説明

炭酸塩鉱石を含有する材料の乾式粉砕方法

本発明の第1の目的は、炭酸塩鉱物を含有する材料を乾式粉砕する方法であり、前記方法は、
a)少なくとも1つの粉砕ユニットにおいて前記材料を、(i)少なくとも1つのポリアルキレングリコールポリマー(前記ポリマーの主鎖を形成するモノマー単位の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、非常に好ましくは少なくとも98%が、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの混合物で構成され、分子量が少なくとも400g/モルに等しい。)の存在下、(ii)前記粉砕ユニットにおける水の量が、前記粉砕ユニット中の前記材料の乾燥重量の10%未満であるように、乾式粉砕するステップと、
b)次いでステップa)に従って粉砕した材料を、少なくとも1つの分級ユニットで分級することができるステップ、
c)ステップa)および/またはb)を、ステップa)および/またはステップb)からの粉砕した材料の全てあるいは一部について繰り返すことができるステップを含むことを特徴とする方法である。本発明の別の目的は、本発明の方法のステップa)および/またはb)および/またはc)からの生成物である。本発明の第3の目的は、ステップa)および/またはb)および/またはc)からの前記生成物の、密封材、紙、塗料、プラスチックまたはその他農業において使用される配合品を作成するための使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の第1の目的は、炭酸塩鉱石を含有する材料の乾式粉砕方法であって、前記方法が、
a)少なくとも1つの粉砕ユニットにおいて前記材料を、(i)少なくとも1つのポリアルキレングリコールポリマー(前記ポリマーの主鎖を形成するモノマー単位の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、非常に好ましくは少なくとも98%が、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの混合物で構成され、分子量が少なくとも400g/モルに等しい。)の存在下、(ii)前記粉砕ユニット中の水の量が、前記粉砕ユニット中の前記材料の乾燥重量の10%未満であるように、乾式粉砕するステップと、
b)次いでステップa)により粉砕した材料を、少なくとも1つの分級ユニットで分級することができるステップ、
c)ステップa)および/またはb)を、ステップa)および/またはステップb)からの粉砕した材料の全てまたは一部について繰り返すことができるステップを含むことを特徴とする方法である。
【0002】
本発明の別の目的は、本発明の方法のステップa)および/またはb)および/またはc)からの生成物である。
【0003】
本発明の第3の目的は、ステップa)および/またはb)および/またはc)からの前記生成物の、密封材、紙、塗料、プラスチックまたは農業において使用される配合品を作成するための使用である。
【背景技術】
【0004】
粉砕方法を促進し、粒径低下プロセスを支援し、粉砕方法の能力と有効性を増加させるために、炭酸塩鉱石を含有する材料の粉砕ステップ中に導入される添加剤が長い間使用されてきた。かかる添加剤は、粉砕助剤(grinding aid agent)として知られている。
【0005】
粉砕する材料の乾燥重量に対して10重量%を超える水含有量で実施される、湿潤環境における炭酸塩鉱石を含有する材料の粉砕に使用することができる粉砕助剤と対照的に、そのような材料を乾式媒体において粉砕するのに使用できる粉砕助剤は、表面の脱着および吸着エネルギーを受け、液体環境において使用できる粉砕剤とは異なる。加えて、いくつかある違いの中で、これら乾式粉砕剤は、湿式粉砕剤が使用されている親水性環境とは対照的に、特に疎水性環境で使用することを意図している。
【0006】
乾式粉砕は、一般的に粉砕機中で行われ、自己生成粉砕方法に由来し、ここで粒子はお互いがぶつかって粉砕され、または粉砕ビーズなど他の1つまたは複数の物質との付加的衝撃によって粉砕される。かかる粉砕は、例えば、ボールミル、振動ミル、またはホイールミルを使用して起こすこともできる。粉砕の種類に基づき、前記粉砕は、静止状態または乾式回転式の粉砕チャンバーにおいて行うこともできる。乾式粉砕剤は、供給物および/または粉砕チャンバーへ、および/または粉砕方法の間に加えることができる。
【0007】
乾式粉砕剤およびこれらの役割についての一般的考察は、「Freiberger Forschungshefte」VEB Deutscher Verlag fur Grundstoffindustrie、Leipzig、ドイツ(1975)発行の、K.Graichen他による「Beitrag zur Aufklarung der Wirkungsweise von Mahlhilfsmitteln」において見出すことができる。炭酸カルシウムの乾式粉砕についての別の一般的論文には、F.W.Tegethoffによる「炭酸カルシウム(Calcium Carbonate)」(Birkhauser Verlag、2001)がある。
【0008】
一般的に言えば、乾式粉砕剤は以下の3つに分類できる。
【0009】
炭酸カルシウムの炭酸塩、より詳細には炭酸カルシウムを含有する材料を粉砕するための乾式粉砕助剤の第1のグループは、蟻酸、酢酸、乳酸、リグニン酸、アジピン酸、または脂肪酸、特にパルミチン酸およびステアリン酸などの弱いブレンステッド酸、またはリグニン硫酸塩などの弱いブレンステッド酸の塩で伝統的に構成される。
【0010】
この状況において、文献仏国特許第2863914号は、粉砕した材料が後に再凝集するのを防止し、または粉砕中にダストが形成されるのを防止する目的で、鉱物材料の乾式粉砕中のアジピン酸の使用について記述している。しかし、かかる酸は、例えばPVCケーブルなど、高い電気抵抗が要求される製品中の粉砕した材料の使用が制限される。かかる添加剤は、具体的に粉砕の効率を上昇させるためにも使用される。
【0011】
これを受けて、文献仏国特許第2203670号は、例えば脂肪族酢酸塩などの脂肪族エステル形態の乾式粉砕のための分散剤を記述しているが、これはアルカリ性条件の下で容易に鹸化する欠点を有する。
【0012】
一般的にセメント産業において使用されている、リグニンスルホン酸塩は、褐色の着色をもたらし、最終材料の抵抗性を低下させる欠点を有する。これら2つの欠点は、前記塩の可能性を限定する。
【0013】
最後に、文献国際公開第98/21158号は、粉砕した生成物の流動性、粉砕の効率、および本発明による粉砕生成物が使用される最終生成物の流動学的な性質を改良することを目的とし、アンモニウムポリアクリル酸塩を乾式粉砕助剤を使用することによる焼成カオリンの乾式粉砕方法を記述している。
【0014】
乾式粉砕助剤の第2グループは、弱いブレンステッド塩基で構成され、このグループは、特にアミン塩基を含む。
【0015】
前記2つのグループを例証して、文献欧州特許第0510890号が当業者に知られており、この特許は、ほぼ乾式状態の固体粒子材料、より詳細には炭酸塩系の粉砕のための装置、無機材料全体に粉砕助剤を均一に分散させることを目的にして、ならびにかかる材料の磨耗を通して粉砕する方法について記述している。処理剤は、脂肪酸、特にステアリン酸であることができ、これは実施例において使用され、少なくとも1つのアルキル基または置換されたシランを有するアミンまたは四級アンモニウムである。
【0016】
さらに、かかる添加剤は、乾式粉砕法の間およびその後における粉砕した材料の凝集の形成を最小化する能力に関してよく知られている。
【0017】
文献英国特許第2179268号は、炭酸塩を含むことができる材料を、ほぼ乾式状態において粉砕するための方法について記述している。凝集の形成を最小化するために、この方法の間に導入される添加剤は、例えばステアリン酸などの脂肪酸(ステアリン酸もまた例として使用される)および、例えばカチオン性性質の表面剤などの脂肪酸の塩、例えばアミンおよびより詳細にはジアミン(例としてはアルキルプロピレンジアミン)、およびシランを含む。アルキルおよびアルキル−フェニル−エトキシレートも同様に記述されており、特にオクチル−フェノキシポリエトキシエチル−ベンジルエーテルが記述されている。リン酸エステル、マレイン酸無水コポリマーのモノまたはジ−アルカリ金属塩、およびジ−イソブチレンも同様に記述されている。最後に、スホサクシネートも、この文献による方法において使用可能であると述べられている。
【0018】
上で述べた乾式粉砕助剤の2つのグループに関して、文献仏国特許第2863914号は、ステアリン酸の重大な欠点、すなわち、25μm未満の直径を有する粉砕粒子を得ることができないことを明らかにしている。
