説明

炭素隔離を含む方法及びシステム並びにエンジン

【課題】発電のためのシステムを提供する。
【解決手段】本システム(100)は、排気ガス(103)を出力するように作動するエンジン(102)と、排気ガス(103)から二酸化炭素(CO2)(105)を除去してCO2(105)を出力するように作動する炭素捕捉手段(104)と、CO2(105)を受け取ってエンジン(102)の部品を冷却する加圧CO2(105)を出力するように作動する加圧器(108)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素隔離に関し、より具体的には発電システムにおいて炭素を隔離することに関する。
【背景技術】
【0002】
発電システムは、多くの場合、炭酸(二酸化炭素)排気ガスを放出する。炭素隔離システムは、排気ガスから炭酸ガスを除去しかつ二酸化炭素を貯蔵する。
【0003】
排気ガスからの炭酸ガスの除去は、そうでなければ有用なシャフト出力の発生に利用されることになるエネルギーを消費する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6672075号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
システムが炭素を隔離しかつより効率的に作動するのを可能にする方法及びシステムが、望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの態様によると、発電のためのシステムは、排気ガスを出力するように作動するエンジンと、排気ガスから二酸化炭素(CO2)を除去してCO2を出力するように作動する炭素捕捉手段と、CO2を受け取ってエンジンの部品を冷却する加圧CO2を出力するように作動する加圧器とを含む。
【0007】
本発明の別の態様によると、発電システムを作動させる方法は、エンジンから排気ガスを出力するステップと、排気ガスから二酸化炭素(CO2)を除去するステップと、CO2を加圧するステップと、加圧CO2でエンジンの部品を冷却するステップとを含む。
【0008】
これらの及びその他の利点並びに特徴は、図面と関連させて行った以下の説明から一層明らかになるであろう。
【0009】
本発明は、本明細書と共に提出した特許請求の範囲において具体的に指摘しかつ明確に特許請求している。本発明の前述の及びその他の特徴並びに利点は、添付図面と関連させて行った以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】発電のための例示的なシステム及び方法を示す図。
【図2】発電のためのシステム及び方法の例示的な別の実施形態を示す図。
【図3】図1及び図2のエンジンの例示的な実施形態のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
詳細な説明は、図面を参照しながら実施例によって、本発明の実施形態をその利点及び特徴と共に説明する。
【0012】
炭素捕捉手段及び隔離部(CCS)は、システム排気ガスからCO2を除去しかつ隔離(sequestration)部位内にCO2を貯蔵するために使用される。CCS方法は、多くの場合にエネルギーを消費してシステム効率の損失を引起す。例えば、燃焼後のアミン式CO2除去は、熱回収蒸気発生器又は蒸気タービン抽気による熱エネルギーのような溶媒生成のためにエネルギーを使用し、また隔離のためのCO2を加圧する加圧器を駆動するために用いる動力を使用する。ガスタービンエンジンは、多くの場合にエンジン部品を冷却するために燃焼前加圧空気(ブリード空気)を使用する。ブリード空気の使用は、ガスタービンエンジンの性能、つまり出力及び熱効率を低下させる。
【0013】
図1は、CCSを使用する発電システムの効率を増大させるための例示的なシステム及び方法を示す。これに関して、システム100は、エンジン102を含み、エンジン102は熱回収蒸気発生器(HRSG)106を介して炭素捕捉手段104に対して燃焼後排気ガスを出力する。この図示した例示的な実施形態は、排気ガス103を冷却しかつ蒸気を出力するHRSG106を含んでいるが、他の実施形態は、HRSG106を含まないものとすることができる。この図示した例示的な実施形態における炭素捕捉手段104は、例えばアミン系システムとすることができ、このアミン系システムは、例えばHRSG106から蒸気を受けることができる。しかしながら、あらゆるその他の好適な炭素捕捉手段方法を使用して、排気ガス103からCO2を抽出することができる。炭素捕捉手段104は、排気ガス103からCO2を除去する。参照符号105におけるCO2は、加圧器108によって加圧されかつ隔離部位110に送られる。隔離部位110は、例えば地下貯蔵場所を含むことができ、この地下貯蔵場所は、例えば発電プラントから数百フィート又は数百マイル離れたものとすることができる。加圧CO2の一部分は、適切に設計した配管システムを介してガスタービンから送給しまた該ガスタービンに戻すのに適した圧力でCO2加圧器内のポートから抽出される。抽出したCO2は、熱交換器112を通して(第1の流体通路111を介して)送られ、熱交換器112において、CO2は、第2の流体通路113内のCO2によってガスタービン102を冷却するのに適した温度(例えば、600°F)に加熱される。第1の流体通路111からのCO2は、ガスタービン102の冷却ガス入口107に流入し、ガスタービンエンジン102の部品を冷却しかつより高い温度(例えば、1100°F)でガスタービン102の冷却ガス出口109から流出する。CO2は、膨張器114内で膨張し、膨張器114は、CO2の温度を低下させる(例えば、650°F)。膨張器114からのCO2は、熱交換器112に送られ、熱交換器112において、CO2は、第2の流体通路113に流入しかつ第1の流体通路111内のCO2を加熱する。CO2は、熱交換器112の第2の流体通路113から流出しかつ加圧器108入口に送られる。この図示した例示的な実施形態は、ガスタービンエンジン102を使用しているが、他の同様なシステムは、排気ガスを出力しかつCO2によって冷却されるその他のタイプのエンジンを使用することができる。
【0014】
図2は、システム200の別の実施形態を示している。システム200は、上記したシステム100と同様の方式で作動する。システム200では、CO2膨張器114は、蒸気発生器115で置換えられ、蒸気発生器115は、例えばガスタービン102から戻る高温CO2から抽出した熱を利用して好適な圧力の蒸気を発生させるケトルリボイラとすることができる。蒸気発生器115内で発生した蒸気は、例えば複合サイクル蒸気タービン(図示せず)に流入させ、或いは付加的発電のための別個の蒸気タービン内で利用することができる。
