説明

無灰制御放出ゲル

本発明は、潤滑剤中に灰分を生成しないか灰分を実質的に生成しない、添加剤を供給するための制御放出ゲルに関する。さらに、本発明は、潤滑剤中に添加剤(複数可)を制御放出する方法を提供する。また本発明は、改良された酸中和性能、有効性および放出の低減を有する無灰ゲル配合物の制御放出を提供する。本発明は、1)無灰分散剤;2)その骨格中に酸基を含むポリマーから形成される酸、多価酸化合物およびその混合物からなる群から選択される酸;ならびに、3)場合により、その他の潤滑添加剤を含み、灰分を実質的にほとんど生成しないか灰分を生成しない潤滑添加剤制御放出ゲルを生じる、潤滑添加剤ゲルを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤中に添加剤を放出する制御放出ゲルであって、潤滑剤中に灰分の生成が実質的にないか、灰分を生成しないゲルに関する。さらに、本発明は、灰分含有成分を添加することなく、または実質的に灰分含有成分を含まない、潤滑剤中への添加剤の放出を制御するゲルに関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤組成物、特にクランクケースモーターオイルは、無灰潤滑剤、即ち、硫酸灰分を形成する金属を含まないものを供給することが望ましい。無灰潤滑剤は、燃焼チャンバー堆積物を減少させるので有利である。さらに、灰分を含まない酸中和添加剤は、オイル中の硫酸灰分の形成を削除することになる。
【0003】
燃焼過程によりオイル中に形成する酸を中和する従来の手段は、潤滑剤中に清浄剤などの塩基性添加剤成分を使用することによる。清浄剤は、一般に、カルシウムまたはマグネシウムなどの多少の灰分を形成する金属元素を含む。オイルからの硫酸灰分は粒子の放出およびディーゼル粒子フィルターの詰まりの一因となると考えられており、したがって、オイル中の硫酸灰分に対する制御的限界が予想される。したがって、潤滑剤中への灰分を含まない酸中和添加剤の使用は、オイル中の硫酸灰分を削除することになり、それによって法規制への適合を可能にする。
【0004】
本発明は、無灰添加剤の潤滑剤を提供する。
【0005】
潤滑添加剤は、エンジンまたはその他の動力装置が動作するにつれて、オイルの温度および化学的に過酷な環境によって徐々に劣化する。したがって、オイルが老化するにつれて、オイルは劣化に伴いその性能の有効性を失う。潤滑ゲル中に添加剤を取り込むと、放出するまでは添加剤成分を劣化から防護し、それによって、潤滑剤の性能の有効性を改良する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、改良された酸中和性能、有効性および放出の低減を有する無灰ゲル配合物の制御放出を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
1)無灰分散剤;
2)その骨格中に酸基を含むポリマーから形成される酸、多価酸化合物およびその
混合物からなる群から選択される酸;ならびに
3)場合により、その他の潤滑添加剤
を含み、
灰分を実質的にほとんど生成しないか灰分を生成しない潤滑添加剤制御放出ゲルを生じる、潤滑添加剤ゲル(lubricant additive gel)を提供する。
【0008】
本発明は、潤滑剤を潤滑添加剤制御放出ゲルと接触させることによって、生成性の灰分含有成分を添加せずに、および他の実施形態では、灰分を生成する成分を実質的に含まない添加剤を添加して、潤滑剤に1種または複数の所望の添加剤を供給する制御放出法を提供する。
【0009】
この制御放出ゲルは、限定するものではないが、内燃機関、天然ガスエンジン、定置機関、船舶用ディーゼルエンジン、動力装置、油圧システム、潤滑機械システム、変速機システム、ギヤ、差動装置、金属加工冷却システム、工業用潤滑システム等を含む任意の潤滑調整装置中で使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、潤滑剤中に成分を制御放出する潤滑添加剤ゲルであって、この成分は、ゲルおよびこのゲルが所望の添加剤を放出する潤滑剤の所望の性能必要条件を満たすようにゲル中に特に配合されるゲルを提供する。この制御放出ゲルは、
1)無灰分散剤;
2)その骨格中に酸基を含むポリマーから形成される酸、多価酸化合物およびその混合物からなる群から選択される酸;ならびに
3)場合により、潤滑添加剤
を含む。
【0011】
上記成分1、即ち、無灰分散剤の上記成分2、即ち、酸に対する重量比は、約0.1〜約100であり、他の実施形態では約1〜約50である。
【0012】
この添加剤組成物はゲルの形態である。この組成物は、組み合わせた場合ゲルを形成する、無灰分散剤と酸の混合物である。この制御放出ゲルは、灰分を生成する成分を実質的に含まず、他の実施形態では、灰分を生成する成分が存在しない。この酸に対するこの無灰分散剤の重量比は、約0.1〜約100であり、他の実施形態では約1〜約50である。
【0013】
ゲルは、2種以上の物質の混合物を含み、液体より固体様の半固体状態で存在する物質である。このゲルは、液体より固体様の半固体状態で存在する。Parker、Dictionary of Scientific and Technical Terms、第5版、MacGraw Hill、(著作権)1994年参照。また、Larson、「The structure and rheology of Complex Fluids」、第5章、Oxford University Press、New York、ニューヨーク州、(著作権)1999年参照(それぞれを参照により本明細書に援用する)。ゲルのレオロジー特性は、小振幅振動せん断試験によって測定することができる。この技術は、ゲルの構造的特性を測定し、弾性エネルギーの貯蔵を表す貯蔵弾性率およびそのエネルギーの粘性散逸を表す損失弾性率と呼ばれる項を生じる。損失弾性率/貯蔵弾性率の比は、損失正接、または「tanδ」と呼ばれ、液体様物質について≧1であり、固体様物質について≦1である。この添加剤ゲルは、一実施形態では約≦0.75、他の実施形態では約≦0.5および他の実施形態では約≦0.3のtanδ値を有する。このゲルは、一実施形態では約≦1、一実施形態では約≦0.75、一実施形態では約≦0.5または一実施形態では約≦0.3のtanδ値を有する。
【0014】
この添加剤ゲルは、混合された場合ゲルを形成する、少なくとも2種の添加剤を含む。この添加剤ゲルは、ゲルを形成する、分散剤と酸の組合せを含む。一実施形態では、この添加剤ゲルは、限定するものではないが、過塩基性金属スルホン化清浄剤を含む、灰分含有清浄剤はなにも含まない。一実施形態では、特定の用途を見出すゲルは、ゲル化が酸と無灰スクシンイミド分散剤の組合せを介して起こるものである。一実施形態では、酸に対する無灰分散剤の比は、約1:1〜約1:100、他の実施形態では約100:1〜約1:1、約4:1〜約1:1および他の実施形態では約4:1〜約2:1である。
【0015】
この無灰分散剤には、マンニッヒ分散剤、ポリマー分散剤、カルボン酸分散剤、アミン分散剤、およびその組合せおよび混合物が含まれ、これらはすべて、灰分を実質的に形成しないか、灰分をまったく形成しない。一実施形態では、好ましい分散剤は、ポリイソブテニルスクシンイミド分散剤である。
【0016】
無灰型分散剤は、比較的高分子量の炭化水素鎖に結合した極性基によって特徴付けられる。典型的な無灰分散剤には、N置換長鎖アルケニルスクシンイミドが含まれ、典型的には、
【0017】
【化1】