【0019】
上で述べたエトキシレート、エステル、およびエーテルは、乾式粉砕した材料が意図する後の適用において、泡の形成をもたらすこともあることについて述べることも重要である。さらに、非極性シランは、製紙用途の終わりの段階において、例えば堆積物を残すなどの潜在的な問題発生源であることがよく知られている。最後に、スホサクシネートセットは、乾式粉砕した材料を含有する最終生成物の電気抵抗性を変えることもある。
【0020】
アミンに関しては、これらが、乾式粉砕した材料が見出される最終製品の電気抵抗を変化させることに加えて、かかる乾式粉砕助剤は、これらが使用される最終用途において鎖綜剤として作用することもあり、特にポリエステルの製造において使用されるコバルト系の化合物に関しては、前記ポリエステルの反応性の制御を困難にすることに留意されてきた。さらに、第一級および第二級アミンは、窒素含有アミンを形成する。
【0021】
ルイス塩基は、乾式粉砕助剤の第3のグループを構成し、特にアルコールを含有している。かかるアルコールには、特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールが含まれる。例えば、文献国際公開第2002/081573号および米国特許出願公開第2003/019399号は、これら両文献の表1において乾式粉砕助剤としてのジエチレングリコールの使用を記述している。
【0022】
文献国際公開第2005/071003号は、それぞれのステップが異なる処理法を使用する、2つの連続した、独立の処理ステップを用いて加えられた層によって、少なくとも部分的に覆われている炭酸カルシウムコアについて記述している。この発明の目的は、改良された分散性とより低い凝集傾向を有する炭酸カルシウム粒子を提供することである。本発明は、一般的に第1および/または第2処理剤を構成する、エチレングリコールがこれに相当する、多価アルコールを指す。手短に言えば、この処理剤は、粉砕方法中に加えることができ、この方法のいかなる態様も記述または開示されていない。
【0023】
これら添加剤の一部は、最終用途における粉砕した材料の相容性を改良する目的で添加される。
【0024】
これを受けて、文献国際公開第2005/026252号が当業者に知られており、この文献は粒子充填剤を含む表面改質充填剤について記述しており、これはいくつかある代替案の中で特に炭酸カルシウムであり、この負荷の表面は、複数のヒドロキシル基を用いて改変される。かかる充填剤は、ポリマー樹脂中で相容性がなく分散性である。前記充填剤が天然の炭酸カルシウムの場合、この文献は、前記炭酸カルシウムが吸湿性または親水性化学薬品不在の下で乾式粉砕によって改質されることが好ましいことを示している。粉砕助剤は、トリエタノールアミン、ポリプロピレン、エチレングリコールでもよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0025】
【特許文献1】仏国特許第2863914号
【特許文献2】仏国特許第2203670号
【特許文献3】国際公開第98/21158号
【特許文献4】欧州特許第0510890号
【特許文献5】英国特許第2179268号
【特許文献6】仏国特許第2863914号
【特許文献7】国際公開第2002/081573号
【特許文献8】米国特許出願公開第2003/019399号
【特許文献9】国際公開第2005/071003号
【特許文献10】国際公開第2005/026252号
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】Freiberger Forschungshefte」VEB Deutscher Verlag fur Grundstoffindustrie、Leipzig、ドイツ(1975)、K.Graichen他、「Beitrag zur Aufklarung der Wirkungsweise von Mahlhilfsmitteln
【非特許文献2】F.W.Tegethoff、「炭酸カルシウム(Calcium Carbonate)」(Birkhauser Verlag、2001)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
実際には、一般的に330g/モル未満の分子量を有するモノ−またはポリ−グリコールである粉砕助剤がしばしば産業的に使用され、これは低コストであることを含めて数多くの利点を有している。
【0028】
しかし、この種類の粉砕助剤については、炭酸塩鉱物を含有する乾式粉砕した材料から起因する分解生成物、特にCaOおよびCa(OH)(本出願人は、これらが炭酸塩材料の表面に生成されると考えている)が、産業において一般的に使用されるグリコール類と反応して、粉砕生成物に許容できない黄変を生ずることもあることが注記される。この観察は、本願の実施例セクションにおいて確認された。特に、この黄変は、エチレングリコールを使用した場合に観察され、モノ−、ジ−、およびトリエチレングリコール、およびモノプロピレングリコールの場合黄変の程度がかなり大きくなった。
【0029】
モノグリコールおよびオリゴマーグリコールを使用することを視野に入れた場合、当業者は、乾式粉砕方法により粉砕生成物に黄変を生ずることなく、炭酸塩鉱物を含有する材料の粒子寸法を減少させるという問題に取り組まねばならない。
【0030】
さらに、上で述べた問題を解決するグリコール溶液を探求する場合、当業者は、従来技術において開示されているグリコール系溶液、および潜在的に他の伝統的な、ただしグリコールを含まない溶液の中で、前記粉砕のために(生産能力に関して、および潜在的に粉砕エネルギーに関して)有効な乾式粉砕助剤を見出さねばならない。
【0031】
加えて、この溶液は、実質的に粉砕した材料の性質を変化させるような、または前記粉砕した材料を含有する最終製品の性質を変化させ得る粉砕助剤の量を使用してはならない。
【0032】
最後に、当業者は環境問題についての認識を維持し、任意の産業的単位に加えられる材料に起因する潜在的汚染を最小化することを求める。
【課題を解決するための手段】
【0033】
これらの懸案に応えて、本出願人は、驚くべきことに上で述べた全ての問題を解決する方法を開発した。
【0034】
これは、炭酸塩鉱物を含有する材料を乾式粉砕する方法であり、前記方法は、
a)少なくとも1つの粉砕ユニットにおいて前記材料を、(i)少なくとも1つのポリアルキレングリコールポリマー(前記ポリマーの主鎖を形成するモノマー単位の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、非常に好ましくは少なくとも98%が、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの混合物で構成され、分子量が少なくとも400g/モルに等しい。)の存在下、(ii)前記粉砕ユニットにおける水の量が、前記粉砕ユニット中の前記材料の乾燥重量の10%未満であるように、乾式粉砕するステップと、
b)次いでステップa)に従って粉砕した材料を、少なくとも1つの分級ユニットで分級することができるステップ、
c)ステップa)および/またはb)を、ステップa)および/またはステップb)からの粉砕した材料の全てまたは一部について繰り返すこともできるステップを含むことを特徴とする。
【0035】
本発明の方法のステップa)によるかかるグリコールアルカリ性ポリマーは、エステル化がほとんどまたは全く生じない重合反応を通して、一般的にはエーテルエポキシド環を形成する2つの炭素原子が、水素原子および/または単純なメチル基だけを含有する、エポキシ系モノマーの重合を通して調製される。
【0036】
かかるポリアルカリ性グリコールポリマーは、それだけには限定されないが、ゴムのための鋳型除去、繊維のための柔軟剤または精練剤、製紙産業における柔軟剤、および金属産業における耐食剤を含む、様々な産業においてよく知られているが、これらは炭酸塩鉱石を含有する粉砕した材料のための乾式粉砕助剤としては説明されていない。
【0037】
文献「Characterisation of the mechanical grinding of water−cooled blast−furnace slags by means of x−ray diffraction」、(Tohoku Daiguku Senko Seiren Kenkyusho Iho(1989)、45(2))の概要に、いくつかある化学薬品中で特に、ポリエチレングリコールに基づく溶鉱炉スラグの粉砕が、粉砕操作の性質が特定されることなく、記述されている。炭酸カルシウムが、スラグ中に見つかった構造物の部分として述べられているが、このことは、全ての溶鉱炉スラグは850℃超に加熱され、一般的に酸化カルシウム、または酸化ケイ素、またはケイ酸カルシウムなどの相当する酸化物を含有しているので、当業者を決して支援するものではない。
