説明

炭素13ラベル化バイオマス生産方法

水溶性炭素-13ラベル化炭素源(例えば[13C]-重炭酸塩又は[13C]-炭酸塩)を用いる均質な炭素-13ラベル化バイオマスを調製するための方法及び機器を開示する。当該バイオマスは育成培地を充填した1つ以上の殺菌したカーボイ中で調製され、ここでの酸性度、酸素、及びバイオマス密度は、注意深くモニターされ、且つ維持される。唯一の炭素源として水溶性[13C]-重炭酸塩、又は[13C]-炭酸塩の固体を用いることにより、バイオマスは均質的且つ効率的に炭素-13によりラベルされる。本方法及び機器は、特に特定の藻類であるスピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)を有す食用の炭素-13ラベル化藻類塊の生育に有用である。当該バイオマスは、FDAの現行の適正製造規準の規則と合致して調製、且つ採取することができ、そして更に診断検査又は医薬組成物に有用である、多様な薬剤製品へ処理することができる凍結乾燥バルク薬剤パウダーに製剤することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して炭素13ラベル化バイオマスを調製するための方法及び機器に関する。特に本発明は、診断検査キット又は医薬組成物の成分として使用するための制御された且つ一貫性のある方法において、炭素13ラベル化消化可能藻類を生育させるための方法及び機器に関する。
【背景技術】
【0002】
安定同位元素を導入するラベル化合物は、代謝経路及びヒト栄養素の分析において使用され、且つ疾患診断における重要性が増加してきている。同位元素ラベル中の重要な分子の1つ以上の原子は、異なる同位元素ではなく、同一元素の原子と置換される。原子は同数のプロトンを有するから、当該化合物中で他の原子と化学的に同様に挙動するであろう。一方、中性子数の相違は、同一元素の他の原子から独立して検出することができる質量の相違を与える。
【0003】
同位元素改変化合物は、多様な技術、例えば核磁気共鳴装置(NMR)、質量分析法(MS)、又はオートラジオグラフィーを通して容易に同定することができる。同位元素ラベル化合物を使用することにより、有機体中に発生する代謝的及び身体的過程は、ラベル化材料が採る経路、及びラベルが最終的に見出される最終代謝産物のタイプを観察することにより研究することができる。同位元素ラベルは、一般的に2つのクラスに分類することができ;例えば炭素14、トリチウム、及びテクネチウム99m等の放射活性のもの、並びに例えば炭素13、窒素15、及び酸素18等の安定であるものである。放射活性ラベル化合物は、多数の技術により同定され得るが、それらの使用は典型的に特別な核医学施設を要求し、且つ子供及び妊娠年齢の女性に禁忌であるように、それらの実用性を制限している。
【0004】
炭素13[13C]は、本質的に全ての有機材料中に存在する炭素として特に有用な同位元素であり、そして13Cは、容易に同定される非-放射活性同位元素である。13C分析では、13Cは、基質中の1以上の官能基中に導入される。当該官能基は、特異的酵素により開裂する結合を通して残りの分子へ連結する。一度、開裂が起こると、当該官能基は典型的に13C02が産するまで更に酸化され、その後、呼気中に排出される。呼気中の過剰な13C02出現は、酵素活性の存在及び量を示すために、又はバクテリア等の外来個体の存在を示すために使用することができる。この13Cの使用は、多くの13C-に基づく呼気の検査の開発を導いた。本明細書において参照により組み入れられた開示、Peter D.Klein,"13C Breath Tests:Visions and Realities",Journal of Nutrition,131,1637S,2001を参照。
【0005】
呼気検査を導入すること、又は13Cラベルを使用する他の検査、ラベル材料を導入している消化源は、頻繁に必要とされる。13Cラベル化重炭酸塩は、消化材料中へ導入されずに投与された場合は信頼できない結果を生み出す胃内容排出を測定する呼気試験において、対象により消化された。微生物中へ導入された13Cラベルは、呼気検査のための対象へラベル化材料を導入するための優れたベクターであることを証明した。
【0006】
藻類は呼気検査中で消化源として有用であることが見出された微生物である。このような方法でラベル化された藻類は、以前に他の合法的に上市された13Cラベル化呼気検査のための基質としてFDAにより薬剤として定められた。これらの有機体のタンパク質類、脂質類、及び炭水化物類を、高いレベルで13Cラベルを含むように設計することができる。かかる有機体を使用すれば、それらをビスケットのような食料品に導入することにより、診断的及び生理学的測定のために容易に取り入れられる。このアプローチの実施例のために参照として本明細書に組み入れられた開示、米国特許5,707,602を参照。
【0007】
多様な単細胞有機体は、ラベル化有機体を提供するために、13C源の存在中で培養した。環境中の12Cと対照的に、13Cの導入を増やすために、これらの有機体の培養は、典型的にバイオリアクター、汚染を妨げると同時に生育のために必要な条件を提供する機器の中に導入される。藻類の栄養必要量として13Cラベル化バイオマスを提供する有用な有機体である藻類は、比較的安価である。藻類を培養するには、藻類が光合成を行うために使用する炭素源、典型的にはCO2ガス、多様な微量栄養素、及び光を提供することが必要である。
【0008】
C02のようなガスは、かつて炭素源として13C02ガスを使用して13Cラベル化した藻類を生産する努力がなされた藻類のバイオマスを培養するための伝統的な炭素源である。しかしながら比較的高価であり、そしてかなりの量が無駄に失われる。また、典型的に13CO2ガスは、バイオリアクターの生育チャンバー中で泡立てられる。付属品、シール、及び他のチャンバー部品が13Cラベルを希釈する工程の間で機能しない場合は、汚染の機会が増加する。付属品及びシールでふさがれている場合でさえ、かなりの量の13C02ガスは、バイオマス中へ吸収されずに当該システム中を単に経由する。更に、ガス容積を理論上計算することはできるが、13C02のようなガスの正確な容積を確実に管理することは困難である。最終的に炭素源としての13C02ガスの使用は、運搬及び取り扱いが困難であるバルク加圧円筒の使用を要求する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
13C02ガスを使用しないで均質に13Cラベル化バイオマスを一貫して生産するための方法、並びに診断検査キットの成分として、又は薬剤製品中の活性医薬成分として使用するための汚染、浪費、及び取り扱いの問題に関する事項が所望される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明の概要
