説明

炭素酸化物を還元することによる固体炭素の製造方法

触媒の存在下で、炭素酸化物を還元剤で還元することによって、様々な形態を持つ固体炭素製品の製造方法を開示する。該炭素酸化物は、典型的には一酸化炭素又は二酸化炭素の何れかである。該還元剤は、典型的には炭化水素ガス又は水素である。該固体炭素製品の所望の形態は、該還元反応において使用される特定の触媒、反応条件及び随意の添加剤によって制御することができる。得られる該固体炭素製品は、多くの工業的用途を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互引照)
本件特許出願は、2009年4月17日付で出願された、「炭素酸化物を還元することによる固体炭素の製造方法(Method for Producing Solid Carbon by Reducing Carbon Oxides)」と題する、米国仮特許出願第61170199号に基く優先権を主張するものである。この米国仮特許出願の開示事項を、参照することによりここに組入れる。
【0002】
本発明は、一般的には炭素酸化物を、価値ある固体炭素製品に、接触転化する方法に係り、また特に、典型的には触媒の存在下で、還元剤(例えば、水素又は炭化水素)を用いて、固体炭素製品(例えば、バックミンスターフラーレン)を製造するための主な炭素源としての、炭素酸化物(例えば、一酸化炭素及び二酸化炭素)の使用に係る。この方法は、様々な形態にある固体炭素製品の工業的製造のために、また炭素酸化物の固体炭素及び水への接触転化のために利用することができる。
【0003】
これらの方法は、炭素酸化物から炭素製品を生成する。該方法は、主な炭素源として炭素酸化物を使用して、バックミンスターフラーレン等の炭素製品を生成する。従って、該方法は、炭素酸化物(主として一酸化炭素及び二酸化炭素)を、固体炭素及び水へと、接触転化する工程を含む。これらの方法では、大気、燃焼ガス、プロセス排-ガス、油井ガス、及び他の天然並びに工業的な炭素酸化物源を使用することができる。該炭素酸化物は、これらの源から分離し、必要ならば濃縮することができる。
【背景技術】
【0004】
固体炭素は、多数の工業的用途を有している。これら用途は、長期間にわたる使用、例えばタイヤ、インク等のフィラー材料としてのカーボンブラック及び炭素繊維、様々な形状を持つグラファイトに対する多くの用途(例えば、遮熱剤としての熱分解グラファイト)及びバックミンスターフラーレン(バッキーボール及びバッキーチューブを包含する)に対する革新的かつ新たに出現した用途を含む。種々の形状を持つ固体炭素を製造するための従来の方法は、典型的には適当な触媒の存在下で、炭化水素(しばしば天然ガス)の熱分解を含む。該炭素源としての炭化水素の使用は、該炭化水素の歴史的に豊富な入手可能性及びその価格の低さによるものである。固体炭素製造のための、還元反応における該炭素源としての炭素酸化物の使用は、殆ど未開発の状態にあった。
【0005】
本発明の方法は、2種の豊富な供給原料、即ち炭素酸化物(例えば、二酸化炭素(CO2)及び一酸化炭素(CO))及び還元剤を使用する。該還元剤は、好ましくは炭化水素ガス(例えば、天然ガス、メタンガス等)、水素ガス(H2)、又はこれらの混合物である。炭化水素ガスは、追加の炭素源としての機能及び該炭素酸化物に対する還元剤としての機能という二重の機能を果たす。合成ガスは、主として一酸化炭素(CO)及び水素ガス(H2)を含み、従ってこのガスは、該炭素酸化物及び該還元ガス両者を混合物として含む。合成ガスは、該反応ガス混合物の全て又はその一部として有利に使用することができる。
【0006】
炭素酸化物、特に二酸化炭素は、点状の放出源、例えば炭化水素燃焼の廃ガス、及び幾つかのプロセス排ガスから抽出できる豊富なガスである。二酸化炭素は、また空気から抽出することもできる。点状の放出源は、空気よりも著しく高い二酸化炭素濃度を持つので、該放出源は、しばしば該二酸化炭素を収穫するための経済的な源である。しかし、空気の即時の入手性は、空気中の二酸化炭素から上記固体炭素製品を現場で製造して輸送コストを排除することにより、コストの相殺をもたらす可能性がある。
【0007】
二酸化炭素は、発電及び化学的プロセスの副産物として益々大量に入手でき、また安価となる。該化学的プロセスの目的は、発生する二酸化炭素を捕獲し、引続き隔離(しばしば地質構造内に注入することによる)することによる、二酸化炭素の大気への排出を抑制することにある。この二酸化炭素の捕獲及び隔離は、例えばグリーン・コール(green coal)燃焼発電所の基礎である。通常の実務において、二酸化炭素の捕獲及び隔離は、多大なコストを必要とする。ここに記載するプロセスでは、該二酸化炭素を、関連する廃棄コストを伴う、望ましからぬ廃棄物ではなく、経済的に価値ある副産物とみなしている。
【0008】
該開示された方法は、電力生成及び炭素酸化物を隔離し、それを価値ある固体炭素製品に転化するための工業的プロセスに組込むことができる。例えば、燃焼における炭素酸化物及びプロセス排ガスは、分離しかつ濃縮して、このプロセスに対する供給原料とすることを可能とする。幾つかの場合において、これらの方法は、例えば多段ガスタービン発電所における中間段階として、分離及び濃縮処理なしに、該プロセスフローに直接組込むことができる。このプロセスフローへの直接的な組込みは、酸化燃焼プロセスにとって特に適している。
【0009】
この接触転化プロセスは、化石燃料燃焼プロセスに組込むことができる。当業者は、該接触転化プロセスを、様々な燃焼プロセス及び発電サイクルと統合するための多くの方法を、容易に思い浮かべるであろう。これら方法は、発電サイクルにおける段階間に接触転化装置を追加することを含み、その結果、燃焼ガスは接触転化装置に通され、また該燃焼ガス中の炭素酸化物成分の少なくとも幾分かは、固体炭素に転化され、あるいは該燃焼プロセスの全流出ガス又はその一部から炭素酸化物が分離され、また該分離されたガスは該接触式転化装置に搬送される。
【0010】
該接触転化プロセスと分離プロセスとを組合せることは、有益なことであり得る。というのは、この組合せは、既存の分離かつ隔離法よりも一層経済的であると思われる、炭素分離かつ隔離装置を提供するものと思われるからである。その作業能率は、該接触転化装置が、低圧炭素酸化物を使用でき、そのため圧縮、液化及び輸送に関連する装置及びコストが、減じられるという事実、及び該接触転化装置において発生する熱を、該分離プロセスに必要な加工熱の少なくとも一部を与えるために使用することから結果するものであり得る。当業者は、接触転化装置と様々な分離プロセスとを組合せるための具体的な方法を、容易に思い浮かべるであろう。例えば、分離プロセス、例えばアミン吸収は、該接触転化装置からの脱離に必要とされる熱の少なくとも一部を受取り、また低圧炭素酸化物ガスを、該接触転化装置に送ることができる。
【0011】
炭素、酸素、及び水素の反応を可能とする、限られた数の方法がある。これら3種の元素を含む一群の反応があり、そこでは、様々な平衡が広く知られている。炭化水素の熱分解は、典型的には殆ど又は全く酸素の存在なしに、固体炭素の生成にとって好ましい水素及び炭素間の平衡の範疇にある。一酸化炭素の不均化反応とも呼ばれるブドゥアード(Boudouard)反応は、典型的には殆ど又は全く水素の存在なしに、固体炭素の生成を有利にする、水素及び炭素間の平衡の範疇にある。ボッシュ(Bosch)反応は、固体炭素の生成にとって有利な、炭素、酸素、及び水素全てが存在する平衡の範疇にある。他の平衡は、固体炭素製品の生成を伴わずに、炭素酸化物又は炭化水素の生成を有利にする(例えば、サバチエ(Sabatier)プロセス及びフィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)プロセス)。
【0012】
該炭化水素の熱分解、ブドゥアード反応及びボッシュ反応間の関係は、図21に示したようなC-H-O平衡状態図によって理解し得る。図21のC-H-O平衡状態図は、カーボンナノチューブ(CNT)製造のための様々な公知の方法を示すものである。該炭化水素の熱分解反応は、H2とCとを結ぶ平衡線上、即ち図の三角形の左側にある。この線上に記された名前は、この線上の様々な点におけるCNTの生成を立証する結果を公開した数名の研究者等の名前である。多くの特許が、CNTの製造における、該炭化水素熱分解反応の使用に関して、発行されている。上記ブドゥアード反応又は一酸化炭素不均化反応は、O2とCとを結ぶ平衡線上、即ち図の三角形の右側にある。本図を横切る様々な温度に関連する平衡線は、固体炭素が生成されるであろう大凡の領域を示す。各温度に対して、固体炭素は、関連する平衡線の上方の領域において生成されるが、該平衡線の下方の領域では生成されないであろう。
【0013】
一般にボッシュ反応に基く本発明の方法は、該三角形の内側の領域内にあり、そこでは、様々な組合せで、固体炭素と、炭素、水素及び酸素との間に、平衡が確立される。ここに記載されていることは、実際にCNT及び幾つかの他の形状にある固体炭素製品の生成にとって著しく有利であり、かつ触媒、反応ガス、及び反応条件を注意深く選択することによって、生成される固体炭素製品の型を選択的に制御し得る、幾つかの点を、該中心領域が持つということである。従って、これらの方法は、価値ある固体炭素製品、例えばCNTを製造するための新たな経路を明らかにするものである。
【0014】
エリンガム(Ellingham)の図は、温度の関数としての、炭素質ガスからの固体炭素の平衡生成エンタルピーを規定するものである。この図は、当分野にとっては周知であり、またこの平衡範囲を理解する上で有用な基準となっている。
【0015】
本発明の方法は、上記ボッシュの反応を利用して、価値ある固体炭素製品を製造している。該ボッシュの反応(CO2 + 2H2 ←→ C固体 + 2H20)では、固体炭素及び水を生成するために、水素によって二酸化炭素を還元している。文献において報告された該ボッシュ反応に関する温度は、450〜2,000℃なる範囲にある。触媒例えば鉄の使用によって、この反応の速度は、典型的には高められ、また該反応の温度は減じられる。
【0016】
以前、該ボッシュ反応は、包囲され、隔離された環境内、例えば潜水艦、宇宙船及び月の基地又は火星基地等における呼吸過程からの酸素の回収を目的として利用されていた(例えば、Birbarta等の、「酸素を回収するための二酸化炭素転化システム(Carbon dioxide conversion system for oxygen recovery)」と題する米国特許第4452676号、及びJaegerによる、「二酸化炭素の還元生成物の製法(Process of producing reduction products of carbon dioxide)」と題する米国特許第1735925号を参照のこと)。典型的には、該固体形状の炭素は、固体触媒床又は捕集プレート上に堆積されたグラファイト等として特定され、また該触媒を汚染し、かつ破棄する必要のある、厄介なものとして認識されている。この方法の改良によって生成されるはずの様々な形状の固体炭素に関する開示、又はこれら反応の主な望ましい生成物としての固体炭素に関する開示は、これまで全く見られない。
【0017】
該ブドゥアード反応は、また一酸化炭素の不均化反応とも呼ばれ、またこの反応は以下の式の如く進む:
2CO(g) ←→ C(s) + CO2(g), ΔH = -169 kJ/モル(固体炭素)
本発明の方法は、少なくとも以下の3つの点において、該ブドゥアード反応とは異なっている:即ち、i) 一酸化炭素はこの方法にとって不要であるが、これは炭素源として利用することができる点;ii) 該一酸化炭素を還元して固体炭素及び水とするのに別の還元剤が使用される点;及びiii) 二酸化炭素が該反応の生成物ではない点。
【0018】
最近の一群の特許は、一酸化炭素の、カーボンナノチューブ製造用炭素源としての使用を開示している。一酸化炭素からの固体炭素の製造は、上記一酸化炭素の不均化反応、即ちブドゥアード反応を介するものである。Smalley(米国特許第6761870号)は、単一壁(single-walled)カーボンナノチューブ製造のための、気-相核形成及び成長における、触媒の存在下での、一酸化炭素の不均化反応の利用を開示している。
【0019】