【0038】
鉱物系の材料を取り扱った周知の方法およびグリコールポリマーが相対的に高い分子量を有していることを考慮に入れると、文献米国特許出願公開第2002/0004541号は当業者に知られており、この特許はエチレンオキシド系およびプロピレンオキシド系の表面活性ブロックポリマー、ならびにこれらを調製する方法を記載している。本文献に記載されている特許の目的は、この低分子量のグリコールコポリマーを、水およびスルホサクシネートと結合させることで達成されるので、これもまた、本願の範囲外である。この文献([0013])において、粉砕する材料の性質も、粉砕の性質(乾式または湿式)も、前記粉砕方法の有効性についても示されていないが、かかるブロックポリマーは粉砕助剤として使用することもできることが示されている。
【0039】
事実、前の文献を考慮に入れると、文献はエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドのブロックポリマーの固体形態またはワックスは避けたほうがよいことを教示している。本出願人は、驚くべきことに、本発明の方法は、特許請求の範囲において特定するグリコールポリアルキレンポリマーが、固体状態またはワックス状態で存在しても、同様に作動することを見出した。
【0040】
最後に、文献米国特許出願公開第2005/0107493号は、処理した固体無機微粒子を生成する方法について記述しており、これら粒子の表面は、例えば炭酸塩などの固体無機微粒子で処理され、少なくとも2つの異なる有機添加剤を含有している。ここで第2の添加剤はグリコールポリエチレンとすることもできることが示されているが、分子量については述べられていない。粉砕のステップ([0017])中に行うことができる変化を、水有りまたは水無しで起こすことも可能である。しかし、グリコールによって充足されている粉砕助剤の潜在的機能については述べられていないし、かかる粉砕の有効性についても述べられていないし、これが乾式粉砕であるという事実が記述されてもまた詳細に説明されてもいない。さらに、本発明の目的は、粒子の表面を通して添加剤が均一に分散した凝集材料を得ることであるので、本願によってカバーされる目的とは完全に異なる。
【0041】
このように、当業者が解決しなければならない問題、すなわち、炭酸塩鉱石を、乾式粉砕方法を通して生成物に過度の黄変をもたらすことなく粉砕し分割しなければならないという問題を取り扱った従来技術の文献はない。
【0042】
より詳細には、当業者の他の要求事項と組み合わせたこの問題の解決策については、従来技術におけるどの文献にも記述されていないし、これらの可能な組合せ、すなわち、
(生産能力および所要の粉砕エネルギーに関して)有効な粉砕方法、より詳細には、従来技術のグリコール系溶液に比較して、同様に他の慣用のグリコールを含まない溶液と潜在的に比較して、最終製品の性質を変え得る粉砕助剤の量の使用を避け、有効な粉砕を実施するために、ポリエステルの製造中に錯化剤として作用し、結果として反応速度試験を困難にする粉砕助剤の使用を避ける、有効な方法を提供すること、
空気汚染に関する義務を配慮して、揮発性有機化合物(VOC)の量を低減する粉砕助剤を提供すること、についても記載されていない。
【0043】
最後の要件に関しては、約10−2mmHgの低い蒸気圧で、250℃以上の沸点を有していても、従来技術において粉砕助剤として使用されるグリコールの大部分は、約45℃の低い温度で約16時間にわたり完全に蒸発できることに留意しなければならない。
【0044】
本出願人は、あるポリグリコールが乾式粉砕助剤として使用される場合、かかる助剤は非炭酸塩材料の粉砕、特にセラミックおよび金属産業の分野における粉砕にも使用されることを強調したい。
【0045】
当業者が、かかる分野における当業者の技術的問題の解決策を追求する客観的理由を有していなくても、そしてたとえ有していても、当業者はこの技術的問題、または当業者がここで解決しようとしているのと類似の技術的問題を取り扱った文献を見出すことはないと考えられる。
【0046】
例えば、文献JP第10−245581号は、材料の切断または粉砕に使用された場合、錆および泡形成に対する抵抗性などの改良された性質を有するオイルを得るために、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドとカルボン酸とのエステルコポリマーの使用について記載しているがこれは金属製造の単独文脈とは無関係である。同様に、文献JP10−24582号は、同じ発明に関係しているが、エーテルについて言及される。
【0047】
ウェブページhttp://www.surfactant.co.kr/surfactants/peg.htmlは、金属粉砕にだけ使用されるグリコールに言及している。
【0048】
文献国際公開第84/01372号は、Siセラミック材料調製のための方法を記載しており、ここで(ポリエチレングリコールである)製品Carbowax(商標)は、これら材料の乾式粉砕に使用することもできる。
【0049】
Husemann他の文献「Enhancing the effectiveness of dry ultrafine grinding and classifying processes by addition of surfactants」(Aufbereitungs−Technik35(1994)Nr.8)は、特に超硬度材料の超微細粒子を有効に生産する必要性に関するものである。この著者らは、特に凝集の形成を避けるためにグリコールポリエチレンがSiCに関連する粉砕助剤を構成することを示している。
【0050】
文献旧チェコスロバキア特許第181565号の概要は、粉砕能力を向上させ、有機結合剤中の二酸化チタンの分散性を改善することを目的とした、分子量が特定されていないグリコールポリエチレンの添加による二酸化チタンの乾式粉砕に言及している。
【0051】
最後に、Fukimori他の文献「Dry grinding chitosan powder by a planetary bail mill」(Advanced Powder Technol.、Vol.9、No4(1998))は、分子量が4,000g/モルのポリエチレングリコールを用いたキトサン、ポリサッカリドキトサンの乾式粉砕について記載している。
【0052】
さらに、これら従来技術の文献、またはこれらの組合せは、乾式粉砕法を通して、粉砕生成物に黄変を生ずることなく、炭酸塩鉱物を含有する材料を粉砕する本発明によって解決される問題に関連していない。
【発明を実施するための形態】
【0053】
上で示したように、本発明の第1の目的は、炭酸塩鉱物を含有する材料の乾式粉砕のための方法から成り、前記方法が、
a)少なくとも1つの粉砕ユニットにおいて前記材料を、(i)少なくとも1つのポリアルキレングリコールポリマー(前記ポリマーの主鎖を形成するモノマー単位の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、非常に好ましくは少なくとも98%が、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの混合物で構成され、分子量が少なくとも400g/モルに等しい。)の存在下、(ii)前記粉砕ユニットにおける水の量が、前記粉砕ユニット中の前記材料の乾燥重量の10%未満であるように、乾式粉砕するステップと、
b)次いでステップa)に従って粉砕した材料を、少なくとも1つの分級ユニットで分級することができるステップ、
c)ステップa)および/またはb)は、ステップa)および/またはステップb)からの粉砕した材料の全てまたは一部について繰り返すことができるステップを含むことを特徴とする。
【0054】
上で述べたように、本発明の方法のステップa)によるかかるグリコールアルカリ性ポリマーは、エステル化がほとんどまたは全く生じない重合反応を通して、一般的にエーテルエポキシド環を形成する2つの炭素原子が、水素原子および/または単純なメチル基だけを含有する、エポキシ系モノマーの重合を通して調製される。
【0055】
10%未満、好ましくは5%未満、非常に好ましくは2%未満の追加の元素が、ポリマー主鎖の残りを形成し、追加の元素はエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの混合物ではなく、これは乾式粉砕助剤としてのポリアルキレングリコールポリマーの活性を阻害する汚染物質である。かかる不純物は、例えば、かかるポリマーの合成中に導入され、2原子が少なくとも1つのアルキル基を含有するエーテルエポキシド環を形成するエポキシド系モノマーの組み込みの結果生ずることもある。
