説明

無人搬送システムおよび無人搬送車

【課題】パレットの脚部の設置状況によることなく、無人搬送車をパレットの脚部間において正確に誘導できる無人搬送システムおよび無人搬送車を提供すること。
【解決手段】進入口Eからパレット100の下方(左右の脚部102の間)へ進入した無人搬送車1は、第1および第2レーザセンサ79a,79bを用いて、パレット100の台部101の下面に設けられている誘導体103までの距離を測定して、その測定値とレーザ測定メモリ72aに記憶される目標値(第1および第2レーザセンサ79a,79bのそれぞれから車体2の前後方向に延びる中心線までの距離)とが一致するように走行方向の制御を行う。ここで、誘導体103は、脚部102の設置状況とは無関係に、台部101の前後方向に延びる中心線に沿って連続して設けられているので、脚部102の設置状況によることなく、無人搬送車1を、パレット100の略中央部において走行させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無人搬送システムおよび無人搬送車に関し、特にパレットの脚部の設置状況によることなく、無人搬送車をパレットの脚部間において正確に誘導できる無人搬送システムおよび無人搬送車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場等において、大型の搬送物が戴置されたパレットを積載して、予め設定された誘導路上を誘導走行により運搬する無人搬送車が知られている。無人搬送車に積載されるパレットは、搬送物を戴置する台部と、その台部の両側に設けられ台部を支持する脚部とを備えたものである。
【0003】
誘導路外に配置されたパレットを無人搬送車に積載する場合、無人搬送車を誘導走行によりそのパレットまで移動させることはできないので、その場合には無人搬送車に備え付けのペンダントスイッチ等のコントローラを操作して、無人搬送車を手動で誘導する必要があった。
【0004】
ここで、無人搬送車の横幅(短手方向長さ)は幅広(例えば、12m)に形成されるが、パレットは無人搬送車の横幅に対し、わずかに幅広(例えば、30cm)に形成されるにすぎない。一方で、無人搬送車は、全長(長手方向長さ)も長尺(例えば30m)に形成されるので、操舵にわずかなズレが生じるだけで、横方向(無人搬送車の短手方向)に大きく位置ズレしてしまう。それ故、無人搬送車をパレットに接触させずに正確に誘導することが困難であった。そこで、無人搬送車をパレットの脚部間にて誘導する場合には、コントローラの操作者のほか、多数の作業員に監視をさせ、無人搬送車を慎重に誘導していた。
【0005】
これに対し、次の特許文献1には、パレットの脚部間を走行させる場合、超音波センサを用いて無人搬送車を誘導する誘導装置が記載されている。具体的には、特許文献1の誘導装置は、無人搬送車の側面に設けた超音波センサから出力されパレットの脚部により反射された超音波を検知することにより、その超音波センサからパレットの脚部までの距離を測定し、その測定距離に基づいてパレットの脚部との間隔を維持させつつ無人搬送車を走行させる。かかる誘導装置によれば、全長の長い無人搬送車であっても、パレットの脚部間を正確に誘導できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−182744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1の誘導装置は、パレットの脚部により反射された超音波を、超音波センサにより検知するものである。故に、脚部がパレットの側面に連続的に設けられていなければ、超音波センサが、パレットの脚部により反射された超音波を連続的に検知できないので、無人搬送車を誘導走行させることができない。即ち、パレットの脚部の設置状況次第では、無人搬送車をパレットの脚部間において正確に誘導できないという問題点があった。
【0008】
本発明は、上述した問題点を解決するためのものであり、パレットの脚部の設置状況によることなく、無人搬送車をパレットの脚部間において正確に誘導できる無人搬送システムおよび無人搬送車を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
請求項1記載の無人搬送システムによれば、パレットには、そのパレットの台部から下方に突出し、パレットの台部一端側に形成された進入口から台部他端側に向かって延設された誘導体を備えている。無人搬送車の車体には、レーダ波を出力するレーダ波出力手段が、所定方向に沿って間隔を空けた少なくとも2箇所に設けられている。その所定方向に沿って、無人搬送車がパレットの台部一端側に形成された進入口からパレットの脚部間へ進入した場合、無人搬送車の距離測定手段によって、各箇所のレーダ波出力手段からパレットの誘導体に向けてレーダ波が繰り返し出力され、パレットの誘導体から反射された反射波に基づいて、無人搬送車の各箇所のレーダ波出力手段からパレットの誘導体までの距離が測定される。無人搬送車は、走行制御手段により、距離測定手段によりそれぞれ測定された距離に基づいて走行する。よって、パレットの台部下面に延設される誘導体をレーダ波の反射体として用いるので、パレットの脚部の設置状況とは無関係に、無人搬送車を、パレットの台部一端側から台部他端側に向かって延びたパレットの誘導体までの距離に基づいて走行させることができる。従って、パレットの脚部の設置状況によることなく、無人搬送車をパレットの脚部間において正確に誘導できるという効果がある。
【0010】
