説明

無線放送受信装置

【課題】多岐にわたるアンテナの種別を判別して、個別に特性を調整することが可能な無線放送受信装置を提供すること。
【解決手段】本発明による無線放送受信装置を含むカーオーディオ1は、アンテナ2の受信した受信信号を復調する復調手段4〜7と、他の車載機器8との接続手段12とを備える無線放送受信装置であって、接続手段12の複数の端子13のうちアンテナ2の種別に対応させた組み合わせの端子を接地するとともに、接地された又は接地されていない端子の組み合わせによりアンテナ2の種別を判別するアンテナ判別手段11aを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多岐にわたる種別のアンテナに対応して特性を調整することができる無線放送受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無線放送受信装置を代表するものとして、車両等の移動体においてAM/FM放送を受信してユーザが音楽やニュースなどのラジオ放送を楽しむことができるカーオーディオのチューナがある。また、衛星から放送される放送電波を受信してテレビ放送を楽しむことができるカーテレビもある。このような無線放送受信装置では、特性の異なるアンテナ(ピラーアンテナ等のアンプレスタイプやアンプ付きガラスアンテナ等)に対応して無線放送受信装置としての特性を個別に調整することが本来好ましい。
【0003】
ところが、無線放送受信装置が車両用部品として共通して使用されるという車両製造上の都合により、アンテナ毎に無線放送受信装置としての特性を調整することができておらず、この場合には、無電界状態でのノイズの浮き上がりが大きく、耳障りな音が発生してしまうと言う問題が生じる。
【0004】
特性の異なるアンテナに対応して、特性を個別に調整する無線放送受信装置としては、特許文献1に記載されたようなものが提案されているが、単にアンテナに付属するアンプを動作させる信号の有無を検知して、アンテナの種別を判別してそれに対応して特性を変化させているのみであるため、アンプの有無によりアンテナを判別することしかできず、アンプの利得が多岐にわたるアンテナの種別に対応してアンテナの種別を判別し、個別に特性を調整することは困難であった。
【特許文献1】特開2005−354253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、多岐にわたるアンテナの種別を判別して、個別に特性を調整することが可能な無線放送受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題を解決するため、本発明による無線放送受信装置は、
アンテナの受信した受信信号を復調する復調手段と、他の車載機器との接続手段とを備える無線放送受信装置であって、
前記接続手段の複数の端子のうち前記アンテナの種別に対応させた組み合わせの端子を接地するとともに、前記接地された又は接地されていない端子の組み合わせにより前記アンテナの種別を判別するアンテナ判別手段を備えることを特徴とする。
【0007】
あるいは上記の問題を解決するために、本発明による無線放送受信装置は、
アンテナの受信した受信信号を復調する復調手段を備える無線放送受信装置であって、
前記アンテナの種別を記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された前記アンテナの種別を判別するアンテナ判別手段とを備えることを特徴としてもよい。
【0008】
ここで、後者においては、他の車載機器との通信を行う通信手段を備え、
前記他の車載機器のいずれかに、前記アンテナの種別を記憶する記憶手段を備えるとともに、
前記アンテナ判別手段が、前記記憶手段により記憶された前記アンテナの種別を、前記通信手段を介して取得して判別することが好ましい。
【0009】
これによれば、前記記憶手段を前記無線放送受信装置の内部に備える場合は外部ダイアグツールにより前記無線放送受信装置を車両に組み込む際に前記記憶手段に前記アンテナの種別を記憶させる必要が生じるが、予め他の車載機器の内部の記憶手段に当該他の車載機器の工場出荷時に前記アンテナの種別を記憶させておくことができ、前記無線放送受信装置の車両組み込み時の工程を短縮することができる。
【0010】
なお、アンテナがアンプを備え、当該アンプがマイコンを備えているケースでは、当該他の車載機器を当該アンプとすることも可能である。
【0011】
なお、上述した本発明による無線放送受信装置は、
前記アンテナ判別手段の判別した前記アンテナの種別に基づいて前記復調手段の特性を調整する調整手段を備えることが好ましい。