Nasibulin等の「新規ハイブリッド炭素材料(A Novel Hybrid Carbon Material)」と題する論文(Nature Nanotechnology 2, 156-161, 2006)は、著者等がナノバズ(nanobuds)と呼んでいる生成物の、2つの異なるワン-ストップ(one-stop)連続法による製造を開示しており、その際、一酸化炭素の不均化反応中に、SWNTs(単一壁ナノチューブ)と共に、鉄-触媒粒子上にフラーレンが生成された。この一酸化炭素不均化反応の利用は、この文献を象徴するものである。Nasibulinは、さらに「一酸化炭素からの単一壁CNT合成中の、CO2及びH2Oの本質的な役割(An essential role of CO2 and H2O during single-walled CNT synthesis from carbon monoxide)」と題するその論文(Chemical Physics Letters, 417 (2005) 179-184)において、カーボンナノチューブの成長における二酸化炭素及び水の大きな影響について開示しているが、具体的には約15,000ppm以上の濃度において、CO2の存在がカーボンナノチューブの生成を妨害することに触れている。
【0020】
Tennentは、「カーボンフィブリル、その製法及びそれらを含む組成物(Carbon fibrils, method for producing same and compositions containing same)」と題する米国特許第4,663,230号において、カーボンフィブリルの製造における炭素酸化物の使用を開示し、またその使用を特定しているが、この著者の反応は、炭素-含有化合物と、この発明の特別に調製された触媒中の炭素との間の反応として特定されており、該反応において、該触媒は、本質的に適当な金属で被覆された炭素粒子であった。Tennentは、具体的に「該炭素と反応し得る化合物が、CO2、H2又はH20であることを特徴とする」ものとして特許請求している。
【0021】
Resasco等は、「ナノチューブの製法(Method of Producing Nanotubes)」と題する特許(米国特許第6,333,016号)において、様々なCo:Mo触媒の存在下における一酸化炭素不均化反応を開示している。発明者らは、該反応ガス混合物における還元剤の使用及びその存在に関して特許請求していない。
【0022】
対照的に、本発明の方法は、該炭素源ガスを、一酸化炭素に限定していない。本発明の方法は、炭素酸化物以外の還元剤を使用している。また、本発明の方法は、上記価値ある固体炭素製品を製造するために、触媒の存在下で、還元剤と該炭素酸化物とを混合することに依っている。
【0023】
炭化水素の熱分解は公知であり、またカーボンブラック及び様々なカーボンナノチューブ並びにバックミンスターフラーレン製品の製造において工業的に使用されている。得られる固体炭素の形態を決定する、温度、圧力の使用、及び触媒の存在下での炭化水素の熱分解による、様々な形状を持つ固体炭素の生成及び収穫のための、様々な方法がある。例えば、Kauffman等(米国特許第2,796,331号)は、触媒として硫化水素を用い、過剰量の水素の存在下で、炭化水素から様々な形状を持つ繊維状炭素を製造する方法及び固体表面上の該生成繊維状炭素の捕集方法を開示している。Kauffmanは、また該炭化水素源としてコークス炉ガスの使用を特許請求している。
【0024】
Wiegand等(米国特許第2,440,424号)は、例えば制御された量の炭化水素ガス、天然ガスと、高速度にて、高度に撹乱された酸素含有噴射炎の、該噴射ガスを完全燃焼するに要する量を実質的に越える量とを、迅速かつ十分に混合する工程を含む、カーボンブラックを製造するための改良法を開示している。この噴射ガスは、主として、燃焼ではなく熱分解反応が起るように、利用可能な酸素量を大幅に越える量で加熱されたチャンバー内に導入される、熱分解すべき炭化水素ガスの二次的「投入ガス(make gas)」を加熱するためのものである。
【0025】
Brownlee等(米国特許第1,478,730号)は、炭化水素供給原料からの特殊なカーボンブラックの製法を開示しており、この方法は、高い収率を与え、ガス流中で該炭化水素を(燃焼によるのではなく)熱分解することによって炭素粒子を生成し、該ガスを迅速に冷却して該特殊なカーボンブラックを分離するものである。この方法では、該カーボンブラックは、炉の耐火物及び該燃焼ゾーン内の他の表面に形成される標準的なカーボンブラックと接触するまえに、冷却され分離される。Brownleeは、この特殊なカーボンブラックを特許請求している。
【0026】
Bourdeau等(米国特許第3,378,345号)は、基板に対して垂直方向に成長する細長い結晶としての熱分解グラファイトホイスカーを成長させる方法を開示しており、ここでは、非-化学量論的量で水若しくは二酸化炭素又はこれらの混合物を炭化水素ガスと共に使用している(50:1なる比の、炭化水素ガス対水又は二酸化炭素)。この反応は、低圧(約0.0133Pa〜約2.67Pa(0.1〜20mmHg))にて起り、また700〜1,200℃にて開始する。この温度は、徐々に(3℃/分にて)、少なくとも1,400℃まで高められる。
【0027】
Diefendorf(米国特許第3,172,774号)が、炭化水素ガスを使用し、低圧(約0.266Pa〜約93.3Pa(0.2〜70cmHg))及び1,450〜2,000℃なる温度にて、複合物品上に熱分解グラファイトを堆積する方法を記載している。この低圧は、気相中でススを形成するのではなく、該炭素を該複合物品の表面上に生成する上で重要である。
【0028】
Huang等(米国特許出願第20060269466号)は、炭素質ナノファイバーの製造であって、該炭素材料に対する炭素源として炭化水素を使用した、その製造を開示している。
【0029】
Li等(米国特許出願第20080118426号)は、炭化水素源ガスの熱分解を利用した、様々な形態を持つカーボンナノチューブの製造を開示している。Liは、該炭化水素源ガスの型を特定していないが、明細書に開示された反応温度における熱分解の明細は、炭化水素であることを示している。
【0030】
Fujimaki等(米国特許第4,014,980号)は、「2〜5個のベンゼンリングを備えた縮合多環式構造を持つ、1種又はそれ以上の気化された化合物と、少量のCO、CO2又はH2Oを含有する大量の不活性ガスとを混合する」反応に基いて、グラファイトホイスカーを製造する方法を開示している。Fujimakiは、特許請求された方法に基けば、還元反応の利用を教示しておらず、また該グラファイトホイスカー製造用の主な炭素源としての、炭素酸化物の使用を教示していない。
【0031】
炭化水素の熱分解は、その定義によれば、炭化水素の熱的な分解である。本発明の方法は、固体炭素製品の製造において炭化水素を熱分解するこの技術とは、本発明の方法が、様々な形態を持つ固体炭素の製造のために、その炭素源として炭素酸化物を用いている点において異なるものである。本発明の方法では、幾つかの炭化水素ガスを使用することが可能であるが、このようなガスは、炭素酸化物ガスに対する還元剤として使用され、また該固体炭素製品に対する炭素源として寄与するという二次的な利点をも持つ。従来の炭化水素の熱分解法は、典型的に、所望の炭素製品の選択的生成における、炭素酸化物の重要性を述べておらず、また特定もしていない。
【0032】
上記ボッシュの反応は広範に研究されており、また幾つかの特許が、呼気から酸素を回収必要があり、あるいはこれが望まれる環境、例えば潜水艦又は宇宙船内の環境における、この反応の応用について発行されている。このような回収は、一般的に、該二酸化炭素を担持する空気を、二酸化炭素濃縮機に通し、次いで該濃縮された二酸化炭素を二酸化炭素還元システムに送ることによって実現される。多数の二酸化炭素還元法が利用されており、該方法は、化学的及び電気化学的手段両者を含む。
【0033】
Holmes等の、「ボッシュ反応を利用した二酸化炭素還元装置及び使捨て触媒カートリッジ(A Carbon Dioxide Reduction Unit Using Bosch Reaction and Expendable Catalyst Cartridges)」と題する論文(ゼネラルダイナミックス社のコンベール部門、ラングレーリサーチセンター用に準備されたもの、1970年11月(Convair Division of General Dynamics Corporation, prepared for Langley Research Center, November 1970))は、二酸化炭素から酸素を回収するための、ボッシュ反応の利用を開示している。
【0034】
Birbara等(米国特許第4,452,676号)は、水添により二酸化炭素をメタン及び水に転化し、引続き該メタンを熱分解し、非-触媒性ガラス基板上に、生成する固体炭素を堆積させる、サバチエ(Sabatier)反応を利用した、二酸化炭素からの酸素の回収方法を開示している。このメタンを約1,000〜1,200℃なる範囲の温度に加熱した、高温安定性ガラス表面上で熱分解して、水素ガス及び高密度の、即ち約2g/cm3を越える密度を持つ炭素を生成する。これは、該炭素材料の高い密度のために、その保存に係る問題の発生を軽減する。該生成した水素ガスも、また反応のために、導入される該二酸化炭素に再循環される。
【0035】
NASAは、宇宙船内の呼気のCO2から酸素を回収するための該方法において使用する目的で、様々な時点における該ボッシュ反応に関する研究を後援している。この研究は、一連の報告、刊行された論文、及び論説をもたらした。この研究は、酸素回収のための、水の生成に着目した。
【0036】
該ボッシュ反応に関する、NASAにより後援された研究に関連する選択された文献は、以下に列挙するものを含む:
・ボッシュ反応を利用する二酸化炭素還元装置(A carbon dioxide reduction unit using Bosch reaction);
・水の製造方法、ボッシュ及びサバティエ反応を含むISSに関して考慮さるべき方法の概観(Methods of Water Production a survey of methods considered for the ISS including Bosch and Sabatier reactions), オレゴン州立大学(Oregon State University);
・CO2還元法の比較―ボッシュ及びサバティエ、SAEインターナショナル(Comparison of CO2 Reduction Process - Bosch and Sabatier, SAE International)、1985年7月、文書番号(Document Number) 851343;
・Bunnel, C.T. Boyda, R.B. & Lee, M.G., ボッシュのCO2還元法の最適化、SAE技術論文シリーズ(Optimization of the Bosch CO2 Reduction Process, SAE Technical Paper Series) No. 911451, 環境システムに関する第21回国際会議において提示された(presented 21st International Conference on Environmental Systems)、CA州、サンフランシスコ(San Francisco, CA), 1991年7月15-18;
・Davenport, R. J.; Schubert, F. H.; Shumar, J. W.; Steenson, T. S., メタン-二酸化炭素分解反応の評価及びキャラクタリゼーション(Evaluation and characterization of the methane-carbon dioxide decomposition reaction), 受入番号(Accession Number): 75N27071;
・Noyes, G.P., 宇宙船ECLSSに関する二酸化炭素の還元法:包括的論評(Carbon Dioxide Reduction Processes for Spacecraft ECLSS: A Comprehensive Review), SAE技術論文シリーズ(SAE Technical Paper Series)No. 881042, 自動車技術協会(Society of Automotive Engineers), PA州、ウォーレンダール(Warrendale, PA), 1988;
