説明

無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物および剥離性硬化皮膜を有するシート状基材

【課題】基材への密着性、残留接着率が優れ、滑り性と剥離性が向上した硬化皮膜を形成する組成物およびかかる特性を有するシート状基材を提供する。
【解決手段】(A)(i)式SiO4/2のシロキサン単位と(ii)一般式R2SiO2/2のシロキサン単位と(iii)一般式Ra2SiO1/2のシロキサン単位からなる分岐構造を有する液状オルガノポリシロキサン100部、(B)平均構造式:Rac2SiO(RbcSiO2/2n1(Rc2SiO2/2n2SiRc2aのジオルガノポリシロキサン0.5〜15部、(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン所定量および(D)ヒドロシリル化反応触媒からなる無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。その硬化皮膜を有するシート状基材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙、ポリオレフィンラミネート紙、熱可塑性樹脂フィルム、金属箔などのシート状基材表面に剥離性硬化被膜を形成し、粘着性物質に対する良好な剥離性と被処理面の円滑な滑り性を付与することができる無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物、および、該組成物を硬化させてなる剥離性硬化皮膜を有するシート状基材に関するものである。
【0002】
各種紙,ラミネート紙,合成フィルム,金属箔等のシート状基材表面に、粘着性物質に対する剥離性硬化皮膜を形成させるためのオルガノポリシロキサン組成物として、アルケニル基を有するジオルガノポリシロキサン生ゴムとオルガノハイドロジェンポリシロキサンとヒドロシリル化反応触媒からなる付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物をトルエン等の有機溶剤に溶解した溶液型オルガノポリシロキサン組成物が周知であり、汎用されている。
【0003】
こうした溶液型の付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物に代わり、付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物を水に乳化したエマルジョン型オルガノポリシロキサン組成物や、常温で液状であり粘度が小さい付加反応型オルガノポリシロキサン組成物のみからなる無溶剤型オルガノポリシロキサン組成物が提案され(特許文献1、特許文献2)、実用化されている。近年、安全・環境に対する配慮から、溶液型に代わり、無溶剤型の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物が広範な用途で求められているためか、同様の無溶剤型の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物が提案されている(特許文献3)。
【0004】
しかしながら、従来の無溶剤型の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物は、主剤であるビニル基含有ジオルガノポリシロキサンが50〜1000cSt程度の低粘度であるため、途工性に優れる反面、形成された硬化皮膜の滑り性が悪く、用途が限定されるという不利があった。すなわち、こうした低粘度のビニル基含有ジオルガノポリシロキサンを主剤とする無溶剤型の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物は、クラフトテープの離型剤として使用されると、形成された硬化皮膜の滑り性が悪く、クラフトテープをダンボールなどに貼る作業がスムーズに行えず、また、粘着剤が完全に接着せず剥げ落ちることがあった。また、紙、ラミネート紙またはプラスチックフィルムに硬化皮膜を形成させた場合でも、硬化皮膜の滑り性が悪く、テープを傷つけたり、テープがスムーズに回転せず工程上で二次的なトラブルの原因になるという問題があった。
【0005】
さらに、この種の低粘度のビニル基含有ジオルガノポリシロキサンを主剤とした無溶剤型の付加反応硬化型オルガノポリシロキサン組成物を紙またはプラスチックフィルムに塗工し、硬化皮膜を形成させて剥離紙または剥離フィルムを製造すると、硬化皮膜の滑り性が悪いために、剥離紙または剥離フィルムを巻き取る前に硬化皮膜と金属ロールあるいはプラスチックロールとが接触することにより、硬化皮膜が傷ついたものとなったり、後で粘着塗工されたときに離型性のバラツキが生じたりして、剥離紙または剥離フィルムの巻き取りがスムーズに行えないという問題があった。
【0006】
硬化皮膜の滑り性を改善するため、特許文献4には、1)ビニル基含有量が0.5〜10.0モル%であり、粘度が50〜10,000cpsである直鎖状オルガノポリシロキサンと2)ビニル基含有量が少なく粘度が100,000cps以上である直鎖状オルガノポリシロキサンを主剤とした無溶剤型かつ付加反応硬化型の剥離紙用オルガノポリシロキサン組成物が提案されている。特許文献5には、ビニル基含有量が全有機基の0.5〜10.0%であり、粘度が50〜10,000cpsである直鎖状オルガノポリシロキサンと分子鎖末端に水酸基を有し粘度が100,000cps以上の実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサンを主剤とし、粘度が50〜10,000cpsである無溶剤型かつ付加反応硬化型の離型紙用シリコーン組成物が提案されている。しかし、これらの組成物は粘度が50〜10,000cpsである直鎖状のジオルガノポリシロキサンを多量に含有するので、その硬化皮膜は滑り性が十分満足できるものではなかった。
【0007】
一方、R3SiO1/2単位(=M単位)、R2SiO2/2単位(=D単位)もしくはRSiO3/2単位(=T単位)およびSiO4/2単位(=Q単位)からなり1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を有する共重合体を含有する無溶剤型かつ付加反応硬化型の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物や、R3SiO1/2単位(=M単位)とSiO4/2単位(=Q単位)からなるオルガノポリシロキサンレジンを主剤とする無溶剤型かつ付加反応硬化型の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物が提案されている(特許文献6、特許文献7)。さらに、前記のQ単位、特定数のD単位、M単位からなりアルケニル基を有する分岐状オルガノポリシロキサンを主剤とするヒドロシリル化反応硬化型のシリコーン系剥離コーティング組成物が提案されている(特許文献8、特許文献9)。しかしながら、これらの組成物、特に特許文献8と特許文献9の組成物は、硬化性、および、組成物を硬化させて形成された皮膜の基材への密着性、残留接着率等が優れるが、硬化皮膜の摩擦係数が大きく、滑り性の点で、十分に満足できるものではない。
【0008】
なお、特許文献8と特許文献9には、シリコーン系剥離コーティング組成物に、アルケニル化されたポリジオルガノシロキサン、例えばii)アルケニルジアルキルシリル末端ポリジオルガノシロキサン、好ましくはジメチルビニルシリル末端ポリジメチルシロキサンやジメチルヘキセニルシリル末端ポリジメチルシロキサンをさらに配合してもよく、アルケニル基を有する分岐状オルガノポリシロキサンが25〜85重量%であり、残余がii)アルケニルジアルキルシリル末端ポリジオルガノシロキサンであることが好ましいと記載されている。しかしながら、硬化皮膜の摩擦係数を小さくし、滑り性を向上させることに無意識であり、硬化皮膜の摩擦係数を小さくし、滑り性を向上させる手段について言及していない。
【0009】
【特許文献1】特開昭47−32072号公報
【特許文献2】特公昭53−3979号公報
【特許文献3】特開2004−307691号公報
【特許文献4】特開昭61−159480号公報
【特許文献5】特開昭61−264052号公報
【特許文献6】特開昭55−110155号公報
【特許文献7】特開2005−255928号公報
【特許文献8】特開2001−64390号公報
【特許文献9】EP 1070734A2
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記問題を解決すべくなされたものであり、硬化させると、基材への密着性、残留接着率が優れ、しかも、滑り性と粘着性物質に対する剥離性が向上した皮膜を形成することができる、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。また、基材への密着性、残留接着率が優れ、しかも、滑り性と粘着性物質に対する剥離性が向上した硬化皮膜を有するシート状基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、下記により達成することができる。
[1] (A)下記シロキサン単位(i)〜シロキサン単位(iii)からなり、複数のシロキサン単位(ii)からなる直鎖状部分とシロキサン単位(i)からなる分岐点とを有し、該直鎖状部分の末端がシロキサン単位(iii)で封鎖されており、25℃における粘度が10〜1,000mPa・sである、分岐構造を有する液状オルガノポリシロキサン。
(i) 式SiO4/2で表されるシロキサン単位:1またはそれ以上
(ii) 一般式R2SiO2/2で表されるシロキサン単位:15〜995
(iii) 一般式Ra2SiO1/2で表されるシロキサン単位
(式中、Raは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基およびフェニル基からなる群から選択される基であり、分子中のRaとRの少なくとも3つが炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基である。)100重量部、
