炭化珪素基板、炭化珪素基板の製造方法、および半導体装置の製造方法
【課題】マイクロパイプ密度が低く、かつ断面積の大きなマイクロパイプのない炭化珪素基板を提供する。
【解決手段】縁領域60は5ミリメートル幅のものである。有効領域70は、縁領域60に囲まれており、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する。有効領域70には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在していない。有効領域70は、有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域71を含む。複数の高品質領域71の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する。
【解決手段】縁領域60は5ミリメートル幅のものである。有効領域70は、縁領域60に囲まれており、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する。有効領域70には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在していない。有効領域70は、有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域71を含む。複数の高品質領域71の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素基板、炭化珪素基板の製造方法、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、十分な大きさと、十分に少ない欠陥とを有する炭化珪素基板を得るための結晶成長法の検討がなされている。欠陥の低減としては、特にマイクロパイプ密度の低減が課題とされている。
【0003】
特表2008−515749号公報において例示された方法によれば、結晶成長において、少なくとも約100mmの直径を有する種結晶が用いられる。またこの公報において、マイクロパイプ密度を7.23cm-2にまで低減することができたとの報告がなされている。しかしながら、直径100mmという値は、半導体分野において工業的に用いられているシリコン基板の直径に比べると、依然としてかなり小さい。またマイクロパイプ密度7.23cm-2という値は、より信頼性の高い半導体装置を得ようとするには依然として大きい。
【0004】
米国特許出願公開第2004/0187766号明細書によれば、支持基板上に転写された複数の単結晶膜を成長面として用いることが提案されている。単結晶膜の数が増やされることで、直径約300mmの基板の製造に対応することができると主張されている。またマイクロパイプ密度を1cm-2以下とすることができると主張されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−515749号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0187766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの検討によれば、上記明細書に記載の技術においては、複数の単結晶膜の境界部上に、断面積の大きいマイクロパイプが形成されることがわかった。炭化珪素基板に断面積の大きいマイクロパイプ、特に断面積1μm2超のマイクロパイプが形成されると、たとえマイクロパイプ密度が小さくても、この炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造において様々な問題が生じ得る。特に、マイクロパイプを介したリークが問題となり得る。具体的には、このようなリークが大きいと、炭化珪素基板の真空チャックが困難となったり、液体を用いた工程においてこの液体が炭化珪素基板を貫通して漏れたりする。
【0007】
そこで本発明の一の目的は、マイクロパイプ密度が低く、かつ断面積の大きなマイクロパイプのない炭化珪素基板を提供することである。また本発明の他の目的は、信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の炭化珪素基板は縁領域および有効領域を有する。縁領域は5ミリメートル幅のものである。有効領域は、縁領域に囲まれており、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する。有効領域には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在していない。有効領域は、有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域を含む。複数の高品質領域の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する。
【0009】
この炭化珪素基板によれば、炭化珪素基板の有効領域内に大きな断面積を有するマイクロパイプが存在していない。これにより、炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造工程における、マイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。この不具合は、特にマイクロパイプを介したリークによって生じ得る。このようなリークが大きいと、炭化珪素基板の真空チャックが困難となったり、液体を用いた工程においてこの液体が炭化珪素基板を貫通して漏れたりする。
【0010】
またこの炭化珪素基板によれば、高品質領域、すなわちマイクロパイプ密度の低い領域を用いて半導体装置を製造することで、得られる半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0011】
好ましくは炭化珪素基板の結晶構造はポリタイプ4Hを有する。これにより炭化珪素基板の物性が好ましいものとなる。
【0012】
好ましくは、複数の高品質領域の各々は、1センチメートル以上の辺を有する正方形、および長さ1センチメートル以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。これにより各高品質領域が過度に狭い寸法を有しなくなるので、各高品質領域の形状が半導体素子構造を形成するのに適したものとなる。
【0013】
好ましくは炭化珪素基板の面方位の面内ばらつきは一の面方位に対して0.2度未満である。これにより炭化基板の面方位のばらつきが小さくなる。
【0014】
本発明の炭化珪素基板は、以下の方法で製造可能である。1平方センチメートル以上の面積を有する主面を各々有する複数の単結晶基板が準備される。複数の単結晶基板は第1〜第3単結晶基板を含む。第1単結晶基板には、第1端を有する第1直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。第2単結晶基板には、第2端を有する第2直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。第3単結晶基板には、第3および第4端を有する第3直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。次に、複数の単結晶基板の各々の主面が互いに組み合わさることで、100平方センチメートル以上の面積を有する一の平面をなすように複数の単結晶基板が配置される。複数の単結晶基板を配置する工程は、第1〜第3単結晶基板が第1〜第3直線部において互いに隣接するように、かつ第1端および第2端が一の点において合わさるように、かつ一の点が第3直線部上に位置するように、かつ一の点が第3端および第4端の各々から離れて位置するように行われる。次に、一の平面上に昇華法によって炭化珪素を堆積することで、一の平面上に炭化珪素単結晶が成長させられる。次に炭化珪素単結晶がスライスされる。
【0015】
この炭化珪素基板の製造方法によれば、単結晶基板間の境界のうち第1および第2直線部が重なりながら延びる境界が、第3直線部の直線状に延びている部分に突き当てられる。これにより境界がT字形になる。仮に境界が十字形を有する場合、十字形の中心に、大きなマイクロパイプの生成の起点となる空洞が形成されやすい。境界がT字形であることで、このような空洞が形成されにくく、よって大きなマイクロパイプの生成を抑制することができる。
【0016】
好ましくは複数の単結晶基板の各々は六方晶系の結晶構造を有する。より好ましくは結晶構造はポリタイプ4Hを有する。これにより炭化珪素基板の物性が好ましいものとなる。
【0017】
好ましくは、第1単結晶基板の第1直線部を含む側面と、第2単結晶基板の第2直線部を含む側面との各々は、m面に対して5度以上の傾きを有する。より好ましくは傾きのc軸周りの成分は5度以上である。これにより第1および第2単結晶基板の間の境界において断面積の大きなマイクロパイプが発生することを抑制することができる。
【0018】
好ましくは、複数の単結晶基板の各々は、1センチメートル以上の辺を有する正方形、および長さ1センチメートル以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。これにより各単結晶基板が過度に狭い寸法を有しなくなるので、各単結晶基板の上に炭化珪素が成長させられることで形成される高品質領域の形状が半導体素子構造を形成するのに適したものとなる。
【0019】
好ましくは複数の単結晶基板の各々の主面は一の面方位に対して0.2度未満の傾きを有する。これにより炭化珪素基板の面方位のばらつきが小さくなる。
【0020】
好ましくは、複数の単結晶基板を配置する工程の後、かつ炭化珪素単結晶を成長させる工程の前に、一の平面の外縁がトリミングされる。これにより種結晶としての複数の単結晶基板を所望の形状とすることができる。
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法は次の工程を有する。炭化珪素基板が準備される。炭化珪素基板は縁領域および有効領域を有する。縁領域は5ミリメートル幅のものである。有効領域は、縁領域に囲まれており、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する。有効領域には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在していない。有効領域は、有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域を含む。複数の高品質領域の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する。炭化珪素基板の複数の高品質領域の各々の上に少なくとも1つの半導体素子構造を形成することによって複数の半導体素子構造が形成される。複数の半導体素子構造が互いに分離されるように炭化珪素基板がダイシングされる。