ところで、パレットの台部の形状が矩形以外の形状(例えば、無人搬送車の進行方向に対して先細りする形状など)である場合、無人搬送車の車体の形状に拘わらず、その無人搬送車の各箇所に設けられたレーダ波出力手段からパレットの脚部までの距離は、パレットの脚部間で無人搬送車を走行させる間一定でなく、パレットの台部の形状に応じて変動する。この場合、無人搬送車のレーダ波出力手段からパレットの脚部までの距離に基づいて、無人搬送車を走行させることは困難である。しかし、請求項1記載の無人搬送システムによれば、パレットの台部下面に設けた誘導体により無人搬送車を誘導するので、パレットの台部の形状によることなく、無人搬送車をパレットの脚部間において正確かつ容易に誘導できるという効果がある。
【0011】
請求項2記載の無人搬送システムによれば、請求項1の効果に加え、パレットの誘導体は、パレットの脚部間の略中央において、台部一端側の進入口から台部他端側に向かって延設されている。無人搬送車の距離測定手段によって、所定方向に沿った車体の中心線から離間して車体の上面より高所に設けられた各箇所のレーダ波出力手段から、かかる誘導体へ向けレーダ波が繰り返し出力されると、無人搬送車の走行制御手段は、距離測定手段により測定される各箇所のレーダ波出力手段からパレットの誘導体までの距離を、各箇所のレーダ波出力手段から所定方向に沿った車体の中心線までの距離に応じた値のそれぞれとするように無人搬送車を走行させる。即ち、無人搬送車は、所定方向に沿った車体の中心線を、パレットの脚部間の略中央に延設された誘導体に沿わせるように走行する。よって、無人搬送車を、パレットの脚部間の略中央で走行させることができるので、無人搬送車をより容易に誘導できるという効果がある。
【0012】
請求項3記載の無人搬送システムによれば、請求項1又は2の効果に加え、パレットの誘導体は可撓性を有するので、走行中に無人搬送車とパレットの誘導体とが万一接触しても、その誘導体が撓むことで接触による衝撃を和らげることができる。よって、無人搬送車の損傷(例えば、レーダ波出力手段としてのレーザセンサの損傷)を抑制できるという効果がある。
【0013】
請求項4記載の無人搬送車によれば、請求項1記載の無人搬送システムと同様の効果を奏する。
【0014】
請求項5記載の無人搬送車によれば、請求項4の効果に加え、請求項2記載の無人搬送システムと同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態における無人搬送システムを構成する、無人搬送車及びパレットの側面図であり、(b)は、(a)に示す矢印Ib方向から見た平面図であり、(c)は、(a)に示す矢印Ic方向から見た正面図である。
【図2】無人搬送車の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】無人搬送車の制御装置で実行される、無人搬送車をパレットの脚部の間を走行させるパレット内走行処理を示すフローチャートである。
【図4】(a)は、レーザセンサの配置を変更した無人搬送車の一例を示す平面図であり、(b)は、レーザセンサの数を変更した無人搬送車の一例を示す平面図であり、(c)は、パレットに設けた誘導体の配置や数を変更した無人搬送システムの一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1(a)は、本発明の一実施形態における無人搬送システム500を構成する、無人搬送車1及びパレット100の側面図であり、図1(b)は、図1(a)に示す矢印Ib方向から見た平面図であり、図1(c)は、図1(a)に示す矢印Ic方向から見た正面図である。なお、図1(a)及び(b)における矢印F−Bは、無人搬送車1(車体2)及びパレット100(台部101)の前後方向を示し、図1(b)及び(c)における矢印L−Rは、無人搬送車1(車体2)及びパレット100(台部101)の左右方向を示す。
【0017】
本実施形態の無人搬送システム500は、無人搬送車1とパレット100とから構成されるものである。より具体的には、パレット100の台部101の下面に誘導体103を設け、その誘導体103を無人搬送車1の第1および第2レーザセンサ79a,79bで検知(検出)させることにより、無人搬送車1を、無人搬送車1のリフタ4によりパレット100を持ち上げることのできる位置まで誘導するものである。
【0018】
図1(a)に示すとおり、無人搬送車1は、車体2と、複数の車輪3と、複数のリフタ4と、第1レーザセンサ79aと、第2レーザセンサ79bと、制御BOX5とを主に有している。
【0019】
図1(b)に示すとおり、車体2は、車体2の前側(矢印F方向)ほど横幅(車体2の左右方向長さ、即ち、矢印L−R方向長さ)が狭くなる先細り形状に形成されている。この先細り形状の車体2の横幅は、後述するパレット100の下方(台部101の下方)に進入できるように、台部101を支える左右の脚部102の間よりも狭い幅とされている。また、車体2の全長(矢印F−B方向長さ)は、パレット100の全長(矢印F−B方向長さ)と同程度の長さである。
【0020】
図1(a)に示すとおり、無人搬送車1の車体2の下方には、無人搬送車1を走行させるための車輪3が、車体2の左右に6個ずつ、計12個設けられている。各車輪3は、後述する回転駆動装置76(図2参照)からそれぞれ独立に動力が付与され、それぞれが独立して車軸(図示せず)回りに回転できるように構成されている。また、後述する操舵駆動装置77(図2参照)からそれぞれ独立して動力が付与され、それぞれが独立の操舵角に旋回できるように構成されている。よって、無人搬送車1を前後進いずれにも走行させることができるし、所望する方向へカーブさせることもできる。また、全車輪3を同じ操舵角に保って斜行させることもできる。