(B) 平均構造式〔1〕:Rac2SiO(RbcSiO2/2n1(Rc2SiO2/2n2SiRc2a 〔1〕
(式中、Raは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rbは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、Rcは炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であり、分子中のRaとRbとRcの合計数の0〜0.1%が炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRbとRcの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、n1は0以上の数であり、n2は1以上の数であり、n1+n2は本成分の25℃における粘度を100,000mPa・s以上とする数である)で示され、25℃における粘度が100,000mPa・s以上であるジオルガノポリシロキサン: 0.5〜15重量部、
(C)25℃における粘度が1〜1,000mPa・sであり、かつ、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、ケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:そのケイ素原子結合水素原子と、成分(A) と成分(B)中のアルケニル基のモル比が0.8:1〜5:1であるような量、および、
(D)ヒドロシリル化反応触媒: 触媒量
からなることを特徴とする、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
[2] 成分(A)が、平均シロキサン単位式〔2〕:
(Ra2SiO1/2)4(R2SiO2/2)m(SiO4/2) 〔2〕
(式中、Raは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基およびフェニル基からなる群から選択される基であり、分子中のRaとRの少なくとも3つが炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、m=15〜995である)で表される分岐構造を有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、[1]に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
[3] 成分(A)が、平均シロキサン単位式〔3〕:
[(Rbc2SiO1/2)n(Rdc2SiO1/2)1-n]4(RbcSiO2/2)m1(Rc2SiO2/2)m2(SiO4/2) 〔3〕
(式中、Rbは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、Rcは炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であり、Rdは炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、分子中にRbが少なくとも3個存在し、分子中のRbとRcとRdの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、nは0または1であり、m1は0以上の数であり、m2は1以上の数であり、m1+m2=15〜995である)で表される分岐構造を有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、[2]に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
[4] 平均シロキサン単位式(2)中のRがメチル基であり、Raがビニル基であり、平均構造式(1)中のRaがビニル基、メチル基または水酸基であり、Rbがビニル基であり、Rcがメチル基であり、成分(C)中のアルキル基がメチル基であることを特徴とする、[2]に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
[5] 平均シロキサン単位式(3)中のRbがビニル基であり、Rcがメチル基であり、n=1であり、平均構造式(1)中のRaがビニル基、メチル基または水酸基であり、Rbがビニル基であり、Rcがメチル基であり、成分(C)中のアルキル基がメチル基であることを特徴とする、[3]に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
[6] 25℃における組成物全体の粘度が50〜2,000mPa・sであることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
[6-1] 25℃における組成物全体の粘度が50〜2,000mPa・sであることを特徴とする、[4]または[5]に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
[7] さらに(E)ヒドロシリル化反応抑制剤:0.001〜5重量部からなり、常温で非硬化性であり、加熱硬化性であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
[7-1] さらに(E)ヒドロシリル化反応抑制剤:0.001〜5重量部からなり、常温で非硬化性であり、加熱硬化性であることを特徴とする、 [6]または[6-1]に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
【0012】
[8] [1]〜[7]のいずれかに記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物をシート状基材上で薄膜状に硬化させてなる剥離性硬化皮膜を有するシート状基材。
[8-1] [7-1]に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物をシート状基材上で薄膜状に硬化させてなる剥離性硬化皮膜を有するシート状基材。
[9] シート状基材が、グラシン紙、クレーコート紙、ポリオレフィンラミネート紙、熱可塑性樹脂フィルムまたは金属箔であることを特徴とする、[8]または[8-1]に記載の剥離性硬化皮膜を有するシート状基材。
【発明の効果】
【0013】
本発明の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物は、シート状基材上で硬化させると、シート状基材への密着性、残留接着率が優れ、しかも、滑り性と粘着性物質に対する剥離性が向上した皮膜を形成する。
本発明の剥離性硬化皮膜を有するシート状基材は、基材への密着性、残留接着率が優れ、しかも、滑り性と粘着性物質に対する剥離性が優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物は、
(A)下記シロキサン単位(i)〜シロキサン単位(iii)からなり、複数のシロキサン単位(ii)からなる直鎖状部分とシロキサン単位(i)からなる分岐点とを有し、該直鎖状部分の末端がシロキサン単位(iii)で封鎖されており、25℃における粘度が10〜1,000mPa・sである、分岐構造を有する液状オルガノポリシロキサン。
(i) 式SiO4/2で表されるシロキサン単位:1またはそれ以上
(ii) 一般式R2SiO2/2で表されるシロキサン単位:15〜995
(iii) 一般式Ra2SiO1/2で表されるシロキサン単位
(式中、Raは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基およびフェニル基からなる群から選択される基であり、分子中のRaとRの少なくとも3つが炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基である。)100重量部、
(B) 平均シロキサン単位式〔1〕:
ac2SiO(RbcSiO2/2n1(Rc2SiO2/2n2SiRc2a 〔1〕
(式中、Raは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rbは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、Rcは炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であり、分子中のRaとRbとRcの合計数の0〜0.1%が炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRbとRcの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、n1は0以上の数であり、n2は1以上の数であり、n1+n2は本成分の25℃における粘度を100,000mPa・s以上とする数である)で示され、25℃における粘度が100,000mPa・s以上であるジオルガノポリシロキサン: 0.5〜15重量部、
(C)25℃における粘度が1〜1,000mPa・sであり、かつ、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、ケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:そのケイ素原子結合水素原子と、成分(A)と成分(B)中のアルケニル基のモル比が0.8:1〜5:1であるような量、および、
(D)ヒドロシリル化反応触媒: 触媒量
からなることを特徴とする。
【0015】
成分(A)は、下記シロキサン単位(i)〜シロキサン単位(iii)からなり、複数のシロキサン単位(ii)からなる直鎖状部分とシロキサン単位(i)からなる分岐点とを有し、該直鎖状部分の末端がシロキサン単位(iii)で封鎖されており、25℃における粘度が10〜1,000mPa・sである、分岐構造を有する液状オルガノポリシロキサンである。
(i) 式SiO4/2で表されるシロキサン単位:1またはそれ以上
(ii) 一般式R2SiO2/2で表されるシロキサン単位:15〜995
(iii) 一般式Ra2SiO1/2で表されるシロキサン単位