・Arlow, M. & Traxler, G., 将来の欧州宇宙計画のための、CO2処理及びO2再生利用システム選別法(CO2 Processing and O2 Reclamation System Selection Process for Future European Space Programmes), SAE技術論文シリーズ(SAE Technical Paper Series)No. 891548, 自動車技術協会(Society of Automotive Engineers), PA州、ウォーレンダール(Warrendale, PA), 1989;
・ボッシュのCO2還元法の最適化(Optimization of the Bosch CO2 Reduction Process), SAEインターナショナル(SAE International), 1991年7月, 文書番号(Document Number) 911451;
・Garmirian, J.E.,「コバルト及びニッケル触媒を用いた、ボッシュ法における炭素の堆積(Carbon Deposition in a Bosch Process Using a Cobalt and Nickel Catalyst)」, 学位論文, MIT, 1980年3月;
・Garmirian, J.E., Reid, R.C.,「鉄以外の触媒を用いた、ボッシュ法における炭素の堆積(Carbon Deposition in a Bosch Process Using Catalysts Other than Iron)」, 年報(Annual Report), NASA-AMES認可番号No. NGR22-009-723, 1978年7月1日;
・Garmirian, J.E., Manning, M.P., Reid, R.C.,「ボッシュ反応器におけるニッケル及びコバルト触媒の利用(The use of nickel and cobalt catalysts in a Bosch reactor)」, 1980;
・Heppner, D. B.; Hallick, T. M.; Clark, D. C.; Quattrone, P. D., ボッシュ―もう一つのCO2還元技術(Bosch - An alternate CO2 reduction technology), NTRS受入番号(Accession Number): 80A15256;
・Heppner, D. B.; Wynveen, R. A.; Schubert, F. H., RLSE実験のための原型ボッシュCO2還元サブシステム(Prototype Bosch CO2 reduction subsystem for the RLSE experiment), NTRS受入番号(Accession Number): 78N15693;
・Heppner, D. B.; Hallick, T. M.; Schubert, F. H., ボッシュCOサブ2還元サブシステムの性能のキャラクタリゼーション(Performance characterization of a Bosch CO sub 2 reduction subsystem), NTRS受入番号(Accession Number): 80N22987;
・Holmes, R. F.; King, C. D.; Keller, E. E., ボッシュCO2還元システムの開発(Bosch CO2 reduction system development), NTRS受入番号(Accession Number): 76N22910;
・Holmes, R. F.; Keller, E. E.; King, C. D., ボッシュ反応及び発泡性触媒カートリッジを用いた、二酸化炭素還元装置(A carbon dioxide reduction unit using Bosch reaction and expendable catalyst cartridges), ゼネラルダイナミック社(General Dynamics Corporation), 1970, NTRS受入番号(Accession Number): 71N12333;
・Holmes, R. F.,CO2還元のためのボッシュ反応の自動化(Automation of Bosch reaction for CO2 reduction), NTRS受入番号(Accession Number): 72B10666;
・Holmes, R. F.; Keller, E. E.; King, C. D., ボッシュCO2還元装置の研究並びに開発(Bosch CO2 reduction unit research and development), NTRS受入番号(Accession Number): 72A39167;
・Holmes, R. F.; King, C. D.; Keller, E. E., ボッシュCO2還元システム開発(Bosch CO2 reduction system development), NTRS受入番号(Accession Number): 75N33726;
・King, C. D.; Holmes, R. F., 円熟したボッシュCO2還元技術(A mature Bosch CO2 reduction technology), NTRS受入番号(Accession Number): 77A19465;
・Kusner, R.E.,「鉄触媒を用いた逆水-ガスシフト反応の速度論(Kinetics of the Iron Catalyzed Reverse Water-Gas Shift Reaction)」, PhD論文, ケースインスティチュートオブテクノロジー(Case Institute of Technology), オハイオ州(Ohio)(1962);
・Isakson, W.E., Snacier, K.M., Wentrcek, P.R., Wise, H., Wood, B.J.「触媒の硫黄毒(Sulfur Poisoning of Catalysts)」, SRI, US ERDAに関連, 契約番号(Contract No.)E(36-2)-0060, SRIプロジェクト(Project)4387, 1977;
・Manning, M.P., Garmirian, J.E., Reid, R.C., 「ニッケル及びコバルト触媒を用いた、炭素堆積の研究(Carbon Deposition Studies Using Nickel and Cobalt Catalysts)」, Ind. Eng. Chem. Process Des. Dev., 1982, 21, 404-409;
・Manning, M. P.; Reid, R. C., ボッシュ法による二酸化炭素の還元(Carbon dioxide reduction by the Bosch process), NTRS受入番号(Accession Number): 75A40882;
・Manning, M.P., 「ボッシュ法の検討(An Investigation of the Bosch Process)」, MIT学位論文(Dissertation)(1976);
・Manning, M. P.; Reid, R. C.; Sophonpanich, C., ルテニウム及びルテニウム-鉄合金触媒を用いた、ボッシュ法における炭素の堆積(Carbon deposition in the Bosch process with ruthenium and ruthenium-iron alloy catalysts), NTRS受入番号(Accession Number): 83N28204;
・Meissner, H. P.; Reid, R. C., ボッシュ法(The Bosch process), NTRS受入番号(Accession Number): 72A39168;
・Minemoto, M., Etoh, T., Ida, H., Hatano, S., Kamishima, N., and Kita, Y., 宇宙ステーション用の空気再生システムに関する研究(Study of Air Revitalization System for Space Station), SAE技術論文シリーズ(SAE Technical Paper Series) No. 891576, 自動車技術協会(Society of Automotive Engineers), PA州、ウォーレンダール(Warrendale, PA), 1989;
・Otsuji, K., Hanabusa, O., Sawada, T., Satoh, S., and Minemoto, M., 「ボッシュ及びサバチエCO2還元法の実験的研究(An Experimental Study of the Bosch and the Sabatier CO2 Reduction Processes)」, SAE技術論文シリーズ(SAE Technical Paper Series) No. 871517, 環境システムに関する第17回学会間会議で提示された(presented 17th Intersociety Conference on Environmental Systems), WA州、シアトル(Seattle, WA), 1987年7月;
・Ruston, W.R., Warzee, M., Hennaut, J. Waty, J., 「550℃における鉄触媒上での一酸化炭素の接触的分解の固体反応生成物(The Solid Reaction Products of the Catalytic Decomposition of Carbon Monoxide on Iron at 550C)」, Carbon, 7, 47 (1969);
・Ruston, W.R., Warzee, M., Hennaut, J., Waty, J., 「金属触媒上での一酸化炭素からの炭素堆積物の成長に係る基本的研究(Basic Studies on the Growth of Carbon Deposition from Carbon Monoxide on a Metal Catalyst)」, D.P.報告(D.P. Report) 394, 原子エネルギーの確立(Atomic Energy Establishment), ウインフリス(Winfrith)(1966);
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0037】
これら従来の方法において、その目的は酸素の回収であり、一方固体炭素は、単に厄介な生成物であり、また処分の問題をもたらすものと考えられている。ここに提示する本発明の方法は、ボッシュ法を利用しているが、本発明の方法が、製造し得る固体炭素の型及び品位と関連している点、及び触媒、ガス混合物、及びプロセス変数(例えば、温度、圧力及び滞留時間)の使用を通して、該固体炭素の形態を制御し、結果として経済的に価値のある固体炭素製品の製造を保証する点において、従来の方法とは異なっている。本発明の方法は、該ボッシュ反応の制御を通して製造することのできる、カーボンナノチューブを包含する固体炭素製品の範囲を特定し、かつ有効なものとする。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本開示は、還元工程を通して、主な炭素源として炭素酸化物を使用して、様々な形態を持つ固体炭素製品を、効果的かつ工業的規模で製造するための方法並びに装置を提供するものであり、ここでは、触媒の存在下で、還元剤を使用して、該炭素酸化物を所望の固体炭素製品に還元する。該固体炭素製品の型、純度、及び均質性は、該反応の条件(反応時間、温度、圧力、試薬の分圧)及び該触媒(そのサイズ、製造方法、及びその形状)によって制御される。
【0039】
本発明の方法は、ボッシュ反応を利用し、触媒の存在下及び特定の望ましい型の固体炭素に対して最適化された反応条件の下で、様々な還元ガス、例えば水素又はメタンの何れかによって、二酸化炭素を還元することにより、カーボンナノチューブを含む固体炭素製品を製造する。この接触転化法は、様々な分離技術、及び様々な二酸化炭素発生法と組合せることができる。
【0040】