【0022】
この半導体装置の製造方法によれば、上述した炭化珪素基板を用いて半導体装置が製造される。これにより、半導体装置の製造における、マイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。また炭化珪素基板の高品質領域内に半導体素子構造が形成されるので、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上述したように、炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造工程における、マイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第1工程を概略的に示す平面図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第2工程を概略的に示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第3工程を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第4工程を概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第5工程を概略的に示す断面図である。
【図8】比較例の炭化珪素基板の製造方法の一工程を示す平面図である。
【図9】図8の一部拡大図である。
【図10】図9の一部拡大図である。
【図11】図1の変形例を概略的に示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2における半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を概略的に示すフロー図である。
【図14】図13の半導体素子構造を形成する工程を概略的に示すフロー図である。
【図15】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第3工程を概略的に示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第4工程を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
なお本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。
【0026】
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態の炭化珪素基板80は、単結晶構造を有する炭化珪素から作られている。好ましくはこの結晶構造はポリタイプ4Hを有する。炭化珪素基板80は、100cm2以上の面積を有する。好ましくは炭化珪素基板80は、図1に示すように円形の形状を有し、その直径は、たとえば120mm以上である。なお炭化珪素基板80にはノッチまたはオリエンテーションフラットが設けられていてもよい。好ましくは炭化珪素基板80の面方位の面内ばらつきは一の面方位に対して0.2度未満である。
【0027】
炭化珪素基板80は縁領域60および有効領域70を有する。縁領域60と有効領域70との境界は仮想的なものであり、両者の境界は、観察され得るものである必要はない。
【0028】
縁領域60は、炭化珪素基板80の縁に位置している部分であり、炭化珪素基板80を用いた半導体装置の製造においてその品質がほとんど問題とならない部分である。縁領域60の幅WDは5mmである。図1においては、縁領域60は環状形状を有している。
【0029】
有効領域70は縁領域60に囲まれている。有効領域70には、断面積が1μm2超のマイクロパイプが存在していない。有効領域70は、有効領域70の70%以上を占める複数の高品質領域71を含む。有効領域70において、高品質領域71の部分と、他の部分との境界は仮想的なものであり、両者の境界は、観察され得るものである必要はない。
【0030】
各高品質領域71は1cm2当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する。各高品質領域71は、四角形の形状を有し、かつ1cm2以上の面積を有する。好ましくは、各高品質領域71は、1cm以上の辺を有する正方形、および長さ1cm以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。本実施の形態においては、各高品質領域71は、長さ1cm以上の辺を有する正方形である。また全ての高品質領域71の形状が互いに等しい。
【0031】
また有効領域70内において高品質領域71の間に、マイクロパイプ密度が比較的高い部分DFが存在してもよい。部分DFにおいては、断面積1μm2超のマイクロパイプは存在しないものの、断面積1μm2以下のマイクロパイプの密度が高品質領域71に比して高くなっており、その密度は1cm2当たり1個を超えてもよい。部分DFは、典型的には線状に延びており、ウェットエッチングが施されることによって、より明瞭に観察され得る。
【0032】
次に炭化珪素基板80の製造方法について説明する。
図2に示すように、1cm2以上の面積を有する主面を各々有する複数の単結晶基板10が準備される。複数の単結晶基板10は第1〜第3単結晶基板11〜13を含む。各単結晶基板10は、好ましくは六方晶系の結晶構造を有し、より好ましくはポリタイプ4Hを有する。また好ましくは各単結晶基板10の主面は一の面方位に対して0.2度未満の傾きを有する。また好ましくは、各単結晶基板10は、1cm以上の辺を有する正方形、および長さ1cm以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。なお図2は、9つの単結晶基板10が準備される場合を示している。
【0033】
次に複数の単結晶基板10の各々の主面が互いに組み合わさることで、100cm2以上の面積を有する平面FS(一の平面)をなすように複数の単結晶基板10が配置される。具体的には、複数の単結晶基板10が台座41上に配置される。台座41は、耐熱性を有する材料からなり、好ましくは1800℃において安定的に固体状態を有し得る材料からなり、より好ましくは2100℃において安定的に固体状態を有し得る材料からなり、たとえばグラファイトからなる。各単結晶基板10と台座41とは、接着剤によって固定されてもよい。接着剤は、たとえばカーボン系接着剤である。
【0034】
図3に示すように、第1単結晶基板11には、第1端E1を有する第1直線部L1を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。第2単結晶基板12には、第2端E2を有する第2直線部L2を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。第3単結晶基板13には、第3および第4端E3、E4を有する第3直線部L3を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。好ましくは、第1単結晶基板11の第1直線部L1を含む側面と、第2単結晶基板12の第2直線部L2を含む側面との各々は、m面に対して5度以上の傾きを有する。より好ましくは傾きのc軸周りの成分は5度以上である。なおm面とは、六方晶における{10−10}面である。
【0035】
複数の単結晶基板10が配置されることによって、第1〜第3単結晶基板11〜13が第1〜第3直線部L1〜L3において互いに隣接する。また点PT(一の点)において第1端E1および第2端E2が合わさる。点PTは第3直線部L3上に位置する。
【0036】
ここで「隣接する」とは、基板と基板との間の隙間が実質的になくなることをいい、この隙間は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。また「点PT(一の点)において第1端E1および第2端E2が合わさる」とは、第1端E1および第2端E2の各々が実質的に点PTと重なることをいい、言い換えれば第1端E1および第2端E2の各々と点PTとの距離が実質的になくなることをいい、この距離は100μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。また「点PTは、第3直線部L3上に位置」とは、点PTと第3直線部L3との間の距離が実質的になくなることをいい、この距離は100μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
【0037】
点PTは、第3端E3および第4端E4の各々から離れて位置する。言い換えれば、点PTは、第3端E3および第4端E4の各々から、少なくとも所定の距離だけ離れている。この距離は、好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは1mm以上である。この結果、直線部L1〜L3によってT字形の境界が形成される。好ましくは、3つ以上の単結晶基板10が隣接する箇所全てにおいてT字形の境界が形成され、図2はそのような場合を示している。
【0038】
次に平面FSの外縁が線CL(図2)に沿ってトリミングされてもよい。このトリミングは、たとえばレーザ加工によって行われる。
【0039】
図4に示すように、上記トリミングによって、平面FSに所望の外縁形状が付与される。
【0040】
次に図5に示すように、坩堝42内に、昇華法による炭化珪素単結晶の形成のための原料51が収められる。たとえば、坩堝42はグラファイト坩堝であり、原料51は炭化珪素粉末である。次に坩堝42の内部へ各単結晶基板10が面するように台座41が取り付けられる。なお図5に示すように、台座41が坩堝42の蓋として機能してもよい。
【0041】
