無線システム
【課題】 回線制御装置でSIP又はTBCPのメッセージに変換する機能を備えることにより、他システムへの応用が容易、システムを安価に構成できる無線システムを提供する。
【解決手段】 回線制御装置201が、グループ通話の呼の制御を行う呼制御エンジン2013と、基地局101からメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCF2011と、当該パラメータを受信し、そのパラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換し、そのパラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジン2013に送信するPNP2012とを有する無線システムである。
【解決手段】 回線制御装置201が、グループ通話の呼の制御を行う呼制御エンジン2013と、基地局101からメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCF2011と、当該パラメータを受信し、そのパラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換し、そのパラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジン2013に送信するPNP2012とを有する無線システムである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線携帯端末を用いたグループ通話を実現する無線システムに係り、特に、通信プロトコル変換機能を備えた回線制御装置を有する無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存電話網で利用されている呼制御信号ISUP(ISDN User Part)をSIP(Session Initiation Protocol)に変換する技術については一般的に知られており、例えば、書籍「実践入門ネットワーク 実践SIP詳解テキスト」第8章の既存電話網とSIPの相互接続で解説されている(非特許文献1)。
ここで、業務用無線における通信プロトコルは、Q.931bをベースとしており、例えば、ARIB STD−T79のようなものがある。
つまり、業務用無線の分野では、Q.931b準拠の通信プロトコルが使用されている。
【0003】
尚、関連する先行技術として、特開2007−311905号公報(特許文献1)がある。
特許文献1には、無線基地局装置において、呼制御API(Application Program Interface)が変更されてマクロが変更される場合でも、マクロの変更に伴うパラメータやメモリサイズの変更の影響を受けないようにするための構成が示されている。
【0004】
具体的には、特許文献1では、ベースバンド制御部とベースバンド信号処理部との間にベースバンドAPIを設け、呼制御部から送られてくるマクロを予め定義されたコマンドに変換し、ベースバンド信号処理部に与えることにより、呼制御APIの変更に伴ってマクロが変更された場合でも、それに伴うパラメータやメモリサイズの変更をベースバンドAPIで吸収できる無線基地局が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−311905号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】実践入門ネットワーク 実践SIP詳解テキスト 澤田拓也他著、株式会社リックテレコム、2005年10月発行、第8章 既存電話網とSIPの相互接続
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、業務用無線分野でもIP(Internet Protocol)化の流れが進んでいるものの、Q.931b準拠の通信プロトコルを使用した従来の無線設備では、IP未対応であるため、上位の装置でIPプロトコル変換を行う必要があり、更に、呼制御に関するメッセージをSIP又はTBCP(Talk Burst Control Protocol)に置き換え、呼制御エンジンで呼の管理を行うことが為されておらず、他システムへの応用が困難であるという問題点があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、回線制御装置でSIP又はTBCPのメッセージに変換する機能を備えることにより、他システムへの応用が容易、システムを安価に構成できる無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、基地局を介して移動局間の通話の制御を行う回線制御装置を備える無線システムであって、回線制御装置が、通話の呼の制御を行う呼制御エンジンと、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCFと、ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジンに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジンに送信するPNPとを有することを特徴とする。
【0010】
本発明は、基地局を介して移動局間の通話の制御を行うアクセスゲートウェイを備える無線システムであって、アクセスゲートウェイに、通話の呼の制御を行うprCSCFと、送信権の制御、音声パケットの送受信を行うPTエンジンとが接続され、アクセスゲートウェイが、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCFと、ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換してprCSCFに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換してPTエンジンに送信するPNPとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回線制御装置において、呼制御エンジンが、通話の呼の制御を行い、ANCFが、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信し、PNPが、ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジンに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジンに送信する無線システムとしているので、回線制御装置で汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いた管理が可能となり、他のシステムへの応用ができると共に安価なシステムを構築できる効果がある。
【0012】
本発明によれば、アクセスゲートウェイに、通話の呼の制御を行うprCSCFと、送信権の制御、音声パケットの送受信を行うPTエンジンとが接続され、アクセスゲートウェイにおいて、ANCFが、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信し、PNPが、ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換してprCSCFに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換してPTエンジンに送信する無線システムとしているので、アクセスゲートウェイで汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いた管理が可能となり、他のシステムへの応用ができると共に安価なシステムを構築できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線システムの構成ブロック図である。
【図2】本システムのシーケンスを示す図である。
【図3】位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図4】送信権獲得要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図5】送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図6】送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図7】送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図8】送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図9】別の実施形態に係る無線システムの構成ブロック図である。
【図10】立ち上げ処理シーケンスを示す図である。
【図11】位置登録シーケンスを示す図である。
【図12】個別通信接続シーケンスを示す図である。
【図13】位置登録削除シーケンスを示す図である。
【図14】個別通話切断シーケンスを示す図である。
【図15】個別通話 通話制限時間タイマ満了のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線システムは、グループ通話を実現する無線システムであって、通信プロトコルを基地局でIPパケットに変換し、回線制御装置でIPパケット化されたQ.931b準拠プロトコル(以下、Q.931b+overIP)の呼制御に関するメッセージをSIPに変換し、また、送信権のやり取りに関しては、OMA(Open Mobile Alliance)のPoC(Push to Talk over Cellular)に規定されているTBCPに変換し、音声/データに関してはRTP(Real-time Transport Protocol) UDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)を用いて送受信するものであり、回線制御装置で汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いた呼制御のメッセージ管理が可能となるため、従来の移動局、基地局等の無線設備を継続して使用可能となり、他システムへの応用が可能となって、汎用のハードウェアで回線制御装置を実現できるため、安価なシステムにすることができる。
【0015】
[無線システム:図1]