(式中、Raは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基およびフェニル基からなる群から選択される基であり、分子中のRaとRの少なくとも3つが炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基である。)。
なお、本明細書では、(i) 式SiO4/2で表されるシロキサン単位はQ単位、(ii) 一般式R2 SiO2/2で表されるシロキサン単位はD単位、(iii) 一般式Ra2SiO1/2で表されるシロキサン単位はM単位と略称されることがある。
【0016】
成分(A)は、(i)式SiO4/2で表されるシロキサン単位=1の場合は、SiO4/2を分岐点として、 (ii)一般式R2SiO2/2で表されるシロキサン単位からなる直鎖が4方向に伸びており、それら直鎖の末端に(iii)一般式Ra2SiO1/2で表されるシロキサン単位が結合している。したがって、成分(A) 中の(iii)一般式Ra2SiO1/2で表されるシロキサン単位数は、該直鎖の数に等しい数である。
かかる分岐構造を有するオルガノポリシロキサンは、平均シロキサン単位式〔4〕:
[(Ra2SiO1/2)(R2SiO2/2)m/4]4(SiO4/2) 〔4〕
で表すことができる。
【0017】
もっとも、Ra2SiO1/2単位がSiO4/2単位に直接結合したため、(ii)一般式R2SiO2/2で表されるシロキサン単位からなる直鎖が3方向や、2方向にしか伸びていない分子が混在することもあり得る。
かかる分岐構造を有するオルガノポリシロキサンは、平均シロキサン単位式〔2〕:
(Ra2SiO1/2)4(R2SiO2/2)m(SiO4/2) 〔2〕
で表すことができる。なお、(i)式SiO4/2で表されるシロキサン単位数は、1以上であり、例えば1以上〜4もあり得るが、オルガノポリシロキサンの特性上好ましくは1である。
【0018】
上記式中、Raは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基およびフェニル基からなる群から選択される基であり、分子中のRaとRの少なくとも3つが炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、m=15〜995である。なお、上記の平均シロキサン単位式〔4〕または平均シロキサン単位式〔2〕において、RaまたはRとして同一分子中に異なる上記の基が混在していてもよい。
【0019】
ここで、炭素原子数1〜8のアルキル基の代表例はメチル基であり、エチル基、プロピル基などがある。炭素原子数2〜8のアルケニル基の代表例はビニル基であり、アリル基、ヘキセニル基などがある。炭素原子数1〜8のアルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基などがある。
a2SiO1/2単位として、Vi(Me)2SiO1/2単位, He(Me)2SiO1/2単位, (Me)3SiO1/2単位, ViMePhSiO1/2単位,(HO)(Me)2SiO1/2単位が例示される(ここで、Vi はビニル基を、Heはヘキセニル基を、Meはメチル基を、Phはフェニル基を意味する。以下同様である)。
2SiO2/2単位として、(Me)2SiO2/2単位, ViMeSiO2/2単位, MePhSiO2/2単位が例示される。
なお、シート状基材への良好な密着性を発現するために、平均シロキサン単位式〔4〕と平均シロキサン単位式〔2〕において、Ra2SiO1/2単位が、Vi(Me)2SiO1/2単位, He(Me)2SiO1/2単位, ViMePhSiO1/2単位のように炭素原子数2〜8のアルケニル基を有するものが好ましい。
【0020】
上記の分岐構造を有するオルガノポリシロキサンは、詳しくは、
平均シロキサン単位式〔5〕:
[(Rbc2SiO1/2)n(Rdc2SiO1/2)1-n(RbcSiO2/2)m1/4(Rc2SiO2/2)m2/4]4(SiO4/2)〔5〕
で表すことができ、さらに
平均シロキサン単位式〔3〕:
[(Rbc2SiO1/2)n(Rdc2SiO1/2)1-n]4(RbcSiO2/2)m1(Rc2SiO2/2)m2(SiO4/2)〔3〕
で表すことができる。
上記式中、Rbは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、Rcは炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であり、Rdは炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、分子中にRbが少なくとも3個存在し、分子中のRbとRcとRdの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、nは0または1であり、m1は0以上の数であり、m2は1以上の数であり、m1+m2=15〜995となる数である。なお、上記の平均シロキサン単位式〔5〕または平均シロキサン単位式〔3〕において、Rb、RcまたはRdとして、同一分子中に異なる上記の基が混在していてもよい。m1が1以上の数である場合は、(RbcSiO2/2)単位と(Rc2SiO2/2)単位の配列は任意であるが、通常はランダムである。
【0021】
ここで、炭素原子数1〜8のアルキル基の代表例はメチル基であり、エチル基、プロピル基などがある。炭素原子数2〜8のアルケニル基の代表例はビニル基であり、アリル基、ヘキセニル基などがある。炭素原子数1〜8のアルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基などがある。
bc2SiO1/2単位としてVi(Me)2SiO1/2単位, He(Me)2SiO1/2単位, ViMePhSiO1/2単位が例示される。Rdc2SiO1/2単位として、(Me)3SiO1/2単位, (Me)2PhSiO1/2単位, (HO)(Me)2SiO1/2単位, (MeO)(Me)2SiO1/2単位が例示される。
bcSiO2/2単位としてViMeSiO2/2単位が例示される。Rc2SiO2/2単位として(Me)2SiO2/2単位, MePhSiO2/2単位が例示される。
【0022】
成分(A)は、そのケイ素原子結合アルケニル基が、成分(C)中のケイ素原子結合水素原子とヒドロシリル化反応して架橋する。そのため、1分子中に2個以上のアルケニル基を有することが必要であり、シート状基材への良好な密着性を発現するために1分子中に3個以上のアルケニル基を有することが必要であり、少なくとも4個の末端シロキサン単位にアルケニル基が存在することが好ましい。
成分(A)は、本発明にかかる無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物の主成分である。分岐構造を有しており、重合度が小さいので、直鎖状であり、粘度ひいては重合度が大きい成分(B)との相溶性が低い。そのためヒドロシリル化反応により形成された硬化皮膜の表面に成分(B)を効果的に浮き出させることができる。このため、少量の成分(B)を配合するだけで、優れた滑り性を硬化皮膜に付与することができる。
【0023】
かかる成分(A)は25℃における粘度が10〜1000mPa・sであるが、シート状基材上への塗布性と硬化皮膜の特性の点で、25℃における粘度が20〜500mPa・sであることが好ましい。
具体的には下記に示す平均シロキサン単位式で表される、分岐構造を有するオルガノポリシロキサンが例示される。
(1): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)2((CH3)2SiO)54(SiO4/2)
(2): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)1.8((CH3)2SiO)103(SiO4/2)
(3): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)21.9((CH3)2SiO)136(SiO4/2)
(4): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)18.2((CH3)2SiO)185(SiO4/2)
(5): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)8.2((CH3)2SiO)210(SiO4/2)
(6): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)43.5((CH3)2SiO)242(SiO4/2)
(7): (Vi(CH3)2SiO1/2)4((CH3)2SiO)56(SiO4/2)
(8): (Vi(CH3)2SiO1/2)4((CH3)2SiO)150(SiO4/2)
(9): (Vi(CH3)2SiO1/2)2((CH3)3SiO1/2)2(Vi(CH3)SiO2/2)2((CH3)2SiO)54(SiO4/2)
(10): (Vi(CH3)2SiO1/2)3((CH3)3SiO1/2)((CH3)2SiO)150(SiO4/2)
なお、成分(A)は異なるもの2種以上を併用してもよい。
【0024】
上記分岐構造を有するオルガノポリシロキサンは、前記シロキサン単位式(3)において表1に示す係数と粘度を有する。
【表1】

【0025】
かかる成分(A)は、特許文献8と特許文献9に記載された製法により製造することができる。例えば、[Vi(Me)2SiO1/2]4SiO4/2、オクタメチルシクロテトラシロキサン及び/またはテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン各所定量、及び触媒量のトリフルオロメタンスルホン酸を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で数時間撹拌し、触媒残渣を中和し、濾過し、濾液から低沸点物を除去することにより製造することができる。
生成物の平均シロキサン単位式は、原料シロキサンの仕込み比、NMR分析、ビニル基含有量の定量分析などにより算出することができる。
【0026】
