説明

炭化ケイ素発熱体の製造方法および炭化ケイ素発熱体ならびにハニカムの製造方法およびハニカム

【課題】 低温〜高温の広い温度域ですぐれた抵抗値特性を有する炭化ケイ素発熱体,ハニカムを製造することができる製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有する製造方法である。そして、アルミニウム原料の割合,焼成条件を調節することで、優れた抵抗値特性が得られるものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化ケイ素発熱体の製造方法および炭化ケイ素発熱体ならびにハニカムの製造方法およびハニカムに関し、詳しくは、導電性を調節可能な炭化ケイ素発熱体,ハニカムの製造方法ならびに炭化ケイ素発熱体およびハニカムに関する。
【背景技術】
【0002】
炭化ケイ素は、良導電性の半導体化合物であり、材質的に優れた熱的および化学的な安定性を備えていることから、発熱体として用いられている。一般に、炭化ケイ素よりなる発熱体は、炭化ケイ素原料粉末に有機バインダーを混合し、所定形状に成形したのちに、焼結処理することで、組織を再結晶炭化ケイ素に転化させることにより製造されている。そして、炭化ケイ素は、バンドギャップが約3eVと広い関係から、電気抵抗を通電可能なレベルにまで引き下げる必要がある。このためには、炭化ケイ素中に3価の元素や5価の元素を固溶、あるいは分散させる手段が有効とされている。
【0003】
炭化ケイ素は、3価の元素を固溶させるとp型半導体となり、また5価の元素を固溶させた場合にはn型半導体となる。このうちp型半導体のキャリアはホールであり、n型半導体のキャリアは電子であるが、電子はホールに比べて一般に移動度が速いため、5価の元素を固溶させてn型半導体とした方が比抵抗を下げるためには有効である。炭化ケイ素に固溶可能な5価の元素としては、窒素、リン、ヒ素、アンチモンまたはビスマスのような窒素族の元素や、バナジウム、ニオブ、タングステンがあげられるが、これらの中では窒素が最も固溶し易く、固溶限界も高い。このため、炭化ケイ素の電気抵抗を下げる目的で組織中に窒素を固溶させる試みが提案されている。
【0004】
例えば、特許文献1には炭化ケイ素を窒素雰囲気中で焼結する方法が開示され、特許文献2には炭化ケイ素を窒素雰囲気中でホットプレス焼結する方法が開示されている。しかし、単に窒素ガス中で焼結するだけでは窒素の固溶化は円滑に進まず、比抵抗を十分に低減させることはできなかった。特許文献3では窒素の固溶度合を増大させるため、炭化ケイ素焼結時の窒素ガス圧を80〜500気圧まで高め、窒素を強制的に固溶させる方法が記載されている。この方法によれば窒素固溶量が増大するため炭化ケイ素の電気比抵抗を効果的に低下させることが可能となるが、前記条件の窒素ガス圧を確保するには例えば熱間静水圧プレス(HIP)のような高価な装置を適用しなければならず、設備やコストなどの面で工業的手段としての難点があった。
【0005】
さらに、特許文献4では、炭化ケイ素に対する窒素固溶度合を高めるための簡便な手段として、発熱体の製造時に炭化ケイ素原料粉末に特定量の窒化物と炭素の粉末を混合し、更に特定された条件で焼結処理をおこなうと、特別な装置設備を必要とせずに窒素固溶量を効果的に増大することができ、材質強度を損ねることなしに炭化ケイ素発熱体の比抵抗低下を図ることができることが記載されている。
【0006】
しかしながら、これらの方法で炭化ケイ素発熱体を製造しようとすると、初期(低温時)の抵抗値が高すぎて、加熱が始まらないという問題があった。また、各種元素をドープして初期の抵抗値を低くすると、高温下では抵抗が更に下がるという半導体の特性により、発熱体の熱により抵抗が下がりすぎて、十分な発熱ができない(発熱体と成らない)という問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公昭57−18682号公報
【特許文献2】特開昭52−110499号公報
【特許文献3】特公昭64−4312号公報
【特許文献4】特開平6−92733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記実状に鑑みてなされたものであり、低温〜高温の広い温度域ですぐれた抵抗値特性を有する(抵抗値が通電時に発熱可能な値となる)炭化ケイ素発熱体を製造することができる炭化ケイ素発熱体の製造方法および炭化ケイ素発熱体を提供することを課題とする。また、低温〜高温の広い温度域ですぐれた抵抗値特性を有する(抵抗値が通電時に発熱可能な値となる)ハニカムを製造することができるハニカムの製造方法およびハニカムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明者は炭化ケイ素発熱体の製造方法および炭化ケイ素発熱体ならびにハニカムの製造方法およびハニカムに関する検討を重ねた結果、本発明をなすに至った。
【0010】
すなわち、本発明の炭化ケイ素発熱体の製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有する炭化ケイ素発熱体の製造方法である。
【0011】
そして、本発明の第一の炭化ケイ素発熱体の製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有する炭化ケイ素発熱体の製造方法であって、アルミニウムは、炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が0.1〜5%であることを特徴とする。
【0012】
本発明の第二の炭化ケイ素発熱体の製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有する炭化ケイ素発熱体の製造方法であって、混合物を焼成する工程は、混合物を1800〜2200℃で焼成することを特徴とする。
【0013】
本発明の炭化ケイ素発熱体は、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有し、アルミニウムが配されていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第一のハニカムの製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有するハニカムの製造方法であって、アルミニウムは、炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が0.1〜5%であることを特徴とする。
【0015】
本発明の第二のハニカムの製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有するハニカムの製造方法であって、混合物を焼成する工程は、混合物を1800〜2200℃で焼成することを特徴とする。
【0016】
本発明のハニカムは、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有し、アルミニウムが配されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の炭化ケイ素発熱体の製造方法は、焼成時にケイ素と炭素から炭化ケイ素を生成するとともに、混在するアルミニウム原料からのアルミニウムを、生成した炭化ケイ素に分散させる。そして、焼成原料中のアルミニウムの割合,焼成時の焼成温度を調節することで、導電性を調節することができ、低温〜高温の広い温度域ですぐれた抵抗値の特性を有する炭化ケイ素発熱体が製造できる。