【0012】
これによれば、前記アンテナの種別に基づいて、前記復調手段の特性を自動的に調整することができる。
【0013】
なお前記復調手段の特性とは、ミュート特性等の入出力特性、マルチパス特性等を含むものとする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、多岐にわたるアンテナの種別を判別して、個別に特性を調整することが可能な無線放送受信装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明に係るチューナ(カーラジオ:無線放送受信装置)を含むカーオーディオの一実施形態を示すブロック図であり、図2は本発明に係わるカーオーディオの一部を示す模式図であり、図3は本発明に係わるカーオーディオの一部の接地形態を示すテーブルである。
【0017】
カーオーディオ1は、アンテナ2と、アンテナ2に付属するアンプ3(アンテナ種別により利得が異なり、アンプ3がないものもある)と、Front/End4と、IFAmp5と、検波器6と、ミュート回路7と、オーディオアンプ8と、スピーカ9と、シグナルメータ10と、チューナマイコン11と、I/F(ハーネス)12と、コネクタ13を備えて構成される。
【0018】
アンテナ2は、各基地局から送信された放送電波を高周波信号として受信するものであり、アンプ3は、この高周波信号を増幅するものである。アンプ3は、アンテナ2の種別により選択的に配置され、アンテナ種別により利得が異なるものである。例えば、ポールアンテナではアンプ3は配置されず、ガラスアンテナではアンプ3が配置される。
【0019】
Front/End4は、アンテナ2により受信された高周波信号を高周波増幅するとともに、図示しない局部発振回路により生成された各放送チャンネルに対応する局部発信周波数信号と高周波信号を混合して周波数信号を生成し、図示しないバンドパスフィルタにより混合されて生成された周波数信号のうち、中間周波信号の周波数の近傍の信号のみを通過させる。これらのことにより各放送チャンネルを選択することができる。
【0020】
IFAmp5は、この中間周波信号を増幅し、検波器6はこの増幅された中間周波信号から音声信号を取り出し、ミュート回路7はこの音声信号を必要によりミュート(低減)し、オーディオアンプ8はこの音声信号を増幅して、スピーカ9を駆動して音声を発生させる。
【0021】
シグナルメータ10はIFAmp5の出力を検出して、アンテナ2の受信した放送電波の電界強度に比例した直流電圧を生成して、この直流電圧を電界強度信号としてチューナマイコン11に供給するものである。
【0022】
チューナマイコン11は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものである。加えて、チューナマイコン11は、アンテナ判別手段11aと、調整手段11bとを備えて構成される。
【0023】
I/F12はチューナマイコン11とコネクタ13とを接続する接続手段を構成するインターフェースであり、コネクタ13は車両側に準備されたコネクタ及びワイヤーハーネスに接続される。
【0024】
コネクタ13は図2に示すように、使用していない空端子A、B、Cを備え、前述したアンテナ2の種別に対応させた図3に示すような組み合わせの端子が接地される。なお、Front/End4、IFAmp5、検波器6、ミュート回路7、シグナルメータ10,チューナマイコン11、I/F12、コネクタ13は復調手段つまりはチューナを構成している。なお、オーディオアンプ8は、チューナに内蔵されるものもある。
【0025】
アンテナ判別手段11aは、コネクタ13の空端子A、B、Cの図3に示すような接地の組み合わせにより、アンテナ2の種別を判別する。図3中GNDは接地を示し、空欄はOPENを示す。例えば、端子A、B、Cが全て接地されていない場合には、アンテナ2がアンプ3なしのポールアンテナであると判別し、端子Aのみが接地されている場合には、アンテナ2はアンプ3を備えたガラスアンテナであり、アンプ3の利得が2dBであると判別する。
【0026】
同様に、アンテナ判別手段11aは、端子Bのみが接地されている場合には、アンテナ2はアンプ3を備えたガラスアンテナであり、アンプ3の利得が4dBであると判別し、端子Cのみが接地されている場合には、アンテナ2はアンプ3を備えたガラスアンテナであり、アンプ3の利得が6dBであると判別する。
【0027】