【0056】
本発明の方法において、粉砕ユニット中の水分含有量は、前記粉砕ユニット中で粉砕する材料の総乾燥重量に対して、2重量%未満、好ましくは0.5重量%未満であることが好ましい。この水分含有量は、粉砕ユニット中で粉砕する材料を、キルン中で120℃において恒量に達するまで加熱した場合の重量損失を観察することにより決定し、重量損失は初めの材料の初期重量に対する百分率で表され、水分含有量を示す。
【0057】
本発明の方法のステップa)中で使用されるグリコールポリアルキレンポリマーに関して、本発明はまた前記ポリマーが9500g/モル未満の分子量(Mw)を有することを特徴とする。
【0058】
本発明において、全ての分子量(Mw)は、前記ポリマーの分子量の分布を用いて決定した平均分子量に相当する。この分布は、1996年6月14日に導入した指針118「OECD Guideline for Testing of Chemicals:Determination of Number−Average Molecular Weight and the Molecular Weight Distribution of Polymers using Gel Permeation Chromatography」を用いて、水中で、ドイツMayenceのPolymer Standards Service GmbHから、PSS−dpeg400、PSS−dpeg600、PSS−dpeglk、PSS−dpegl.5k、PSS−dpeg2k、PSS−dpeg3k、PSS−dpeg4k、PSS−dpeg6k et PSS−dpeglOkの名称で入手可能な標準DINポリエチレングリコールをマスター化学薬品として使用して測定する。
【0059】
本発明で使用するポリアルキレングリコールポリマーの量に関し、この量は、粒径に関する最終目標に基づき、当業者によって決定されなければならない。しかし、それぞれの粉砕ユニット中の炭酸塩鉱物を含有する材料の乾燥重量に対して、乾燥重量で0.01から0.5%、好ましくは乾燥重量で0.03から0.25%の前記ポリマーを使用することが有利なこともある。
【0060】
別の変形形態において、本発明の方法は、それぞれの粉砕ユニットで使用されるポリアルキレングリコールポリマーの量を、炭酸塩鉱物を含有する材料の1m当たり、前記ポリマーが0.1と1mgの間、好ましくは炭酸塩鉱物を含有する材料の1m当たり、前記ポリマーが0.2と0.6mgの間であるようなやり方で行うこともできる。本出願人が本明細書で言及する炭酸塩鉱物を含有する材料の表面積は、当業者によく知られている技法に基づくBET法(ISO9277)を用いて測定した比表面積である。
【0061】
加えて、45℃の温度において16時間、前記ポリマーの50mgの75%超、好ましくは90%超を50mlの水に入れて、蒸発させない処理を施すことを特徴とする、ポリアルキレングリコールポリマーを使用することが有益である可能性がある。
【0062】
第1変形形態において、本発明により使用するポリアルキレングリコールポリマーの第1のカテゴリーは、ポリエチレングリコールポリマーである。第1グループは、エチレンオキシドポリマーの割合が、全モノマーの95%超、好ましくは98%超を含有するポリエチレングリコールポリマーからなることを特徴とする。かかる場合、ポリエチレングリコールポリマーは、500と10,000g/モルの間、好ましくは600と1500g/モルの間、非常に好ましくは600と1000g/モルの間の分子量を有する。
【0063】
第2変形形態において、本発明により使用されるポリアルキレングリコールポリマーの第2カテゴリーは、ポリプロピレングリコールポリマーである。この第2グループは、プロピレンオキシドポリマーの割合が、全モノマーの95%超、好ましくは98%超を含有するポリプロピレングリコールポリマーからなることを特徴とする。かかる場合、ポリプロピレングリコールポリマーは、500と6000g/モルの間、好ましくは2000と3000g/モルの間の分子量を有する。
【0064】
第3変形形態において、ポリアルキレングリコールポリマーの第3グループを使用することもでき、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる。これらは、1:5と5:1の間のエチレンオキシド対プロピレンオキシドモノマーの比を有し、この比は好ましくは3:2に等しく、これらは全て1000と5000g/モルの間、好ましくは2000と3000g/モルの間の分子量を有する。
【0065】
この第3グループにおいて、ブロックコポリマーは、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの少なくとも1つのホモポリマーブロックを含有し、これは全てのエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドモノマー単位の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、非常に好ましくは少なくとも40%に相当する。
【0066】
さらに、これらブロックコポリマーは、3ブロックポリマーであってよい。すなわち、これらはポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの3つのホモポリマーブロックを含む。
【0067】
これら3ブロックポリマー単位は、ポリエチレングリコール(PEG)のホモポリマーブロックが、ポリプロピレングリコール(PPG)の2つのホモポリマーブロックの間に位置するようにすることもでき、これら3ブロック単位は、かかる場合はPPG/PEG/PPGポリマーと呼ばれる。
【0068】
別の変形形態において、これら3ブロックポリマー単位は、ポリプロピレングリコールのホモポリマーブロックがポリエチレングリコールのホモポリマーの2つのブロックの間に位置しており、したがって、これら3ブロック単位は、PEG/PPG/PEGポリマーと呼ばれる。
【0069】
本発明の方法による、ポリアルキレンポリマーのこれら様々な形態は、お互いに混合してポリアルキレングリコールポリマーの混合物を形成することもでき、この混合物は本発明の方法のステップa)に使用することもできる。混合が起こった場合、かかる混合物は、少なくとも2つのポリエチレングリコールポリマー、少なくとも1つのポリプロピレングリコールポリマー、および少なくとも1つのブロックコポリマーを含むことが好ましい。また具体的に、この混合物が、少なくとも2つのポリエチレングリコールポリマー、少なくとも1つのポリプロピレングリコールポリマー、および少なくとも1つのブロックコポリマーを、エチレンオキシド対プロピレンオキシドの比が、90:10と10:90の間において含むと有利である。
【0070】
本発明の方法において使用される様々な形態のポリアルキレングリコールポリマーは、本方法のステップa)においてポリアルキレングリコールではない物質と混合してもよい。混合する場合は、前記ポリアルキレングリコールポリマーが、ポリアルキレングリコールポリマーとポリアルキレングリコールではない物質とで構成される全重量の少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも85重量%、非常に好ましくは少なくとも95重量%を占めることが好ましい。
【0071】
本発明の特定の一変形形態において、ポリアルキレングリコールではない物質は、炭水化物、トリイソプロピルアミン(TIPA)、またはこれらの混合物である。前記TIPAは分子量が600と1000g/モルの間で、TIPA対ポリエチレングリコールポリマーの比率が80:20であるポリエチレングリコールポリマーと組み合わせて使用すると有利な場合もある。前記炭水化物は、スクロース、ソルビトール、またはこれらの混合物であることもできる。
【0072】
本発明の方法は特に、炭酸塩鉱物を前記材料の重量に対して少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%含有する材料のために使用することができる。この炭酸塩鉱物は、天然または合成の生成物であり、特にドロマイト、炭酸カルシウム、またはこれらの混合物であることもできる。
【0073】
炭酸カルシウムに関して、これは石灰石、大理石、チョーク、沈降炭酸カルシウムまたはこれらの混合物であることもでき、石灰石、大理石およびこれらの混合物であることがより好ましい。
【0074】
粉砕される材料の非炭酸塩部分は、粘土、非粘土ケイ酸塩、シリカ、またはこれらの混合物で構成することもできる。好ましくは、この粘土は、ベントナイト、カオリン、焼成粘土、またはこれらの混合物であることもでき、またこの非粘土ケイ酸塩は、タルク、マイカ、またはこれらの混合物であることもできる。
