説明

無線タグ読取書込装置

【課題】物品を収納する読取書込ボックス内で、物品の無線タグ部分が、常に、読取りおよび書込み各アンテナの正常反応エリア内に位置する無線タグ読取書込装置を提供する。
【解決手段】側壁面の一部に読取りおよび書込みアンテナが設置され、且つ、開口部11から無線タグ付き物品が収納される物品収納ボックス10を収納する無線タグ読取書込装置16において、側壁面に設けた固定ネジ12を取り付ける固定ネジ取付け部13と回転軸15を挿入させる軸受孔14とが具備されている物品収納ボックス10と、外部側壁面に固定ネジ取付け部13がスライドする傾斜スライド溝18と、回転軸15が挿入される挿入穴20とが具備されている無線タグ読取書込装置16とを有し、この無線タグ読取書込装置16の収納区画内で、物品収納ボックス10が回転軸15を中心に回転傾斜できるように、物品収納ボックス10を無線タグ読取書込装置16の収納区画内に取付けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読取りアンテナを装置上面に、また、書込みアンテナを装置背部に設置して、RFID(以下、無線タグと呼ぶ)付き物品から管理情報を読み取りかつ書き込む無線タグ読取書込装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の無線タグ読取書込装置は、図4に示したように、無線タグ読取書込装置1が複数の無線タグ読取書込ボックス収納部2に区分けされていて、この無線タグ読取書込ボックス収納部2に、図5(後記)のような一端に無線タグ3が貼付された物品、例えば、郵便物4を収納する読取書込ボックス5を、収納させていたが、その無線タグ読取書込ボックス収納部2は、下記特許文献1に記載されているように、底面が水平面になっているので、読取書込ボックス5もその底面が水平状態のまま無線タグ読取書込ボックス収納部2に収納設置されていた。
【特許文献1】特開2004−43049号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのために、読取書込ボックス5に無線タグ3付きの郵便物4を複数部収納すると、無線タグ3の部分が重なり、その重なった無線タグ3の部分の厚みや、或いは、郵便内容物の厚みなどから、郵便物4が傾いた状態になり、それが原因で、郵便物4が手前側、すなわち、郵便物4を挿入する開口部6側に滑り出して、側壁の一部に取付けられている読取りアンテナ7および書込みアンテナ8それぞれの正常読取り書込み可能エリア9(以下、正常反応エリア9と呼ぶ)から外れて、無線タグ3による位置情報の読取りや無線タグ3への管理情報の書込みなどが不可能になるという問題があった。
【0004】
この問題点を分り易く示したのが前記した図5であるが、同図においては、郵便物4の無線タグ3部分の重なりが原因で、郵便物4の上の2枚が開口部6側に滑り出て、無線タグ3の部分が読取りアンテナ7および書込みアンテナ8の正常反応エリア9から外れている状態が示されている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、郵便物等の物品を収納する読取書込ボックス内で、郵便物の無線タグ部分が、常に、読取りおよび書込み各アンテナの正常反応エリア内に位置する無線タグ読取書込装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の無線タグ読取書込装置は、側壁面の一部に読取りアンテナと書込みアンテナとが設置され、且つ、開口部から無線タグ付き物品が収納される読取書込ボックスを、収納する無線タグ読取書込装置において、開口部付近の側壁面に設けた固定ネジを取り付ける固定ネジ取付け部と細長い回転中心軸棒を貫通挿入させる挿入孔とが具備されている読取書込ボックスと、外部側壁面の収納口付近に前記固定ネジ取付け部がスライドする傾斜スライド溝と、前記回転中心軸棒が貫通挿入される挿入穴とが具備されている無線タグ読取書込装置とを有し、この無線タグ読取書込装置の収納区画内で、前記読取書込ボックスが前記回転中心軸棒を中心に回転傾斜できるように、前記読取書込ボックスを前記無線タグ読取書込装置の収納区画内に取付けたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の無線タグ読取書込装置においては、前記傾斜スライド溝は弓型形状であることを特徴とするものである。
【0008】
さらに、本発明の無線タグ読取書込装置においては、前記固定ネジ取付け部は突起状に形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、読取書込ボックスの傾きが自由に調整できるので、物品の内容物や無線タグ部の厚み、および物品の堆積量などに関係なく、物品の開口部への滑り出しがなくなり、したがって、読取書込ボックス内において、物品に貼付されている無線タグの位置が、常に、読取りおよび書込み各アンテナの正常反応エリア内に保持されるので、無線タグによる位置情報の読取りや、無線タグへの管理情報の書込みが、常に、正確に行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態につき、図面を用いて詳細に説明する。以下の実施形態においては、無線タグが貼付される物品として、封筒のような郵便物を対象として説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、物品、特に、シート状の物品であればどのようなものでも適用可能である。
【0011】
図1は、本発明による無線タグ読取書込装置と読取書込ボックスとの取付け構成関係を示した斜視図、図2は、無線タグ読取書込装置の傾斜スライド溝と読取書込ボックスの固定ネジとの位置関係を示した説明図で、同図(A)は読取書込ボックスが水平状態の概略側面図、同図(B)は読取書込ボックスを傾斜させた状態の概略側面図、図3は、本発明による傾いた読取書込ボックス内に無線タグ付きの郵便物が正常な状態で収納されている様子を側面から示した説明図である。
【0012】
なお、図2乃至図3において、図1と同一構成部分には同一符号を付して示し、その構成部分の詳細な説明は省略して、以下では図1と相違する構成部分についてのみ主として説明する。
【0013】
図1において、郵便物収納ボックス10の開口部11付近の側壁面底部には固定ネジ12が螺合するネジ孔13が固定されている。また、郵便物収納ボックス10の開口部11と反対側の端部における左右側壁面の対向位置には軸受孔14があけられており、それらの軸受孔14には細長い回転軸15の両端部が挿入され、軸受けされている。
