無端ベルト駆動装置、画像形成装置及びプログラム
【課題】複数の異なるセンサ等を設けることなく、簡易な構成で無端ベルトの駆動制御及び蛇行制御を高精度に行うこと。
【解決手段】回転駆動する無端ベルトの駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出するためのエッジセンサ15の出力波形から無端ベルトの端部位置及び無端ベルトの駆動速度を検出することで、別途無端ベルトの駆動速度を検出するためのセンサ等を設けることなく高精度に駆動制御及び蛇行制御を行う無端ベルト駆動装置を提供することができる。
【解決手段】回転駆動する無端ベルトの駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出するためのエッジセンサ15の出力波形から無端ベルトの端部位置及び無端ベルトの駆動速度を検出することで、別途無端ベルトの駆動速度を検出するためのセンサ等を設けることなく高精度に駆動制御及び蛇行制御を行う無端ベルト駆動装置を提供することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
回転駆動する無端ベルトの駆動装置に関し、特に、無端ベルトの駆動速度又は回転位置の制御と蛇行制御とを簡易な構成で行う無端ベルト駆動装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置における中間転写ベルト等の無端ベルトを複数のローラに張架した状態で駆動させると、無端ベルトの駆動方向に直交する幅方向にベルトが移動する蛇行が発生する場合がある。
【0003】
特に色の異なるトナー画像を無端ベルトである中間転写ベルト上に転写して色重ねする画像形成装置では、上記した蛇行が発生すると各色のトナー画像の転写位置がずれるため、最終的に出力される画像に色ずれや色むらとして現れてしまう。
【0004】
そこで、画像形成装置の中間転写ベルト等の無端ベルトの蛇行を制御する方法として、無端ベルトの支持ローラを傾けて駆動することで蛇行量を調整する方法(以下、「ステアリング方式」という)が知られている。
【0005】
上記したステアリング方式では、無端ベルトの端部位置を検出するエッジセンサを設け、検出したベルト端部位置からベルトの蛇行量を算出し、算出した蛇行量に基づき傾き動作を行う支持ローラ(以下、「ステアリングローラ」という)の傾きを調整することで、無端ベルトの蛇行制御を行う。
【0006】
例えば特許文献1では、無端ベルトの幅方向の位置変動を修正すべく、ステアリングモータを駆動源として動作するステアリングモジュールと、無端ベルトの幅方向のエッジ位置を検出するエッジセンサとを設け、エッジセンサによるエッジ位置の検出データ等からステアリングモータを駆動させ、無端ベルトの蛇行制御を行うベルト駆動装置が提案されている。
【0007】
特許文献1に係るベルト駆動装置によれば、無端ベルトの幅方向の位置変動(蛇行)を精度良くしかも適切に修正することができ、当該ベルト駆動装置を用いた画像形成装置を用いれば、色ずれや色むらの無い高品質な出力画像を得る事が可能となる。
【0008】
また、中間転写ベルト上で色重ねを行う画像形成装置では、中間転写ベルトの駆動速度のばらつき等によって各色のトナー画像の転写位置にずれが生じ、色ずれや色むらが画像に現れる場合があるため、蛇行と同様に駆動速度も高精度に制御する必要がある。
【0009】
色ずれや色むらといった不良画像の発生を防止する無端ベルトの駆動速度制御方法として、中間転写ベルトの駆動速度や回転位置を検出して制御を行うフィードバック駆動制御方法が知られている。
【0010】
例えば特許文献2では、転写ベルトの内周面にスケールを形成し、当該スケールを読み取る検出器を設け、この検出器の検出結果に基づいて転写ベルトを駆動する駆動モータの制御を行う画像形成装置が提案されている。
【0011】
特許文献2に係る画像形成装置によれば、転写ベルトの移動量を正確に検出して速度制御を行うことができるため、画像ずれなどの画像品質の低下をより確実に防止することができる。
【0012】
特許文献1及び特許文献2に開示された技術を用いて、無端ベルトの蛇行制御及び駆動速度制御の両方を行う従来例に係る中間転写ベルト駆動装置の構成例を図10に示す。
【0013】
図10(a)は中間転写ベルト駆動装置の全体像、図10(b)は中間転写ベルトの内周面に形成されているスケールを示している。
【0014】
図10(a)に示した中間転写ベルト5は、駆動ローラ9、ステアリングローラ6等によって所定の張力がかけられた状態で支持され、中転モータ16からの駆動力を駆動ローラ9が受けることによって、図中矢印A方向に回転駆動する。
【0015】
中間転写ベルト5には、駆動ローラ9の回転速度を検出するエンコーダ14、中間転写ベルト5の駆動速度を検出するためのスケール74及びスケールセンサ31、中間転写ベルト5の端部位置を検出するエッジセンサ15が設けられている。
【0016】
スケール74は、中間転写ベルト5の内周面の全周に渡って設けられ、図10(b)に示す様に中間転写ベルト5の駆動方向に沿って反射部74aと非反射部74bとが交互に配列されている。
【0017】
スケールセンサ31は、スケール74が移動する経路上に設けられ、スケール74の反射部74a及び非反射部74bを検知し、中間転写ベルト5の駆動速度を検出することができる。
【0018】
また、ステアリング方式により、中間転写ベルト5の端部位置を検出するエッジセンサ15の出力結果に応じてステアリングローラ6を傾けることで中間転写ベルト5の蛇行制御を行う様に構成されている。
【0019】
ステアリングローラ6の傾きを制御するステアリング部70は、ステアリングローラ6の一方の端部に設けられたステアリングモータ12、偏心カム11等で構成され、ステアリングローラ6を図中矢印B方向に傾けることができる。ステアリングローラ6を傾けると、中間転写ベルト5が駆動する間に一方に移動するため、幅方向の位置を修正することが可能になる。
【0020】
以上の構成により、エンコーダ14、スケールセンサ31の検出結果から中間転写ベルト5の駆動速度の制御を行い、エッジセンサ15の出力に基づいて中間転写ベルト5の蛇行制御を行うことが可能になり、色ずれや色むら等の不良画像の発生を防ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上記した構成により無端ベルトの駆動速度と蛇行の両方の制御を行うためには、無端ベルトの駆動速度を検出するスケール及びスケールセンサ、無端ベルトの駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出するエッジセンサ等、複数のセンサを必要とし、装置構成の複雑化及びコストの増大を招いていた。
【0022】
そこで本発明では、簡易な構成で無端ベルトの駆動制御及び蛇行制御を高精度に行うことができる無端ベルト駆動装置、画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は上記課題に鑑み、回転駆動する無端ベルトと、前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、前記端部位置検出部の検出結果から所定の帯域の周波数成分のみを抽出するフィルタ部と、前記フィルタ部の抽出結果における前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化から、前記無端ベルトの駆動速度を算出する駆動速度算出部と、前記駆動速度算出部の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの駆動速度を制御する駆動速度制御部と、を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は上記課題に鑑み、回転駆動する無端ベルトと、前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、前記端部位置検出部の検出結果から所定の帯域の周波数成分のみを抽出するフィルタ部と、前記フィルタ部の抽出結果における前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化から、前記無端ベルトの回転位置を算出する回転位置算出部と、前記回転位置算出部の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの回転位置を制御する回転位置制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態によれば、無端ベルトに設けられたエッジセンサの検出結果を用いて無端ベルトの幅方向位置を求めると共に、駆動速度又は回転位置を算出することができる。このため、無端ベルトの駆動速度又は回転位置を検出するためのスケール及びスケールセンサを別途設ける必要がなく、無端ベルトの駆動速度と蛇行の両方を高精度に制御することができる。
