説明

無線基地局装置における周波数割当て方法、及び無線基地局装置

【課題】隣接セルや隣接セクタからの干渉を少なくした周波数割当て方法等を提供する。
【解決手段】無線基地局装置において前記無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、分割された各セクタに周波数を割当てるようにした、無線基地局装置における周波数割当て方法において、前記セルの範囲を外円、前記外円より前記無線基地局装置に距離が近い範囲を内円とし、前記セルを更に前記外円と前記内円とに分割し、前記セクタの前記外円に位置する第1の端末装置には、同一セルの隣接セクタに位置する第2の端末装置とは異なる周波数を割当てるとともに、隣接セルの隣接セクタに位置する第3の端末装置とは異なる周波数を割当て、前記第1の端末装置に割当てた前記周波数を、前記第1の端末装置の位置する前記セクタに対して2つ隣に配置される2つのセクタの前記内円に夫々位置する第4及び第5の端末装置に割当てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線基地局装置における周波数割当て方法、及び無線基地局装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、FDMA(Frequency Division Multiple Access:周波数分割多元接続)や、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access:直交周波数分割多元接続)などの通信方式は、隣接セルとの干渉を回避するため、システム全体に割当てられた周波数を分割し、隣接セルに異なる周波数を割当てる方法が用いられている(例えば、以下の特許文献1)。
【0003】
図13は、かかる周波数割当て方法を説明するための図である。同図に示すように、本方法は例えば3つのセル(セル#A〜セル#C)に異なる周波数(f1〜f3)を夫々割当てる。セル境界付近において異なるセルに位置する2つの端末装置は、互いに周波数が異なるため干渉の問題が少なく、良好な品質で基地局装置と通信できる。
【0004】
図14、図15(A)乃至同図(C)は、上記特許文献1に記載された他の周波数割当て方法の例を示す図である。図13等に示すように、各セルにおいて基地局に近い領域では共通の周波数(f4)が割当てられ、隣接セルとの境界に近い領域では隣接セルと異なる周波数(f1〜f3)が割当てられる。
【0005】
隣接セルに異なる周波数を割当てるようにした周波数割当て方法(図11)では、各セルにおける周波数利用効率は全周波数に対して「1/3」である。一方、共通の周波数を使用しつつ隣接セルに異なる周波数を割当てる周波数割当て方法(図12等)は、周波数利用効率は「2/4=1/2」である。共通の周波数を用いる方が、周波数効率は良い。
【0006】
他方、セル構成の方法として、「オムニセル」と「セクタセル」がある。「オムニセル」とは基地局装置において無指向性アンテナを用いて構成したセルである。また、指向性アンテナを用いて構成したセルが「セクタセル」である。図16は「オムニセル」、図17は「3セクタセル」によるセル構成の例を示す図である。ともに、3種類の周波数「f1」〜「f3」を用い隣接セル間や隣接セクタ間で異なる周波数が割当てられる。
【0007】
ここで、周波数「f1」が割当てられたセルやセクタに着目すると、「オムニセル」(図16)では隣接する6個のセルの各基地局装置100から電波が到来するため、干渉の発生する可能性が高い。一方、「3セクタセル」(図17)では、指向性アンテナを用いているため斜め左上方向の基地局装置からの電波は受信せず、その分「オムニセル」の場合と比較して干渉は少ない。
【0008】
図18は「6セクタセル」の例を示す図である。「6セクタセル」では、隣接するセクタ間で異なる周波数が割当てられ、各セクタにおいてその周波数利用効率は「1/6」となる。
【特許文献1】特開2004−159345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように「セクタセル」は「オムニセル」と比較して干渉の発生は少ない。共通の周波数を利用した周波数割当て方法(図14)は「オムニセル」によるセル構成である。この周波数割当て方法を「セクタセル」に適用することで、干渉の発生を少なくさせることができる。
【0010】
しかし、「セクタセル」は「オムニセル」と比較して周波数の利用効率が低下する。例えば、図14に示すような「オムニセル」による周波数割当ての利用効率は「1/2」であり、図18に示す「6セクタセル」による周波数割当ての利用効率は「1/6」となる。
【0011】
そこで、一目的は周波数の利用効率が高い無線基地局装置における周波数割当て方法、及び無線基地局装置を提供することにある。
【0012】
また、他の目的は隣接セルや隣接セクタからの干渉を少なくした周波数割当て方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一態様によれば、端末装置と無線通信を行う無線基地局装置において前記無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、分割された各セクタに周波数を割当てるようにした、無線基地局装置における周波数割当て方法において、前記セルの範囲を外円、前記外円より前記無線基地局装置に距離が近い範囲を内円とし、前記セルを更に前記外円と前記内円とに分割し、前記セクタの前記外円に位置する第1の端末装置には、同一セルの隣接セクタに位置する第2の端末装置とは異なる周波数を割当てるとともに、隣接セルの隣接セクタにおける外円に位置する第3の端末装置とは異なる周波数を割当て、前記第1の端末装置に割当てた前記周波数を、前記第1の端末装置の位置する前記セクタに対して2つ隣に配置される2つのセクタの前記内円に夫々位置する第4及び第5の端末装置に割当てる。