【0021】
図1(a),(b)に示すとおり、車体2の上面の側縁付近には、昇降自在に駆動するリフタ4が、車体2の前後方向における前方と中央と後方との3箇所に、それぞれ左右1個ずつ計6個設けられている。各リフタ4には、後述する昇降駆動装置78(図2参照)から付与される油圧に応じて、上下方向に延び縮みするシリンダ(図示せず)が設けられている。各リフタ4のシリンダに油圧が付与されると、シリンダがそれぞれ上方に延び、各リフタ4が上昇する。パレット100の下方から各リフタ4を上昇させることにより、各リフタ4でパレット100を持ち上げて支えることができる。よって、無人搬送車1を、リフタ4を下げた状態で、後述するパレット100の進入口Eからパレット100の脚部102の間に進入させ、パレット100の台部101の下方でリフタ4を上昇させることで、無人搬送車1にパレット100を積載することができる。
【0022】
第1および第2レーザセンサ79a,79bは、それぞれレーザ光の照射口(図示せず)を車体2の右方(矢印R方向)へ向け、その照射口からレーザ光を出力(照射)し、そのレーザ光が出力された対象物(レーザ光の反射物)からの反射光を、検出窓(図示せず)から検出するものである。そして、その検出結果に基づいて各レーザセンサ79a,79bから対象物までの距離を、それぞれ測定することができる。
【0023】
また、図1(a),(c)に示すように、第1および第2レーザセンサ79a,79bのそれぞれの取り付け高さは、無人搬送車1がパレット100の脚部102の間に進入した状態において、各レーザセンサ79a,79bから出力されるレーザ光が、後述するパレットの誘導体103により反射される高さとされている。よって、これらの第1および第2レーザセンサ79a,79bから出力されたレーザ光は誘導体103により反射され、その反射光の検出結果に基づき、各レーザセンサ79a,79bから誘導体103までの距離を測定することができる。
【0024】
なお、図1に示す例では、第1および第2レーザセンサ79a,79bを、車体2の前後方向に並んで(即ち、第1レーザセンサ79aと第2レーザセンサ79bとが車体2の左右方向に離間することなく)配置させているが、第1および第2レーザセンサ79a,79bは、車体2の前後方向に互いに離間して配置されていれば、それらは、車体2の左右方向に離間していてもよい。2箇所に前後して車体2に配置される第1および第2レーザセンサ79a,79bによって、パレット100の誘導体103の延設方向(矢印F−B方向)に対する車体2の前後方向の傾きを検出できる。本実施形態の無人搬送システム500は、このように検出されるパレット100における誘導体103の延設方向に対する車体2の前後方向の傾きに基づき、無人搬送車1を、誘導体103の延設方向に沿って誘導することができる。
【0025】
ここで、本実施形態では、図1(a),(b)に示すように、第1レーザセンサ79aは、車体2の上面にて、車体2の前方左側に配置されるリフタ4より前方に設けられている。また、第2レーザセンサ79bは、このリフタ4を挟んで第1レーザセンサ79aの後方に設けられている。このように、第1および第2レーザセンサ79a,79bは、車体2の前方側(具体的には、前方左側のリフタ4の近く)に配置されているので、無人搬送車1を、パレット100の脚部102の間に進入させる際に、いち早く各レーザセンサ79a,79bによって誘導体103までの距離を測定できる。よって、無人搬送車1がパレット100の下方へ進入した早期から、第1および第2レーザセンサ79a,79bを用いて無人搬送車1の誘導を開始することができる。
【0026】
車体2の前方部には、制御BOX5が設けられている。制御BOX5には、ペンダントスイッチ81や工場内の上位プロコンから出力される指令に基づいて、無人搬送車1の走行やリフタ4の昇降等を制御する制御装置70や、工場内の上位プロコンから送信される信号を受信する受信装置80、無人搬送車1が正常に走行できない場合に警報としてランプ6の点灯とスピーカ7(図1(c)参照)からの放音とを行う警報装置82等が収納されている。なお、制御BOX5の設置位置は、車体2の前方部に限らず、後方部など、その位置は適宜変更可能である。
【0027】
図1(c)に示すように、制御BOX5には、作業員Hによって、制御装置70に各種指令を入力させるためのペンダントスイッチ81が接続されている。このペンダントスイッチ81は、パレット内走行処理(図3参照)を開始させる場合に、その開始指令としてのパレット内走行指令を出力するために使用される。また、その他に、ペンダントスイッチ81は、パレット100の進入口Eまで無人搬送車1をマニュアル走行させる場合などにも使用される。
【0028】
次にパレット100の概略構成について説明する。図1(a),(c)に示すように、パレット100は、台部101と、その台部を支える脚部102と、台部101の下面に設けられた誘導体103とを有している。
【0029】
台部101は、その上面が搬送物Tを戴置する部分として構成されている。一方、台部101の下面は、脚部102と誘導体103とが設けられる部分であると共に、無人搬送車1のリフタ4によって支持されるための部分として構成されている。
【0030】
台部101は、その形状が、無人搬送車1の車体2の形状と同様に、前側(矢印F側)にかけて先細りする略台形形状に形成されている。台部101は、台形の高さに相当する前後方向(矢印F−B方向)の長さが、例えば30mとされる。これにより、パレット100は、台部101の上面に、全長が約30mの長大な搬送物T(想像線)を戴置することができる。
