説明

炭化処理装置

【課題】 チップ化した廃材を熱効率よく、且つ、円滑に炭化処理できると共に、清掃も容易であり、且つ、搬送自在の炭化処理装置を提供する。
【解決手段】 チップ化した廃材をスクリュー2,2…によって搬送しながら炭化処理する炭化筒3,3…と、炭化筒3,3…を内装し、炭化筒3,3…を加熱する燃焼窯4と、高温ガスを燃焼窯4内に供給する燃焼室5と、燃焼窯4内の高温ガスを排気処理する排気装置6と、炭化筒3,3…内で発生する塵埃を集塵する集塵装置7と、前記スクリュー2,2…を駆動するための発動発電機8と、燃焼室5内にエアーを供給するエアコンプレッサー9とを備えた炭化処理装置1であって、前記炭化筒3,3…は燃焼窯4内に2列2段に4本内装され、炭化筒3,3…の上段炭化筒3A,3Aの下流端部が下段炭化筒3B,3Bの上流端部に連結されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化処理装置に関し、特に、チップ化した廃材を効率よく炭化処理できる搬送自在の炭化処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
此種従来の炭化処理装置の一例として、例えば、炭化炉内に外熱形多段方式の4〜6段のスクリューコンベヤを備え、最上段のスクリューコンベヤに投入された乾燥汚泥が、スクリューコンベヤ内を上段から下段に順次移送され、移送される間に低酸素状態で加熱されて熱分解し、乾留、炭化される連続炭化装置が知られている。
【0003】
又、特許文献1には、外周域全面に亘って筒状ヒータを外嵌する円筒形の炭化室内に、加圧リングを同軸状に嵌挿した回転自在なスクリュー体を進退可能に嵌入し、一方、炭化室の一端側部に木材の投入口を設け、かつ炭化室の外側に木酢取出し機構を分岐配設すると共に、スクリュー体の進入先端側に臨む炭化室壁に木炭排出用の吐出ノズルを設け、スクリュー体の回転進入作動に連繋して木材を吐出ノズル側に加熱搬送する木材炭化装置が記載されている。
【0004】
更に、特許文献2には、中央部が多孔質セラミックスにより形成された筒体と、この筒体の多孔質セラミックス部分を加熱するバーナと、筒体の一方から他方に向かって木材チップを通過させる送り機構と、筒体の軸芯を中心として筒体を回動させるようにしたモータが具備され、送り機構によってホッパから取り込まれた木材チップは、筒体内で加熱され、その加熱により発火することなく炭化され、筒体より押し出されて回収箱内に蓄積される炭化装置が記載されている。
【特許文献1】特開平6−299178号公報
【特許文献2】特開平10−95981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の連続炭化装置は、スクリューコンベヤによって乾燥汚泥を上段から下段に順次移送し、移送する間に乾燥汚泥を低酸素状態で加熱して熱分解し、乾留、炭化することができる。
【0006】
然しながら、この連続炭化装置は、比較的大型で、据付式のものであり、搬送自在の装置ではない。又、この装置のスクリューコンベヤは炭化炉内に完全に内装されていないため、炭化炉から突出したスクリューコンベヤ部分で冷却されてしまい熱効率が悪いという問題がある。
【0007】
又、スクリューコンベヤが3段以上連続して連結された場合、搬送距離が長くなることにより、スクリューコンベヤ内で詰まりが生じる虞がある。
【0008】
更に、スクリューコンベヤが炭化炉から取外し自在の構成ではないため、スクリューコンベヤ内、炭化炉内の清掃が比較的煩雑である。
【0009】
前述した特許文献1記載の木材炭化装置は、スクリュー体の回転進入作動に連繋して木材を吐出ノズル側に加熱搬送し、炭化することができる。
【0010】
然しながら、この木材炭化装置は、スクリュー体を嵌入する円筒形の炭化室が1つ設けられ、1つの炭化室を外周から筒状ヒータで加熱する構成であるので、多列多段に配列されたものに比べて熱効率が悪く、炭化効率も悪いという問題がある。
【0011】