特に注目される該固体炭素製品の形態の一つは、単一壁カーボンナノチューブである。見掛け上は、該所望のカーボンナノチューブ径の約1.2〜1.6倍の寸法を持つ触媒の使用が、単一壁カーボンナノチューブの生成を結果する。該触媒は、所望の寸法を持つ触媒ナノ粒子の形状、又は固体触媒、例えばステンレススチール処方の領域内の形状であってもよく、後者において該スチールの粒径は、所望のCNTの径に対して特徴的な寸法にある。触媒ナノ粒子は、エアゾール溶液の注入により該反応ゾーン中又はその近傍にて生成することができ、ここで各エアゾール液滴中の触媒プリカーサの濃度は、(存在する場合には)溶質が蒸発し、かつ該触媒プリカーサが分解して、触媒ナノ粒子を生成する際に、所望のナノ粒子サイズを与えるのに必要とされるような値である。典型的には、該温度を、該触媒粒子のサイズの減少に応じて下げる必要がある。該触媒及び該反応条件を選択することにより、比較的特定された形状を持つ炭素を与えるように、該工程を調節することができる。
【0041】
カーボンナノチューブは、強度、電流搬送能力、並びに熱的及び電気的伝導性を含むその特有の材料特性によって、価値あるものである。カーボンナノチューブの一般的な大量使用は、複合材を製造する際の、樹脂に対する添加物としての使用を包含する。カーボンナノチューブの用途に関する研究並びに開発は、利用中又は考察中の、広範囲に及ぶ用途に関して、極めて活発である。カーボンナノチューブの広範に渡る利用に対する一つの障害は、その製造コストであった。本発明の方法は、該コストの低減に役立つものであり得る。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明の他の特徴並びに利点は、添付図面との関連で記載される以下の詳細な説明を参照することにより明らかとなるであろう。
【0043】
【図1】図1は、本特許出願において記載される実施例に関する、例示的実験的構成の模式的な図を示す。
【0044】
【図2】図2は、本発明の方法の一実施態様に従って実施され、実施例1の結果として製造された、基板上の「ピロー」形状を持つ、カーボンナノチューブ(CNT)の「森林(forest)」状成長物の側面図である。
【0045】
【図3】図3は、実施例1を実施した結果として製造された、CNTのピロー形態を示す、倍率700xにおける森林の平面図である。
【0046】
【図4】図4は、倍率18,000xにおける、図3に示された森林内のピローを含むCNTを示すものである。
【0047】
【図5】図5は、森林成長由来の典型的なピロー型CNTの元素分析に関するグラフを示すものである。
【0048】
【図6】図6は、実施例2を実施した結果として製造された、CNTのサンプルを、倍率10,000xの下で示したものである。
【0049】
【図7】図7は、図6に示されたサンプルを、倍率100,000xの下で示したものである。
【0050】
【図8】図8は、CNT森林成長物を備えた、316Lステンレススチールウエハの写真であり、実施例3において記載した実験を行った後に撮影したものである。
【0051】
【図9】図9は、実施例3由来のCNT森林成長物の一領域の、倍率2,500xにおける像を示すものである。
【0052】
【図10】図10は、実施例3由来のCNT森林成長物の、倍率10,000xにおける像を示すものである。
【0053】
【図11】図11は、実施例4由来の、スチールウールサンプルの写真を示す図である。
【0054】
【図12】図12は、実施例4由来の粉末粒子の、倍率800xにおける像を示す図である。
【0055】
【図13】図13は、実施例4由来の粉末粒子の、倍率120,000xにおける像を示す図である。
【0056】
【図14】図14は、表面に成長したグラファイト小板を有する、実施例5由来のステンレススチールワイヤサンプルの写真を示すものである。
【0057】
【図15】図15は、実施例5由来のグラファイト小板の、倍率7,000xにおける像を示す図である。
【0058】
【図16】図16は、実施例5由来のグラファイト小板の、倍率50,000xにおける像を示す図である。
【0059】
【図17】図17は、カーボンナノチューブ「ピロー」の繊維状成長物を備えた、実施例6由来のステンレススチールウエハサンプルの写真を示す図である。
【0060】
【図18】図18は、下部構造としての該「ピロー」形態を示す、倍率778xにおける、実施例6由来の繊維状成長物の像を示す図である。
【0061】
【図19】図19は、実施例6由来の「ピロー」の、倍率11,000xにおける像を示す図である。
【0062】
【図20】図20は、実施例6由来の「ピロー」の、倍率70,000xにおける像を示す図である。
【0063】
【図21】図21は、C-H-O平衡状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0064】
上記ボッシュ反応は、炭素酸化物を還元して、固体炭素及び水を生成するのに、水素を使用している。該反応は、触媒の存在下において、凡そ650℃を越える温度にて起る。この反応は、穏やかな発熱反応(熱を生成)であり、また以下の化学量論式に従って進行する:
CO2 + 2H2 ←→ C(s) + H2O
その際に、固体炭素(C(s))1gにつき約2.3×103Jなる熱を放出する。この反応は、該固体炭素が水及び二酸化炭素により酸化される反応(酸素シフト反応)と可逆的であり、従って固体炭素を製造するためには約450℃を越える反応温度が必要とされるが、この温度が高過ぎると、逆反応が進み、また全体としての反応速度は、遅くなる(該反応の平衡が左側にシフトする)。
【0065】
一般的に、本発明の方法は、一級炭化水素及び酸素を含む燃焼性混合物を燃焼させることにより、あるいは幾つかの他の源由来の、既存の炭素酸化物を採取し、該炭素酸化物及び還元剤を、所望の反応温度まで予備加熱されている反応ゾーン内に注入することにより、固体炭素及び特に様々な形状又は形態を持つカーボンナノチューブを製造することを含む。この反応は、典型的に触媒の存在下にて起る。というのは、該触媒の組成及びサイズが、得られる固体炭素の形態を制御する上で重要であるからである。該反応条件(該反応ゾーン内の該反応ガスの滞留時間、温度、及び圧力)は、該所望の固体炭素製品の諸特性に基いて調節される。該反応ガス混合物は、典型的には該反応器を通して循環され、また各サイクル毎に冷却機に通され、そこで過剰量の水が除去され、また該反応ガス混合物中の水蒸気の分圧が調節される。
【0066】
本発明に係る方法の該炭素酸化物の還元工程により、固体炭素を、多くの異なる形態を持つものとして製造することができる。製造することのできる該固体炭素の形態の幾つかは、以下に列挙するものを含む:
・熱分解グラファイトを含むグラファイト;
・グラフェン;
・カーボンブラック;
・繊維状炭素;
・バッキーボール、単一壁カーボンナノチューブ、及び多重壁カーボンナノチューブを含むバックミンスターフラーレン。
【0067】
水素は、本発明の方法における該還元反応に適した還元剤の一つにすぎない。炭化水素ガスを、該還元反応において使用することができ、ここで該炭化水素ガスは、該反応に関与する水素及び炭素の一部を与える。1種又はそれ以上の一般に入手できる炭化水素ガスを含む還元剤混合物、例えば天然ガスにおいて見られるものは、幾つかの用途においては経済的な選択肢の一つであり得る。一態様において、該還元剤は、以下のような化学量論的関係に従って、メタンを含む:
CO2 + CH4 ←→ 2C(s) + 2H2O
ここで、該発熱反応中に、決定されていない量の熱の放出を伴う。
【0068】
該所望の固体炭素種の生成にとって有利な反応速度は、適当な触媒の使用によって設定することができる。例えば、該反応は、元素周期律表第VIII族元素(例えば、鉄)又は第VIII族元素を含む化合物(例えば、炭化鉄)の存在下で促進され、またその使用により、該反応を低温にて行うことが可能となる。これら元素の混合物から製造される触媒は、上記所望の形態を持つ固体炭素を生成するように設計することができる。触媒の使用により、該反応は、典型的に5秒以下で完結するように進行し、又はその反応時間は、正しいプロセス条件及び触媒の下では、数十分の一秒ほどの短期間であり得る。
【0069】
典型的に、該ボッシュ反応により形成された固体炭素は、グラファイトの形状にある。本発明の方法によれば、該固体炭素製品の形態は、該反応条件により、また該触媒を変更することにより、さらには該触媒を該水素及び炭素酸化物と接触させる方法によって調節することができる。一態様において、該触媒は以下のようにして製造することができる。即ち、触媒プリカーサ化合物、例えばフェロセン又は幾つかの他のメタロセン、あるいは幾つかの他の金属-含有プリカーサ、例えばペンタカルボニル鉄の化学的な反応及び該反応生成物の凝集を通して、該反応ガス中に同伴させ、あるいは該反応ゾーン内の表面上に堆積されたナノ粒子として該触媒を生成することによって、該反応ゾーン内で製造することができる。
【0070】
該反応ゾーン内で該触媒を生成するための触媒プリカーサの使用は、様々な粒径を持つ触媒の生成を結果する傾向があり、この傾向は、さらに生成する固体炭素のサイズ(例えば、カーボンナノチューブの孔径等)における対応する分布をもたらす。触媒プリカーサを該反応ゾーンに導入した場合、該触媒の幾分かの部分は、該反応ゾーン内の固体炭素製品の表面上に生成される可能性がある。そのため、該触媒は、付随的に該表面から固体炭素粒子の成長を起こす傾向を示す。これは、分岐した形態、例えば分枝を持つカーボンナノチューブの生成へと導く。
【0071】
幾つかの場合において、該炭素製品の表面上の触媒は、部分的に該チューブ構造に没入してナノバッドを生成する、バッキー球を形成する。所望の分岐を持つ又は出芽状の形態を持つ製品を生成する意図の下に、該還元反応器に、後の段階において追加の触媒プリカーサを導入することは、本発明の方法の一変法に当たり、当業者は、この態様に容易に思い至るであろう。
【0072】
触媒は、広範囲に及ぶ触媒プリカーサから製造することができる。このような触媒プリカーサは、分解して所望の触媒を生成する。該触媒を生成する方法として、この分解を起こさせることが可能であり、該生成触媒は、その後該反応ゾーンに導入される。該触媒プリカーサは、その分解温度が、該反応ゾーンの温度よりも低く、結果として該触媒プリカーサが、該反応ゾーンに導入された際に、分解しかつ該触媒粒子を生成するように、該分解温度を選択することができる。この触媒プリカーサの使用は、該触媒粒子のサイズを調節するための良好な方法である。該触媒粒子又は触媒粒径の調節は、該触媒上で成長するカーボンナノチューブの形態及び径を調節する際の一要素である。
【0073】
触媒プリカーサは、有効な触媒であるものと認められている金属を含有する化合物である。例えば、有効な触媒として認められている金属の幾つかは、メタロセン(例えば、フェロセン)として、カルボニル(例えば、カルボニルコバルト)として、酸化物(例えば、酸化鉄、赤さび)等として存在し、これらは上記反応温度以下の温度にて分解する。触媒プリカーサを選択し、また分解に際して上記所望の触媒を与える触媒プリカーサの混合物を製造する上で、当業者は、広範囲に及ぶ適当な化合物に思い至るであろう。
【0074】
該反応ゾーンに添加される少量の物質、たとえば硫黄は、該触媒上での炭素製品の成長を促進する、触媒促進剤として作用する傾向を持つことが認められている。このような促進剤は、広範囲に及ぶ化合物として、該反応器に導入することができる。このような化合物は、該化合物の分解温度が、該反応温度以下となるように選択すべきである。例えば、鉄を主成分とする触媒に対する促進剤として、硫黄が選択された場合、この硫黄は、チオフェンガスとして、あるいはキャリヤガス中のチオフェン液滴として該反応ゾーンに導入することができる。
【0075】
バックミンスターフラーレン及びカーボンナノチューブの成長に関する文献は、適当な触媒を製造するための特別な多くの方法を含んでいる。例えば、触媒プリカーサ、触媒促進剤、熱線ガス法等を使用するための使用説明書は、当分野において公知である。当業者は、これら標準的な方法の特別な改良法を、容易に思い付くであろう。
【0076】
該触媒の核形成は、パルスレーザー光の使用により、促進することができ、ここで該レーザーパルスは、該ガス中の、分解された又は分解中の触媒プリカーサ及び生成する触媒蒸気を通過する。このレーザー光の使用は、得られる触媒ナノ粒子のサイズにおける均一性を高める。
【0077】