さらに、アンテナ判別手段11aは、端子B、Cが接地されている場合には、アンテナ2はアンプ3を備えたガラスアンテナであり、アンプ3の利得が8dBであると判別し、端子A、Cが接地されている場合には、アンテナ2はアンプ3を備えたガラスアンテナであり、アンプ3の利得が10dBであると判別する。
【0028】
このように、端子A、B、Cのいずれの組み合わせが接地されているかにより、8種類のアンテナ種別を判別することができる。
【0029】
調整手段11bは、ミュート回路7のミュート量を調整するものである。一般に、アンテナ2の受信する放送電波の電界強度が小さい領域においては、ノイズレベルが大きくなり、耳障りな音が発生するという不具合が生じるため、シグナルメータ10により取得される電界強度信号が小さい領域においては、調整手段11bはミュート回路7のミュート量を大きくしている。
【0030】
さらに、アンテナ2がアンプ3を備える場合には、電界強度が小さい領域におけるノイズレベルはさらに大きくなり、アンプ3の利得が大きい場合にはそれに加えてさらにノイズレベルが大きくなるため、調整手段11bは、アンテナ判別手段11aの判別したアンテナ種別に基づいて、ミュート回路7のミュート量を調整する。より具体的には、アンプ3を具備しないアンテナ2よりも、アンプ3を具備するアンテナ2においてはよりミュート量を大きくし、アンプ3の利得が大きくなればなるほど、ミュート量を大きくする。
【0031】
以上述べた実施例1は、以下に示すフローチャートに基づいて実行される。図4は、本発明によるカーオーディオ1のチューナマイコン11の制御内容を示すフローチャートである。
【0032】
S1において、アンテナ判別手段11aが、コネクタ13の空端子A、B、Cのうちいずれの端子が接地されているかによりアンテナ2の種別を判別し、S2において、アンテナ2の種別に応じてミュート回路7のミュート量を調整する。
【0033】
これらのことにより、チューナが車両用部品として共通して使用される状況下においても、多岐にわたるアンテナの種別を判別して、アンテナの種別に対応させて、復調手段の特性ここではミュート量を調整して、放送電波の電界強度が小さい領域において、ノイズレベルが高くなり、耳障りな音が発生することを防止することができる。
【0034】
また、実施例1においてはアンテナの種別をチューナマイコン11に判別させるにあたり、既存のコネクタ13の空端子を利用しており、別途記憶手段を設ける構成としていないので、新たなハードを追加することなく、アンテナの種別を判別させることができる。
【0035】
なお、本実施例1では、チューナとオーディオアンプ8とを接続するI/F12のコネクタ13の空端子を用いてアンテナの種別をチューナマイコン11に判別させたが、それ以外に、オーディオアンプ8の内蔵するオーディオアンプマイコンに、予めアンテナの種別を記憶させておき、チューナを車両に組み込む際に、チューナマイコン11がそのアンテナの種別を判別する構成とすることもできる。以下にその構成について述べる。
【実施例2】
【0036】
図5は、本発明に係わるカーオーディオの他の実施形態を示すブロック図である。
【0037】
カーオーディオ21は、アンテナ2と、アンテナ2に付属するアンプ3(アンテナ種別により利得が異なり、アンプ3がないものもある)と、Front/End4と、IFAmp5と、検波器6と、ミュート回路7と、オーディオアンプ8と、スピーカ9と、シグナルメータ10と、チューナマイコン11と、オーディオアンプマイコン14を備えて構成される。
【0038】
アンテナ2、アンプ3、Front/End4、IFAmp5、検波器6、ミュート回路7、オーディオアンプ8、スピーカ9は実施例1に示したものと同様であるため同一の符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0039】
チューナマイコン11は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、アンテナ判別手段11aと、調整手段11bとを備えて構成される。
【0040】
オーディオアンプマイコン14は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、車両毎に対応して個別に設定がなされるものである。加えて、オーディオアンプマイコン14は、記憶手段14aを備えて構成される。
【0041】
チューナマイコン11とオーディオアンプマイコン14とは、車載LANとしてのCAN(Controller Area Network)により接続される。このCANは通信手段を構成する。なお、CANに換えてシリアル通信あるいはLIN(Local Interconnect Network)等を用いても良い。
【0042】