[式中、各Rは、独立に、アルキル基、しばしば分子量500〜5000のポリイソブチル基であり、Rはアルケニレン基、一般的にエチレン(C)基である]
を含む様々な化学構造を有する。スクシンイミド分散剤は、米国特許第4234435号により十分に記載されており、これを参照により本明細書に援用する。この特許に記載の分散剤は、本発明によるゲルを生成するのに特に有効である。
【0018】
無灰分散剤には、限定するものではないが、ポリイソブテニルスクシンイミド等の無灰分散剤が含まれる。ポリイソブテニルスクシンイミド無灰分散剤は、市販されている製品であり、典型的には、約300〜10000の数平均分子量(「Mn」)を有するポリイソブチレンを無水マレイン酸と共に反応させて、ポリイソブテニルコハク酸無水物(「PIBSA」)を形成し、次いで、そのようにして得られた生成物を、典型的には1分子当たり1〜10個のエチレンアミノ基を含むポリアミンと反応させることによって作製される。そのようにして得られたこの分散剤は、典型的には、異なる化合物の混合物から形成され、そのアミン置換の程度(即ち、カルボニル基に対するアミノ基の当量比、またはN:CO比)、その無水マレイン酸変換率レベル(即ち、参照により本明細書に援用する米国特許第4234435号で定義されたように、PIBに対する無水マレイン酸のモル比)、そのPIB基のMn、およびその調製の方式(熱に伴うコハク酸化と対比してClに伴うコハク酸化)を含む様々な異なる変数によって特徴付けることができる。他のポリアミン(例えばポリプロペニル)で作製された類似化合物も使用することができる。この型の無灰分散剤は、例えば、米国特許第4234435号(これを参照により本明細書に援用する)に記載されている。
【0019】
通常、これらのポリイソブテニルスクシンイミド無灰分散剤のN:CO比は、約0.6〜1.6、より典型的には約0.7〜1.4、またはさらに0.7〜1.2である。さらにあるいは、これらのポリイソブテニルスクシンイミド無灰分散剤の無水マレイン酸変換率レベルは、通常、約1.3、より典型的には、少なくとも1.5、またはさらに1.6以上である。さらにあるいは、これらのポリイソブテニルスクシンイミド無灰分散剤のポリイソブテニル部分のMnは、通常≧約350、より典型的には少なくとも1200、少なくとも約1500、またはさらに1800以上である。さらにあるいは、これらのポリイソブテニルスクシンイミド無灰分散剤は、熱に伴うコハク酸化ではなくClに伴うコハク酸化を用いて作製される。なぜなら、これは熱的に生じさせたPIBSAより高い変換率のPISAを生じるからである(後者は、DAまたは直接付加PIBSAとして知られている)。
【0020】
マンニッヒ分散剤は、アルキル基が少なくとも約30個の炭素原子を含む、アルキルフェノールとアルデヒド(特にホルムアルデヒド)およびアミン(特にポリアルキレンポリアミン)との反応生成物である。以下の一般構造
【0021】
【化2】