次に図6に示すように、平面FS上に昇華法によって炭化珪素を堆積することで、平面FS上に炭化珪素単結晶52が成長させられる。すなわち、原料51を昇華させ、さらにこの昇華した気体を再結晶させることで、平面FSの上に炭化珪素単結晶52がエピタキシャル成長させられる。炭化珪素単結晶52は隣り合う単結晶基板10の境界をまたぐように形成される。この境界上は、他の部分に比してマイクロパイプ密度が高い部分DFとなりやすい。
【0042】
この昇華法における温度は、たとえば、2100℃以上2500℃以下とされる。またこの昇華法における圧力は、好ましくは1.3kPa以上大気圧以下とされ、より好ましくは、成長速度を高めるために13kPa以下とされる。
【0043】
次に台座41が坩堝42から取り出される。
次に図7に示すように、破線SLで表される所望の面方位に沿って炭化珪素単結晶52がスライスされる。これにより炭化珪素単結晶52から炭化珪素基板80が得られる。
【0044】
次に本実施の形態に対する比較例について説明する。
図8に示すように、台座41上に、第1〜第4単結晶基板11〜14を含む複数の単結晶基板10がマトリックス状に配置される。理想的には、第1〜第4単結晶基板11〜14が十字形の境界を形成するように複数の単結晶基板10が配置される。この場合、第1〜第3単結晶基板11〜13のそれぞれの第1〜第3端E1〜E3が点PT(一の点)において合わさる。しかしながら実際は、単結晶基板10の寸法または配置の誤差に起因して、図10に示すように、第1〜第4単結晶基板11〜14が互いに突き合わされる位置に空隙VDが形成されてしまう。よってこのように配置された複数の単結晶基板10を種結晶として用いて炭化珪素単結晶を成長させると、空隙VDを起点として、断面積1μm2超の大きなマイクロパイプが形成されてしまう。
【0045】
これに対して本実施の形態の炭化珪素基板80によれば、炭化珪素基板80の有効領域70内に大きな断面積を有するマイクロパイプが存在していない。これにより、炭化珪素基板80を用いた半導体装置の製造工程における、マイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。この不具合は、特にマイクロパイプを介したリークによって生じ得る。このようなリークが大きいと、炭化珪素基板80の真空チャックが困難となったり、液体を用いた工程においてこの液体が炭化珪素基板80を貫通して漏れたりする。
【0046】
またこの炭化珪素基板80によれば、高品質領域71、すなわちマイクロパイプ密度の低い複数を用いて半導体装置を製造することで、得られる半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0047】
好ましくは炭化珪素基板80の結晶構造はポリタイプ4Hを有する。これにより炭化珪素基板80の物性が好ましいものとなる。
【0048】
好ましくは、複数の高品質領域71の各々は、1cm以上の辺を有する正方形、および長さ1cm以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。これにより各高品質領域71が過度に狭い寸法を有しなくなるので、各高品質領域71の形状が半導体素子構造を形成するのに適したものとなる。
【0049】
好ましくは炭化珪素基板80の面方位の面内ばらつきは一の面方位に対して0.2度未満である。これにより炭化珪素基板80の面方位のばらつきが小さくなる。
【0050】
本実施の形態の炭化珪素基板80の製造方法によれば、図3に示すように、単結晶基板間の境界のうち第1および第2直線部L1、L2が重なりながら延びる境界が、第3直線部L3の直線状に延びている部分に突き当てられる。これにより境界がT字形になる。仮に境界が十字形を有する場合(図9)、十字形の位置に、大きなマイクロパイプの生成の起点となる空隙VD(図10)が形成されやすい。本実施の形態によれば、境界がT字形であることで、空隙VDが形成されにくく、よって大きなマイクロパイプの生成を抑制することができる。
【0051】
好ましくは複数の単結晶基板10の各々は六方晶系の結晶構造を有する。より好ましくは結晶構造はポリタイプ4Hを有する。これにより炭化珪素基板80の物性が好ましいものとなる。
【0052】
好ましくは、第1単結晶基板11の第1直線部L1(図3)を含む側面と、第2単結晶基板12の第2直線部L2(図3)を含む側面との各々は、m面に対して5度以上の傾きを有する。より好ましくは傾きのc軸周りの成分は5度以上である。これにより第1および第2単結晶基板11、12の間の境界において断面積の大きなマイクロパイプが発生することを抑制することができる。
【0053】
好ましくは、各単結晶基板10は、1cm以上の辺を有する正方形、および長さ1cm以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。これにより各単結晶基板10が過度に狭い寸法を有しなくなるので、各単結晶基板10の上に炭化珪素が成長させられることで形成される高品質領域71の形状が半導体素子構造を形成するのに適したものとなる。
【0054】
好ましくは複数の単結晶基板10の各々の主面は一の面方位に対して0.2度未満の傾きを有する。これにより炭化珪素基板80の面方位のばらつきが小さくなる。
【0055】
好ましくは、複数の単結晶基板10を配置する工程の後、かつ炭化珪素単結晶52を成長させる工程の前に、平面FSの外縁がトリミングされる(図2の破線CL)。これにより種結晶としての複数の単結晶基板10を所望の形状とすることができる。
【0056】
なお図1においては、各高品質領域71が、長さ1cm以上の辺を有する正方形であり、かつ全ての高品質領域71の形状が互いに等しい場合について示されている。そのような場合、各高品質領域71への半導体構造の形成が容易となる。ただし高品質領域の形態はこれに限定されるものではない。たとえば図11に示すように、炭化珪素基板80Vに、互いに異なる形状を有する複数の高品質領域71Vが設けられてもよい。
【0057】
(実施の形態2)
図12に示すように、本実施の形態のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(半導体装置)100は、縦型DiMOSFET(Double Implanted MOSFET)である。MOSFET100は、エピタキシャル基板90、ゲート絶縁膜126、ソース電極111、上部ソース電極127、ゲート電極110、およびドレイン電極112を有する。エピタキシャル基板90は、炭化珪素基板80、バッファ層121、耐圧保持層122、p領域123、n+領域124、およびp+領域125を有する。
【0058】
炭化珪素基板80およびバッファ層121はn型の導電型を有する。バッファ層121におけるn型の導電性不純物の濃度は、たとえば5×1017cm-3である。またバッファ層121の厚さは、たとえば0.5μmである。
【0059】
耐圧保持層122は、バッファ層121上に形成されており、また導電型がn型の炭化珪素からなる。たとえば、耐圧保持層122の厚さは10μmであり、そのn型の導電性不純物の濃度は5×1015cm-3である。
【0060】
この耐圧保持層122の表面には、導電型がp型である複数のp領域123が互いに間隔を隔てて形成されている。p領域123の内部において、p領域123の表面層にn+領域124が形成されている。また、このn+領域124に隣接する位置には、p+領域125が形成されている。複数のp領域123の間から露出する耐圧保持層122上にはゲート絶縁膜126が形成されている。具体的には、ゲート絶縁膜126は、一方のp領域123におけるn+領域124上から、p領域123、2つのp領域123の間において露出する耐圧保持層122、他方のp領域123および当該他方のp領域123におけるn+領域124上にまで延在するように形成されている。ゲート絶縁膜126上にはゲート電極110が形成されている。また、n+領域124およびp+領域125上にはソース電極111が形成されている。このソース電極111上には上部ソース電極127が形成されている。
【0061】
ゲート絶縁膜126と、半導体層としてのn+領域124、p+領域125、p領域123および耐圧保持層122との界面から10nm以内の領域における窒素原子濃度の最大値は1×1021cm-3以上となっている。これにより、特にゲート絶縁膜126下のチャネル領域(ゲート絶縁膜126に接する部分であって、n+領域124と耐圧保持層122との間のp領域123の部分)の移動度を向上させることができる。
【0062】
次にMOSFET100の製造方法について説明する。まず実施の形態1で説明した方法により、炭化珪素基板80(図1)が準備される(ステップS10(図13))。次に炭化珪素基板80の複数の高品質領域71(図1)の各々の上に少なくとも1つの半導体素子構造(1つの半導体チップに対応する構造)を形成することによって複数の半導体素子構造が形成される(ステップS20(図13))。このステップS20について、以下に詳しく説明する。
【0063】
図15に示すように、炭化珪素基板80の表面P1上にエピタキシャル層81が形成される。具体的には、炭化珪素基板80上にバッファ層121が形成され、バッファ層121上に耐圧保持層122が形成される。これによりエピタキシャル基板90が形成される(ステップS21(図14))。バッファ層121は、導電型がn型の炭化珪素からなり、その厚さは、たとえば0.5μmとされる。またバッファ層121における導電型不純物の濃度は、たとえば5×1017cm-3とされる。耐圧保持層122の厚さは、たとえば10μmとされる。また耐圧保持層122におけるn型の導電性不純物の濃度は、たとえば5×1015cm-3とされる。
【0064】
図16に示すように、注入工程(ステップS22(図14))により、p領域123と、n+領域124と、p+領域125とが、次のように形成される。
【0065】
まずp型の導電性不純物が耐圧保持層122の一部に選択的に注入されることで、p領域123が形成される。次に、n型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってn+領域124が形成され、またp型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってp+領域125が形成される。なお不純物の選択的な注入は、たとえば酸化膜からなるマスクを用いて行われる。酸化膜からなるマスクのパターニングは、フォトリソグラフィ法によって行われ得る。
【0066】