オーディオアンプマイコン14の記憶手段14aは、予めアンテナ2の種別を記憶しておき、アンテナ判別手段11aは、記憶手段14aにより記憶されたアンテナ2の種別を、CANを介して取得して判別する。
【0043】
調整手段11bは、ミュート回路7のミュート量を調整する。実施例1と同様に、アンテナ2の受信する放送電波の電界強度が小さい領域においては、ノイズレベルが大きくなり、耳障りな音が発生するという不具合が生じるため、シグナルメータ10により取得される電界強度信号が小さい領域においては、調整手段11bはミュート回路7のミュート量を大きくする。
【0044】
これらのことにより、チューナが車両用部品として共通して使用される状況下においても、多岐にわたるアンテナの種別を判別して、アンテナの種別に対応させて、復調手段の特性ここではミュート量を調整して、放送電波の電界強度が小さい領域において、ノイズレベルが高くなり、耳障りな音が発生することを防止することができる。
【0045】
また、実施例2においても、アンテナの種別をチューナマイコン11に判別させるにあたり、既存のオーディオアンプマイコン14を利用しており、別途記憶手段を設ける構成としていないので、新たなハードを追加することなく、アンテナの種別を判別させることができる。
【0046】
なお、車載LANに接続される他の部品でもオーディオアンプマイコン14を代用することが可能である。例えば、アンプ3がマイコンを備えているケースでは、当該マイコンによりアンテナ2の種別を記憶させておき、チューナマイコン11のアンテナ判別手段11aにアンテナの種別を判別させることもできる。
【0047】
なお、本実施例2では、オーディオアンプマイコン14を用いてアンテナの種別をチューナマイコン11に判別させたが、カーオーディオ1を構成するパネルに内蔵されたパネルマイコンに、予めアンテナの種別を記憶させておき、チューナを車両に組み込む際に、チューナマイコン11がそのアンテナの種別を判別する構成とすることもできる。この構成を以下に示す。
【実施例3】
【0048】
図6は、本発明に係わるカーオーディオの他の実施形態を示すブロック図である。
【0049】
カーオーディオ31は、アンテナ2と、アンテナ2に付属するアンプ3(アンテナ種別により利得が異なり、アンプ3がないものもある)と、Front/End4と、IFAmp5と、検波器6と、ミュート回路7と、オーディオアンプ8と、スピーカ9と、シグナルメータ10と、チューナマイコン11と、パネルマイコン15を備えて構成される。
【0050】
アンテナ2、アンプ3、Front/End4、IFAmp5、検波器6、ミュート回路7、オーディオアンプ8、スピーカ9は実施例1に示したものと同様であるため同一の符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0051】
チューナマイコン11は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものである。加えて、チューナマイコン11は、アンテナ判別手段11aと、調整手段11bとを備えて構成される。
【0052】
パネルマイコン15は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、車種毎に対応して設定がなされるものである。加えて、パネルマイコン15は、記憶手段15aを備えて構成される。
【0053】
チューナマイコン11とパネルマイコン15とは、車載LANとしてのCAN(Controller Area Network)により接続される。このCANは特許請求の範囲に記載の通信手段を構成する。なお、CANに換えてシリアル通信あるいはLIN(Local Interconnect Network)等を用いても良い。
【0054】
パネルマイコン14の記憶手段14aは、予めアンテナ2の種別を記憶しておき、アンテナ判別手段11aは、記憶手段14aにより記憶されたアンテナ2の種別を、CANを介して取得して判別する。
【0055】
調整手段11bは、ミュート回路7のミュート量を調整する。実施例2と同様に、アンテナ2の受信する放送電波の電界強度が小さい領域においては、ノイズレベルが大きくなり、耳障りな音が発生するという不具合が生じるため、シグナルメータ10により取得される電界強度信号が小さい領域においては、調整手段11bはミュート回路7のミュート量を大きくする。
【0056】
これによっても、チューナが車両用部品として共通して使用される状況下においても、多岐にわたるアンテナの種別を判別して、アンテナの種別に対応させて、復調手段の特性ここではミュート量を調整して、放送電波の電界強度が小さい領域において、ノイズレベルが高くなり、耳障りな音が発生することを防止することができる。
【0057】
また、実施例3においても、アンテナの種別をチューナマイコン11に判別させるにあたり、既存のパネルマイコン15を利用しており、別途記憶手段を設ける構成としていないので、新たなハードを追加することなく、アンテナの種別を判別させることができる。
【0058】
実施例2と実施例3とでは、チューナ以外の車載機器にアンテナの種別を記憶する記憶手段を備えるという点では有意差はないが、例えば、チューナとパネルを同一のメーカが製作している場合においては、実施例3の方が、予めアンテナの種別をメーカサイドにて実施しておくことができるため、車両組立の工程を効率的に行うことができる。
【0059】
なお、本実施例3では、パネルマイコン15を用いてアンテナの種別をチューナマイコン11に判別させたが、チューナマイコン11に、外部ダイアグツールを用いて予めアンテナの種別を記憶させておき、チューナを車両に組み込む際に、チューナマイコン11がそのアンテナの種別を判別する構成とすることもできる。この構成を以下に示す。
【実施例4】
【0060】
図7は、本発明に係わるカーオーディオの他の実施形態を示すブロック図である。
【0061】
カーオーディオ41は、アンテナ2と、アンテナ2に付属するアンプ3(アンテナ種別により利得が異なり、アンプ3がないものもある)と、Front/End4と、IFAmp5と、検波器6と、ミュート回路7と、オーディオアンプ8と、スピーカ9と、シグナルメータ10と、チューナマイコン11と、ダイアグツール16を備えて構成される。
【0062】
アンテナ2、アンプ3、Front/End4、IFAmp5、検波器6、ミュート回路7、オーディオアンプ8、スピーカ9は実施例1に示したものと同様であるため同一の符号を付して重複する部分の説明は省略する。
【0063】
チューナマイコン11は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUが以下に述べる所定の処理を行うものであり、アンテナ判別手段11aと、調整手段11b、記憶手段11cとを備えて構成される。
【0064】
ダイアグツール16は例えばCPU、ROM、RAMおよびそれらを接続するデータバスから構成され、ROMに格納されたプログラムに従い、後述するCANに接続して、CANに接続された各車載機器の故障診断を行うものであり、ここでは、チューナマイコン11の記憶手段11cにアンテナ2の種別を記憶させることができるものである。
【0065】
チューナマイコン11とダイアグツール16とは、車載LANとしてのCAN(Controller Area Network)により接続される。このCANは通信手段を構成する。なお、CANに換えてシリアル通信あるいはLIN(Local Interconnect Network)等を用いても良い。
【0066】
チューナマイコン11の記憶手段11cは、ダイアグツール16により予めアンテナ2の種別を記憶しておき、アンテナ判別手段11aは、記憶手段11cにより記憶されたアンテナ2の種別を、CANを介して取得して判別する。
【0067】
調整手段11bは、ミュート回路7のミュート量を調整する。実施例3と同様に、アンテナ2の受信する放送電波の電界強度が小さい領域においては、ノイズレベルが大きくなり、耳障りな音が発生するという不具合が生じるため、シグナルメータ10により取得される電界強度信号が小さい領域においては、調整手段11bはミュート回路7のミュート量を大きくする。
【0068】
これによっても、チューナが車両用部品として共通して使用される状況下においても、多岐にわたるアンテナの種別を判別して、アンテナの種別に対応させて、復調手段の特性ここではミュート量を調整して、放送電波の電界強度が小さい領域において、ノイズレベルが高くなり、耳障りな音が発生することを防止することができる。
【0069】
また、実施例4においても、アンテナの種別をチューナマイコン11に判別させるにあたり、既存のチューナマイコン11を利用しており、別途記憶手段を設ける構成としていないので、新たなハードを追加することなく、アンテナの種別を判別させることができる。
【0070】
なお、実施例4のように、記憶手段11cをチューナの内部に備える場合はダイアグツール16によりチューナを車両に組み込む際に記憶手段11cにアンテナ2の種別を記憶させる必要が生じるが、実施例2、3では、予め他の車載機器であるオーディオアンプマイコン14やパネルマイコン15の内部の記憶手段に当該他の車載機器の工場出荷時にアンテナ2の種別を記憶させておくことができるため、チューナの車両組み込み時の工程を短縮することができる。
【0071】
以上本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明は上述した実施例に制限されることなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形および置換を加えることができる。
【0072】
上述した実施例では無線放送受信装置としてのチューナを含む構成の一例としてカーオーディオを示したが、車載のカーテレビ、基地局からのワンセグ放送、音楽放送を受信する携帯電話、衛星放送を受信する車載のカーテレビ、携帯テレビ等にも本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、車両等の移動体に搭載される無線放送受信装置に関するものであり、多岐にわたるアンテナの種別を判別して、アンテナの種別に対応させて、復調手段の特性ここではミュート量を調整して、放送電波の電界強度が小さい領域において、ノイズレベルが高くなり、耳障りな音が発生することを防止することができるので、乗用車、トラック、バス等の様々な車両に適用される無線放送受信装置に適用して有益なものである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係るカーオーディオの一実施形態を示すブロック図である。
【図2】本発明に係わるカーオーディオの一部を示す模式図である。
【図3】本発明に係わるカーオーディオの一部の接地形態を示すテーブルである。
【図4】本発明に係るカーオーディオの一実施形態の制御内容を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係るカーオーディオの他の実施形態を示すブロック図である。
【図6】本発明に係るカーオーディオの他の実施形態を示すブロック図である。
【図7】本発明に係るカーオーディオの他の実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0075】
1 カーオーディオ
2 アンテナ
3 アンプ
4 Front/End
5 IFAmp
6 検波器
7 ミュート回路
8 オーディオアンプ
9 スピーカ
10 シグナルメータ
11 チューナマイコン
11a アンテナ判別手段
11b 調整手段
11c 記憶手段
12 I/F
13 コネクタ
14 オーディオアンプマイコン
14a 記憶手段
15 パネルマイコン
15a 記憶手段
16 ダイアグツール
21 カーオーディオ
31 カーオーディオ
41 カーオーディオ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナの受信した受信信号を復調する復調手段と、他の車載機器との接続手段とを備える無線放送受信装置であって、
前記接続手段の複数の端子のうち前記アンテナの種別に対応させた組み合わせの端子を接地するとともに、前記接地された又は接地されていない端子の組み合わせにより前記アンテナの種別を判別するアンテナ判別手段を備えることを特徴とする無線放送受信装置。
【請求項2】
アンテナの受信した受信信号を復調する復調手段を備える無線放送受信装置であって、
前記アンテナの種別を記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された前記アンテナの種別を判別するアンテナ判別手段とを備えることを特徴とする無線放送受信装置。
【請求項3】
他の車載機器との通信を行う通信手段を備え、
前記他の車載機器のいずれかに、前記アンテナの種別を記憶する記憶手段を備えるとともに、
前記アンテナ判別手段が、前記記憶手段により記憶された前記アンテナの種別を、前記通信手段を介して取得して判別することを特徴とする請求項2に記載の無線放送受信装置。
【請求項4】
前記アンテナ判別手段の判別した前記アンテナの種別に基づいて前記復調手段の特性を調整する調整手段を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の無線放送受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−67217(P2008−67217A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244652(P2006−244652)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】