【0075】
別の態様により、本発明の方法はまた炭酸塩鉱石を含有する材料がステップa)の前に、30m以下、好ましくは5mm以下、非常に好ましくは2mm以下の直径d95(Malvern(商標)Mastersizer(商標)Sグレイン寸法測定装置2.8型を用いて測定して、粒子の95重量%が、この値未満の直径を有する。)を有することでも特徴付けられる。より詳細には、本発明の方法は、炭酸塩鉱石を含有する材料が、篩を用いて測定してステップa)の前に0.2と0.7mmの間の、好ましくは0.4と0.5mmの間の中位径を有することにおいても特徴付けられる。
【0076】
本発明は、連続的方法であることにおいても特徴付けられる。
【0077】
この方法によれば、ポリエチレングリコールポリマーは、ステップa)の前に、好ましくは本発明の方法の任意のステップa)の前に、炭酸塩鉱石を含有する材料に加えることもできる。
【0078】
ステップa)中に使用される粉砕ユニットに関し、これらは粉砕ビーズを含んでいる少なくとも1つのホイールミルおよび/または少なくとも1つのボールミルおよび/または少なくとも1つのスプリングミルで構成されることもできる。これら単位に関しては、5および60m/sの間、好ましくは20と40m/sの間の周速で使用すると有利なこともある。
【0079】
ボールミルに関して、この中に含まれる粉砕ビーズは、510と600の間のブリネル硬度を有する。好ましくは、これらは、モリブデンまたはクロムを有する鉄系合金などの鉄、磁器および/またはケイ酸塩で作られ、これらは5と50mmの間、好ましくは15と25mmの間の平均ビーズ直径を有する。好ましい一態様において、これら粉砕ビーズは、1/3と3/1の間のアスペクト比(長さ対幅の比率)を有する。一部の事例において、中位径の二峰性分布を有する、様々な直径の粉砕ビーズの混合物を使用することが有利なこともある。
【0080】
別の好ましい態様において、これら粉砕ビーズは、ボールミル中に含有された粉砕される材料に対して、1.8:1と3.6:1の間、好ましくはこの比率が2.5:1の容積比であることが見出される。
【0081】
本発明の方法の乾式粉砕のステップa)は、少なくとも分級b)の1ステップが行われる状況において、その後に1つまたは複数の分級b)を続けることもできる。
【0082】
その後の任意のステップa)の前に、少なくとも2つの分級ステップが行われる場合、これら2ステップのどちらか1つを連続してまたは同時に行うこともできる。
【0083】
この分級は、特にサイクロンおよび/またはローター分級器中で行うこともできる。かかる場合、分級ユニットの輸送ガスの上昇流は、3と15m/sの間、好ましくは8と12m/sの間の速度を有していることが好ましい。
【0084】
場合によっては、分級ステップb)の結果得られた材料の一部を、さらなる粉砕のためにステップa)に再循環することが有利なこともある。これは、「再循環可能材料」として知られる、本発明の粉砕した材料のために要求される範囲外の球状等価直径を有する分級粒子については特に当てはまる。本発明の再循環可能な粉砕した材料は、0.7と150μmの間、好ましくは1と45μmの間、非常に好ましくは2と5μmの間の等価球径を有している。
【0085】
再循環可能な粉砕した材料が分級システムの後抽出され、残りの材料がステップa)中に再添加される場合は、粉砕ユニット中の材料の一定重量を維持する目的で、炭酸塩鉱石を含有する新たな量の材料を、ステップa)中に加えることが有益なこともある。
【0086】
また本発明の別の目的は、本発明の粉砕方法によって得られることを特徴とする生成物からなる。
【0087】
これら生成物はまた、ポリアルキレングリコールポリマーが、当業者によく知られた手順を用いて、ゲル相クロマトグラフィー(GPC)または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)に基づく方法によって検出されることを特徴とする。
【0088】
最後に、本発明の別の目的は、密封材、プラスチック、紙、塗料および農業のための用途の分野において、本発明の方法によって得られる生成物からなる。
【0089】
前記プラスチックは、硬質または可塑性PVC、ポリエチレンプラスチック、ポリプロピレンプラスチック、またはこれらの混合物であることもできる。
【0090】
前記密封材は、シリコン、ポリスルフィドおよびこれらの混合物を含む。
【0091】
最後に、本発明の生成物は、後の湿式粉砕方法に提供するための材料として役立つこともでき、この湿式粉砕は、分散剤の存在において行っても行わなくてもよい。
【0092】
(実施例)
以下の実施例は非限定的であり、本発明のある態様を例示する目的で本明細書に示すものであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0093】
ボールミルを使用する方法の実験手順
実施例1から6において、乾式粉砕は、ALPINE(商標)から販売されているAlpine Turboplex(商標)100ATP分級器を備えたHOSOKAWA(商標)から販売されている「Hosokawa(商標)Bail Mill S.O.80/32」において連続的に行われる。粉砕チャンバーのアウトプットは、寸法20×6mmの開口部を備えている。分級器は300m/時間に設定し、一方、回転速度および空気速度は、所定の値以下の直径の粉砕した材料(このやり方で粉砕した材料は、再循環可能な粉砕した材料と呼ばれる)が得られるように設定し、直径がこの値を超える残りの粉砕した材料は、ミルの供給物に再添加される。
【0094】
全ての粉砕は、平均直径25mmを有するバレル型のCylpeb(商標)25mmの鉄粉砕ビーズ100kgを用いて行われる。粉砕は、全ての時間に15kgの粉砕される材料がシステムに存在するように行われる。この様式において、システムを出る再循環可能な粉砕した材料の量に相当する量の新しい材料が、連続的にシステムに供給され、このようなやり方でシステム中に15kgの材料をキープする。
【0095】
システムが開始された後、および以下に記録する結果が得られる前、システムは再循環可能な粉砕した材料の量、粉砕能力、および粉砕エネルギーに関して安定した値が得られるまで運転された。
【0096】
粉砕助剤
PEGで表示される粉砕助剤は、−OH基で終わるエチレンオキシドモノマー単位100%からなるポリマーで構成される。
【0097】
PPGで表示される粉砕助剤は、−OH基で終わるプロピレンオキシドモノマー単位100%からなるポリマーで構成される。
【0098】
PO/EO/POで表示される粉砕助剤は、2つのプロピレンオキシドの間に位置するエチレンオキシドブロックを有する3ブロックコポリマーで構成され、Pluronic RPE1740の名称の下、BASF社から販売されている。これらコポリマーは、2,830g/モルの分子量を有し、ポリマーのうち、エチレンオキシドモノマーが1,130g/モルを占め、プロピレンオキシドモノマーが700g/モルの割合を占める。
【0099】
MPGで表示される粉砕助剤は、1,2−プロパンジオールで構成され、FLUKA(商標)社から入手した。
【0100】
EGで表示される粉砕助剤は、エチレングリコールで構成され、FLUKA(商標)社から入手した。
【0101】
DEGで表示される粉砕助剤は、ジエチレングリコールで構成され、FLUKA(商標)社から入手した。
【0102】
測定方法
篩を用いて測定する供給材料を除き、全ての中位径は、MALVERN(商標)社から販売されているMastersizer(商標)S装置8型で測定した。値dxは、粒子の割合xがこの値より小さな直径を有する粒径に相当する。
【実施例1】
【0103】
この実施例は、例えば粉砕方法中の力を受けた場合の大理石の部分的不安定性を例示する。以下の化学方程式が、この分解を表すのに提案される。
CaCO→CaO+CO
実施例5に相当するイタリア産大理石50gを、直径30mmの回転ブレードを備えた市販のコーヒー豆粉砕機中で10分間粉砕した。
【0104】
次いで、ブランクの粉砕生成物に、AgSO1モルとMnSO1モルの無色の溶液50mlを加えてペーストを作成する。
【0105】
ペーストの表面が灰色に変わることが観察され、銀およびマンガンカチオンと、CaCOの分解反応の結果生じた石灰からの水酸化カルシウムのOHイオンとの間に反応が生じた事実を証明している。
【実施例2】
【0106】
この実施例は、粉砕した炭酸塩の分解生成物と選択乾式粉砕助剤の間の反応の結果生ずる黄変について例証する。
【0107】
それぞれの試験において、CaO 5gを表1に示す無色のグリコールに分散し、キルン中で23℃において5日間貯蔵した。
【0108】
【表1】