本発明の1つの態様では、消化可能なラベル化炭素源として診断検査キット中へ導入されバルク薬剤として使用するための13Cラベル化バイオマスを確実に、且つ一貫して生産するための方法に関する。他の態様では、本発明は、特にヒト及び動物の疾患又は生理学的機能障害の評価及び/又は診断のための最終薬剤製品へと製剤化され得る13Cラベル化バイオマスバルク薬剤を提供する。本発明の方法は、実質的に均質なラベル化バイオマスを得るため、13C-ラベル化水溶性重炭酸塩もしくは炭酸塩、又はバイオマスの生育の間の炭素源のような他の同様の可溶性固体の使用を含む。1つの態様では、NaH13CO3を使用する。水溶性[13C]-重炭酸塩、又は[13C]-炭酸塩は、炭素源を有する培地の優れた浸透を提供し、且つ有機体の生育によって吸収されず、バイオリアクターを無駄に経由しない。従って、当該ラベル化バイオマスは、実質的に均質にラベル化される。炭酸塩又は重炭酸塩のような固体炭素源は、使用の際、小さく、且つ比較的安定であり、取り扱いの問題を単純化し、そして比較的安価という肯定的な特質も有する。
【0011】
本発明の更なる態様では、単一藻類播種材料は、固体炭素源を有す出発原料として使用される。当該単一藻類播種材料は、明確な生育特徴を有す明確な藻類培養の単一の使用を成す。本発明のラベル化バイオマスは予測できるラベルの量で、実質的に均質にラベルされ、そしてラベル化成分の適切な単位投与量の決定を確実に成すことができるため、薬剤の製剤化に更に容易に使用される。
【0012】
本発明の1つの観点では、バルク薬剤中で使用するための13Cラベル化バイオマスは、播種する生育反応器(水溶性13C炭素源、例えば水溶性[13C]-重炭酸塩又は[13C]-炭酸塩を、光合成を通して炭素と取り込む有機体を一緒に含む生育培地を含んで成る)により製造され、そして所望されるバイオマスが得られるまで、有機体を生育させ、且つ生育をモニタリングし、そして最終的に結果物である13Cラベル化バイオマスを採取する。その後、当該ラベル化バイオマスをバルク薬剤中に導入する。
【0013】
藻類は本発明のバイオマスを作製するために有用な有機体である。食用の藻、例えばスピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)は、呼気検査において使用するための消化できるラベル化材料源中へ導入され得る。
【0014】
本発明の方法は、それらが活性医薬成分(API's)の製造に関連する場合、現行の米国食品医薬品局の適正製造規準による規格に容易に適合され得る。従って、本発明の方法を使用して調製したバイオマスは、バルク薬剤として使用され得る。
【0015】
1つの態様では、本発明の方法を使用して調製した13Cラベル化バイオマスは90%以上の純度の同位元素を有す。当該方法の更なるステップは、バイオマスを凍結乾燥させること、及び最終薬剤製品における単位投与のために適した単一形態のバルク薬剤へバイオマスを粉砕することを含んでよい。
【0016】
本発明の更なる態様は、実質的に均質に13Cラベル化されたバイオマスを含むバルク薬剤を含む。1つの態様では、当該バイオマスは藻類を含む。食用の藻類はバルク薬剤が消化されやすい基質中(例えば、胃内容排出のための診断呼気検査キット中の有用な食用藻類であるスピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)種を有する)に導入される場合、特に有用である。当該藻類バイオマスは、凍結乾燥され、且つバルク薬剤へと粉砕され得る(薬剤原料はまだ最終薬剤製品へ製剤化されてない)。13Cラベル化バイオマスは90%以上の同位元素純度を有し得る。
【0017】
本発明の更なる態様は、本発明の13Cラベル化バイオマスを培養するために使用され得る生育反応器システムを含む。当該システムは1つ以上のカーボイを含み、ここでのそれぞれのカーボイは、カップによりその開口端がふさがれている。孔は、サンプリング孔、投与孔、及び通気孔を含む。生育反応器システム中で2つ以上のカーボイを使用する時、1つのカーボイが結果的に汚染された場合に個々のカーボイの純培養を保存するために、それらは典型的に分離される。当該システムは更に約1000-2000 Luxの照明、且つ約29-31℃の温度を通す条件下で当該生育反応器を操作するための手段を含むこともできる。更に所望されるpHでの当該生育培地のpHをモニタリングし、及び維持し、並びに酸素蓄積を妨げるための手段を当該システム中に含んでよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の詳細な説明
炭素13は医薬及び診断装置の中で有用な、安定した非放射性同位元素マーカーである。我々の体内、及び我々が食する食物中の炭素を含む天然の全ての炭素のおよそ99%は、炭素12である。13C生物分子を豊富に含む分子を合成することにより、又は有機体を生育することにより、それらの吸収及び代謝が呼気中の13CO2の放出という結果になるという事実を利用することができる。呼気サンプルは、ヒト又は動物中の13C-ラベル化基質を投与する前に得ることができる。13C02/12C02の比率は、ガス同位元素比質量分析法、又は赤外線のような精度及び綿密さが落ちる他の方法により測定することができる。13C-ラベル化基質を投与後、呼気サンプルを再度収集し、そして13CO2/12CO2比を決定することができる。投与後の比率の増加、又はそれらの欠落は、疾患を同定する中で、及び/又は生物学的工程及び生理学的工程を測定する中で有用である。
【0019】
13Cを用いる診断検査の重要な観点は、投与した13Cの量を正確に理解しなければならないことである。例えば、呼気検査において、生成した13C02の量に基づく結果は、当初摂取した量に直接関連する。バイオマスにおいて13Cの実際の投与量を決定することは、炭素の重量パーセントを知るために必要であり、並びに13C炭素のパーセントを知るために必要である。これは、藻類S.プラテンシス(S.platensis)の3つの異なる量の13Cラベル標的用量を表す、表1中に示されている。13Cラベル化S.プラテンシス(S.platensis)バイオマスの量は、以下の方程式により決定される13Cの標的用量を達成するように投与する必要がある:
標的用量mg13C÷(13C-原子%×炭素%)=mg〔13C〕-S.プラテンシス(S.platensis)
【0020】
以下の表1は、使用する方程式のいくつかの例を提供する。
【表1】

【0021】
本発明の利点は、本発明の方法を用いて調製したバイオマスは、予測できる炭素及び13C導入レベルにより実質的に均質にラベルされるから、バイオマスからの標的用量の決定を単純化することにある。S.プラテンシス(S.platensis)を利用する態様のため、当該炭素含有量は、一般的に上記の表に示す通り約42%であり、そして13C導入は約95%だろう。