および/または
【0022】
【化3】

(様々な異性体等を含む)を有するマンニッヒ塩基が特に興味深い。
【0023】
別のクラスの無灰分散剤は、窒素を含むカルボン酸分散剤である。これらの「カルボン酸分散剤」の例は、米国特許第3219666号に記載されている。
【0024】
アミン分散剤は、比較的高分子量の脂肪族ハロゲン化物とアミン、好ましくはポリアルキレンポリアミンの反応生成物である。この例は、米国特許第3565804号に記載されている。
【0025】
ポリマー分散剤は、デシルメタクリレ−ト、ビニルデシルエーテルおよび高分子量オレフィンなどの油溶性モノマーと、極性置換基を含むモノマー、例えば、アミノアルキルアクリレートまたはアクリルアミドおよびポリ−(オキシエチレン)置換アクリレートとのインターポリマーである。このポリマー分散剤の例は、以下の米国特許第3329658号および同第3702300号に開示されている。
【0026】
分散剤は、任意の様々な薬品との反応によって後処理することもできる。これらの中で尿素、チオ尿素、ジメルカプトチアゾール、二硫化炭素、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、炭化水素置換コハク酸無水物、ニトリル、エポキシド、ホウ素化合物、およびリン化合物が挙げられる。
【0027】
この無灰分散剤は、単独でまたは組み合わせて使用することができる。この分散剤は、ゲル総重量の約0.02重量%〜約99.5重量%の範囲、他の実施形態では約1重量%〜約70重量%の範囲、他の実施形態では約5重量%〜約50重量%範囲で存在する。
【0028】
この酸には、その骨格中に酸基を含むポリマー、例えば、スチレンおよび無水マレイン酸から誘導されるポリマー、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸およびそのエステルを含むアクリレートから誘導されるポリマー、高分子量(Cn、ここでn≦12)エステルおよび酸から誘導されるポリマー、エステル化無水マレイン酸スチレンコポリマーから誘導されるポリマー、エステル化エチレンジエンモノマーコポリマーから誘導されるポリマー;その骨格中に酸基を有する界面活性剤;その骨格中に酸基を有する乳化剤;多価酸化合物、例えば、多価酸界面活性剤および/または多価酸分散剤;ここに挙げた各成分の官能化誘導体およびこれらの混合物が含まれる。
【0029】
一実施形態では、この酸は、スチレンおよび無水マレイン酸の重合から形成される。一実施形態では、このコポリマーは、1種または複数のC〜C32アルコールまたはアルコールの混合物、他の実施形態ではC〜C18アルコールで部分的にエステル化されている。酸基に対するアルコールの当量比は、約0.1重量%〜約0.99重量%、他の実施形態では約0.45重量%〜約0.95重量%である。一実施形態では、多価酸界面活性剤には、マレイン酸化OCP(エチレンおよびプロピレンのオレフィンコポリマー)が含まれる。他の実施形態では、この多価酸界面活性剤には、ジ−イソブチレンおよび無水マレイン酸の反応からのジ−イソブテニルスッカン(succan)が含まれる。一実施形態では、この多価酸分散剤には、<1当量のエチレンジアミンポリアミンとマレイン酸化OCPの反応から生じるスクシンイミドが含まれる。他の実施形態では、この多価酸分散剤には、<1当量のエチレンジアミンポリアミンとジ−イソブテニルスッカン(succan)の反応から生じるスクシンイミドが含まれる。このTANは≧1であり、他の実施形態ではTANは≧3(例えばkoH/g)であり、約10%オイルにおけるオイルブレンド粘度は、75cSTO100Cおよび他の実施形態では10cST o100Cである。一実施形態では、この酸は、全酸価≧1、他の実施形態では≧3の残留酸基を有しなければならない。
【0030】
この酸は、単独でまたは組み合わせて使用することができる。この酸は、約0.02重量%〜約99.5重量%の範囲、一実施形態では約0.1重量%〜約90重量%の範囲、他の実施形態では約1重量%〜約80重量%の範囲で存在する。
【0031】
典型的には、この添加剤ゲルは、潤滑剤流体中に制御放出のための少なくとも1つの所望の添加剤をさらに含む。添加剤ゲルの所望の成分には、粘度調整剤(複数可)、摩擦調整剤(複数可)、無灰清浄剤(複数可)、曇り点降下剤(複数可)、流動点降下剤(複数可)、解乳化剤(複数可)、流動性向上剤(複数可)、帯電防止剤(複数可)、無灰分散剤(複数可)、無灰酸化防止剤(複数可)、消泡剤(複数可)、腐食防止剤/防錆剤(複数可)、極圧剤/磨耗防止剤(複数可)、シール膨潤剤(複数可)、潤滑助剤(複数可)、防曇剤(複数可)、およびその混合物が含まれ;このゲルを潤滑剤と接触させた場合、所望の添加剤(複数可)を経時的に潤滑剤中に放出する制御放出ゲルを生じる。所望の添加剤成分は、潤滑剤配合物、性能特性、機能等、およびどの添加剤が、消耗された添加剤に対して添加するのが望ましいか、および/または所望の機能応じて新たに添加するのが望ましいかによってさらに決定される。
【0032】
この無灰清浄剤、無灰分散剤、および/または無灰酸化防止剤の、所望添加剤の場合による成分は、灰分含有成分を含まない、酸を中和する成分である塩基成分を含む化合物である。例には、限定するものではないが、カルボニルに対する窒素の多い(≧1:1)分散剤;置換されたビフェニルアミン、C5〜C36アミンなどの有機アミン、エトキシ化アミン等の窒素含有酸化防止剤が含まれる。この無灰清浄剤、無灰分散剤および/または無灰酸化防止剤は、≧1であるTBNを有し、他の実施形態ではTBNは≧10であり、他の実施形態ではTBNは≧50である。
【0033】
無灰酸化防止剤には、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどのアルキル置換フェノール、フェネートスルフィド、リン硫化テルペン、硫化エステル、芳香族アミン、ジフェニルアミン、アルキル化ジフェニルアミンおよびヒンダードフェノール、ビス−ノニル化ジフェニルアミン、ノニルジフェニルアミン、オクチルジフェニルアミン、ビス−オクチル化ジフェニルアミン、ビス−デシル化ジフェニルアミン、デシルジフェニルアミンおよびその混合物が含まれる。
【0034】
この無灰酸化防止剤官能基には、立体的障害フェノールが含まれ、限定するものではないが、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−メチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−エチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−プロピル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−ブチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−ペンチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−ヘキシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−ヘプチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−(2−エチルヘキシル)−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−オクチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−ノニル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−デシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−ウンデシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−ドデシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−トリデシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、4−テトラデシル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、メチレン架橋立体的障害フェノール(限定するものではないが、4,4−メチレンビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、4,4−メチレンビス(2−tert−アミル−o−クレゾール)、2,2−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−メチレン−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノールを含む)およびその混合物が含まれる。
【0035】
無灰酸化防止剤の他の例には、水性KOHなどの塩基条件下で、2,6−ジアルキルフェノールをアクリレートエステルと加熱することによって調製することができる、ヒンダード、エステル置換フェノールがある。
【0036】
無灰酸化防止剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この酸化防止剤は、典型的には、このゲルの総重量の約0.01重量%〜約95重量%の範囲、一実施形態では約0.01重量%〜95重量%の範囲、他の実施形態では約1重量%〜約70重量%の範囲、他の実施形態では約5重量%〜約60重量%の範囲で存在する。
【0037】
この極圧剤/磨耗防止剤には、硫黄またはクロロ硫黄EP剤、塩素化炭化水素EP剤、またはリンEP剤、またはその混合物が含まれる。このようなEP剤の例には、リン酸のアミン塩、塩素化ワックス、有機スルフィドおよびポリスルフィド、例えば、ベンジルジスルフィド、ビス−(クロロベンジル)ジスルフィド、ジブチルテトラスルフィド、硫化マッコウクジラ油、オレイン酸硫化アルキルフェノールの硫化メチルエステル、硫化ジペンテン、硫化テルペン、および硫化Diels−Alder付加物;硫化リンとテレビンまたはオレイン酸メチルとの反応生成物などのリン硫化炭化水素、ジヒドロ炭素ホスフェートおよびトリヒドロ炭素ホスフェートなどのリンエステル、即ち、リン酸ジブチル、リン酸ジヘプチル、リン酸ジシクロヘキシル、リン酸ペンチルフェニル;リン酸ジペンチルフェニル、リン酸トリデシル、リン酸ジステアリルおよびポリプロピレン置換フェノールホスフェート、亜鉛ジオクチルジチオカルバメートなどの金属チオカルバメートおよびバリウムヘプチルフェノール二酸(例えば、亜鉛ジシクロヘキシルホスホロジチオエートおよびホスホロジチオン酸の亜鉛塩の組合せを使用してもよい)ならびにその混合物がある。
【0038】
一実施形態では、この磨耗防止剤/極圧剤は、リンエステル酸のアミン塩を含む。このリンエステル酸のアミン塩には、リン酸エステルおよびその塩;ジアルキルジチオリン酸エステルおよびその塩;ホスファイト;およびリン含有カルボン酸エステル、エーテル、およびアミド;ならびにその混合物が含まれる。
【0039】
一実施形態では、このリン化合物は分子中に硫黄原子をさらに含む。一実施形態では、このリン化合物のアミン塩は無灰、即ち、(その他の成分と混合される前に)金属非含有である。
【0040】
このアミン塩として使用するのに適したアミンには、一級アミン、二級アミン、三級アミン、およびその混合物が含まれる。このアミンには、少なくとも1つのヒドロカルビル基、または特定の実施形態では、2つまたは3つのヒドロカルビル基を有するものが含まれる。このヒドロカルビル基は、約2〜約30個の炭素原子または他の実施形態では、約8〜約26または約10〜約20または約13〜約19個の炭素原子を含んでもよい。
【0041】
一級アミンには、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、オクチルアミン、およびドデシルアミン、ならびにn−オクチルアミン、n−デシルアミン、n−ドデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−オクタデシルアミンおよびオレイルアミンなどの脂肪アミンが含まれる。その他の有用な脂肪アミンには、市販されている脂肪アミン、例えば、Armeen C、Armeen O、Armeen OL、Armeen T、Armeen HT、Armeen SおよびArmeen SD(ここで、この記号は、ヤシ、オレイル、タロウ、またはステアリル基などの脂肪基に関する)などの「Armeen(登録商標)」アミン(Akzo Chemicals社、Chicago、イリノイ州から入手可能な製品)が含まれる。
【0042】
適した二級アミンの例には、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、メチルエチルアミン、エチルブチルアミンおよびエチルアミルアミンが含まれる。この二級アミンは、ピペリジン、ピペラジンおよびモルホリンなどの環状アミンであってもよい。
【0043】
このアミンは、三級脂肪族一級アミンであってもよい。この場合は、脂肪族基は、約2〜約30、または約6〜約26、または約8〜約24個の炭素原子を含むアルキル基であってもよい。三級アルキルアミンには、モノアミン、例えば、tert−ブチルアミン、tert−ヘキシルアミン、1−メチル−1−アミノ−シクロヘキサン、tert−オクチルアミン、tert−デシルアミン、tert−ドデシルアミン、tert−テトラデシルアミン、tert−ヘキサデシルアミン、tert−オクタデシルアミン、tert−テトラコサニルアミン、およびtert−オクタコサニルアミンが含まれる。
【0044】
本発明では、アミンの混合物も使用される。一実施形態では、アミンの有用な混合物は、「Primene(登録商標)81R」および「Primene(登録商標)JMT」がある。Primene(登録商標)81RおよびPrimene(登録商標)JMT(共にRohm & Haas社によって製造され販売されている)は、それぞれ、C11〜C14三級アルキル一級アミンおよびC18〜C22三級アルキル一級アミンの混合物である。
【0045】
適したアルキルリン酸のヒドロカルビルアミン塩は、以下の式
【0046】
【化4】