【実施例3】
【0109】
この実施例は、乾式粉砕助剤を使用しない方法と比較した本発明の方法における改良された粉砕能力を、オーストラリア産大理石を使用した場合について例証する。
【0110】
1から10cmの中位径を有する大理石は、粉砕の前に、予めハンマーミル中で粉砕した。
【0111】
様々な篩に通すことによって分析したミルの供給物中の粒子の粒度分布を表2に示す。
【0112】
【表2】

【0113】
この大理石を、システムの粉砕セクションに、2.5μmに等しい中位径を有する粉砕材料を得るために、300m/時間の空気流速で加えた。
【0114】
粉砕助剤を、粉砕する材料に対して粉砕助剤の量が恒量を維持するような方法で粉砕システムに加えた。
【0115】
【表3】

【0116】
表3の結果は、粉砕能力が本発明によって明らかに改良されていることを示している。
【実施例4】
【0117】
実施例3の試験Dを、かかる結果の再現性を実証するために、2000ppmの粉砕助剤を用いて、分級器の回転速度7500回転/分で4回繰り返した。
【0118】
【表4】

【実施例5】
【0119】
この実施例は、イタリア産大理石について、従来技術において見出された粉砕助剤を使用した粉砕方法と比較した本発明の改良された粉砕能力を示す。
【0120】
粉砕の前に、1から10cmの中位径を有するこの大理石は、ハンマーミル中で予め粉砕した。
【0121】
様々な篩に通すことによって分析したミルの供給物中の粒子の粒度分布を表2に示す。
【0122】
【表5】

【0123】
この大理石を、システムの粉砕セクションに2.5μmに等しい中位径を有する粉砕材料を得るために、300m/時間の空気流速で加えた。
【0124】
粉砕助剤を、粉砕する材料に対して粉砕助剤の量が恒量を維持するような方法で粉砕システムに加えた。
【0125】
【表6】

【0126】
試験1に相当する混合物は、分子量600g/モルを有するPEGと分子量4000g/モルを有するPPGの、PEG:PPG質量比が1:1に等しい混合物である。
【0127】
表6の結果は、粉砕助剤無しの対照に比べて本発明の方法は粉砕能力を改良し、従来技術において見出された粉砕助剤を使用する方法に比べた場合、粉砕能力が等しいかおよび/または改良することが可能であることを明らかに示している。
【実施例6】
【0128】
様々な溶剤中の様々な粉砕助剤の揮発度を、45℃において換気したキルン中で16時間貯蔵した後に、比較した。
【0129】
それぞれの試験において、表示した粉砕助剤50mgを、キルンに加える前にオープンバッグに加えて溶剤50mLと混合した。
【0130】
揮発性の程度は、16時間後に各バッグの残存重量を測定し、重量損失の百分率を計算することで決定した。
【0131】
【表7】

【0132】
表7の結果は、従来技術において見出された粉砕助剤は、これらの低い蒸気圧のために、より揮発性であることを示している。
【0133】
ピンミルを使用する方法に関する実験手順
実施例7および8において、乾式粉砕は、HOSOKAWA ALPINE7(商標)(Augsburg、DE)社製のKollopolex160Z実験用ピンミル(1970年製、ローター直径16cmを有し、回転速度が14,000回転/分の、400本のピンを含有する)において連続的に実施する。
【0134】
粉砕助剤
PEG6000と表示される粉砕助剤は、99%超が6000g/モルに等しい分子量を有するOH基で終わるエチレンオキシドモノマー単位からなるポリマーで構成される。
【0135】
MPGと表示される粉砕助剤は、1,2−プロパンジオールで構成され、FLUKA(商標)社から入手した。
【0136】
EO/PO/EPと表示される粉砕助剤は、2つのエチレンオキシドブロックの間に1つのプロピレンオキシドブロックが位置する3ブロックコポリマーで構成され、BASF社によってLumitenPTの名前で販売されている。
【0137】
「フルクトース」(炭水化物)と表示される粉砕助剤は、FLUKA(商標)社から入手した。
【0138】
測定方法
粉砕粒子の寸法は、100μm超の全ての直径に関しては篩を使用して、100μm未満の全ての直径に関してはMALVERN(商標)社によって販売されているMastersizer(商標)S8型装置を使用して(Fraunhofer、計算法、3$$Dを用いて)測定した。
【0139】
値dは、粒子の割合xがこの値より小さな直径を有する粒径に相当する。
【実施例7】
【0140】
この実施例は、チロル南部、メラン、イタリア産大理石を粉砕する本発明の粉砕方法の能力を、従来技術による粉砕助剤を使用した粉砕方法と比較する。
【0141】
粉砕の前に、1から10cmの中位径を有する大理石は、ハンマーミル中で予め粉砕した。
【0142】
様々な篩に通すことによって分析したピンミル供給物中の粒子の粒度分布を表8に示す。
【0143】
【表8】

【0144】
次いでこの大理石2.5kgを、これの性質と量を以下の表に示す乾式粉砕助剤と、混合器中で2時間混合した。試験RおよびSに関して、乾式粉砕助剤は、質量比1:1において、フルクトースおよびPEG6000の質量で20%の乾式抽出物を有する水溶液の形態である。
【0145】
その後、この混合物は、15分間にわたってピンミルの粉砕セクションに連続的に加えられ、粉砕されて、中位径15μmを有する粉砕した材料が得られる。
【0146】
【表9】