最適な反応温度は、該触媒の組成及び該触媒粒子のサイズに依存するものと考えられる。粒度の小さい触媒は、粒度の大きい同一の触媒材料よりも大幅に低い温度に等しい、最適反応温度を持つ傾向にある。当業者は、最適値を求めるために、各触媒及び各触媒サイズについて、特別な実験を行う必要があるかもしれない。例えば、鉄を主成分とする触媒に対して、その粒度及び組成並びに該所望の固体炭素製品に依存して、約400〜800℃なる範囲内の温度にて、該反応が起きる。即ち、一般にグラファイト及び無定形固体炭素は、より低い温度にて生成し、またカーボンナノチューブは、より高い温度にて生成する。
【0078】
一般に、該反応は、ほぼ真空からかなりの圧力までの、広い圧力範囲にて進行する。典型的に、圧力の増加は、反応速度を高める。しかし、この時点において、該反応に高い圧力を印加する利益に対する上限があるか否かは未知である。
【0079】
もう一つの態様において、該生成炭素の形態は、比較的揃った径を持つカーボンナノチューブである。物理的な分散により、また予め調製した触媒プリカーサ粒子、例えばFe3O4ナノ粒子のエアゾールを、該反応ゾーンに分散させることにより、該触媒粒度を調節することによって、該チューブの径が制御される。該触媒粒子のこの分散は、該反応ガスの一つにおいて、あるいはキャリヤガス内で、該反応ゾーンに注入する前に行うことができる。
【0080】
カーボンナノチューブは、該触媒粒子の核形成サイトから成長し始める。この触媒粒子は、例えばスチール片又はスチールウール内のドメイン、あるいは不活性な基板、例えば石英ディスクの上に堆積された、鉄の不連続なナノ粒子であり得る。該カーボンナノチューブのサイズは、該核形成サイトのサイズに比例するであろう。該触媒粒子のサイズと該CNT径との間の比は、約1.3〜1.6なる範囲にあることが観測されている。粒度と孔径との相関関係に関する可能な理論的基礎は、該カーボンナノチューブのサイズは、Nasibulin等の「触媒粒子と単一壁カーボンナノチューブ径との間の相関関係(Correlation between catalyst particle and single-walled carbon nanotube diameters)」と題する論文において提案されたが、Nasibulin等の1.6なる見積もり値は、典型的に実験により観測された値よりも大きい。
【0081】
スチールは、上記ボッシュ反応に対する効果的な触媒であることが知られている様々な金属を含む、多くの異なる処方を持つ、容易に入手できる触媒である。本発明の方法によれば、様々なグレードの、様々な処理法により得られた、また様々な形状にあるスチール及びステンレススチールが、固体炭素の成長用及び具体的にはカーボンナノチューブ成長用の触媒として作用する。より小さな粒度を持つスチールは、より小さな径を持つカーボンナノチューブを生成する傾向を持つ。この粒度は、該スチールの化学的特性及び該粒子が生成された熱処理方法両者の関数である。軟鋼は、しばしば100nmを越える径を持つカーボンナノチューブを生成するが、ステンレススチール(例えば、304又は316L)は、20nm程度の径を持つカーボンナノチューブを生成する。
【0082】
様々な形状のスチールは、カーボンナノチューブの成長に適した触媒として作用する。例えば、スチールウール、スチールプレート、及びスチールショット(サンドブラスチングにおいて使用されている如きもの)は、満足な成長速度及び均一な品質を与えた。スチール上で成長したカーボンナノチューブの形態は、該スチールの化学的性質及び該スチールを処理した方法に依存する。これは、現時点において完全に理解されていない多くのファクタの何れかによるものと思われるが、これは該スチールの粒度及び該金属内の境界の形状と関連しているものと考えられ、ここでこれら特徴の中の該特性サイズは、このようなスチールサンプルの表面上で成長したカーボンナノチューブ群の特徴的な径を制御する。当業者は、該スチールに関する正確な化学的性質を決定するための適当な実験及び所望のカーボンナノチューブの形態及び制御された径を実現するための該スチールに対する処理方法を、容易に見出すであろう。
【0083】
スチール上の錆は、ここに記載する方法によって、カーボンナノチューブを生成するための良好な触媒であることが観測されている。そのメカニズムは、現時点において理解されていないが、これは、恐らく該錆を含む酸化鉄が事実上触媒プリカーサであるためであると考えられる。該錆のあるサンプルを加熱した場合、該酸化鉄は分解し、また生成する鉄原子が凝集して、カーボンナノチューブのための触媒として適した、小さな鉄粒子を生成する。
【0084】
固体触媒、例えばスチール製のウエハを使用する場合、該カーボンナノチューブは、一連の世代として成長するものと思われる。そのメカニズムは、完全に理解されてはいないが、該反応ガスが露出した該粒子表面と相互作用し、また該カーボンナノチューブが該表面上で成長し始めるものと思われる。該成長が継続されると、一群のチューブが絡み合うようになり、また該表面から該触媒粒子が持上げられ、触媒粒子の新たな層が露出し、これと反応ガスとが相互作用し得るようになるものと思われる。各層が該表面から持上げられると、該カーボンナノチューブは、800〜1,000倍の倍率の下では、「ピロー」又はコッケルバーズ(cockelburrs)に類似する小さな塊へと、高度に絡み合うことになる。サンプルを該反応ゾーン内に維持すると、これらの層は継続的に生成され、また該触媒が消費されるまで継続的に剥ぎ取られ、またカーボンナノチューブ「ピロー」で構成される様々な構造(例えば、森林、繊維又はパイル)が得られる。該ピローが、該下部の触媒基板から脱離するという観察は、流動床反応器が、カーボンナノチューブのピローを成長させるための経済的設計の反応器であり得、ここで該流動床反応器は、該ピローを該基板から洗い分け、該ガス流中に同伴し、また引続き該ピローを該ガス混合物から回収する。
【0085】
例えば、図3及び18に示したように、該ピローの形態は、カーボンナノチューブの存在によって特徴付けられ、ここで該カーボンナノチューブは、高度に絡み合ってクラスター状になっており、該クラスターは、典型的には1mm以下の寸法を持つ。従って、これらの図に示されているように、該ピローは、該ナノチューブの多数の球根又は波立った団塊のように見えるが、積雲状の雲の外周部外観とさほど異なってはいない。該ピローは、多くの異なる径、長さ及び型を持つカーボンナノチューブで構成されたものであり得る。該ピローは、しばしば基板上で成長した森林、パイル、及びフィラメント上の不連続な単位として現れる。多くの異なる組成(例えば、軟鋼、304ステンレス、316Lステンレス)を持ち、また多数の様々な形状(例えば、プレート、スチールウール、及びスチールショット)にあるスチールは、広範囲に渡る反応ガス混合物及び反応温度の下で、カーボンナノチューブピローを生成する傾向を示す。
【0086】
該観測されたカーボンナノチューブピロー形態は、極めて容易にフェルト状になる。例えば、カーボンナノチューブピローのサンプルを、穏やかに攪拌することによりエタノール溶液中に分散させ、また該溶液をその後振盪すると、該ピローは凝集しかつ相互に噛合い、結果として該ピローの異なる成長境界が出現し、またより一層広がりのある構造を形成する。このピローの形態は、既に開発された又は開発途上であり得る、様々な型のカーボンナノチューブ紙、フェルト、電極等を製造するのに特に適したものであり得る。カーボンナノチューブの様々な用途に係る当技術に馴染みのある者は、これらピローの潜在的な用途を容易に思い付くであろう。
【0087】
広範に渡る設計仕様の反応器を、該所望の固体炭素製品の製造並びに回収を容易にする目的で利用することができる。エアゾール及び流動床反応器は、該固体炭素製品の高容量での連続的製造にとって特に適している。流動壁反応器(fluid wall reactor)は、様々な物質(触媒、追加の反応物)の導入を可能とし、また該反応器壁上における固体炭素製品の蓄積を最小化し、あるいは排除するという利点を持つ。
【0088】
該接触転化装置は、当分野において公知の様々な設計のものを使用できる。適当な設計仕様の例は、以下に列挙するものを包含する:
・エアゾール反応器:ここでは、該触媒は、触媒プリカーサから気相中で生成され、あるいは該触媒は予備成形され、かつ特定のサイズ分布につき選別され、液体又はキャリヤ溶液と混合され、次いで該反応器に、(例えば、静電噴霧により)噴霧される。次いで、該炭素製品の成長段階及びその後の該製品の該反応ゾーンからの搬送段階に対して、該触媒は、該気相中に分散された状態を維持し、あるいは該反応ゾーン内の固体表面上に堆積された状態を維持することができる;
・流動床反応器:ここでは、該触媒又は触媒-被覆粒子は、該反応器に導入され、また該固体炭素は、該粒子の表面上で成長する。次いで、該固体炭素は、該反応機内で洗い分けされ、該反応ガス中に同伴された状態で該反応器から運び出されるか、あるいは該触媒粒子は回収され、また該固体炭素は該触媒粒子表面から取出される;
・バッチ反応器:ここでは、該触媒は固定された固体表面(例えば、スチールシート、又はスチールウール)であるか、あるいは固定された固体表面上に配置(例えば、不活性基板上に堆積された触媒ナノ粒子)されており、該触媒上で該固体炭素が成長し、また該触媒及び固体炭素は、定期的に該反応器から取出される;
・連続反応器:ここでは、固体触媒又は固体基板上に配置された触媒は、該流動するガス流を介して移動し、生成する固体炭素製品は回収され、該基板の固体表面が調製され、また該反応器に再度導入される。該固体基板は、該触媒物質(例えば、ステンレススチール形状にある)、又は該触媒が配置されている表面であり得る。該固体表面の適当な形状は、ウエハ、シート、シリンダー、又は球を含む。
【0089】
流動床反応器を使用する、本発明の方法の一態様において、該反応器は、該触媒を維持し、一方で該CHTが該ガス流に同伴され、所望のサイズに達した際に、これを該反応ゾーンから上方に上昇させ得るように設計することができる。ここで、該上方への上昇は、該生成粒子に作用する張力(drag forces)によるものである。この制御は、該反応器の形状、ガス流量、又は該形状及び流量の組合せを通して実現することができ、また該浄化生成物の滞留時間及び該固体炭素製品の対応するサイズ(例えば、生成するカーボンナノチューブの長さ)についての調節を可能とする。
【0090】
該接触転化装置を、バッチ式又は連続式反応器の何れかとして設計し、結果として該固体炭素を少なくとも一方の固体表面上に堆積することができ、ここで(該炭素が堆積される)該固体表面は、所望の製造すべき目的物又はその部品であり、また該固体炭素製品は、熱分解グラファイト、又はバックミンスターフラーレンの1種又はそれ以上の種を含み、あるいは完全にこれらで構成されたものであり得る。該製造すべき目的物の全表面が、該炭素で覆われている必要はない。該固体表面上の該炭素堆積領域を、場合によりマスキングにより、あるいは該触媒又は触媒プリカーサを選択的に堆積することにより、1又はそれ以上の領域に限定して、該固体表面の部分上での該固体炭素生成を促進することができる。
【0091】
当業者は、該固体炭素製品を、該ガス流又は該製品が生成する固体表面から集め、また分離するための手段を容易に思い付くであろう。また該手段は、ガス又は液体流から固体を分離するための公知の方法を含むであろう。気相から該固体炭素製品を分離するためのこのような方法は、洗い分け法、遠心分離法、電気集塵法、及び濾過法を含むが、これらに限定されない。
【0092】
該ガス流及び該触媒からの該固体製品の分離は、使用した反応器の種類に依存する。例えば、該固体炭素は、電気泳動式又は熱泳動式コレクタを使用し、あるいは様々な濾過法によって、エアゾール式反応器におけるガス流から直接回収するか、あるいは流動床反応器からの浄化物として回収することができる。固体触媒又は固体表面に担持された触媒に関しては、該固体炭素製品は、該固体担体材料の表面から掻取り、あるいは擦り取ることができる。
【0093】
幾つかの場合においては、冷却前に、該反応ガス混合物から、該生成物を取出すことが有利であり得る(例えば、パージチャンバーを介して該反応器から該固体炭素を取出すことにより該反応生成物を取出す。該パージチャンバーにおいて、該反応ガスは、不活性パージガス、例えばヘリウムによって置換される)。冷却に先立つパージングは、該冷却工程中の、所望の固体炭素製品における望ましからぬ形態の製品の堆積又はその成長を減じる上で役立つ。
【0094】