【0018】
本発明の炭化ケイ素発熱体は、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有し、さらに、アルミニウムを配している。本発明の炭化ケイ素発熱体では、配されたアルミニウムにより、発熱体に導電性を付与している。そして、アルミニウムの配される量を調節することで、低温〜高温の広い温度域ですぐれた抵抗値の特性を有するものとなる。
【0019】
本発明のハニカムの製造方法は、上記の本発明の炭化ケイ素発熱体の製造方法を用いて軸方向に伸びる複数のセルをセル壁が区画するハニカムを製造する製造方法であり、上記の製造方法と同様な効果を発揮する。
【0020】
本発明のハニカムは、上記の炭化ケイ素発熱体を用いたハニカムであり、上記の炭化ケイ素発熱体と同様な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】試料1,4,5の発熱体のX線回折ピークを示したグラフである。
【図2】試料7〜9の発熱体のX線回折ピークを示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(炭化ケイ素発熱体の製造方法)
本発明の第一および第二の炭化ケイ素発熱体の製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有する炭化ケイ素発熱体の製造方法である。すなわち、本発明の第一および第二の炭化ケイ素発熱体の製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合して焼成することから、アルミニウム原料に由来するアルミニウムがその内部に存在(固溶、あるいは分散)することとなり導電性を向上させた炭化ケイ素発熱体を製造することが可能となる。本発明の第一および第二の炭化ケイ素発熱体の製造方法では、炭化ケイ素とともに原料に混在したケイ素と炭素とから炭化ケイ素が生成され、アルミニウム原料に由来する原子状のアルミニウムが固溶、あるいは分散する。すなわち、炭化ケイ素の生成と原子状のアルミニウムの分散が、焼成の一つの工程で進行する。
【0023】
(第一の炭化ケイ素発熱体の製造方法)
本発明の第一の製造方法では、アルミニウム原料は、炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が0.1〜5%である。つまり、下記数1で示される式により求められるモル比が、0.1〜5%である。アルミニウムのモル比を0.1〜5%とすることで、炭化ケイ素発熱体が優れた抵抗値の特性を有するようになる。なお、0.1%未満ではアルミニウムが少なすぎて導電性を向上させる効果が十分に得られず、5%を超えると炭化ケイ素発熱体を形成する炭化ケイ素(アルミニウムが分散した炭化ケイ素)の強度が低下し、発熱体自身の強度が十分に得られなくなる。特に10%と過剰になると、成形が困難となり、実験に供することができなくなった。好ましいモル比は、0.5〜5%であり、より好ましいモル比は0.5〜2%である。
【0024】
【数1】

【0025】
全体を100%としたときに、炭化ケイ素が55〜95mass%で含まれる混合物を焼成することが好ましい。ここで、全体とは、炭化ケイ素発熱体を製造するために焼成される原料の全体を示す。炭化ケイ素が55〜95mass%で含まれることで、製造された炭化ケイ素発熱体が十分な強度を有することができる。炭化ケイ素が55mass%未満では、十分な強度が得られにくくなる。また、炭化ケイ素が95mass%を超えると、ケイ素と炭素とから生成する反応焼結炭化ケイ素が少なすぎ、結合ネックの形成が十分に行われなくなる。好ましい割合は60〜90mass%であり、より好ましい割合は75〜90mass%であり、さらに好ましい割合は85〜90mass%である。
【0026】
炭素のモル数が、ケイ素のモル数よりも多く含まれる混合物を焼成することが好ましい。炭素がケイ素よりも多いモル数で含まれることで、炭素とケイ素が炭化ケイ素を生成するときに、全てのケイ素が炭化ケイ素となる。すなわち、製造される炭化ケイ素発熱体中にケイ素が残留しなくなる。炭化ケイ素発熱体中にケイ素が残留すると、残留したケイ素が炭化ケイ素発熱体の特性に影響を及ぼすこととなり、所望の強度や抵抗値の特性を得られなくなる。ここで、炭素及びケイ素のモル数は、それぞれ純炭素,純ケイ素換算したモル数である。
【0027】
本発明の製造方法では、焼成工程が施された後に、未反応の炭素を除去するための酸化工程を有することが好ましい。本発明の製造方法では原料中に炭素を過剰に配することが好ましく、焼成後に過剰な炭素が未反応な状態で残存しやすくなっている。酸化工程を施すことで、この未反応の炭素を除去することができる。この酸化工程は、酸化性雰囲気下で熱処理する工程であることが好ましい。酸化工程は、焼結工程の焼結温度よりも低い温度で加熱することが好ましい。具体的には、熱衝撃で亀裂を生じさせない範囲であれば良く、600〜1500℃であることが好ましい。
【0028】
本発明の製造方法では、炭化ケイ素粉末、ケイ素粉末、炭素粉末、アルミニウム原料粉末と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有することが好ましい。つまり、本発明の製造方法での原料である炭化ケイ素、ケイ素、炭素、アルミニウム原料の混合物を焼成することで、炭化ケイ素発熱体を製造することができる。また、それぞれの粉末の混合物を焼成することから、多孔質の発熱体を製造することができる。さらに、粉末を混合することで、それぞれの粉末が均一に混合した混合物を得ることができ、この混合物から製造される発熱体が全体で均一な特性を有するようになる。
【0029】
また、混合物は、炭化ケイ素発熱体の形状に成形していてもよい。すなわち、混合物を焼成する工程は、混合物を粘土状に調製する工程と、粘土状の混合物を成形する工程と、成形体を焼成する工程と、を有することが好ましい。また、混合物が、成形された状態で焼成される(粘土状の混合物を成形する工程を有する)ことで、所望の形状の炭化ケイ素発熱体を得ることができる。
【0030】
粘土状の混合物を成形する工程は、特に限定されるものではなく、従来公知の成形方法を用いることができる。成形方法としては、原料粉末を粘土状とし、押出成形で成形する方法を用いることが好ましい。押出成形には、成形体が加熱によりクラックなどが発生することを抑制するために、真空混練成形機を使用することが好ましい。押出し成形した成形体は、保形性が低い場合には、マイクロ波乾燥機による乾燥や、円筒形の場合には、回転式乾燥機などを使用することが好ましい。また、乾燥時に温風や熱風で乾燥したり、あるいは他の乾燥方法と組み合わせてもよい。
【0031】
焼成される混合物は、それぞれの粉末以外に、従来の炭化ケイ素焼結体の製造に用いられる添加物を含有していてもよい。たとえば、バインダや分散剤をあげることができる。これらの添加物は、従来の炭化ケイ素焼結体の製造と同様にして添加することができる。
【0032】