[式中、RおよびRは、独立に水素またはアルキル基などのヒドロカルビル基であり;リンエステル酸に対しては、RおよびRの少なくとも1つはヒドロカルビルである。RおよびRは、約4〜約30個、または約8〜約25個、または約10〜約20個、または約13〜約19個の炭素原子を含んでもよい。R、RおよびRは、独立に、水素または1〜約30個、または約4〜約24個、または約6〜約20個、または約10〜約16個の炭素原子を有する、分枝または直鎖のアルキル鎖のアルキルなどのヒドロカルビル基であってもよい。これらのR、RおよびR基は、分枝または直鎖基であり、特定の実施形態では、R、RおよびRの少なくとも1つ、あるいは2つは水素である。R、RおよびRに適したアルキル基の例には、ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、n−ヘキシル、sec−ヘキシル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、オクタデセニル、ノナデシル、エイコシル基およびその混合物が含まれる]で表されてもよい。
【0047】
一実施形態では、アルキルリン酸エステルのヒドロカルビルアミン塩は、C14〜C18アルキル化リン酸とC11〜C14三級アルキル一級アミンの混合物である、Primene81RTM(Rohm & Haas社によって製造され販売されている)の反応生成物である。
【0048】
同様に、防錆剤パッケージに使用される本発明のジアルキルジチオリン酸エステルのヒドロカルビルアミン塩は、式
【0049】
【化5】