(B) 平均構造式〔1〕:Rac2SiO (RbcSiO2/2n1(Rc2SiO2/2n2SiRc2a 〔1〕
(式中、Raは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rbは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、Rcは炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であり、分子中のRaとRbとRcの合計数の0〜0.1%が炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRbとRcの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、n1は0以上の数であり、n2は1以上の数であり、n1+n2は本成分の25℃における粘度を100,000mPa・s以上とする数である)で示され、25℃における粘度が100,000mPa・s以上であるジオルガノポリシロキサンは、硬化皮膜の粘着性物質に対する剥離性を向上し、硬化皮膜に滑り性を付与する作用がある。成分(B)は、成分(A)と成分(C)がヒドロシリル化反応により硬化して形成される皮膜上に、徐々に浮き出されて、硬化皮膜表面に優れた滑り性を付与する。
【0027】
ここで、炭素原子数1〜8のアルキル基の代表例はメチル基であり、エチル基、プロピル基などがある。炭素原子数2〜8のアルケニル基の代表例はビニル基であり、アリル基、ヘキセニル基などがある。炭素原子数1〜8のアルコキシ基としてメトキシ基、エトキシ基などがある。
ac2SiO1/2単位としてVi(Me)2SiO1/2単位, He(Me)2SiO1/2単位, ViMePhSiO1/2単位, (Me)3SiO1/2単位, (Me)2PhSiO1/2単位, (HO)(Me)2SiO1/2単位, (MeO)(Me)2SiO1/2単位が例示される。
bcSiO2/2単位としてViMeSiO2/2単位が例示される。
Rc2SiO2/2単位として(Me)2SiO2/2単位, MePhSiO2/2単位が例示される。
【0028】
成分(B)は、分子中にケイ素原子結合アルケニル基を有しており成分(C)とヒドロシリル化反応可能なもの、分子鎖末端にケイ素原子結合水酸基(シラノール基)を有しており成分(C)と縮合反応可能なもの、および、アルケニル基もシラノール基も有せず非反応性のものがある。硬化被膜の残留接着率の点で、分子中にアルケニル基を有しており成分(C)とヒドロシリル化反応可能なもの、ついで、分子鎖末端にケイ素原子結合水酸基(シラノール基)を有しており成分(C)と縮合反応可能なものが好ましい。
【0029】
分子中にケイ素原子結合アルケニル基を有しており成分(C)とヒドロシリル化反応可能なものは、アルケニル基含有量が多すぎると硬化被膜の剥離性および滑り性が低下するので、分子中のケイ素原子結合有機基の0(0を含まない)〜0.1モル%である。ケイ素原子結合アルケニル基は、分子鎖の末端のみ、側鎖のみ、末端と側鎖の両方に存在することができる。分子鎖末端にケイ素原子結合水酸基(シラノール基)を有するものは、側鎖にアルケニル基を有していてもよい。アルケニル基含有量は分子中のケイ素原子結合有機基の0(0を含まない)〜0.1モル%である。
【0030】
成分(B)は、25℃における粘度が100,000mPa・s以上であるが、残留接着率の点から1,000,000mPa・s以上が好ましく、常温で生ゴム状(ガム状)であることがより好ましい。生ゴム状(ガム状)であると、可塑度を測定可能であり、一見固形状であるが、その塊を放置しておくと徐々に高さが低くなり周辺に拡がってゆく。
【0031】
成分(B)として、具体的には、分子鎖末端がジメチルビニルシロキシ基,ジメチルアリルシロキシ基,ジメチルヘキセニルシロキシ基,ジメチルヒドロキシシロキシ基,トリメチルシロキシ基またはジメチルフェニルシロキシ基である、ジメチルポリシロキサン,ジメチルシロキサン・メチルオクチルシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン・メチルヘキセニルシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体が例示される。
なお、成分(B)は、末端基、側鎖、またはその両方が異なる2種以上を併用してもよい。
【0032】
成分(B)は、前記の成分(A)100重量部当たり0.5〜15重量部配合され、好ましくは1.0〜8重量部配合される。その配合量が前記下限より少ないと硬化皮膜表面の滑り性が不十分であり、前記上限を超えるとオルガノポリシロキサン組成物の粘度が高くなりすぎて、シート状基材への薄膜コーティングに支障をきたす。
【0033】
(C)25℃における粘度が1〜1,000mPa・sであり、かつ、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、ケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、成分(A)の架橋剤として機能する。そのケイ素原子結合水素原子が、成分(A)中のケイ素原子結合アルケニル基とヒドロシリル化反応して架橋する。成分(B)がケイ素原子結合アルケニルを有する場合は、成分(B)中のケイ素原子結合アルケニル基ともヒドロシリル化反応する。
そのため、1分子中に2個以上のケイ素原子結合水素原子を有することが必要であり、1分子中に3個以上のケイ素原子結合水素原子を有することが好ましい。
【0034】
ケイ素原子結合水素原子の結合位置は特に限定されず、分子鎖末端、側鎖、これら両方が例示される。
ケイ素原子結合水素原子の含有量は0.1〜20重量%であることが好ましく、0.5〜18重量%であることがより好ましい。
【0035】
ケイ素原子に結合する有機基としてメチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基,オクチル基等の炭素原子数1〜8のアルキル基とフェニル基があるが、それらの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であることが好ましい。かかるアルキル基のうちでは、硬化被膜特性と製造容易性の点でメチル基が好ましい。成分(C)の分子構造として、直鎖状,分岐鎖状,分岐状、環状が例示される。
【0036】
成分(C)の25℃における粘度は1〜1,000mPa・sであり、好ましくは5〜500mPa・sである。これは、25℃における粘度が1mPa・s未満であると、成分(C)がオルガノポリシロキサン組成物中から揮発し易く、1,000mPa・sを超えると、オルガノポリシロキサン組成物の硬化時間が長くなるためである。
【0037】
このような成分(C)として、具体的には、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン,両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体,両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体,環状メチルハイドロジェンポリシロキサン,環状メチルハイドロジェンシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、トリス(ジメチルハイドロジェンシロキシ)メチルシラン、テトラ(ジメチルハイドロジェンシロキシ)シランが例示される。
なお、成分(C)は、異なるもの2種以上を併用してもよい。
【0038】
成分(C)の配合量は、そのケイ素原子結合水素原子と、成分(A) と成分(B)中のアルケニル基のモル比が0.8:1〜5:1であるような量であり、好ましくは、該モル比が0.9:1〜3:1であるような量である。
同モル比が前記下限より小さいと硬化性が低下し、前記上限を超えると剥離抵抗値が大きくなり、実用的な剥離性が得られなくなる。
【0039】
成分(D)は、成分(C)中のケイ素原子結合水素原子と成分(A)中のケイ素原子結合アルケニル基とのヒドロシリル化反応を促進するための触媒であり、成分(A)と(C)成分とを付加反応により架橋させる成分である。成分(B)が1分子中に1個以上のケイ素原子結合アルケニル基を有する場合は成分(B)中のケイ素原子結合アルケニル基とのヒドロシリル化反応を促進するための触媒である。
このような成分(D)は、ヒドロシリル化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、具体的には、塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸,塩化白金酸のオレフィン錯体,塩化白金酸とケトン類との錯体,白金とアルケニルシロキサンとの錯体、四塩化白金、白金微粉末、アルミナ粉末またはシリカ粉末の担体に固体状白金を担持させたもの、白金黒、白金のオレフィン錯体、白金のカルボニル錯体、これらの白金系触媒を含むメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、シリコーン樹脂等の熱可塑性有機樹脂粉末の白金系触媒が例示される。
【0040】
さらに、式:[Rh(O2CCH3)2]2、Rh(O2CCH3)3、Rh2(C8152)4、Rh(C572)3、Rh(C572)(CO)2、Rh(CO)[Ph3P](C572)、RhX3[(R)2S]3、(R3P)2Rh(CO)X、(R3P)2Rh(CO)H、Rh224、HaRhb(E)cCld、またはRh[O(CO)R]3-n(OH)nで表されるロジウム系触媒(式中、Xは水素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子であり、Yはアルキル基、CO、C814であり、Rはアルキル基、シクロアルキル基、またはアリール基であり、Rはアルキル基、アリール基、アルキルオキシ基、またはアリールオキシ基であり、Eはオレフィンであり、aは0または1であり、bは1または2であり、cは1〜4の整数であり、dは2、3、または4であり、nは0または1である。);式:Ir(OOCCH3)3、Ir(C572)3、[Ir(Z)(E)2]2、または[Ir(Z)(Dien)]2で表されるイリジウム系触媒(式中、Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、またはアルコキシ基であり、Eはオレフィンであり、Dienはシクロオクタジエンである。)が例示される。