また、炭化ケイ素粉末は、粒径分布が広いことが好ましい。広い粒径分布を有することで、粗大な炭化ケイ素粒子の間に微細な炭化ケイ素粒子が入り込むこととなり、緻密な炭化ケイ素発熱体を製造することができる。さらに、焼結時に生じるネックが大きくなり、粒子同士が強固に結合し、発熱体全体の強度が向上する。広い粒径分布をもつ炭化ケイ素粉末は、たとえば、平均粒径(D50)の異なる2種以上の炭化ケイ素粉末を混合することで得ることができる。
【0033】
炭化ケイ素粉末は、その粒径が限定されるものではなく、平均粒径が0.1〜3.0μmの微細粒子と、平均粒径が5〜20μmの粗大粒子と、の混合粉末であることが好ましい。微細粒子と粗大粒子の混合割合(混合比)は、特に限定されるものではなく、製造される焼結体に求められる特性により調節できる。炭化ケイ素粉末が、異なる粒径を有する粉末の混合物よりなることで、混合粉末を成形したときの充填率が向上し、製造される炭化ケイ素焼結体の細孔を調節できる。
【0034】
アルミニウム原料は、アルミナ粉末であることが好ましい。アルミニウム原料は、焼成時に生成される炭化ケイ素中に、原子状態のアルミニウムを分散させることができればよい。すなわち、純アルミニウム粉末(表面に酸化被膜が形成された粉末)であっても、アルミナ粉末であっても、いずれでもよく、取り扱いの容易さから、アルミナ粉末を用いることが好ましい。アルミニウム原料の粉末またはアルミナ粉末の粒子の形態は特に限定されるものではなく、配合割合や焼成条件等により適宜決定できる。
【0035】
また、焼成により炭化ケイ素を生成するためのケイ素粉末、炭素粉末、のそれぞれの粒子の形態についても特に限定されるものではなく、配合割合や焼成条件等により適宜決定できる。
【0036】
焼成条件についても、特に限定されるものではなく、1800〜2400℃,1〜10時間で焼成されることが好ましい。焼成温度は、1800〜2200℃であることがより好ましい。すなわち、1800〜2200℃,1〜10時間で焼成されることが好ましい。焼成条件がこれらの範囲内となることで、炭化ケイ素発熱体が優れた抵抗値の特性を有するようになる。
【0037】
不活性ガス雰囲気下で焼成が進められることが好ましい。本発明の製造方法は、原料にアルミニウム原料を混在させた状態で焼成することで、炭化ケイ素を生成しながらアルミニウムを固溶、あるいは分散させている。つまり、導電性の向上に寄与するアルミニウムを、焼成雰囲気に含有させる必要がなくなっている。すなわち、不活性ガス雰囲気下で焼成を行うことで、焼成を行う焼成炉の損傷を抑えることができる。焼成時の不活性ガスは、特に限定されるものではなく、アルゴンガスを用いることが好ましい。
【0038】
窒素ガス雰囲気下で、焼成が進められることが好ましい。窒素ガスは、反応性に乏しく、不活性ガスと同様に機能する。なお、窒素ガスは、不活性ガス(アルゴンガス)との混合ガスであってもよい。混合ガスである場合に混合割合は、限定されるものではなく適宜決定できる。
【0039】
本発明の製造方法は、焼成後に、酸化性雰囲気下で熱処理して酸化被膜を生成する酸化被膜形成工程を有することが好ましい。この酸化被膜形成工程では、炭化ケイ素発熱体を形成する炭化ケイ素の表面に酸化被膜を形成する。酸化被膜は、高い強度を有しており、製造される炭化ケイ素発熱体の強度を向上する。酸化被膜形成工程は、製造時に加えられる熱処理のうち、最後に加えられる熱処理であることが好ましい。
【0040】
なお、酸化被膜形成工程は、酸化性雰囲気下で熱処理する工程であり、上記の酸化工程が施される場合には、この酸化工程と一体の工程としてもよい。すなわち、酸化工程および酸化被膜形成工程とが一つの熱処理工程であってもよい。
【0041】
本発明の製造方法により製造される炭化ケイ素発熱体は、その表面に酸化被膜を有することが好ましい。炭化ケイ素発熱体の表面に酸化被膜を形成すると、酸化被膜の高い強度により、炭化ケイ素発熱体の強度が向上する。
【0042】
(第二の炭化ケイ素発熱体の製造方法)
本発明の第二の炭化ケイ素発熱体の製造方法では、混合物を焼成する工程は、混合物を1800〜2200℃で焼成する。上記したように、本発明の製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合して焼成することで、アルミニウム原料に由来するアルミニウムがその内部に存在(固溶、あるいは分散)した炭化ケイ素発熱体を製造することができる。そして、この製造方法において、焼成時の焼成温度を1800〜2200℃とすることで、製造される炭化ケイ素発熱体が、低温時と高温時の抵抗値の差が小さい(温度依存性の低い)ものとなる。
【0043】
なお、温度依存性の高い(低温時と高温時の抵抗値の差が大きな)炭化ケイ素発熱体では、炭化ケイ素発熱体に電圧を印加して発熱を生じさせるときに、所定の発熱量を生じるために印加される電力量が、低温時と高温時とで大きく異なることとなる。すなわち、高温時には高電圧(大電力)の印加が必要となる。つまり、温度依存性が高くなると、高電圧(大電力)を印加するための特別な装置設計が必要になる。さらに、高電圧(大電力)を使用することで安全性等の問題も発生する。この結果、発熱体として使用する時に大幅なコストアップを招いていた。これに対し、本発明の製造方法で製造される炭化ケイ素発熱体は、温度依存性が小さいため、このような問題が発生することを抑えることができる。
【0044】
本発明の製造方法において、アルミニウム原料のアルミニウムが炭化ケイ素に対するモル比については特に限定されるものではない。ここで、モル比とは、上記の数1で示される式により求められる値である。そして、アルミニウム原料は、炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が2.00%以下となるように混合していることが好ましい。アルミニウム原料のアルミニウムのモル比を2.00%以下とすることで、1800〜2200℃で焼成して製造される炭化ケイ素発熱体において、低温時と高温時のそれぞれの抵抗値の差が小さく(温度依存性が低く)なる効果をより発揮できる。モル比が1.75%以下であることがより好ましく、1.00%以下であることがさらに好ましい。
【0045】
炭素のモル数が、ケイ素のモル数よりも多く含まれる混合物を焼成することが好ましい。炭素がケイ素よりも多いモル数で含まれることで、炭素とケイ素が炭化ケイ素を生成するときに、全てのケイ素が炭化ケイ素となる。すなわち、製造される炭化ケイ素発熱体中にケイ素が残留しなくなる。炭化ケイ素発熱体中にケイ素が残留すると、残留したケイ素が炭化ケイ素発熱体の特性に影響を及ぼすこととなり、所望の強度や抵抗値の特性を得られなくなる。ここで、炭素及びケイ素のモル数は、それぞれ純炭素,純ケイ素換算したモル数である。
【0046】
全体を100%としたときに、炭化ケイ素が55〜95mass%で含まれる混合物を焼成することが好ましい。ここで、全体とは、炭化ケイ素発熱体を製造するために焼成される原料の全体を示す。炭化ケイ素が55〜95mass%で含まれることで、製造された炭化ケイ素発熱体が十分な強度を有することができる。炭化ケイ素が55mass%未満では、十分な強度が得られにくくなる。また、炭化ケイ素が95mass%を超えると、ケイ素と炭素とから生成する反応焼結炭化ケイ素が少なすぎ、結合ネックの形成が十分に行われなくなる。好ましい割合は60〜90mass%であり、より好ましい割合は75〜90mass%であり、さらに好ましい割合は85〜90mass%である。
