説明

点心成形器

【課題】家庭で、主婦や子供が、簡単に綺麗なシューマイなどの点心を成形できる器具が求められている。また、低コストで複数の機能を有する調理器具が求められている。
【解決手段】点心成形用の凹部を有する皿状部材の上に、鍔付きのリングをセッする。ここに点心の皮を挿入可能に装置し、隣接する点心の皮との貼り付きを防止すると共に、綺麗な点心を成形する。また、蓋を被せて蒸す際は、鍔付きのリングを蒸気圧調整用の支柱として利用可能に装置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小麦粉や米粉を薄く延ばした皮で、肉や野菜の餡を包んだ、シューマイに代表される点心を成形し、そのまま蒸す事を目的とした調理器具に関する。
【背景技術】
【0002】
工業的に大量生産する機械装置は存在したが、家庭用として、簡単に使用できる器具は存在していない。
尚、製氷皿やたこ焼用の鉄板など、凹部を備えた皿状の器具は存在するが、これらを使用すると、皮を各凹部にセットした際、隣の凹部にセットした皮と貼り付いてしまい、上手に成形する事は難しかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
家庭で、主婦や子供が、簡単に綺麗なシューマイなどの点心を成形できる器具が求められている。また、調理器具としての点心成形器には、種々の機能が求められており、具体的には、以下の全ての機能を満足する事が、本発明の課題である。
1、均一なサイズ・形状の点心を、複数同時に成形できる事。
2、隣接する点心の皮の、貼り付き防止機能を有する事。
3、皮を、上部で包んで閉じる際、容易に中央部で皮をまとめられる事。
4、部品点数を増やさずに、軽量スプーンなどの機能も有する事。
5、点心を蒸す為の機能を有し、同時に蒸気圧の調整機能を有する事。
6、樹脂成形により、低コストで容易に製造可能な事。
7、成形器具に、点心の皮の貼り付き防止機能を有する事。
8、使用後の洗浄が、容易にできる事、また掃除器具の機能を有する事。
9、加熱された蒸し器を、電子レンジ等から取り出す際、やけどしない事。
以上の課題を、全て満足できる事。
【課題を解決するための手段】
【0004】
点心成形用の凹部を有する皿状部材の上に、鍔付きのリングをセッする。ここに点心の皮を挿入可能に装置する。また、蓋を被せて蒸す際は、鍔付きリングを蒸気圧調整用の支柱として利用可能に装置する。
【発明の効果】
【0005】
本発明品によれば、凹部を利用してシューマイなどの点心を成形する際、鍔付きリングによって隣接する点心の皮との貼り付きを防止できると共に、そのまま鍔付きリングを持ち上げれば、皮が円筒状に立ち上がり、偏らず、綺麗に肉餡を包む事ができる。
また、そのまま点心を蒸す事が可能で、蒸気圧の調整もできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
請求項1から5に詳述された、いずれかの組合せの通りに装置する。
具体的には、凹部を設けた皿状部材の上に、鍔付きのリングをセットし、点心成形後に鍔付きリングを持ち上げる事で、綺麗な点心を成形可能に装置する。
また、鍔付きリングには、計量スプーンや、蒸す際に蓋を浮き上がらせる支柱の機能も備える。
【実施例】
【0007】
本発明を実施する為には、請求項1から5に具体的に詳述された、いずれかの構成を採用すれば良い。尚、その一つの実施例を次に示す。
【0008】
図1は、本発明品である点心成形器の本体で、複数の凹部2を備えた皿状部材1である。単純に平板に凹部を設けただけでは、隣接する点心の皮が成形時に接触し、貼り付いて破れる不具合が発生するが、本発明品では各凹部の間に、リブ3を備え、皮同士の貼り付きを防止できる。
【0009】
図2は、皿状部材1の上にセットする、貫通孔5を備えた鍔付きリング4である。4にも1と同様に、隣接する点心の皮同士が貼り付く不具合を防止するリブ6を備える。尚、図3では、3つのリングを連結した形状を表している。
また、鍔付きリングには、計量スプーン7を一体成形すれば、調理時の利便性を高める事が可能で、図示していないが、フォーク形状を一体成形しておけば、蒸しあがって熱い皿状部材を、電子レンジ等から取り出す際、火傷を負う事を防止できる。