【0022】
本発明は13C-ラベル化バイオマスの生育のための方法及び機器を示す。ラベル化バイオマスは、上記の呼気検査のための基質として、又はかかる基質の調製において使用されるバルク薬剤として使用してよい。更に、本来当業界において公知である13C-ラベル化バイオマスを使用してもよい。バイオマスは多様な藻類及び他の微生物を使用して提供され得る。スピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)は、13C-ラベル化バイオマスの培養のために有用な有機体である。
【0023】
本明細書において使用される用語”バイオマス”とは、例えば植物細胞、及び微生物(藻類を含む)のような光合成生育が可能な、液相で生育可能な単細胞性又は多細胞性形態にある全ての有機体を含む。当該用語は人工的に又は遺伝子操作により改変された有機体も含んでよい。バイオマスを、生命体の量について言及するために本明細書において使用してもよい(生息環境の単位面積又は容積として)。
【0024】
本明細書において使用されるバルク薬剤は、最終薬剤製品の活性成分となる薬剤の生産において使用する場合、薬剤製品の製造における使用を意図した物質(例えば13C-ラベル化スピルリナ(Spirulina)バイオマス)を意味する。かかる物質は薬理学的活性、又は疾患の診断、治療、緩和措置、もしくは予防における他の提示される効果を提供することを意図し、或いは身体の構造及び機能に影響を与えることを意図する。所望されるならば、多様の詳細な最終薬剤製品形態に更に進めることができる。
【0025】
スピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)を含む藻類は、生育に水、照明、炭素源、並びに所定の他の栄養素及び栄養関連材料を必要とする。照明は日光(即ち太陽放射)、又は所定のバンド幅にある人工照明でよい。藻類のバイオマスを生産するのは、スピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)のような偏性光合成独立栄養生物であり、典型的に空気との混合物中でバイオリアクター又はバイオマスへ炭素源であるガス状の二酸化炭素が提供される。典型的に、生育培地は、ガス状の二酸化炭素として、無機イオン、キレート剤、緩衝剤等のマクロ及びマイクロレベルの配分を付加できる更なる炭素源を含んで成る。
【0026】
光合成は、本発明においてバイオマスへ導入される炭素の第一の経路による。光合成は、エネルギー源として光を使用して二酸化炭素と水から炭水化物を合成する緑色植物及び所定の他の有機体により利用される。この工程は光エネルギーを化学エネルギーへ変換し、多様な方法で有機体により使用され得る。C02の有機化合物(例えば炭水化物)への変換は、炭素固定として知られており、そして以下のバランス式により表される:
6C02+12H20→C6Hl2O6+602+6H20
【0027】
本発明は、炭素源として取り扱い易い水溶性炭素-C13ラベル化固体、例えば[13C]-重炭酸塩、又は[13C]-炭酸塩を使用する。13C-ラベル化合物及び材料は、商業的に入手できる。例えば、本発明の方法における炭素源として有用である13C-ラベル化NaHC03は、現在Cambridge Isotope Laboratories, Inc.から>=99%の13C導入純度で、商業的に入手できる。毒性がなく、白色結晶パウダーであるNaH13CO3は、水に容易に溶解する。25℃でのNaH13CO3は、1.Og/10mLの限度で水に溶解する。従って、バイオマス生育反応器を使用した水性培地中に容易に溶解させることができる。
【0028】
上記説明の通り、13C-ラベル化バイオマスを、バイオマスの生育の間の唯一の炭素源として[13C]-重炭酸塩(NaH13CO3)又は[13C]-炭酸塩のような水溶性固体を用いて調製し、実質的により均質なバイオマスを得る。更に、13Cラベルは、生育培地中の13C-ラベル化塩の元来の溶解性によりバイオマスの生育サイクルの間、欠損又は希釈から保護され、生育工程の間に追加のラベル化炭素を付加する必要性が減少する。従って、比較的高価な13Cラベルの欠損は、最小化される。
【0029】
1つの態様では、単一種、単一出発播種材料源(即ち、単藻播種材料)を、バイオマス生育を開始させるため、且つより一貫性のある炭素レベル、13Cラベルパーセント、及び消化性特性を有すバイオマスを産するために使用する。脂肪酸メチルエステル(FAME)分析は、採取したバイオマスで実施し、生育過程を通して出発播種材料の属及び種の一貫性を残すバイオマスの属及び種を保証することができる。
【0030】
13C-ラベル化バイオマスを調製するための本発明の方法の使用は、バイオマスの総炭素含有量及び同位元素ラベルパーセントが一貫したものであるので、生育サイクルの条件を制御してよい。これらのレベルはバッチごとに正確に測定することができ、そしてラベル化バイオマスの一連のバッチ由来薬剤製品へ、正確な単位投与量のバルク薬剤にすることができる。総炭素含有量、及び/又は13Cラベルのパーセントにおける小さなばらつきは、単位投与製造工程の中で調整できる。例えば、45%炭素含有量を有す標的とされた100mg単位投与、及び>=95%13Cラベルは、両炭素パラメーターがバルクバイオマスを最終化、乾燥化及び粉砕化したアッセイにおいて正確に定量できるから、単位投与包装工程において使用されるバイオマス重量標的の中で、上下の微調整により常に得ることができる。
【0031】
藻類を生育するための工程は、pH及び酸素レベルを制御するために、例えばTeledyne ガス-相センサー、及びホスフェートの連続的な付加によりpHを制御している藻類培養の、シェーカー上の非噴霧カーボイの使用、過剰なO2のパージ、O2生産のモニタリング、O2生産の測定等の多様な手段を利用する。本発明のラベル化バイオマスを生産するための方法は、多様な規模で、ラベル含有量及びバイオマス収率の両方に関して行うことができる。
【0032】
本発明のラベル化バイオマスは、1つ以上のカーボイを含むバイオリアクターシステム中で生産され得る。カーボイは、バイオマス培養のために特別なハードウェアを備えた無菌の水差しの形状の容器である。多種多様なカーボイのサイズと形状は本発明における使用のために適している。カーボイはガラス又はプラスチックのような当業界において公知な任意の不活性材料から構成されてよい。カーボイは新鮮に調製した生育培地のアリコートにより充填され、その後、開始播種材料のアリコートにより播種される。従って、40グラムのバイオマスが所望される場合、[13C]-重炭酸塩又は[13C]-炭酸塩のような水溶性固体を、採取前のカーボイ中で1リットル当り2グラムのバイオマス密度を達成するために算出された量を含む生育培地中で選定されたバイオマス種により、1つのカーボイを播種してよい。160グラムが所望される場合、4つの20Lカーボイを1つのバッチとして同時に生育することができる。
