説明

炊飯装置

【課題】炊飯性能の向上と省エネを実現する炊飯装置を提供する。
【解決手段】上面が開口した上面開口部1aを有し、炊飯器本体3に収納されると共に被調理物(図示せず)を入れる鍋1と、前記上面開口部1aを開閉自在に覆う蓋2と、前記鍋1を加熱する加熱手段5と、前記鍋1の温度を検知する鍋温度検知手段6と、使用者が炊飯する炊飯量を入力する炊飯量入力手段10を有する入力手段9と、前記炊飯量入力手段10からの入力に応じて、前記加熱手段5による前記鍋1の加熱量を制御する制御手段14とを備えたもので、炊飯量を最初に入力することで、前炊き工程、炊き上げ工程から炊飯量に合わせた加熱をすることにより、炊飯性能の向上と省エネを実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊飯装置に関するもので、特に、鍋の温度と、鍋を覆う蓋の温度とを検知して鍋を加熱する加熱手段を有する炊飯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯装置は、鍋の温度を鍋温度検知手段により検知し、鍋を覆う蓋の温度を蓋温度検知手段により検知し、これら鍋温度検知手段の出力により、鍋を加熱する加熱手段を制御するとともに、蓋温度検知手段により沸騰を検知して加熱手段を制御し、炊飯の制御を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のように構成された従来の炊飯装置の動作について説明する。
【0004】
まず、鍋に米と水を入れ、炊飯を開始すると、設定された時間、米に水を給水する前炊きを行なう。このとき、加熱手段を制御して鍋温度検知手段の出力により鍋内を一定の温度に制御する。その後、炊上げ工程に移行し、加熱手段への通電率を上げて一気に鍋内の温度を上昇させる。加熱が進み、沸騰してくると鍋内の熱気により蓋の温度が上昇し、蓋温度検知手段が所定の温度になったことを検知するとパワーダウン工程に移行し、そして、鍋温度検知手段が所定の温度を検知すると、高温維持工程へ移行し、さらに設定された時間後に追炊き工程に移行する。
【0005】
このように、炊上げ工程にて、鍋温度検知手段と蓋温度検知手段により沸騰を検知して加熱手段を制御することで、ふっくらとしたご飯が得られるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−70151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の炊飯装置では、蓋温度検知手段は、蒸気排出口より排出される蒸気により蓋の温度を検知するもので、一旦加熱しないと炊飯量が分からない為、前炊き工程、炊き上げ工程では、炊飯量に合わせた適切な加熱量が分からないという問題を有していた。
【0008】
その為、過加熱になり、最良の食味が得られないばかりか、無駄な電力を使用するという課題を有していた。
【0009】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、炊飯量を最初に入力することで、前炊き工程、炊き上げ工程から炊飯量に合わせた加熱をすることにより、炊飯性能の向上と省エネを実現した炊飯装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯装置は、上面が開口した上面開口部を有し、炊飯器本体に収納されると共に被調理物を入れる鍋と、前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、使用者が炊飯する炊飯量を入力する炊飯量入力手段を有する入力手段と、前記炊飯量入力手段からの入力に応じて、前記加熱手段による前記鍋の加熱量を制御する制御手段とを備
えたもので、炊飯量を最初に入力することで、前炊き工程、炊き上げ工程から炊飯量に合わせた加熱をすることにより、炊飯性能の向上と省エネを実現することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の炊飯装置は、炊飯量を最初に入力することで、前炊き工程、炊き上げ工程から炊飯量に合わせた加熱をすることにより、炊飯性能の向上と省エネを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯装置のシステム構成図
【図2】同炊飯装置の要部ブロック図
【図3】同炊飯装置の炊飯工程のタイムチャート
【図4】同炊飯装置の炊飯量を炊飯量入力手段により入力したときの表示手段の表示内容を示す図