【0041】
反応促進性の点で、塩化白金酸,白金とビニルシロキサンとの錯体、白金のオレフィン錯体が好ましく、塩化白金酸とジビニルテトラメチルジシロキサンとの錯体,塩化白金酸とテトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンとの錯体,白金・ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体,白金テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン錯体等の白金アルケニルシロキサン錯体が特に好ましい。
【0042】
成分(D)の配合量は触媒量であればよく、通常、本発明の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物の全重量に対し、成分(D)が含有する金属重量で1〜1,000ppmであり、好ましくは5〜500ppmの範囲とすることが好ましい。
【0043】
本発明の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物は、上記成分以外に、常温下でのゲル化、硬化を抑制して保存安定性を向上させ、加熱硬化性とするために、(E)ヒドロシリル化反応抑制剤を含有することが好ましい。ヒドロシリル化反応抑制剤として、アセチレン系化合物、エンイン化合物、有機窒素化合物、有機燐化合物、オキシム化合物が例示され、具体的には、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンチン−3−オール、フェニルブチノール等のアルキニルアルコール;3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−イン、ベンゾトリアゾール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、メチルビニルシクロシロキサンが例示される。このヒドロシリル化反応抑制剤の配合量は、通常、成分(A)100重量部当り0.001〜5重量部の範囲内であり、好ましくは0.01〜2重量部の範囲内であるが、本成分の種類、ヒドロシリル化反応触媒の性能と含有量、成分(A)中のアルケニル基量、成分(C)中のケイ素原子結合水素原子量に応じて適宜選定するとよい。
【0044】
本発明組成物は成分(A)〜成分(D)からなり、必要に応じてさらに成分(E)からなるものであるが、硬化被膜の粘着性物質に対する剥離力を低下させるためにアルケニル基含有オルガノポリシロキサンレジンをさらに配合してもよい。また、塗工液の粘度を大きくするためにシリカ微粉末等の増粘剤をさらに配合してもよい。さらには、本発明の目的、効果を損なわないかぎり耐熱剤,染料,顔料等の公知の添加剤をさらに配合してもよい。また、本発明組成物はシート状基材へのコーティング性の点で、25℃における組成物全体の粘度が50〜2,000mPa・sの範囲にあることが好ましい。
【0045】
本発明組成物は、前記成分(A)〜成分(D)、成分(A)〜成分(E)、あるいはこれら成分と他の任意成分を均一に混合することにより製造することができる。各成分の配合順序は特に制限されるものではないが、混合後、直ちに使用しないときは、成分(A)、成分(B)および成分(C)の混合物と、成分(D)を別々に保存しておき、使用直前に両者を混合することが好ましい。また、成分(A)〜成分(E)からなる組成物において、成分(E)の種類の選択と配合量を調整することにより、常温では架橋せず、加熱すると架橋して硬化するようにした組成物も好ましい。
【0046】
以上のような本発明の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物を、グラシン紙、ダンボール紙、クレーコート紙、ポリオレフィンラミネート紙、特にはポリエチレンラミネート紙、熱可塑性樹脂フィルム(例えばポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルム)、天然繊維布、合成繊維布、金属箔(例えばアルミニウム箔)等の各種シート状基材表面に均一に塗工し、成分(A)と成分(C)がヒドロシリル化反応して架橋するのに十分な条件下で加熱すると、これらのシート状基材表面に、滑り性に優れ、粘着性物質に対して適度な剥離抵抗を有する硬化皮膜を形成する。
【0047】
シート状基材上での本発明の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物の硬化温度は、一般に50〜200℃が適切であるが、基材の耐熱性が良好であれば200℃以上でもよい。加熱方法は特に限定されるものではなく、熱風循環式オーブン中での加熱、長尺の加熱炉への通過、赤外線ランプやハロゲンランプによる熱線輻射が例示される。また、加熱と紫外線照射を併用して硬化させてもよい。成分(D)が白金アルケニルシロキサン錯体触媒であると、その配合量が組成物の合計量部当り白金金属量で50〜200ppmであっても、100〜150℃で40〜1秒間という短時間で、シート状基材への密着性に優れ、粘着性物質に対する剥離性の優れた硬化皮膜を容易に得ることができる。
【0048】
本発明の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物をシート状基材表面に塗工するためのコーターは、特に限定されず、ロールコーター,グラビヤコーター,エアーコーター,カーテンフローコーター,オフセット転写ロールコーターが例示される。シート状基材表面に本発明の剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物を塗工し硬化させてなる剥離性シートないしフィルムに適用する粘着性物質は、各種粘着剤、各種接着剤等であり、アクリル樹脂系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤;アクリル樹脂系接着剤、合成ゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤が例示される。また、アスファルト、餅のような粘着性食品、糊、鳥もちが例示される。
【0049】
本発明組成物は、表面の滑り性と粘着性物質に対する剥離性に優れた硬化皮膜を形成させるのに有用であり、特に工程紙、アスファルト包装紙、各種プラスティックフィルムの剥離性硬化皮膜形成剤として好適である。また、本発明組成物を硬化させてなる剥離性皮膜を有するシート状基材は、特に工程紙、粘着物質包装紙、粘着テープ、粘着ラベル等に好適に使用することができる。
【実施例】
【0050】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。なお、下記の実施例および比較例において、部とppmはいずれも重量部と重量ppmである。粘度および可塑度は以下に示す方法により25℃において測定した。また、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物の硬化皮膜の滑り性、粘着性物質に対する剥離性は、以下に示す方法により動摩擦係数,剥離抵抗値をそれぞれ25℃において測定することにより評価した。
【0051】
[粘度]
オルガノポリシロキサンと無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物の粘度は、25℃においてデジタル表示粘度計(芝浦システム株式会社製のビスメトロンVDA2型)に2号ローターを装着してローター回転数30rpmの条件で測定した。
[可塑度]
JIS K6249:2003「未硬化及び硬化シリコーンゴムの試験方法」の8.可塑度試験に従い平行板可塑度計を使用して測定した。
【0052】
[剥離抵抗値]
無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物を、印刷適正試験機[(株)明製作所製;RI−2]を用いてポリエチレンラミネート紙またはグラシン紙の表面にシロキサン換算で1.0g/mとなる量塗工した後、熱風循環式オーブン中で120℃で30秒間加熱することにより、硬化皮膜を形成させた。この硬化皮膜面にアクリル系溶剤型粘着剤[東洋インキ製造株式会社製、商品名オリバインBPS−5127]を固形分で30g/mとなるようにアプリケーターを用いて均一に塗布し、温度70℃で2分間加熱した。次いで、このアクリル系粘着剤面に坪量64g/mの上質紙を貼合わせ、得られた貼合わせ紙を5cm幅に切断して試験片を作成した。該試験片を温度25℃、湿度60%の空気中に20時間放置した。この後、引っ張り試験機を用いて、この試験片のポリエチレンラミネート紙またはグラシン紙と上質紙を角度180度、剥離速度0.3m/minの条件で反対方向に引張り、剥離に要した力(N)を測定した。
ついで、上記で得られた貼合わせ紙を2.5cm幅に切断して試験片を作成し、剥離速度100m/minとした以外は上記同様の条件で剥離に要した力(N)を測定した。
【0053】
[動摩擦係数]
上記の剥離抵抗値の測定と同じ条件で、2枚の硬化皮膜を形成させた。これらの硬化皮膜を、硬化皮膜面同士が接触するように重ね合わせ、高速剥離試験機を使用して荷重200g、引張速度5m/minの条件で引っ張り、引っ張りに要した力(g)を測定した。引っ張りに要した力(g)/200(g)を硬化皮膜の動摩擦係数とした。
【0054】
[残留接着率]
試料の硬化皮膜表面にポリエステルテープ・ルミラー31B(日東電工株式会社製)を貼り合わせ、20g/cmの荷重を載せた状態で、70℃で20時間エージングした後、テープを剥がし、ステンレススチール板に貼りつけた。次いで、このテープをステンレススチール板表面に対し180°の角度で剥離速度300mm/分で引張り、剥離するのに要する力(g)を測定した。