【0026】
したがって、構成を簡素化できるためコストダウンが可能であり、なお且つ、無端ベルトの駆動速度及び蛇行の両方について高精度な制御を行う無端ベルト駆動装置、画像形成装置及びプログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成の例を示す図
【図2】実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置の構成例を示す図
【図3】実施形態に係るエッジセンサの構成例を示す図
【図4】実施形態に係る中間転写ベルトの幅方向位置をステアリングローラの傾きにより移動させる例を示す図
【図5】実施形態に係るエッジセンサ出力の例を示す図
【図6】実施形態に係るエッジセンサ出力の例を示す図
【図7】実施形態に係る中間転写ベルトの張り合わせの例を示す図
【図8】実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御のブロック図
【図9】実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置のハードウェア構成例を示す図
【図10】従来例に係る中間転写ベルト駆動装置の構成例を示す図
【図11】従来例に係る中間転写ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
<画像形成装置の構成>
図1に、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置を有する画像形成装置100の概略構成の例を示す。
【0029】
画像形成装置100は、感光体ドラム40、感光体ドラム40を帯電させる帯電装置18、帯電された感光体40上に形成された静電潜像にトナーを付着させる現像装置61等を含む画像形成部を、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色ごとに複数有する、いわゆるタンデム方式の画像形成装置である。
【0030】
画像形成装置100がコピー又はプリントの指示を受け付けると、帯電装置18によって表面が一様に帯電された感光体ドラム40の表面に、光書き込み装置3が画像データに対応した静電潜像を形成する。
【0031】
感光体ドラム40の表面に形成された静電潜像は、現像装置61によりトナーが付着され、トナー画像として顕像化される。各感光体ドラム40上に形成された色が異なるトナー画像は、中間転写ベルト5に重ねて転写され、中間転写ベルト5上にフルカラートナー画像が形成される。
【0032】
中間転写ベルト5に一次転写されたトナー画像は、搬送される用紙Pが斥力ローラ8と二次転写ローラ10との間を通過する際に、両ローラ間にバイアスをかけることにで用紙Pに二次転写される。
【0033】
トナー画像を乗せた用紙Pは、さらに搬送されて定着装置25を通過する際に熱と圧力を加えられてトナー画像が定着し、機外のトレイ57に排出される。
<中間転写ベルト駆動装置の構成>
図2に、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置の構成例を示す。
【0034】
無端ベルトである中間転写ベルト5は、駆動ローラ9、ステアリングローラ6、斥力ローラ8、従動ローラ7によって所定の張力がかけられた状態で支持され、中転モータ16からの駆動力を駆動ローラ9が受けることによって、図中矢印A方向に回転駆動する。
【0035】
中間転写ベルト5は、上記した様にイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色に対応した感光体ドラム40と接する様に配設され、斥力ローラ8に対向する位置には二次転写ローラ10が設けられている。
【0036】
感光体ドラム40上に形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト5に重ねて転写されることでカラー画像が形成される。そのため、中間転写ベルト5が回転駆動する速度が変動したり、駆動方向と直交する幅方向の位置が変動して蛇行したりすると、出力画像に色ずれや色むらといった不良画像として現れてしまう。したがって、中間転写ベルト5の駆動速度及び蛇行は高精度に制御される必要がある。
【0037】
そのために、駆動ローラ9の回転速度を検出するエンコーダ14、中間転写ベルト5の端部位置を検出するエッジセンサ15が設けられている。
【0038】
エンコーダ14は、中転モータ16によって駆動される駆動ローラ9の回転速度検出手段であり、駆動ローラ9の回転軸に取り付けられている。エンコーダ14は、例えばスリットが刻まれたコードホイールと、スリットを工学的に読み取るエンコーダセンサとで構成される。
【0039】
中間転写ベルト5の幅方向端部位置を検出するエッジセンサ15は、中間転写ベルト5の端部に設けられ、中間転写ベルト5の駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出することができる。
【0040】
図3に、本実施形態に係るエッジセンサの構成例を示す。
【0041】
エッジセンサ15は、受発光部15a、ベルト接触部15b及び回転軸15cとで構成されている。ベルト接触部15bは中間転写ベルト5方向に不図示の構成により付勢されており、中間転写ベルト5が蛇行した場合(図5(b)又は(c))に回転軸15cを中心に回転する。
【0042】
受発光部15aは、受発光素子を有しており、ベルト接触部15b表面に光を照射し、その反射光を受光することでベルト接触部15bの傾きを検知し、この傾きから中間転写ベルト5の駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出することができる。なお、端部位置検出部であるエッジセンサ15は、無端ベルトの端部位置を検出できる構成であれば良く、上記に限るものではない。
【0043】
また、図2に示した様にエッジセンサ15の検出結果に基づいて中間転写ベルト5の蛇行制御を行うために、ステアリングローラ6の一方の軸には、ステアリングローラ6を傾ける動作を行うステアリング部70が設けられている。
【0044】
ステアリング部70は、ステアリングローラ6の一方の軸を保持し、回転軸72を中心に回転することが可能なローラ保持部材71と、ローラ保持部材71を回転させる偏心カム11とステアリングモータ12とで構成される。
【0045】
アーム状部材71のステアリングローラ6側の端部には弾性材であるバネを有し、ステアリングローラ6を中間転写ベルト5方向に付勢している。ローラ保持部材71のステアリングローラ6と反対側の端部は、ギヤを介してステアリングモータ12に接続する偏心カム11と接する様に設けられている。
【0046】
ステアリングモータ12が駆動するとギヤを介して偏心カム11が回転し、偏心カム11の位置に応じてローラ保持部材71が回転軸72を中心に回転する。ローラ保持部材71が回転すると、ステアリングローラ6が図中矢印B方向に傾く様に動作する。
【0047】
図4に、実施形態に係る中間転写ベルトの幅方向位置を、ステアリングローラの傾きにより移動させる例を示す。図4は、中間転写ベルト5の感光体ドラム40方向からの上面図である。
【0048】
図4は、中間転写ベルト5が全体的にX2方向に移動した状態で回転駆動している様子を示している。この場合には、ステアリングモータ12を駆動してローラ保持部材71を回転させてステアリングローラ6を図中矢印α方向に傾ける動作を行う。
【0049】
ステアリングローラ6が図中矢印α方向に傾くことで、中間転写ベルト5は駆動する間に図中X1方向に移動し、蛇行状態を解消できる。
【0050】
図示した例とは逆方向に中間転写ベルト5が移動して駆動している場合には、ステアリングローラ6を図中矢印α方向とは反対方向に傾けることで、同様に蛇行状態を解消することができる。
【0051】
本実施形態に係る無端ベルトである中間転写ベルト5の駆動装置は、エッジセンサ15を用いて中間転写ベルト5の駆動方向と直交する幅方向の端部位置を検出し、この検出結果に基づいてステアリングローラ6を傾ける動作を行うことで蛇行量を調整する。
【0052】
また、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置は、後述する算出方法によりエッジセンサ15の検出結果から中間転写ベルト5の駆動速度又は回転位置を求めることができるため、中間転写ベルト5の内周面にスケール74及びスケールセンサ31等、駆動速度又は回転位置を検出するためのセンサ等は設けていない。
【0053】
したがって、中間転写ベルト5の駆動速度及び蛇行の両方の制御を、構成を複雑化することなく高精度に行うことができる。
<エッジセンサの検出結果>
図5に、本実施形態に係るエッジセンサ15の出力例を示す。図5(a)は横軸に時間、縦軸に振幅を取ったエッジセンサ15の出力波形であり、図5(b)はエッジセンサ15の出力から所定の帯域の周波数成分のみをフィルタリングして抽出した波形を示している。