【0033】
導入されたラベルのパーセントは、同様に制御することができる。例えば、高いラベル含有量のバイオマスが所望されるならば、播種及びカーボイ生育工程の両方のための唯一の炭素源は、>=99%13Cラベル濃度を有す、水溶性[13C]-重炭酸塩、又は[13C]-炭酸塩であるべきである。13Cラベルのより低いパーセントが所望される場合、当該ラベル化塩類を、13Cラベルの所望されるパーセントを得るために、非ラベル化塩で希釈してよい。
【0034】
バクテリア汚染は、生育している藻類バイオマスである場合、深刻な問題であり得る。純培養、又はバクテリア汚染の欠如は、いくつかの方法により維持される。第一に、単一の純培養藻類生育播種材料は、それぞれ独立したカーボイ生育反応器を使用する。生育反応器の全ての成分を、使用前にオートクレーブにかけることが望ましい。一方、多数のカーボイを、1バッチとして同時に使用してよく、個々のカーボイは密閉系として分離して維持される。
【0035】
同位元素ラベルの観点から見た最終製品の純度は、当業界において公知の多様な方法により決定することができる。13Cの高い同位元素純度は、およそ98%の炭素原子が13Cであり得るから、しばしば物質中の13Cレベルの困難な分析を導く。純度レベルを決定する1つの方法であるガス同位元素比質量分析法は、通常、わずか1-2%の13Cが存在する天然サンプル由来の低いレベルの13C含有量を計測するためにデザインされる。この方法が使用される場合、典型的にユーザーは、分析可能レベルへ13Cの同位元素フラクションを減少させるために、天然存在度(約1%)に近い13C/12C比を含む明確な材料を有す13Cを希釈するであろう。本発明の利点は、均質性、並びに分析に必要な製品の量を最小限にする予測できる13Cレベル及び導入を生み出すことであることに留意する。
【0036】
図1は、本発明において有用である20Lのカーボイ生育反応器10の側面図を示す。図解したカーボイ生育反応器フラスコは;カーボイボディー12、及びカーボイネック14の2つのセクションを有す。カーボイボディー12は、一般的に頂部が平面で切断された円筒であり、一方カーボイネック14は、頂部が開いている丸い円錐部位によりカーボイボディー12と隣接した減少した直径円筒を含む。カーボイネック14は、カーボイキャップ16をしっかり保持するため好適には、ネジで留められ(threaded)、カーボイ生育反応器10の頂部を封鎖する。カーボイキャップの頂部の中心部は、1つ以上の開口(カーボイ生育反応器10の内側を通し、妥協せずに純培養に近づくことができる)を含む孔アセンブリ18である。孔アセンブリ18を、図2に更に詳細に図解する。上記を留意するとして、本発明の方法において使用する前に、汚染を最小限にするため、バイオマス又は当該バイオマスを生育するために用いられる任意の成分と接触させてよい全ての器具を殺菌することが望ましい。器具をオートクレーブにかけることは、典型的に殺菌を意味する。
【0037】
図2において示す1つの形状は、3つのラインを、孔アセンブリ18を搭載する器具を通して、ガーボイ生育反応器10へ導く。1つのラインは、通気ライン20である。当該通気ラインは、バイオマスにより生産される過剰なガスを有機体の生育に悪影響を及ぼす前にカーボイ生育反応器10から除去することを可能にする。第2のラインはサンプリングライン22である。このラインは、一般的に検査目的の工程の中で、カーボイボディー12の中からのサンプルを得るために用いてよい。示された第3のラインは、投薬ライン24である。当該投薬ライン24は、緩衝剤又は他の有用な溶液を、生育工程の間に当該器具の中の培地へ付加するために使用してよく、そして窒素ガス(N2)源(示していない)へ連結してよく、過剰な酸素の系をパージするために使用することができる。当該ガスラインは、無菌のガスフィルター26及び32をそれぞれ装備してよい。図2に示すサンプリングライン22は、使用していない時は、当該ラインを封鎖するために使用されるサンプリングラインキャップ28を装備する。投与ライン24は無菌液体フィルター30を装備してもよい。シリコーン管類をライン20、22、及び24のために使用してよい。
【0038】
本発明の方法において有用であるカーボイ生育反応器は、通気孔を装備してよい。藻類のバイオマスを調製する時、当該生育工程の間でO2ガスが生成する。当該酸素は、典型的に一方向の排出孔を経由して外部に放出されるであろう。02が生育反応器から放出されない場合、又は他の手段により当該反応器から除去されない場合、生育阻害及び酸化的損傷を含む藻類の燃焼が起こり得る。
【0039】
図3は、播種容器36として供することができる、10Lカーボイの頂部に組立てられた本発明で有用な播種アセンブリ34を図解する。播種アセンブリの頂部は、播種容器36の内部へ接近するための1つ以上の開口を有する孔アセンブリ18を含んでよい。3つの開口を有す孔アセンブリ18を図3に示す。1つの開口は、播種容器から過剰なガスを放出することができる通気ライン20へ連結する。当該通気ラインは殺菌ガスフィルター(示していない)を配備してよい。図3に38として図解する中央の開口は、播種ラインであってよい。このラインは播種容器を最初に満たすために用いてよい。播種ライン38は、開口を通して連結し、そして播種容器のより底部へ伸びる殺菌ピペット40への更なる管と連結する。液体のバルクは、殺菌ピペットを通すことが所望される場合、播種容器から無菌で除去され得る。任意の開口としての3つ目の開口は、ある特定の方法のために使用されなくてよく、キャップ42で封鎖してよい。播種ライン38を用いて、バイオマスを含むフラスコからの培地を、前もって調製してよく、そして播種容器中へ、ぜん動ポンプの使用等の任意の公知の手段を通して無菌で運搬することができる。
【0040】
一度、生育反応器カーボイが調製された場合、それらをロータリーシェーカーテーブルアセンブリ44上に配置してよく、その詳細な態様を図4及び図5に図解する。生育サイクルの間にバイオマス材料を振動させる手段は、当業界において公知である。本明細書において例示したバイオリアクターシステムのロータリーシェーカーテーブルアセンブリ44は、当該システムの純培養を維持する間の、最適なバイオマス生育を促すために必要な生育培地の照明、運動、及び温度の維持を提供するためにデザインされた。図5に示す通り、4つのカーボイ生育反応器10をシェーカープラットフォーム46から単独で動くことを防ぐため、シェーカープラットフォーム46上へ固定し、且つ支持することができる。図1に示すように、28インチの辺を有する正方形であるシェーカープラットフォーム46は、4つの20Lカーボイを支持するであろう。シェーカープラットフォーム46は約80rpm又は他の適切な速度で回転し(即ち、プラットフォームサーキュラーの移動又は”回転ロータリー(gyrorotary)”振動)、カーボイ生育反応器10の中で均等な照明及び温度が維持されるであろう。