前述した特許文献2記載の炭化装置は、中央部に多孔質セラミックス部分を有する筒体を備え、多孔質セラミックス部分を加熱した状態で、送り機構によって、木材チップを筒体内を通過させることにより、木材チップを加熱し、発火させることなく炭化するものである。
【0012】
然しながら、この炭化装置は、筒体が1つ設けられるため、多列多段に配列されたものに比べて熱効率が悪く、炭化効率も悪いという問題があり、又、多孔質セラミックス部分を加熱するものであるため、加熱する部分が短く、更に、熱効率が悪く、炭化効率も悪いという問題がある。
【0013】
以上の現状に鑑み、本発明は、チップ化した廃材を熱効率よく、且つ、円滑に炭化処理できると共に、清掃も容易であり、且つ、搬送自在の炭化処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決すべく、本発明は以下の構成を提供する。
請求項1に係る発明は、チップ化した廃材をスクリューによって搬送しながら炭化処理する炭化筒と、該炭化筒を内装し、該炭化筒を加熱する燃焼窯と、燃焼により高温ガスを発生させ、発生させた高温ガスを該燃焼窯内に供給する燃焼室と、該燃焼窯内の高温ガスを排気処理する排気装置と、該炭化筒内で発生する塵埃を集塵する集塵装置と、前記スクリューを駆動するための発動発電機と、前記燃焼室内にエアーを供給するエアコンプレッサーとを備えた炭化処理装置であって、前記炭化筒は前記燃焼窯内に2列2段に4本内装され、該炭化筒の上段炭化筒と下段炭化筒とは前記スクリューの搬送方向が互いに反対方向に設定され、該上段炭化筒の下流端部が該下段炭化筒の上流端部に連結されていることを特徴とする炭化処理装置を提供するものである。
【0015】
請求項2に係る発明は、上記上段炭化筒の上流端部の上部に開口部が形成され、該開口部の上方に投入ホッパが設けられ、該投入ホッパの上方にベルトコンベアの下流端部が配設され、該ベルトコンベアによって搬送された廃材が該投入ホッパ内に投入され、該投入ホッパ内の廃材が前記開口部から前記上段炭化筒内へ供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の炭化処理装置を提供するものである。
【0016】
請求項3に係る発明は、上記下段炭化筒の下流端部の下部に開口部が形成され、該開口部の下方に排出シュートが設けられ、該排出シュートの下方にスクリューを内装した搬送筒の上流端部が配設され、前記下段炭化筒内で搬送された炭化された廃材が、前記開口部から該排出シュートを介して該搬送筒内に排出され、該搬送筒内を搬送されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の炭化処理装置を提供するものである。
【0017】
請求項4に係る発明は、上記排気装置に上記炭化筒と連結し、該排気装置内で処理された排気を該炭化筒内に送風する送風管を設けたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の炭化処理装置を提供するものである。
【0018】
請求項5に係る発明は、上記4本の炭化筒は相互に固定され、且つ、上記燃焼窯内に着脱自在に取付けられ、該燃焼窯の後部端に設けた大型ハッチを開いて取出し自在に構成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の炭化処理装置を提供するものである。
【0019】
請求項6に係る発明は、上記炭化筒を内装する燃焼窯と、上記燃焼室と、上記排気装置と、上記集塵装置と、上記発動発電機と、上記エアコンプレッサーと、上記投入ホッパと、上記ベルトコンベアと、上記排出シュートと、上記スクリューを内装した搬送筒とは同時に運搬トラックの荷台に搭載自在であり、且つ、搭載して搬送自在であることを特徴とする請求項3,4又は5記載の炭化処理装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1記載の発明によれば、チップ化した廃材をスクリューによって搬送しながら炭化処理する炭化筒と、該炭化筒を内装し、該炭化筒を加熱する燃焼窯と、燃焼により高温ガスを発生させ、発生させた高温ガスを該燃焼窯内に供給する燃焼室と、該燃焼窯内の高温ガスを排気処理する排気装置と、該炭化筒内で発生する塵埃を集塵する集塵装置と、前記スクリューを駆動するための発動発電機と、前記燃焼室内にエアーを供給するエアコンプレッサーとを備えた炭化処理装置であって、前記炭化筒は前記燃焼窯内に2列2段に4本内装され、該炭化筒の上段炭化筒と下段炭化筒とは前記スクリューの搬送方向が互いに反対方向に設定され、該上段炭化筒の下流端部が該下段炭化筒の上流端部に連結されている炭化処理装置を提供するので、チップ化した廃材を熱効率よく、且つ、円滑に炭化処理できる。