【0054】
中間転写ベルト5は、幅方向の端部を切断する際にできた微細な凹凸を端部に有しており、この微小な凹凸が図5(a)に示すエッジセンサ15の出力波形に微細な振幅の変化として現れている。
【0055】
ここで、図7に本実施形態に係る中間転写ベルト5を張り合わせによって作製する例を示す。
【0056】
無端ベルトである中間転写ベルト5は、図7(a)に示した様にベルト部材の端部を張り合わせ部49として、もう一方の端部と張り合わせることによって作製している。
【0057】
中間転写ベルト5の幅方向端部が、駆動方向に対して完全に平行になる様に張り合わせることが好ましいが、実際には図7(b)に示した様に僅かにずれが生じてしまう。このために、中間転写ベルト5の端部位置を検出するエッジセンサ15からは、図5(a)に示した様に大きな振幅を伴った波形が検出されることとなる。
【0058】
エッジセンサ15の出力波形において、張り合わせのずれによって生じる振幅の大きさは数十μmから1mm程度であり、端部を切断する際に生じた微細な凹凸による振幅の変化は数μmから数十μm程度である。
【0059】
エッジセンサ15の検出結果から、端部を切断する際に生じた微細な凹凸による振幅の変化を除去し、中間転写ベルト5の張り合わせのずれによって生じる振幅の変化のみを残す様にフィルタリングを行い、図5(b)に示す波形を取得する。
【0060】
フィルタリングは、例えば高周波成分を遮断し、低周波成分のみを通過させるローパスフィルタを用いて行う。遮断する周波数の設定は、中間転写ベルトの駆動速度に応じて変化させることで、エッジセンサ15の出力波形から必要な波形のみを抽出することができる。
【0061】
中間転写ベルト5の幅方向端部の位置は、例えば図5(b)に示した中間転写ベルト5の一周分の波形を平均化して求める。ベルト一周分の波形を平均化することで、中間転写ベルト5全体の蛇行量を精度良く求めることができ、中間転写ベルト5の蛇行制御を精度良く行うことが可能となる。
【0062】
また、図7(c)に示した様な状態で中間転写ベルト5の張り合わせにずれが生じ、幅方向端部に段差ができた場合には、エッジセンサ15の出力波形は図6(a)の様になる。
【0063】
図6(a)に示したエッジセンサ15の出力波形には、中間転写ベルト5の張り合わせのずれによって大きな振幅を生じると共に、時間ta、tb、tcに段差を原因とする急激な振幅の変化が現れている。
【0064】
図6(b)に、図6(a)に示した波形から高周波成分を遮断し、中間転写ベルト5の張り合わせのずれによる波形のみを抽出した結果を示す。得られる波形はノコギリ刃形状となり、図5に示した場合と同様に、例えば中間転写ベルト5の一周分の波形を平均化して幅方向端部位置を求めることで、中間転写ベルト5の蛇行量を検出できる。
【0065】
この様に、端部位置検出部であるエッジセンサ15の検出結果から、中間転写ベルト5の幅方向端部位置を求めることができ、求められた中間転写ベルト5の幅方向端部位置に基づいて蛇行制御を高精度に行うことが可能になる。
<中間転写ベルトの駆動速度算出>
次に、図5(b)に示したエッジセンサ15のフィルタリング後の出力波形から、中間転写ベルト5の駆動速度を算出する方法について説明する。
【0066】
エッジセンサ15の出力波形における振幅をAとし、時間t1でのエッジセンサ15の出力をX(t1)、時間t2での出力をX(t2)とすると、時間t1及び時間t2におけるエッジセンサ15の出力波形における位相θ(t1)及びθ(t2)は下式で求めることができる。
【0067】
θ(t1) = sin−1(X(t1)/A) ・・・ (式1)
θ(t2) = sin−1(X(t2)/A) ・・・ (式2)
ここで、中間転写ベルト5の周長をLとすると、時間t1から時間t2までの中間転写ベルト5の移動量Wは、下式により求めることができる。
【0068】
W = (θ(t1)−θ(t2))/2π×L ・・・ (式3)
したがって、中間転写ベルト5の駆動速度Vは、移動量Wと時間から下式により求めることができる。
【0069】
V = W/(t1−t2) ・・・ (式4)
(式1)から(式4)によって、エッジセンサ15の出力から中間転写ベルト5の駆動速度を算出することができ、算出した値に基づいて駆動速度の制御を行うことができる。
【0070】
なお、移動量及び駆動速度を算出する時間t1及びt2の時間間隔は、任意の間隔で算出することができるが、例えばマイクロ秒、ナノ秒といった間隔に設定することができる。
【0071】
また、図6(b)に示したエッジセンサ15の出力波形からは、以下の通りに中間転写ベルト5の駆動速度を求めることができる。
【0072】
図6(b)に示したエッジセンサ15の出力波形の振幅をAとし、時間t1でのエッジセンサ出力をX(t1)、時間t2でのエッジセンサ出力をX(t2)、中間転写ベルト5の周長をLとすると、時間t1からt2までの中間転写ベルト5の移動量Wは下式により求めることができる。
【0073】
W = (X(t1)−X(t2))/2A×L ・・・ (式5)
また、中間転写ベルト5の駆動速度Vは、移動量Wと時間から下式により求めることができる。
【0074】
V = W/(t1−t2) ・・・ (式6)
したがって、中間転写ベルト5の作製時に張り合わせ部がずれて端部に段差を有する場合においても、エッジセンサ15の出力波形から中間転写ベルト5の駆動速度を精度良く求めることができる。
<中間転写ベルトの駆動速度制御及び蛇行制御>
次に、中間転写ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御について説明する。
【0075】
まず、図11に従来例に係る中間転写ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御のブロック図を示す。図11(a)は駆動速度制御のブロック図、図11(b)は蛇行制御のブロック図である。
【0076】
従来例に係る中間転写ベルト駆動装置は、図10に示した様にエンコーダ14、エッジセンサ15に加えて中間転写ベルト5の内周面にスケール74と、スケール74を読み取るスケールセンサ31が設けられている。
【0077】
図11(a)に示した駆動速度制御では、まず目標速度[rad/s]とスケールセンサ31によって検出された中間転写ベルト5の駆動速度とを比較し、制御部A22で制御量を出力する。次に制御部B23で制御部A22の出力と、エンコーダ14の出力とを比較して、モータドライバ19の入力信号を決定する。モータドライバ19は制御部Bからの制御情報に従って中転モータ16の駆動を制御する。
【0078】
駆動速度制御系全体としては、エンコーダ14からのインナーループと、スケールセンサ31からのアウターループによる二重フィードバック制御となっている。
【0079】
図11(b)に示した蛇行制御は、駆動速度制御とは完全に独立した制御系となっている。
【0080】
まず、入力情報である目標位置[μm]と、エッジセンサ15の出力に基づいて求められた中間転写ベルト5の端部位置とを比較し、制御部C24が中間転写ベルト5の蛇行量に対応したステアリング量(ステアリングモータのステップ数)をモータドライバ29に出力する。
【0081】
モータドライバ29は制御部C24からの制御情報に従って、ステアリングモータ12を駆動し、ステアリングローラ6の傾きを制御する。
【0082】
エッジセンサ15の検出結果は、平均化処理部37によって所定時間、例えばベルト一周分を平均化した上で蛇行量を算出し、フィードバック制御を行う。
【0083】
この様に、従来例では中間転写ベルト5の駆動速度及び蛇行を高精度に制御するために、スケール74、スケールセンサ31、エッジセンサ15、エンコーダ14を設け、上記した異なる2つの制御系を構成する必要があり、装置構成の複雑化及びコストの上昇を招いていた。
【0084】
次に、図8に本実施形態に係る中間転写ベルトの駆動速度制御及び蛇行制御のブロック図を示す。
【0085】
駆動速度制御は、従来例と同様に二重フィードバック制御を行っているが、中間転写ベルト5の駆動速度をエッジセンサ15の出力に基づいて算出している点で従来例とは異なっている。
【0086】
中間転写ベルト5の駆動速度は、エッジセンサ15の出力からフィルタ部38によって所定の帯域の周波数成分のみを抽出し、駆動速度算出部39が上記した算出方法で算出する。
【0087】
駆動速度の算出方法は、図5又は図6に示したエッジセンサ15の出力波形に応じて変更する必要があるが、作製された中間転写ベルト5の形状に応じて予め算出方法を設定するか、エッジセンサ15からの出力波形に応じて算出方法を切り替える様にしても良い。
【0088】
算出された中間転写ベルト5の駆動速度は目標速度[rad/s]と比較され、制御部A22、制御部B23等によって中間転写ベルト5の駆動速度が制御される。
【0089】