【0015】
図3は、蒸気タービン102の例示的な実施形態のブロック図である。ガスタービン102は、圧縮機部分202、燃料を燃焼させるように作動する燃焼器部分204、及び出力タービン部分206を含む。CO2は、冷却ガス入口107に流入し、例えば第1タービン段ステータ(ノズル)208又は燃焼器トランジションピース210などの高温ガス通路(HGP)部品のようなエンジン部品を冷却し、かつ冷却ガス出口109を介してエンジンから流出する。
【0016】
閉ループ内でCO2を使用してガスタービン102のHGP部品を冷却することにより、ガスタービン102の出力及び効率が増大する。CO2は、加圧空気に優る良好な熱伝達特性、つまりより高い比熱を有していて、より少ない冷却媒体流量でガスタービン102のHGP部品の冷却を達成する。タービン冷却媒体としてCO2を使用して圧縮機からのブリード空気と置換えることにより、一層多くの加圧空気をシャフト出力発生のために燃焼及びタービン膨張に使用することが可能になる。圧縮機からのブリード空気は一般的に、ガス流路に流入しかつ第1段ロータ入口の上流で高温燃焼ガスと混合し、その高温燃焼ガスは、膨張を介して有用な仕事の産生を開始する。上記のようなCO2の使用は、ブリード空気と混合させることによってタービン入口温度の望ましくない低下を回避しかつガスタービン102のタービン入口及びロータ入口(燃焼温度)間の温度差を減少させる。CO2によって冷却した時のガスタービン102の効率及び出力の増大は、CCSプロセスによってシステム100内に生じる非効率の一部分を相殺する。従って、ガスタービン出力の増大は、排気ガスからCO2を捕捉するために使用した熱エネルギーのため浪費した蒸気タービン出力及び捕捉したCO2を隔離のために加圧するために使用した寄生出力消費を含む全体CCS出力損失の一部分を相殺する。
【0017】
限られた数の実施形態に関してのみ本発明を詳細に説明してきたが、本発明がそのような開示した実施形態に限定されるものではないことは、容易に理解される筈である。むしろ、本発明は、これまで説明していないが本発明の技術思想及び技術的範囲に相応するあらゆる数の変形、変更、置換え又は均等な構成を組込むように改良することができる。さらに、本発明の様々な実施形態について説明してきたが、本発明の態様は説明した実施形態の一部のみを含むことができることを理解されたい。従って、本発明は、上記の説明によって限定されるものと見なすべきではなく、本発明は、特許請求の範囲の技術的範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0018】
100 システム
102 ガスタービンエンジン
103 燃焼後排気ガス
104 炭素捕捉手段
106 熱回収蒸気発生器(HRSG)
105 CO2
107 冷却ガス入口
108 加圧器
109 冷却ガス出口
110 隔離部位
111 第1の流体通路
112 熱交換器
113 第2の流体通路
114 膨張器
115 蒸気発生器
200 システム
202 圧縮機部分
204 燃焼器部分
206 出力タービン
208 ステータ(ノズル)
210 トランジションピース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電のためのシステム(100)であって、
排気ガス(103)を出力するように作動するエンジン(102)と、
排気ガス(103)から二酸化炭素(CO2)(105)を除去してCO2(105)を出力するように作動する炭素捕捉手段(104)と、
CO2(105)を受け取ってエンジン(102)の部品を冷却する加圧CO2(105)を出力するように作動する加圧器(108)と
を含むシステム。
【請求項2】
第1の流体通路(111)及び第2の流体通路(113)を有すると共に、加圧器(108)から出力された加圧CO2(105)を第1の流体通路(111)内に受け取ってエンジンの冷却ガス入口(107)に対して第1の流体通路(111)からより高温のCO2(105)を出力するように作動する熱交換器(112)をさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
エンジン(102)の冷却ガス出口(109)からCO2(105)を受け取って熱交換器(112)の第2の流体通路(113)に対してより低温の膨張したCO2(105)を出力するように作動する膨張器(114)をさらに含む、請求項2記載のシステム。
【請求項4】
エンジン(102)の冷却ガス出口(109)からCO2を受け取って熱交換器(112)の第2の流体通路(113)に対してより低温の膨張したCO2(105)を出力するように作動する蒸気発生器(115)をさらに含む、請求項2記載のシステム。
【請求項5】
炭素捕捉手段(104)が、アミン系システムである、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
熱交換器(112)が、加圧器(108)に対して第2の流体通路(113)からCO2(105)を出力するようにさらに作動する、請求項2記載のシステム。
【請求項7】
エンジン(102)から排気ガス(103)を受け、該排気ガス(103)を冷却しかつ炭素捕捉手段(104)に対して冷却した排気ガス(103)を出力するように作動する熱回収蒸気発生器(106)をさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
加圧器(108)から出力された加圧CO2(105)を受け取って貯蔵するように作動する炭素隔離部位(110)をさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
エンジン(102)の部品が、燃焼器(204)の一部分の下流に位置するタービン高温ガス通路部品である、請求項1記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−80464(P2011−80464A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220118(P2010−220118)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】