【0021】
請求項2記載の発明によれば、上記上段炭化筒の上流端部の上部に開口部が形成され、該開口部の上方に投入ホッパが設けられ、該投入ホッパの上方にベルトコンベアの下流端部が配設され、該ベルトコンベアによって搬送された廃材が該投入ホッパ内に投入され、該投入ホッパ内の廃材が前記開口部から前記上段炭化筒内へ供給されるように構成されているので、請求項1記載の発明の効果に加え、廃材をベルトコンベアによってホッパから炭化筒内に自動的に投入可能である。
【0022】
請求項3記載の発明によれば、上記下段炭化筒の下流端部の下部に開口部が形成され、該開口部の下方に排出シュートが設けられ、該排出シュートの下方にスクリューを内装した搬送筒の上流端部が配設され、前記下段炭化筒内で搬送された炭化された廃材が、前記開口部から該排出シュートを介して該搬送筒内に排出され、該搬送筒内を搬送されるように構成されているので、請求項1又は2記載の発明の効果に加え、炭化された廃材が、自動的に下段炭化筒の開口部から排出シュートを介して該搬送筒に排出され、搬送筒で搬送できる。
【0023】
請求項4記載の発明によれば、上記排気装置に上記炭化筒と連結し、該排気装置内で処理された排気を炭化筒内に送風する送風管を設けたので、請求項1,2又は3記載の発明の効果に加え、炭化筒内に排気を送風することによって炭化筒内への酸素流入を抑制し、炭化筒内の無酸素、或いは、低酸素化を促進して、廃材の良好な炭化を可能にする。
【0024】
請求項5記載の発明によれば、上記4本の炭化筒は相互に固定され、且つ、上記燃焼窯内に着脱自在に取付けられ、該燃焼窯の後部端に設けた大型ハッチを開いて取出し自在に構成されているので、請求項1,2,3又は4記載の発明の効果に加え、大型ハッチを開いて炭化筒を取外すことができ、炭化筒、燃焼窯の清掃、保守を容易に行うことができる。
【0025】
請求項6記載の発明によれば、上記炭化筒を内装する燃焼窯と、上記燃焼室と、上記排気装置と、上記集塵装置と、上記発動発電機と、上記エアコンプレッサーと、上記投入ホッパと、上記ベルトコンベアと、上記排出シュートと、上記スクリューを内装した搬送筒とは同時に運搬トラックの荷台に搭載自在であり、且つ、搭載して搬送自在であるので、請求項3,4又は5記載の発明の効果に加え、炭化処理装置を搬送して廃材の発生現場での炭化処理が可能となり、且つ、処理済の炭化物の現場周辺での利用が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、実施例を示した図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
図1及び図2に於いて、1は本発明の炭化処理装置を示し、炭化処理装置1は、チップ化した廃材をスクリュー2,2…によって搬送しながら炭化処理する炭化筒3,3…と、炭化筒3,3…を内装し、炭化筒3,3…を加熱する燃焼窯4と、燃焼により高温ガスを発生させ、発生させた高温ガスを燃焼窯4内に供給する燃焼室5と、燃焼窯4内の高温ガスを処理する排気装置6と、炭化筒3,3…内で発生する塵埃を集塵する集塵装置7と、前記スクリュー2,2…を駆動するための発動発電機8と、燃焼室5内にエアーを供給するエアコンプレッサー9とを備えている。
【0027】
尚、前記廃材は、伐根類及び小枝、葉、小幹等の廃棄物を、例えば、2インチ程度の長さのチップに破砕したものであるが、それらに限定されるものではなく、例えば、他の木類、草類等であっても良く、又、湿材、乾材のいずれであっても良い。
【0028】