蛇行制御は従来例と同様に、エッジセンサ15の出力を平均化処理部37で一定時間平均化した上で蛇行量を算出し、フィードバック制御を行っている。
【0090】
本実施形態では、無端ベルトである中間転写ベルト5の幅方向端部位置を検出するエッジセンサ15の出力から中間転写ベルト5の駆動速度を算出するため、駆動速度及び蛇行の両方の制御を一つの制御系で行う様に構成することができる。
<ベルト駆動制御装置のハード構成>
図9に、実施形態に係る中間転写ベルト駆動制御装置のハードウェア構成の例を示す。
【0091】
制御基板75は、CPU76、モータドライバ19、29、フィルタ部38を備えており、CPU76は制御部A22,制御部B23、制御部C24、平均化処理部37及び駆動速度算出部39を有している。
【0092】
エッジセンサ15の出力は、制御基板75に入力された後、基板内で2つに分岐する。一方は直接CPU76に入力され、平均化処理部37によって平均化された後に制御部C24に入力され、蛇行制御に用いられる。
【0093】
エッジセンサ15の出力の他方は、フィルタ部38を介してCPU76に入力され、駆動速度算出部39により中間転写ベルト5の駆動速度の算出が行われ、制御部A22及び制御部B23による駆動速度制御に用いられる。
【0094】
フィルタ部38には、抵抗とコンデンサで構成されるRCフィルタを用いたが、所定の帯域の周波数成分を抽出することができれば他の構成であっても良い。また、CPU内部でソフトウェアによってフィルタリングをする様に構成することも可能である。
【0095】
この様に、本実施形態によれば、エッジセンサ15の出力に基づいて中間転写ベルト5の駆動速度及び蛇行の両方の制御を行うことができるため、駆動速度を検出するためのセンサ等を別途設ける必要がなく、構成を簡易化することが可能となる。
【0096】
また、本発明に係る無端ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御は、コンピュータにより実行可能なプログラムにより実現することができ、プログラムを記録した記録媒体をコンピュータにより読み取らせて実現することも可能である。
【0097】
なお、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置では、蛇行制御と共に駆動速度を制御する場合について説明したが、中間転写ベルト5の移動量に基づいて回転位置を算出することにより、同様の構成にて回転位置を制御することもできる。
<まとめ>
以上詳細に説明した様に、本発明の実施形態によれば、無端ベルトである中間転写ベルト5の幅方向の端部位置を検出するエッジセンサ15の検出結果から、中間転写ベルト5の幅方向位置及び駆動速度の両方を求めることができる。
【0098】
したがって、中間転写ベルト5の駆動速度を検出するためのスケール及びスケールセンサといった検出手段を別途設ける必要が無いため、装置構成を簡素化することができ、コストダウンを達成することが可能となる。
【0099】
また、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置を用いた画像形成装置によれば、出力画像に色ずれや色むらといった不具合の無い高品質な画像を提供することができる。
【0100】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0101】
5 中間転写ベルト(無端ベルト)
15 エッジセンサ(端部位置検出部)
22 制御部A(駆動速度制御部)
23 制御部B(駆動速度制御部)
24 制御部C(幅方向位置制御部)
38 フィルタ部
39 駆動速度算出部
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開平11−024507号公報
【特許文献2】特開平11−295948号公報
【技術分野】
【0001】
回転駆動する無端ベルトの駆動装置に関し、特に、無端ベルトの駆動速度又は回転位置の制御と蛇行制御とを簡易な構成で行う無端ベルト駆動装置、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いた画像形成装置における中間転写ベルト等の無端ベルトを複数のローラに張架した状態で駆動させると、無端ベルトの駆動方向に直交する幅方向にベルトが移動する蛇行が発生する場合がある。
【0003】
特に色の異なるトナー画像を無端ベルトである中間転写ベルト上に転写して色重ねする画像形成装置では、上記した蛇行が発生すると各色のトナー画像の転写位置がずれるため、最終的に出力される画像に色ずれや色むらとして現れてしまう。
【0004】
そこで、画像形成装置の中間転写ベルト等の無端ベルトの蛇行を制御する方法として、無端ベルトの支持ローラを傾けて駆動することで蛇行量を調整する方法(以下、「ステアリング方式」という)が知られている。
【0005】
上記したステアリング方式では、無端ベルトの端部位置を検出するエッジセンサを設け、検出したベルト端部位置からベルトの蛇行量を算出し、算出した蛇行量に基づき傾き動作を行う支持ローラ(以下、「ステアリングローラ」という)の傾きを調整することで、無端ベルトの蛇行制御を行う。
【0006】
例えば特許文献1では、無端ベルトの幅方向の位置変動を修正すべく、ステアリングモータを駆動源として動作するステアリングモジュールと、無端ベルトの幅方向のエッジ位置を検出するエッジセンサとを設け、エッジセンサによるエッジ位置の検出データ等からステアリングモータを駆動させ、無端ベルトの蛇行制御を行うベルト駆動装置が提案されている。
【0007】
特許文献1に係るベルト駆動装置によれば、無端ベルトの幅方向の位置変動(蛇行)を精度良くしかも適切に修正することができ、当該ベルト駆動装置を用いた画像形成装置を用いれば、色ずれや色むらの無い高品質な出力画像を得る事が可能となる。
【0008】
また、中間転写ベルト上で色重ねを行う画像形成装置では、中間転写ベルトの駆動速度のばらつき等によって各色のトナー画像の転写位置にずれが生じ、色ずれや色むらが画像に現れる場合があるため、蛇行と同様に駆動速度も高精度に制御する必要がある。
【0009】
色ずれや色むらといった不良画像の発生を防止する無端ベルトの駆動速度制御方法として、中間転写ベルトの駆動速度や回転位置を検出して制御を行うフィードバック駆動制御方法が知られている。
【0010】
例えば特許文献2では、転写ベルトの内周面にスケールを形成し、当該スケールを読み取る検出器を設け、この検出器の検出結果に基づいて転写ベルトを駆動する駆動モータの制御を行う画像形成装置が提案されている。
【0011】
特許文献2に係る画像形成装置によれば、転写ベルトの移動量を正確に検出して速度制御を行うことができるため、画像ずれなどの画像品質の低下をより確実に防止することができる。
【0012】
特許文献1及び特許文献2に開示された技術を用いて、無端ベルトの蛇行制御及び駆動速度制御の両方を行う従来例に係る中間転写ベルト駆動装置の構成例を図10に示す。
【0013】
図10(a)は中間転写ベルト駆動装置の全体像、図10(b)は中間転写ベルトの内周面に形成されているスケールを示している。
【0014】
図10(a)に示した中間転写ベルト5は、駆動ローラ9、ステアリングローラ6等によって所定の張力がかけられた状態で支持され、中転モータ16からの駆動力を駆動ローラ9が受けることによって、図中矢印A方向に回転駆動する。
【0015】
中間転写ベルト5には、駆動ローラ9の回転速度を検出するエンコーダ14、中間転写ベルト5の駆動速度を検出するためのスケール74及びスケールセンサ31、中間転写ベルト5の端部位置を検出するエッジセンサ15が設けられている。
【0016】
スケール74は、中間転写ベルト5の内周面の全周に渡って設けられ、図10(b)に示す様に中間転写ベルト5の駆動方向に沿って反射部74aと非反射部74bとが交互に配列されている。
【0017】
スケールセンサ31は、スケール74が移動する経路上に設けられ、スケール74の反射部74a及び非反射部74bを検知し、中間転写ベルト5の駆動速度を検出することができる。
【0018】
また、ステアリング方式により、中間転写ベルト5の端部位置を検出するエッジセンサ15の出力結果に応じてステアリングローラ6を傾けることで中間転写ベルト5の蛇行制御を行う様に構成されている。
【0019】
ステアリングローラ6の傾きを制御するステアリング部70は、ステアリングローラ6の一方の端部に設けられたステアリングモータ12、偏心カム11等で構成され、ステアリングローラ6を図中矢印B方向に傾けることができる。ステアリングローラ6を傾けると、中間転写ベルト5が駆動する間に一方に移動するため、幅方向の位置を修正することが可能になる。
【0020】
