説明

無線中継装置および無線通信方法

【課題】サービスノードとドナーノードとの間の伝搬損失に基づいて、通常タイミングで動作させるか反転タイミングで動作させるかを選択することができる無線中継装置および無線通信方法を提供することである。
【解決手段】本発明に係る無線中継装置は、端末側通信部32からの受信信号についての基地局側通信部22における受信電力、および、送信電力情報を検出する基地局側制御部24と、端末側通信部32の送受信タイミングを、通常タイミングまたは反転タイミングに設定する端末側制御部34とを備え、端末側制御部34は、該受信電力および該送信電力情報に基づいて端末側通信部32から基地局側通信部22への伝搬損失を算出し、該伝搬損失に基づいて端末側通信部32の送受信タイミングを通常タイミングまたは反転タイミングに設定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線中継装置および無線通信方法に関し、特に、TDD(Time Division Duplex)方式を採用する無線通信システムにおける無線中継装置および無線通信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線端末が無線基地局と通信するためには、無線基地局からの無線電波が届く範囲(サービスエリア)に無線端末が位置する必要がある。しかし、山岳地帯や高層ビル等が建ち並ぶ市街地には障害物が多いため無線電波が届きにくい領域が存在する。また、屋外に設置された無線基地局からは、電波が届かない領域(例えば、建物の内部や地下)が多く存在する。特に、IEEE標準規格802.16eを基に規格化されたWiMAX(登録商標)(WiMAX:Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の高速無線通信方式においては、2.5GHz以上の周波数帯が使用されるが、このような高周波数帯の電波は直進性が強く障害物を回りこむ性質が弱いため、障害物の影響を強く受ける。このような電波が届かない領域をカバーするため、無線基地局と無線端末との間の無線電波を中継する無線中継装置(レピータ)が必要となる。
【0003】
無線中継装置は、サービスエリアを拡充できるという利点がある反面、無線中継装置が発する電波が他の電波との干渉を引き起こすという欠点がある。無線中継装置に起因する干渉の一つとして、無線中継装置内のドナーノード(基地局側ブロック)とサービスノード(端末側ブロック)との間の相互干渉が挙げられる。ここで、ドナーノードとは無線基地局とデータを送受信するブロックであり、サービスノードとは無線端末とデータを送受信するブロックである。
【0004】
図5に、TDD方式を採用する無線通信システムにおいて、無線中継装置が通常の送受信タイミングで動作している場合の、ドナーノードとサービスノードとの間の相互干渉の様子を示す。TDD方式とは、時間を細かく区分して送信と受信とを交互に高速に切り換える方式である。
【0005】
通常の送受信タイミング(以下、「通常タイミング」と称する)においては、無線基地局と無線中継装置のサービスノードとは送受信タイミングが揃っている。すなわち、第1期間においては、無線基地局は無線中継装置のドナーノードにダウンリンク(DL)データを送信し、無線中継装置のサービスノードは無線端末にダウンリンクデータを送信する。また、第2期間においては、無線基地局は無線中継装置のドナーノードからアップリンク(UL)データを受信し、無線中継装置のサービスノードは無線端末からアップリンクデータを受信する。
【0006】
無線中継装置が通常タイミングで動作している場合、第1期間においては、無線基地局からのダウンリンク信号を受信中のドナーノードは、サービスノードが無線端末に送信するダウンリンク信号による干渉を受ける。また、第2期間においては、無線端末からのアップリンク信号を受信中のサービスノードは、ドナーノードが無線基地局に送信するアップリンク信号による干渉を受ける。
【0007】
このような通常タイミング動作時の相互干渉を低減するための方法として、図6に示すような送受信タイミングで無線中継装置を動作させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。当該方法は、サービスノードの送受信タイミングを通常タイミングの場合の送受信タイミングから反転させた送受信タイミング(以下、「反転タイミング」と称する)とする方法である。
【0008】
このように、無線中継装置のドナーノードとサービスノードとを同じタイミングで送信させ、また同じタイミングで受信させることにより、通常タイミング動作時に問題となるドナーノードとサービスノードとの間の相互干渉を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−56711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したように、無線中継装置を反転タイミングで動作させることにより、ドナーノードとサービスノードとの間の相互干渉を解消することができる。