【0047】
本発明の製造方法では、焼成工程が施された後に、未反応の炭素を除去するための酸化工程を有することが好ましい。本発明の製造方法では原料中に炭素を過剰に配することが好ましく、焼成後に過剰な炭素が未反応な状態で残存しやすくなっている。酸化工程を施すことで、この未反応の炭素を除去することができる。この酸化工程は、酸化性雰囲気下で熱処理する工程であることが好ましい。酸化工程は、焼結工程の焼結温度よりも低い温度で加熱することが好ましい。具体的には、熱衝撃で亀裂を生じさせない範囲であれば良く、600〜1500℃であることが好ましい。
【0048】
本発明の製造方法では、炭化ケイ素粉末、ケイ素粉末、炭素粉末、アルミニウム原料粉末と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有することが好ましい。つまり、本発明の製造方法での原料である炭化ケイ素、ケイ素、炭素、アルミニウム原料の混合物を焼成することで、炭化ケイ素発熱体を製造することができる。また、それぞれの粉末の混合物を焼成することから、多孔質の発熱体を製造することができる。さらに、粉末を混合することで、それぞれの粉末が均一に混合した混合物を得ることができ、この混合物から製造される発熱体が全体で均一な特性を有するようになる。
【0049】
また、混合物は、炭化ケイ素発熱体の形状に成形していてもよい。すなわち、混合物を焼成する工程は、混合物を粘土状に調製する工程と、粘土状の混合物を成形する工程と、成形体を焼成する工程と、を有することが好ましい。また、混合物が、成形された状態で焼成される(粘土状の混合物を成形する工程を有する)ことで、所望の形状の炭化ケイ素発熱体を得ることができる。
【0050】
粘土状の混合物を成形する工程は、特に限定されるものではなく、従来公知の成形方法を用いることができる。成形方法としては、原料粉末を粘土状とし、押出成形で成形する方法を用いることが好ましい。押出成形には、成形体が加熱によりクラックなどが発生することを抑制するために、真空混練成形機を使用することが好ましい。押出し成形した成形体は、保形性が低い場合には、マイクロ波乾燥機による乾燥や、円筒形の場合には、回転式乾燥機などを使用することが好ましい。また、乾燥時に温風や熱風で乾燥したり、あるいは他の乾燥方法と組み合わせてもよい。
【0051】
焼成される混合物は、それぞれの粉末以外に、従来の炭化ケイ素焼結体の製造に用いられる添加物を含有していてもよい。たとえば、バインダや分散剤をあげることができる。これらの添加物は、従来の炭化ケイ素焼結体の製造と同様にして添加することができる。
【0052】
また、炭化ケイ素粉末は、粒径分布が広いことが好ましい。広い粒径分布を有することで、粗大な炭化ケイ素粒子の間に微細な炭化ケイ素粒子が入り込むこととなり、緻密な炭化ケイ素発熱体を製造することができる。さらに、焼結時に生じるネックが大きくなり、粒子同士が強固に結合し、発熱体全体の強度が向上する。広い粒径分布をもつ炭化ケイ素粉末は、たとえば、平均粒径(D50)の異なる2種以上の炭化ケイ素粉末を混合することで得ることができる。
【0053】
炭化ケイ素粉末は、その粒径が限定されるものではなく、平均粒径が0.1〜3.0μmの微細粒子と、平均粒径が5〜20μmの粗大粒子と、の混合粉末であることが好ましい。微細粒子と粗大粒子の混合割合(混合比)は、特に限定されるものではなく、製造される焼結体に求められる特性により調節できる。炭化ケイ素粉末が、異なる粒径を有する粉末の混合物よりなることで、混合粉末を成形したときの充填率が向上し、製造される炭化ケイ素焼結体の細孔を調節できる。
【0054】
アルミニウム原料は、アルミナ粉末であることが好ましい。アルミニウム原料は、焼成時に生成される炭化ケイ素中に、原子状態のアルミニウムを分散させることができればよい。すなわち、純アルミニウム粉末(表面に酸化被膜が形成された粉末)であっても、アルミナ粉末であっても、いずれでもよく、取り扱いの容易さから、アルミナ粉末を用いることが好ましい。アルミニウム原料の粉末またはアルミナ粉末の粒子の形態は特に限定されるものではなく、配合割合や焼成条件等により適宜決定できる。
【0055】
また、焼成により炭化ケイ素を生成するためのケイ素粉末、炭素粉末、のそれぞれの粒子の形態についても特に限定されるものではなく、配合割合や焼成条件等により適宜決定できる。
【0056】
1〜10時間の焼成時間で焼成されることが好ましい。焼成時間が1〜10時間の範囲内となることで、炭化ケイ素発熱体が優れた抵抗値の特性を有するようになる。焼成時間が1時間未満では、ケイ素と炭素とが炭化ケイ素を生成する反応が完了しなくなりやすくなる。また、焼成時間が10時間を超えると、反応の完了後にも焼成を継続することとなりやすく、エネルギーのロスにつながるようになる。
【0057】
不活性ガス雰囲気下で焼成が進められることが好ましい。本発明の製造方法は、原料にアルミニウム原料を混在させた状態で焼成することで、炭化ケイ素を生成しながらアルミニウムを固溶、あるいは分散させている。つまり、導電性の向上に寄与するアルミニウムを、焼成雰囲気に含有させる必要がなくなっている。すなわち、不活性ガス雰囲気下で焼成を行うことで、焼成を行う焼成炉の損傷を抑えることができる。焼成時の不活性ガスは、特に限定されるものではなく、アルゴンガスを用いることが好ましい。
【0058】
窒素ガス雰囲気下で、焼成が進められることが好ましい。窒素ガスは、反応性に乏しく、不活性ガスと同様に機能する。なお、窒素ガスは、不活性ガス(アルゴンガス)との混合ガスであってもよい。混合ガスである場合に混合割合は、限定されるものではなく適宜決定できる。
【0059】
本発明の製造方法は、焼成後に、酸化性雰囲気下で熱処理して酸化被膜を生成する酸化被膜形成工程を有することが好ましい。この酸化被膜形成工程では、炭化ケイ素発熱体を形成する炭化ケイ素の表面に酸化被膜を形成する。酸化被膜は、高い強度を有しており、製造される炭化ケイ素発熱体の強度を向上する。酸化被膜形成工程は、製造時に加えられる熱処理のうち、最後に加えられる熱処理であることが好ましい。
【0060】
なお、酸化被膜形成工程は、酸化性雰囲気下で熱処理する工程であり、上記の酸化工程が施される場合には、この酸化工程と一体の工程としてもよい。すなわち、酸化工程および酸化被膜形成工程とが一つの熱処理工程であってもよい。
【0061】
本発明の製造方法により製造される炭化ケイ素発熱体は、その表面に酸化被膜を有することが好ましい。炭化ケイ素発熱体の表面に酸化被膜を形成すると、酸化被膜の高い強度により、炭化ケイ素発熱体の強度が向上する。
【0062】
本発明の炭化ケイ素発熱体の製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有する炭化ケイ素発熱体の製造方法であって、アルミニウムが、炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が0.1〜5%であり、混合物を焼成する工程では、混合物を1800〜2200℃で焼成することが好ましい。すなわち、上記の第一の製造方法と第二の製造方法を同時に満たしていてもよい。
【0063】