【0041】
図4に示すように、十分な照明を提供するためにランプ48をカーボイ生育反応器10の周囲に配置してよい。多くのランプと照明の配備は要求を満たすが、本発明の詳細な態様では6つのランプ48を利用する(4つのランプをシェーカーテーブル46の表面で限定された、互いに90°離れた平面上に置き、一方、2つの追加のランプ46をより底部の4つのランプ48による平面に対し約45°の角度から下を照らすように、2つの向かい合った上方のランプ48を”スタジアム(staduim)”中に吊るした)。ランプの適したタイプは、最大限のバイオマス生産を支持する波長のバンド幅中の特性に富む光を提供する光源である。1つの態様では、1000-2000Luxのレベルの通過照射を創り出す十分な照射レベルをカーボイ生育反応器が不透明になるまで提供する。
【0042】
生育サイクルの間でバイオマスへ適用される照明の量は、当業界において周知の任意の手段により測定してよい。図5は、カーボイ生育反応器の外側に置かれる、受容する光の量を測定するための光透過プローブ50の使用を図解する。光透過プローブ50の有用な配置位置を図5に示す。光の量に基づく照明レベルは、生育藻類培養を透過又は”通過(passed-through)”し、プローブにより察知される。本発明に適するランプの1つの詳細なタイプは、400ワット高圧ナトリウムランプ(high pressure sodium vapor lamp)である。ランプ48は、バイオマス生育のために所望される照明を維持するために、対で、又は他のグループに分けて、もしくは順番でスイッチを入れてよい。
【0043】
生育サイクルの間のバイオリアクターシステムの温度は、モニター及び制御されることが望ましい。温度を制御するための任意の手段は、培養器等におけるシステム中に置くように使用してよい。図5に示すように、暖房機52を、所望される温度で、カーボイ生育反応器10を維持するために配備してよい。暖房機52は、十分な光が十分な熱を提供するまで、本システム中で播種後の早期段階において使用されるだろう。1000ワットの熱流動(AdobeAir)のような強制的な空気の加熱は、この役割の中で使用してよい。図4及び5において見られる本態様において、1つの暖房機52を、それぞれ4つのより低い位置のランプ48の下部に置く。暖房機52は、所望される温度が、多様なバイオマスのタイプの中で変化してよく、又は生育パラメーターを変化させるが、好適にはカーボイ生育反応器10中の、約29-31℃の範囲にある温度を維持する、温度プローブ56によりモニターされる。
【0044】
温度を制御する他の手段は、当業界において周知である。図5において示されるように、16インチ周期的に振動する直立の扇風機のようなものである扇風機54は、生育工程の間の当該システムを通して、同等の温度を維持するためにロータリーシェーカーテーブルアセンブリ44の周りに戦略的に設置してよい。周期的に振動する扇風機を使用する場合、好適には周期的な振動モードで使用するべきであることを留意する。
【0045】
一度、出発播種材料をバイオリアクターシステムへ付加した場合、工程の中でのサンプリング及び検査は、適切な生育条件が維持されているか否かに関わらず、一定の間隔を置いて生育のレベルを測定及びモニターしてよく、そして可能性のある汚染を検出する。図2に示す通り、工程の中でのサンプリングは、示されたバイオリアクターシステムにおけるサンプルライン22を通して行ってよい。かかるサンプリングは、カーボイ生育反応器10が、バイオマス生育が原因で不透明になった時、通常開始される。サンプルはpH、外見、密度、好気性バクテリア、酵母及び/又はカビ(mold)の存在を検査することができる。藻類のバイオマスの生育のためのカーボイ生育反応器10の中の培地は、望ましくは約9.5と10.5の間のpHを維持される。1Mリン酸モノカリウム(mono-potassium phosphate)緩衝剤のような適切な緩衝剤は、pH閾値を超えた時、必要に応じて付加してよい。
【0046】
複数生育反応器を同時に大規模バッチで行う場合、カーボイサンプリングは、培養接触を最小限にするために循環(rotate)させてよい。1つのサンプリング測定は、生育反応器を通して同様の光透過を与えられた他の生育反応器を綿密に表現する。
【0047】
当該システム中のサンプリング孔、及び任意の他の孔は、生育反応器システム中の純培養条件を維持するためにデザインされるだろう。サンプリング孔以外の全ての孔は、典型的に殺菌フィルターにより保護される。更にモニタリング装置への接近を提供する通気孔は、無菌フィルター化されたN2ガス(高い酸素生産の時間の間にカーボイの頭部空間をフラッシュするために使用する)を導入するために利用してよい。これは藻類の燃焼、及び関連した問題を予防するために再び供される。藻類生育の間に発生した酸素をモニタリングすることは、燃焼を予防するために有用であり、そしてまたバイオリアクター中の生育率、及び酸素発生としての生育エンドポイントを評価するのに役立つ。
【0048】
当該システムは、生育反応器中の凝集前成分として含まれる殺菌したpHプローブ等の生育反応器中でpHを測定するための他の手段を含んでよい。生育サイクルを通してpHを維持するために、上記のような投薬孔を提供してよい。投薬孔は、緩衝溶液が濾過される追加の殺菌を許容する。
【0049】
本明細書において発表したバイオリアクターシステム中で、カーボイ生育反応器10を通して流される窒素パージ(ここではN2ガス)は、定期的に導入してよい。分あたり2Lのガス流動率で、5分間、有用なパージを提供する。
【0050】
本発明の方法において、本明細書で発表したバイオリアクターシステムを使用すること、バイオマスを採取することは、培養がカーボイごとのバイオマスが>2.2g/Lの密度、又は40-44グラムに達した時に、通常開始される。
【0051】
バイオマスを採取するために使用され得る機器を、図6に図解する。1つ以上のカーボイ生育反応器10を高い位置で支える。遠心分離機の上方の高い位置にあるカーボイ生育反応器10は、サイフォンによりバイオマスを有す生育培地の流動を提供する。示された採取機器中のバイオマス含有培地60を、カーボイ生育反応器10の中に置かれた落下管62を用いて、カーボイ生育反応器10から回収した。1/4インチシリコーン管のような管64は、カーボイ生育反応器10から流入遠心分離機アセンブリ66(遠心分離機68の中にあり、典型的に約5℃へ冷却される)へ、バイオマス含有培地60を輸送するために使用する。
