のいずれかを前記操作部の操作で設定するものであって、前記制御手段は予約の設定時から炊飯の加熱を開始する予約待機の時間が55分間以上の場合は、お米を炊上げる炊飯工程を行う前に、前記加熱手段によって前記内釜を加熱してお米に水の吸収を促す予熱工程を実施しないことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記制御手段は、予約待機時に前記温度検出手段によって検出した温度と、予約待機した時間から炊飯工程前に予熱工程を実施するのかを決定することを特徴とする請求項1記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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