以上の構成により、エンコーダ14、スケールセンサ31の検出結果から中間転写ベルト5の駆動速度の制御を行い、エッジセンサ15の出力に基づいて中間転写ベルト5の蛇行制御を行うことが可能になり、色ずれや色むら等の不良画像の発生を防ぐことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、上記した構成により無端ベルトの駆動速度と蛇行の両方の制御を行うためには、無端ベルトの駆動速度を検出するスケール及びスケールセンサ、無端ベルトの駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出するエッジセンサ等、複数のセンサを必要とし、装置構成の複雑化及びコストの増大を招いていた。
【0022】
そこで本発明では、簡易な構成で無端ベルトの駆動制御及び蛇行制御を高精度に行うことができる無端ベルト駆動装置、画像形成装置及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は上記課題に鑑み、回転駆動する無端ベルトと、前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、前記端部位置検出部の検出結果から所定の帯域の周波数成分のみを抽出するフィルタ部と、前記フィルタ部の抽出結果における前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化から、前記無端ベルトの駆動速度を算出する駆動速度算出部と、前記駆動速度算出部の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの駆動速度を制御する駆動速度制御部と、を有することを特徴とする。
【0024】
また、本発明は上記課題に鑑み、回転駆動する無端ベルトと、前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、前記端部位置検出部の検出結果から所定の帯域の周波数成分のみを抽出するフィルタ部と、前記フィルタ部の抽出結果における前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化から、前記無端ベルトの回転位置を算出する回転位置算出部と、前記回転位置算出部の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの回転位置を制御する回転位置制御部と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の実施形態によれば、無端ベルトに設けられたエッジセンサの検出結果を用いて無端ベルトの幅方向位置を求めると共に、駆動速度又は回転位置を算出することができる。このため、無端ベルトの駆動速度又は回転位置を検出するためのスケール及びスケールセンサを別途設ける必要がなく、無端ベルトの駆動速度と蛇行の両方を高精度に制御することができる。
【0026】
したがって、構成を簡素化できるためコストダウンが可能であり、なお且つ、無端ベルトの駆動速度及び蛇行の両方について高精度な制御を行う無端ベルト駆動装置、画像形成装置及びプログラムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態に係る画像形成装置の概略構成の例を示す図
【図2】実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置の構成例を示す図
【図3】実施形態に係るエッジセンサの構成例を示す図
【図4】実施形態に係る中間転写ベルトの幅方向位置をステアリングローラの傾きにより移動させる例を示す図
【図5】実施形態に係るエッジセンサ出力の例を示す図
【図6】実施形態に係るエッジセンサ出力の例を示す図
【図7】実施形態に係る中間転写ベルトの張り合わせの例を示す図
【図8】実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御のブロック図
【図9】実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置のハードウェア構成例を示す図
【図10】従来例に係る中間転写ベルト駆動装置の構成例を示す図
【図11】従来例に係る中間転写ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御のブロック図
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」という)について、図面を用いて詳細に説明する。
<画像形成装置の構成>
図1に、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置を有する画像形成装置100の概略構成の例を示す。
【0029】
画像形成装置100は、感光体ドラム40、感光体ドラム40を帯電させる帯電装置18、帯電された感光体40上に形成された静電潜像にトナーを付着させる現像装置61等を含む画像形成部を、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色ごとに複数有する、いわゆるタンデム方式の画像形成装置である。
【0030】
画像形成装置100がコピー又はプリントの指示を受け付けると、帯電装置18によって表面が一様に帯電された感光体ドラム40の表面に、光書き込み装置3が画像データに対応した静電潜像を形成する。
【0031】
感光体ドラム40の表面に形成された静電潜像は、現像装置61によりトナーが付着され、トナー画像として顕像化される。各感光体ドラム40上に形成された色が異なるトナー画像は、中間転写ベルト5に重ねて転写され、中間転写ベルト5上にフルカラートナー画像が形成される。
【0032】
中間転写ベルト5に一次転写されたトナー画像は、搬送される用紙Pが斥力ローラ8と二次転写ローラ10との間を通過する際に、両ローラ間にバイアスをかけることにで用紙Pに二次転写される。
【0033】
トナー画像を乗せた用紙Pは、さらに搬送されて定着装置25を通過する際に熱と圧力を加えられてトナー画像が定着し、機外のトレイ57に排出される。
<中間転写ベルト駆動装置の構成>
図2に、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置の構成例を示す。
【0034】
無端ベルトである中間転写ベルト5は、駆動ローラ9、ステアリングローラ6、斥力ローラ8、従動ローラ7によって所定の張力がかけられた状態で支持され、中転モータ16からの駆動力を駆動ローラ9が受けることによって、図中矢印A方向に回転駆動する。
【0035】
中間転写ベルト5は、上記した様にイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色に対応した感光体ドラム40と接する様に配設され、斥力ローラ8に対向する位置には二次転写ローラ10が設けられている。
【0036】
感光体ドラム40上に形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト5に重ねて転写されることでカラー画像が形成される。そのため、中間転写ベルト5が回転駆動する速度が変動したり、駆動方向と直交する幅方向の位置が変動して蛇行したりすると、出力画像に色ずれや色むらといった不良画像として現れてしまう。したがって、中間転写ベルト5の駆動速度及び蛇行は高精度に制御される必要がある。
【0037】
そのために、駆動ローラ9の回転速度を検出するエンコーダ14、中間転写ベルト5の端部位置を検出するエッジセンサ15が設けられている。
【0038】
エンコーダ14は、中転モータ16によって駆動される駆動ローラ9の回転速度検出手段であり、駆動ローラ9の回転軸に取り付けられている。エンコーダ14は、例えばスリットが刻まれたコードホイールと、スリットを工学的に読み取るエンコーダセンサとで構成される。
【0039】
中間転写ベルト5の幅方向端部位置を検出するエッジセンサ15は、中間転写ベルト5の端部に設けられ、中間転写ベルト5の駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出することができる。
【0040】
図3に、本実施形態に係るエッジセンサの構成例を示す。
【0041】
エッジセンサ15は、受発光部15a、ベルト接触部15b及び回転軸15cとで構成されている。ベルト接触部15bは中間転写ベルト5方向に不図示の構成により付勢されており、中間転写ベルト5が蛇行した場合(図5(b)又は(c))に回転軸15cを中心に回転する。
【0042】
受発光部15aは、受発光素子を有しており、ベルト接触部15b表面に光を照射し、その反射光を受光することでベルト接触部15bの傾きを検知し、この傾きから中間転写ベルト5の駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出することができる。なお、端部位置検出部であるエッジセンサ15は、無端ベルトの端部位置を検出できる構成であれば良く、上記に限るものではない。
【0043】
また、図2に示した様にエッジセンサ15の検出結果に基づいて中間転写ベルト5の蛇行制御を行うために、ステアリングローラ6の一方の軸には、ステアリングローラ6を傾ける動作を行うステアリング部70が設けられている。