【0011】
しかしながら、WiMAX(登録商標)のような送信と受信のタイムスロットが非対称な通信システムにおいて無線中継装置を反転タイミングで動作させると、ダウンリンクデータの伝送量、すなわちダウンリンクデータのスループットが減少してしまうという問題が生じる。
【0012】
この問題について、図5および図6を参照して説明する。図5および図6に示すようにタイムスロットは非対称である。第1期間の方が第2期間よりも長く、無線基地局は、第1期間にダウンリンクデータを送信し、第2期間にアップリンクデータを受信する。タイムスロットが非対称であるのは、通常、ダウンリンクデータの方がアップリンクデータよりもデータ伝送量が多いことによるものである。
【0013】
図5に示すように無線中継装置を通常タイミングで動作させている場合は、無線基地局とサービスノードの両方ともが第1期間にダウンリンクデータを送信する。しかし、図6に示すように無線中継装置を反転タイミングで動作させている場合は、サービスノードは第2期間にダウンリンクデータを送信することになる。
【0014】
そうすると、第2期間は第1期間よりも短いため、サービスノードは、第1期間であれば伝送できるデータ量よりも少ないデータ量のダウンリンクデータしか伝送することができない。結果的に、無線基地局もサービスノードが伝送可能な量に合わせて、ダウンリンクデータの伝送量を減らすことが必要となるため、ダウンリンクデータのスループットが低下する。
【0015】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、サービスノードとドナーノードとの間の伝搬損失に基づいて、通常タイミングで動作させるか反転タイミングで動作させるかを選択することができる無線中継装置および無線通信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成する第1の観点に係る無線中継装置の発明は、
TDD方式を採用する無線通信システムにおいて、無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する無線中継装置であって、
前記無線基地局とデータを送受信する基地局側通信部と、
前記無線端末とデータを送受信する端末側通信部と、
前記基地局側通信部が受信した信号から、前記端末側通信部からの受信信号についての前記基地局側通信部における受信電力、および、該端末側通信部の送信電力情報を検出する基地局側制御部と、
前記端末側通信部の送受信タイミングを、前記無線基地局と同一の送受信タイミングである通常タイミングまたは該通常タイミングから反転させた送受信タイミングである反転タイミングに設定する端末側制御部と
を備え、
前記端末側制御部は、前記基地局側制御部から前記受信電力および前記送信電力情報を受け取って、該受信電力および該送信電力情報に基づいて前記端末側通信部から前記基地局側通信部への伝搬損失を算出し、該伝搬損失に基づいて前記端末側通信部の送受信タイミングを前記通常タイミングまたは前記反転タイミングに設定する
ことを特徴とする。
【0017】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る無線中継装置であって、前記端末側制御部は、前記端末側通信部の送受信タイミングを、前記伝搬損失が所定の閾値より大きい場合は前記通常タイミングに設定し、前記伝搬損失が所定の閾値以下の場合は前記反転タイミングに設定することを特徴とする。
【0018】
第3の観点に係る発明は、第1または第2の観点に係る無線中継装置であって、前記端末側制御部は、前記受信電力と前記送信電力情報との差分から前記伝搬損失を算出することを特徴とする。
【0019】
第4の観点に係る発明は、第1乃至第3のいずれか1つの観点に係る無線中継装置であって、前記端末側制御部は、起動時に自動的に前記端末側通信部の送受信タイミングを設定することを特徴とする。
【0020】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0021】
例えば、本発明を方法として実現させた第5の観点に係る無線通信方法の発明は、
TDD方式を採用する無線通信システムにおいて、無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する無線中継装置の無線通信方法であって、該無線中継装置は、
前記無線基地局とデータを送受信する基地局側通信部と、
前記無線端末とデータを送受信する端末側通信部と
を備え、
前記無線中継装置は、
前記基地局側通信部が受信した信号から、前記端末側通信部からの受信信号についての前記基地局側通信部における受信電力、および、前記端末側通信部の送信電力情報を検出するステップと、