一方ポリテトラフルオルエチレンシート上に同様にポリエステルテープ・ルミラー31B(日東電工株式会社製)を貼り合わせ、20g/cmの荷重を載せた状態で、70℃で20時間エージングした後、テープを剥がし、ステンレス板に貼りつけた。次いで、このテープをステンレススチール板表面に対し180°の角度で剥離速度300mm/分で引張り、剥離するのに要する力(g)を測定した。
このポリテトラフルオルエチレンシート上の値を100として、硬化皮膜表面に貼り合わせた場合に要した力を百分率で示し、残留接着率とした。
【0055】
実施例で使用する成分(A)は、下記の平均シロキサン単位式で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサンである。Viはビニル基を意味する。
(1): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)2((CH3)2SiO)54(SiO4/2)
(2): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)1.8((CH3)2SiO)103(SiO4/2)
(3): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)21.9((CH3)2SiO)136(SiO4/2)
(4): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)18.2((CH3)2SiO)185(SiO4/2)
(5): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)8.2((CH3)2SiO)210(SiO4/2)
(6): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)43.5((CH3)2SiO)242(SiO4/2)
(7): (Vi(CH3)2SiO1/2)4((CH3)2SiO)56(SiO4/2)
(8): (Vi(CH3)2SiO1/2)4((CH3)2SiO)150(SiO4/2)
【0056】
[合成例1](1): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)2((CH3)2SiO)54(SiO4/2)の合成
[Vi(CH3)2SiO1/2]4SiO4/2(21.6g)、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(8.60g)。オクタメチルシクロテトラシロキサン(200g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で6時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物に炭酸カルシウム粉末(1.0g)を添加して3時間撹拌し、濾過した。濾液を約150℃の温度、40ミリバール(4,000Pa)の圧力で、2時間ストリッピングした。ストリッピング残渣の粘度は46mPa・sであり、ビニル基含有量は3.5重量%であった。
【0057】
[合成例2](2): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)1.8((CH3)2SiO)103(SiO4/2)の合成
[Vi(CH3)2SiO1/2]4SiO4/2(21.6g)、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(7.74g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(381g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で6時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物に炭酸カルシウム粉末(1.0g)を添加して3時間撹拌し、濾過した。濾液を約150℃の温度、40ミリバール(4,000Pa)の圧力で、2時間ストリッピングした。ストリッピング残渣の粘度は122mPa・sであり、ビニル基含有量は1.9重量%であった。
【0058】
[合成例3](3): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)21.9((CH3)2SiO)136(SiO4/2)の合成
[Vi(CH3)2SiO1/2]4SiO4/2(21.6g)、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(94.2g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(503g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で6時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物に炭酸カルシウム粉末(1.0g)を添加して3時間撹拌し、濾過した。濾液を約150℃の温度、40ミリバール(4,000Pa)の圧力で、2時間ストリッピングした。ストリッピング残渣の粘度は111mPa・sであり、ビニル基含有量は5.6重量%であった。
【0059】
[合成例4](4): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)18.2((CH3)2SiO)185(SiO4/2)の合成
[Vi(CH3)2SiO1/2]4SiO4/2(21.6g)、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(78.3g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(685g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で6時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物に炭酸カルシウム粉末(1.0g)を添加して3時間撹拌し、濾過した。濾液を約150℃の温度、40ミリバール(4,000Pa)の圧力で、2時間ストリッピングした。ストリッピング残渣の粘度は235mPa・sであり、ビニル基含有量は3.8重量%であった。
【0060】
[合成例5](5): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)8.2((CH3)2SiO)210(SiO4/2)の合成
[Vi(CH3)2SiO1/2]4 SiO4/2(21.6g)、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(35.3g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(777g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で6時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物に炭酸カルシウム粉末(1.0g)を添加して3時間撹拌し、濾過した。濾液を約150℃の温度、40ミリバール(4,000Pa)の圧力で、2時間ストリッピングした。ストリッピング残渣の粘度は366mPa・sであり、ビニル基含有量は2.0重量%であった。
【0061】
[合成例6](6): (Vi(CH3)2SiO1/2)4(Vi(CH3)SiO2/2)43.5((CH3)2SiO)242(SiO4/2)の合成
[Vi(CH3)2SiO1/2]4SiO4/2(21.6g)、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン(187g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(895g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で6時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物に炭酸カルシウム粉末(1.0g)を添加して3時間撹拌し、濾過した。濾液を約150℃の温度、40ミリバール(4,000Pa)の圧力で、2時間ストリッピングした。ストリッピング残渣の粘度は375mPa・sであり、ビニル基含有量は5.8重量%であった。
【0062】
[合成例7](7): (Vi(CH3)2SiO1/2)4((CH3)2SiO)56(SiO4/2)の合成
[Vi(CH3)2SiO1/2]4SiO4/2(21.6g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(207g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で6時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物に炭酸カルシウム粉末(1.0g)を添加して3時間撹拌し、濾過した。濾液を約150℃の温度、40ミリバール(4,000Pa)の圧力で、2時間ストリッピングした。ストリッピング残渣の粘度は47mPa・sであり、ビニル基含有量は2.4重量%であった。
【0063】
[合成例8](8): (Vi(CH3)2SiO1/2)4((CH3)2SiO)150(SiO4/2)の合成
[Vi(CH3)2SiO1/2]4SiO4/2(21.6g)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(555g)及びトリフルオロメタンスルホン酸(1.2g)を、反応容器に装填し、80〜90℃の温度で6時間撹拌した。次いで、得られた反応混合物を室温まで冷却した。冷却した反応混合物に炭酸カルシウム粉末(1.0g)を添加して3時間撹拌し、濾過した。濾液を約150℃の温度、40ミリバール(4,000Pa)の圧力で、2時間ストリッピングした。ストリッピング残渣の粘度は160mPa・sであり、ビニル基含有量は0.90重量%であった。
【0064】
[実施例1]