【0031】
脚部102(102a〜102f)は、路面G(地表)から所定の高さで台部101を支持する部材であって、その台部101の左右の側縁から左右1組とする6組の脚部102a〜102fが設けられている。ここで、台部101における最も幅広側(即ち、パレット100の後端側)に配置された左右一対の脚102aの間隙に、無人搬送車1が左右の脚部102の間に進入するための進入口Eが形成され、無人搬送車1は、この進入口Eを介してパレット100の下方(左右の脚部102の間)に進入することができる。なお、図1に示す例では、進入口Eを左右の脚部102の間としたが、パレット100の後端(台部101の後端)を、パレット100の進入口Eと定義してもよい。
【0032】
また、左右一対の脚部102(102a〜102f)は、各脚部102a〜102fの間に十分な間隙が形成されているので、パレット100を積んだ状態でも、作業員Hは脚部102a〜102fの各々の間から、無人搬送車1の車体2の状態を確認することができる。よって、無人搬送車1のメンテナンスを容易にすることができる。なお、パレット100は、台部101を複数組の脚部102a〜102fで支持する構成なので、パレット100の側面に壁状の脚部(即ち、パレット100の前端から後端まで連続した脚部)を設ける場合に比べて、パレット100を軽量化することができる。
【0033】
誘導体103は、無人搬送車1の走行をガイドするためのゴム製の板状部材である。この誘導体103は、無人搬送車1を誘導する誘導路、即ち、台部101の前後方向(長手方向)に延びる中心線に沿って台部101の下面に立設(延設)されている。誘導体103の側面は、無人搬送車1の第1および第2レーザセンサ79a,79bから出力されたレーザ波をそれぞれ反射する反射面となる。
【0034】
また、誘導体103は、材質自体が撓みやすいゴム製であるうえ、側方(矢印L−R方向)に撓みやすいように側面の板厚が薄く形成されている。よって、無人搬送車1の走行中に、無人搬送車1に設けられた第1および第2レーザセンサ79a,79bやリフタ4などが、誘導体103に接触することがあっても、誘導体103が撓むことで接触による衝撃を和らげることができる。従って、無人搬送車1の接触箇所への損傷を抑制できる。
【0035】
なお、本実施形態では、誘導体103は、ゴム製の薄板として構成したが、レーザ波を反射可能で撓みやすく形成された部材であれば、他の部材で構成しても良い。他の材質としては、例えば、プラスチック、金属、紙などを挙げることができる。
【0036】
次に、図2を参照して、無人搬送車1(図1参照)の電気的構成について説明する。図2は、無人搬送車1の電気的構成を示したブロック図である。制御装置70は、無人搬送車1の各部を制御するための装置であって、図2に示すように、CPU71、ROM72及びRAM73を有し、これらがバスライン74を介して入出力ポート75にそれぞれ接続されている。また、入出力ポート75には、回転駆動装置76、操舵駆動装置77、昇降駆動装置78、レーザ測定装置79、受信装置80、ペンダントスイッチ81及び警報装置82がそれぞれ接続されている。
【0037】
CPU71は、バスライン74により接続された各部を制御する演算装置である。ROM72は、CPU71により実行される制御プログラムや固定値データ等を格納した書き換え不能な不揮発性のメモリである。ROM72に格納される制御プログラムには、後述するパレット内走行処理(図3参照)を実行させるための制御プログラムの他、誘導路上における無人搬送車1の走行処理を実行させるための制御プログラム等がある。
【0038】
また、ROM72には、レーザ測定メモリ72aが設けられている。レーザ測定メモリ72aは、無人搬送車1がパレットの下方(脚部102の間)を走行する場合に、第1レーザセンサ79aおよび第2レーザセンサ79bによりそれぞれ測定される誘導体103までの距離(測定値)の目標値を記憶するためのメモリである。このレーザ測定メモリ72aに記憶される目標値は、後述するパレット内走行処理(図3参照)において、パレット100の脚部102の間を走行する無人搬送車1を誘導するために参照される。本実施形態では、レーザ測定メモリ72aに記憶される目標値として、第1および第2レーザセンサ79a,79bのそれぞれから車体2の前後方向(図1矢印F−B方向)に延びる中心線までの距離が記憶されている。
【0039】
RAM73は、CPU71が制御プログラムの実行時に各種のワークデータやフラグ等を書き換え可能に記憶するためのメモリであり、第1測定結果メモリ73aと、第2測定結果メモリ73bとが設けられている。第1測定結果メモリ73aは、後述するパレット内走行処理(図3参照)において、第1レーザセンサ79aにより検出(測定)されたパレット100の誘導体103までの距離(測定値)を記憶するためのメモリである。一方、第2測定結果メモリ73bは、パレット内走行処理において、第2レーザセンサ79bにより検出されたパレット100の誘導体103までの距離(測定値)を記憶するためのメモリである。
【0040】