[式中、様々なR基は、上記で定義された通りであるが、典型的には、両方のR基は、ヒドロカルビルまたはアルキルである]で表されてもよい。ジアルキルジチオリン酸エステルのヒドロカルビルアミン塩の例には、ヘキシル、ヘプチルまたはオクチルまたはノニル、4−メチル−2−ペンチルまたは2−エチルヘキシル、イソプロピルジチオリン酸とエチレンジアミン、モルホリン、またはPrimene81RTMの反応生成物(複数可)、およびその混合物が含まれる。
【0050】
一実施形態では、このジチオリン酸は、エポキシドまたはグリコールと反応させてもよい。この反応生成物は、リン酸、無水物、または低級エステルとさらに反応される。このエポキシドには、脂肪族エポキシドまたはスチレンオキシドが含まれる。有用なエポキシドの例には、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、オクテンオキシド、ドデセンオキシド、スチレンオキシド等が含まれる。一実施形態では、このエポキシドは、プロピレンオキシドである。このグリコールは、1〜約12個、または約2〜約6個、または約2〜約3個の炭素原子を有する脂肪族グリコールであってもよい。ジチオリン酸、グリコール、エポキシド、無機リン試薬およびその反応方法は、米国特許第3197405号および同第3544465号に記載されている。次いで、この得られた酸をアミンで塩化する。適したジチオリン酸の一例は、五酸化リン(約64グラム)をヒドロキシプロピルO,O−ジ(4−メチル−2−ペンチル)ホスホロジチオネート(ジ(4−メチル−2−ペンチル)−ホスホロジチオン酸を約1.3モルのプロピレンオキシドと約25℃で反応させることによって調製した)約514グラムに、約58℃で約45分にわたって添加することによって調製する。この混合物を約75℃で約2.5時間加熱し、ケイ藻土と混合し、約70℃でろ過する。このろ液は、リン約11.8重量%、硫黄約15.2重量%、および87の酸価(ブロモフェノールブルー)を含む。
【0051】
このEP/磨耗防止剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約50重量%の範囲、一実施形態では約0.25重量%〜約25重量%の範囲、他の実施形態では約0.5重量%〜約10重量%の範囲で存在する。
【0052】
この消泡剤には、有機シリコーン、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリエチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリアクリレートおよびポリメタクリレート、トリメチルトリフルオロ−プロピルメチルシロキサン等が含まれる。
【0053】
この消泡剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この消泡剤は、このゲルの総重量の約0重量%〜約20重量%の範囲、一実施形態では約0.02重量%〜約10重量%の範囲、他の実施形態では0.05重量%〜約2.5重量%の範囲で使用される。
【0054】
この粘度調整剤は、粘度改良特性および分散剤特性の両方を提供する。分散剤−粘度調整剤の例には、窒素含有モノマーなどの例である、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドンおよびN,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート等が含まれる。1種または複数のアルキルアクリレートの重合または共重合から得られたポリアクリレートも粘度調整剤として有用である。
【0055】
官能化ポリマーも、粘度調整剤として使用することができる。このようなポリマーの一般的なクラスの中には、オレフィンコポリマーおよびアクリレートコポリマーまたはメタクリレ−トコポリマーがある。官能化オレフィンコポリマーは、例えば、無水マレイン酸などの活性モノマーでグラフト化され、次いで、アルコールまたはアミンで誘導体化されたエチレンおよびプロピレンのインターポリマーであることができる。他のこのようなコポリマーは、窒素化合物と反応したまたはそれでグラフト化されたエチレンおよびプロピレンのコポリマーがある。ポリアクリレートエステルの誘導体は、分散剤粘度指数調整剤添加剤としてよく知られている。RohMax社製AcryloidTM985またはViscoplexTM6−054などの、分散剤アクリレートまたはポリメタクリレート粘度調整剤は特に有用である。固体の油溶性ポリマー、例えば、PIB(ポリイソブチレン)、メタクリレ−ト、ポリアルキルスチレン、エチレン/プロピレンおよびエチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエンポリマーおよび無水マレイン酸−スチレンインターポリマーならびにその誘導体も、粘度指数向上剤として使用することができる。この粘度調整剤は、既知であり、市販されている。
【0056】
この粘度調整剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この粘度調整剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜80重量%の範囲、一実施形態では約0.25重量%〜約50重量%の範囲、他の実施形態では約0.5重量%〜約10重量%の範囲で存在する。
【0057】
この摩擦調整剤には、ジチオカルバミン酸モリブデンを含む有機モリブデン化合物、およびグリセロールモノ−オレエートを含むオレイン酸ベースのもの、ステアリン酸をベースとするもの等を含む脂肪酸ベースの材料が含まれる。
【0058】
一実施形態では、この摩擦調整剤は、モノヒドロカルビル、ジヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルホスフェート(ここで、各ヒドロカルビル基は飽和である)を含むホスフェートエステルまたは塩である。いくつかの実施形態では、各ヒドロカルビル基は、約8〜約30個、または約12〜最大約28個、または約14〜最大約24個、または約14〜最大約18個の炭素原子を含む。他の実施形態では、このヒドロカルビル基は、アルキル基である。ヒドロカルビル基の例には、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル基およびその混合物が含まれる。
【0059】
一実施形態では、このホスフェート塩は、酸性ホスフェートエステルとアミン化合物または金属塩基を反応させて、アミンまたは金属塩を形成させることによって調製してもよい。このアミンは、モノアミンまたはポリアミンであってもよい。有用なアミンには、米国特許第4234435号のカラム21、4行目〜カラム27、50行目に開示されているアミンが含まれる。
【0060】
有用なアミンには、一級エーテルアミン、例えば、式、R”(OR’)−NH(式中、R’は、約2〜約6個の炭素原子を有する二価のアルキレン基であり;xは、1〜約150、または約1〜約5、または1の数であり;R”は、約5〜約150個の炭素原子のヒドロカルビル基である)で表されるものが含まれる。
【0061】
このホスフェート塩は、ポリアミンから誘導されてもよい。このポリアミンには、アルコキシ化ジアミン、脂肪ポリアミンジアミン、アルキレンポリアミン、ヒドロキシ含有ポリアミン、縮合ポリアミン、アリールポリアミン、および複素環式ポリアミンが含まれる。
【0062】
このリン酸エステルの金属塩は、金属塩基と酸性リンエステルとの反応によって調製してもよい。この金属塩基は、金属塩を形成することが可能な任意の金属化合物であってもよい。金属塩基の例には、金属酸化物、水酸化物、炭酸塩、ホウ酸塩等が含まれる。適した金属には、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属が含まれる。一実施形態では、この金属は、カルシウムまたはマグネシウムなどの第IIA族金属、亜鉛などの第IIB族金属、またはマンガンなどの第VIIB族金属である。リン酸と反応させてもよい金属化合物の例には、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、水酸化銅または酸化銅が含まれる。
【0063】
一実施形態では、この摩擦調整剤は、ホスファイトであり、モノヒドロカルビル、ジヒドロカルビルまたはトリヒドロカルビルホスファイト(ここで、各ヒドロカルビル基は飽和である)であってもよい。いくつかの実施形態では、各ヒドロカルビル基は独立に、約8〜約30個、または約12〜最大約28個、または約14〜最大約24個、または約14〜最大約18個の炭素原子を含む。一実施形態では、このヒドロカルビル基は、アルキル基である。ヒドロカルビル基の例には、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル基およびその混合物が含まれる。
【0064】
一実施形態では、この摩擦調整剤は、8〜約30個、または約12〜約24個の炭素原子を含む脂肪置換基を含む脂肪イミダゾリンである。この置換基は、飽和または不飽和であってもよく、好ましくは飽和である。一態様では、この脂肪イミダゾリンは、脂肪カルボン酸と上記に論じたものなどのポリアルキレンポリアミンとを反応させることによって調製してもよい。適した脂肪イミダゾリンには、米国特許第6482777号に記載されているものが含まれる。
【0065】
この摩擦調整剤は、単独でまたは組み合わせて使用することができる。この摩擦還元剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜60重量%、または約0.25重量%〜約40重量%、または約0.5重量%〜約10重量%の範囲で存在する。
【0066】
この防曇剤には、超分子量(>100000Mn)ポリオレフィン、例えば、1.5Mnポリイソブチレン(例えば、商品名Vistanex(登録商標)の材料)、または、2−(N−アクリルアミド)、2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS(登録商標)としても知られている)を含むポリマー、あるいはその誘導体等が含まれる。
【0067】
この防曇剤は、単独でまたは組み合わせて使用することができる。この防曇剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜10重量%、または約0.25重量%〜約10重量%、または約0.5重量%〜約2.5重量%の範囲で存在する。
【0068】
この腐食抑制剤には、アルキル化コハク酸およびその無水物誘導体、有機ホスホネート等が含まれる。この防錆剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この防錆剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約20重量%の範囲、一実施形態では約0.0005重量%〜約10重量%の範囲、他の実施形態では約0.0025重量%〜約2.5重量%の範囲で存在する。
【0069】