(A)上記平均シロキサン単位式(1)で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサン(粘度46mPa・s)100部、
(B)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン生ゴム(ビニル基含有量0.02重量%、7.4x10−4モル%;可塑度140)3.0部、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度25mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)6.6部(ケイ素原子結合水素原子とビニル基のモル比は1.3である)、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量100ppmとなる量添加し混合して、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物(粘度90mPa・s)を得た。得られたオルガノポリシロキサン組成物をポリエチレンラミネート紙上で硬化させて得た硬化皮膜の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0065】
[実施例2〜実施例7]
(A)上記平均シロキサン単位式(2) で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサンから上記平均シロキサン単位式(7) で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサンのいずれか100部、(B)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン生ゴム(ビニル基含有量0.02重量%、7.4x10−4モル%;可塑度140)3.0部、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度25mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)を、ケイ素原子結合水素原子とビニル基のモル比が1.3になるような部数、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量100ppmとなる量添加し混合して、表2に示す粘度の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物を得た。得られたオルガノポリシロキサン組成物をポリエチレンラミネート紙上で硬化させて得た硬化皮膜の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0066】
[実施例8]
実施例7において、シート状基材であるポリエチレンラミネート紙の代わりのグラシン紙を用いたほかは同様の条件で測定した結果を表4に示した。
【表2】

【0067】
[実施例9]
(A)上記平均シロキサン単位式(1)で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサン(粘度46mPa・s) 100部、
(B)分子鎖両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン生ゴム(可塑度140)3.0部、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度25mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)6.6部、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量100ppmとなる量添加し混合して表3中の粘度で示す無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物を得た。得られたオルガノポリシロキサン組成物を前記の方法で硬化させて得た硬化皮膜の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0068】
[実施例10]
(A)上記平均シロキサン単位式(1)で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサン(粘度46mPa・s) 100部、
(B)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体生ゴム(ビニル基含有量0.063重量%、2.3x10−3モル%;可塑度140)3.0部、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度25mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)6.6部、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量100ppmとなる量添加し混合して、表3に示す粘度を有する無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物を得た。得られたオルガノポリシロキサン組成物を前記の方法で硬化させて得た硬化皮膜の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0069】
[実施例11]
(A)上記シロキサン単位式(1)で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサン(粘度46mPa・s)100部、
(B)分子鎖両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサン生ゴム(可塑度140)3.0部、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度25mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)6.6部、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量100ppmとなる量添加し混合して、表3中の粘度で示す無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物を得た。得られたオルガノポリシロキサン組成物を前記の方法で硬化させて得た硬化皮膜の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0070】
【表3】

【0071】
[比較例1]
下記平均構造式で示される分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(粘度60mPa・s)100部、
【化1】

(B)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン生ゴム(ビニル基含有量0.02重量%、7.4x10−4モル%;可塑度140)3.0部、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度20mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)4.8部、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量が100ppmとなる量添加し混合して、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物(粘度250mPa・s)を得た。得られた組成物の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0072】
[比較例2]
下記平均構造式で示される分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体(粘度70mPa・s)100部、
【化2】

(B)分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン生ゴム(ビニル基含有量0.02重量%、7.4x10−4モル%;可塑度140)3.0部、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度20mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)8.1部、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量が100ppmとなる量添加し混合して、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物(粘度200mPa・s)を得た。得られた組成物の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0073】
[比較例3]
下記平均構造式で示される分子鎖両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン(粘度400mPa・s)100部、
【化3】

(B1)分子鎖末端がジメチルビニルシロキシ基およびトリメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体(ジフェニルシロキサン単位を5モル%含有、粘度50,000mPa・s)1.0部、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度20mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)2.0部および(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量が100ppmとなる量添加し混合して、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物(粘度400mPa・s)を得た。得られた組成物の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0074】
[比較例4]