詳細は後述するが、図3のパレット内走行処理では、各レーザセンサ79a,79bによる測定を繰り返し行っており、その測定が行われる度に、CPU71は、各レーザセンサ79a,79bによる測定結果(測定値)を、それぞれ対応する第1および第2測定結果メモリ73a,73bに記憶する(書き換える)。CPU71は、各測定結果メモリ73a,73bに記憶された、各レーザセンサ79a,79bによる測定値に基づき、その測定値が、レーザ測定メモリ72aに記憶される各レーザセンサ79a,79bについての目標値に近づくように各車輪3の操舵角を算出する。前述の通り、各レーザセンサ79a,79bの目標値は、それらの各レーザセンサ79a,79bから車体2の前後方向に延びる中心線までの距離である。よって、各測定結果メモリ73a,73bに記憶される各レーザセンサ79a,79bの測定値に基づいて、車体2の前後方向に延びる中心線と誘導体103とを平面視にて重ねるように無人搬送車1を走行させる各車輪3の操舵角が算出される。
【0041】
回転駆動装置76は、各車輪3を回転駆動させるための装置であり、左右6組(即ち12個)の車輪3へそれぞれ回転駆動力を付与する12個の回転モータ76aと、それぞれの回転モータ76aをCPU71からの命令に基づいて、独立して駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを有している。CPU71が各回転モータ76aをそれぞれ独立して駆動制御することで、12個の車輪3は、それぞれ独立して回転する。
【0042】
操舵駆動装置77は、各車輪3を操舵駆動させるための装置であり、12個の車輪3へそれぞれ操舵駆動力を付与する12個の操舵モータ77aと、それぞれの操舵モータ77aをCPU71からの命令に基づいて、独立して駆動制御する駆動回路および駆動源(いずれも図示せず)とを有している。CPU71が各操舵モータ77aをそれぞれ独立して駆動制御することで、12個の車輪3は、それぞれ独立して旋回する。
【0043】
昇降駆動装置78は、各リフタ4を昇降駆動させるための装置であり、各リフタ4が備えるシリンダへ油圧を付与する油圧ポンプ78aと、CPU71からの命令に基づいて、その油圧ポンプ78aにより所望の油圧が付与されるように、油圧ポンプ78aを制御する駆動回路(図示せず)を有している。CPU71が、油圧ポンプ78aを駆動制御することで、各リフタ4は昇降する。
【0044】
レーザ測定装置79は、前述した第1および第2レーザセンサ79a,79bの各々によって、パレット100の誘導体103までの距離を測定すると共に、その測定結果(測定値)をCPU71に出力するための装置である。レーザ測定装置79は、第1および第2レーザセンサ79a,79bと、それら各レーザセンサ79a,79bによる測定結果をそれぞれ処理してCPU71に出力する処理回路(図示せず)とを有している。CPU71は、レーザ測定装置79から第1レーザセンサ79aによる測定結果が入力されると、その値を第1測定結果メモリ73aに格納し、第2レーザセンサ79bによる測定結果が入力されると、その値を第2測定結果メモリ73bに格納する。
【0045】
受信装置80は、工場内に設置された上位プロコンから送信される、無人搬送車1にパレット内走行処理(図3参照)を開始させるパレット内走行指令や、所望のステーションまでの無人搬送車1の誘導走行を開始させる行き先指令等の各種データを受信するための無線装置である。この受信装置80は、上位プロコンから送信されたデータを受信する受信部(図示せず)と、受信部により受信したデータをCPU71に出力するための処理回路(図示せず)とを有している。
【0046】
ペンダントスイッチ81は、前述のとおり、無人搬送車1にパレット内走行処理を開始させる場合や、無人搬送車1をパレット100の進入口Eまで走行させる場合に、作業員H(図1(c)参照)に操作させるためのコントローラである。このペンダントスイッチ81は、パレット内走行処理(図3参照)を開始させるパレット内走行指令、および、パレット内走行処理による走行を停止させる停止指令の他、手動操作による走行を行うためのマニュアル走行指令やマニュアル操舵指令などの各種指令を入力するための複数のスイッチ(図示せず)と、それらスイッチからの入力をCPU71に出力するための処理回路(図示せず)とを有している。
【0047】
警報装置82は、無人搬送車1が正常に走行できない場合に、その旨を作業員H等に報せるための装置である。この警報装置82は、CPU71からの命令に基づいて、ランプ6及びスピーカ7(図1(c)参照)の出力をそれぞれ制御する処理回路(図示せず)を有している。例えば、後述するパレット内走行処理において、第1または第2レーザセンサ79a,79bのいずれかにより距離が測定されない場合に、CPU71が警報装置82を制御することで、ランプ6及びスピーカ7から警報(点灯,放音)が出力される。
【0048】
なお、本実施形態では、警報装置82は、車体2に設けたランプ6及びスピーカ7から警報を出力させるものとして説明するが、ランプやスピーカをペンダントスイッチ81に設け、ペンダントスイッチ81を使用する作業員Hに直接的に警報を行うようにしてもよく、警報装置82に、上位プロコンなどの外部装置へ警報信号を送信する送信装置を設け、工場内に設けたランプやスピーカなどを用いて警報を行うようにしてもよい。
【0049】
次に図3を参照して、無人搬送車1の制御装置70で実行される処理について説明する。図3は、無人搬送車1をパレット100の脚部102の間(台部101の下方)で走行させる場合のパレット内走行処理を示すフローチャートである。このパレット内走行処理は、進入口E(図1参照)からパレット100の下方(台部101の下方)に進入させた状態の無人搬送車1を、第1および第2レーザセンサ79a,79bによる測定結果に基づき、さらにパレット100の奥方(図1矢印F方向)へと誘導するための処理である。このパレット内走行処理は、制御装置70に電源は投入されると起動し、定期的(例えば0.5秒sec毎)に実行される処理である。
