説明

炊飯器

【課題】 炊飯後の保温を望まない使用者にも満足できる機能を備えた炊飯器を提供する。
【解決手段】炊飯後に保温を行なう炊飯器において、炊飯前に保温を行なうか否かを選択できる手段として、保温選択キー5と保温動作切替手段27を備える。炊飯後に保温を行なうか否かを、炊飯前に利用者が保温選択キー5を操作して適切に選択することが可能になる。したがって、保温を望む使用者は勿論、保温を望まない使用者に対しても、炊飯器を満足して使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の炊飯器として、例えば特許文献1には、炊飯後に自動で保温するものが知られている。これにより、使用者は何時でも温かい米飯を食することができる。
【0003】
また、被炊飯物を収容する鍋内の液位は、使用者の間隔や目分量により管理されていたが、これでは一定の炊きあがりを実現するのが難しいため、鍋内に液位線を描き、炊飯量に合わせて液位線に液位を合わせることが行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−200179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の方法では保温が強制的に行なわれるので、電力を消費したり、米飯が黄変・乾燥したりする問題がある。そのため、使用者の中には電気料金を気にしたり、炊飯後に保温をわざわざ止めて、米飯を冷蔵または冷凍し、食べたい時に食べたい量だけ米飯を温めて食べたりしなければならなかった。
【0006】
また、使用者の見間違いなどによる液位のばらつきや、液位線を何度も見ながら液位を合わせる煩わしさがあり、不便な点が多かった。
【0007】
さらに、従来の液位合わせの方法では、鍋の中を覗き込むようにしなければならず、液位線を見る角度によって液位が変わってしまう問題もあった。
【0008】
そこで本発明は、炊飯後の保温を望まない使用者にも満足できる機能を備えた炊飯器を提供することを、第1の目的とする。
【0009】
また本発明の第2の目的は、少ない構成部品で、しかも高度な液位測定により、鍋内の液位を一定に管理し、炊きあがりのばらつきや不便さを解消した炊飯器を提供することにある。
【0010】
さらに本発明の第3の目的は、同じ視点で鍋内の液位合わせを正確かつ容易に行なえる炊飯器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明では、炊飯後に保温を行なうか否かを、炊飯前に利用者が選択することが可能になる。したがって、保温を望む使用者は勿論、保温を望まない使用者に対しても、炊飯器を満足して使用できる。
【0012】
請求項2の発明では、液位測定装置からの信号を入力して、鍋内の液位を判断することで、その液位を毎回一定に管理することが可能になる。
【0013】
請求項3の発明では、鍋内の液位に応じた圧力が筒体を通して圧力検知体に加わることにより、蓋に装着した圧力検知体と筒体とによる少ない部品構成で、鍋内における高度な液位測定を実現することが可能になる。
【0014】
請求項4の発明では、撮影手段で撮影した鍋内の映像を表示部で表示させることができ、鍋の中を覗き込まなくても、同じ視点で鍋内の液位合わせを正確かつ容易に行なうことが可能になる。
【0015】
請求項5の発明では、撮影手段が特に鍋内の液位を撮影することで、同じ視点で液位線に対する液位の位置関係を正確に把握することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、炊飯後の保温を望まない使用者にも満足できる機能を備えた炊飯器を提供できる。
【0017】
請求項2の発明によれば、鍋内の液位を一定に管理し、炊きあがりのばらつきや不便さを解消した炊飯器を提供できる。
【0018】
請求項3の発明によれば、少ない構成部品で、しかも高度な液位測定により、鍋内の液位を一定に管理し、炊きあがりのばらつきや不便さを解消した炊飯器を提供できる。