(A)上記平均シロキサン単位式(4)で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサン(粘度235mPa・s)100重部に、(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度20mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)11.3部、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量が100ppmとなる量添加し混合して、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物(粘度180mPa・s)を得た。得られた組成物の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0075】
[比較例5]
(A)上記平均シロキサン単位式(8)で示される分岐構造を有するメチルビニルポリシロキサン(粘度160mPa・s)100重部に(C)分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン(粘度20mPa・s、ケイ素原子結合水素原子含有量1.6重量%)2.8部、(E)1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.30部を均一に混合した。この混合物に、(D)塩化白金酸・1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体(白金金属含有率0.60重量%)を白金金属量が100ppmとなる量添加し混合して、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物(粘度150mPa・s)を得た。得られた組成物の動摩擦係数、剥離抵抗値を測定し、それらの結果を表4に示した。
【0076】
【表4】

【0077】
以上の結果より、実施例1〜実施例11の硬化皮膜は、比較例1〜比較例5の硬化皮膜に比して、その動摩擦係数が小さいこと、したがって滑り性が優れていることがわかった。実施例1〜実施例11の硬化皮膜は比較例1〜比較例3の硬化皮膜に比して、高速剥離時の剥離抵抗値が小さいこと、したがって粘着性物質への剥離性が優れていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明に係る無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物は、シート状基材表面に、滑り性および粘着性物質に対する剥離性に優れた硬化皮膜を形成するのに有用である。本発明に係る前記組成物の硬化皮膜を有するシート状基材は、工程紙、粘着物質包装紙、粘着テープ、粘着ラベル等に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記シロキサン単位(i)〜シロキサン単位(iii)からなり、複数のシロキサン単位(ii)からなる直鎖状部分とシロキサン単位(i)からなる分岐点とを有し、該直鎖状部分の末端がシロキサン単位(iii)で封鎖されており、25℃における粘度が10〜1,000mPa・sである、分岐構造を有する液状オルガノポリシロキサン。
(i) 式SiO4/2で表されるシロキサン単位:1またはそれ以上
(ii) 一般式R2SiO2/2で表されるシロキサン単位:15〜995
(iii) 一般式Ra2SiO1/2で表されるシロキサン単位
(式中、Raは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基およびフェニル基からなる群から選択される基であり、分子中のRaとRの少なくとも3つが炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基である。)100重量部、
(B) 平均構造式〔1〕:Rac2SiO(RbcSiO2/2n1(Rc2SiO2/2n2SiRc2a 〔1〕
(式中、Raは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rbは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、Rcは炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であり、分子中のRaとRbとRcの合計数の0〜0.1%が炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRbとRcの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、n1は0以上の数であり、n2は1以上の数であり、n1+n2は本成分の25℃における粘度を100,000mPa・s以上とする数である)で示され、25℃における粘度が100,000mPa・s以上であるジオルガノポリシロキサン: 0.5〜15重量部、
(C)25℃における粘度が1〜1,000mPa・sであり、かつ、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子結合水素原子を有し、ケイ素原子結合有機基が炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であるオルガノハイドロジェンポリシロキサン:そのケイ素原子結合水素原子と、成分(A) と成分(B)中のアルケニル基のモル比が0.8:1〜5:1であるような量、および、
(D)ヒドロシリル化反応触媒: 触媒量
からなることを特徴とする、無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項2】
成分(A)が、平均シロキサン単位式〔2〕:
(Ra2SiO1/2)4(R2SiO2/2)m(SiO4/2) 〔2〕
(式中、Raは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基、フェニル基、炭素原子数1〜8のアルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、Rは、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数2〜8のアルケニル基およびフェニル基からなる群から選択される基であり、分子中のRaとRの少なくとも3つが炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、分子中のRaとRの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、m=15〜995である)で表される分岐構造を有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項3】
成分(A)が、平均シロキサン単位式〔3〕:
[(Rbc2SiO1/2)n(Rdc2SiO1/2)1-n]4(RbcSiO2/2)m1(Rc2SiO2/2)m2(SiO4/2) 〔3〕
(式中、Rbは炭素原子数2〜8のアルケニル基であり、Rcは炭素原子数1〜8のアルキル基またはフェニル基であり、Rdは炭素原子数1〜8のアルキル基、アルコキシ基および水酸基からなる群から選択される基であり、分子中にRbが少なくとも3個存在し、分子中のRbとRcとRdの合計数の50%以上が炭素原子数1〜8のアルキル基であり、nは0または1であり、m1は0以上の数であり、m2は1以上の数であり、m1+m2=15〜995である)で表される分岐構造を有するオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、請求項2に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項4】
平均シロキサン単位式(2)中のRがメチル基であり、Raがビニル基であり、平均構造式(1)中のRaがビニル基、メチル基または水酸基であり、Rbがビニル基であり、Rcがメチル基であり、成分(C)中のアルキル基がメチル基であることを特徴とする、請求項2に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項5】
平均シロキサン単位式(3)中のRbがビニル基であり、Rcがメチル基であり、n=1であり、平均構造式(1)中のRaがビニル基、メチル基または水酸基であり、Rbがビニル基であり、Rcがメチル基であり、成分(C)中のアルキル基がメチル基であることを特徴とする、請求項3に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項6】
25℃における組成物全体の粘度が50〜2,000mPa・sであることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項7】
さらに(E)ヒドロシリル化反応抑制剤:0.001〜5重量部からなり、常温で非硬化性であり、加熱硬化性であることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物。
【請求項8】
請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の無溶剤型剥離性硬化皮膜形成性オルガノポリシロキサン組成物をシート状基材上で薄膜状に硬化させてなる剥離性硬化皮膜を有するシート状基材。
【請求項9】
シート状基材が、グラシン紙、クレーコート紙、ポリオレフィンラミネート紙、熱可塑性樹脂フィルムまたは金属箔であることを特徴とする、請求項8に記載の剥離性硬化皮膜を有するシート状基材。

【公開番号】特開2008−179782(P2008−179782A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323710(P2007−323710)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【出願人】(500295461)ダウ コーニング コーポレーション (15)
【Fターム(参考)】