【0052】
管64を通したバイオマス含有培地60の動作は、ポンプ74(振動性のポンプであってよい)によって開始する。一度流体物が動くと、サイフォンの作用によりポンプの補助なしで続けられるだろう。管64を通す流体物の流動は、本機器の中で、供給ラインチャンプを調整することにより、通常150-350mL/分に管理される。2つの廃棄ライン76は、処理した培地を排出するために存在する。遠心分離機中のバイオマスの採取は、全ての可能な材料を回収するまで行う。廃棄ライン76中の流出物の中にあるバイオマス有機体の存在は、一般的に流入遠心分離機アセンブリ66 が一杯であるか、又は流動率を調整する必要があるというシグナルである。流入遠心分離機アセンブリ66から得られたバイオマスを、特殊な大きさである750mLの遠心分離機ボトルである大きな遠心分離機ボトルへと組合す。これらのボトル中の材料を洗浄し、そして最終工程ステップに備えるバイオマスを得るために再遠心分離する。
【0053】
一度、カーボイが播種された場合、生育相は最適なバイオマス生育を支持するために維持されるべき適した条件の間に発生する。この相が適した照明、生育培地の撹拌、純培養、並びに所望される温度及びpHを持続している間、検出部(primary elements)を維持する必要がある。生育培地へ近づくことは、上記のカーボイ孔を通して無菌で行われる。
【0054】
所望されるバイオマス密度に達するまで、バイオマスを採取し、洗浄し、そしてスラリーを再構成する。凍結乾燥のための準備において、当該液体スラリーを所望される密度へ調製し、予め設定した標的容器の深さに適合するように、重量により予めサイズ化した容器へ注ぎ、そして凍結乾燥のために適した凍結バイオマスケーキを形成するために-20℃で凍結した。凍結バイオマスケーキのサイズ、密度、及び深さの範囲は、医薬工程のための凍結乾燥に適している。バイオマスは、制御した方法で、凍結乾燥のために調製してよく、そして乾燥ケーキの物理的特性における均質性を保証する予め設定された凍結乾燥プロトコールの下で完全に乾燥される。
【0055】
凍結乾燥は、非常に低い水含有レベル、且つより重要である低い水分活性へ製品を乾燥させるために必要な範囲を導く。水分活性は、微生物へと利用できる最終製品中での結合していない水が存在しないことの尺度であり、藻類の塊の寿命を決定する重要な要因であり、そしてそれはバクテリア、酵母、及び/又はカビ(mold)による損傷性向にある。特定の水分活性のレベルに到達することにより、当該バイオマスの安定性、製品の完全性、及び診断能は、高いレベルで維持される。水分活性は、%ERH/100-パーセント、平衡相対湿度/100として表される。大部分のバクテリアは、0.91未満の水分活性で生育せず、そして大部分のカビは、0.80未満の水分活性で生育をやめる。
【0056】
一度、凍結乾燥したバイオマスを調製した場合、最終薬剤製品としての単位投与包装のために適する粒子サイズ及び質感を有するバイオマスを産するためにふるいにかけ及び/又は粉砕してよい。凍結乾燥及び粉砕したバイオマスは、腸運動性、腸吸収、代謝経路、臓器機能、かかる機能への薬物の影響、及び他の非放射活性同位元素マーカーの使用を要求する多種多様の検査を測定するための生理学的又は診断的マーカーとして、固体又は液体の食品へ導入するために適する。
【0057】
前記一般的な方法により調製されたバイオマスは、21 CFR 210及び21 CFR211の現行の良好な製造工程要件に従い容易に達成することができ、そしてヒトへの使用のための薬剤のFDAの定義に合致するバイオマスを生産するために適している。本発明のバイオマスを含むバルク薬剤は、本明細書において組み入れられた開示、米国特許No.5,785,949において発表された胃内容排出呼気検査(GEBT)において用いるために適している。本発明によるバルク薬剤は、実質的に均質だろう。これはバルク薬剤が一貫した、及び予測できる炭素レベル、13-Cラベルパーセント、及び消化率特性を有すことを示す。これらの所望される特性は、上記に注記するGEBTのような検査において使用する場合、有用且つ一貫性のある結果を導く。本発明の方法は、一貫性のある且つ予測できる特性を有するバルク薬剤を提供する間、バルク薬剤のバッチを与える正確な特質を検査するためにも更に好適である、ことに留意する。
【0058】
本発明の1つの態様では、バイオマスバッチが生育している間は独立的でなく、複数のカーボイを同時に作動する。複数の使用は、独立のカーボイに汚染が発生した場合、バッチ全体の壊滅的な損失のリスクなしで調製される、バイオマスの大容量を許容する。例えば、1組4つのカーボイの中の1つのカーボイに問題が生じた場合、残り3つのカーボイ中のバッチの生育を継続させることができるが、当該問題が生じたカーボイは汚染又は適合性のための検査がされ、そして必要ならば捨てられる。
【0059】
本発明は以下の限定的でない実施例に従う参考文献により更に説明される。それは当業者に明白であり、本発明の範囲から離れず実施例において発表された態様において多くの改変をなすことができる。従って本発明の範囲は、請求項の言語により発表された態様、及びそれらの態様の同等物のみだけでなく、本出願において発表された態様に制限されるべきでない。
【実施例】
【0060】
スピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)の13C-ラベル化バイオマスの調製
【0061】
スピルリナプラテンシスを用いる13C-ラベル化バイオマスの調製のための具体的な態様をここに詳細に発表する。
【0062】
金属培地の調製
微量金属培地を表2に載せた材料を使用して調製し、そして後述の播種材料及び一般的培地の両方を使用した。表2に載せた材料を、キャップを有する1Lのフラスコ中に組合せ、そして溶液中で全ての材料が溶解するまで撹拌した。その後、溶液のpHを、2.0N水酸化ナトリウムを使用して6.5へ調整した。当該溶液を脱イオン水で1.0Lまで希釈し、その後、充填されたフラスコをオートクレーブにかけた。
【表2】

【0063】
スピルリナプラテンシス播種材料の調製
【0064】
この播種材料を、後にバイオマス培養工程において、より大きいスピルリナプラテンシス培養に播種するために使用した。表3に載せた材料を10Lのカーボイフラスコに組合せ、それらが溶解するまで撹拌し、そして脱イオン水を使用して、7Lの総容積を得るまで希釈した。従って、その後150mLの培地を、個々に250mLフラスコに設置し、そして泡プラグを有するキャップで封鎖した。その後、1.5Lの培地を、それぞれ2Lのフラスコ中に設置し、そして固形キャップで封鎖した。引き続き播種材料製品が要求される場合、10mLの培地を20mLのらせん状キャップした検査管中に配剤してよい。本発明のために必須でない場合、バイオマスへの可能な限り高い13C導入レベルを得るために13Cラベル化が既になされた播種材料源を使用することが望ましい。その後、管及びフラスコをオートクレーブにかけた。その後オートクレーブにかけたフラスコを、使用されるまで、20-25℃の温度で比較的暗所に(100-300 Lux)貯蔵した。