この無灰金属不活性化剤には、ベンゾトリアゾールの誘導体、例えば、トリルトリアゾール、N,N−ビス(ヘプチル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(ノニル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(デシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−(ウンデシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(ドデシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン、N,N−ビス(2−エチルヘキシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミンおよびその混合物が含まれる。一実施形態では、この金属不活性化剤は、N,N−ビス(1−エチルヘキシル)−ar−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−メタンアミン;1,2,4−トリアゾール、ベンズイミダゾール、2−アルキルジチオベンズイミダゾール;2−アルキルジチオベンゾチアゾール;2−N,N−ジアルキルジチオカルバモイル)ベンゾチアゾール;2,5−ビス(アルキル−ジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、例えば、2,5−ビス(tert−オクチルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−ノニルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−デシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−ウンデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−ドデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−トリデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−テトラデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−オクタデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−ノナデシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(tert−エイコシルジチオ)−1,3,4−チアジアゾールおよびその混合物;2,5−ビス(N,N−ジアルキルジチオカルバモイル)−1,3,4−チアジアゾール;2−アルキルジチオ−5−メルカプトチアジアゾール;等である。
【0070】
この無灰金属不活性化剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この無灰金属不活性化剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約50重量%、または約0.0005重量%〜約25重量%、または約0.0025重量%〜約10重量%の範囲で存在する。
【0071】
この解乳化剤には、ポリエチレンおよびポリプロピレンオキシドコポリマー等が含まれる。この解乳化剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この解乳化剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約20重量%、または約0.0005重量%〜約10重量%、または約0.0025重量%〜約2.5重量%の範囲で存在する。
【0072】
この潤滑助剤には、グリセロールモノオレエート、ソルビタンモノオレエート等が含まれる。この潤滑添加剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この潤滑添加剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約50重量%、または約0.0005重量%〜約25重量%、または約0.0025重量%〜約10重量%の範囲で存在する。
【0073】
この流動性向上剤には、エチレン酢酸ビニルコポリマー等が含まれる。この流動性向上剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この流動性向上剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約50重量%、または約0.0005重量%〜約25重量%、または約0.0025重量%〜約5重量%の範囲で存在する。
【0074】
この曇り点降下剤には、アルキルフェノールおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニルコポリマー等が含まれる。この曇り点降下剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この曇り点降下剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約50重量%、または約0.0005重量%〜約25重量%、または約0.0025%〜約5重量%の範囲で存在する。
【0075】
この流動点降下剤には、アルキルフェノールおよびその誘導体、エチレン酢酸ビニルコポリマー等が含まれる。この流動点降下剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。この流動点降下剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約50重量%、または約0.0005重量%〜約25重量%、または約0.0025重量%〜約5重量%の範囲で存在する。
【0076】
このシール膨潤剤には、有機硫黄化合物、例えば、チオフェン、3−(デシルオキシ)テトラヒドロ−1,1−ジオキシド、フタレート等が含まれる。このシール膨潤剤は、単独でまたは組み合わせて使用してもよい。このシール膨潤剤は、ゲルの総重量の約0重量%〜約50重量%、または約0.0005重量%〜約25重量%、または約0.0025重量%〜約5重量%の範囲で存在する。
【0077】
場合により、その成分がこのゲルに有害な影響を有しない限り、ベースストック油、不活性担体、染料、静菌剤、固体粒子添加剤等を含むゲルにその他の成分を添加することができる。
【0078】
一実施形態では、本発明は、機械装置を潤滑する方法を提供する。典型的には、この油溶性ゲルは、オイルフィルター中から供給されるが、このゲルが潤滑剤と接触することができる任意の手段、例えば、オイルパン中の、または流体バイパスループ中の容器/配送装置を使用することができる。
【0079】
このゲルは、限定するものではないが、ゲルが、潤滑油、モーターオイル、作動油、変速機動力伝達装置油、金属加工油等を含む潤滑剤と接触する潤滑システム中のいかなる場所にでも位置を定める。このゲルは、循環する潤滑剤がこのゲルに、油全体の流れ、ため中の油のバイパスまたはこの組合せなどで接触するいかなる場所にでも位置を定める。この潤滑システム中のこのゲルの位置には、限定するものではないが、フィルター、排液パン、油バイパスループ、缶、ハウジング、ため、フィルターのポケット、フィルター中の缶、フィルター中のメッシュ、バイパスシステム中の缶、バイパスシステム中のメッシュ等が含まれる。1つまたは複数の位置でゲルを含むことができる。さらに、2つ以上のゲルが使用される場合、これは、同じ、類似のおよび/または異なるゲルであることができる。
【0080】
一実施形態では、このゲルは、フィルター中のいかなる場所にでも位置を定める。フィルターは、このゲルを配置する望ましい場所である。なぜなら、ゲルおよび/または使用済みゲルを容易に取り出して、次いで新規なおよび/または再生したゲルに置換することができるからである。
【0081】
このゲルは、エンジン油と接触させることが必要であり、一実施形態では、このゲルは、油システムの約100%〜約1%の範囲の油と接触し、他の実施形態では、このゲルは、油システムの約75%〜約25%の範囲の油と接触しており、他の実施形態では、このゲルは、油システムの約50%の範囲の油と接触している。
【0082】
このゲル中の添加剤成分の放出速度は、主としてこのゲル配合物によって決定される。放出速度は、このゲルの形態および/または添加の方式にも依存する。このゲルは、特定の添加剤の規定されたおよび望ましい溶解速度に関して望ましい場所に位置を定める。このゲルの配合物は、選択的に完全に溶解する、またはその有効寿命が終了するまで成分の一部が残存する1種または複数の成分、あるいはその組合せで構成されていてもよい。
【0083】
このゲルは、このゲルの所望の形態、所望の添加速度、所望の放出速度、所望の操作方式および/または上記の任意の組合せに応じて、任意の既知の方法によって潤滑系に添加される。一実施形態では、この添加剤組成物は、ゲルであり、注入ポンプ、または油フィルター中の容器を用いて潤滑系に添加される。一実施形態では、このゲルは、オーガーシステムなどの添加装置によって潤滑系に添加される。
【0084】
一実施形態では、所望の添加剤によって付与される特性には、分散性、酸化防止性、腐食抑制、摩耗防止、スカッフィング防止、ミクロおよびマクロピッティングを含むピッティング防止、摩擦係数の上昇および/または減少を含む摩擦調節特性、洗浄性、粘度調整剤を用いる粘度制御、発泡抑制またはその混合が含まれる。
【0085】
本発明によれば、制御放出ゲルは、流体調整装置のために提供される。本発明のゲルは、自動車および定置機関を含む内燃機関、天然ガスエンジン、船舶用ディーゼルエンジン、発電機、オンハイウェーおよび/またはオフハイウェーエンジン、油圧システム、自動変速機、手動変速機および差動装置(例えば、フロントおよびリヤ駆動車軸および工業用加速機または減速機)を含むギヤボックス、金属加工油、ポンプ、サスペンションシステム、その他の潤滑機械システム、工業用潤滑システム等を含む任意の流体調整装置に使用することができる。
【実施例】
【0086】
具体的実施形態
無灰塩基含有ゲル配合物の制御放出を、対応する酸中和性能効率の改良と共に例示した。
【0087】
ゲル1を以下の組成で形成する。
【0088】
成分 重量%
ia)部分エステル化無水マレイン酸/スチレンコポリマー 2.4%
ib)ノニルジフェニルアミン無灰酸化防止剤 10.0%
ii)DA PIBSA/TEPA無灰分散剤 87.6%
無水マレイン酸−スチレンコポリマー(0.69RSV)/C8〜10アルコール/C12〜18アルコール/MeSO4H(触媒)(2.9:0.87:1.7:0.11)当量 SUAQ油中60%から誘導した。
【0089】
全酸価=23ミリ等量KOH/g。
【0090】
AIC12触媒を用いて、ジフェニルアミンのノネンによるアルキル化から誘導した。
【0091】
全塩基価=156ミリ当量KOH/g。
【0092】
850〜1600Mn高ビニリデンポリイソブチレン、無水マレイン酸およびテトラエチレンペンタアミンから誘導した、全塩基価=100。
【0093】
このポリマーと酸化防止剤の半分を混合して、成分Aを形成する。この分散剤と酸化防止剤の他の半分を混合して、成分Bを形成する。次いで、成分Bを成分Aに攪拌しながら添加し、得られた混合物を約100Cで約12時間加熱した。得られたゲル(ゲル1)を実施例2および3に使用した。
【0094】
(実施例2)
制御放出塩基性ゲル1の放出−研究室用試験
ゲル1(約50g)を1Lビーカーの底に加え、Valvoline 10W−30約500gを加えた。得られた混合物を約100Cで加熱し、13日間にわたり定期的な間隔で油試料を採取し、ASTM試験方法D2896によって全塩基価を測定した。この結果を表1に示す。
【0095】
【表1】