【0014】
また、他の態様によれば、端末装置と無線通信を行う無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、6つに分割された各セクタに周波数を割当てるようにした、無線基地局装置における周波数割当て方法において、前記無線基地局装置に対する通信品質の測定結果を前記端末装置から受信し、第1のテーブルに基づいて、前記測定結果から前記端末装置が前記セル範囲である外円に位置するか、前記外円よりも前記無線基地局装置に距離が近い範囲である内円に位置するかを示す位置情報を求め、第2のテーブルに基づいて、前記位置情報から前記端末装置へ割当てる前記周波数を選択し、第3のテーブルに基づいて、前記位置情報から前記端末装置への送信電力値を選択し、前記選択した周波数と送信電力値で前記端末装置との間でデータを送受信する。
【0015】
さらに、他の態様によれば、端末装置と無線通信を行う無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、分割された各セクタに周波数を割当てる無線基地局装置において、前記端末装置に対する通信品質の測定結果と、前記端末装置が前記セル範囲である外円に位置するか前記外円よりも前記無線基地局装置に距離が違い内円に位置するかを示す位置情報とを含む第1のテーブルと、前記位置情報と前記端末装置に割当てる周波数とを含む第2のテーブルと、前記位置情報と前記端末装置への送信電力値とを含む第3のテーブルとを記憶した記憶部と、前記測定結果を前記端末装置から受信し、前記第1のテーブルに基づいて前記測定結果から前記位置情報を取得し、前記第2のテーブルに基づいて前記取得した位置情報から割当てるべき前記周波数を選択し、前記第3のテーブルに基づいて前記取得した位置情報から前記端末装置への送信電力値を選択し、前記選択した周波数と送信電力値で前記端末装置との間で無線通信を行う制御部とを備える。
【発明の効果】
【0016】
周波数の利用効率が高い無線基地局装置における周波数割当て方法、及び無線基地局装置を提供することができる。また、隣接セルや隣接セクタからの干渉を少なくした周波数割当て方法等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態について以下説明する。
【0018】
図1は移動通信システム1の構成例を示す図である。移動通信システム1は、端末装置10と、無線基地局装置(以下、「基地局装置」)20‐1〜20‐nと、網接続装置40‐1〜40‐mと、通信網60とを備える。
【0019】
端末装置10は、例えば、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯情報端末である。
【0020】
基地局装置20‐1〜20‐nは、端末装置10と網接続装置40‐1〜40‐mとの間に接続され、無線回線と有線回線の変換や中継、回線管理、通信制御等を行う。詳細は後述する。
【0021】
網接続装置40‐1〜40‐mは、通信網60と基地局装置20‐1〜20‐nとのインターフェースであり、有線回線や端末装置10の状態等を管理する。
【0022】
本移動通信システム1において、端末装置10は、基地局装置20‐1〜20‐nの通信可能範囲であるセルを移動しながら、当該セルを構成する基地局装置20‐1〜20‐nと無線通信を行う。尚、本実施例において、各セルは「セクタセル」により構成され、基地局装置20‐1〜20‐nは指向性のアンテナを備える。
【0023】
図2は基地局装置20‐1〜20‐n(以下では、基地局装置20とする)の構成例を示す図である。
【0024】
基地局装置20は、制御部21と、無線送受信部22と、第1〜第6のアンテナ23‐1〜23‐6と、測定部24と、有線連結部25、及び記憶部26を備える。
【0025】
制御部21は、無線送受信部22、測定部24、有線連結部25、及び記憶部26と接続され、各種制御を行う。制御部21の詳細は後述する。
【0026】
無線送受信部22は、無線信号と有線信号との変換等を行い、無線通信による送受信信号を送受信する。無線送受信部22は、更に、第1〜第6のセクタRF部22‐1〜22‐6を備える。第1〜第6のセクタRF部22‐1〜22‐6は、夫々、第1〜第6のアンテナ23‐1〜23‐6と接続され、制御部21の制御により、予め割当てられた周波数の無線信号を所定送信レベルで各アンテナ23‐1〜23‐6に出力する。また、第1〜第6のセクタRF部22‐1〜22‐6は、夫々、第1〜第6アンテナ23‐1〜23‐6で受信した端末装置10からの無線信号を制御部21や測定部24に出力する。
【0027】
第1〜第6のアンテナ23‐1〜23‐6は、第1〜第6のセクタRF部22‐1〜22‐6からの送信信号を端末装置10に無線送信し、端末装置10から送信された無線信号を受信し第1〜第6のセクタRF部22‐1〜22‐6に出力する。第1〜第6のアンテナ23‐1〜23‐6は夫々異なる方向を向き、各々の方向に対して無線信号を送受信する、いわゆる、指向性を有するアンテナである。第1〜第6の6個のアンテナ23‐1〜23‐6を用いているため各セルは6個のセクタからなる「6セクタセル」で構成される。
【0028】
測定部24は、共通パイロット信号等を生成して無線送受信部22等に出力し、その測定結果を端末装置10から受信等することにより、配下の端末装置10の位置を測定する。
【0029】
有線連結部25は、網接続装置40‐1〜40‐mと接続され、制御部21を介して無線送受信部22からの信号を網接続装置40‐1〜40‐mに出力するとともに、網接続装置40‐1〜40‐mからの信号を制御部21に出力する。