エアゾール式又は流動床式反応器において、該成長ゾーン内での滞留時間は、該ガス流の動きに対して逆に作用する多数の力(例えば、重力、電磁力、又は遠心力)によって調節することができる。これらの力は、該ガス流の動きを相殺して、該滞留時間の調節を助け、結果的に該固体炭素製品のサイズの調節を可能とする。
【0095】
もう一つの態様において、エアゾール式反応を利用した場合、静電噴霧が、予備成形された触媒、又は触媒プリカーサの溶液を、エアゾール式反応器に導入するための効果的な方法の一つである。該静電噴霧法は、該触媒粒子を分離するのに、あるいは該触媒プリカーサの溶液を小さな液滴に分離するのにクーロン力を使用している。ここで、個々の触媒粒子は、該触媒プリカーサ溶液の液滴から生成される。この静電噴霧法は、該粒子を分離状態に維持するのに役立ち、結果として該粒子は、凝集又は融合する傾向を示すことがない。該静電噴霧法は、また該生成する炭素粒子を帯電させる傾向があり、また静電集塵装置を用いた該炭素粒子の該エアゾールからの回収を容易にする。
【0096】
エアゾール反応器において、触媒プリカーサ又は予備成形された触媒を、キャリヤガス又は流体中に噴霧して、該触媒生成し、これらを該反応ゾーンに搬送することも可能である。該触媒又は触媒プリカーサは、該反応ガスと混合する前に、触媒状態調節工程において予め状態調節することもできる。不活性ガス中での加熱処理による触媒の状態調節は、特定のキラリティーを持つ単一壁カーボンナノチューブの成長を促進することができ、例えばヘリウムは、金属的特性を持つキラリティーの成長を促進することが知られている。また、1又はそれ以上の物質を、該反応ゾーンに導入して、該固体炭素製品への組込みを通して、あるいは該固体炭素製品上での表面堆積によって、該所望の固体炭素製品の物性を改善することができる。
【0097】
多くの場合において、該触媒粒子は、該カーボンナノチューブの成長に応じて、その周りのマトリックスから取出され、結果として該触媒粒子は、該ナノチューブの一端部内に包埋されるものと考えることができる。走査型電子顕微鏡像において、触媒の両端部は、これらから成長したナノチューブよりも著しく大きい(例えば、1.3〜1.6倍の径を持つ)。これは、該触媒を取巻く炭素シェルによるものと考えられ、あるいはこれは、該触媒粒度と、該触媒から成長した該カーボンナノチューブの粒度との間の基本的な関係を示すものであると考えることができ、あるいはこれは、ある他のファクタ又はさらには偶然によるものと考えることができる。何れにしろ、該カーボンナノチューブのサイズを制御するための一つの方法は、触媒粒度の制御を通して行うものであると思われ、該触媒の粒度は、該所望のナノチューブの粒度よりも幾分大きい。
【0098】
実際に、該触媒の粒度は、金属基板内に結晶ドメインを生成する等の方法を含む、多数の方法で調節することができる。例えば、軟鋼ウールは、典型的に316Lステンレススチールよりも大きな径を持つカーボンナノチューブを成長させる。所望のサイズを持つ予備成形されたナノ粒子を用いることにより、あるいは触媒プリカーサの液滴を、表面上に噴霧するか、又は該触媒粒子が結晶化するであろうエアゾール内に吹込むことにより(プリカーサの濃度及び該噴霧液滴のサイズを調節することにより、得られる粒子のサイズが調節できる)、該カーボンナノチューブのサイズを調節することができる。
【0099】
該固体炭素材料の物性は、該固体炭素の表面に追加の物質を適用することにより実質的に変性することができる。該得られる固体炭素の多くの異なる変性並びに官能化が、当分野において公知であり、また当業者は、これらに容易に思い至るであろう。本発明の方法は、改良剤、例えばアンモニア、チオフェン、窒素ガス、及び余分の水素を、該反応ガスに添加することを意図している。というのは、これらの物質は、文献に提示されているように、該固体炭素の物性に、望ましい変性を施すことができるからである。これらの変性並びに官能化の少なくとも幾つかは、該反応ゾーンにおいて行うことができる。
【0100】
これら変性剤の多くは、該反応中に適用できる。これらの物質は、例えば堆積すべき物質、例えば金属イオンを含有する水の流れを注入することにより、該固体炭素生成反応の完了時点近傍にて、該還元反応チャンバーに導入することができる。該物質は、またキャリヤガスの一成分として導入することもでき、例えば余分の水素は、幾つかの場合には、炭素格子の水添をもたらして、多量の該所望の固体炭素製品の半導体種の生成をもたらすことが知られている。
【0101】
この方法の一利点は、一級炭化水素燃料源の燃焼が、発電及び工程の主な熱源となっている、発電、化学的諸工程、及び製造工程に、この方法を組込むことができることである。この得られる燃焼ガスは、該所望の固体炭素製品を製造するための炭素源としての働きをすることのできる炭素酸化物を含む。本発明の方法は、多くの異なる生産能力に対して、その規模を拡大、縮小することが可能であり、結果として、例えばこの方法を用いるべく設計されたプラントは、大規模の石炭燃焼発電プラントの燃焼工程由来の、又は内燃機関由来の、炭素酸化物を含む放出物を処理するようなサイズのものとすることができる。
【0102】
もう一つの態様においては、ガス源混合物由来の炭素酸化物を、該ガス源混合物から分離し、かつ濃縮して、上記還元工程で使用するための炭素酸化物供給原料を生成する。該源ガス中の炭素酸化物は、当分野において公知の多くの様々な手段によって濃縮することができる。さらに別の態様において、上記接触転化工程は、多段電力抽出工程における中間段階として使用することができ、該多段工程において、第一段階は、該所望の固体炭素製品を製造するための、該還元工程の反応温度まで、該燃焼ガスを冷却する。該還元反応の所望温度にある、該冷却された燃焼ガスを、次いで該還元工程に通し、また引続き追加の電力抽出段階に通すことができる。
【0103】
この方法と電力生成用の炭化水素燃焼工程との組合せは、該還元工程に必要とされる水素を、オフピーク電力を用いた水の電気分解により生成し得るという、付随的な利点を持つ。該電解工程において生成される酸素は、上記燃焼工程の燃焼性混合物の少なくとも一部として使用することができる。
【0104】
ここに記載される該方法を、炭化水素を用いる燃焼又は化学的工程と組合せた場合、該工程の炭化水素の一部は、上記還元剤ガスとして用いることができる。これは、該炭化水素を熱分解して、該還元剤ガスとして供給される水素ガスを生成する工程を含むことができる。当業者は、本発明の方法を該利用可能な炭化水素源に適したものとするための適当な手段を、容易に思い付くであろう。
【0105】
この方法の該還元工程は、固体炭素製品及び水の生成をもたらす。この水は、引続き凝縮することができ、その際に、潜熱が、加熱の目的で、あるいは低圧電力抽出サイクルの一部として抽出される。当業者は、有用な副産物としての該水を抽出するための、及び該関連する潜熱を有利に利用するためのオプションを、容易に思い付くであろう。
【実施例】
【0106】
ここに記載される実施例は、本発明の方法を説明するのに使用されているが、このような詳細な記載は、この目的のためにのみ与えられるものであり、また本発明の方法の精神及び範囲を逸脱することなしに、当業者はこれに様々な変更を加えることができるものと理解すべきである。以下の実施例は、本発明の方法の例示としてここに含められる。
【0107】
【表1】

【0108】
各実施例を、以下における付随的な詳細において説明され、またそこにはこれら実施例各々の生成物に関する走査型電子顕微鏡像が含まれる。
【0109】
これら実施例全てに対して使用した実験室的構成を、図1に示した。この実験装置は、石英管を備え、直列に接続された2つの管状炉1及び2を含む。この配置は、該炉の各々において、可能ならば異なる反応温度にて、かつ異なる触媒を使用するが、同一の反応ガス混合物及び圧力を使用して、別々のテストを同時に行うことを可能とするように考案された。上記炉両者を稼働する場合、この配置は、より迅速なテストを可能とした。しかし、単一の炉のみが、効果的な運転のために必要とされる。該図示された二基の炉の配置が、実験上の便宜のために使用された。該管状炉の何れかの内部にサンプルを配置した。全てのテストは、バッチ式で行った。これらの炉は、所定温度に達するまで約1〜2時間を要し、また該サンプルの取り出しを可能とするまでに、これらを冷却するのに4〜6時間を要した。該実験は、しばしば該炉の一方のみを用いて行った。関連する管路と共に図1に示された要素、機械部品及び付属品全ては、実験例に関連する以下の説明において、総合的に「実験装置」と呼ばれる。
【0110】
これらの実施例における様々な燃焼において使用するガスは以下の通りであった:
・二酸化炭素(CO2)、研究グレードのもの、プラックスエアー(PraxAir)社製;
・メタン(CH4)、研究グレードのもの、プラックスエアー(PraxAir)社製;
・窒素ガス(N2)、標準グレードのもの、プラックスエアー(PraxAir)社製;
・ヘリウム(He)、研究グレードのもの、エアーリキッド(Air Liquide)社製;
・水素ガス(H2)、研究グレードのもの、プラックスエアー(PraxAir)社製。
図1に示した如く、これらのガスを、ガス供給源6から混合バルブ7までパイプ輸送し、該バルブにおいて、該ガスを計量し、かつ管状炉1及び2に分配した。これらのガスは、該管状炉1及び2を介して冷却されたコンデンサ4(露点=約3.33℃(38゜F))まで流動し、次いで圧縮器3を通り、また該管状炉1のヘッド端部に戻された。特定の実験が、不活性ガスによる該炉のパージを要する場合には、真空ポンプ5を使用して、該実験装置の排気を行った。
【0111】
該第一の炉1の温度は、該第一の炉1のほぼ中心線位置における該管の内部に配置された、タイプK熱電対により測定した。該第二の炉2の温度は、該炉のセラミックス製断熱材に掘削されたウエル内の、該第二の炉2のほぼ中心線位置に配置された、タイプK熱電対により測定した。報告された温度は、これらの熱電対に示されたようなゲージ温度であり、また該反応ゾーンにおける温度の表示は、格別に正確な値というわけではない。何れの特定の実験的構成も、該反応ゾーンの様々な領域における反応温度の報告された精度に、同様な限界を持つであろう。しかし、該報告された結果が、該報告されたゲージ温度に関するものであっても、当業者が特定の装置において、適切な実験をこの近傍で温度を変動させれば、同様な装置においては、同様な結果を生じるはずである。
【0112】
高容量の圧縮器又は低容量のポンプを使用したか否かとは独立であると思われる、再循環流量、及び生成物の品位並びに反応速度を測定し、又は制御する試みは全くなされなかった。これは、全ての場合において、該流量が臨界的な閾値を越えていたためであろう。流量は、製造設備の最適な設計及び動作において重要であるが、ここに報告したテストにおいては格別重要である訳ではない。というのは、該実験装置の容積が、該触媒及び生成する固体炭素製品の容積よりも著しく大きかったからである。当業者は、具体的な製造計画に対する最適な流量を決定するための適当なテストに、容易に思い至るであろう。
【0113】
これらの実験中、該実験装置における該ガスの圧は、該装置温度が上昇するにつれて、突然急速に降下し始めるであろう。該圧力が降下し始める温度は、使用する該触媒及びガス混合物に応じて変動した。この圧力における降下は、該固体炭素製品の生成開始の徴候であり得る。次いで、該実験装置に追加の反応ガスを添加することにより、該圧力を維持した。短時間の経過後、該圧力が上昇し始めたが、その時点において、該反応ガスの添加を終了した。該圧力降下及び該圧力降下の持続期間は、CNT成長の開始及びその成長の期間並びに速度に代るものであると思われる。
【0114】
以下の2つの方法、即ち不活性ガス(ヘリウム又は窒素ガス)中での加熱、又は空気中での加熱の何れかに引続き、該操作開始手順を行った。不活性ガス中での加熱の場合、該実験装置は、約5分間に渡り、排気かつパージ処理され、その後上記真空ポンプ5を停止させ、該実験装置の圧は該不活性ガスにより大気圧まで戻された。次に、該不活性ガスの供給を停止し、かつ上記炉を始動させて、その加熱サイクルを開始した。上記空気中での加熱の場合、該炉は、操作開始時にパージ処理に掛けなかった。単に、該炉を始動させ、所定温度まで昇温した。
【0115】
該炉の温度が、ほぼ実験的に設定した点に達したら、該実験装置を排気し、かつ反応ガス混合物(典型的には、二酸化炭素と還元性ガスとの化学量論的な混合物)で5分間パージした。次いで、該実験装置を大気圧に戻し、一方で該反応ガスを導入し、かつ該実験装置のゲージ温度が選択されたテスト温度となるまで、温度を上げ続けた。