本発明の実施の形態に係る無線システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線システムの構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る無線システム(本システム)は、図1に示すように、移動局1,2と、基地局101と、回線制御装置(LCU:Line Control Unit)201とを基本的に有している。
尚、図1では、紙面の都合上、2台の移動局を示したが、実際は複数台の移動局が基地局101に無線接続可能となっている。
【0016】
[各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
[移動局1,2]
移動局1,2は、グループ内の移動局に対して通話を行うための無線機となるプレストーク端末又は電話端末であり、通話を開始又は停止するためのプレストークボタン301,302を備えている。
また、移動局1,2は、表示部を備え、グループ内のどの移動局が送信権を保有しているのかを表示する。
【0017】
[基地局101]
基地局(BS)101は、メッセージのIP化を行うI/F基板1011を備えている。
I/F基板1011は、送信権確認要求等のメッセージをQ.931b+overIPメッセージに変換して回線制御装置201のANCF2011に送信する。
また、I/F基板1011は、ANCF2011から受信したQ.931b+overIPメッセージをQ.931b+メッセージに変換し、移動局に送信する。
【0018】
[回線制御装置201]
回線制御装置201は、アクセスネットワーク制御機能手段(ANCF:Access Network Controlling Function)2011と、プライベート・ネットワーク・クライアント・プロキシー手段(PNP:Private Network Client Proxy)2012と、呼の制御を行う呼制御エンジン2013とを備えている。
【0019】
[ANCF2011]
ANCF2011は、基地局101からの要求、PNP2012からの要求に応じて、基地局101が収容する移動局とPNP2012との間のアクセスリンクの確立、解放を行う。
具体的には、ANCF2011は、基地局101から受信したQ.931b+overIPメッセージに対して送受信パラメータをPNP2012に送信する。
【0020】
また、ANCF2011は、PNP2012から受信した送受信パラメータをQ.931b+overIPメッセージとして基地局101に送信する。
ANCF2011の処理動作の詳細は、後述する。
【0021】
[PNP2012]
PNP2012は、移動局1,2及び基地局101に対するメディアフローの制御(帯域割り当て、フィルタリング、QoS(Quality of Service)マーキング等)を行う。
具体的には、PNP2012は、ANCF2011から受信した送受信パラメータをSIPのメッセージフォーマットに挿入する変換を行い、呼制御エンジン2013のprCSCF(Private Call Session Control Function)に送信する。
また、PNP2012は、ANCF2011から受信した送受信パラメータをTBCPのメッセージフォーマットに挿入する変換を行い、呼制御エンジン2013のPTCFに送信する。
【0022】
また、PNP2012は、呼制御エンジン2013のPTCFから受信したTBCPのメッセージをQ.931b+overIPメッセージに変換して、抽出した送受信パラメータをANCF2011に送信する。
PNP2012における処理動作の詳細は、後述する。
【0023】
[呼制御エンジン2013]
呼制御エンジン2013は、prCSCF(private Call Session Control Function:プライベート・コール・セッション制御手段)とPTCF(Press-Talk Server Controlling Function:プレストーク・サーバ制御手段)とを備えている。
【0024】
[prCSCF]
prCSCFは、SIPセッションの基本制御を行うものであり、移動局からの通信要求メッセージがアプリケーションの起動条件に合致した場合、適切なアプリケーションサーバにメッセージを転送する。
【0025】
[PTCF]
PTCFは、プレストークサービス用のアプリケーションサーバにより実現され、グループメンバの呼び出し、送信権の管理、PT(Press-Talk)音声パケットの複製と転送を行う。
具体的なprCSCFとPTCFの処理動作は、後述する。
【0026】
[本システムのシーケンス:図2〜図8]
次ぎに、本システムにおいて、業務用無線機の移動局1が移動局2と通信を行うためのシーケンスについて図2〜8を参照しながら説明する。
図2は、本システムのシーケンスを示す図であり、図3は、位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図4は、送信権獲得要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図5は、送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図6は、送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図7は、送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図8は、送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【0027】
[位置登録シーケンス:図2,3]
図2に示すように、本システムにおいて、まず、移動局1が電源投入されると(電源ON)、基地局101では、移動局1から受け取った情報から回線制御装置201に位置登録要求メッセージを送信する(ステップ1、図2では単純に「1.」で表示、以下同様)。
【0028】
回線制御装置201のANCF2011は、受信した位置登録要求メッセージに対して図3に示す位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータをPNP2012に送信する(ステップ2)。
位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータは、図3に示すように、メッセージ名が「位置登録要求」、パラメータには「移動局番号」を含んでいる。
【0029】
そして、PNP2012は、ANCF2011から位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータを受信すると、SIPメッセージであるREGISTERメッセージを作成し、呼制御エンジン2013に送信する(ステップ3)。
【0030】
呼制御エンジン2013のprCSCFは、REGISTERメッセージを受信し、位置登録を行い、PNP2012に位置登録了解(200OK)を返信する(ステップ4)。
これにより、位置登録シーケンス処理が終了する。
【0031】
[送信権確認シーケンス:図2,4]
次ぎに、位置登録が終了した移動局1で通話を開始するためのプレストークボタン301が押下されると、移動局1から基地局101にプレストークボタン押下の情報(プレスオン)が送信され、基地局101は、他の移動局が通話をしていないか確認するために、送信権確認要求メッセージをI/F基板1011においてQ.931b+overIPメッセージに変換し、回線制御装置201へ送信する(ステップ5)。
【0032】
回線制御装置201のANCF2011は、基地局101からQ.931b+overIPメッセージを受信すると、送信権確認のため、当該メッセージに対して図4に示す送信権獲得要求ANCF−PNP送受信パラメータをPNP2012に送信する(ステップ6)。
送信権獲得要求ANCF−PNP送受信パラメータは、図4に示すように、メッセージ名が「送信権確認要求」、パラメータには「グループ番号」「発信者ID」を含んでいる。
【0033】
PNP2012は、TBCPのTalk Burst Request メッセージを作成し、呼制御エンジン2013に送信する(ステップ7)。
呼制御エンジン2013のPTCFは、Talk Burst Request メッセージを受信すると、他に通話を行っている移動局がいるかいないかを判定する。
【0034】
[送信権表示シーケンス:図2,5]
そして、呼制御エンジン2013のPTCFは、判定により、他に通話を行っている移動局がいない場合には、Talk Burst Taken メッセージをPNP2012に送信する(ステップ8)。
【0035】
PNP2012は、PTCFからTalk Burst Taken メッセージを受信すると、Q.931b+overIPメッセージに変換し、当該メッセージに対して図5に示す送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータをANCF2011に送信する(ステップ9)。
送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータは、図5に示すように、メッセージ名が「送信権表示」、パラメータには「グループ番号」「送信権獲得者ID」を含んでいる。
【0036】
そして、ANCF2011は、PNP2012から受信した送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータを送信権表示要求メッセージとして基地局101に送信する(ステップ10)。
【0037】
基地局101のI/F基板1011においてQ.931b+メッセージに変換し、全基地局経由で全移動局に向けて送信する。本メッセージを受信した移動局は、移動局1の送信権を表示部に表示し、プレス禁止となり、通話要求を行うことができなくなる。
【0038】
[送信権受付シーケンス:図2,6]
送信権を獲得した移動局1に対して、呼制御エンジン2013のPTCFがTalk Burst Granted メッセージをPNP2012に送信する(ステップ11)。
そして、PNP2012は、PTCFからのTalk Burst Granted メッセージを受信すると、Q.931b+overIPメッセージに変換し、当該メッセージに対して図6に示す送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータをANCF2011に送信する(ステップ12)。
送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータは、図6に示すように、メッセージ名が「送信権受付」、パラメータには「グループ番号」を含んでいる。
【0039】
そして、ANCF2011は、PNP2012から受信した送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータを送信権受付メッセージとして、送信権を獲得した移動局1のいる基地局101に返信する(ステップ13)。
上記手順を踏むことにより、移動局1と移動局2との間が通信可能(通話確立)状態となり、移動局2において、移動局1の音声をスピーカから聞くことができる。
【0040】
[送信権解放要求シーケンス:図2,7]
移動局1の通話が終了し、移動局1のプレスボタン301を離す(プレスオフ)と、基地局101のI/F基板1011において送信権解放要求のQ.931b+overIPメッセージに変換し、回線制御装置201に送信する(ステップ14)。
【0041】
回線制御装置201のANCF2011は、Q.931b+overIPメッセージを受信すると、送信権解放のため、当該メッセージに対して図7に示す送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータをPNP2012に送信する(ステップ15)。
送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータは、図7に示すように、メッセージ名が「送信権解放要求」、パラメータには「グループ番号」「発信者ID」を含んでいる。
【0042】
PNP2012は、ANCF2011から送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータを受信すると、TBCPのTalk Burst Release メッセージを作成し、呼制御エンジン2013に送信する(ステップ16)。
【0043】
[送信権解放通知シーケンス:図2,8]
呼制御エンジン2013のPTCFは、Talk Burst Release メッセージをPNP2012から受信すると、その応答として、Talk Burst Idle メッセージをPNP2012に送信する(ステップ17)。
【0044】
PNP2012は、PTCFからTalk Burst Idle メッセージを受信すると、送信権解放通知のQ.931b+overIPメッセージに変換し、当該メッセージに対して図8に示す送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータをANCF2011に送信する(ステップ18)。
送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータは、図8に示すように、メッセージ名が「送信権解放通知」、パラメータには「グループ番号」を含んでいる。
【0045】
そして、ANCF2011は、PNP2012から受信した送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータを送信権解放通知メッセージとして、基地局101に送信する(ステップ19)。
【0046】
ANCF2011から送信権解放通知メッセージを受信した基地局101は、基地局101のI/F基板1011においてQ.931b+メッセージに変換し、移動局1及び移動局2にプレス可能信号を送信する。本メッセージを受信した移動局は、プレス可能となり、通話要求を行うことができるようになる。
尚、本発明の実施の形態は、個別通話を実現する無線システムにも適用可能である。
【0047】
[本システムの効果]
従来の業務用無線システムでは、専用の回線制御装置で専用の呼の管理を行っていたが、本システムによれば、汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いて呼制御に関するメッセージを管理することにより、他システムへの応用が容易になり、更に汎用のハードウェアで回線制御装置を実現することができるため、安価なシステムを構築できる効果がある。
【0048】
[個別通話へ適用した別の実施形態の概要]
次に、個別通話へ適用した別の実施形態の無線システムについて説明する。
別の実施の形態に係る無線システムは、単一チャネルの無線通信を前提とした本システムを、複数チャネルを使って個別通話を実現するシステムに適用したものであり、本システムの回線制御装置201をアクセスゲートウェイ、PT(Press-Talk)エンジン、prCSCFに分離して、複数チャネルに対応可能としたものである。
【0049】
[別の実施形態の無線システム:図9]
個別通話へ適用した別の実施形態の無線システムについて図9を参照しながら説明する。図9は、別の実施形態に係る無線システムの構成ブロック図である。
本発明の別の実施形態に係る無線システム(別のシステム)は、図9に示すように、移動局1,2と、基地局101と、アクセスゲートウェイ(AGW:Access Gateway)211と、PTエンジン401と、prCSCF402とを基本的に備えている。
別のシステムにおいては、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)を前提に時分割されたチャネルを用いて無線通信を行うものとなっている。
【0050】
[別のシステムの各部]
移動局1,2は、プレストークボタン301,302を備えている。
基地局101は、メッセージのIP化を行うI/F基板1011を備えている。
尚、移動局1,2と、基地局101は、図1で説明した本システムのものと同様である。
【0051】
[AGW211]
AGW211は、ANCF2111とPNP2112とを備えている。ANCF2111は、図1のANCF2011と同様であり、PNP2112は図1のPNP2012とほぼ同様である。
つまり、ANCF2111は、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータをPNP2112に送信する。
PNP2112は、ANCF2112からパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換してprCSCF402に送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換してPTエンジン401に送信する。
【0052】
但し、PNP2112は、基地局からの接続要求メッセージを受け付けると、prCSCF402にチャネルを確保するINVITE処理を行い、チャネルが確保されると、基地局にチャネル指定メッセージを送信してから、送信権確認の処理が行われるようになっている。処理の詳細は後述する。
【0053】
[PTエンジン401]
PT(Press-Talk)エンジン401は、プレストークサービス用のアプリケーションサーバにより実現され、送信権の管理制御、PT(Press-Talk)音声パケットの複製と転送(音声データの送受信)を行う。
【0054】
[prCSCF402]
prCSCF402は、図1のprCSCFと同様に、SIPセッションの基本制御、つまり、呼制御を行うものであり、移動局からの通信要求メッセージがアプリケーションの起動条件に合致した場合、適切なアプリケーションサーバにメッセージを転送する。
また、prCSCF402は、AGW211のPNP2112からのINVITEメッセージに対して空きチャネルの確保を行い、チャネル確保をAGW211に送信する。
【0055】
[別のシステムの処理動作]
別のシステムにおいて、業務用無線において基地局101の配下に属する移動局1,2と通信をするための下記の「立ち上げ」「位置登録」「個別通話接続」「位置登録削除」「個別通話切断」「個別通話切断」「個別通話 通話制限時間タイマ満了」の処理シーケンスについて説明する。
【0056】
[立ち上げ処理シーケンス:図10]
立ち上げ処理シーケンスについて図10を参照しながら説明する。図10は、立ち上げ処理シーケンスを示す図である。
まず、移動局1,2が通信を始める前に、基地局101の立ち上げを行う必要がある。
【0057】
基地局101からseq1−1.TCP接続要求メッセージ(シグナリング制御用)をAGW211に送信する。
AGW211は、seq1−2.TCP接続応答メッセージ(シグナリング制御用)を基地局101に送信する。
【0058】
次に、AGW211から定期的に送信される基地局の安否を確認するseq1−3.基地局安否要求メッセージを基地局101に送信すると、基地局101は、基地局の安否を応答するseq1−4.基地局安否応答メッセージをAGW211に返信する。
基地局安否要求メッセージと基地局安否応答メッセージには、基地局番号と呼(登録番号)情報数等のパラメータが含まれている。
【0059】
基地局安否応答メッセージを受けたAGW211は、基地局を立ち上げるためのseq1−5.基地局アップロード情報メッセージ、基地局の起動を要求するseq1−6.基地局起動要求メッセージ、制御チャネルの起動を要求するseq1−7.制御チャネル起動要求メッセージ、seq1−8.報知情報メッセージを受けて基地局101に送信し、立ち上げ動作が終了する。
【0060】
これら各メッセージには、基地局番号のパラメータが含まれている。
また、基地局アップロード情報メッセージには、基地局が立ち上がるための情報のパラメータが含まれ、制御チャネル起動要求メッセージには、チャネル番号、起動/停止の情報等のパラメータが含まれ、報知情報メッセージには、コマンド+通信タイプ、通信情報、発呼端末番号等のパラメータが含まれる。
【0061】
[位置登録シーケンス:図11]
位置登録シーケンスについて図11を参照しながら説明する。図11は、位置登録シーケンスを示す図である。
立ち上げの終わった基地局101に対して、移動局1,2が電源を入れると位置登録を開始する。
【0062】
移動局1,2の電源オンにより、端末(移動局)状態を登録するための端末状態登録メッセージが基地局101に送信されると、基地局101は、seq2−1.端末状態登録メッセージをAGW211に送信する。端末状態登録メッセージには、コマンド、通信タイプ、通信情報、発呼端末番号、基地局番号等のパラメータが含まれている。
AGW211のANCF2111とPNP2112によりSIPに変換を行い、prCSCF402に端末の位置を登録するためのseq2−2.REGISTERメッセージをprCSCF402に送信する。
【0063】
REGISTERメッセージを受けたprCSCF402で位置登録が正常に為されると、位置登録が正常に為されたことを示すseq2−3.200OKメッセージをAGW211に送信する。
AGW211は、200OKメッセージを解析し、位置登録が為されたことを示すseq2−4.応答メッセージに変換して基地局101に送信して、位置登録を完了する。応答メッセージには、コマンド、通信タイプ、通信情報、発呼端末番号、要求端末番号、応答内容、基地局番号等のパラメータが含まれている。
【0064】
[個別通信接続:図12]
個別通信接続シーケンスについて図12を参照しながら説明する。図12は、個別通信接続シーケンスを示す図である。
位置登録が終わった移動局は、個別通信が可能となる。次に、移動局1がプレストークボタン301を押し、個別通信が可能となり、移動局2で音声を受信するまでの処理シーケンスを説明する。
【0065】
移動局1が、プレストークボタン301をオンしてPTT(Push to Talk)をオンにすると、接続要求メッセージを受信した基地局101は、通話のための接続を要求するseq3−1.接続要求メッセージをAGW211に送信する。
AGW211内のANCF2111とPNP2112で、SIPに変換を行い、通話で利用するチャネルの割り当てを要求するseq3−2.INVITEメッセージをprCSCF402に送信する。
別のシステムでは、TDMA方式で時分割の複数チャネルを前提としているため、このINVITEメッセージに関する処理が本システムにはない特徴的な処理である。
【0066】
INVITEメッセージを受けたprCSCF402は、処理中を示すseq3−3.100TryingメッセージをAGW211に返信する。その後、prCSCF402でINVITE(チャネル割り当ての呼設定)が正常処理されると、チャネル割り当ての呼設定が成功したことを示すseq3−4.200OKメッセージをAGW211に送信する。
【0067】
200OKメッセージを受信したAGW211は、メッセージを解析し、割り当てられたチャネルを指定するseq3−5.チャネル指定メッセージを基地局101に送信し、prCSCF402にseq3−6.ACKを送信する。チャネル指定メッセージには、登録番号、コマンド、通信情報、発呼端末番号、着信者情報、通話制限時間、チャネルコード、基地局番号等のパラメータが含まれる。
【0068】
seq3−5.チャネル指定メッセージを受信した基地局101は、送信権を確認するためのseq3−7.送信権確認メッセージをAGW211に送信する。
AGW211内部では、TBCPに変換を行い、送信権を要求するseq3−8.Talk Burst Request メッセージとしてPTエンジン401に送信する。
【0069】
PTエンジン401で正常処理されると、送信権が取得されたことを示すseq3−9.Talk Burst Taken メッセージ、送信権が付与されたことを示すseq3−11.Talk Burst Granted メッセージをAGW211に送信する。
それぞれのメッセージを受信したAGW211は、メッセージを解析し、seq3−9.Talk Burst Taken メッセージをseq3−10.送信権表示メッセージに変換し、立ち上げ処理が終わって、かつ個別通話接続要求を出している移動局が属する基地局以外の基地局に対して送信し、seq3−11.Talk Burst Granted メッセージをseq3−12.送信権受付メッセージとして基地局101に送信する。送信権表示メッセージと送信権受付メッセージには、動作プリミティブ、基地局番号、チャネル番号、登録番号、呼出符号等のパラメータが含まれている。
【0070】
その後、移動局1から音声パケットが送信されると、基地局101からseq3−13.音声パケットがPTエンジン401に送信され、PTエンジン401内で折り返された音声パケットがseq3−14.音声パケットとして基地局101の配下の移動局2に配信される。
【0071】
移動局1がプレストークボタン301を放し、PTTをオフにすると、基地局101から送信権の解放を要求するseq3−15.送信権解放メッセージがAGW211に送信される。
AGW211の内部で、TBCPに変換を行い、送信権の解放を要求するseq3−16. Talk Burst Release メッセージをPTエンジン401に送信する。
PTエンジン401で送信権解放の処理が正常に為されると、送信権がアイドル状態であることを示すseq3−16.Talk Burst Idle メッセージをAGW211に送信し、AGW211の配下の基地局全てに送信権の解放を表示するseq3−18.送信権解放表示メッセージ、seq3−19.送信権解放表示メッセージが送信され、移動局1からの個別通話が終了したことを示すものである。送信権解放表示メッセージには、動作プリミティブ、基地局番号、チャネル番号、登録番号等のパラメータが含まれている。
【0072】
[位置登録削除:図13]
位置登録削除シーケンスについて図13を参照しながら説明する。図13は、位置登録削除シーケンスを示す図である。
移動局が電源を切ると位置登録削除処理が行われる。
移動局の電源がオフになると、基地局にseq4−1.端末状態登録メッセージが送信される。
【0073】
そして、基地局101は、端末登録要求をAGW211に送信する。
AGW211は、内部でSIPに変換を行い、seq4−2.REGISTERメッセージをprCSCF402に送信する。
REGISTERメッセージを受信したprCSCF402で、位置登録削除が正常に為されると、seq4−3.200OKメッセージをAGW211に送信する。
【0074】
AGW211は、200OKメッセージを解析し、位置登録削除が為されたことを示すseq4−4.応答メッセージに変換し、基地局101に送信して、位置登録削除を完了する。
【0075】
[個別通話切断:図14]
個別通話切断シーケンスについて図14を参照しながら説明する。図14は、個別通話切断シーケンスを示す図である。
図12で説明したように、PTT(Push to Talk)をオフにすると送信権の解放が行われ、個別通話は終了するが、無線リソースを解放するためには電源ボタンにより無線リソースを解放する処理を行う必要がある。ここで、個別通話が終了し、無線リソースを解放するための切断の処理を説明する。
個別通話接続シーケンスで、移動局1が無線リソースを獲得した場合は、個別通話切断シーケンスも移動局1から起動する必要がある。
【0076】
移動局1が電源ボタンを押下することにより、seq5−1〜seq5−6の送信権確認シーケンスが行われる。この処理は、個別通話接続シーケンスで述べた処理と同様である。
移動局1が送信権を獲得していることを確認できたら、次に、基地局101から個別通話切断を要求するseq5−7.切断要求メッセージをAGW211に送信する。
AGW211は、内部でSIPに変換を行い、個別通話切断を要求するseq5−8.BYEメッセージをprCSCF402に送信する。
【0077】
BYEメッセージを受信したprCSCF402で個別通話切断の処理が正常に為されると、個別通話切断が成功したことを示すseq5−9.200OKメッセージをAGW211に送信する。
AGW211は、200OKメッセージを解析し、切断要求に応答するseq5−10.切断応答メッセージ、個別通話切断を行ったことを示すseq5−11.切断メッセージに変換して基地局101に送信し、個別通話切断を完了する。
【0078】
[個別通話 通話制限時間タイマ満了:図15]
個別通話 通話制限時間タイマ満了のシーケンスについて図15を参照しながら説明する。図15は、個別通話 通話制限時間タイマ満了のシーケンスを示す図である。
このシーケンスは、個別通話接続シーケンスで移動局1が無線リソースを獲得した場合であって、一定時間無通話の期間があったり、予め設定されている通話制限時間タイマが満了した場合に、適用されるものである。
【0079】
prCSCF402は、通話制限時間タイマを備えており、当該タイマで通話制限時間が満了すると、個別通話切断を通知するseq6−1.BYEメッセージをAGW211に送信する。
AGW211は、BYEメッセージを解析し、個別通話切断を行ったことを示すseq6−2.切断メッセージに変換して基地局101に送信し、更にBYEメッセージへの応答となるseq6−3.200OKメッセージをprCSCF402に送信する。
これにより、通話制限時間によって無線リソースを解放するものである。
【0080】
[応用技術]
別のシステムについて、デジタル移動無線通信システムを用いて説明したが、有線系で構築されるシステムにも適用可能である。
また、別のシステムは、デジタル移動無線通信システム以外の他の移動通信システムに適用してもよい。
【0081】
[別のシステムの効果]
従来の業務用無線システムでは、専用の回線制御装置で専用の呼の管理を行っていたが、別のシステムによれば、アクセスゲートウェイで汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いて呼制御に関するメッセージに変換し、管理することにより、他システムへの応用が容易になり、更に汎用のハードウェアでアクセスゲートウェイを実現することができるため、安価なシステムを構築できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、回線制御装置又はアクセスゲートウェイでSIP又はTBCPのメッセージに変換する機能を備えることにより、他システムへの応用が容易、システムを安価に構成できる無線システムに好適である。
【符号の説明】
【0083】
1…移動局、 2…移動局、 101…基地局、 201…回線制御装置(LCU)、 211…アクセスゲートウェイ(AGW)、 301,302…プレストークボタン、 1011…I/F基板、 2011,2111…ANFC、 2012,2112…PNP、 2013…呼制御エンジン、 401…PTエンジン、 402…prCSCF
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線携帯端末を用いたグループ通話を実現する無線システムに係り、特に、通信プロトコル変換機能を備えた回線制御装置を有する無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
既存電話網で利用されている呼制御信号ISUP(ISDN User Part)をSIP(Session Initiation Protocol)に変換する技術については一般的に知られており、例えば、書籍「実践入門ネットワーク 実践SIP詳解テキスト」第8章の既存電話網とSIPの相互接続で解説されている(非特許文献1)。
ここで、業務用無線における通信プロトコルは、Q.931bをベースとしており、例えば、ARIB STD−T79のようなものがある。
つまり、業務用無線の分野では、Q.931b準拠の通信プロトコルが使用されている。
【0003】
尚、関連する先行技術として、特開2007−311905号公報(特許文献1)がある。
特許文献1には、無線基地局装置において、呼制御API(Application Program Interface)が変更されてマクロが変更される場合でも、マクロの変更に伴うパラメータやメモリサイズの変更の影響を受けないようにするための構成が示されている。
【0004】
具体的には、特許文献1では、ベースバンド制御部とベースバンド信号処理部との間にベースバンドAPIを設け、呼制御部から送られてくるマクロを予め定義されたコマンドに変換し、ベースバンド信号処理部に与えることにより、呼制御APIの変更に伴ってマクロが変更された場合でも、それに伴うパラメータやメモリサイズの変更をベースバンドAPIで吸収できる無線基地局が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−311905号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】実践入門ネットワーク 実践SIP詳解テキスト 澤田拓也他著、株式会社リックテレコム、2005年10月発行、第8章 既存電話網とSIPの相互接続
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、業務用無線分野でもIP(Internet Protocol)化の流れが進んでいるものの、Q.931b準拠の通信プロトコルを使用した従来の無線設備では、IP未対応であるため、上位の装置でIPプロトコル変換を行う必要があり、更に、呼制御に関するメッセージをSIP又はTBCP(Talk Burst Control Protocol)に置き換え、呼制御エンジンで呼の管理を行うことが為されておらず、他システムへの応用が困難であるという問題点があった。
【0008】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、回線制御装置でSIP又はTBCPのメッセージに変換する機能を備えることにより、他システムへの応用が容易、システムを安価に構成できる無線システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、基地局を介して移動局間の通話の制御を行う回線制御装置を備える無線システムであって、回線制御装置が、通話の呼の制御を行う呼制御エンジンと、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCFと、ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジンに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジンに送信するPNPとを有することを特徴とする。
【0010】
本発明は、基地局を介して移動局間の通話の制御を行うアクセスゲートウェイを備える無線システムであって、アクセスゲートウェイに、通話の呼の制御を行うprCSCFと、送信権の制御、音声パケットの送受信を行うPTエンジンとが接続され、アクセスゲートウェイが、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCFと、ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換してprCSCFに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換してPTエンジンに送信するPNPとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回線制御装置において、呼制御エンジンが、通話の呼の制御を行い、ANCFが、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信し、PNPが、ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジンに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して呼制御エンジンに送信する無線システムとしているので、回線制御装置で汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いた管理が可能となり、他のシステムへの応用ができると共に安価なシステムを構築できる効果がある。
【0012】
本発明によれば、アクセスゲートウェイに、通話の呼の制御を行うprCSCFと、送信権の制御、音声パケットの送受信を行うPTエンジンとが接続され、アクセスゲートウェイにおいて、ANCFが、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信し、PNPが、ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換してprCSCFに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換してPTエンジンに送信する無線システムとしているので、アクセスゲートウェイで汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いた管理が可能となり、他のシステムへの応用ができると共に安価なシステムを構築できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る無線システムの構成ブロック図である。
【図2】本システムのシーケンスを示す図である。
【図3】位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図4】送信権獲得要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図5】送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図6】送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図7】送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図8】送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【図9】別の実施形態に係る無線システムの構成ブロック図である。
【図10】立ち上げ処理シーケンスを示す図である。
【図11】位置登録シーケンスを示す図である。
【図12】個別通信接続シーケンスを示す図である。
【図13】位置登録削除シーケンスを示す図である。
【図14】個別通話切断シーケンスを示す図である。
【図15】個別通話 通話制限時間タイマ満了のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
[実施の形態の概要]
本発明の実施の形態に係る無線システムは、グループ通話を実現する無線システムであって、通信プロトコルを基地局でIPパケットに変換し、回線制御装置でIPパケット化されたQ.931b準拠プロトコル(以下、Q.931b+overIP)の呼制御に関するメッセージをSIPに変換し、また、送信権のやり取りに関しては、OMA(Open Mobile Alliance)のPoC(Push to Talk over Cellular)に規定されているTBCPに変換し、音声/データに関してはRTP(Real-time Transport Protocol) UDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)を用いて送受信するものであり、回線制御装置で汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いた呼制御のメッセージ管理が可能となるため、従来の移動局、基地局等の無線設備を継続して使用可能となり、他システムへの応用が可能となって、汎用のハードウェアで回線制御装置を実現できるため、安価なシステムにすることができる。
【0015】
[無線システム:図1]
本発明の実施の形態に係る無線システムについて図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る無線システムの構成ブロック図である。
本発明の実施の形態に係る無線システム(本システム)は、図1に示すように、移動局1,2と、基地局101と、回線制御装置(LCU:Line Control Unit)201とを基本的に有している。
尚、図1では、紙面の都合上、2台の移動局を示したが、実際は複数台の移動局が基地局101に無線接続可能となっている。
【0016】
[各部]
本システムの各部について具体的に説明する。
[移動局1,2]
移動局1,2は、グループ内の移動局に対して通話を行うための無線機となるプレストーク端末又は電話端末であり、通話を開始又は停止するためのプレストークボタン301,302を備えている。
また、移動局1,2は、表示部を備え、グループ内のどの移動局が送信権を保有しているのかを表示する。
【0017】
[基地局101]
基地局(BS)101は、メッセージのIP化を行うI/F基板1011を備えている。
I/F基板1011は、送信権確認要求等のメッセージをQ.931b+overIPメッセージに変換して回線制御装置201のANCF2011に送信する。
また、I/F基板1011は、ANCF2011から受信したQ.931b+overIPメッセージをQ.931b+メッセージに変換し、移動局に送信する。
【0018】
[回線制御装置201]
回線制御装置201は、アクセスネットワーク制御機能手段(ANCF:Access Network Controlling Function)2011と、プライベート・ネットワーク・クライアント・プロキシー手段(PNP:Private Network Client Proxy)2012と、呼の制御を行う呼制御エンジン2013とを備えている。
【0019】
[ANCF2011]
ANCF2011は、基地局101からの要求、PNP2012からの要求に応じて、基地局101が収容する移動局とPNP2012との間のアクセスリンクの確立、解放を行う。
具体的には、ANCF2011は、基地局101から受信したQ.931b+overIPメッセージに対して送受信パラメータをPNP2012に送信する。
【0020】
また、ANCF2011は、PNP2012から受信した送受信パラメータをQ.931b+overIPメッセージとして基地局101に送信する。
ANCF2011の処理動作の詳細は、後述する。
【0021】
[PNP2012]
PNP2012は、移動局1,2及び基地局101に対するメディアフローの制御(帯域割り当て、フィルタリング、QoS(Quality of Service)マーキング等)を行う。
具体的には、PNP2012は、ANCF2011から受信した送受信パラメータをSIPのメッセージフォーマットに挿入する変換を行い、呼制御エンジン2013のprCSCF(Private Call Session Control Function)に送信する。
また、PNP2012は、ANCF2011から受信した送受信パラメータをTBCPのメッセージフォーマットに挿入する変換を行い、呼制御エンジン2013のPTCFに送信する。
【0022】
また、PNP2012は、呼制御エンジン2013のPTCFから受信したTBCPのメッセージをQ.931b+overIPメッセージに変換して、抽出した送受信パラメータをANCF2011に送信する。
PNP2012における処理動作の詳細は、後述する。
【0023】
[呼制御エンジン2013]
呼制御エンジン2013は、prCSCF(private Call Session Control Function:プライベート・コール・セッション制御手段)とPTCF(Press-Talk Server Controlling Function:プレストーク・サーバ制御手段)とを備えている。
【0024】
[prCSCF]
prCSCFは、SIPセッションの基本制御を行うものであり、移動局からの通信要求メッセージがアプリケーションの起動条件に合致した場合、適切なアプリケーションサーバにメッセージを転送する。
【0025】
[PTCF]
PTCFは、プレストークサービス用のアプリケーションサーバにより実現され、グループメンバの呼び出し、送信権の管理、PT(Press-Talk)音声パケットの複製と転送を行う。
具体的なprCSCFとPTCFの処理動作は、後述する。
【0026】
[本システムのシーケンス:図2〜図8]
次ぎに、本システムにおいて、業務用無線機の移動局1が移動局2と通信を行うためのシーケンスについて図2〜8を参照しながら説明する。
図2は、本システムのシーケンスを示す図であり、図3は、位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図4は、送信権獲得要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図5は、送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図6は、送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図7は、送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータを示す図であり、図8は、送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータを示す図である。
【0027】
[位置登録シーケンス:図2,3]
図2に示すように、本システムにおいて、まず、移動局1が電源投入されると(電源ON)、基地局101では、移動局1から受け取った情報から回線制御装置201に位置登録要求メッセージを送信する(ステップ1、図2では単純に「1.」で表示、以下同様)。
【0028】
回線制御装置201のANCF2011は、受信した位置登録要求メッセージに対して図3に示す位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータをPNP2012に送信する(ステップ2)。
位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータは、図3に示すように、メッセージ名が「位置登録要求」、パラメータには「移動局番号」を含んでいる。
【0029】
そして、PNP2012は、ANCF2011から位置登録要求ANCF−PNP送受信パラメータを受信すると、SIPメッセージであるREGISTERメッセージを作成し、呼制御エンジン2013に送信する(ステップ3)。
【0030】
呼制御エンジン2013のprCSCFは、REGISTERメッセージを受信し、位置登録を行い、PNP2012に位置登録了解(200OK)を返信する(ステップ4)。
これにより、位置登録シーケンス処理が終了する。
【0031】
[送信権確認シーケンス:図2,4]
次ぎに、位置登録が終了した移動局1で通話を開始するためのプレストークボタン301が押下されると、移動局1から基地局101にプレストークボタン押下の情報(プレスオン)が送信され、基地局101は、他の移動局が通話をしていないか確認するために、送信権確認要求メッセージをI/F基板1011においてQ.931b+overIPメッセージに変換し、回線制御装置201へ送信する(ステップ5)。
【0032】
回線制御装置201のANCF2011は、基地局101からQ.931b+overIPメッセージを受信すると、送信権確認のため、当該メッセージに対して図4に示す送信権獲得要求ANCF−PNP送受信パラメータをPNP2012に送信する(ステップ6)。
送信権獲得要求ANCF−PNP送受信パラメータは、図4に示すように、メッセージ名が「送信権確認要求」、パラメータには「グループ番号」「発信者ID」を含んでいる。
【0033】
PNP2012は、TBCPのTalk Burst Request メッセージを作成し、呼制御エンジン2013に送信する(ステップ7)。
呼制御エンジン2013のPTCFは、Talk Burst Request メッセージを受信すると、他に通話を行っている移動局がいるかいないかを判定する。
【0034】
[送信権表示シーケンス:図2,5]
そして、呼制御エンジン2013のPTCFは、判定により、他に通話を行っている移動局がいない場合には、Talk Burst Taken メッセージをPNP2012に送信する(ステップ8)。
【0035】
PNP2012は、PTCFからTalk Burst Taken メッセージを受信すると、Q.931b+overIPメッセージに変換し、当該メッセージに対して図5に示す送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータをANCF2011に送信する(ステップ9)。
送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータは、図5に示すように、メッセージ名が「送信権表示」、パラメータには「グループ番号」「送信権獲得者ID」を含んでいる。
【0036】
そして、ANCF2011は、PNP2012から受信した送信権表示要求ANCF−PNP送受信パラメータを送信権表示要求メッセージとして基地局101に送信する(ステップ10)。
【0037】
基地局101のI/F基板1011においてQ.931b+メッセージに変換し、全基地局経由で全移動局に向けて送信する。本メッセージを受信した移動局は、移動局1の送信権を表示部に表示し、プレス禁止となり、通話要求を行うことができなくなる。
【0038】
[送信権受付シーケンス:図2,6]
送信権を獲得した移動局1に対して、呼制御エンジン2013のPTCFがTalk Burst Granted メッセージをPNP2012に送信する(ステップ11)。
そして、PNP2012は、PTCFからのTalk Burst Granted メッセージを受信すると、Q.931b+overIPメッセージに変換し、当該メッセージに対して図6に示す送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータをANCF2011に送信する(ステップ12)。
送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータは、図6に示すように、メッセージ名が「送信権受付」、パラメータには「グループ番号」を含んでいる。
【0039】
そして、ANCF2011は、PNP2012から受信した送信権受付ANCF−PNP送受信パラメータを送信権受付メッセージとして、送信権を獲得した移動局1のいる基地局101に返信する(ステップ13)。
上記手順を踏むことにより、移動局1と移動局2との間が通信可能(通話確立)状態となり、移動局2において、移動局1の音声をスピーカから聞くことができる。
【0040】
[送信権解放要求シーケンス:図2,7]
移動局1の通話が終了し、移動局1のプレスボタン301を離す(プレスオフ)と、基地局101のI/F基板1011において送信権解放要求のQ.931b+overIPメッセージに変換し、回線制御装置201に送信する(ステップ14)。
【0041】
回線制御装置201のANCF2011は、Q.931b+overIPメッセージを受信すると、送信権解放のため、当該メッセージに対して図7に示す送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータをPNP2012に送信する(ステップ15)。
送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータは、図7に示すように、メッセージ名が「送信権解放要求」、パラメータには「グループ番号」「発信者ID」を含んでいる。
【0042】
PNP2012は、ANCF2011から送信権解放要求ANCF−PNP送受信パラメータを受信すると、TBCPのTalk Burst Release メッセージを作成し、呼制御エンジン2013に送信する(ステップ16)。
【0043】
[送信権解放通知シーケンス:図2,8]
呼制御エンジン2013のPTCFは、Talk Burst Release メッセージをPNP2012から受信すると、その応答として、Talk Burst Idle メッセージをPNP2012に送信する(ステップ17)。
【0044】
PNP2012は、PTCFからTalk Burst Idle メッセージを受信すると、送信権解放通知のQ.931b+overIPメッセージに変換し、当該メッセージに対して図8に示す送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータをANCF2011に送信する(ステップ18)。
送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータは、図8に示すように、メッセージ名が「送信権解放通知」、パラメータには「グループ番号」を含んでいる。
【0045】
そして、ANCF2011は、PNP2012から受信した送信権解放通知ANCF−PNP送受信パラメータを送信権解放通知メッセージとして、基地局101に送信する(ステップ19)。
【0046】
ANCF2011から送信権解放通知メッセージを受信した基地局101は、基地局101のI/F基板1011においてQ.931b+メッセージに変換し、移動局1及び移動局2にプレス可能信号を送信する。本メッセージを受信した移動局は、プレス可能となり、通話要求を行うことができるようになる。
尚、本発明の実施の形態は、個別通話を実現する無線システムにも適用可能である。
【0047】
[本システムの効果]
従来の業務用無線システムでは、専用の回線制御装置で専用の呼の管理を行っていたが、本システムによれば、汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いて呼制御に関するメッセージを管理することにより、他システムへの応用が容易になり、更に汎用のハードウェアで回線制御装置を実現することができるため、安価なシステムを構築できる効果がある。
【0048】
[個別通話へ適用した別の実施形態の概要]
次に、個別通話へ適用した別の実施形態の無線システムについて説明する。
別の実施の形態に係る無線システムは、単一チャネルの無線通信を前提とした本システムを、複数チャネルを使って個別通話を実現するシステムに適用したものであり、本システムの回線制御装置201をアクセスゲートウェイ、PT(Press-Talk)エンジン、prCSCFに分離して、複数チャネルに対応可能としたものである。
【0049】
[別の実施形態の無線システム:図9]
個別通話へ適用した別の実施形態の無線システムについて図9を参照しながら説明する。図9は、別の実施形態に係る無線システムの構成ブロック図である。
本発明の別の実施形態に係る無線システム(別のシステム)は、図9に示すように、移動局1,2と、基地局101と、アクセスゲートウェイ(AGW:Access Gateway)211と、PTエンジン401と、prCSCF402とを基本的に備えている。
別のシステムにおいては、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)を前提に時分割されたチャネルを用いて無線通信を行うものとなっている。
【0050】
[別のシステムの各部]
移動局1,2は、プレストークボタン301,302を備えている。
基地局101は、メッセージのIP化を行うI/F基板1011を備えている。
尚、移動局1,2と、基地局101は、図1で説明した本システムのものと同様である。
【0051】
[AGW211]
AGW211は、ANCF2111とPNP2112とを備えている。ANCF2111は、図1のANCF2011と同様であり、PNP2112は図1のPNP2012とほぼ同様である。
つまり、ANCF2111は、基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータをPNP2112に送信する。
PNP2112は、ANCF2112からパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換してprCSCF402に送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換してPTエンジン401に送信する。
【0052】
但し、PNP2112は、基地局からの接続要求メッセージを受け付けると、prCSCF402にチャネルを確保するINVITE処理を行い、チャネルが確保されると、基地局にチャネル指定メッセージを送信してから、送信権確認の処理が行われるようになっている。処理の詳細は後述する。
【0053】
[PTエンジン401]
PT(Press-Talk)エンジン401は、プレストークサービス用のアプリケーションサーバにより実現され、送信権の管理制御、PT(Press-Talk)音声パケットの複製と転送(音声データの送受信)を行う。
【0054】
[prCSCF402]
prCSCF402は、図1のprCSCFと同様に、SIPセッションの基本制御、つまり、呼制御を行うものであり、移動局からの通信要求メッセージがアプリケーションの起動条件に合致した場合、適切なアプリケーションサーバにメッセージを転送する。
また、prCSCF402は、AGW211のPNP2112からのINVITEメッセージに対して空きチャネルの確保を行い、チャネル確保をAGW211に送信する。
【0055】
[別のシステムの処理動作]
別のシステムにおいて、業務用無線において基地局101の配下に属する移動局1,2と通信をするための下記の「立ち上げ」「位置登録」「個別通話接続」「位置登録削除」「個別通話切断」「個別通話切断」「個別通話 通話制限時間タイマ満了」の処理シーケンスについて説明する。
【0056】
[立ち上げ処理シーケンス:図10]
立ち上げ処理シーケンスについて図10を参照しながら説明する。図10は、立ち上げ処理シーケンスを示す図である。
まず、移動局1,2が通信を始める前に、基地局101の立ち上げを行う必要がある。
【0057】
基地局101からseq1−1.TCP接続要求メッセージ(シグナリング制御用)をAGW211に送信する。
AGW211は、seq1−2.TCP接続応答メッセージ(シグナリング制御用)を基地局101に送信する。
【0058】
次に、AGW211から定期的に送信される基地局の安否を確認するseq1−3.基地局安否要求メッセージを基地局101に送信すると、基地局101は、基地局の安否を応答するseq1−4.基地局安否応答メッセージをAGW211に返信する。
基地局安否要求メッセージと基地局安否応答メッセージには、基地局番号と呼(登録番号)情報数等のパラメータが含まれている。
【0059】
基地局安否応答メッセージを受けたAGW211は、基地局を立ち上げるためのseq1−5.基地局アップロード情報メッセージ、基地局の起動を要求するseq1−6.基地局起動要求メッセージ、制御チャネルの起動を要求するseq1−7.制御チャネル起動要求メッセージ、seq1−8.報知情報メッセージを受けて基地局101に送信し、立ち上げ動作が終了する。
【0060】
これら各メッセージには、基地局番号のパラメータが含まれている。
また、基地局アップロード情報メッセージには、基地局が立ち上がるための情報のパラメータが含まれ、制御チャネル起動要求メッセージには、チャネル番号、起動/停止の情報等のパラメータが含まれ、報知情報メッセージには、コマンド+通信タイプ、通信情報、発呼端末番号等のパラメータが含まれる。
【0061】
[位置登録シーケンス:図11]
位置登録シーケンスについて図11を参照しながら説明する。図11は、位置登録シーケンスを示す図である。
立ち上げの終わった基地局101に対して、移動局1,2が電源を入れると位置登録を開始する。
【0062】
移動局1,2の電源オンにより、端末(移動局)状態を登録するための端末状態登録メッセージが基地局101に送信されると、基地局101は、seq2−1.端末状態登録メッセージをAGW211に送信する。端末状態登録メッセージには、コマンド、通信タイプ、通信情報、発呼端末番号、基地局番号等のパラメータが含まれている。
AGW211のANCF2111とPNP2112によりSIPに変換を行い、prCSCF402に端末の位置を登録するためのseq2−2.REGISTERメッセージをprCSCF402に送信する。
【0063】
REGISTERメッセージを受けたprCSCF402で位置登録が正常に為されると、位置登録が正常に為されたことを示すseq2−3.200OKメッセージをAGW211に送信する。
AGW211は、200OKメッセージを解析し、位置登録が為されたことを示すseq2−4.応答メッセージに変換して基地局101に送信して、位置登録を完了する。応答メッセージには、コマンド、通信タイプ、通信情報、発呼端末番号、要求端末番号、応答内容、基地局番号等のパラメータが含まれている。
【0064】
[個別通信接続:図12]
個別通信接続シーケンスについて図12を参照しながら説明する。図12は、個別通信接続シーケンスを示す図である。
位置登録が終わった移動局は、個別通信が可能となる。次に、移動局1がプレストークボタン301を押し、個別通信が可能となり、移動局2で音声を受信するまでの処理シーケンスを説明する。
【0065】
移動局1が、プレストークボタン301をオンしてPTT(Push to Talk)をオンにすると、接続要求メッセージを受信した基地局101は、通話のための接続を要求するseq3−1.接続要求メッセージをAGW211に送信する。
AGW211内のANCF2111とPNP2112で、SIPに変換を行い、通話で利用するチャネルの割り当てを要求するseq3−2.INVITEメッセージをprCSCF402に送信する。
別のシステムでは、TDMA方式で時分割の複数チャネルを前提としているため、このINVITEメッセージに関する処理が本システムにはない特徴的な処理である。
【0066】
INVITEメッセージを受けたprCSCF402は、処理中を示すseq3−3.100TryingメッセージをAGW211に返信する。その後、prCSCF402でINVITE(チャネル割り当ての呼設定)が正常処理されると、チャネル割り当ての呼設定が成功したことを示すseq3−4.200OKメッセージをAGW211に送信する。
【0067】
200OKメッセージを受信したAGW211は、メッセージを解析し、割り当てられたチャネルを指定するseq3−5.チャネル指定メッセージを基地局101に送信し、prCSCF402にseq3−6.ACKを送信する。チャネル指定メッセージには、登録番号、コマンド、通信情報、発呼端末番号、着信者情報、通話制限時間、チャネルコード、基地局番号等のパラメータが含まれる。
【0068】
seq3−5.チャネル指定メッセージを受信した基地局101は、送信権を確認するためのseq3−7.送信権確認メッセージをAGW211に送信する。
AGW211内部では、TBCPに変換を行い、送信権を要求するseq3−8.Talk Burst Request メッセージとしてPTエンジン401に送信する。
【0069】
PTエンジン401で正常処理されると、送信権が取得されたことを示すseq3−9.Talk Burst Taken メッセージ、送信権が付与されたことを示すseq3−11.Talk Burst Granted メッセージをAGW211に送信する。
それぞれのメッセージを受信したAGW211は、メッセージを解析し、seq3−9.Talk Burst Taken メッセージをseq3−10.送信権表示メッセージに変換し、立ち上げ処理が終わって、かつ個別通話接続要求を出している移動局が属する基地局以外の基地局に対して送信し、seq3−11.Talk Burst Granted メッセージをseq3−12.送信権受付メッセージとして基地局101に送信する。送信権表示メッセージと送信権受付メッセージには、動作プリミティブ、基地局番号、チャネル番号、登録番号、呼出符号等のパラメータが含まれている。
【0070】
その後、移動局1から音声パケットが送信されると、基地局101からseq3−13.音声パケットがPTエンジン401に送信され、PTエンジン401内で折り返された音声パケットがseq3−14.音声パケットとして基地局101の配下の移動局2に配信される。
【0071】
移動局1がプレストークボタン301を放し、PTTをオフにすると、基地局101から送信権の解放を要求するseq3−15.送信権解放メッセージがAGW211に送信される。
AGW211の内部で、TBCPに変換を行い、送信権の解放を要求するseq3−16. Talk Burst Release メッセージをPTエンジン401に送信する。
PTエンジン401で送信権解放の処理が正常に為されると、送信権がアイドル状態であることを示すseq3−16.Talk Burst Idle メッセージをAGW211に送信し、AGW211の配下の基地局全てに送信権の解放を表示するseq3−18.送信権解放表示メッセージ、seq3−19.送信権解放表示メッセージが送信され、移動局1からの個別通話が終了したことを示すものである。送信権解放表示メッセージには、動作プリミティブ、基地局番号、チャネル番号、登録番号等のパラメータが含まれている。
【0072】
[位置登録削除:図13]
位置登録削除シーケンスについて図13を参照しながら説明する。図13は、位置登録削除シーケンスを示す図である。
移動局が電源を切ると位置登録削除処理が行われる。
移動局の電源がオフになると、基地局にseq4−1.端末状態登録メッセージが送信される。
【0073】
そして、基地局101は、端末登録要求をAGW211に送信する。
AGW211は、内部でSIPに変換を行い、seq4−2.REGISTERメッセージをprCSCF402に送信する。
REGISTERメッセージを受信したprCSCF402で、位置登録削除が正常に為されると、seq4−3.200OKメッセージをAGW211に送信する。
【0074】
AGW211は、200OKメッセージを解析し、位置登録削除が為されたことを示すseq4−4.応答メッセージに変換し、基地局101に送信して、位置登録削除を完了する。
【0075】
[個別通話切断:図14]
個別通話切断シーケンスについて図14を参照しながら説明する。図14は、個別通話切断シーケンスを示す図である。
図12で説明したように、PTT(Push to Talk)をオフにすると送信権の解放が行われ、個別通話は終了するが、無線リソースを解放するためには電源ボタンにより無線リソースを解放する処理を行う必要がある。ここで、個別通話が終了し、無線リソースを解放するための切断の処理を説明する。
個別通話接続シーケンスで、移動局1が無線リソースを獲得した場合は、個別通話切断シーケンスも移動局1から起動する必要がある。
【0076】
移動局1が電源ボタンを押下することにより、seq5−1〜seq5−6の送信権確認シーケンスが行われる。この処理は、個別通話接続シーケンスで述べた処理と同様である。
移動局1が送信権を獲得していることを確認できたら、次に、基地局101から個別通話切断を要求するseq5−7.切断要求メッセージをAGW211に送信する。
AGW211は、内部でSIPに変換を行い、個別通話切断を要求するseq5−8.BYEメッセージをprCSCF402に送信する。
【0077】
BYEメッセージを受信したprCSCF402で個別通話切断の処理が正常に為されると、個別通話切断が成功したことを示すseq5−9.200OKメッセージをAGW211に送信する。
AGW211は、200OKメッセージを解析し、切断要求に応答するseq5−10.切断応答メッセージ、個別通話切断を行ったことを示すseq5−11.切断メッセージに変換して基地局101に送信し、個別通話切断を完了する。
【0078】
[個別通話 通話制限時間タイマ満了:図15]
個別通話 通話制限時間タイマ満了のシーケンスについて図15を参照しながら説明する。図15は、個別通話 通話制限時間タイマ満了のシーケンスを示す図である。
このシーケンスは、個別通話接続シーケンスで移動局1が無線リソースを獲得した場合であって、一定時間無通話の期間があったり、予め設定されている通話制限時間タイマが満了した場合に、適用されるものである。
【0079】
prCSCF402は、通話制限時間タイマを備えており、当該タイマで通話制限時間が満了すると、個別通話切断を通知するseq6−1.BYEメッセージをAGW211に送信する。
AGW211は、BYEメッセージを解析し、個別通話切断を行ったことを示すseq6−2.切断メッセージに変換して基地局101に送信し、更にBYEメッセージへの応答となるseq6−3.200OKメッセージをprCSCF402に送信する。
これにより、通話制限時間によって無線リソースを解放するものである。
【0080】
[応用技術]
別のシステムについて、デジタル移動無線通信システムを用いて説明したが、有線系で構築されるシステムにも適用可能である。
また、別のシステムは、デジタル移動無線通信システム以外の他の移動通信システムに適用してもよい。
【0081】
[別のシステムの効果]
従来の業務用無線システムでは、専用の回線制御装置で専用の呼の管理を行っていたが、別のシステムによれば、アクセスゲートウェイで汎用のSIP又はTBCPメッセージを用いて呼制御に関するメッセージに変換し、管理することにより、他システムへの応用が容易になり、更に汎用のハードウェアでアクセスゲートウェイを実現することができるため、安価なシステムを構築できる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、回線制御装置又はアクセスゲートウェイでSIP又はTBCPのメッセージに変換する機能を備えることにより、他システムへの応用が容易、システムを安価に構成できる無線システムに好適である。
【符号の説明】
【0083】
1…移動局、 2…移動局、 101…基地局、 201…回線制御装置(LCU)、 211…アクセスゲートウェイ(AGW)、 301,302…プレストークボタン、 1011…I/F基板、 2011,2111…ANFC、 2012,2112…PNP、 2013…呼制御エンジン、 401…PTエンジン、 402…prCSCF
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介して移動局間の通話の制御を行う回線制御装置を備える無線システムであって、
前記回線制御装置が、通話の呼の制御を行う呼制御エンジンと、
前記基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCFと、
前記ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換して前記呼制御エンジンに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して前記呼制御エンジンに送信するPNPとを有することを特徴とする無線システム。
【請求項2】
基地局を介して移動局間の通話の制御を行うアクセスゲートウェイを備える無線システムであって、
前記アクセスゲートウェイに、通話の呼の制御を行うprCSCFと、送信権の制御、音声パケットの送受信を行うPTエンジンとが接続され、
前記アクセスゲートウェイが、前記基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCFと、
前記ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換して前記prCSCFに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して前記PTエンジンに送信するPNPとを有することを特徴とする無線システム。
【請求項1】
基地局を介して移動局間の通話の制御を行う回線制御装置を備える無線システムであって、
前記回線制御装置が、通話の呼の制御を行う呼制御エンジンと、
前記基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCFと、
前記ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換して前記呼制御エンジンに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して前記呼制御エンジンに送信するPNPとを有することを特徴とする無線システム。
【請求項2】
基地局を介して移動局間の通話の制御を行うアクセスゲートウェイを備える無線システムであって、
前記アクセスゲートウェイに、通話の呼の制御を行うprCSCFと、送信権の制御、音声パケットの送受信を行うPTエンジンとが接続され、
前記アクセスゲートウェイが、前記基地局から通信プロトコルをIPパケットに変換されたメッセージを受信し、当該メッセージに対するパラメータを送信するANCFと、
前記ANCFからパラメータを受信し、当該パラメータに対応するメッセージがIPパケット化されたプロトコルの呼制御に関するものであれば、当該パラメータをSIPのメッセージフォーマット変換して前記prCSCFに送信し、当該パラメータに対応するメッセージが送信権の制御に関するものであれば、当該パラメータをTBCPのメッセージフォーマット変換して前記PTエンジンに送信するPNPとを有することを特徴とする無線システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−171956(P2010−171956A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−288242(P2009−288242)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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