この結果は、本明細書に記載のゲルの組成物を用いて、無灰塩基の制御放出が達成できることを示す。
【0096】
(実施例3)
ゲル1の実地試験。ゲル1(約71g)を上面に位置する約2mmの穴を有する円筒形カップ中に充填した。この容器を、Fram PH3387A油フィルターと、同じサイズおよび取り付け部品の油フィルターの頂部端に配置し、2002 Pontiac Grand Prix上に取付けた。次いで、この自動車を規定ののろのろ運転条件下で約500マイル運転し、油試料を定期的間隔で採取し、全塩基価をASTM D2896で分析し、全酸価をATMS法 D664Aで分析した。この結果を表2に示す。
【0097】
【表2】

この結果は、上記のゲルの組成物を用いて実際の運転条件下で、車両で無灰塩基の制御放出が達成できることを示す。
【0098】
(実施例4)
制御放出塩基ゲル2
他の特定の実施形態では、ゲル2は、以下の成分:
成分 重量%
ia)DA PIBSA分散剤 84.1%
ib)MSC、エステル化ポリマー 9.4%
ii)ホウ酸トリ(2−エチルヘキシル) 6.5%
を有する以外は実施例1に準じて形成される。
【0099】
このポリマーとボレートの半分を混合して、成分Aを形成する。この分散剤とボレートの他の半分を混合して、成分Bを形成する。次いで、成分Bを攪拌しながら成分Aに加え、得られた混合物を100Cで12時間加熱する。この得られたゲル(ゲル2)を実施例5に使用した。
【0100】
(実施例5)
制御放出塩基ゲル2の放出−研究室用試験
このゲル5(約50g)を1Lビーカーの底に加え、Valvoline 10W−30約500gを加えた。得られた混合物を加熱し、13日間にわたり定期的な間隔で油試料を採取し、ASTM試験方法D2896によって全塩基価を測定した。この結果を表3に示す。
【0101】
【表4】

この結果は、本明細書に記載のゲルの組成物を用いて、無灰塩基の制御放出が達成できることを示す。
【0102】
(実施例6)
ゲル2実地試験。ゲル2(約71g)を上面に位置する約2mmの穴を有する円筒形カップ中に充填した。この容器を、Fram 4967油フィルターと、同じサイズおよび取り付け部品の油フィルターの頂部端に配置し、1998 4−気筒Toyota Camry上に取付けた。次いで、この自動車を規定ののろのろ運転条件下で約500マイル運転し、油試料を定期的間隔で採取し、全塩基価をASTM D4730で分析し、全酸価をATMS法 D664Aで分析した。この結果をフィルター中にこのゲルを有さないで運転した自動車についての同じ分析値(比較例)と比較し、表4に示す。
【0103】
【表5】

この結果は、実施例5に記載の組成物の無灰ゲルの制御放出により、実際の運転条件下でエンジン中の酸の蓄積を減少させることを示す。
【0104】
(実施例7)
制御放出塩基ゲル3
他の特定の実施形態では、以下の組成のゲル3
成分 重量%
ia)DA PIBSA分散剤 84.1%
ib)マレイン酸化OCP 9.4%
ii)ホウ酸トリ(2−エチルヘキシル) 6.5%
Mitsui Lucant A−5320H
を、実施例4、ゲル2に使用した混合手順によって形成する。
【0105】
(実施例8)
制御放出塩基ゲル3の放出−研究室用試験
このゲル3(5g)を金属2オンス広口ビンキャップに加え、100mLビーカーの底に配置し、Valvoline 10W−30約50gを加えた。得られた混合物を加熱し、13日間にわたり定期的な間隔で油試料を採取し、ASTM試験方法D2896によって全塩基価を測定した。この結果を表5に示す。
【0106】
【表6】

この結果は、本明細書に記載のゲルの組成物を用いて、無灰塩基の制御放出が達成できることを示す。
【0107】
(実施例9)
無灰制御放出粘度調整剤ゲル(VMゲル)
以下の成分よってゲル4を形成する:
成分 重量%
ia)DA PIBSA分散剤 44%
ib)MSC、エステル化ポリマー 10%
ii)ジチオカルバミン酸モリブデン(Modct) 45%
ii)ホウ酸トリ(2−エチルヘキシル) 1%
Akeda Saukuralube 100摩擦調整剤 (FM)
液体腐食抑制剤
この成分を実施例6のゲル2に使用した手順により混合する。
【0108】
(実施例9)
制御放出FMゲルの放出−研究室用試験
このゲル(5g)を金属2オンス広口ビンキャップに加え、100mLビーカーの底に配置し、Valvoline 10W−30 50gを加えた。得られた混合物を加熱し、8日間にわたり定期的な間隔で油試料を採取し、%Moを誘導結合プラズマ(ICP)分析によって測定する。この結果を表16に示す。この結果は、表16に記載の無灰FMゲルの組成物を用いて、Mo FMゲルの制御放出が達成できることを示す。
【0109】
【表7】


【0110】
(実施例10)
無灰の制御された分散剤/酸化防止剤ゲル(DIS/AOゲル)
他の特定の実施形態では、以下の成分(ゲル5)の無灰DIS/AOゲルを形成する。
【0111】
成分 重量%
ia)DA PIBSA分散剤 2.5%
ii)OSP PIBSA分散剤 11.0%
ii)OSP PIBSA分散剤 31.0%
ib)MSC、エステル化ポリマー 8.5%
ii)ジチオカルバミン酸モリブデン(Modtc) 5.0%
ii)ノニルDPA酸化防止剤 21.0%
ii)2,6−ジt−ブチルフェノール酸化防止剤 21.0%
ii)Akeda Saukuralube 100摩擦調整剤 (FM)
液体腐食抑制剤
850〜1600Mn高ビニリデンポリイソブチレン、無水マレイン酸および2,6−ジ−tert−ブチル,4−(3−ブチルプロパノイル)フェノールから誘導した。
【0112】
他の特定の実施形態では、以下の成分(ゲル6)の無灰VMゲルを形成する。
【0113】
成分 重量%
ia)DA PIBSA分散剤 2.4%
ib)MSC、エステル化ポリマー 9.6%
ii)EPDM 113.2%
グループII鉱油(Dil Oil) 74.8%
エチレン−プロピレンコポリマー、MW=10〜10
EPDMとDil Oilを混合し、得られた溶液の半分を分散剤と混合して、成分Aを形成する。EPDM/Dil Oil溶液の他の半分をMSCと混合して、成分Bを形成する。次いで、成分AとBを混合し、得られた混合物を100Cで12時間加熱する。得られたゲル6(VMゲル)を実施例9に使用した。
【0114】
(実施例11)
制御放出VMゲル放出−研究室用試験
上記ゲル(ゲル6)(約18g)を、18個の同じ間隔で0.25インチ四方の開口を有する、高さ2インチ、直径1インチのプラスチックシリンダー中に加えた。この充填したゲル容器を250mLビーカーの底に配置し、約90gのValvoline 10W−30油を加えた。得られた混合物を100Cで加熱し、油試料を4日間にわたり定期的間隔で採取し、ASTM試験法D445_100によって100Cで動粘度を測定した。この結果を表9に示す。この結果は、以下の表7に記載のゲルの組成物を用いて、無灰粘度調整剤の制御放出が達成できることを示す。
【0115】
【表8】