【0050】
図3に示すように、制御装置70のCPU71は、受信装置80又はペンダントスイッチ81のいずれかから、パレット内走行指令が入力されたか否か確認する(S1)。パレット内走行指令の入力が確認されなければ(S1:No)、CPU71は、このパレット内走行処理を終了する。
【0051】
一方、パレット内走行指令の入力が確認された場合は(S1:Yes)、CPU71は、第1および第2レーザセンサ79a,79bのそれぞれによって、パレット100の誘導体103までの距離が測定されたか否か確認する(S2)。
【0052】
このS2の処理において、第1および第2レーザセンサ79a,79bのそれぞれによって、パレット100の誘導体103までの距離が測定されたことが確認された場合(S2:Yes)、CPU71は、第1測定結果メモリ73aに、第1レーザセンサ79aによる測定値を格納するとともに、第2測定結果メモリ73bに、第2レーザセンサ79bによる測定値を格納する(S3)。
【0053】
一方、S2の処理において、第1または第2レーザセンサ79a,79bのいずれかの測定結果が確認できない場合は(S2:No)、各レーザセンサ79a,79bの不調や、パレット内走行指令の誤入力等の異常が生じた可能性がある。よって、かかる場合には、その旨を作業員Hに報せるため、CPU71は、警報装置82(図2参照)を制御してランプ6を点灯しスピーカ7から放音することによって警報を出力させ(S10)、ペンダントスイッチ81や上位プロコンから新たな指令を受けるまで待機する。
【0054】
S3の処理の後、CPU71は、第1および第2測定結果メモリ73a,73bに格納された値(即ち、各レーザセンサ79a,79bの測定値)と、レーザ測定メモリ72aに格納された各レーザセンサ79a,79bについての目標値とをそれぞれ比較し、各レーザセンサ79a,79bの測定値を、それぞれのセンサについての目標値に近づけるような操舵角を、各車輪3の操舵角として算出する(S4)。前述のとおり、レーザ測定メモリ72aには、第1および第2レーザセンサ79a,79bについての目標値として、それらの各レーザセンサ79a,79bから車体2の前後方向(図1矢印F−B方向)に延びる中心線までの距離が記憶されている。よって、S4の処理で算出させる操舵角は、平面視にて、無人搬送車1の車体2の前後方向に延びる中心線と誘導体103とを重ねるように無人搬送車1を走行させる操舵角である。ここで、誘導体103は、台部101の前後方向に延びる中心線上(即ち、パレット100の前後方向に延びる中心線上)に設けられているので、各車輪3をかかる操舵角に制御することで、無人搬送車1を、パレット100の前後方向に延びる中心線に沿って、パレット100の略中央を走行させることができる。
【0055】
次いで、CPU71は、S4の処理で算出した操舵角に基づいて、回転駆動装置76に指令する各車輪3の回転数を算出する(S5)。このS5の処理で算出される各車輪3の回転数は、S4の処理で算出された各車輪3の操舵角を、それぞれ維持可能な回転数である。
【0056】
そして、CPU71は、S4の処理で算出した各車輪3の操舵角を操舵駆動装置77に指令し(S6)、S5の処理で算出した各車輪3の回転数を回転駆動装置76に指令する(S7)。
【0057】
次いで、CPU71は、ペンダントスイッチ81又は受信装置80のいずれかを介して、停止指令が入力されたか否かを確認する(S8)。停止指令の入力が確認されなければ(S8:No)、S2に戻って、CPU71は一連の処理を繰り返し実行する。一方、停止指令の入力が確認されていれば(S8:Yes)、CPU71は、停止処理(S9)を実行して一連の処理を終了する。
【0058】
以上に説明したように、本実施形態の無人誘導システム500によれば、進入口Eからパレット100の下方(脚部102の間)へ進入した無人搬送車1は、第1および第2レーザセンサ79a,79bを用いて、パレット100の台部101の下面に設けられている誘導体103までの距離を測定して、その測定値とレーザ測定メモリ72aに記憶される目標値とが一致するように走行方向の制御を行う。ここで、誘導体103は、パレット100の台部101の前後方向(図1矢印F−B方向)に延びる中心線に沿って設けられているので、無人搬送車1に、パレット100の略中央部を走行させることができる。よって、車体2の左右の側面とそれらの各側面に対向するパレット100の脚部102との間隙を十分に空けつつ、無人搬送車1を走行させることができるので、無人搬送車1をパレット100に接触させることなく、パレット100を持ち上げるための位置まで容易に誘導することができる。
【0059】
また、パレット100の誘導体103は、台部101の下面において脚部102a〜102fの設置状況とは無関係に(脚部102a〜102fとは別体に形成され)、連続して設けられているので、本実施形態のように脚部102a〜102fが間隔を空けて(即ち、不連続に)設けられている場合であっても、無人搬送車1を、パレット100を持ち上げる位置まで誘導することができる。即ち、無人搬送車1を、脚部102a〜102fの設置状況によることなく誘導することができる。このように、無人搬送車1を脚部102a〜102fの設置状況によることなく誘導できるので、脚部102a〜102fを不連続に設けて、パレット100を軽量化することができる。
【0060】