【0019】
請求項4の発明によれば、同じ視点で鍋内の液位合わせを正確かつ容易に行なえる炊飯器を提供できる。
【0020】
請求項5の発明によれば、同じ視点で液位線に対する液位の位置関係を正確に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施例における炊飯器の正面図である。
【図2】同上、蓋を開けた状態の炊飯器の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図4】同上、蓋開時における水位測定装置の状態を示す炊飯器の要部説明図である。
【図5】同上、蓋閉時における水位測定装置の状態を示す炊飯器の要部説明図である。
【図6】本発明の第2実施例における炊飯器の断面図である。
【図7】同上、鍋内に水があるときの炊飯器の要部断面図と、表示部に映し出されるカメラの映像を示す図である。
【図8】同上、鍋内に水がないときの炊飯器の要部断面図と、表示部に映し出されるカメラの映像を示す図である。
【図9】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照しながら、本発明で提案する炊飯器の好ましい実施例を説明する。
【0023】
図1〜図5は、本発明の第1実施例における炊飯器を示しており、図1において、ここでは炊飯器の本体1と、本体1に取り付けた蓋2と、時刻や選択したメニューなどの各種表示を行なう表示部3と、炊飯キー4や保温選択キー5やメニュー選択キー6などの各種キーを備えた操作部7とを備えた炊飯器が示されている。本体1には、有底筒状の鍋8が着脱自在に設けられ、この鍋8に被炊飯物である米や水(液体)などを収容するようになっている。また、本体1の上部には蓋2が開閉自在に設けられ、蓋閉時に鍋8の上面開口を覆うようになっている。表示部3および操作部7は、本体1の正面側に設けられているが、代わりにこれらを蓋2の上面部に設けてもよい。
【0024】
図2は、蓋2を開けた状態の炊飯器の概略構成を示したものである。同図において、11は蓋2に備えた水位測定装置であり、この水位測定装置11は、圧力を電気信号に変換する圧力検知体としての圧力センサ12と、当該圧力センサ12に接続して、鍋8内の水圧を圧力センサ12に伝達する圧力伝達体としての円筒形部品13とにより構成される。円筒形部品13は中空筒状で、その開口した下端部が蓋閉時に本体1に収容した鍋8の内底面に臨んで突出しており、反対側の閉塞した上端部が、鍋8の上面開口に対応する蓋2の底面部材14に取り付けられている。また圧力センサ12は、円筒形部品13の上端内部に設けられており、この圧力センサ12からの電気信号が、本体1または蓋2内に設けた制御手段21(図3参照)に出力される。制御手段21は、円筒形部品13内に閉じ込められた空気(気体)から圧力センサ12に加わる圧力が、鍋8内に投入した水の深さに応じて増加するのを利用して、鍋8内の水位を測定するように構成される。
【0025】
図3は、上記炊飯器の電気的構成を示したものである。同図において、21は炊飯器の各部を制御するための例えばマイクロコンピュータからなる制御手段21であり、その入力ポートには前記操作部7や、圧力センサ12や、鍋8の温度や鍋8内から発生する蒸気の温度を検知する温度検知体としての温度センサ22などが接続される一方で、出力ポートには制御対象として、表示部3や、鍋8や蓋2の底面部材14を加熱する加熱装置23などが接続される。
【0026】
操作部7は前述したように、炊飯キー4,保温選択キー5およびメニュー選択キー6などで構成され、これらのキー4,5,6を押動操作することにより、各々操作信号が制御手段21に出力されるようになっている。また温度センサ22は、検知した温度に応じた電気信号を制御手段21に出力するようになっている。制御手段21により制御される加熱装置23は、例えば誘導コイルやシーズヒータなどで構成されるが、その中でどのようなものを採用すべきかは特に限定しない。