比較的大きな基板に対するフォトリソグラフィ法における露光は、1回で完了するのではなく、複数回に分けて行われることが多い。つまり基板の複数の領域が、順番に露光されることが多い。この露光単位としての領域は、好ましくは、1つまたは複数の高品質領域71に対応する。
【0067】
注入工程の後、活性化アニール処理が行われる。たとえば、アルゴン雰囲気中、加熱温度1700℃で30分間のアニールが行われる。
【0068】
図17に示すように、ゲート絶縁膜形成工程(ステップS23(図14))が行われる。具体的には、耐圧保持層122と、p領域123と、n+領域124と、p+領域125との上を覆うように、ゲート絶縁膜126が形成される。この形成はドライ酸化(熱酸化)により行われてもよい。ドライ酸化の条件は、たとえば、加熱温度が1200℃であり、また加熱時間が30分である。
【0069】
その後、窒素アニール工程(ステップS24(図14))が行われる。具体的には、一酸化窒素(NO)雰囲気中でのアニール処理が行われる。この処理の条件は、たとえば加熱温度が1100℃であり、加熱時間が120分である。この結果、耐圧保持層122、p領域123、n+領域124、およびp+領域125の各々と、ゲート絶縁膜126との界面近傍に、窒素原子が導入される。なおこの一酸化窒素を用いたアニール工程の後、さらに不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガスを用いたアニール処理が行われてもよい。この処理の条件は、たとえば、加熱温度が1100℃であり、加熱時間が60分である。
【0070】
図18に示すように、電極形成工程(ステップS25(図14))により、ソース電極111およびドレイン電極112が、次のように形成される。
【0071】
ゲート絶縁膜126上に、フォトリソグラフィ法を用いて、パターンを有するレジスト膜が形成される。このレジスト膜をマスクとして用いて、ゲート絶縁膜126のうちn+領域124およびp+領域125上に位置する部分がエッチングにより除去される。これによりゲート絶縁膜126に開口部が形成される。次に、この開口部においてn+領域124およびp+領域125の各々と接触するように導体膜が形成される。次にレジスト膜を除去することにより、上記導体膜のうちレジスト膜上に位置していた部分の除去(リフトオフ)が行われる。この導体膜は、金属膜であってもよく、たとえばニッケル(Ni)からなる。このリフトオフの結果、ソース電極111が形成される。
【0072】
なお、ここでアロイ化のための熱処理が行なわれることが好ましい。たとえば、不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガスの雰囲気中、加熱温度950℃で2分の熱処理が行なわれる。
【0073】
図12に示すように、ソース電極111上に上部ソース電極127が形成される。また、ゲート絶縁膜126上にゲート電極110が形成される。また、炭化珪素基板80の裏面P2上にドレイン電極112が形成される。
【0074】
以上によりステップS20(図13)が完了する。
次に複数の半導体チップが互いに分離されるように炭化珪素基板80がダイシングされる。たとえば、各高品質領域71の各々に1つの半導体チップが形成される場合、高品質領域71が互いに分離されるようなダイシングが行われる。また各高品質領域71の各々に複数の半導体チップが形成される場合、ダイシングによって、高品質領域71が互いに分離されるだけでなく、各高品質領域71が複数の領域に分離される。
【0075】
以上によりMOSFET100が得られる。
本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、上述した炭化珪素基板80を用いてMOSFET100が製造される。炭化珪素基板80の有効領域70(図1)には断面積が1μm2超のマイクロパイプが存在しないので、MOSFETの製造における、大きなマイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。たとえば、製造中における炭化珪素基板80の固定に真空チャックが用いられる場合に、大きなマイクロパイプを介したリークによって炭化珪素基板80の固定が不十分となることを避けることができる。またフォトリソグラフィ法において、露光または現像に用いる薬液が大きなマイクロパイプを経由して漏れることを防止することができる。
【0076】
また炭化珪素基板80の高品質領域71(図1)のマイクロパイプ密度は1cm2当たり1個以下なので、MOSFET100に存在するマイクロパイプの密度を小さくすることができる。これによりMOSFET100の信頼性を高めることができる。
【0077】
なお導電型が入れ替えられた構成、すなわちp型とn型とが入れ替えられた構成を用いることもできる。またMOSFET100について詳しく説明したが、半導体装置はMOSFET以外のMISFET(Metal Insulator Semiconductor FET)であってもよい。また半導体装置はMISFETに限定されるものではなく、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはJFET(Junction FET)であってもよい。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
10 単結晶基板、11〜13 第1〜第3端結晶基板、41 台座、52 炭化珪素単結晶、60 縁領域、70 有効領域、71,71V 高品質領域、80,80V 炭化珪素基板、100 MOSFET(半導体装置)、E1〜E4 第1〜第4端、FS 平面(一の平面)、L1〜L3 第1〜第3直線部、PT 一の点。
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化珪素基板、炭化珪素基板の製造方法、および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、十分な大きさと、十分に少ない欠陥とを有する炭化珪素基板を得るための結晶成長法の検討がなされている。欠陥の低減としては、特にマイクロパイプ密度の低減が課題とされている。
【0003】
特表2008−515749号公報において例示された方法によれば、結晶成長において、少なくとも約100mmの直径を有する種結晶が用いられる。またこの公報において、マイクロパイプ密度を7.23cm-2にまで低減することができたとの報告がなされている。しかしながら、直径100mmという値は、半導体分野において工業的に用いられているシリコン基板の直径に比べると、依然としてかなり小さい。またマイクロパイプ密度7.23cm-2という値は、より信頼性の高い半導体装置を得ようとするには依然として大きい。
【0004】
米国特許出願公開第2004/0187766号明細書によれば、支持基板上に転写された複数の単結晶膜を成長面として用いることが提案されている。単結晶膜の数が増やされることで、直径約300mmの基板の製造に対応することができると主張されている。またマイクロパイプ密度を1cm-2以下とすることができると主張されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−515749号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2004/0187766号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者らの検討によれば、上記明細書に記載の技術においては、複数の単結晶膜の境界部上に、断面積の大きいマイクロパイプが形成されることがわかった。炭化珪素基板に断面積の大きいマイクロパイプ、特に断面積1μm2超のマイクロパイプが形成されると、たとえマイクロパイプ密度が小さくても、この炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造において様々な問題が生じ得る。特に、マイクロパイプを介したリークが問題となり得る。具体的には、このようなリークが大きいと、炭化珪素基板の真空チャックが困難となったり、液体を用いた工程においてこの液体が炭化珪素基板を貫通して漏れたりする。
【0007】
そこで本発明の一の目的は、マイクロパイプ密度が低く、かつ断面積の大きなマイクロパイプのない炭化珪素基板を提供することである。また本発明の他の目的は、信頼性の高い半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の炭化珪素基板は縁領域および有効領域を有する。縁領域は5ミリメートル幅のものである。有効領域は、縁領域に囲まれており、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する。有効領域には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在していない。有効領域は、有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域を含む。複数の高品質領域の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する。
【0009】
この炭化珪素基板によれば、炭化珪素基板の有効領域内に大きな断面積を有するマイクロパイプが存在していない。これにより、炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造工程における、マイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。この不具合は、特にマイクロパイプを介したリークによって生じ得る。このようなリークが大きいと、炭化珪素基板の真空チャックが困難となったり、液体を用いた工程においてこの液体が炭化珪素基板を貫通して漏れたりする。
【0010】
またこの炭化珪素基板によれば、高品質領域、すなわちマイクロパイプ密度の低い領域を用いて半導体装置を製造することで、得られる半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0011】
好ましくは炭化珪素基板の結晶構造はポリタイプ4Hを有する。これにより炭化珪素基板の物性が好ましいものとなる。
【0012】
好ましくは、複数の高品質領域の各々は、1センチメートル以上の辺を有する正方形、および長さ1センチメートル以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。これにより各高品質領域が過度に狭い寸法を有しなくなるので、各高品質領域の形状が半導体素子構造を形成するのに適したものとなる。