【図5】同炊飯装置の炊飯スタート手段により炊飯を開始したときの表示手段の表示内容を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明は、上面が開口した上面開口部を有し、炊飯器本体に収納されると共に被調理物を入れる鍋と、前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、使用者が炊飯する炊飯量を入力する炊飯量入力手段を有する入力手段と、前記炊飯量入力手段からの入力に応じて、前記加熱手段による前記鍋の加熱量を制御する制御手段とを備えたもので、炊飯量を最初に入力することで、前炊き工程、炊き上げ工程から炊飯量に合わせた加熱をすることにより、炊飯性能の向上と省エネを実現することができる。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明の炊飯量入力手段への入力値に応じて炊飯時間を算出する炊飯時間演算手段と、前記炊飯時間演算手段で演算された炊飯時間を表示する表示手段を備えたもので、炊飯をスタートした時に、炊飯完了時間が判る為、ほぐし等の時間管理が可能となる。
【0015】
第3の発明は、特に、第2の発明の蓋の温度を検知する蓋温度検知手段と、前記蓋温度検知手段の出力に応じて炊飯時間を補正する炊飯時間補正手段とを備え、表示手段は、前記炊飯時間補正手段で補正された炊飯時間を表示するもので、正確な時間管理が可能となる。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1における炊飯装置について図1〜5を用いて説明する。図1は、本実施の形態における炊飯装置のシステム構成図を示すものである。
【0018】
図1において、本実施の形態における炊飯装置の鍋1は、水や米などの被調理物(図示せず)を入れるもので、上面が開口しており、その上面開口部1aを蓋2により着脱(開閉)自在に覆っている。炊飯器本体3は、内部に、鍋1を着脱自在に収納する鍋収納部4を有している。鍋1は、磁性体で形成されており、加熱コイル5aとこの加熱コイル5aに高周波電流を供給するインバータ5bによって誘導加熱する。この加熱コイル5aとインバータ5bにより加熱手段5を構成している。
【0019】
鍋温度検知手段6は、鍋1の温度を検知するもので、鍋1の底部と当接するよう炊飯器本体3内の鍋収納部4に配設している。この鍋温度検知手段6は、サーミスタで構成され、温度の変化で抵抗値が変化するものである。
【0020】
蓋温度検知手段7は、蓋2から排出される蒸気の温度を検知する。制御装置8は、加熱手段5による鍋1の加熱を制御するもので、側面に設けており、図2に示すように構成されている。すなわち図2に示すように、入力手段9は、使用者が入力設定するもので、炊飯量を設定する炊飯量入力手段10と、炊き上がりのかたさを設定するかたさ選択手段11と、炊飯をスタートさせる炊飯スタート手段12と、保温をオフする保温オフ手段13とを有し、マイクロコンピュータにより構成された制御手段14に入力している。
【0021】
制御手段14は、炊飯量入力手段10と、鍋温度検知手段6と、蓋温度検知手段7の出力を入力し、加熱手段5を所定のシーケンスに従い炊飯制御するようにしている。
【0022】
また、表示手段15は、図4、5に示すようにLCD15aを制御装置8の表面に設け、時間を表す数字を表示することにより、炊飯量入力手段10の出力から、炊飯時間演算手段16が演算した炊飯の残時間を表示している。
【0023】
以上のように構成された本実施の形態における炊飯装置の動作、作用について、図3を参照しながら説明する。図3は本実施の形態における炊飯装置の炊飯工程のタイムチャートである。
【0024】
まず、鍋1に米と水などの被調理物を入れ、この鍋1を炊飯器本体3内に収納する。この状態で、蓋温度検知手段7は、蓋2の温度を検知できる状態になっている。次に、炊飯量入力手段10により炊飯量、かたさ選択手段11により所望のご飯のかたさをそれぞれ入力する。
【0025】
ここで、炊飯スタート手段12により動作を開始すると、図3に示すように、前炊き工程、炊上げ工程、パワーダウン工程、高温維持工程、追炊き工程などの各工程を順次実行する。この時、炊飯量入力手段10により炊飯量が入力され、かたさ選択手段11によりかたさが入力されているので、炊飯時間演算手段16は、炊飯量と通電率により炊飯時間を演算し、表示手段15のLCD15aは、炊飯時間“50”を表示する。
【0026】
次に、前炊き工程では、鍋温度検知手段6により検知した鍋1の温度がθ1(例えば、55℃)に到達するまで、加熱手段5を炊飯量に合わせた通電率で通電する。θ1(55℃)に到達した後は、加熱手段5の通電率を下げて火力を落とし、θ1(55℃)を維持するように、オン/オフ制御を所定時間(例えば、θ1(55℃)に到達してから20分間)行う。米の湖化は、約55℃以上で始まるが、この湖化温度を、バラツキを少なく温調することが、食味の向上に必要であるが、炊飯量が少ない場合、高い通電率で加熱すると鍋内温度のオーバーシュートが大きくなり、米、水の温度が大きくバラツクことになる。