【表3】

【0065】
無菌技術を用いてオートクレーブした20mL管を、1-2mL播種材料源(以前処理した産物から入手し、且つスピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)藻類を含むことが望ましい)により播種した。また250mLフラスコに、10-50mLの播種材料源をこの時点で播種した。その後、管及びフラスコを1-2週間、25-30℃、2250-2750 Lux照明、及び125-175rpmの回転率で培養した。泡プラグを有すキャップは、酸素を逃すことを可能にするために使用してよい。その後、4つの250mLフラスコの含有物を、無菌技術を利用し、4つの2Lフラスコへ移動し、一方残った250mLフラスコを、播種材料源に使用するまで、比較的暗所(100-300 Lux)で、20-25℃の温度で貯蔵した。その後、2Lフラスコを、7-10日、7200-8800Lux、25-30℃で及び125-175rpmの回転率で培養した。生育反応器中で使用する前の2日間、それらが汚染されないままでいることを保証するために、総好気性検査をそれぞれ2Lのフラスコで行った。
【表4】

【0066】
生育培地の調製
【0067】
表4に載せた試薬を、生育培地調製のために使用される、それぞれ4つのオートクレーブした20mLカーボイへ付加し、そして生育反応器として使用されるだろう同一のカーボイと混同しないように表の順番の通りにした。固体は、溶液中に完全に溶解するまで撹拌した。その後[13C]-重炭酸ナトリウム塩を個々のカーボイ中で撹拌し;その際、量は変えてよいが140.3gを使用した。以下の式を利用することにより、バイオマスの密度を選定するために必要である[13C]-重炭酸ナトリウム塩の量を決定してよい:必要とされるNaH13CO3のグラム=(所望される藻類g/L−0.2)(カーボイの容積)/効率(efficiency)×(藻類の炭素含有量)/0.153)。その後、およそ250mLの2N水酸化ナトリウムを段階的な方法で付加し、pHを9.5へ調整した。生育培地調製カーボイを、生育反応器の播種直前までに準備した。個々の含有物を殺菌フィルターにかけ、そして播種直前に対応の生育反応器中にポンプした。
【0068】
13C-ラベル化バイオマスの調製
【0069】
オートクレーブにかけた4つのカーボイ生育反応器に、生育培地を充填した。当該培地を、0.6-0.8L/分の速度で、オートクレーブした培地充填ライン(fill line)を通し、ぜん動ポンプにより、培地が充填された4つの20Lカーボイから、4つの調製したカーボイ生育反応器へ移動した。無菌性のため、当該充填した菌株に殺菌フィルターを装備した。フィルターは0.22マイクロのPolycap ASフィルターを使用したが、任意の適した商業的フィルターを使用することができる。一度カーボイ生育反応器に生育培地(播種容器からバイオマス培養と共に播種された)を充填した。
【0070】
無菌技術を使用して、播種容器由来の貯蔵した1/4の播種材料を、投薬孔を通してそれぞれのカーボイ生育反応器へ移した。比較的暗所で(100-300Lux)、20-25℃の温度で、貯蔵した(2日以内が望ましい)生育反応器を準備した。
【0071】
その後4つの生育反応器カーボイを、図4及び5に図説するように、ロータリーシェーカーテーブルアセンブリ上に設置した。ロータリーシェーカーテーブルアセンブリはGump Rotary Shaker Systems Inc., Savannah GA.により提供された。当該シェーカーのプラットフォームを、カーボイ生育反応器中と同等の光及び温度を維持するために、約80rpmで回転させた。
【0072】
カーボイ生育反応器中の29−31℃の範囲の温度に維持するために、暖房機を、温度プローブによるモニターのために使用した。16インチ周期的振動直立扇風機を、当該システムを通して同等の温度を維持するために、ロータリーシェーカーテーブルアセンブリの周囲に戦略的に設置した。
【0073】
ロータリーシェーカーテーブルアセンブリをセットアップし、工程における操作の中で、適切な生育条件が維持されているか否かにかかわらず、生育レベルを測定するために、並びに考えられる汚染物を検出するために、サンプリング及び検査を一定の間隔を置いて行った。サンプル株を通した工程におけるサンプリングを、生育反応器カーボイがバイオマス生育のために不透明になった時に開始した。サンプルをpH、外観、密度、好気性バクテリアの存在、並びに酵母及び/又はカビの存在について検査した。カーボイ生育反応器中の培地を、約9.5から10.5のpHで維持した。1Mのリン酸モノカリウム緩衝剤をpHの閾値を超えた時、必要に応じて付加した。
【0074】
窒素パージを毎日4回行った。1分当たり2Lのガス流動速度での5分間の窒素パージは、有用なパージを提供した。
【0075】
培養がおよそカーボイ当り>2.2g/L、又は40-44グラムのバイオマスの密度に達した時、バイオマスの採取を開始した。
【0076】
当該バイオマスを図6及び上記に示した機器を使用して採取した。The Szenti-Gyorgyi & Blum Continuous flow With Pelleting Rotor Insert (KSB CFWP)を、固定した角度のローターを有する Sorvall遠心分離機の中で使用した。採取の間、約4500-5500rpmの回転率の遠心分離機を使用した。管を通す流動を調節可能なピンチチャンプを使用して統制し、そして他の管部分への連結を1/4インチI.D.Kynarカプラーを用いて達成した。
【0077】
最終工程の間、バイオマススラリーを調製し、浅い容器へ注ぎ、凍結し、そしてその後凍結乾燥した。全ての他の工程ステップとしての操作を、保護服を着た作業員により、衛生条件下、薄層流動性質下で行った。一般的に個々の容器に設置する約600グラムのバイオマススラリーをもたらす2つの1ガロンの浅い容器を、個々のカーボイを取り入れるために使用した。脱イオン水を遠心分離したバイオマスに付加し、そしてスラリーを作製するために激しく振った。およそ100mLが遠心分離ボトルごとに必要とされ、約3重量%のバイオマスである溶液をもたらした。多くの遠心分離ボトルからのスラリーを組合せ、そして塊がなくなるまで撹拌し、そして組合せたスラリーの密度を決定した。凍結乾燥前の容器を洗浄し、ライナーを挿入した後、当該スラリーを容器中に注ぎ、約1/2インチの厚さの層を得た。その後当該容器に蓋を被せ、そして専用フリーザー(dedicated freeze)中に-10から-25℃で積んだ。アルミニウムスペーサーを容器間に使用し、空気循環を増強させた。