また、無人搬送車1を脚部102の設置状況によることなく誘導できるので、台部101の平面形状を台形形状にしても、その形状によることなく無人搬送車1を誘導することができる。よって、パレット100によれば、台部101の形状と略同一の平面形状をした搬送物Tを積載した場合に、一般的な矩形状の台部101を有するパレット100に比べ、搬送物Tが配置されない台部101上のスペースを省くことができる。よって、そのスペースの分だけパレット100を軽量化することができるので、無人搬送車1のリフタ4がパレット100を持ち上げるために要する駆動力を省力化できるうえ、より少ないエネルギーで無人搬送車1にパレット100を運搬させることができる。
【0061】
また、誘導体103は、側方(図1矢印L−R方向)に撓みやすく形成されているので、無人搬送車1の走行中に、無人搬送車1に設けられた第1および第2レーザセンサ79a,79bやリフタ4などが、誘導体103に接触することがあっても、誘導体103が撓むことで接触による衝撃を和らげることができる。従って、無人搬送車1の接触箇所への損傷を抑制できる。
【0062】
また、無人搬送車1の各リフタ4は、車体2の上面の側縁付近に設けられているので、無人搬送車1を上記のパレット内走行処理によって走行させ、無人搬送車1をパレット100の下方に停止させることで、無人搬送車1の各リフタ4によって、該パレット100をバランス良く持ち上げさせることができる。
【0063】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0064】
例えば、上記実施形態では、無人搬送車1における、パレット100の誘導体103までの距離を測定するものとして、レーザ光を用いる第1および第2レーザセンサ79a,79bを採用しているが、レーザ光に代えて、電磁波や超音波などを用いることができる。即ち、本発明におけるレーダ波とは、レーザ光の他、電磁波や超音波などのいわゆるレーダ波を含む概念である。
【0065】
また、無人搬送車1に設けたレーザセンサの配置や数は、適宜変更することができる。図4(a)は、レーザセンサの配置を変更した無人搬送車1の一例を示す平面図であり、図4(b)は、レーザセンサの数を変更した無人搬送車1の一例を示す平面図である。例えば、上記実施形態では、第1および第2レーザセンサ79a,79bを、車体2の左側(矢印L側)に設け、各レーザセンサ79a,79bの照射口(図示せず)を車体2の右側(矢印R側)へ向けて配置したが、図4(a)に示すように、それら第1および第2レーザセンサ79a,79bのいずれか一方(図4(a)では第2レーザセンサ79b2)を車体2の右側に設け、その一方のレーザセンサ79b2は、照射口(図示せず)を車体2の左側へ向けて設置してもよい。
【0066】
また、図4(b)に示すように、レーザセンサは、車体2の3箇所以上に設けてもよい。例えば、第1および第2レーザセンサ79a,79bのそれぞれとは、車体2の前後方向に離間して、第1および第2レーザセンサ79a,79bと同様に構成された第3レーザセンサ79cを設けてもよい。かかる第3レーザセンサ79cを設けた場合、第1〜第3レーザセンサ79a〜79cの3つのセンサのうち、いずれか2つによって誘導体103までの距離が測定されれば、無人搬送車1を誘導体103に沿って走行させることができる。故に、パレット100の左右の脚部102の間における無人搬送車1の誘導の確実性を高めることができる。また、第3レーザセンサ79cを第2レーザセンサ79bの後方(矢印B方向)に設け、第1レーザセンサ79aと第3レーザセンサ79cとの配設間隔を長くとれば、誘導体103の延設方向に対する車体2の傾きを、いっそう容易に検出することができる。よって、パレット100の脚部102の間における無人搬送車1の誘導の正確性を高めることができる。
【0067】
また、パレット100の台部101に設けた誘導体の配置や数は、適宜変更することができる。図4(c)は、パレット100に設けた誘導体の配置や数を変更した無人搬送システム500の一例を示す平面図である。例えば、上記実施形態の誘導体103に代えて、台部101の前後方向(矢印F−B方向)に延びる中心線から左右方向(矢印R−L方向)にずれた位置に、誘導体103l又は誘導体103rのいずれか又は両方を設けてもよい。なお、車体2の中央(矢印F−B方向中央)に配置される左右一対のリフタ4は、誘導体103l,103rと接触しないように、上記実施形態における配置に比べ車体2の前後方向に延びる中心線に近い位置へと、配置を変更している。このとき、無人搬送車1に設けられた第1および第2レーザセンサ79a,79bは、それぞれの照射口(図示せず)を誘導体103l又は誘導体103rのいずれかに向けて、レーザ光が出力できるように設置する。あるいは、第1および第2レーザセンサ79a,79bの照射口(図示せず)を一方の誘導体(例えば誘導体103l)に向け、それらのレーザセンサ79a,79bとは別に、前後に並ぶ2つのレーザセンサ(図示せず)を車体2の上面に設けて、それらの別途設けたレーザセンサの照射口を、他方の誘導体(例えば誘導体103r)に向けるようにしてもよい。
【0068】
また、パレット100の台部101の平面形状は、台形形状に形成されているが、左右の脚部102の間に、無人搬送車1の車体2の横幅より幅広なスペースが確保されていれば、搬送物Tの形状に応じて、直線又は曲線で囲まれた、多様な形状を適用できるということは言うまでも無い。
【0069】