【0027】
制御手段21は、その記憶装置(図示せず)に内蔵するプログラムが実行する機能的な構成として、圧力センサ12からの電気信号を受けて、鍋8内の水位がどの程度であるのかを測定し、その結果を表示部3に表示させる水位測定手段25と、加熱装置23から鍋8内への加熱量を可変制御する加熱制御手段26とを備えている。また加熱制御手段26は、炊飯キー4からの操作信号を受けて、鍋8内の被炊飯物を炊き上げるために、直ちに加熱装置23への制御を開始する炊飯を行なうか、或いは現在時刻を計時する内蔵の時計手段(図示せず)が、予め別なキーで予約した時刻になると、加熱手段23への制御を開始する予約炊飯を行なうように構成されているが、ここでは特に、炊飯開始時または予約炊飯設定時に保温選択キー5から操作信号が出力されると、鍋8内の被炊飯物が炊き上がる炊飯終了後に、引き続き保温を自動的に行なうか否かの選択を切替えることができる保温動作切替手段27を、加熱制御手段26に備えている。
【0028】
次に、上記構成についてその作用を説明する。炊飯を行なうに際しては、先ず蓋2を開けた本体1から取り出した鍋8に被炊飯物である米と水を入れ、この鍋8を再び本体1に収容して、蓋2を閉じる。ここで図4に示すように、本体1に対して蓋2を開けた状態では、円筒形部品13の下端部が鍋8内の水Wに浸かっておらず開放され、圧力センサ12は円筒形部品13内の全てに空気がある状態の圧力値、すなわち大気圧に応じた電圧レベルの信号を水位測定手段25に出力する。
【0029】
一方、別な図5に示すように、本体1に対して蓋2を閉じた状態では、蓋2に取り付けた円筒形部品13の下端部が鍋8内に収容した水Wに浸かって、円筒形部品13内に空気が閉じ込められる。このとき圧力センサ12は、円筒形部品13内の水がない部分のみ空気がある状態の圧力値に見合う電圧レベルの信号を、水位測定手段25に出力する。この場合、鍋8内の水位が高い程、円筒形部品13内の水がない部分を通して圧力センサ12に加わる圧力が増加する。
【0030】
水位測定手段25は、上記蓋2を開けた状態と蓋2を閉じた状態のそれぞれにおいて、円筒形部品13内の空気量の違いによる圧力差を、圧力センサ12からの電気信号で読み取り、鍋8内の水位を測定する。この水位測定手段25による水位の測定結果は、表示部3に直ちに表示されるが、加熱装置23から鍋8への加熱量を調節するために、同じ制御手段21の加熱制御手段26に送出してもよい。使用者は、蓋閉後においても鍋8に投入した水位を、必要な時に表示部3を通して確認することができ、その水位を毎回一定に管理することが可能になる。
【0031】
こうして使用者が鍋8内の水位を確認した後、炊飯キー4を操作すると、加熱制御手段26による炊飯または予約炊飯が行なわれ、加熱制御手段26は鍋8内の被炊飯物を炊き上げるために、温度センサ22からの電気信号を取り込みながら、加熱装置23から鍋8への加熱量を時間の経過と共に制御する。
【0032】
また、操作部7には炊飯キー4の他に保温選択キー5やメニュー選択キー6が設けられており、例えば保温選択キー5を最初に押すか、或いは最後に押したキーから所定の例えば5秒以内に保温選択キー5を押すなどして、炊飯開始時または予約炊飯の設定時に、保温選択キー5を押動操作すると、加熱制御手段26が行なう炊飯完了後に保温を継続して行なうか否かを、保温動作切替手段27によって切替えることが可能になる。したがって、ここで保温を継続して行なうモードを選択した場合は、加熱制御手段26により鍋8内の被炊飯物が炊き上がったと判断した後、鍋8内の被炊飯物(ご飯)を所定温度に維持するように、加熱装置23を制御する保温動作が自動的に行なわれる一方で、保温を継続して行なわないモードを選択した場合は、鍋8内の被炊飯物が炊き上がったと判断した後、保温動作を行なわないようにするために、加熱装置23への通電を完全に停止する。こうすることで、炊飯に引き続いて保温を行なうか否かを、炊飯が完了する前に、利用者が保温選択キー5を操作して選択することが可能になる。