【0147】
表9の結果は、本発明の方法の粉砕助剤250ppm(粉砕する材料の乾燥重量についての乾燥重量によって計算)を使用する本発明の方法の使用は、従来技術によって見出された粉砕助剤を2倍の量使用した方法に基本的に同等である特性を有する粉砕炭酸カルシウムを得ることを可能にすることを明らかに示す(試験Oおよび試験P)。
【実施例8】
【0148】
この実施例は、本発明による方法のドイツ南部ウルム地域産の石灰石の粉砕能力を、従来技術による粉砕助剤を使用した粉砕方法と比較する。
【0149】
粉砕の前に、1から10cmの中位径を有する石灰石は、ハンマーミル中で予め粉砕した。
【0150】
様々な篩を通過する粒子によって分析したミル供給物中の粒子の粒度分布を表10に示す。
【0151】
【表10】

【0152】
次いでこの石灰石2.5kgを、その性質と量を以下の表に示す乾式粉砕助剤と、混合器中で2時間乾混合した。試験TおよびUに関しては、質量で50%の乾式抽出物を有する水溶液の形態である。
【0153】
その後、この混合物は、5分間にわたってピンミルの粉砕セクションに連続的に加えられ、粉砕されて中位径5μmを有する粉砕した材料を得る。
【0154】
【表11】

【0155】
表11の結果は、本発明の方法が、d50が従来技術による方法で得られたものに匹敵する生成物をもたらすことを示している。
【0156】
磁器製ボールミルを使用する方法のための実験手順
実施例9において、乾式粉砕は、HOSOKAWA ALPINE(商標)(Augsburg、DE)社によって販売されている、直径19.5cmおよび高さ24cmの「Hosokawa(商標)1−25LK」実験用ボールミル中で、非連続的に行われる。
【0157】
粉砕は、ビーズの21個が直径28mm、107個が直径120mm、73個が直径16mm、および16個が直径12mmを有する磁器製粉砕ビーズ1,968gを用いて行われる。
【0158】
粉砕助剤
PEG6000と表示される粉砕助剤は、99%超が6000g/モルに等しい分子量を有するOH基で終わるエチレンオキシドモノマー単位からなるポリマーで構成される。
【0159】
MPGと表示される粉砕助剤は、1,2−プロパンジオールで構成され、FLUKA(商標)社から入手した。
【0160】
測定方法
粉砕粒子の寸法は、粒子を様々な篩を通過させることで測定する。
【実施例9】
【0161】
この実施例は、従来技術において見出された粉砕助剤を使用する粉砕方法と比較した、本発明による粉砕方法の北部ノルウェー産大理石を粉砕する能力を例示する。
【0162】
大理石について実施したXRD解析(Brucker AXSによるD8アドバンス)は、大理石が4.16質量%のHCl−不溶解物(主として石英、マイカ、および様々なシリカ)を含有していることを示している。
【0163】
粉砕の前に、1から10cmの中位径を有する大理石は、ハンマーミル中で予め粉砕した。
【0164】
様々な篩を通過する粒子によって分析したミル供給物中の粒子の粒度分布を表12に示す。
【0165】
【表12】

【0166】
この大理石800gを、以下の表に示す粉砕助剤の存在下、90回転/分の速度で24時間にわたり磁器製ビーズミル中で粉砕した。
【0167】
システムに加えられた乾式粉砕助剤は、質量で50%の乾式抽出物を有する水性懸濁液の形態であった。
【0168】
粉砕に続いて、粉砕した大理石は磁器製ビーズから、間隔が1cm開いた篩を用いて分級した。次いで粉砕した材料は、篩を用いて分級した。
【0169】
【表13】