【0116】
これらの実施例において、該炉は、所定期間(典型的には1時間)稼働させ、この時点において、該炉を停止させ、パージし、冷却させた。該炉を停止した後、該真空ポンプ5を始動して、該反応ガスの排気を行い、また該実験装置を不活性ガス(ヘリウム又は窒素ガスの何れか)で約5分間パージし、次いで該真空ポンプ5を停止し、かつ該実験装置の圧力を不活性パージガスで大気圧まで戻し、該装置を冷却した。
【0117】
これらの実験中、パージ及び冷却に使用した該不活性ガスに基く、該CNT製品の品位における如何なる差異も観測されなかった。追加のテストは、該CNTの諸特性が、該冷却ガス混合物及び冷却速度によって変性されることを示す可能性がある。当業者は、ここに報告した実験に基く連続流動式反応器の稼働に、容易に思い至るであろう。
実施例1:
【0118】
【表2】

【0119】
実施例1については、該触媒として、広範囲に及ぶ赤錆のスポットを持つ、軟鋼ウエハの一サンプルを使用した。該軟鋼ウエハを、炉1内の、ほぼその中心線位置に配置した。該真空ポンプ5を始動させ、該実験装置を5分間に渡りパージするのに、ヘリウムを使用した。5分後に、該真空ポンプ5を停止させ、上記圧縮器3を稼働させ、上記冷却したコンデンサ4を始動させ、またヘリウムガスを、該装置内の圧力が680トールをなるまで流し続けた。この時点において、該ガスの流動を停止させた。次いで、該炉1を始動させた。
【0120】
該炉1の温度が、設定点温度である680℃に達した際に、該真空ポンプ5を始動させ、混合バルブ7により制御されたガス供給源6からの、二酸化炭素と水素との化学量論的な混合物としての反応ガスを、5分間に及ぶ該実験装置のパージのために使用した。5分後に、該真空ポンプ5を停止させた。該実験装置の圧力が760トールに達した際に、該反応ガスの供給を停止した。追加の反応ガスを定期的に添加して、該実験装置内のゲージ圧を、640〜760トールなる範囲の値に維持した。このテストを1時間に渡り行い、その後該炉1を停止させ、該真空ポンプ5を始動させ、かつ該実験装置を、5分間に渡り、混合バルブ7によって制御されたガス供給源6からのヘリウムによりパージした。次いで、該真空ポンプ5を停止させ、該ヘリウムパージガスを、該実験装置内のゲージ圧が740トールとなるまで流し続けた。次いで、該炉1を放冷させた。
【0121】
該スチールサンプルを、該炉1が冷却された後に取出した。図2は、取出された後の該サンプルの写真を示す図である。該基板上に「森林」型の成長物が存在することに注目すべきである。この森林は、カーボンナノチューブの「ピロー」によって構成されている。図3は、同一のサンプルの、倍率700xの下でのSEM像を示すものである。図4は、倍率18,000xの下での、同一のサンプルを示すものであり、また典型的な「ピロー」の詳細を示している。該CNTのサイズ(径において数十乃至数百nmなる範囲)は、これらのCNTが、高い確率で、多重-壁CHTであろうことを示している。図4において、各カーボンナノチューブの成長先端における該触媒を見ることができることに注目すべきである。該成長先端の平均径は、該関連するカーボンナノチューブ径の、約1.2〜1.3倍なる範囲にあるものと思われる。図5は、図4に示したCNTの元素分析結果を示すものであり、この図は、該CNTが少量の鉄及び酸素を構成成分として含む炭素であることを示しており、これは、恐らく該CNTの成長先端部に包埋されている該触媒粒子のよるものである。
実施例2:
【0122】
【表3】

【0123】
実施例2については、石英ディスクサンプルを、触媒として使用する304ステンレススチールウエハ上に、平坦状に配置した。該304ステンレススチール触媒ウエハを、該炉1のほぼ中心線位置に置いた。真空ポンプ5を始動させ、ヘリウムを用いて、5分間に渡り実験装置をパージした。5分後、該真空ポンプを停止させ、該圧縮器3を作動させ、冷却されたコンデンサ4を作動させ、圧力が680トールとなるまでヘリウムを流し続けた。この圧力の到達時点において、該ガスの流動を停止させた。次いで、該炉1を作動させた。
【0124】
該炉1の温度が、680℃という設定点温度に達した時点で、該真空ポンプ5を作動させ、また混合バルブ7により制御されたガス供給源6からの二酸化炭素と水素との化学量論的な混合物である反応ガスを、5分間に渡る該実験装置のパージのために使用した。5分後、該真空ポンプ5を停止させた。該実験装置が、760トールなるゲージ圧に達した時点で、該反応ガスの供給を止めた。追加の反応ガスを、定期的に添加して、該実験装置の圧力を、640〜760トールなる範囲に維持した。このテストを1時間に渡り行い、その後該炉1を停止させ、該真空ポンプ5を始動させ、かつ該実験装置を、5分間に渡り、混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からのヘリウムでパージした。次に、該真空ポンプ5を停止させ、また該ヘリウムパージガスを、該実験装置内のゲージ圧が740トールとなるまで流し続けた。次いで、該炉1を放冷させた。
【0125】
該スチールサンプルを、該炉1が冷却された後に、該炉1から取出した。該石英ディスクサンプル及び該ステンレススチールウエハ間で、CNTのマットが成長した。該CNTマットの部分は、該石英ディスク表面及び該スチール触媒ウエハ表面両者に付着していた。図6は、倍率10,000xの下での該サンプルを示すものであり、また図7は、倍率100,000xの下での該サンプルを示す。該CNTのサイズ(数十乃至数百nmなる範囲の径)は、これらが恐らく多重壁CNTであることを示す。
実施例3:
【0126】
【表4】

【0127】
実施例3については、316Lステンレススチールウエハを該触媒として使用した。該316Lステンレススチールウエハを、炉1のほぼ中心線位置に配置した。圧縮器3を作動させ、冷却されたコンデンサ4を始動させ、真空ポンプ5を作動させ、また混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からのヘリウムを含むパージガスを該実験装置に導入した。5分間の該パージ後、該真空ポンプ5を停止させ、かつ該ヘリウム含有パージガスを、該実験装置のゲージ圧が680トールとなるまで流し続け、該所定圧に達した時点で、該パージガス流の供給を停止した。次いで、該炉1を始動させた。
【0128】
該炉1の温度が700℃に達した時点で、該真空ポンプを始動させ、かつ混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からの二酸化炭素と水素との化学量論的混合物である反応ガスを、該実験装置に通した。5分後に、該真空ポンプ5を停止させ、また該反応ガスを、該実験装置のゲージ圧が730トールとなるまで流し続け、該所定圧に達した時点で、該圧力を700〜730トールなる範囲の値に維持するのに十分な、低い流量まで、該反応ガスの流量を減じた。該実験装置を1時間作動させ、その後該炉1を停止させ、該真空ポンプ5を始動させ、かつ該実験装置を、混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からのヘリウムによって、5分間に渡りパージした。次いで、該真空ポンプ5を停止させ、また該ヘリウムパージガスを、該実験装置内のゲージ圧が760トールとなるまで流し続けた。次いで、該炉1を放冷させた。
【0129】
該炉1を冷却した後に、該スチールサンプルを、該炉から取出した。該炉1を冷却した後に、該316Lステンレススチールウエハを、該炉から取出した。図8は、該316Lステンレススチールウエハの写真を示す。固体炭素製品、即ちカーボンナノチューブが、該ウエハの一部上のみにおいて成長していることに注目すべきである。その理由は不明である。図9は、倍率2,500xの下での、該ウエハにおけるCNTの森林の一領域の像を示し、また図10は、倍率10,000xの下での、該CNTの森林の図9と同一の領域に関する像を示す。該チューブの径は、該CNTが、かなりの確率で多重壁チューブであることを示す。
実施例4:
【0130】
【表5】

【0131】
実施例4については、軟鋼ウールのサンプルを、触媒として使用した。この軟鋼ウールサンプルは、炉1の中心線近傍に配置し、空気中で加熱した。該炉1を作動させ、圧縮器3を動作させ、かつ冷却されたコンデンサ4を始動させた。該炉1の温度が645℃となった時点で(即ち、該炉1が、700℃という設定点温度となる前に)、真空ポンプ5を作動させ、かつ混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からの二酸化炭素と水素との化学量論的な混合物を、実験装置内に5分間に渡り流した。該5分間の終了時点において、該真空ポンプ5を停止させ、また該実験装置内のゲージ圧が530トールとなるまで、該ガスを流し続け、該所定圧に達した時点において、500〜530トールなる範囲の圧力を維持するのに十分な低い流量まで、該反応ガス流量を減じた。該実験装置を1時間に渡り稼働させ、その後該炉1を停止させ、該真空ポンプ5を始動させ、かつ該実験装置を、混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からのヘリウムで、5分間に渡りパージした。次いで、該真空ポンプ5を停止させ、また該ヘリウムパージガスは、該実験装置内のゲージ圧が700トールとなるまで流し続けた。次いで、該炉1を放冷させた。
【0132】
該炉1を冷却した後に、そこから、該生成した固体炭素製品を持つ該スチールウールサンプルを取出した。図11は、該スチールウールサンプルの写真である。該固体炭素製品の粉末状黒色バンドが認められ、これをサンプリングし、SEM観察の下で検査したところ、図12のような結果を与え、図12の結果は、倍率800xにおける該粉末粒子の画像を示すものである。該粒子は、該粉末状の黒色バンドを含むピローのパイルを持つ単一の「ピロー」である。図13は、倍率120,000xの下での、同一の「ピロー」の画像を示す。その径は、該CNTが、かなりの確率で多重壁を持つものであることを示す。
実施例5:
【0133】
【表6】

【0134】
実施例5については、316ステンレススチールワイヤのサンプルを触媒として使用した。該316ステンレススチールワイヤを、炉1の出口近傍に配置した。該炉1を作動させ、かつ冷却されたコンデンサ4を始動させた。真空ポンプ5を始動させ、また混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からの、二酸化炭素と水素との化学量論的な混合物を含む反応ガスを、該実験装置を5分間に渡りパージするのに使用した。5分後、該真空ポンプ5を停止させ、圧縮器3を始動させ、かつ該反応ガス混合物を、該実験装置のゲージ圧が589トールとなるまで流し続け、該所定圧力に達した時点において、該反応ガスの供給を止めた。該実験装置を2時間に渡り稼働させ、その後該炉1を停止させ、該真空ポンプ5を始動させ、かつ該実験装置を、5分間に渡り、混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からのヘリウムガスでパージした。次いで、該真空ポンプ5を停止させ、かつ該ヘリウムガスを、該実験装置におけるゲージ圧が700トールとなるまで流し続けた。次いで、該炉1を放冷させた。
【0135】
該スチールワイヤを、該炉1が冷却した後にそこから取出した。図14は、本例においてはグラファイト小板である、表面で成長した固体炭素製品を持つ、該スチールワイヤサンプルの写真である。該グラファイト小板のサンプルを、SEMを用いて撮像したところ、図15に示す結果を与え、該図15の結果は、倍率7,000xの下でのグラファイト小板の像を示すものであり、また図16は、倍率50,000xの下でのグラファイト小板の詳細な像を示す図である。
実施例6:
【0136】
【表7】

【0137】
実施例6については、触媒として、304ステンレススチールウエハを使用した。石英のサンプルディスクを、該スチールウエハの上部表面上に置いた。該石英サンプルディスクを持つ該304ステンレススチールウエハを、炉1のほぼ中心線位置に配置した。真空ポンプ5を始動させ、かつ混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からのヘリウムを、5分間に渡る該実験装置のパージのために使用した。5分後、該真空ポンプ5を停止させ、圧縮器3を作動させ、冷却されたコンデンサ4を動作させ、また該ヘリウムガスを、該実験装置内の圧力が680トールとなるまで流し続け、該所定の圧に達した時点において、該ガス流の供給を停止した。次いで、該炉1を作動させた。
