説明

炙り牡蠣の製造方法

【課題】この発明は、生および冷凍の牡蠣において、過熱蒸気を用いて焙焼し、食あたり等の原因を除去することを防止することは、当然のことでありながら、さらに、解凍後の型崩れや外観、風味等の品質の向上を目的とする,趣のかわった、購買意欲をそそる牡蠣の製造方法を開発・提供することにある。
【解決手段】牡蠣供給機(1)で、網状あるいは格子状のトレー(Y)に、生あるいは冷凍された牡蠣のむき身(X)を並べ、これを過熱蒸気式焼機(2)で牡蠣のむき身(X)を焙焼し、次に、ガスバーナー等を備えた炙り機(3)で、過熱蒸気で焙焼された牡蠣のむき身の各表面を炙り、これをスチールベルト式トンネルフリーザー(4)によって凍結するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炙り牡蠣の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、牡蠣は、むき身を冷凍して保存されていた。しかし、近年、冷凍保存をする前に、生の牡蠣を過熱蒸気を用いて加熱することで焙焼する製造方法が開示されている。例えば、特許文献1および2のように。
【特許文献1】特開2003−339356号公報
【特許文献2】特開2004−321018号公報
【0003】
その目的は、過熱蒸気を用いるのは、食あたりを起こす原因として、生の牡蠣に蓄積された海洋由来の小型球型ウイルス(SRSV)、ノロウィルス、大腸菌等が考えられ、これらを死滅する温度以上で焙焼することである。
【0004】
さらに、過熱蒸気を用いて焙焼することにより、牡蠣を食あたり等の衛生面での目的や、冷凍牡蠣を解凍した場合に、多量の水分、油分、栄養分が流出し、解凍後、牡蠣が型崩れが生じ、それにより外観、風味等の品質低下が生ずることを防止するものであった。
【0005】
しかし、このように過熱蒸気による直接加熱によって、生の牡蠣をある程度、固化させて、解凍後の多量の水分、油分、栄養分の流出を防止し、形くずれを防止する事ができた上に、飽食と呼ばれる昨今、さらに、衛生面で安全な手だてが施された上に、外観や触感、風味のよい牡蠣の開発が求められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、生および冷凍の牡蠣において、過熱蒸気を用いて焙焼し、食あたり等の原因を除去することを防止することは、当然のことでありながら、さらに、解凍後の型崩れがなく、また、外観、風味等の品質の向上を目的とする,趣のかわった、購買意欲をそそる牡蠣の製造方法を開発・提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による課題を解決するための手段としては、従来とおり、過熱蒸気により加熱し、さらに、その後、牡蠣の表面に焼き色を付けることにより、食欲をそそり、購買意欲の増大も図ることのできる牡蠣の製造方法に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によると、過熱蒸気を用いることにより、低酸素状態で加熱処理されるため、油やビタミンCの酸化・褐変を抑えることができる。
【0009】
また、牡蠣の表面に大量の熱が直接当たるため、表面殺菌の効果が大きく、牡蠣内部の熱ダメージを防ぐことができる。
【0010】
さらに、焙焼された牡蠣の表面をガスバーナーによって炙ることにより、従来の牡蠣にない、見た目に趣の変わった牡蠣が製造でき、購買意欲をそそる牡蠣を提供できる等極めて有益なる効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の好適な実施の形態については、牡蠣のむき身を、過熱蒸気を用いて加熱する工程と、この加熱された牡蠣のみき身の表面をバーナーで炙る工程と、表面を炙られた牡蠣を冷凍する工程との組み合わせからなることを特徴とする炙り牡蠣の製造方法である。
【実施例】
【0012】
次に、この発明の第一の発明の一実施例を図1及び図2に基づいて詳述すると、牡蠣供給機(1)で、網状あるいは格子状のトレー(Y)に、生あるいは冷凍された牡蠣のむき身(X)を並べ、これを過熱蒸気式焼機(2)で牡蠣のむき身(X)を焙焼し、次に、ガスバーナー等を備えた炙り機(3)で、過熱蒸気で焙焼された牡蠣のむき身の各表面を上または下、あるいは上下両面を炙り、この炙られた牡蠣をスチールベルト式トンネルフリーザー(4)によって凍結するものである。
【0013】
そして、牡蠣のむき身(X)は、生の牡蠣、あるいは冷凍した牡蠣のいずれであってもよい。要するに両方が含まれるものであり、トレー(Y)あるいはスチールコンベア等で搬送されるものである。
【0014】
過熱水蒸気式焼機(2)は、圧力を上げずに、100°C〜450°Cの過熱水蒸気を発生させ、牡蠣に当てて焙焼することにより電気焼成の10倍の熱効率で焼成できる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
この発明である炙り牡蠣の製造方法の技術を確立し、実施・販売することにより、産業上利用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の一実施例を示す説明図である。
【図2】この発明の一実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0017】
1 牡蠣供給機
2 過熱蒸気式焼機
3 炙り機
4 スチールベルト式トンネルフリーザー
X 牡蠣のむき身
Y トレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
牡蠣のむき身を、過熱蒸気を用いて加熱する工程と、過熱蒸気を用いて加熱した後に、牡蠣のむき身の表面を炙り機で炙る工程と、表面を炙られた牡蠣をフリーザーを通して凍結する工程との組み合わせからなることを特徴とする炙り牡蠣の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−112210(P2009−112210A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−285995(P2007−285995)
【出願日】平成19年11月2日(2007.11.2)
【出願人】(507363369)不動水産株式会社 (1)
【Fターム(参考)】