説明

無線セルラー通信ネットワークの基地局の動作を制御する方法

本発明は、複数の基地局及び1つのサーバから構成される無線セルラー通信ネットワークの第1の基地局の動作を制御する方法に関する。第1の基地局は、第1の基地局によって転送される信号の送信電力を第1の送信電力値に設定し、移動端末によって転送される所定の信号を検出し、
所定の信号が検出される場合に、
− サーバとの通信リンクを確立し、
− 第1の基地局によって管理されるセルに隣接セルするセルを管理すると共に、第1の送信電力値よりも高い第2の送信電力で信号を転送している各第2の基地局を識別する情報を、サーバから取得し、
− 各第2の基地局と通信リンクを確立し、
− 第1の基地局によって転送される信号の送信電力を、第1の送信電力よりも高い第2の送信電力値に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線セルラー通信ネットワークの基地局の動作を制御する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の無線セルラー通信ネットワークは、広いエリアにおいて無線サービスのカバレッジを提供する。無線セルラー通信ネットワークのカバレッジエリアを覆うために、マクロセルが用いられる。
【0003】
マクロセルは、およそ10km2のカバレッジエリアを有する。
【0004】
各セルは1つの基地局によって制御され、基地局はそのセルに隣接するセルを制御する各基地局に接続されなければならない。
【0005】
基地局のセットアップ時に、基地局は無線インターフェース及びネットワークインターフェースを設定する。すなわち、隣接する基地局及びサーバとの接続リンクを設定する。そして、パイロット信号等と共にブロードキャストチャネルにおいて送信を開始する。基地局によって管理されるセル内に位置する移動端末は、自身が位置するセルを現時点で管理している基地局から、別の基地局によって管理される別のセルへのハンドオーバを準備/トリガするために、これらの信号に関する測定を行うことができる。
【0006】
1つのエリア内に多数のマクロセルが配置されるとき、各セルは異なるセル識別子に設定されなければならず、各マクロセルの無線資源は、他のマクロセルによって引き起こされる干渉を最小限に抑えるように設定されなければならない。
【0007】
接続リンクの設定、識別子の割当て、及び干渉の問題は、従来の無線セルラー通信ネットワークにおいて検討及び解決されるべき重要な項目である。
【0008】
無線セルラー通信ネットワークがおよそ0.1km2の小さなカバレッジエリアを有するマイクロセルも含むとき、マクロセルに隣接するセルの数が増加する。接続リンクの数の増加、識別子の数の増加、及び干渉問題によって、引き起こされる問題が増大する。
【0009】
上記の問題は、ピコセル又はフェムトセルになるほど重要になる。公衆陸上移動網(PLMN)又は無線セルラー通信ネットワークのカバレッジを、ピコセル及びフェムトセルによって拡張することが提案されている。ピコセルはおよそ数1000m2のサービスエリアを有する。一方、フェムトセルはおよそ100m2のサービスエリアを有する。マクロセル及びマイクロセルの場合のように、1つのピコセルを管理する各基地局は、そのピコセルに隣接するセルを制御する各基地局に接続されなければならない。
【0010】
マクロセルによって広く網羅されるエリアにわたって多数のピコセルが配置されるとき、各ピコセルは異なるセル識別子に設定されなければならず、各ピコセルの無線資源は他のピコセルによって引き起こされる干渉を最小限に抑えるように設定されなければならない。無線資源はピコセルにわたって分割されなければならないので、各ピコセルが得る容量は減少する。
【0011】
多数のピコセルが配置されるとき、マイクロセル又はマクロセルは、多数の隣接するセルに対応するように設定されなければならない。マイクロセル内の移動端末は、隣接する可能性がある全てのセルを走査しなければならない。この過程は時間が掛かると共にバッテリを消耗する。
【0012】
従来技術によれば、ピコセルがセットアップされるとき、そのピコセルは、サーバに接続されると共に、他の隣接するセルを管理する他の基地局に接続されなければならない。多数のピコセルがセットアップされるとき、サーバ及び他の基地局は、各通信リンクにおいてトラフィック活動がない場合でも、互いの間で多数の通信リンクを維持しなければならない。これは、サーバ並びに基地局のメモリ及び処理能力を消費する。
【0013】
マクロセル及びマイクロセルの場合に開示されたように、ピコセルがセットアップされるとき、ピコセルを管理する基地局は、移動端末にハンドオーバの準備をさせるためにパイロット信号を送信しなければならない。これは他のセルへの干渉を引き起こす。莫大な数のピコセル及びフェムトセルによって生成されるマイクロセル又はマクロセルへの干渉は深刻になり、マクロセル及びマイクロセルのダウンリンクチャネルの品質を劣化させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
それゆえ、本発明の目的は、過度に多くの通信リンクを設定する必要を回避することを可能にすると共に、無線セルラー通信ネットワークにおける干渉の問題が低減される方法及び装置を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的のために、本発明は、複数の基地局及び1つのサーバから構成される無線セルラー通信ネットワークの第1の基地局の動作を制御する方法に関する。
当該方法は、第1の基地局によって実行され、
− 第1の基地局によって管理されるセルにおいて第1の基地局によって転送される信号の送信電力を第1の送信電力値に設定するステップと、
− 無線セルラー通信ネットワークの移動端末によって転送される所定の信号を検出するステップと、
移動端末によって転送される所定の信号が検出される場合に、
− サーバとの通信リンクを確立するステップと、
− 第1の基地局によって管理されるセルに隣接するセルを管理すると共に、自身が管理するセルにおいて第1の送信電力値よりも高い送信電力で信号を転送している各第2の基地局を識別する情報を、サーバから取得するステップと、
− 各第2の基地局と通信リンクを確立するステップと、
− 第1の基地局によって管理されるセルにおいて第1の基地局によって転送される信号の送信電力を、第1の送信電力よりも高い第2の送信電力値に設定するステップと
を含むことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、複数の基地局及び1つのサーバから構成される無線セルラー通信ネットワークの第1の基地局の動作を制御するための装置にも関する。
当該装置は、第1の基地局に収容され、
− 第1の基地局によって管理されるセルにおいて第1の基地局によって転送される信号の送信電力を第1の送信電力値に設定する手段と、
− 無線セルラー通信ネットワークの移動端末によって転送される所定の信号を検出する手段と、
− サーバとの通信リンクを確立する手段と、
− 第1の基地局によって管理されるセルに隣接するセルを管理すると共に、自身が管理するセルにおいて第1の送信電力値よりも高い送信電力で信号を転送している各第2の基地局を識別する情報を、サーバから取得する手段と、
− 各第2の基地局と通信リンクを確立する手段と、
− 第1の基地局によって管理されるセルにおいて第1の基地局によって転送される信号の送信電力を、第1の送信電力よりも高い第2の送信電力値に設定する手段と
を備えることを特徴とする。
【0017】
したがって、移動端末によって生成される信号が検出されないときには、第1の基地局によって管理されるセルにおいて第1の基地局によって転送される信号の送信電力は、第1の送信電力値に設定される。この送信電力値は、移動端末によって生成される信号が検出されるときに設定される送信電力値よりも低いので、第1の基地局によって他の基地局のセル内に位置する移動端末に対して引き起こされる干渉は、かなりの程度まで低減される。
【0018】
さらに、移動端末によって生成される信号が検出されるときにのみ通信リンクが確立されるので、基地局間、及び基地局と無線セルラー通信ネットワークのサーバとの間の通信リンクの数が低減される。
【0019】
したがって、移動端末が所定の信号を検出している基地局に接近するとき、この移動端末は基地局を起動してその基地局を介して通信することができる。その際、そのような移動端末のために、無線セルラーシステムのカバレッジが拡大される。
【0020】
さらに、別の基地局を通して離れた通信デバイスとの通信に関与している移動端末が、所定の信号を検出している基地局の近くにいるとき、この移動端末はその基地局によって転送される信号を検出することができる。そして、ハンドオーバをトリガしてその基地局を通して通信を継続することができ、通信の品質は高められる。
【0021】
特定の特徴によれば、第1の基地局によって管理されるセルにおいて第1の基地局によって転送される信号の送信電力が、第1の送信電力よりも高い送信電力値に設定されるときに、第1の基地局は、
− タイマを起動し、
− 少なくとも1つの別の所定の信号が、無線セルラー通信ネットワークの上記移動端末又は別の移動端末によって転送されるか否かを調べる。
【0022】
特定の特徴によれば、第1の基地局は、第1の基地局を通して少なくとも1つの離れた通信デバイスと通信している移動端末の数をモニタし、第1の基地局を通して離れた通信デバイスと通信している移動端末が1つも存在しない場合に、タイマを起動する。
【0023】
したがって、第1の基地局は、第1の基地局の通信資源を現時点で使用している移動端末の数を知っている。
【0024】
特定の特徴によれば、第1の基地局は、少なくとも1つの別の所定の信号が無線セルラー通信ネットワークの上記移動端末若しくは別の移動端末によって転送されている場合に、又は、少なくとも1つの移動端末が第1の基地局を通して少なくとも1つの離れた通信デバイスと通信している場合に、タイマの動作を停止する。
【0025】
特定の特徴によれば、第1の基地局は、タイマが満了しているか否かを調べ、タイマが満了している場合に、サーバとの通信リンク及び各第2の基地局との通信リンクを解放し、第1の基地局によって管理されるセルにおいて第1の基地局によって転送される信号の送信電力を第1の送信電力値に設定する。
【0026】
したがって、移動端末によって生成される信号が検出されないときには、第1の基地局によって管理されるセルにおいて第1の基地局によって転送される信号の送信電力は、第1の送信電力値に設定される。そのため、この基地局によって他の基地局のセル内に位置する移動端末に対して引き起こされる干渉は、かなりの程度まで低減される。
【0027】
さらに、移動端末によって生成される信号が検出されないときには通信リンクが解放されるので、基地局間、及び基地局と無線セルラー通信ネットワークのサーバとの間の通信リンクの数が低減される。
【0028】
したがって、タイマは通信リンクの解放をトリガする際に待ち時間をもたらすので、基地局間、及び基地局とサーバとの間の通信リンクを設定及び解放するための手順の数は最小限に抑えられる。
【0029】
特定の特徴によれば、第1の送信電力値は0値に等しい。
【0030】
したがって、干渉が低減される。
【0031】
特定の特徴によれば、第1の基地局は、第1の基地局によって管理されるセルに隣接すると共により高い送信電力で信号が転送される各セルを識別する情報を含むリストを、第1の基地局によって管理されるセルにおいて転送する。
【0032】
したがって、第1の基地局によって管理されるセルに含まれる移動端末は、信号が転送されるセルだけを知っている。その移動端末は、多数の第2の通信デバイスによって使用される周波数を走査する必要はない。
【0033】
また、本発明は、無線セルラー通信ネットワークの少なくとも1つの基地局によって移動端末を検出することができるようにする方法にも関する。
当該方法は、移動端末によって実行され、
− 1つの基地局によって転送される信号が検出されるか否かを調べるステップと、
− 信号が検出されない場合に、所定の信号を転送するステップと
を含むことを特徴とする。
【0034】
また、本発明は、無線セルラー通信ネットワークの少なくとも1つの基地局によって移動端末を検出することができるようにするための装置にも関する。
当該装置は、移動端末に収容され、
− 1つの基地局によって転送される信号が検出されるか否かを調べる手段と、
− 信号が検出されない場合に、所定の信号を転送する手段と
を備えることを特徴とする。
【0035】
したがって、移動端末は、所定の情報を検出しやすい任意の基地局に対してその存在を通知する。移動端末は、もはやいずれの基地局によってもカバーされていないときに、周囲の基地局を起動することができる。
【0036】
特定の特徴によれば、所定の信号は、周期的に転送される信号又はメッセージである。
【0037】
したがって、基地局は、所定の信号を検出する機会を何度も続けて有する。移動端末は、周囲の基地局を起動する機会を何度も有する。
【0038】
特定の特徴によれば、所定の信号は、無線セルラー通信システムのアップリンクメッセージを表す。
【0039】
したがって、基地局は、アイドルモードにある移動端末を検出しなくてもよい。基地局は、稼動モードにあって実際にデータを送信している移動端末の存在を検出したときにのみ起動する。基地局の使用率は最小限に抑えられる。この結果として、無線セルラー通信システムに対して引き起こされる干渉が少なくなり、基地局の構成要素の寿命が長くなる。基地局は、移動端末によって送信されるデータを中継することを要求されているときにのみ自身を起動する。
【0040】
特定の特徴によれば、所定の信号は所定の署名であり、当該署名は、移動端末から基地局にメッセージを送信するために用いられる周波数帯とは異なる周波数帯において変調される。
【0041】
したがって、所定の信号は、無線セルラー通信システムのアップリンクメッセージと干渉しない。所定の秘密署名を用いることによって、基地局の起動を所定の秘密署名を共有する無線セルラー通信システムの一部の限られた移動端末に制限することができる。
【0042】
特定の特徴によれば、所定の信号は、電波又は光波によって伝搬する所定の符号化されたエネルギーパルス列である。
【0043】
したがって、所定の信号は、悪意のある第三者によって傍受され難く、所定の信号は、秘密にしておくことができ、所定の秘密署名を共有する無線セルラー通信システムの一部の限られた移動端末に制限しておくことができる。
【0044】
さらに、所定の信号を送信するための消費電力が制限される。
【0045】
特定の特徴によれば、移動端末は、
− 1つの基地局によって転送される信号が検出されるか否かを調べ、
− 上記信号が検出される場合に、所定の信号を転送するのを中止する。
【0046】
したがって、移動端末は、自身の電力資源を節約することができる。
【0047】
さらに別の態様によれば、本発明は、別のプログラム可能デバイス内に直接ロード可能であるコンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがプログラム可能デバイスにおいて実行されるときに、本発明による方法のステップを実施するための命令又はコードの一部を含む、コンピュータプログラムに関する。
【0048】
コンピュータプログラムに関連する特徴及び利点は、本発明による方法及び装置に関連して上記で詳述されたのと同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0049】
本発明の特性は、一例の実施形態に関する以下の説明を読むことから、さらに明らかになり、当該説明は添付の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明によるセルラー通信ネットワークのアーキテクチャを表す図である。
【図2】本発明による基地局のブロック図である。
【図3】本発明による移動端末装置のブロック図である。
【図4a】本発明による基地局によって実行されるアルゴリズムを示す。
【図4b】本発明による基地局によって実行されるアルゴリズムを示す。
【図5】本発明による移動端末によって実行されるアルゴリズムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、本発明によるセルラー通信ネットワークのアーキテクチャを表す図である。
【0052】
このセルラー通信ネットワークでは、サーバ10は、通信ネットワークを通して複数の基地局BS1〜BS5に接続することができる。この通信ネットワークは、専用の有線ネットワークであるか、公衆交換網のような公衆網であるか、IPベースネットワークであるか、無線ネットワークであるか、非同期転送モードネットワークであるか、又は上記のネットワークの組合せである。
【0053】
この通信ネットワークによって、基地局BS1〜BS5は必要に応じて互いに接続することができる。また、本発明に従って、基地局BS1〜BS5間で、又は基地局BS1〜BS5とサーバ10との間で、メッセージ及び情報を転送することができる。
【0054】
各基地局BS1〜BS5は、信号若しくはメッセージを少なくとも1つの無線エリア15を通して転送及び/又は受信することができる。そのような無線エリア15は、これ以降、基地局BSによって管理されるセル15と呼ばれる。セル15は、マクロセル、及び/又はマイクロセル、及び/又はピコセル、及び/又はフェムトセルである。
【0055】
図1の例によれば、基地局BS1はセル151を管理し、基地局BS2はセル152を管理し、基地局BS3はセル153を管理し、基地局BS4はセル154を管理し、基地局BS5はセル155を管理する。
【0056】
サーバ10は、セルラー通信ネットワークの基地局BS1〜BS5に関連する情報を格納する。サーバ10は、基地局BS1〜BS5毎に、その基地局BSによって管理されるセル15に隣接するセル15を管理する基地局BSを表す情報を格納する。サーバ10は、現時点で稼動している基地局BS、すなわち各セル15において信号を転送する基地局BSのリストを保持する。サーバ10は、基地局BS4及びBS5のような稼動していない基地局BSのその他のパラメータも保持する。その他のパラメータは、IPアドレス、TCPポート又はSCTPポート、暗号鍵等の接続及びセキュリティ情報を含み、この情報によって、稼動していない基地局が稼動状態になるときに、その稼動していない基地局BSとサーバ10との間で迅速にリンクをセットアップすることができるようになる。
【0057】
図1では、ただ1つのサーバ10が示されているが、本発明においては、さらに多くの数のサーバ10を用いることができることを理解されたい。
【0058】
同様に、5つの基地局BS1〜BS5と、それぞれのセル151〜155だけが示されているが、本発明においては、さらに多くの数の基地局BS及びセル15を用いることができることを理解されたい。
【0059】
現在3GPPにおいて検討中であるロング・ターム・エボリューション(LTE)ネットワークでは、サーバ10は移動管理エンティティ(MME)と呼ばれる。汎用パケット無線サービスネットワークでは、サーバ10はサービングGPRSサポートノード(SGSN)と呼ばれる。移動IPネットワークでは、サーバ10は外部エージェント(FA)と呼ばれる。GSMネットワークでは、サーバ10はビジターロケーションレジスタ(VLR)と呼ばれる。
【0060】
図1には、1台の移動端末MTが示されている。移動端末MTは、基地局BS2のセル152内に位置しており、基地局BS1のセル151内に移動しつつある。
【0061】
図1には、1台の移動端末MTしか示されていないが、無線セルラー通信ネットワーク内にはさらに多くの数の移動端末MTが存在することを理解されたい。
【0062】
移動端末MTがセル15内に位置するとき、移動端末MTは、自身が位置するセル15を管理する基地局BSを通して通信を確立するか、受信するか、継続するか、または、呼出通知メッセージを受信することができる。
【0063】
サーバ10は、無線セルラー通信ネットワーク内の移動端末MTの位置を追跡する役割を担い、移動端末MTが位置するものと予測される少なくとも1つのセル15を制御する基地局BSに対して呼出通知をルーティングできるようにする。移動端末MTが位置するものと予測されるセルのグループは、トラッキングエリアと呼ばれる。そのような呼出通知は種々の場合に生じることがあるが、主にネットワークから移動端末MTに対して着呼がルーティングされなければならないときに生じる。その際、基地局BSは、移動端末MTが受信することができる呼出メッセージを、無線を介して送信することができる。移動端末MTが呼出メッセージを受信すると、移動端末MTは起動して着呼するためにシグナリングをトリガすることができる。
【0064】
各基地局BSは、他のセル15を識別する情報を含むモニタ用リストを自身が管理する各セル15内に転送する。移動端末MTは、これらのセル15において転送される信号をモニタし、移動端末MTが位置するセル15を管理する基地局BSに対して測定報告を送信する。
【0065】
例えば、移動端末MTが図1には示されない離れた通信デバイスと基地局BSを通して通信しているとき、その基地局BS又はサーバ10は、測定報告に従って通信のハンドオーバ手順に進む決定を下すことができる。すなわち、別の基地局BSを通して通信を継続できるようにする。
【0066】
図1において、基地局BS2及びBS3は、252及び253で示される通信リンクを通してサーバ10にリンクされている。
【0067】
本発明によれば、基地局BSが移動端末MTによって転送される信号を一切検出しないとき、又は基地局BSによって検出される信号の電力レベルが所定の値未満のとき、基地局BSは非稼動モードに入り、ダウンリンクチャネルにおいて送信される信号の送信電力を第1の所定の値まで低減する。基地局BSが移動端末MTによって転送される信号を検出すると、又は基地局BSによって検出される信号の電力レベルが所定の値よりも高いとき、基地局BSは、ダウンリンクチャネルにおいて送信される信号の送信電力を第2の所定の値まで増加させる。
【0068】
本発明の第1の実現形態では、基地局BSによって検出される1つ又は複数の信号は、一例として、無線セルラー通信システムのアップリンクチャネルを通して受信される。その1つ又は複数の信号は、一例として、移動端末MTが別の基地局BSを通して離れた通信デバイスと通信しているときに、その移動端末MTによって転送されるメッセージを表す。そのようなメッセージは、無線セルラー通信ネットワークのアップリンクチャネルを通して転送され、アップリンクメッセージとして知られている。基地局BSが信号を転送するとき、これらの信号は無線セルラー通信ネットワークのダウンリンクチャネルにおいて転送される。
【0069】
本発明の第2の実現形態では、基地局BSによって検出される信号は、所定の署名を有する無線信号のような所定の信号であり、これは移動端末MT及び基地局BSによって予め知られている、署名は、一例として、無線セルラー通信システムのアップリンクチャネルのために用いられる周波数帯とは異なる周波数帯において変調される。
【0070】
本発明の第3の実現形態では、基地局BSによって受信される信号は、超広帯域電波(UWB)又は赤外線光波のような電波又は光波のいずれかによって伝搬する所定の符号化されたエネルギーパルス列から構成される信号である。
【0071】
基地局BS1が移動端末MTによって転送された信号を検出すると、基地局BS1は、基地局BS1とサーバ10との間に図1において251で示される通信リンクを確立し、基地局BS1のセル151に隣接するセル15を管理する稼動中の基地局BS2及びBS3のリストをサーバ10から取得する。そして、基地局BS1と、基地局BS2及びBS3との間に、図1において352及び353で示される通信リンクを確立する。
【0072】
図2は、本発明による基地局装置のブロック図である。
【0073】
各基地局BSは、例えば、バス201によって互いに接続される構成要素、並びに図4a及び図4bにおいて開示されるようなプログラムによって制御されるプロセッサ200に基づくアーキテクチャを有する。
【0074】
バス201は、プロセッサ200を、読出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、ネットワークインターフェース204、無線インターフェース206、及び無線受信機207に接続する。
【0075】
メモリ203はレジスタを含み、このレジスタは、変数、基地局BSによって管理されるセル15に隣接するとして知られているようなセル15を識別する情報、隣接するセル15を管理する基地局BSの識別子、隣接するセルを管理する基地局BSとの通信リンク毎の接続及びセキュリティ情報、並びに、図4a及び図4bにおいて開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を受け取るように意図されている。
【0076】
プロセッサ200は、ネットワークインターフェース204、無線インターフェース206、及び無線受信機207の動作を制御する。
【0077】
読出し専用メモリ202は、図4a及び図4bにおいて開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、それらの命令は基地局BSの電源が投入されたときにランダムアクセスメモリ203に転送される。
【0078】
基地局BSは、ネットワークインターフェース204を通して通信ネットワークに接続される。一例として、ネットワークインターフェース204は、DSL(デジタル加入者線)モデム、又はISDN(統合サービスデジタル網)インターフェース等である。そのようなインターフェースを通して、基地局BSは無線セルラー通信ネットワークのサーバ10及び他の基地局BSと情報を交換する。基地局BSによって管理される各セル15内に含まれる移動端末MTによって確立又は受信される通信は、ネットワークインターフェース204及び無線インターフェース206を経由する。
【0079】
ネットワークインターフェース204は、基地局BSとサーバ10との間の通信リンクを確立及び解放する手段と、基地局BSと他の基地局BSとの間の通信リンクを確立及び解放する手段とを備える。これらの、通信リンクを確立及び解放する手段は、互いに異なるか又は共通である。
【0080】
無線インターフェース206を通して、基地局BSは、セル15を識別する情報のモニタ用リストを転送し、移動端末MTから測定報告を受信する。
【0081】
無線インターフェース206は、ダウンリンクチャネルにおいて転送される信号の送信電力を第1の所定の値まで低減する手段と、ダウンリンクチャネルにおいて転送される信号の送信電力を第2の所定の値まで増加させる手段とを備える。
【0082】
無線受信機207は、少なくとも1つの移動端末MTによって転送される信号を検出する手段を備える。
【0083】
本発明の第1の実現形態では、少なくとも1つの移動端末MTによって転送される信号は、アップリンクチャネルを通して転送されるメッセージを表す信号であるので、無線受信機207は無線インターフェース206の一部である。
【0084】
本発明の第2の実現形態では、無線受信機207は、所定の署名のような所定の情報を検出する手段を備えており、この情報は無線セルラー通信システムのアップリンクチャネルのために用いられる周波数帯とは異なる周波数帯において変調される。一例であって決して限定はしないが、所定の署名は、ブルートゥース、WiFi、WiMAX、又はZigBee信号によって搬送される。
【0085】
本発明の第3の実現形態では、無線受信機207は、電波、光波のいずれかによって伝搬する所定の符号化されたエネルギーパルス列のような所定の情報を検出する手段を備える。一例であって決して限定はしないが、所定の符号化されたエネルギーパルス列は、赤外線(IrDa)光信号、又は超広帯域(UWB)無線信号である。
【0086】
図3は、本発明による移動端末装置のブロック図である。
【0087】
各移動端末MTは、例えば、バス301によって互いに接続される構成要素、並びに図5において開示されるようなプログラムによって制御されるプロセッサ300に基づくアーキテクチャを有する。
【0088】
バス301は、プロセッサ300を、読出し専用メモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、マンマシンインターフェース304、無線インターフェース306、及び無線送信機307にリンクする。
【0089】
メモリ303はレジスタを含み、このレジスタは、変数、及び図5において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を受け取るように意図されている。
【0090】
プロセッサ300は、マンマシンインターフェース304、無線インターフェース306、及び無線送信機307の動作を制御する。
【0091】
読出し専用メモリ302は、図5において開示されるようなアルゴリズムに関連するプログラムの命令を含み、それらの命令は移動端末MTの電源が投入されたときに、ランダムアクセスメモリ503に転送される。
【0092】
無線インターフェース306は、ダウンリンクチャネルを通して基地局BSによって転送される信号を検出、測定、及び受信する手段と、無線セルラー通信システムのアップリンクチャネルを通して信号又はメッセージを送信する手段とを備える。
【0093】
無線送信機307は、信号を転送する手段を備える。
【0094】
本発明の第1の実現形態では、移動端末MTによって転送される信号は、アップリンクチャネルを通して転送されるメッセージを表す信号であるので、無線送信機307は無線インターフェース306の一部である。
【0095】
本発明の第2の実現形態では、無線送信機307は、所定の署名のような所定の信号を生成する手段を備えており、この信号は無線セルラー通信システムのアップリンクチャネルのために用いられる周波数帯とは異なる周波数帯において変調される。一例であって決して限定はしないが、所定の署名は、ブルートゥース、WiFi、WiMAX、又はZigBee信号によって搬送される。
【0096】
本発明の第3の実現形態では、無線送信機307は、電波、光波のいずれかによって伝搬する所定の符号化されたエネルギーパルス列のような所定の信号を生成する手段を備える。一例であって決して限定はしないが、所定の符号化されたエネルギーパルス列は、赤外線(IrDa)光信号、又は超広帯域(UWB)無線信号である。
【0097】
図4a及び図4bは、本発明による基地局によって実行されるアルゴリズムを示す。
【0098】
より正確には、本アルゴリズムは、基地局BSのプロセッサ200によって実行される。一例として、本アルゴリズムは、基地局BS1のプロセッサ200によって実行されるものとして開示される。
【0099】
ステップ400において、基地局BS1のプロセッサ200は、少なくとも1つの移動端末MTによって転送される所定の信号を、無線受信機207が検出したか否かを調べる。
【0100】
少なくとも1つの移動端末によって転送される所定の信号は、所定の持続時間にわたって平均化されるか又は平均化されない受信信号の電力が、所定の閾値よりも高いときに検出される。
【0101】
所定の信号は、移動端末MTの存在を示す所定の信号か、又は、移動端末MTが別の基地局BSを通して離れた通信デバイスと通信しているときにアップリンクチャネルにおいて移動端末MTによって転送される従来のメッセージを表す信号である。
【0102】
移動端末MTによって転送される所定の信号が検出されない場合には、プロセッサ200はステップS400に戻り、移動端末MTによって転送される所定の信号が検出されるのを待つ。
【0103】
次のステップS401において、プロセッサ200は、RAMメモリ203から接続パラメータ及びセキュリティパラメータを読み出し、ネットワークインターフェース204に対して、読み出されたパラメータでサーバ10との通信リンクを確立するように命令する。この通信リンクは、図1において251で示される。
【0104】
次のステップS402において、プロセッサ200は、それに応答して、セル151に隣接するセルを管理すると共に、自身が管理している各セル15に対して現時点において第2の送信電力値又は第2の送信電力値と概ね同じ送信電力値で信号を転送している基地局BSを識別する情報を含むリストを受信する。
【0105】
図1の例によれば、このリストは、基地局BS2及びBS3を識別する情報を含む。基地局BS4及びBS5はサーバ10にリンクしておらず、管理している各セル154及び155に対して第1の送信電力値又は概ね第1の送信電力値で信号又はメッセージを転送している。そのため、このリストは基地局BS4及びBS5の識別子を含まない。
【0106】
本発明の1つの実施態様では、このステップにおいて、プロセッサ200は、受信したリストにおいて識別される基地局BSとの通信リンク毎の接続パラメータ及びセキュリティパラメータも受信し、その接続パラメータ及びセキュリティパラメータをRAMメモリ203に格納する。本発明の別の実施態様では、これらのパラメータは、ステップS400の前にRAMメモリ203に格納される。
【0107】
次のステップS403において、プロセッサ200は、RAMメモリ203から接続パラメータ及びセキュリティパラメータを読み出す。そして、ネットワークインターフェース204に対して、受信したリストにおいて識別される基地局BSとの通信リンクを対応するパラメータを用いて確立するように命令する。図1において352で示される通信リンクが基地局BS1とBS2との間に確立され、図1において353で示される通信リンクが基地局BS1とBS3との間に確立される。
【0108】
そのような通信リンクを通して、基地局BS2及びBS3は、自身が管理しているセル15を識別する情報及び/又はハンドオーバ命令メッセージを転送する。
【0109】
次のステップS404において、プロセッサ200は、無線インターフェース206に対して、ダウンリンクチャネルにおいて転送される信号の送信電力を第2の所定の値まで増加させる手段を起動するように命令する。
【0110】
信号の送信電力の増加は徐々に又は瞬時に行われ、第2の所定の値はダウンリンクチャネルにおいて転送される信号の名目的な送信電力であり、一例として約1ミリワットである。
【0111】
次のステップS405において、プロセッサ200はタイマを起動する。
【0112】
次のステップS406において、プロセッサ200は可変カウンタを0値に設定する。
【0113】
次のステップS407において、プロセッサ200は、ステップS405において起動されたタイマが満了したか否かを調べる。
【0114】
タイマが満了している場合には、プロセッサ200はステップS408に進む。そうでない場合には、プロセッサ200はステップS411に進む。
【0115】
ステップS411において、プロセッサ200は、無線受信機207が少なくとも1つの移動端末MTによって転送される(ステップS400において開示されたような)所定の信号を検出したか否かを調べる。
【0116】
無線受信機207が少なくとも1つの移動端末MTによって転送される所定の信号を検出していない場合には、プロセッサ200はステップS413に進む。無線受信機207が少なくとも1つの移動端末MTによって転送される所定の信号を検出している場合には、プロセッサ200はステップS412に進む。
【0117】
ステップS412において、プロセッサ200は、ステップS406において起動されたタイマを停止する。
【0118】
次のステップS413において、プロセッサ200は、無線インターフェース206又はネットワークインターフェース204を通して、メッセージが受信されるか否かを調べる。
【0119】
メッセージが受信される場合には、プロセッサ200は図4bのステップS427に進む。そうでない場合には、プロセッサ200は、既に説明されているステップS407に戻る。
【0120】
ステップS408において、プロセッサ200は、無線インターフェースに対して、ダウンリンクチャネルにおける信号の送信電力を第1の所定の値まで低減するように命令する。
【0121】
信号の送信電力の減少は徐々に又は瞬時に行われ、第1の所定の値は、0値に等しいか又はダウンリンクチャネルにおいて転送される信号の第2の送信電力の50%以下である。
【0122】
次のステップS409において、プロセッサ200は、ネットワークインターフェース204に対して、サーバ10との通信リンク251を解放するように命令する。通信リンク251のために用いられる接続パラメータ及びセキュリティパラメータは、RAMメモリ203内に保持される。
【0123】
次のステップS410において、プロセッサ200は、ネットワークインターフェース204に対して、基地局BS1とBS2との間に確立された通信リンク352、及び基地局BS1とBS3との間に確立された通信リンク353を解放するように命令する。通信リンク352及び353のために用いられる接続パラメータ及びセキュリティパラメータは、RAMメモリ203内に保持されることが好ましい。
【0124】
その後、プロセッサ200はステップS400に戻る。
【0125】
ステップS427において、プロセッサ200は、ステップS413において受信したメッセージが、別の基地局BSから受信されるハンドオーバ命令メッセージであるか否かを調べる。
【0126】
受信したメッセージが別の基地局BSから受信されるハンドオーバ命令メッセージである場合には、プロセッサ200はステップS428に進む。そうでない場合には、プロセッサ200はステップS431に進む。
【0127】
ステップS428において、プロセッサ200はハンドオーバに進む、すなわち、基地局BS1を通して移動端末MTの通信を継続することができるようにする。
【0128】
次のステップS428において、プロセッサ200は、可変カウンタをインクリメントする。
【0129】
次のステップS430において、プロセッサ200は、ステップS406において起動されたタイマを停止し、ステップS413に戻る。
【0130】
ステップS431において、プロセッサ200は、ステップS413において受信したメッセージが、移動端末MTが呼出通知を受信するのに応答して、移動端末MTによって転送される肯定応答メッセージのような呼確立命令であるか、又は移動端末MTによって転送される呼確立メッセージであるかを調べる。
【0131】
受信したメッセージが呼確立命令である場合には、プロセッサ200はステップS432に進む。そうでない場合には、プロセッサ200はステップS435に進む。
【0132】
ステップS432において、プロセッサ200は呼確立に進む。基地局BS1の無線インターフェース206及びネットワークインターフェース204を通して、新たな通信が転送される。
【0133】
次のステップS433において、プロセッサ200は、可変カウンタをインクリメントする。
【0134】
次のステップS434において、プロセッサ200は、ステップS405又はS440において起動されたタイマを停止し、ステップS413に戻る。
【0135】
ステップS435において、プロセッサ200は、ステップS413において受信したメッセージが、無線インターフェース206を通して受信された測定報告メッセージであるか否かを調べる。
【0136】
各基地局BSは、自身が管理する各セル15に、他のセル15を識別する情報を含むモニタ用リストを転送する。移動端末MTは、セル15において転送される信号をモニタし、自身が位置するセル15を管理する基地局BSに測定報告を送信する。
【0137】
受信したメッセージが測定報告メッセージである場合には、プロセッサ200はステップS436に進む。そうでない場合には、プロセッサ200はステップS441に進む。
【0138】
ステップS436において、プロセッサ200は、その移動端末MTにハンドオーバが必要とされるか否かを調べる。すなわち、その測定報告が、基地局BS1によって送出されて移動端末MTによって受信される電力レベルよりも高い受信電力レベルにおいて移動端末MTによって受信される信号を送出する別の基地局BSを通して、その移動端末MTが進行中の通信を継続すべきであることを指示するか否かを調べる。
【0139】
ハンドオーバが必要とされる場合には、プロセッサ200はステップS437に進む。そうでない場合には、プロセッサ200はステップS441に進む。
【0140】
ステップS437において、プロセッサ200はハンドオーバに進む。すなわち、他の基地局BSにハンドオーバ命令メッセージを送信し、他の基地局BSを通して移動端末MTの通信を継続することができるようにする。
【0141】
次のステップS438において、プロセッサ200は、可変カウンタをデクリメントする。
【0142】
次のステップS439において、プロセッサ200は、可変カウンタが0値に等しいか否かを調べる。
【0143】
可変カウンタが0値に等しい場合には、プロセッサ200はステップS413に進む。そうでない場合には、プロセッサ200はステップS440に進む。
【0144】
ステップS440において、プロセッサ200はタイマを起動し、図4aのステップS407に戻る。
【0145】
ステップS441において、プロセッサ200は、受信したメッセージが、進行中の通信が解放されることを通知するメッセージであるか否かを調べる。
【0146】
受信したメッセージが進行中の通信が解放されることを通知するメッセージである場合には、プロセッサ200はステップS442に進む。そうでない場合には、プロセッサ200はステップS444に進む。
【0147】
ステップS442において、プロセッサ200は、進行中の通信のために用いられている資源の解放に進む。
【0148】
次のステップS443において、プロセッサ200は、可変カウンタをデクリメントし、既に説明されているステップS439に進む。
【0149】
ステップS444において、プロセッサ200は、ステップS413において受信したメッセージが、管理している各セル15内に信号又はメッセージを現在転送している隣接する基地局BSを識別する情報を含むリストの更新を表すメッセージであるか否かを調べる。
【0150】
そのメッセージは、一例として、2つの基地局BS間に確立されるリンクの解放を指示するメッセージであるか、又は、2つの基地局BS間に確立されるリンクの確立を指示するメッセージである。
【0151】
受信したメッセージが、リストの更新を表すメッセージである場合には、プロセッサ200はステップS445に進む。そうでない場合には、プロセッサ200はステップS413に戻る。
【0152】
ステップS445において、プロセッサ200は、管理している各セル15内に信号又はメッセージを現在転送している隣接する基地局BSを識別する情報を含むリストを変更する。
【0153】
次のステップS446において、プロセッサ200は、他のセル15を識別する情報を含むモニタ用リストを変更し、ステップS413に戻る。
【0154】
図5は、本発明による移動端末によって実行されるアルゴリズムを示す。
【0155】
より正確には、本アルゴリズムは、移動端末MTのプロセッサ300によって実行される。
【0156】
ステップS500において、移動端末MTはアイドルモードにあり、プロセッサ300は、無線インターフェース306に対してセル再選択手順を命令する。セル再選択手順は、少なくとも1つの周波数帯内へ転送される少なくとも1つのセル15を識別する信号を検出するために、少なくとも1つの周波数帯を走査することから成る。このステップにおいて、プロセッサ300は、移動端末MTをカバーする検出される信号電力が最も強いことによって識別されるセルのような、最良のセル15を識別する。
【0157】
次のステップS501において、プロセッサ300は、移動端末MTがセルラー無線通信ネットワークのアクセス範囲外にあるか否かを調べる。基地局BSによって転送される信号が1つも検出されないときに、移動端末MTは無線セルラー通信ネットワークのアクセス範囲外にある。その信号は、一例であって限定はしないが、無線セルラー通信ネットワークのセル15を識別する信号である。限定はしないが、セル15を識別する信号は、信号の受信電力が所定の閾値未満であるときには検出されないことが好ましい。
【0158】
ステップS501において、移動端末MTがアクセス範囲外にある場合には、プロセッサ300はステップS502に進む。ステップS501において、移動端末MTがアクセス範囲外でない場合には、プロセッサ300はステップS503に進む。
【0159】
ステップS502において、プロセッサ300は、無線送信機307に対して所定の信号の転送を開始するように命令する。
【0160】
限定はしないが、所定の信号は周期的に転送されることが好ましい。
【0161】
本発明の第1の実現形態では、少なくとも1つの移動端末MTによって転送される所定の信号は、アップリンクチャネルを通して転送される信号である。
【0162】
本発明の第2の実現形態では、所定の信号は所定の署名である。この署名は、無線セルラー通信システムのアップリンクチャネルのために用いられる周波数帯とは異なる周波数帯において変調される。一例であって決して限定はしないが、所定の署名は、ブルートゥース、WiFi、WiMAX、又はZigBee信号によって搬送される。
【0163】
本発明の第3の実現形態では、所定の信号は、電波、光波のいずれかによって伝搬する所定の符号化されたエネルギーパルス列である。一例であって決して限定はしないが、所定の符号化されたエネルギーパルス列は、赤外線(IrDa)光信号、又は超広帯域(UWB)無線信号である。
【0164】
所定の信号の送信の周期は、図4aのステップS407において開示される基地局BSのタイマの満了時間よりも短いことが好ましい。
【0165】
その後、プロセッサ300はステップS500に戻る。
【0166】
ステップS503において、プロセッサ300は、無線送信機307に対して所定の信号を周期的に転送するのを中止するように命令し、ステップS504に進む。
【0167】
次のステップS504において、プロセッサ300は、無線インターフェース306に対してステップS500において検出されたセル15に留まるように命令する。ステップS500において検出されたセル15が、移動端末MTのトラッキングエリアに属さない新たに検出されたセル15である場合には、プロセッサ300は、無線インターフェース306を通してトラッキングエリア更新メッセージを転送するように命令し、新たなトラッキングエリアが移動端末MTに割り当てられる肯定応答メッセージを受信する。
【0168】
次のステップS505において、プロセッサ300は、新たな呼を確立すべきであるか否かを調べる。マンマシンインターフェースからの命令を受けたときには、新たな呼が確立されなければならない。そのような命令は、着呼の発生を反映してサーバ10から受信される呼出通知メッセージを無線インターフェース306を通して受信した後に受信されるか、又は、移動端末MTのユーザが新たな発呼をトリガしようとするときに受信される。
【0169】
ステップS505において、新たな呼を確立すべきである場合には、プロセッサ300はステップS506に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS500に戻る。
【0170】
ステップS506において、プロセッサ300は、無線インターフェース306に対して呼確立命令メッセージを送信すると共に、ステップS500において検出されたセル内で新たな呼を確立するように命令する。移動端末MTは稼動モードに入る。
【0171】
次のステップS507において、プロセッサ300は、ステップS506又はS511において開示されるように、呼が経由している基地局BSに隣接するセル15、及び呼が経由している基地局BSのセル15に関する測定報告を、無線インターフェース306から入手する。
【0172】
次のステップS508において、プロセッサ300は、移動イベントが発生したか否かを調べる。移動イベントは、ステップS507において取得した測定報告が、隣接するセル15の受信信号レベルが、その呼が経由している基地局BSのセル15の受信信号レベルよりも高くなる又は所定の閾値よりも高くなることを示すときに生じる。或いは、移働イベントは、呼が経由している基地局BSのセル15の信号レベルが、他の所定の閾値よりも小さくなる場合に生じる。
【0173】
ステップS508において、移動イベントが発生した場合には、プロセッサ300はステップS509に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS510に進む。
【0174】
ステップS509において、プロセッサ300は、無線インターフェース306に対して、その呼が経由している基地局BSに測定報告メッセージを送信するように命令する。測定報告メッセージは、ステップS507において得られた測定情報、及び/又はステップS508において検出された移動イベントの識別証明、及び/又はステップS508において検出された移動イベントに関与するセル15の識別証明のうちの少なくとも一部を含む。
【0175】
次のステップS510において、プロセッサ300は、無線インターフェース306を通してハンドオーバ命令メッセージが受信されたか否かを調べる。ハンドオーバ命令メッセージは、無線セルラー通信ネットワークの別の基地局BSを通して呼を継続するために、その呼が経由している基地局15によって発せられる命令を表す。
【0176】
ステップS510において、ハンドオーバ命令メッセージが受信される場合には、プロセッサ300はステップS511に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS512に進む。
【0177】
ステップS511において、プロセッサ300は、無線インターフェース306に対して、ステップS510において受信したハンドオーバ命令メッセージで指示されるセル15を管理する基地局BSを通して呼を継続するように命令する。その呼が、ステップS510において受信したハンドオーバ命令メッセージで指示されるセル15を管理する基地局BSを経由するようになると、プロセッサ300はステップS512に進む。
【0178】
ステップS512において、プロセッサ300は、その呼を終了すべきであるか否かを調べる。プロセッサ300がマンマシンインターフェース304からの命令を受けたとき、又は呼を搬送する信号の品質が不十分である場合、又は無線インターフェース306からその呼を終了すべきであるというメッセージが受信される場合、呼を終了すべきである。
【0179】
ステップS512において、呼を終了すべきである場合には、プロセッサ300はステップS513に進む。そうでない場合には、プロセッサ300はステップS507に戻る。
【0180】
ステップS513において、プロセッサ300は、無線インターフェース306に対して通信呼を終了するように命令し、ステップS500に進んでアイドルモードに入る。
【0181】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の実施形態に対して、数多くの変更を加えることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の基地局及び1つのサーバから構成される無線セルラー通信ネットワークの第1の基地局の動作を制御する方法であって、
該方法は、前記第1の基地局によって実行され、
− 前記第1の基地局によって管理されるセルにおいて前記第1の基地局によって転送される信号の送信電力を第1の送信電力値に設定するステップと、
− 前記無線セルラー通信ネットワークの移動端末によって転送される所定の信号を検出するステップと、
前記移動端末によって転送される所定の信号が検出される場合に、
− 前記サーバとの通信リンクを確立するステップと、
− 前記第1の基地局によって管理されるセルに隣接するセルを管理すると共に、自身が管理するセルにおいて前記第1の送信電力値よりも高い送信電力で信号を転送している各第2の基地局を識別する情報を、前記サーバから取得するステップと、
− 前記各第2の基地局と通信リンクを確立するステップと、
− 前記第1の基地局によって管理されるセルにおいて前記第1の基地局によって転送される信号の送信電力を、前記第1の送信電力よりも高い第2の送信電力値に設定するステップと
を含むことを特徴とする、複数の基地局及び1つのサーバから構成される無線セルラー通信ネットワークの第1の基地局の動作を制御する方法。
【請求項2】
前記方法は、前記第1の基地局によって管理されるセルにおいて前記第1の基地局によって転送される信号の送信電力が、前記第1の送信電力よりも高い送信電力値に設定されるときに実行される以下のステップ、
− タイマを起動するステップと、
− 少なくとも1つの別の所定の信号が、前記無線セルラー通信ネットワークの前記移動端末又は別の移動端末によって転送されるか否かを調べるステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
− 前記第1の基地局を通して少なくとも1つの離れた通信デバイスと通信している移動端末の数をモニタするステップと、
− 前記第1の基地局を通して1つの離れた通信デバイスと通信している移動端末が存在しない場合に、前記タイマを起動するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
− 少なくとも1つの別の所定の信号が前記無線セルラー通信ネットワークの前記移動端末若しくは別の移動端末によって転送されている場合に、又は、少なくとも1つの移動端末が前記第1の基地局を通して少なくとも1つの離れた通信デバイスと通信している場合に、前記タイマの動作を停止するステップ
をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
− 前記タイマが満了しているか否かを調べるステップと、
前記タイマが満了している場合に、
− 前記サーバとの前記通信リンク及び前記各第2の基地局との前記通信リンクを解放するステップと、
− 前記第1の基地局によって管理されるセルにおいて前記第1の基地局によって転送される信号の送信電力を前記第1の送信電力値に設定するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の送信電力値は0値に等しいことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の基地局は、前記第1の基地局によって管理されるセルに隣接すると共により高い送信電力で信号が転送されるセルを識別する情報を含むリストを、前記第1の基地局によって管理されるセルにおいて転送することを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の信号は周期的に転送されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の信号は、無線セルラー通信システムのアップリンクメッセージを表すことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記所定の信号は所定の署名であり、該署名は、前記移動端末から前記基地局にメッセージを送信するために用いられる周波数帯とは異なる周波数帯において変調されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記所定の信号は、電波又は光波によって伝搬する所定の符号化されたエネルギーパルス列であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
無線セルラー通信ネットワークの少なくとも1つの基地局によって移動端末を検出することができるようにする方法であって、
該方法は、前記移動端末によって実行され、
− 1つの基地局によって転送される信号が検出されるか否かを調べるステップと、
− 前記信号が検出されない場合に、所定の信号を転送するステップと
を含むことを特徴とする、無線セルラー通信ネットワークの少なくとも1つの基地局によって移動端末を検出することができるようにする方法。
【請求項13】
前記所定の信号は周期的に転送されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記所定の信号は、無線セルラー通信システムのアップリンクメッセージを表すことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記所定の信号は所定の署名であり、該署名は、前記移動端末から前記基地局にメッセージを送信するために用いられる周波数帯とは異なる周波数帯において変調されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項16】
前記所定の信号は、電波又は光波によって伝搬する所定の符号化されたエネルギーパルス列であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項17】
− 1つの前記基地局によって転送される信号が検出されるか否かを調べるステップと、
− 前記信号が検出される場合に、前記所定の信号を転送するのを中止するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項12〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
複数の基地局及び1つのサーバから構成される無線セルラー通信ネットワークの第1の基地局の動作を制御するための装置であって、
該装置は、前記第1の基地局に収容され、
− 前記第1の基地局によって管理されるセルにおいて前記第1の基地局によって転送される信号の送信電力を第1の送信電力値に設定する手段と、
− 前記無線セルラー通信ネットワークの移動端末によって転送される所定の信号を検出する手段と、
− 前記サーバとの通信リンクを確立する手段と、
− 前記第1の基地局によって管理されるセルに隣接するセルを管理すると共に、自身が管理するセルにおいて前記第1の送信電力値よりも高い送信電力で信号を転送している各第2の基地局を識別する情報を、前記サーバから入手する手段と、
− 前記各第2の基地局と通信リンクを確立する手段と、
− 前記第1の基地局によって管理されるセルにおいて前記第1の基地局によって転送される信号の送信電力を、前記第1の送信電力よりも高い第2の送信電力値に設定する手段と
を備えることを特徴とする、複数の基地局及び1つのサーバから構成される無線セルラー通信ネットワークの第1の基地局の動作を制御するための装置。
【請求項19】
無線セルラー通信ネットワークの少なくとも1つの基地局によって移動端末を検出することができるようにするための装置であって、
該装置は、前記移動端末に収容され、
− 1つの基地局によって転送される信号が検出されるか否かを調べる手段と、
− 前記信号が検出されない場合に、所定の信号を転送する手段と
を備えることを特徴とする、無線セルラー通信ネットワークの少なくとも1つの基地局によって移動端末を検出することができるようにするための装置。
【請求項20】
プログラム可能デバイス内に直接ロード可能なコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムが前記プログラム可能デバイスにおいて実行されるときに、請求項1〜11に記載の方法のステップを実施するための命令又はコードの一部を含む、コンピュータプログラム。
【請求項21】
プログラム可能デバイス内に直接ロード可能なコンピュータプログラムであって、該コンピュータプログラムが前記プログラム可能デバイスにおいて実行されるときに、請求項12〜17に記載の方法のステップを実施するための命令又はコードの一部を含む、コンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−525699(P2010−525699A)
【公表日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504520(P2010−504520)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003207
【国際公開番号】WO2008/128752
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.ZIGBEE
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】