【0078】
その後、当該凍結藻類ケーキを1-ガロン容器から除去し、冷やす前に陽極酸化アルミニウム凍結乾燥トレイに置き、適切な凍結乾燥器へ入れ、そして2-4%の乾燥による損失(LOD)の規格に合わせるために凍結乾燥した。当該凍結乾燥サイクルは、およそ28時間、<200ミクロンの圧力で、-20℃の温度で出発し55℃の最終製品温度になるように持続した。凍結乾燥は非常に低い水分活性を有する乾燥バイオマスをもたらした。当該凍結乾燥したバイオマスを、乾燥時に除去し、そして500及び250μMメッシュスクリーンを通して粉砕し、比較的一貫性のある粒子サイズを産した。当該ラベル化バイオマスは、この時点で、バルク薬剤として使用するに適したものである。
【0079】
当該製品の精製は、炭素含有量を測定するため、本実施例では、Combustion分析により測定し、そして同位元素ラベルの存在量を測定するため、ガス同位元素比率質量分析法により測定した。
【0080】
一方、本発明で発表された詳細な態様では、本発明の精神及び添付の特許請求の範囲から離れずに、多様な改変、適用及び修飾がなされるということを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0081】
本発明は添付の図面を参照して、実施例の方法によって本明細書において説明されるだろう。
【図1】図1はカーボイ生育反応器の具体的な側面図である;
【図2】図2はカーボイキャップ及びその多様な孔を見せる、生育相のために構成されたカーボイ反応器開口部の側面図である;
【図3】図3はカーボイキャップ及びその多様な孔を見せる、播種カーボイアセンブリの側面図である;
【図4】図4は生育反応器アセンブリの側面図である;
【図5】図5は生育反応器アセンブリの上面図である;そして
【図6】図6は採取アセンブリの側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に均質に炭素-13によりラベル化されたバイオマスを含んで成るバルク薬剤を調製する方法であって:
a)水溶性炭素-13ラベル化炭素源を含んで成る生育培地を提供し;
b)光合成を通して炭素を取り入れるだろう有機体と共に生育反応器中に含まれた当該生育培地を培養し、ここでの当該生育反応器に提供される唯一の炭素源は、当該水溶性炭素-13ラベル化炭素源であり;
c)予め定められたバイオマス密度が得られるまで、当該有機体を成長させ、且つ生育をモニタリングし;
d)当該炭素-13ラベル化バイオマスを採取し;そして
e)バルク薬剤へ当該炭素-13ラベル化バイオマスの一部、又は全てを導入することを含んで成る方法。
【請求項2】
前記水溶性炭素源が、[13C]-重炭酸塩、又は[13C]-炭酸塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水溶性炭素源が、[13C]-重炭酸ナトリウム塩である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記有機体が藻である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記藻が食用の藻類である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記藻がスピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)種である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記採取したバイオマスを凍結乾燥することを更に含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記バイオマスをバルク薬剤形態へ粉砕することを更に含んで成る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記採取したバイオマス中の90%を超える炭素が、炭素-13同位元素によりラベルされる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
播種材料として使用される前記有機体が、実質的に純粋な単藻播種材料である、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記生育培地が約1000-2000Luxの通過照射を用いて照射され、且つ生育工程の間、約29-31℃の温度で維持され、そして当該生育培地がおよそ10のpHを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
13Cの標的用量に達成するために十分である、実質的に均質に炭素-13ラベルされたバイオマスの量を含むバルク薬剤。
【請求項13】
前記バイオマスが藻を含んで成る、請求項12に記載のバルク薬剤。
【請求項14】
前記バイオマスが凍結乾燥され、そして粉砕される、請求項13に記載のバルク薬剤。
【請求項15】
前記炭素-13ラベル化バイオマス中の90%を超える炭素が、炭素-13同位元素を含んで成る、請求項12に記載のバルク薬剤。
【請求項16】
前記藻が食用の藻類である、請求項13に記載のバルク薬剤。
【請求項17】
前記藻がスピルリナプラテンシス(Spirulina platensis)藻類である、請求項16に記載のバルク薬剤。
【請求項18】
唯一の炭素源として生育培地に炭素-13ラベル化源、及び光合成を通して炭素を取り込むバイオマス生産有機体を含む生育培地を有す複数の生育カーボイ;並びに
バイオマスの生育サイクルの間での個々のカーボイにおける生育条件を維持するための温度、光、酸素レベル、及びpHをモニタリング及び制御するための手段、を含んで成る生育反応器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−526987(P2006−526987A)
【公表日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510064(P2006−510064)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/011618
【国際公開番号】WO2004/093922
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(504416677)アドバンスド ブレス ダイアグノスティクス,リミティド ライアビリティー カンパニー (4)
【Fターム(参考)】