【0170】
表13の結果は、本発明の方法がより細かな生成物をもたらし、したがって従来技術よりもより効果的な粉砕方法を構成することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸塩鉱石を含有する材料の乾式粉砕方法であって、
a)少なくとも1つの粉砕ユニットにおいて前記材料を、
(i)少なくとも1つのポリアルキレングリコールポリマー(前記ポリマーの主鎖を形成するモノマー単位の少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、非常に好ましくは少なくとも98%が、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはこれらの混合物で構成され、ならびに分子量が少なくとも400g/モルに等しい。)の存在下、
(ii)前記粉砕ユニット中の水の量が、前記粉砕ユニット中の前記材料の乾燥重量の10%未満であるようにして、
乾式粉砕するステップ、
b)次いでステップa)により粉砕した材料を、少なくとも1つの分級ユニットで分級することができるステップ、
c)ステップa)および/またはb)を、ステップa)および/またはステップb)からの粉砕した材料の全てまたは一部について繰り返すことができるステップ
を含むことを特徴とする前記方法。
【請求項2】
前記ポリマーが、9500g/モル未満の分子量(Mw)を有することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
全ての粉砕ユニットにおいて、炭酸塩鉱石を含有する材料の乾燥重量に対して乾燥重量で0.01から0.5%、好ましくは乾燥重量で0.03から0.25%の前記ポリマーを使用することを特徴とする、請求項1または2の一項に記載の方法。
【請求項4】
各粉砕ユニット中で使用されるポリアルキレングリコールポリマーの量が、炭酸塩鉱石を含有する材料の1m当たり0.1と1mgの間の前記ポリマー、好ましくは炭酸塩鉱石を含有する材料の1m当たり0.2と0.6mgの間の前記ポリマーであることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の方法。
【請求項5】
粉砕ユニット中の水分含有量が、前記粉砕ユニット中の粉砕する材料の総乾燥重量に対して2重量%未満、好ましくは0.5重量%未満であることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
ポリアルキレングリコールポリマーが、45℃の温度において16時間曝された場合に、50mlの水に置かれた前記ポリマー50mgの75%超、好ましくは90%超が蒸発しないことを特徴とする、請求項1から5の一項に記載の方法。
【請求項7】
ポリアルキレングリコールポリマーが、ポリエチレングリコールであることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエチレングリコールが、全モノマーの95%超、好ましくは98%超の割合のエチレンオキシドポリマーを含有することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ポリエチレングリコールポリマーが、500と10,000g/モルの間、好ましくは600と1500g/モルの間、および非常に好ましくは600と1000g/モルの間の分子量を有することを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
ポリアルキレングリコールポリマーが、ポリプロピレングリコールであることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリプロピレングリコールが、全モノマーの95%超、好ましくは98%超の割合のプロピレンオキシドポリマーを含有することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ポリプロピレングリコールが、500と6000g/モルの間、好ましくは2000と3000g/モルの間の分子量を有することを特徴とする、請求項10または11の一項に記載の方法。
【請求項13】
グリコールポリアルキレンポリマーが、エチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマーであることを特徴とする、請求項1から6の一項に記載の方法。
【請求項14】
前記コポリマーが、1:5と5:1の間のエチレンオキシド対プロピレンオキシドモノマーの比を有し、好ましくはこの比が3:2に等しいことを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記コポリマーが、1000と5000g/モルの間、好ましくは2000と3000g/モルの間の分子量を有することを特徴とする、請求項13から14の一項に記載の方法。
【請求項16】
コポリマーが、全エチレンオキシドとプロピレンオキシドのモノマー単位の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%、非常に好ましくは少なくとも40%に相当する、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの少なくとも1つのホモポリマーブロックを含有するブロックコポリマーであることを特徴とする、請求項13から15の一項に記載の方法。
【請求項17】
ブロックコポリマーが、ポリエチレングリコールおよび/またはポリプロピレングリコールの3つのホモポリマーブロックを含む3ブロックポリマーであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
3ブロックポリマーが、ポリエチレングリコールのホモポリマーブロックがポリプロピレングリコールの2つのホモポリマーブロックの間に位置する(これら3ブロック単位は、かかる場合PPG/PEG/PPGポリマーと呼ばれる。)ことを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
3ブロックポリマーが、ポリプロピレングリコールのホモポリマーブロックがポリエチレングリコールの2つのホモポリマーブロックの間に位置する(これら3ブロック単位は、かかる場合PEG/PPG/PEGポリマーと呼ばれる。)ことを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ポリアルキレングリコールポリマーの混合物が使用されることを特徴とする、請求項1から19の一項に記載の方法。
【請求項21】
前記混合物が、少なくとも2つのポリエチレングリコールポリマー、少なくとも1つのポリプロピレングリコールポリマー、および少なくとも1つのブロックコポリマーを、エチレンオキシド対プロピレンオキシドの比が90:10と10:90の間において含むことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
使用されるポリアルキレングリコールポリマーは、ポリアルキレングリコールではない物質と混合してもよく、前記ポリアルキレングリコールポリマーが、ポリアルキレングリコールポリマーとポリアルキレングリコールではない物質で構成される全重量の少なくとも50重量%、および好ましくは少なくとも85重量%、および非常に好ましくは少なくとも95重量%に相当することを特徴とする、請求項1から21の一項に記載の方法。
【請求項23】
ポリアルキレングリコールではない物質が、炭水化物、トリ−イソプロピルアミン、またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記TIPAが、分子量が600と1000g/モルの間であるポリエチレングリコールポリマーと組み合わせて、およびTIPA対ポリエチレングリコールポリマーの比が80:20において使用されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記炭水化物が、スクロース、ソルビトール、またはこれらの混合物であってよいことを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
炭酸塩鉱石を含有する材料が、前記材料の重量に対して少なくとも80%、および好ましくは少なくとも90%の炭酸塩鉱石を含有することを特徴とする、請求項1から25の一項に記載の方法。
【請求項27】
炭酸塩鉱石が、天然または合成の生成物であることを特徴とする、請求項1から26の一項に記載の方法。
【請求項28】
炭酸塩鉱石が、ドロマイト、炭酸カルシウム、またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項1から27の一項に記載の方法。
【請求項29】
炭酸カルシウムが、石灰石、大理石、チョーク、沈降炭酸カルシウムまたはこれらの混合物であり、およびより好ましくは石灰石、大理石、またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
粉砕される材料の非炭酸塩部分が、粘土、非粘土ケイ酸塩、シリカ、またはこれらの混合物からなることができ、この粘土は、好ましくは、ベントナイト、カオリン、焼成粘土、またはこれらの混合物であり、またこの非粘土ケイ酸塩は、タルク、マイカ、またはこれらの混合物であることができることを特徴とする、請求項1から29の一項に記載の方法。
【請求項31】
炭酸塩鉱石を含有する材料が、ステップa)の前に30m以下、および好ましくは5mm以下、および非常に好ましくは2mm以下の直径d95(Malvern(商標)Mastersizer(商標)Sグレイン寸法測定装置2.8型を用いて測定して、粒子の95重量%が、この値未満の直径を有する。)を有することを特徴とする、請求項1から30の一項に記載の方法。
【請求項32】
炭酸塩鉱石を含有する材料が、ステップa)の前に篩を用いて測定して、0.2と0.7mmの間、および好ましくは0.4と0.5mmの間の中位径を有することを特徴とする、請求項1から31の一項に記載の方法。
【請求項33】
連続法であることを特徴とする、請求項1から32の一項に記載の方法。
【請求項34】
炭酸塩鉱石を含有する材料に、ステップa)の前に、および好ましくは本発明の方法の任意のステップa)の前に加えられることを特徴とする、請求項1から33の一項に記載の方法。
【請求項35】
ステップa)が、少なくとも1つのホイールミル中で行われることを特徴とする、請求項1から34の一項に記載の方法。
【請求項36】
ステップa)が、少なくとも1つのボールミル中で行われることを特徴とする、請求項1から34の一項に記載の方法。
【請求項37】
ステップa)が、少なくとも1つのピンミル中で行われることを特徴とする、請求項1から34の一項に記載の方法。
【請求項38】
粉砕ユニットの周囲速度が、5と60m/sの間、好ましくは20と40m/sの間であることを特徴とする、請求項1から37の一項に記載の方法。
【請求項39】
ミルが、ブリネル硬度が510と600の間である粉砕ビーズを含有することを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ビーズが、モリブデンまたはクロムを有する鉄系合金などの鉄、磁器および/またはケイ酸塩で作られることを特徴とする、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
ビーズが、5と50mmの間、好ましくは15と25mmの間の平均径を有することを特徴とする、請求項39または40の一項に記載の方法。
【請求項42】
ビーズが、1/3と3/1の間のアスペクト比を有することを特徴とする、請求項39から41の一項に記載の方法。
【請求項43】
様々な直径の粉砕ビーズの混合物が、中位径の二峰性分布を示すことを特徴とする、請求項39から42の一項に記載の方法。
【請求項44】
粉砕ビーズが、ボールミル中に含有された粉砕される材料に対して、容積比で1.8:1と3.6:1の間であり、および好ましくはこの比率が2.5:1に等しいことを特徴とする、請求項39から43の一項に記載の方法。
【請求項45】
ステップb)が行われることを特徴とする、請求項1から44の一項に記載の方法。
【請求項46】
任意の後のステップa)の前に、少なくとも2つの分級ステップが行われ、これら2つのステップのいずれか1つが連続してまたは同時に行われることを特徴とする、請求項1から45の一項に記載の方法。
【請求項47】
分級が、サイクロンおよび/またはローター分級器中で行われることを特徴とする、請求項1から46の一項に記載の方法。
【請求項48】
この分級ユニットの輸送ガスの上昇流が、3と15m/sの間、および好ましくは8と12m/sの間の速度を有することを特徴とする、請求項1から47の一項に記載の方法。
【請求項49】
分級ステップb)から得られる材料の一部を、さらなる粉砕のためにステップa)に再循環することを特徴とする、請求項1から48の一項に記載の方法。
【請求項50】
再循環される材料が、0.7と150μmの間の、好ましくは1と45μmの間の、非常に好ましくは2と5μmの間の等価球径を有することを特徴とする、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
ステップa)中に、炭酸塩鉱石を含有する材料の新たな量を特徴とする、請求項49または50の一項に記載の方法。
【請求項52】
請求項1から51の一項に記載の方法によって得られることを特徴とする生成物。
【請求項53】
密封材、プラスチック、紙、塗料および農業のための用途の分野における、請求項52に記載の生成物の使用。
【請求項54】
プラスチックが、硬質または可塑性PVC、ポリエチレンプラスチック、ポリプロピレンプラスチック、またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
密封剤が、シリコン、ポリスルフィドおよびこれらの混合物を含むことを特徴とする、請求項53に記載の使用。
【請求項56】
湿式粉砕方法において、前記湿式粉砕が分散剤の存在下で場合によっては行われる、請求項53に記載の使用。

【公表番号】特表2009−537321(P2009−537321A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511599(P2009−511599)
【出願日】平成19年5月22日(2007.5.22)
【国際出願番号】PCT/IB2007/001323
【国際公開番号】WO2007/138410
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(398051154)コアテツクス・エス・アー・エス (35)
【出願人】(505351050)オムヤ・デベロツプメント・アー・ゲー (22)
【Fターム(参考)】