【0138】
該炉1の温度が650℃という設定点温度に達したら、該真空ポンプ5を作動させ、かつ混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からの、二酸化炭素と水素との化学量論的な混合物である反応ガスを、5分間に渡る該実験装置のパージのために使用した。5分後、該真空ポンプ5を停止させた。該実験装置内の圧が、760トールなるゲージ圧に達した時点において、該反応ガスの供給を止めた。該実験室内の圧を640〜760トールなる範囲の値に維持するために、追加の反応ガスを、定期的に添加した。このテストを1時間に渡り行い、その後該炉1を停止させ、該真空ポンプ5を始動させ、かつ該実験装置を、混合バルブ7によって制御されるガス供給源6からのヘリウムで、5分間に渡りパージした。次いで、該真空ポンプ5を停止させ、かつ該実験室内のゲージ圧が740トールとなるまで、該ヘリウムパージガスを流し続けた。次いで、該炉1を放冷させた。
【0139】
該スチールサンプルを、該炉1が冷却された後に取出した。図17は、表面において成長したグラファイト小板を持つ、該サンプルの写真である。該グラファイト小板のサンプルを、SEMを用いて撮像したところ、図18の写真を与えた。この図18の写真は、倍率778xにおけるグラファイト小板の像を示す。図18には、繊維を含むピローが示されている。図19は、倍率11,000xxにおける該ピローの一つの像を示すものであり、そこでは、カーボンナノチューブの高度に絡み合った構造を見ることができる。図20は、倍率70,000xにおける写真を示し、これは、図19に示されたものと同様のピローで構成される幾つかの該カーボンナノチューブの詳細を示している。
【0140】
従って、本発明は、従来技術を凌駕する幾つかの利点を有している。以上、本発明の方法の態様を説明してきたが、当業者は、本発明の精神並びに範囲を逸脱することなしに、様々な改良及び変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体炭素製品の製造方法であって、以下の諸工程:
炭素酸化物ガス流を供給する工程;
還元剤ガス流を供給する工程;
触媒を準備する工程;
該炭素酸化物と還元剤ガス流とを混合して、反応ガス混合物を生成する工程;
該反応ガス混合物を、触媒の存在下にて、所定の反応条件下で、反応ゾーンに導入する工程;及び
該固体触媒の存在下にて、該反応混合物を反応させて、所望の形態を持つ固体炭素製品を得る工程、
を含むことを特徴とする、前記固体炭素製品の製造方法。
【請求項2】
さらに、前記得られる反応ガスを、制御された冷却処理に付して、さらに反応時間、二次的な堆積物の生成、アニール及びランプダウンを制御する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
さらに、前記分離されたガス混合物を、凝縮ゾーンに通して、該ガス混合物から水分を除去する工程、及び得られる任意の非-凝縮性ガスの一部を、前記反応ガス又は前記触媒プリカーサ流に再循環する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記反応が、約450℃〜1,500℃なる範囲の温度にて起る、請求項1記載の方法。
【請求項5】
さらに、前記炭素酸化物及び前記還元ガス流を、第一の予め定められた温度まで予備加熱する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
さらに、反応ゾーンを、第二の予め定められた温度まで予備加熱する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
さらに、前記反応ゾーンにおける、温度、圧力及び前記反応ガスの滞留時間を含む前記反応条件を維持する工程及び反応ガス流を、予め定められた期間に渡り、該反応ゾーンを介して流し続けて、所望の形態を持つ固体炭素製品を生成する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項8】
さらに、前記ガス混合物及び固体炭素製品を、前記反応ゾーンから冷却ゾーンに移送する工程、次いで該冷却ゾーンから分離工程に移送して、該ガス混合物から該固体炭素製品を分離する工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記触媒が、所定の組成及び形状を持つ鋼を含み、あるいは該所定の組成及び形状を持つ該鋼の酸化物を還元することにより製造される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
前記還元剤ガス流が、水素又は炭化水素又はこれらの混合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
前記触媒が、周期律表の第VI族金属、第VIII族金属、及びこれらの混合物からなる群から選択される金属である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記炭素酸化物ガス流が二酸化炭素を主成分とするものである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記炭素酸化物ガス流が一酸化炭素を主成分とするものである、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記炭素酸化物ガス流が、ガス混合物、例えば大気ガス、燃焼ガス、プロセス排ガス、ポルトランドセメント製造過程由来の排ガス、及び油井ガスから分離される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記炭素酸化物ガス流が、ガス混合物、例えば燃焼ガス、プロセス排ガス、ポルトランドセメント製造過程由来の排ガス、及び油井ガス又はその分離画分の形状にある、請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記還元剤ガス流が、水素ガスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項17】
前記還元剤ガス流が、炭化水素ガスを含む、請求項1記載の方法。
【請求項18】
前記炭化水素が、天然ガスを含む、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記炭化水素が、合成ガスを含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記炭化水素が、メタンを含む、請求項17記載の方法。
【請求項21】
前記還元剤ガス流が、任意の利用可能な炭素酸化物の還元に必要とされる化学量論比を大幅に越える量で供給される、請求項1記載の方法。
【請求項22】
前記還元剤ガス流が、任意の利用可能な炭素酸化物の還元に必要とされる化学量論比にほぼ等しい比にて存在する、請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記還元剤ガス流が、任意の利用可能な炭素酸化物の還元に必要とされる化学量論比よりも著しく低い量で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記触媒が、予め決められたキャリヤガスと共に前記反応ゾーンに供給される、請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記触媒が触媒プリカーサとして前記反応ゾーンに供給される、請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記触媒が、周期律表の第VI族金属、第VII族金属、及びこれらの混合物からなる群から選択される遷移金属原子を含む、請求項1記載の方法。
【請求項27】
前記触媒が、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム及び酸化バリウムからなる群から選択される、酸化金属化合物を含む、請求項1記載の方法。
【請求項28】
前記触媒が、酸化鉄を含む、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記触媒プリカーサが、周期律表の第VI族金属、第VII族金属、及びこれらの混合物からなる群から選択される金属の化合物である、請求項25記載の方法。
【請求項30】
前記化合物が、金属カルボニルである、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、金属酸化物である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記化合物が、メタロセンである、請求項29記載の方法。
【請求項33】
前記反応ゾーンが、流動床反応器である、請求項1記載の方法。
【請求項34】
前記キャリヤガスが、1種又はそれ以上の、不活性ガス及び炭素酸化物との混合物を含む、請求項24記載の方法。
【請求項36】
前記反応混合物における前記触媒プリカーサの濃度が、約1ppm〜約100ppmなる範囲内にある、請求項25記載の方法。
【請求項37】
前記触媒プリカーサが、該触媒プリカーサの分解温度以下の温度にて供給される、請求項1記載の方法。
【請求項38】
前記反応混合物に、触媒促進剤を添加する、請求項1記載の方法。
【請求項39】
前記触媒促進剤が、チオフェン、H2S、複素環式スルフィド、無機スルフィド、揮発性鉛、ビスマス化合物及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項38記載の方法。
【請求項40】
さらに、核形成剤を供給して、前記触媒プリカーサからの前記触媒の形成を容易にする工程をも含む、請求項25記載の方法。
【請求項41】
前記核形成剤が、ガス状金属-含有化合物である、請求項40記載の方法。
【請求項42】
前記ガス状金属-含有化合物が、Ni(CO)4、W(CO)6、Mo(CO)6及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記核形成剤が、レーザー光フォトンである、請求項40記載の方法。
【請求項44】
さらに、前記反応ゾーンにおいて生成されたカーボンナノチューブを、これに引続く成長及びアニールゾーンに通す工程をも含む、請求項1記載の方法。
【請求項45】
前記反応ゾーンが、エアゾール反応器であり、そこには前記触媒をエアゾールスプレーとして導入することができる、請求項1記載の方法。
【請求項46】
前記触媒が、前記成長したカーボンナノチューブの径を制御するように選択される粒径を持つ、予備成形された粒子の形状にある、請求項45記載の方法。
【請求項47】
前記触媒が、1又はそれ以上の触媒プリカーサの形状にあり、該触媒プリカーサが、予め定められた反応温度に暴露された場合に、分解して該触媒を生成する、請求項45記載の方法。
【請求項48】
前記触媒が、前記エアゾール内に留まっており、かつ前記固体炭素製品が、前記反応ゾーンを通過する触媒粒子上で成長する、請求項45記載の方法。
【請求項49】
前記触媒が、前記エアゾールから、前記反応ゾーン内の1又はそれ以上の表面上に堆積される、請求項45記載の方法。
【請求項50】
前記反応ガス、触媒、及び反応条件の組合せが、ピローの形態を持つカーボンナノチューブクラスターの生成をもたらす、請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公表番号】特表2012−524015(P2012−524015A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506065(P2012−506065)
【出願日】平成22年4月5日(2010.4.5)
【国際出願番号】PCT/US2010/029934
【国際公開番号】WO2010/120581
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511250275)シーアストーン リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】