前記受信電力および前記送信電力情報に基づいて前記端末側通信部から前記基地局側通信部への伝搬損失を算出するステップと、
前記伝搬損失に基づいて、前記端末側通信部の送受信タイミングを前記無線基地局と同一の送受信タイミングである通常タイミングまたは該通常タイミングから反転させた送受信タイミングである反転タイミングに設定するステップと
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、サービスノードとドナーノードとの間の伝搬損失に基づいて、通常タイミングで動作させるか反転タイミングで動作させるかを選択することができる無線中継装置および無線通信方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る無線中継装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る無線中継装置のサービスノードとドナーノードとの間の伝搬損失の様子を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る無線中継装置の送受信タイミングを設定する処理を示すフローチャートである。
【図5】通常タイミングの送受信タイミングを示す図である。
【図6】反転タイミングの送受信タイミングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態に係る無線通信システムの概略図である。無線通信システムは、無線基地局と無線端末と無線中継装置10とから構成されている。無線中継装置10は、無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る無線中継装置の概略構成を示す機能ブロック図である。無線中継装置10は、ドナーノード20とサービスノード30とを備える。
【0027】
まず、ドナーノード20の機能ブロックについて説明する。ドナーノード20は、基地局側通信部22と基地局側制御部24とを備える。
【0028】
基地局側通信部22は、アンテナを介して無線基地局とデータを送受信する。ダウンリンクデータについては、基地局側通信部22は、第1期間に無線基地局からダウンリンクデータを無線信号として受信する。基地局側通信部22は、無線信号をダウンコンバートしてベースバンド信号に変換し端末側通信部32に出力する。また、アップリンクデータについては、基地局側通信部22は、端末側通信部32からアップリンクデータをベースバンド信号として受け取る。基地局側通信部22は、第2期間にベースバンド信号をアップコンバートして無線信号に変換し無線基地局へ送信する。第1期間と第2期間とは交互に繰り返され、それに伴い基地局側通信部22は無線基地局との間でダウンリンクデータの受信とアップリンクデータの送信を繰り返し実行する。
【0029】
また、基地局側通信部22は、サーチ時において、周辺の無線基地局および周辺の他の無線中継装置、ならびに、自身のサービスノード30からの信号を受信する。
【0030】
基地局側制御部24は、基地局側通信部22をはじめとしてドナーノード20の全体を制御する。基地局側制御部24は、CPU(中央処理装置)等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP(デジタルシグナルプロセッサ))によって構成したりすることもできる。
【0031】
基地局側制御部24は、サーチ時において、端末側制御部34からサービスノード30の基地局IDを受け取る。基地局側制御部24は、当該基地局IDに基づいて、基地局側通信部22が受信した信号の中から、サービスノード30からの信号のドナーノード20における受信電力を検出する。また、基地局側制御部24は、当該基地局IDに基づいて、基地局側通信部22が受信した信号の中から、サービスノード30の下り電波情報(DCD:Downlink Channel Descriptor)を検出する。下り電波情報には、サービスノード30の送信電力情報などが含まれている。
【0032】
続いて、サービスノード30の機能ブロックについて説明する。サービスノード30は、端末側通信部32と端末側制御部34とを備える。
【0033】
端末側通信部32は、アンテナを介して無線端末または他の無線中継装置とデータを送受信する。端末側通信部32は、通常タイミングか反転タイミングのいずれかの送受信タイミングに設定され、無線端末または他の無線中継装置とデータを送受信する。
【0034】
端末側通信部32は、通常タイミングで動作する場合は、第1期間に無線端末または他の無線中継装置へダウンリンクデータを送信し、第2期間に無線端末または他の無線中継装置からアップリンクデータを受信する。第1期間と第2期間とは交互に繰り返され、それに伴い端末側通信部32は無線端末または他の無線中継装置との間でダウンリンクデータの送信とアップリンクデータの受信を繰り返し実行する。
【0035】
端末側通信部32は、反転タイミングで動作する場合は、第1期間に無線端末または他の無線中継装置からアップリンクデータを受信し、第2期間に無線端末または他の無線中継装置へダウンリンクデータを送信する。第1期間と第2期間とは交互に繰り返され、それに伴い端末側通信部32は無線端末または他の無線中継装置との間でアップリンクデータの受信とダウンリンクデータの送信を繰り返し実行する。
【0036】
端末側通信部32は、ダウンリンクデータについては、基地局側通信部22からダウンリンクデータをベースバンド信号として受け取り、アップコンバートして無線信号に変換して無線端末または他の無線中継装置に送信する。
【0037】
端末側通信部32は、アップリンクデータについては、無線端末または他の無線中継装置からアップリンクデータを無線信号として受信し、ダウンコンバートしてベースバンド信号に変換して基地局側通信部22に出力する。
【0038】
端末側制御部34は、端末側通信部32をはじめとしてサービスノード30の全体を制御する。端末側制御部34は、CPU等の任意の好適なプロセッサ上で実行されるソフトウェアとして構成したり、処理ごとに特化した専用のプロセッサ(例えばDSP)によって構成したりすることもできる。なお、本実施形態においては、ドナーノード20が基地局側制御部24を備え、サービスノード30が端末側制御部34を備えるというように、ドナーノード20およびサービスノード30の各々が制御部を備える構成として説明したが、本発明は、この構成に限定されるわけではない。例えば、ドナーノード20とサービスノード30とを1つの制御部で制御する構成とすることもできる。
【0039】
端末側制御部34は、サーチ時において、基地局側制御部24から、基地局側通信部22がサービスノード30から受信した信号のドナーノード20における受信電力を受け取る。また、端末側制御部34は、基地局側制御部24から、基地局側通信部22がサービスノード30から受信した信号に含まれるサービスノード30の送信電力情報を受け取る。
【0040】
端末側制御部34は、基地局側制御部24から受け取った、ドナーノード20における受信電力、および、サービスノード30の送信電力情報から、サービスノード30からドナーノード20への経路の伝搬損失Lを算出する。当該伝搬損失Lは、図3に示すように、サービスノード30からドナーノード20への経路の伝搬損失である。端末側制御部34は、伝搬損失Lを以下の数式により算出する。
伝搬損失L=(サービスノードの送信電力情報)−(ドナーノードにおける受信電力)
【0041】
端末側制御部34は、伝搬損失Lが予め定めておいた所定の閾値より大きいか否かによって、端末側通信部32を通常タイミングにより動作させるか反転タイミングにより動作させるかを決定する。
【0042】
端末側制御部34は、伝搬損失Lが予め定めておいた所定の閾値より大きい場合は、ドナーノード20からサービスノード30への信号、および、サービスノード30からドナーノード20への信号は十分減衰しており相互干渉は許容範囲内であると判断する。その結果、端末側制御部34は、端末側通信部32の送受信タイミングを通常タイミングに設定する。これにより、無線中継装置10は反転タイミングで動作する場合よりも高スループットを実現することができる。
【0043】
端末側制御部34は、伝搬損失Lが予め定めておいた所定の閾値以下の場合は、ドナーノード20とサービスノード30との間の相互干渉は許容範囲ではないと判断する。その結果、端末側制御部34は、端末側通信部32の送受信タイミングを反転タイミングに設定する。これにより、無線中継装置10はドナーノード20とサービスノード30との間の相互干渉を解消することができる。
【0044】
図4のフローチャートを参照しながら、端末側制御部34が端末側通信部32の送受信タイミングを通常タイミングと反転タイミングのいずれかに設定する処理を説明する。無線中継装置10は、例えば、起動時などに図4に示す処理を自動的に実行する。
【0045】
無線中継装置10は周辺の無線基地局等のサーチを行い、基地局側通信部22は、周辺の無線基地局および周辺の他の無線中継装置、ならびに、自身のサービスノード30からの信号を受信する(ステップS101)。基地局側制御部24は、端末側制御部34からサービスノード30の基地局IDを取得する(ステップS102)。
【0046】
基地局側制御部24は、サービスノード30の基地局IDに基づいて、基地局側通信部22が受信している信号から、サービスノード30からのドナーノード20における受信電力を検出する(ステップS103)。基地局側制御部24は、当該基地局IDに基づいて、基地局側通信部22の受信信号に含まれるサービスノード30の送信出力情報を検出する(ステップS104)。
【0047】