【0033】
また、炊飯キー4を操作する前の切状態で、メニュー選択キー6を押動操作すると、その操作を行なう毎に、複数の炊飯メニュー(例えば、白米炊きにおけるご飯のかたさなど)の中から特定の炊飯メニューが順に選択され、選択した炊飯メニューに応じた制御パターンで、加熱制御手段26が加熱装置23を制御するようになっている。
【0034】
なお、上記の例では独立した保温選択キー5によって、炊飯終了後に保温を行なうか否かを選択できるように構成しているが、キーの数が増えることによるコストアップを避けるために、前記メニュー選択キー6に保温選択キー5の機能を兼用させ、保温選択キー5を設けない構成としてもよい。具体的には、メニュー選択キー6を通常のように所定時間よりも短く押す毎に、メニューが順に切替わる一方で、その所定時間より長く押すと、炊飯終了後に保温を行なうか否かを選択できるようにしてもよい。また、保温選択キー5以外の操作部7に、そうした保温選択キー5の機能を兼用させてもよい。
【0035】
保温選択キー5によって炊飯後に保温を行なわないモードを選択して炊飯を行なった場合には、その後保温に移行せず、加熱制御手段26への通電制御を停止する切状態になって、電力消費を抑え、また米飯の黄変や乾燥を抑えることができる。使用者は炊飯終了後に、炊きあがった米飯をそのまま放置しておいてもよいし、鍋8から取り出して冷蔵または冷凍し、後で食べたい時に食べたい量だけ電子レンジなどで温め、何時でもおいしい米飯を食べることができる。
【0036】
また従来通り、何時でも食べたい時に温かい米飯を直ぐ食べたいという使用者は、保温選択キー5によって保温を継続して行なうモードを選択すれば、炊飯完了後に自動的に保温に移行し、炊きあがった米飯を鍋8内で温かい状態に保つことが可能になる。
【0037】
以上のように本実施例では、炊飯後に保温を行なう炊飯器において、炊飯前に保温を行なうか否かを選択できる手段として、保温選択キー5と保温動作切替手段27を備えた構成になっている。
【0038】
こうすると、炊飯後に保温を行なうか否かを、炊飯前に利用者が保温選択キー5を操作して適切に選択することが可能になる。したがって、保温を望む使用者は勿論、保温を望まない使用者に対しても、炊飯器を満足して使用できる。
【0039】
また本実施例では、鍋8と、鍋8を収容する本体と、鍋8を覆う蓋2と、蓋2に設けた液位測定装置としての水位測定装置11とを備え、水位測定装置11からの信号により鍋8内の液位を測定する構成として、液位測定手段たる水位測定手段25を備えた制御手段21を有している。
【0040】
このようにすると、水位測定装置11からの信号を制御手段21に入力して、鍋8内の液位すなわち水位を判断することで、その水位を毎回一定に管理することが可能になる。したがって、鍋8内の水位を一定に管理し、炊きあがりのばらつきや不便さを解消した炊飯器を提供できる。
【0041】
さらに、ここでの水位測定装置11は、圧力検知体としての圧力センサ12と、鍋8内の液圧である水圧を圧力センサ12に伝達するための筒体としての円筒形部品13とにより構成され、圧力センサ12から信号を制御手段21に出力する構成となっている。
【0042】
こうすると、鍋8内の水位に応じた圧力が円筒形部品13を通して圧力センサ12に加わることにより、蓋2に装着した圧力センサ12と円筒形部品13とによる少ない部品構成で、鍋8内における高度な水位測定を実現することが可能になる。したがって、少ない構成部品で、しかも高度な液位測定により、鍋8内の水位を一定に管理し、炊きあがりのばらつきや不便さを解消した炊飯器を提供できる。
【0043】
次に、本発明の第2実施例における炊飯器について、図6〜図8を参照しながら説明する。なお、上記第1実施例で示したものと同一箇所には同一符号を付し、共通する部分の説明は重複を避けるために極力省略する。
【0044】