【0027】
また、炊飯量が多い場合、通電率が低いと加熱に長時間必要となるが、炊飯量が入力されているので通電率は可変され、炊飯量にあった適切な通電率で加熱される。
【0028】
前炊き工程が終わると炊上げ工程となる。炊上げ工程では、強い火力で一気に沸騰まで推移させるため、制御手段14は、加熱手段5の通電率を上げる。この工程でも一気に沸騰まで推移させるため通電率を高くするが、炊飯量が少ない場合、高い通電率で加熱すると鍋1内が部分的に沸騰し、鍋1内の温度のバラツキが大きくなると、食味のばらつきにつながる。
【0029】
また、炊飯量が多い場合、通電率が低いと加熱に長時間必要となるが、炊飯量が入力されているので通電率は可変され、炊飯量にあった適切な通電率で加熱される。蓋2の温度は、破線で示すように、前炊き工程まではあまり上昇しない。ところが、炊上げ工程で、加熱手段5の通電率を上げて高火力で加熱すると、鍋1内が沸騰して蒸気が発生し、この蒸気の熱で蓋2の温度が上昇する。
【0030】
蓋温度検知手段7により、蓋2の表面温度が所定の温度φ1(例えば、80℃)になったことを検知するとパワーダウン工程に移行する。
【0031】
パワーダウン工程では、通電率は、設定された炊飯合数にあわせて可変する。この時、炊飯時間補正手段17は、蓋温度検知手段7の出力に応じて、すなわち蓋温度検知手段7が検知した温度に応じて、以降の工程に必要な時間を演算し炊飯時間を補正し、表示する。そして、鍋温度検知手段6により、鍋1の温度θ2(例えば、120℃)を検知すると高温維持工程へ移行し、設定された時間後にさらに追炊き工程に移行し、設定された時間後に、炊飯動作を終了すると自動で保温となる。保温は、保温オフ手段13により停止することができる。
【0032】
このように、全工程にて、炊飯量入力手段10により入力された炊飯合数に合わせた通電率で加熱手段5を制御することで、ふっくらとしたご飯を得ることができる。また、余分な電力を使用せず環境に優しい。
【0033】
また、炊飯動作をスタートした時点で残時間を表示するので、炊き上がりに合わせて給仕が可能となる。
【0034】
また、炊飯時間は、米、水の計量バラツキ及び使用電圧の変動等によりバラツキが発生するが、炊飯開始の後で、炊き上げ工程後に補正される為、炊飯時間の精度が高く、使い勝手が向上する。
【0035】
本実施の形態では加熱手段5の通電率は一例であり、自由に選択できることは言うまでもない。
【0036】
また、上記実施の形態では、容量を3段階としているが、3段階に限るものではないことも言うまでもない。
【0037】
また、蓋検知手段を備えている場合は、従来のように鍋温度検知手段6と蓋温度検知手段7からの出力により通電率を決定してもよいことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、本発明にかかる炊飯装置は、炊飯量を最初に入力することで、前炊き工程、炊き上げ工程から炊飯量に合わせた加熱をすることにより、炊飯性能の向上と省エネを実現することができる炊飯装置として有用である。
【符号の説明】
【0039】
1 鍋
1a 上面開口部
2 蓋
3 炊飯器本体
5 加熱手段
6 鍋温度検知手段
7 蓋温度検知手段
8 制御装置
9 入力手段
10 炊飯量入力手段
14 制御手段
15 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開口した上面開口部を有し、炊飯器本体に収納されると共に被調理物を入れる鍋と、前記上面開口部を開閉自在に覆う蓋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の温度を検知する鍋温度検知手段と、使用者が炊飯する炊飯量を入力する炊飯量入力手段を有する入力手段と、前記炊飯量入力手段からの入力に応じて、前記加熱手段による前記鍋の加熱量を制御する制御手段とを備えた炊飯装置。
【請求項2】
炊飯量入力手段への入力値に応じて炊飯時間を算出する炊飯時間演算手段と、前記炊飯時間演算手段で演算された炊飯時間を表示する表示手段を備えた請求項1に記載の炊飯装置。
【請求項3】
蓋の温度を検知する蓋温度検知手段と、前記蓋温度検知手段の出力に応じて炊飯時間を補正する炊飯時間補正手段とを備え、表示手段は、前記炊飯時間補正手段で補正された炊飯時間を表示する請求項2に記載の炊飯装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate