説明

無線信号受信装置及び信号処理装置

【課題】本発明は、任意の記録条件に合致する受信無線信号だけを記録し、記録条件に合致しない受信無線信号を破棄する仕組みを提供する。
【解決手段】無線通信装置として、(a) 受信無線信号の特徴量を検出する信号検出部と、(b) 信号検出部に入力される前の受信無線信号又は信号検出部から出力された受信無線信号を入力して復調する受信処理部と、(c) 受信処理部により復調された後の受信無線信号の正誤及び/又は特性を判定するデータ判定部と、(d) 受信無線信号の記録条件を入力する設定条件入力部と、(e) 信号検出部、受信処理部及びデータ判定部からフィードバック信号を入力し、当該フィードバック信号の少なくとも一部を使用して受信無線信号が記録条件に適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて、信号処理前の受信無線信号の信号記録部への記録を制御する信号判定部とを有するものを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線信号を受信する無線信号受信装置及びその信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線信号の受信状況を精度良く推定するための技術を記載した文献の一つに特許文献1がある。特許文献1には、受信処理の過程で得られるベースバンド信号(具体的には、等化処理後であって復号化前のベースバンド信号)を用いて受信状況を推定することにより、その推定精度の向上を図る受信装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−245817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の受信装置は、等化処理後であって復号化前のベースバンド信号を解析し、記録条件を満たすベースバンド信号だけを選択的に取得する。ところが、等化処理を施すと、振幅の減衰、位相の歪みなどの情報が失われてしまう。このため、特許文献1に記載された技術は、任意の無線信号の受信状態又は通信状況を解析する用途には必ずしも適していない。例えば特許文献1に開示された方法は、無線信号に対する干渉信号の有無や振幅の減衰の程度、位相の歪みの程度などの情報に基づいて通信状況を解析する必要がある用途には適していない。
【0005】
そこで、本発明者は、記録・保存目的に応じた個別の条件に応じた判定結果を任意の受信処理ステージから選択的に収集し、収集された判定結果の組み合わせに基づいて、記録条件に適合する受信無線信号を選択的に記録することができる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、1つの発明として、(a) 受信無線信号の特徴量を検出する信号検出部と、(b) 信号検出部に入力される前の受信無線信号又は信号検出部から出力された受信無線信号を入力して復調する受信処理部と、(c) 受信処理部により復調された後の受信無線信号の正誤及び/又は特性を判定するデータ判定部と、(d) 受信無線信号の記録条件を入力する設定条件入力部と、(e) 信号検出部、受信処理部及びデータ判定部からフィードバック信号を入力し、当該フィードバック信号の少なくとも一部を使用して受信無線信号が記録条件に適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて、信号処理前の受信無線信号の信号記録部への記録を制御する信号判定部とを有する無線通信装置を提案する。
【0007】
また、本発明者は、1つの発明として、信号検出部、受信処理部及びデータ判定部からフィードバック信号を入力し、フィードバック信号の少なくとも一部を使用して受信無線信号が無線信号条件に適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて受信無線信号の信号記録部への記録を制御する信号判定部を有する信号処理装置を提案する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、記録対象である無線信号に応じて設定された記録条件に合致する無線信号だけを選択的に記録することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態における説明より明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】無線通信装置の機能構成例を示す図。
【図2】無線通信装置の詳細な機能構成例を示す図。
【図3】電力検出部の機能構成例を示す図。
【図4】周波数検出部の機能構成例を示す図。
【図5】相関検出部の機能構成例を示す図。
【図6】同期処理部の機能構成例を示す図。
【図7】等化処理部の機能構成例を示す図。
【図8】復調処理部の機能構成例を示す図。
【図9】復号処理部の機能構成例を示す図。
【図10】データ正誤判定部の機能構成例を示す図。
【図11】データ特性判定部の機能構成例を示す図。
【図12】信号判定部の機能構成例を示す図。
【図13】信号記録部の機能構成例を示す図。
【図14】信号判定部に与えられる設定条件(記録条件)の一例を示す図。
【図15】信号判定部の処理動作例を説明するフローチャート。
【図16】無線通信装置の外観構成例を示す図。
【図17】無線通信装置の外観構成例を示す図。
【図18】無線信号の分類例を示す図。
【図19】信号判定部に与えられる設定条件(記録条件)の一例を示す図。
【図20】無線通信装置の機能構成例を示す図。
【図21】信号判定部の処理動作例を説明するフローチャート。
【図22】信号判定部に与えられる設定条件(記録条件)の一例を示す図。
【図23】無線通信装置の機能構成図の例を示す図。
【図24】信号判定部の処理動作例を説明するフローチャート。
【図25】信号判定部に与えられる設定条件(記録条件)の一例を示す図。
【図26】無線通信装置の機能構成例を示す図。
【図27】信号判定部の処理動作例を説明するフローチャート。
【図28】無線通信装置の機能構成例を示す図。
【図29】無線通信装置の機能構成例を示す図。
【図30】信号判定部に与えられる設定条件(記録条件)の一例を示す図。
【図31】無線通信装置の機能構成例を示す図。
【図32】信号判定部の処理動作例を示すフローチャート。
【図33】信号判定部に与えられる設定条件(記録条件)の一例を示す図。
【図34】信号判定部の処理動作例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の実施の形態においては、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明する。以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。なお、以下の実施の形態において、その構成要素(処理ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須ではない。
【0011】
また、以下の実施の形態における各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路その他のハードウェアとして実現しても良い。また、後述する各構成、機能、処理部、処理手段等は、コンピュータ上で実行されるプログラムとして実現しても良い。すなわち、ソフトウェアとして実現しても良い。各構成、機能、処理部、処理手段等を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、ICカード、SDカード、DVD等の記憶媒体に格納することができる。
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
[形態例1]
[装置構成]
図1に、本形態例に係る無線通信装置100の全体構成例を示す。無線通信装置には、いわゆる端末装置だけでなく、中継局装置や基地局装置も含まれる。また、本明細書における無線通信装置には、検査や解析に使用される測定装置も含まれる。なお、本形態例においては、ユーザにより任意に入力される条件に適合する任意の無線信号を選択的に記録することが可能な無線通信装置100について説明する。
【0014】
図1に示す無線通信装置100は、アンテナ101、高周波処理部102、AD変換部103、信号検出部104、受信処理部105、データ判定部106、受信バッファ107、信号判定部108、信号記録部109、設定条件入力部110、信号出力部111から構成される。
【0015】
アンテナ101は、無線信号を受信するためのアンテナである。高周波処理部102は、受信した無線信号(受信無線信号)の増幅やベースバンド帯域へのダウンコンバートを行う高周波回路である。AD変換部103は、高周波処理部102から受け取ったベースバンド信号をデジタル信号にアナログ/デジタル変換する回路である。
【0016】
信号検出部104は、AD変換部103からデジタル信号形式の変調信号を受け取り、その特徴量を検出する回路である。信号検出部104は、AD変換部103から入力した変調信号をそのまま受信処理部105と信号記録部109に出力する機能も有している。
【0017】
受信処理部105は、前段に位置する信号検出部104から変調信号を受け取り、同期、等化、復調、復号等の各処理を行う回路である。なお、図1の場合、受信処理部105は、信号検出部104に対して直列に配置しているが、信号検出部104に対して並列に配置してもよい。本明細書においては、受信処理部105からデータ判定部106に出力されるデータ信号を復調データと呼ぶ。ここでの復調データは、復号処理後のデータを含む意味で使用する。
【0018】
データ判定部106は、受信処理部105から復調データを受け取り、復調データの正誤判定や通信周期などの特性判定を行う回路である。
【0019】
受信バッファ107は、全ての処理が終了した復調データを受け取り、格納する記憶媒体又は領域である。受信バッファ107は、例えばメモリやFPGAレジスタで実現される。
【0020】
信号判定部108は、信号検出部104、受信処理部105、データ判定部106からフィードバック信号を入力すると共に、信号検出部104、受信処理部105、データ判定部106に制御信号を与える信号処理装置である。ここで、フィードバック信号とは、各処理ブロックの検出結果又は判定結果を信号判定部108へ伝達する信号をいう。一方、制御信号とは、各処理ブロックに対し、検出や判定に使用する判定閾値の設定や処理の実行・不実行を命じる信号をいう。
【0021】
信号判定部108は、信号記録部109の動作を制御する信号(記録開始、記録停止、信号保存、信号破棄の4種類の信号)を信号記録部109に出力する装置としても機能する。また、信号判定部108は、設定条件入力部110から判定処理命令を受け取り、判定処理命令に記述された処理を実行する装置としても機能する。信号判定部108は、判定処理命令の内容に従って制御信号の出力、フィードバック信号の評価処理、信号記録部109の制御(記録開始、記録停止、信号保存、信号破棄)等を実行する。
【0022】
信号記録部109は、信号検出部104からAD変換直後の変調信号を受け取り、記憶媒体又は領域に記録する装置である。信号記録部109は、信号判定部108から与えられる制御信号(記録開始、記録停止、信号保存、信号破棄)に応じた処理を実行する。
【0023】
設定条件入力部110は、ユーザの操作を通じて入力された判定条件(記録条件)に応じた判定処理命令を生成し、信号判定部108に伝達する入力部である。
【0024】
信号出力部111は、信号記録部109から変調信号を読み出し、ストレージ装置に保存又は表示装置に出力するインタフェース装置である。
【0025】
[処理動作・効果]
本形態例に係る無線通信装置は、判定条件(記録条件)を満たす任意の受信無線信号だけを選別し、記憶媒体又は領域に選択的に記録・保存・出力することができる。
【0026】
例えば記録する受信無線信号の特徴量を検出するための条件及び処理内容が判定処理命令として記述されている場合、信号判定部108は、判定処理命令に従って信号検出部104、受信処理部105、データ判定部106と連携動作し、記録対象である受信無線信号の到来の有無を判定する。収集されたフィードバック信号が判定条件(記録条件)を満たす場合、信号判定部108は、記録対象である受信無線信号が到来したと判定し、その受信無線信号を信号記録部109に記録するように指示を出す。
【0027】
この一連の処理により、本形態例に係る無線通信装置は、その設置位置において受信可能な任意の無線信号のうち判定条件(記録条件)を満たす受信無線信号だけを選択的に記録することができる。
【0028】
このように、信号検出部104、受信処理部105、データ判定部106の各部から出力されるフィードバック信号を収集し、それらフィードバック信号の組み合わせに基づいて記録対象か否かを判定する方式を採用することにより、記録対象とする受信無線信号の選別に自由に対応することができる。
【0029】
例えば信号検出部104から出力されるフィードバック信号を用いて受信無線信号が記録対象か否かを判定する場合、信号処理が何ら施されていない受信直後の変調信号の特性に基づいて、受信無線信号が記録条件を満たすか否かを判定することができる。このような受信直後の情報を全て含む変調信号の選択技術は、特許文献1には開示されていない。
【0030】
また例えばデータ判定部106から出力されるフィードバック信号を用いて受信無線信号が記録対象か否かを判定する場合、復調及び復号処理後のデータの特性に基づいて、受信無線信号が記録条件を満たすか否かを判定することができる。従って、例えば復号後のデータビット列が正常であったか、又は誤りを含んでいたか等の判定結果に基づいて記録した信号を保存する又は破棄するといった詳細な処理動作が可能となる。このような信号の記録は、特許文献1に記載された技術によっては実現することができない。
【0031】
因みに、正常なデータを保存するか又は異常なデータを保存するかの選択は、ユーザの使用目的に依存する。例えば通信が正常に行われていることを確認することが目的の場合、正常なデータを記録・保存することが目的となる。一方で、通信が異常であった場合の原因を解析することが目的の場合、異常なデータを記録・保存することが目的となる。
【0032】
以上の通り、形態例1に係る装置構成によれば、受信無線信号を記録・保存する目的が異なる複数のユーザにとって利便性の高い無線通信装置を提供することができる。すなわち、本形態例に係る装置の場合、目的に応じた信号処理段階でのフィードバック信号を用いて記録・保存すべき受信無線信号か否かを判定することができる。
【0033】
[形態例2]
[装置構成]
図2に、形態例1で説明した無線通信装置のより詳細な機能構成の例を示す。図2に示す無線通信装置は、アンテナ101、高周波処理部102、AD変換部103、電力検出部201、周波数検出部202、相関検出部203、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207、正誤判定部208、特性判定部209、受信バッファ107、信号判定部210、信号記録部211、設定条件入力部110、信号出力部111から構成される。
【0034】
電力検出部201は、AD変換部103からデジタル信号形式の変調信号を受け取り、特徴量として変調信号の電力値の増減を検出する回路である。図3に、電力検出部201の詳細構成を示す。
【0035】
周波数検出部202は、デジタル信号形式の変調信号を電力検出部201から受け取り、変調信号の周波数成分を検出する回路である。図4に、周波数検出部202の詳細構成を示す。
【0036】
相関検出部203は、デジタル信号形式の変調信号を周波数検出部202から受け取り、変調信号の相関値を検出する回路である。図5に、相関検出部203の詳細構成を示す。以上説明した電力検出部201、周波数検出部202、相関検出部203が、形態例1における信号検出部104に相当する。
【0037】
同期処理部204は、デジタル信号形式の変調信号を相関検出部203から受け取り、キャリア同期、シンボル同期、フレーム同期の各処理を行う回路である。図6に、同期処理部204の詳細構成を示す。
【0038】
等化処理部205は、デジタル信号形式の変調信号を同期処理部204から受け取り、チャネル推定及びチャネル等化処理を行う回路である。図7に、等化処理部205の詳細構成を示す。
【0039】
復調処理部206は、デジタル信号形式の変調信号を等化処理部205から受け取り、受信無線信号の変調方式に対応する復調処理を行う回路である。図8に、復調処理部206の詳細構成を示す。
【0040】
復号処理部207は、デジタル信号形式の変調信号を復調処理部206から受け取り、受信無線信号の符号化方式に対応する復号処理を行う回路である。図9に、復号処理部207の詳細構成を示す。以上説明した同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207が、形態例1における受信処理部105に相当する。
【0041】
正誤判定部208は、デジタル信号形式の復調データを復号処理部207から受け取り、復調データの正誤判定を行う回路である。図10に、正誤判定部208の詳細構成を示す。
【0042】
特性判定部209は、デジタル信号形式の復調データを正誤判定部208から受け取り、復調データの通信周期などの特性判定を行う回路である。図11に、特性判定部209の詳細構成を示す。以上説明した正誤判定部208及び特性判定部209が、形態例1におけるデータ判定部106に相当する。
【0043】
信号判定部210は、電力検出部201、周波数検出部202、相関検出部203、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207、正誤判定部208、特性判定部209からフィードバック信号を入力すると共に、電力検出部201、周波数検出部202、相関検出部203、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207、正誤判定部208、特性判定部209に制御信号を与える信号処理装置である。図12に、信号判定部210の詳細構成を示す。この信号判定部210も、信号記録部211の動作を制御する信号(記録開始、記録停止、信号保存、信号破棄の4種類の信号)を出力する機能を有する。また、信号判定部210は、設定条件入力部110から判定処理命令を受け取り、判定処理命令に記述された処理を実行する装置としても機能する。信号判定部210は、判定処理命令の内容に従って制御信号の出力、フィードバック信号の評価処理、信号記録部211の制御(記録開始、記録停止、信号保存、信号破棄)等を実行する。
【0044】
信号記録部211は、AD変換部103の出力直後から変調信号を受け取り、記憶媒体又は領域に記録する装置である。信号記録部211は、信号判定部210から与えられる制御信号(記録開始、記録停止、信号保存、信号破棄)に応じた処理を実行する。図13に、信号記録部211の詳細構成を示す。
【0045】
[各ブロックの詳細構成]
次に、各機能ブロックの詳細構成能を説明する。
図3に、電力検出部201の機能構成例を示す。図3に示すように、電力検出部201は、電力変換部301と電力判定部302で構成される直列回路を、変調信号の伝送路に対して並列に接続した構成を有している。電力変換部301は、変調信号を積算して電力値を計算する回路である。電力判定部302は、計算された電力値が、信号判定部210から設定された閾値より大きいか小さいかを判定する回路である。電力判定部302は、判定(比較)結果がその出力条件を満たす場合、電力検出信号を信号判定部210に出力し、出力条件を満たす変調信号の電力を検出したことを伝達する。ここでの電力検出信号がフィードバック信号に相当する。なお、電力検出信号を出力する条件は、計算した電力値が閾値より大きい場合、小さい場合のどちらでもよい。電力検出信号を出力する条件は、信号判定部210より設定される。
【0046】
図4に、周波数検出部202の詳細構成例を示す。図4に示すように、周波数検出部202は、周波数変換部401と周波数判定部402で構成される直列回路を、変調信号の伝送路に対して並列に接続した構成を有している。周波数変換部401は、変調信号に対して例えばフーリエ変換処理を適用し、周波数成分を計算する回路である。周波数判定部402は、計算された周波数成分が、信号判定部210から設定された閾値と合致しているか否かを判定する回路である。周波数検出部202は、判定結果がその出力条件を満たす場合、周波数検出信号を信号判定部210に出力し、出力条件を満たす変調信号の周波数成分を検出したことを伝達する。ここでの周波数検出信号がフィードバック信号に相当する。なお、周波数検出信号を出力する条件は、計算した周波数成分が閾値と合致する場合、合致しない場合のどちらでもよい。周波数検出信号を出力する条件は、信号判定部210より設定される。
【0047】
図5に、相関検出部203の詳細構成例を示す。図5に示すように、相関検出部203は、相関処理部501と相関判定部502で構成される直列回路を、変調信号の伝送路に対して並列に接続した構成を有している。相関処理部501は、変調信号を対象として相関処理を行う回路である。相関処理は、変調信号自身を用いる自己相関処理か、信号判定部210より設定された相関パターンを用いる相互相関処理である。相関判定部502は、相関処理結果としての相関値が、信号判定部210から設定された閾値より大きいか小さいかを判定する回路である。判定(比較)結果がその出力条件を満たす場合、相関検出信号を信号判定部210に出力し、出力条件を満たす変調信号の相関を検出したことを伝達する。ここでの相関検出信号がフィードバック信号に相当する。なお、相関検出信号を出力する条件は、計算した相関値が閾値より大きい場合、小さい場合のどちらでもよい。相関検出信号を出力する条件は、信号判定部210より設定される。
【0048】
図6に、同期処理部204の詳細構成例を示す。図6に示すように、同期処理部204は、変調信号の伝送路に対して直列にキャリア同期部601、シンボル同期部602、フレーム同期部603を接続した構成を有している。
【0049】
キャリア同期部601は、送信機のクロックと受信機のクロックずれに起因する周波数ずれ等を補正する処理回路である。ここで、機能ON/OFF信号は、この同期処理の結果を利用するか否かを設定する信号である。機能ON/OFF信号がONの場合(結果を使用する場合)、キャリア同期検出信号は、同期処理の結果を信号判定部210へ伝達する。キャリア同期信号がフィードバック信号に相当する。
【0050】
シンボル同期部602は、変調信号のシンボルタイミングを判定する処理回路である。ここで、機能ON/OFF信号は、この同期処理の結果を利用するか否かを設定する信号である。機能ON/OFF信号がONの場合(結果を使用する場合)、シンボル同期検出信号は、同期処理の結果を信号判定部210へ伝達する。シンボル同期信号がフィードバック信号に相当する。
【0051】
フレーム同期部603は、変調信号の始まりを検出する処理回路である。ここで、機能ON/OFF信号は、この同期処理の結果を利用するか否かを設定する信号である。機能ON/OFF信号がONの場合(結果を使用する場合)、フレーム同期検出信号は、同期処理の結果を信号判定部210へ伝達する。フレーム同期検出信号がフィードバック信号に相当する。
【0052】
図7に、等化処理部205の詳細構成例を示す。図7に示すように、等化処理部205は、変調信号の伝送路に対して並列に接続されるチャネル推定部701と、変調信号の伝送路に対して直列に接続されるチャネル等化部702とで構成される。チャネル推定部701は、予め無線機に保持したパイロット信号と変調信号を比較し、変調信号の振幅と位相の変化量を計算する回路である。閾値入力信号は、チャネル推定処理における振幅又は位相の閾値を入力する信号である。チャネル等化検出信号は、チャネル推定処理の結果を信号判定部へ伝達する信号であり、フィードバック信号に相当する。チャネル等化部702は、チャネル推定部701で推定した振幅及び位相の変化量に基づいて、変調信号をパイロット信号に近い信号に補正する回路である。
【0053】
図8に、復調処理部206の詳細構成例を示す。図8に示すように、復調処理部206は、変調信号の伝送路に対して直列に接続された復調処理部801で構成される。復調処理部801は、変調信号の変調方式に対応した復調処理を実行し、変調信号を復調データに変換する回路である。閾値入力信号は、復調処理における特徴量に関する閾値を入力する信号である。復調処理検出信号は、復調処理の結果を信号判定部へ伝達する信号である。この復調処理検出信号がフィードバック信号に相当する。
【0054】
図9に、復号処理部207の詳細構成例を示す。図9に示すように、復号処理部207は、復調データの伝送路に対して直列に接続された復号処理部901で構成される。復号処理部901は、変調信号の符号化方式に対応した復号処理を実行し、復調データを復号データに変換する回路である。閾値入力信号は、復号処理における特徴量に関する閾値を入力する信号である。復号処理検出信号は、復号処理の結果を信号判定部へ伝達する信号である。この復号処理検出信号がフィードバック信号に相当する。
【0055】
図10に、正誤判定部208の詳細構成例を示す。正誤判定部208は、図10に示すように、復号データの伝送路に対して直列に接続された誤り検出処理部1001と、正誤判定部1002で構成される。誤り検出処理部1001は、復号データを受け取り、例えばCRC検出を実行する回路である。正誤判定部1002は、誤り検出の結果を受け取り、正誤を判定する回路である。閾値入力信号は、例えば誤り無しの場合にデータ正誤検出信号を出力するか、逆に誤り有りの場合にデータ正誤検出信号を出力するかを特定する動作モードを設定する信号である。データ正誤検出信号がフィードバック信号に相当する。
【0056】
図11に、特性判定部209の詳細構成例を示す。特性判定部209は、図11に示すように、復号データの伝送路に対して直列に接続された特性検出部1101と、特性判定部1102で構成される。特性検出部1101は、復号データの特性を検出する回路である。特性値には、例えばデータの通信周期、エラー率などの統計情報がある。特性判定部1102は、検出された特性値が閾値に対して適合するか否かを判定する回路である。特性判定部1102は、例えば入力された通信周期に適合する信号か否かを判定する。閾値入力信号は、前述した特性値に関する閾値を入力する信号である。データ特性判定信号は、判定処理の結果を信号判定部210へ伝達する信号である。データ特性判定信号がフィードバック信号に相当する。
【0057】
図12に、信号判定部210の詳細構成例を示す。図12に示すように、信号判定部210は、信号判定部1201で構成される。前述したように、フィードバック信号は、各検出部/判定部から入力される信号である。制御信号は、各検出部/判定部に対し、閾値の入力や所定の処理の実行を命令する信号である。判定処理命令信号は、設定条件入力部110から伝達される信号である。判定処理命令信号には、所望の無線信号を記録するための信号特徴量に関する設定値及び処理動作手順(動作フロー)が記述されている。記録開始信号は、信号記録部211に対して受信無線信号(変調信号)の記録を開始する命令を伝達する信号である。記録停止信号は、信号記録部211に対して受信無線信号(変調信号)の記録を停止する命令を伝達する信号である。信号保存信号は、信号記録部211に対し、信号記録部211が記録している受信無線信号(変調信号)を保存する命令を伝達する信号である。信号破棄信号は、信号記録部211に対し、信号記録部211が記録している受信無線信号(変調信号)を破棄する命令を伝達する信号である。信号判定部1201は、判定処理命令に記述された処理内容に従い、適切な特徴量の条件及び適切な順番に基づいて処理を実行し、各検出部/処理部や信号記録部211との間で、制御信号やフィードバック信号をやり取りする。このやり取りにより、所望の無線信号の記録を実現する。
【0058】
図13に、信号記録部211の詳細構成例を示す。図13に示すように、信号記録部211は、信号記録制御部1301とメモリ1302で構成される。信号記録制御部1301は、変調信号の記録動作を制御する信号である。変調信号は、受信待機状態の間は、AD変換部103から常時伝達されている。記録開始信号が伝達されると、信号記録制御部1301は、メモリ1302のアドレスを指定し、変調信号の記録を開始する。記録停止信号が伝達されると、信号記録制御部1301は、メモリ1302に対する変調信号の記録を停止する。信号保存信号が伝達されると、信号記録制御部1301は、メモリ1302に記録されている変調信号を信号出力部111に出力する。信号破棄信号が伝達されると、信号記録制御部1301は、メモリ1302に記録されている変調信号を破棄する。具体的には、既に変調信号を書き込み済みのアドレスに対し、新たな変調信号の書き込みを許可する。
【0059】
[判定処理命令に記述される設定条件の一例]
図14に、判定処理命令に記述される設定条件(記録条件)の一例を示す。前述したように、設定条件は、所望の受信無線信号(変調信号)だけを選択的に記録するために、各検出部/判定部に与える判定条件や処理内容で構成される。図14は、設定条件の一例であるが、例えば電力検出を有効(ON)とし、電力閾値を−70dBmと設定している。また、周波数検出を有効(ON)とし、検出する周波数の中心周波数を2450MHz、帯域幅を5MHzとしている。また、相関検出、同期処理、等化処理、復調処理、復号処理を無効(OFF)に設定している。また、正誤判定を有効(ON)とし、データ誤りを検出対象に設定している。また、特性判定を有効(ON)とし、通信周期を500msに設定している。
【0060】
形態例に係る無線通信装置では、信号判定部210が各検出部/判定部との連携動作により、定義された設定条件に合致する受信無線信号の受信を判定・検出し、合致した受信無線信号だけを選択的に記録する。なお、図14において、同期、等化、復調、復号処理を無効としている意味は、信号判定部210による判定処理に用いないという意味であり、本来の受信処理としての同期、等化、復調、復号処理は、従来の無線通信装置と同様に実行される。
【0061】
[判定処理命令の記述に基づいた処理動作例]
図15に、判定処理命令の記述に基づいた処理動作手順の一例を示す。無線通信装置の電源投入(1501)の後、信号判定部210は、判定処理命令に記述された信号の条件に従って、各処理ブロックの初期設定動作を実行する。具体的には、電力検出部201に電力閾値を設定し(1502)、周波数検出部202に周波数閾値を設定し(1503)、相関検出部203に閾値を設定し(1504)、同期処理部204の判定機能、等化処理部205の閾値、復調処理部206の閾値、復号処理部207の閾値をそれぞれ設定し(1505)、正誤判定部208の閾値を設定し(1506)、特性判定部209の閾値を設定する(1507)。
【0062】
信号判定部210による初期設定が終了すると、無線通信装置は、受信待機状態を開始する(1508)。受信無線信号が到来すると、電力判定部302は、受信無線信号の電力値を計算し、予め入力された閾値に対する判定処理を行う(1509)。ここで、電力値が閾値を超えない場合、信号判定部210は、受信待機を継続する(1508)。
【0063】
一方、電力値が閾値を越えた場合、信号判定部210は、記録候補である何らかの受信無線信号が到来したと判定し、信号記録を開始する(1510)。具体的には、信号判定部210は、電力検出部201からフィードバック信号として電力検出信号を受け取ると、所望の受信無線信号が到来したと判定する。このとき、信号判定部210は、記録開始信号を信号記録部211に出力する。記録開始信号を受け取った信号記録部211は、受信無線信号の記録を開始する。
【0064】
記録の開始後、信号判定部210は、周波数検出部202から変調信号の周波数成分の解析結果を取得する。ここで、信号判定部210は、変調信号の周波数成分が設定条件を満たすか否かをフィードバック信号の有無に基づいて判定する(1511)。判定結果が不適合だった場合、信号判定部210は、受信無線信号の記録を停止し(1518)、その時点までに記録されていた信号を破棄する(1519)。
【0065】
具体的には、周波数検出部202からフィードバック信号として周波数検出信号を受け取った場合、信号判定部210は、到来した受信無線信号が所望の信号とは不一致であったと判定する。このとき、信号判定部210は、記録停止信号を信号記録部211に出力する。記録停止信号を受け取った信号記録部211は、受信無線信号の記録を停止する。この後、信号判定部210は、信号破棄信号を信号記録部211に出力する。信号記録部211は、変調信号を記録していたアドレス領域への再書き込みを許可することにより記録信号を破棄する。
【0066】
これに対し、周波数条件が合致している場合(フィードバック信号が受信されなかった場合)、信号判定部210は、相関結果が設定条件を満たすか否かをフィードバック信号の有無に基づいて判定する(1512)。到来した無線信号が所望の信号と不一致であると判定された場合、信号判定部210は、記録停止(1518)と信号破棄(1519)を実行する。
【0067】
到来した無線信号が所望の信号と合致していると判定された場合、信号判定部210は、受信処理を行う(1513)。具体的には、信号記録制御のための同期、等化、復調、復号の各処理の各処理部における実行を許可する。
【0068】
次に、信号判定部210は、正誤判定部208からのフィードバック信号の有無により、復調されたデータの正誤判定結果を判定する(1514)。信号判定部210は、データが正常/異常であるかに応じて、記録停止(1518)及び信号破棄(1519)するか、記録を継続するかを判定する。
【0069】
次に、信号判定部210は、特性判定部209からのフィードバック信号の有無により、復調されたデータの特性値に対する判定結果を判定する(1515)。特性値が判定閾値に合致しない場合、信号判定部210は、記録停止(1518)及び信号破棄(1519)を実行し、特性値が判定閾値に合致する場合、記録停止(1516)及び信号保存(1517)を実行する。以上が、1つの受信無線信号を記録するための一連の処理動作であり、その後、信号判定部210は受信待機状態(1508)へと戻る。
【0070】
以上の処理動作が、処理判定命令に記述されている。これらの処理動作は、例えば実行順序が記述されたスクリプトやプログラムといった形態で記述される。
【0071】
[効果]
以上の処理動作により、本形態例に係る無線通信装置は、判定条件(記録条件)を満たす任意の受信無線信号だけを選別し、記憶媒体又は領域に選択的に記録・保存・出力することができる。
【0072】
例えば記録する受信無線信号の特徴量を検出するための条件及び処理内容が判定処理命令として記述されている場合、信号判定部210は、判定処理命令に従って電力検出部201、周波数検出部202、相関検出部203、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207、正誤判定部208、特性判定部209と連携動作し、記録対象である受信無線信号の到来の有無を判定する。フィードバック信号の組が判定条件(記録条件)を満たす場合、信号判定部210は、記録対象である受信無線信号が到来したと判定し、その受信無線信号を記録して保存するように信号記録部211に対して指示を出す。
【0073】
この一連の処理により、本形態例に係る無線通信装置は、その設置位置において受信可能な任意の無線信号のうち判定条件(記録条件)を満たす受信無線信号だけを選択的に記録し保存することができる。
【0074】
このように、本形態例に係る無線通信装置は、電力検出部201から出力されるフィードバック信号を用いて受信無線信号が受信対象か否かを判定する。すなわち、本形態例に係る無線通信装置は、AD変換部103を出た直後の変調信号を用い、受信無線信号が受信対象か否かを判定する。その結果、本形態例に係る無線通信装置は、AD変換部103を出た直後の何らの信号処理が施されていない変調信号を記録し保存することができる。
【0075】
また、本形態例に係る無線通信装置は、周波数検出部202が送信するフィードバック信号を用いて信号記録処理の判断を行う。この判定処理により、本形態例に係る無線通信装置は、所望の周波数成分を有する変調信号を検出することができ、所望の変調信号を選択的に記録し保存することができる。
【0076】
また、本形態例に係る無線通信装置は、相関検出部203が送信するフィードバック信号を用いて信号記録処理の判断を行う。この判定処理により、本形態例に係る無線通信装置は、任意の信号パターンにおいて相関を有する信号を検出することができ、所望の変調信号を選択して記録し保存することができる。
【0077】
また、本形態例に係る無線通信装置は、正誤判定部208が送信するフィードバック信号を用いて信号記録処理の判断を行う。この判定処理により、本形態例に係る無線通信装置は、復号後のデータ列が誤りを含む又は誤りを含まないといった結果に応じて、所望の変調信号を選択して記録し保存することができる。
【0078】
また、本形態例に係る無線通信装置は、特性判定部209が送信するフィードバック信号を用いて信号記録処理の判断を行う。これにより、本形態例に係る無線通信装置は、例えば500ミリ秒間隔といった周期的に到来する信号のみを検出し、所望の変調信号を選択して記録し保存することができる。
【0079】
どのような特性を有する無線信号を記録・保存対象とするかはユーザの目的によって様々であるが、前述の通り、本形態例に係る無線通信装置は、フィードバック信号の組み合わせにより所望の無線信号を適切に選択し、記録し保存することができる。
【0080】
[無線通信装置の外観例]
図16に、無線通信装置100と、記録された受信無線信号を視覚的に表示する表示装置1601が同一筺体内に配置される例を示している。なお、図16においては、「波形3」が選択的に表示されている。また、表示装置1601の周辺の筺体表面には、操作入力手段としての操作ボタン類が配置されている。
【0081】
図17に、無線通信装置と表示装置がそれぞれ独立した装置として構成される例を示す。図17は、無線通信装置の信号出力部111と外部出力装置1701が通信ケーブル経由で接続された例を示す。勿論、通信ケーブルによる接続を無線による接続に変更してもよい。図17の例の場合、信号出力部111は、記録した受信無線信号を、通信ケーブルを介して外部出力装置1701に出力する。外部出力装置1701は、図17に示すように、記録した受信無線信号を視覚的に表示する表示装置を備えている。
【0082】
[受信される無線信号の種類]
前述したように、本明細書で提案する無線通信装置は、任意の無線信号を選別し、記録・保存することができる。また、本明細書で提案する無線通信装置では、任意の無線信号を選択するための条件を、設定条件入力部110を通じ、ユーザが入力できると点にも特徴がある。
【0083】
図18に、本明細書で提案する無線通信装置が対応することができる無線信号の代表的な分類例を示す。図18の縦軸は記録・保存対象とする無線信号の発生源(機器)を示し、横軸は受信無線信号の特性を示している。図18に示す通り、現実世界では広帯域、狭帯域、連続、非連続といった様々な特徴量をもつ無線信号が常時放射されている。これらの雑多な無線信号を全て記録しようとすれば、情報量は膨大となり、膨大な情報量の中から真に有益な情報を探しだすことが困難になってしまう。
【0084】
そこで、本明細書で提案する無線通信装置では、受信可能な全ての受信無線信号の中から任意の無線信号を記録対象に選択できるように、設定条件を指定入力するための設定条件入力部110を設けている。
【0085】
なお、雑多な無線信号の中から任意の無線信号を選択するために必要な情報の組み合わせは一つでない。従って、引用文献1のように、等化処理後の信号を閾値と比較するだけでは、任意の受信無線信号に対応することができない。そこで、本明細書に係る無線通信装置では、一連の受信処理に関与する各判定部/処理部に対し、記録対象とする受信無線信号の識別に必要な個別の条件を与え、その判定結果を示すフィードバック信号を信号判定部210に収集する。そして、収集したフィードバック信号が設定条件(記録条件)の全てを満たす場合に、受信している受信無線信号を選択的に記録・保存する。
【0086】
[形態例3]
本形態例では、形態例2で説明した無線通信装置100の構成を前提とし、具体的な設定条件が与えられた場合における無線通信装置のシステム構成及び処理動作を説明する。
【0087】
図19は、本形態例において選択的に記録・保存する受信無線信号の設定条件(記録条件)である。図19に示す設定条件(記録条件)では、電力検出を有効(ON)に制御し、電力閾値を−80dBmに設定している。また、周波数検出を有効(ON)に制御し、検出する周波数の中心周波数を2450MHz、帯域幅を5MHzに設定している。また、相関検出を有効(ON)に制御し、相関モードを自己相関に設定している。また、同期処理を無効(OFF)に設定している。また、等化処理、復調処理、復号処理を無効(OFF)に設定している。また、正誤判定を有効(ON)に制御し、正常データを検出対象に設定している。また、特性判定を有効(ON)とし、通信周期を500msに設定している。すなわち、本形態例では、通信周期500msで送信される無線信号において、正常に復調できた受信無線信号だけを記録することを目的とする。
【0088】
図20は、形態例3に対応する無線通信装置において使用するフィードバック信号の入出力関係を分かり易く表した等価図である。無線通信装置100は、アンテナ101、高周波処理部102、AD変換部103、電力検出部201、周波数検出部202、相関検出部203、受信処理部105、正誤判定部208、特性判定部209、受信バッファ107、信号判定部210、信号記録部211、設定条件入力部110、信号出力部111から構成される。図20に示すように、本形態例は、信号検出部104とデータ判定部106からのフィードバック信号だけを使用する。勿論、信号検出部104とデータ判定部106を構成する各部の有効/無効や閾値は、図19の設定条件に基づいて切り替えられている。また、本形態例では、形態例2に示すハードウェア構成を前提としているが、図20に示すフィードバック信号の入出力関係だけをハードウェア的に有する装置構成でもよい。
【0089】
図21に、形態例3に対応する判定処理命令の記述に基づいた処理動作手順の一例を示す。無線通信装置の電源投入(2101)の後、信号判定部210は、電力検出部201を有効(ON)状態に制御し、閾値を−80dBmに設定する(2102)。次に、信号判定部210は、周波数検出部202を有効(ON)状態に制御し、検出する周波数の中心周波数を2450MHzに、帯域幅を5MHzに設定する(2103)。
【0090】
次に、信号判定部210は、相関検出部203を有効(ON)状態に制御し、検出モードを自己相関モードに設定する(2104)。次に、信号判定部210は、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207を無効(OFF)状態に設定する(2105)。次に、信号判定部210は、正誤判定部208を有効(ON)状態に制御し、正常データを検出対象に設定する(2106)。次に、信号判定部210は、特性判定部209を有効(ON)状態に制御し、通信周期を500msに設定する(2107)。
【0091】
以上の初期設定が終了すると、無線通信装置は、受信待機状態を開始する(2108)。無線信号が到来すると、電力検出部201は、電力値を計算し、−80dBmよりも大きいか小さいかを判定する(2109)。電力値が−80dBmよりも小さい場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信しなかった場合)、信号判定部210は受信待機を継続する(2108に戻る)。一方、電力値が−80dBmを越えた場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信した場合)、信号判定部210は記録候補の何らかの無線信号が到来したと判定し、信号記録を開始する(2110)。
【0092】
次に、信号判定部210は、周波数検出部202から周波数成分の解析結果を取得する。具体的には、信号判定部210は、周波数検出部202からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(2111)。フィードバック信号は、受信無線信号の中心周波数が2450MHzであり、かつ、帯域幅が5MHz以下である場合に周波数検出部202から出力される。
【0093】
判定結果が不適合を意味する場合、信号判定部210は信号記録を停止(2118)し、その時点まで記録していた信号を破棄する(2119)。判定結果が適合を意味する場合、信号判定部210は相関検出部203からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(2112)。フィードバック信号は、自己相関を有する場合に相関検出部203から出力される。
【0094】
到来した無線信号が自己相関を持たないと判定された場合、信号判定部210は信号記録を停止(2118)し、信号を破棄する(2119)。到来した無線信号が自己相関を持つと判定された場合、信号判定部210は、受信処理部105による受信処理を待つ(2113)。具体的には、同期、等化、復調、復号の各処理の実行を待つ。
【0095】
この後、信号判定部210は、正誤判定部208からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(2114)。フィードバック信号は、復調されたデータが正常の場合に正誤判定部208から出力される。データが異常の場合、信号判定部210は、信号記録を停止(2118)し、それまで記録していた信号を破棄(2119)する。データが正常の場合、信号判定部210は、信号記録を継続する。
【0096】
次に、信号判定部210は、特性判定部209からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(2115)。フィードバック信号は、データの通信周期が500msに適合する場合に特性判定部209から出力される。データの通信周期が500msと適合しない場合、信号判定部210は、信号記録を停止(2118)し、それまで記録していた信号を破棄(2119)する。一方、データの通信周波数が500msと適合する場合、信号判定部210は、信号記録を停止(2116)し、それまで記録していた信号を保存(2117)する。以上が、1つの受信無線信号を記録するための一連の処理動作であり、その後、信号判定部210は受信待機状態(2108)へと戻る。
【0097】
以上の処理動作が、処理判定命令に基づいて実行される。以上の処理により、図19で設定した条件に適合する無線信号のみが選択的に記録され、適合しない無線信号は破棄される。
【0098】
[形態例4]
引き続き、形態例2で説明した無線通信装置100の構成を前提とし、具体的な設定条件が与えられた場合における無線通信装置のシステム構成及び処理動作を説明する。
【0099】
図22は、本形態例において選択的に記録・保存する受信無線信号の設定条件(記録条件)である。図22に示す設定条件(記録条件)では、電力検出を有効(ON)に制御し、電力閾値を−70dBmに設定している。また、周波数検出を有効(ON)に制御し、検出する周波数の中心周波数を2450MHz、帯域幅を5MHzに設定している。また、相関検出を有効(ON)に制御し、相関モードを自己相関に設定している。また、同期処理、等化処理、復調処理、復号処理を無効(OFF)無効に設定している。また、正誤判定を有効(ON)に制御し、誤りデータを検出対象に設定している。また、特性判定を無効(OFF)に設定している。すなわち、本形態例では、正常に復調できなかった受信無線信号だけを記録することを目的とする。
【0100】
図23は、形態例4に対応する無線通信装置において使用するフィードバック信号の入出力関係を分かり易く表した等価図である。無線通信装置100は、アンテナ101、高周波処理部102、AD変換部103、電力検出部201、周波数検出部202、相関検出部203、受信処理部105、正誤判定部208、受信バッファ107、信号判定部210、信号記録部211、設定条件入力部110、信号出力部111から構成される。図23に示すように、本形態例は、信号検出部104とデータ判定部106の一部からのフィードバク信号だけを使用する。勿論、信号検出部104とデータ判定部106を構成する各部の有効/無効や閾値は、図23の設定条件に基づいて切り替えられている。また、本形態例では、形態例2に示すハードウェア構成を前提としているが、図23に示すフィードバック信号の入出力関係だけをハードウェア的に有する装置構成でもよい。
【0101】
図24は、形態例4に対応する判定処理命令の記述に基づいた処理動作手順の一例を示す。無線通信装置の電源投入(2401)の後、信号判定部210は、電力検出部201を有効(ON)状態に制御し、閾値を−70dBmに設定する(2402)。次に、信号判定部210は、周波数検出部202を有効(ON)状態に制御し、検出する周波数の中心周波数を2450MHzに、帯域幅を5MHzに設定する(2403)。
【0102】
次に、信号判定部210は、相関検出部203を有効(ON)状態に制御し、検出モードを自己相関モードに設定する(2404)。次に、信号判定部210は、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207を無効(OFF)状態に設定する(2405)。次に、信号判定部210は、正誤判定部208を有効(ON)状態に制御し、誤りデータを検出対象に設定する(2406)。次に、信号判定部210は、特性判定部209を無効(OFF)状態に制御する(2407)。
【0103】
以上の初期設定が終了すると、無線通信装置は、受信待機状態を開始する(2408)。無線信号が到来すると、電力検出部201は、電力値を計算し、−70dBmよりも大きいか小さいかを判定する(2409)。電力値が−70dBmよりも小さい場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信しなかった場合)、信号判定部210は受信待機を継続する(2408に戻る)。一方、電力値が−70dBmを越えた場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信した場合)、信号判定部210は記録候補である何らかの無線信号が到来したと判定し、信号記録を開始する(2410)。
【0104】
次に、信号判定部210は、周波数検出部202から周波数成分の解析結果を取得する。具体的には、信号判定部210は、周波数検出部202からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(2411)。フィードバック信号は、受信無線信号の中心周波数が2450MHzであり、かつ、帯域幅が5MHz以下である場合に周波数検出部202から出力される。
【0105】
判定結果が不適合を意味する場合、信号判定部210は信号記録を停止(2417)し、その時点まで記録していた信号を破棄する(2418)。判定結果が適合を意味する場合、信号判定部210は相関検出部203からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(2412)。フィードバック信号は、自己相関を有する場合に相関検出部203から出力される。
【0106】
到来した無線信号が自己相関を持たないと判定された場合、信号判定部210は信号記録を停止(2417)し、信号を破棄する(2418)。到来した無線信号が自己相関を持つと判定された場合、信号判定部210は、受信処理部105による受信処理を待つ(2413)。具体的には、同期、等化、復調、復号の各処理の実行を待つ。
【0107】
この後、信号判定部210は、正誤判定部208からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(2414)。フィードバック信号は、復調されたデータが異常の場合に正誤判定部208から出力される。データが正常の場合、信号判定部210は、信号記録を停止(2417)し、それまで記録していた信号を破棄(2418)する。データが異常の場合、信号判定部210は、信号記録を停止(2415)し、それまで記録していた信号を保存(2416)する。以上が、1つの受信無線信号を記録する一連の処理動作であり、その後、信号判定部210は受信待機状態(2408)へと戻る。
【0108】
以上の処理動作が、処理判定命令に基づいて実行される。以上の処理により、図22で設定した条件に適合する無線信号のみが選択的に記録され、適合しない無線信号は破棄される。
【0109】
[形態例5]
引き続き、形態例2で説明した無線通信装置100の構成を前提とし、具体的な設定条件が与えられた場合における無線通信装置のシステム構成及び処理動作を説明する。
【0110】
図25は、本形態例において選択的に記録・保存する受信無線信号の設定条件(記録条件)である。図25に示す設定条件(記録条件)では、電力検出を有効(ON)に制御し、電力閾値を−85dBmに設定している。また、周波数検出を有効(ON)に制御し、検出する周波数の中心周波数を2450MHz、帯域幅を100MHzに設定している。また、相関検出、同期処理、等化処理、復調処理、復号処理、正誤判定、特性判定を無効(OFF)無効に設定している。すなわち、本形態例では、広帯域(100MHz)を監視し、到来した全ての無線信号を記録することを目的とする。
【0111】
図26は、形態例5に対応する無線通信装置において使用するフィードバック信号の組を分かり易く表した図である。無線通信装置100は、アンテナ101、高周波処理部102、AD変換部103、電力検出部201、周波数検出部202、受信処理部105、受信バッファ107、信号判定部210、信号記録部211、設定条件入力部110、信号出力部111から構成される。図26に示すように、本形態例は、信号検出部104の一部からのフィードバック信号だけを使用する。また、本形態例では、形態例2に示すハードウェア構成を前提としているが、図26に示すフィードバック信号の入出力関係だけをハードウェア的に有する装置構成でもよい。
【0112】
図27は、形態例5に対応する判定処理命令の記述に基づいた処理動作手順の一例を示す。無線通信装置の電源投入(2701)の後、信号判定部210は、電力検出部201を有効(ON)状態に制御し、閾値を−85dBmに設定する(2702)。次に、信号判定部210は、周波数検出部202を有効(ON)状態に制御し、検出する周波数の中心周波数を2450MHzに、帯域幅を100MHzに設定する(2703)。
【0113】
次に、信号判定部210は、相関検出部203を無効(OFF)状態に制御する(2704)。次に、信号判定部210は、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207を無効(OFF)状態に設定する(2705)。次に、信号判定部210は、正誤判定部208を無効(OFF)状態に制御する(2706)。次に、信号判定部210は、特性判定部209を無効(OFF)状態に制御する(2707)。
【0114】
以上の初期設定が終了すると、無線通信装置は、受信待機状態を開始する(2708)。無線信号が到来すると、電力検出部201は、電力値を計算し、−85dBmよりも大きいか小さいかを判定する(2709)。電力値が−85dBmよりも小さい場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信しなかった場合)、信号判定部210は受信待機を継続する(2708に戻る)。一方、電力値が−85dBmを越えた場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信した場合)、信号判定部210は記録候補である何らかの無線信号が到来したと判定し、信号記録を開始する(2710)。
【0115】
次に、信号判定部210は、周波数検出部202から周波数成分の解析結果を取得する。具体的には、信号判定部210は、周波数検出部202からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(2711)。フィードバック信号は、受信無線信号の中心周波数が2450MHzであり、かつ、帯域幅が100MHz以下である場合に周波数検出部202から出力される。
【0116】
判定結果が不適合を意味する場合、信号判定部210は信号記録を停止(2716)し、その時点まで記録していた信号を破棄する(2717)。判定結果が適合を意味する場合、受信処理部105による受信処理を待つ(2712)。具体的には、同期、等化、復調、復号の各処理の実行を待つ。
【0117】
この後、信号判定部210は、−85dBmよりも大きいか小さいかを判定する(2713)。電力値が−85dBmよりも大きい場合、信号判定部210は受信待機を継続する(2712に戻る)。一方、電力値が−85dBmよりも小さい場合、信号判定部210は信号記録を停止(2714)し、それまで記録していた信号を保存(2715)する。以上が、1つの受信無線信号を記録する一連の処理動作であり、その後、信号判定部210は受信待機状態(2708)へと戻る。
【0118】
以上の処理動作が、処理判定命令に基づいて実行される。以上の処理により、図25で設定した条件に適合する無線信号のみが選択的に記録され、適合しない無線信号は破棄される。
【0119】
[形態例6]
本形態例では、前述した形態例1及び2とは異なる無線通信装置の構成例を説明する。図28に、本形態例に係る無線通信装置200の全体構成例を示す。無線通信装置200は、アンテナ101、高周波処理部102、AD変換部103、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207、正誤判定部208、特性判定部209、受信バッファ107、信号判定部210、信号記録部211、設定条件入力部110、信号出力部111から構成される。
【0120】
本装置構成の無線通信装置では、図1における受信処理部105と同等の機能を、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207が実行する。信号検出部104が行う処理が、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207が行う処理と同等か近似した処理である場合、図28に示すように、信号検出部104を省略した構成も可能である。勿論、本形態例に係る無線通信装置は、図28に示すフィードバック信号の入出力関係だけをハードウェア的に有する装置構成でもよい。
【0121】
[形態例7]
本形態例でも、前述した形態例1、2及び6と異なる無線通信装置の構成例を説明する。図29に、形態例6に係る無線通信装置の全体構成を示す。
【0122】
本形態例に係る無線通信装置300は、アンテナ101、高周波処理部102、AD変換部103、信号記録部211、受信処理部105、データ判定部106、受信バッファ107から構成される。図に示すように、本形態例に係る無線通信装置300においては、AD変換部103の直後に信号記録部211が配置され、受信無線信号の記録処理を実行する。
【0123】
本形態例に係る無線通信装置300は、AD変換直後の変調信号を全て記録し、受信した変調信号の状態を解析することを目的とする装置において採用する。なお、この形態例に係る処理動作も、前述した形態例と同様、処理判定命令の記述により実現することができる。すなわち、図29は、形態例2に示す無線通信装置100の等価図の一つである。なお、図29に示すフィードバック信号の入出力関係だけをハードウェア的に有する装置構成でもよい。
【0124】
[形態例8]
本形態例も、形態例2で説明した無線通信装置100の構成を前提とし、具体的な設定条件が与えられた場合における無線通信装置のシステム構成及び処理動作を説明する。
【0125】
図30は、本形態例において選択的に記録・保存する受信無線信号の設定条件(記録条件)である。図30に示す設定条件(記録条件)では、電力検出を有効(ON)に制御し、電力閾値を−100dBmに設定している。また、周波数検出を有効(ON)に制御し、検出する周波数の中心周波数を1575MHz、帯域幅を10MHzに設定している。また、相関検出、同期処理、等化処理、復調処理、復号処理、正誤判定、特性判定を無効(OFF)無効に設定している。すなわち、本形態例では、GPS信号を受信して記録することを目的とする。本設定条件を用いてライセンスバンドを用いた無線信号を記録すると、所望の信号以外の外来信号が入ってくる可能性が少ないため、比較的単純な条件設定でGPS信号の記録が可能となる。
【0126】
図31は、形態例8に対応する無線通信装置において使用するフィードバック信号の入出力関係を分かり易く表した図である。無線通信装置100は、アンテナ101、高周波処理部102、AD変換部103、電力検出部201、周波数検出部202、受信処理部105、受信バッファ107、信号判定部210、信号記録部211、設定条件入力部110、信号出力部111から構成される。各部の有効/無効や閾値は、図30の設定条件に基づいて切り替えられている。もっとも、本形態例に係る無線通信装置は、図31に示すフィードバック信号の入出力関係だけをハードウェア的に有する装置構成でもよい。
【0127】
図32は、形態例8に対応する判定処理命令の記述に基づいた処理動作手順の一例を示す。無線通信装置の電源投入(3201)の後、信号判定部210は、電力検出部201を有効(ON)状態に制御し、閾値を−100dBmに設定する(3202)。次に、信号判定部210は、周波数検出部202を有効(ON)状態に制御し、検出する周波数の中心周波数を1575MHzに、帯域幅を10MHzに設定する(3203)。
次に、信号判定部210は、相関検出部203を無効(OFF)状態に制御する(3204)。
【0128】
次に、信号判定部210は、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207を無効(OFF)状態に設定する(3205)。次に、信号判定部210は、正誤判定部208を無効(OFF)状態に制御する(3206)。次に、信号判定部210は、特性判定部209を無効(OFF)状態に制御する(3207)。
【0129】
以上の初期設定が終了すると、無線通信装置は、受信待機状態を開始する(3208)。無線信号が到来すると、電力検出部201は、電力値を計算し、−100dBmよりも大きいか小さいかを判定する(3209)。電力値が−100dBmよりも小さい場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信しなかった場合)、信号判定部210は受信待機を継続する(3208に戻る)。一方、電力値が−100dBmを越えた場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信した場合)、信号判定部210は何らかの無線信号が到来したと判定し、信号記録を開始する(3210)。
【0130】
次に、信号判定部210は、周波数検出部202から周波数成分の解析結果を取得する。具体的には、信号判定部210は、周波数検出部202からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(3211)。フィードバック信号は、受信無線信号の中心周波数が1575MHzであり、かつ、帯域幅が10MHz以下である場合に周波数検出部202から出力される。判定結果が不適合を意味する場合、信号判定部210は信号記録を停止(3216)し、その時点まで記録していた信号を破棄する(3215)。
【0131】
判定結果が適合を意味する場合、信号判定部210は、受信処理部105に受信処理を指示する(3212)。この指示により、具体的には、同期、等化、復調、復号の各処理が実行される。この後、信号判定部210は、信号記録の停止(3213)と、それまで記録していた信号の保存(3214)とを指示する。以上が、1つの受信無線信号を記録する一連の処理動作であり、その後、信号判定部210は受信待機状態(3208)へと戻る。
【0132】
以上の処理動作が、処理判定命令に基づいて実行される。以上の処理により、図30で設定した条件に適合する無線信号のみが選択的に記録され、適合しない無線信号は破棄される。
【0133】
[形態例9]
次に、形態例2で説明した無線通信装置100の構成を前提とし、具体的な設定条件が与えられた場合における無線通信装置のシステム構成及び処理動作を説明する。
【0134】
図33は、本形態例において選択的に記録・保存する受信無線信号の設定条件(記録条件)である。図33に示す設定条件(記録条件)では、電力検出を有効(ON)に制御し、電力閾値を30dBmに設定している。また、周波数検出を有効(ON)に制御し、検出する周波数の中心周波数を435MHz、帯域幅を10MHzに設定している。また、相関検出、同期処理、等化処理、復調処理、復号処理、正誤判定、特性判定を無効(OFF)無効に設定している。すなわち、本形態例では、違法な大出力で送信されている信号の記録を目的とする。換言すると、この形態例は、明らかに異常と思われる大出力の信号のみを選別し、記録するといった処理を可能とする。
実施例9における無線通信装置の全体構成の例は、図31と同様である。
【0135】
図34は、形態例9に対応する判定処理命令の記述に基づいた処理動作手順の一例を示す。無線通信装置の電源投入(3401)の後、信号判定部210は、電力検出部201を有効(ON)状態に制御し、閾値を30dBmに設定する(3402)。次に、信号判定部210は、周波数検出部202を有効(ON)状態に制御し、検出する周波数の中心周波数を435MHzに、帯域幅を10MHzに設定する(3403)。
【0136】
次に、信号判定部210は、相関検出部203を無効(OFF)状態に制御する(3404)。次に、信号判定部210は、同期処理部204、等化処理部205、復調処理部206、復号処理部207を無効(OFF)状態に設定する(3405)。次に、信号判定部210は、正誤判定部208を無効(OFF)状態に制御する(3406)。次に、信号判定部210は、特性判定部209を無効(OFF)状態に制御する(3407)。
【0137】
以上の初期設定が終了すると、無線通信装置は、受信待機状態を開始する(3408)。無線信号が到来すると、電力検出部201は、電力値を計算し、30dBmよりも大きいか小さいかを判定する(3409)。電力値が30dBmよりも小さい場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信しなかった場合)、信号判定部210は受信待機を継続する(3408に戻る)。一方、電力値が30dBmを越えた場合(信号判定部210が電力検出部201からフィードバック信号を受信した場合)、信号判定部210は記録候補である何らかの無線信号が到来したと判定し、信号記録を開始する(3410)。
【0138】
次に、信号判定部210は、周波数検出部202から周波数成分の解析結果を取得する。具体的には、信号判定部210は、周波数検出部202からフィードバック信号が受信されるか否かを判定する(3411)。フィードバック信号は、受信無線信号の中心周波数が435MHzであり、かつ、帯域幅が10MHz以下である場合に周波数検出部202から出力される。
【0139】
判定結果が不適合を意味する場合、信号判定部210は信号記録を停止(3416)し、その時点まで記録していた信号を破棄する(3415)。判定結果が適合を意味する場合、受信処理部105による受信処理を待つ(3412)。具体的には、同期、等化、復調、復号の各処理の実行を待つ。続いて、信号判定部210は、記録の停止(3413)と信号の保存(3414)を指示する。ここまでが1つの無線信号を記録する一連の処理となり、受信待機状態(3408)へと戻る。以上の処理によって、図34で設定した条件に適合する無線信号のみを選択して記録し、適合しない無線信号を破棄することができる。
【符号の説明】
【0140】
100 無線通信装置
101 アンテナ
102 高周波処理部
103 AD変換部
104 信号検出部
105 受信処理部
106 データ判定部
107 受信バッファ
108 信号判定部
109 信号記録部
110 設定条件入力部
111 信号出力部
200 無線通信装置
201 電力検出部
202 周波数検出部
203 相関検出部
204 同期処理部
205 等化処理部
206 復調処理部
207 復号処理部
208 正誤判定部
209 特性判定部
210 信号判定部
211 信号記録部
300 無線通信装置
301 電力変換部
302 電力判定部
401 周波数変換部
402 周波数判定部
501 相関処理部
502 相関判定部
601 キャリア同期部
602 シンボル同期部
603 フレーム同期部
701 チャネル推定部
702 チャネル等化部
801 復調処理部
901 復号処理部
1001 誤り検出部
1002 正誤判定部
1101 特性検出部
1102 特性判定部
1201 信号判定部
1301 信号記録制御部
1302 メモリ
1601 表示装置
1701 外部出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受信無線信号の特徴量を検出する信号検出部と、
前記信号検出部に入力される前の受信無線信号又は信号検出部から出力された受信無線信号を入力して復調する受信処理部と、
前記受信処理部により復調された後の受信無線信号の正誤及び/又は特性を判定するデータ判定部と、
受信無線信号の記録条件を入力する設定条件入力部と、
前記信号検出部、前記受信処理部及び前記データ判定部からフィードバック信号を入力し、当該フィードバック信号の少なくとも一部を使用して受信無線信号が記録条件に適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて、信号処理前の受信無線信号の信号記録部への記録を制御する信号判定部と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記設定条件入力部は、前記信号検出部、前記受信処理部及び前記データ判定部の動作条件及び前記信号判定部の動作条件を記述する判定処理命令を前記記録条件に基づいて生成する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項3】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記信号記録部に記録される前記受信無線信号は、前記信号検出部に入力される受信無線信号である
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項4】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記信号判定部は、前記信号記録部に、前記受信無線信号の記録開始、記録停止、信号保存及び信号破棄を指示する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項5】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記信号検出部は、
前記受信無線信号の電力値を検出する電力検出部と、
前記受信無線信号の周波数成分を検出する周波数検出部と、
前記受信無線信号の相関値を検出する相関検出部と
の少なくとも一部を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の無線通信装置において、
前記信号判定部は、前記相関検出部の実行のオン/オフと動作モードを設定すると共に、前記電力検出部及び前記周波数検出部の判定閾値を個別に設定し、
前記電力検出部、前記周波数検出部及び前記相関検出部は、各判定結果をフィードバック信号として前記信号判定部に出力する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項7】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記受信処理部は、
前記受信無線信号の同期処理を実行する同期処理部と、
前記受信無線信号の等化処理を実行する等化処理部と、
前記受信無線信号の復調処理を実行する復調処理部と、
前記受信無線信号の復号処理を実行する復号処理部と
の少なくとも一部を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の無線通信装置において、
前記信号判定部は、前記同期処理部、前記等化処理部、前記復調処理部及び前記復号処理部の実行のオン/オフを設定すると共に、前記等化処理部、前記復調処理部及び前記復号処理部の判定閾値を個別に設定し、
前記同期処理部、前記等化処理部、前記復調処理部及び前記復号処理部は、それぞれオン動作時における判定結果をフィードバック信号として前記信号判定部に出力する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項9】
請求項1に記載の無線通信装置において、
前記データ判定部は、
前記受信無線信号の正誤を判定する正誤判定部と、
前記受信無線信号の特性を判定する特性判定部と
の少なくとも一部を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項10】
請求項9に記載の無線通信装置において、
前記信号判定部は、前記正誤判定部及び前記特性判定部の実行のオン/オフと判定閾値を個別に設定し、
前記正誤判定部及び前記特性判定部は、それぞれオン動作時における判定結果をフィードバック信号として前記信号判定部に出力する
ことを特徴とする無線通信装置。
【請求項11】
受信無線信号を復調する受信処理部と、
前記受信処理部により復調された後の受信無線信号の正誤及び特性を判定するデータ判定部と、
受信無線信号の記録条件を入力する設定条件入力部と、
前記受信処理部及び前記データ判定部からフィードバック信号を入力し、当該フィードバック信号を使用して受信無線信号が記録条件に適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて、信号処理前の受信無線信号の信号記録部への記録を制御する信号判定部と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項12】
受信無線信号の特徴量を検出する信号検出部と、
前記信号検出部に入力される前の受信無線信号又は信号検出部から出力された受信無線信号を入力して復調する受信処理部と、
受信無線信号の記録条件を入力する設定条件入力部と、
前記信号検出部及び前記受信処理部からフィードバック信号を入力し、当該フィードバック信号の少なくとも一部を使用して受信無線信号が記録条件に適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて、信号処理前の受信無線信号の信号記録部への記録を制御する信号判定部と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項13】
受信無線信号を記録する信号記録部と、
前記受信無線信号を復調する受信処理部と、
前記受信処理部により復調された後の受信無線信号の正誤及び/又は特性を判定するデータ判定部と、
受信無線信号の記録条件を入力する設定条件入力部と、
前記受信処理部及び前記データ判定部からフィードバック信号を入力し、当該フィードバック信号の少なくとも一部を使用して受信無線信号が記録条件に適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて、信号処理前の受信無線信号の信号記録部への記録を制御する信号判定部と
を有することを特徴とする無線通信装置。
【請求項14】
受信無線信号の記録条件を入力する設定条件入力部と、
受信無線信号の特徴量を検出する信号検出部と、前記信号検出部に入力される前の受信無線信号又は信号検出部から出力された受信無線信号を入力して復調する受信処理部と、前記受信処理部により復調された後の受信無線信号の正誤及び/又は特性を判定するデータ判定部からフィードバック信号を入力し、当該フィードバック信号の少なくとも一部を使用して受信無線信号が記録条件に適合するか否かを判定し、判定結果に基づいて、信号処理前の受信無線信号の信号記録部への記録を制御する信号判定部と
を有することを特徴とする信号処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−98670(P2013−98670A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238169(P2011−238169)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】