【0013】
好ましくは炭化珪素基板の面方位の面内ばらつきは一の面方位に対して0.2度未満である。これにより炭化基板の面方位のばらつきが小さくなる。
【0014】
本発明の炭化珪素基板は、以下の方法で製造可能である。1平方センチメートル以上の面積を有する主面を各々有する複数の単結晶基板が準備される。複数の単結晶基板は第1〜第3単結晶基板を含む。第1単結晶基板には、第1端を有する第1直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。第2単結晶基板には、第2端を有する第2直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。第3単結晶基板には、第3および第4端を有する第3直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。次に、複数の単結晶基板の各々の主面が互いに組み合わさることで、100平方センチメートル以上の面積を有する一の平面をなすように複数の単結晶基板が配置される。複数の単結晶基板を配置する工程は、第1〜第3単結晶基板が第1〜第3直線部において互いに隣接するように、かつ第1端および第2端が一の点において合わさるように、かつ一の点が第3直線部上に位置するように、かつ一の点が第3端および第4端の各々から離れて位置するように行われる。次に、一の平面上に昇華法によって炭化珪素を堆積することで、一の平面上に炭化珪素単結晶が成長させられる。次に炭化珪素単結晶がスライスされる。
【0015】
この炭化珪素基板の製造方法によれば、単結晶基板間の境界のうち第1および第2直線部が重なりながら延びる境界が、第3直線部の直線状に延びている部分に突き当てられる。これにより境界がT字形になる。仮に境界が十字形を有する場合、十字形の中心に、大きなマイクロパイプの生成の起点となる空洞が形成されやすい。境界がT字形であることで、このような空洞が形成されにくく、よって大きなマイクロパイプの生成を抑制することができる。
【0016】
好ましくは複数の単結晶基板の各々は六方晶系の結晶構造を有する。より好ましくは結晶構造はポリタイプ4Hを有する。これにより炭化珪素基板の物性が好ましいものとなる。
【0017】
好ましくは、第1単結晶基板の第1直線部を含む側面と、第2単結晶基板の第2直線部を含む側面との各々は、m面に対して5度以上の傾きを有する。より好ましくは傾きのc軸周りの成分は5度以上である。これにより第1および第2単結晶基板の間の境界において断面積の大きなマイクロパイプが発生することを抑制することができる。
【0018】
好ましくは、複数の単結晶基板の各々は、1センチメートル以上の辺を有する正方形、および長さ1センチメートル以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。これにより各単結晶基板が過度に狭い寸法を有しなくなるので、各単結晶基板の上に炭化珪素が成長させられることで形成される高品質領域の形状が半導体素子構造を形成するのに適したものとなる。
【0019】
好ましくは複数の単結晶基板の各々の主面は一の面方位に対して0.2度未満の傾きを有する。これにより炭化珪素基板の面方位のばらつきが小さくなる。
【0020】
好ましくは、複数の単結晶基板を配置する工程の後、かつ炭化珪素単結晶を成長させる工程の前に、一の平面の外縁がトリミングされる。これにより種結晶としての複数の単結晶基板を所望の形状とすることができる。
【0021】
本発明の半導体装置の製造方法は次の工程を有する。炭化珪素基板が準備される。炭化珪素基板は縁領域および有効領域を有する。縁領域は5ミリメートル幅のものである。有効領域は、縁領域に囲まれており、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する。有効領域には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在していない。有効領域は、有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域を含む。複数の高品質領域の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する。炭化珪素基板の複数の高品質領域の各々の上に少なくとも1つの半導体素子構造を形成することによって複数の半導体素子構造が形成される。複数の半導体素子構造が互いに分離されるように炭化珪素基板がダイシングされる。
【0022】
この半導体装置の製造方法によれば、上述した炭化珪素基板を用いて半導体装置が製造される。これにより、半導体装置の製造における、マイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。また炭化珪素基板の高品質領域内に半導体素子構造が形成されるので、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上述したように、炭化珪素基板を用いた半導体装置の製造工程における、マイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第1工程を概略的に示す平面図である。
【図3】図2の一部拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第2工程を概略的に示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第3工程を概略的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第4工程を概略的に示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1における炭化珪素基板の製造方法の第5工程を概略的に示す断面図である。
【図8】比較例の炭化珪素基板の製造方法の一工程を示す平面図である。
【図9】図8の一部拡大図である。
【図10】図9の一部拡大図である。
【図11】図1の変形例を概略的に示す平面図である。
【図12】本発明の実施の形態2における半導体装置の構成を概略的に示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法を概略的に示すフロー図である。
【図14】図13の半導体素子構造を形成する工程を概略的に示すフロー図である。
【図15】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第3工程を概略的に示す断面図である。
【図18】本発明の実施の形態2における半導体装置の製造方法の第4工程を概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
なお本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また、負の指数については、結晶学上、”−”(バー)を数字の上に付けることになっているが、本明細書中では、数字の前に負の符号を付けている。
【0026】
(実施の形態1)
図1に示すように、本実施の形態の炭化珪素基板80は、単結晶構造を有する炭化珪素から作られている。好ましくはこの結晶構造はポリタイプ4Hを有する。炭化珪素基板80は、100cm2以上の面積を有する。好ましくは炭化珪素基板80は、図1に示すように円形の形状を有し、その直径は、たとえば120mm以上である。なお炭化珪素基板80にはノッチまたはオリエンテーションフラットが設けられていてもよい。好ましくは炭化珪素基板80の面方位の面内ばらつきは一の面方位に対して0.2度未満である。
【0027】
炭化珪素基板80は縁領域60および有効領域70を有する。縁領域60と有効領域70との境界は仮想的なものであり、両者の境界は、観察され得るものである必要はない。
【0028】
縁領域60は、炭化珪素基板80の縁に位置している部分であり、炭化珪素基板80を用いた半導体装置の製造においてその品質がほとんど問題とならない部分である。縁領域60の幅WDは5mmである。図1においては、縁領域60は環状形状を有している。
【0029】
有効領域70は縁領域60に囲まれている。有効領域70には、断面積が1μm2超のマイクロパイプが存在していない。有効領域70は、有効領域70の70%以上を占める複数の高品質領域71を含む。有効領域70において、高品質領域71の部分と、他の部分との境界は仮想的なものであり、両者の境界は、観察され得るものである必要はない。
【0030】
各高品質領域71は1cm2当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する。各高品質領域71は、四角形の形状を有し、かつ1cm2以上の面積を有する。好ましくは、各高品質領域71は、1cm以上の辺を有する正方形、および長さ1cm以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。本実施の形態においては、各高品質領域71は、長さ1cm以上の辺を有する正方形である。また全ての高品質領域71の形状が互いに等しい。
【0031】
また有効領域70内において高品質領域71の間に、マイクロパイプ密度が比較的高い部分DFが存在してもよい。部分DFにおいては、断面積1μm2超のマイクロパイプは存在しないものの、断面積1μm2以下のマイクロパイプの密度が高品質領域71に比して高くなっており、その密度は1cm2当たり1個を超えてもよい。部分DFは、典型的には線状に延びており、ウェットエッチングが施されることによって、より明瞭に観察され得る。
【0032】
次に炭化珪素基板80の製造方法について説明する。
図2に示すように、1cm2以上の面積を有する主面を各々有する複数の単結晶基板10が準備される。複数の単結晶基板10は第1〜第3単結晶基板11〜13を含む。各単結晶基板10は、好ましくは六方晶系の結晶構造を有し、より好ましくはポリタイプ4Hを有する。また好ましくは各単結晶基板10の主面は一の面方位に対して0.2度未満の傾きを有する。また好ましくは、各単結晶基板10は、1cm以上の辺を有する正方形、および長さ1cm以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。なお図2は、9つの単結晶基板10が準備される場合を示している。