本発明の第一および第二の炭化ケイ素発熱体の製造方法により製造される炭化ケイ素発熱体は、低温(常温)〜高温(数百度)にわたってすぐれた抵抗値特性を有している。つまり、この炭化ケイ素発熱体に電圧を印加したときに、低温(室温)〜高温(数百度)のいずれの温度においても、発熱体が十分に発熱できる。このことから、製造される炭化ケイ素発熱体は、揮発性有機化合物(VOC)が含まれる気体等の除去に用いることが好ましい。さらに、内燃機関からの排気ガスの浄化に用いることが好ましい。
【0064】
本発明の製造方法により製造される炭化ケイ素発熱体は、浄化される成分を含むガス(加熱されるガス)が流れる流路を区画したハニカム構造を備えていることが好ましい。ハニカムとしたときの形状は限定されるものではなく、円柱状,だ円柱状,角柱状などの形状をあげることができる。
【0065】
(炭化ケイ素発熱体)
本発明の炭化ケイ素発熱体は、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有し、アルミニウムが配されている。
【0066】
炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有する。この炭素とケイ素とから生成する炭化ケイ素は、その内部にアルミニウムを配しやすい。アルミニウムを配することで、特性を変化させることができる。すなわち、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有することで、本発明の炭化ケイ素発熱体の特性の調節を簡単に行うことができる。
【0067】
そして、本発明の炭化ケイ素発熱体は、アルミニウムが配されている。アルミニウムは炭化ケイ素発熱体に導電性を付与することができる元素であるため、アルミニウムを配することで、本発明の炭化ケイ素発熱体が導電性を得られるようになる。さらに、本発明の炭化ケイ素発熱体では、アルミニウムの配合量を調節することで、発熱体全体の導電性を調節することができる。
【0068】
なお、本発明の炭化ケイ素発熱体では、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素以外に、適宜選択した物質を有していてもよい。すなわち、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素の外に、生成によらない炭化ケイ素を有していてもよい。
【0069】
そして、本発明の炭化ケイ素発熱体では、アルミニウムを配する形態については、特に限定されるものではないが、アルミニウムが原子状で配されることが好ましい。固溶又は分散した状態であることがより好ましい。
【0070】
さらに、本発明の炭化ケイ素発熱体において、アルミニウムは、全体に均一に配されていても、濃度に偏りが生じた状態で配されていても、いずれでもよい。全体に均一に配されると、発熱体の全体が均一な導電性を有するようになる。また、濃度に偏りが生じた状態で配されると、たとえば、部分的に高い導電性を有するようになる。
【0071】
本発明の炭化ケイ素発熱体は、請求項1〜17のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法により製造されたことが好ましい。すなわち、本発明の炭化ケイ素発熱体は、上記の各製造方法により製造されてなることが好ましい。これによると、上記の各製造方法における各効果を備えた炭化ケイ素発熱体となる。
【0072】
本発明の炭化ケイ素発熱体は、その表面に酸化被膜を有することが好ましい。酸化被膜がもうけられる表面とは、炭化ケイ素発熱体の微細な粒子の表面を示す。炭化ケイ素発熱体の表面に酸化被膜を形成すると、酸化被膜の高い強度により、炭化ケイ素発熱体の強度が向上する。
【0073】
(第一のハニカムの製造方法)
本発明の第一のハニカムの製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有するハニカムの製造方法であって、アルミニウムは、炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が0.1〜5%である。
【0074】
すなわち、本発明のハニカムの製造方法は、上記の第一の炭化ケイ素発熱体の製造方法を用いてハニカムを製造する製造方法である。本発明のハニカムの製造方法において、ハニカムとはハニカム形状を有する部材を示し、ハニカム形状とは軸方向に伸びる複数のセルをセル壁が区画する形状を示す。
【0075】
本発明のハニカムの製造方法は、上記の炭化ケイ素発熱体の製造方法と同様の製造方法とすることが好ましい。
【0076】
全体を100%としたときに、炭化ケイ素が55〜95mass%で含まれる混合物を焼成することが好ましい。好ましい割合は60〜90mass%であり、より好ましい割合は75〜90mass%であり、さらに好ましい割合は85〜90mass%である。
【0077】
炭素のモル数が、ケイ素のモル数よりも多く含まれる混合物を焼成することが好ましい。
【0078】
アルミニウム原料は、アルミナであることが好ましい。
【0079】
1800〜2200℃,1〜10時間で焼成されることが好ましい。
【0080】
不活性ガス雰囲気下で焼成が進められることが好ましい。
【0081】
混合物は、成形された状態で焼成されることが好ましい。
【0082】
焼成後に、酸化性雰囲気下で焼成温度よりも低い温度で熱処理されることが好ましい。
【0083】
(第二のハニカムの製造方法)
本発明の第二のハニカムの製造方法は、炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、混合物を焼成する工程と、を有するハニカムの製造方法であって、混合物を焼成する工程は、混合物を1800〜2200℃で焼成する。
【0084】
すなわち、本発明のハニカムの製造方法は、上記の第二の炭化ケイ素発熱体の製造方法を用いてハニカムを製造する製造方法である。
【0085】
本発明のハニカムの製造方法は、上記の炭化ケイ素発熱体の製造方法と同様の製造方法とすることが好ましい。
【0086】
アルミニウム原料は、アルミニウム原料に含まれるアルミニウムが、炭化ケイ素に対するモル比で2.00%以下となるように混合していることが好ましい。
【0087】
炭素のモル数が、ケイ素のモル数よりも多く含まれる混合物を焼成することが好ましい。
【0088】
アルミニウム原料は、アルミナであることが好ましい。
【0089】
1〜10時間の焼成時間で焼成されることが好ましい。
【0090】
不活性ガス雰囲気下で焼成が進められることが好ましい。
【0091】
混合物は、成形された状態で焼成されることが好ましい。
【0092】
焼成後に、酸化性雰囲気下で焼成温度よりも低い温度で熱処理されることが好ましい。
【0093】
(ハニカム)
本発明のハニカムは、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有し、アルミニウムが配されている。
【0094】
本発明のハニカムは、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有する。この炭素とケイ素とから生成する炭化ケイ素は、その内部にアルミニウムを配しやすい。アルミニウムを配することで、特性を変化させることができる。すなわち、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有することで、本発明のハニカムの特性の調節を簡単に行うことができる。