【0010】
図3は、皿状部材1に鍔付きリング4をセットした状態の断面図を表す。1と4の表面には、低いリング状の突起によるインロー嵌合部8が設けられているので、鍔付きリング4に設けた貫通孔5は、皿状部材1に設けた凹部2に合せ、確実に所定の位置にセットできる。
この状態で、点心の皮を凹部2の内部に挿入し、その中に肉餡などを詰めると、皮の縁部は、貫通孔5から上部にはみ出した状態となり、隣接する点心の皮と貼り付く事は無い。そして、そのまま鍔付きリングを持ち上げると、皮の縁は略円筒状に立ち上がるので、指で束ねれば、簡単に綺麗なシューマイなどの点心を成形する事ができる。
尚、皿状部材1も、鍔付きリング4も、表面に細かい凹凸を設ける事で、さらに皮の貼り付きを低減する事ができる。
【0011】
図4は、皿状部材1に蓋9を被せ、成形が終わった点心を蒸す状態の断面図を表す。
通常は、1の上に9を被せれば、周囲の段差がインロー嵌合形状となっているので、所定の位置に容易に収まり、その際、縁は略密閉される。
蒸気圧を下げる場合や、蒸気を抜きたい場合は、1の表面に設けた溝11に、鍔付きリング4を差し込んで立て、蓋9の内表面に設けた溝10に嵌合させれば、4が蓋9を持ち上げる支柱の役目を果たし、1と9の間に隙間12が形成される為、一定量の蒸気を抜く事ができる。この機能により、部品点数を増やす事も無く、密閉と半密閉と、両方の機能を確保する事ができる。
以上が、請求項1から5に記載された、本発明の実施例の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明によれば、家庭で簡単にシューマイなどの点心を成形し、そのまま蒸す事が可能な利便性の高い器具を、低コストで一般家庭に提供する事ができる。
また、少ない構成品で多数の付加機能を有し、調理器具として極めて利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の本体である皿状部材の、平面図を表す。
【図2】本発明の連結した鍔付きリングの平面図であり、スプーン付きの実施例を表す。
【図3】本発明の凹部に鍔付きリングをセットした状態の断面図を表す。
【図4】本発明を使用して点心を加熱する際の実施例の、断面図を表す。
【符号の説明】
【0014】
1、本発明品の本体であり、複数の凹部を備えた皿状部材
2、シューマイなどの点心を成形する為の、凹部
3、隣接する点心の貼り付きを防止する、リブ
4、鍔付きのリング
5.鍔付きのリングの貫通孔であり、リング部分である
6、隣接する点心の貼り付きを防止する、リブ
7、水や具材の計量や、肉餡を詰める際に使用する為の、スプーン
8、鍔付きリングのセット位置を特定する、インロー嵌合部
9、点心を蒸す際に使用する為の、皿状部材を覆う蓋
10、鍔付きリングを支柱として使用する際の嵌合溝を形成する、リブ
11、鍔付きリングを支柱として使用する際の嵌合溝を形成する、リブ
12、立てた鍔付きリングにより、皿状部材の本体と蓋の間に形成された、隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄く伸ばした小麦粉や米粉を原料とする皮で、肉や魚介類や野菜で作った餡を包んで蒸した、いわゆる点心や包子やシューマイを成形する器具であり、凹部を設けた皿状部材の上部に、鍔付きのリングを備え、リングの可動によって、皮を包み易くすると共に、隣接する点心の皮同士の貼り付きを防止可能に構成した事を特徴とする、点心成形器。
尚、鍔付きのリングとは、貫通孔を設けたプレートや、円筒形状や、テーパー状の円筒や、花びら状に内径が滑らかに変化する円筒を指し、それらの端面部に、鍔形状を設けた構成も含む。
【請求項2】
凹部は、皿状部材に略等間隔に複数配列し、その配列は、以下のいずれかである事を特徴とする、請求項1に記載の点心成形器。
尚、皿状部材と略同形状の蓋、又は皿状部材に嵌合可能に成形した蓋を備えた構成も含む。
1、縦横に同数の凹部を配置し、皿状部材を、平面視で略略正方形とした。
2、縦横に数が異なる凹部を配置し、皿状部材を、平面視で略長方形とした。
3、凹部を同心円状に配置し、皿状部材を、平面視で略円形とした。