【0033】
次に複数の単結晶基板10の各々の主面が互いに組み合わさることで、100cm2以上の面積を有する平面FS(一の平面)をなすように複数の単結晶基板10が配置される。具体的には、複数の単結晶基板10が台座41上に配置される。台座41は、耐熱性を有する材料からなり、好ましくは1800℃において安定的に固体状態を有し得る材料からなり、より好ましくは2100℃において安定的に固体状態を有し得る材料からなり、たとえばグラファイトからなる。各単結晶基板10と台座41とは、接着剤によって固定されてもよい。接着剤は、たとえばカーボン系接着剤である。
【0034】
図3に示すように、第1単結晶基板11には、第1端E1を有する第1直線部L1を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。第2単結晶基板12には、第2端E2を有する第2直線部L2を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。第3単結晶基板13には、第3および第4端E3、E4を有する第3直線部L3を含む外縁に囲まれた主面が設けられている。好ましくは、第1単結晶基板11の第1直線部L1を含む側面と、第2単結晶基板12の第2直線部L2を含む側面との各々は、m面に対して5度以上の傾きを有する。より好ましくは傾きのc軸周りの成分は5度以上である。なおm面とは、六方晶における{10−10}面である。
【0035】
複数の単結晶基板10が配置されることによって、第1〜第3単結晶基板11〜13が第1〜第3直線部L1〜L3において互いに隣接する。また点PT(一の点)において第1端E1および第2端E2が合わさる。点PTは第3直線部L3上に位置する。
【0036】
ここで「隣接する」とは、基板と基板との間の隙間が実質的になくなることをいい、この隙間は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。また「点PT(一の点)において第1端E1および第2端E2が合わさる」とは、第1端E1および第2端E2の各々が実質的に点PTと重なることをいい、言い換えれば第1端E1および第2端E2の各々と点PTとの距離が実質的になくなることをいい、この距離は100μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。また「点PTは、第3直線部L3上に位置」とは、点PTと第3直線部L3との間の距離が実質的になくなることをいい、この距離は100μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。
【0037】
点PTは、第3端E3および第4端E4の各々から離れて位置する。言い換えれば、点PTは、第3端E3および第4端E4の各々から、少なくとも所定の距離だけ離れている。この距離は、好ましくは0.2mm以上であり、より好ましくは1mm以上である。この結果、直線部L1〜L3によってT字形の境界が形成される。好ましくは、3つ以上の単結晶基板10が隣接する箇所全てにおいてT字形の境界が形成され、図2はそのような場合を示している。
【0038】
次に平面FSの外縁が線CL(図2)に沿ってトリミングされてもよい。このトリミングは、たとえばレーザ加工によって行われる。
【0039】
図4に示すように、上記トリミングによって、平面FSに所望の外縁形状が付与される。
【0040】
次に図5に示すように、坩堝42内に、昇華法による炭化珪素単結晶の形成のための原料51が収められる。たとえば、坩堝42はグラファイト坩堝であり、原料51は炭化珪素粉末である。次に坩堝42の内部へ各単結晶基板10が面するように台座41が取り付けられる。なお図5に示すように、台座41が坩堝42の蓋として機能してもよい。
【0041】
次に図6に示すように、平面FS上に昇華法によって炭化珪素を堆積することで、平面FS上に炭化珪素単結晶52が成長させられる。すなわち、原料51を昇華させ、さらにこの昇華した気体を再結晶させることで、平面FSの上に炭化珪素単結晶52がエピタキシャル成長させられる。炭化珪素単結晶52は隣り合う単結晶基板10の境界をまたぐように形成される。この境界上は、他の部分に比してマイクロパイプ密度が高い部分DFとなりやすい。
【0042】
この昇華法における温度は、たとえば、2100℃以上2500℃以下とされる。またこの昇華法における圧力は、好ましくは1.3kPa以上大気圧以下とされ、より好ましくは、成長速度を高めるために13kPa以下とされる。
【0043】
次に台座41が坩堝42から取り出される。
次に図7に示すように、破線SLで表される所望の面方位に沿って炭化珪素単結晶52がスライスされる。これにより炭化珪素単結晶52から炭化珪素基板80が得られる。
【0044】
次に本実施の形態に対する比較例について説明する。
図8に示すように、台座41上に、第1〜第4単結晶基板11〜14を含む複数の単結晶基板10がマトリックス状に配置される。理想的には、第1〜第4単結晶基板11〜14が十字形の境界を形成するように複数の単結晶基板10が配置される。この場合、第1〜第3単結晶基板11〜13のそれぞれの第1〜第3端E1〜E3が点PT(一の点)において合わさる。しかしながら実際は、単結晶基板10の寸法または配置の誤差に起因して、図10に示すように、第1〜第4単結晶基板11〜14が互いに突き合わされる位置に空隙VDが形成されてしまう。よってこのように配置された複数の単結晶基板10を種結晶として用いて炭化珪素単結晶を成長させると、空隙VDを起点として、断面積1μm2超の大きなマイクロパイプが形成されてしまう。
【0045】
これに対して本実施の形態の炭化珪素基板80によれば、炭化珪素基板80の有効領域70内に大きな断面積を有するマイクロパイプが存在していない。これにより、炭化珪素基板80を用いた半導体装置の製造工程における、マイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。この不具合は、特にマイクロパイプを介したリークによって生じ得る。このようなリークが大きいと、炭化珪素基板80の真空チャックが困難となったり、液体を用いた工程においてこの液体が炭化珪素基板80を貫通して漏れたりする。
【0046】
またこの炭化珪素基板80によれば、高品質領域71、すなわちマイクロパイプ密度の低い複数を用いて半導体装置を製造することで、得られる半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0047】
好ましくは炭化珪素基板80の結晶構造はポリタイプ4Hを有する。これにより炭化珪素基板80の物性が好ましいものとなる。
【0048】
好ましくは、複数の高品質領域71の各々は、1cm以上の辺を有する正方形、および長さ1cm以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。これにより各高品質領域71が過度に狭い寸法を有しなくなるので、各高品質領域71の形状が半導体素子構造を形成するのに適したものとなる。
【0049】
好ましくは炭化珪素基板80の面方位の面内ばらつきは一の面方位に対して0.2度未満である。これにより炭化珪素基板80の面方位のばらつきが小さくなる。
【0050】
本実施の形態の炭化珪素基板80の製造方法によれば、図3に示すように、単結晶基板間の境界のうち第1および第2直線部L1、L2が重なりながら延びる境界が、第3直線部L3の直線状に延びている部分に突き当てられる。これにより境界がT字形になる。仮に境界が十字形を有する場合(図9)、十字形の位置に、大きなマイクロパイプの生成の起点となる空隙VD(図10)が形成されやすい。本実施の形態によれば、境界がT字形であることで、空隙VDが形成されにくく、よって大きなマイクロパイプの生成を抑制することができる。
【0051】
好ましくは複数の単結晶基板10の各々は六方晶系の結晶構造を有する。より好ましくは結晶構造はポリタイプ4Hを有する。これにより炭化珪素基板80の物性が好ましいものとなる。
【0052】
好ましくは、第1単結晶基板11の第1直線部L1(図3)を含む側面と、第2単結晶基板12の第2直線部L2(図3)を含む側面との各々は、m面に対して5度以上の傾きを有する。より好ましくは傾きのc軸周りの成分は5度以上である。これにより第1および第2単結晶基板11、12の間の境界において断面積の大きなマイクロパイプが発生することを抑制することができる。
【0053】
好ましくは、各単結晶基板10は、1cm以上の辺を有する正方形、および長さ1cm以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する。これにより各単結晶基板10が過度に狭い寸法を有しなくなるので、各単結晶基板10の上に炭化珪素が成長させられることで形成される高品質領域71の形状が半導体素子構造を形成するのに適したものとなる。
【0054】
好ましくは複数の単結晶基板10の各々の主面は一の面方位に対して0.2度未満の傾きを有する。これにより炭化珪素基板80の面方位のばらつきが小さくなる。
【0055】
好ましくは、複数の単結晶基板10を配置する工程の後、かつ炭化珪素単結晶52を成長させる工程の前に、平面FSの外縁がトリミングされる(図2の破線CL)。これにより種結晶としての複数の単結晶基板10を所望の形状とすることができる。
【0056】
なお図1においては、各高品質領域71が、長さ1cm以上の辺を有する正方形であり、かつ全ての高品質領域71の形状が互いに等しい場合について示されている。そのような場合、各高品質領域71への半導体構造の形成が容易となる。ただし高品質領域の形態はこれに限定されるものではない。たとえば図11に示すように、炭化珪素基板80Vに、互いに異なる形状を有する複数の高品質領域71Vが設けられてもよい。
【0057】
(実施の形態2)
図12に示すように、本実施の形態のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)(半導体装置)100は、縦型DiMOSFET(Double Implanted MOSFET)である。MOSFET100は、エピタキシャル基板90、ゲート絶縁膜126、ソース電極111、上部ソース電極127、ゲート電極110、およびドレイン電極112を有する。エピタキシャル基板90は、炭化珪素基板80、バッファ層121、耐圧保持層122、p領域123、n+領域124、およびp+領域125を有する。