【0095】
そして、本発明のハニカムは、アルミニウムが配されている。アルミニウムはハニカムに導電性を付与することができる元素であるため、アルミニウムを配することで、本発明のハニカムが導電性を得られるようになる。さらに、本発明のハニカムでは、アルミニウムの配合量を調節することで、ハニカム全体の導電性を調節することができる。
【0096】
なお、本発明のハニカムでは、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素以外に、適宜選択した物質を有していてもよい。すなわち、炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素の外に、生成によらない炭化ケイ素を有していてもよい。
【0097】
そして、本発明のハニカムでは、アルミニウムを配する形態については、特に限定されるものではないが、アルミニウムが原子状で配されることが好ましい。固溶又は分散した状態であることがより好ましい。
【0098】
さらに、本発明のハニカムにおいて、アルミニウムは、全体に均一に配されていても、濃度に偏りが生じた状態で配されていても、いずれでもよい。全体に均一に配されると、発熱体の全体が均一な導電性を有するようになる。また、濃度に偏りが生じた状態で配されると、たとえば、部分的に高い導電性を有するようになる。
【0099】
本発明のハニカムは、請求項20〜35のいずれかに記載のハニカムの製造方法により製造されたことが好ましい。すなわち、本発明のハニカムは、上記の各製造方法により製造されてなることが好ましい。これによると、上記の各製造方法における各効果を備えたハニカムとなる。
【0100】
本発明のハニカムは、その表面に酸化被膜を有することが好ましい。酸化被膜がもうけられる表面とは、ハニカムの微細な粒子の表面を示す。ハニカムの表面に酸化被膜を形成すると、酸化被膜の高い強度により、ハニカムの強度が向上する。
【実施例】
【0101】
以下、実施例を用いて本発明を説明する。
【0102】
(実施例1)
本実施例として、炭化ケイ素発熱体を製造した。
【0103】
(炭化ケイ素発熱体の製造)
本実施例の炭化ケイ素発熱体は、表1に記載の製品よりなる原料を、表2に記載の割合で用いて製造された。
【0104】
【表1】

【0105】
【表2】

【0106】
まず、表1に記載の原料を、表2に記載の質量比で秤量した。秤量されたSiC(粗大粒子),SiC(微細粒子),Si(ケイ素),C(グラファイト),アルミナ(Al),バインダ,表1の分散剤(A)と分散剤(B)の等量混合物よりなる分散剤,水を、加圧型ニーダー(森山製作所製、DS1−5GHH−E)で15分間,20℃で混合した。
【0107】
得られた粘土状のセラミックス原料粉末を、押出成形装置で円筒状に押出成形で成形した。得られた成形体は、外径:6mm,内径:4mm,長さ:150mmのパイプ状であった。
【0108】
次に、成形体を、150℃で8時間保持して乾燥した。
【0109】
乾燥した成形体を、不活性ガス雰囲気(窒素ガス雰囲気)下で加熱して脱脂した。
【0110】
その後、不活性ガス雰囲気(アルゴンガス雰囲気)下で2200℃で5時間保持して焼結させた(焼成した)。
【0111】
焼結体を、酸化性ガス雰囲気(空気)下で1100℃で2時間加熱して、熱処理した。
【0112】
熱処理後、放冷してパイプ状の炭化ケイ素発熱体(試料1〜9の発熱体)が製造された。
【0113】
(評価)
(曲げ強度)
製造された炭化ケイ素発熱体(試料1〜6の発熱体)のうち、試料1〜5の発熱体の曲げ強度を測定した。
【0114】
実施例及び比較例のサンプルに曲げ試験を施し、曲げ強度を測定した。
【0115】
曲げ強度の測定は、電子式万能試験機(米倉製作所製、CATY)を用いて、支点間距離;4cmの3点曲げ試験により行われた。試験結果を表3に示した。
【0116】
【表3】

【0117】
表3に示したように、原料中にアルミニウム成分(アルミナ)を含まない試料1に対して、原料中にアルミニウムを0.5mol%,1mol%,2mol%で含む試料2〜4は、曲げ強度が高くなっている。また、表1から、原料中にアルミニウム成分を含有させたときに、含まれるアルミニウム量が多くなるにつれて、曲げ強度が大きくなり、1〜2mol%近傍で曲げ強度が最大となり、その後、アルミニウム量が多くなるにつれて曲げ強度の値が減少することが確認できる。なお、試料6の発熱体は、試料1〜5の発熱体での測定結果の傾向から、曲げ強度がかなり低いことが推測できたため、測定を行わなかった。
【0118】
つまり、原料中にアルミニウム成分を含む場合には、含有量が1〜2%近傍(0.5〜2%)のときに最も曲げ強度が高くなることが確認できた。
【0119】
(電気抵抗率)
次に、製造された炭化ケイ素発熱体(試料1〜6の発熱体)のうち、試料1〜5の発熱体の抵抗値の特性(電気抵抗率)を測定した。
【0120】
電気抵抗率の測定は、次のようにして行われた。まず、パイプ状の各試料の発熱体の両端部の外周面に、10cmの間隔を隔てた状態で銀ペーストを塗布して電極端子とした。一対の電極端子間に、大容量直流電源装置(高砂製作所製、HX0300−50)で電圧を印加し、そのときの電流値を測定し、電気抵抗率を算出した。電気抵抗率の測定は、室温(20℃)と高温(400℃)で行われた。測定結果を、表3に合わせて示した。
【0121】
表3に示したように、原料中にアルミニウム成分を含有する各試料は、発熱体として十分な電気抵抗率を有していることが確認できる。その上で、アルミニウムの含有割合が多くなるほど、室温及び高温での電気抵抗率が低くなっていることがわかる。つまり、原料中にアルミニウム成分を含む場合には、含有量が多くなるほど電気抵抗率が低くなることが確認できた。
【0122】
(実施例2)
本実施例では、成形体を焼成するときの焼成雰囲気をアルゴンから窒素に変更したこと以外は実施例1のときと同様にして、炭化ケイ素発熱体を製造した。なお、本実施例では、アルミニウムの含有量を0mol%(試料7),2mol%(試料8),5mol%(試料9)とした発熱体を製造した。
【0123】
(評価)
(曲げ強度および電気抵抗率)
試料7〜9の発熱体の曲げ強度および電気抵抗率を測定し、表3に合わせて示した。なお、曲げ強度および電気抵抗率は、実施例1の時と同様にして行った。
【0124】
表3に示したように、実施例1の時と同様に、原料中にアルミニウム成分を含む場合には、含有量が2%の試料8が、最も高い曲げ強度を有していることが確認できた。
【0125】
また、原料中にアルミニウム成分を含有する試料は、発熱体として十分な電気抵抗率を有していることが確認できた。
【0126】
(X線回折)
試料1,4,5及び試料7〜9の発熱体のX線回折を測定した。
【0127】
X線回折は、粉末X線回折装置(リガク製、RINT2000)でそれぞれの発熱体の結晶相を同定することで行われた。得られた回折ピークを図1〜2に示した。なお、図1〜2は、測定された各試料の回折ピークのピーク位置を比較することを目的に、複数の回折ピークを一つの図に示したものである。つまり、試料1,7以外の回折ピークの回折強度の値(グラフの縦軸の値)は、相対量から読みとる。