そして、前記炭化筒3,3…は、例えば、直径200mm、長さ1,800mmの銅又はアルミニューム等の熱効率の高い材質で形成され、外壁面が耐熱性の断熱材4aで覆われた横型キルン式の燃焼窯4内に2列2段に4本内装されており、炭化筒3,3…を構成する上段炭化筒3A,3Aと下段炭化筒3B,3Bとはそれに内装されたスクリュー2,2…の搬送方向が互いに反対方向に設定され、上段炭化筒3A,3Aの下流端部が下段炭化筒3B,3Bの上流端部に連結部10,10を介して夫々連結されている。
【0029】
又、前記上段炭化筒3A,3Aの上流端部の上部に開口部11,11が夫々形成され、開口部11,11の上方に投入ホッパ12が設けられ、投入ホッパ12の上方にベルトコンベア13の下流端部が配設され、ベルトコンベア13によって搬送された廃材が投入ホッパ12内に投入され、投入ホッパ12内の廃材が上段炭化筒3A,3Aの開口部11,11から供給されるように構成されている。
【0030】
更に、前記下段炭化筒3B,3Bの下流端部の下部に開口部14,14が形成され、開口部14,14の下方に排出シュート15が設けられ、排出シュート15の下方にスクリュー16を内装した搬送筒17の上流端部が配設され、前記下段炭化筒3B下流端部まで搬送された炭化された廃材が、開口部14から排出シュート15を介して搬送筒17内に排出され、搬送筒17内を搬送され、搬送筒17下流端部で集積ホッパ(図示せず)等に排出されるように構成されている。
【0031】
更に又、前記燃焼室5には燃焼窯4と連通して、燃焼室5内で燃焼により発生させた高温ガスを燃焼窯4に供給する供給管18が配設されると共に、燃焼窯4と連通して燃焼窯4内の高温ガスを燃焼室5内に排出させる排出管(図示せず)が配設されており、且つ、炭化筒3,3…と連通して炭化筒3,3…で発生する乾留ガスを燃焼室5内に排出させる排出管(図示せず)が配設され、炭化筒3,3…で発生する乾留ガスと、燃焼窯4から排出される高温ガスとを燃焼室5内に排出させて混合し再燃焼させるように構成されている。
【0032】
そして、前記排気装置6には、炭化筒3,3…と連通して炭化筒3,3…内の乾留ガスを排出させる排出管19と、燃焼窯4と連通して燃焼窯4内の燃焼ガスを排出させる排出管20とが配設されている。排気装置6内に排出された乾留ガスと燃焼ガスは排気装置6内で消煙処理されて大気中に排出される。
【0033】
又、前記排気装置6には炭化筒3,3…と連通し、排気装置6内で処理した排気を炭化筒3内に送風する送風管(図示せず)が配設されている。
【0034】
更に又、前記集塵装置7には炭化筒3,3…と連通して炭化筒3,3…内の塵埃を集塵するための連通管21が配設されている。
【0035】
そして、前記4本の炭化筒3,3…は相互に固定され、且つ、前記燃焼窯4内に着脱自在に取付けられ、燃焼窯4の後部端に設けられた大型ハッチ22を開いて取外し自在に構成されている。
【0036】
又、前記炭化筒3,3…を内装する燃焼窯4と、燃焼室5と、排気装置6と、集塵装置7と、発動発電機8と、エアコンプレッサー9と、投入ホッパ12と、ベルトコンベア13と、排出シュート15と、スクリュー16を内装した搬送筒17とは同時に運搬トラック等の荷台23に搭載自在であり、且つ、搭載して搬送自在に構成されている。
【0037】
而して、前記炭化処理装置1の処理の流れを説明すると、エアコンプレッサー9からエアーを供給されて燃焼室5内で燃料が燃焼すると、燃焼室5内に高温ガスが発生し、発生した高温ガスは供給管18を介して燃焼窯4内に供給され、燃焼窯4内に滞留して炭化筒3,3…を加熱する。
【0038】
そして、ベルトコンベア13によって搬送された廃材は、ベルトコンベア13の下流端から投入ホッパ12内に投入され、投入ホッパ12から開口部11,11を介して分流して上段炭化筒3A,3Aの上流端部に供給され、上段炭化筒3A,3A内をスクリュー2,2によって下流へ搬送される。
【0039】
そして、廃材は、上段炭化筒3A,3Aの下流端部に達すると、連結部10,10を介して下段炭化筒3B,3Bの上流端部に排出され、下段炭化筒3B,3B内をスクリュー2,2によって下段炭化筒3B,3Bの下流端部に搬送され、開口部14,14から排出シュート15内で合流して搬送筒17内に搬送される。