また、無人搬送車1のパレット内走行処理(図3参照)では、無人搬送車1の走行は、レーザ測定メモリ72aに記憶した目標値(所定の値)を示すデータによって規定しているが、該パレット内走行処理における無人搬送車1の走行を、レーザ測定メモリ72aに記憶した一定の幅がある数値範囲(目標範囲)を示すデータによって規定しても良い。つまり、パレット内走行処理において、無人搬送車1の第1および第2レーザセンサ79a,79bによって測定される距離が目標範囲に収まれば、車輪3を操舵しない。一方、目標範囲に収まらなければ、各レーザセンサ79a,79bにより測定された距離を、それぞれの目標範囲に収めるように操舵させる。このように、第1または第2レーザセンサ79a,79bによって測定された距離がいずれも目標範囲に収まる場合は、車輪3の操舵を行わないので、その分、CPU71の制御負担を軽減することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 無人搬送車
2 車体
4 リフタ(支持手段)
79a 第1レーザセンサ(レーダ出力手段、距離測定手段)
79b 第2レーザセンサ(レーダ出力手段、距離測定手段)
100 パレット
101 台部
102 脚部
103 誘導体
500 無人搬送システム
E 進入口
S4〜S7 走行制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を戴置する台部と、その台部の両側に設けられ前記台部を支持する脚部とを備えるパレットと、
車体と、その車体に配設され上昇させることにより前記パレットを持ち上げて支持する支持手段とを備える無人搬送車とを有し、
その無人搬送車を、前記パレットの台部下方の脚部間に進入させた状態で、前記支持手段を上昇させ前記パレットを持ち上げることができる位置まで走行させる無人搬送システムにおいて、
前記パレットは、前記台部の下面から下方に突出し、前記無人搬送車が前記脚部間に進入するため前記台部の一端側に形成された進入口から、前記台部の他端側に向かって延設される誘導体を備えるものであって、
前記無人搬送車は、
前記車体の、所定方向に沿って間隔を空けた少なくとも2箇所に設けられ、レーダ波を出力するレーダ波出力手段と、
前記無人搬送車が前記所定方向に沿って前記パレットの進入口から進入した場合に、各箇所の前記レーダ波出力手段から前記パレットの誘導体に向けてレーダ波を繰り返し出力し、その誘導体からの反射波に基づき、各箇所の前記レーダ波出力手段から前記誘導体までの距離をそれぞれ測定する距離測定手段と、
その距離測定手段により測定された距離に基づいて、前記無人搬送車を走行させる走行制御手段とを備えるものであることを特徴とする無人搬送システム。
【請求項2】
前記パレットの誘導体は、前記脚部間の略中央において延設されるものであって、
前記無人搬送車の各箇所の前記レーダ波出力手段は、前記所定方向に沿った前記車体の中心線から離間して前記車体の上面より高所に設けられるものであり、
前記無人搬送車の走行制御手段は、前記距離測定手段によって測定される各箇所の前記レーダ波出力手段から前記誘導体までの距離を、各箇所の前記レーダ波出力手段から前記車体の中心線までの距離に応じた値のそれぞれとするように前記無人搬送車を走行させるものであることを特徴とする請求項1記載の無人搬送システム。
【請求項3】
前記パレットの誘導体は、可撓性を有するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の無人搬送システム。
【請求項4】
車体と、その車体に配設され上昇させることによりパレットを持ち上げて支持する支持手段とを備え、
搬送物を戴置する台部と、その台部の両側に設けられ前記台部を支持する脚部と、前記台部の下面から下方に突出し、前記台部の一端側に形成された進入口から前記台部の他端側に向かって延設される誘導体とを有する前記パレットに対し、そのパレットの前記進入口から前記台部下方の脚部間に進入した状態で、前記支持手段を上昇させ前記パレットを持ち上げることができる位置へと走行する無人搬送車であって、
前記車体の、所定方向に沿って間隔を空けた少なくとも2箇所に設けられ、レーダ波を出力するレーダ波出力手段と、
前記無人搬送車が前記所定方向に沿って前記パレットの進入口から進入した場合に、各箇所の前記レーダ波出力手段から前記パレットの誘導体に向けてレーダ波を繰り返し出力し、その誘導体からの反射波に基づき、各箇所の前記レーダ波出力手段から前記誘導体までの距離をそれぞれ測定する距離測定手段と、
その距離測定手段により測定された距離に基づいて、前記無人搬送車を走行させる走行制御手段とを備えるものであることを特徴とする無人搬送車。
【請求項5】
前記無人搬送車の各箇所の前記レーダ波出力手段は、前記所定方向に沿った前記車体の中心線から離間して前記車体の上面より高所に配置されると共に、前記距離測定手段によって前記パレットの脚部間の略中央において延設される前記パレットの誘導体へ向けてレーダ波を出力するものであり、
前記無人搬送車の走行制御手段は、前記距離測定手段によって測定される各箇所のレーダ波出力手段から前記誘導体までの距離を、各箇所の前記レーダ波出力手段から前記車体の中心線までの距離に応じた値のそれぞれとするように前記無人搬送車を走行させるものであることを特徴とする請求項5記載の無人搬送車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−198756(P2012−198756A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62256(P2011−62256)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】