炊飯器の全体断面図を示す図6において、本実施例では前記水位測定装置11に代わって、鍋8内を撮影する撮影手段としてのカメラ31が、本体1と蓋体の接合部付近に位置する本体1の後方に搭載される。このカメラ31は、鍋8内を長期に亘り安定して撮影するために、蓋2の開閉に支障がなく、且つ加熱される鍋8からの熱影響を受けにくいように、設置する位置や、仕組みや構造を選定することが望ましい。
【0045】
一方、図7や図8に示すように、被炊飯物が接する鍋8の内面には、鍋8内に投入した液体すなわち水Wの量を示す液位線として、数字と目盛を併記した水位線32が印刷形成される。この水位線32は、本体1に形成した凹状の収容部33に対して鍋8をどの方向に装着した場合でも、カメラ31が確実に水位線32を撮影できるように、鍋8の内側面に間隔をあけて一つずつ形成してもよい。図6に示すように、ここでのカメラ31は、鍋8の上端部から中心底部にかけての内面を撮影できる撮影角度αを有している。
【0046】
図9は、本実施例における炊飯器の電気的構成を示したものである。同図において、ここでは前記圧力センサ12に代わり、制御手段21の入力ポートにカメラ31が接続され、また制御手段21の機能的な構成として、水位測定手段25に代わり映像表示制御手段35が設けられる。映像表示制御手段35は、操作部7の特定のキーを操作すると起動し、カメラ31からの映像を取り込んで表示部3に表示させるものである。また、表示部3はカメラ31からの映像のみならず、時刻やメニューなどを表示する機能を兼用する。それ以外の全ての構成は、前記第1実施例と共通している。
【0047】
次に、上記構成についてその作用を説明する。炊飯を行なうに際しては、先ず蓋2を開けた後に、本体1の収容部33から鍋8を取り出して、その鍋8に被炊飯物である米と水Wを入れ、鍋8の内面に形成した水位線32がカメラ31の撮影角度αの範囲に入るように、この米と水Wを入れた鍋8を再び本体1の収容部33にセットする。なおこの時点では、水位線32の目盛に水位をきちんと合わせておく必要はない。
【0048】
蓋2を開けたまま、操作部7の特定のキーを操作して、映像表示制御手段35を起動させると、カメラ31で撮影している鍋8の上端部から中心底部にかけての内面が、映像として表示部3に表示される。このとき、表示部3に表示される映像の例を図7および図8にそれぞれ示す。
【0049】
図7は、鍋8内に適当な量の水Wがある場合を示しており、ここでは水位線32と水Wが表示部3に表示され、使用者は水Wがどの程度の水位であるのかを表示部3によって確認することができる。また図8は、鍋8内に水Wがない場合を示しており、ここでは水位線32のみが表示され、使用者は水Wが鍋8内にないことを確認することができる。こうして使用者は、本体1の上方から鍋8内をわざわざ覗き込まなくても、本体1の正面にある表示部3を見ながら、常に同じ視点で鍋8内に投入した水の量すなわち水位を微調整することが可能になる。
【0050】
また、例えば使用者によっては、より拡大または縮小して鍋8内を見たいという場合があるので、操作部7のキー操作によって、カメラ31から取り込んだ映像を表示部3で拡大または縮小できるように、映像表示制御手段35を構成してもよい。こうすれば、使用者が水位を合わせやすいように、好みに合わせて表示部3に表示される映像を拡大または縮小することが可能になる。
【0051】
さらに、薄暗い部屋などで水位を微調整する場合、カメラ31で鍋8内を映しやすくするために、水位線32の方向に照射する照明手段としてのライト(図示せず)をカメラ31近傍の本体1後方に設置したり、赤外線撮影が可能なカメラ31を設置したり、カメラ31からの映像が暗くなると、その映像が明るくなるように画像処理して表示部3に表示させる画像処理手段(図示せず)を、制御手段21に組み込んだりしてもよい。
【0052】