【0030】
記憶部26は、後述する内円外円在圏判定参照テーブルや、周波数配置参照テーブル、最大送信電力参照テーブル、優先周波数選択参照テーブルなどの各テーブルを記憶する。
【0031】
次に、本実施例における周波数配置の例について説明する。図3は周波数配置の例を示す図である。一つの六角形が一つの基地局装置20におけるセル範囲を示す。各セルは所謂「6セクタセル」により構成され、6個のセクタに分割される。また、各セルは内円と外円とに分割され、セクタの内円と外円とで異なる周波数が配置される。図4に示す周波数の配置は、各セクタの外円に、隣接セルの隣接セクタと異なる周波数が配置される。基地局装置20Aのセルに着目すると、各セクタ201〜206の外円に夫々「f1」〜「f6」が順に配置される。そして、同一セル内において、外円で使用された周波数を120°ずれた方向の2つのセクタ(当該セクタから2つ隣の2つのセクタ)の内円に当該周波数を配置する。基地局装置20Aのセルに着目すると、セクタ201の外円に割当てられた周波数「f1」は、同一セル内の120°ずれた方向の2つのセクタ203,205の内円に配置される。同様にして順次内円に周波数を配置させると、図3に示すような周波数配置となる。各セクタの内円や外円に端末装置10が位置すると、図3に示す周波数が割当てられる。
【0032】
また、本実施例における周波数配置では、外円で使用される周波数は内円でも使用可能である。例えば、基地局装置20Aのセクタ201では、外円で使用される周波数「f1」は内円でも使用可能である。
【0033】
図4(A)は基地局装置20Cのセクタ217に配置される周波数とそのレベルを示す図であり、同図(B)はセクタ218に配置される周波数とそのレベルの例を示す図である。図4(A)に示すように、セクタ217に電波を送信するアンテナ23‐2は周波数「f2」の出力レベルを大、周波数「f4」、「f6」の出力レベルを小として信号を無線送信する。一方、セクタ218に電波を送信するアンテナ23‐3は周波数「f1」、「f3」、「f5」を送信し、その送信レベルは夫々「小」、「大」、「小」とする。送信レベルを「大」にすることで、セクタの外円に電波を送信できる。
【0034】
次に、図3に示す周波数配置の通信品質について説明する。図3に示す中点Aと中点Bを評価点とし、これらの点における通信品質について説明する。
【0035】
まず、中点Aにおける通信品質について説明する。図5は中点Aの通信品質を説明するための図であり、説明を分かり易くするため図3に対して右周りに30度移動させた図である。
【0036】
ここで、着目する周波数をf1とする。中点Aは、3つの基地局装置20A,20B,20Cから等距離にある点であり、基地局装置20Aのセクタ201に対応するアンテナ23‐1からの電波が希望波、基地局装置20Bのセクタ263と、基地局装置20Cのセクタ220と、基地局装置20Dのセクタ221とセクタ225、基地局装置20Eのセクタ231と、基地局装置20Fのセクタ241と、基地局装置20Gのセクタ261とセクタ262の各セクタに対応する各アンテナ23‐1〜23‐6からの電波が干渉波となる。
【0037】
このように中点Aは、基地局20Aのセル端(またはその外側)に位置し、かつ隣接基地局20B等からの干渉波を受信する最も厳しい位置である。よって、中点Aの通信品質を計算することで、図3に示す周波数割当てが一定の品質を満たすか否かを判別できる。
【0038】
ここで、各セクタのアンテナ指向性を鑑み、当該中点Aに対してそのアンテナ方向が左右90度以上のセクタからの干渉は無視する(図5の点線網かけで示すセクタ)。例えば、基地局20Aのセクタ203や基地局20Cのセクタ218でも周波数f1を使用するが、これらはアンテナ方向が中点Aに対して後ろ方向であり、所謂フロントバック比が25dB程度取れる(アンテナ方向の利得に対して25dB=300分の1の減衰がある)ことから干渉は無視できる。以降も同様に、アンテナ方向が観測点(中点Aや中点Bなど)に対して左右90度以上の場合は干渉を無視できるものとして、干渉計算を行う。
【0039】
中点Aにおける、各基地局装置20A〜20G(の各セクタ201等に対応する各アンテナ23‐1〜23‐6)からの周波数f1の受信電力(先に無線できるとしたセクタからの受信電力は含まない)、つまりセクタ201,263,220,221,231,241,261,225,262からの受信電力をPr1〜Pr9(dBm)とし、各基地局装置20A〜20Gの上記各セクタからの送信電力をPt1〜Pt9(dBm)、各基地局装置20A〜20Gから中点Aまでの電力の伝播損失をL1〜L9(dB)とする。このとき、中点Aにおける周波数f1の信号対干渉比SIRは、
[数1]
〔SIR〕=〔Pr1〕/(〔Pr2〕+〔Pr3〕+〔Pr4〕+〔Pr5〕+〔Pr6〕+〔Pr7〕+〔Pr8〕+〔Pr9〕
となる。ここで、〔 〕はdBの真値を示す。[数1]を変形すると、
[数2]
〔SIR〕=〔(Pt1−L1)〕/{〔(Pt2−L2)〕+〔(Pt3−L3)〕+〔(Pt4−L4)〕+〔(Pt5−L5)〕+〔(Pt6−L6)〕+〔(Pt7−L7)〕+〔(Pt8−L8)〕+〔(Pt9−L9)〕}
となる。
【0040】
ここで、基地局装置20A,20B,20Cの中点Aは、各基地局装置20A,20B,20Cから等距離にあるため、各基地局装置20A,20B,20Cの各アンテナ23‐1〜23‐6からの伝播損失は同じであり、L1=L2=L3とおける。
【0041】
また、基地局装置20Aから中点Aまでの距離をrとしたとき、基地局装置20E、20Fから中点Aまでの距離は、2.65rとおける。一般に、送信電力の減衰量は距離の3.5乗に比例して減衰し(減衰係数3.5乗則)、以下の式が成り立つ。
【0042】
[数3]
距離rでの減衰量と距離Rでの減衰量との比=(R/r)3.5
この数3をデシベル値で表すと、
[数31]
減衰量の比=35log(R/r)(dB)
となる。
【0043】
よって、基地局装置20Eのセクタ231と、基地局装置20Fのセクタ241の方向に対応するアンテナ23‐1から中点Aまでの送信電波の減衰量と距離rにおける減衰量との比は、35log(2.65)≒14.8(dB)となり、
[数4]
L5=L6=L1+14.8
が成立する。
【0044】
さらに、基地局装置20D,20Gから中点Aへの距離は2rとおけるため、基地局装置20Dのセクタ221,225と基地局装置20Gのセクタ261,262の各方向に対応する各アンテナ23‐1〜23‐6から中点Aまでの減衰量と距離rにおける減衰量との比は、35log(2)≒10.5(dB)となる。ただし、この場合、各アンテナ23‐1〜23‐6の指向方向は中点Aに対して60°傾いた方向を向いているため、アンテナ23‐1〜23‐6の性質から通常約13(dB)程度の減衰がある。よって、
[数5]
L4=L7=L8=L9=L1+10.5+13=L1+23.5
が成立する。
【0045】
また、基地局装置20Aのセクタ201、基地局装置20Dのセクタ221、基地局装置20Eのセクタ231、基地局装置20Fのセクタ241、及び基地局装置20Gのセクタ261の方向に対応するアンテナ23‐1は、周波数「f1」に関して外円に送信する電波である。
【0046】
一方、基地局装置20Bのセクタ263、基地局装置20Cのセクタ220、基地局装置20Dのセクタ225、及び基地局装置20Gのセクタ262の各方向に対応する各アンテナ23‐1〜23‐6は、周波数「f1」に関して内円に送信する電波である。
【0047】
ここで、内円と外円の送信電力比をSとおくと、
[数6]
Pt1=Pt4=Pt5=Pt6=Pt7
[数7]
Pt2=Pt3=Pt8=Pt9=Pt1+S
が成立する。
【0048】
[数4]から[数7]を全て[数2]に代入すると、[数2]は
[数8]
〔SIR〕=〔(Pt1−L1)〕/{〔(Pt1+S)−L1〕+〔(Pt1+S)−L1〕+〔Pt1−(L1+23.5)〕+〔Pt1−(L1+14.8)〕+〔Pt1−(L1+14.8)〕+〔Pt1−(L1+23.5)〕+〔(Pt1+S)−(L1+23.5)〕+〔(Pt1+S)−(L1+23.5)〕}
となる。〔 〕はdBに対する真値であることに注意して計算を進めると、[数8]の右辺は〔Pt1−L1〕が分母と分子で消去される。さらに、[数8]は、SIR=2(dB)を代入することにより、S≒−5.6(dB)を得る。
【0049】
すなわち、中点Aにおける通信品質については、各基地局装置20A〜20Gにおいて内円の送信電力を外円の送信電力より約「5.6dB」小さくすれば、中点Aにおいて一定の品質(例えば、SIR=2dB)を満足することができる。
【0050】
次に、中点Bにおける通信品質について説明する。中点Aでの外円における周波数f1の干渉計算に対応して、例えば基地局装置20Bのセクタ263の内円の中点で周波数f1の干渉計算を行うべきであるが、セクタやアンテナ方向の関係をわかりやすく説明するため干渉計算するポイントを基地局装置20Aのセクタ201の内円の中点とし、着目する周波数をf5とする。f5において計算を行った結果はセクタ263でf1の計算を行うのと同等である。
【0051】
図6は中点Bの通信品質を説明するための図であり、説明を分かり易くするため図3に対して右周りに30度移動させた図である
この場合、基地局装置20Aのセクタ201の方向に対応するアンテナ23‐1からの電波が希望波、基地局装置20Bのセクタ263、基地局装置20Cのセクタ220、基地局装置20Dのセクタ221,225、基地局装置20Eのセクタ231、基地局装置20Fのセクタ241、基地局装置20Gのセクタ261,262の各方向に対応する各アンテナ23‐1〜23‐6からの電波が干渉波となる。以上のセクタ以外にも周波数f5を使用するセクタは存在するが、アンテナ方向とアンテナ指向性の関係から干渉電力を無視できる。
【0052】
中点Bは、セクタを内円と外円に分割したとき、セクタ内の基地局装置20Aからの希望波を受信でき、かつ、隣接基地局装置20Cからセクタ220の外円(周波数f5)に送信する送信電力の大きい電波が干渉となり、外円と内円の境界で一定の品質を満たすか否かを判別するためのポイントである。
【0053】
中点Bにおける周波数f5信号対干渉比SIRは、
[数9]
〔SIR〕=〔Pr1〕/(〔Pr2〕+〔Pr3〕+〔Pr4〕+〔Pr5〕+〔Pr6〕+〔Pr7〕+〔Pr8〕+〔Pr9〕)
となる。
【0054】
基地局装置20Aから中点Bまでの距離を0.87rx(rは外円の半径、xは外円の半径rに対して内円が一定の品質になるときの外円の半径に対する内円の半径の比)としたとき、基地局装置20B及び基地局装置20Dから中点Bまでの距離は、0.87(x−2x+4)−0.5となるため、基地局装置20Aから中点Bまでの減衰量と基地局装置20B,20Dから中点Bまでの減衰量との比は、35log{(x−2x+4)−0.5/x}=La(dB)となる。基地局装置20Dのセクタ221のアンテナ指向方向は中点Bに対して60度以上傾いているため、アンテナの性質から約13dB程度の減衰がある。よって、
[数101]
L2=L8=L1+La
[数102]
L4=L1+La+13
となる。
【0055】
基地局装置20Aから中点Bまでの減衰量と、基地局装置20Cから中点Bまでの減衰量との比は、35log{(2−x)/x}=Lb(dB)となり、
[数103]
L3=L1+Lb
が成立する。
【0056】
基地局装置20Aから中点Bまでの減衰量と基地局装置20Eと基地局装置20Gから中点Bまでの減衰量との比は35log{(x+2x+4)−0.5/x}=Lc(dB)となる。基地局装置20Gのセクタ261のアンテナ指向方向は中点Bに対して60度以上傾いているため、アンテナの性質から約13dB程度の減衰がある。よって、
[数104]
L5=L9=L1+Lc
[数105]
L7=L1+Lc+13
となる。
【0057】
基地局装置20Aから中点Bまでの減衰量と基地局装置20Fから中点Bまでの減衰量との比は35log{(3−x)/x}=Ld(dB)となり、
[数106]
L6=L1+Ld
が成立する。
【0058】
基地局装置20Aのセクタ201、基地局装置20Bのセクタ263、基地局装置20Dのセクタ221、基地局装置20Eのセクタ231、基地局装置20Fのセクタ241、及び基地局装置20Gのセクタ261、262の各方向に対応する各アンテナ23−1〜23−6は、周波数「f5」に関して内円に送信する電波である。
【0059】
一方、基地局装置20Cのセクタ220、基地局装置20Dのセクタ225の方向に対応するアンテナ23‐5は、周波数「f5」に関して外円に送信する電波である。内円と外円の送信電力比Sについて「−5.6dB」を条件としたとき、
[数107]
Pt1=Pt2=Pt4=Pt5=Pt6=Pt7
[数108]
Pt3=Pt8=Pt1−S=Pt1+5.6
となる。
【0060】
ここで、[数101]から[数108]を[数9]に代入すると、
[数11]
〔SIR〕=〔0〕/{〔−La〕+〔−S−Lb〕+〔−La−13〕+〔−Lc〕+〔−Ld〕+〔−Lc−13〕+〔−S−La〕+〔−Lc〕}
=〔0〕/{〔−La〕+〔5.6−Lb〕+〔−La−13〕+〔−Lc〕+〔−Ld〕+〔−Lc−13〕+〔5.6−La〕+〔−Lc〕}
となる。
【0061】
この[数11]において、SIR=2dBとなるxを求めるとx=0.70(基地局20Aの外円を1とすると内円は0.7の半径)となり、Lb=35log{(2−0.70)/0.70}=9.4dBを得る。
【0062】
すなわち、基地局装置20Aと中点B間と、基地局装置20Bと中点B間との伝播損失比が9.4dBあれば、中点Bにおいて(基地局装置20Bのセクタ263の内円において)、通信品質(2dB)を満たすことができる。ここで、伝播損失、つまり、減衰量は[数3]に従うため減衰量が9.4dBのとき距離比RはR≒1.9となる。
【0063】
すなわち、中点Bにおける通信品質については、内円と外円の送信電力比を約5.6dB、基地局装置20Aと中点B間と、基地局装置20Bと中点B間との距離の比が約1.9あれば、一定の通信品質(例えば、SIR=2dB)を満たすことができる。
【0064】
次に、図3に示す周波数を端末装置に割当てる場合の動作について説明する。図7は、基地局装置20の制御部21で実行する処理のフローチャートを示し、図8乃至図10は、処理の際に用いられるテーブルの例であり、夫々、内円外円在圏判定参照テーブル251、周波数配置参照テーブル252、最大送信電力参照テーブル253の各例を示す図である。各テーブル251〜253は記憶部26に記憶される。
【0065】
図7に示すように、制御部21は本処理を開始すると(S20)、共通チャネル信号に対する測定結果を受信する(S21)。測定結果は、例えば、制御部21の制御により共通チャネル信号が各アンテナ23‐1〜23‐6から送信され、端末装置10が共通チャネル信号に対する干渉比SIRを測定して基地局装置20に送信することで得ることができる。制御部21は、端末装置10と基地局装置20との通信品質に対する測定結果を受信すればよい。
【0066】
次いで、制御部21は、端末装置10が外円に在圏しているか内円に在圏しているかを、内円外円在圏判定参照テーブル251を参照して判定する(S22)。図8に示すように、測定結果であるSIRが10.9(dB)以上のとき、制御部21は端末装置10が内円に在圏していると判定し、10.9(dB)より小さいとき外円に在圏していると判定する。勿論、この「10.9dB」は一例でありそれ以外の閾値でもよい。
【0067】
次いで、制御部21は、周波数配置参照テーブル252から周波数群を選択する(S23)。図9は基地局装置20Cの周波数配置参照テーブル252の例である。周波数配置参照テーブル252は、端末装置10が位置するセクタ番号と、端末装置10が在圏するエリア(内円か外円か)とから構成される。制御部21は、S22で求めた内円又は外円の情報と、S21で測定結果とともに受信したセクタ情報とから、周波数配置参照テーブル252を参照する。
【0068】
ここで、セクタ情報について説明すると、まず、基地局装置20の各セクタに対応するアンテナ23‐1〜23‐6からは制御部21の制御により共通パイロット信号が送信される。このとき当該セクタ内に在圏する端末装置10は共通パイロット信号に対するSIR等を測定しその結果を基地局装置20に送信するが、かかる測定結果を受信するのはアンテナ23‐1〜23‐6(又はセクタRF部22‐1〜22‐6)のうち、いずれか一つである。また、各アンテナ23‐1〜23‐6の向きは一定であり、どのセクタに対応するかも決められている。従って、測定結果を受信したアンテナ23‐1〜23‐6からどのセクタに端末装置10が位置するかの情報を得ることができる。例えば、測定結果を受信したセクタRF部22‐1〜22‐6からセクタ情報が制御部21に出力される。
【0069】
また、制御部21は、周波数群を選択するときに、最大送信電力参照テーブル253を参照し、送信電力値も選択する。図10に示す最大送信電力参照テーブル253は、基地局装置20Cにおける例である。同図に示すように、外円と内円とにより送信電力値が異なる。また、基地局最大送信電力設定値は下り方向(基地局装置20から端末装置10への通信方向)の電力値であり、移動局最大送信電力設定値は上り方向(端末装置10から基地局装置20への方向)の電力値を示す。
【0070】
図7に戻り、次いで、制御部21は選択した周波数と送信電力値によりデータを送受信する(S24)。そして、一連の処理が終了する(S25)。勿論、端末装置10が内円から外円、あるセクタから他のセクタに移動した場合、測定結果に基づき各テーブル251〜253を参照して、他の周波数と他の送信電力値によりデータを送受信する。
【0071】
図3に示すように、各基地局装置20A〜20Gにおいて各セクタにおける周波数利用効率は、「3/6=1/2」となる。したがって、「6セクタセル」による場合(図18)よりも、本方法の方が効率は良い。また、共通の周波数を用いた図14の場合と比較すると、利用効率はともに「1/2」で同じであるものの、本方法は「セクタセル」により各セクタや各セルが構成されるため、「オムニセル」である図14と比較して、干渉は少ない。よって、本実施例によれば、周波数の利用効率が高い基地局装置を提供することができる。また、本実施例によれば、隣接セルや隣接セクタからの干渉を少なくした基地局装置を提供できる。
【0072】
次に他の実施例について説明する。上述した実施例では、各セクタの内円では外円に割当てる周波数を用いて通信を行うこともできる。しかし、例えば、端末装置10の数が内円で非常に多くなったとき、外円で割当てられるべき周波数を内円で割当て過ぎてしまい、外円で割当てるべき周波数が枯渇してしまうことも考えられる。そこで、本例では、内円で使用できる周波数に対して制限を設けることでかかる事態を回避するようにしている。
【0073】
図11は本例における処理のフローチャートの例を示し、図12は優先周波数選択参照テーブル254の例を示す図である。優先周波数選択参照テーブル254は、記憶部26に記憶される。
【0074】
本例における動作は、制御部21が周波数配置参照テーブル252から周波数群を選択するとき(図5のS23)に行われる。周波数配置参照テーブル252に従って、制御部21は内円と外円に周波数を割当てる(S231)。
【0075】
次いで、制御部21は、内円だけ使用できる周波数を割当てることができるか否かを判断する(S232)。制御部21は、優先周波数選択参照テーブル254を参照して判断する。具体的には以下のように判断する。
【0076】
すなわち、制御部21は、優先周波数選択参照テーブル254を参照して、内円に割当てられた周波数が「低優先」か「優先」か、を求める。「優先」のときは、「内円だけで使用できる周波数」をそのまま割当てる(S232でYes、S233)。
【0077】
また、内円に割当てた周波数が「低優先」のとき、「優先」の周波数に空きがあれば、「低優先」から「優先」の周波数に割当てを変更する(S232でYes、S233)。「優先」の周波数に空きがないと、そのまま「低優先」の周波数を使用する(S232でNo、S234)。
【0078】
例えば、内円に割当てられた周波数が「f1」のとき、優先周波数選択参照テーブル254を参照すると、「低優先」ではあるものの、「優先」の周波数である「f3」、「f5」のリソースに空きがあると、「f3」または「f5」の周波数を割当てる。
【0079】
つまり、本例では、内円に割当てる周波数については「内円だけで使用できる周波数」を優先的に割当て、内円に在圏する端末装置数が閾値よりも多く「内円だけで使用できる周波数」を割当てることができないと、「外円でも使用できる周波数」を割当てる。これにより、外円のおいて割当てるべき周波数を内円で使いすぎてしまって枯渇する、という問題を解消することができる。
【0080】
以上まとめると付記のようになる。
【0081】
(付記1)
端末装置と無線通信を行う無線基地局装置において前記無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、分割された各セクタに周波数を割当てるようにした、無線基地局装置における周波数割当て方法において、
前記セルの範囲を外円、前記外円より前記無線基地局装置に距離が近い範囲を内円とし、前記セルを更に前記外円と前記内円とに分割し、
前記セクタの前記外円に位置する第1の端末装置には、同一セルの隣接セクタに位置する第2の端末装置とは異なる周波数を割当てるとともに、隣接セルの隣接セクタにおける外円に位置する第3の端末装置とは異なる周波数を割当て、
前記第1の端末装置に割当てた前記周波数を、前記第1の端末装置の位置する前記セクタに対して2つ隣に配置される2つのセクタの前記内円に夫々位置する第4及び第5の端末装置に割当てる、
ことを特徴とする周波数割当て方法。
【0082】
(付記2)
更に、前記内円に位置する前記第4及び第5の端末装置への送信電力を、前記外円に位置する前記第1の端末装置への送信電力よりも、約5.6dB小さくして、データを前記第1若しくは前記第4及び第5の端末装置に送信する、
ことを特徴とする付記1記載の周波数割当て方法。
【0083】
(付記3)
前記セルを前記外円と前記内円とに分割するとき、前記無線基地局装置から前記内円までの距離と、前記隣接セルの無線基地局装置から前記内円までの距離との比が約1.9になるように前記内円を分割することを特徴とする付記2記載の周波数割当て方法。
【0084】
(付記4)
前記第1の端末装置に割当てた前記周波数を前記第4及び第5の端末装置に割当てるときに、当該周波数を前記第4及び第5の端末装置に優先して割当て、前記第4又は第5の端末装置数が第1の閾値を超えて当該周波数を割当てることができなくなったときに、前記第4又は第5の端末装置には、前記第4又は第5の端末装置の位置する前記内円と同一セクタの前記外円に位置する第6の端末装置に割当てるべき周波数を割当てることを特徴とする付記1記載の周波数割当て方法。
【0085】
(付記5)
端末装置と無線通信を行う無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、6つに分割された各セクタに周波数を割当てるようにした、無線基地局装置における周波数割当て方法において、
前記無線基地局装置に対する通信品質の測定結果を前記端末装置から受信し、第1のテーブルに基づいて、前記測定結果から前記端末装置が前記セル範囲である外円に位置するか、前記外円よりも前記無線基地局装置に距離が近い範囲である内円に位置するかを示す位置情報を求め、
第2のテーブルに基づいて、前記位置情報から前記端末装置へ割当てる前記周波数を選択し、
第3のテーブルに基づいて、前記位置情報から前記端末装置への送信電力値を選択し、
前記選択した周波数と送信電力値で前記端末装置との間でデータを送受信する、
ことを特徴とする周波数割当て方法。
【0086】
(付記6)
前記選択した周波数と送信電力値で前記端末装置にデータを送信するとき、前記無線基地局装置は、前記内円に位置する前記端末装置への送信電力を、前記外円に位置する前記端末装置への送信電力よりも、約5.6dB小さくして、前記データを送信することを特徴とする付記5記載の周波数割当て方法。
【0087】
(付記7)
前記無線基地局装置から前記内円までの距離と、前記隣接セルの無線基地局装置から前記内円までの距離との比が約1.9になるように、前記各セルにおいて前記内円が構成されることを特徴とする付記6記載の周波数割当て方法。
【0088】
(付記8)
前記端末装置に割当てる前記周波数を選択するとき、前記内円に位置する前記端末装置に対して優先的に当該周波数を割当て、前記内円に位置する前記端末装置の数が第2の閾値を超えて当該周波数を割当てることができなくなったときに、前記内円と同一セクタの前記外円に割当てるべき周波数を選択することを特徴とする付記6記載の周波数割当て方法。
【0089】
(付記9)
前記第1のテーブルは前記測定結果に対する第3の閾値が記憶され、
前記位置情報を求めるとき、前記測定結果が前記第3の閾値より小さい場合前記端末装置は前記外円に位置すると判定し、前記測定結果が前記第3の閾値以上の場合前記端末装置は前記内円に位置すると判定することを特徴とする付記6記載の周波数割当て方法。
【0090】
(付記10)
前記第2のテーブルは、前記セル内において前記各セクタを識別するためのセクタ番号と、前記位置情報と、前記周波数とが記憶され、
前記端末装置に割当てるべき周波数を選択するとき、前記受信した測定結果に基づいて前記セクタ番号を取得し、前記第2のテーブルに基づいて前記取得したセクタ番号と前記位置情報とから前記周波数を選択することを特徴とする請求項6記載の周波数割当て方法。
【0091】
(付記11)
端末装置と無線通信を行う無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、分割された各セクタに周波数を割当てる無線基地局装置において、
前記端末装置に対する通信品質の測定結果と、前記端末装置が前記セル範囲である外円に位置するか前記外円よりも前記無線基地局装置に距離が近い内円に位置するかを示す位置情報とを含む第1のテーブルと、前記位置情報と前記端末装置に割当てる周波数とを含む第2のテーブルと、前記位置情報と前記端末装置への送信電力値とを含む第3のテーブルとを記憶した記憶部と、
前記測定結果を前記端末装置から受信し、前記第1のテーブルに基づいて前記測定結果から前記位置情報を取得し、前記第2のテーブルに基づいて前記取得した位置情報から割当てるべき前記周波数を選択し、前記第3のテーブルに基づいて前記取得した位置情報から前記端末装置への送信電力値を選択し、前記選択した周波数と送信電力値で前記端末装置との間で無線通信を行う制御部と
を備えることを特徴とする無線基地局装置。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】図1は通信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は無線基地局装置の構成例を示す図である。
【図3】図3は周波数配置の例を示す図である。
【図4】図4(A)及び同図(B)は送信電力値の例を示す図である。
【図5】図5は中点Aの通信品質を説明するための図である。
【図6】図6は中点Bの通信品質を説明するための図である。
【図7】図7は周波数割当て処理の動作例を示すフローチャートである。
【図8】図8は内円外円在圏判定参照テーブルの例を示す図である。
【図9】図9は周波数配置参照テーブルの例を示す図である。
【図10】図10は最大送信電力参照テーブルの例を示す図である。
【図11】図11は周波数割当て処理の動作例を示すフローチャートである。
【図12】図12は優先周波数選択参照テーブルの例を示す図である。
【図13】図11は従来の周波数割当て例を示す図である。
【図14】図14は従来の周波数割当て例を示す図である。
【図15】図15(A)乃至同図(C)は送信電力値の例を示す図である。
【図16】図16はオムニセルによる周波数割当て例を示す図である。
【図17】図17はセクタセルによる周波数割当て例を示す図である。
【図18】図18はセクタセルによる周波数割当て例を示す図である。
【符号の説明】
【0093】
1 移動通信システム、 10 端末装置、 20(20‐1〜20‐n、20A〜20G)無線基地局装置(基地局装置)、 21 制御部、 22 無線送受信部、 22‐1〜22‐6 第1〜第6のセクタRF部、 23‐1〜23‐6 第1〜第6のアンテナ、 24 測定部、 25 有線連結部、 26 記憶部、 201,202,203,204,205,206,217,218,220,221,225,231,241,261,262,263 セクタ、 251 内円外円在圏判定参照テーブル、 252 周波数配置参照テーブル、 253 最大送信電力参照テーブル、 254 優先周波数配置参照テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置と無線通信を行う無線基地局装置において前記無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、分割された各セクタに周波数を割当てるようにした、無線基地局装置における周波数割当て方法において、
前記セルの範囲を外円、前記外円より前記無線基地局装置に距離が近い範囲を内円とし、前記セルを更に前記外円と前記内円とに分割し、
前記セクタの前記外円に位置する第1の端末装置には、同一セルの隣接セクタに位置する第2の端末装置とは異なる周波数を割当てるとともに、隣接セルの隣接セクタにおける外円に位置する第3の端末装置とは異なる周波数を割当て、
前記第1の端末装置に割当てた前記周波数を、前記第1の端末装置の位置する前記セクタに対して2つ隣に配置される2つのセクタの前記内円に夫々位置する第4及び第5の端末装置に割当てる、
ことを特徴とする周波数割当て方法。
【請求項2】
更に、前記内円に位置する前記第4及び第5の端末装置への送信電力を、前記外円に位置する前記第1の端末装置への送信電力よりも、約5.6dB小さくして、データを前記第1若しくは前記第4及び第5の端末装置に送信する、
ことを特徴とする請求項1記載の周波数割当て方法。
【請求項3】
前記セルを前記外円と前記内円とに分割するとき、前記無線基地局装置から前記内円までの距離と、前記隣接セルの無線基地局装置から前記内円までの距離との比が約1.9になるように前記内円を分割することを特徴とする請求項2記載の周波数割当て方法。
【請求項4】
前記第1の端末装置に割当てた前記周波数を前記第4及び第5の端末装置に割当てるときに、当該周波数を前記第4及び第5の端末装置に優先して割当て、前記第4又は第5の端末装置数が第1の閾値を超えて当該周波数を割当てることができなくなったときに、前記第4又は第5の端末装置には、前記第4又は第5の端末装置の位置する前記内円と同一セクタの前記外円に位置する第6の端末装置に割当てるべき周波数を割当てることを特徴とする請求項1記載の周波数割当て方法。
【請求項5】
端末装置と無線通信を行う無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、6つに分割された各セクタに周波数を割当てるようにした、無線基地局装置における周波数割当て方法において、
前記無線基地局装置に対する通信品質の測定結果を前記端末装置から受信し、第1のテーブルに基づいて、前記測定結果から前記端末装置が前記セル範囲である外円に位置するか、前記外円よりも前記無線基地局装置に距離が近い範囲である内円に位置するかを示す位置情報を求め、
第2のテーブルに基づいて、前記位置情報から前記端末装置へ割当てる前記周波数を選択し、
第3のテーブルに基づいて、前記位置情報から前記端末装置への送信電力値を選択し、
前記選択した周波数と送信電力値で前記端末装置との間でデータを送受信する、
ことを特徴とする周波数割当て方法。
【請求項6】
前記選択した周波数と送信電力値で前記端末装置にデータを送信するとき、前記無線基地局装置は、前記内円に位置する前記端末装置への送信電力を、前記外円に位置する前記端末装置への送信電力よりも、約5.6dB小さくして、前記データを送信することを特徴とする請求項5記載の周波数割当て方法。
【請求項7】
前記無線基地局装置から前記内円までの距離と、前記隣接セルの無線基地局装置から前記内円までの距離との比が約1.9になるように、前記各セルにおいて前記内円が構成されることを特徴とする請求項6記載の周波数割当て方法。
【請求項8】
前記端末装置に割当てる前記周波数を選択するとき、前記内円に位置する前記端末装置に対して優先的に当該周波数を割当て、前記内円に位置する前記端末装置の数が第2の閾値を超えて当該周波数を割当てることができなくなったときに、前記内円と同一セクタの前記外円に割当てるべき周波数を選択することを特徴とする請求項6記載の周波数割当て方法。
【請求項9】
端末装置と無線通信を行う無線基地局装置の通信範囲であるセルを時計方向に6つに分割し、分割された各セクタに周波数を割当てる無線基地局装置において、
前記端末装置に対する通信品質の測定結果と、前記端末装置が前記セル範囲である外円に位置するか前記外円よりも前記無線基地局装置に距離が近い内円に位置するかを示す位置情報とを含む第1のテーブルと、前記位置情報と前記端末装置に割当てる周波数とを含む第2のテーブルと、前記位置情報と前記端末装置への送信電力値とを含む第3のテーブルとを記憶した記憶部と、
前記測定結果を前記端末装置から受信し、前記第1のテーブルに基づいて前記測定結果から前記位置情報を取得し、前記第2のテーブルに基づいて前記取得した位置情報から割当てるべき前記周波数を選択し、前記第3のテーブルに基づいて前記取得した位置情報から前記端末装置への送信電力値を選択し、前記選択した周波数と送信電力値で前記端末装置との間で無線通信を行う制御部と
を備えることを特徴とする無線基地局装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−41312(P2010−41312A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200909(P2008−200909)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】