端末側制御部34は、基地局側制御部24から、ドナーノード20における受信電力およびサービスノード30の送信電力情報を受け取り、伝搬損失Lを算出する(ステップS105)。端末側制御部34は、伝搬損失Lを予め定めておいた所定の閾値と比較する(ステップS106)。
【0048】
端末側制御部34は、伝搬損失Lが所定の閾値より大きい場合、端末側通信部32の送受信タイミングを通常タイミングに設定する(ステップS107)。端末側制御部34は、伝搬損失Lが所定の閾値以下の場合、端末側通信部32の送受信タイミングを反転タイミングに設定する(ステップS108)。
【0049】
このように、本実施形態によれば、無線中継装置10は、サービスノード30からドナーノード20への伝搬損失を算出することができる。当該伝搬損失の大きさからサービスノード30とドナーノード20との間の相互干渉が許容範囲内であると判断した場合は、通常タイミングを選択することにより高スループットを実現することができる。
【0050】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 無線中継装置
20 ドナーノード
22 基地局側通信部
24 基地局側制御部
30 サービスノード
32 端末側通信部
34 端末側制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
TDD方式を採用する無線通信システムにおいて、無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する無線中継装置であって、
前記無線基地局とデータを送受信する基地局側通信部と、
前記無線端末とデータを送受信する端末側通信部と、
前記基地局側通信部が受信した信号から、前記端末側通信部からの受信信号についての前記基地局側通信部における受信電力、および、該端末側通信部の送信電力情報を検出する基地局側制御部と、
前記端末側通信部の送受信タイミングを、前記無線基地局と同一の送受信タイミングである通常タイミングまたは該通常タイミングから反転させた送受信タイミングである反転タイミングに設定する端末側制御部と
を備え、
前記端末側制御部は、前記基地局側制御部から前記受信電力および前記送信電力情報を受け取って、該受信電力および該送信電力情報に基づいて前記端末側通信部から前記基地局側通信部への伝搬損失を算出し、該伝搬損失に基づいて前記端末側通信部の送受信タイミングを前記通常タイミングまたは前記反転タイミングに設定する
ことを特徴とする無線中継装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線中継装置であって、前記端末側制御部は、前記端末側通信部の送受信タイミングを、前記伝搬損失が所定の閾値より大きい場合は前記通常タイミングに設定し、前記伝搬損失が所定の閾値以下の場合は前記反転タイミングに設定することを特徴とする無線中継装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無線中継装置であって、前記端末側制御部は、前記受信電力と前記送信電力情報との差分から前記伝搬損失を算出することを特徴とする無線中継装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線中継装置であって、前記端末側制御部は、起動時に自動的に前記端末側通信部の送受信タイミングを設定することを特徴とする無線中継装置。
【請求項5】
TDD方式を採用する無線通信システムにおいて、無線基地局と無線端末との間で送受信されるデータを中継する無線中継装置の無線通信方法であって、該無線中継装置は、
前記無線基地局とデータを送受信する基地局側通信部と、
前記無線端末とデータを送受信する端末側通信部と
を備え、
前記無線中継装置は、
前記基地局側通信部が受信した信号から、前記端末側通信部からの受信信号についての前記基地局側通信部における受信電力、および、前記端末側通信部の送信電力情報を検出するステップと、
前記受信電力および前記送信電力情報に基づいて前記端末側通信部から前記基地局側通信部への伝搬損失を算出するステップと、
前記伝搬損失に基づいて、前記端末側通信部の送受信タイミングを前記無線基地局と同一の送受信タイミングである通常タイミングまたは該通常タイミングから反転させた送受信タイミングである反転タイミングに設定するステップと
を含むことを特徴とする無線通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−46391(P2013−46391A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185219(P2011−185219)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】