【0128】
図1及び2に示したように、各試料の回折ピークには、炭化ケイ素の回折ピークのみが確認できる。すなわち、原料として用いたケイ素,炭素,アルミニウム成分(アルミナ)のピークが確認できず、これらの成分が含まれないことがわかる。つまり、本発明の製造方法により製造された各試料の発熱体は、原料に用いられたこれらの成分が残留しないことで、製造された発熱体の特性に影響を与えなくなっている。
【0129】
すなわち、炭化ケイ素,ケイ素,炭素,アルミニウム成分(アルミナ)のそれぞれの粒子を混在させて、焼結して製造される各試料においては、アルミニウム成分が完全にドープした炭化ケイ素発熱体となっていることが確認できた。
【0130】
(実施例3)
本実施例では、ハニカム形状の発熱体を製造した。
【0131】
製造される発熱体(試料10)は、成形体の形状が異なること以外は、上記の試料4と同様にして、ハニカム形状の発熱体を製造した。
【0132】
なお、製造された試料10のハニカム形状の発熱体は、断面正方形のセルを有し、外径:90mm、軸方向の長さ:110mm、セル数:60セル/cm(400セル/inch)の略柱状のハニカム形状であった。
【0133】
次に、成形体を焼成するときの焼成雰囲気をアルゴンから窒素に変更したこと以外は試料10と同様にして、ハニカム形状の発熱体(試料11)を製造した。
【0134】
(評価)
試料10,11のハニカム形状の発熱体に、実施例1の時と同様に、曲げ試験及び電気抵抗率の測定を行って評価した。なお、本評価において、電気抵抗率の測定は、実施例1の時と同様に行った。また、曲げ試験は、下記のように行われた。試験結果を、表4に示した。
【0135】
曲げ試験は、各試料のハニカムから4×6セルの角柱を切り出し、支点間距離を3cmとして測定した。詳細な試験方法は、JIS R1601によった。
【0136】
【表4】

【0137】
表4に示したように、焼成雰囲気をアルゴンから窒素に変更しても、高い曲げ強度を維持されていることが確認できる。さらに、室温及び高温のいずれの温度でも、電気抵抗率が発熱体として十分な高さを有していることが確認できる。
【0138】
(実施例4)
本実施例では、アルミニウムの含有量と焼成時の焼成条件(温度,時間)を変化させたこと以外は、実施例2のときと同様にして、炭化ケイ素発熱体を製造した。なお、本実施例では、アルミニウムの含有量を0.5mol%(試料2と同様の配合),1.0mol%(試料3と同様の配合),2.0mol%(試料4と同様の配合)とした発熱体を製造した。
【0139】
試料12,13,14,15は、アルミニウムの含有量:0.5mol%,焼成時間:1時間,焼成温度1800,1900,2000,2200℃のそれぞれの条件で製造された発熱体である。
【0140】
試料16,17,18,19は、アルミニウムの含有量:0.5mol%,焼成時間:4時間,焼成温度1800,1900,2000,2200℃のそれぞれの条件で製造された発熱体である。
【0141】
試料20,21,22,23は、アルミニウムの含有量:1.0mol%,焼成時間:4時間,焼成温度1800,1900,2000,2200℃のそれぞれの条件で製造された発熱体である。
【0142】
試料24,25,26,27は、アルミニウムの含有量:2.0mol%,焼成時間:4時間,焼成温度1800,1900,2000,2200℃のそれぞれの条件で製造された発熱体である。
【0143】
試料28,29は、アルミニウムの含有量:0.5mol%,焼成時間:7時間,焼成温度1800,2000℃のそれぞれの条件で製造された発熱体である。
【0144】
(評価)
試料12〜29の発熱体を、実施例1の時と同様に、電気抵抗率の値を測定して評価した。なお、本評価において、電気抵抗率の測定は、実施例1の時と同様に行った。測定結果を、表5〜7に示した。なお、表5は焼成時間1時間の試料12〜15の測定結果を、表6は焼成時間4時間の試料16〜27の測定結果を、表7は焼成時間7時間の試料28〜29の測定結果を、それぞれ示した。表5〜7においては、下記の数2で示される式により求められる抵抗率比を合わせて示した。
【0145】
【表5】

【0146】
【表6】

【0147】
【表7】

【0148】
【数2】

【0149】
各表に示したように、1800〜2200℃のそれぞれの焼成温度で焼成して製造された各試料の発熱体は、発熱体として十分な電気抵抗率を有していることが確認できる。
【0150】
そして、特に表5,6に示したように、焼成温度が低くなるにつれて、抵抗率比が小さくなっている。この抵抗率比は、低温(室温,20℃)での電気抵抗率と、高温(400℃)での電気抵抗率の比で表される比であり、両温度での電気抵抗率の差が大きくなるほど、抵抗率比が大きくなる。抵抗率比は、温度依存性を示す。そして、表5〜6に示したように、焼成温度が低い発熱体は、焼成温度が高い発熱体と比較したときに、温度依存性が低くなっていることが確認できる。
【0151】
発熱体の温度依存性は、発熱体の性能に大きな影響を及ぼす。具体的には、温度依存性が低い発熱体に電圧を印加して発熱を生じさせるときに、低温時に所定の発熱量を生じるために必要な電力量と、高温時に所定の発熱量を生じるために必要な電力量と、の差が小さくなっている。逆に温度依存性の高い発熱体に発熱を生じさせるときには、低温時と高温時では必要な電力量の差が大きくなる。すなわち、試料13〜14,17〜18,21〜22,25〜26の発熱体は、400℃の高温時に発熱体を発熱するために電圧を印加したときに、試料15,19,23,27よりも小さな印加電圧で所定の熱量を発熱することが可能となっている。
【0152】
上記したように、各実施例において製造された試料は、本発明の各製造方法に記載の通りに製造することで、高い強度を有しながら、室温及び高温において優れた電気抵抗率を有することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、
混合物を焼成する工程と、
を有する炭化ケイ素発熱体の製造方法であって、
該アルミニウムは、該炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が0.1〜5%であることを特徴とする炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項2】
全体を100%としたときに、前記炭化ケイ素が55〜95mass%で含まれる混合物を焼成する請求項1記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項3】
前記炭素のモル数が、前記ケイ素のモル数よりも多く含まれる混合物を焼成する請求項1〜2のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項4】
前記アルミニウム原料は、アルミナである請求項1〜3のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項5】
1800〜2200℃,1〜10時間で焼成される請求項1〜4のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項6】