【0058】
炭化珪素基板80およびバッファ層121はn型の導電型を有する。バッファ層121におけるn型の導電性不純物の濃度は、たとえば5×1017cm-3である。またバッファ層121の厚さは、たとえば0.5μmである。
【0059】
耐圧保持層122は、バッファ層121上に形成されており、また導電型がn型の炭化珪素からなる。たとえば、耐圧保持層122の厚さは10μmであり、そのn型の導電性不純物の濃度は5×1015cm-3である。
【0060】
この耐圧保持層122の表面には、導電型がp型である複数のp領域123が互いに間隔を隔てて形成されている。p領域123の内部において、p領域123の表面層にn+領域124が形成されている。また、このn+領域124に隣接する位置には、p+領域125が形成されている。複数のp領域123の間から露出する耐圧保持層122上にはゲート絶縁膜126が形成されている。具体的には、ゲート絶縁膜126は、一方のp領域123におけるn+領域124上から、p領域123、2つのp領域123の間において露出する耐圧保持層122、他方のp領域123および当該他方のp領域123におけるn+領域124上にまで延在するように形成されている。ゲート絶縁膜126上にはゲート電極110が形成されている。また、n+領域124およびp+領域125上にはソース電極111が形成されている。このソース電極111上には上部ソース電極127が形成されている。
【0061】
ゲート絶縁膜126と、半導体層としてのn+領域124、p+領域125、p領域123および耐圧保持層122との界面から10nm以内の領域における窒素原子濃度の最大値は1×1021cm-3以上となっている。これにより、特にゲート絶縁膜126下のチャネル領域(ゲート絶縁膜126に接する部分であって、n+領域124と耐圧保持層122との間のp領域123の部分)の移動度を向上させることができる。
【0062】
次にMOSFET100の製造方法について説明する。まず実施の形態1で説明した方法により、炭化珪素基板80(図1)が準備される(ステップS10(図13))。次に炭化珪素基板80の複数の高品質領域71(図1)の各々の上に少なくとも1つの半導体素子構造(1つの半導体チップに対応する構造)を形成することによって複数の半導体素子構造が形成される(ステップS20(図13))。このステップS20について、以下に詳しく説明する。
【0063】
図15に示すように、炭化珪素基板80の表面P1上にエピタキシャル層81が形成される。具体的には、炭化珪素基板80上にバッファ層121が形成され、バッファ層121上に耐圧保持層122が形成される。これによりエピタキシャル基板90が形成される(ステップS21(図14))。バッファ層121は、導電型がn型の炭化珪素からなり、その厚さは、たとえば0.5μmとされる。またバッファ層121における導電型不純物の濃度は、たとえば5×1017cm-3とされる。耐圧保持層122の厚さは、たとえば10μmとされる。また耐圧保持層122におけるn型の導電性不純物の濃度は、たとえば5×1015cm-3とされる。
【0064】
図16に示すように、注入工程(ステップS22(図14))により、p領域123と、n+領域124と、p+領域125とが、次のように形成される。
【0065】
まずp型の導電性不純物が耐圧保持層122の一部に選択的に注入されることで、p領域123が形成される。次に、n型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってn+領域124が形成され、またp型の導電性不純物を所定の領域に選択的に注入することによってp+領域125が形成される。なお不純物の選択的な注入は、たとえば酸化膜からなるマスクを用いて行われる。酸化膜からなるマスクのパターニングは、フォトリソグラフィ法によって行われ得る。
【0066】
比較的大きな基板に対するフォトリソグラフィ法における露光は、1回で完了するのではなく、複数回に分けて行われることが多い。つまり基板の複数の領域が、順番に露光されることが多い。この露光単位としての領域は、好ましくは、1つまたは複数の高品質領域71に対応する。
【0067】
注入工程の後、活性化アニール処理が行われる。たとえば、アルゴン雰囲気中、加熱温度1700℃で30分間のアニールが行われる。
【0068】
図17に示すように、ゲート絶縁膜形成工程(ステップS23(図14))が行われる。具体的には、耐圧保持層122と、p領域123と、n+領域124と、p+領域125との上を覆うように、ゲート絶縁膜126が形成される。この形成はドライ酸化(熱酸化)により行われてもよい。ドライ酸化の条件は、たとえば、加熱温度が1200℃であり、また加熱時間が30分である。
【0069】
その後、窒素アニール工程(ステップS24(図14))が行われる。具体的には、一酸化窒素(NO)雰囲気中でのアニール処理が行われる。この処理の条件は、たとえば加熱温度が1100℃であり、加熱時間が120分である。この結果、耐圧保持層122、p領域123、n+領域124、およびp+領域125の各々と、ゲート絶縁膜126との界面近傍に、窒素原子が導入される。なおこの一酸化窒素を用いたアニール工程の後、さらに不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガスを用いたアニール処理が行われてもよい。この処理の条件は、たとえば、加熱温度が1100℃であり、加熱時間が60分である。
【0070】
図18に示すように、電極形成工程(ステップS25(図14))により、ソース電極111およびドレイン電極112が、次のように形成される。
【0071】
ゲート絶縁膜126上に、フォトリソグラフィ法を用いて、パターンを有するレジスト膜が形成される。このレジスト膜をマスクとして用いて、ゲート絶縁膜126のうちn+領域124およびp+領域125上に位置する部分がエッチングにより除去される。これによりゲート絶縁膜126に開口部が形成される。次に、この開口部においてn+領域124およびp+領域125の各々と接触するように導体膜が形成される。次にレジスト膜を除去することにより、上記導体膜のうちレジスト膜上に位置していた部分の除去(リフトオフ)が行われる。この導体膜は、金属膜であってもよく、たとえばニッケル(Ni)からなる。このリフトオフの結果、ソース電極111が形成される。
【0072】
なお、ここでアロイ化のための熱処理が行なわれることが好ましい。たとえば、不活性ガスであるアルゴン(Ar)ガスの雰囲気中、加熱温度950℃で2分の熱処理が行なわれる。
【0073】
図12に示すように、ソース電極111上に上部ソース電極127が形成される。また、ゲート絶縁膜126上にゲート電極110が形成される。また、炭化珪素基板80の裏面P2上にドレイン電極112が形成される。
【0074】
以上によりステップS20(図13)が完了する。
次に複数の半導体チップが互いに分離されるように炭化珪素基板80がダイシングされる。たとえば、各高品質領域71の各々に1つの半導体チップが形成される場合、高品質領域71が互いに分離されるようなダイシングが行われる。また各高品質領域71の各々に複数の半導体チップが形成される場合、ダイシングによって、高品質領域71が互いに分離されるだけでなく、各高品質領域71が複数の領域に分離される。
【0075】
以上によりMOSFET100が得られる。
本実施の形態の半導体装置の製造方法によれば、上述した炭化珪素基板80を用いてMOSFET100が製造される。炭化珪素基板80の有効領域70(図1)には断面積が1μm2超のマイクロパイプが存在しないので、MOSFETの製造における、大きなマイクロパイプに起因した不具合を抑制することができる。たとえば、製造中における炭化珪素基板80の固定に真空チャックが用いられる場合に、大きなマイクロパイプを介したリークによって炭化珪素基板80の固定が不十分となることを避けることができる。またフォトリソグラフィ法において、露光または現像に用いる薬液が大きなマイクロパイプを経由して漏れることを防止することができる。
【0076】
また炭化珪素基板80の高品質領域71(図1)のマイクロパイプ密度は1cm2当たり1個以下なので、MOSFET100に存在するマイクロパイプの密度を小さくすることができる。これによりMOSFET100の信頼性を高めることができる。
【0077】
なお導電型が入れ替えられた構成、すなわちp型とn型とが入れ替えられた構成を用いることもできる。またMOSFET100について詳しく説明したが、半導体装置はMOSFET以外のMISFET(Metal Insulator Semiconductor FET)であってもよい。また半導体装置はMISFETに限定されるものではなく、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはJFET(Junction FET)であってもよい。
【0078】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0079】
10 単結晶基板、11〜13 第1〜第3端結晶基板、41 台座、52 炭化珪素単結晶、60 縁領域、70 有効領域、71,71V 高品質領域、80,80V 炭化珪素基板、100 MOSFET(半導体装置)、E1〜E4 第1〜第4端、FS 平面(一の平面)、L1〜L3 第1〜第3直線部、PT 一の点。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
5ミリメートル幅の縁領域と、
前記縁領域に囲まれ、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する有効領域とを備え、
前記有効領域には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在せず、
前記有効領域は、前記有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域を含み、
前記複数の高品質領域の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する、炭化珪素基板。
【請求項2】
前記炭化珪素基板の結晶構造はポリタイプ4Hを有する、請求項1に記載の炭化珪素基板。
【請求項3】
前記複数の高品質領域の各々は、1センチメートル以上の辺を有する正方形、および長さ1センチメートル以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する、請求項1または2に記載の炭化珪素基板。