【0040】
廃材は上段炭化筒3A,3A及び下段炭化筒3B,3Bを搬送される時、燃焼窯4内の高温ガスによって400℃以上に加熱される。その時、廃材は炭化筒3,3…内でスクリュー2,2…によって搬送されるため無酸素状態、或いは、低酸素状態で加熱されることにより、乾燥し、乾留された後、炭化する。
【0041】
即ち、廃材は加熱された上段炭化筒3A,3A及び下段炭化筒3B,3Bを搬送されることによって、廃材内の水分が気化され、廃材内の有害物質であるポリフェノール類や、リグニン等が分解されて炭化が進み、搬送筒17に排出される廃材は十分に炭化され、セルロース材等を主成分とする炭化チップに変化する。
【0042】
又、廃材は前記上段炭化筒3A,3A及び下段炭化筒3B,3B内で、攪拌され、且つ、破砕される。
【0043】
更に、搬送筒17に排出された炭化チップは搬送筒17内をスクリュー16によって集積ホッパ(図示せず)等に排出される。この時、炭化チップは、スクリュー16の摺擦作用によって繊維質が分離されると共に、搬送筒17内を搬送される間に冷却される。
【0044】
更に又、前記炭化筒3,3…から排出管19を介して排出される乾留ガスと、燃焼窯4から排出管20を介して排出される高温ガスとは排気装置6内に排出され、排気装置6内で消煙処理された後、大気中に排出される。
【0045】
又、排気装置6内で消煙処理されたガスの一部が送風管を介して炭化筒3,3…内に供給されることにより、炭化筒3,3…内の無酸素、或いは、低酸素化が促進される。
【0046】
更に、前記炭化筒3,3…から排出管(図示せず)を介して燃焼室5内に排出される乾留ガスと、燃焼窯4から排出管(図示せず)を介して燃焼室5内に排出される燃焼ガスとは燃焼室5内で混合され、燃焼されて高温ガスとなり、供給管18を介して燃焼窯4内に供給される。
【0047】
斯くして、本発明の炭化処理装置1は、炭化筒3,3…が燃焼窯4内に2列2段に4本内装され、上段炭化筒3A,3Aの下流端部が下段炭化筒3B,3Bの上流端部に連結されているので、受熱面積を広くすることができると共に、廃材を搬送しながら適度な時間加熱することができ、且つ、搬送距離が長過ぎず詰まりの虞もないため、チップ化した廃材を熱効率よく、且つ、円滑に炭化処理できる。
【0048】
又、上段炭化筒3A,3Aの開口部11,11の上方に投入ホッパ12が設けられ、投入ホッパ12の上方にベルトコンベア13の下流端部が配設されているので、廃材をベルトコンベア13によってホッパ12から炭化筒3内に自動的に投入可能である。
【0049】
更に、下段炭化筒3B,3Bの下流端部の下部に開口部14,14が形成され、開口部14,14の下方に排出シュート15が設けられ、排出シュート15の下方にスクリュー16を内装した搬送筒17の上流端部が配設されているので、炭化された廃材が、自動的に下段炭化筒3B,3Bの開口部14,14から排出シュート15を介して搬送筒17に排出される。
【0050】
更に又、前記排気装置6には炭化筒3,3…と連通し、排気装置6内で処理した排気を炭化筒3内に送風する送風管が配設されているので、炭化筒3,3…内に排気を供給することによって炭化筒3,3…内への酸素流入を抑制し、炭化筒内の無酸素、或いは、低酸素化を促進して、廃材の良好な炭化を可能にする。
【0051】
そして、前記4本の炭化筒3,3…は相互に固定され、且つ、燃焼窯4内に着脱自在に取付けられ、燃焼窯4の後部端に設けた大型ハッチ22を開いて取外し自在に構成されているので、大型ハッチ22を開いて炭化筒3,3…を取外すことができ、炭化筒3,3…、燃焼窯4の清掃、保守を容易に行うことができる。
【0052】
又、前記炭化筒3,3…を内装する燃焼窯4と、燃焼室5と、排気装置6と、集塵装置7と、発動発電機8と、エアコンプレッサー9と、投入ホッパ12と、ベルトコンベア13と、排出シュート15と、スクリュー16を内装した搬送筒17とは同時に運搬トラックの荷台23に搭載自在であり、且つ、搭載して搬送自在であるので、炭化処理装置1を搬送して廃材の発生現場での炭化処理が可能となり、且つ、処理済の炭化物の現場周辺での利用が容易になる。