不活性ガス雰囲気下で焼成が進められる請求項1〜5のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項7】
前記混合物は、成形された状態で焼成される請求項1〜6のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項8】
焼成後に、酸化性雰囲気下で焼成温度よりも低い温度で熱処理される請求項1〜7のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項9】
炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、
混合物を焼成する工程と、
を有する炭化ケイ素発熱体の製造方法であって、
該混合物を焼成する工程は、該混合物を1800〜2200℃で焼成することを特徴とする炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項10】
前記アルミニウム原料は、前記炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が2.00%以下となるように混合している請求項9記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項11】
前記炭素のモル数が、前記ケイ素のモル数よりも多く含まれる混合物を焼成する請求項9〜10のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項12】
全体を100%としたときに、前記炭化ケイ素が55〜95mass%で含まれる混合物を焼成する請求項9〜11のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項13】
前記アルミニウム原料は、アルミナである請求項9〜12のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項14】
1〜10時間の焼成時間で焼成される請求項9〜13のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項15】
不活性ガス雰囲気下で焼成が進められる請求項9〜14のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項16】
前記混合物は、成形された状態で焼成される請求項9〜15のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項17】
焼成後に、酸化性雰囲気下で焼成温度よりも低い温度で熱処理される請求項9〜16のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項18】
炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有し、
アルミニウムが配されていることを特徴とする炭化ケイ素発熱体。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法により製造された請求項17記載の炭化ケイ素発熱体。
【請求項20】
炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、
混合物を焼成する工程と、
を有するハニカムの製造方法であって、
該アルミニウムは、該炭化ケイ素に対するアルミニウムのモル比が0.1〜5%であることを特徴とするハニカムの製造方法。
【請求項21】
全体を100%としたときに、前記炭化ケイ素が55〜95mass%で含まれる混合物を焼成する請求項20記載のハニカムの製造方法。
【請求項22】
前記炭素のモル数が、前記ケイ素のモル数よりも多く含まれる混合物を焼成する請求項20〜21のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項23】
前記アルミニウム原料は、アルミナである請求項20〜22のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項24】
1800〜2200℃,1〜10時間で焼成される請求項20〜23のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項25】
不活性ガス雰囲気下で焼成が進められる請求項20〜24のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項26】
前記混合物は、成形された状態で焼成される請求項20〜25のいずれかに記載の炭化ケイ素発熱体の製造方法。
【請求項27】
焼成後に、酸化性雰囲気下で焼成温度よりも低い温度で熱処理される請求項20〜26のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項28】
炭化ケイ素と、ケイ素と、炭素と、アルミニウム原料と、を混合する工程と、
混合物を焼成する工程と、
を有するハニカムの製造方法であって、
該混合物を焼成する工程は、該混合物を1800〜2200℃で焼成することを特徴とするハニカムの製造方法。
【請求項29】
前記アルミニウム原料は、該アルミニウム原料に含まれるアルミニウムが、前記炭化ケイ素に対するモル比で2.00%以下となるように混合している請求項28記載のハニカムの製造方法。
【請求項30】
前記炭素のモル数が、前記ケイ素のモル数よりも多く含まれる混合物を焼成する請求項28〜29のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項31】
前記アルミニウム原料は、アルミナである請求項28〜30のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項32】
1〜10時間の焼成時間で焼成される請求項28〜31のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項33】
不活性ガス雰囲気下で焼成が進められる請求項28〜32のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項34】
前記混合物は、成形された状態で焼成される請求項28〜33のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項35】
焼成後に、酸化性雰囲気下で焼成温度よりも低い温度で熱処理される請求項28〜34のいずれかに記載のハニカムの製造方法。
【請求項36】
炭素とケイ素とから生成した炭化ケイ素を有し、
アルミニウムが配されていることを特徴とするハニカム。
【請求項37】
請求項20〜35のいずれかに記載のハニカムの製造方法により製造された請求項36記載のハニカム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−131686(P2012−131686A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288308(P2010−288308)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000220767)東京窯業株式会社 (211)
【Fターム(参考)】