【0116】
(実施例12)
無灰制御放出摩擦調整剤ゲル(FMゲル)
他の特定の実施形態では、無灰FMゲルを以下の成分から形成する。
【0117】
分散剤およびフェノール系酸化防止剤をジフェニルアミン酸化防止剤の半分と混合して、成分Aを形成する。MSCおよびSaukuralubeをジフェニルアミン酸化防止剤の他の半分と混合して、成分Bを形成する。次いで、成分Aを成分Bに攪拌しながら加え、得られた混合物を100Cで12時間加熱する。
【0118】
得られたゲル(DIS/AOゲル)を実施例13に使用した。
【0119】
(実施例13)
制御放出DIS/AOゲル放出−研究室用試験
このゲル(5g)を金属2オンス広口ビンキャップに加え、100mLビーカーの底に配置し、Valvoline 10W−30 50gを加えた。得られた混合物を加熱し、8日間にわたり定期的な間隔で油試料を採取し、%Moを誘導結合プラズマ(ICP)分析によって測定する。この結果を表8に示す。
【0120】
この結果は、実施例12に記載の無灰DIS/AOゲルの組成物を用いて、DIS/AOゲル成分の制御放出が達成できることを示す。
【0121】
【表9】

本発明の少数の実施形態のみを上に記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく多くの修正を加えることができることが理解される。すべてのこのような修正は、頭書の特許請求の範囲によってのみ限定される、本発明の範囲内に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)分散剤;
2)その骨格中に酸基を含むポリマーから形成される酸、多価酸化合物、その骨格中に酸基を有する界面活性剤、その骨格中に酸基を有する乳化剤およびその混合物からなる群から選択される酸;ならびに
3)場合により、潤滑添加剤
を含む潤滑添加剤ゲルであって、
該ゲルは、灰分を生成する成分を実質的に含まず、該成分を潤滑剤中に制御放出する潤滑添加剤ゲルを生じ、
重合から形成される酸に対する無灰分散剤の重量比は、約0.1〜約100であり、tanδ値は≧1である潤滑添加剤ゲル。
【請求項2】
分散剤が、マンニッヒ分散剤、ポリマー分散剤、カルボン酸分散剤、アミン分散剤、およびその組合せからなる群から選択され、ここで、該分散剤は、灰分を実質的に形成しないか灰分をまったく形成せず;
前記酸が、スチレンおよび無水マレイン酸の重合から誘導されるポリマー、アクリレートから誘導されるポリマー、アクリル酸から誘導されるポリマー、アクリル酸エステルから誘導されるポリマー、メタクリル酸から誘導されるポリマー、メタクリル酸エステルから誘導されるポリマー、高分子量(Cn、ここでn≦12)エステルおよび酸から誘導されるポリマー、エステル化無水マレイン酸スチレンコポリマー、エステル化エチレンジエンモノマーコポリマーから誘導されるポリマー、多価酸化合物、その骨格中に酸基を有する界面活性剤、その骨格中に酸基を有する乳化剤およびその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記分散剤がポリイソブテニルスクシンイミド分散剤であり、前記酸が、スチレンおよび無水マレイン酸の重合から形成される酸;1種または複数のC〜C32アルコールまたはアルコールの混合物で部分的にエステル化されたコポリマー、およびその混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記添加剤ゲルが、粘度調整剤(複数可)、摩擦調整剤(複数可)、清浄剤(複数可)、曇り点降下剤(複数可)、流動点降下剤(複数可)、解乳化剤(複数可)、流動性向上剤(複数可)、帯電防止剤(複数可)、分散剤(複数可)、酸化防止剤(複数可)、消泡剤(複数可)、腐食防止剤/防錆剤(複数可)、極圧剤/磨耗防止剤(複数可)、シール膨潤剤(複数可)、潤滑助剤(複数可)、防曇剤(複数可)、およびその混合物からなる群から選択される少なくとも1つの所望の添加剤をさらに含み、添加剤ゲルが、灰分を生成する成分を実質的に含まず、ゲルが潤滑剤と接触した場合、所望の添加剤(複数可)の少なくとも1種を経時的に潤滑剤中に制御放出する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ベースストック油、不活性担体、染料、静菌剤、固体粒子添加剤またはその組合せを含むゲルにその他の成分を添加することができる、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
a)1つまたは複数の潤滑ゲルを潤滑剤に供給すること、およびb)該潤滑剤を添加剤ゲルと接触させることを含む機械装置を潤滑する方法であって、該潤滑ゲルが、1)分散剤;2)その骨格中に酸基を含むポリマーから形成される酸、多価酸化合物、その骨格中に酸基を有する界面活性剤、その骨格中に酸基を有する乳化剤およびその混合物からなる群から選択される酸;ならびに、3)場合により、潤滑添加剤を含み、該潤滑剤中に灰分を実質的に加えることなく、潤滑剤中に添加剤の制御放出をもたらし、添加剤ゲルの使用により、完全に灰分を生成することがない方法。
【請求項7】
前記ゲルからの添加剤成分の放出速度が、ゲル配合物によって決定され、該ゲル配合物は、選択的に完全にまたは部分的に潤滑剤中に経時的に溶解する1種または複数の添加剤を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
制御放出ゲルが、内燃機関、自動車燃焼エンジン、定置機関、天然ガスエンジン、船舶用ディーゼルエンジン、発電機、オンハイウェーエンジン、オフハイウェーエンジン、油圧システム、自動変速機、ギヤボックス、ギヤ、手動変速機、差動装置、金属加工油、車軸、ポンプ、サスペンションシステム、工業用潤滑システム、およびその組合せからなる群から選択される潤滑調整装置のために提供される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
ハウジング、フィルターを通過する油から粒状物質を除去するためのフィルター、油、ならびに、1)無灰分散剤;2)その骨格中に酸基を含むポリマーから形成される酸、多価酸化合物、その骨格中に酸基を有する界面活性剤、その骨格中に酸基を有する乳化剤およびその混合物からなる群から選択される酸;および3)場合により、潤滑添加剤を含み、灰分を加えることなく、エンジンの潤滑剤中に成分を制御放出する潤滑添加剤ゲルを生じる潤滑添加剤ゲル、を含むエンジン用油フィルター。
【請求項10】
潤滑剤、1)無灰分散剤;2)その骨格中に酸基を含むポリマーから形成される酸、多価酸化合物、その骨格中に酸基を有する界面活性剤、その骨格中に酸基を有する乳化剤およびその混合物からなる群から選択される酸;および、3)場合により、潤滑添加剤を含み、潤滑剤中に所望の添加剤を制御放出する、灰分を生成する成分を実質的に含まない潤滑添加剤ゲルを生じる無灰潤滑添加剤ゲル、を含む潤滑システム。

【公表番号】特表2009−543903(P2009−543903A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519655(P2009−519655)
【出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際出願番号】PCT/US2007/073300
【国際公開番号】WO2008/008864
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(591131338)ザ ルブリゾル コーポレイション (203)
【氏名又は名称原語表記】THE LUBRIZOL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】29400 Lakeland Boulevard, Wickliffe, Ohio 44092, United States of America
【Fターム(参考)】