【0044】
ステアリング部70は、ステアリングローラ6の一方の軸を保持し、回転軸72を中心に回転することが可能なローラ保持部材71と、ローラ保持部材71を回転させる偏心カム11とステアリングモータ12とで構成される。
【0045】
アーム状部材71のステアリングローラ6側の端部には弾性材であるバネを有し、ステアリングローラ6を中間転写ベルト5方向に付勢している。ローラ保持部材71のステアリングローラ6と反対側の端部は、ギヤを介してステアリングモータ12に接続する偏心カム11と接する様に設けられている。
【0046】
ステアリングモータ12が駆動するとギヤを介して偏心カム11が回転し、偏心カム11の位置に応じてローラ保持部材71が回転軸72を中心に回転する。ローラ保持部材71が回転すると、ステアリングローラ6が図中矢印B方向に傾く様に動作する。
【0047】
図4に、実施形態に係る中間転写ベルトの幅方向位置を、ステアリングローラの傾きにより移動させる例を示す。図4は、中間転写ベルト5の感光体ドラム40方向からの上面図である。
【0048】
図4は、中間転写ベルト5が全体的にX2方向に移動した状態で回転駆動している様子を示している。この場合には、ステアリングモータ12を駆動してローラ保持部材71を回転させてステアリングローラ6を図中矢印α方向に傾ける動作を行う。
【0049】
ステアリングローラ6が図中矢印α方向に傾くことで、中間転写ベルト5は駆動する間に図中X1方向に移動し、蛇行状態を解消できる。
【0050】
図示した例とは逆方向に中間転写ベルト5が移動して駆動している場合には、ステアリングローラ6を図中矢印α方向とは反対方向に傾けることで、同様に蛇行状態を解消することができる。
【0051】
本実施形態に係る無端ベルトである中間転写ベルト5の駆動装置は、エッジセンサ15を用いて中間転写ベルト5の駆動方向と直交する幅方向の端部位置を検出し、この検出結果に基づいてステアリングローラ6を傾ける動作を行うことで蛇行量を調整する。
【0052】
また、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置は、後述する算出方法によりエッジセンサ15の検出結果から中間転写ベルト5の駆動速度又は回転位置を求めることができるため、中間転写ベルト5の内周面にスケール74及びスケールセンサ31等、駆動速度又は回転位置を検出するためのセンサ等は設けていない。
【0053】
したがって、中間転写ベルト5の駆動速度及び蛇行の両方の制御を、構成を複雑化することなく高精度に行うことができる。
<エッジセンサの検出結果>
図5に、本実施形態に係るエッジセンサ15の出力例を示す。図5(a)は横軸に時間、縦軸に振幅を取ったエッジセンサ15の出力波形であり、図5(b)はエッジセンサ15の出力から所定の帯域の周波数成分のみをフィルタリングして抽出した波形を示している。
【0054】
中間転写ベルト5は、幅方向の端部を切断する際にできた微細な凹凸を端部に有しており、この微小な凹凸が図5(a)に示すエッジセンサ15の出力波形に微細な振幅の変化として現れている。
【0055】
ここで、図7に本実施形態に係る中間転写ベルト5を張り合わせによって作製する例を示す。
【0056】
無端ベルトである中間転写ベルト5は、図7(a)に示した様にベルト部材の端部を張り合わせ部49として、もう一方の端部と張り合わせることによって作製している。
【0057】
中間転写ベルト5の幅方向端部が、駆動方向に対して完全に平行になる様に張り合わせることが好ましいが、実際には図7(b)に示した様に僅かにずれが生じてしまう。このために、中間転写ベルト5の端部位置を検出するエッジセンサ15からは、図5(a)に示した様に大きな振幅を伴った波形が検出されることとなる。
【0058】
エッジセンサ15の出力波形において、張り合わせのずれによって生じる振幅の大きさは数十μmから1mm程度であり、端部を切断する際に生じた微細な凹凸による振幅の変化は数μmから数十μm程度である。
【0059】
エッジセンサ15の検出結果から、端部を切断する際に生じた微細な凹凸による振幅の変化を除去し、中間転写ベルト5の張り合わせのずれによって生じる振幅の変化のみを残す様にフィルタリングを行い、図5(b)に示す波形を取得する。
【0060】
フィルタリングは、例えば高周波成分を遮断し、低周波成分のみを通過させるローパスフィルタを用いて行う。遮断する周波数の設定は、中間転写ベルトの駆動速度に応じて変化させることで、エッジセンサ15の出力波形から必要な波形のみを抽出することができる。
【0061】
中間転写ベルト5の幅方向端部の位置は、例えば図5(b)に示した中間転写ベルト5の一周分の波形を平均化して求める。ベルト一周分の波形を平均化することで、中間転写ベルト5全体の蛇行量を精度良く求めることができ、中間転写ベルト5の蛇行制御を精度良く行うことが可能となる。
【0062】
また、図7(c)に示した様な状態で中間転写ベルト5の張り合わせにずれが生じ、幅方向端部に段差ができた場合には、エッジセンサ15の出力波形は図6(a)の様になる。
【0063】
図6(a)に示したエッジセンサ15の出力波形には、中間転写ベルト5の張り合わせのずれによって大きな振幅を生じると共に、時間ta、tb、tcに段差を原因とする急激な振幅の変化が現れている。
【0064】
図6(b)に、図6(a)に示した波形から高周波成分を遮断し、中間転写ベルト5の張り合わせのずれによる波形のみを抽出した結果を示す。得られる波形はノコギリ刃形状となり、図5に示した場合と同様に、例えば中間転写ベルト5の一周分の波形を平均化して幅方向端部位置を求めることで、中間転写ベルト5の蛇行量を検出できる。
【0065】
この様に、端部位置検出部であるエッジセンサ15の検出結果から、中間転写ベルト5の幅方向端部位置を求めることができ、求められた中間転写ベルト5の幅方向端部位置に基づいて蛇行制御を高精度に行うことが可能になる。
<中間転写ベルトの駆動速度算出>
次に、図5(b)に示したエッジセンサ15のフィルタリング後の出力波形から、中間転写ベルト5の駆動速度を算出する方法について説明する。
【0066】
エッジセンサ15の出力波形における振幅をAとし、時間t1でのエッジセンサ15の出力をX(t1)、時間t2での出力をX(t2)とすると、時間t1及び時間t2におけるエッジセンサ15の出力波形における位相θ(t1)及びθ(t2)は下式で求めることができる。
【0067】
θ(t1) = sin−1(X(t1)/A) ・・・ (式1)
θ(t2) = sin−1(X(t2)/A) ・・・ (式2)
ここで、中間転写ベルト5の周長をLとすると、時間t1から時間t2までの中間転写ベルト5の移動量Wは、下式により求めることができる。
【0068】
W = (θ(t1)−θ(t2))/2π×L ・・・ (式3)
したがって、中間転写ベルト5の駆動速度Vは、移動量Wと時間から下式により求めることができる。
【0069】
V = W/(t1−t2) ・・・ (式4)
(式1)から(式4)によって、エッジセンサ15の出力から中間転写ベルト5の駆動速度を算出することができ、算出した値に基づいて駆動速度の制御を行うことができる。
【0070】
なお、移動量及び駆動速度を算出する時間t1及びt2の時間間隔は、任意の間隔で算出することができるが、例えばマイクロ秒、ナノ秒といった間隔に設定することができる。
【0071】
また、図6(b)に示したエッジセンサ15の出力波形からは、以下の通りに中間転写ベルト5の駆動速度を求めることができる。
【0072】
図6(b)に示したエッジセンサ15の出力波形の振幅をAとし、時間t1でのエッジセンサ出力をX(t1)、時間t2でのエッジセンサ出力をX(t2)、中間転写ベルト5の周長をLとすると、時間t1からt2までの中間転写ベルト5の移動量Wは下式により求めることができる。
【0073】
W = (X(t1)−X(t2))/2A×L ・・・ (式5)
また、中間転写ベルト5の駆動速度Vは、移動量Wと時間から下式により求めることができる。
【0074】
V = W/(t1−t2) ・・・ (式6)
したがって、中間転写ベルト5の作製時に張り合わせ部がずれて端部に段差を有する場合においても、エッジセンサ15の出力波形から中間転写ベルト5の駆動速度を精度良く求めることができる。
<中間転写ベルトの駆動速度制御及び蛇行制御>
次に、中間転写ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御について説明する。
【0075】
まず、図11に従来例に係る中間転写ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御のブロック図を示す。図11(a)は駆動速度制御のブロック図、図11(b)は蛇行制御のブロック図である。
【0076】