【0053】
尚、処理済の炭化物は、例えば、植生基盤材、土壌改良材等として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明による炭化処理装置を概略的に示す一部切欠正面図である。
【図2】本発明による炭化処理装置を概略的に示す一部切欠側面図である。
【符号の説明】
【0055】
1 炭化処理装置
2,16 スクリュー
3 炭化筒
3A 上段炭化筒
3B 下段炭化筒
4 燃焼窯
5 燃焼室
6 排気装置
7 集塵装置
8 発動発電機
9 エアコンプレッサー
11,14 開口部
12 投入ホッパ
13 ベルトコンベア
15 排出シュート
17 搬送筒
22 大型ハッチ
23 荷台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ化した廃材をスクリューによって搬送しながら炭化処理する炭化筒と、該炭化筒を内装し、該炭化筒を加熱する燃焼窯と、燃焼により高温ガスを発生させ、発生させた高温ガスを該燃焼窯内に供給する燃焼室と、該燃焼窯内の高温ガスを排気処理する排気装置と、該炭化筒内で発生する塵埃を集塵する集塵装置と、前記スクリューを駆動するための発動発電機と、前記燃焼室内にエアーを供給するエアコンプレッサーとを備えた炭化処理装置であって、前記炭化筒は前記燃焼窯内に2列2段に4本内装され、該炭化筒の上段炭化筒と下段炭化筒とは前記スクリューの搬送方向が互いに反対方向に設定され、該上段炭化筒の下流端部が該下段炭化筒の上流端部に連結されていることを特徴とする炭化処理装置。
【請求項2】
上記上段炭化筒の上流端部の上部に開口部が形成され、該開口部の上方に投入ホッパが設けられ、該投入ホッパの上方にベルトコンベアの下流端部が配設され、該ベルトコンベアによって搬送された廃材が該投入ホッパ内に投入され、該投入ホッパ内の廃材が前記開口部から前記上段炭化筒内へ供給されるように構成されていることを特徴とする請求項1記載の炭化処理装置。
【請求項3】
上記下段炭化筒の下流端部の下部に開口部が形成され、該開口部の下方に排出シュートが設けられ、該排出シュートの下方にスクリューを内装した搬送筒の上流端部が配設され、前記下段炭化筒内で搬送された炭化された廃材が、前記開口部から該排出シュートを介して該搬送筒内に排出され、該搬送筒内を搬送されるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の炭化処理装置。
【請求項4】
上記排気装置に上記炭化筒と連結し、該排気装置内で処理された排気を該炭化筒内に送風する送風管を設けたことを特徴とする請求項1,2又は3記載の炭化処理装置。
【請求項5】
上記4本の炭化筒は相互に固定され、且つ、上記燃焼窯内に着脱自在に取付けられ、該燃焼窯の後部端に設けた大型ハッチを開いて取出し自在に構成されていることを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の炭化処理装置。
【請求項6】
上記炭化筒を内装する燃焼窯と、上記燃焼室と、上記排気装置と、上記集塵装置と、上記発動発電機と、上記エアコンプレッサーと、上記投入ホッパと、上記ベルトコンベアと、上記排出シュートと、上記スクリューを内装した搬送筒とは同時に運搬トラックの荷台に搭載自在であり、且つ、搭載して搬送自在であることを特徴とする請求項3,4又は5記載の炭化処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2006−176553(P2006−176553A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−368711(P2004−368711)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(503183396)緑豊工業株式会社 (1)
【出願人】(504468388)イガリ建設株式会社 (2)
【Fターム(参考)】