【請求項4】
前記炭化珪素基板の面方位の面内ばらつきは一の面方位に対して0.2度未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素基板。
【請求項5】
1平方センチメートル以上の面積を有する主面を各々有する複数の単結晶基板を準備する工程を備え、
前記複数の単結晶基板は、第1端を有する第1直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられた第1単結晶基板と、第2端を有する第2直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられた第2単結晶基板と、第3および第4端を有する第3直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられた第3単結晶基板とを含み、さらに
前記複数の単結晶基板の各々の前記主面が互いに組み合わさることで、100平方センチメートル以上の面積を有する一の平面をなすように前記複数の単結晶基板を配置する工程を備え、
前記複数の単結晶基板を配置する工程は、前記第1〜第3単結晶基板が前記第1〜第3直線部において互いに隣接するように、かつ前記第1端および前記第2端が一の点において合わさるように、かつ前記一の点が前記第3直線部上に位置するように、かつ前記一の点が前記第3端および前記第4端の各々から離れて位置するように行われ、さらに
前記一の平面上に昇華法によって炭化珪素を堆積することで、前記一の平面上に炭化珪素単結晶を成長させる工程と、
前記炭化珪素単結晶をスライスする工程とを備える、炭化珪素基板の製造方法。
【請求項6】
前記複数の単結晶基板の各々は六方晶系の結晶構造を有する、請求項5に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項7】
前記結晶構造はポリタイプ4Hを有する、請求項6に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1単結晶基板の前記第1直線部を含む側面と、前記第2単結晶基板の前記第2直線部を含む側面との各々は、m面に対して5度以上の傾きを有する、請求項6または7に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項9】
前記傾きのc軸周りの成分は5度以上である、請求項8に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項10】
前記複数の単結晶基板の各々は、1センチメートル以上の辺を有する正方形、および長さ1センチメートル以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する、請求項5〜9のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項11】
前記複数の単結晶基板の各々の前記主面は、一の面方位に対して0.2度未満の傾きを有する、請求項5〜10のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項12】
前記複数の単結晶基板を配置する工程の後、かつ前記炭化珪素単結晶を成長させる工程の前に、前記一の平面の外縁をトリミングする工程をさらに備える、請求項5〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項13】
炭化珪素基板を準備する工程を備え、
前記炭化珪素基板は、5ミリメートル幅の縁領域と、前記縁領域に囲まれ、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する有効領域とを含み、前記有効領域には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在せず、前記有効領域は、前記有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域を含み、前記複数の高品質領域の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有し、さらに
前記炭化珪素基板の前記複数の高品質領域の各々の上に少なくとも1つの半導体素子構造を形成することによって複数の半導体素子構造を形成する工程と、
前記複数の半導体素子構造が互いに分離されるように前記炭化珪素基板をダイシングする工程とを備える、炭化珪素半導体装置の製造方法。
【請求項1】
5ミリメートル幅の縁領域と、
前記縁領域に囲まれ、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する有効領域とを備え、
前記有効領域には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在せず、
前記有効領域は、前記有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域を含み、
前記複数の高品質領域の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有する、炭化珪素基板。
【請求項2】
前記炭化珪素基板の結晶構造はポリタイプ4Hを有する、請求項1に記載の炭化珪素基板。
【請求項3】
前記複数の高品質領域の各々は、1センチメートル以上の辺を有する正方形、および長さ1センチメートル以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する、請求項1または2に記載の炭化珪素基板。
【請求項4】
前記炭化珪素基板の面方位の面内ばらつきは一の面方位に対して0.2度未満である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭化珪素基板。
【請求項5】
1平方センチメートル以上の面積を有する主面を各々有する複数の単結晶基板を準備する工程を備え、
前記複数の単結晶基板は、第1端を有する第1直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられた第1単結晶基板と、第2端を有する第2直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられた第2単結晶基板と、第3および第4端を有する第3直線部を含む外縁に囲まれた主面が設けられた第3単結晶基板とを含み、さらに
前記複数の単結晶基板の各々の前記主面が互いに組み合わさることで、100平方センチメートル以上の面積を有する一の平面をなすように前記複数の単結晶基板を配置する工程を備え、
前記複数の単結晶基板を配置する工程は、前記第1〜第3単結晶基板が前記第1〜第3直線部において互いに隣接するように、かつ前記第1端および前記第2端が一の点において合わさるように、かつ前記一の点が前記第3直線部上に位置するように、かつ前記一の点が前記第3端および前記第4端の各々から離れて位置するように行われ、さらに
前記一の平面上に昇華法によって炭化珪素を堆積することで、前記一の平面上に炭化珪素単結晶を成長させる工程と、
前記炭化珪素単結晶をスライスする工程とを備える、炭化珪素基板の製造方法。
【請求項6】
前記複数の単結晶基板の各々は六方晶系の結晶構造を有する、請求項5に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項7】
前記結晶構造はポリタイプ4Hを有する、請求項6に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項8】
前記第1単結晶基板の前記第1直線部を含む側面と、前記第2単結晶基板の前記第2直線部を含む側面との各々は、m面に対して5度以上の傾きを有する、請求項6または7に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項9】
前記傾きのc軸周りの成分は5度以上である、請求項8に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項10】
前記複数の単結晶基板の各々は、1センチメートル以上の辺を有する正方形、および長さ1センチメートル以上の短辺を有する長方形のいずれかの形状を有する、請求項5〜9のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項11】
前記複数の単結晶基板の各々の前記主面は、一の面方位に対して0.2度未満の傾きを有する、請求項5〜10のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項12】
前記複数の単結晶基板を配置する工程の後、かつ前記炭化珪素単結晶を成長させる工程の前に、前記一の平面の外縁をトリミングする工程をさらに備える、請求項5〜11のいずれか1項に記載の炭化珪素基板の製造方法。
【請求項13】
炭化珪素基板を準備する工程を備え、
前記炭化珪素基板は、5ミリメートル幅の縁領域と、前記縁領域に囲まれ、かつ100平方センチメートル以上の面積を有する有効領域とを含み、前記有効領域には、断面積が1平方マイクロメートル超のマイクロパイプが存在せず、前記有効領域は、前記有効領域の70%以上を占める複数の高品質領域を含み、前記複数の高品質領域の各々は、四角形の形状を有し、かつ1平方センチメートル以上の面積を有し、かつ1平方センチメートル当たり1個以下のマイクロパイプ密度を有し、さらに
前記炭化珪素基板の前記複数の高品質領域の各々の上に少なくとも1つの半導体素子構造を形成することによって複数の半導体素子構造を形成する工程と、
前記複数の半導体素子構造が互いに分離されるように前記炭化珪素基板をダイシングする工程とを備える、炭化珪素半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−53049(P2013−53049A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193463(P2011−193463)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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