【0014】
一方、無線タグ読取書込装置16には、その側壁面17に、前記ネジ孔13に螺合する固定ネジ12がスライドする弧状のスライド溝18が、郵便物収納ボックス10の各収納区画19に対応して形成されている。そして無線タグ読取書込装置16の側壁面17の各収納区画19の奥側の底部には、前記回転軸15を挿入する第2の軸受孔20があけられている。
【0015】
そして、郵便物収納ボックス10を無線タグ読取書込装置16の収納区画毎に収納させてから、回転軸15を中心軸挿入孔20から郵便物収納ボックス10の軸受け孔14を貫通させて挿入し、郵便物収納ボックス10が無線タグ読取書込装置16の収納区画19内で回転軸15を中心として回転するように、軸ネジ21を回転軸15にあけられたネジ孔22に締め付けることにより、取り付ける。
【0016】
同時に、傾斜スライド溝18から外部に突起させた固定ネジ12をネジ孔13に螺合締め付けて固定する。
【0017】
以上の無線タグ読取書込装置16への郵便物収納ボックス10の取り付けを、設けられた収納区画19全てについて行う。
【0018】
図2(A)は、郵便物収納ボックス10が水平状態である場合のスライド溝18と固定ネジ12との位置関係を示しているが、この場合、固定ネジ12はスライド溝18の最下端に位置している。
【0019】
一方、同図(B)は、郵便物収納ボックス10が最大傾斜している状態で、固定ネジ12が傾斜スライド溝18の最上端に位置している。
【0020】
また、図3には、郵便物収納ボックス10にある傾きを与えることによって、無線タグ23が貼付されている複数の郵便物24が、郵便物収納ボックス10内において、開口部11側に滑り出さない状態で収納されており、その無線タグ23が書込アンテナ26の正常書込みエリア27内に位置している状態が示されている。
【0021】
なお、郵便物24の収納位置を読取る読取アンテナ25は、郵便物収納ボックス10の先端部上面に、また、郵便物24の配布先や重量などの管理情報を書込む書込アンテナ26は、郵便物収納ボックス10の先端正面に、それぞれ設置されている。
【0022】
さらに、郵便物収納ボックス10の内部においては、正常書込みエリア27の開口部11側の上下左右壁面に電波吸収材28が貼付されており、開口部11方向への電波の反射や漏れを防ぐと共に、隣接する上下左右の郵便物収納ボックス10との相互電波干渉が防止されるように構成されている。
【0023】
このような構成において、郵便物の区分け作業員は、無線タグ23(図3)が添付された郵便物24(図3)を宛先別に、順次、郵便物収納ボックス10に、その開口部11から収納していく。
【0024】
この時、区分け作業員は、郵便内容物や無線タグ23の厚さ、および郵便物24(図3)の堆積量などから、収納される郵便物24の堆積状態を観察して、図3のように、無線タグ23が書込みアンテナ26の正常書込みエリア27内に位置するように、例えば、固定ネジ12の頭を持って、郵便物収納ボックス10の傾きを調整しながら、郵便物24の区分け作業を行う。
【0025】
このように、郵便物収納ボックス10内において、無線タグ23の位置が、常に、書込みアンテナ26の正常書込みエリア27内に保持されているので、無線タグ23からの位置情報の読取りや、無線タグ23への管理情報の書込みが、常に、正確に実行される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による無線タグ読取書込装置と読取書込ボックスとの取付け構成関係を示した斜視図である。
【図2】本発明による無線タグ読取書込装置の傾斜スライド溝と読取書込ボックスの固定ネジとの位置関係を示した説明図で、同図(A)は読取書込ボックスが水平状態の概略側面図、同図(B)は読取書込ボックスを傾斜させた状態の概略側面図である。
【図3】本発明による傾いた読取書込ボックス内に無線タグ付きの郵便物が正常な状態で収納されている様子を側面から示した説明図である。
【図4】従来の無線タグ読取書込装置を示した斜視図である。
【図5】従来の読取書込ボックスを側面から示した説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1,16 無線タグ読取書込装置
2 読取書込ボックス収納部
3,23 無線タグ
4,24 郵便物
5,10 読取書込ボックス
6,11 開口部
7,25 読取りアンテナ
8,26 書込みアンテナ
9,27 正常書込みエリア
12 固定ネジ
13 ネジ孔
14 軸受孔
15 回転軸
17 側壁面
18 スライド溝
19 収納区画
20 中心軸挿入孔
21 軸ネジ
22 第2のネジ孔
28 電波吸収材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁面の一部に読取りアンテナと書込みアンテナとが設置され、且つ、開口部から無線タグ付き物品が収納される読取書込ボックスを収納する無線タグ読取書込装置において、開口部付近の側壁面に設けた固定ネジを取り付ける固定ネジ取付け部と細長い回転中心軸棒を貫通挿入させる挿入孔とが具備されている読取書込ボックスと、外部側壁面の収納口付近に前記固定ネジ取付け部がスライドする傾斜スライド溝と、前記回転中心軸棒が貫通挿入される挿入穴とが具備されている無線タグ読取書込装置とを有し、この無線タグ読取書込装置の収納区画内で、前記読取書込ボックスが前記回転中心軸棒を中心に回転傾斜できるように、前記読取書込ボックスを前記無線タグ読取書込装置の収納区画内に取付けたことを特徴とする無線タグ読取書込装置。
【請求項2】
前記傾斜スライド溝は弓型形状であることを特徴とする請求項1記載の無線タグ読取書込装置。
【請求項3】
前記固定ネジ取付け部は突起状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の無線タグ読取書込装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−272056(P2006−272056A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−91393(P2005−91393)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】