従来例に係る中間転写ベルト駆動装置は、図10に示した様にエンコーダ14、エッジセンサ15に加えて中間転写ベルト5の内周面にスケール74と、スケール74を読み取るスケールセンサ31が設けられている。
【0077】
図11(a)に示した駆動速度制御では、まず目標速度[rad/s]とスケールセンサ31によって検出された中間転写ベルト5の駆動速度とを比較し、制御部A22で制御量を出力する。次に制御部B23で制御部A22の出力と、エンコーダ14の出力とを比較して、モータドライバ19の入力信号を決定する。モータドライバ19は制御部Bからの制御情報に従って中転モータ16の駆動を制御する。
【0078】
駆動速度制御系全体としては、エンコーダ14からのインナーループと、スケールセンサ31からのアウターループによる二重フィードバック制御となっている。
【0079】
図11(b)に示した蛇行制御は、駆動速度制御とは完全に独立した制御系となっている。
【0080】
まず、入力情報である目標位置[μm]と、エッジセンサ15の出力に基づいて求められた中間転写ベルト5の端部位置とを比較し、制御部C24が中間転写ベルト5の蛇行量に対応したステアリング量(ステアリングモータのステップ数)をモータドライバ29に出力する。
【0081】
モータドライバ29は制御部C24からの制御情報に従って、ステアリングモータ12を駆動し、ステアリングローラ6の傾きを制御する。
【0082】
エッジセンサ15の検出結果は、平均化処理部37によって所定時間、例えばベルト一周分を平均化した上で蛇行量を算出し、フィードバック制御を行う。
【0083】
この様に、従来例では中間転写ベルト5の駆動速度及び蛇行を高精度に制御するために、スケール74、スケールセンサ31、エッジセンサ15、エンコーダ14を設け、上記した異なる2つの制御系を構成する必要があり、装置構成の複雑化及びコストの上昇を招いていた。
【0084】
次に、図8に本実施形態に係る中間転写ベルトの駆動速度制御及び蛇行制御のブロック図を示す。
【0085】
駆動速度制御は、従来例と同様に二重フィードバック制御を行っているが、中間転写ベルト5の駆動速度をエッジセンサ15の出力に基づいて算出している点で従来例とは異なっている。
【0086】
中間転写ベルト5の駆動速度は、エッジセンサ15の出力からフィルタ部38によって所定の帯域の周波数成分のみを抽出し、駆動速度算出部39が上記した算出方法で算出する。
【0087】
駆動速度の算出方法は、図5又は図6に示したエッジセンサ15の出力波形に応じて変更する必要があるが、作製された中間転写ベルト5の形状に応じて予め算出方法を設定するか、エッジセンサ15からの出力波形に応じて算出方法を切り替える様にしても良い。
【0088】
算出された中間転写ベルト5の駆動速度は目標速度[rad/s]と比較され、制御部A22、制御部B23等によって中間転写ベルト5の駆動速度が制御される。
【0089】
蛇行制御は従来例と同様に、エッジセンサ15の出力を平均化処理部37で一定時間平均化した上で蛇行量を算出し、フィードバック制御を行っている。
【0090】
本実施形態では、無端ベルトである中間転写ベルト5の幅方向端部位置を検出するエッジセンサ15の出力から中間転写ベルト5の駆動速度を算出するため、駆動速度及び蛇行の両方の制御を一つの制御系で行う様に構成することができる。
<ベルト駆動制御装置のハード構成>
図9に、実施形態に係る中間転写ベルト駆動制御装置のハードウェア構成の例を示す。
【0091】
制御基板75は、CPU76、モータドライバ19、29、フィルタ部38を備えており、CPU76は制御部A22,制御部B23、制御部C24、平均化処理部37及び駆動速度算出部39を有している。
【0092】
エッジセンサ15の出力は、制御基板75に入力された後、基板内で2つに分岐する。一方は直接CPU76に入力され、平均化処理部37によって平均化された後に制御部C24に入力され、蛇行制御に用いられる。
【0093】
エッジセンサ15の出力の他方は、フィルタ部38を介してCPU76に入力され、駆動速度算出部39により中間転写ベルト5の駆動速度の算出が行われ、制御部A22及び制御部B23による駆動速度制御に用いられる。
【0094】
フィルタ部38には、抵抗とコンデンサで構成されるRCフィルタを用いたが、所定の帯域の周波数成分を抽出することができれば他の構成であっても良い。また、CPU内部でソフトウェアによってフィルタリングをする様に構成することも可能である。
【0095】
この様に、本実施形態によれば、エッジセンサ15の出力に基づいて中間転写ベルト5の駆動速度及び蛇行の両方の制御を行うことができるため、駆動速度を検出するためのセンサ等を別途設ける必要がなく、構成を簡易化することが可能となる。
【0096】
また、本発明に係る無端ベルト駆動装置の駆動速度制御及び蛇行制御は、コンピュータにより実行可能なプログラムにより実現することができ、プログラムを記録した記録媒体をコンピュータにより読み取らせて実現することも可能である。
【0097】
なお、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置では、蛇行制御と共に駆動速度を制御する場合について説明したが、中間転写ベルト5の移動量に基づいて回転位置を算出することにより、同様の構成にて回転位置を制御することもできる。
<まとめ>
以上詳細に説明した様に、本発明の実施形態によれば、無端ベルトである中間転写ベルト5の幅方向の端部位置を検出するエッジセンサ15の検出結果から、中間転写ベルト5の幅方向位置及び駆動速度の両方を求めることができる。
【0098】
したがって、中間転写ベルト5の駆動速度を検出するためのスケール及びスケールセンサといった検出手段を別途設ける必要が無いため、装置構成を簡素化することができ、コストダウンを達成することが可能となる。
【0099】
また、本実施形態に係る中間転写ベルト駆動装置を用いた画像形成装置によれば、出力画像に色ずれや色むらといった不具合の無い高品質な画像を提供することができる。
【0100】
なお、上記実施形態に挙げた構成等に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した構成に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0101】
5 中間転写ベルト(無端ベルト)
15 エッジセンサ(端部位置検出部)
22 制御部A(駆動速度制御部)
23 制御部B(駆動速度制御部)
24 制御部C(幅方向位置制御部)
38 フィルタ部
39 駆動速度算出部
100 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開平11−024507号公報
【特許文献2】特開平11−295948号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動する無端ベルトと、
前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するフィルタ部と、
前記フィルタ部が抽出した波形から、前記無端ベルトの駆動速度を算出する駆動速度算出部と、
前記駆動速度算出部の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの駆動速度を制御する駆動速度制御部と、
を有することを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項2】
前記駆動速度算出部は、
前記フィルタ部が抽出した波形における所定の時間間隔での位相差、振幅及び前記無端ベルトの周長から前記無端ベルトの前記時間間隔での移動量を算出し、
算出した前記移動量から、前記無端ベルトの駆動速度を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項3】
前記駆動速度算出部は、
前記フィルタ部が抽出した波形における所定の時間間隔での出力値の差、振幅及び前記無端ベルトの周長から前記無端ベルトの前記時間間隔での移動量を算出し、
算出した前記移動量から、前記無端ベルトの駆動速度を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項4】
回転駆動する無端ベルトと、
前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するフィルタ部と、
前記フィルタ部が抽出した波形から、前記無端ベルトの回転位置を算出する回転位置算出部と、
前記回転位置算出部の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの回転位置を制御する回転位置制御部と、
を有することを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項5】
前記回転位置算出部は、
前記フィルタ部が抽出した波形における所定の時間間隔での位相差、振幅及び前記無端ベルトの周長から前記無端ベルトの前記時間間隔での移動量を算出し、