こうして、鍋8内の水位を正しく調整した後に、蓋2を閉めて炊飯キー4を押動操作すれば、加熱制御手段26による炊飯または予約炊飯が行なわれ、加熱装置23から鍋8への加熱制御によって、鍋8内の被炊飯物が炊き上がる。また、カメラ31を蓋2や鍋8にではなく、あえて本体1に設けることで、蓋2の開閉動作に関係することなく、しかも加熱される鍋8の熱影響を受けずに、同じ視点で鍋8内を撮影することが可能になる。なお、鍋8内の水位調整後における動作は、第1実施例と全く同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0053】
従来は、鍋8を覗き込むようにして水位を合わせなければならなかったが、本実施例によれば、肉眼で水位線32のメモリを見ながら水位を合わせるものとは異なり、カメラ31で撮影した鍋8内の水位線32を含む映像を、表示部3によって常に同じ角度で表示し、水位を合わせることができるので、バラつきが少なく常に同じような水加減で、鍋8内のご飯を炊き上げることが可能になる。
【0054】
このように、本実施例の炊飯器は、液位線としての水位線32をその内面に形成した有底状の鍋8と、この鍋8を着脱自在に収容する本体1と、鍋1の上面開口を覆う蓋2と、鍋8内を撮影する撮影手段としてのカメラ31と、カメラ31で撮影した映像を表示する表示部3とを備えている。
【0055】
こうすると、カメラ31で撮影した鍋8内の映像を表示部3で表示させることができ、鍋8の中を覗き込まなくても、同じ視点で鍋8内の水位合わせを正確かつ容易に行なうことが可能になる。
【0056】
また特に、本実施例における撮影手段としてのカメラ31は、鍋8内の水位を撮影するように、鍋8の上端部から中心底部にかけての内面を撮影できる撮影角度αを有して設けられている。
【0057】
こうすると、カメラ31が特に鍋8内の水位を撮影することで、同じ視点で水位線32に対する水位の位置関係を正確に把握することが可能になる。
【0058】
なお、本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。各実施例に共通して、ここでは被炊飯物として水と米を想定しているが、それ以外の少なくとも液体を含むものであれば、どのようなものでも構わない。また、例えば第1実施例において、水位測定装置11の構成は実施例に示したものに限らず、最終的にそこから出力される信号によって、鍋8内の液位を測定できる構成であればよい。
【符号の説明】
【0059】
1 本体
2 蓋
3 表示部
5 保温選択キー(選択手段)
8 鍋
11 水位測定装置(液位測定装置)
12 圧力センサ(圧力検知体)
13 円筒形部品(筒体)
27 保温動作切替手段(選択手段)
31 カメラ(撮影手段)
32 水位線(液位線)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯後に保温を行なう炊飯器において、前記炊飯前に前記保温を行なうか否かを選択する手段を備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
鍋と、前記鍋を収容する本体と、前記鍋を覆う蓋と、前記蓋に設けた液位測定装置とを備え、前記液位測定装置からの信号により前記鍋内の液位を測定する構成としたことを特徴とする炊飯器。
【請求項3】
前記液位測定装置は圧力検知体と、前記鍋内の液圧を前記圧力検知体に伝達する筒体とにより構成され、前記圧力検知体から信号を出力する構成としたことを特徴とする請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
液位線を形成した鍋と、前記鍋を収容する本体と、前記鍋を覆う蓋と、前記鍋内を撮影する撮影手段と、前記撮影手段で撮影した映像を表示する表示部とを備えたことを特徴とする炊飯器。
【請求項5】
前記撮影手段は前記鍋内の液位を撮影するものであることを特徴とする請求項4記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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