4、皿状部材を、平面視で略楕円形、又は略長円形、又は略五角形、又は略六角形、又は略八角形とし、凹部を略均等の間隔を開けて配置した。
【請求項3】
鍔付きのリングは、以下のいずれか、又は全ての特徴を有する請求項1又は2に記載の点心成形器。
1、リングの内径は、凹部の開口部径と略同等とした。
2、リング及び凹部は、平面視にて円形、又は楕円形、又は長円形、又は、角部に丸みを帯びた長方形とした。
3、リングは、凹部の上端面に設けた段差、又はリブ、又は突起、又はガイド形状によって、所定の位置に、無理なく収まる様に装置した。
4、リングは、リングの下端部に設けた段差、又はリブ、又は突起、又はガイド形状によって、所定の位置に、無理なく収まる様に装置した。
5、鍔付きリングの下面と、皿状部材の上面に、インロー嵌合部を設けた。
6、リングは、皿状部材の凹部に合せ、複数のリングを連結して構成した。尚、連結は、全ての凹部に合せて同数のリングを連結する、又は、凹部の一部分に合せ、2〜10個を連結する。
【請求項4】
以下のいずれか、又は全ての特徴を有する、請求項1から3のいずれかに記載の点心成形器。
1、皿状部材の凹部と凹部の間に、リブ、又は凸部、又は溝を設けた。
2、連結されたリングの間で、連結部の上面に、リブ、又は凸部、又は溝を設けた。
3、連結されたリングの縁部に、皿状部材への装着と、点心成形時の上下動を容易にする、取っ手、又はツマミを設けた。尚、肉餡によって指が滑る事を防止する為、連結されたリングの−部又は大半の部分を粗面にした構成や、細かい凹凸を設けた構成も含む。
4、連結されたリングの縁部に、計量スプーンを一体成形した。尚、計量スプーンは、包み込む餡と、蒸す際に必要な水と、両方を計量可能にした構成も含む。
5、連結されたリングの縁部に、成形後の点心を凹部から取り出す為のヘラ形状を設けた。
6、複数のリングの1つ又は全てに目盛りや分量を表示し、パスタの計量が可能に構成した。
7、皿状部材とリングは、1〜3ヶ所で連結し、樹脂で一体成形するとともに、使用時は、連結部を折り取って使用可能に構成した。
8、少なくとも凹部の内側面及び底面には、細かい凹凸、又は細かい多数のリブを設け、皮の貼り付きを防止した。尚、リングの内径面に同様の形状を施した構成も含む。
9、連結されたリングの端部に、フォーク状の引っ掛け部を設け、皿状部材には、この引っ掛け部用の嵌合部を設け、この連結されたリングによって、加熱された皿状部材を持ち上げて運搬する事が可能となる様に装置した。
10、連結されたリングの端部に凸形状を一体成形し、この凸形状は、皿状部材の凹部の縦断面形状と略一致させ、凸形状で凹部の掃除が可能となる様に装置した。
【請求項5】
蓋を皿状部材に被せた状態では隙間が発生せず、略密閉状態となる様に構成すると共に、以下のいずれか、又は全ての特徴を有する、請求項1から4のいずれかに記載の点心成形器。
1、鍔付きリング、又は連結した鍔付きリングを、皿状部材の所定の位置にセットした状態で蓋を被せると、蓋と皿状部材との間に、僅かに隙間ができる様に装置した。尚、鍔付きリをセットする部分は、皿状部材の上面及び蓋の裏面に、複数のリブ形状を配置する構成や、溝形状を設ける事で、リブの間や溝に鍔付きリングを差し込み、鍔付きリングを立てる事が可能にした構成を指す。
2、リング、又は連結したリングの縁部に、細い腕状部を一体成形し、この腕部を弾性変形可能に構成する。リング、又は連結したリングを皿状部材の所定の位置にセットして蓋を被せると、蓋の重量によって腕状部が変形して密閉状態を保持すると共に、加熱した際は、蒸気圧と腕状部の付勢力によって蓋が持ち上げられ、皿状部材と蓋との間に蒸気抜きの隙間ができる様に装置した。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2013−81445(P2013−81445A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235461(P2011−235461)
【出願日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【出願人】(390007858)サナダ精工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】