算出した前記移動量から、前記無端ベルトの回転位置を求める
ことを特徴とする請求項4に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項6】
前記回転位置算出部は、
前記フィルタ部が抽出した波形における所定の時間間隔での出力値の差、振幅及び前記無端ベルトの周長から前記無端ベルトの前記時間間隔での移動量を算出し、
算出した前記移動量から、前記無端ベルトの回転位置を求める
ことを特徴とする請求項4に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項7】
前記フィルタ部は、前記無端ベルトの駆動速度に応じて、前記端部位置検出部の検出結果から抽出する周波数成分の帯域を変える
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項8】
前記端部位置検出部の検出結果に基づいて、前記無端ベルトの幅方向の位置を制御する幅方向位置制御部を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の無端ベルト駆動装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
回転駆動する無端ベルトと、前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、を有し、前記端部位置検出部の検出結果に基づいて前記無端ベルトの駆動速度を制御する無端ベルト駆動装置に設けられたコンピュータに、
前記端部位置検出部から前記無端ベルトの端部位置を取得するステップと、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するステップと、
前記抽出した波形から、前記無端ベルトの駆動速度を算出するステップと、
前記無端ベルトの駆動速度の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの駆動速度の制御量を算出するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
回転駆動する無端ベルトと、前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、を有し、前記端部位置検出部の検出結果に基づいて前記無端ベルトの回転位置を制御する無端ベルト駆動装置に設けられたコンピュータに、
前記端部位置検出部から前記無端ベルトの端部位置を取得するステップと、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するステップと、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するステップと、
前記抽出した波形から、前記無端ベルトの回転位置を算出するステップと、
前記無端ベルトの回転位置の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの回転位置の制御量を算出するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
回転駆動する無端ベルトと、
前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するフィルタ部と、
前記フィルタ部が抽出した波形から、前記無端ベルトの駆動速度を算出する駆動速度算出部と、
前記駆動速度算出部の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの駆動速度を制御する駆動速度制御部と、
を有することを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項2】
前記駆動速度算出部は、
前記フィルタ部が抽出した波形における所定の時間間隔での位相差、振幅及び前記無端ベルトの周長から前記無端ベルトの前記時間間隔での移動量を算出し、
算出した前記移動量から、前記無端ベルトの駆動速度を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項3】
前記駆動速度算出部は、
前記フィルタ部が抽出した波形における所定の時間間隔での出力値の差、振幅及び前記無端ベルトの周長から前記無端ベルトの前記時間間隔での移動量を算出し、
算出した前記移動量から、前記無端ベルトの駆動速度を求める
ことを特徴とする請求項1に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項4】
回転駆動する無端ベルトと、
前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するフィルタ部と、
前記フィルタ部が抽出した波形から、前記無端ベルトの回転位置を算出する回転位置算出部と、
前記回転位置算出部の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの回転位置を制御する回転位置制御部と、
を有することを特徴とする無端ベルト駆動装置。
【請求項5】
前記回転位置算出部は、
前記フィルタ部が抽出した波形における所定の時間間隔での位相差、振幅及び前記無端ベルトの周長から前記無端ベルトの前記時間間隔での移動量を算出し、
算出した前記移動量から、前記無端ベルトの回転位置を求める
ことを特徴とする請求項4に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項6】
前記回転位置算出部は、
前記フィルタ部が抽出した波形における所定の時間間隔での出力値の差、振幅及び前記無端ベルトの周長から前記無端ベルトの前記時間間隔での移動量を算出し、
算出した前記移動量から、前記無端ベルトの回転位置を求める
ことを特徴とする請求項4に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項7】
前記フィルタ部は、前記無端ベルトの駆動速度に応じて、前記端部位置検出部の検出結果から抽出する周波数成分の帯域を変える
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項8】
前記端部位置検出部の検出結果に基づいて、前記無端ベルトの幅方向の位置を制御する幅方向位置制御部を有する
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の無端ベルト駆動装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の無端ベルト駆動装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
回転駆動する無端ベルトと、前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、を有し、前記端部位置検出部の検出結果に基づいて前記無端ベルトの駆動速度を制御する無端ベルト駆動装置に設けられたコンピュータに、
前記端部位置検出部から前記無端ベルトの端部位置を取得するステップと、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するステップと、
前記抽出した波形から、前記無端ベルトの駆動速度を算出するステップと、
前記無端ベルトの駆動速度の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの駆動速度の制御量を算出するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
回転駆動する無端ベルトと、前記無端ベルトの回転駆動方向に直交する幅方向の端部位置を検出する端部位置検出部と、を有し、前記端部位置検出部の検出結果に基づいて前記無端ベルトの回転位置を制御する無端ベルト駆動装置に設けられたコンピュータに、
前記端部位置検出部から前記無端ベルトの端部位置を取得するステップと、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するステップと、
前記端部位置検出部による前記無端ベルトの端部位置の周期的な変化を示す出力波形から、所定の帯域の周波数成分の波形を抽出するステップと、
前記抽出した波形から、前記無端ベルトの回転位置を算出するステップと、
前記無端ベルトの回転位置の算出結果に基づいて、前記無端ベルトの回転位置の制御量を算出するステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−3302(P2013−3302A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133270(P2011−133270)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]